中国五輪:アスリートの「私生活」を丸裸にする「ヤバすぎる現実」
日本人の活躍が続く北京五輪。昨日は男子スピードスケート500で、森重航選手が3大会ぶりのメダル(銅)を獲得しました。しかし森重選手のスタート時には、どう動いたのかも分からないフライイングの判定。新浜立也選手が登場した最終組の滑走時も、同組滑走のデュブルイユ選手が不明のフライイング。
結果的には、中国の高亭宇選手が金メダルを獲得したレースでしたが、最終2組が立て続けに意味不明のフライイング判定。これでは、既に滑走済みの中国選手に、金メダルを確定させるために仕組んだのではないかとの疑惑も、当然浮上するでしょう。ネットではそうした声が多く出ているようです。
前回のブログでも取り上げましたが、こうした数多くの疑惑の判定が続く北京五輪、疑惑判定以外にも、選手にとって大きな問題をはらんでいるようです。週刊現代が取り上げた記事から見てみます。タイトルは『中国「監視社会」の闇…五輪アスリートの「私生活」が丸裸にする「ヤバすぎる現実」』(2/09)で、以下に引用して掲載します。
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2月4日に開幕した北京オリンピック。アスリート達が活躍する一方で、選手や関係者に使用を義務付けた「My2022」が、実はスパイウェアであることを前編記事『北京オリンピック開会のウラで…メディアが報じない「中国・監視社会」のヤバすぎる現実』でお伝えした。
中国のこうした技術は、すべて新疆ウイグル自治区で実験され、実用化されたとジャーナリストのジェフリー・ケイン氏は述べる。現政府に対してネガティブな思想を一掃する中国の、監視社会の現実を引き続きお伝えする。
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デジタルの牢獄
こうした一部過激派を弾圧するため、中国政府は新疆ウイグル自治区に住む全住民を監視下に置くことを目的に、ITを駆使して「完璧な警察国家」を作り上げたのだ。
「ウイグルの人たちはスマホに『浄網衛士』というアプリをインストールすることを義務付けられているとされます。
これはスマホにある写真やメッセージ、通話履歴などをすべてスキャンして、不都合な内容があれば、当局に通報するシステムと言われています。当局にとって都合の悪い言葉を検閲する機能も搭載されているようです。
これらは今大会でインストールが義務付けられた『My2022』と似ている部分があると感じました」(科学ジャーナリストの倉澤治雄氏)
ウイグルでは通信情報のほか、町のいたるところに設置された監視カメラの画像が個人情報と紐付けられ、AIを用いて、将来の犯罪発生を予測することまで現実に行われるという。
犯罪予防局が、殺人を犯すと予想された人物を事前に逮捕する社会を描いた映画『マイノリティ・リポート』の世界だ。
「ウイグルでは、当局が収集したデータに基づいて、その人がどういう犯罪を行う可能性があるのかを予測します。DNAやバイオメトリクス(生体情報)、成育歴、普段の行動、思想傾向、資産状況などからその人のノーマルな状況を割り出し、そのパターンから逸脱すると、収容所に送り込むかどうかをAIが判断するのです。
たとえば、爆発物の原料としても使用できる化学肥料を普段は5kg買う人が、突如として15kg買ったとしたら、警察が自宅を訪ねてくることもあったといいます」(ジャーナリストのジェフリー・ケイン氏)
強制収容所では、「再教育」という名目で、劣悪な環境に閉じ込められ、中国共産党と習近平国家主席を礼賛するよう「洗脳」されるという指摘もなされている。
元中国籍の芥川賞作家、楊逸氏はこう嘆く。
「欧米が北京五輪を外交ボイコットするのも当然でしょう。そもそも、ウイグルなどで人権問題があり、しかもそれが国際的にある程度周知されている国でオリンピックを行うこと自体が理解できません」
中国政府はウイグルで実現した「デジタル化された牢獄」を、今や全土に広げようとしている。
倉澤氏が言う。
「中国ではコロナ対策として『健康コード』というスマホアプリが導入されました。これは利用者の感染リスクを3段階に分けて表示するものですが、このアプリがなくては公共交通機関も使えず、買い物もできません。
しかも、これまで使われていたカード式身分証明書をアプリ化した『CTID(CyberTechnologyID)』とも連携しており、ワクチンパスポートの機能も果たしているため、これがなくては生活ができません」
CTIDは顔認証システムとも連動しているとされ、当局がその気になれば、街角の監視カメラに映った顔と身分証明書を照合し、その人物がどこにいるかを瞬時に特定できるという。
「また、中国では'20年7月から中国版のGPS『北斗』を稼働させました。中国国内で生産されたスマホだけでなく、アップル社製のiPhoneにも搭載されています。つまり、中国国内のほぼすべてのスマホの位置情報を割り出せるのです。
加えて監視カメラの情報と照合したら、スマホの持ち主がどこにいるのか、正確にわかってしまうでしょう」(倉澤氏)
監視カメラに顔が映らないようにしたり、背を向けたりしても意味がない。倉澤氏が続ける。
「歩き方や姿勢、荷物を持つ時の癖などから個人を認証する『歩容認証』という技術もあります。その他にも、血液や毛髪のDNA検査も行い、情報を蓄積しています。
もちろん、技術自体は日本や米国でも研究・開発されているものです。要は使い方の問題です。中国政府が国民の監視に使うとしたら、明らかにやりすぎでしょう。
中国では選挙を経ずに、共産党の一党独裁体制が続いています。このため、体制を脅かしかねない人々の動きに過度に敏感になっており、自国民の監視をせざるを得ない状況なのかもしれません」
監視カメラやAIで要注意人物がピックアップされると、IT技術者がさらに調べを重ねる。中国アジアITライターの山谷剛史氏が話す。
「自動的に要注意人物を抽出した後は、人力でその人のSNSなどを洗い出し、場合によってはハッキングすることで、その人物をマークするべきか否かを判断します。
こういったマンパワーを要する作業に従事するのは、『インターネットコンテンツ審査員』と呼ばれる、中国各地の若者たちです。地方のネット企業検閲部署によって公募され、技術的に鍛えられた彼らは、近年、存在感を増しています」
「丸裸」にされる選手たち
仮に彼らの精鋭が日本人アスリートを標的にしたら、北京での行動はすべて丸裸にされるだろう。
今回も選手村では、恒例となっているコンドームの配布が行われる。ただし、ホテルや選手村の内部はすべて監視カメラで録画され、音声情報も抜き取られている可能性がある。
最悪の場合、誰と誰がどこで性行為を行ったかなど、プライバシーの最上位にあたる情報までが、中国当局に筒抜けになるおそれがある。
スマホを使って、自国の家族や恋人と交わした個人的な会話にもすべて、中国当局のIT技術者たちが聞き耳を立てていることも考えられる。
中国は北京五輪に、国家の威信を懸けているのだ。そのためには、あらゆる行為が正当化される。スポーツマンシップを信じたいところだが、中国当局は少なくともスポーツマンではない。
それでもアスリートたちは必死に戦い、結果を残してくれるだろう。その代償として、選手が残す膨大な「個人情報」がどう使われるかは、中国当局次第なのである。
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日本の当局が五輪終了後に、選手のスマホのデータを消去するように勧告したようですが、選手村や五輪会場の中でデータをハッキングされていたら、意味がないでしょう。
中国は西側諸国から、様々な製品の製造技術を教わったり盗んだりして、一大製造大国となりました。そしてその製造で稼いだ金を、軍備やITに集中的に投資し、今や世界に冠たる軍事並びに監視国家となり、共産党の継続のために全国民を管理しています。
そして、さらにあらゆる機会を利用し、外国の個人情報も得ようとしているようです。五輪はその格好の場となっているのでしょう。疑惑判定もさることながら、この選手監視の方もあり得ないことで、まさに五輪を開催する国としては完全欠格だったと言えるでしょう。
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