細野豪志氏:「メガソーラーには絶望しかない」「残された道は原発再稼働一択」
先日西村経済産業大臣が、原発再稼働推進の発言をしました。6月下旬の電力危機の際、特に関東、東北地区は余力すれすれで、肝を冷やした経験をお持ちだろうと思います。この冬はもっと深刻な状態も予測されるようです。
福島原発の事故以来、原発に対する過剰とも思える安全基準のハードルをあげ続けた原子力規制委員会。安全に越したことはありませんが、テロや戦争など言い出したらきりがありません。そして稼働停止に伴う電力不足分の化石燃料の輸入額は、毎年数兆円にかさみ、国費の無駄遣いをし続けている状況です。
一方太陽光発電に関しては、導入時クリーンと再生エネルギーの美名の元に、各地にメガソーラーが設置されましたが、自然破壊や異常に高い買い取り価格設定のため、今では課題が山積するようになっています。天候に作用され、夜間は発電できないなどの問題もあります。
ですから、何とかして休止している原発を再稼働していかなければ、電力危機は相変わらず続き、電力料金はますます上がって産業の競争力は減退し、更に化石燃料の輸入の増加で国力は衰退してしまいます。そこで今回はイトモス研究所所長の小倉健一氏が現代ビジネスに寄稿した記事を引用して紹介します。タイトルは『「メガソーラーには絶望しかない」と元環境大臣が覚悟の告白…「残された道は原発再稼働一択」 細野豪志に直撃』です。
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なぜメガソーラーはトラブルが絶えないのか
ロシアによるウクライナ侵攻、そして、円安によってエネルギー価格が高騰している。さらに、日本では、太陽光発電を中心とする自然エネルギーを普及するために莫大な補助金を支出しており、わたしたちは「再エネ賦課金」(再生可能エネルギー発電促進賦課金)として、電気代に上乗せされる形で徴収をされている。
問題は電気代の値上がりだけではない。その太陽光発電・メガソーラーが、全国各地で、環境破壊を起こしトラブルが頻発しているのだ。
細野豪志元環境大臣は、3.11の東日本大震災時には、内閣総理大臣補佐官とし菅直人政権を支えていた。その後、原発事故担当大臣として東電に常駐しながら事故対応にあたり、その年に、環境大臣に就任。自然エネルギーの推進を図りながら、大飯原発再稼働に向けて当該地域の知事への説得役も担ってきた。
原発処理を担当した大臣として、自然エネルギーを推進する立場にあった環境大臣経験者として、「メガソーラー・太陽光発電」をどう考えているのか。イトモス研究所所長・小倉健一が、直撃インタビューを敢行した。
──日本中で、メガソーラー(発電所)の設置が大問題になっています。そもそもメガソーラーは、発電規模が1,000kW以上の大規模な太陽光発電システムを指します。一般家庭の屋根に設置する太陽光発電システムは10kW未満ですから、その100倍以上になります。メガソーラー設置には、サッカーのフィールドの約2倍の敷地が必要です。震災を前後して、国が積極的に支援をしてきました。最近になって近隣住民とのトラブルが多発しています。細野元環境大臣の地元である函南町でも同様です。なぜ、メガソーラーはトラブルが絶えないのでしょうか。
細野 根本的な問題は、メガソーラーの買取価格を高くつけすぎたことです。産業用の電力買取単価は、2012年は「40円+税」(※)を20年間約束するというものです。今では「10円+税」を20年間ですから、およそ4倍です。高い値段をつけてすぎてしまったがために、発電に適していないところでも十分に収益が可能となってしまい、自然環境や住民にとって迷惑な場所での開発が全国各地で起きてしまった。急斜面でつくったり、森林を伐採するので地域全体の保水力が落ちて土砂災害が起きます。
細野 10年前の権利を持っている人、もしくは転売を受けた人は、あと10年間は権利を持っていることになりますから、無理にでも開発しようという動機が生まれてしまいます。もし、今の10円という価格なら、森林を開発してまで収益を得ることはできません。
原発に比べて甘い管理監督
──政府として、一度約束してしまったものは、対策が難しいということですね。乱開発をする業者に対しても国が管理・監督を怠ってきたツケのようなものを感じます。メガソーラーには絶望しか感じません。
細野 たしかに、過去にさかのぼって法律の効力を持たせる「遡及法」でないと、メガソーラーを止めることは難しい。ただし、同じエネルギーに関していうと、原発は「遡及法」が適用されています。建設した当初よりも相当厳格な基準、世界でも厳しい基準、でないと稼働が認められていません。原発もルールを格段に厳しくしたのですから、太陽光・メガソーラーに関しても同様に厳しい基準を後から課すことは可能だと思います。
細野 それと管理監督面でも、メガソーラーは原発と比べて相当甘い。地元・静岡を回っていると、富士山の麓ということもあって、メガソーラー天国のようにたくさん設置されているのが見て取れます。よく見ると、下草が生い茂っていたりと野放しに放ったらかしになっているものも多い。管理ができていない。
原発は経産省が管轄していて、さらには独立性の高い原子力規制委員会が厳しいチェックを繰り返しています。テロ・戦争の危険性まで指摘を受けている状況です。
細野 対するメガソーラーと太陽光発電ですが、林地開発は農水省の管轄で、エネルギーは資源エネルギー庁が管轄ですが、扱っている案件が多すぎて監督しきれていません。
一番心配なのは、これから10年前に設置したメガソーラーや住宅用太陽光発電の大量廃棄時代がやってくることです。個別の所有権は次々と移っていく中で、有害物質をきちんと取り除いて廃棄されるのか。悪質なメーカーが対処しないのではないか。多くの懸念がありますが、これは政権に課せられた大きな宿題だと思ってます。
もう原発再稼働しかない
──細野元環境相の地元で開発が進められている「函南町メガソーラー」も住民トラブルが発生しています。報道を確認すると、川勝平太静岡県知事が「メガソーラーが森を破壊する」「住民の理解なしに進めるのは間違い」と口にしているものの、静岡県では着々と函南のメガソーラー事業を進めている印象を受けます。
細野 函南で進められているメガソーラー事業は、決して認められるものではないと考えています。絶対に阻止しなくてはいけません。林地開発許可が降りているので難しいという人もいますが、この許可の前提となる「河川協議」ができていません。事業者は「協議はした」と主張してますが函南町は「していない」と言っています。当事者のうち、片方が協議をしていないというのでは話になりません。このような状態で許可をおろしてはいけません。知事は問題だと言っているけど、行政の側は認めてしまっている。
──元環境大臣として、原発再稼働に賛成し、太陽光に対しては反対。地球環境を守るためには、自然エネルギーには手を出さないほうがいいということでしょうか。
細野 そういうことではありません。例えば、太陽光発電は多くのデメリットがある半面、防災施設には最低限の電源として導入するのがいいと思います。地震が起きて、他地域から送電ができなくなっても太陽光発電を備えた施設は、発電ができた事例があります。
経済安全保障の観点からも、メガソーラーや太陽光発電は中国資本が強く、風力は欧州勢が強い。エネルギー供給の基幹部分を他国に委ねるのは危ないと思いますし、発電するたびに、国富が海外へ流れていくのはもったいないですね。風力についてはもう一度国産でできないかを考えるタイミングだと思います。
細野 環境大臣時代には、地熱発電に期待していたこともありました。温泉や火山がこれだけある国土ですから、可能性を感じていたのです。ただ、実際に設置場所を考えたときに、景観を破壊せず、そして既存の温泉施設が近くにないという条件がネックになって、限定的なものになってしまいました。
今後、蓄電技術やペロブスカイトなどの技術面でのブレークスルーは大歓迎です。
しかし、今起きているこのエネルギー危機を解決する策は、原発再稼働しかありません。「再稼働」というぐらいですから、一度は動かした実績があります。ブラックアウト(大規模停電)リスク、産業リスク、低所得者がエアコンを切ることによる熱中症、健康リスクなど、一刻も早いエネルギーの安定供給を図るべきです。今すぐにやれることは、「原発再稼働一択」といって過言ではありません。
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もちろん太陽光発電にもメリットもあり、従って太陽光発電はやめてしまえと言うことでは無いと思います。ただ環境破壊を伴うようなメガソーラーはやはり問題です。基準をはっきり決め法的な規制をする必要があると同時に、いくら10年前に権利を得たからと言って、これからも新設の発電設備で40円で売電できることはいくら反対があっても禁止すべきでしょう。それこそ世論に訴える必要があります。
その上で稼働可能な原発の再稼働は早急に実現するべきです。電力危機が毎年のように起こるような事態は、もはや先進国と言えないでしょう。規制委員会の規制基準の見直しも必要だろうと思います。いずれにしろ電力コストを下げ、企業の国際競争力向上に少しでも貢献するような、電力行政が必要とされていると強く思います。
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