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2022年8月25日 (木)

石平氏が「地獄の入り口に立つ」と表現する、中国の経済停滞の実態

Images_20220825111801  習近平国家主席の3期目が秒読み段階に入っているようですが、足下では恒大集団の経営危機に象徴されるように、不動産バブル崩壊が現実化し、中国の奇跡の成長の終焉を示す、経済的停滞が始まっているという見方が強くなっています。

 その詳細を、中国に詳しい評論家の石平氏が、現代ビジネスに寄稿した記事から読み解きます。タイトルは『中国よこれで「共産主義国」か!不動産経済崩壊で大失業時代到来とは 地獄の入り口に立つ中国経済・その1』で以下に引用します。

地滑り的沈没

7月中旬から8月中旬にかけて、中国国内の各業界や企業、あるいは政府当局が一連の経済関連数字を公表したが、それらを一目で見れば、中国経済全体は今、地滑り的な沈没が起きている最中であることが分かる。

例えば7月11日、中国汽車(自動車)工業協会が発表したところによれば、今年上半期、中国全国自動車販売台数は1205.7万台、前年同期比では6.6%減となった。

「6.6%減」は数字上では大きなマイナスではないが、裾の広い自動車産業が経済全体に占めるウエートの大きさからすれば、自動車市場の衰退は中国経済にとっての大打撃であることに変わりはない。

7月21日、国内各経済紙が報道したところによると、今年上半期、中国3大航空会社の中国国際航空・東方航空・南方航空は合わせて470億元(約9150億円)の赤字を計上したという。ゼロコロナ政策による人的流動の制限もあって、中国の航空業界は今、未曾有の大不況に見舞われているのである。

IT大手、利益半減

8月10日、中国を代表するIT大手のアリババグループは今年第2四半期の営業成績を発表した。グループ全体の純利益は前年同期比で53%減となったことがこれで判明された。

同じ日に、国内各経済紙が一斉に、アリババに関するもう1つの重大ニュースを伝えた。今年上半期、グループ全体は何と、1万3616人の従業員を解雇したという。言ってみれば利益半減の中で大リストラを断行したわけであるが、アリババが大苦境に陥っていることはこれでよく分かる。

8月12日、今度は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が上半期決算を発表した。売上高は前年同期比で5.9%減となった一方、純利益は前年同期比ではなんと52%減となった。そして8月17日、アリババと並ぶIT大手テンセントも第2四半期の営業成績を発表したが、純利益は前年同期比で56%減となった。

このようにして、中国を代表する先端企業の超大手のアリババ、ファーウェイ、テンセントが揃いに揃って「利益半減」の憂き目にあったのはまさに前代未聞の深刻事態、中国経済全体の沈没ぶりを表しているのである。

ファーウェイといえば主力製品の1つはスマートフォンであるが、中国のスマートフォン市場も今は縮小中である。8月17日、有力経済紙の毎日経済新聞が報じたところでは、国内調査機関発表によると、今年第2四半期、全国スマートフォン(知能手機)の販売台数は前年同期比で14.2%減となったという。しかもそれは、最盛期の2016年第4四半期の販売台数からの約半減である。

若年失業率20%超

個別の企業や業界の衰退ぶりはさることながら、経済全体の沈没を示すいくつかの重要数字も8月になって公表されている。

8月12日、中国人民銀行が発表したところでは、7月に全国で行われた人民元融資の総額は6790億元、それは前年同期比で約38%減となったという。人民元融資の大幅減は当然企業活動の衰退と投資意欲の低減を意味し、経済全体の沈没を示す格好の数字の1つである。

そして8月15日、中国国家統計局が発表したところによれば、7月においては、16〜24歳若年層の失業率は19.9%に上り、前月より0.6%上昇したという。政府当局が2019年8月にこの統計数字の公表を始めて以来の最高記録である。

もちろんこの「19.9%」という数字にも人為的操作の疑いがあろう。20%を超えないように、ギリギリの線で数字を操作しているかのように見えからである。16〜24歳若年層の実際の失業率はおそらく、20%以上になっているのではないかと思われる。

以上は、7月初旬から8月中旬にかけて中国国内で出回っている一連の経済関連数字を時間列で並べてみたところだが、中国を代表する大企業たちの利益半減にしても、自動車業界や通信機器業界が遭遇している深刻な販売不振にしても、そして金融市場の冷え込みや若年層の失業拡大にしても、諸々の数字が表しているところはすなわち、中国経済全体の深刻な落ち込みぶりである。

中国経済の屋台骨は今、音を立てて崩れている最中である。

「ゼロコロナ政策」が主な原因ではない

問題は、これほど深刻な経済沈没をもたらした要因は一体何だろうか、である。

習近平政権が強行している「ゼロコロナ政策」は当然、要因の1つであろう。今年4月と5月、中国屈指の経済大都会である上海がまる2ヵ月間ロックタウンされて生産・消費活動がほぼ完全に止まった。それが上海だけでなく中国経済全体に与えたダメージの大きさが簡単に想像できよう。

しかしだからと言って、ゼロコロナ政策は中国経済沈没の主因であるとは思えない。今年に入ってから、ロックダウンされたのは上海などの一部の都市であって大半の都市部がロックタウンを経験したことはない。そして上海ロックタウンが解除された6月初頭以後、ゼロコロナ政策は事実上緩和されることとなって重要都市のロックタウンは一度も実行されたことはない。

こうしてみると分かるように、中国経済沈没の主因、特に7月の若年層失業拡大で示されたような沈没の加速化の主因はやはりゼロコロナ政策ではない。

不動産市場と不動産開発業の崩壊

ならば、中国経済をダメにしている主因、つまりその「元凶」は一体何ものなのか。これについては、筆者の持論として1つ申し上げると、不動産市場の急速な冷え込み、それこそは、中国経済全体の沈没をもたらした最大の元凶なのである。

ここではまず、中国政府当局が8月に公表した一連の不動産関連数字を見てみよう。

8月15日、国家統計局はまず、今年に入ってからの不動産市場の大不況を示すいくつかの数字を発表した。今年1〜7月、全国住宅販売面積は前年同期比で27.1%減となって、売上高は前年同期比で31.4%減となった。そして個人による住宅ローンの借り入れ総額は前年同期比では25.2%減となったという。

その一方、今年1〜7月、全国で行われた不動産投資総額は7万9400億元で前年同期比6.4%減。そして住宅竣工面積は前年同期比22.7%減、住宅新着工面積は前年同期比で36.8%減となったわけである。

上述の6つの数字を合わせてみると、今年に入ってからの中国の不動産市場と不動産開発業の惨状は手に取るように分かるのであろう。

不動産市場が急速に冷え込み、住宅を中心に不動産が売れなくなった結果、不動産投資が減り、住宅の新着工面積が激減する。このような現状は、「不動産バブルの崩壊」というよりも、不動産市場と不動産開発業の崩壊の始まりであると言って良い。

不動産投資の上に成り立っている国

そしてこのことこそは、現在の中国経済沈没を作り出した最大の要因ではないかと筆者の私が見ているのである。

例えば2021年、中国全国で行われた不動産投資の総額は14.14兆元(約283兆円)であって、それが同じ21年の中国の国内総生産(GDP)の14%以上を占めている。一国のGDPの14%以上が不動産開発投資によって作り出されているとはまさに世界経済史上前代未聞の話であるが、不動産投資の波及効果を考慮に入れるとその割合はさらに大きい。

実際、「波及効果を計算に入れると不動産投資は中国のGDPの3割程度を作り出している」というのは、中国国内の経済学者たちが公の場でよく口にする台詞の1つであって、いわば常識の部類に入るものである。

だからこそ中国では、不動産開発業が経済を支える「支柱産業」だと普通に呼ばれているが、そうであれば不動産市場と不動産開発業の不況は中国経済全体に与える悪影響は極めて大きい。

前述のように、今年に入ってから不動産は以前のように売れなくなって不動産開発投資と新着工面積が大幅に減少することとなると、経済全体は大きく落ち込む以外にない。「支柱産業」が傾いたら経済全体が沈没していくのは当然のことであろう。

中国の長期停滞が始まった

さらに大きな問題は、中国における不動産市場と不動産開発業の衰退が、今後の長期的傾向となっていくことにある。長年において膨大な不動産投資が行われてきた結果、今の中国では住宅を中心に不動産が作り過ぎで完全に飽和状態となっている。

国内の一部経済学者が「中国全国で既に34億人の住む分の住宅が出来上がっている」と公言していることからしても、「深刻な住宅過剰」は疑う余地のない事実であることが分かる。

このような状況の中で住宅を中心に不動産がいずれか売れなくなるのはもはや時間の問題である。昨年の恒大危機で露呈した開発業者たちの債務問題が表面化して不動産そのものへの信用が落ちてくると、今年になってからはやはり、「不動産が売れなくなる」ことは目の前の事実となっている。

その一方、若年層の失業が拡大し経済全体が落ち込む中では不動産市場のさらなる衰退は避けられない。つまり、不動産市場の繁栄が不動産投資の拡大を生み出し、不動産投資の拡大が経済の成長を支える、という今までの成長モデルそのものがすでに崩壊してしまい、構造上の問題としての不動産市場の止まらない衰退に伴って、経済の落ち込みの継続化は避けられない。

そして不動産市場の衰退はさらに進むと、経済全体において景気はより一層悪化して失業がさらに拡大する、という悪循環が発生してくるから、中国経済は今後より一層の冷え込みに見舞われ、まさに「地獄」へと落ちていく方向に進んでいくのであろう。

 日本のバブル崩壊も、株式等の資産の暴騰の終焉もありますが、その大きな部分は不動産に起因しています。30年遅れで中国にもその波が襲ってきているのでしょう。人口のピークアウトも同時に発生しているのも同様です。

 これからおそらく中国にも、不況の嵐が吹き始める可能性は大きいと思われます。不動産関連で言えば、人口の3倍もの住宅が作られた中国の方がより深刻でしょう。独裁国家ですから、仮に地方の財政を補うため、さらなる住宅やインフラの投資を続けることができても、将来大きな付けとなって経済に跳ね返ってくることは間違いありません。

 輸出で稼いだ資金で国内に過剰な投資をしてきたのですから、この先国内産業の衰退で輸出が停滞していけば、中国の未来は暗澹たるものになるでしょう。今がその過渡期です。日本企業はそのことを念頭に、中国に依存しない体制を敷くようにしていく必要があります。

 ホンダが部品の中国依存から脱する決断をしたのは、その先駆けとして大いに賞賛すべきでしょう。「ホンダに続け」、それが日本企業の合い言葉になるよう期待したいですね。

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