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2022年7月28日 (木)

核もタブー視しなかった安部元首相の安全保障感覚

Cf34ef140aefed7320889e6051a1ebce_1  5ヶ月間お休みしていました。また再開して週1,2回のペースで投稿しようと思います。以前と同様ご一読いただければ幸いです。

 安部元首相が凶弾に倒れて、20日が経ちました。その間、巷ではその功績を讃え、追悼の声が鳴り止まぬと同時に、警備の杜撰さが指摘される一方、左側の反安部だった連中が、国葬や旧統一教会を引き合いに出し、あることないこと騒ぎ立てています。いつものパターンですが、それは無視して、安倍氏の日本の安全保障に対する一つの象徴となる行動が、国際政治学者の島田洋一氏が月刊WILL誌に寄稿していますので、以下に引用して紹介します。タイトルは『独自核に「いいね」安部元首相』です。

 「手製の銃で安倍元首相を襲おうとした男が取り押さえられた」

 警備がしっかりしていれば、本来これで終わる話だった。

 最も大事な政治家が、かくも易々と暗殺されるようでは、この国は持たない。

 レーガン米大統領暗殺未遂(一九八一年)では、身を挺したシークレットサービス一人が銃弾を受け、報道官、警察冨も被弾した。

 三秒後にはレーガンを乗せた車両が現場を離れ、四分後には病院に入っている。

 銃弾一発がレーガンの心臓まで約ニセンチの肺に達して吐血、血圧が六十まで低下して呼吸困難に陥っていた。手当てがもう少し遅れれば危なかった。

 銃を持つ犯人を事前に排除できなかった点、日本同様、警備の大失態だが、最初の発砲後の対処は迅速だった。

 あの時(大統領就任からわずか二ヵ月)レーガンが世を去っていれば、副大統領のブッシュ父が跡を継いでいた。

 「勝利によって冷戦を終わらせる」を口癖とし、ソ連崩壊を目指して次々に圧力強化手段を打ち出した保守ハードランナーのレーガンと異なり、ブッシュは平和共存・安定重視主義者だった。

 アメリカが一九八〇年代を通じてブッシュ父政権だったとすれば、ソ連崩壊は相当先に延びたかも知れない。ひょっとすると、いまだに、独裁者プーチンの肩書はソ連共産党書記長だったかもしれない。

 凶弾に倒れる直前に安倍氏が発した最後の言葉は、「彼はできない理由を考えるのではなく……」だった。「まずできない理由を考える」勢力の蔓延をいさめた大政治家の遺言だったと私は考えている。

 それには根拠がある。

 今年三月、私は英国型の独自核抑止力を日本も持つべきだと説く一文を産経新聞「正論」欄に寄せた。英国は、発見されにくい原潜四隻にそれぞれ十六機の多弾頭核ミサイルを積み、常時一隻は必ず外洋パトロールに出る反撃体制を採っている。その文をフェイスブックにも転載したところ、安倍氏がまもなく「いいね」を付けてくれた。

 日本で独自核武装と言うと、左翼・進歩派は言わずもがな、保守派の政治家でも大抵は、「無理です」「核兵器不拡散条約に入っていますから」で終わってしまう。

 しかし安倍氏は違った。

 現下の政治情勢では難しいとしつつ、潜水艦を用いた核抑止力についても、さまざまに思考を巡らせていた。

 時に戦闘的言辞を厭わず、野党やメディアに目の敵にされ、理不尽に叩かれ続けた安倍氏だが、それらの言動もいわば氷山の一角に過ぎなかった。

 地道な勉強に裏付けられた、さらに大きな塊りが深部にあった。

 その全体として「安倍晋三の遺志」を受け継げる政治家が一体どれだけいるだろうか。

 「唯一の被爆国が核抑止力を持つなど許されない」との洗脳が、日本ではいまだ行き渡っている(論理的には無論逆で、むしろ三回目の被爆を避けるため堂々と核抑止力を持ち得る)。

 核分裂エネルギーを制御して用いる原子力発電は、現代文明の粋と言うべき技術だが、ことさら原爆と同一視し「核アレルギー」を煽り立てる無責任な議論も絶えない。先月号(八月号)で取り上げた小泉純一郎元首相の「原発は国民に向けた核兵器」論など典型である。

 彼ら「平和主義者」や反原発活動家の恫喝的言動は、まさにテ囗国家の核恫喝と連動して、原爆には被害国を長期にわたって無力化する効果があると国際キャンペーンを張っているに等しい。

 安倍氏は、自民党の「最新型原子力リプレース(建て替え)推進議連」の顧問を務めるなど、原発の新増設や高効率石炭火力発電所の新設にも積極姿勢を見せていた。

 参院選後には、活動のギアを数段上げていたはずである。

 七月初めに福井県美浜町を訪れた萩生田光一経産相は、電力需給が逼迫する中、運転再開を前倒しした美浜原発三号機について「天からの助け。再稼働に同意頂いた地元の皆さんにお礼申しあげる」とした上、「(現状は、旧式火力を動かすなど)引退選手にまでユニフォームを着せ、十一人ちょうどで戦っているサッカーのようだ。一人倒れたら終わってしまう」と述べている。萩生田氏には安倍氏の「遺志を継ぐ」先頭に立ってもらわねばならない。

 ロシアのウクライナ侵攻で政府内ににわかに湧き上がった防衛費の増額論。5年以内にGDP比2%超との意見が出る中、岸田政権が何処まで本気に取り組むか。「非核三原則堅持」や「核共有は否定する」などの発言が暗雲を誘い、今ひとつ信用できません。

 島田氏の寄稿文中「唯一の被爆国が核抑止力を持つなど許されない」との洗脳が、日本ではいまだ行き渡っている(論理的には無論逆で、むしろ三回目の被爆を避けるため堂々と核抑止力を持ち得る)との部分、特に括弧内の見解に強く賛同したいと思います。

 萩生田氏の話題についても、彼が本当に安倍氏の意志を完全に継いでくれるか、疑問は残ります。ただ誰かが、あるいは複数の誰かが安部元首相の意志を継ぐと共に、その力量を発揮してもらわなければ、日本の安全保障は危ういと言えるでしょう。保守派の奮起を今一度促したい。

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