岸田首相の「日本を守り抜く」 果たして現行憲法下で可能なのか
衆議院選で絶対安定多数の議席数を確保し、第二次岸田政権がスタートしますが、日本周辺の安全保障環境は急激に変化し、中国の覇権の進行と共に「台湾有事」が迫ってきているようです。そうした状況の中日本の対応が問われています。
ジャーナリストの加賀孝英氏がzakzakにその辺の状況を寄稿しています。タイトルは『自民、衆院選勝利の陰で台湾有事「近い」 艦隊列島一周に米は戦略爆撃機で“中露威嚇” 「弱腰だ」米側は岸田政権の対応に不満』 (11/3)で、以下に引用し掲載します。
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岸田文雄首相(自民党総裁)は2日朝、衆院選での「絶対安定多数」(261議席)獲得を手土産に、英国での国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳級会合出席のため、政府専用機で羽田空港を出発した。中国の軍事的覇権拡大が進むなか、ジョー・バイデン米大統領との日米首脳会談も注目される。4年ぶりの政権選択選挙でも焦点となったが、東アジアの緊張は高まっている。中国とロシアの海軍艦隊による日本列島一周の意味と、「台湾有事」の危機とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が最新情報を報告する。
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「米軍と米情報当局が極度に緊張している。米国は以前、『中国軍による台湾侵攻(台湾有事)は2025年前後』と分析していた。ところが、『近い』という極秘情報が急浮上している。『台湾有事』は『沖縄有事』『日本有事』に直結する。日本が危ない」
外事警察関係者は、そう語った。
衆院選が終わった。岸田首相率いる自民党は単独で絶対安定多数に達し、公明党や保守系無所属を合わせて与党294議席を獲得した。
安定した政治体制は維持されたが、政権運営の要である甘利明幹事長が小選挙区で敗北し、辞任する意向を固めた。岸田首相は後任に、茂木敏充外相を充てる人事を決めた。後任の外相には、林芳正元文科相の起用案が浮上している。
よくお聞きいただきたい。衆院選の「政治空白」を突いて、台湾情勢が一気に緊迫している。日本はいま、「最大の危機」に直面している。
台湾の蔡英文総統は10月28日に放映された米CNNのインタビューで、次のように発言した。
「(中国の軍事的脅威は)日に日に(増している)」「長い(米台)関係を考えれば、われわれは米国とともにいるし、(中国による台湾侵攻時に)議会や政権だけでなく米国民の支援があることを信じている」
蔡氏はまた、米軍特殊部隊が台湾の陸上部隊を訓練していることを、台湾総統として初めて認めた。台湾有事が迫っている証拠だ。それを全世界に訴える、蔡氏の悲痛な叫びだ。
中国は激高し、国防部報道官は28日、「断固たる制裁と反撃措置を講じる」と宣戦布告を匂わせた。外交部報道官は「(台湾統一=侵攻は)歴史の正しい道だ」「台湾の独立は死に至る一本道で、独立を支持することも死に至る道だ」と、台湾殲滅(せんめつ)を示唆し、吠えた。
全身全霊の怒りを込めていう。ふざけるな。
外務省関係者は「バイデン氏はこれまで、中国の習近平国家主席の顔色をうかがい、弱腰だった。ところが、突然変わった。オーストラリアも『中国が台湾を攻撃した場合、米国とともに行動する』と宣言した。習氏は『台湾統一を必ず実現させる』と全人民に約束している。破れば失脚する。習氏は追い詰められた。必死だ」といった。
バイデン氏の「台湾防衛支援」に関する重要発言は次の通りだ。
(1)CNNが10月21日に主催した対話集会で、司会者から「米国は台湾を守るつもりか」と質問され、バイデン氏は「その通りだ。私たちにはそうする責任がある」と言い切った。
(2)オンラインの東アジアサミット(EAS)で同月27日、バイデン氏は中国の台湾への行動は威圧的で、「地域の平和と安定を脅かす」と主張。米国の台湾への関与は「揺るがない」と強調した(=ロイター通信)。
「台湾侵攻のXデーは近い」とみており、「米国は台湾のために血を流す」という決意表明と受け止められる。
◆米は岸田政権の対応に不満
仰天情報がある。以下、日米情報当局関係者から入手したものだ。
中国とロシアの海軍艦艇計10隻が同月17~23日、日本列島をほぼ一周して日本を威嚇した、前代未聞の一件の背景だ。
「南シナ海や台湾、尖閣有事の際、日本や米国、英国、オーストラリアなどの自由主義同盟に対し、反米の『中露同盟軍が戦う』という決起宣言に等しい。日本では報道されていないが、米軍は17日と19日、超音速戦略爆撃機B-1B『ランサー』をロシア国境に接近させた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への『米国は本気だ』という警告だ」
「一方、岸田政権の中露艦隊への対応に、米国側から不満が噴き出ている。『弱腰だ。命をかけて自国を守る覚悟、体制がまったく見えない。台湾防衛支援も、もっと大声で宣言すべきだ』と」
岸田首相とバイデン氏による初めての日米首脳会談は、COP26が開催されている英国で調整されている。
「日本を守り切る」という岸田首相の覚悟が本物かどうか、それがいま問われている。
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「日本を守り抜く」という発言は頼もしくも思えますが、憲法9条がそのままで、しかもそれ以前に自衛隊条項も加えられていない憲法下で、どうやって守り切れるのでしょうか。まさか米軍の完全な支援の元で、と言う前提付きでは覚悟が見えません。しかも米軍が日本を守り切ってくれるかも分かりません。
「台湾有事」が近いと言って、どれだけの国会議員がその状況に注視しているのでしょうか、自民党は総裁選もそして総選挙も終わり、ようやくその体制がとれる時期に入ったとは言え、野党第一党の立憲民主はこれから代表選で、外交など上の空でしょう。ここは日本維新の会と国民民主党の改憲賛成議員を巻き込み、躊躇する公明党の尻を叩いて、早く憲法改正の発議にこぎ着けるべきでしょう。
9条改定のような難問は後回しにしてでも、とにかく改憲の糸口を作ることが今大事です。そうすれば中露も日本の変化を敏感に嗅ぎ取って、今までのような「なめきった」行動は控えるかも知れません。ただいずれにしろ近いうちの9条は改訂すべきでしょう。そうでなければ「日本を守り抜く」は、口先だけになる恐れは十分にあります。
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