旧統一教会問題、ズブズブなのは朝日・毎日ではないか
メディアによる旧統一教会の取り上げ方がどうも異常に見えます。テレビでも連日殆どの局で取り上げられ、その要因となった安部元首相の襲撃事件の容疑者の報道はどこかへいってしまった感があり、挙げ句の果てには擁護するような報道も散見され、もう辟易としてしまいます。
しかも野党にも多くの関係した政治家がいるにもかかわらず、自民党ばかり追求している姿勢は、偏向報道姿勢のDNAがまたもや前面に現れてきているようです。
ところがそのメディア、特に朝日新聞や毎日新聞は、かつてこの教会と「ズブズブ」の関係にあったことを経済評論家の朝香豊氏が月刊WILL誌で明らかにしています。その詳細を引用して以下に紹介しましょう。タイトルは『ズブズブなのは朝日・毎日ではないか テロリストを擁護するような記事を書いてどうする』です。
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テロリストを擁護?
安倍晋三元総理が白昼堂々のテロ行為によって亡くなった。
現場で手製の銃を放ち逮捕された山上徹也容疑者の母親が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金を行って一家を破滅させた過去が明らかになっている。その一方で、旧統一教会と安倍氏、安倍派、自民党との関係が問われるなど、旧統一教会と政治に関わる一連のメディア報道が急激に盛り上かっている。
特に注日したいのは、山上容疑者の生い立ちや心理について理解を深め、共感する気持ちを醸成するような報道が溢れていることだ。
例えば、朝日新聞は「深流 安倍氏銃攣事件」という全六回(電子版)の特集記事を掲載した。
山上容疑者が高校生時代、母校が甲子園に出場した際に応援団のメンバーとして活躍し、「団長」というあだ名をもらい、かっこよかったとの話を載せ、「謙虚で、冷静で」「人に心配をかけまいと、優しさが先行するタイプ」だったとの評価も与えている。
山上容疑者の兄が自殺した際の描写では、山上のことを「てっちゃん」と親しげに呼ぶ男性の証言として、《てつちゃんはずつと泣いていました。「兄ちゃんアホやな、なんて死んだんや。生きてたら何とかなるやん」つて。あの姿は忘れられません》との言葉を載せている。こうした山上容疑者への肯定的な評価をあえて載せることで、テロリストとして扱うべき山上容疑者に対して「本当はいい奴なんだ」と感じさせるように、朝日新聞は読者を誘導しているのだ。
朝日新聞はさらに、サイコスリラー映両『ジョーカー』のセリフ「心を病んで、孤独で社会に見捨てられ、ゴミみたいに扱われた男を欺くとどうなるかわかるか? 今から教えてやるよ!」を引用し、山上容疑者のテロリストとしての行動への理解を読者に求めるようなことまでしている。旧統一教会と政治との関係の報道も異常だ。朝日新聞の「深流 安倍氏銃撃事件」が挿人した印象的なエピソードはこれを象徴している。
《伯父が、山上容疑者の母親が旧統 一教会に入信したと証言する1991年、一人の大物政治家が世を去った。元外相・安倍晋太郎氏。67歳たった。その地盤は、秘書で次男の安倍晋二氏(当時36)に引き継がれた》
山上容疑者の母親が入信したことと、安倍晋三氏が父の跡を継いで政治家になったことには、当然ながら何の因果関係もない。だが、こうした書き方によって、両者を無自覚のうちに運命的に結びつける人間の心理を巧妙に突いたレトリックを朝日新聞は挿入しているのだ。印象操作に敏感な読者は少ないだろう。
本当にズブズブ?
もちろん、旧統一教会側か政治家に接近していたのは間違いのない事実であり、政治家側もそうした勢力を選挙活動において利用してきたのも確かである。こうした関係を通じて政治家の側が、旧統一教会側に、ある意味でお墨付きをりえていたのも事実だし、肯定的にとらえることはできない。だが、それが「ズブズブの関係」とまで言えるかは、話か別だ。
第二次安倍政権が発足した後の2013年、「消費者裁判手続特例法」が制定された。それまで霊感商法などの被害者が個人で裁判しなければならなかったが、これによって、十分な訴訟知識を持つ消費者団体が、個人に代わって訴訟できるようにした。霊感商法に法の歯止めがかけられたのだ。同じく安倍政権下の2018年には、「消費者契約法」の改正案が成立した。これにより霊感商法そのものが不法契約となり、クーリングオフ期間を過ぎても契約解除できるようになった。
これらはいずれも旧統一教会にしてみれば、不利益を被る立法だったろう。旧統一教会に法の網がかけられ、政治との関係が決して「ズブズブ」だったわけではないことを示している。
マスコミが旧統一教会と政治との関係を扱う際に「消費者裁判手続特例法」の制定や「消費者契約法」の改正について公正に扱う報道がなされているのだろうか。ワイドショーなど、旧統一教会をめぐるテレビ報道に触れている人たちに聞いてみたが、誰もそんな話は知らないと言う。こうした話は地上波放送では、まともに扱われていないようだ。
旧統一教会系の団体である天宙平和連合(UPF)系の「希望前進大会」に安倍氏がビデオメッセージを寄せていたことも旧統一教会と「ズブズブ」だった証拠のように語られている。だが、旧統一教会関係のジャーナリストとして有名になった有田芳生・元立憲民主党参議院議員は、自身のブログで次のようなことを書いている。
《安倍氏が小泉政権下で自民党幹事長時代、安倍氏のもとに統一教会が何度も接触を試みようとしてくるものの、安倍氏はなるべく会わないようにしていた》
安倍氏が選挙で旧統一教会を利用していた事実は問違いなくあるが一方で旧統一教会に利用されないよう、なるべく距離を置こうとしていた事実もあるのだ。この状態を「ズブズブ」と表現するのは、あまりにも公正さに欠ける。なお、UPFは国連経済社会理事会において総合協議資格を有する国際NGO団体として認められており、ローマ教皇フランシスコもUPF議長と接見している。このことを指摘している主流派メディアはあるのだろうか。
このUPF系の団体として朝鮮半島の平和統一を目指す「シンクタンク2022」が発足している。
「シンクタンク2022」によって開催された「希望前進大会」の共同組織委員長の一人、潘基文元国連事務総長を中心に人脈が広げられ、丁世均元韓国首相の他、マイク・ペンス前米副大統領、マイク・ポンペオ前米国務長官、ニュート・ギングリッチ元米下院議長、マーク・エスパー前米国防長官、ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会元委員長、フン・センカンボジア首相、国連世界食糧計画(WFP)のデビッド・ビーズリー事務局長などが「シンクタンク2022」発足への祝辞を述べている。さらに潘氏の要請でトランプ前大統領が「希望前進大会」へのメッセージを寄せ、トランプ氏がメッセージを出すなら安倍氏も、という経緯があった。
こうした事実をもって、安倍氏がメッセージを寄せたことを好ましくないと考える立場はあり得るし、私もその立場である。だが、それでも安倍氏は旧統一教会に対して積極的にお墨付きを与えたいと思ってメッセージを寄せたわけではなく、国際政治における人問関係を重視する中で判断したことについては正しく理解すべきではないか。
UPF系の行事にメッセージを寄せたことを問題視するのであれば、UPFを公認団体化した国連や教皇自身が接見したバチカンはもっと問題視すべきだが、そんな報道は一切見受けられない。
中国における宗教弾圧と人権状況を告発するオンライン雑誌Bitter Winter』は、UPFの創設者は旧統一教会と同じだが、UPFが信者獲得のフロントになっている事実はなく、人的関係も必ずしも一致しておらず、両者を単純に結びつけるべきではないとの見方を発信している。その上で、安倍氏暗殺は特定の属性を持つ人間に対する無差別的な暴力であり、許されないヘイトクライムである点も指摘しているが、この重要な視点を日本の主流派メディアが十分に自覚しているとはとても言えない。
まさに魔女狩り
山口壯前環境相が昨年、旧統一教会に二件祝電を出したことで、「頼まれたら祝電はみんな出すようにしている」と発言、主流派マスコミによって問題視されたが、実務的に考えれば、それほど非難される行為だろうか。
非難するマスコミ側にしても、例えば朝日新聞が旧統一教会系の世界平和女性連合(WFWP)を好意的に紹介した記事が十本以上あることが指摘されている。毎日新聞や中日新聞、京都新聞、新潟日報、福井新聞、岐阜新聞なども、UPFの関連イベント「ヒースロード」を好意的に紹介する記事を掲載していたことが明らかになっている。マスコミは自分たちが取材した記事については「確認不足でした」で済ましつつ、政治家たちに対しては「知らなかったでは済まされない」と糾弾する。「ズブズブ」という安直な印象操作は問題だ。
マスコミは数多くの事実の中から、自分たちの主張にとって都合のいいものをピックアップし、主張したい結論に沿って配置する。さらに「善玉」と「悪玉」に峻別し、読者・視聴者を「善玉」の側に寄せながら、「悪玉」とされた側を徹底的に叩く。この魔女狩り的なやり方は「善玉」の側に立つと極めて心地いいものだが、全体主義につながり、警戒すべきである。
例えば、旧統一教会の田中富広会長と山田達也法務局長が日本外国特派員協会で問いた記者会見を、ワイドショー番組『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ系)では同時中継し、専門家による「生ツッコミ」が行われた。田中氏が甘頭「犯人とされる容疑者が、当法人への恨みを動機として行動に出たという報道に触れ、私どももとても心重く受け止めております。社会の皆さまにもさまざまにお騒がせしていることに、深くおわび申し上げます」と謝罪すると、「謝ってるポイント違います。あくまでひとごとです」と、コメンテーターの「生ツッコミ」が入った。
霊感商法や高額な献金、カルト的な体質こそ問題視したいことは理解できる。だが、一方で、田中氏の謝罪内容も十分理解できる範囲ではないか。旧統一教会側の謝罪まで、すべて否定的に取り上げることは、まさに″魔女狩り”である。
内閣改造と同じ日に記者会見したのは、もちろん世問の注日度をできるかぎり引き下げたいという戦術だろう。だが、ここにも非難の目を向けるのはどうなのか。誰だってその程度の戦術を採用するのは普通のことだろう。そうした人問の弱さについても全否定するのか。
旧統一教会をかばう気は微塵もないが、マスコミの問題の取り上げ方-とりわけ、その″角度゛については様々な疑問があり、極めて歪んだ報道姿勢であることは言を俟たない。
失われた矜持
我が国は自由主義陣営側にあり、報道については最大限の自由は認められてしかるべきである。ただ、この自由主義社会を保持するという矜持には節度も要求される。そのバランス感覚を主流派メディアとして持たなければならないのは言うまでもない。
日本国憲法第十二条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」と規定している。「自由及び権利を不断の努力によって保持する努力」を憲法は国民に対して求めている。この努力に対して最も敏感であるべきなのが、マスコミである。だが、この自由主義社会を保持していくという矜持を主流派メディアは持っていないのではないか。
旧統一教会を追及することや、旧統一教会と政治との関係を扱うことは重要である。だが、その報道によって政治家の暗殺に正当性をりえることは断じて避けなければならない。
ところが、実際の報道を見ていると、山上容疑者に対する同情が駆り立てられ、旧統一教会の政治に対する影響力が実態以上に大げさに扱われている。むしろ、銃撃によって命を奪われ、テロの被害者である安倍氏のほうが不当に貶められ、哀悼の気持ちが薄まっている。さらに旧統一教会へのバッシングが強くなるだけでなく、安倍氏の国葬に反対する世論が急激に高まっている。
同情を集められるストーリー性があれば、そのテロ行為によって狙った社会変化を引き起こせることを日本のマスコミは許容している。裁判で判決が出たわけでもないのに、すでに山上容疑者の減刑を求める運動まで始まっている。これは我が国が事実上、テロに屈したとも言える。
安倍氏がどんな悲劇に見舞われたとしても、安倍氏の社会的評価をなるべく引き下げ、それによって保守派に打撃を加えたいとの思いを、主流派マスコミは持っているのだろう。
そしてその思いは、テロリストに共感を寄せるような報道は絶対に避けなければならない、テロを再び起こさせないように報道しなければならないという本来持つべき矜持よりも、はるかに強いものであることが今回の一連の報道で露呈した。このあり方は民主主義国家においてあってはならないものだ。
◇
今更言うまでもありませんが、朝日新聞やその他の左派系メディアが先導し、そのゆがんだ報道のまま、世論形成を企てた例は、過去にも多くあります。「安保法制」や「特定秘密保護法」、「テロ等準備罪」の立法過程での、「戦争につながる」「個人情報を破壊する」と言った、一方的な論理で反対の大合唱を続けてきました。
しかしそれによる利点や必要性は、何ら斟酌をせずただ単に彼等にとって反対だったこれらの法律も、成立した後はその有効性の元に、抑止力向上効果やテロ対策につながっていることなど、みじんも報道しません。
「モリカケ」や「サクラ」と同根のこの「旧統一教会」バッシングは、殆ど国や国民の多くの課題の解決につながりません。現在進行形の感染症医療体制や少子化問題、更には食料、エネルギー問題など、今後の国民への死活的問題より、こうした問題に優先順位を置くメディアの姿勢は、日本という国の弱体化に加担しているようにも見えます。特定野党も含め、反日姿勢を強めるこうした集団に轍を踏ませなければ日本は危ういと、この記事を紹介しながら、考えさせられます。
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