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2022年9月 8日 (木)

相変わらず仁義なき戦い、韓国与野党の国民不在のバトル

S_kyodo_nor2022090501000743  韓国で尹錫悦保守系大統領が誕生して4ヶ月になろうとしていますが、国民の支持率は一向に上がりません。党内のゴタゴタや夫人のスキャンダルなど、政策とは遠いところで批判が渦巻いているからでしょう。加えて少数与党であり、多数を占める野党の「共に民主党」の追及も厳しさを増しているようです。

 そうした中で尹政権も巻き返しに出ています。対する野党もそれに反撃し、まるでバトルのような展開です。そのあたりの詳細を、元韓国大使で外交評論家の武藤正敏氏が、マネー現代に投稿した記事から引用します。タイトルは『韓国で「戦争だ」「報復だ」と“大騒ぎ”…! 文在寅“代理戦争”と化す「与党・検察vs野党・警察」の全面対決がヤバすぎる…!』です。

韓国でいま与野党の「全面対決」が注目を集めている。

野党の民主党の代表に李在明氏が就任すると、韓国検察がその直後に、李在明氏に対して出頭するよう要請したことがきっかけだ。

大統領選では尹錫悦氏と争った李氏だが、選挙期間中から次々に浮かび上がる「疑惑」から“疑惑のデパート”と称されるほどだったが、ここへきてその核心に迫る動きが出てきたわけだ。そうした動きに対して、野党は「狙い撃ちだ」と反発を強めており、まさに全面対決の様相を呈してきた。

韓国でいま、いったい何が起きているのか。そして、これからどうなるのか――。その最前線をレポートする。

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大統領は「私は知らない」

李在明氏が野党第一党の民主党代表に就任すると、韓国検察は3日後の1日、李在明氏に対し、6日に出頭するよう要請した。

この検察の出頭要請に対し、尹錫悦大統領は、記者団に「経済と国民生活が優先」「刑事事件はわたくしも報道を見るが、記事をじっくり読む時間もない」と述べ、李代表に対する出頭要請に介入していないことを強調した。

しかし、尹錫悦大統領は閣僚に検察出身者を多数起用しており、法務部長官は尹大統領の側近である。今回の出頭要請に尹大統領が介入してないと言っても信じる人は少ないであろう。

「出頭要請です。戦争です」

よしんば具体的な指示は出していなかったとしても、法務部・検察当局が大統領の意向は忖度しているであろう。

李在明代表の出頭要請は、国会本会議に出席していた李代表に補佐官から「出頭要請がいま届きました。戦争です」と報告した携帯ショートメールが写真記者団に捉えられた。

民主党内部でもこれを「宣戦布告」と受け止める雰囲気だったという。

李在明代表も記者団に対し「叩いてもだめだから突拍子もないことで上げ足を取っている。適切ではない」と反発する姿勢を示した。

今回の出頭要請は選挙期間中の「虚偽事実の公表」疑惑に焦点を合わせている。

李氏は、城南市長在任中に柏ヒョン洞の土地が自然緑地から準住居地域へと用途変更されたことを巡り、国会の国政監査で「朴槿恵(パク・クネ)政権下の国土交通部が城南市の公務員に用途変更を行うよう圧力をかけた」という発言したのは虚偽の事実だとして、公職選挙法違反の疑い検察の捜査を受けた。

当時の野党国民の力と市民団体の告発によるものである。

死亡した「職員」

また、同氏の大庄洞開発事業を巡る不正疑惑に関連し、死亡した城南都市開発公社職員について昨年のインタビューで「末端の職員だったので市長在任中には知らなかった」と虚偽の発言をした疑いも持たれている。

李在明氏にまつわる疑惑は数限りない。

李在明氏は、大統領選挙中「大統領選挙で負ければ無実の罪で監獄に行くようだ」と発言したと言われ、6月1日の国会議員補欠選挙に立候補したのも、国会議員の不逮捕特権を得たいためであったとの説がささやかれている。

李在明氏の側近では検察の事情聴取を受けるなどした後、4人が自殺したのではないかとの疑惑がもたれている。

不動産疑惑で2人、弁護士費用に関する疑惑を告発した人物、そして李氏夫人の公用カードによる公金流用疑惑である。

李在明氏の偽証から入った捜査は、今後核心部分に迫っていくだろう。

「政治報復だ」「非道な政権だ」

李代表の出頭要請に対して民主党のパク・ソンジュン広報は国会内で記者会見を開き、

「司法機関の主張が間違っていることを示す事実が一部の取材記者の証言で確認されたにもかかわらず、『無条件』で召喚を行っている」「到底納得しがたい出頭要請だ」、「尹錫悦大統領と競合した大統領候補、野党第1党代表に対する政治報復、野党を瓦解させようとする政治弾圧に対し、民主党は退くことはできない」

と批判した。

民主党からは党内の派閥に関係なく非難の声があがった。

非李在明系のコ・ミンジョン最高委員は、ハンギョレ紙とのインタビューで「事案が重くなければ書面で代替するのが一般的だが、党代表に呼び出し調査を通知し、検察自らがイシューを作った」と述べた。

親李在明系のパク・チャンデ最高委員は「(代表に当選した後)このように直ちに政治報復を始めるかは知らなかった」とし、「政治報復、政治弾圧でなくては説明できない措置」と糾弾した。

また、チョン・ソンホ議員は「本人の事件と関連して『事実でない』と言ったことを虚偽事実だと口実をつけて呼び出すとは、こんな非道な政権がどこにあるのか」と反発した。

検察vs警察の様相も…!

こうした民主党の動きに対し、国民の力の法務・司法委員会所属の議員は「当該選挙法事件は9月9日が公訴時効満了なので検察が起訴するには今出席要請するのが順番」「李代表側では民主党内部でいわゆる『防弾用』の党規改正まで推進したではないか。なにが政治報復だと主張するのは妥当ではない」と述べた。

ちなみに、文在寅前大統領に近く、尹錫悦政権から幹部人事などで文在寅体質を転換するよう強い圧力を受けている警察は、検察が李在明氏に出頭を要請した同じ日に「性接待疑惑」調査のため李俊錫前代表の出頭を要求した。

ただ、李代表が性接待を受けたとされるのは2013年7-8月であり、性売買処罰法と斡旋収賄容疑は控訴事項(7年)が満了している。

このように国民の力、民主両党の対立は泥仕合の様相を呈してきた。

尹錫悦政権の支持率が低迷する中での野党第1党代表の検察への出頭要請である。

これに世論がどう反応するかは国民の力、民主党両党にとって重要な要素である。

世論の「リアル」

世論の反応についてはコリア・レポートの辺真一氏が分析している。同氏は社説で取り上げた6紙を分析、いずれも李代表は出頭に応じ、事実関係を明らかにすべきだとの論調であると解説した。その一方で各紙の報道傾向によって主張に違いがあることも紹介している。

保守系の朝鮮日報は、李代表の各種疑惑を述べ、「李代表は『私は関係していない』『知らないことだ』と説明しているが、これまで(李代表が言っていることの)多くは真実ではないことが明らかになっている。彼の周辺の人物が芋ずる式に逮捕され、また極端な選択(自殺)をしている」と主張した。

中立系では、韓国日報は「(政府は)局面転換との疑いを持たれてはならない」「政治的に利用しようという主張は決してばかげているとは言えない」と述べ、国民日報も「嫌疑が適用された李代表の発言も多くは大統領選挙の過程で政治的なやり取りの中で行われたものである。通常選挙が終われば、相手の発言に対する告訴、告発を取り下げるものである」として検察の出頭要請の背景について疑問を呈している。

身から出た錆

その一方で、尹政権に厳しい論調を取るソウル新聞は「民生と国会は与野党の政治紛争の犠牲になってはならない」と述べ、「検察の政治的中立を強調してきた民主党が李代表の捜査を前に政治的論理を唱えること自体が矛盾している」として李代表にとって辛辣なコメントをしている。

革新系のハンギョレ新聞の社説は次のような結論を述べている。

「執権層と関連した事案は次々と不起訴処分となっている。提起された事件の調査は誰にとっても公正かつ厳格でなければならないが、事案の重大性、内容を適切に検討しなければ、政治報復性調査の批判は免れないだろう」

尹錫悦政権にとってさまざまな政策を遂行する上で、民主党の抵抗は大きな障害である。

これを打破していくには、民主党に歩み寄り協力していくか、民主党を無力化させていくかの選択である。 

与党・国民の力にしてみれば、数々のスキャンダルにまみれた李在明氏が代表になったことは、民主党叩きの絶好の機会を民主党が作ったということかも知れない。

「無力化」せよ

尹錫悦政権として文在寅前大統領を叩くことは国民の反発を受けかねない。

しかし、李在明氏は京畿道知事として汚職まみれであり、特に土地開発を巡って巨大な利益を得たことを検証すれば李氏失脚、民主党の自爆に持ち込めるとの計算があるのではないか。

尹錫悦政権の支持率も一時の20%台から、世論調査によっては30%台に回復しているとは言え、依然として危機的状況にあることに変わりはない。国民の支持回復には、経済国民生活を改善する以外ないが、そのためには文在寅政権の経済政策を否定し、抜本的に改革していく必要がある。

しかし、これに民主党が協力する可能性は高くなく、民主党を無力化していく以外方途はないだろう。

そのため、民主党との全面対決に舵を切ったのが今回の検察による李在明代表への出頭要請ということではないか。

 保守系の大統領が誕生して、ようやく親北反日米から反北親米、そして日韓関係改善へと舵を切った韓国ですが、文在寅前大統領の政策新党の影響も大きく、尹政権の先行きも予断ができません。

 そうした中でのこのバトル、果たしてどうなるか、と注目されるところですが、何しろ元はスキャンダル合戦。アメリカのバイデン、トランプ両陣営のバトルとは格が違いすぎます。

 それにしても、反日を是としギャーギャー騒ぎ、スキャンダルまみれの李在明氏が党代表に就任する韓国の政党は、日本では考えられませんね。これが韓国だ、と言うことでしょう。

 尹政権が如何に日韓関係を改善しようとしても、議員の多く、そしてその議員を支えている国民の多くは、相変わらず「洗脳された反日」なのです。再びみたび、「ちゃぶ台返し」をされないよう、慎重に、かつ毅然と対応していく必要がありそうです。


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