« 2022年8月 | トップページ | 2022年10月 »

2022年9月

2022年9月30日 (金)

日中国交50年 関係を根本から見直せ 経済・学術界も安保の視点を

Images-3_20220929153301  今年は日中国交正常化して50年の節目の年となります。ただ、現状の日中関係は覇権主義を振り翳す中国に対し、民主主義国家の立場からも、台湾有事に対する立ち位置からも、素直に50周年を祝う状況ではありません。

 今後の日中関係を占う日本側の視点として、産経新聞の社説「主張」を取り上げます。タイトルは『日中国交50年 関係を根本から見直せ 経済・学術界も安保の視点を』で、以下に引用します。

日本と中国が国交を正常化して50年の節目を迎えた。

両国の関係は、当初の熱狂的ともいえる友好ムードとはうってかわって、冷え込んでいる。

その最大の理由は、途上国から世界第2位の経済大国にのし上がった中国が、軍事力の増強を進め、覇権主義的なふるまいを隠さなくなったからだ。

日本は対中関係の見直しが必要だ。自国と東アジア、インド太平洋地域の平和を保つために、防衛のみならず、経済、学術分野も含めて対中抑止に努めるべき時代になったことを肝に銘じたい。

肥大化を日本が助けた

両国は東西冷戦のさなか、隣国同士でありながら外交関係がない問題を是正した。それにより、差し迫るソ連の脅威に連携して対抗できた。その戦略的狙いは間違っていなかった。

一方、戦争の傷を癒やし、中国との安定した友好を築こうとした日本の希望はかなわなかった。

日本は長期にわたり中国の経済発展を後押しした。だが中国共産党政権は、日本の支援も利用して国力を増すにつれ、強面(こわもて)の姿勢を隠さないようになった。

日本固有の領土である沖縄県尖閣諸島の奪取に野心をみせ、海警局船の領海侵入や接続水域での徘徊(はいかい)を常態化させた。台湾併吞(へいどん)を視野に入れ、これに懸念を示す日米などの国際社会も威嚇する。

中国が対外強硬姿勢や国内の人権弾圧を改めるべきは当然だ。同時に日本には、平和を脅かす「異形の大国」が育つのに手を貸した痛切な反省が必要である。

日本は、約3兆6600億円もの対中ODA(政府開発援助)を供与した。だが、中国側は自国民に日本の協力を広く伝えず、日本政府もそれを許した。中国は日本の首相の靖国神社参拝を批判する内政干渉を続け、日本国内にはそれに呼応する勢力が存在した。

日本の最大の痛恨事は、1989年の天安門事件を巡る対応だ。民主化を求める学生を戦車で蹂躙(じゅうりん)する弾圧を行った中国は国際社会の制裁を受けた。ところが日本政府は真っ先に経済支援を再開し、孤立からの脱却を助けた。

専制主義のまま再び経済成長を始めた中国はその後、世界貿易機関(WTO)に加盟した。日米欧はこれを容認したが、中国は自由貿易の恩恵に浴しながら、不公正な貿易慣行は改めなかった。

トランプ米前政権のペンス副大統領(当時)は2018年の演説で、歴代の政権はWTO加盟などで「中国の自由化」を期待したが「その希望はかなわなかった」と述べた。「(米国家安全保障戦略で)中国に新たなアプローチを採用した」とも語った。中国と国交を結んだニクソン米大統領以来の対中関与政策からの決別だ。対中抑止へと舵(かじ)を切るこの基本路線はバイデン政権も踏襲している。

政治リスクに向き合え

これは本来、日本こそ語るべきことだった。日本政府が今年12月に向けて防衛力の抜本的強化策の検討を進めているのは、対中抑止を図って平和を守るためだ。

この抑止は防衛努力だけでは足りず、経済界や学術界の協力も欠かせない。だが日本は、その意識や対応が遅れている。もっと対中リスクを踏まえた取り組みを強めなくてはならない。

隣り合う経済大国である中国との全面的なデカップリング(切り離し)は非現実的だ。それでも経済安全保障の視点を抜きにした対中ビジネスはあり得ない。

中国が2010年、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を受けた事実上の制裁措置としてレアアース(希土類)の対日輸出を規制したのは一例だ。外資企業の技術を不当に得ようとする中国の姿勢も変わらない。中国には企業に情報提供を強制できる法律もある。

新疆ウイグル自治区で疑われる強制労働などの人権問題も見過ごせない。日本企業が中国事業でこれに加担したとみなされれば、欧米市場から排除されかねない。

経済安保の観点では、軍事転用が可能な機微技術を育成し、その国外流出を防ぐことも重要だ。ところが日本学術会議が、軍民融合を掲げる中国側との協力促進を図ることを目的とした覚書を締結しているのはどうしたことか。

国交正常化50年を機に日本がなすべきことは、こうした問題に対処できるよう対中関係を根本から見直すことである。それを抜きにした日中友好などあり得ない。

 まさにこの主張の通りです。日本は中国だけでなく、韓国にも同様の手を差し伸べて、大枚の援助をしたにもかかわらず、韓国政府は国民に知らせることなく、一方で捏造歴史教育を続け、反日を国民に植え付け続けました。それを放置した日本、それが今の徹底した反日国家に育て上げた歴史があります。なんと中国とそっくりなことでしょうか。

 中国が変わることは当面ないでしょうが、日本が変わらなければならないと思います。「自虐史観」からの脱却や、お人好し外交の転換などとともに、物言う日本にならなければなりません。同時に国内左派に向けても、物言う政府、戦う政府になることを強く望みます。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月27日 (火)

安部元総理の国葬粛々と、安らかな旅立ちを

5_20220927095701  本日は安倍元総理の国葬の日です。戦後日本の自虐史観に真っ向から立ち向かい、強く美しい日本を取り戻すと日夜奮闘された安倍氏を、粛々とお送りしましょう。産経新聞に投稿された、元東京地検特捜部検事で弁護士の、高井康行氏の記事を引用して、安倍氏の国葬に添えます。タイトルは『安倍氏には国葬こそがふさわしい』です。

令和4年7月8日午前11時30分ころ、安倍晋三元首相は奈良市西大寺東町の近鉄大和西大寺駅北口付近の路上において、参議院選挙の応援演説中、背後から銃撃を受け非業に斃れた。安倍元首相は、憲政史上、最長の通算8年8カ月の長きにわたって、国民多数の支持を集めて政権を担った。首相退陣後も、将来、仮に日本が有事に見舞われるようなことがあれば、その指導力は欠くことができないとする声もあった。また、安倍元首相が主唱した「自由で開かれたインド太平洋」という概念は、今や欧米も採用する戦略的概念として定着しようとしている。このようなことはかつて無かった。

その非業の死は、今後の日本の政治に長く影を落とすことになるだろう。安倍元首相暗殺の第1報は国内はもちろん世界にも大きな衝撃を与え、世界各国の首脳からその死を悼む痛切な声が寄せられた。欧米首脳の素早い弔意の表明の背景には、安倍元首相亡き後の日本の行方に対する深い憂慮があるようにも思う。

国葬反対論に説得力はない

その安倍元首相の葬送の形はどうあるべきか。私は安倍元首相を弔うには国葬をもってする以外にないと思う。もし、安倍元首相が病などによって亡くなったのであれば、国葬でなくともよい。しかし、安倍元首相は、民主主義の根幹である国政選挙に際し街頭で有権者に己の信じるところを訴えている最中、テロリストの銃撃に斃れた。

民主主義社会の選挙においては、演説をする者は誰であっても、どんな政策であっても、身の危険を感じることなく自由に有権者に訴えかけることができなければならない。政治的理由であろうと非政治的理由であろうと、選挙の遊説中に候補者や政治家が命を狙われるようなことが起きれば、民主主義社会の基盤は揺るがざるを得ない。

その意味で、たとえ、その動機が非政治的なものであったとしても、選挙を奇貨として、遊説中の政治家の命を狙う者は民主主義の敵と言うほかない。そのような者から、政治家の命を守るのは国の義務とも言える。にもかかわらず、当日の警備は、すでに警察当局も認めているように極めて杜撰(ずさん)なもので、本来であれば極めて容易に防ぐことのできたはずの銃撃を防ぐことができなかった。まことに、痛恨の極みである。その意味で、安倍元首相の非業の死は、国に大きな責任がある。安倍元首相を国葬をもって弔うことは、二度とこのようなテロを許すことなく、民主主義社会の基盤が揺るぐような事態を発生させないという国の固い決意を内外に宣明する意義を持つ。

また、古来、葬送の儀式は死者の魂を鎮めるという側面を持つ。そのため、どのような葬送儀式を良しとするかについては、それぞれの死生観が反映されることになるが、私は、日本の独立と平和、国民の安全を盤石なものにしようと尽力しながら、志半ばで国の不手際により非業に斃れた安倍元首相の無念を思うと、その荒ぶる魂を鎮めるためには国が国葬をもって弔う以外にないと考える。また、各国の首脳あるいはそれに近い級の要人から弔問を受ける場としても国葬が相応しい。一部には、今回の国葬はその内実においては内閣葬に過ぎないと指摘する意見があるが、格式において国葬であることに意味があると考える。

これに対し、国葬を定めた法令がない、あるいは、弔意の強制に当たるなどとして、国葬に反対する声がある。しかし、国葬とするかどうかの判断は、基本的に行政権に属するものであるところ、行政権には幅広い裁量が認められており、すべての具体的な行政行為に具体的根拠法令があるわけではない。もちろん、国民の権利を制限したり、新たに義務を課したりする場合には法律の根拠が必要だが、国葬は権利を制限したり新たな義務を課したりするものではない。そうである以上、行政を担う内閣の権能に基づき、閣議決定によって国葬を執り行うとすることは、何ら、憲法その他の法令に反するものではない。

また、今回の国葬にあたり、政府から招待を受けた著名人が、その招待状をネットに載せ、欠席を公言していることの一事を見ても、弔意が強制されていないことは明らかだろう。仮に、国民に対し、当日、一定の時刻に、一定の時間一斉に黙禱をすることを要請したとしても、それが任意を前提にする限り、弔意を強制することにはならないが、今のところ、そのような要請も無い。いずれの理由も、説得力に欠ける。

にもかかわらず、最近の世論調査においては国葬に対する反対意見が多い。もともと、世論調査の回答は質問の作り方によって左右される側面があるから、どこまで正確に国民の考えを反映しているかについては慎重に判断しなければならないが、いずれにしても、一部マスコミ等による旧統一教会(現「世界平和統一家庭連合」)に対する強い非難活動が世論調査の結果に影響を与えていることは間違いない。

テロリストに報酬を与えたマスコミ

安倍元首相の銃撃事件をめぐり奈良県警は、山上徹也容疑者の逮捕後、早い段階で、同容疑者が動機は、ある宗教団体に対する恨みであると供述している旨発表した。その後、警察の発表等により、同容疑者は旧統一教会の熱心な信徒である母親の多額な献金により家庭が困窮したため、旧統一教会に恨みを持っていたところ、安倍元首相が旧統一教会の関連組織の大会にビデオメッセージを送ったことを知って銃撃したと供述していることが明らかになった。これを機に一部マスコミや論者は非難の矛先を一斉に旧統一教会、旧統一教会及びその関連団体と僅かでも接点を持っていた政治家に向けるようになった。同容疑者の目的は十分に達成されたことになる。

もちろん、旧統一教会の霊感商法は批判されて当然であり、多額な献金も、それが心理的に追い込まれた結果としてなされているのであれば社会的に許容されるべきものではない。それによって困窮した家族に救いの手を差し伸べることも必要であろう。しかし、旧統一教会は宗教法人法で認められた合法的な宗教団体である。それにもかかわらず、その宗教団体をあたかも反社会的組織であるかのように扱い、これを排除しようとすることは、裁判を経ないで人を処罰しようとするに等しい。このような一部マスコミ等の論調は、適正手続きを重視すべき民主主義社会のありように反するだけではなく、旧統一教会の信徒に対する差別を生むことにもなる。その上、この一部マスコミ等の論調は、安倍元首相を銃撃したテロリストに報酬を与えているも同然であり、このようなことが続けば、第2、第3の同種テロが起きてもおかしくない。

今は、冷静になるときだ。

政治家の評価は歴史が決める

日本では、古来、敵であっても死者となった時には、その魂を崇めその安らかならんことを祈るのが風習あるいは礼儀である。国葬を欠席する方針の立憲民主党の中にあって、出席を明言されている野田佳彦元首相に深く敬意を表したい。

政治家に毀誉褒貶(きよほうへん)はつきものであり、それが有力政治家となれば尚更である。安倍元首相に対しても、その国葬に対しても、一部から強く反対する意見がある。しかし、政治家の評価は最終的には歴史が決めることであり、同時代人である我々の評価で定まるものではない。私は、岸信介元首相が政治生命をかけて成し遂げた日米安保条約の改定が、時を経て、日本の安全保障を支える基盤となっているように、安倍元首相の残した政治的遺産が日本を支えることになるであろうことを確信している。安倍元首相の魂よ、安かれ。

 安倍元総理、安らかに・・・

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月26日 (月)

教育正常化へ〝自虐的教科書〟なくせ 文科省の「調査員」任命制度に問題

4_20220926103901  教育は重要です。その中でも理数系の教育は、日本の産業の競争力向上に欠かせないものです。それがややもすると生徒に敬遠されている現状があり、大学入試でも私大の文化系は受験科目にもないことが多いようです。

 一方人文系の教育ももちろん重要です。特に歴史教育は、日本史も世界史も、国のあり方や文化や伝統を学ぶために欠かせないものです。特に重要なのは史実にできるだけ忠実な記述で、偏った史観に走ることは学ぶものにとって、間違った価値観を押しつけることになります。

 果たして日本の教育の現状はどうでしょうか。新しい歴史教科書をつくる会理事の諸橋茂一氏が、zakzakに寄せた記事から見てみます。タイトルは『教育正常化へ〝自虐的教科書〟なくせ 「日本は悪い国」という先入観 文科省の「調査員」任命制度に問題』で、以下に引用して掲載します。

日本では、戦後の偏向した歴史教育、自虐史観に影響を受けた教科書の問題が続いてきた。私は「教科書検定」をめぐり、管轄する文部科学省に疑問を持っている。

文科省は基本的に4年に一度、小中高校の教科書検定を行っている。その検定に合格した教科書の中から、学校を設置する都道府県や市区町村の教育委員会などが、各科目ごとに「最も内容が優れている」と考える教科書を採択することになっている。

検定を合格する教科書は1科目で7~8社ある場合もある。各社の教科書は200~300ページもある。教科書すべてに目を通そうとすると、合計で千数百~二千数百ページを読み込む必要がある。主要5教科すべてを検定するなら、1万ページをゆうに超える、実に膨大な内容を読み込む必要があるのだ。

教育委員に任命される人はいわゆる「有識者」だ。学者、医師、企業経営者、PTAの代表など、社会的に責任ある立場の方々が選任されるケースが非常に多い。自分の仕事を放っておいて、教科書の熟読にすべての時間とエネルギーを割くのは困難だ。

そこで、「調査員」を、教科ごとに任命し、内容を読み込んでもらう。ちなみに、調査員はほとんどが学校の先生などだ。その調査員が作成した資料に基づき、教科書採択を行うが、ここに問題があるようだ。

調査員に任命される歴史の教師は、「自虐史観教育」を受けてきた人たちが多いという。そうすると、何が起こるのか。「日本は悪い国である」という先入観で、日本の歴史をことさら否定するような〝自虐的教科書〟が、さも良い教科書であるかのような報告書になる。

具体的には、「神話」や「聖徳太子」「仁徳天皇御陵」「近代史」などに関する記述について、かたよりのある教科書が採択されてしまうリスクが出てくる。「南京事件」でも事実関係がゆがめられ、まるで日本が「大虐殺」を行ったかのような、事実を逸脱した記述が行われることもある。

2020(令和2)年の中学校用歴史教科書に関する文科省教科書検定でも、上述した「神話」「聖徳太子」「仁徳天皇御陵」「近現代史」などの項目で、客観的な記述がなされていると思う「自由社の歴史教科書」は不合格となった。

自由社の教科書では、南京事件を記載しない一方、1937(昭和12)年、中国の北京東方の城郭都市・通州で、日本人居留民225人が中国人部隊に惨殺され、支那事変のきっかけともなった「通州事件」について、しっかり記述していた。

古今東西を問わず「教育は国家百年の大計」である。何としてでも、わが国の教育を正常化しなくてはならない。

 お隣の韓国や中国では、日本とは真逆で、自国の歴史は史実も何も全く関係なく、自国に都合のいいように創作していると聞きます。しかも日本に対しては必要以上に「悪者」に仕立て、いわゆる反日教育がなされています。

 これでは日本人自身も「自虐」で、日本が悪かったと思い込まされ、中韓でも日本が悪かったと教育されていますから、これが日本の謝罪外交につながってしまっているのが現状です。

 安部元首相は「日本を取り戻す」と言って、教育の面でもこの自虐から抜け出す努力をしてきました。明日の国葬に反対する勢力は、まさにこの教育姿勢そのものに染まった、「自虐」の主たちでしょう。早急に文科省改革をして、日本の「自虐教育」から脱しなければなりません。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月25日 (日)

サンデーモーニング、「国葬」批判で、「改憲案」を旧統一教会の考えと同じだと歪めて吹聴

Images-1_20220925111001  TBSの日曜朝の報道番組「サンデーモーニング」の偏向報道姿勢は変わらず、左翼思想にシンパシーを抱く視聴者の人気番組になっています。ただその内容はひたすら保守政権叩きに偏っていて、News23や報道特集がキャスターを変える中、関口宏が長期間キャスターを務める番組で、TBSの偏向看板番組となっています。

 今回の安部元首相の国葬問題でも、しっかりその真価?を発揮し、曲解の見解が満載です。その詳細を窪田伸雄氏が世界日報のコラムで述べていますので、以下に引用して掲載します。タイトルは『「国葬」批判で改憲案を旧統一教会の考えと歪めて吹聴するサンモニ』です。

半旗を掲揚した外国

安倍晋三元首相の国葬儀が近づく中、「国葬反対」運動がメディアに多く取り上げられている。凶弾に倒れた元首相を哀悼する海外からの弔問に応える葬儀でもあり、実際、海外では米国、インド、ブラジル、キューバなど半旗を掲げて弔意を表した国も少なくなかった。

敵味方問わず死者を弔う日本の伝統精神を忘れ、死者を糾弾する「国葬反対」デモなどは何の影響であろう?

18日放送のTBS「サンデーモーニング」では、岸田文雄首相の「弔意を強制しない」との言葉を引き合いに、「安倍氏の国葬は弔意は?揺れる教育現場」として、安倍氏の出身地、山口県の教育委員会が放送時点で半旗掲揚を「決めていない」状況を取り上げた。フリップボードには国葬儀の招待状に関して「出席」の宮崎謙介元衆院議員、「欠席」の演出家・宮本亞門氏の顔写真が並ぶものの、「招待状に“戸惑い”」の字が大きく書かれた。出演者4人のコメントも批判的だ。

姜尚中氏は「狙いは憲法改正に弾みをつけたい。安倍さんの宿願は憲法改正」と述べ、「ただこれは岸田政権のオウンゴールだ。かえって憲法改正は遠のいた」と語った。その理由は自民党の改憲案が「今問題になっている旧統一教会の考えと似通っている」という。

論点共有する改憲派

ネタ元は7月に共産党機関紙「しんぶん赤旗」が報じた「『勝共連合』改憲案 自民とうり二つ」などの記事だろう。国際勝共連合副会長が2017年4月に公開した動画に緊急事態、家族条項などがあるというものだ。

だが、改憲案は多士済々な改憲派がさまざま発表している。現在は立憲民主党で政権批判をしている小沢一郎氏、民主党政権で首相を務めた鳩山由紀夫氏らも改憲案を発表している(1999年9月文藝春秋特別号「日本国憲法改正試案」小沢一郎、2005年PHP研究所「新憲法試案」鳩山由紀夫著)。メディアでは読売新聞社が1994年、2000年、04年の3回にわたって検討した「読売憲法改正試案」を、産経新聞が13年に「国民の憲法」要綱を発表した。その他の政治家、有識者、改憲派団体など幾つもの改憲案が発表されている。自民案は05年、12年に発表された。

憲法を見直す論点は、2000年に全党会派でスタートした国会憲法調査会が、5年にわたって調査と審議を行い取りまとめた最終報告で共有されている。発表された各改憲案も論点は重なり、例えば9条改正では自衛軍、国防軍設置など似通っていると言い得る。

それを不正確にも「旧統一教会の考え」と述べ、「憲法改正が遠のいた」とほくそ笑むのは、改憲潰(つぶ)しを企図するレッテル貼りというものだ。

結局「国葬反対」も戦後、敗戦革命を目指した左翼勢力の9条護憲の延長線にある。朝鮮戦争による再軍備論や主権回復のための講和条約署名(1956年)に反対し、その後の自衛隊発足、日米安保条約改定、ベトナム戦争、スパイ防止法制定運動、自衛隊海外派遣、安保法制などに反対したのと一緒の構図だ。

また、弁護士の三輪記子氏、ジャーナリストの青木理氏らは国葬儀に「法的根拠がない」と批判した。が、内閣府の所轄事務として内閣の儀式を行う規定がある内閣設置法に基づいて行う国葬儀だと政府は説明している。

吉田茂も閣議決定で

岸田首相は7月14日、「選挙の中で突然の蛮行が行われた」として、海外から追悼が寄せられており、国葬儀をすることで「暴力に屈せず民主主義を断固と守り抜く決意を示していく」と述べた。だが、安倍氏暗殺事件そのものを報道機関が掘り下げず、容疑者の供述に乗って旧統一教会被害を過剰に取り上げ、政治的な改憲批判にまで国葬儀をねじ曲げている。

かつて左翼勢力が反対した講和条約だが、立役者の吉田茂元首相の国葬儀は同じ閣議決定によって67年にしめやかに行われた。60年代の左翼デモは、反安保法デモや「国葬反対」デモ以上の激しさにもかかわらずだ。違いは、当時、昭和時代の日本人の伝統意識の違いだろうか。

 この記事が示すとおり、左派系の政党、メディア、弁護士、学者らは、安倍氏の国葬にひたすら反対しており、特にメディアは安倍氏の襲撃犯人の犯行を深掘りすることなく、ひたすら旧統一教会批判を続けています。これはこの機を捕らえ政権叩きに最大限利用しようとする意図が丸見えです。

 サンデーモーニングをはじめとする左翼番組、そしてそれをプロデュースする面々の意図は何でしょうか。表向きは権力の暴走を止めると言うことでしょうが、本音は明治維新から続く日本の「富国強兵」路線への回帰を止めたいと言うことでしょうか。しかし今は「富国強兵」ならぬ、「弱くなりすぎた防衛力を少しでも普通の国に近づけたい」というのが現実です。それさえも彼等は反対しているようです。

 その背景には周辺独裁国家の影がちらつきます。事実日本のメディアの多くは中国の影響を受けており、経済界も中国になびいています。ですから中国が嫌がることをしようとする政策には何でも反対しますし、保守派の重鎮だった安倍氏の国葬にも反対姿勢を取るのでしょう。

 国葬が終わった後、彼等の目標は何に向かうのでしょうか。旧統一教会問題を取り上げ続け、自民党叩きを続けるのでしょうか。しかしそれによって日本の安全が担保され、日本国民の生活が良くなるのでしょうか。そんなことは全くありません。日本の弱体化が進み周辺独裁国家を利するのみです。いい加減気がついたらどうでしょうか。いや本当は気がついていて、日本の弱体化に与するのが彼等の目的かも知れません。中国等の後押しを受けて。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月24日 (土)

ウクライナ軍の反転攻勢に焦るプーチン、果たして「核」使用は、狙う先は?

1_20220923160801  ロシアのプーチン大統領は、部分的ですが予備役30万人の招集を始めました。ウクライナの反転攻勢が強まっていることに焦りを感じているようです。それに対し各地で抗議デモが発生し、国内38都市でデモに参加した約1400人が治安当局に拘束されたと言う報道もあり、また招集を逃れようと、周辺国へ向かう航空券の購入が殺到しているようです。

 ロシアの現状と今後の詳細を、週刊現代が前・後編と連続して報じていますので、以下に引用して掲載します。タイトルは前編『ウクライナ軍の反転攻勢に焦るプーチン…「核ミサイルを撃つタイミングは今しかない」』、後編『「11月までに決着をつけろ!」…怒り狂うプーチンが「核ミサイルで狙う都市」』です。

奇襲作戦で北東部・ハルキウ州の大半を奪還したウクライナ軍。しかし、油断してはいけない。プーチンはまさに今、最終兵器を放とうとしている。最悪のシナリオを徹底的にシミュレーションする。

*********

【前編】

ウクライナ軍が仕掛けた罠

ウクライナ戦争が重大な転換点を迎えている。9月11日、ウクライナ軍は北東部のハルキウ州のほぼ全域を奪還した。取り戻した領土は4000~6000平方キロメートルとされ、東京都の面積の1.8倍にあたる。ロシア軍は守勢に回り、部隊の再編制を余儀なくされた。被害も甚大で主力兵器である戦車『T-80』を100台以上破壊され、ロシア軍の重要な補給地点であったイジューム、クピャンスクも失った。'14年の東部ドンバス紛争で指揮を取った元ロシア軍司令官のイゴール・ガーキンは此度の敗走についてこう語っている。

「現在の状況を日露戦争になぞらえて表現するならば、奉天会戦という言葉しか思い浮かばない。ロシアは負けつつあるかもしれない」

奉天会戦は日露戦争において、圧倒的に兵力差があったロシア軍を日本軍が破り、後の勝利を決定的とした戦いだ。国内からそんな声が出るほど、ロシアは窮地に立たされているのだ。

ハルキウ州の奪還は用意周到に仕組まれた奇襲作戦だった。8月9日、ウクライナ軍はクリミア半島西部のサキ航空基地を砲撃し、20日には軍港都市セバストポリでロシア黒海艦隊司令部を爆撃した。

その際、黒海艦隊が所有する戦闘機の半数以上を破壊した。ロシア軍は南西部の要衝へルソンで反攻が始まると予測し、北部、東部に駐留していた兵力を南部に移送し、守備を固めた。

しかし、それが罠だった。ウクライナ軍は手薄になったハルキウ州を一気に攻め立てた。軍事評論家の高部正樹氏が語る。

ウクライナが求めていた戦果

「NATO諸国にウクライナへの『支援疲れ』が漂うなか、戦地はほどなく冬を迎えようとしている。積雪や極寒で前線が膠着するし、天然ガス不足に悩むドイツなどヨーロッパ諸国からの支援が滞るかもしれない。ウクライナは、更なる支援を求めるにあたって、何としても戦果を上げたかったのでしょう」

奪還作戦において、成功のカギを担ったのが主に米国から供与された最新兵器である。まずは制空権を確保するために、攻守両面で重要な役割を果たすレーダーを破壊するミサイル『AGM-88 HARM』を導入した。

そして、それを正確に撃ち込むのに一役買ったのが高性能偵察ドローンの『スキャンイーグル』だ。昼夜問わず、24時間航行することが可能で、ロシア軍の砲撃の射程外から電子光学、赤外線を使ったセンサーで敵レーダーの位置を捉えていたのだ。

さらに、自爆特攻ドローン『スイッチブレード』『フェニックスゴースト』が装甲車両などを攻撃し、兵力を弱らせていった。

「特に戦果をあげたのは、高機動ロケット砲システム『HIMARS』です。静止したものを目標にすればGPS誘導でほぼ100%命中させることができます。1~2ヵ月前まで戦況は膠着状態で、ロシア軍がじりじりと前進していましたが、 HIMARSにより司令部、弾薬庫などが攻撃され、前線への補給が滞った。ロシア軍の圧力が弱くなったことで、ウクライナ軍が反撃するための時間・空間的余裕が生まれたのです」(防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏)

北東部を解放したウクライナ軍は、南部でも攻勢を強めていくだろう。ゼレンスキー大統領も独立記念日の前日にあたる8月23日、こう宣言している。

「クリミア半島はわれわれの領土であり、他国との協議なしにわれわれが正しいと決めた方法で取り戻す。奪還は、欧州における安全と正義の回復に向けた歴史的な反戦の一歩となる」

領土を失うくらいなら

ロシア軍はクリミア半島を死守すると同時に、ウクライナ軍を押し戻すために北部の防衛ラインを急いで再構築しなければならない。10月下旬になれば、雪が降り始め前線は動けなくなるからだ。ロシア軍は主力部隊をへルソンに配置しているが、ドニプロ川周辺の橋を『HIMARS』により破壊されて輸送路が断たれている。

自軍が敗退するさまを眺めるプーチン大統領は冷酷な表情を崩さない。だが、その内面は怒りと屈辱、焦りで煮えたぎっているだろう。

プーチンにとって、この戦争の大義名分は「ウクライナに跋扈するネオナチを排除するための祖国防衛」だ。しかし、現状を見てみれば、実効支配していたウクライナ東部のドンバス地方、クリミア半島を失う恐れすらある。

そして、侵攻以前より領土を減らすことになれば、それはプーチンにとって明白な敗北であり、ロシア史上最大の恥となる。

19世紀にナポレオンがロシアに侵攻したとき、政治家たちは自らの指示でモスクワを燃やした。ナポレオンは『占領する意味がない』と撤退。プーチンはその逸話を『ロシアの勝利』とし、何度もプロパガンダとして利用してきた。プーチンは極端な愛国主義者だ。そして、奇しくも、その状況が現代に再現されている。

欧米の息がかかったウクライナ軍が、さらなる侵攻を企てようものなら、自国領土での損害や国際社会からの猛反発も厭わず、常軌を逸した反撃に出るだろう。そのために必要な兵器は、一つしかない。核兵器だ。

「まさに今が使用のタイミングではあります。プーチンが現在、動員している陸軍、空軍の兵力で巻き返すことができないと判断すれば、核兵器を使用する可能性は否定できません」(軍事ジャーナリストの菊池雅之氏)

 

【後編】

側近はますます強硬に

国内で活発化し始めた反戦運動も核使用の現実味を高める一因となっている。ロシア軍が守勢に回っているという情報が徐々に伝わり、9月11日に行われた統一地方選では、公然と反戦の声を上げる野党政治家や有権者が目立った。

さらに「プーチンの頭脳」と呼ばれるロシアの極右思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリア氏が暗殺された事件でも、反プーチンを掲げる『国民共和国軍』が犯行声明を発表した。

今、ロシア国内ではプーチン更迭を求める動きがかつてないほどに大きくなっているのだ。筑波大学名誉教授の中村逸郎氏が言う。

「プーチンは、11月にバリ島で開かれる予定のG20までに、なんとしても『特別軍事作戦』を終わらせたいという思惑が強い。今の状況のまま出席すると、当然、欠席する国は多くなり、国際社会での孤立が浮き彫りになってしまいます。そうなれば、厭戦気分が漂い始めた国内でも世論に押され、プーチン陣営の支持基盤も揺らいでくる。

一方で、ウクライナ侵攻を主導したロシア連邦安全保障会議書記のパトルシェフら側近はより強硬な手段を主張し始めています。核兵器を使い、強引にでも作戦を終わらせることもあり得なくはありません」

2_20220923160801 プーチンが「狙う」場所

ウクライナ軍が米国から供与された最新兵器で攻勢を続けるなか、プーチンは一発の核ミサイルで戦況をひっくり返そうとしている。いったい、どこが狙われるのか。

「『威嚇』として人的被害が少なく、かつロシアの領土に放射能の影響が及びにくい地方の原野などに、広島原爆の3分の1程度の威力を持った核ミサイルを落とす可能性があります。首都・キーウとオデーサを結んだ直線から東に離れたウクライナ中央部が着弾地点になると思います」(軍事評論家の高部正樹氏)

人的被害を避けるという意味では海上で爆発させる可能性もある。その際、狙われるのはオデーサ沖合の黒海だ。海上ならば人的被害もなく、北風で放射能は南に流れていき、クリミア半島に放射能の影響が及ぶことはない。NATO諸国も報復はしてこないと踏んでいるのだ。

プーチンは原発を使った「核攻撃」を行う怖れもある。特殊部隊などの手で故意に事故を発生させ、放射能をバラまくのだ。標的になるのは南ウクライナ原発だろう。

現在ロシアが実効支配している地域にあるザポリージャ原発とちがって、ここならば、支配地域や周辺国の汚染は最小限となる。国際社会からの反発は必至だが、ロシアは「偶発的な事故」としてシラを切るだろう。いずれにしても、南部で攻勢を仕掛けようとしているウクライナ軍に対して強烈な牽制となる。

だが、さらにおぞましいシナリオもある。奪還された都市に駐留するウクライナ軍をターゲットに核ミサイルを撃ち込むことだ。先述したように、プーチンは戦争に負けるくらいなら、自国の領土を放射能で汚染させても勝利をもぎ取ろうとするかもしれない。

「早すぎる撤退」の不気味

現在、ロシア側にとって、最も窮地に立たされている戦線は東部のドンバス地方だ。ウクライナ軍は徹甲部隊を投入し、米国から新たに供与された対地雷装甲車『マックスプロ』を駆使して一気に領土奪還を目論んでいる。

「このような状況での核兵器の使われ方はごく単純に言うと二つがあり得ます。一つは相手を引き下がらせるために『使うぞ!』と脅して、相手が引き下がらなかった場合に使うパターン。もう一つは黙って奇襲的に使うパターンです。軍事的には黙って使うほうが効果は高い」(防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏)

その場合に狙われる地域として、候補に挙げられるのはハルキウ、イジュームなどウクライナ軍が今回の奇襲作戦で奪還した補給の重要拠点だ。ここを叩けば、ウクライナ軍の勢いは止まることになるだろう。

一つ気にかかるのが、これらの都市を奪還されたあとのロシア軍の動きである。異様に早いスピードで撤退したのだ。この急ぎ方は、核ミサイルを撃つための準備ではないかと指摘する専門家も少なくない。

「使用される核兵器は短距離弾道ミサイル『イスカンデル』と見て、間違いないでしょう。射程は500km程度で、東部の国境地帯に配備すれば、現在、戦闘が行われている地域のほとんどの主要都市が射程圏内に収まります」(前出・高部氏)

このミサイルの恐ろしいところは、複雑な軌道を描きながら超音速で巡航し、さらに本命の核弾頭を確実に着弾させるために囮の爆弾をバラまくことだ。敵の防空システムは攪乱され、迎撃が非常に難しい。また、機動性も高く、装甲車両に積み込んで敵の攻撃が届かない地域へ短時間で移動させることができる。

ウクライナ軍の奇襲作戦で敗走した3日後、ロシア大統領報道官のペスコフはこう強調した。

「特別軍事作戦は継続しており、当初の目標を達成するまで継続する」

これが本気の発言なら、目標達成のため使われる兵器はもはや一つしか残されていない。77年の歳月を経て、再び世界は核の炎による悲劇を目の当たりにするのか。

 確かに戦況を覆す意味で、戦術核を使用する可能性はありうるかも知れません。何しろ殆ど誰も予想しなかった、ウクライナ侵攻を決断したプーチンのことですから。ただ核の脅しに対して、NATO諸国はどこもそれがなされたら、ロシアはおしまいだとか、モスクワやサンクトペテルブルグは焦土と化す、と言うような反撃の威嚇はしていません。火に油を注ぐと懸念しているからでしょうか。

 だが言わないからといって、核が使用され、その使用状況によれば反撃しないことはないでしょう。やられっぱなしで終えれば、それが引き金となって今後繰返される恐れがあります。ただもし反撃が始まれば、まさに第3次世界大戦の入り口に立つことになります。逆に言えば、果たしてプーチンやその側近が、自己の生命の犠牲も顧みず、覚悟を決めて核を使うかどうかは分かりません。

 そうならないように、この殆ど狂った指導者を内外から止められるかどうか。今年いっぱいがその期限ではないでしょうか。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月23日 (金)

福島香織氏:中国で囁かれる、常軌を逸したゼロコロナ政策が終わらない本当の理由

Img_87ead91c279080be7440a87a8951580f3932  中国のゼロコロナ政策、今年春の上海でのロックダウンの凄まじさは、日本でも大々的に報道されました。今月に入っても成都市でロックダウンが実施されています。何故ゼロコロナか、多くの国がウイズコロナに移行している現在、極めて希有な政策を続ける中国、対米比較に於いてその死者数を極めて少ないと鼓舞する狙いか、しかしどうもそれだけではないようです。

 その真の狙いは何か、その背景をフリーライターの福島香織氏がJBpressに寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『中国で囁かれる、常軌を逸したゼロコロナ政策が終わらない本当の理由 ゼロコロナは「インビジブル文革」?党大会に向けた事実上の戒厳令か』です。

Photo_20220922152201  中国の貴州省三都県で、ゼロコロナ政策のために隔離施設に移送される市民47人を乗せた「防疫バス」が深夜谷底に転落、27人が死亡し20人が負傷する大事故が起きた。ネット上では、この事故に人災だと怒りをぶつける声であふれた。

 なぜこのような事故が起きたかと言うと、現在中国では全国各地で部分的ロックダウンと「静態管理」と呼ばれるゼロコロナ政策が展開されており、それに伴う市民の強制隔離が夜中に闇に紛れて行われるケースが多いからだ。

 運転手も乗員も白いガサガサした動きにくい防護服を着せられて、何時間もバスを走らせて、遠方の山奥に陽性者や感染の可能性がある市民を隔離する。運転手は息苦しくて視野の狭い防護服を着たまま、街灯もない山道を猛スピードで運転するし、乗客の市民も防護服で息苦しい。バスは満員で子供も老人も妊婦もいるわけだし、どこに連れていかれるかわからないから、車内は不安と怒りで怒号や悲鳴があふれる。運転手も焦るだろうし、事故は起こるべくして起きたといえる。

 ネットでこの隔離バス(事故を起こしていない車両)の中の様子の動画が流れているが、市民が「バスから降ろせ」とものすごい剣幕で騒いでいる。市民が悪いのではない。いきなり夜中に強制隔離され、トイレ休憩もなく、何時間もバスでどこか知らないところに連れていかれようとすれば、私でも騒ぐだろう。

 事故を起こしたバスは、貴陽市から黔南州茘波県の隔離ホテルに向かうため、9月18日午前零時に出発した。事故は午前2時40分ごろだという。貴陽から東南へ約170キロの地点で、山中の高速道路から谷に転がり落ちたそうだ。20人が病院に搬送されて治療を受けているという。おそらくすぐには救助も来なかっただろう。

 ちなみに隔離された市民は陽性者ではない。地域に1人、濃厚接触者が出た、ということでコミュニティの住民全員の隔離措置をとったのだ。貴陽の人間をわざわざ黔南州まで連れて行くのは、おそらく強制収容者が多すぎて貴陽の施設がいっぱいだったからか。

 だが、貴州省の感染者はいったい何人なのか。9月20日現在で350人だ。1日の新規感染者は41人で、死者は2人。ほとんどが無症状。ちなみに、中国全体では、感染者は98.3万人で死者は5226人である。

新疆、チベットでの新たな民族弾圧

 もっと悲劇的なのは新疆やチベットのゼロコロナ政策だ。

 新疆ウイグル自治区のイリでは、すでにロックダウン50日目を過ぎている。住民は自宅から外に出ることができない。そして、他の漢族の都市と違い、日ごろからウイグル人市民に対して厳しい弾圧を加えている当局は、自宅に閉じ込められた市民たちに十分なケアをしていない。食糧や医薬品をほとんど支給しない地域もある。このため少なからぬ市民が餓死しているようだ。あるいは餓えの苦しさ、辛さに耐えられず自殺する人もいるという。

 イリでは7月末からロックダウンが開始された。9月上旬に漏れ伝わってくる動画やSNSの声を総合すると、すでに数十人の餓死者がでているようだ。また数百人が病院で医療が受けられないために死亡したという。

 もちろん、この数字の裏は取れていない。だが公式には、新疆で確認された新たな感染者はこの1週間で1人。感染者合計は9月20日時点で1168人で、死者は3人だ。イリ市民のSNS投稿の中には、食べる者がないから庭の木の葉でスープを作っているといった話もある。1歳5カ月のわが子が病気になっても病院に行かせてもらえず亡くなったという話も投稿されていた。

 新疆ではウイグル人の強制収容問題や弾圧が国際社会でも問題視されたが、このイリの今の状況は、新型コロナ防疫の名を借りた新たな民族弾圧ではないか、と疑われるくらいひどい。

 この仕打ちは、イリは人口の半分がウイグル人とカザフ人が占める北部都市で、第2次東トルキスタン共和国の拠点の1つであり、中国政府がトルキスタン独立勢力の動きを最も警戒する地域だからではないか。

 チベット自治区のラサも1カ月以上ロックダウンが続く。ラサの人口は90万人で7割がチベット人。連日、多くのチベット市民が深夜の闇に紛れてバスに詰め込まれて隔離施設に送りこまれている。

 チベット人女性が微博でこう訴える。PCR検査では陰性だったが、集中隔離施設に連行されることになった。未完成のコンクリート打ち放しの部屋に男友達ら4人が一緒に収容され、トイレも使えない。食べ物もトイレットペーパーも生理用品もない。惨状を訴えると、管理当局者が彼女を殴った。その傷をSNSでアップすると、当局者から削除命令がきた。だが、彼女は削除を拒否したという。

 今年(2022年)は上海、西安、成都、重慶などの一級、二級の大都市でも厳しいゼロコロナ政策の洗礼を受けているが、これら都市では、抗議活動や時に官民衝突に発展するようなデモが頻発していると聞く。だが少数民族地域で漢族と同様の抗議活動をすれば、テロとして弾圧される可能性もあり、抗議の声は上げにくい状態だと推察される。

長老たちを軟禁状態にするため?

 しかし、中国はどうしていまだにゼロコロナ政策から抜け出せないのだろう。世界的にみても中国の感染拡大はけっして深刻というほどではない。ましてやオミクロン株の重症化率は比較的低いのではないか。コロナで死ぬのではなくコロナ政策で殺される。苛政(かせい=民衆を苦しめる政治)は虎より猛し、いやコロナより猛し、だ。

 今ここに、チャイナウォッチャーの間に出回っている党内部筋からの「リーク」というのがある。私はこの手の「リーク」の信頼性は3割以下だと思っているので無視しようかと思ったが、友人のニューヨーク在住の華人評論家の陳破空も、このリークを受け取ったそうで、紹介していたので、ここでちょっと引用する。

 そのリークによれば、ゼロコロナ政策の目的は防疫ではなく、党大会前に習近平が政敵、特に力のある長老たちに、会議に出たり発言したりできないように自宅に足止めさせるため、いわゆる軟禁状態にするためだ、というのだ。

 その「リーク」は、ゼロコロナ政策に関する方針についての共産党内の内部通達と、リーク者である党内人士の反応からなる。およそ9項目ある。その概要を列挙してみよう。

(1)目的は防疫を口実に政治老人(長老、引退指導者)約50人を軟禁すること。外出、会議、集会への出席を阻止する。

(2)感染状況がなくても感染状況を作り出せ。PCR検査を継続し、別動隊によって感染を拡大せよ。

(3)言論を封鎖せよ。感染状況は深刻でない、ウイルスは大して怖くないなどの言論、WHOのテドロス事務局長の「コロナ感染拡大が間もなく終息する」といった発言なども抑え込め。

(4)西安、上海、重慶、成都、貴陽、ウルムチ、ラサなどでは、感染状況を作り出し、ゼロコロナ政策、ロックダウンを徹底せよ。

(5)党大会で習近平が連任したのち、ゼロコロナ政策の大勝利を宣言する。そこでゼロコロナ政策を終わらせ、人心を買い、習近平の英明のおかげだと、党に感謝させよ。

(6)ゼロコロナ終結の期日は最も早くて10月20日、最も遅くて来年3月の全人代後。

(7)北戴河会議では、政治老人たちをコロナから守る名目で参加させない。

(8)李克強は、ゼロコロナに対し怒り心頭だが、内部会議の守秘義務の原則によって、対外的には発言していない。

(9)党内では、党と国家が最も危険な時期を迎えているとびくびくしている。どのように党と国家を救えばよいか分からない。

105歳の大長老が異例の改革開放アピール

 裏も取れていない話で、鵜呑みにできるものではないが、多くの市民が、今中国が直面しているゼロコロナ政策の本当の目的は、防疫や人民の健康を守るためのものではなく、経済の悪化や社会の不安定化に対して不満をもつ人民が党大会前に騒ぎ出さないようにコントロールする口実ではないか、と疑っているのも確かだ。

 なので、感染状況をわざと作り出し、全国的に人の動きを管理し、ラサやイリなど要注意地域では長期のロックダウンを実施し、党内の反習近平派や長老たちの動きも、コロナ感染予防のため、といって会議や集会への欠席を促して、その発言を封じ込めようとしている、というのは妙に納得のいく話なのだ。

 老い先短い長老は怖いもの知らずで、習近平に対して面と向かって苦言する。江沢民、曽慶紅、朱鎔基、胡錦涛、温家宝はじめ長老のほとんどが、今の習近平の反鄧小平路線・毛沢東回帰路線に反対だ。

 105歳の大長老で、習近平を総書記に推した1人であり、歴代の総書記選びで強い発言権を持ってきた共産党のキングメーカーこと宋平(元政治局常務委員)が9月12日、珍しく公の場にオンラインで出席し、「改革開放は中国の発展に必要な道だ」と強く訴えた。ネット上に流れたこの短い動画はすぐに削除されたという。

 会議は江蘇省の奨学金の基金会の10周年記念のイベントだったが、そんな地方のイベントに宋平が105歳の高齢にかかわらずビデオ出演し、改革開放を訴えること自体が異様な印象を与えた。

 もし、このリークが本物なら、コロナのせいで発言の機会を奪われている長老たちの不満を代弁する形で、105歳のキングメーカーが高齢をおして出てきたということだ。

 陳破空は、この徹底したゼロコロナ政策は、習近平の穏形文革、あるいは穏形政変、つまり目に見えない「インビジブル」な文革、あるいは政変ではないか、という。政変というと、習近平から権力の座を奪おうとする軍のクーデターや反習近平派官僚による宮廷内クーデターをイメージするが、本来、鄧小平の打ち立てた集団指導体制と任期を2期に制限した平和的な権力禅譲システムを破壊して、独裁的権力を打ち立てようとする習近平の方が政変を起こそうとしているのだ、という見方だ。

 では、この政変が成功し、習近平が個人独裁体制を打ち立てた時、今度はビジブルな、目に見える文革が発動するのだろうか。中国が直面しつつあるこの政治的危機をどうやって回避することができるのか、私も想像がつかない。

 経済面では明らかにマイナスであり、国民の不満を増長する意味においても、このゼロコロナ政策がプラスになることはないと思います。しかもそれによって国民の健康に大きな貢献をしているとも思えません。それでもなお、頑なに続ける意味はこの記事にあるように、他にあるというのは想像に難くないと思います。

 もしそうであれば、つまり習近平氏の一人独裁のためであるとすれば、中国という大国を独り占め、つまり自分のものにしようとする大それた発想です。それはまさに秦から始まる皇帝と同じ易姓革命の現代版でしょう。そんなことが現実になるとは思えません。

 この記事にあるように、大老格の多くが習近平氏の思惑に反対の意を示しているとすれば、習近平氏の天下も長くはないかも知れません。ロシアのプーチン氏同様、裸の王様になり、いつかは一敗地にまみれる日も必ず来るでしょう。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月22日 (木)

極左集団と親密な政治家「れいわ、大石あきこ議員」の呆れた誹謗中傷事件

Fcc2ohkagaaoyws  れいわ新選組は山本太郎氏の元、衆参で8人の小党ですが、その反日的思想と共に、左翼団体とのつながりが強いのが懸念されます。特に大石あきこ衆議院議員(政策審議会長)は、極左集団とのつながりが強く、例の反社会的集団「関西生コン」ともズブズブの関係のようです。

 彼女およびれいわの実態とは何なのか、大石氏から誹謗中傷を受けて名誉毀損で提訴中の山口敬之氏が、月刊hanadaプラスに寄稿した記事を引用して紹介します。タイトルは『れいわ・大石あきこ議員と極左暴力集団』です。

7月26日、大石あきこ氏を名誉棄損で提訴した。派手な宣伝や告知はせず粛々と手続きを進めてきたが、大石氏は私の訴状を受け取るや否や、YouTube動画をアップロード。裁判費用を捻出するためのカンパまで募っているという――。「大石あきこ」とは一体どういう政治家なのか。

**************

なぜ大石あきこ議員を訴えたのか

私は今年7月26日、れいわ新選組(以下れいわ)なる国政政党の大石晃子(あきこ)衆議院議員を名誉毀損で東京地方裁判所に訴え出た。

それは大石氏が2019年12月、以下のツイートを連打したからだ。

Fireshot_webpage_screenshot__080____21__

ジャーナリストとして活動している私は、様々な案件について、様々な人から、様々な批判をいただく。批判の中には大変参考になるもの、大変勉強になるものが数多くある。正鵠を射た批判は、私の記者活動を反省し精進する非常に貴重な機会であり、大変ありがたい。

しかし大石氏のように、面識のない私を呼び捨てにし「クソ野郎」と断定するツィートは、批判ではなく憎悪に満ちた悪口であり、誹謗中傷である。

「計画的な強姦を行った」は事実無根の捏造発言

しかも大石氏は「計画的な強姦を行った」と断定した。私はそんなことは絶対にしていない。

そして伊藤詩織氏側ですら計画的な強姦など一度も主張したことはなく、「警察・検察の捜査」「検察審査会の審議」「東京地裁・東京高裁・最高裁判所の全ての審理」においても一度も認定されておらず、議論されたことすらない。

新聞やテレビ、さらに過激かつ辛辣な週刊誌ですら、「計画的な強姦」とする報道や主張をしたことは一度もない。大石氏は、どのメディアも一切伝えたことのないことを根拠なく付け足して、私の名誉を著しく毀損したのだ。また、大石氏は私の一部訴訟を「スラップ訴訟」と断定的に表現した。

私はこの5年間、様々な誹謗中傷を受け続けてきた。警察・検察・検察審査会の厳正な捜査・審査の結果不起訴が確定したにもかかわらず、「レイプ犯」「薬物強姦魔」などという誹謗中傷がネット上に飛び交った。

私と私の家族は深く傷つき続け、老父は失意の中で一昨年、静かに息を引き取った。

そして、一般のSNSユーザーに歪曲した情報を刷り込み、事態を悪化させ続けてきたのが立憲民主党、社民党、れいわといったリベラル野党の国会議員や関係者だった。

私は現在どの組織にも属しておらず、自営業として記者業を営む民間人である。

民間人が国政政党やその関係団体の悪意を持った情報発信などによって誹謗中傷を受け続けている時、できることは極めて限られている。ほとんど唯一といってもいい有効な手段が、訴訟提起である。

だから私は今、大石氏以外にも立憲民主党の

・有田芳生(前参議院議員)

・宇都宮優子(大阪府第12区総支部長)

などを名誉毀損で訴えており、現在審理が進められている。

日本国憲法はその32条で、全ての国民の裁判を受ける権利を保障している。私が伊藤詩織氏に対して起こした名誉毀損訴状の損害賠償請求額は、伊藤詩織氏の虚偽の申告によって私が失った収入の総額を弁護士が積算したものである。

私と私の家族に向けられる継続的な激しい攻撃に何とか歯止めをかけたいと考えて、憲法で保証された権利を行使して起こした裁判を「スラップ訴訟」ということ自体が、重大な名誉毀損である。

社民党かられいわへ 政党移籍の背景

大石あきこ氏は、れいわに所属する国会議員だ。

昨年秋の衆議院議員選挙で大阪5区から出馬したが、定員一名の選挙区で公明党と共産党の候補に敗れて3位と惨敗。得票数は当選候補の3分1しかなかったが、比例の近畿ブロックでも重複立候補しており、れいわが獲得した1議席に滑り込んだ。

しかし、大石氏は2019年4月の大阪府議選には社民党と新社会党の推薦候補として大阪市淀川選挙区から出馬している。定員2名の選挙区に3人が出馬したが、大石氏は最下位と惨敗し当選はならなかった。

元々大阪府の職員だった大石氏は、社民党から大阪府議選への出馬を促されて府を退職したと言われている。本来社民党に所属していたはずの大石氏が、なぜ昨年の衆院選ではれいわから出馬したのか。

このナゾを解くカギを握っているのが、斎藤まさし(本名・酒井剛)という人物だ。

上智大学在学中の1970年代から新左翼の極左活動に参加していた斎藤氏は各種のインタビューや対談で国際テロ組織「赤軍派」への共鳴を公言、「革命一筋。この30年間他に何も考えたことはない」「僕は革命のために選挙をやっている」「目的は革命なんだから、最終的には中央権力を変えなければならない」と述べ、極左思想に基づく政府転覆を目指す意向を隠していない。

1980年代以降は菅直人など旧民主党左派や旧社会党勢力と連携。「市民の党」という左翼政党を率いる傍ら、立憲民主党・社民党などと組んで国政選挙や地方選挙で極左活動家を出馬させてきた。

2011年4月に行われた三鷹市議会議員選挙では、代表を務める市民の党から、赤軍派のよど号ハイジャック事件で国際手配を受けている森順子氏の長男・森大志氏を出馬させた。

森大志擁立について斎藤氏は「北朝鮮でよど号の人間や娘たちと会った」「その中には森大志の姉もいた」「そうした縁もあって、長男が帰国してきてからつながりがあった」と述べ、今なお数多くの無辜の市民を惨殺した極左テロリスト集団である赤軍派の残党と連携していることを公言している。

今年の夏、唐突に外国人に住民投票の投票権を与える制度を強行しようとした松下玲子武蔵野市長を「政治家にした」のも斎藤氏だ。

2005年の東京都議選で、旧民主党の菅直人前代表と結託して、民主党候補を下ろして松下玲子氏に一本化し、当選させたのだ。

武蔵野市では、松下市長の唐突な外国人参政権拡大について違和感を表明した米穀店が過激な営業妨害を受けるなど、不穏な事態が続いている。

そして、2012年以降は山本太郎氏の国政進出を強力にサポート。山本太郎氏が「れいわ」を立ち上げる際には事実上のブレーンとして党綱領の策定や選挙戦略について山本氏へのアドバイスを続けた。

斎藤氏は2015年4月の静岡市長選で公職選挙法違反で逮捕され、懲役2年の有罪判決を受けたが、執行猶予がついたため収監されなかった。 

この後も各地の地方選に事実上、市民の党に所属する候補者を「無所属」としてステルス出馬させる一方、立憲民主党左派、社民党、れいわの国政選挙についても暗躍していると言われている。

極左関連の集会で演説した大石あきこ

大石氏は大阪府職員だった2018年2月、「連帯ユニオン」という労働組合の「議員ネット」集会に参加。2019年、2020年も参加し、2020年は議員でもないのにスピーチしたことがわかっている。

Eqpegnueaefdor

連帯ユニオンは、辻元清美氏や福島瑞穂氏など社民党系の議員と関係の深い「関西生コン」をルーツとする攻撃的労組だ。大石氏が参加した連帯ユニオンの集会には「関西生コンのドン」と呼ばれた武健一氏も出席している。

関西生コンは正式名称を「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」で、生コンクリートの調達を巡り、工事を妨害したとしてこれまでに延べ89人が逮捕されている。 このうちの一部被告については、9月13日の論告求刑で検察は最高で懲役8年を求刑したばかりだ。

そして、連帯ユニオンは中核派や革マル派など、過去に多くの殺人事件やテロ事件を起こしてきた極左暴力集団との深い関係が指摘されている。

Fireshot_webpage_screenshot__083____69__

例えば中核派は2017年11月27日発行の機関紙『前進』(2897号)の中で、「関西生コンの闘いに学ぶ」と題して、関西生コンの犯罪行為を称揚し見本とすべきと主張。それぞれの集会に互いの幹部が出席して革命のための暴力を厭わない姿勢を共有している。

統一教会は絶対ダメで極左暴力集団はOKなのか

れいわ代表の山本太郎氏は、統一教会問題について以下のような見解を発表している。

「ここ(旧統一教会)と距離を置かない政治なんてあり得ない。これだけの多くの被害者を生み出して、この国に生きる人々からしぼりとったおカネ、かすめとったおカネ、だまして奪い取ったおカネというものを、韓国側にも流されているわけですよね。こういうことはあり得ない」

「反社会的勢力と手をつなぎながら政治に関わり続けることはありえず、そういう人たちには退場してもらうしかない」

中核派や革マル派はかつて数々の内ゲバ殺人事件を起こしたばかりでなく、資本主義社会を殺人などのテロ行為によって転覆することを目標としている極左暴力集団である。

令和2年の警察白書では、中核派と革マル派は合わせて10,200人の組織活動家がいて、爆破や殺戮、盗聴などテロや犯罪行為を行う非公然組織を持っていると明記している。

そして「関西生コン」は威力業務妨害や恐喝などで延べ89人もの逮捕者を出していて、彼らのターゲットとなった民間企業や関係者に数多くの被害者が出ている。

自民党の議員は、統一教会本体のみならず、関係があったとされる団体でスピーチをしたり電報を送ったりしだけで激しく批判され、「距離が近い」「ズブズブ」などと攻撃されている。

れいわ代表である山本太郎氏が「多くの被害者を生み出した統一教会と距離を置かない政治はあり得ない」と主張するなら、自党の政策審議会長を務める大石氏が、中核派など極左暴力集団や89名もの逮捕者を出した関西生コンと関係の深い団体で演説したことについても、きちんと説明する義務がある。そして、大石氏自身も、国政政党の幹部として説明責任は免れない。

そもそも大石氏はなぜ、こうした極めて危険な極左暴力集団や、89人もの逮捕者を出した巨大犯罪に関与する組織で演説したのだろうか。

はっきりしているのは社民党から出馬する前の大阪府職員時代から、連帯ユニオン幹部と関係があったということである。さもなければ、組合の大きな集会に呼ばれることも、演説のマイクを託されるはずもない。

大石氏の演説風景を捉えた写真の背景には、「革命」「反原発」「打倒」の文字が躍る。

極左暴力集団や新左翼の特徴を色濃く映していると共に、旧民主党や社民党、れいわの黒幕である斎藤まさし氏との親和性は隠しようもない。

世の中を騒擾させるテロ支援政治家

大石氏が私を激しく誹謗中傷するツィートをしたのが2019年12月。この事実を知った私はできるだけ早く訴訟提起することを望んだが、諸事情により今年の初夏までは裁判の事前準備が終えられなかった。

そして、私としては7月の参院選に影響を与えることは本意ではなかったので、投開票の後の7月26日に正式に提訴した。

これは、裁判というのは政党や政治家の思惑に左右されることなく、静かな環境の中で審理が行われるべきであるという考え方に基づいた判断だ。

だから私は大石氏や有田芳生氏など政治家に対する名誉毀損訴訟を提起する際にも、派手な宣伝や告知はせず粛々と手続きを進めた。

ところが、大石氏は私の訴状を受け取るや否や、YouTube動画をアップロードした。

そして、裁判費用を捻出するためのカンパまで募っているという。

大石氏を含む国会議員には、約2180万円の給料(歳費)に加えて、月100万円年間1200万円の文書通信交通滞在費、65万円の立法事務費、年間約635万円の賞与やJR、航空券の無料クーポン券が与えられている。

公設秘書の給与を含めると、国会議員一人当たり、月約573万円、年約7500万円のコストが国民の税金から支払われている。

大石氏がTwitterに書き殴った根拠なき誹謗中傷に私が対抗する手段は訴訟提起しかない。訴訟はどんなものであれ精神的にもコスト的にも普通の人間には非常に厳しい。それなのに大石氏は私の一部訴訟を「スラップ訴訟」と誹謗した。

スラップとは、社会的強者が、社会的弱者に対して、言論の封圧や威嚇を目的として行われるもので、「恫喝訴訟」とも呼ばれる。

大石氏ら国庫から約7500万円の直接的サポートを受けている国会議員で、所属する「れいわ」は国庫から4億1300万円の政党助成金を得る。

いかなる組織にも所属せず細々と記者業を営んでいる私と、国政政党の国会議員として国庫と支援者から強力なサポートを得ている大石氏のどちらが社会的強者かは、言うまでもないだろう。

9月20日には大石氏との裁判の第一回法廷が開かれる。特に裁判所から求められているわけでもないのに、大石氏は出廷して記者対応もする予定だという。

私という民間人を無根拠に罵倒し、やむなく私が起こした訴訟までマスコミやYouTubeを使って集金・売名活動に使う大石氏。

その出自と政党遍歴が示す通り、「自己の利益と目的実現の為には手段を選ばない」という意味において、革命家やテロリストとの深い親和性を感じるのは私だけだろうか。

 れいわの山本太郎議員そのものもかなり怪しい政治家です。彼等はポピュリズムを利用し弱者にいかにも優しい甘い言葉で巧みに支持を得ようとしています。しかしその財源は全く語りません。なぜなら集票そのものが目的だからでしょう。一方で裏ではこうした反社会的極左集団とのつながりが強く、反日活動がその根源にあるようです。

 いずれにしろそのれいわに巣くうこの大石議員は、おそらく鉄面皮の人物でしょう。山口氏は伊藤詩織氏といい、またも変な相手から誹謗中傷を受けたものですが、何とか勝訴していただいて、このどうしようもない国会議員を、引きずり下ろしていただきたいものです。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月21日 (水)

習近平はどうして「死に体」プーチンとの連携を強化するのか?

220916kmr_pxr01thumb720xauto514566  先日ウズベキスタンのサマルカンドで開催された、第22回SCO(上海協力機構)の会合で、習近平国家主席とプーチン大統領の首脳会談が行われました。その会談で『習近平氏は、第20回共産党大会に向けて、「箔をつける旅」だった。41回目となったロシアのウラジーミル・プーチン大統領との「友情」を確かめる場ではなく』と、一部メディアで報じられています。

 実際両国の立場は、かつてのソ連と改革開放前の中国との立場からは、完全に逆転しています。ましてやウクライナ侵攻後の、経済制裁で孤立したロシアにとって中国は、経済的に最も頼れる相手であって、尻尾を振らねばならない国となってしまっています。

 しかし中国にとって、どうしてここまで傷を負ったロシアを擁護する必要があるのでしょうか。そのあたりの事情をNewsweek日本版の記事から引用します。タイトルは『習近平はどうして「死に体」プーチンとの連携を強化するのか』(木村正人氏寄稿)です。

<ウクライナの戦場では苦戦が続き、外交的にも経済的にも苦境に陥っているプーチンのロシアを中国が変わらず支え続けるのにはしたたかな計算が>

[ロンドン発]ウラジーミル・プーチン露大統領と中国の習近平国家主席は15日、ウズベキスタンで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて会談し、「中露の友情」と包括的・戦略的協力パートナーシップを改めて強調した。中露首脳が対面方式で会談するのは北京冬季五輪に合わせた2月以来で、ロシアによるウクライナ侵攻後は初めて。

ロシア軍がウクライナの占領地域から潰走、その跡から440遺体を超える集団墓地が見つかるなど残虐行為がさらに浮き彫りになる中、習氏が敢えてプーチン氏と会談した理由は何なのか。ロシア大統領府の発表によると、プーチン氏は会談冒頭、「ウクライナ危機に関する中国の友人のバランスの取れた立場を高く評価している」と習氏に感謝の意を伝えた。

しかし戦局の混迷に「中国の疑問や不安は理解できる。この問題に関するロシアの立場を詳しく説明する」と取り繕った。ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台をきっかけに緊迫する台湾情勢について「ロシアは『一つの中国』の原則を堅持している。台湾海峡における米国とその衛星国の挑発を非難する」と中国の立場を支持した。

プーチン氏は「一極集中の世界を作ろうとする試みは醜く、圧倒的多数の国家にとって容認できないものだ」とする一方で、「昨年、中露の貿易額は35%増加し、1400億ドルを突破した。今年に入ってからの7カ月間で2国間貿易はさらに25%増加した。近い将来、貿易額を2000億ドル以上に増やせると確信している」と経済関係の強化に胸を張ってみせた。

習氏「相互の核心的利益に関わる問題で相互支援を拡大する」

中央アジアに一帯一路の一部である「シルクロード経済ベルト」を構築したい習氏は「歴史上前例のない地球規模の急激な変化に直面し、中国はロシアの仲間とともに責任あるグローバルパワーとしての範を示し、世界を持続可能な発展の軌道に乗せるために指導的役割を果たす」「相互の核心的利益に関わる問題で相互支援を拡大していく」と応じた。

中国共産党系機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」は「中露関係は歴史上最高の状態にある。首脳会談は2国間関係の着実な発展のための保証であり、中露関係が外部の雑音に影響されないことを示すものだ。中露を政治的・軍事的に結びつけて他の世界との間に楔を打ち込もうとする米欧の試みに対しても中国は警戒を強めている」という専門家の見方を伝えた。

「ロシアのウクライナ侵攻前、米欧は中露の接近を恐れて、その間に楔を打ち込もうとした。侵攻後は中露を一つの陣営とみなして国際社会と対立させようとしている。中国は自主外交を堅持し、ブロック対立やいわゆる同盟に反対している。中露関係はウクライナ紛争や(冷戦マインドの)米国の封じ込めに対応したものではない」との分析も紹介している。

環球時報は論説で「中露の包括的・戦略的協力パートナーシップは『非同盟、非対立、いかなる第三者も標的にしない』という原則に基づいている。中露はいわゆる反米同盟を形成したわけではない。米国はインド太平洋版NATO(北大西洋条約機構)を作ろうとしている。覇権主義に反対しながら、米欧の政治的なウイルスに抵抗するために団結した」と非難した。

プーチン亡き後のロシア

ウクライナ戦争は、わずか2~3日のうちにキーウを陥落して親露派政権を樹立するというプーチン氏の所期計画が破綻、士気が低いロシア軍は北東部ハルキウや南部ヘルソンでウクライナ軍に戦術的な敗北を喫している。プーチン氏はまさに「死に体」である。

米コンサルティング会社ウィキストラットは8月、プーチン氏が死亡した場合、ロシアがどうなるかというシミュレーションを実施している。

ロシアが西側に回帰するという劇的な戦略転換がない限り、ロシアの中国依存度は時間とともに高まるという点で参加した23カ国の専門家56人の見方は一致した。ウクライナ戦争がいくら長引いても中国は漁夫の利を得る。制裁が西側へのロシア産原油・天然ガス輸出に重大な影響を与えるため、ロシアは貿易面で中国に頼らざるを得なくなるからだ。

ウィキストラット社の報告書は「プーチン氏が死んでもロシアの戦争継続の決断に影響を与えるとは考えられない。プーチン氏の後継者が2014年にウクライナから奪取した領土について妥協することもないだろう。短期的には政権の安定が唯一の目標になる。ロシアの外交政策は他の利益や目標より体制の安定確保を優先させるだろう」と予測している。

報告書は「中国はプーチン氏の死を南シナ海でより積極的な政策を追求する好機とみるかもしれない。習氏は権力掌握と政治的抑圧をさらに強める可能性がある」「プーチン氏の後継者は北コーカサス、ヴォルガ地方や近隣諸国の緊張に対処しなければならない。新政権はモスクワとの関係を再定義しようとする国々にタカ派的な戦略を取る可能性が高い」という。

北朝鮮化するロシア

中国については「ウクライナ戦争が継続すれば、プーチン氏の後継者は中国からエネルギー価格の引き下げを迫られる可能性が高い。中国はプーチン氏の死とそれに伴う不安定な状況を自国の経済的立場を強化する好機ととらえるだろう」と分析する。ロシアは、中国に従属する北朝鮮の状況にますます似てきていると指摘する専門家さえいた。

『モスクワ・ルール ロシアを西側と対立させる原動力』の著書があるロシア研究の第一人者で、英シンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)上級コンサルティング研究員のキーア・ジャイルズ氏はシミュレーションの中で「ウクライナ戦争の行方がどう転んでも中国の利益になる」と話している。

ウクライナで早期和平が実現した場合、世界は安定と予測可能性を取り戻し、ロシアとの包括的・戦略的協力パートナーシップが軌道に乗り、中国に経済的利益をもたらす。戦争が継続すれば、ロシアの経済力・軍事力が弱体化し、ロシアがウクライナに侵攻したように、中国がロシアとの現・国境線の「歴史の過ち」を正す日が近づいてくることになる。

米欧との対立が深まる習氏にとって太鼓持ち役を担ってくれるプーチン氏ほどありがたい存在はいない。体制を維持する上でもプーチン氏は強力な盾になってくれている。

しかし「ロシアの国際秩序に対する破壊的な影響力が中国自身の政治的、経済的利益を侵害し始めたと認識すれば、中国は現在の立ち位置から一歩前進せざるを得なくなるかもしれない」とジャイルズ氏は指摘する。

 環球時報が報じている『非同盟、非対立、いかなる第三者も標的にしない』と言う文言が如何に空虚で嘘の塊であるか、また西側を「覇権主義」と言い切っていますが、中露こそ覇権主義の権化でしょう。この環球時報の記事は中露ともまさに「自己中で他責の国家」の象徴であることを示しています。

 それは別としてこのコラムの後段はプーチン亡き後や失脚後を取り上げていますが、習近平よりプーチンが先に亡くなるとは限らないのでは、と思いますね。「死に体」と言うことを強調しているのでしょうか。

 いずれにしろ中国がロシアウクライナ侵攻を、政治的に利用しているのはその通りでしょう。しかしその中国もこのブログで何度も紹介しているように、この先経済失速が必然だと思います。そのとき習近平も「死に体」となる可能性もゼロではないでしょう。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月20日 (火)

30年間経済停滞の日本、「経常収支」の赤信号が示すその深刻度

16_20220919165401  日本の周辺には中朝韓露という、日本を敵視する3つの核保有独裁国家と、1つの歴史捏造の反日国家があります。そのうち朝は経済最悪の最貧国、露は制裁を受けて経済急下降中の国家、中韓は今までがピークでこれからは経済下り坂の国家です。

 ですから日本が経済を復活させ、抑止力も十分に持てば、これら日本を敵視する国家群をそれほど気にする必要はないでしょう。しかしその日本も経済的な弱体化が進めば話は変わってきます。

 失われた30年と言われ、デフレに苦しんできた日本、それでも10年前までは貿易黒字を積み重ねてきました。潮目が変わったのは東日本大震災。原発の殆どが稼働ストップし、その後も人為的に再稼働を遅らせてきた結果、化石燃料を年に数兆円も余計に輸入せざるを得なくなり、貿易収支の悪化に火を注いでいます。もちろんそれ以外にもイノベーションの遅れから経済競争力が停滞し、輸出で売り負けすることも多くなったのも要因の一つでしょう。

 ここへ来て更に、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーや食料価格が暴騰し、円安も進んで、一気に赤字が加速し、貿易収支だけではなく、黒字一辺倒だった経常収支までその維持が怪しくなってきました。

 その実態と今後の対応を、経済評論家の加谷珪一氏がJBpressに寄稿した記事から引用します。タイトルは『戦後初めて、日本の「経常収支悪化」が数字以上に深刻な事態である理由 日本の経済構造は大きな転換点に、そろそろ経常収支について本格的な議論を』です。

17_20220919165501  全世界的な物価高騰や円安によって日本の経常収支が悪化している。日本の経常収支は構造上、そう簡単に赤字転落することはないが、仮にこのまま貿易赤字が続いた場合、慢性的な赤字転落の可能性もゼロではない。経常収支については誤解も多く、十分な議論が尽くされているとは言い難い。一方、経常収支が経済にもたらす影響は大きく、今後も円安傾向が続くのであれば、収支悪化を前提にした対策が必要となるだろう。

*******

経常収支を構成する二本柱

 財務省が発表した2022年7月の国際収支統計よると、貿易や投資によるお金の出入りを示す経常収支は2290億円の黒字だった。前年同月比では約9割のマイナスであり、7月の黒字額としては、比較可能な1985年以降、過去最小である。これは季節ごとの調整を行っていない数字だが、季節調整済みでは6290億円の赤字である。

 経常収支が悪化した最大の理由は、貿易赤字の拡大である。全世界的に物価が高騰していることに加え、円安で輸入価格が上昇しているため、海外への支払いが増えた。これによって全体の収支も悪化している図式だ。

 経常収支というのは、大雑把に言えば貿易収支と所得収支(海外からの投資収益)の2つで構成される。戦後の日本は基本的に輸出主導型で成長を実現しており、高度成長期以降の日本は、一貫して貿易収支が黒字であった。貿易黒字によって獲得した余剰の外貨は、海外投資に振り向けられるが、そこから得られる利子や配当(所得収支)が所得収支である。

 ピーク時には、莫大な貿易黒字に所得収支の黒字が加わり、経常収支は大幅黒字という状況が続いてきた。だが日本の輸出競争力の低下とともに貿易黒字額が減少し、2005年以降は、貿易黒字よりも所得収支の方が金額が大きくなっている。

 つまり近年の日本経済は、経常収支を構成する2本柱のうち、貿易収支ではなく、投資収益が大黒柱となっているのだ。分かりやすく言えば、日本は輸出ではなく、投資で儲ける国に変貌したことになる。

 貿易収支と所得収支が逆転した後、しばらくは安定状態が続いてきたが、大きな転換点となったのが今回のインフレと円安である。

 海外の物価が上昇し、製品価格そのものが上がったことに加え、円安で日本の輸入金額は大幅に増大している。為替が安くなれば輸出金額も増えるはずだが、製造業の多くはすでに海外に生産拠点を移しており、輸出金額の増加よりも輸入金額増加による影響が大きい。このため、貿易収支が赤字になる月が増えており、経常収支を構成する大きな柱の一つを失いつつあるのが現状だ。

経常収支と経済成長は決して無関係ではない

 もっとも、経常黒字の源泉となっている所得収支は、そう簡単には減少しないので、貿易赤字が一定範囲に収まっているうちは経常黒字を維持できる。だが、鉄壁に見える所得収支も、その内訳を見ると必ずしもそうとは言えなくなってくる。

 日本の所得収支の半分は証券投資によるものだが、半分は海外に移転した現地法人からの配当や利子などで構成される。これは形を変えた輸出であり、コスト対策から海外に工場を移転した現実を考えると、さらに安価な新興国が台頭してきた際には、競争力を失う可能性がある。つまり日本の所得収支の半分は、今後、減少していくリスクに晒されているのだ。

 そうなってくると、確実に収益をもたらす所得収支は証券投資の部分だけであり、実質的に所得収支は半分と考えたほうがより確実だろう。今後も円安傾向が続き、貿易赤字が定着した場合、条件次第では経常赤字に転落する可能性がある。

 経常収支というのは、最終的なお金の出入りを示しているに過ぎず、その数字自体が国の経済力、あるいは成長率を決めるものではない。

 経常収支が赤字転落するリスクについて指摘すると、必ずといってよいほど「経常収支と成長率には何の関係もない」「経済のイロハも知らないのか」といった暴力的な批判が出てくる。だが、経常収支と経済成長が無関係というのは、あまりにも教科書的かつ短絡的な解釈であり、現実には経常収支と成長率には密接な関わりがある。とりわけ日本のような産業構造の場合、経常収支が赤字転落する影響は極めて大きい。

海外から資金を借りた時の利払い負担は大きい

 日本の国際競争力は著しく低下しており、最近では安価な工業製品のみならず、スマホや家電など付加価値の高い工業背品まで輸入に頼るようになった。米国のような基軸通貨国は例外だが、日本のようなマイナー通貨しか持たない国の場合、輸入を行うにはドルなどの外貨を準備する必要があり、外貨がなければそもそも経済を回せない。

 経常収支が赤字転落した場合、輸出によって獲得したドルが流出してしまうため、海外から資金を借り入れる必要が出てくる。利払い負担は大きく、これが企業活動の足かせになる可能性は十分にある。

 加えて海外からの借り入れが増えた場合、良質な資金を調達できなければ、海外の市場動向に振り回されてしまう。急激な資金の引き上げなどが発生した場合、国内経済に甚大な影響を及ぼすことも考えられる。経常収支が悪化している国は、良質な外国資本を獲得できる金融市場を整備する必要があるが、その点において日本はまだ十分な体制ができているとは言い難い。

 先ほども説明したように、仮に貿易赤字が定着しても日本には所得収支があり、簡単に経常赤字に転落するわけではない。だが、長期的に見た場合、日本の経常収支は悪化しやすい環境が揃っており警戒が必要である。

貯蓄率が低下すると、かなりの確率で経常収支が悪化する

 貯蓄投資バランス論というのはマクロ経済学の基本中の基本となっている理論だが、これによると国民が行った貯蓄は、財政赤字と国内の設備投資、そして経常収支の3つに案分される。日本政府の財政は慢性的な赤字であり、今の政治状況を考えると財政赤字が解消される見込みはほぼゼロである。

 一方、国内の設備投資を減らしてしまうと、店舗や生産設備の更新などインフラ整備に支障を来たすので、大幅に縮小するのは難しい。 国内では今後、高齢化が急ピッチで進む可能性が高く、賃金は下がる一方となる。この状態が続いた場合、近い将来、日本の貯蓄率が大幅に低下するのはほぼ確実だろう。一連の条件を先ほどの貯蓄投資バランス論の式に当てはめると、貯蓄率が低下した場合、経常収支が悪化することでしか式のバランスが取れない。

 こうした状況を総合的に考え合わせると、現状、分厚い所得収支があるからと言って、経常収支は赤字にならないという楽観的な見通しを持つべきではない。

 経常収支の悪化というのは戦後経済が経験しなかった事態であり、日本の経済構造や産業構造が大きな転換点に差し掛かっていることを示唆している。従来の常識は一旦捨て去り、これからの日本がどのような経済構造を目指すべきなのか、ゼロベースでの議論が必要だ。

 先日ツイッターで日本の競争力は「東アジア圏では中国、韓国、台湾、マレーシア、タイよりもランクが下」という投稿がありました。購買力平価で比較した一人あたりGDPでも2019年に韓国に抜かれています。明らかに日本の競争力、それを元にした経済力は沈滞しています。つまり他の先進国や中進国が経済成長しているのに、日本は30年間止まったままなのです。

 新しい資本主義もいいのですが、ここは腰を据えて日本の競争力を高める為の施策を、本気で考えねばなりません。そして何より企業や家庭に眠る資金を国内投資に役立て、新しい産業やベンチャーを育て、雇用を生み、子育てができる環境作りの政策を早急に打ち立てる必要があります。

 もちろん食料やエネルギーの分野への積極投資も必要です。なぜなら日本のアキレス腱となるからです。そうした上で様々な日本の経済再生プログラムを作り上げる必要があります。野党の政策提言の目玉はここが狙いだと思いますね。旧統一教会に血道を上げる野党など、この重要な曲がり角に来た日本に必要ありません。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月19日 (月)

旧統一教会問題の本質はどこにある?何故メディアはここまで取り上げるのか

Images-8_20220919100301  安部元首相の国葬儀が27日行われますが、マスコミではその賛否を巡る報道が連日のように繰返されています。しかも反対の視点からの報道が目立ちます。日本を愛し、強い日本を復活させようと頑張ってきた、そして歴代最長の首相在任期間の安倍氏を、亡くなった後まで貶めようとする勢力が反対の大合唱をしています。

 そして襲撃事件の容疑者の犯行経緯から急速に持ち上がった、旧統一教会問題。今や宗教団体という枠を超えて、反社会的集団のような扱いで報道する各種メディア。その背景には反安部、そして反自民、もっと言えば反日の集団が、現政権の転覆を狙った一大キャンペーンのような様相も呈しています。

 確かに旧統一教会の問題は、政治家との癒着と共に霊感療法など裏の顔も見え隠れしています。しかし本当の実態はどうなのでしょうか。その詳細を、宗教学者の島田裕巳氏が、現代ビジネスに寄稿した記事から引用して紹介します。タイトルは『今やすっかり「強大な力を持つ宗教団体」、統一教会問題の実像を探る 「政治と宗教の癒着」疑念はどこから』です。

そもそも今、日本の宗教は

統一教会(現在は、世界平和統一家庭連合)はすっかり「強大な力を持つ宗教団体」になってしまった。たんに自民党などの議員と関係を持つだけではなく、自民党の政策までも統一教会に左右されているというイメージがふくらんできた。

本当に統一教会はそれほど恐るべき宗教団体なのだろうか。

合同結婚式のことで騒がれた1990年代はじめから、この30年のあいだ、統一教会のことがほとんど話題にならなかっただけに、元首相の狙撃事件の衝撃はあるものの、今日の取り上げ方にいささか唐突な感があることは否めない。

統一教会の信者数については、宗教情報リサーチセンター(公益財団法人国際宗教研究所)が2015年の数字として56万人という数字をあげている。全国に広がった宗教法人の場合には、文化庁に信者数を届け出ることになっているが、統一教会は都道府県で認証された団体であり、報告をしていない。したがって、文化庁が出している『宗教年鑑』には、信者数の記載はない。

『宗教年鑑』に報告された信者数にしても、あくまで宗教法人の側が示したもので、公称であり、実態に即しているという保障はない。既成仏教教団の例になるが、浄土宗となると、少なくともここ25年以上にわたって信者数はまったく変わっていない。1人も増えていないし、1人も減っていないのだ。

信者数、たったの2万2000人!?

新宗教の信者数について、私が参考にしている数字は2つある。

1つは、1996年にNHK放送文化研究所が行った県民気質の調査である。4万人を超える調査対象者のうち、創価学会が3パーセント、立正佼成会が0.5パーセントという数字が出ている。これだと信者数はおよそ360万人と60万人ということになる。

もう1つは、大阪商業大学が20年以上続けている世論調査で、JGSSと呼ばれるもので、信仰についても尋ねている。単年度だと調査対象となる数が少ないので、各教団の信者数を割り出すことはできない。ただ、20年以上にわたるデータの蓄積があり、対象者の総数は4万2373人に及んでいる。

それをもとに新宗教の信者数を出してみたのだが、統一教会の場合には2万2000人という数字が出た。これは信者としての自覚をはっきりと持っている人間の数と考えられる。事実上やめている、あるいは活動していない信者を合わせれば、その倍くらいにはなるだろう。それでも5万人には達しない。

56万人という数字の10分の1にも満たない。統一教会の元信者である仲正昌樹氏とは、ある雑誌の座談会で同席したが、彼がいた1980年代でも、信者数は2万人に満たなかったと語っていた。統一教会の信者数は2万人前後と考えて間違いないだろう。

新宗教の衰退は止まらない

統一教会が大教団でないことは確かだが、では他の新宗教はどこだろうか。

大阪商業大学の調査をもとにすると、創価学会が217万人、天理教が38万人、顕正会が33万人、立正佼成会が20万という数字が出てくる。創価学会の217万人は、県民気質調査の数字と大きくは変わらない。全体の1.7パーセントだからである。

おそらく、この数字を見ると、新宗教の信者数は意外に少ないという印象を持たれるかもしれない。

ちなみに、公称で1100万人の信者を抱えている幸福の科学は3万8000人である。

PL教団は、高度経済成長の時代には大きく発展したが、こちらはなんと1万2000人であり、統一教会よりも少ない。たしかに、PL教団では最近教祖が亡くなったが、後継者も決まっていない。教団としてほとんど機能していないのではないだろうか。

宗教団体は、既成宗教、新宗教を問わず、バブルの時代が信者数はピークだった。その後、平成の30年のあいだに、どこも信者数は相当に減らしている。したがって、大阪商業大学の調査をもとにした数字も、20年間の中間、2010年頃の数字と考えた方がいいかもしれない。今はもっと減っているはずだからだ。

この実態で選挙に影響力を持てやしない

選挙になれば、創価学会がもっとも顕著だが、信者は知り合いにも声をかけ、投票依頼を積極的に行う。その点では、統一教会には数万票を動かす力はあるかもしれないが、教団単独で当選者を出すのは不可能だ。

統一教会に多くの信者が入ったのは、創立者が同じ文鮮明で密接不可分な関係にある国際勝共連合が活発に活動していた時代である。その後、冷戦構造が崩れたことで、反共運動はその意義を失い、文も亡くなった。亡くなった後には分裂騒ぎも起こり、それを契機に脱会した信者も少なくない。

たしかに、統一教会が選挙運動に協力することなどで自民党の議員と関係を結んでいることは事実だ。ただ、自民党の主張と統一教会の主張が重なって見えるのは、統一教会が影響を与えたからではなく、統一教会の側が自民党に擦り寄るために、そうした主張を取り入れた結果だろう。

夫婦別姓反対など、統一教会の母国韓国が夫婦別姓であることを考えれば、統一教会にはむしろそぐわない。憲法改正についても、韓国生まれの統一教会がそれに関心を持つとは思えない。

統一教会は、安倍元首相やアメリカのトランプ元大統領がメッセージを寄せるようなイベントを開いてきた。だが、それ以上、何か具体的な成果をあげているのかという点になると、それが見えてこない。

イベント要員としての自民党

統一教会は、霊感商法や信者に高額献金を求めることで、多くの資金を稼ぎ出してきた。そうした資金は、関連団体を維持運営することや、イベントの開催に使われてきたはずだ。逆に、イベントを盛んなものにするために、もっと言えば見せかけるために、多額の資金を必要とした。

そして、自民党などの議員と関係を持ったのは、イベントに参加してもらい、祝電を打ってもらうためで、その目的はひとえにイベントを盛り上げるためにあったと言えるのではないだろうか。

文鮮明が発案した日韓トンネルの事業などは、たしかに莫大な費用を要するものである。だからこそ、九州の政治家たちが利権を求めて、そこに集まってきたわけだが、実現性には乏しい。実際、九州側で少しトンネルを掘っただけである。到底、これが実現するとは思えない。

こうした事業も、政治家に統一教会とその関連団体に関心を持たせるための手段で、それ以上の意味を持ってはいないのではないだろうか。

「無党派」の増加、「無宗教」の増加

統一教会が霊感商法をはじめ、問題のある活動を行ってきたことは事実である。また、反共運動としての性格を持っている以上、共産党などと対立してきたことも事実である。

けれども、統一教会の力を過大に評価することは危険である。統一教会があたかも日本の政治を牛耳っているかのようにとらえてしまうと、実態を見誤ることになり、かえって教団を宣伝することにも結びつきかねない。

30年ほど前、合同結婚式やマインドコントロールで騒がれたとき、自民党との関係が問題視されなかったのは、その時点で自民党は下野し、政権の座になかったからである。

その点をおさえておく必要はあるが、今回、統一教会の自民党との関係にこれだけ注目が集まったのはそれだけではないだろう。

この30年で変わったものは何だろうか。

それは、各宗教団体が信者数を減らすことで、無宗教の人間が増加したこともあるが、一方で、政党の支持についても、「無党派」が増えている。

NHK放送文化研究所が5年ごとに行ってきた「日本人の意識」調査では、1993年の調査では支持政党なしが41パーセントだったのが、2018年の調査では60パーセントに増えている。当然、各政党の支持率も軒並み低下している。

「無党派」から見て宗教団体は怪しい

無党派が増えた原因としては、政治不信の高まりが指摘されることが多いが、むしろ「圧力団体」が軒並み力を失ってきたことの方が影響は大きいのではないだろうか。

圧力団体とは、特定の利害にもとづいて、政治に影響力を及ぼす各種の集団のことで、農協や医師会などの職能集団、遺族会、あるいは労働組合、宗教団体が含まれる。

農協の力もかなり落ちているし、遺族会など、かつては相当な政治力を発揮したが、今は高齢化で会員も激減した。労働組合も、総評が解体され、連合に変わったものの、その存在意義は薄れた。だからこそ総評を支持母体とした社会党は消滅したのだ。

国民が政治に強い関心を持つのも、そのあり方が直接自分たちに影響を及ぼす時である。圧力団体の一員になることは、まさに政治の世界と利害関係を結ぶことにつながる。そうした圧力団体の力が弱まり、集団に加わる人間が減れば、政治は自分たちとは遠い世界のものになってしまう。無党派は、まさにそういう立場におかれた人間たちのことである。

無党派の人間からすれば、政治は一部の人間たちだけが深くかかわっているもので、自分とは無縁なものに思える。特定の政党を支持する理由も見出せない。結局、政治や政治家、あるいはそうした政治家とかかわる一部の人間たちが、自分たちの利害のために悪事を働いているかのように見えてしまうのだ。

とくに宗教団体は、外側からはその活動やそこに属する人間たちの姿が見えてこない。その分、悪事を働いているのではないかという疑惑を生むことになりやすい。そして、陰で悪事を働く宗教団体やそれに巣くう政治家は許せないと感じてしまうのである。

日本人はなにゆえ我慢できないと思うのか

かつての多くの日本人が暮らしていた村社会は、共同体の規制が厳しかったものの、相互扶助というあり方が浸透し、個人を孤独にさせることはなかった。

ところが、近代化によって、さらには戦後の高度経済成長によって、村を出て都会に出てきた人々は、自由を得た代わりに、村社会のように自分を支えてくれる共同体を失った。

その分、企業や労働組合、あるいは新宗教が、それを代替する役割を担うようになり、多くの人を引き寄せた。企業への就職も、金銭を得るためだけではなく、自分を支えてくれる共同体を求めるという面があった。

時代が変わり、国際化が進むなかで、そうした共同体の役割を担う集団の力が衰え、そこに属する個人との関係も大きく変わった。私たちのほとんどは、かつての村社会にあたるような共同体との関係を取り結んではいない。その分、個人として、社会と、さらには国際社会と対峙するしかない。

そうなると、どうしても自分の無力さを強く意識し、依然として共同体に属している人間に対して複雑な感情を抱かざるを得なくなる。

統一教会の問題は、そうした状況にある私たちのあり方と、その問題点を浮上させることにもなったのではないだろうか。

やがて統一教会の騒ぎはおさまるだろうが、多くの国民がよるべない境遇にあることは変わらない。むしろ、その傾向がより強くなる可能性が高い。そして、政治はさらに遠のいていく。

政治と宗教の癒着に我慢がならないと思うのはなぜか。私たちは、その問いを私たち自身に向ける必要があるのではないだろうか。

 旧統一教会の実態と言うよりは、日本社会の大衆マインドの変化を述べているような内容です。興味深いのは政治無関心派が増えているその要因の記述よりも、そうした政治無関心派がかえって、政治圧力団体やその圧力団体によって支持されている政治家や政党に、不満を持つだろうと示唆していることです。

 そして、国民の半数以上を占める、そう言った政治には無関心の集団は、逆に政治を動かしている裏の何かが取り上げられると、一気にそこに興味を示す姿勢は強くなるでしょう。何しろ利害がないのですから批判のトーンも強くなるはずです。

 実は多くのメディアはそこを狙っているように思えます。購読者を引き留め視聴率を上げるには、どうしてもこの多数を占める、政治的無関心でかつ政治的スキャンダルに敏感な層に、的を絞って取り上げる傾向があります。旧統一教会問題や国葬儀の問題は、その格好の対象(えじき)になっていると思いますね。

 問題は、この政治的無関心層に向けた問題の取り上げ方が、特定野党や反日集団に心地よいように、本質的なものにフィルターをかけて、魔女狩り的な傾向になっていると言うことでしょう。我々は踊らされることなく、その本質を見分けていかねばなりません。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月18日 (日)

衰退か暴発か、「小物」?すぎる習近平が導く中国の危ないこれから

Images-7_20220918105001   中国経済の曲がり角を示す記事が多くなってきました。ドイツでも日本でも、戦後急速に経済拡大した国は押し並べて、安定成長から低成長に移行しています。経済の急拡大に伴うひずみや、また人口減少の影響もあるでしょう。

 中国にしてもその例外であるはずがありません。しかも中国では市場経済導入と言っても、共産党による計画経済の側面が色濃く残っていて、経済効率をあまり重視しない国営企業に重点を置いた政策を実施していますし、それが企業の自由競争を阻害しています。

 また住宅やインフラ関係に必要以上の投資をし、その付けも今後重くのしかかってくると思います。そして何よりもゼロコロナに見られる硬直した政策運営が、経済の足を引っ張っている点も見逃せないでしょう。

 そうした政策運営のトップ習近平国家主席の率いる中国。これからどうなっていくのか。Martial Research & Management 主席経済顧問の川島博之氏が、JBpressに寄稿した記事にその要旨を語っています。タイトルは『衰退か暴発か、「小物」すぎる習近平が導く中国の危ないこれから 北戴河会議で何が起こったのか?「まともな中国人」は今の情勢をこう見ている』で、以下に引用します。

 金融と政治の間には密接な関係がある。共産党独裁の国である中国であるなら、それは尚更のことだ。中国で金融に携わる人々は細心の注意を払って政治の動向を見つめている。

 今年(2022年)は5年に一度の共産党幹部の交代の年に当たるために、例年にも増して北戴河(ほくたいが)会議に注目が集まった。北戴河会議は秘密会議であるがOBが多いことから、そこで話された内容はどこからともなく漏れ出てくる。早耳は金融界で生き残るための必須条件であり、金融関係者は漏れてくる情報の収集に躍起になる。仲間内での情報交換も盛んだ。

 そんな中国の金融機関に勤める中国人の知人に話を聞くチャンスがあった。そこで聞いた話は、日本で流布している話とは違う部分が多い。それはこんな話だった。

北戴河会議での習近平の反論

 習近平が3期目に入るのは間違いないが、習近平は強くない。習近平は北戴河会議に向けて用意周到に準備を進めてきたので、余裕で会議を乗り切ることができると見られていた。しかし、会議が始まると習近平は多くのOBから激しく攻撃された。その論点は次の4つになる。

15_20220918105101  第1に不動産バブルを崩壊させたこと。第2に米国、日本との関係を悪化させたこと。第3に一帯一路が失敗に終わったこと。最後に新型コロナ対応の失敗。習近平は任期中、特に直近の5年間は何一つ成果を上げられずに失敗を繰り返した。そう非難された。

 習近平は防戦一方になったが、次のように反撃に出た。まず、不動産バブルの崩壊は自分の責任ではない。地方政府による農地の売却と公共投資を組み合わせた経済モデルは江沢民の時代に作られたものであり、胡錦濤時代にはすでにバブル化していた。胡錦濤時代に違った経済モデルへの転換が必要だったのだが、それは行われなかった。自分はバブルの後始末に追われただけであり、バブル崩壊は必然であった。自分の責任ではない。

 台湾解放は建国以来の共産党の悲願である。自分はその達成のために力を尽くした。一帯一路も国際世論を味方につけるために行ったものであり、現にアフリカ諸国からは絶大な支持を集めている。米中関係、日中関係の悪化は、台湾解放という大義の前に避けては通れないものである。

 新型コロナへの対応はまだその途上であり、その是非はもう少し時間が経ってから議論すべきであろう。米国は大量の死者を出したが、あれと同じでよかったのか。

 議論は平行線をたどった。確かに不動産バブルへの対応は誰がやっても難しい。そして、その元を作ったのは江沢民であり、胡錦濤や温家宝が適切な対応をとらなかったから現在の困難があるとも言える。習近平の責任ではない。

 また国是である「台湾解放」を持ち出されると、OBは黙りこむしかない。もっと良い方法があったはずだと言っても、習近平からそれはどんな方法かと問われれば、妙案があるわけではない。

毛沢東や鄧小平とは異なる「小物」

 結局、習近平とOBの議論は痛み分けになり、人事の話に移っていった。そこでは習近平の3期目突入は認められたが、全権移譲という話にはならず、李克強、汪洋、胡春華といった共産党青年団出身の面々が力を持つことになった。共産党青年団出身者は日本で言えば東大法学部卒のエリートのようなもので、江沢民派など経済界に力を持つ人々とはソリが合わないが、今回は反習近平ということで意見が一致したようだ。

 その一方で、習近平が引き上げた北京、上海、重慶の書記は新型コロナ対策の失敗などによってOB連中から落第点をつけられ、首相など重要なポストに就任する目はなくなった。

 OBの意見は、政権の内部にいる多くの現役幹部の意見と言ってよい。OBは勝手に発言しているわけではない。上司に逆らえない政権内部の人々の陰の声を代弁している。

 習近平は過去に自分と関係のあった人々を要職に抜擢してきたが、それを10年続けても巨大な中国共産党を掌握することができなかった。現在の共産党の多くの幹部は、内心は習近平を尊敬していない。毛沢東や鄧小平とは異なる小物と見ている。

 歴史に残る業績を上げなければ、共産党を掌握できない。汚職退治と称して政敵を滅ぼし、側近を抜擢するだけでは皇帝になれない。今回の北戴河会議で、習近平はそれを痛いほど思い知った──。

習近平が暴発する可能性

 知人は以上のようなことを教えてくれた。それを踏まえて私と知人は今後のシナリオについて話し合った。シナリオは2つに絞られる。

 第1は中国の衰退が始まるというものだ。不動産バブルは崩壊し始めており、その一方で若年人口が減少し老人が増えている。中国経済は極めて苦しい状況にある。それにもかかわらず、党内を掌握できない習近平は果敢な政策を打ち出すことができない。官僚たちは習近平の4期目がないと知って、面従腹背といった態度を取り始める。その結果として、政権は3期目に入ってすぐにレームダック化する。そして5年後の2027年には、かつての日本がそうであったように、米国に挑戦しようなどという気力は失せてしまう。中国は東洋の目立たない国になる。

 第2のシナリオは習近平の暴発だ。偉大な業績がなければ皇帝になれない。今回それを思い知った習近平は強権を発動して政敵を黙らせて、台湾解放という博打に打って出る。

 その時期は2023年。誰がどう見てもバイデンは弱腰であり、それがウクライナ戦争の一因だ。そうであるならバイデンが大統領である間に打って出る必要がある。

 2024年は米国大統領選挙の年であり、そんな時期にことを起こせば、弱腰のバイデンといえども人気取りのために強硬な手段に出てくるだろう。また、バブルの崩壊は時間が経過すれば経過するほど影響が深刻化するから、早い時期に打って出たほうが良い。その心境は日本が真珠湾攻撃を選択した時に似ている。今やらなければやる時がない。

 だが、ある程度の地位にありそれなりの知識を持つ中国人は、台湾解放が成功するとは思っていない。彼らは中国軍の内情をよく知っている。インターネット網を攪乱させるサイバー攻撃、そしてミサイルや飛行機による攻撃はできる。しかし、それだけで台湾は降伏しない。大量の兵士を台湾に上陸させなければならないが、中国軍にそんな力はない。たとえ台湾に兵士を上陸させることができても、十分な補給が続かなければ兵士は簡単に降伏してしまう。

 そもそも中国兵は日本兵が硫黄島や沖縄で戦い続けたような国家、軍隊への忠誠心や服従心を持っていない。兵士は金のために中国軍で働いているのであって、戦うためではない。

 また、台湾の海上封鎖によって米国や日本、西欧の船舶に損害や人的被害が出れば、中国は一方的に悪者になってしまう。第1次世界大戦においてはドイツがルシタニア号を沈めたことが米国の世論を激昂させ、それはドイツが敗北する原因になった。

 戦いによって台湾を解放することは容易ではない。習近平が永遠の権力(つまり皇帝になること)に固執すると、中国はとんでもない事態に見舞われてしまう。台湾解放に失敗すれば、共産党政権の是非を含めて中国は大きく混乱することになろう。

 習近平の3期目最初の1年は緊張感を含んだものになる。日本は第2のシナリオについて、どのような事態になっても対応できるように十分に準備をしておく必要がある。

 かつて日本に帰化した評論家の石平氏が、「習近平は小物」だと、同じようなことを言っていましたが、しかし小物だから逆に暴発しやすいかも知れません。ロシアのプーチンは、KGB時代はさほど目立たない存在だと言われていましたが、大統領になり、最近あんな大それた事をしたように、人はよく分からない事もあります。

 ですから台湾侵攻の暴挙はないと言い切れません。その備えは日米台とも十分すぎるほどしておく必要があります。その一方で中国の経済は今がピークでしょう。これからは坂を転げ落ちるのか、何とか現状維持を続けるのかは分かりませんが、ロシアとまでは行かなくとも、西側諸国が一定の経済制裁を課していけば、転げ落ちる速度は増していくものと思われます。

 ロシアは経済制裁されても食料とエネルギーは自給できます。人口も2億に届きません。一方の中国は食料とエネルギーをかなり他国に依存しています。経済制裁はロシアよりダメージが大きいような気がします。それによる反動も大きいでしょうが、台湾侵攻という暴挙の時点では、反中国陣営は結束して経済制裁に向かうでしょう。中国は台湾を取るか、14億人を食わせ続けるか、厳しい選択を迫られるでしょう。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月17日 (土)

NHK受信料不要の「チューナーレステレビ」 それでも大手国内メーカーが参入しない本当の理由

2209091527_7714x484  NHKの受信料について賛否両論が渦巻いています。未払いを公然と党是に掲げた政党も出てきていますが、確かに同様な背景のBBC等に比較すれば、NHKの発信力や公益性には疑問符がつくかも知れません。偏向報道もたまに見られます。今のままでは未払いを主張する勢力は徐々に増える傾向にあるでしょう。

 しかしそれを待たずにテレビ受信機の世界で動きが出てきています。基本的には地上波の受信チューナーを持たず、NetflixやYouTube等他の媒体主体の受信をするテレビです。しかし大手テレビメーカーは参入していません。

 そのあたりの事情をデイリー新潮の記事が取り上げています。タイトルは『大人気! NHK受信料不要の「チューナーレステレビ」 それでも大手国内メーカーが参入しない本当の理由』で、以下に引用します。

“テレビの映らないテレビ”が大人気だ。急成長する市場へ参入する企業が相次ぐなか、製造ノウハウも設備も有する大手家電メーカーはなぜか静観を決め込んでいる。そこには参入したくてもできない“不都合な真実”があるという。

 ***

「チューナーレステレビ」とは、地上波用チューナーを内蔵していない代わりに、NetflixやYouTubeなどネット動画を視聴できる基本ソフト「Android TV」を搭載したテレビのことだ。

 地上波は映らないため、放送法第64条が定める「対象機器」に該当せず、SNS上では“NHK受信料が不要なテレビ”として大いに話題になっている。

 昨年12月、大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が24型(2万1780円)と42型(3万2780円)のチューナーレステレビを計6000台発売したところ、約1カ月で完売。その後、液晶テレビなどを製造する「ユニテク」や全国にレンタルビデオショップを展開する「ゲオホールディングス」、家電量販店チェーン「エディオン」などが相次いで参入し、いずれも想定を上回る好調な売行きを見せているという。

 人気の背景について、さる参入メーカーの担当者がこう話す。

「いまの若い子たちはテレビを観るという習慣がなく、もっぱら観ているのはYouTubeなどのネット動画。スマホのように充電時間を気にすることなく視聴でき、また50型でも4万円台前半とお手頃な価格帯がウケているようです。それ以外にも、ご家庭でテレビを買い替える際、国内メーカー製の大画面だと10万円以上の出費となることに抵抗感を覚える親世代も増えていて、人気を下支えしています」

 地上波は映らないといっても、観たいテレビ番組があれば配信アプリ『TVer(ティーバー)』を経由すれば視聴できるので「チューナーレスで事足りる」と考える人が増えているそうだ。

株主に名を連ねる大手家電メーカー

 現時点でチューナーレステレビを販売する企業は異業種からの参入組や新興メーカーなどが占め、パナソニックなど大手家電メーカーの多くは製造や販売に乗り出していない。

 その理由について「まだ市場が成熟していない」や「テレビというよりモニターに近く、利幅が薄い」などの声が上がるが、取材を進めると複数の放送業界関係者が東京・渋谷区にある「ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ」という会社の名前を挙げた。

2209091527_9714x402 「ビーエス社は地デジチューナー搭載のテレビに装着されているB-CASカードを独占的に発行している会社で、このカードがないと地デジ放送を視聴できない。著作権保護の名目でデジタル放送にかけられているスクランブル(暗号化)信号をB-CASカードによって解除し、視聴が可能になる仕組みです」(民放キー局関係者)

 ただし無料放送にスクランブルをかけること自体、「不要」との声が根強くあるのも事実で、チューナーレステレビには当然、B-CASカードは装着されていない。ちなみに地デジ対応テレビを買った時に同梱されているB-CASカードはビーエス社から各製造メーカーに支給されたもので、B-CASカードの所有権は同社が保持。テレビ購入者はあくまでカードを「貸与」されているに過ぎない。

 これまでビーエス社が発行したB-CASカードの累計枚数は約2億8595枚。最新決算の売上高は28億7800万円(2021年3月期)だが、かつては142億円超を売り上げた年も。資産に計上された現預金は現在40億円になる。

 実は大手家電メーカーは同社の株主であり、かつ深い取引関係にもあるのだ。

収入源は「テレビ局」と「家電メーカー」

 ビーエス社の代表取締役はNHKからの天下りで、NHK時代の役職はメディア企画室長。株主の出資比率はNHK(20.99%)にWOWOW(20.18%)、そしてパナソニック(13.96%)、日立(同)、東芝インフラシステムズ(同)などと続き、各民放キー局のBS放送会社も名を連ねる。

 ビーエス社に収入源を訊ねると、

「(民放キー局など)放送事業者からのカード使用料と、(大手家電)メーカーからの(カード)取扱い手数料が収入元になる」(同社広報室)

 と回答。また「当社はB-CAS方式と共通インフラを一元的に管理・運用するために、放送事業者と受信機メーカーの協力で設立された」(同)とも説明した。

 つまりチューナーレステレビ事業への参入は大手家電メーカーにとって「利益相反」行為になり得るわけだ。もちろん民放キー局にとっても、B-CASシステムの枠外にあるチューナーレステレビの存在は「皮肉にも“テレビ離れ”を加速させる新しいテレビ」(前出・キー局関係者)と映っている。

『ビエラ』ブランドの液晶・有機ELテレビで知られるパナソニックにもチューナーレステレビ事業に参入しない理由などを訊ねたが、

「ニーズの変化・多様化を踏まえ、様々なお客様のテレビの使い方に対応できる商品を市場に投入しております」(グループ広報)

 との回答にとどまった。

 さらなるシェア拡大が、この摩訶不思議な「利権構造」を突き崩すか。

 若者中心にテレビ離れが進んでいますが、ワイドショウやエンタメ番組、食べ歩き番組に、クイズや食べ物紹介番組など、マンネリもいいところで、もはや見る気も失せてきます。しかも報道番組は何処も同じ事案の繰り返し、しかも偏向もしっかり込められています。若者でなくても見る価値はあまりありません。

 それよりNetflixやAmazonPrime、YouTubeの方がコンテンツを視聴者が選べるし、見逃す心配もないので、高齢者の私も地上波よりそちらをよく見ています。今後は若者だけでなく多くの年代でそちらに加速していく気がします。

 それ以上に、テレビよりPCやタブレット、スマホへ流れるユーザーも多く、大手テレビメーカーやNHKだけでなく他の民放局も、この流れを甘く見ていると、大きなしっぺ返しが来ることになるでしょう。そのうちテレビはニュース専門番組としてしか、存在価値がなくなるかも知れません。ただそれとてスマホで見られる時代です。摩訶不思議な「利権構造」は崩壊待ったなしかも知れません。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月16日 (金)

中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か 需要不足で負債120兆円

20220714chinesehighspeedtrain001540x290  以前このブログで、中国の住宅投資について、もう既に34億人分が済む分の住宅ができあがっているという、石平氏の記事を取り上げました。住宅に限らず中国ではGDPの水増しのため、多くのインフラが過剰な投資を余儀なくされているという事情があるようです。

 高速鉄道もその一つで、需要が見込めないにもかかわらず、様々な理由で作り続けている実態があるようです。そのあたりの事情を、産経新聞編集委員で前中国総局長の西見由章氏の記事から引用します。タイトルは『中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か 需要不足で負債120兆円』です。

中国の経済発展の勢いを象徴していた〝中国版新幹線〟の高速鉄道網が、中国経済の時限爆弾となるかもしれない。

採算性を無視した路線拡大により、高速鉄道を運営する国有企業、中国国家鉄路集団の負債総額は約120兆円に上る。巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手「中国恒大集団」が抱える負債の3倍近い規模だ。専門家は鉄路集団の巨額負債が重大な金融リスクになるとして、警鐘を鳴らしている。

今年2月に開催された北京冬季五輪では、北京市中心部と同市郊外の延慶区、河北省張家口市崇礼の3会場を結ぶ高速鉄道が整備された。自動運転システムを採用し、最高時速は350キロ。約180キロの距離を50分で結ぶ。総投資額は580億元(約1兆1600億円)を超える。

しかし共同通信が7月中旬に報じたところでは、需要不足のため1日1往復だけの運行となっているという。筆者が高速鉄道の予約サイトで確認したところ、7月下旬から8月上旬にかけては1日5往復が運行されていた。夏の観光シーズンに合わせて増便したのかもしれない。ただそれでも、日本のローカル線より低密度なダイヤだ。しかもほとんどの便でチケットに余裕があった。

すでに五輪開催時に、需要不足の兆しは感じられた。当時は1日十数往復が運行されたが、筆者が利用した際は1両に乗客が数人で、ときには1人ということもあった。コロナ対策のため車両の連結部分を封鎖し、五輪関係者と一般客の接触を厳格に遮断していたが、一般客の姿はほとんど見当たらなかった。

総延長は日本の新幹線の10倍超

中国の高速鉄道は世界トップの総延長4万キロ超を誇る。1999年に河北省と遼寧省を結ぶ路線が着工して以降の20年余りで、日本の新幹線の総延長(約3300キロ)を10倍以上上回るまでに拡大した。

特に2008年のリーマンショック以降は、輸出が低迷し生産過剰となった鉄鋼やセメントを消費するために高速鉄道の路線延伸が加速された。北京と上海・広州を結ぶ〝ドル箱路線〟に刺激され、各地方当局が高速鉄道の誘致合戦を展開。雇用の創出や地方経済の活性化、沿線の不動産開発などを期待したためだが、官僚にとって地域の経済成長は自らの実績となるため、採算度外視の整備計画も少なくなかった。

北京交通大学の趙堅教授は19年、中国のニュースサイト「財新網」に「高速鉄道の『灰色のサイ』を防げ」と題した論評を発表。人々は高速鉄道の、世界に冠たる総延長やスピードばかりに目を向けがちだが、「債務と赤字も世界一」であることに注意を払うべきだと主張した。

灰色のサイとは市場において高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられるにも関わらず、軽視されがちな潜在的リスクを指す。巨獣のサイは普段はおとなしいが、暴走を始めると誰も手を付けられない破壊力を持つことから、こうした比喩に使われる。

趙教授は中国の高速鉄道について、一部のドル箱路線以外は輸送能力が大量に遊休状態になっており、深刻な損失を生んでいると指摘する。新疆ウイグル自治区の区都ウルムチと甘粛省の省都蘭州を結ぶ区間(1786キロ)は一日160往復の輸送能力があるにも関わらず、実際は4往復しか運行されておらず「旅客収入だけでは電気代すら賄うことができない」。

趙教授の試算では、高速鉄道のすべての旅客収入を充てても負債の利息支払いが追いつかない状態だという。すでに19年の時点で、借金をして借金を返すという自転車操業になっていた可能性が高い。

稼ぎ頭の路線も低迷

しかも20年1月に新型コロナウイルスが湖北省武漢で感染拡大して以降は、高速鉄道の稼ぎ頭だった路線も収益が低迷。鉄路集団の20年の最終損益は555億元の赤字、21年も498億元の赤字となった。中国メディアによると、21年9月末時点で負債総額は5兆8400億元(約116兆円)に達している。

民間企業の恒大集団とは違い、国策企業である鉄路集団がデフォルト(債務不履行)の危機に陥ることはないだろう。鉄路集団の前身は鉄道行政を担っていた旧鉄道省だ。多くの人々は、最後は政府が巨額債務をなんとかするだろうと考えている。しかし、高速鉄道の建設に投資した地方当局もすでに多額の負債を抱えている。高速鉄道の巨額債務は最終的にインフレなどの「国家的な金融リスクを引き起こすかもしれない」(趙教授)のだ。

さらに高速鉄道の野放図な拡大は、中国の交通システム全体を悪化させる恐れがある。高速鉄道は貨物輸送ができないため、高速鉄道の建設に偏ると貨物輸送の能力低下につながるからだ。しかも鉄路集団は貨物輸送の価格を上げて高速鉄道の赤字を埋めようとしているため、鉄道による貨物輸送のコストが上昇。このため道路輸送を選択する企業が増加して大気汚染が悪化し、社会全体の物流コストも上昇しているという。

それでも延伸は続く

しかし中国当局は、高速鉄道の拡大方針に歯止めをかけるつもりはないようだ。鉄路集団は20年8月に公表した長期計画で、35年までに高速鉄道の総延長を約7万キロまで拡大する方針を示している。

さらに中国政府はコロナ禍で低迷する景気を下支えするため、鉄道建設などのインフラ投資に力を入れる方針だ。国務院(政府)は5月末、鉄路集団が鉄道建設のため新たに3000億元の債権を発行することを認めた。国務院は21年3月、高速鉄道の債務膨張を受けて新路線の建設条件を厳格化する通達を出しているが、これと矛盾した措置だ。債務抑制よりも景気浮揚を優先する姿勢を示したといえる。

中国の急速な高速鉄道網の拡大は、中国経済の勢いを体現していた。インフラ整備のスピード感を著しく欠く日本から見れば学ぶべき点も多いだろう。ただ中国政府が軽視してきた「灰色のサイ」の破壊力は、想像以上のダメージを中国経済にもたらすかもしれない。

 日本でも最近になって、鉄道の地方路線の採算の問題が浮上してきていますが、中国のこの高速鉄道の負債に比べれば微々たるものでしょう。一方の新幹線は黒字経営が続いているようですので、トータルでは問題は現状さほどありません。

 しかし中国の高速鉄道は、住宅投資同様もはや「時限爆弾」そのものです。共産党による一党独裁国家中国のことですから、国全体で取り繕うことで、何とかするでしょうが、将来はまさに悪政インフレの元となるでしょうし、ひいては国全体の弱体化の元凶となり得るでしょう。

 今までの凄まじい経済発展にあぐらをかいてきた付けが、人口減少もスタートし始めるこの先、5年10年の間に出てくる可能性は大きいと思います。日本の経済人もそのこともよく踏まえて、対中ビジネスを考える必要がありそうです。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月15日 (木)

大統領が替わったら日韓関係は改善に向かうのか?在日3世が語る韓国の現状

13_20220915102901  韓国の保守政権に変わったら、韓国社会は少しは変わるのか。尹錫悦新大統領の支持率は極めて低い状態が続いています。文在寅前大統領時代に完全に悪化した日韓関係。本当に今までの反日姿勢を転換できるのか、そして社会は少しは変わり始めたのか、注目されています。

 以前にも登場いただいた、韓国コンサルタントで在日3世の豊璋氏が、そのあたりの詳細をマネー現代に投稿しているので、引用して紹介しましょう。タイトルは『「在日3世」の私が、韓国で「日本、謝罪、謝罪、謝罪」という“番組”を見てわかった「反日不買」の“意外すぎる結末“』です。

韓国では、文在寅元大統領の「日本に2度と負けない」をスローガンに、反日、不買運動が大きく盛り上がったことは記憶に新しい。

しかし、そんな反日不買ムーブメントのウラで、じつは変わらず韓国経済が「日本製品頼み」を続けていた現実についてはあまり語られない。

日本で生まれ、現在は韓国に住む「在日3世」の著者は、現地にいるとそうした“おかしさ”は気付かれないという。

ここへきてコロナ禍も落ち着きを見せ、日韓の行き来も復活しそうな中、いまこそ“反日不買”の反省をしっかり見直すべき時なのかもしれない。

その教訓とは何だったのか。いま再び韓国で反日ムーブメントが復活する可能性はないのか――その最前線をレポートしよう。

************

「竹島上陸」の愚行

日韓関係の歴史を振り返ると、もともと金大中元大統領の日本文化開放以降、李明博政権時には事業家出身の大統領ということで、日韓関係の回復が期待されていた。

李氏をめぐっては、本来の政治家とは違った感覚の持ち主と謳われ、日韓関係の経済関係に大きな刺激を与えると期待されたのだ。

だが、現実はまったく違った。

李氏は真剣に日韓問題に取り組むこともなく、むしろ政権末期には支持率が低迷する中、有終の美を飾るためだけに竹島上陸という歴代大統領の中で初めての愚行を行った。

「日本に二度と負けない」と…

朴槿恵元大統領も朴正煕の娘であることから日韓関係に対して、就任時は周りからは大きな期待をされていた。

そんな朴氏は職務をする姿勢が見られないことから「孤独の大統領」「古株議員の操り人形」と揶揄されたが、そうした中で、電撃的に「慰安婦合意」を発表。そこから日韓関係は、民間ベースでも良好な関係が作られていった。

そのままいけばよかったのだが、朴氏は政権中枢での“孤独”ゆえに、頼った親友崔順実(チェ・スンシル)の所業で任期を満了できず、退陣へと追いやられた。

そんな退陣を先頭をきって声高に叫んでいたのが文在寅なのだ。

言うまでもなく、その後、文在寅政権が誕生し、日韓関係は「歴史上最悪」と言われるまでに悪化していった。

もし朴政権がもう少し続いていれば、もっと違った“歴史”になっていたかもしれないが、そんなことを考える隙も与えないほどに文在寅政権は「日本に二度と負けない」と叫び、反日不買ムーブメントを煽り続けた。

日韓関係は「変わる」のか…?

そんな文政権の所業に嫌気を差した日本は、文在寅政権に代わって誕生した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に関してもいまだ慎重な姿勢を崩さない。

尹錫悦政権発足後、韓国は無茶苦茶になっている米韓、日韓関係修復のため文在寅氏が勝手に配置をやめたTHAADの再配置を決め、2019年の徴用裁判の結審の出る前の約6ヵ月、日本からの提案をすべて無視しほったらかしていた文政権の徴用問題にも積極的に取り組んでいる。

尹錫悦政権はどの歴代政権より日韓問題修復に力を入れていることは、いまのところ間違いのない事実だろう。

大統領選の時、対北係で「国民の力」の選挙運動に尽力していた脱北者の先生が「今回の尹錫悦は内部で、事ある事に日韓問題を取り上げていた。その口ぶりからしても大統領就任後の行動には日韓問題に対する覚悟が見える」と我々に知らせてくれた。

その姿勢については日本も認めているだろうが、いままでの日韓の歴史を考えれば、すぐに「関係改善へ」と手を差し出す気になれないのも理解できるものだ。

「在日3世」の私が経験してきたこと

そんな日韓関係について、日本ではもともと関心が薄かったと思う。

90年代当時までも、我々の話を聞く日本人は少なかった。もちろん、日韓の現状についていろいろ訴えていた在日も少なくないが、日本人はほとんど関心を持っていなかった。それは日本の国政議員も同じで、在日の話す経験からの真実は与太話の様に受け止められていたように感じる。

その結果、日本に長く住み、日本を愛する「在日3世」で私から見ても、日本は韓国、北朝鮮に軽く足あわれているように感じることがあった。

その原因は国民の興味の希薄さと「モノを言えない日本」にあったと思うのだ。

でも、これからは少し期待ができる。日本はもう韓国の勝手にさせてばかりではいけないとばかりに行動し始めている。

「日本、謝罪、謝罪、謝罪」の“意味”

日本人はほとんど知らないと思うが、韓国の右派ネットニュースで「日本、謝罪、謝罪、謝罪」という番組があった。

内容は2019年当時、反日、不買運動の最中、日本の謝罪回数を取り上げて、「(韓国では)日本が謝罪がないと言う方がいますが、日本はこれだけ謝罪してます。これでも、誠意がないと受け止めますか?」としながら、65年基本条約以降に日本が韓国に手を差し伸べた歴史についてしっかり解説していた。

こうして正しい情報が韓国でも少しずつではあるが広がっていく中で、韓国内の日本に対する見方も筆者の実感的にも変わりつつあると思う。韓国では「日本を超えた」などと語り、すぐに日本を比較したがる者も少なくないが、それだけ日本への関心が高いことへの裏返しでもある。

尹錫悦政権下で、徴用問題について国民の理解を求め、自国解決できれば、日本との関係はさらに良好なものへと変わっていくだろう。

そして、民間ベースで行き来する両国関の良好な関係構築はさらに進むだろう。

「真の日韓関係」のために

文在寅政権下の反日色は、確実に民間レベルでは変わりつつある。

そのことを理解したうえで、今後、日本は決して妥協せず対等な言い分をしっかり伝え付き合うべきと筆者は思う。

それが真に日韓関係にとっていい結果をもたらすと思うのだ。

 「手のひら返し」を繰返された経緯から、日本は尹錫悦新大統領が対日関係を改善する意欲は認識していても、少数与党でありかつ支持率の低さも相まって、日本政府がすぐには歩み寄る姿勢を示さないのは、やむを得ないことであり、また慎重に対応すべきでしょう。

 ただ文在寅前大統領の時代、またそれ以前でも、韓国の日本批判に対しその論点に鋭く切り込み、反論してきたかと言えば、完全にNOと言えるでしょう。日本側にもその非は大いにあると思います。それが韓国をつけあがらせた理由の大きな一つでもあるからです。

 従って今後は竹島問題にも、徴用工、慰安婦問題にも、日本の立場を臆することなく伝え、更には韓国で行われている捏造歴史教育にも切り込まなければ、戦後こじれ続けた日韓関係のリセットはできないと思います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月13日 (火)

一般道194キロの暴走で死亡事故、それでも「危険運転」ではない? 被害者側の人権はどこに?

Img_a91dc089ab0e32130509b3cdc89325551664  このブログでは被害者(家族)の権利について度々取り上げてきました。人を2人までは殺しても殺人罪を課せられないとか、あるいは加害者には必ず弁護士がつくが、被害者には法制上検察しか被害者側に立てず、幾多の恣意的な弁護活動により、被害者の家族の無念を晴らせない事例が多く見られます。

 それと同時に悪質な交通事故の被害者(家族)も同様の苦しみを味わいます。あの高齢者による池袋暴走事故や、東名あおり運転死亡事故など、原因がとても過失で済まされない危険な運転事故が増えています。

 そして今回取り上げるのは、昨年2月に発生した暴走運転による死亡事故です。その詳細を作家でジャーナリストの柳原三佳氏が、JBpressに寄稿していますので引用して紹介します。タイトルは『一般道を時速194キロで爆走して死亡事故、なぜこれが「危険運転」じゃない 無謀運転の犠牲となった被害者の遺族が訴え「過失ではなく危険運転で裁きを」』です。

 法定速度が時速60キロの一般道で、時速194キロというスピードを出し、死亡事故を起こした運転手の行為は「過失」なのか? それとも「危険運転(=故意)」として裁かれるべきなのか……。

 昨年、大分市内で起こった事故をきっかけに、今、「危険運転致死傷罪」の構成要件と検察の判断の是非について、大きな議論が湧き上がっています。

県警は「危険運転致死罪」の疑いで送検したが

 交差点を直進中だったA(当時19歳)の車と、対向車線から右折しようとした小柳憲さん(当時50)の車が衝突し、両車は大破。約90メートル飛ばされた小柳さんの車は、その衝撃でシートベルトが切断され、車外へ放出された小柳さんは約2時間半後、出血性ショックで死亡しました。

 Aも重傷を負いましたが、命に別状はありませんでした。

 この事故は2021年2月9日、午後11時頃、通称「40メートル道路」と呼ばれている片側3車線の直線道路で発生しました。

Img_5fde0265dd3b91ff7c9345d0ee168c192164 【事故の概要を伝える記事】

一般道で時速194kmの死亡事故が「過失」ですか? 大分地検の判断に遺族のやり切れぬ思い(柳原三佳: Yahoo!ニュース 個人)

 交差点での右直事故の場合、一般的には右折車の側に重過失が問われます。しかし、本件の捜査に当たった大分県警は、直進車のAが制御困難な高速度で右折車に衝突したと判断し、2021年5月7日、「自動車運転処罰法違反(危険運転致死)」の疑いで、大分家庭裁判所に送致。同家裁は、大分地検への送致(逆送)を決定しました。

 その後、BMW社による調査でも、A車は事故時に時速194キロのスピードを出していたことが明らかになっています。

 ところが、事故から約1年半後の2022年7月22日、大分地検はAをより罪の軽い『過失運転致死罪』で起訴したのです。

危険運転致死罪になる証拠がない?

 遺族はこのとき、検察から次のような説明を受けたと言います。

「検事は、『Aは直線道路をまっすぐに走行しており、危険運転致死罪と認定し得る証拠がなかった』と言いました。また、『時速194キロで危険運転という判決にならなかったら、それが前例になるので最初から闘わない』とも……。でも、事故現場の道路は、アウトバーンではありません。法定速度60キロの、交差点や信号機もある一般道です。そのような道で時速194キロも出して、とっさに危険を避けられるのでしょうか。今の法律には、『安全に止まる=制御』という点については含まれておらず、論点にもならないようで、愕然としました」

 ちなみに、「危険運転致死傷罪」にあたる6つの構成要件は以下の通りです。

1)『酩酊危険運転』

アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態で車を走行させる行為

2)『高速度危険運転』

運転の制御ができないほどの速度で車を走行させる行為

3)『技能欠如危険運転』

無免許など、技術がない状態で車を走行させる行為

4)『通行妨害目的危険運転』

人や車の通行を妨害する目的で、幅寄せや割り込みなどを行い、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為

5)『信号無視危険運転』

赤信号などを、ことさら無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為

6)『通行禁止道路危険運転』

通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為

 以上のような危険な運転行為をして、人を負傷させ、裁判で「危険運転致死傷罪」にあたると判断された場合は、その運転者に対して、15年以下の懲役。人を死亡させた場合は、1年以上の有期懲役(20年以下)が科せられます。

 今回の事故では、Aの行為が、2)の「高速度危険運転」にあたるかどうかが問題となるわけですが、先にも書いた通り、検察は「まっすぐに走れていた」ことを理由に、「制御できないほどの速度とは言えない」と判断し、「過失運転致死傷罪」で起訴しました。「過失」の場合、懲役は最高でも7年以下となり、「危険運転」と比べると、罪の重さには大きな差が生じます。

危険運転への訴因変更を求めて署名活動

「過失運転致死罪」での起訴に納得できなかった遺族は、8月14日(日)、大分市内で緊急の記者会見を開きました。それをきっかけに、新聞やテレビが一斉にこの事故を報じ始め、現在、ネット上でも大きな反響を呼んでいます。

 アップされている意見の多くは、「何のために法定速度があるのか?」「まっすぐに走れても、危険を回避できなければ意味がない」「右折車から見れば、194キロの猛スピードで迫ってくる対向車を予見することは不可能」といった内容が大半で、一般道における「時速194キロ」に対する大分地検の判断と一般市民の感覚には、大きな乖離があることを実感させられます。

 9月上旬、小柳さんの遺族は刑事裁判の初公判を前に、署名活動を開始し、大分地検に対して「危険運転致死罪」への訴因変更を求めています。

<元少年は、乗り始めたばかりのドイツ製の車が「何キロまで出るのか試したかった」、「以前にも猛スピードを出したことがある」と述べています。現場にはブレーキ痕が無く、被害車両はノーブレーキで衝突されて大破しています。ところが貴庁は、加害者が時速60キロの法定速度の3倍を超える高速度を出していても「まっすぐに走っていたから車を制御できていた。『危険運転』には当たらない」と説明されました。

 しかし、私たち遺族は、身勝手な動機によって法を無視し、挙句の果てに引き起こされた本件のような死亡事故が、「過失」、すなわち不注意によるものとして裁かれるのはおかしいと思えてなりません。どうか必要な補充捜査をしていただいた上で、起訴罪名を危険運転致死罪に変えてくださるよう、お願い申し上げます。>

 2022年9月18日(日)、19日(祝)には、小柳さんの遺族や友人、地元の被害者支援グループ、危険運転で我が子を失った交通事故遺族らによる街頭署名も予定されています。いずれの日も10時から17時まで、大分駅北口側(セントポルタアーケード前)と祝祭広場前の歩道にて行われる予定です。

 小柳さんの遺族は語ります。

「時速194キロでの走行が『過失』であるという判例を残さないためにも、刑事裁判では『危険運転致死罪』の可能性についても検討していただきたいと思っています。そして、今後この問題を広く世間に訴えながら、法律の専門家の方々にも意見を求めていく予定です。皆さんにもぜひ一緒に考えていただければと思います」

 194キロでの走行は一般道でなく高速道路でも危険運転でしょう。検察が過失運転としたのは当時少年法の適用がなされる年齢だったからでしょうか(適用が18才未満に引き下げられたのは今年4月から)。

 それにしても冒頭述べたように、被害者(家族)を弁護するのはあくまで検察です。その検察が過失運転判断してしまったら、それ以上は望めません。これが現行法制度の限界です。ですからこの事例のように「署名活動」しか打つ手はないのでしょう。

 しかしこれはどうしても解せませんね。法治国家では復讐を禁じられているので、検察に求刑の判断を委ねるしかないのですが、家族を殺されてもその無念を晴らせない結果となる例が、このように出てきます。せめて被害者側にも弁護人的人材をつけるなど、加害者と対等な訴求活動ができないものか、その人権擁護の立場から法制度の改変を望むものです。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月12日 (月)

現在進行形の日本のエネルギー危機の中、夢の国産エネルギーの開発を急げ

Img_467830e8635ed8377deafd1ffabc16351330  ロシアのウクライナ侵攻に始まった、石油・ガスをはじめとするエネルギー価格の高騰に対し、日本はもろにその影響を受け、かつて輸出大国だった日本も輸入金額が大幅に増え、月次で赤字が重なりはじめ、貿易収支は悪化の一途を辿っています。

 ただこれは今に始まったことではなく、東日本大震災および大津波による福島原発事故の影響で、相次ぐ原発の稼働停止で石油ガス発電に変わり、数兆円にも上る購入代金と消えていったことが、その発端となっています。

 ようやくここへ来て、政府も重い腰を上げ、原発再稼働の方針を打ち出しましたが、一気に再稼働が可能なわけではなく、この冬の電力危機を乗り越えられるか、見通しが立っていません。

 そうした中で、原発の原料となるウランに対し、注目される情報が発信されています。「海水ウラン」です。今までは100%輸入に頼っていたウランを身近に手に入れられるかも知れません。

 そのあたりの詳細をエネルギー政策を専門とする、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏が、JBpressに寄稿した記事を引用して紹介します。タイトルは『可採年数6万年、無尽蔵の国産エネルギー「海水ウラン」の技術開発を再開せよ 現在の高コストな温暖化防止政策も根本的に見直せるようになる』です。

 海水には無尽蔵にウランが含まれている。これを回収して利用するのが「海水ウラン技術」だ。かつて日本は海水ウラン技術で世界をリードし、「あと一歩」まで基礎研究が進んでいた。だが2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故の影響を受けて、研究開発が途絶えてしまった。

 さていま世界では、ウクライナ戦争を受けてエネルギー危機が勃発している。安価で安定しており、かつ有力な温暖化対策手段である原子力発電が内外で再評価されている。海水ウラン技術を確立すれば、ウランを輸入する必要がなくなり、原子力発電は事実上、無尽蔵の国産エネルギーとなる。今後の原子力発電の価値をいっそう高めるために、日本はいまこそ海水ウラン技術の研究開発への投資を再開すべきである。

***********

事実上の「無尽蔵エネルギー源」

 海水ウランを回収する技術は、かつては、採算性が極めて悪い夢物語とされた。しかし、その後の技術進歩と、地球温暖化という新しい問題の登場によって、その位置づけは大きく変わることとなった。

 2011年までの先駆的な試験結果とコスト試算によれば、鉱山ウランよりはいまだコストが高いものの、発電コスト上昇をkWh当たり2円程度に抑える可能性が示唆されていた。もしもこれが実用化するならば、次のような重要な政策的意味を持つことになる。

1.すでに確立された原子力技術(軽水炉技術)が、可採年数6万年という、事実上「無尽蔵のエネルギー源」となる。

2.低コストの、「温暖化対策の解決手段」が確立されることになる。

3.エネルギー政策および温暖化防止政策の根本的な見直しができる。

 この果実を現実に得るためには、まず基礎研究の大幅な強化、そして、それに引き続く実証研究への政府投資が望まれる。詳しく見ていこう。

鉱山ウランはいずれ枯渇するが

 海水ウラン技術は技術進歩によって実用化が視野に入ってきた。

06  日本の研究者は、含水酸化チタンの性能を約100倍に高めた、高性能の「アミドキシム型」の高分子吸着剤を開発した。

 この吸着剤のウラン吸着の性能は目覚ましかった。長さ60mのモール状捕集材を沖縄・恩納村の沖合100メートルの深さに係留し、30日後に回収して吸着性能を評価したところ、吸着剤1kg当たり1.5gのウランが回収された。この結果、この吸着材は、60日間海水に浸すならば、吸着材1kg当たり2gのウランが回収できると評価された。

 これを6回繰り返し利用できたら、筆者の計算では、発電コスト上昇は2.36円/kWhとなる。

 原子力発電のコストが現状より2円/kWh程度上昇するとしても、この程度の発電コスト上昇で海水ウランが入手できるということは、巨大な政策的価値を持つ。

 まずは、人類が、無尽蔵かつ安定したエネルギー源を確保するということである。

 鉱山ウランは、すぐに枯渇するというわけではないが、無尽蔵でもない。では海水ウランはどうか。

現在の温暖化対策に比べはるかに低コスト

 その資源量は莫大であり、事実上無尽蔵といってよい。海水中のウランの濃度はわずか3.3ppb(parts per billionの略。1ppbは含有率10億分の1を意味する)であるが、海水量が膨大であることから、海水ウランの資源量は45億トンとなる。1年間で世界全体の原子力発電の消費するウランの総量を約7万トンとすると、可採年数は6万年となる。

 のみならず、海水ウランには、エネルギー安全保障上の重要な意義がある。

 いまウランはカザフスタンで多くが生産されているが、ウクライナでの戦争を受けて、ロシアの影響力が強いカザフスタンからの供給の安定性には不安が生じている。他方でカナダ、オーストラリアなどの先進国にも多くの埋蔵量があり、ここからの供給にはそのような不安はない。しかし、民主主義先進国においても、政治状況によっては反対運動によって原子力開発が停滞することもありうる。ウランを国産化するに越したことはない。

 日本の領有する広大な海洋を活用するという意義もある。これまでも海底のマンガン、レアアース、メタンハイドレートの開発が試みられてきたが、技術的ハードルが高く、商業ベースでの採掘には至らなかった。海水ウランは、新たな海洋からの資源でもある。

 発電コストが2円/kWh程度上昇すると聞くと、「低コスト」とは呼びがたいというのが、通常の電気事業者の感覚であろう。しかしながら、これは、温暖化対策という文脈で見ると、はるかに低コストの部類に入る。

 いまの日本の発電電力量は年間で約1兆kWhである。仮にこの全てを原子力発電で賄うとして、海水ウラン技術による発電コスト上昇が2円/kWhであるなら、合計2兆円のコスト増分になる。わずかこれだけで日本全体の発電部門のCO2をゼロにできるのである。

 これに対して、再生可能エネルギー賦課金はすでに年間2兆7000億円に達しているが、いま推進されている太陽光・風力の発電電力量は、全電力量の10%に過ぎない。コストパフォーマンスは文字通り桁違いである。

中国政府は10年後に稼働計画も

 仮に、海水ウラン技術が2円/kWh程度かそれ以下の原子力発電コスト上昇で実現できることがはっきりするならば、次のような重大な政策的な変更が検討されるだろう。

 それは温暖化防止政策の再編成だ。

 海水ウラン技術の確立により、既存の原子力発電が温暖化問題の「最終的な解決手段」となり、その優位がますます確固となる。そうすると原子力の普及拡大に向けたより強い政治的コミットメントの形成が期待される。

 また、太陽光発電はもちろん、あらゆる温暖化対策は、海水ウラン技術とのコスト比較において判断されるようになるだろう。これによって、今後も増大を続けるであろう日本の温暖化対策予算の大幅な節約が可能になる。

 残念ながら日本では2011年以来研究が途絶えてしまったが、海外では海水ウラン技術の研究が続いてきた。米国では、高性能なウラン吸着剤の研究が進められている。

 海外電力調査会によれば、中国政府は海水ウラン回収施設の10年後の稼働を計画しているという。また、中国では分離膜によって海水中のウラン濃度を高める方法の研究も発表されている。中国がこの技術を日本よりも先に手に入れるのは何としても避けたい。

優れた吸着剤がカギに

 このように、海水ウラン技術の確立によって、既存の原子力発電技術がいっそう魅力的になる。その可能性を高めるためには、国を挙げた取り組みを強化する必要がある。

 第1に、基礎的な研究開発が必要だ。吸着剤については、吸着性能、コスト、耐久性のいずれも、まだ改善の余地があり、集中的な投資が望ましい。

 コスト目標を、「2円/kWh以下」の発電コスト上昇に置くことで、様々な技術が検討対象にのぼる。全く新しい吸着材もありうる。電力中央研究所では、かつてタンニンなどの天然由来成分による海水ウラン回収も研究していた。これも一つの候補である。極めて安価な吸着剤であれば、繰り返し利用できなくてもよいだろう。

 また材料開発だけではなく、実用化に向けて、ウラン回収のためのシステム全体について課題を検討する必要がある。

 第2に、実証試験だ。発電原価上昇が2円/kWh以下で収まるという見込みが出た段階で、実際にイエローケーキ(ウラン鉱石を粗製錬して得られるウランの酸化物、U3O8)を製造し、発電所で使用するまでの流れを一貫して実証試験することが望まれる。

 これによって、スケールアップに伴う技術的課題や、法的・社会的側面の問題が理解できる。またコストについても、より正確な見通しができるようになる。

 この実証試験が成功するならば、先に述べたような大幅な政策の見直しが可能になる。それによって得られるであろう便益は莫大なので、資金を重点的に配分して海水ウラン技術の実証試験を行う価値は十分にある。

 再生可能エネルギーがそうであるように、希薄なエネルギーを集めて利用する場合、採算性を高めることは一般には難しい。海水中のウランも希薄であることには変わりないが、優れた吸着剤さえ開発できれば、経済性の高い技術になる可能性を秘めている。

 この技術の成否を見極めるためにも、また、国民がそれに納得し、推進しようという機運をつくるためにも、研究開発の強化に続いて、一定規模の実証試験が必要であろう。

 やはり中国やアメリカが研究に着手し、中国に至っては10年後にも稼働を計画していると言います。液晶技術やバッテリーのように、日本が技術的に先行していても、あっという間に中国や韓国に追い越された轍を、この海水ウランでも踏まないようにしなければならないでしょう。

 日本はその前に、原発の再稼働と新型原発炉の開発や新設など、超えなければならない課題があります。政府は将来のエネルギー危機を見据え、再生可能エネルギーに頼りすぎることなく、原発推進の政策を強力に推し進め、関連技術の向上に力を注ぐべきでしょう。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月10日 (土)

明日の沖縄のためにサキマ候補の勝利を、中国寄りで経済無策の玉城候補はリスクが大きすぎる

Images-6_20220910101801  明日9月11日は沖縄県知事選の投開票の日です。メディアの予測では玉城候補がリードし、サキマ候補が追う展開です。沖縄を返還以来続く経済の低迷の大幅改善と、普天間基地の安全確保のための辺野古への米軍基地移設を成し遂げるためには、何としてもサキマ候補に勝利して欲しいと思います。

 玉城候補の知事時代の実績は惨憺たるもので、公約の達成率はわずか2.7%と指摘している人がいます。自民党の和田政宗氏がその人で、氏のコラムが月刊hanadaプラスに寄稿されていますので、引用して紹介します。タイトルは『玉城デニー氏の公約達成率はわずか2.7%!』です。

玉城デニー候補は、選挙の法定ビラに「公約の実現率98.6%」と記載しているが、これに対しては沖縄タイムスからも「不正確」だと追及された。また、玉城候補はSNSなどで、「相手候補は沖縄を潰しにかかっている」と攻撃しているが、抽象的な論争でなく、政策議論をすべきではないか。

*****

Images-5_20220910101901 新人のサキマ淳候補が激しく追う展開

沖縄県知事選は9月11日(日)が投開票日だ。選挙戦は最終盤に入った。沖縄の未来のためにも、自民党が推薦する「サキマ淳」候補の勝利が必須だ。

共同通信社の3日、4日の世論調査によれば、現職の玉城デニー候補がリードし、新人のサキマ淳候補が激しく追う展開となっている。世論調査の記事において「激しく追う」という言葉は、6ポイントから8ポイント差の時に使うことが多い。一時は20ポイント近く引き離されていたが、差を急激に詰めている。最終的に逆転し、勝利することができる勢いとなってきた。

私は4日、5日と沖縄県入りし、サキマ淳候補と街頭活動を行うとともに、各地で支援を呼びかけた。沖縄入りにあたっては、台風がまだ近くにあり、《「サキマ淳」候補と沖縄県の国会議員と連携を取り、必要な災害対応を国の各機関に要請する。こうした時、自民系知事であればより緊密に国と連携が取れる》と私はSNSで発信した。

そうしたところ、言葉尻を捕らえて攻撃する発信が行われている。

沖縄タイムスの阿部岳記者は、「台風渦中の沖縄に来た和田政宗参院議員(自民)にいたっては、自民系の知事なら災害時に国と緊密に連携できる(非自民系ならできない)と主張した。命を人質に、沖縄の人々を恫喝している」と発信したが、記者ならば思い込みで解釈するのではなく、文章をしっかり読み解くべきだ。

国の災害対応は、国政与党系知事であっても野党系知事であっても当然変わらない。しかし、政権与党は、政務三役を各省庁に送っているし、知事がそうした人達と顔の見える関係となっていれば、直接、携帯電話で連絡を取るなど情報共有の時間もより早い。

正式なルートで国に対応を要請しつつ、あらゆる手を使って迅速な対応を目指すうえで、政権与党系の知事のほうが「より」緊密に連携が取れる可能性が高い。これは、現在の野党系の政権であれば、野党系の知事が「より」緊密な連携を取れる可能性が高いと言えることと同じである。

「玉城知事は無策だ」という怒りの声

一部の政治家も阿部記者と同様の発信をしているが、言葉尻をあげつらうのではなく、批判や攻撃をするのであれば政策などの本質の議論において、事実に基づきすべきであろう。

今回、沖縄各地でお話を聞く中で多かった意見は、「このままでは沖縄の経済は終わってしまう。玉城知事は無策だ」というものである。特に基幹産業である観光関連産業においては、自助努力により事業や雇用の継続を図りつつ再三知事宛に支援を要望してきたが、県による必要な対応は行われず苦境に陥っており、怒りの声を上げている。

沖縄県レンタカー協会の白石武博会長らは8月24日に記者会見を開き、「コロナの感染拡大以来、県は飲食業者へは時短協力金として合計1200億円を支払っているが、同じく行動制限で事業に甚大な影響が出ている観光事業者には、何ら支援がないまま」と指摘。

そして、「これまで再三にわたって県に対して支援を求めてきたが、県からは誠実な対応が得られず、取り残されたまま。現在の沖縄観光の危機はコロナの感染拡大に端を発したものではあるが、状況を悪化させたのは県の不作為によるところが大きい。これまでの対応を踏まえ玉城デニー氏では観光復興、経済の回復は望めないという結論に至った」と訴えた。(8月25日宮古毎日新聞ほか)

沖縄県の観光客数は令和元(2019)年には1000万人を超え、ハワイに匹敵する活況となり沖縄経済を牽引した。しかし、新型コロナ禍で状況は一変した。特に、貸切バスやレンタカー業界の状況は厳しく、レンタカー会社は保有車両を売却するなどでしのいできたが、根本的な支援策はいまだに打たれていない。

「公約の実現率98.6%」というウソ

こうした状況に対し、サキマ淳候補は、観光関連産業を中心に1000億円規模の支援を行うことを公約として掲げ、沖縄経済の回復と発展に対する強い意志を示している。さらに、子供の給食費・保育費・医療費の無償化を実現し、子供の貧困対策に注力する。

一方、玉城デニー候補は、選挙の法定ビラに「公約の実現率98.6%」と記載しているが、これに対しては沖縄タイムスからも「不正確」だと追及された。この数字には実現完了したものに加え、「実現に着手したもの」も含まれ、今年の県議会のやり取りなどからは、291の公約のうち実現完了したものは8で、達成率はわずか2.7%である。

玉城候補は「沖縄の自立」を掲げるが、独自財源を増やすための抜本的な改革は行われていない。沖縄県は県税収入が約1400億円なのに対し、国からの沖縄振興予算が2700億円であるなど、財源の多くを国に依存している。

私がお話を聞いた多くの沖縄県民が望んでいるのは、根本的な経済振興であり、それによって子供の貧困を無くし、県民が豊かに暮らせる社会となることである。「また4年間を無為に過ごすことは出来ない」と、多くの方々が危機感を持っている。

玉城候補はSNSなどで、「相手候補は沖縄を潰しにかかっている」と攻撃しているが、抽象的な論争でなく、正々堂々とこの4年間で達成出来たことと出来ていないことを明らかにし、政策議論をすべきではないか。

ぜひ沖縄県民の皆様におかれては、この4年間の事実を直視し、各候補の政策を比較して頂きご投票願えればと思う。私は最後までサキマ淳候補を全力で支援し、必ず勝利につなげていく。沖縄県民の未来のために。

 この記事にもあるように、沖縄タイムスなどの左派系メディアは、事実関係に踏み込まず抽象論でサキマ候補の応援政治家を批判していますが、これはいつもの批判ありきの姿勢の象徴でしょう。

 ところで中国に最も近く、日本の安全保障の前線基地とも言える沖縄が、こうまで政治やメディアが左一色になっているのは何故でしょうか。沖縄は九州の県の一つに組み込まれていますが、他の九州各県の多くは保守王国です。一人沖縄だけが左に位置するのはその歴史的経緯からでしょうか。

 確かに第2次大戦中、日本で唯一本土決戦が行われたのは沖縄です。しかしそのため日本復帰時点からずっと、沖縄には振興費をはじめ九州の他の県にはない、多くの援助がなされてきました。更には日本一の広大な米軍基地がありますが、この縮小は既にある程度プログラムされています。

 いずれにしろ、沖縄の、日本の安全保障における地政学的な重要性は最も高く、米軍の守りを排除すれば、それこそ裸同然の抑止力となります。また県民側からすれば、一人あたりの県民所得が例年全国最下位という位置づけを、何とか解消しなければ暮らしは良くはなりません。

 そう言った面から、中国寄りで安全保障感覚に鈍く、経済無策の玉城県政が続くことは、沖縄の未来にとってあまりにもリスクが多すぎます。和田氏の言うようにここは是非サキマ候補に勝利を願って、未来ある沖縄にして欲しい、そう思います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

 

2022年9月 9日 (金)

林外務大臣のパフォーマンス好きに呆れた米国務長官。“ハヤシは一体、何をしたいのだ”

11_20220908160201  昨年暮れのG7外相会合で、ジョン・レノンの代表曲「イマジン」のピアノ演奏のパフォーマンスを披露し、喝采を受けた林外務大臣。今年に入ってからも、総理特使としてアフリカ開発会議に出席し、首都チュニス近郊にある音楽博物館を訪れ、ビートルズの「Let It Be」を即興で弾き、悦にいっていたようです。

 よほどパフォーマンス好きなのか、バイデン米大統領が訪日した際も、同行したブリンケン国務長官とのビートルズセッションを望みましたが、ブリンケン氏から断られたいきさつもあるようです。

 そのあたりの詳細を、今月8日発売の週刊新潮が記事を掲載していますので引用します。タイトルは『林外相、米国務長官に「ビートルズのセッション」を強要 「余裕はない」と拒否されひんしゅく』です。

“音楽は国境を越える”とはいうものの、おのずとTPOが求められてしかるべきである。まして外交の最前線ともなれば「諸刃の剣」となるのは必至。今回は、鍵盤で大国の政権中枢を魅了しようとするも、あえなくしくじってしまった大臣のお話である。

 ***

 総理特使としてアフリカ開発会議に出席し、さる8月29日にチュニジアから帰国した林芳正外相(61)。かねてビートルズファンとして知られており、現地では得意のパフォーマンスを披露する一幕もあった。

「首都チュニス近郊にある音楽博物館を訪れた林大臣は、展示されていたピアノでビートルズの『Let It Be』を即興で弾き、チュニジアの首相は拍手で応えました」(政治部記者)

 同行の記者団にも「いい音が出た」と話したとのことだから、さぞ会心の出来だったのだろう。

「林大臣は1997年には国会議員仲間とバンド『ギインズ』を組むなど無類の音楽好き。昨年12月には英国リバプールで開かれたG7外相会合において、夕食会場となったビートルズ・ストーリー博物館でジョン・レノンの『Imagine』を演奏し、会見では“勇気を出して一節を弾かせていただいた”と述べていました」(同)

セッション拒否

 が、そうした自慢の腕も、用い方いかんでは「不協和音」を生じさせかねない。さる政府関係者が明かす。

「大臣は自らの演奏で国際会議デビューを成功させたことで、すっかり味を占めてしまいました。以後も外交日程では何かとビートルズ関連の“ネタ”を入れるよう事務方に指示を出していて、そのたび職員は対応に追われています」

 さらに、5月には以下のような一幕があったという。

12_20220908160301 「バイデン米大統領が訪日した際のことです。林大臣は同行したブリンケン国務長官とのビートルズセッションを望み、外務省の飯倉公館にピアノやギターを用意させようとしたのです」(同)

 実際にセッションの曲目まで決まっていたといい、

「それは『Don’t Let Me Down』『Get Back』『Let It Be』『Two Of Us』でした。ところが、米側はこの打診を拒みました。諦めきれない大臣は再び要望を伝えましたが、“朝6時台から動かなければならないほど仕事が山積みで、セッションをしている余裕はない”と、にべもなく断られてしまったのです」

“ハヤシは一体、何をしたいのだ”

 当の国務長官は、

「“ハヤシは一体、何をしたいのだ”とこぼしていたといいます。これとは別に、大臣はエマニュエル駐日米大使にもセッションを打診したことがあり、同じく拒否されている。米大使館からは“ミスター・ハヤシは音楽担当大臣なのか”と、呆れる声が上がっています」(同)

 参考までに林外相が選んだ4曲を訳すと、それぞれ「がっかりさせないで」「戻って来て」「あるがままに」「僕ら二人で」と、実に意味深である。ご当人に尋ねると、

「質問状を頂ければ……」

 とのことで、外務省は、

「セッションを申し出た事実はございません」(報道課)

 そう答えるのだが、政治アナリストの伊藤惇夫氏は、

「外交とは、換言すれば国益を守るための血の流れない戦争です。そのためにはだましもすれば脅しもかける。冷徹な駆け引きも必要となるのに、日本では“仲良くすれば何とかなる”のが外交だとされている。林外相は自己陶酔している場合ではありません」

 実際外交の表舞台に立てば、それこそ国益を守るため政治生命を賭しての交渉も現実にはあると思います。もちろんその場を和ませるためのパフォーマンスも時には必要でしょうが、あらかじめ外交の場でそのパフォーマンスプログラムをセットしようと、事務方に強要するなど、林外相は全く事の本質をわきまえていないことを暴露してしまっています。「ハヤシは一体、何をしたいのだ」と思われるのも当然でしょう。

 かつて自民党総裁選に出た経緯を持つとは言え、その人がこの体たらくでは日本外交も思いやられます。しかも親中と噂されていますので、今の時期ミスマッチも甚だしい。それこそ文科省の音楽担当になった方がいいのでは、と思います。この人に外交は任されません。


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月 8日 (木)

相変わらず仁義なき戦い、韓国与野党の国民不在のバトル

S_kyodo_nor2022090501000743  韓国で尹錫悦保守系大統領が誕生して4ヶ月になろうとしていますが、国民の支持率は一向に上がりません。党内のゴタゴタや夫人のスキャンダルなど、政策とは遠いところで批判が渦巻いているからでしょう。加えて少数与党であり、多数を占める野党の「共に民主党」の追及も厳しさを増しているようです。

 そうした中で尹政権も巻き返しに出ています。対する野党もそれに反撃し、まるでバトルのような展開です。そのあたりの詳細を、元韓国大使で外交評論家の武藤正敏氏が、マネー現代に投稿した記事から引用します。タイトルは『韓国で「戦争だ」「報復だ」と“大騒ぎ”…! 文在寅“代理戦争”と化す「与党・検察vs野党・警察」の全面対決がヤバすぎる…!』です。

韓国でいま与野党の「全面対決」が注目を集めている。

野党の民主党の代表に李在明氏が就任すると、韓国検察がその直後に、李在明氏に対して出頭するよう要請したことがきっかけだ。

大統領選では尹錫悦氏と争った李氏だが、選挙期間中から次々に浮かび上がる「疑惑」から“疑惑のデパート”と称されるほどだったが、ここへきてその核心に迫る動きが出てきたわけだ。そうした動きに対して、野党は「狙い撃ちだ」と反発を強めており、まさに全面対決の様相を呈してきた。

韓国でいま、いったい何が起きているのか。そして、これからどうなるのか――。その最前線をレポートする。

********

大統領は「私は知らない」

李在明氏が野党第一党の民主党代表に就任すると、韓国検察は3日後の1日、李在明氏に対し、6日に出頭するよう要請した。

この検察の出頭要請に対し、尹錫悦大統領は、記者団に「経済と国民生活が優先」「刑事事件はわたくしも報道を見るが、記事をじっくり読む時間もない」と述べ、李代表に対する出頭要請に介入していないことを強調した。

しかし、尹錫悦大統領は閣僚に検察出身者を多数起用しており、法務部長官は尹大統領の側近である。今回の出頭要請に尹大統領が介入してないと言っても信じる人は少ないであろう。

「出頭要請です。戦争です」

よしんば具体的な指示は出していなかったとしても、法務部・検察当局が大統領の意向は忖度しているであろう。

李在明代表の出頭要請は、国会本会議に出席していた李代表に補佐官から「出頭要請がいま届きました。戦争です」と報告した携帯ショートメールが写真記者団に捉えられた。

民主党内部でもこれを「宣戦布告」と受け止める雰囲気だったという。

李在明代表も記者団に対し「叩いてもだめだから突拍子もないことで上げ足を取っている。適切ではない」と反発する姿勢を示した。

今回の出頭要請は選挙期間中の「虚偽事実の公表」疑惑に焦点を合わせている。

李氏は、城南市長在任中に柏ヒョン洞の土地が自然緑地から準住居地域へと用途変更されたことを巡り、国会の国政監査で「朴槿恵(パク・クネ)政権下の国土交通部が城南市の公務員に用途変更を行うよう圧力をかけた」という発言したのは虚偽の事実だとして、公職選挙法違反の疑い検察の捜査を受けた。

当時の野党国民の力と市民団体の告発によるものである。

死亡した「職員」

また、同氏の大庄洞開発事業を巡る不正疑惑に関連し、死亡した城南都市開発公社職員について昨年のインタビューで「末端の職員だったので市長在任中には知らなかった」と虚偽の発言をした疑いも持たれている。

李在明氏にまつわる疑惑は数限りない。

李在明氏は、大統領選挙中「大統領選挙で負ければ無実の罪で監獄に行くようだ」と発言したと言われ、6月1日の国会議員補欠選挙に立候補したのも、国会議員の不逮捕特権を得たいためであったとの説がささやかれている。

李在明氏の側近では検察の事情聴取を受けるなどした後、4人が自殺したのではないかとの疑惑がもたれている。

不動産疑惑で2人、弁護士費用に関する疑惑を告発した人物、そして李氏夫人の公用カードによる公金流用疑惑である。

李在明氏の偽証から入った捜査は、今後核心部分に迫っていくだろう。

「政治報復だ」「非道な政権だ」

李代表の出頭要請に対して民主党のパク・ソンジュン広報は国会内で記者会見を開き、

「司法機関の主張が間違っていることを示す事実が一部の取材記者の証言で確認されたにもかかわらず、『無条件』で召喚を行っている」「到底納得しがたい出頭要請だ」、「尹錫悦大統領と競合した大統領候補、野党第1党代表に対する政治報復、野党を瓦解させようとする政治弾圧に対し、民主党は退くことはできない」

と批判した。

民主党からは党内の派閥に関係なく非難の声があがった。

非李在明系のコ・ミンジョン最高委員は、ハンギョレ紙とのインタビューで「事案が重くなければ書面で代替するのが一般的だが、党代表に呼び出し調査を通知し、検察自らがイシューを作った」と述べた。

親李在明系のパク・チャンデ最高委員は「(代表に当選した後)このように直ちに政治報復を始めるかは知らなかった」とし、「政治報復、政治弾圧でなくては説明できない措置」と糾弾した。

また、チョン・ソンホ議員は「本人の事件と関連して『事実でない』と言ったことを虚偽事実だと口実をつけて呼び出すとは、こんな非道な政権がどこにあるのか」と反発した。

検察vs警察の様相も…!

こうした民主党の動きに対し、国民の力の法務・司法委員会所属の議員は「当該選挙法事件は9月9日が公訴時効満了なので検察が起訴するには今出席要請するのが順番」「李代表側では民主党内部でいわゆる『防弾用』の党規改正まで推進したではないか。なにが政治報復だと主張するのは妥当ではない」と述べた。

ちなみに、文在寅前大統領に近く、尹錫悦政権から幹部人事などで文在寅体質を転換するよう強い圧力を受けている警察は、検察が李在明氏に出頭を要請した同じ日に「性接待疑惑」調査のため李俊錫前代表の出頭を要求した。

ただ、李代表が性接待を受けたとされるのは2013年7-8月であり、性売買処罰法と斡旋収賄容疑は控訴事項(7年)が満了している。

このように国民の力、民主両党の対立は泥仕合の様相を呈してきた。

尹錫悦政権の支持率が低迷する中での野党第1党代表の検察への出頭要請である。

これに世論がどう反応するかは国民の力、民主党両党にとって重要な要素である。

世論の「リアル」

世論の反応についてはコリア・レポートの辺真一氏が分析している。同氏は社説で取り上げた6紙を分析、いずれも李代表は出頭に応じ、事実関係を明らかにすべきだとの論調であると解説した。その一方で各紙の報道傾向によって主張に違いがあることも紹介している。

保守系の朝鮮日報は、李代表の各種疑惑を述べ、「李代表は『私は関係していない』『知らないことだ』と説明しているが、これまで(李代表が言っていることの)多くは真実ではないことが明らかになっている。彼の周辺の人物が芋ずる式に逮捕され、また極端な選択(自殺)をしている」と主張した。

中立系では、韓国日報は「(政府は)局面転換との疑いを持たれてはならない」「政治的に利用しようという主張は決してばかげているとは言えない」と述べ、国民日報も「嫌疑が適用された李代表の発言も多くは大統領選挙の過程で政治的なやり取りの中で行われたものである。通常選挙が終われば、相手の発言に対する告訴、告発を取り下げるものである」として検察の出頭要請の背景について疑問を呈している。

身から出た錆

その一方で、尹政権に厳しい論調を取るソウル新聞は「民生と国会は与野党の政治紛争の犠牲になってはならない」と述べ、「検察の政治的中立を強調してきた民主党が李代表の捜査を前に政治的論理を唱えること自体が矛盾している」として李代表にとって辛辣なコメントをしている。

革新系のハンギョレ新聞の社説は次のような結論を述べている。

「執権層と関連した事案は次々と不起訴処分となっている。提起された事件の調査は誰にとっても公正かつ厳格でなければならないが、事案の重大性、内容を適切に検討しなければ、政治報復性調査の批判は免れないだろう」

尹錫悦政権にとってさまざまな政策を遂行する上で、民主党の抵抗は大きな障害である。

これを打破していくには、民主党に歩み寄り協力していくか、民主党を無力化させていくかの選択である。 

与党・国民の力にしてみれば、数々のスキャンダルにまみれた李在明氏が代表になったことは、民主党叩きの絶好の機会を民主党が作ったということかも知れない。

「無力化」せよ

尹錫悦政権として文在寅前大統領を叩くことは国民の反発を受けかねない。

しかし、李在明氏は京畿道知事として汚職まみれであり、特に土地開発を巡って巨大な利益を得たことを検証すれば李氏失脚、民主党の自爆に持ち込めるとの計算があるのではないか。

尹錫悦政権の支持率も一時の20%台から、世論調査によっては30%台に回復しているとは言え、依然として危機的状況にあることに変わりはない。国民の支持回復には、経済国民生活を改善する以外ないが、そのためには文在寅政権の経済政策を否定し、抜本的に改革していく必要がある。

しかし、これに民主党が協力する可能性は高くなく、民主党を無力化していく以外方途はないだろう。

そのため、民主党との全面対決に舵を切ったのが今回の検察による李在明代表への出頭要請ということではないか。

 保守系の大統領が誕生して、ようやく親北反日米から反北親米、そして日韓関係改善へと舵を切った韓国ですが、文在寅前大統領の政策新党の影響も大きく、尹政権の先行きも予断ができません。

 そうした中でのこのバトル、果たしてどうなるか、と注目されるところですが、何しろ元はスキャンダル合戦。アメリカのバイデン、トランプ両陣営のバトルとは格が違いすぎます。

 それにしても、反日を是としギャーギャー騒ぎ、スキャンダルまみれの李在明氏が党代表に就任する韓国の政党は、日本では考えられませんね。これが韓国だ、と言うことでしょう。

 尹政権が如何に日韓関係を改善しようとしても、議員の多く、そしてその議員を支えている国民の多くは、相変わらず「洗脳された反日」なのです。再びみたび、「ちゃぶ台返し」をされないよう、慎重に、かつ毅然と対応していく必要がありそうです。


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月 6日 (火)

日本防衛の驚くべき実態、軍事情報は国家機密ではなく観光資源

9_20220905171701  数年前、特定野党や反日メディアの反対が渦巻く中、「特定秘密保護法」が成立しましたが、軍事秘密に抵触するような開けっぴろげな自衛隊施設の公開が、多数行われています。

 戦後長期に渡る「お花畑」環境が、ここでも見事に影響しているようです。このあたりの詳細を、月刊hanadaプラスに寄稿した国防ジャーナリストの、小笠原理恵氏の記事から引用して紹介します。タイトルは『航空自衛隊のアラートハンガーも!「撮影禁止!」できない日本の病』です。

潜水艦や戦闘機、空母の改修工事まで撮影可能な稀有な国として、外国から軍事ファンが大量に押し寄せる日本。自衛隊施設や関連工場が見物できる場所に公園や展望台を置き、ベンチを設置する自治体も多い。軍事情報を観光資源にしてもいいのか。

***********

軍事情報は国家機密ではなく観光資源

これまで日本の情報保全や危機管理意識の低さについての記事を寄稿してきた。潜水艦や空母化改修工事中の艦艇等が自由に撮影され、動画サイトで全世界に公開されている。自衛隊施設も米軍のように広大な敷地はなく、施設を近距離で視認できる状況である。

また、自衛隊は撮影の規制や対策も十分でない。米国や中国は情報を漏洩させないために危機意識を持って徹底した対策を行っている。わずかな情報漏洩も致命傷になり得る。それは国や企業、個人と同じだ。組織の規模が大きいほど徹底した対策が必要だ。

このような日本の甘い危機管理が続けば、防衛の根幹を揺るがし、国家存亡にかかわる事態になりかねない。早急に法を整備し、対策をとる必要がある。だが、日本では憲法上、軍隊は存在しない。自衛隊は軍事機密を持つ「軍」ではなく、透明性を要求される「行政組織」だ。

自衛隊は外観を撮影禁止にできず、視界を遮断する壁や防護壁を作る予算もない。撮影リスクに対して、予算内でできる限りは隠すが、それでもダメなら仕方ないという認識だ。合法的な撮影は非難できない。

敵に能力を知られた上での防衛は過酷なものになる。

潜水艦や戦闘機、空母の改修工事まで撮影可能な稀有な国として、外国から軍事ファンが大量に押し寄せる日本。自衛隊施設や関連工場が見物できる場所に公園や展望台を置き、ベンチを設置する自治体も多い。日本では軍事情報は国が守らなければならない国家機密ではなく、観光資源なのだ。

撮影者は自衛隊の部隊行動の時間まで知り尽くしている。自衛隊の日々の活動を熟知し、特別な装備品は詳細に解説される。政治家も自治体も自衛隊員自身も国民もそれが異常だと感じるセンサーがもはや機能していない。

________20220905171801 アラートハンガーを見渡せる「松原展望台広場」

さて、今回は日本で最も緊迫している航空自衛隊の「アラートハンガー(要撃戦闘機の緊急発進用格納庫)」についてだ。

アラートハンガーとはスクランブル対応の航空機やパイロット等が24時間対応でスタンバイする格納庫だ。日本の防空識別圏(ADIZ : Air Defense Identification Zone)に不審な航空機が近づき、領空に侵入する可能性があると判断されたときに、スクランブル対応戦闘機が発進する。

警告に応じず、退去しない場合は警告射撃を行うため、このアラートハンガーの戦闘機には燃料が搭載され、射撃可能な状態にある。

2021年度には1004回と緊急発進する回数も過去2番目となっている。数分もたたないうちに領土に到達する可能性がある航空機への対応は重要である。そんなアラートハンガーも撮影可能だ。YouTubeで確認した動画には2機のF-2戦闘機がスタンバイしている。

その動画では撮影開始後1分でアラートハンガーが開かれる。撮影開始1分後に格納庫が開くという宣言通りにゲートが開き、膝に印のあるのがパイロットですという解説も入る。撮影者はアラートハンガー内のことを知り尽くしているようだ。

航空自衛隊の滑走路や格納庫との境は鉄条網があるが、そこには監視員はいない。動画撮影中に保安パトロール車が素通りしている。撮影している人がいても声をかけることはない。しかも、このアラートハンガーを見渡せる「松原展望台広場」は行橋市(自治体)が設置している。

撮影箇所近くの松原展望台広場、自治体が航空自衛隊基地の滑走路を観光資源としていることがわかる

「さあ!見てください!」といわんばかりだ。失笑するしかない。

この動画を仮にテロリストがみたらどうなるだろう。

スクランブル発進を妨害したい相手にこの情報はどう映るのだろう。

目視で確認できる距離であれば、純正の迫撃砲なら戦闘機を破壊できる。山上容疑者がつくったような手作りのロケット砲やテロリスト御用達の東側ロケット砲、PG7での破壊は難しいが、それでも砲撃の混乱でスクランブル発進を遅らせることは可能だ。

わずか数分で領空に到達する未確認航空機に対応できなければ、どこかの学校、病院、発電所、駅や空港、自衛隊基地等、狙った場所に爆撃されるリスクがある。すでに動画配信されてから2年が経過している。インターネット上にあげられた画像は消せない。今も全世界に公開されている。

動画タイトルには「門外不出の極秘映像」

滑走路を見渡せる場所に展望台を設けられた航空自衛隊も機密性の高いアラートハンガー撮影に、諸手を上げて賛成しているわけではない。過去にも同様の事例があった。

2019年8月、航空自衛隊小松基地の格納庫で戦闘機の整備中の様子が無断撮影され、YouTubeに投稿された。

同年8月6日の毎日新聞の記事によると「格納庫は領空侵犯に備えた緊急発進(スクランブル)用で機密性が高い。格納庫前に設置されたコンクリート塀越しに撮影され、同基地渉外室は『敷地外からの撮影を制限する権限はなく、法的責任は問えない』と困惑している」とある。

小松基地の無断撮影動画タイトルには「門外不出の極秘映像」とある。確かに極秘映像だ。撮影を制限する権限がない小松基地渉外室は困惑するしかなかっただろう。その後、小松基地は障壁で物理的に撮影を遮断した。

自衛隊に軍事施設撮影禁止の権限を与える法整備ができないのであれば、予算を投入し自衛隊関連施設に障壁やドームで覆う以外に方法はない。日本国憲法制定より70年以上経過しても、まだ憲法改正の発議すらできない立法府の責任は重い。

この安易な軍事施設の撮影を享受する意識の弊害は自衛隊のみにとどまらない。セキュリティ保安のために在日米軍は基地内の無許可撮影を禁止している。米軍施設内ではむやみにカメラを出してはトラブルになる。

岩国空港は民間航空機も離発着する空港だが、米海兵隊岩国航空基地との共有部分を持つ。旅客機の離発着時に米軍の基地を撮影しないようにとアナウンスが流れる。その在日米軍基地に無断撮影する人が現れた。

訓練中のF-35Bステルス型戦闘機も撮影されて動画サイトにあがっている。動画タイトルは那覇基地とあるが、岩国で撮影されたもののようだ。特徴ある噴射口の動きもはっきりわかる動画だ。日米地位協定等で在日米軍内のセキュリティについては取り決めがある。日本政府側にクレームがでそうな問題だ。

10_20220905171901 動画に撮影されたF-35Bステルス型戦闘機を空母化工事中のいずも型護衛艦が搭載する予定だ。さらに、航空自衛隊が導入した次期戦闘機の主力はF-35Aだ。米国は軍事機密の塊であるF-35をセキュリティの低い自衛隊の基地に置くことを許さない。

すでにF-35Aは三沢基地に配備されている。青森にある航空自衛隊三沢基地は周囲を在日米空軍に囲まれ、二重のセキュリティに守られている。空母化工事が進み、南西諸島周りの防衛力の強化を考えるときに期待のF-35戦闘機が三沢基地以外の南西部の航空基地にも配備が広がらなければ話にならない。

日本はスパイ天国と言われる。スパイ天国の条件は「重要な情報が豊富で、情報を得ても捕まりにくく、万一捕まっても重刑を課せられない」ことだ。スパイ天国の定義よりもさらに日本は緩い。

5月の日米首脳会談で岸田総理はバイデン米大統領に防衛予算の「相当な増額」を伝えた。これは同盟国への国際公約だ。台湾有事が目の前と言われる今、日本国内の軍事情報へのセキュリティがこのままでいいのかと岸田内閣に問いたい。

 小笠原氏の記述で驚いた部分があります。『自衛隊は軍事機密を持つ「軍」ではなく、透明性を要求される「行政組織」だ』。何という事でしょう、嘘だろうと言いたいのですが、確かに「軍」ではなく「隊」です。

 しかしだからと言って自衛隊が軍なのは明らかです。そしてその施設や武器・兵器、隊員等の情報は極秘とされるべきでしょう。スパイ防止法なき日本はスパイ天国で、かつ軍事情報は垂れ流しでは、いくら抑止力などと言っても、周辺国に筒抜けで抑止にも何にもなりません。

 直ちに関連法規を変える必要があり、自衛隊を軍に格上げするよう憲法も変える必要があります。岸田政権も軍事費を増やすだけでなく、こうした穴だらけの日本の防衛の現状改善に、すぐに取り組まねばなりません。


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月 5日 (月)

退陣後一挙に盛り上がる、文在寅糾弾集会。果たして文氏の末路は?

8_20220904173601  今回は韓国の話題です。前回の大統領選では保守系の尹錫悦氏が当選しましたが、少数与党でもあり与党内のゴタゴタも影響している上に、前の大統領文在寅氏の負の遺産も背負って、かなり厳しい政権運営を強いられているようです。

 その文在寅前大統領に向けて、韓国内でかなり大規模な糾弾集会が開かれたようです。日本では殆ど報じられていませんが、その詳細を日韓関係の専門家でフリーランサーのミン・ジェウク氏が、マネー現代オンラインに投稿しているので、以下に引用して紹介します。タイトルは『「文在寅は泥棒だ! 韓国を転覆させる! 」…韓国の“文在寅糾弾集会”で飛び出した「ヤバい肉声」と「文在寅の危ない末路」』です。

8月15日、韓国の光化門前では文在寅(ムン・ジェイン)前政権および「共に民主党」を糾弾する「太極旗集会」が開催された。

車道と歩道に集まった参加者たちが「左派を追い出せ」「主体思想派を清算しろ」などのスローガンを叫ぶ列は、ソウル市内の光化門通りにあふれ、じつに10万人を超える群衆が声を上げるほどの大盛況ぶりになった。

なぜか日本ではほとんど報じられることのないその集会の中身について、現地で見聞きした“リアルな実態”を全レポートしよう。

「文在寅糾弾集会」に行って、見て、聞いた…!

集会の演説者の一人である全グァンフン牧師は、キリスト教右派運動を率いてきた人物だ。

文在寅政府当時の2019年には、大統領府の前に「文在寅下野汎国民闘争本部」を置き、3ヵ月間、野宿デモを行ったことで知られる。

彼は、大統領府から、公職選挙法違反、大統領名誉毀損などの容疑をかけられて裁判になったが、今年3月、大法院の3審で無罪判決を受けたばかりだ。

全牧師は、コロナパンデミックが本格化した2020年にも、光復節のとき、光化門で約1万5,000人規模の集会を押し切って開催した。昨年は、「1人デモ」形態で、200人あまりが参加するデモを先導していた(韓国ではコロナ禍での1人デモは、警察に申請しなくても各自が1人デモと言えば集まれるのだ)。

10万人以上が集まった! 響き渡るスローガン!

もともと「太極旗集会」とは、2017年、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾集会が行われた当時、その反対集会を開こうと、数十万の人々が太極旗を掲げながら自由を叫んで行進し、反共運動を広げた代表的な保守主導運動である。

8・15光復節は、彼ら保守勢力が大々的な集会を開き、米韓同盟強化、米日韓共助強化を主張して行進することで、広く知られていた。

韓国では、左派のろうそく集会に正面から対抗する性格の大規模集会と認識されている。

この日、東和免税店の前から、大漢門を越えて、光化門通りにあふれた10余万(主催側推算)の群衆の間で、スローガンは響き渡った。

南北では、ソウル広場前の交差点から、光化門広場までの約600m区間、東西では、教保ビルからオピシアビルまでの約300m区間にわたる、歩道と車道が人波で満たされた。

午後1時から始まった国民大会は、第1部「青年の時間」、第2部「女性の時間」、第3部「市民団体の時間」という順序で進行され、イベントは盛り上がったのだ。

「文在寅は泥棒だ」「韓国を共産化するつもりだ」…

この日のイベントは、主催側の全牧師(自由統一党代表、サラン第一教会担任牧師)の演説を中心に始まった。

集会を主導した全牧師は、「漆黒の如く暗かった時代に、我々は、文在寅を追い出すために、雨が降ろうが雪が降ろうが、この場所に一様に集まって、神様に叫んだ。そして、政権が交代した」と声を高めた。

さらに、「1945年8月6日、広島に原子爆弾が炸裂した。人類の歴史の分岐点になる事件が起きた。そのとき、我々韓半島は、ふたつの選択を強要された。『李承晩と生きるのか、金日成(キム・イルソン)と生きるか』であった。我々大韓民国は、李承晩を選択した」と力説した。

そして、「建国大統領として、李承晩大統領を選んだのだ。そして、大韓民国は、自由民主主義と自由市場経済、キリスト教入国論を選択した。5,000年の歴史のなかで、もっとも偉大な選択をした。今や我々は、世界10位圏の国になった」と説いたのだ。

全牧師は続けて、「このような大韓民国を、誇らしいと考えない、ひとりの強盗が現れた。それが、文在寅だ。彼は、5年間にわたり、大韓民国を解体して、北朝鮮連邦制に向かおうとしたが、追い出されたのだ」と主張した。

全牧師によれば、大韓民国はいまだに、文前大統領の追従勢力と主体思想派勢力によって、共産化の危機に置かれているという。

「文在寅清算」と「滅共」と「韓米同盟強化」

ソーシャル・ディスタンス解除以後初めてとなる、この日の光復節集会は、人員制限なしのため、途方もない数の人々が集まった。

全国から、150台あまりのバスに乗ってやって来た保守右派が結集し、彼らは、太極旗と星条旗を同時に振りながら、「文在寅清算」とともに、「韓米同盟強化」と「滅共」を掲げて連帯した。

集まった人波のせいで、世宗大路一帯は、車両の通行が、一時、全面規制された。イベント開始の1時間前から、5,000人以上が集まり始めた集会参加者は、イベント開始以後、警察推算2万人以上(主催側推算10万人)となった。

警察が、光化門駅出口の一部を塞ぎ、集会参加者と揉め事を起こす一幕もあった。

東和免税店一帯は、この日の午後ずっと、深刻な交通麻痺を起こした。

午前中から、主宰側が、世宗大路のあちらこちらに舞台を設置し、車道が規制され、午後3時頃には、他の保守団体の行進が始まり、混雑状況はますます深刻になった。

集まった人たちの「肉声」を全公開!

この日、集会に参加したキム氏(62歳、一般男性)は、「主体思想派が、現在も大韓民国のあちこちで、我が国を転覆させようとしている。大韓民国には、主体思想派勢力、つまり直接的な武力革命と暴力革命を起こそうとする人々が、いたるところに潜入している」と声を荒げた。

イ氏(67歳、一般女性)は、「自由民主主義体制を破壊しようとする勢力が、大韓民国に浸透している。朴正煕(パク・チョンヒ)大統領や過去の保守政権時期とは、比較にもならないほどの共産党員が、韓国社会に蔓延している」と憂慮した。

彼女は、「自由民主主義の大韓民国を守るためには、保守右派勢力が太極旗を掲げて、文在寅前大統領を中心に広まっている左派を清算しなければならない」と力説した。

パク氏(72歳、一般男性)は、「北朝鮮のスパイが、大韓民国のそこらじゅうに潜んでいる。南に送り込まれたスパイが、安心して活動している姿を、見れば見るほど頭にくる」と胸中を語った。

尹大統領支持者は、最近になって、20%台という低い支持率を見せている尹大統領に対して、左派の情報操作であると口をそろえた。

ウォン高、物価高、金利高の「三重苦」

就任後、3ヶ月にもならない尹大統領は、先月中旬から、各種世論調査で支持率20%台となり、回復傾向すら見せられずにいる状態だ。

長官の人選などの案件がまだ残っているという状況で、大統領室の私的採用疑惑や、令夫人の金建希(キム・ゴンヒ)女史関連の各種疑惑が浮上した。

文在寅政権の仕出かした結末のウォン高、物価高、高金利の「三重苦」で、民生経済はより一層厳しくなった。そこへきて115年ぶりの豪雨の後で、その影響に頭を悩ませているところだ。

低支持率の件に関して、集会参加者は、「尹政府の責任ではない。左派勢力の工作によって、支持率が低くなっている」と主張した。

チョン氏(78歳、一般男性)は、「韓国のメディアは、ほとんど左傾化されて、信頼できる部分がない。大韓民国は、体制競争の真っ最中であり、主体思想派に掌握されたメディアが捏造した大統領支持率に、全国民が扇動されている」と指摘した。

イ氏(54歳、一般女性)も、「尹大統領より政治が上手な人が、他に誰がいるのでしょうか。今は、左派の罠にはまってしまった状態」と言及し、尹大統領の低い支持率に対して、強い疑問を表わした。このような陰謀説に対して、韓国メディアが左傾化された理由を、「文化戦争に敗れた」という主張もある。

「スパイ」がいるぞ!

ユン氏(38歳、一般男性)は、「これまでの70年間、保守右派は、産業化だけに集中していて、左派は、扇動戦略に集中してきた。それにより、進歩、保守を問わず、結局、すべてのメディアが扇動されてしまった」と私見を述べた。

彼らの一部は、「国民の力」内部にも、スパイがいると考えている。情報提供者Aさん(匿名希望)は、「主体思想派が、『国民の力』内部に、深々と関与していて、政策方針を変更させ、自由民主主義を、保守から左派へと導いていく最中であり、『国民の力』の政党方針は、『共に民主党』と、ほとんど変わらない」と皮肉った。

一方で、文前大統領は在任当時、朴槿恵前大統領弾劾反対デモを主導した彼らに対して、内乱扇動容疑で捜査した。

内乱罪とは、「国家転覆を目的に暴力を行使すること」を扇動する罪で、3年以上の懲役に処される重刑である。市民団体の「軍人権センター」は、彼らが、「戒厳令宣言せよ」、「軍隊よ、立ち上がれ」などのスローガンが書かれた印刷物を配布して、軍部クーデターを促したと告発したのだ。

内乱罪を適用するためには、国家転覆を目的とした数多くの暴動や脅迫事件などが起こり、社会の治安を害するほどでなければならないのにもかかわらず、無実の市民を、テロ集団と決めつけたのである。

もう「弾圧」はできない

文前大統領は、朴元大統領弾劾集会当時、ろうそく集会に耳を傾け、左傾化集団となったセウォル号集会では断食闘争をしながら、キャンプを守った。

文前大統領は、自身が執権した2017年から2020年まで、太極旗集会が大規模に開かれて辞任を迫られると、コロナ対策のK防疫を理由にして、大規模集会を禁止し、しかも集団感染の原因として保守集会をあげたことで、保守団体集会を弾圧したという批判から、逃れることはできなかった。

これは、憲法に守られた「集会・結社」の自由を、完全に封じ込める処置であった。

文前大統領支持者は、保守団体のことをコロナ感染拡大の主要因であり、国家的に壊滅しなければならない団体であると、誹謗さえしたのだった。

しかし、もはや大統領を退任して弾圧できなくなると、こうした不満が噴出してきたというわけだ。

 少し前のブログで取り上げた「韓国内の言論の不自由さ」は文政権時代は、保守派だけに向けられていたことがよく分かります。そして韓国内の左傾化したメディアは「言論の自由」を振り翳して、反保守、反米、反日を繰返していたようです。

 日本でも一部の新聞や地上波テレビの多くは「言論の自由」を振り翳して、政権・与党批判を繰返していますが、韓国はその上を言っていたようです。しかし政権が保守に変わって、潮目が変わったのでしょうか、こうした保守派の集会が力を得てきたようです。

 ただ、そうは言っても文政権の5年間に浸透した、親北反日思想は根強く残っているようです。この「太極旗集会」が日本で殆ど報道されないのは、韓国のメディアの情報提供が少ないのか、日本のメディアの意図なのかは分かりませんが、どうも後者のような気がします。日本の左派系メディアには韓国籍の社員や幹部社員が多くいるようですから、彼等の工作が働いているのかも知れません。


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月 4日 (日)

リニア反対の川勝知事の「命の水」の主張は「嘘」と「ごまかし」と喝破する静岡新聞元記者

5_20220903163801  静岡県の川勝知事は、未だにリニア中央新幹線の静岡工区の着工を認めません。理由は静岡工区のトンネルは大井川の本流、支流の6カ所を通り、下流域の利水に支障がある、つまり「命の水」である大井川の水を守る、と言う論拠で反対しているようです。

 しかしこの主張には「嘘」と「ごまかし」があると、その著書「知事失格」で述べている静岡新聞元記者の小林一哉氏が、月刊hanadaプラスにコラムを寄稿しているので、引用して紹介します。タイトルは『リニア妨害、川勝平太知事の新たな“難癖”』です。

「62万人の『命の水』を守る」とリニア工事を妨害してきた川勝知事。地元記者・小林一哉氏が『知事失格』(飛鳥新社刊)で、その「命の水」の嘘を暴いたが、川勝知事は頬かむりを続けている。それどころか、リニア工事について、新たな“難癖”をつけて妨害する始末……。リニアは沿線都府県だけの問題ではなく、日本経済全体の問題。川勝知事のエゴで止めていいはずがない!

*****

川勝知事「命の水」の嘘

川勝平太静岡県知事は「リニア工事は深刻な水不足を招く。62万人の『命の水』を守る」と繰り返し、リニア工事を妨害している。

ほとんどの県民は川勝知事のこの「命の水」に共感して、昨年6月の知事選でも川勝知事に票を入れ、自民候補に約33万票の大差をつけて当選した。

私は、8月初旬に上梓した『知事失格』で、川勝知事の「命の水」が真っ赤な嘘であることを告発した。詳しくは、本書を手に取ってもらいたいが、簡単に言えば、大井川広域水道を利用しているのは26万人に過ぎず、その26万人も水不足に悩んだことはなく、もし、万が一、本当にJR東海のリニアトンネル工事の影響があったとしても、下流域には地下水源が豊富にあり、流域の住民たちが水不足に困ることはない。

JR東海は何も対策を取らなければ、大井川の表流水に毎秒2トンの減少があると説明しているに過ぎない。当然、減少分を抑える工事対策だけでなく、導水路、ポンプアップで毎秒2トンを上回る毎秒2.67トンを大井川に戻す方策を明らかにしている。

昨年12月には、国の有識者会議がトンネル工事による下流域の水の影響はないと太鼓判を押した。

それでも川勝知事は、工事中(10カ月間)の約500万トンの県外流出を認められないという姿勢を変えない。

川勝知事は『知事失格』を読んだ上で、リニアトンネル工事批判の論拠とする62万人の「命の水」が真実であることを、ちゃんと説明できなければ、すべての発言が嘘となってしまう。これでは静岡県民全体が川勝知事のエゴにつきあっていることになり、全国から非難を受けるだろう。

8月8日、9日の2日間に行われたリニア問題の関連イベントでも、川勝知事の嘘に驚かされた。

今日と昨日で言ってることが正反対

2019年6月5日、川勝知事は中部圏知事会議の席で、「建設促進期成同盟会」への加入申請書を唐突に、大村知事に手渡した。

何らの根回しもなく、突然、申請書を受け取った大村知事は、大井川下流域の水環境問題から反リニアの姿勢を続ける静岡県が何のために加入申請を求めているのか警戒して、申請書を保留した。

それから3年が経過して、川勝知事はことし6月2日、再び、加入申請書を大村知事に直接、手渡した。今回、山梨、奈良県知事らの賛成意見もあり、「現行ルートでの整備を前提に、品川―名古屋間の2027年開業、大阪までの2037年延伸開業を目指す」という各都府県の求める意思確認を行い、7月14日、全会一致で静岡県の加入を認めた。

期成同盟会はその名のとおり、リニアの建設を「促進」するための団体である。

8月9日のオンライン総会で、川勝知事は「リニアについて、県の基本姿勢は整備の促進。現行ルートの整備を前提に、スピード感をもって県内の課題解決に取り組む」などと表明した。沿線知事らは「早期全線開業を目指す態勢が整った」と川勝発言に期待をにじませた。

ところが、前日の8日に行われた川勝知事によるメディア各社を引き連れた田代ダム視察では、さらに大幅な時間を要する新たな課題をJR東海に突き付けている。

「工事中を含めて県外流出する湧水の全量戻しが必要であり、その約束が果たされなければ南アルプス工事を認めることはできない」

言っていることが、今日と昨日でまったく違うのである。

6_20220903163901 田代ダムの視察では、「推進」どころか、JR東海が大井川の水量減少対策の一案として示している「ダム取水抑制案」を否定したり、残土置き場予定地の燕沢(つばくろさわ)は、「極めて不適切」と否定したりと、リニア工事に対して新たな“難癖”をつける始末だ。

『知事失格』を読んで真実を知ってほしい

9日の定例会見で、地元のテレビ局記者が「知事就任以来、13年の間に、中部横断自動車道とか新東名など、鉄道以外でもさまざまな公共工事が行われている。今後、行われる工事に対しても、(県外流出する湧水の)全量戻しを求めていくという理解でよろしいか」と質問。これに対して、川勝知事はこう答えた。

「リニアに関連して、あれが62万人の命の水になっている。しかも、(大井川の水の状況は)カツカツの状態になっているということだから、全量戻しというのは、掘削中に出るすべての水を戻すことだと有識者会議で言っているわけで、(JR東海のリニア工事という)個別具体的な話だ」

この発言に対して、テレビ局記者がさらに質問した。

「静岡経済新聞の小林氏(筆者)が本(『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太知事「命の水」の嘘』飛鳥新社)を上梓されて、62万人というのは事実ではなくて、実際は26万人ではないかという記載があった。この本の中には、知事が嘘を述べているという記述もある。(『知事失格』を)読んだ後、事実でないということであれば知事は法的措置等を取るのか?」

川勝知事は「いまのところそういうスタンスはない」と回答し、お茶を濁すだけだった。

それでも、筆者が本書で取り上げた「62万人の命の水」を再び取り上げ、「命の水を守る」がリニア問題に対する唯一無二の論拠であると川勝知事があらためて宣言した。

リニアは、沿線都府県だけの問題ではない。予想される南海トラフ地震、首都直下型地震は必ず来る。現在の東海道新幹線はひとたまりもない。その時に首都圏、関西圏を結ぶ基幹インフラとして、中央新幹線が重大な役割を担うことは間違いない。

JR東海の一プロジェクトではなく、日本の国家プロジェクトなのだ。一知事のエゴで、妨害していいはずがない。

なぜ、リニア工事が静岡県でストップしているのか、『知事失格』を読んでいただいて、真実を知ってほしい。

 知事失格を読むまでもなく、川勝知事の主張が殆ど意味を持たないものと、容易に推察できてしまいます。知事の主張の背景にはこの問題をクローズアップすることにより、県民の不安を煽り洗脳の道具とし、自身の選挙への票につなげようという魂胆が透けて見えます。

 あの参議院補欠選挙での「コシヒカリ」揶揄発言で、叩かれたのも忘れたかのように、次々と唯我独尊の発言を繰返すこの知事は、リニア開通の期待を持った周りの県の意向を完全無視し、日本の将来の夢も潰そうとしているようです。次の知事選では是非落選させ、静岡県を含め関連自治体に光をもたらしたいと思いますね。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月 3日 (土)

スタートした新型国産長射程ミサイル開発。その能力は?

Img_598a4b630dc68bf13c9ffa49a7376ba71733  政府は今月1日、「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の年末までの改定に向けて実施した、有識者意見聴取の要旨を公表しました。この中で防衛費のGDP比2%への増額については「妥当だ」などと支持する意見が多数記されました。3倍への増額提案もあったようです。

 そして来年度の防衛費の概算要求では5兆6千億円となり、過去最高額となるようですが、GDP比2%となると10兆円を超えます。これを5~10年以内に達成するのは、ハードルも高いようですが、日本周辺の安全保障環境を考えると、必達が望まれます。

 そうした中、防衛省が強化を狙うミサイル開発戦略が、発表されました。その詳細を、防衛関連に詳しいフリーライターの深川孝行氏が、JBpressに寄稿した記事から引用して紹介します。タイトルは『中国・北朝鮮のミサイルへの反撃を狙う、国産「改・長射程ミサイル」の威力 スタンド・オフ兵器や超高速兵器の開発に力を入れる防衛省の真意とは?』です。

日本が整備を進める「スタンド・オフ・ミサイル」とは?

 今年8月、令和5(2023)年度の防衛予算概算要求の概要が明らかになった。ウクライナ侵略戦争や中国による台湾有事、加速する北朝鮮の核・ミサイル開発などを背景に、防衛省は“強気”の5.6兆円を計上した。

 この金額はもちろん過去最高額である。その予算で目指している装備の中で最も注目すべき点は、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)拡充のために「スタンド・オフ・ミサイル」という一般にはあまり馴染みのないアイテムの整備を目指していることだ。「スタンド・オフ」とは「離れたところに立つ」という意味合いで「敵の射程距離外」を指し「アウトレンジ」と同義語である。

 具体的には現用の「12式地対艦誘導弾(ミサイル)」の能力向上型である「12式(改):仮称」をできるだけ早く完成させて「反撃能力」の主役に据え、中国や北朝鮮が増強に血道を上げる長距離ミサイルへの対抗馬、「抑止力」として祭り上げる狙いがあるようだ。現在ウクライナに対し長距離ミサイルの無差別攻撃を続けるロシアの“戦争のリアル”を見せつけられ、「平和ボケ」から目覚めた日本側の慌てふためきぶりも何となく感じられて興味深い。

 ベースとなる12式誘導弾は2012年度から陸上自衛隊が配備を進める国産の地上発射型対艦ミサイルで、前作の「88式地対艦誘導弾(SSM-1)」が原型だ。中国の脅威を受ける南西諸島での運用を想定し、88式と同じくキャタピラ(装軌)式の装甲車よりも軽量で空輸もしやすく、足も速くて調達費やランニングコストも安く済む大型トラック搭載の装輪式なのが特徴だ。外観はウクライナ戦争で一躍有名となったアメリカ製「HIMARS」(ハイマース:高機動ロケット砲システム)と非常に似ている。

 内陸の森林地帯に身を潜め、敵艦の方向に発射されたミサイルは敵のレーダーを回避するため地上数十mの低空を這うように飛んでいく。地上発射型でかつ山間部での使用が前提の場合は、起伏の激しい地形をクリアできる能力が不可欠で、この技術を有するミサイルは世界的にも極めて珍しい。この種の兵器にこれまであまり関心を持っていなかったアメリカが、中国海軍に対抗するため海兵隊が地上発射型の対艦ミサイルを導入する際、12式を大いに参考にしたとも言われている。

改良型「12式誘導弾」の驚くべき威力

 12式は、事前にインプットした地図データと照合し、GPSからの情報も合わせながら最適な飛翔ルートを選び出し、微調整を繰り返しながら標的の手前数十kmまで到達すると今度は自前のレーダーを使って自ら標的を探知して突進する。「アクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)」と呼ばれる誘導方式で、ミサイル発射後は操縦が不要な「撃ち放し(ファイア&フォーゲット)」兵器の典型でもある。

 敵に発見されて反撃を受けないように、操作要員はトラックとともにすぐにその場を離れて身を隠すことができる。「12式」の飛翔速度はマッハ1を少し下回る時速1000km程度、射程は200km以上(一説には250km)と予想され、尖閣諸島~八重山群島(石垣、西表、与那国各島など)間の約150kmを想定したものと考えていいだろう。

 12式(改)は12式を叩き台に射程やステルス性能の大幅アップ、地上発射型の他に艦艇(艦対艦型)や航空機からでも発射できるマルチ・プラットフォーム化としたのが大きなポイントである。

 とりわけ最大の売りである900km(一説には1500km)という長射程を実現するため「巡航ミサイル」に“変貌”している。原形の12式の外観は典型的な「ペンシル型」で“細身”なのに対し、12式(改)はひと回り以上大きくてごつく、ミサイル本体の中央付近に折り畳み式(発射後に展開)の大型の主翼を有し、高性能のジェットエンジンを使って時速1000km程度の亜音速(音速よりやや遅い速度)で飛び続けることができる。このため、もはや「使い捨ての自爆ジェット・ドローン」と言っていいだろう。

 ただし1000km先の目標までは1時間ほどかかるため、航行する艦船を標的にしたとしても1時間もたてば当初の位置から数十kmも動いてしまう。このため、哨戒機やドローン、潜水艦などでモニターしている最新位置情報を衛星を介して適宜受け取りながら、飛翔ルートを修正できる「UTDC(アップ・トゥ・デート・コマンド)システムも搭載するようだ。

 また巡航ミサイルの特徴として、事前にインプットされた飛翔コース・プログラムに従い、一見目標とは無関係の方向に飛び、大きく迂回しつつジグザグかつ飛翔高度も頻繁に変更しながら、最後は目標の“後頭部”に命中、という離れ業もこなす。ただし迂回したり空気の密度が濃い低空を飛び続けたりすればその分燃料を消費してしまうので、「最大射程1500km」とはいうものの、実際は「6掛け」程度に考えたほうがいい。

 前述のようにミサイルは高高度を飛べばそれだけレーダーにキャッチされやすいのだが、12式(改)はレーダー反射を極限まで抑えたデザインに加え、おそらくレーダー波を吸収する特殊素材を盛り込んでステルス性能をアップさせているため、高高度を飛び続けたとしても既存のミサイルに比べて発見される確率はかなり低くなるはずで、これは実戦での飛距離アップにも直結する。

 なお12式(改)の実戦配備は当初2026年度を予定していたが、これを2年も前倒しして2024年度には実戦配備するという。自衛隊が予定を繰り上げて新装備を配備するのは異例だ。また一部報道では継線能力の確保、つまりは「弾切れ」を防いで戦い続けられるようにするため1000発以上の保有を目指しているという。

高性能化が著しい中国軍の対空ミサイルに対抗

 ここで「なぜ多額の費用を注いでミサイルの長距離化を図らなければならないのか」という素朴な疑問がよぎるだろう。

 これには「反撃能力」との看板どおり、仮に中国や北朝鮮が日本国内にミサイル攻撃を仕掛けたり、または仕掛けようとした場合、12式(改)の「対地バージョン」を使い、相手側の領空・領海には侵入せず、はるか遠方の“安全圏”から相手側の内陸の発射台をピンポイント攻撃できるぞ──という抑止効果を大いに狙っているのである。

 だがその一方で、特に中国軍のレーダー能力や対空ミサイルの射程距離が近年アップしているため、既存の射程500km未満レベルのミサイルの場合、これを搭載するプラットフォーム(艦艇や航空機など)自体が相手側の対空/対艦ミサイルの餌食になる危険性が高くなってきているから、という事情もある。

 加えて「実は防衛省は12式(改)の“潜水艦発射型”も当然念頭に置いているはず」と推測する向きもある。スタンド・オフ・ミサイルをどれだけ装備しても、これを搭載する航空機や艦艇、トラックは案外上空から「丸見え」なので狙い撃ちにされる危険性がかなり高い。その点、海中に潜む潜水艦は探知されにくいため、「最後の切り札」としての抑止効果は抜群だろう。米・ロ・中・英・仏の核保有5カ国がいずれも核ミサイル搭載型の原子力潜水艦を核戦力の1つとして保有しているのは、まさにその理屈である。

 そして日本もこれにならい、当初は潜水艦の魚雷発射管から発射されるようなバージョンを開発、さらに前述の核保有国が装備する弾道ミサイル原潜のように、艦の中央部に12式(改)用の垂直発射システム(VSL)を複数並べた潜水艦を新造し、潜水艦内に収納できるミサイル数を増やして、反撃能力の強化に努めることも視野においている可能性は高いだろう。

 なお防衛省はすでに数年前から各種スタンド・オフ兵器や超高速兵器の開発・調達に力を入れ、12式(改)の他にも、

  • 「JSM」:ノルウェー製のF-35ステルス戦闘機用の空対艦/空対地巡航ミサイルで射程500km
  • 「JASSM(ジャズム)」:アメリカ製のF-15戦闘機用の空対地巡航ミサイルで、長射程型の「JASSM-ER」の射程は900km
  • 極超音速誘導弾:国産開発中の地対地ミサイルで飛翔速度はマッハ5以上、高高度を飛ぶがコースを頻繁に変えられる
  • 高速滑空弾:国産開発中で対地/対艦用弾頭をロケットで高高度に打ち上げ、上空で切り離しグライダーのように滑空しつつGPSなどを使いながら目標に命中させる、射程は500km前後か

 などを2020年代に目白押しで配備する目論見だ。

弾道ミサイルとの比較は“ナンセンス”

 一部メディアは12式(改)の導入を「中国とのミサイルギャップを埋める」と報じている。

 アメリカ国防総省の資料などによれば、中国の中距離弾道ミサイル(IRBM:射程3000~5500km)は1900発だと推測するが、世界的権威である『ミリタリーバランス2022年版』では、IRBMは110発以上、射程距離1000km~3000kmの「準中距離弾道ミサイル」(MRBM)194発、同1000km未満の「短距離弾道ミサイル」(SRMB)189発、GLCM(地上発射型巡航ミサイル)108発と推測し、何ともはっきりしないのが実情だ。

 それ以前に、基本的に核爆弾の搭載を念頭に置き比較的長射程を狙う弾道ミサイル(野球ボールをフライで投げるように弾道は重力に従って放物線を描く)と、巡航ミサイルの12式(改)では、そもそも兵器システムとしては別次元のものであるため、比較するのはナンセンスだろう。ちなみに日本がこの「ミサイルギャップ」に真剣に対抗するとなれば、純軍事的に考えて、やはり核搭載を前提に置いた「弾道ミサイル」以外にないだろう。

 それでも、手札として1000km超のミサイルが皆無の日本が、自前で保有に漕ぎつけたという「アナウンス効果」はインパクトがあるはずだ。

 また、あまり注目されないが「国産」の意義も案外大きい。防衛省はアメリカ製の空対艦ミサイルLRASM(ロラズム:射程900km)の採用を検討していたが、アメリカ側は日本の足元を見たようで、既存のF-15戦闘機に大幅改造を加えてLRASMを搭載できるようにするためのコストを当初800億円と表明していたものの、部品が足りないだの、飛行試験に変更があるなど“難癖”がついて最終的に5000億円以上にも膨れ上がる始末。さすがの防衛省もこの取引をご破産とした。

 この事例からも分かるように、同盟国といえども「兵器取引はあくまでもビジネス」ということを肝に銘じるべきで、外国製のスタンド・オフ・ミサイルを導入する際の価格交渉の“取引材料”としても国産武器の開発は必須なのである。

 加速し始めた日本の長射程ミサイル戦略に、中国や北朝鮮はいかなる反応を示すだろうか。

 ロシアのウクライナ侵攻問題に端を発した、世界の民主主義国家陣営と権威主義国家陣営の対立は先鋭化し、中国の台湾への侵攻意思を表す台湾海峡での度重なる軍事演習や、北方領土領域で展開される中露軍の軍事演習、そして北朝鮮でのミサイル発射実験や予想される核実験など、日本を取り巻く安全保障環境は悪化の一途を辿っています。

 こうした中で、日本も同盟国アメリカの庇護の元にいるという考えを捨て、自前の抑止力を急速に高める必要があります。この防衛相のミサイル開発計画もその一環でしょう。ただ何れにしても中露に対して周回遅れの感は否めません。

 しかし一つの光は国産技術による開発です。今後は多くの武器は官民挙げて国産で進めるべきでしょう。エネルギーや食料など国民生活に必須のアイテムが外国に依存している中、国民を守る武器や兵器も外国に頼っていたら、日本は今後とも真の主権を維持するのが困難になります。むしろ同盟や協力関係にある国へ提供できるだけの武器を開発することが望まれます。

 もちろん開発の協力関係は続けるべきでしょう。米英豪に続いてイスラエルやカナダ、台湾、インドなど、多くの国と共同で先端技術を開発し、製造は日本で実施して製造技術力も保持していければ、言うことはありません。戦後77年日本も普通の国、強い国を目指す元年になることを願います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月 2日 (金)

同じ韓国人でも強烈すぎる違和感、韓国内の「言論の不自由さと事実無根の日本批判」

4_20220901170101  韓国は一人あたりGDPで数年前から日本を超えています。日本では失われた30年の間、GDPは殆ど横ばい、従って一人あたりGDPも横ばいでした。企業所得は増えても一人あたり賃金も横ばい。その分投資に回ったかと言えば海外投資は増えても国内投資はむしろ減少。国内経済の弱体化が進んでいます。何とかしなければ、と思うのは国を愛する我々には当然のことでしょう。

 一方日本を超えたという韓国。ここに『いまや韓国は「先進国になった」、「日本を超えた」と息巻いているが、エリートたちの実情を目の当たりにすると、果たしてそうだろうかと強烈な違和感を抱かざるを得ない。』、と言う韓国人がいます。在韓国コンサルタントの豊璋氏で、現代ビジネスに氏の体験を寄稿していますので引用します。タイトルは『「在日3世」の私が、韓国に移り住んでわかった「韓国は日本を超えた」発言への“強烈すぎる違和感”』で、以下に掲載します。

「在日3世」の著者が、韓国に移り住んでから驚いたのは韓国の大手新聞社の記者たちと話をしていたときのことだったという。大手新聞社の若手記者といえば有名大学卒で、韓国ではエリートである。それにもかかわらず、彼らは「日韓問題」「慰安婦」「徴用」「竹島」などの話題になると、史実をないがしろにした日本批判のオンパレードを語り出したりするのだ。

「ネット大国」と言われる韓国ではインターネットが発達しているが、ネット上には首をかしげるような“反日情報”があふれていることにも愕然としたという。日本からではわからない韓国の知らざる実態をレポートしよう。

******

Images-3_20220901170201 “反日精神”に強烈に驚いた…!

2008年頃になるが筆者が日韓を行き来しながら、韓国人が「在日3世」の事情について何も知らないことに愕然とした時期があった。

細かく言えば、1965年に日韓基本条約が締結される前、在日はあまりに貧しい韓国に送金していた。

それにもかかわらず、在日がいかなるものか何も知らずにしっかりと“反日精神”だけは持っている人たちに、強烈に驚いたのだ。

そういったこともあり、朝鮮学校出身で韓国語も多少できるとの思いから、私は韓国のブログを作成した。まず作ったのは、日本の朝鮮学校に関することと並行しながら在日の歴史を綴ったものだった。

「言論の自由? あると思ってた?」と…

当時、スカイプで韓国の友人と話す中で「こういうブログを作ったから参考までに読んでみて」と伝え、その友人が内容に驚き、周りにも紹介してくれたことがあった。

だが、そのブログは開設して初回投稿の4日後、今でいう“バン”になったのだ。

カスタマーサービスへ問い合わせも何度かしたが返事は一向になかった。そこでソウルに高校時代から住み、医者をする在日の先輩に聞いてみると、「検閲だよ」とすんなり言われた。

この瞬間に、「この国に言論の自由はいまだに無いんですね」と返事をしてしまったのだが、そこで先輩は「あれ?あると思ってた?」と返してきたのには再び驚かされた。

しかし、70年代から韓国に住む先輩にとっては当たり前の話のようだった。

「光化門のデモ」のど真ん中で

その先輩は「簡単なお店の検索はネイバーでするけど、情報を得る場合、特に医学的な論文とかはGoogleを使う」と言っていたので、「韓国人の医学的論文は見ないの?」と聞くと、「他の論文の引用ばかりだから参考にならない」との返事で、なにで検索するにしても、そこに情報を上げる側に問題があるというようなことを言っていた。

文在寅政権下で反日、不買運動が起きた時、筆者は2019年10月から2020年6月までの期間、時間があれば光化門のデモの中で、また江南の人通りの多い歩道でベンチに座り、韓国在住、在日3世の後輩と一緒に「反日種族主義」の本と「アサヒビール」を片手に「親日運動」を人知れず行っていた。

光化門のデモの真ん中でも「殺されはしないだろう」と行ったが、やはり「反日な意見」を言ってくる人からかなり言い寄られることもあった。

言い寄ってくる年配の方からは「ここにもこう書いてあるだろう!」と歴史情報を差し出されたが、こちらが「そもそも、そこに書いてあることが嘘なんですよ」と話すと、怒り心頭だったことは言うまでもない。

韓国の「ウィキ」事情

韓国にはウィキペディアが二つある。

全世界対応の通常のウィキペディアとナムウィキという韓国独特のウィキである。

ご興味のある方は「ナムウィキ」とググれば、ちゃんとしたウィキペディアで日本語で解説されている。

韓国で情報を検索するとウィキペディアより先にナムウィキが出てくる。それはGoogle検索でもだ。

このサイトは2015年に開設されたというが、当初、ここには左派的情報が満載であった。通常のウィキペディアでも、書き手が“反日”韓国人の場合、左派的要素が多く、反日教育で得た情報をもとに書かれたものも少なくない。

愛国心を持った書き手たちは、元祖のウィキペディアよりナムウィキへ投稿を移行しているようで、日韓関係に関する情報量はナムウィキのほうが遥かに多かったようだ。

一方で、韓国内で捻じ曲がった情報を垂れ流すことに耐えられなくなった韓国のニュースサイトがある。

それが韓国右派メディアの一つ「メディアウォッチ」である。

心から感謝したこと

このサイトはかねてから日帝時代の正しい歴史、現在の日本の政治的情報を正確に韓国へ伝えるサイトの一つである。

日本大使館前の慰安婦像反対を当初から積極的に行っている。

3年ほど前、そのメディアウォッチ事務所を訪ねた時に代表のファン・ウィウォン氏から聞いた話だが「メディアウォッチは現在、日韓問題に関して日本のウィキペディを中心に情報を集め翻訳し、韓国ウィキペディアに日本と同じ内容で投稿することに全力を注いでいる」と話す。

筆者はその話を聞き「えっ?」と思ってしまった。

ウィキペディアの投稿は基本ボランティアのはず。社員を使ってそこまでするとは経営者としては考えにくかったのだ。

代表は続けて「日韓問題に関して何も正確な情報がないからメディア、ジャーナリズムという精神から誰かがしないといけない。それがたまたま私が思い立っただけ」と話す代表に心から感謝したことを覚えている。

そのおかげもあってか、ナムウィキもいまでは日本と変わらない内容になりつつある。

韓国に住んで見た「韓国」

私は韓国に在住してこの10年、韓国の良いところを探してみた。

もちろん筆者が日本生まれなので、どうしても日本との比較になってしまうが、私にとって韓国は良いところをあまり見出せない。いまや韓国は「先進国になった」、「日本を超えた」と息巻いているが、それをまったく実感できないのだ。

こうした意見をヘイト、嫌韓と捉えるか、冷静にみていると感じていただけるかはわからない。しかし、「朝鮮学校出身で、現在も韓国籍で、韓国人として韓国をどう判断しようがそれのどこがヘイト、嫌韓になるのか」とは思う。韓国でも嫌韓韓国人という言葉があるが、そんなことを話す韓国人たちには同じことを伝えたい。

 このブログでも日韓併合時代の日本統治の真の実態を取り上げたり、それを戦後の韓国が日本を悪者にしようとことごとく作り替え、こどもの頃から学校で、また大人になっても書籍やメディアで、韓国人を洗脳している実態も取り上げてきました。

 日本でもテレビや新聞で反日論調を繰返し見聞きしていれば、反日の考えに洗脳されるのと同様に、韓国でも日夜洗脳が行われているのですが、それを国として行っていることが日本とは大きく異なりますね。しかも旧統一教会が韓国生まれと言うことから見ても、その洗脳の度合いは「カルト」に近い徹底さがあるようです。

 ですから極左の文政権から保守の尹政権に変わっても、韓国人のマインドに埋め込まれた反日の思想は、なかなか変化しないでしょう。しかしこの記事を書いた豊璋氏を含め、韓国人や在日韓国人の中でも、捏造の歴史を刷り込まれていない、あるいは信じていない人もいます。その人たちに今後を期待すると同時に、腰砕けの外務省が、併合時代や慰安婦、徴用工、竹島の領有権について、日韓歴史の真の史実をあらゆる手段で強調するよう、その役割を全うするよう願いたいものです。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

« 2022年8月 | トップページ | 2022年10月 »

2023年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
フォト
無料ブログはココログ