高橋洋一氏:統一教会バッシングと国葬反対論が、なぜつながってしまうのか? その謎を解く
安部元首相の襲撃事件の山上容疑者の取り調べで、にわかに持ち上がった旧統一教会と政治家の関係性問題。かつて、ことあるごとに安部元首相の周辺を取り上げ、批判を繰返してきたメディアが、またぞろ大騒ぎを始めています。
岸田首相が英断を下した安倍氏の国葬にも、同様な批判が同様のメディアから同時に起こっています。旧統一教会と国葬問題、実際には背景は異なりますが、何故かそこに大きなつながりが見えるようです。
その詳細を元内閣三時間で経済学者の高橋洋一氏が現代ビジネスに寄稿しています。タイトルは『統一教会バッシングと国葬反対論が、なぜつながってしまうのか? その謎を解く』、で、以下に引用して掲載します。
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高齢者ほどテレビや新聞を読んでいる事実
最近、安倍元総理の国葬への反対と、マスコミによる旧統一教会バッシングが目立っている。筆者の見るところ、両者には何らかの関係があるように見えるが、それを今回は考えたい。
まず、国葬への賛否、旧統一教会への対応について、世論調査を見てみよう。FNNによる8月20・21日の両日の世論調査(全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1,178人から回答)を使おう。この調査では、年齢別の回答があるので、それを見てみよう。
国葬については、賛成が40.8%、反対が51.1%。年代別に見ると、18歳~20代:賛成60.0% 反対31.4%、30代:賛成62.0% 反対28.0%、40代:賛成38.9% 反対52.6%、50代:賛成34.9% 反対57.6%、60代:賛成34.4% 反対58.1%、70歳以上:賛成28.4% 反対64.2%。
旧統一協会への対応について、政府の対応を評価するは38.6%、評価しないは54.1%。年代別にみると、18歳~20代:評価する57.9% 評価しない31.5%、30代:評価する53.4% 評価しない34.0%、40代:評価する44.2% 評価しない52.9%、50代:評価する37.3% 評価しない59.1%、60代:評価する25.6% 評価しない68.5%、70歳以上:評価する25.1% 評価しない66.2%。
この二つの調査は数字を入れ替えてもわからないくらいに酷似している。「国葬」「旧統一教会」ともに、年齢の高い世代ほど反対、あるいは評価しないと考える傾向がはっきり出ている。
そこで、なぜ高齢者ほどそう思うのか。一つ考えられるのは、高齢者ほどテレビ視聴時間、新聞閲覧時間が長いことが影響していることではないか。
年齢別の国葬賛成率とテレビ視聴時間・新聞閲覧時間の相関係数は▲0.82、
旧統一教会への対応の評価率とテレビ視聴時間・新聞閲覧時間の相関係数は▲0.98だ。
(*上記グラフの傾向と同じ。グラフは省略します)
もちろん相関関係は因果関係とは違うものの、テレビ・新聞を見ていれば、旧統一教会への対応が手ぬるいと思うようになる。次に、旧統一教会と自民党は関係があるのは悪いという発想になり、安倍元総理もその自民党の一員なので、国葬なんてとんでもないから反対──そういう連想が働くとすれば、世論調査の結果の一つの説明ストーリーになる。
以上の「説明」は、テレビ・新聞報道を通して、旧統一教会バッシングと国葬反対がつながっているらしいことの推測だ。両者は話の構造でも似ているところがある。
反対する自由もあるけれど
国葬の反対論の根拠として、国葬は弔意を押しつけているという意見がある。
このロジックは普通の人にはわかりにくい。筆者を含めて、内面の自由を当然のように考える人からみれば、ありえないとなる。弔いたい人が参加すればいいわけで、そういう気持ちの人を邪魔することはないと思う。
国葬で莫大な経費がかかるのであれば、反対する気持ちはわからなくはないが、追加費用は2.5億円。警備費は計上されていないとか言って、37億円かかるなどと言っている人もいるが、警備費は通常予算の枠内で追加的な支出ではない。警備は全国から集めるからだ。
もちろん、反対する自由はあるが、一定の司法手続きにしたがって判断すればいい。2.5億円の追加支出で、G7・G20級の国際会議をできると考えれば、会議費支出としても行政府の判断でいいとなるはずだ。国葬は国によって扱いが異なるが、世界からの弔意を受け取るのはふさわしい形式だし、国際的な非難を浴びることもなく、国益にもかなうだろう。
国葬反対論者の「弔意押しつけ」という意見で、弔意を表せないように押しつけているようにみえるのは、なんとも皮肉だ。しかも、国際的な弔問外交を否定しているようにもみえるのは、国益にそぐわない。
国策反対論者の内面はうかがい知れないが、あまり他人の内面の自由を尊重しているように思えない。
旧統一教会との「接触」は問題ではない
旧統一教会バッシングについて言えば、マスコミの対応はあまりに酷すぎる。宗教と政治の関係は配慮すべきであるのは言うまでもないが、宗教側がどの政党を選ぼうと自由だし、政党から見ても特定宗教の支持があってもいい。ただし、政府は特定宗教に肩入れしてはいけない。ここがレッドラインだ。
そう言うと、「旧統一協会の霊感商法を許すのか」と言う人がいる。だがそうした「行為」については、どのような宗教であっても、公序良俗に反したり、詐欺であれば違法行為として取り締まられる。幸いにして、安倍政権で消費者契約法を改正したので、霊感商法は消費者契約として取り消しできるようになっている。いずれにしても、「行為」にして法規制すべき種類のものであり、宗教法人の「主体」を否定したら、それこそ魔女狩りになってしまう。
野党もマスコミも、旧統一教会との”接触”を問題にしているのはやり過ぎだ。野党では、早速ブーメランとなって、立憲民主党は新執行部になった途端、接触のあった人が続出してしまった。
もし旧統一教会との接触が悪いのであれば、信者はもっと悪いことになる。国会議員は700余名で、その配偶者を含めれば1400名程度だ。その中に旧統一教会の信者がいれば、本当の魔女狩りになってしまう。
マスコミも同じだ。今回、旧統一教会から、【異常な過熱報道に対する注意喚起(2)】が出された。日本テレビ「24時間テレビ」で旧統一教会の女性信徒が7年間ボランティアスタッフの中心的として活躍していたとしている。
これに対し、日本テレビから、「弊社の番組に関わるプレスリリースについて」が出されたが、その中で、「一般的に、参加される方の個人的な思想・信条について確認することはいたしません。」と言わざるを得なかった。
これまでマスコミは、旧統一教会と接触のあった国会議員を批判しており、あたかも事前にチェックしなかったことが悪かったかのように報じていた。日本テレビの回答のとおり、事前に相手に宗教を聞くことは内面の自由に反することなのでできない。しかし、報道では内面の自由に反することでもやるべきだと示唆していた。要するに、旧統一教会報道では、他人の内面の自由を配慮していなかったわけだ。
いずれにしても、筆者から見ると邪推かもしれないが、他人に対する内面の自由への配慮が足りないという点で、国葬反対論と旧統一教会バッシングは似ているのだ。
国葬反対論と旧統一教会バッシングは、似たような構造の中でマスコミが橋渡しして、両者が連動した動きになっているのだろう。
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高橋洋一氏が指摘しているように、この両者の問題を「悪」と位置づけて報道している、テレビや新聞を視聴や購読している人ほど、「反対」意見が多いと言うことから、まさにマスコミが作り上げたシナリオだと言うことができるでしょう。
このように世論形成にマスコミが果たす効果は極めて多く、これまでも様々な形で、政権批判や政権与党の法案に反対の世論形成を画策してきた歴史があります。逆にインターネットを主に利用する層や、こうしたメディアを信用できないといった理由で利用しない層は、その論調に惑わされず、理性的な反応を示しているのも見て取れます。
今後高齢者を中心に、こうしたメディアを多く利用している層は、徐々に減っていくものと思われます。日本も正常な国になっていくことを期待していますが、新聞では産経新聞や、読売新聞など正常な論調の新聞もある反面、テレビは皆同じ方向を向いているように思われます。こちらはかねてから言われているように、改革の手を早い段階で入れる必要がありそうです。明日の日本のためにも。
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