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2022年1月13日 (木)

人口減少が既に始まった中国。30年後には半減も、企業進出にはリスクあり

2_20220113103701  日本の少子高齢化が問題になり始めた時期と、バブル崩壊後の時期がほぼ同時だったと記憶しています。それは失われた30年の起点でもあるわけです。今後ともこの問題は、国内景気の減衰やそれが生み出す税収の落ち込みと共に、様々な問題を引き起こしていくことが予想されます。

 ただこの問題、豊かさを享受している先進国では、共通の課題となっています。そして日本同様、急激な少子高齢化の波に見舞われそうなのが、東アジアで隣国の韓国、中国です。特に中国は、豊かさを満喫する前に少子化が進む異例の国ですが、その背景には一人っ子政策という、政治が絡む問題があったからでしょう。

 その中国の状況を、ジャーナリストで高知大学客員教授の河合雅司氏が、現代ビジネスに寄稿した記事から見てみます。タイトルは『2050年、「中国の人口が半減する」という衝撃事実 合計特殊出生率「1.3」は本当か』(1/13)で、以下に引用します。

 ◇

日本で人口減少が叫ばれる一方、世界では14億人もの人口を抱える中国が大きく変貌し始めていることをご存知だろうか。2050年には人口が半減するとも言われているのだ。『世界100年カレンダー』著者の河合雅司氏が、中国の人口激減とその衝撃実態を描き出す――。

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中国マーケットは魅力的か

2020年の国勢調査は、日本の総人口を1億2614万6099人だとした。国勢調査における人口減少は2回連続である。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2040年までの20年間だけで1500万人以上も減る。その一方で出生数の減少スピードはコロナ禍の影響もあって加速しており、人口減少が下げ止まる気配は全くない。

このままではズルズルと国内マーケットは縮小していく。だからと言って、外国人をあてにするのも難しい。国勢調査によれば外国人人口は前回調査より43.6%増加し過去最高となったが、この5年間の増加数はわずか83万4607人にとどまる。とても日本人の減少幅を穴埋めできる数ではない。外国人観光客も、感染症の波が繰り返し起きている現状を考えると過度の期待は禁物だ。

まさに八方塞がりである。もはや多くの企業は国内マーケットの縮小を前提として経営戦略を立てざるを得ない。

高付加価値化による収益構造の転換が急がれるが、海外マーケットに活路を見出せる企業は軸足を移すのも選択肢となろう。

だが、「海外マーケット」と言っても広い。進出する国を間違えたならば、大きな痛手を受けるだけで終わる。

海外マーケットの取り込みには時間がかかるためだ。現状では魅力的に映っても、数十年後には先細りしていく国もある。こうした国は避けたほうが賢明である。

その代表格が中国だ。経済にかつての力強さが見られなくなったからでも、米中対立の狭間で苦しむことを危惧しているわけでもない。もっと構造的な問題が横たわっているからである。

人口激減の未来地図

2020年の中国の国勢調査によれば、同国の総人口は世界最多の約14億1178万人だったが、これから人口減少によって巨大な消費マーケットや豊富な労働力を短期間で失っていく予測されているのだ。

言うまでもなく中国は巨大な人口を武器として短期間で経済発展を遂げたが、現在ピークにあると言ってよい。経済的に結びつきの強い隣国ではあるが、深追いしすぎると命取りとなりかねないのである。

中国の総人口がどれぐらい減るのかを見ていこう。人口減少については中国政府も認めている。問題はそのペースだ。速ければ社会の負担は大きく、経済成長にブレーキをかける。

そこでポイントとなるのが合計特殊出生率となる。中国政府は2020年の国勢調査に合わせて「1.3」と公表した。これは国連の低位推計が前提としている値に近い。そこで、低位推計による2100年の総人口を確認してみると6億8405万人だ。80年かけてほぼ半減するということである。

ところが、「1.3」という数値については、中国国内の学者からも「実態より高い」といった異論が噴出している。中国国家統計局は2000年の合計特殊出生率を1.22、2015年については1.05としてきており、各国の研究者には「実際には1.0~1.2程度」との見立てが少なくないのだ。

「1.3」に否定的な見方が強いのは、中国政府が発表した他のデータが深刻なこともある。例えば、2020年の年間出生数は1200万人とされたが、2019年の1465万人と比べて18%もの大激減であった。

わずか1年で2割近くも減るというのは尋常ではないが、中国が毎年発表してきた年間出生数にも疑いの目が向けられてきた。それが国勢調査で一挙に表面化した形だ。国勢調査は0~14歳人口を2億5338万人としたが、該当する年の年間出生数を足し合わせても2億3900万人ほどにしかならず、1400万人もの食い違いが生じたのである。

各年の出生数は政府が発表してきた数値よりも少ない可能性が大きく、中国の人口はすでに減少に転じていると分析する学者が少なくない。北京大経済学院の蘇剣教授も、2019年に北京で開催されたマクロ経済に関する会議において、「2018年に減少に転じた可能性がある」との分析結果を公表している。

衝撃的な研究レポートの中身

さらに「1.3」を疑わせることになったのが、中国国家統計局の年報だ。2020年の出生率(人口1000人当たりの出生率)を8.52人と発表したのである。これは比較可能な1978年以降で最低であり、10人を下回ったのは初めてであった。

そもそも人口統計に限らず中国の統計データはかねて信憑性を疑われてきた。これらのデータを総合的に判断するなら、多くの研究者が指摘する1.0~1.2台と考えるのが自然だろう。

合計特殊出生率が1.0~1.2台ならば、母親世代と娘世代と比較して出生数がほぼ半減していくこととなり、総人口はとてつもなく速いスピードで減っていくこととなる。

これを裏付けるような衝撃的な研究レポートがこのほど西安交通大学の研究チームによって発表された。合計特殊出生率が1.0の場合、2050年には中国の総人口は7億人台になるというのだ。中国政府の“言い値”の通り「1.3」が持続したとしても2066年には7億人台になるとしている。

あと30年を待つことなく総人口が半減する事態となったならば、社会の各制度を改革している暇がなくなる。半減に至るまでもなく年金をはじめ人々の暮らしにひずみが生じ、社会の混乱が避けられないだろう。

『大国空巣』(=空っぽの巣の大国という意味)の著者でもある米国のウィスコンシン大学の易富賢研究員は、2020年に発表した論文で中国の総人口を12億6000万人と推計している。さらに、2100年の総人口は4億人を割り込み、3億人台にまで落ち込む可能性があるとの予測も示している。ここまで減ったならば、中国社会は現在とは全く異なる姿となる(中国の人口データの詳細については、拙著『世界100年カレンダー』を参照いただきたい)。

3人に1人が高齢者に…

中国が激しい人口減少を招くことになった要因は「一人っ子政策」である。中国政府は、自らまいた種に苦しんでいるのだ。

危機感を募らせた中国政府は1組の夫婦が子どもを3人までもうけることを認める政策の大転換を図ったが、その効果は疑問視されている。かつて条件付きで2人目の子どもを認める緩和策を講じた際も、思うような出生数の回復につながらなかったからだ。多くの人は、国の政策で制限を受けているから子どもを1人で諦めているわけでなく、個々の夫婦が意思として1人しかもたないようにしているのである。

人口が減ることだけが課題ではない。むしろ、中国は人口減少の過程で起きる高齢化の進行に苦しむこととなるだろう。

国家衛生健康委員会によれば、2020年11月1日時点における65歳以上は日本の総人口を上回る1億9064万人を数えた。高齢化率は13.5%だ。すでに圧倒されそうな人数だが、中国の高齢化スピードは速く高齢化の本番はこれからだ。2060年には高齢者数のピークを迎え、この時点の高齢化率は33.8%に達する。3人に1人が高齢者という社会である。

高齢化の進行に伴って勤労世代(20~64歳)は減っていく。国連の低位推計によれば、2020年の9億2978万9000人から、2100年には3分の1の3億752万7000人になるという。今後40年間は、日本と同じく勤労世代が減りながら高齢者だけが増えるいびつな社会になるということである。

これを65歳以上の高齢者に対する25~64歳の人口比率でとらえ直すと、2050年には1.9となり、早くも2人の勤労世代で1人の高齢者を支えなければならなくなる。合計特殊出生率が「1.3」よりも低ければ、もっと早い段階でこうした社会が到来する。

すでにいくつもの省の年金積立金の枯渇危機が伝わってきているが、勤労世代の負担は年を経るごとに大きくなる。それは、やがて若者の不満の高まりや労働意欲の減退という形で表れることだろう。

年金生活になれば、若い頃のようには消費できなくなる。必要とするモノやサービスも年齢とともに変わる。すなわち、実際の人口が減少する以上にマーケットは縮むということだ。中国政府は人口減少に伴う経済面のマイナス要素を技術革新によってカバーすると考えているようだが、社会としての“若さ”を失うにつれてイノベーションを起こす力も弱っていく。

中国には、十分に豊かになる前に衰退がはじまることを指す「未富先老」という言葉があるが、これらの人口データを見る限りそうした未来は避けられそうにない。いくつかのシンクタンクは、中国のGDPが米国を追い抜くといった予測をしているが、夢物語に終わるかもしれない。実現したとしてもつかの間のことだろう。

中国は今、大きく変貌し始めているのである。幻想にいつまでも追いすがり、闇雲に突っ込んでいったならば、日本企業は国内マーケットの縮小と中国マーケットの変質という2つの課題を同時に抱え込むことになりかねない。日本の人口が増えていた時代ならまだしも、国内マーケットが崩れていく過程においてはあまりに重荷だ。これまで多くの企業が成功した国だからといって、今後もうまくいくとは限らないのである。

どこの国のマーケットに将来性があるのかを知るのに、既存のイメージに頼り、中途半端な情報に振り回されるのではあまりに危うい。初めて本格的な海外進出を目指す企業はなおのことだ。現地のデータを可能な限り収集し、慎重に分析する必要がある。

 ◇

 中国の人口減少による問題は、先行する日本と同様な問題に加え、高齢者福祉や年金と言った部分には、日本以上に大きな問題が残るようです。更には共産主義一党独裁による弊害も付きまとうでしょう。よその国のことを、とやかく言えるような日本の状況ではないにしても、河合氏の指摘のように、中国のマーケットを将来的にも当てにするのは、極めてリスクが大きいことは念頭に置くべきでしょう。

 加えて日本は豊かさを経て少子化に移行した分、企業も個人も資産の蓄えはある程度あります(2020年で2千数百兆円)。それを有効に活用して何とか経済を活性化し、少子化のスピードを少しでも緩める努力は是非必要でしょう。岸田政権の言う「成長と分配」の分配の原資は、成長がなければ達成できないので、そのためにうまくこれらの資産を活用していけるかが、問われるところだと思います。


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