プーチン大統領のウクライナへの暴挙、ソ連共産党時代の「犯罪」の影が
ロシアのプーチン大統領は、欧米各国が懸念を表明する中、ウクライナ東部の2州の独立承認と派兵という強硬手段に打って出ました。これに対しアメリカを始めイギリスやドイツ、EUが金融、経済制裁などの対抗処置を打ち出しています。
なぜプーチン大統領は、敢えてこうした強硬な手段に訴えたのでしょうか。その背景は旧ソ連時代にあると、評論家の江崎道朗氏はzakzakに寄稿したコラムで述べています。タイトルは『旧ソ連時代の共産党による「犯罪」を正当化するプーチン氏 ロシアが再び中・東欧諸国を脅かし始めた今、日本も対峙すべき』(2/23)で、以下に引用して掲載します
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ウクライナ危機に際して、「ロシアの立場も理解すべきだ」と語る政治家や識者がいる。
確かに、ロシアの言い分を正確に理解すべきだ。だが、ロシア側の言い分を正当化すべきではない。それは、旧ソ連、共産党一党独裁時代の人権弾圧、全体主義による「犯罪」を擁護することになるからだ。
第二次世界大戦後、ポーランド、チェコ、ハンガリーなどの中・東欧諸国はソ連の影響下に組みこまれ、バルト三国は併合された。これらの国々は50年近く共産党と秘密警察による人権弾圧と貧困に苦しめられてきた。
意外かもしれないが、そうした中・東欧の「悲劇」が広く知られるようになったのは、1991年にソ連邦が解体した後のことだ。日本でも戦後長らく、ソ連を始めとする共産主義体制は「労働者の楽園」であり、ソ連による人権弾圧の実態は隠蔽されてきた。
ソ連解体後、ソ連の影響下から脱し、自由を取り戻した中・東欧諸国は、ソ連時代の人権弾圧の記録をコツコツと集めるだけでなく、戦争博物館などを建設して、積極的にその記録を公開するようになった。
そこで、私は2017年から19年にかけて、バルト三国やチェコ、ハンガリー、オーストリア、ポーランドを訪れて、各国の戦争博物館を取材した。それらの博物館には、ソ連と各国の共産党によって、いかに占領・支配されたか、秘密警察によってどれほどの人が拷問され、殺されたのか、詳細に展示している。
旧ソ連時代の共産党一党独裁の全体主義がいかに危険であり、「自由と独立」を守るため全体主義の脅威に立ち向かわなければならない。中・東欧諸国は、このことを自国民に懸命に伝えようとしているわけだ。
それは、ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアの指導者たちが再び、中・東欧諸国を脅かすようになってきているからだ。プーチン氏らは、旧ソ連時代の「犯罪」を「正当化」し、ウクライナを含む旧ソ連邦諸国を、再び自らの影響下に置こうとしている。
この動きに反発した欧州議会は、例えば19年9月19日、「欧州の未来に向けた欧州の記憶の重要性に関する決議」を採択している。この決議では、いまなお「ロシアの政治的エリートたちが、歴史的事実をゆがめて共産主義者の犯罪を糊塗し、ソ連の全体主義的体制を称賛し続け」ていることを非難し、「ロシアが悲劇的な過去を受け入れるよう求め」ている。
日本固有の領土である北方領土を「不法占拠」され、シベリア抑留に代表される「人権侵害」を受けてきた日本もまた欧州議会と連携し、ソ連・共産党時代の「犯罪」を正当化するプーチンらと対峙(たいじ)すべきなのだ。
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ソ連共産党時代の独裁政治下での、反共勢力に向けての弾圧は、中国のウイグル民族に向けての弾圧を凌ぐ、凄まじいものだった様です。もちろん大東亜戦争後シベリアに抑留された日本兵への弾圧も、目を覆うばかりのものだったと言われています。
そんな過去の亡霊のようなソ連共産党の影を追うがごとき、プーチン政権の向かう先は、かつてのソ連支配地域への勢力奪回なのでしょう。折しも中国習近平政権の、「中国の夢」という過去の最大勢力圏の完全制圧と、符合しているように思えます。中国はそのためにチベット、モンゴル、ウイグルを完全制圧下に置き、更には台湾にも触手を伸ばそうとしています。
あるテレビのコメンテーターが、こうした動きは19世紀から20世紀初頭の、完全な過去の動きのようだと指摘していましたが、北朝鮮も含め、中朝露の現在の指導者は1世紀も2世紀も前の亡霊のようなものかも知れません。
日本は今のような腰砕けの外交から脱却しなければ、近隣のこれら3国の膨大なリスクに立ち向かうことはかなり難しいでしょう。そのためには早急に憲法を改正し、自衛隊の足枷を外し抑止力を十分に備えることが、喫緊の課題だと強く思います。未来の日本のために。
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