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2022年9月13日 (火)

一般道194キロの暴走で死亡事故、それでも「危険運転」ではない? 被害者側の人権はどこに?

Img_a91dc089ab0e32130509b3cdc89325551664  このブログでは被害者(家族)の権利について度々取り上げてきました。人を2人までは殺しても殺人罪を課せられないとか、あるいは加害者には必ず弁護士がつくが、被害者には法制上検察しか被害者側に立てず、幾多の恣意的な弁護活動により、被害者の家族の無念を晴らせない事例が多く見られます。

 それと同時に悪質な交通事故の被害者(家族)も同様の苦しみを味わいます。あの高齢者による池袋暴走事故や、東名あおり運転死亡事故など、原因がとても過失で済まされない危険な運転事故が増えています。

 そして今回取り上げるのは、昨年2月に発生した暴走運転による死亡事故です。その詳細を作家でジャーナリストの柳原三佳氏が、JBpressに寄稿していますので引用して紹介します。タイトルは『一般道を時速194キロで爆走して死亡事故、なぜこれが「危険運転」じゃない 無謀運転の犠牲となった被害者の遺族が訴え「過失ではなく危険運転で裁きを」』です。

 法定速度が時速60キロの一般道で、時速194キロというスピードを出し、死亡事故を起こした運転手の行為は「過失」なのか? それとも「危険運転(=故意)」として裁かれるべきなのか……。

 昨年、大分市内で起こった事故をきっかけに、今、「危険運転致死傷罪」の構成要件と検察の判断の是非について、大きな議論が湧き上がっています。

県警は「危険運転致死罪」の疑いで送検したが

 交差点を直進中だったA(当時19歳)の車と、対向車線から右折しようとした小柳憲さん(当時50)の車が衝突し、両車は大破。約90メートル飛ばされた小柳さんの車は、その衝撃でシートベルトが切断され、車外へ放出された小柳さんは約2時間半後、出血性ショックで死亡しました。

 Aも重傷を負いましたが、命に別状はありませんでした。

 この事故は2021年2月9日、午後11時頃、通称「40メートル道路」と呼ばれている片側3車線の直線道路で発生しました。

Img_5fde0265dd3b91ff7c9345d0ee168c192164 【事故の概要を伝える記事】

一般道で時速194kmの死亡事故が「過失」ですか? 大分地検の判断に遺族のやり切れぬ思い(柳原三佳: Yahoo!ニュース 個人)

 交差点での右直事故の場合、一般的には右折車の側に重過失が問われます。しかし、本件の捜査に当たった大分県警は、直進車のAが制御困難な高速度で右折車に衝突したと判断し、2021年5月7日、「自動車運転処罰法違反(危険運転致死)」の疑いで、大分家庭裁判所に送致。同家裁は、大分地検への送致(逆送)を決定しました。

 その後、BMW社による調査でも、A車は事故時に時速194キロのスピードを出していたことが明らかになっています。

 ところが、事故から約1年半後の2022年7月22日、大分地検はAをより罪の軽い『過失運転致死罪』で起訴したのです。

危険運転致死罪になる証拠がない?

 遺族はこのとき、検察から次のような説明を受けたと言います。

「検事は、『Aは直線道路をまっすぐに走行しており、危険運転致死罪と認定し得る証拠がなかった』と言いました。また、『時速194キロで危険運転という判決にならなかったら、それが前例になるので最初から闘わない』とも……。でも、事故現場の道路は、アウトバーンではありません。法定速度60キロの、交差点や信号機もある一般道です。そのような道で時速194キロも出して、とっさに危険を避けられるのでしょうか。今の法律には、『安全に止まる=制御』という点については含まれておらず、論点にもならないようで、愕然としました」

 ちなみに、「危険運転致死傷罪」にあたる6つの構成要件は以下の通りです。

1)『酩酊危険運転』

アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態で車を走行させる行為

2)『高速度危険運転』

運転の制御ができないほどの速度で車を走行させる行為

3)『技能欠如危険運転』

無免許など、技術がない状態で車を走行させる行為

4)『通行妨害目的危険運転』

人や車の通行を妨害する目的で、幅寄せや割り込みなどを行い、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為

5)『信号無視危険運転』

赤信号などを、ことさら無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為

6)『通行禁止道路危険運転』

通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為

 以上のような危険な運転行為をして、人を負傷させ、裁判で「危険運転致死傷罪」にあたると判断された場合は、その運転者に対して、15年以下の懲役。人を死亡させた場合は、1年以上の有期懲役(20年以下)が科せられます。

 今回の事故では、Aの行為が、2)の「高速度危険運転」にあたるかどうかが問題となるわけですが、先にも書いた通り、検察は「まっすぐに走れていた」ことを理由に、「制御できないほどの速度とは言えない」と判断し、「過失運転致死傷罪」で起訴しました。「過失」の場合、懲役は最高でも7年以下となり、「危険運転」と比べると、罪の重さには大きな差が生じます。

危険運転への訴因変更を求めて署名活動

「過失運転致死罪」での起訴に納得できなかった遺族は、8月14日(日)、大分市内で緊急の記者会見を開きました。それをきっかけに、新聞やテレビが一斉にこの事故を報じ始め、現在、ネット上でも大きな反響を呼んでいます。

 アップされている意見の多くは、「何のために法定速度があるのか?」「まっすぐに走れても、危険を回避できなければ意味がない」「右折車から見れば、194キロの猛スピードで迫ってくる対向車を予見することは不可能」といった内容が大半で、一般道における「時速194キロ」に対する大分地検の判断と一般市民の感覚には、大きな乖離があることを実感させられます。

 9月上旬、小柳さんの遺族は刑事裁判の初公判を前に、署名活動を開始し、大分地検に対して「危険運転致死罪」への訴因変更を求めています。

<元少年は、乗り始めたばかりのドイツ製の車が「何キロまで出るのか試したかった」、「以前にも猛スピードを出したことがある」と述べています。現場にはブレーキ痕が無く、被害車両はノーブレーキで衝突されて大破しています。ところが貴庁は、加害者が時速60キロの法定速度の3倍を超える高速度を出していても「まっすぐに走っていたから車を制御できていた。『危険運転』には当たらない」と説明されました。

 しかし、私たち遺族は、身勝手な動機によって法を無視し、挙句の果てに引き起こされた本件のような死亡事故が、「過失」、すなわち不注意によるものとして裁かれるのはおかしいと思えてなりません。どうか必要な補充捜査をしていただいた上で、起訴罪名を危険運転致死罪に変えてくださるよう、お願い申し上げます。>

 2022年9月18日(日)、19日(祝)には、小柳さんの遺族や友人、地元の被害者支援グループ、危険運転で我が子を失った交通事故遺族らによる街頭署名も予定されています。いずれの日も10時から17時まで、大分駅北口側(セントポルタアーケード前)と祝祭広場前の歩道にて行われる予定です。

 小柳さんの遺族は語ります。

「時速194キロでの走行が『過失』であるという判例を残さないためにも、刑事裁判では『危険運転致死罪』の可能性についても検討していただきたいと思っています。そして、今後この問題を広く世間に訴えながら、法律の専門家の方々にも意見を求めていく予定です。皆さんにもぜひ一緒に考えていただければと思います」

 194キロでの走行は一般道でなく高速道路でも危険運転でしょう。検察が過失運転としたのは当時少年法の適用がなされる年齢だったからでしょうか(適用が18才未満に引き下げられたのは今年4月から)。

 それにしても冒頭述べたように、被害者(家族)を弁護するのはあくまで検察です。その検察が過失運転判断してしまったら、それ以上は望めません。これが現行法制度の限界です。ですからこの事例のように「署名活動」しか打つ手はないのでしょう。

 しかしこれはどうしても解せませんね。法治国家では復讐を禁じられているので、検察に求刑の判断を委ねるしかないのですが、家族を殺されてもその無念を晴らせない結果となる例が、このように出てきます。せめて被害者側にも弁護人的人材をつけるなど、加害者と対等な訴求活動ができないものか、その人権擁護の立場から法制度の改変を望むものです。

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