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2021年11月22日 (月)

震え上がる中国、米国に代わって過激派組織の標的に

Images-3_20211120130901   昨日と打って変わって、今回は中国の弱みにも当たる記事を紹介します。ウイグル自治区にイスラム教徒の住民を抱える中国ですが、タリバンが制圧したアフガニスタンにも食指を伸ばそうとしています。ところがこのアラビア諸国への介入が、思わぬ火の粉をかぶる恐れもあります。

 経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏が、JBpressに寄稿したコラムから、そのあたりの事情を見てみましょう。タイトルは『震え上がる中国、米国に代わって過激派組織の標的に 中国がアフガニスタンに侵攻する日は近いのか』(11/12)で以下に引用して掲載します。

タジキスタンとの連携を強化

 米軍が8月下旬にアフガニスタンから撤退して以降、中国は中央アジア諸国と安全保障面での連携強化を急いでいる。アフガニスタンからのテロの輸出を防いでいた米軍が撤退した以上、中国は自力で自国民の命と利権を守らなければならなくなっているからだ。

 アフガニスタンで実権を掌握したイスラム主義勢力「タリバン」と友好関係を築こうとする一方、中央アジア諸国の中で中国がとくに連携強化を図っている国がタジキスタンだ。

 他の中央アジア諸国とは異なり、タリバンとの直接の協議を避けているタジキスタンと中国は、「タリバンが国内の過激派組織を抑えることができない」との懸念を共有している。

 10月下旬、中国政府がタジキスタンのアフガニスタンとの国境近くに警察施設を建設していることが明らかになった(10月29日付AFP)。施設はアフガニスタンから中国へ繋がる回廊(ワクハン回廊)の近くに位置する。建設費用(850万ドル)は全額中国側が負担し、完成後はタジキスタン警察に引き渡されるという。

 また、中国政府は「中央アジアに中国の基地は一切ない」としているが、タジキスタン南東部に中国軍の基地がすでに1カ所存在していることは公然の秘密だ。

 タジキスタンはかつて旧ソ連のアフガニスタン侵略の前線基地だった。今なお条約に基づきロシア軍が駐留している。

 プーチン大統領が10月13日に「過激派の活動家たちがシリアやイラクからアフガニスタンへ移動している」と警告を発したことを受けて、ロシア軍は10月下旬、旧ソビエト6カ国で構成されるCSTO(集団安全保障条約機構)による合同軍事演習をタジキスタンで実施した。「テロリストなど過激派組織が侵入した」という想定で6日間にわたって実施された演習に総勢4000人が参加した。

 ロシアが「裏庭」とみなす中央アジアに中国が過剰に介入すれば、蜜月と言われるほど良好な中ロの関係に亀裂が生じかねない。中国がリスクを冒してまで中央アジアでのプレゼンスを高めるのは、「アフガニスタンが不安定化し、隣接する新疆ウイグル自治区に過激派が流入する」事態を極度に警戒しているからだ。中国政府は、アフガニスタンに潜伏しているとされる分離独立派のウイグル人戦闘員が国境を越えて新疆ウイグル自治区に侵入してこないよう、取り締まりを強化している。

タリバンの不倶戴天の仇敵「IS-K」

 中国政府は9月上旬、タリバンに対して「食糧や新型コロナウイルスワクチンなど2億元(約34億円)相当の支援を提供する」と表明し、10月にはロシアとともにタリバンの代表を国際会議に招くなどアフガニスタン情勢の安定化に腐心してきた。

 だがアフガニスタンで過激派組織のテロ活動が一向に収まる気配を示していない。その代表格はイスラム国(IS)の地方組織「イスラム国家ホラサン州(IS-K)」だ。

 イラン東部、中央アジア、アフガニスタン、パキスタンにまたがる地域の旧名称である「ホラサン」が示すとおり、IS-Kの拠点はパキスタンとの麻薬密輸や密入国ルートに近い東部ナンガルハーレル州だ。

 IS-Kはタリバンと同じスンニ派武装組織だが、“不倶戴天の仇敵”の関係にある。IS-Kは「タリバンは穏健すぎる、過激さが足りない」と不満を持つジハード(聖戦)主義者の格好の受け皿になっている。2015年1月に設立されて以来、アフガニスタン各地でテロを繰り返してきたが、2020年以降、新しい指導者の下、国内での暴力をエスカレートさせている。国連は「兵力は500~1500人だ」と推定する。

中国のウイグル問題を引き合いに出してテロを正当化

 IS-Kは「反米」を掲げ、これまで中国を敵視してこなかったが、10月に入り中国を震撼させるテロ事件を引き起こした。10月8日、アフガニスタン北部にあるイスラム教シーア派のモスクで自爆テロが発生し、礼拝中のシーア派少数民族ハザラ人70人以上が死亡した。IS-Kは「中国の要請に応じてウイグル人をアフガニスタンから追放するシーア派とタリバン政権を標的にした」との声明を出した。IS-Kがタリバンの権力掌握以降、宗教的・民族的少数派を攻撃するのは珍しいことではないが、中国のウイグル問題を引き合いに出してテロを正当化したのは極めて異例だ。

 注目すべきは、IS-Kが初めて攻撃の実行犯にウイグル人を投入したことだ。実行犯のウイグル人が新疆ウイグル自治区出身かどうかは定かではないが、IS-Kが、中国が抱く懸念を煽っていることは間違いない。中国に対して強硬路線に転換した兆しだとも受け止められている。

 IS-Kにとって、タリバン政権が強化されることは、アフガニスタンにおける自分たちの生き残りのために非常に都合が悪い。このため、タリバン支配下のアフガニスタンに関与を深める中国に対して、IS-Kは敵意を燃やすという構図になっている。

 タリバンは中国の意向に配慮して、アフガニスタンからウイグル人を追放する意向を表明した。そのことに不満を抱くウイグル人を、IS-Kが新たな戦力に迎える好機として捉えている節もある。シリアのISのように、IS-Kの下にウイグル人戦闘員が集まる可能性が出てきている。

 中国政府はアフガニスタンの内政には関与せず、ひたすらテロの侵入阻止に注力する姿勢に終始している。だがタリバンの代表と頻繁に接触しても「新疆ウイグル自治区の安全が保たれる」との確信は持てない。タリバンの失政が続けば続くほど、IS-Kの脅威は強まる。「タリバンによる政権奪取は中国にとってリスク以外の何ものでもない」との認識が募るばかりだろう。

アフガンで米国に代わり中国が攻撃対象に

 IS-Kの上部組織にあたるISは2014年7月、中国を「ジハード遂行」の戦場の1つに挙げたが、その後、ISのプロパガンダに中国やウイグルに焦点を当てたメッセージが登場することは少なかった。中国がアフガニスタンやイラク、シリアで対IS軍事作戦に参加していなかったからだ。

 だが米軍がアフガニスタンから撤退し、イラクからも攻撃部隊を撤収しようとしている現在、ISをはじめとする過激派組織が見過ごしてきた中国が、今や米国に代わる攻撃対象になりつつある。権力の空白を利用して利権の拡大を図る中国に、過激派組織が目を向けるのは当然の成り行きだ。新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒弾圧の問題への注目度も過激派組織の間で確実に上がっている。

 アフガニスタンの隣国、パキスタンでは中国人に対するテロが相次いでいる。「一帯一路」構想に基づき巨額の投資を行う中国の存在感は年を追うごとに高まっている。過激派組織にとって「中国」はパキスタン政府にダメージを与えるための格好の標的なのだ。大国化して目立つ存在になった中国のことを、パキスタンの武装勢力は「21世紀の新植民地主義国」と呼んで非難している。

 タリバンが米軍に勝利した今、アフガニスタンでも過激派組織にとって次なる標的は中国だ。タリバン政権が頼りにならないとなれば、中国自身が乗り込んでいくしかなくなる。

 自らの「縄張り」である中央アジアで中国がプレゼンスを高めることを黙認しているロシアは、「自国に代わって中国がテロリストと戦ってくれている」とほくそ笑んでいるようだ。11月1日付露プラウダは「ロシアは中国に死にゆく機会を提供した」と皮肉たっぷりの論説記事を掲載した。

 古代ギリシャのマケドニアを皮切りに、英国、旧ソ連、米国が侵略戦争に失敗したことから、アフガニスタンは「帝国の墓場」と呼ばれている。このことを熟知しているにもかかわらず、習近平率いる中華帝国が新たな墓標を建てることになるのは時間の問題なのかもしれない。

 ◇

 イスラム系のウイグル人に過酷な弾圧を加える中国に、イスラム諸国が介入してこなかったことは、中国の軍事力を恐れてのことだったことかも知れません。また宗主国とも言うべきトルコが、中国と親交を深めていることも背景にあるようです。

 しかし、今やアメリカ以上に中央アジアに介入しつつある中国に対して、イスラム原理主義グループがこの記事のように、標的化していくのは時間の問題と思います。中国にとっては、かつてのやっかいな「北狄西戎」を思い起こすことでしょう。

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