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2022年10月

2022年10月31日 (月)

和田政宗氏:那覇市長選を含む7市長の自民党候補勝利に、「オール沖縄」から「沖縄」を取り戻す!

27  先の沖縄県知事選では、オール沖縄推薦の玉城候補が他の2候補を破り、2期目への継続が決まりました。残念な結果でしたが、しかしその後の那覇市長選では自民党推薦の知念候補が当選し、これにより今年行われた7つの市長選で、すべて自民推薦候補がオール沖縄候補に勝利したと言うことになりました。

 この結果を受けて自民党の和田政宗議員が月刊hanadaプラスに、選挙結果の詳細を寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『「オール沖縄」から「沖縄」を取り戻す!』です。

那覇市長選で自民党が推薦する知念覚候補が、革新のオール沖縄系候補を破り初当選を果たした。「オール沖縄の政策では未来が開けない」。今年沖縄で行われた7市全ての市長選で、自民推薦候補が勝利したのはまさに沖縄県民のそうした声の表れである――。

「オール沖縄」、7市長選で全敗!

那覇市長選で自民党が推薦する知念覚候補が、革新のオール沖縄系候補を破り初当選を果たした。相手候補は、故翁長雄志・元沖縄県知事、元那覇市長の子息で前県議であったが、1万票差をつけ、終わってみれば完勝と言える内容であった。

当初は、知念氏が不利と見られていたが、城間幹子那覇市長が市長選告示の4日前に知念氏を支持することを表明。城間市長はオール沖縄系の支援を受けて当選したが、最近のオール沖縄の姿勢に疑問を呈し、「保守中道」の原点に立ち返るとして、那覇市副市長であった知念氏への支持を表明した。

当然、オール沖縄は大反発し裏切り者扱いしたが、那覇市の将来の発展のために城間市長は知念氏支持を決断した。「オール沖縄の政策では未来が開けない」。今年沖縄で行われた7市全ての市長選で、自民推薦候補が勝利したのはまさに沖縄県民のそうした声の表れである。

今年、沖縄における市長選挙は、名護市長選、南城市長選から始まった。名護市は、辺野古に米軍キャンプシュワブがあり、前回4年前の選挙では、辺野古への米軍普天間基地移設反対を掲げるオール沖縄系の現職市長に対し、自民党が推薦する新人の渡具知武豊氏が大激戦の末、勝利した。

今年の選挙も相手候補はオール沖縄系であったが、5千票差の完勝であった。また、南城市長選では、前回オール沖縄系候補に敗れた古謝景春氏が、現職市長を破り返り咲きを果たした。

そして、オール沖縄の退潮を象徴的に表した選挙が、今月9日に行われた豊見城市長選であった。オール沖縄系の現職候補を、自民党が推薦する新人候補が破った。新市長となった徳元次人氏は41歳。現職は48歳であったが、それよりさらに若い候補を自民党は擁立し勝利に繋げたのである。

今、沖縄ではこのように若い方々を中心に政治への危機意識と関心が高まっている。オール沖縄に任せていたら、沖縄の発展は失われ、平和は危険にさらされるという考えである。

このままで沖縄を守れるのか?

今回の那覇市長選のNHKの出口調査では、10代から50代までは知念氏への投票が半数を超え、特に30代は知念氏に約70%が投票。一方、60代と70代以上は翁長氏への投票が半数を超え、特に70代以上は翁長氏に約60%が投票した。

つまり、現役世代は知念氏に投票し、60代以上は翁長氏に投票するという、沖縄や全国各地で見られる世代間による保守系支持、革新系支持の違いが那覇市長選でも見られ、今回は現役世代の投票が強く出たため知念氏の勝利に繋がったのである。

これは、投票で何を最も重視したかにも表れており、NHKの出口調査では、「経済振興」が32%で最も多く、次いで「教育・子育て支援」が27%、「医療・福祉の充実」が17%で、革新系が強く打ち出す「基地問題への対応」は16%と4番目であった。

このうち、「経済振興」と答えた人の70%台半ばが知念さんに投票し、「基地問題への対応」と答えた人の80%台半ばが翁長氏に投票した。現役世代は、経済振興と教育・子育て支援充実のためには、自民推薦の知念氏の当選が必要という考えに至った。オール沖縄系候補ではこうしたことはままならないと判断したのである。

知念氏の政策も現役世代を意識したもので、これがピタリと当たった。高校までの医療費無料化や給食の無料化を公約とした。親の経済状況で子供に格差を生み出してはいけないという考えであり、これらが支持された。

そして、多くの現役世代にとって安全保障上の重要な課題は、「基地問題」ではなく「国防」となっている。私は沖縄を度々訪問するが、国防に対する意識が若い世代で変わってきていると実感している。このままで沖縄を守れるのか、という考えである。

「基地反対」を叫ぶオール沖縄にうんざり

以前は、沖縄で若い世代の方々に中国の軍事的脅威をお話ししても関心の薄い方がいらっしゃった。しかし現在は、講演や意見交換会、街頭演説においても中国の脅威に対する反応が強くなっている。

これは、台湾危機において沖縄が攻撃されるかもしれないという危機意識であり、8月に中国が弾道ミサイルを沖縄・先島諸島の排他的経済水域(EEZ)内に打ち込んだことも強く意識されている。

こうした状況においても「基地反対」を叫ぶオール沖縄に愛想を尽かし、真に沖縄の平和を守るためには自民系の候補に投票して、しっかりと国防力を高めて欲しいというのが沖縄の多くの現役世代の思いである。

なお、玉城デニー氏が当選した沖縄県知事選挙においても、米軍普天間基地がある宜野湾市、移設先の辺野古がある名護市では、自民党の佐喜真淳候補への投票が玉城氏への投票を上回っている。

今回の那覇市長選挙は、沖縄の政治状況の大きな転機となるかもしれない。現役世代は、沖縄の経済発展と平和を守るために自らの手で首長を選択できることを体感した。

これまでは「基地反対」をはじめとして「沖縄のことは自分たちで決める」(玉城知事)というオール沖縄系の発言についてシンパシーを感じてきた現役世代の方々も、このままでは沖縄経済は発展しない、暮らしは良くならない、侵略の危機に対応できない、と意識を変え行動を始めたのである。

私は微力ではあるかもしれないが、こうした方々とともに沖縄各地の市町村長を保守系としていき、最終的に沖縄県知事をオール沖縄系から取り戻していきたい。沖縄の貧困を無くし、子育てしやすく、若者が輝ける、稼げる沖縄としていく。今が変化の時だ。

 1972年の沖縄の本土復帰から、40年間で10兆円の振興予算が投じられ、その後も毎年3000億円前後の予算が振り分けられていますが、未だに沖縄の一人あたり県民所得は全国最下位に甘んじています。一体何に投じられてきたのでしょうか。

 そうした情況でも、オール沖縄のスローガンは「基地反対」一辺倒で、産業育成やインフラ整備には注視していない様に思います。しかし和田氏が語るように、周辺の安全保障環境の急激な悪化と継続的な経済状況の停滞といった現状に、県民の目は真の安全保障と生活の改善に振り向けられつつあります。イデオロギーより現実の生活に重点をうつしつつある現状に拍手を送りたいと思います。

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2022年10月30日 (日)

安倍元首相を「国賊」と言った村上誠一郎発言を巡る報道で透けて見える朝日新聞の本音

2210191311_1714x486  少し前の事案ですが、自民党無派閥の村上誠一郎議員が安部元首相の国葬に欠席しましたが、その記者会見の際安倍氏を「国賊」と批判し、その後自民党の役職停止処分を受けたことは、ご承知のことと思います。

 ところでこの報道に関し、朝日新聞が当初の報道では「国賊」を隠し、その後「国賊」を含めた記事を書いています。何でそんなことをしたのでしょうか。その経緯をデイリー新潮が記事にしていますので、以下に引用します。タイトルは『安倍元首相は「国賊」なのか 村上誠一郎発言を巡る報道で透けて見える朝日新聞の本音』です。

 朝日新聞が“言論封じ”などと言えた義理か──こんな声が自民党から出ているという。不評を買っているのは、10月13日の朝刊に掲載された「自民、役職1年停止処分 安倍氏を『国賊』、村上元行革相 『言論封じ』懸念の声も」の記事だ。

 ***

 時事通信は9月20日、「安倍氏国葬を欠席へ=自民・村上氏」の記事を配信。自民党の村上誠一郎・元行革相(70)が、安倍晋三・元首相(1955~2022)を「国賊」と批判したことを伝えた。該当部分を引用する。

《安倍氏の政権運営が「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と批判した。党本部で記者団の質問に答えた》

 記事には《記者団の質問に答えた》とあるが、この発言を20日に報じたのは時事通信だけだった。翌21日になっても多くの新聞社は、村上氏の「国賊」発言を紙面で報じることを見送った。

 後で詳述するが、実は《記者団》の中に朝日新聞の記者もいた。その後の朝日の報道姿勢は不可解と言わざるを得ないのだが、まずは経緯をお伝えしよう。

 村上氏の「国賊」発言は、安倍派だけでなく自民党内でもかなりの国会議員が問題視した。

 10月12日、自民党は党紀委員会を開催。村上氏の発言は党員の「品位をけがす行為」だとして、1年間の役職停止処分を決めた。

 村上氏は党紀委に「よく記憶はしていないが、不用意な発言でおわびして撤回したい」と文書で釈明。その後の記者会見で、安倍氏の遺族にも謝罪する意向を示した。

現場にいた朝日

 ベテランの政治記者が言う。

「村上さんの選挙区は愛媛2区です。一説によると村上水軍の末裔だそうですが、村上家が素封家、地元の名家なのは間違いありません。曽祖父と父親が元衆議院議員、伯父が元参議院議員、祖父が元最高検察庁次長検事、妹が立憲民主党幹事長の岡田克也さん(69)の妻……という具合です。資金力は豊富で、連続12回当選と選挙にめっぽう強いことでも知られています」

 村上氏は自民党内では無派閥。第2次安倍政権時から、繰り返し首相批判、政権批判を公然と行っていた。

 確かに安倍氏は、毀誉褒貶が相半ばする政治家だった。とはいえ、凶弾に倒れた元首相を国賊呼ばわりとは、さすがに言い過ぎだろう──自民党の穏健派からも、こんな声が出たという。

 自民党では、村上氏の発言は当然として、朝日新聞の報道姿勢も疑問視する声が上がっているという。ある自民党議員が取材に応じた。

「9月20日、党本部では、時事通信、朝日新聞、そして愛媛新聞の記者が、村上さんに取材していました。しかし、記事にしたのは時事通信だけだったのです。ちなみに、記者の全員がICレコーダーを持っていましたから、各社とも音声の“証拠”は持っているはずです」

「国賊」をカット

 朝日新聞は21日の夕刊で、村上氏の発言を記事にする。だがその際、「国賊」の二文字を削ってしまった。

「報道各社は、時事通信が20日に報じた記事のうち、村上さんの『国葬欠席』のみを後追いしました。21日には、NHK、共同通信、読売新聞、そして朝日などが、『村上氏、国葬欠席へ』と報じました。ところが朝日は奇妙なことに、記者が村上さんの『国賊』発言を耳にし、時事が報じていたにもかかわらず、21日の紙面では、それを書かなかったのです」(前出のベテラン記者)

 論より証拠、朝日新聞が21日の夕刊に掲載した「元行革相の自民・村上氏『国葬辞退する』 『安倍氏、財政・外交ぼろぼろに』」の記事から該当部分を引用しよう。

《村上氏は20日にも朝日新聞などの取材に対し、「安倍氏は財政、外交をぼろぼろにし、官僚機構を壊したとの見方もあり、その責任は重い」などと語り、安倍氏のことを批判していた》

 時事通信の記事と比較すると、《官僚機構を壊した》までは同一と言っていい。ところが、「国賊」の文言だけが綺麗に消されたことが分かる。

腰の引けた朝日

 翌22日、毎日新聞は朝刊で「安倍元首相銃撃:安倍氏国葬 自民・村上氏は欠席へ」の記事を掲載した。毎日は村上氏の「国賊」発言を取材していないためか、以下のように記述した。

《時事通信は20日、村上氏が党本部で開かれた総務会後に、安倍氏の政権運営が「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と発言したと報じた》

 同じ日の朝刊で、朝日新聞は「村上元行革相、国葬欠席の意向 安倍氏を『国賊』、党内で批判続く」の記事を掲載した。この時になって初めて、「国賊」の二文字を使った。

《村上氏は20日に朝日新聞などの取材に対し、国葬の決定過程などに疑義を唱えた際、安倍氏について「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊して、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に選挙まで手伝わせた。私から言わせれば国賊だ」と述べた》

 朝日は時事と共に、他紙は書けない記事を配信することが可能だった。ところが、なぜか“後出しジャンケン”の紙面展開に終始した。

言動不一致の朝日

 そして10月12日に党紀委が村上氏に処分を下し、朝日新聞は13日の朝刊でその内容を報じた。冒頭で紹介した「『言論封じ』懸念の声も」の記事だ。

 記事の最終段には法政大学大学院の教授によるコメントが掲載され、村上氏に処分が下されたことに《多様な意見が党内で出なくなるのではないかと危惧する》と憂慮したことを伝えた。

 更に《閣僚経験者》が朝日新聞の取材に応じ、《処分するとは異例だ。言論を封じるような前例にしてはいけない》と指摘したと報じた。どうやら、この発言から「『言論封じ』懸念の声も」の見出しを採ったようだ。

 だが前出の自民党議員は、「そもそも朝日は『国賊』発言を把握したにもかかわらず、すぐに紙面では伝えませんでした。今さら言論封じを憂うとは片腹痛いですよ」と言う。

「9月22日になって初めて『国賊』の二文字を書いたということは、何らかの理由から自主規制してきたと言われても仕方ありません。そんな腰の引けた新聞社が、言論封殺などと言うのはおかしな話です。毎日新聞や東京新聞といった政権与党に批判的な社でも、朝日のような軽薄な紙面にはしませんでした」

書かなかった理由

 毎日新聞も10月13日の紙面で、《党関係者》が《自由闊達(かったつ)にものを言える党の雰囲気が失われてしまわないか心配だ》と取材に答えたことを紹介している。

 だが、記事の見出しは「自民党:村上氏、1年間役職停止 自民処分 『安倍氏国賊』発言で」と落ち着いたトーンにとどめた。

「自民党は昔も今も、自由に発言できます。村上さんが何度も安倍政権を批判してきたことが最大の証拠です。我々が苦い顔を浮かべざるを得ない発言もありましたが、それでも容認してきました」(同・自民党議員)

 今回、党内から異議が出たのは、「いくらなんでも死者に『国賊』は無礼だ」という常識的な観点からだという。

「そもそも朝日は安倍さんのことが嫌いでした。本音では、彼らも安倍さんのことを『国賊』だと思っていたのでしょう。しかし、村上さんの『国賊』発言を書いてしまうと、さすがに『無礼だ』という話になり、安倍さんの支持層を利してしまう。だから当初、書かなかったのかもしれません」(同・自民党議員)

 真実を伝えるはずの新聞が、自社の都合や思惑で事実を隠蔽したり、後出しじゃんけんで伝えたりすることで、その信用は失墜します。朝日新聞は今に始まったことではなく、今回の一件は小さな事案ですが、過去には沖縄珊瑚自作自演事件や、教科書検定捏造報道、福島原発の吉田調書虚偽報道、そして例の慰安婦強制連行虚偽報道と、枚挙にいとまはありません。

 そして安倍氏暗殺事件の後に、銃弾に倒れた故人への国葬を揶揄した「とんでも川柳事件」も起こしていて、メディア界の中でも「反安部」の先頭を走っていた、と言っていいでしょう。ですから今回の一件もそうした姿勢が作り出したのかも知れません。

 朝日新聞はGHQによるプレスコード実施の最中、もっともGHQに協力した新聞と言われています(ラジオ報道ではNHK)。つまりWGIP(自虐史観)に洗脳され、抜けきらない社風が未だに強く残り、時を経て今や日本が迷惑をかけた(と思わされている)中韓に最も協力的な新聞へと変遷しているようです。購読者数第2位の新聞がこういった偏向新聞では困ったものです。廃刊を強く願うものです。

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2022年10月29日 (土)

有本香氏:立民・源馬議員の認識を問う 習体制の独裁強化めぐる「一個人のツイートを政務官がRT」と国会で問題視

Maxresdefault_20221029101601  日本の野党の体たらくは度々取り上げていますが、昨今の旧統一教会問題にのめり込んだ様子は、これが果たして日本国民を代表する国会議員なのかと、首をかしげたくなります。他に少子化問題や、経済、財政、安保、エネルギー、食料等の問題が山積している中、来る日も来る日も、旧統一教会と政府・与党議員の関係の追求をし、これで政府・与党を追い込んだと自慢げなのに、うんざりしてしまいます。

 そうした中で、立民の打越さく良議員が19日の参議院予算委員会で、山際前経済再生担当大臣に、「旧統一教会の信者かどうか」を質問したことが、問題になっています。ノンフィクションライターの石戸諭氏は、「社会的には許されないとされることが、平気で起きる国会。僕の経験で言っても、これメディア企業でやったらアウトですね」と批判しています。当然自民党からも批判が出ています。

 さらに26日には衆議院外務委員会でも、立民の源馬謙太郎議員が政務官のリツイートを取り上げて、「問題だ」となじって見せたようです。そのツイートの発信者、有本香氏がzakzakにその詳細を寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『立民・源馬議員の認識を問う 習体制の独裁強化めぐる「一個人のツイートを政務官がRT」と問題視、衆院外務委員会で話題』です。

衆院外務委員会で26日、私のツイートが取り上げられたというので、アーカイブ動画を確認した。質問者は立憲民主党の源馬謙太郎議員(49)だ。

立民関係者からは不勉強となじられるかもしれないが、私はこの議員についてほとんど知らない。同郷の静岡県選出(静岡8区)にもかかわらずだ。あえて言えば、これまで国会での目立つ活躍・実績はない人との認識である。その源馬氏が問題にしたのは、次の拙ツイートだ。

「共産党大会でのドラマ。胡錦濤前国家主席が人民大会堂から連れ出される場面が世界に流された。習近平の3期目は政敵の〝徹底排除〟から始まる。今後、経済は統制されて改革開放の果実は溶け、言論と人権は一層抑圧される。日本にとって対岸の火事ではない。逃げ遅れた日本企業からも犠牲者が出るだろう」(10月22日)

これは、同日、北京で行われていた中国共産党大会の閉幕式での一幕に関し、AFP通信のオリバー・ホサム氏が、写真付きで投稿したツイートを引用し、私のコメントを付した投稿だ。その私のツイートを、外務大臣政務官を務める高木啓衆院議員がリツイート(以下、RT)した。これが「問題だ」と、源馬議員はなじってみせた。

バカバカしい話だが、私のツイートを政務官がRTしたぐらいのことで、国権の最高機関での貴重な数分が割かれたのだ。せっかくだから、振り返っておく。

私のツイートの元となった、胡氏の不自然な形での退席をめぐっては、今日に至るも世界中のメディア、中国ウォッチャーの間でさまざまに憶測されている。大半が、「体調不良が原因」とする中国側の説明を疑問視している。

ただし、私のツイートは胡氏をめぐる異常な光景にのみ向けた言及ではない。140字というツイッターの文字制限ゆえ、極力絞った表現にならざるを得ないのだが、「習近平の3期目は政敵の〝徹底排除〟から始まる」という部分は、この時に発表された新人事を受けたものでもある。胡氏に近い李克強首相らが、党の最高指導部メンバーである政治局常務委員からそろって外れた新体制、これを「政敵の徹底排除」と言わずして何というのか。

また、景気対策などを指揮してきた李氏の後任として来年3月の首相就任がほぼ確実となったのは、上海市のトップ李強氏だ。習氏の「ゼロコロナ政策」への忠義立てのためか、経済の街・上海を延々とロックダウンし続けて、市民から大不評を買った人物である。

経済通として知られる劉鶴副首相も新体制の選から漏れた。劉氏の後任は、地方勤務の長い何立峰氏だ。李強氏、何氏、いずれも習氏の地方時代からの「忠臣」だが、「この布陣では中国の景気回復は難しいのではないか」という懸念、疑問の声は、これまた世界中のメディアが伝えている。

自由や人権の抑圧が一層深刻化する懸念も、夕刊フジ読者の皆さまなら、多くがピンとくるだろう。習近平体制の10年は、全ウイグル人を苛烈な生き地獄にたたき込んだと言っても過言ではない。

ウイグル問題などの惨状はこれまで本コラムでも繰り返し書いてきたが、米国はついに、「ウイグル強制労働防止法」まで施行させ、EU(欧州連合)も追随しようという流れができつつある。これは回り回って日本企業への「刃」となりかねない。

そうした中国の現状と予測を、少々ラフな表現ではあるが、端的に書いた私のツイートのRTについて、源馬氏は高木政務官に執拗(しつよう)に食い下がった。

「大メディアのツイートならまだしも、有本さんという一個人のツイートを、政務官がRTするのはいかがなものか」「高木政務官も有本さんと同じ認識か」と、しつこくただしたのだ。

源馬議員よ、私のツイート、特に私の中国認識に何か重大な誤りや問題があるとでも言いたいのか。大メディアの報道なら良くて、私という個人の発信は信頼に足らない、私の発信は公人が参考にするに値しないとでも言いたいのか。

内容に文句があるなら、ぜひ私に直接言ってきてほしい。その際には当然、貴殿の国際情勢への認識や人権問題への見識・解決案を、極めて具体的に開陳してもらいたいと思うが、どうか。

 もはや重箱の隅では飽き足らなくて、海浜の大量の砂の中の一個の貝殻をつつくような、全く国民生活とは何ら関係のない些末なことを、国会という公的でしかも参加する議員に多くの国税が支払われている場で、時間を浪費するこの感覚が全く分かりません。

 それほど国会議員というその職が持つ意義を全く分かっていない言動が、毎日続くこの日本は、将来果たしてどうなっていくのでしょうか。その日本の未来を案じて、隣の中国の政治の動きを発信した有本氏のツイートの中身を、この源馬議員少しは考えたことがあるのでしょうか。もしかしたら自身も習近平体制をよしと思っているかも知れません。そうであれば恐ろしいことです。

 それと同時に何故か過去よりずっと、特定野党や左派系メディアに、殊更人の揚げ足を取ろうとする動きが多いように思います。政府・与党やその応援団、もっと言えば保守の面々に対する言論封殺の動きが、目立ちます。それにマスコミが加担して、まるで「表現の自由」を抑圧する憲法違反がまかり通っているようです。それが言論封殺の大国、中国への憧憬であれば何をか言わんやでしょう。ただし自身は言い放題だからより始末が悪いと思います。何とかしなければいけません。

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2022年10月28日 (金)

習近平「見えない日本侵攻」のヤバすぎる実態!半導体技術者を引き抜き、豊洲タワマンも中国人だらけ

25_20221026120901  中国による日本の土地やマンションの買い占めが取り沙汰されてかなりになります。実際に北海道の土地や東京の不動産が中国人に売り渡されている実態があります。国会は外国人、特に中国の不動産取得に歯止めをかけるべく、立法化を急ぐべきでしょう。

 さらには工作員による先端技術の中国への漏洩や、高額の報酬をちらつかせ技術者のヘッドハンティングが日常行われているようです。ここも早急に経済安全保障のセキュリティクリアランスの立法化が必要でしょう。

 習近平政権になってから、顕著になってきたこの日本の技術の漏洩や不動産の購入実態。週刊現代がこの問題を取り上げていますので紹介します。タイトルは『習近平「見えない日本侵攻」のヤバすぎる実態…!半導体技術者を引き抜き、ハウステンボス買収、豊洲タワマンも中国人だらけ』で、以下に引用します。

目指すは「世界の覇者」

天無二日――儒教の経典『礼記』には、こんな言葉が出てくる。

「天に二つの太陽はない」という意味で、「世界の統治者は常にただ一人」という中国の世界観を象徴している。'49年に中華人民共和国を建国した毛沢東以来、歴代の指導者たちもこの言葉を知っていたが、彼らは多くの民を抱える中国の内政を安定させ、成長の軌道へ乗せることに生涯を費やした。

だが、国家主席「異例の3期目」に突入し、真の「皇帝」となった習近平総書記(69歳)は違う。中国の「外」にいる異民族をも討伐し、全世界に君臨する王となる「天無二日」を現実のものにしようとしているのだ。その隠し切れぬ野望は、演説ににじみ出た。

「10月16日に開かれた共産党大会の政治報告では1時間45分の演説を行い、『安全』や『安全保障』という言葉を前回の55回より多い73回も使いました。また軍事侵攻の可能性に言及した『台湾統一』のくだりでは万雷の拍手が起こりました」(ジャーナリスト・福島香織氏)

この演説時、かつて国家主席を務め、習近平にとって「お目付け役」だった江沢民元総書記(96歳)や、朱鎔基元首相(94歳)は姿を見せなかった。また長年政権を支えてきた「盟友」王岐山国家副主席(74歳)も不参加。名実ともに習近平は「絶対権力者」になった、ということだ。

自らを脅かす者を一掃し、完璧な独裁体制を確立した習近平が目指す目標はただ一つ。

アメリカから覇権を奪い、世界秩序の頂点に立つこと――。

この数十年、中国も近代化、資本主義化して「もはや敵ではなくなった」と西側諸国は考えてきたが、それは思い違いだ。彼らは腹の底では「力を蓄え、西側を潰す」ことだけを考え、猫を被っていたのだ。

'27年までの任期を手に入れた習近平は、ついに「虎」としての本性を現す。まず狙われるのは、国力が衰微し軍事力も脆弱、西側世界で最も御しやすい、ちっぽけな島国――日本である。

「半導体市場の覇権を握れ!」

中国の「日本侵攻」はすでに始まっている。それはミサイルのような目に見える侵略ではない。ありとあらゆる分野に音も立てずに浸透し、いつのまにか中国なしでは立ち行かないようにする。それこそが、侵攻の第一段階なのである。

〈6月5日をもって退職することとなりました〉

同僚から届いたメールを見て、国内大手メーカーに勤める40代の半導体技術者Aさんは「また中国企業か」とため息を漏らした。技術者が次々にヘッドハンティングされて、櫛の歯が欠けるように減っている。

「年収700万円弱だった先輩は、2倍を超える収入を提示されて清華大学系列の半導体メーカー『紫光集団』に転職しました。台湾企業『TSMC』に転職した友人にも、中国企業からの誘いが来ているそうです。

TSMCは部長クラスの年収が5000万円に達しますが、中国企業は年収、福利厚生などの要望を何でも聞いてくれる。日本の企業ではありえない好待遇で、実は私も迷っています」

中国の企業は、日本の技術者に破格の報酬を提示する。習近平の「2025年までに半導体市場の覇権を握れ!」という大号令を受け、日本人の一流エンジニアを根こそぎ引き抜いているのだ。

「日の丸半導体」は衰退の一途を辿り、日本の半導体自給率はわずか27%。約63%を中国と台湾からの輸入に頼っている現状がある。習近平は「禁輸」の一言を発するだけで、簡単に日本の製造業の息の根を止められる。

半導体だけではない。レアアースや鉄鋼製品など、日本はあらゆる工業原料を中国に頼っている。中国からの輸入の8割が2ヵ月間途絶えるだけで、GDPの1割にあたる約53兆円の生産額が消失するという試算もある。

中国は表向き「共存共栄」を謳うが、そんなものは建て前にすぎない。各国の経済でプレゼンスを増やすことはすなわちその国を「合法的に支配する」ことだ。現にいまや日本にもアメリカにも、「中国と関係を断つことは不可能だ」「そんなことをすれば、経済がもたない」と主張する有力政治家や財界人が大勢いる。

中国人が急増中の「豊洲のタワマン」

さらに中国は日本経済を支配するために、弱った企業を次々に買収している。たとえば東芝の家電部門である「東芝ライフスタイル」は'16年に、537億円で中国の大手家電メーカー「美的集団」の傘下となった。高級ゴルフクラブメーカー「本間ゴルフ」も、'10年に中国系ファンドの「マーライオン・ホールディングス」に買われた。

習近平は、プーチンのように突如派兵し、ミサイルを撃つほど愚かではない。経済を支配下に置くことで、孫子から2500年にわたり受け継がれる「戦わずして勝つ」戦略を実践しているのだ。

これと並行して中国が進めているのが、日本人の「暮らし」の支配だ。

豊洲などのタワマンで最近、同時多発的に異変が起きている。共用ラウンジで毎日のように、けたたましい中国語が響き渡っているのだ。

「上の階は電波が入らないのか、中国人住民が共用部に降りて来て電話をかけまくる。さらに中国人同士でお喋りを始め、ソファーを占領しています」(タワマンの住民)

都内の不動産業者によれば、中国人からのタワマン購入の問い合わせはここ1年で4倍近く増えているという。荒川区などではすでに住民の4割以上を中国人が占めるマンションも珍しくない。

不法滞在者や日本国籍を取得した人を含めると、日本にいる中国人は100万人に迫るといわれる。秋田県や香川県の人口を超える数の中国人が日本に入り込んでいるのだ。次々やってくる中国人によって、日本が少しずつ「中国化」していく。これは大げさな話ではなく、海外では取り返しのつかない事態が起こっている。

ハウステンボスも買われた

オーストラリア北東部にある「ケズウィック島」。澄みきった真っ青な海に囲まれ、大部分が国立公園に指定されている自然豊かな島である。

ところが'20年、島の一部を買い上げた中国の不動産開発業者が、オーストラリア住民のビーチなどへの立ち入りを禁じてしまった。資本の力によって、国土を「実効支配」されてしまったのだ。

日本でも、こうした事態は現実になりつつある。今年8月、長崎の人気テーマパーク「ハウステンボス」が香港を拠点とする投資会社PAGに総額1000億円で買収されることが決まった。

「ハウステンボスは佐世保の米軍基地と海上自衛隊の基地の至近距離にあり、施設の内部から基地を偵察できる。米兵が遊びにくることも多く、防衛にかかわる機密漏洩の危険も指摘されています」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)

北海道のニセコを始め各地の観光地でも、次々に中国資本が進出している。日本の土地なのに、ゆくゆくは至る所で「日本人は立ち入り禁止」になってもおかしくない。

留学生などの協力者を含めて数万人いるといわれるスパイも野放しだ。習近平は共産党直属の組織を強化することで、海外での工作活動にも注力している。それが「中国共産党中央統一戦線工作部」(中央統戦部)だ。

「習近平は中央統戦部を『魔法の武器』と呼ぶほど重視しています。海外の政治運動や選挙を狙って工作員を送り込んだり、ネット等で情報戦を行うことが彼らの役目です」(元陸上自衛隊東部方面総監・渡部悦和氏)

今年1月、イギリスでは英情報局保安部(MI5)が「中国系の弁護士クリスティン・リー氏が、中央統戦部の意向を受け下院議員に近づき影響力を行使している」という、異例の警告を行った。

「ワシントンにある『ジェームズタウン財団』の報告書によれば、中央統戦部は日本でも活動している。過去には自民党の旧田中派系の派閥、公明党、さらに小沢一郎氏のグループなどに影響を与えてきた可能性が指摘されています」(渡部氏)

 実は唐突な話ですが、安倍元総理の暗殺事件、山上容疑者一人では資金面でも技術面でも準備が不可能だったのではないか、と言う疑問がわいています。更には発砲時の銃の反動情況や、致命傷に至った弾丸の一つが発見されていないことから、複数犯説も取り沙汰されています。

 この事件を機に、にわかに拡散した旧統一教会問題。その拡散に大きな力を発揮したのが、特定野党とメディアでした。しかしその背後には中共があるのではないか、と穿った見方も出てきます。つまり「国際勝共連合」と相容れない中共が裏で暗躍し、これも中共に都合の良くない保守の重鎮安倍氏を、ここで亡き者にすれば、中国のこの記事のような日本侵攻には都合が良くなるからです。

 これは単なる推測の域を出ないストーリーですが、今の日本でこの中国の侵攻を止めるための、砦となるべき政界の大物がいなくなったわけですから、中国としては日本与しやすしと思うでしょう。特に旧統一教会問題で腰の引けた岸田政権には。こうなった今はただ高市氏をはじめ、保守の政治家や論者が何とか頑張って、この侵攻を食い止めて欲しいと願うばかりです。

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2022年10月27日 (木)

韓国検察と全面戦争、疑惑まみれの最大野党の反日党首「李在明」が絶体絶命

202210241321471  今回は久しぶりに韓国の話題です。3月の大統領選で僅差ながら勝利した尹錫悦新大統領。その言動や周囲のスキャンダルで支持率が低迷したままですが、そうした中、尹錫悦氏と大統領選で争った現「共に民主党」代表の李在明氏に、検察の手が動き始めたようです。

 李在明氏は大統領選の期間中から、疑惑満載でした。今彼に検察がどう動いているのでしょうか。ジャーナリストの李正宣氏がJBpressに寄稿したコラムからその詳細を見てみます。タイトルは『韓国検察と全面戦争、疑惑まみれの最大野党の党首「李在明」が絶体絶命 片手に余る疑惑の数々、停滞していた捜査がここにきて急転回』で、以下に引用します。

 韓国の最大野党「共に民主党」代表の李在明(イ・ジェミョン)氏が絶体絶命の危機に追い込まれた。李氏に関しては、少なくとも7つの疑惑について検察の捜査が進んでいたが、ここにきて一気に捜査が進展した。検察は、李氏の側近を相次いで逮捕・起訴し、李氏に対する取り調べも秒読みに入ったと見られる。

 国会において過半数を占める最大勢力でありながら最悪の事態にまで追い詰められた「共に民主党」は、「戦時体制」に入ったことを宣言、韓国政界における大統領府・検察vs野党の対立は極限状態にまで達している。

26 疑惑がボロボロと

 発端は、大統領選挙を6カ月後に控えた昨年9月にまで遡る。当時与党だった共に民主党の次期大統領候補として有力視されていた李在明氏に巨大な不正疑惑が浮かび上がった。李氏が城南市長在職当時、城南市の官民合同の大規模都市開発プロジェクトだった「大庄洞開発事業」で「火天大有」という会社が5000万ウォンの投資で4000億ウォンという膨大な利益を与えた事実が発覚した。李氏はこのプロジェクトの最終承認者であり、李氏の知人が「火天大有」の代表だったことなどから、李氏がこの不正疑惑の黒幕ではないかという疑いが浮上した。

 この事件を筆頭に李氏に対する疑惑が次から次へと浮かび上がった。李氏が城南市長在職当時、ネイバー、斗山建設、チャ病院などの企業から城南FCサッカー団の巨額の後援金を受け取り、事業上の便宜を提供したという疑惑、「サンバンウル」という下着大手企業から自分と夫人の弁護士費用を肩代わりしてもらったという疑惑などだった。

 当時は、共に民主党の大統領候補選出選挙を控えていた時だったこともあり、これらの疑惑はライバルの李洛淵(イ・ナクヨン)元首相側から提起されたもので、李洛淵元首相の支持者たちは李在明氏を警察や検察に告発した。

 しかし李在明氏は、各種の疑惑にもかかわらず、2021年10月の共に民主党の大統領候補選挙でライバルの李洛淵元首相を抑え、与党の公式候補となった。

検察捜査に備えた「国会議員」「党代表」という鎧

 本格的な大統領選挙レースが始まると、李氏に対する疑惑はさらに増えていった。

 李氏の夫人に関して、京畿道公務員を私的な雑務に使ったことや、京畿道法人カードを私的に使った事実などが暴露され、李氏の長男に関しては不法賭博および性売買疑惑なども明るみに出た。また、李氏本人についても「大庄洞事業」と酷似した城南市の新都市2カ所の開発疑惑が新たに出てきて、李在明氏は多くの疑惑に包まれたまま大統領選挙に臨むことになった。

 これらの疑惑に足を引っ張られたせいもあってか、0.7%という僅差まで迫りつつも、李在明氏は大統領選挙で尹錫悦現大統領に敗北した。同時に、権力の座に着けなかった李氏に対する捜査が一気に進むのではないかと見られていた。

 ところが、李氏は自分を検察捜査の「槍」から守る2つの「鎧」を瞬く間に用意したのだった。

 ひとつは、5月の地方選挙で仁川市桂陽区(インチョンシ・ケヤング)議員だった宋永吉(ソン・ヨンギル)前代表をソウル市長選挙に出馬させ、自分は空席になった仁川市選出の国会議員になることだった。仁川市桂陽区は選挙が始まった以来、保守候補が一度も勝ったことのない民主党支持率が最も強いところの一つ。選挙に出馬した李氏は予想以上の苦戦を強いられるが、なんとか国会議員の座をつかみ取った。

 韓国は、「現行犯を除き、国会議員を会期中に逮捕するためには国会の同意が必要」という国会法がある。李氏は検察捜査からわが身を防御するために国会議員となり、国会多数党である共に民主党の同僚から支援を受けようと考えたのだろう。

 李氏が用意したもうひとつの鎧は党代表職だ。すでに共に民主党の主流派となっていた李在明系の議員と「ケタル」と呼ばれる強烈な支持者の支援で、李氏は党代表に無難に当選し、自分の派閥の議員で党の要職を独占、検察捜査に備えるスクラムを組んだ。李氏個人の不正疑惑に対する検察捜査に対し「野党弾圧」というフレームで対抗し、国会第1党として国会内で強力抵抗するという思惑だった。

捜査への備えをしたにもかかわらず検察は在宅起訴

 しかし、このような努力にもかかわらず、政権が変わると、李氏は一気に危機に追い込まれた。尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領は“最側近”の韓東勳(ハン・ドンフン)法務長官を前面に押し出し、共に民主党寄りの検察官を整理するなど検察組職を一新、文在寅政権下で一歩も進まなかった李在明氏関連捜査を本格的に開始したのだ。

 検察はまず、大統領選挙期間当時、大庄洞開発事業の核心人物として捜査線上に名前が上がると自ら命を絶ったキム・ムンギ前城南都市開発公社事業処長を「知らない」と発言した李氏を、「虚偽事実公表」(公職選挙法違反)の容疑で在宅起訴した。この事件は現在裁判が進行中だが、もし公職選挙法違反で100万ウォン以上の罰金刑が確定すれば、李氏は5年間被選挙権が剥奪され国会議員職からも退かなければならない。また、共に民主党は政府から受け取った大統領選挙支援金434億ウォンを返還しなければならない。

 さらに、城南市長在職時期の2016~2018年、李氏は城南FCのオーナーでもあった。この時に李氏は、斗山建設、ネイバー、チャ病院などの企業から城南FCに対する計160億ウォン余りの後援金と引き換えに、これらの企業に対して建築許認可や土地用途変更などの便宜を与えたという疑惑も、政権が変わるや捜査が急進行した。

 50億ウォンを後援した斗山建設はすでに起訴されており、ネイバーとチャ病院に対する捜索も進行中だ。城南市が城南FCを買収した後、サッカークラブに市予算を追加編成すれば政治的反発などを招くことを憂慮した李氏は、各種事業や建築許認可などを受けなければならない懸案を持つ企業らと接触し、城南FC運営資金の後援を受ける方法を模索したものと検察は睨んでいる。

側近の逮捕

 斗山建設に後援を要請した公務員に対する検察の訴状には、李氏と彼の最側近である鄭鎮相(チョン・ジンサン)「共に民主党」代表室政務調整室長が「供賄罪の共犯」として明記されているという。

 城南FC事件で李氏に向けられている疑惑は「第三者供賄」だ。この罪が適用された過去の事例としては、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の国政壟断裁判当時、朴前大統領の友人の崔順実(チェ・スンシル)氏の娘のユラ氏に対し、サムスンが訓練用の馬を提供した件に関して、朴元大統領に適用されたことがある。

 さらに検察は、後援を要請した公務員に支給された過度な成果金が、李氏の秘密資金に流れたのではないかという疑いを持って、金の流れに対する捜査も進めている。

 これ以外にも、李在明夫婦の弁護士費用を肩代わりした疑いがある「サンバンウルグループ」に対する捜査が進んでいるが、新たに李氏とサンバンウルグループ間の各種のコネクション疑惑が浮上し、捜査が拡大中だ。

 捜査の過程でサンバンウル経営陣が海外に逃避すると、検察は李氏とサンバンウルとの結節点の役割をしたことが知られた李華泳(イ・ファヨン)前京畿道副知事を逮捕・起訴した。李華永氏はサンバンウルの社外取締役顧問を引き受け、同社の法人カードなど使い、3億2000万ウォン相当の不法な政治資金を授受した疑惑がもたれている。

 李華泳氏は、李在明氏が京畿道知事時代に、京畿道平和副知事という肩書きを持って対北朝鮮支援団体「アジア太平洋平和交流協会(亜太協)」と京畿道を結び付けた人物としても知られている。

 李在明氏の京畿道知事時代、亜太協はサンバンウルグループと京畿道の寄付補助金などを元に対北事業を進めていた。そのうち不正に海外に持ち出された数十億ウォン台の資金が北朝鮮に渡ったと検察は見ている。検察が近いうちに李代表と鄭鎮相室長に対して取り調べに乗り出すという観測も出ている。

検察の取り調べに口を開き始めた関係者

 李在明氏が関与したとされる多くの不正疑惑の中で、一番先に捜査が始まった「大庄洞事件」でも最近画期的な進展があった。

 多くの韓国人は、大庄洞事件が城南市長時代の李在明氏が企てた不正事件だと疑っているのだが、検察は大庄洞開発で巨額の利益を得た「火天大有」の関係者から李在明氏側が金を受け取ったという証拠や証言を確保できず、捜査は1年以上李氏周辺の人物を嗅ぎまわるレベルだった。

 ところが最近、当時城南都市開発公社の企画本部長として開発事業を総指揮したユ・ドンギュ氏や、火天大有一味の一人であるナムウク氏が口を開き始めたのだ。彼らは2021年4月から3回にわたって、金湧(キム・ヨン)前京畿道報道官に李氏の大統領選挙準備の名目で約8億ウォンを渡したと供述したのである。金湧氏は李在明氏が「私の分身」と褒め称えた側近の中の側近だ。

 ナムウク氏は金を渡した方法や場所などを詳しくメモした証拠を検察に提供している。また城南都市開発公社の元企画本部長ユ・ドンギュ氏はインタビューを通じて、「私は私の罪だけを償いたい。李在明氏の罪は李が償うべきだ」「小さな石を一つ投げただけなのにあんなに大騒ぎだ。本当に大きな石が飛んだらどうするつもりだろうか」などと、さらなる暴露をにおわせる爆弾宣言をした。

 ただ、逮捕された金湧氏は検察の取り調べに対し、容疑を強く否認しているという。

世論を扇動し、国を分断しようとする進歩系勢力

 日々進展する捜査によって絶体絶命の危機に瀕している李在明氏と共に民主党は、国会国政監査をボイコットする強硬闘争を選んだ。「政治弾圧を辞めろ!」というスローガンで国民に訴える一方、尹大統領の夫人の金健希(キム・ゴンヒ)氏の株価操作疑惑や論文盗作疑惑に対する特別検事捜査をするよう主張している。

 共に民主党の動きに呼応して、ソウル市・光化門では左派市民団体による大規模なろうそく集会が再び頭をもたげ始めた。民主労総からは組織員総動員令が下され、制服を着てろうそく集会に参加する高校生には特別奉仕活動と認められるよう推薦するという“エサ”までばらまくなど、参加者の確保に必死になっている。

「進歩系」を自称する政治家や市民団体が、だかが一人の「不正容疑者」を守るために、まさに国全体を修羅場に追い込むという、情けない状況が今の韓国で生じている。

 李在明氏は反日の代表的政治家で、かつて日本を敵性国家と呼び、「日本は独島(島根県・竹島)の領有権を主張して挑発し、歴史問題を謝罪していない」、「過去に大陸進出の欲望が垣間見えた。最近は輸出規制(輸出管理の厳格化)による経済的な攻撃を試みた。我々は警戒心を持たずにいられない」と述べたり、徴用工問題でも「真摯な謝罪があれば、現実的な解決ができる」と主張して、国際法に違反した最高裁判決を「行政は司法に関与できず、判決を執行しないのは不可能だ」と強調して、判決執行を支持しています。

 こうした歴史捏造に基づく日本批判を繰返す韓国政治家には、検察によってその不正を明らかにし、国会議員職から退いてもらうべきでしょう。また文在寅元大統領を上回る日本批判の急先鋒の李在明氏が、大統領選で勝利しなかったことは、日本にとって朗報だったと言えるでしょう。

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2022年10月26日 (水)

一人独裁を完結させた、習近平が党大会で語っていた不穏な未来(Newsweek)

23_20221025170401  5年に一度の中国の共産党大会が閉幕し、大方の予想通り習近平氏が3期目の国家主席としてトップを続けることになりました。そして中央政治局常任委員を習氏の側近で固め、一人独裁体制を構築したと言っても良いでしょう。

 だが折しも米中関係の冷え込みや経済の停滞など、現在進行形の課題に加えて、台湾の統一問題など、この先も課題は多く残されているようです。いったい党大会で何を語ったのか、

 今回はアメリカのメディアが見たその視点を取り上げます。ディプロマット誌編集長のシャノン・ティエジー氏が、Newsweek(日本版)に寄稿した記事から引用します。タイトルは『習近平が党大会で語っていた不穏な未来』で、以下に引用して掲載します。

<中国が低成長期に入ったことを認めながらも、深刻な経済問題への対処法は不透明。3期目続投となった習が発表した活動報告を、5つのポイントで読み解く>

5年に1度開かれる中国共産党の党大会。20回目の今回は、習近平総書記(国家首席)が異例の3期目就任を決める場として、大きな注目を集めてきた。

だがまずは、この5年間の実績を党員に説明しなくてはいけない。

だから党大会の初日、習は北京の人民大会堂の大舞台で、活動報告を読み上げた。トップ続投を狙っているだけあって、そこからにじみ出るメッセージは継続性だ。

中国を取り巻く環境は厳しさを増しているが、経済も外交もこれまでどおりのアプローチを粛々と続けるというのだ。

中国だけでなく、世界は「過去100年来経験したことのないほどの大きな変化」を経験していると、習は語った。だが、中国共産党は困難を乗り越えて「歴史的勝利」を収めたという。

2021年の党創立100周年記念式典で強調したように、人民の生活に一定の余裕がある「小康社会」が達成され、極端な貧困は追放されたというのだ。

そして今、党は新たな「中心的任務」に取り掛かるという。「第2の100年目標である、あらゆる面で強力な社会主義現代化国家を建設し、それにより中国の現代化を全面的に推進し、中華民族の偉大なる復興を図る」のだ。

ここでいう100年とは、中華人民共和国の建国から100年間の目標という意味だ。

つまり期限は2049年だが、習はこれを前倒しして、2035年までに「基本的な」目標を達成すると宣言した。

13年後の予測はひとまず置いておくことにして、ここでは習の活動報告から、今後の短期的な方向性を示唆する5つのポイントを紹介しよう。

【1】ゼロコロナ政策は続く

習は自らが進めてきたコロナ対策を自賛した。「コロナ対策と経済・社会の発展の連携で重大な成果がもたらされた」とまで語った。

中国のゼロコロナ政策へのこだわりは、習の人格と密接に結び付いているため、今後も維持されるだろう。

それでも、本当にその適切性に自信があるなら、この政策がもたらしたダメージに触れてもよかったのではないか。公共の利益のために払われた犠牲があった、など遠回しの言い方もできただろう。

だが実際には、経済にとってよかったとだけ言及された。ゼロコロナ政策を変更するべき理由はない、というわけだ。

【2】低成長時代に順応せよ

経済政策全般についても、習はこれまでの路線の維持を示唆した。「国内外の双循環」や「サプライサイド構造改革」といった数年前に唱えられたスローガンも口にしている。

ただ、中国経済を借金頼みの輸出主導モデルから、高付加価値商品を中心とする内需主導モデルに移行させる点で、中国共産党の成功はごく限定的と言わざるを得ない。

一方、習は「共同富裕」というかねてからのスローガンも口にしており、今後は経済格差の是正に改めて重点が置かれそうだ。

これは、「質の高い発展」の堅持という表現と相まって、中国が低成長期に入ったことを暗に認めたものと解釈できる。人民の暮らしが上向いている限り、マクロレベルの成長鈍化は受け入れていこうというわけだ。

だが、具体的な格差の縮小方法ははっきりしない。それに習の唱える「共同富裕」は、その中核に緊張をはらんでいる。

習は社会のセーフティーネットの必要性を強調しつつ、福祉は「怠惰」を助長するとしばしば述べてきたからだ。

習が重視するのは、雇用による所得拡大だ。「たくさん働けば、たくさん報酬を得られるようにし、勤勉により豊かになることを奨励する」と、今回の活動報告でも述べている。

だが、それで若者の高失業率上昇や、高齢者増加による年金給付負担の拡大といった、現代の中国経済が抱える深刻な問題に対処できるかは分からない。

総じて習は、経済成長よりも、国家安全保障と社会の安定を重視していることをにじませた。ハイテク分野で世界の指導的地位を固めることでさえ、外国技術への依存を低下させるという国家安全保障上の要請と位置付けた。

【3】台湾統一への強い意欲

台湾関連では、習は「最大限の誠意と努力をもって平和的統一の未来を目指すが、必要なあらゆる措置を取る選択肢を留保する」と述べて、台湾統一のために武力行使も辞さないと示唆した。

その上で、「祖国の完全なる再統一は必ず実現しなければならないし、実現できなければいけない!」と締めくくった。

中国指導部はこれまでにも武力行使という選択肢を排除したことはなかった。

だが、習は今回、「外部勢力と、極めて少数の『台湾独立』分裂主義者の干渉」に対して明確な警告を発した。その念頭には、アメリカと台湾の蔡英文総統があるのは明らかだ。

実は、10月16日に習が読み上げた活動報告は、完全版を要約したものだ。興味深いことに、完全版には、中国の台湾政策の基本線である「1992年コンセンサス」や「一国二制度」への言及があるが、演説ではこれらが省かれた。

習が、テレビ中継もされる演説では、融和的なビジョンを一切示さずに強硬な姿勢を強調したことは、注目に値する。

【4】一帯一路はやはり格下げ

ユーラシア大陸をくまなくカバーするインフラを整備することで、中国が世界の舞台で巨大な影響力を獲得するという「一帯一路」構想。それが最近、習をはじめ指導部の口から聞かれなくなったと指摘されてきたが、今回の活動報告でもそうだった。

代わりに習が言及したのは、グローバル発展イニシアティブ(GDI)とグローバル安全保障イニシアティブ(GSI)だった。

外交政策との関連で一帯一路への言及はゼロ。どうやら中国指導部におけるこの計画の「格下げ」は決定的のようだ。

【5】揺るがぬ党の指導的役割

中国はこの20年間、自らの驚異的な成長に強力な追い風が吹いていると考えてきた。だが、近年の逆風(アメリカが中国を戦略的な競争相手で、安全保障上の脅威だと位置付けるキャンペーンを張ってきたことなど)で、その認識は変化してきた。

習は活動報告で、現在は中国にとって戦略的なチャンスとリスクが共存する時期だと語った。

過去には「ブラックスワン(前例のない危険現象)と、灰色のサイ(存在するが軽視されがちな巨大リスク)がいつ現実になってもおかしくない」と表現したこともある。こうした波乱に耐える準備をせよ、というのだ。

でも、どうやって? それはもちろん、習の指導に一段としっかり従うことによって、だ。

習は活動報告の中で、揺るがぬ党の指導的役割と党内の一致を繰り返し強調した。

トップ就任以来、党内の腐敗追放を進め、権力基盤の強化を図ってきた習は、気を抜かず努力を続けるよう党員に檄を飛ばすことも忘れなかった。習自身が党総書記として3期目を決めても、党内の支配を固め、異論を封じる取り組みに終わりはない。

中国が直面する厳しい国際環境は、その取り組みを正当化する口実になるだろう。

 党大会に関して別のメディアはその異様性を次のように述べています。

24_20221025170401 <同大会の閉幕式では、ショッキングなことが起きた。李首相を庇護してきた胡錦濤前総書記が、強制的に退席させられている様子を写した切り取り動画が、拡散されたのである。国営新華社通信は公式ツイッターで「胡氏は体調が優れなかった」と投稿したが、監視が強化されている同大会の様子が勝手に流される可能性は小さく、一長老が体調不良で退席する様子を世界に発信する理由が思い当たらない。一説では習主席が、自らの権力を外国に住む中国人や華僑、各国情報機関に知らしめるためではないかという説もある。>(DIAMOND online 10/25)

<「10月16日に開かれた共産党大会の政治報告では1時間45分の演説を行い、『安全』や『安全保障』という言葉を前回の55回より多い73回も使いました。また軍事侵攻の可能性に言及した『台湾統一』のくだりでは万雷の拍手が起こりました」(ジャーナリスト・福島香織氏)

この演説時、かつて国家主席を務め、習近平にとって「お目付け役」だった江沢民元総書記(96歳)や、朱鎔基元首相(94歳)は姿を見せなかった。また長年政権を支えてきた「盟友」王岐山国家副主席(74歳)も不参加。名実ともに習近平は「絶対権力者」になった、ということだ。

自らを脅かす者を一掃し、完璧な独裁体制を確立した習近平が目指す目標はただ一つ。

アメリカから覇権を奪い、世界秩序の頂点に立つこと――。>(週刊現代10/29号)

 これらの記事から読み取れるのは、習氏が一人独裁を実現するために、これまで並々ならぬ努力をし、反対派を排除し、長老を脇に置いたことで実現したようです。それが意味するところは習派と反習派の分断ではないでしょうか。

この先経済が頓挫し、国民の不満が高まれば、習政権も安泰ではなくなるかも知れません。従って日米豪印やEUなどの民主主義陣営が、中国の経済依存から脱却し、先端技術分野の供給制限を厳格にして、中国経済を停滞せしめれば、この危険極まりないモンスター国家(正確にはモンスター指導者)から、リスクを軽減できるようになると思われます。もちろん、苦境に陥って暴走させないようにしなければなりませんが。

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2022年10月25日 (火)

山口敬之氏:伊藤詩織氏の「いいね」訴訟はジャーナリズムの自殺行為だ そして首をかしげたくなる判決が

22_20221025094401  自身を中傷する複数のツイッター投稿に「いいね」を押され、名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが自民党の杉田水脈衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が今月20日、東京高裁であり、石井浩裁判長は、請求を棄却した1審東京地裁判決を変更し、杉田氏に55万円の賠償を命じました。原告側によると、「いいね」を押す行為が不法行為に当たると判断されたのは初めてということです。

 この伊藤詩織の訴訟に違和感を持ち続けたフリージャーナリストの山口敬之氏が、同じ伊藤詩織氏に訴訟を起こされたその経験も踏まえて、月刊hanadaプラスに寄稿した記事を紹介します。タイトルは『伊藤詩織氏の「いいね」訴訟はジャーナリズムの自殺行為だ』で、以下に引用して掲載します。

伊藤詩織氏は、ジャーナリストを自称している。ジャーナリストを標榜するのであれば、言論や表現の自由を出来るだけ制限しない社会を目指すのが当然だ。だが、伊藤氏が作り出そうとしているのは、「気軽にSNSボタンも押せない息苦しい社会」である――。

伊藤詩織氏に対する強い違和感

21_20221025094401 伊藤詩織氏(33)が、自身を誹謗中傷するツイッター上の投稿に「いいね」を押され名誉を傷つけられたとして、自民党の杉田水脈衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の石井浩裁判長は10月20日、杉田氏に55万円の支払いを命じた。

一審の東京地裁は、「『いいね』を押す行為そのものは、原ツイートへの賛意や肯定的意志を示すとは限らない」などとして、伊藤氏の訴えを退けていた。

まず読者の皆さんに把握していただきたいのは、伊藤詩織氏は私に「薬物を盛られた」などと事実でないことを記者会見などで繰り返し述べるという「不法行為」が認定され、私の名誉を毀損したとして損害を賠償することを求めた判決が確定している人物であるということである。

妄想をあたかも事実であるかのように世界中に喧伝して私の名誉を毀損した伊藤詩織氏が、他者の「いいね」によって損害を受けたとして訴訟を提起した経緯には、そもそも強い違和感を覚えていた。

気軽に「いいね」を押せない社会

「『いいね』はツィートへの賛意とは限らない」という、ごく常識的な判断を下していた一審判決をひっくり返した今回の高裁判決を聞いて、私は暗澹たる思いになった。

SNSは現代社会に生きる我々にとって、娯楽の域を超えて生活の必需品であり、情報インフラの根幹を為すものとなっている。

そしてTwitterやFacebookには、他者の投稿などに対する反応として「いいね」やリツイートなど、様々なアクションを取る「ボタン」が付いている。

この「いいね」などの各種ボタンは、投稿への賛意を示す意図だけでなく、備忘録として押す方も、賛同できないが注目せざるを得ないという意味で押す方など、使い方は様々だろう。

そして「わざわざコメントを書く程ではないが、原ツイートの指摘する問題に関心があるという意志を示しておこう」という、気軽な意思表示であり、ネット上での議論に対するある種の「消極的参政権」として機能してきた。

ところが伊藤詩織氏は、こうした行為で自身が傷ついたとして訴訟を起こした。

伊藤詩織氏は、「いいね」ボタンに込められた多様な意志を自身への攻撃と決めつけ、そうした行為をやめさせようとした。

判決後に記者会見した伊藤詩織氏は、今回の判決をインターネット上の誹謗中傷の解消に向けた「第一歩」と評価し、「指先一つのアクションだけでどれだけ誰かを傷つけてしまうかを『いいね』を押す前に考えてほしい」と笑顔で語った。

この訴訟と判決で、日本は「いいね」を押すだけで数十万円もの賠償が命じられる可能性がある国となったのだ。

読者の皆さん一人一人のインターネット上での意思表示にも、今後は大きな逡巡が生じるだろう。

「気軽にSNSボタンも押せない息苦しい社会」を作り出そうとしているのが、伊藤詩織氏だ。

ジャーナリズムは言論と意思表示の自由に依拠

伊藤詩織氏は、ジャーナリストを自称している。

ジャーナリズムとは、そもそも憲法21条に明記された「言論の自由」があって初めて自由闊達に機能する職業だ。しかし「言論の自由」は大日本帝国憲法でも29条に明記されていた。

29条は「日本国民は、法律の範囲内において、言論、著作、印行、集会及び結社の自由を有する」とした。戦前は「法律の範囲において」という但し書きを逆手にとった言論弾圧が横行した。

現行憲法の21条は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」となっている。

ジャーナリズムとは、国民一人一人の意思表示の自由の上に成り立っている商売である。そしてその自由のレベルは、憲法と法律の解釈と運用によっていかようにも変更しうるものであることは、大日本帝国憲法下の日本を見れば明確である。

現行憲法下においても、裁判所の判決いかんで、言論の自由の範囲や程度は自在に変化する。

ジャーナリストを標榜するのであれば、言論や表現の自由を出来るだけ制限しない社会を目指すのが当然だ。

私はこれまで、伊藤詩織氏との訴訟に関連して数えきれない誹謗中傷を受けてきた。もちろん限度を超えた侮蔑については複数の訴訟を提起している。

しかし私を明らかに誹謗中傷するツイートやFacebook投稿に「いいね」を押した人に対して訴訟を起こそうなどとは考えたこともなかった。それは、ジャーナリズムという自身の職業の地盤を危うくする自殺行為だと感じていたからだ。

私への誹謗中傷ツイートへの「いいね」について

私は伊藤詩織氏との裁判を通じて、伊藤詩織氏の嘘や矛盾を証拠や証言を添えて数多く証明した。しかし裁判所は、「当時は混乱していた」などとして本質的な矛盾にも目を瞑り、伊藤詩織氏が創作した矛盾に満ちたストーリーを追認した。

人間が人間を裁く以上、裁判に完璧はない。声高に被害者であることを強調し、メディアや一定勢力に守られた人物の主張を根幹から否定するのは、裁判長にとっても容易なことではなかろう。

今回の高裁審理で伊藤詩織氏の被害者しぐさは、判決にどの位影響を与えたのだろうか。

これを確認する手がひとつある。私に対する過激で違法な名誉毀損ツイートに「いいね」を押した人物に対して、私が訴訟を起こしてみることである。

日本の裁判所が、先入観なく事実を見つめ、公平公正な判決を下すのであれば、私にも同じ判決が下るはずだ。私の周りには、「司法の健全性を確認するためにも、ぜひ同様の訴訟を起こして欲しい」と申し出る方もいる。

伊藤詩織氏のアクションと今回の石井浩裁判長の判決によって、日本はより息苦しい社会となってしまった。そのことに対する問題提起として自分で何をするべきか、皆さんのご意見を拝聴しながら、しばらく考えたいと思っている。

 この判決に限らず、首をかしげるような違和感のある判決も少なからずあります。もちろん、人が判断することであり、原告側、被告側双方にほぼ同程度の説得性のある理由がある場合は、判定も困難でしょうが、社会通念に照らし合わせて、どうも納得がいかないとなれば、放任できないと思います。

 なお判決では『今回の行為が多数回に及び、杉田氏が自身のブログやツイッターで伊藤さんに対する揶揄や批判を繰り返していた経緯を踏まえ「名誉感情を害する意図があった」と認定。杉田氏が現役国会議員で約11万人のフォロワーがいる点についても「一般人と比較し得ない影響力があった」とした。』とあります。

 こうした別の要因も、「いいね」の訴訟理由に加えて判断しているのが妥当かどうか、私には分かりませんが、いずれにしろこの伊藤詩織氏が青木理氏や望月衣塑子氏らと懇意にしているようで、政府・与党側の山口敬之氏や杉田水脈氏を標的にして訴訟を繰返しているように、勘ぐってしまいますね。

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2022年10月24日 (月)

勉強しない日本の大学生と、死に物狂いで勉強するアメリカの大学生 企業の賃金構造が大学教育を堕落させる

20_20221024092801  日本が弱くなっている現状があります。昨今騒がれている日本円だけでなく、日本の国力そのものがここ30年あまりの間(相対的に)弱体化しているのです。それが一人あたりのGDPにも企業ランキングにも、生産性ランキングにも、そして大学のランキングにも現れています。

 どうしてそうなったのか、特に大学に焦点を当ててこの問題を論じているのが、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏で、現代ビジネスに寄稿したコラムから引用して紹介します。タイトルは『勉強しない日本の大学生と、死に物狂いで勉強するアメリカの大学生 企業の賃金構造が大学教育を堕落させる』です。

日本の人材は、国際的ランキングで評価が低い。日本人は大学入試までは必死に勉強するが、それ以降は勉強しないからだ。それは、日本企業が専門能力を評価しないからだ。アメリカでは、大学や大学院での成績で所得が決まるため、学生は必死で勉強する。

「高度人材」ランキングでも、日本の順位は低い

スイスのビジネススクールIMDが作成する世界競争力ランキングで、日本の順位が世界最低になる項目がいくつもあると、前回述べた。IMDが作成するもう一つのランキングである「世界タレント(高度人材)ランキングWorld Talent Ranking 2021」にも、日本が世界最低になる項目がある。

最新版の2021年度を見ると、全体では64カ国・地域の中で第39位だが、「経営層の国際経験」は64位で、文字通り世界最低位だ。

これ以外にも、「言語力」の62位は最低位に近いし、「管理職の能力」の58位も低い。

日本人が勉強するのは、大学受験まで

このランキングで私が注目したいのは、日本の評点は、高校までの教育成果を表す「PISA評点」では世界第5位と非常に高い評価であるにもかかわらず、「大学教育」では54位と低い評価になってしまうことだ(PISA調査とは、OECDが、義務教育修了段階の15歳児を対象行なっている学習到達度調査。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野で実施している)

つまり、日本人は、高校生までは真面目に勉強するので世界トップクラスの評価になるが、大学に入学してからは勉強しないので、世界最低位に近い評価になってしまうのである。

これは、われわれの日常的観察とも一致する。

「ガリ勉」とか「点取り虫」というのは、小中高校生についていう言葉だ。大学に入ってしまえば、勉強しない。「大学に入学してから死に物狂いで勉強した」などと言ったら、よほどの変わり者と思われるだろう。

しかし、専門家としての教育は、大学・大学院で行なわれるのである。その段階で勉強しないのだから、高度人材のランキングが低くなってしまうのは、当然のことだ。

日本では初任給が一律なので、大学生が勉強しない

なぜ日本人は、大学で勉強しないのだろうか? その理由は簡単だ。日本の企業が、大学や大学院での教育成果を賃金面で正当に評価しないからである。

日本の企業は、採用にあたって、大学卒という枠を設けている。ただ、それは、「大学卒の枠で採用した人員は、将来、幹部に昇進しうる」という意味であって、大学で学んだ専門知識を評価しているのではない。

その証拠に、大学卒新入社員の初任給は、一律同額であるのが普通だ。金融機関では、企業間でも1円の違いもないほど一律だ。大学卒といっても、能力は個人によって大きな違いがあるはずなのだが、そうしたことは一切評価されない。

一方、大学は、入学した学生は、よほどのことがない限り、卒業させる。だから、学生は勉強しない。そして、アルバイトとサークル活動に精をだす。

日本人が勉強するのは大学受験までの期間だというのは、日本の賃金制度の下では、合理的な行動なのである。

アメリカでは成績で賃金が違うので学生は死に物狂い

これは、アメリカの場合との大きな違いだ。アメリカの学生は、大学に入学してから、あるいは大学院に入学してから「死に物狂いで」勉強する。なぜなら、そこでの成績で初任給が大きく違うからだ。

とくに、ロースクールやビジネススクールなど「プロフェッショナルスクール」と呼ばれる修士課程相当の大学院で顕著にそうだ(それ以外の専門分野でも、大学生や大学院生は、非常によく勉強する)。

MBAなどの学位をとれば、著しく高額の初任給を期待できる。 しかも、どのビジネススクールの、どの専門で、どれだけの成績だったかによって、初任給が大きく違う。

スタンフォード大学のビジネススクールの場合、基本給(年収)が全体の平均では16.2万ドル(1ドル=144円で2333万円)だが、金融業では18.1万ドル(2606万円)だ。その中の「ベンチャーキャピタル」では、19.1万ドル(2750万円)である(2021年卒の場合)。

このように高給なのは、スタンフォードのMBAだからだ。そして、スタンフォードのビジネススクールに入るには、大学の成績がよくなくてはならない。だから、大学生は死に物狂いで勉強する。

入学できても、自動的に学位が取れるわけではない。成績が悪ければ、途中で容赦なく落とされる。

そして、就職先の分野によって年収がかなり違う。どの分野の企業に入れるかは、成績によって大きく影響される。だから、大学院生も死に物狂いで勉強する。

すべてがうまくいけば2000万円を超える年収だから、高額の授業料を払っても、ごく短期間のうちにそれを取り返せる。つまり、一流大学院で猛勉強することは、もっとも収益率が高い投資なのだ。アメリカは、この意味において学歴社会だ。

それに対して日本の状況は、「みじめ」としか言い様がない。

「賃金構造基本調査」(厚生労働省)によると、25~29歳の平均月収は、大学卒260.7万円に対して、大学院卒 278.8万円である(男女計、2021年)。大学院卒をスタンフォードのMBAと比べると、10倍近い開きがある。

OECDの統計で平均賃金を見ると、アメリカは日本の1.9倍だ。専門職における日米賃金格差は、これより遙かに大きい。

「アメリカは実力社会で学歴は必要ない」は本当か?

「アメリカは実力社会であり、大学卒であることは求められない」という意見がある。その証拠として引き合いに出されるのが、テスラCEOのイーロン・マスクの言葉だ。

彼は、あるカンファレンスでの質疑応答で、「テスラの採用応募に大学の学位は必要ない。そして願わくば中退して何かを成し遂げていてほしい」と述べた。

マスク自身はペンシルベニア大学で学士号を取得しているが、スタンフォード大学の博士課程を中退して最初の会社を立ち上げた。

アメリカには、大学を中退した成功者が、つぎのようにたくさんいる。

・ビル・ゲイツ(マイクロソフトの創業者:ハーバード大学中退)

・マーク・ザッカーバーグ(フェイスブックの創業者、ハーバード大学中退)

・スティーブ・ジョブズ(アップルの創業者、リード大学中退)

・スティーブ・ウォズニアック(アップルの創業者、カリフォルニア大学中退)

・ラリー・エリソン(オラクルの創業者、シカゴ大学中退)

・アラシュ・フェルドーシ (Dropboxの創業者、マサチューセッツ工科大学中退)

このように、世界をリードするIT企業の創業者の多くが、大学を中退している。つまり、大学を卒業していなくとも大成功した人はたくさんいる、それは事実だ。

「大学中退すれば成功する」などということはない

しかし、だからといって、「大学での勉強には意味がない。だから、大学を卒業しなくともよい」と考えるとしたら、間違っている。

上記の成功者に共通しているのは、IT関係の企業の創業者であることだ。そして、中退するときには、すでに成功のきっかけを掴んでいた。何もあてなしに中退したわけではない。

むしろ、「成功がほぼ確実な事業を見つけたから、大学で勉強している暇はない」ということだったのだ(ビル・ゲイツは実際にそうしたことを述べている。なお、彼はその後、ハーバード大学から名誉学位を授与されているので、大学卒業者だ)。

もし彼らが、大学で勉強するのが嫌になったという理由で中退したのであれば、その後の成功がなかっただけではない。学歴社会のアメリカで、大変な苦労を強いられたことだろう。

岸田文雄首相は、所信表明演説で、「構造的な賃上げ」のためにリスキリングが必要だとした。

その必要性を否定するわけではない。しかし、日本企業の賃金構造と大学の教育体制を根本から変えない限り、ここで述べた状況が変わることは期待できない。

 半世紀前の頃の情況と、何ら変わりがない企業の採用情況だと言うことが分かります。野口氏の言うように、このままでは高度人材は育たないし、企業の国際競争力の低落傾向にも歯止めがかからないでしょう。このことはすなわち、放っておけば日本の国力の回復はおぼつかない事を示しているのかも知れません。

 もちろん大学卒業者のレベルだけではなく、企業経営者の戦略的パワーや、一般従業員の質の向上も避けて通れないでしょうが、先ずはこの高度人材の育成・輩出に手をつけなければ、他の先進国にはとても互していけないように思います。政府・企業・大学一体となった改革が必須でしょう。

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2022年10月23日 (日)

国富流出「10年で約50兆円」エネルギー輸入で大打撃 原発再稼働を強力に進めよ

Images-15_20221022153501  東日本大震災で不幸にも発生した福島原発事故。その後の民主党政権での原発に対する過剰なまでの規制と停止で、電力代替のための化石燃料の輸入が一気に増加し、年間数兆円の支払いが増えたまま今日に至っています。

 さらに今年に入って、ロシアのウクライナ侵略に伴うエネルギー価格の上昇と、円安が更にその負担を押し上げています。その詳細を日経ビジネスの中山玲子氏が、同士に記事を寄稿しているので以下に掲載します。タイトルは『国富流出「10年で約50兆円」エネルギー輸入で大打撃 薄氷踏む日本のエネルギー』です。

 エネルギー価格の高騰で膨らみ続けているのが日本の貿易赤字額。経済制裁など「対ロシア」対応では先進国と足並みをそろえるが、米国などとは置かれている状況が異なる。資源の産出国である米国や中東、それら地域に権益をもつ欧米メジャーは収益を伸ばしているからだ。エネルギー輸入国の立場から脱却せねば、日本の国富は流出し続ける。

 「どの時期と申し上げられる段階ではない」。9月30日、東京電力ホールディングスが開いた会見で、小早川智明社長は、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の再稼働の目標についてこう答えた。同原発は2021年、テロ対策工事で不備が発覚。現在、複数の改革に取り組んでいるが、原子力規制委員会や地元の了承をまだ得られていない。電力の最大需要地である東電管内での原発再稼働が待たれるが、「今冬の稼働は現実的に難しい」と東電関係者は話す。

過去2番目の貿易赤字

 9月末に発表された今冬の電力需給見通しによると、東電、東北電力管内の供給余力を示す予備率は23年1月に4.1%、同2月に4.9%。最低限必要とされる3%は超えるが「この予備率に、ロシアの天然ガス事業『サハリン2』からの途絶は盛り込まれていない」(電力大手)。途絶が現実となり予期せぬ気候の悪化があれば計画停電もちらつきかねない。電力関係者らの警戒感は例年以上に強い。

 燃料価格の高騰がもたらすのはエネルギー安定調達への懸念だけでない。過去最悪レベルの勢いで膨らみ続けているのが貿易赤字だ。

 統計開始の1996年以来、基本的に黒字だった貿易収支が赤字基調に転じたのが、東電福島第1原子力発電所の事故があった2011年から。国内の全原発が停止していた14年上期に過去最大の赤字を記録したが、22年上期はそれに迫る5兆6688億円の赤字で過去2番目となった。

 貿易赤字が膨らんでいる最大の要因はエネルギー。原発稼働が停滞するなかで今、日本の電力を支えるのが、全体の約7割を占める火力発電所だ。その燃料である石炭や液化天然ガス(LNG)の高騰が止まらないのだから、日本の貿易赤字額はさらに拡大する可能性が高い。

 エネルギー危機は世界に波及しているが、国や企業によって明暗が分かれている。利益を伸ばしている「勝ち組」が世界の石油、天然ガス産出国に権益を持つ欧米メジャーだ。

 事実上のロシア「撤退」を決めた英シェルは22年4~6月期の最終利益が前期比5.3倍の180億ドル(約2兆5000億円)と過去最高となった。サハリン1の撤退を表明した米エクソンモービルも178億ドル(約2兆4000億円)と最高益を更新。産出国のサウジアラビアなど中東の国営エネルギー企業も利益を伸ばしている。

 資源を100%近く海外に依存する日本は燃料を輸入せざるを得ない。一方、米国や中東など産出国やメジャーは日本などに燃料を輸出して収益を上げる。エネルギーを火力に頼る限り、弱者である輸入者と強者である輸出者という構図は揺るがない。

ロシアに「急所」を握られる異常事態

 みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「54基の原発が稼働していた東日本大震災以前と比べると増えたコストは年間数兆円。10年で50兆円程度になる。これだけの国富が流出し続けている」と話す。野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストも「燃料価格の高騰は日本にとって100%マイナス要因にしかならない」と指摘する。

 岸田文雄首相は8月、再稼働済みの10基の原発に加え、追加の7基を来夏以降に稼働させると表明。地元同意などで「国が前面に立つ」と明言した。日本にある原発33基のうち、新規制基準の下で稼働したのは10基。これまで原発再稼働で国の後押しは十分だったと言い難い。従来は電力会社に任せてきた再稼働について、国は今、自らが対応せねばならない局面であると判断したのだろう。

 「ロシアがサハリン2を止めてこないか。それが一番心配だ」。今冬を控え、多くのエネルギー会社が抱く懸念だ。日本のエネルギー安全保障の「急所」をロシアに握られる異常事態。原発再稼働が停滞し、国の対策が遅れるほど日本の国富も流出し続ける。日本は取るべき対策がないわけではない。少なくとも動かすことができる原発がある。これ以上傷口を広げないため、国はもっと真剣に可能性を探るべきだろう。

 今朝の読売新聞の朝刊によれば、9月の物価前年比3%アップの中、電気代は21.5%、都市ガス代は25.5%と突出して高騰しています(食用油37.6%もありますが)。

国の貿易赤字だけでなく、家計にも大きな負担をかけているエネルギーの高騰。原発をフルに動かすことによって、少なくとも電気代はかなり低下するでしょう。

 かつて日本の強さは、企業の国際競争力の強さが生み出す貿易黒字に伴って、経常収支の恒常的大幅黒字に支えられていました。それが今その前提が崩れつつあります。

 国家的なプロジェクトとして各種イノベーションを活発化し、企業競争力を強化すると共に、不要な化石燃料の購入を減らす努力は不可欠です。そうしなければ今後の日本の弱体化は止められず、やがて大幅な円安が日本の格付けを落とし、結果国債金利の上昇を招き、財政の破綻が近づいてきます。何とかしなければなりません。先ずはエネルギー危機からの脱却です。原発の再稼働推進を強く望みます。

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2022年10月22日 (土)

福島香織氏:橋上に決死の横断幕、「現代のタンクマン」が告発する独裁国家・中国の危うさ

18_20221022103501  中国の共産党大会が今月16日に開催され、今日22日に最終日を迎えます。そこで新しい最高指導部のメンバーを選出する権限がある、およそ200人の中央委員が選ばれます。その中で習近平氏が党トップとして、異例の3期目入りするのは確実となりそうです。

 この大会の開催3日前、中国としては異例とも思われる、習近平氏に罷免を迫る横断幕が北京で掲げられました。この意味するものは?これを含めて今中国に何が起こっているのでしょうか。

 かつて中国に留学経験を持ち、産経新聞の北京特派員を経て現在フリージャーナリストの福島香織氏が、JBpressに寄稿した記事から引用します。タイトルは『橋上に決死の横断幕、「現代のタンクマン」が告発する独裁国家・中国の危うさ 異様な党大会、不安と焦燥の習近平「3期目」』です。

 中国共産党の第20回党大会が10月16日に開幕したのだが、過去に例をみない異様な党大会なのではないかと思う。

 まず国際社会の注目度が異様であった。そもそも習近平が鄧小平以降の党内ルールを破って3期目の総書記に再選され、もう5年、政権トップを維持する党大会ということ自体が異例なのだ。そうなれば中国は、鄧小平路線の集団指導体制から毛沢東回帰的な習近平個人独裁の新時代に入る。

 今まで、国際社会の仲間入りをしようとしてきた中国は、既存の西側民主主義国家が主役にいた国際社会に対し、中国式現代化という新たなモデルを提示して、中国主導の国際社会の枠組みを認めよとごり押しするようになってくるだろう。

 ちなみに、政治活動報告で繰り返されたのは「国家安全」という言葉で、国家安全だけで23回、安全保障という言葉も含めると70回以上繰り返していた。2017年の第19回党大会では50回ほどだったので、この5年で国家安全や安全保障に対する習近平の関心が大幅にアップしたことがうかがえる。

 一方で、「改革」という言葉は第19回党大会の政治活動報告文では70回以上繰り返していたが、今回は16回に減っていた。

 改革とは改革開放、経済改革、サプライサイドの構造改革など、現状の困難を打開するための積極的な変化を意味するものだが、こうした改革への意欲は5年前よりも後退した。つまり、習近平は国際社会に敵が増えたと感じ、国家安全、安全保障への不安が増したことで、変化する自信が5年前よりも減退したということではないか。習近平自身、自らの権力基盤が必ずしも強固で安定しているとは思っていないかもしれない。

全文が読み上げられなかった原稿

 次に異様だったのは、習近平が読み上げた政治活動報告が実際の原稿の半分ぐらいの分量に短縮されていたことだった。なぜ原稿を端折(はしょ)ったのか。

 今回の政治活動報告原稿は72ページだった。第19回党大会のときは68ページで、習近平は4時間近くかけて、ほぼ全文を読み上げた。だが、今回は全文を読み上げず、概要を1時間45分程度読み上げただけだ。分量的には30ページほど端折ったことになる。

 政治活動報告は繰り返しや美辞麗句が多く、端折ったところで大きく内容が変わることはない。だが、なぜ端折ったのかは気になる。

 端折った部分は、たとえば台湾問題の部分で「両岸一家」の台湾との親密な関係を強調する部分であった。台湾に対して甘い顔をしたくない、という習近平の意志が働いたかもしれない。

 また、自分が政権を受けつぐ前の胡錦涛政権時代の指導力に対し、「認識の甘さ、行動力の欠如があり、党の指導の実践力は弱く、空洞化していた」「形式主義、官僚主義、享楽主義と奢侈の気風が横行し、汚職・腐敗は驚くべきものだった」といった厳しい批判の部分も読み上げなかった。主席団席では胡錦涛が習近平の隣に座っているので、さすがに面と向かって、その政治が悪かったと、あげつらうような内容が言いづらかったのではないか、という見方がある。

 だが、大多数の意見は、習近平の体力が4時間以上かかりそうな原稿を全部読み上げるには十分ではなかった、というものだった。確かに習近平の顔は5年前に比べるとずいぶんやつれた印象で、演説の音声を聞くと、たびたび咳き込み、頻繁に水を飲み、また読み間違いも非常に多かった。

 政治活動報告を全部読み上げないケースは過去にもある。2002年の第16期党大会のとき、76歳の江沢民は高齢による体力不足から政治活動報告全文ではなく、今回と同様、概要を読み上げた。だが、習近平はまだ69歳で当時の江沢民よりよっぽど若い。

 習近平は意外に、これから個人独裁体制を築こうという野心に見合った気力、体力が伴っていないのではないか。

習近平に罷免を迫る横断幕

17_20221022103301  そして、もう1つ異様な事件が党大会の外で起きている。党大会開幕の3日前の10月13日、北京市海淀区の四通橋で、「彭載舟」を名乗る一市民が、激しい言葉で習近平の失政を批判し、罷免を迫る横断幕を欄干に掲げ、警察に逮捕される事件が発生した。

 その一部始終の映像がネットのSNSで流れている。四通橋の上にもくもくと煙が上がり、人々が何事かと見上げると、橋の欄干部分に2つの横断幕がかかっていた。

 横断幕の1つには6つの標語が書かれていた。

「PCR検査はいらない 飯を食わせろ」 

「ロックダウンはいらない! 自由が欲しい」

「デマはいらない 尊厳がほしい」

「文革はいらない 改革がいる」

「領袖はいらない 選挙がいる」

「奴隷になるまい 公民になる」

 もう1つの横断幕にはこうあった。「罷課、罷工、罷免独裁国賊習近平」(授業ボイコットだ、ストライキだ、独裁売国奴の習近平を罷免せよ)。

 この横断幕のたもとで、ヘルメットをかぶった作業員姿の恰好をした彭載舟が拡声器でこのスローガンを叫んでいた。すぐに警官隊が彼を取り押さえ、この横断幕を撤去していった。

 だがこの衝撃的な映像は、あっという間に国際社会でも拡散された。もちろん国内でも拡散したが、すぐにネット警察により削除され、四通橋、彭載舟、海淀、横断幕、標語といった関連語の検索もできなくなり、抗議者、勇者といった言葉を含む書き込みもこの事件を連想させるものとして削除されるようになった。

 それでも、事件についてはひっそりと分からぬように拡散していった。

 たとえば、なぜかSNSで、香港人人気歌手イーソン・チャンの「孤勇者」を歌う人が増えた。ダウンロード数も増えた。「全て、勇敢の証 君の額の傷も、君が他の人と違う部分も」「愛してる 一人で暗い道を行く君を、愛してる 跪かない君を」という歌詞を歌う人たちが、彭載舟のことを思いながら歌っていることに、間もなく誰もが気づき、「孤勇者」も削除対象になった。

拷問死も覚悟の上、命を賭しての抗議

 在米の著名華人コラムニストでサイエンスライターの方舟子によれば、この横断幕を掲げた人物は彭載舟という48歳のエンジニア。本名は彭立発といい、ツイッターのアカウントには「自由と科学と哲学を熱愛する技術者」との自己紹介がある。米メディアのラジオ・フリー・アジアは、電磁研究の専門家で企業家だと報じていた。

 彼がヘルメットをかぶり工事現場作業員の恰好をしていたのは、高速道路の高架である四通橋に一般の歩行者がいるのは不自然で、そこにいても怪しまれないように変装したということだろう。つまり、周到に計画を練った行動だった。

 そして夜のうちに横断幕を掲げて、そのまま逃げたり隠れたりすることもできたであろうに現場に残り、タイヤを燃やして煙を狼煙のようにあげた。つまり、この自分の行ったことを白昼堂々と多くの人民に知らしめようとしたのだった。

 言うまでもなく、中国は共産党独裁の恐怖政治国家で、国家指導者を独裁者の売国奴などと呼べば無事ではおられない。2018年7月に上海で習近平のポスターに墨汁をかけ、習近平は独裁者だと批判した21歳の女性、董瑶瓊は逮捕されたのち、精神病院に入れられて、いまだ行方不明。その父親は娘の逮捕に抗議したため、やはり逮捕され、今年9月、獄中死した。親族が遺体を確認したところ、父親の全身に暴行のあとがあり、肛門から出血していたという。これに抗議した親族も逮捕されている。

 彭載舟の行動は、董瑶瓊以上に大胆で計画的であったから、逮捕された彼の安全が極めて厳しいものであることは想像に難くない。彼は、政権転覆煽動罪に問われて重い罪を負うかもしれないし、その前に拷問死させられるかもしれない。だが、彼自身、それを承知の上で、命を賭しての抗議と覚悟があったと想像される。

 中国では、激しい集団抗議を行って警官隊と衝突したり、バスなどの公共交通機関や公共の場所に対する自爆テロ行為を通じて社会への不満を訴えたりする事件は決して少なくない。だが、彭載舟のように、たった一人で習近平を名指しで批判し、しかも現場から逃げも隠れもせず公衆の面前で捕まってみせるようなケースは極めてまれだ。天安門事件以降、初めてといっていいかもしれない。しかも、党大会の3日前、海淀区四通橋という繁華街で事件は起きたのだ。

 彭載舟について、天安門事件の際に、民主化要求運動をしていた若者たちを踏みつぶしに来た戦車の前に、たった一人立ちはだかった通称「タンクマン(戦車男)」と呼ばれた男性にたとえる人もいた。ネットでは、彭載舟を「四通橋の勇者」「現代のタンクマン」と呼ぶ声もある。

中国人の深層心理に波紋を広げた彭載舟の行動

 この事件後、現代のタンクマンの行動に感化されたのか、多くの地域で、同様のスローガンの落書きやポスター、チラシが出現した。

 ネットのSNSで確認できる限りでは、大学キャンパス内の掲示板や成都や重慶の地下鉄のトイレの壁や、浙江省の地方の公衆トイレのドアなどに、このスローガンが落書きされたり、チラシが張られたりしていた。

 また広州市のとある陸橋上では、「PCR検査はいらない 法治がいる」「ロックダウンはいらない 自由がほしい」「華語はいらない 母語がいる」「奴隷はいらない 独立がいる」「中国はいらない 解体してほしい」「広東はいらない 粤国がいる」と、よく似た標語が掲げられる事件もあった。

 これは誰が掲げたかわからないが、広州では今、公式の場での広東語の使用が制限され、普通話(華語)が強制されることへの不満が募っていることがうかがえる。党大会で習近平が繰り返し団結を呼びかけている中、広州では広東独立を求める横断幕がひらめいたのだった。

 また、どこか分からないが習近平関連書籍が平積みになっている書店で、習近平本を片手にした男性の写真がSNSに上がっていた。彼の来ているTシャツに「この皇帝は服を着ていない」と書かれていた。顔も隠しておらず、彭載舟に続く新たな「現代のタンクマン」と話題になっていた。

 彭載舟が命がけの行動は、中国東南西北のいたるところで中国人の深層心理に波紋を広げ、ひょっとすると今後、次々と現代のタンクマンを生み出すことになるかもしれない。

 こうした異様ずくめの党大会を経て、習近平第3期目政権がやがて誕生する。それは習近平にしてみれば、10年にわたり粛清に粛清を重ねて、権力闘争を勝ち抜いてきての到達点であるかもしれないが、気が付けば、長老も官僚も習近平への不満不服を抱え、人民の多くも習近平を独裁者、売国奴、裸の皇帝と思っていることを隠さなくなっている。むしろ、悪政を覆そうとする民衆革命が起こる条件が整ったといえないか。おそらく3期目の総書記に選出された習近平の顔に浮かぶのは勝利感でも安堵でもなく、新たな不安と焦燥ではないだろうか。

 ウクライナに侵略戦争を仕掛け、戦争犯罪を積み重ねるプーチンも、思ったような戦局にならず、不安と焦燥に満ちていると思われますが、違った意味で習近平も、鄧小平の敷いた集団指導体制と2期で退陣の決まりを破った事への不安は、この事件からひしひしと感じているのではないでしょうか。

 モンゴル、チベット、そして現在進行形のウイグルと言う周辺民族地域の植民地化(宗教、言語、文化の抹殺と華人化)だけではなく、記事中にあるように、中国内広東州の人々まで、中央集権化への不満を抱き始めていることは、特筆に当たります。

 加えてゼロコロナ政策や国営企業優遇政策、先軍政治や治安優先政策など、経済に悪影響を及ぼす政策が先行しており、人口減少も目前となっているこれからは、今までのような経済発展はまず困難と思われます。経済が悪化していけば人々の不安も爆発するでしょう。持ちこたえるか、奈落の底へ転げ降りるか、3期目習近平の今後が注目されます。

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2022年10月21日 (金)

ウクライナ侵略戦争:追い込まれたプーチン、今後どんな「大どんでん返し」が起きてもおかしくない

Images-14_20221020173301  ロシアはウクライナ侵略後、最近になって東部4州で国民投票を実施、併合を宣言しました。またクリミア大橋の爆破を受けてこの4州に戒厳令の導入も宣言しました。プーチンの振り上げた拳はより高くなり、落とし所を見いだせないまま、ますます深みにはまって行っているようです。

 今後の展開はどのメディアや各国政府も読みにくく、プーチンの頭の中にしかないと言われていますが、そのプーチン自身も分かっていないのではないでしょうか。いずれにしろここへ来ての矢継ぎ早の政策は、プーチン政権の焦りの象徴かも知れません。

 そのあたりの詳細を、元防衛関連雑誌編集長で現在フリーの、深川孝行氏がJBpressに寄稿したコラムに求めてみます。タイトルは『プーチン戦争の末路、「宮廷革命」「核」「朝鮮半島化」のシナリオを検証する 追い込まれたプーチン、今後どんな「大どんでん返し」が起きてもおかしくない』で、以下に引用します。

 2022年2月24日に勃発したロシアのウクライナ侵略戦争も間もなく9カ月目に突入。ロシア・プーチン大統領の劣勢が伝えられる中、メディアや専門家からいろいろな「終戦・停戦シナリオ」が飛び出している。そこで注目シナリオにスポットを当てて検証してみたい。

プーチンのイエスマン“KGB閥”が軍人たちを圧倒

 一説ではウクライナ侵略作戦のシナリオは、プーチンにとり“古巣”の巨大スパイ組織、旧KGB(国家保安委員会)で、「同じ釜の飯」を食べた間柄のメンバーが中心になり練られたと言われる。

 一方ロシア軍のツー・トップ、ショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長との関係性が気になるところ。とりわけ叩き上げの軍人であるゲラシモフは作戦立案に当然参画しているが、徐々に戦況が悪化すると、プーチンを首領とした“KGB閥”が軍人たちを圧倒してますます無茶な作戦プランを立案して苦戦・・・という悪循環にはまっているとの分析もある。

 KGB閥、いわば「プーチン仲良しクラブ」の顔ぶれは次のとおりだ。

  • パトルシェフ連邦安全保障会議書記/KGBでプーチンと同期
  • ボルトニコフFSB(連邦保安庁=KGBの後身)長官/同じく同期
  • ナルイシキンSVR(対外情報庁=旧KGB対外情報部の後身)長官/同じく後輩
  • ゾロトフ国家親衛隊(旧国内軍で国内治安を担当、暴動・内乱鎮圧部隊)総司令官/同じく同期でプーチンの元ボディガード

 KGB閥の面々は職業軍人としての経験はなく、いわば軍事作戦立案の素人。むしろ十八番(おはこ)は旧KGB仕込みの謀略や欺瞞、権謀術数の類で、彼らの作戦は「机上の空論」との指摘も多い。

 一方ゲラシモフは筋金入りの軍人で、しかも誇り高き戦車部隊出身であり軍内での信望も厚い。ちなみにロシアでは戦車兵を大祖国戦争(第2次大戦時の独ソ戦)の時にナチスドイツ軍の侵略から母国を死守した英雄と見なす。

 またゲラシモフはハイブリッド戦(軍事と経済・文化など非軍事を織り交ぜて戦争を遂行)を謳った「ゲラシモフ・ドクトリン」を提唱し、2014年のクリミア半島の一方的併合の際にその威力を見せつけたとも言われている。

 プーチンの「イエスマン」に違いはないが、プライド高き軍人・ゲラシモフが稚拙な戦争プランで、半ば「子飼い」の戦車部隊や部下たちがウクライナ軍や西側製兵器により無駄死する光景を黙って見ているとは考えにくい。しかも侵略戦争に従軍した甥のゲラシモフ陸軍少将は戦死しており、加えてプーチンは戦況悪化の責任を彼に押しつけ、今や閑職に追いやっているとも聞く。

健康問題を理由にした「勇退」ならメンツも保てるか

 実際ロシア軍のダメージは想像以上だ。アメリカ国防総省(ペンタゴン)によれば、ロシア侵略軍約15万人の死傷者が7~8万人に達すると推計。投入兵力の実に半分に達する酷さで、部隊の戦闘継続もままならないだろう。さらにロシアの独立系メディアはFSB現役将校などの話として死傷者と行方不明者は「9万人以上」と報じる。このためプーチンは9月下旬、ついに“禁じ手”とも言うべき一般国民への部分動員に踏み切り、スキルの低い30万人を徴兵して頭数を揃えたい構えだ。

「ロシア軍は総兵力90万人以上を擁するのになぜ兵力不足なのか」と訝る向きもある。実は今回の侵略戦争は歩兵や戦車など地上軍が主軸で、ロシア正規軍90万人の中でも投入できるのは陸軍28万人のほか、海軍歩兵(海兵隊)3.5万人と空挺軍4.5万人の計36万人と意外にも少ない。これに別組織の大統領親衛隊約34万人が加わって計70万人といったところ。そこから交代要員や広大な国土の防備などを勘案すれば、戦争に動員できる兵力は3分の1で「20万人強が限界」という計算が成り立つ。

 話を戻すと、最前線で部下が犬死にしゲラシモフ自身も冷遇の状況で、最近では国民に人気で愛嬌ある国防相のショイグにも作戦失敗の汚名を着せ、詰め腹を切らせようと訴える国内保守派の勢いが増している。

 一方対照的にFSBや国家親衛隊、悪名高きチェチェンの民兵組織、民間軍事会社(PMC)という名の傭兵組織「ワグネル」など、正規軍から見れば筋の悪い面々を重用するプーチンを苦々しく思っているとしても不思議ではなかろう。

 しかもプーチンは前線部隊にまで細かく命令を発し、作戦失敗の際は責任を現地指揮官に被せて次々に首をすげ替え、しかもこれを加速させているようだ。「祖国を守った」という自負があるロシア軍への狼藉が続けば、ゲラシモフでなくとも血気盛んな青年将校らが「プーチン外し」に動くかもしれない。

 この場合、政治的中立を重んじる軍部がクーデターの主役になるとは考えにくい。むしろ最強の武力を背景に「そろそろ潮時」と感じ始めたシロヴィキ内の旧KGBメンバーを篭絡し、外堀を埋めた後にプーチンに引導を渡すというシナリオも考えられる。一種の「宮廷革命」で、プーチン政権の“サドンデス”(突然死)でもある。

 実際1962年にアメリカと核戦争のチキンレース、いわゆる「キューバ危機」を演じた旧ソ連のフルシチョフ第一書記は、この時の妥協や権力の過度な集中、短気な振る舞いなどが災いし、幹部の造反で数年後に失脚した。ただし「年金」「別荘」「お抱え運転手」の“三種の神器”は国家が終身保証した。体のいい軟禁状態だ。

 こうした先例もあるため、例えば同様の特典を保証する代わりに、健康が芳しくなく勇退という体裁ならメンツも保てる──というシナリオだ。余談だが病気を理由にしたトップの引退劇は日本の大企業でも時折見られる「裏ワザ」だ。

核兵器の使用は天にツバを吐くようなもの

 追い込まれたプーチンによる一打逆転の奇策として、大手メディアは「限定的核兵器の使用に踏み切るのでは?」という悪夢のシナリオを報じて警鐘を鳴らす。ただ「絶対にない」と断言はできないものの、可能性は極めて低いというのが筆者の結論だ。

「核」使用はアメリカの核報復を誘い、全面核戦争へとエスカレートして人類滅亡──という軌跡を辿るだけだからだ。70歳の誕生日を迎えたプーチンはロシア男性の平均寿命約68歳を考えればすでに「長寿」の域だが、2人の娘や孫を考えた場合、「メンツ」だけで核のボタンを押すほど非情だとは思えない。

 KGB出身のスパイだけに逆に計算高く論理的で、一連の核使用の「ほのめかし」も、お得意の「プロパガンダ」「はったり」と見続けたほうが無難だろう。

「黒海のスネーク(ズミイヌイ)島に小型戦術核ミサイル1発を撃ち込むのでは?」と指摘する向きもある。同島はウクライナ領だが、開戦早々ロシア軍が占拠したものの同年6月に奪還された。

 スネーク島はウクライナにとっては抵抗のシンボルで、黒海に浮かび小規模のウクライナ軍守備隊しかいない同島に戦術核を1発(威力は広島型原爆の5~10倍と推定)お見舞いすれば被害は最小限で済み、確かにウクライナと西側の戦意をくじくには好都合だろう。

 だが、島はNATO加盟国のルーマニアまで40km弱の近さ。NATOは加盟国への核兵器による放射能被害も「攻撃」とみなし集団的自衛権を発動する構えで、ロシアはNATOとの全面対決を覚悟しなければならない。これでは自縄自縛だ。

 また「ウクライナ国境近くで核実験を行って恫喝するかもしれない」との指摘もあるが、国境地帯はチェルノーゼム(肥沃な黒土)が広がる世界屈指の穀倉地で、核実験に適した砂漠や荒れ地はない。仮に核実験を強行すれば大掛かりな住民避難が必須で、「何かあるな」と世界中がすぐさま察知する。

 加えて、放射性物質の拡散を避けて地下核実験に徹するとの見方もあるが、「キノコ雲」が生じる大気圏内核実験でないとビジュアル的なインパクトに欠け、単なる「核実験」意外のなにものでもない。それ以前に前述のように穀倉地帯が広範囲に放射能汚染され、ロシア自身が深刻な食糧不足に陥る可能性も高い。

 これは1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の惨状を見れば明らかで、「季節を計算し欧州方面の西側に風が吹く時に行えばいい」と安直に思うかもしれないが、ウクライナ周辺上空には常に偏西風が吹くため確実に放射性物質を帯びた塵(ちり)がロシアの広大な小麦地帯を襲うことになる。

原子力核魚雷「ポセイドン」炸裂の現実味

 さらに「原子力推進核魚雷『ポセイドン』がニューヨーク沖で炸裂すれば、高さ500mの津波に襲われる」とおどろおどろしく伝える国内メディアもあるが、そもそも「ニューヨーク沖」に全く根拠はなく、ある程度「眉唾」だと思ったほうがいいかもしれない。

 ポセイドンは直径2m、長さ20mでちょっとした小型潜水艦の大きさ。原子炉を積み射程距離は1万km、時速100km超を発揮すると言われ、実はまだ完成半ばだ。単純計算で「広島型」の6700倍に相当する100メガトンの水爆を搭載し、水深1000mまで潜れ現行潜水艦(最大水深400~500mが限度)での迎撃は不可能だ。

 また海中で爆発すると高さ500mの津波が発生するとの“触れ込み”だが、「500mの津波が発生」は、そもそもロシア軍/国防省が1度も発表したことはなく、2022年の5月にロシア国営テレビが「核融合(=水爆)魚雷を英本土近くで爆発させればグレートブリテン島全部を津波で飲み込むことができる」とのロシア国内向けの“国威発揚”シミュレーションの放送がどうやら独り歩きしたようだ。

 ちなみに恐竜が絶滅し、地球上の生物の75%が死滅した6600万年前の小惑星の落下(チクシュループ衝撃体)は、中米ユカタン半島に落下した時300~1600mの津波が発生したと言われ、そのエネルギーは「広島型」の10億倍と見られる。「6700対10億」では桁が違い過ぎて話にならない、と指摘する軍事専門家も少なくない。

 百歩譲り本当に500mの津波を発生するポセイドンをニューヨーク沖で使ったとしたら、大西洋一帯を大津波が襲うことは確実だ。この時ロシアが敵視するNATO諸国が壊滅的被害を受けるのはもちろんだが、ロシアに友好的なキューバやベネズエラ、ニカラグア、さらにはBRICSの一翼を担いプーチンに理解を示すブラジルや南アフリカも数十mの津波で大惨事となるはず。

 さらにこれだけでは済まず、津波は北極海にも及び、ロシアの超重要な原子力潜水艦基地があるコラ半島のムルマンスクも確実に津波に襲われる。しかもこの地はリアス海岸と地形が酷似するフィヨルドで津波のエネルギーが集中しやすい。

 つまり自らも大損害を被るような最終兵器を苦戦の挽回のためにわざわざ使うはずがないという理屈である。それ以前にこれだけの破壊力のある兵器をニューヨークに使用すれば、確実にアメリカの核報復にあい、核戦争にエスカレートし人類滅亡という軌跡をたどることは必至だろう。

 このようにロシアが限定的とは言え核兵器を使いウクライナやNATOを恫喝し有利な条件で停戦に持ち込めるのではと考えても、結局はNATOとの全面核戦争、人類滅亡へとエスカレートするリスクが極めて高い。それ以前に自国の物理的被害も多大で現実的ではない。

落としどころは「第2の朝鮮半島」か?

 こうした中、専門家の一部は「第2の朝鮮半島」という“落としどころ”を指摘する。

 ただしこの場合ウクライナ、ロシア双方が戦争長期化で疲弊し、厭戦ムードも広がり、これ以上戦闘継続は難しいと両首脳が実感した時か、または前述のようにプーチン政権が突然倒され、後任の権力者あるいは集団指導体制がこれ以上の戦争を望まず、とにかく講和に持ち込んで西側との関係を修復し国内経済を立て直したいという願望が強い時だけだろう。現在のように侵略を受けたウクライナの側が優勢で反攻に転じて領土を奪還している最中では、停戦に応じるはずがないからだ。

 仮に両者の間で停戦が成立したら、いの一番に行われるのが軍事境界線の設定だろう。

 朝鮮半島ではDMZ(非武装地帯)と呼ばれ、両軍が直接対峙して軍事衝突しないように設けた中立地帯のゾーンが北緯38度線に設けられている。同様の境界線を構築し、さらにここを警備するために例えばインドやナイジェリア、インドネシアといった中立的な国の軍隊による国連PKO部隊が駐留し、軍事境界線を警備する。万が一どちらかが戦闘行為に出て国連PKO部隊に被害が出れば、国際法の重大違反で世界中からの指弾は免れない。

 肝心の「軍事境界線はどこに引くのか」についてだが、これは今後の戦況しだいというほかない。筆者の独断に過ぎないが、やはり現実的なのはウクライナ侵略戦争以前の2022年2月24日のラインとなる可能性が高いのではなかろうか。

 ウクライナ東部の旧ドンバス・ルガンスク両人民共和国の軍事ラインが基本で、さらにクリミア半島の半分か、できれば全部をウクライナが奪還、という辺りなら、不満はあるもののゼレンスキー政権が首を縦に振る可能性はあるかもしれない。しかもその場合は、停戦が発効した瞬間に「ウクライナのNATO加盟またはアメリカとの軍事同盟締結」を実現させるのが最低条件だ。

 朝鮮半島の現状を見ると、DMZで南北朝鮮は分断され、いまだに両国間の戦争は「休戦」状態にあり「終戦」ではない。だが後にアメリカは韓国と相互防衛条約を締結し集団的自衛権を掲げる。ウクライナも同様にNATOに即日加盟か、アメリカとの相互防衛条約を結び集団的自衛権で自国の安全保障を確固たるものにする発想である。

 このように可能性についていろいろ検証したが、2022年2月上旬の段階でロシアがウクライナに大軍で攻め込むなど、軍事専門家の大半が夢にも思わなかった事実を考えれば、今後どんな「大どんでん返し」が起きても不思議ではないだろう。

 ウクライナのNATO加盟は休戦と行ってもにらみ合いが続く中で、加盟国全部が承認とはならないでしょう。そもそもプーチンが侵略を決意したその理由の一部が、ウクライナのNATO加盟の動きを牽制したからでもあります。

 とは言え極めて難しい停戦合意の動きの中で、深川市の言う「プーチン健康不安での勇退」はあり得るのかも知れません。しかしそれも取り巻きがプーチンでは駄目だと思うか、国民がプーチン政権を見限るかでしょうが、いずれにしろすぐには実現はしないでしょう。

 ただ世の中何が起こるか分かりません。ロシアのウクライナ侵略も「まさか」でしたし、ウクライナの想像以上の反撃も「まさか」でした。ここは一つ期待は薄いでしょうがまさかの「大どんでん返し」が起こるのを祈るしかないようです。

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2022年10月19日 (水)

織田邦男氏:日本独自の核抑止戦略を早急に構築せよ、非核三原則はもう通用しない

16_20221018204801  北朝鮮のミサイル発射実験が繰返される中、日本は相変わらず「抗議」一辺倒で、何ら有効な対応ができていません。「抗議」しても、何の効果もなく北朝鮮は全く無視することはもちろん自明の理ですが、それでも「抗議」しなければ日本政府は何もしていないとつつかれるのでやっていると、穿った見方も出てきます。

 一方韓国はそれなりに対抗してミサイルを発射しているようです。先日は打ち上げ失敗もしたようですが。

 加えて北朝鮮は、しばらく行っていなかった核実験をやるのでは、という報道もあります。奇しくもロシアがウクライナ侵略の渦中で、戦術核を使うという脅しも複数回出ています。ロシアも隣国です。それに中国も核保有国で台湾を狙っている。

 日本政府は日本を取り巻く核保有の独裁国家にどう対応していくのでしょうか。またどう対応すればいいのでしょうか。そうした中、核には核をという考えが一部保守派の中で芽生えてきています。それは別として今回は国基研企画委員で麗澤大学特別教授の織田邦男氏がJINFに寄稿したコラムを取り上げます。タイトルは『日本独自の核抑止戦略を早急に構築せよ』で、以下に引用して掲載します。

 10月4日、北朝鮮が発射した「新型の地対地中長距離弾道ミサイル」(朝鮮中央通信)は、日本列島上空を通過して太平洋に着弾した。飛距離は4600キロで、米インド太平洋軍の拠点グアム島攻撃用と言われている。続いて6日に短距離弾道ミサイル2発、9日にさらに2発を発射した。今年になって既に25回、40発を超えるミサイルを発射しており、明らかに異常である。

 目的は、国際社会に北朝鮮を核保有国として認めさせることにある。建国記念日前日の9月8日、金正恩総書記は最高人民会議で「核保有国としての地位が不可逆になった」「絶対に核を放棄することはできない」と述べ、「核戦力政策に関する法令」を採択して核の先制使用を明確にした。

 ウクライナ戦争で、国連安保理常任理事国ロシアが核をちらつかせながら力による現状変更を試みたのを誰も止められなかった。核による威嚇は核でしか無力化できない。この現実を金正恩氏は見た。

  • 「核の傘」が破れ傘に

 核拡散防止条約(NPT)体制も崩壊寸前にある。五つの常任理事国以外の核保有を認めないこの条約には、核保有国が核軍縮を行い、非核国に対し核の使用、核による威嚇をしないという前提があった。だがこれが崩れた。北朝鮮に核放棄をさせる原則「完全かつ検証可能で不可逆的な解体」(CVID=Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement)はもはや死文化した。

 北朝鮮は2017年9月、「日本列島は核爆弾により海に沈められなければならない」(朝鮮中央通信)と述べており、重大かつ深刻な脅威である。日本は早急に「核抑止戦略」を構築しなければならない。

 核抑止には拒否的抑止と懲罰的抑止がある。

 拒否的抑止には弾道ミサイル防衛やシェルター整備がある。現行の弾道ミサイル防衛では、不規則軌道をとる新型ミサイルは迎撃できない。これを無効化するには、発射前に地上でミサイルを撃破するか、ミサイルを制御する通信システムや司令部を叩く「反撃力」を持つしかない。日本のシェルター整備に至っては見る影もない。

 日本は懲罰的抑止を米国に全面的に依存しているが、北朝鮮がワシントンに届く核ミサイルを完成させた時点で、「核の傘」は「破れ傘」になる。ワシントンを犠牲にしてまで米国が日本を防衛するとは考えられないからだ。同じことが1980年代に欧州で起こった。この時はソ連の中距離核ミサイルに対抗して米国の中距離核ミサイルを欧州に配備し、結果的に中距離核戦力(INF)全廃条約として結実した。日本で同様に対応しようとすると、非核三原則がネックとなる。

  • 通用しない非核三原則

 「唯一の被爆国」というのは「特権」でもなければ、敵が攻撃を躊躇するような「抑止力」にもなり得ない。清水幾太郎氏が著書「日本よ国家たれ」で喝破したとおりである。「被爆国」だから非核三原則というのは、もはや通用しない。日本独自の「核抑止戦略」構築に向け、制約のない議論が求められている。

 「日本は核武装せよ」を著わした橋下琴絵氏は、その序文で「私が納得できるのは 、敵の核ミサイルよりも多くの本数の核ミサイルを保有ないし共有して日本を守ることである。敵が日本を攻撃すれば敵もまた同時に滅亡するという物理的根拠である。この物理的根拠によって抑止が成立するという確信である。現状は、米国が代理報復するかもしれないし、しないかもしれないという情況だ。これで国を守れるという無知蒙昧な迷信が許される時局ではない。」と、書いています。

 まさに橋本氏の言うとおり、核に対抗するには現実的には核しかないのかも知れません。いずれにしろ差し迫った核攻撃の脅威に織田氏の言う「日本独自の核抑止戦略構築に向け、制約のない議論が求められている。」のは間違いないでしょう。

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2022年10月18日 (火)

進む円安は日本の弱さの表れ、いまこそ国民一丸となって日本を変えよう

15_20221018081801 円安が止まりません。先週末には148円台後半まで下落し、今週に入って149円台をつけました。かつてバブルがはじけデフレに突入した直後は、やはり140円台後半でしたが、その後デフレが続いた中で、大幅な円高となり、これが企業の海外転出のきっかけとなり、国内産業の空洞化が始まったことは記憶に新しいことです。

 その頃はよく「安全資産の円、有事の円」と言われました。そうした中、東日本大震災が発生し、その直後にも円高が進みました。日本が未曾有の災害に見舞われたのに円高?この矛盾に首をかしげていましたが、最近になってロシアのウクライナ侵略が勃発し、エネルギーと食料の危機が叫ばれ始めると、一気に円安が進んで、やはり円安はダメージを受けている日本、弱い日本の象徴なのだなと、矛盾から解放されたような気がしています。

 とは言え、弱い日本はもとより望むところではありません。どうしたら強い日本に戻れるのか、課題が山積しています。そして何より「今日本は曲がり角に来ている」という認識を、日本人がはっきり持つことから始めなければなりません。そのあたりの実態を、国際通貨研究所理事長の渡辺博史氏が、読売新聞に寄稿した記事から取り上げます。タイトルは『進む円安 エネ・食糧自給 弱さ反映…』で、以下に引用します。 

 円安が1ドル=148円台後半まで進んだ。現在の水準は、確かに問題とすべきだろう。新聞や雑誌を読む限り、関心の多くは日米の金利差に向けられている。米連邦準備制度理事会(FRB)の相次ぐ大幅利上げが日米金利差を広げ、円安を招いているのは間違いない。だが、この要因だけで円安の全てを論じるのはおかしいと思う。

 今回の急激な円安の起点は今年2月から3月上旬にかけてである。まさにこの時期の2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。これが為替相場に与えた影響は、「風が吹けば 桶屋がもうかる」といった程度の因果関係ではなく、はるかに大きいものだ。

 侵攻後、大規模な対ロシア制裁が極めて速やかに実施され、ロシアも対抗措置をとった。この時、明らかになったことがある。まず、制裁と報復の中心を担う米国もロシアも、「エネルギー」と「食糧」という二大生活必需品目が、生産余剰の状況にあることだ。これに対して、米国以外の先進7か国(G7)は二つのうち少なくとも一つ、日本は両方とも完全な自給不能に陥っていることである。

 米国は、世界最大級の食糧生産国の地位を長く保つ一方で、かつてはエネルギーの輸入国だった。その後の「シェールガス革命」を経て、今や世界有数のエネルギー輸出国である。

 ロシアは旧ソ連時代を含め、20世紀は石油やガスの生産が必ずしも順調ではなく、西側から技術・資本を導入して生産能力を強化した。欧州などへの輸送能力向上もありエネルギーの大輸出国に躍り出た。石油輸出国機構とともに作る「OPECプラス」では、サウジアラビアと並ぶ有力メンバーだ。食糧についても輸入頼みの時期はあったが、温暖化の「良い」影響と農産技術の向上で有数の穀物輸出国となった。

 こうした米露の極端な変化とその影響をきちんと認識し、取るべき対応を前広に考えていた人は、残念ながら多くはなさそうだ。

 日本はエネルギーの約90%、食料の60%以上を輸入に依存している。こうした 脆弱性への評価が為替水準に反映されていると考えるべきだ。仮に日米の金利差が縮小しても、為替相場が現在の水準から、3月上旬の1ドル=115円程度に戻るとは限らない。

 為替の水準は国の総合力を反映するものである。今や日本の総合力に対する海外からの評価が、かつてより下がっていると自認すべきではないか。

国力衰退 自己認識の時

 日本が自給不能状態に陥ったのは、決して最近のことではない。これはドイツも同様である。

 日独両国は戦後数十年、自らの資源不足という 脆弱性を、産業技術力の向上を図ることで補おうとしてきた。しかし、この技術力の優位性は、韓国や台湾、オランダやフィンランドといった、日独の近隣にある国や地域の挑戦を受けて徐々に低下しつつある。

 相対的に開かれた市場である東南アジア諸国連合(ASEAN)や、統合に向かった欧州連合(EU)というそれぞれの「ホームグラウンド」に助けられ、何とか資源面の脆弱さをカバーし続けられたのだ。

 この間の日独の大きな差は、為替水準に対する姿勢であった。ドイツは、第1次世界大戦後にもたらされた超インフレに対する反省から、基本的に自国通貨マルクの価値保全を重視して政策を運営した。欧州統一通貨ユーロへの合流後は、南欧諸国の拙劣な財政運営の影響でユーロが弱くなっていることを「隠れみの」にしながらも、通貨価値の維持に努めてきた。

 一方の日本は、1971年のニクソン・ショックや85年のプラザ合意などで急激な円高に見舞われ、経済が苦境に陥ったトラウマを抱え、「円安志向」や「円高への恐怖」が色濃く染みついた。21世紀になって経済構造が変わったのに、政界も経済界もメディアも変化に目をつぶったまま、「円安志向」の呪縛にとらわれたままだった。

 「インフレ率の高い国の通貨は安くなり、デフレや低インフレの国の通貨は高くなる」という経済学説がある。通貨の役割がモノの取引の決済手段に限られているような一定の経済段階までなら、この理論は正しいのだろう。

 このためデフレ下の日本では、21世紀に入ってからの円高は「少し行き過ぎだが、学説通りとすればやむを得ない」という誤った受け止め方をされた。

 筆者は30年ほど前から、「低インフレ国ならまだしも、日本のようなデフレの国の通貨が高く、強くなるというのはどう見ても経済常識に合わない」と疑問を呈してきた。だが、私の問いに対する答えは、誰からもいただけていない。

 多くの人は、円が異常とも言える過大評価を受けていた事実を見極めきれず、産業技術、経済力、国力の劣化を直視できていなかったような気がする。

 市場価格の上下はある程度「対称的」なものが多いが、為替は「非対称的」である点にも留意したい。

 行き過ぎた通貨高が延々と続いても、その国の経済が崩壊することはない。輸出競争力が低下して売り上げが減るマイナス効果が、輸入物価下落のプラス効果を上回れば、経済は収縮して通貨安に向かう。

 一方の通貨安は、「どこかで止まる」メカニズムになっていない。輸出品の外貨建て価格が下がっても、商品に魅力がなければ売れる保証はない。経済が上向かないと通貨安に歯止めはかからず、輸入物価の高騰が続く。国内消費はさらに低迷し、通貨安を招く。

 今回の急激な円安が始まったころ、複数の経済人から「円安が進むと日本企業の資産価格がドル建てで大幅に安くなり、海外投資家に買い占められてしまうのではないか」という懸念が寄せられた。

 しかし、日本企業の買い占めが始まった、あるいは引き合いが増えた、という感じはしない。企業ではなく、不動産ばかりが次々に購入されている。

 重要技術の保護など産業安全保障の観点から企業がガッチリ守られている、ということでもないようだ。底流でいくつか話は進行しているかもしれないが、要するに日本企業の魅力が薄れ、海外投資家に「買いたい」という意欲があまり起きなくなっていると見るべきだろう。

 今の日本で、産業技術を含めた総合的な経済力の衰退が始まっているのか、正確な自己認識が求められている。転換期は往々にして、外からの刺激でスタートすることが多い。だが今は、自発的に切り替えようとする先見性、先験性が必要ではないか。

 なんとも寂しい話です。ただ企業の国際競争力や、国際ランキング、国際特許出願率、一人あたりGDP、大学総合ランキング、サイバーセキュリティ能力等々、いずれの分野でもじわじわ後退しているのは事実です。

 「奢れるもの久しからず」ということわざ通り、日本はバブル崩壊前の「ジャパンアズNO.1」から崩壊して行っているようです。国民全体にもその認識が薄く、逆にバブル以降社会に出た人たちには、デフレと報酬増加がない状況が普通と思っているかも知れません。

Images-13_20221018082001  一方この状況を打開するには、政治の力が必要ですが、国会は相変わらず旧統一教会の質疑に明け暮れ、メディアもその報道に明け暮れています。まさに日本全体が危機感を有しない「ゆでガエル」状況を呈しています。

 渡邉氏が『転換期は往々にして、外からの刺激でスタートすることが多い。だが今は、自発的に切り替えようとする先見性、先験性が必要ではないか』と言うように、政界にも、経済界にも、学界にも、そしてメディアにも、「強い日本を取り戻す」という、強い意志を持つ人たちが変えていく必要があります。それはまさに保守勢力による日本改造だと私見ですが思います。

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2022年10月17日 (月)

酒井信彦氏:「国葬、賛否両論」分断報道は、メディアが作り上げた世論操作。

13_20221016160001  安倍晋三元首相の山口県民葬が15日行われました。式典では喪主の昭恵夫人が遺族代表のあいさつを述べ、参列者をはじめとする関係者らに感謝の思いを伝えました。一般献花にも長蛇の列ができ、安倍氏との別れを惜しんでいました。

 それに先立つ先月27日、安倍氏の国葬儀が行われましたが、メディアでは一貫して「賛否の中での」と言う接頭語の付いたタイトルで、この国葬を報じていました。この報道に対し元東京大学史料編纂所教授の酒井信彦が、疑問を呈して産経新聞にコラムを寄稿しています。タイトルは『つくられた国葬「分断」報道』で、以下に引用して掲載します。

安倍晋三元総理をめぐる今回の国葬問題は、日本人の精神が、いかに腐敗堕落してしまったかを、如実に示す事例になった。メディアは、この度の国葬を賛否が対立しているとか、世論が分断されているとか、しきりに表現しているが、この対立・分断なるものは、つくられたものともいえる。

14_20221016160001 国葬に反対したデモの顔ぶれは、日本の平和と安全の一層の確保に向けた安保法制(平成28年施行)に反対した人間と、少なからず共通しているようにみえる。いろいろ理由をつけているが、国葬反対運動の本質は、安倍氏はいなくなったが、「反安倍運動」、つまり「アベガー運動」の継続なわけである。

ただし今回の「アベガー運動」は、旧統一教会問題が絡んでいるだけに、より一層拡大した。その影響は新聞メディアだけでなく、週刊誌にも広がり、「左傾化」が指摘されていた「週刊文春」のみならず、「週刊新潮」にまで及んでいる。またテレビでは、いわゆる「ワイドショー」は言うまでもなく、それ以外の報道番組でも、民放はもちろんのこと、NHKも含めて同じような内容の報道が繰り返し膨大に行われた。

旧統一教会の霊感商法や献金トラブルの問題を批判するのは分かる。ただ、政治家が宗教法人法で認められた宗教団体と接触することは違法とは言えない。最近では「メディアスクラム」という言葉があり、本来は取材者が取材対象に群がって、ラグビーのスクラムのような状態になる集団過熱取材のことを言うらしいが、最近の政治報道の過熱ぶりにも通ずるものがあるだろう。

過熱報道をさんざん行っておいて、いわゆる「世論調査」を行う。そうすると本来は旧統一教会問題と別問題である国葬への反対や内閣不支持のパーセントが急激に上がり、それをもとに批判する。自作自演である。「報道」ではなく「煽動(せんどう)」、「世論調査」ではなく「世論操作」である。

メディアが安倍元総理に対する殺害事件を、「安倍氏銃撃事件」と言って、「安倍氏暗殺事件」と決して言わないのは、一体なぜなのか。米国大統領の場合は、ケネディでも、リンカーンでも、暗殺事件と表現されるではないか。

報道において不正確な言葉が使われれば、事件の本質が隠蔽(いんぺい)される。巨大権力であるメディアは、自己の報道について、明確に説明する責任がある。

 酒井氏の言う、『(こう言う報道は)自作自演である。「報道」ではなく「煽動」、「世論調査」ではなく「世論操作」である』という部分は、全く同感です。しかも殆どのメディアでほぼ同様な論調と言うことは、本来あるべき姿ではありません。こうした状況を酒井氏は『日本人の精神が、いかに腐敗堕落してしまったかを、如実に示す事例になった』と、喝破しています。

 テレビについて言えば、報道以外の番組もますます白痴化、幼稚化しています。それもどの局においてもそうですから、救いようがありません。明日の日本にとって、このメディアの現状を何とかしなければなりません。

 先ずは横並びのテレビからメスを入れる必要があるでしょう。既得権にあぐらをかいて、番組の質を上げることをやめてしまった局を廃局にし、新たに新規参入を促すべきでしょう。日本は政府官僚ともこの既得権に弱いので、保守論壇の論客を首相補佐官にどんどん採用して、反日メディアを駆逐してほしいものです。

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2022年10月16日 (日)

高市早苗氏:セキュリティ・クリアランス制度の導入に、止まない首相への不満

D522978264f1eb5263760411cb531  「2022年9月28日のテレビの報道番組で、高市早苗・経済安全保障担当大臣はセキュリティ・クリアランス制度の導入に強い意欲を示した。」と、元航空自衛隊の空将補だった横山恭三氏が、JBpressで述べています。

 この高市氏の導入意欲に対し、様々な壁があるようで、その壁の向こうに見えるのが岸田首相のようです。産経新聞が政治部次長の長嶋雅子のコラムとして、記事を記載していますので、以下に引用します。タイトルは『高市氏、止まない首相への不満』です。

岸田文雄内閣の一員である高市早苗経済安全保障担当相が、首相への不満を漏らす場面が目立つ。先月はテレビ番組で、経済安保に関する機密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」の制度化に向けた法改正をめぐり、「中国という言葉は出さないでくれと言われた」と暴露して波紋を呼んだ。SCは中国への機微情報流出防止も念頭に置くが、政府は「特定の国を想定したものではない」とのスタンスだ。政府関係者は「必要ない摩擦を起こすような発言は控えてほしい」と眉をひそめる。

SCは、機密情報へのアクセスを一部の民間の研究者・技術者や政府職員に限定する仕組みだ。人工知能(AI)や量子技術など最先端技術に関する機密情報に接する関係者に資格を付与して明確にし、軍事転用が可能な技術や民間の国際競争力に関わる重要な情報が国外に流出することを防ぐ狙いがある。

ハイテク分野で台頭する中国を念頭に、制度導入で先行する米国や欧州の主要国からは、制度を持たない日本との共同研究で機密情報が漏れる可能性が警戒されてきた。放置すれば先端技術に関わる国際共同研究に日本企業が参加できなくなる恐れがある。

ただ、資格を得る際には親族や交友関係、資産から飲酒歴に至るまで詳細な個人情報が審査対象となることが想定される。制度導入には個人情報保護の観点から慎重な意見も根強い。このため、政府は先の通常国会に提出した経済安保推進法案にSC制度を盛り込むことを見送り、法案成立を優先した。

5月の推進法成立に向け最も汗をかいたのは、小林鷹之前経済安保担当相だ。自民党で経済安保を議論した新国際秩序創造戦略本部の事務局長を務め、政府への提言も自ら書いた。その働きぶりが評価され、昨秋には衆院当選3回の若手ながら岸田内閣発足時の目玉人事として新設された経済安保担当相に抜擢された。

就任後も役人とひざ詰めで法案を検討。国会審議中には法案の責任者のスキャンダルが発覚し、辞任するトラブルもあったが、小林氏の誠実な答弁も奏功して法案成立にこぎ着けた経緯がある。

一方、小林氏の後任として、8月の第2次岸田改造内閣で経済安保担当相に就いた高市氏は同月14日、交流サイト(SNS)で入閣について「辛い気持ちで一杯」と不満を隠さず、「組閣前夜に岸田首相から入閣要請の電話を頂いたときには、優秀な小林鷹之氏の留任をお願いした」と明かした。

高市氏は就任後、小林氏から閣僚としての引継ぎ式も中止した。SNSへの書き込みが波紋を広げると、翌日の記者会見で「小林氏が一生懸命やってきたことなので留任していただいた方がいいと(首相に)申し上げた」と弁明した。

同月29日の報道各社のインタビューでも、投稿の真意を問われると「弱っちいことを言ってしまって申し訳なかった。決して役職に不満があったわけではない」と陳謝し、SCを含めた今後の経済安保体制の構築について「しっかりと姉さんが仕上げてやろうじゃないか」と前向きに語った。

これで収まるかに思われたが、9月28日に出演したBSフジLIVE「プライムニュース」で再び首相への不満が飛び出した。

SCを盛り込んだ経済安保推進法改正案に関し、来年の通常国会提出を目指しているかを問われると、担当相就任当日に「中国という言葉を出さないでくれ」「来年の通常国会にSCを入れた経済安保推進法を提出すると口が裂けても言わないでくれ」とくぎを刺されたと語った。誰に言われたのか明言はしなかったが、その後、こう付け加えた。

「SCは、どうしても法改正して出したいというのが私の強い希望です。しかし、(かつて務めた)総務相と違って、内閣府の長は内閣総理大臣(首相)でございます。だから、(内閣府特命担当相の)自分がやりたい、はい、法律案を書きなさいと役所の人に命令する権利は私にはございません。まずは岸田首相の説得からかかりたい」

SCをめぐっては、先の通常国会で、推進法案を審議した衆参両院の内閣委員会の付帯決議で制度の必要性を求めており、政府は来年の通常国会にSCを盛り込んだ改正案提出を目指している。自民党内からは「波風を立てれば通る法案も通らなくなる」「テレビで言うことではない」と批判の声も出ている。

首相が制度導入に後ろ向きであるかのような高市氏の発言について、自民重鎮は「高市氏はいきなりファイブアイズ(英語圏5カ国による機密情報共有の枠組み)の間で行われているような厳格な内容を求めているのかもしれないが、まずはできる範囲で制度をつくることが大事だ」と話す。

保守派のホープとして女性初の首相を目指す高市氏は政策通である一方、党内には「チームプレーが苦手」との声もある。自身の言葉通り、後輩から引き継いだ重要法案を次期通常国会で「しっかり仕上げて」いただきたい。(政治部次長 長嶋雅子)

 この記事で、高市氏の経済安全保障担当省の引き受け時のゴタゴタの理由が、解けたような気がします。しかしそれにしても思い切ったことをやろうとしているときに、よく出てくる個人情報保護の問題。スパイ防止や機密保護に関しても、個人情報の方が優先される国に、しかるべき国家的セキュリティーが担保されるのかどうか、懸念されます。

 いずれにしろ冒頭述べた横山恭三氏のコラムの締めとして、次の文章が述べられています。

<近年、日本で生活する外国人(在留外国人)の数が増加している。

 一般に、独裁国家からの在留外国人は、母国の情報機関員からの勧誘に対して脆弱であると言われる。

 例えば、母国への愛国心・忠誠心、母国にいる家族の安全、および帰国後の栄達願望などが弱点に挙げられる。

 つまり、在留外国人の数が増加するに従い、日本の社会の中に、現在のスパイあるいは将来のスパイが紛れ込む可能性が大きくなるのである。

 さらに、2017年6月28日に施行された中国の『国家情報法』の第7条は大きな脅威である。

 その第7条は、「いかなる組織および国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助および協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない」と定めている。

 在留外国人を協力者とするスパイ活動は、中国だけでなく米欧やロシアなど多くの国が水面下で実施している。

 ただ、民主主義諸国では在留外国人が自国の情報機関に協力するか否かは基本的には個人の自由意思に委ねられているのに対し、中国の国家情報法は国民に協力を強制している。

 例えば、中国に有益な日本の技術情報を入手できる在日中国人エンジニアが、中国の情報機関にスパイ行為を働くよう指示されれば拒めない。在日中国企業も同様である。

 筆者は、スパイがもたらす様々な脅威に対応するために、スパイ防止法の制定、防諜機関の創設、犯罪捜査のための通信傍受要件の緩和、防諜意識の高揚が喫緊の課題であると考えている。>

 つまりSCと併せてスパイ防止法の制定、防諜機関の創設等、他の先進国が既に備えている法や制度が先ず重要で、それも「中国」を第一に念頭を置いた施策が重要だと言うことです。周りの障害に屈せず、高市氏に是非頑張っていただきたいと思います。日本の真の安全保障のために。

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2022年10月15日 (土)

岩田温氏:玉川徹氏に「潔く身を退くべきだ」、だが「潔さがない」のが日本的リベラルの特徴だ

11_20221014152301  先日このブログでも取り上げた、テレ朝玉川徹氏の「虚偽発言」問題。保守論壇で歯に衣を着せぬ物言いで人気急上昇、ユーチューバーで政治学者の岩田温氏がzakzakに緊急投稿した記事を紹介します。

 タイトルは『テレ朝・玉川氏問題、総務省とBPOの徹底調査を期待 世間には「ネトウヨ」を攻撃する人は多いが…現実には「テレサヨ」の方が多い』で、以下に引用します。

テレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターを務める同社社員の玉川徹氏による「虚偽発言」は、放送行政を所管する総務省に「放送法第4条に違反しているのではないか」などの意見が多数寄せられる事態となっている。ユーチューバーとしても活躍する、政治学者の岩田温氏が緊急寄稿した。

******

「テレビを見るとバカになる」

幼年期に親からもらったアドバイスだった。わが家では、基本的にテレビは見なかった。両親がテレビを子供たちに見せなかったといった方が正確だろう。小さな頃は両親に怒ったりもしたが、テレビをほぼ見なかったことで、わずかながらも知性が保てていると今では感謝している。

菅義偉前首相が、安倍晋三元総理の「国葬(国葬儀)」で弔辞を読み上げた。名文だった。普通の日本人の心に響くものがあった。菅氏は雄弁ではない。訥々(とつとつ)とした話し方だが、安倍氏への熱い想いが伝わってきた。聞いていて涙が込み上げてきた。冒頭の「7月8日のことでした」が素晴らしかった。「同じ空気を吸いたい」などは文学的な表現だった。

この弔辞にケチを付けたのが、テレビ朝日の玉川氏だった。国葬翌日の番組で、次のように語っていた。

「僕は演出側の人間ですから、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういう風につくりますよ。当然ながら。政治的意図がにおわないように制作者としては考えますよ。当然これ電通入ってますからね」

以前から、いかなる学術的根拠に基づいて話しているのかが不明なコメンテーターだと思っていたが、今回はいつも以上に悪質だった。

10_20221014152301 菅氏の弔辞に「電通」が絡んでいるという虚偽を、テレビで堂々と開陳したのだ。翌日、これを訂正・謝罪したというが、保守系の政治家の失言だったら許されたのか。「謝罪だけでは足りない」と言い出しかねない張本人が、虚偽発言を「謝罪と出勤停止10日間」だけで収めようとした。許されざる所業だと思う。

加えて、「政治的意図がにおわないように制作者としては考えます」という発言部分は、そういう番組制作をしてきたという「自白」に聞こえる。放送法第4条の「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」に抵触する可能性が高いのではないか。

世間では、インターネットを利用する愛国者を「ネット右翼(ネトウヨ)」と攻撃する人々が多いが、現実には偏ったテレビ放送によって左に染められた「テレビ左翼(テレサヨ)」の方が多いと思う。

総務省と「放送倫理・番組向上機構(BPO)」が、徹底的に調査することを期待したい。

民主主義国家であれば、誰にも表現の自由がある。玉川氏にも発言する権利はある。

だが、国民の財産である「電波」を使用しておこなっているテレビ放送で、堂々と嘘をつくことは許されるべきではない。政治的意図を隠した番組制作もあり得ない。「潔く身を退くべきだ」と言ってやりたいが、潔さがないのが日本的リベラルの特徴ともいえる。

他人は厳しく攻撃するが、自らは大した責任は取らない。こうした人々を「有識者」扱いするのが過ちであると、気付くべきではないか。彼らは「無識者」であり、無責任としか思えない。

 実はBPOもかなり偏向した組織だと思うので、調査するかどうか疑わしいところがあります。

Images-12_20221014152401  ところで岩田氏と言えば、あの「朝まで生テレビ」で司会の田原総一朗氏とバトルを繰り広げ、タメ口で反論を繰返し一歩も引かなかったことでも有名です。

 その岩田氏が後段述べていることに溜飲が下がります。曰く『「潔く身を退くべきだ」と言ってやりたいが、潔さがないのが日本的リベラルの特徴ともいえる。』『他人は厳しく攻撃するが、自らは大した責任は取らない。こうした人々を「有識者」扱いするのが過ちであると、気付くべきではないか。彼らは「無識者」であり、無責任としか思えない。』

 こういう人が保守論壇にどんどん増えてくることを期待します。そして「テレサヨ」を作り出している、テレビの左翼コメンテーターを徹底的に叩いてくれることを願いますね。

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2022年10月14日 (金)

ウクライナ善戦の陰で“爆売れ”の「韓国兵器」 日本の軍需産業完敗は誰のせいだ

2210031629_7714x476  戦後GHQに植え付けられた「軍=悪」のマインドセット。未だに日本学術会議が軍事研究に否定的な見解を出しているように、大学の研究では軍事研究は抑制されています。企業においても軍需品を開発製造している会社には「死の商人」の汚名をそそぐ反戦団体が日本中で闊歩しています。

 9条の改正も未だに実現せず、非核三原則も後生大事に守り続ける日本。その日本が急速に進む周辺の安全保障環境の悪化から、防衛費増額へ重い腰を上げ始めたのは最近になってからです。ましてや軍需品の海外への輸出など周回遅れもいいところです。

 そうした中で隣の韓国は軍需品の輸出へ向け大きく羽ばたいています。中国同様、日本が最貧国の一員だったこの国を援助し育て上げたのに、30年間日本がデフレでもたついている間に、その韓国から多くの分野で敗れ始めた現実があります。

 韓国の軍需品の輸出の実態について週刊新潮が記事を掲載しています。タイトルは『ウクライナ善戦の陰で“爆売れ”の「韓国兵器」 日本の軍需産業完敗は誰のせいだ』で、以下に引用します。

ウクライナ軍の巻き返しにより、部分的動員を余儀なくされたロシア

 北東部で攻勢に出たウクライナ軍が、ハルキウ州で広大な領土を奪還。ロシアは部分的動員を発令するなど、苦境に立たされている。その反撃の契機には、諸外国からの武器援助があった。

 ***

 特に隣国ポーランドは、旧ソ連製の戦車「T-72」を約240両も提供したとされる。

 しかし、ポーランドもまた、NATO諸国の中でロシアとの最前線に立つ国である。このように大量の兵器をウクライナに渡してしまっても大丈夫なのか。

ポーランドが韓国から4兆円規模の兵器を購入

「実はその穴を韓国が埋めているんですよ」

 と語るのは、さる防衛産業関係者。

「今年7月、ポーランドは韓国から戦車980両、自走砲648門、戦闘機48機を購入する基本契約を結びました」(同)

 すべて履行されれば、総額4兆円規模の超大型取引となるが、ポーランドだけでなく、近年、韓国の軍需産業が世界各国の熱い視線を集めているという。

「昨年末には、オーストラリアが韓国製の自走砲など約870億円分の購入を決定。韓国軍需産業の昨年の輸出総額は1兆円に上ります」(同)

 背景には産官学が一体となった韓国の輸出戦略がある。

 実は豪州との取引も、文在寅大統領とモリソン首相(ともに当時)の首脳会談で決まったことだ。

かたや日本は100億円のレーダーがほぼ唯一の実績

「韓国はトップセールスで契約を取り、相手国に合わせた柔軟な仕様変更にも応じる。かたや日本は豪州への潜水艦輸出、インドへの飛行艇輸出など、話が持ち上がっては立ち消えに」(同)

 そもそも日本の場合、殺傷能力のある武器は原則として輸出が認められない。

 最近ではフィリピンが三菱電機製のレーダー3基(約100億円)を導入したのがほぼ唯一の実績だ。

「トルコは三菱重工に戦車用エンジンの売却を断られ、代わりに韓国製を導入した。日本政府もさすがに危機感を覚えて、今後は“国主導”で武器輸出に関与する方針です」(同)

 K-POPに半導体、スマホと同様、ここでもメイド・イン・ジャパンは後れを取ってしまっている。技術面で劣るというよりも、軍事技術や産業に反射的にアレルギーを示す世論や政策のせいという面は大きい。

 果たして、ウクライナ軍のような捲土重来を実現することはできるのだろうか。

 私見ですが、今実際にウクライナのように他国に攻められたら、日本は最も弱い国の一つと言えるのではないでしょうか。なにしろ77年戦闘に出くわしていない日本、更にはWGIPにより教育、メディア、産業の奥深くに染みこんだ「軍=悪」というマインドセットが、未だに底流に奥深く行き渡っています。(そこには「軍」は攻めるものであって、同時に守るものだと言う考えが欠けていることも一因でしょう)。GHQの日本弱体化計画が奏功し、未だにその呪縛から解き放たれていません。逆に「9条教」は未だに健在です。

 何も武器輸出を急速に増やさなければならないというのではありません。少なくともG7に名を連ねているのであれば、せめて英仏並の軍事力を持つことは当然だと思うべきでしょう。地政学的な安全保障環境に於いて日本は英仏より厳しいのですから。そして政府は総力を挙げて国全体に浸透している、「軍=悪」というマインドセットを取り払う努力をしなければならないと思います。

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2022年10月13日 (木)

習近平の3期目続投は悲劇的な誤り(英:フィナンシャルタイムズ)

Img_6eedab1ce33e948392012c4145f903053272  中国共産党第20回党大会が10月22日から開催されます。くわえて、党大会直後には中央委員会第1回全体会議(1中全会)が開催され、中央委員のなかから25名前後の政治局委員と、さらにそのなかから7名の政治局常務委員が選出されます。

 今回の目玉はなんと言っても習近平氏の3期目への続投であり、それが確実視されていることです。これについて英国フィナンシャルタイムズ誌が、次のように続投の影響を報じています。タイトルは『習近平の3期目続投は悲劇的な誤り 国内で硬直化、国外で摩擦のリスク――マーティン・ウルフ』で、以下に引用します。

 習近平がまもなく、中国共産党総書記と軍のトップという2つのポストで3期目に入ることが承認される。

 このような誰も対抗できない強大な権力を習近平が手にすることは、中国にとって、あるいは世界にとって良いことなのか。

 答えは「ノー」だ。双方にとって危険だ。

 仮に習近平が誰にも負けない有能さを発揮した実績を持つ支配者であったとしても、これは危険だ。

 だが、そんな実績は残していない。

 現状では、国内に硬直化のリスクが、そして国外では諸外国との摩擦が強まるリスクが存在する。

何事も10年で十分

 何事も10年で常に十分だ。

 一流の指導者であっても、それほど長くトップの座にいれば衰える。

 誰も対抗できない強大な権力を手にした場合には、もっと早く腐敗することが多い。

 自分が選んだ人に囲まれ、自分が作り上げたレガシー(遺産)を守っているうちに、独裁者はますます孤立し、神経質になり、偏執的にすらなってしまう。

 改革が止まる。意思決定が遅くなる。馬鹿げた決断が反論されずに実行され、そのまま適用され続ける。ゼロコロナ政策はその一例だ。

 中国の外に目をやりたければ、プーチンのロシアで長期支配が引き起こした狂気に気づくだろう。

 中国国内にも毛沢東の例がある。

 常識的な判断の天才だった鄧小平が、習近平がまさにいま覆している任期制限制度を設けたのは、毛沢東の例があったからだ。

個人が君臨する独裁国家

 民主主義国の利点は、善意で行動する賢明な指導者が必然的に選ばれることではない。実際、その逆の人物が選ばれることが珍しくない。

 だが民主主義国では、危険な目に遭うことなくそうした指導者に反対することができ、流血の事態を招くことなく辞任させることができる。

 特定の個人が君臨する独裁国家では、どちらも不可能だ。

 確かに、フルシチョフが思い知らされたように、制度化された独裁主義の世界でも指導者を追い出すことは可能だ。

 だが、それには危険が伴い、指導者の権力が強ければ強いほど危険が増す。習近平の次の10年間がこれまでの10年間よりひどいものになると見るのが、とにかく現実的だ。

では、これまでの10年間はどれくらいひどかったのだろうか。

過去10年間の実績は?

 季刊誌「チャイナ・リーダーシップ・モニター」の最新号に掲載された論文で、米クレアモント・マッケナ大学のミンシン・ペイは、習近平には主な目標が3つあったと論じている。

 個人支配、レーニン主義の一党独裁の再興、中国の世界的影響力の拡大だ。

 1つ目は見事達成され、2つ目は正式に成功を収め、3つ目については完全な成功には至らなかった。

 中国はいまや超大国として一目置かれる存在だが、不安を覚える敵対的な国々を団結させ、強力な連合体を作らせたからだ。

 ペイは、習近平の主要目標のなかに経済改革を入れていない。

 各種の証拠を見る限り、この見方は正しい。習近平は経済改革を目指していない。特に、国有企業に打撃を及ぼしかねない改革は回避されている。

 また、馬雲(ジャック・マー)のような著名な中国人実業家への締め付けも強化された。

 何にも増して、マクロ経済、ミクロ経済、そして環境面における深刻な問題はほとんど手つかずだ。

 これら3分野の問題については、首相を務めた温家宝が以前、「不安定で不均衡、不協調で持続不可能な」経済という表現で要約している。

マクロ経済の基礎的な問題

 マクロ経済の基礎的な問題点は、過剰貯蓄とそれに付随する過剰投資、そしてその必然的な結果である拡大し続ける非生産的な債務の山だ。

 これら3つはセットになっており、2つを解決しなければ残りの1つも解決できない。

 過剰貯蓄は社会的セーフティーネット(安全網)の欠如とその結果生じる家計の高貯蓄のためだと広く信じられているが、それは理由の一部でしかない。

 国民所得における家計の可処分所得の割合があまりに小さく、それ以外の大部分が企業収益から成るためでもある。

 その結果、中国では国全体の貯蓄と投資がともに国内総生産(GDP)の40%相当を上回っている。

 もし投資がここまで多くなかったら、中国経済は恒久的な不況に陥っているだろう。

 だが、成長ポテンシャルの伸びが鈍るにつれ、この投資の大半は非生産的な、資金を借入で調達した建設工事で占められるようになった。

 これでは短期的な治療法にしかならず、不良債権の発生と投資リターンの低下という長期的副作用が生じる。

 真の解決策は、家計部門の貯蓄を減らすだけでなく、可処分所得における家計の割合を引き上げることだ。

 どちらも強力な既得権益を脅かすことになるため、これまで行われてこなかった。

ミクロ経済の問題も拭えず

 ミクロ経済の基礎的な問題点は、汚職の蔓延、民間企業への恣意的な介入、公的セクターに存在するムダの3つだ。

 また環境政策、特に中国による二酸化炭素の大量排出も大変な難題になっている。感心なことに、習近平はこの問題を認識している。

 最近では、外国で自由に動き回っているウイルスを水際で食い止める政策を導入した。

 本当はそうではなく、世界最高のワクチンを輸入し、ワクチン接種を終えてから国を開くべきだった。

 そうした方が賢明だったろうし、開放と協調が正しい方針であると認識し続けていることのしるしにもなったはずだ。

 中央統制を蘇らせようとする習近平のプログラムは、意外なものではない。

 あれは、目上の者以外には説明責任が求められない権力を土台とする政治構造が、自由の拡大を容認したために蝕まれてしまったことへの自然な反応だった。

 その必然的な結果が汚職の蔓延だった。

 だが、この政治構造へのダメージを抑制しようとする代償は、リスク回避と硬直化だった。

 14億もの国民で構成されるかつてないほど高度な今日の中国社会を、1人の人物が絶対的に支配するトップダウン型の組織が健全に統治できるとは想像しがたい。

 ましてや、効果的に統治できるなどと言われればなおさらだ。

中国と世界全体にとって危険

 中国がますます攻撃的になってきたことも意外ではない。

 中国の台頭に適応したがらない西側の姿勢は、明らかに問題の一部を構成している。

 だが、西側が(そしてそれ以外の多くの国々が)大切にしている中核的な価値観に中国が敵意をむき出しにしてきたことも問題だった。

 長期にわたって明らかに成功してこなかったマルクス主義の政治的理想を中国は信奉していると言われても、多くの人は真に受けることができない。

 確かに、鄧小平の見事な折衷主義は機能した。少なくとも、中国が発展途上国である間はそうだった。

 だが、非常に複雑になった今日の中国に古いレーニン主義で正統とされる慣行や考え方を再導入しても、行き詰まるのが関の山だ。

 下手をすれば、習近平がいつまでも国家主席の座に居座り、この再導入が中国自体と中国以外の世界全体にとってなお一層危険なものとなる恐れもある。

 この記事では、習近平氏の続投に対しそれがもたらす危険性を指摘しています。あたかも今世界では独裁国家の脅威が以前より増してきている状況です。軍事大国ロシアのプーチンによるウクライナ侵略、先軍政治に突っ走る北朝鮮金正恩によるミサイルと核開発、イスラム独裁国家イランのハーメネイによるシーア派テロ支援、それにこの巨大化した経済大国の中国習近平の台湾軍事侵攻を手始めとする覇権主義と、危険この上ない国家群が軒を並べています。

 しかもそのうちの3カ国は日本の隣国ですから、この地政学的脅威は世界でも上位に位置するでしょう。それに対し現政権も国民もその認識は薄く感じられます。ここ最近テレビや新聞で、ウクライナへミサイル攻撃を繰返すロシアの暴挙が報じられていますが、多くの日本人にはもう見慣れた光景になっているかも知れません。また先日の北朝鮮のミサイル発射時のJ・アラートへの対応についても、まるで人ごとのように捉えている国民もいます。

 それに対し中国の動きは、ロシアや北朝鮮と違って、メディアを大きく動かしてはいません。ですが、実際その脅威は他の国より最も大きいと言えるでしょう。政府も国民に対しもっとこのリスクを現実のものとして知らしめなければなりません。反対派がどう言おうとしっかり現実を伝えるのが政府の役割だと思います。

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2022年10月11日 (火)

自民党を追求する立憲民主も「旧統一教会」との関係が次々明らかに。会見で明確にすべきだろう。

9_20221011092301  自民党の旧統一教会との関係を、国の重要課題をそっちのけで追求し続ける立憲民主党。しかしその立憲民主党にも15人以上の関係を持った議員がいます。まさに「自党のことを棚に上げて他党を非難する」体質が浮き出ています。しかもそのことはあまりメディアが明らかにしていません。テレビに至っては殆どこのことを報じていないのではないでしょうか。

 週刊ポストが報じた記事を、zakzakが取り上げていますので、引用して掲載します。タイトルは『自民追及の立憲民主党も旧統一教会とズブズブ 原口一博氏、大串博志氏、松木謙公氏が「隠蔽報告」』です。

次々と関係が明らかになり、根の深さが明らかになる自民党と旧統一教会との関係。岸田文雄・首相は、臨時国会の冒頭に行われた所信表明演説でも旧統一教会について触れたが、そこに「関係を断つ」という言葉はなかった。

自民党と旧統一教会の関係については議員アンケート調査の結果が出たあとも、野党が徹底追及しており、新たな事実も続々と明らかになっている。しかしその一方で、追及の急先鋒である立憲民主党にも“ブーメラン”が止まらない。

9月27日、立民は辻元清美氏が旧統一教会の関連団体の会合に出席していたと発表。立民は党内調査でこれまで15人の議員に旧統一教会と接点があったことを発表してきたが、辻元氏の名前はなかった。

同党の蓮舫氏は、自民党の旧統一教会調査について、「穴だらけ」と批判してきたが、「その言葉はそっくりそのまま立民に当てはまる」と話すのは、ある永田町関係者だ。

「立民の調査も穴だらけです。党の公表した調査結果以外にも旧統一教会と接点を持っていた重鎮議員が複数います」

それが大串博志氏、原口一博氏、松木謙公氏の3議員だ。

同党の調査結果によると、大串氏は関連団体の日韓トンネル推進佐賀県民会議に秘書が3回代理出席して祝電を送付(2015~2019年)、原口氏も同団体の会合に秘書が出席(2015年)、松木氏は関連団体のWFWP(世界女性平和連合)に会費1万5000円出費(2013年)となっていた。だが、『週刊ポスト』の取材でこれ以外の接点が浮上した。

大串氏と原口氏は、それぞれ2015年に日韓トンネル推進佐賀県民会議の総会懇親会費として4000円を出費しており、松木氏は2015年に関連団体の天宙平和連合のセミナー代2000円、翌2016年にWFWPのチャリティコンサートのチケット代1万円とチャリティクリスマス会費1万円を出費していたのだ。

いずれも『週刊ポスト』は会費を支払った領収書を確認している。

大串氏は民主党時代に財務大臣政務官を、原口氏は総務大臣を務めた。松木氏も民主党時代に農水大臣政務官を務めたベテランである。

立民のなかでも民主党時代から長く活動する重鎮に旧統一教会汚染が広がっていた。新たな接点について3議員に聞くと、次のように文書で回答した。

「領収書の保存期間が過ぎているので、我が事務所における収支報告書作成時の原資料を確認し、事実と思われます。党本部からの質問項目(2022年7月26日)は、以下の6項目でした。

・旧統一教会からの寄付・物資等の受領

・旧統一教会への寄付・献金

・政治活動・選挙活動への支援(秘書派遣、活動参加等)

・旧統一教会関連会合・イベントへの参加(代理出席を含む)

・旧統一教会関連会合・イベントへの祝電・メッセージの送付

・旧統一教会が行なっている署名活動への署名

このうち、4項目目(代理出席)、5項目目(祝電の送付)に関する事実関係がありましたので、この点を全て報告しております。会費支出については、他には平成29年11月5日に日韓トンネル推進佐賀県民会議唐津フォーラムに1000円の支出があります」(大串氏事務所)

「資料の保存期間を過ぎており確認できません。懇親会に出るからには会費を払うのが当たり前ですが、『旧統一教会イベントではないか』とすぐ退席しており、支出が確認できなかった」(原口氏事務所)

「収支報告書の保存期間が過ぎているものについては事実確認ができませんでした。報告済みのWFWPチャリティクリスマス会費は、国連NGOのWFWPインターナショナル日本支部が貧困撲滅等の海外支援活動のための催事に参加したものと認識しており、それ以上の関係はありません。但し、上記団体が旧統一教会と不可分の関連団体である等の報道がなされておりますので、今後は上記催事への参加は致しません」(松木氏事務所)

立民はまず、ズブズブの身内の調査を徹底すべきではないか。

 自身が旧統一教会との関係があったと確認されていても、「自民党の関係性を追求する」と言い放った辻元清美議員に代表されるように、どうもこの党の議員には冒頭述べたように、「自党のことを棚に上げて他党を非難する」体質が染みついていると言わざるを得ません。

 確かに今は野党で政府に属する議員がいないとは言え、自民党には政府関係者のみならず、すべての議員を対象に関係性の詳細を追求しているのですから、立憲民主党内の議員の関係性も明らかにして、記者会見でも国会報告でもすべきでしょう。

 それに各テレビ局の報道が、自民党議員の関係性一辺倒なのも問題です。人数の問題ではないでしょう。与野党の区別なく追求するのが公平性を保つ必須なことです。もっとも、偏向報道にそれこそ「ズブズブ」なテレビ報道ですから、当然そうなるのでしょうが、困ったことです。

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2022年10月10日 (月)

山口敬之氏:金平茂紀は極左テロ犯人を擁護し被害者を蹂躙して恥じない「報道テロリスト」

2022090200010014flash0004view  先日「電通発言」で、玉川徹氏がテレビ朝日に出勤停止の謹慎処分を受けました。一方金平茂紀氏も、TBSの報道番組「報道特集」のキャスターを9月いっぱいで降板させられています。こちらは降板の理由は明らかにされていませんが、かつて故筑紫哲也氏の「NEWS23」の編集長も務め、そのあまりにも反日的な言動が、多くの批判を浴びており、それが一つの要因だったように思います。

 この金平氏の反日報道にメスを入れた形で、フリージャーナリストの山口敬之氏が、月刊hanadaプラスにコラムを寄稿しています。タイトルは『“報道テロリスト”金平茂紀に与えられた使命|山口敬之』で、以下に引用して紹介します。

9月一杯で「報道特集」のキャスターを降板させられた金平茂紀氏。金平氏とは一体どういう人物なのか。かつてともに仕事をした山口敬之さんが金平氏の本性を暴く!

***********

統一教会に感情をあらわにした金平茂紀

9月一杯でTBSの報道番組「報道特集」のキャスターを降板させられた金平茂紀が、9月22日に行われた旧統一教会の会見に姿を現した。

教会側は冒頭でこう発言した。

「今回の安倍元首相の銃撃事件以降、様々な報道を通じて世間を大変お騒がせしましたこと、ならびに日本国政府、そして国会議員の皆さまに大変なご迷惑をお掛けしましたことを心からお詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした」

これに対して金平は感情をあらわにした。

「過去の教団の加害行為によってひどい目に遭った人に対する謝罪がなかった」

「テレビの報道の立場から被害者、元信者の方から被害の実態を取材した実感と、(教団側の)今後の改革と称するものの方向が、あまりにも落差がありすぎて頭がクラクラする思いですよ。一体何を考えているんだと思いますね」

この金平の発言を聞いて、私のほうこそ頭がクラクラした。

金平茂紀こそ、凄惨な事件の無辜の被害者を蹂躙して全く恥じない、ジャーナリズムとは無縁のテロ支援キャスターだからだ。

被害者を蹂躙して恥じない金平茂紀

1974年8月30日午後0時45分、東京・丸の内の三菱重工業本社ビルエントランス脇の植え込みに仕掛けられた2つの時限爆弾が炸裂した。

この爆発の衝撃で三菱重工本社の玄関ロビーは大破、爆風と飛び散ったガラス片等により8人が死亡、376人が怪我をした。

これだけの大きな被害が出たのは、使われた爆弾が天皇陛下をお召し列車ごと爆発する計画のために用意された高性能爆弾だったからだ。

この凶行を指揮したのは、極左テロ組織「東アジア反日武装戦線」のリーダー、大道寺将司だ。この男が書いた「犯行声明」が残されている。

<三菱は、旧植民地主義時代から現在に至るまで、一貫して日帝中枢として機能し、商売の仮面の陰で死肉をくらう日帝の大黒柱である。

今回のダイヤモンド作戦は、三菱をボスとする日帝の侵略企業・植民者に対する攻撃である。“狼”の爆弾に依り、爆死し、あるいは負傷した人間は、『同じ労働者』でも『無関係の一般市民』でもない。彼らは、日帝中枢に寄生し、植民地主義に参画し、植民地人民の血で肥え太る植民者である。

“狼”は、日帝中枢地区を間断なき戦場と化す。戦死を恐れぬ日帝の寄生虫以外は速やかに同地区より撤退せよ。

“狼”は、日帝本国内、及び世界の反日帝闘争に起ち上がっている人民に依拠し、日帝の政治・経済の中枢部を徐々に侵食し、破壊する。また『新大東亜共栄圏』に向かって再び策動する帝国主義者=植民地主義者を処刑する。

最後に三菱をボスとする日帝の侵略企業・植民者に警告する。

海外での活動を全て停止せよ。海外資産を整理し、『発展途上国』に於ける資産は全て放棄せよ。

この警告に従うことが、これ以上に戦死者を増やさぬ唯一の道である。

— 9月23日東アジア反日武装戦線“狼”情報部>

三菱重工爆破事件を含む10件の連続企業爆破事件に関与し、自ら惨殺した無辜の市民を「帝国主義に寄生する植民者」と呼んで冒涜した死刑囚・大道寺将司は1987年に死刑が確定した。

大道寺将司によって殺められた被害者

大道寺将司によって三菱重工爆破事件で殺害された「被害者」は以下の方々だ。

・37歳の三菱信託銀行課長→即死

・28歳の船舶エンジニア→即死

・49歳の鉱業会社社員→即死

・50歳の三菱重工社員→即死

・38歳の製造業の所長代理→即死

・23歳の会計士事務所事務員→脳損傷と全身打撲で病院収容後死亡

・41歳のデザイン会社役員→脱血ショックで病院収容後に死亡

・51歳の三菱重工主任→病院収容後、翌日死亡

被害者を悼まず、加害者を悼んだ金平茂紀

一方、死刑囚・大道寺将司は犯行後43年も生き永らえ、2017年5月24日多発性骨髄腫により収監中の東京拘置所で死んだ。

この残虐なテロリストの訃報に、東京拘置所にまでいそいそと足を運んで大道寺将司の死を悼んだのが金平茂紀だ。

私はこの機会に、金平が死を悼んだ大道寺将司によって惨殺された三菱重工爆破事件の被害者一人ひとりを、もう一度悼むこととする。

1974年のあの日、日本バルカー工業所長代理だった山﨑隆司さん(38)は、商談のため静岡県から上京し、建物から出たところで犯行グループが仕掛けた爆弾が炸裂して即死した。11歳を筆頭に3人の子供のパパだった。

41歳のデザイン会社役員だった桜井秀雄さんにも、同年代の妻と10歳の長女と7歳の次女がいた。

遺体の損傷が激しく最後に本人確認が終わった三菱重工業の環境装備部主任だった石橋光明さん(51)も、妻と一人息子の中学3年生明人君(14)を遺して逝かざるを得なかった。

当時の新聞によれば、東京・大田区の自宅に殺到する報道陣を前に、明人君は涙を見せることなく気丈に振る舞い、近所のおばさんに労わりの声をかけられると、一言だけ「悔しい」と唇を噛み締めていたという。

父の遺体が収められた棺を前に首を垂れる明人君の後ろ姿を捉えた写真は、当時8歳だった私も覚えている。

光明さんの享年は51歳。私より6歳も若い。そして私より6歳年上の明人さんは、今62歳になっているはずだ。大道寺将司によって理由もなく殺された8名のかけがえのない命。残された明人さんら多くの遺族は、その後の人生を逞しく生き抜くことが出来ただろうか。

報道の使命とは、まずは何をおいてもこうした無辜の被害者に寄り添い、犯人グループに怒るという「素直な正義感」の発露としての報道に徹することだ。

大道寺らの犯行を厳しく糾弾する報道をキッカケに、明人君ら犯罪被害者をどのように社会に包摂し救済していくかの議論が高まり、事件から6年後の1980年「犯罪被害者等給付金制度」が作られた。これこそが、テロとテロリストを憎み被害者に寄り添うジャーナリズムが成し遂げた、ささやかな抵抗の証だ。

ところが、ジャーナリストを自称し、報道番組のキャスターを務めている金平は、こうした報道の正義とは真逆の人間だった。

戦後史上最悪の爆破テロを主導し、しかもその被害者を冒涜したテロリストを、今更のように悼んだのだ。金平の投稿を見て、大道寺に殺された天上の被害者・山﨑隆司さんは、桜井秀雄さんは、石橋光明さんは、どう感じるだろうか。

石橋さんの忘れ形見である明人さんは、父を惨殺したテロリストの死を悼む金平の投稿を見て、何を思っているだろうか。こんな金平には、統一教会問題だろうが何だろうが「被害者への謝罪がない」などと他者を糾弾する資格は絶対にない。

そして金平の問題は、被害者の感情を顧みない「非常識な人物」ということにとどまらない。金平こそ、大道寺将司の暴力革命思想をそのまま現代に引き継いだ「報道テロリスト」なのだ。

「最も政治家にしちゃいけない人間なんだよ」

金平は2005年5月に、TBSの報道局長となった。この直後、当時TBS政治部にいた私は報道局長室に呼ばれて、金平と向き合った。

金平がモスクワ支局長を務めていた90年代前半、私はロンドン支局にいたから、ロシアの騒乱の現場などで一緒に取材をした経験もあり、記者としても人間としても互いによく知っていた。

当時、私は政治部で外務省を担当していたこともあり、北朝鮮情勢などについて意見交換するつもりだった。ところが金平は、私が報道局長室に入るなり、不快な香りのするお香を焚いた。まるで不浄なものを忌み清めるように。そして開口一番、こう言った。

「安倍晋三っていうのは、最も政治家にしちゃいけない人間なんだよ」

唐突におかしなことを言うので、私はその真意を訝りながらこう尋ねた。

「直接取材したことがあるんですか?」

「あるわけないだろ。ろくな人間じゃないのは、あの弛んだ顔だけ見てもすぐわかる」

「どこがそんなに気に入らないんですか?」

「あんな極右政治家が官房長官をやっているということだけで、俺は我慢がならないんだよ」>

感情を抑えきれない様子の金平の発言はもはや理解不能だった。金平は社会部記者を経て、「筑紫哲也ニュース23」のディレクターなどを務めていたが、政治部の経験はなかった。

直接取材したこともない政治家に対して、まるで不戴天の敵のように怒りを爆発させる金平の尋常ならざる狂気に少なからず驚いたのを鮮明に覚えている。

この1年後、TBSは総務省から厳重注意処分を受けた。

2006年7月21日、夕方のニュース番組で太平洋戦争の731部隊に関する特集を放送した際、全く無関係な安倍晋三官房長官の映像に「ゲリラ活動!?」という文字スーパーをかぶせて、安倍氏の印象を不当に貶めたからだ

安倍のようなクズが総理になってしまう」

ちょうど2ヶ月後の9月20日には、長期政権を築いた小泉純一郎首相の後継を決める自民党総裁選が予定されていた。だからこの「印象操作」は、総裁選の有力候補だった安倍氏の印象を貶めて総裁選を不利にするという、TBSによる「ゲリラ活動」だったことは言うまでもない。

放送事業を統括する総務省はすぐ調査に乗り出し、3週間後の8月11日、TBSに対して、放送法に基づく厳重注意の処分を下した。この総務省の処分を受けて、社内で最も厳しい処分を受けたのは、このVTRを作ったKという社員ディレクターだった。金平が「筑紫哲也のニュース23」という番組の編集長を務めていた時に部下として昼夜を分たず一緒に働いていた人物だった。

TBS報道局内部では「Kは金平の指示であんなゲリラVTRを作らされたに決まっているのに、Kだけが厳しく処分されるのは酷い話だ」という声が挙がっていた。しかし金平は知らぬ存ぜぬを通して報道局長を続投した。

7月に総務省が厳重注意処分を決めた数日後、ある報道局幹部から私に内々に連絡があった。

赤坂の居酒屋の個室で向き合ったその幹部は衝撃的なことを告白した。

「あの番組が放送される1週間ほど前、俺は金平とKともう一人の合わせて4人で赤坂でメシを食ったんだよ。その場で金平がKに言った言葉が忘れられないんだ」

「金平はKに対して、絡むようにして執拗にこう言っていた。『このままでは安倍晋三のようなクズが総理になってしまう。お前はそれでいいのか?』」

「この時の金平の形相は、尋常ならざるものがあった。ある種の狂人によく似ている。」

「あまりにおぞましくて、誰にも言えなかったんだが、金平が無罪放免で報道局長を続投しているのが許せなくてね」

私も金平が安倍氏への憎悪を隠さず、自分の感情を制御できなくなっていく様子をつぶさに観察した経験があったから、この人物の発言には十分に信憑性があった。

この証言が事実なら、金平はKに直接的な指示をして、卑劣な報道テロを指揮したことになる。そしていざ問題が大きくなると部下に全ての責任を押し付け、自身はのうのうと報道局長の座に居座り続けるという、厚顔無恥の極限例を実践してみせた。

金平は、残虐なテロリスト大道寺将司の死を象徴的に悼んだだけではなかった。その暴力革命思想とテロリズム、そして外道の精神をそのまま引き継ぎ、報道の世界で実践していたのである。

金平を登用し続けたTBS経営陣こそ万死に値する

この「金平印象操作事件」の経緯については、「伊藤詩織」問題―金平茂紀と望月衣塑子の正体」でも詳述した。

金平茂紀がジャーナリストの姿を借りた極左活動家であることは、まともなTBSの報道局員であれば誰でも察知していた。

ここで問われなければならないのは、極めて危険なテロ容認極左活動家を報道局長とし、露骨な報道テロも不問に伏し、その後12年の長きにわたって報道特集のキャスターとして使うという、異常な判断をしたTBSという会社である。

私は異常な判断が続いた構造を象徴する、異常な会食に同席する機会があった。それこそ、金平グループによる「印象操作事件」で厳重注意処分が出た直後に、TBS経営陣が安倍氏を招いて開いた「手打ちの宴席」だった。

TBS側は当時の井上弘会長、石原俊爾社長と私、安倍氏側は本人と秘書1名が参加して、赤坂の高級料亭で会食をした。井上氏は社長時代から隠然とした力を行使して、実質的に独裁者として君臨していた。

会食前は相当怒っていた安倍氏だったが、宴席冒頭で井上と石原が問題の経緯を説明して深く謝罪し再発防止を期すと訴えると、安倍氏も矛を収めて会食は無難に終わった。

安倍氏側を送り出したあと、井上氏と石原氏と3人で、隣りのバーで一杯やることになった。この時、井上氏は私に驚くべきことを言った。

「あの安倍というのは本当にダメだね。あんな右翼政治家じゃなくて、福田(康夫)さんとか二階(俊博)さんとか、もっとアジアの国とうまくやっていける政治家を称揚しなきゃ」

たったいま平身低頭謝罪して許しを乞うていた安倍氏について、井上氏が嫌悪感を剥き出しにしたのである。井上氏の安倍氏への激しい憎悪と、感情を抑えきれない様子は、金平と全く同質のものに見えた。

どこの会社にも、どこの社会にも破壊思想の持ち主や憎悪の感情を制御できない人物は少しはいる。

しかし当時のTBSという会社は、「安倍晋三はダメだ」と公言して恥じない経営者が、同質の「安倍晋三だけは政治家にしちゃいけない人間なんだよ」と言い放つ人物を報道局長やニュースキャスターとして登用するという、極めて異様な状況だったのだ。

しかし、今回、金平が報道特集のキャスターを更迭されたからといってTBSが改善の方向に向かっているかどうかはわからない。

はっきりしているのは、

「安倍晋三を社会的に抹殺する」という金平に与えられた使命が、暗殺という形で図らずも実現してしまったからこそ、金平は「お役御免」となったということである。

 報道特集をかつて見た際、当の金平茂紀氏が最後に登場し、何を話すかと思ったら、それまでの報道のこととは関係なしに(本人は関係づけていると思っていたのかも知れませんが)、蕩々と政権批判、安倍内閣批判をしていたことです。これを機会にこの番組は見なくなりましたが、山口氏の述べた「安倍晋三だけは政治家にしちゃいけない人間なんだよ」と言う思いが、前面に出てきてこの番組の締めくくりの発言となっていたことがよく分かります。

 TBSがこんな男を報道局長とし、長年君臨させた来た理由も、「印象操作事件」当時の会長井上弘氏の思想と一致していたという、山口氏の見解から合点がいきます。果たして現会長はどう思っているのかが興味のあるところです。

 いずれにしろ、TBSは一つ頭が飛び出している感はありますが、NHKやテレビ朝日にしろ、他の地上波の報道番組は同じ方向を向いているように思いますね。相当中韓の息のかかった人間が跋扈しているのと、皆同系列の会社に番組制作を依頼している影響もあるのでしょう。

 これではテレビ視聴者はその方向に引っ張られ、悪く言えば洗脳させられていることになります。あまりにも緩い総務省の番組へのメスがそれを助長しているようです。ここは何度も言うように地上波テレビの抜本的編成替えが必要でしょう。

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2022年10月 9日 (日)

大前研一氏の「働かないおじさん」問題解決策、国会議員に展開したらどうだろう

2021102603_01_0  このブログで取り上げている、日本の重要課題に手を触れないで、政権批判ばかりしている(野党)議員たち。まさに「働かないおじさん」(もちろんおばさんもいる)たちです。こういう人たちをどうしたらいいでしょうか、

 先ずは企業に於いてこの「働かないおじさん」問題の解決への処方箋を、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長の大前研一氏が、マネーポストWEBに寄稿した提言コラムから紹介します。タイトルは『「働かないおじさん」問題の解決へ 日本企業は「ジョブ型雇用」に転換できるか』で、以下に引用します。

 近年ではグローバルに活躍できる人材育成のため、「ジョブ型」の雇用制度が注目されている。欧米企業では一般的な雇用制度で、雇用主が求める職務内容(ジョブ)に基づき、人材の採用を行っている。

 一方、日本企業では新卒者を大量一括採用し、終身雇用を前提に様々な仕事を経験させる「メンバーシップ型」の雇用制度が一般的であった。働く意欲が乏しく十分な仕事の成果を上げられない「働かないおじさん」を生み出しているのは、こうした日本の雇用制度が影響しているとの指摘もある。

 では、日本にジョブ型雇用が根付く可能性はあるのか。そうなった場合、日本の雇用環境はどう変わるのか。実際にジョブ型雇用のコンサルタント会社でも長く働いた経験のある、経営コンサルタント・大前研一氏が解説する。

 * * *

 日本でも昔からジョブ型の職種はある。たとえば、生命保険会社のセールスレディや自動車のセールスマンだ。彼らは成功報酬で、年齢も経験も関係ない「売った者勝ち」の世界だから、成果を上げられなければ食い詰めるだけである。

 もちろん、すべての仕事を成功報酬にはできないが、日本企業が競争力を回復して長期低迷から脱するためにはメンバーシップ型からジョブ型に転換するしかない。しかし、それは至難の業だ、実際、日立製作所、ソニーグループ、富士通、資生堂、NTTなどがジョブ型を導入しているが、欧米企業並みに成功している企業は見たことがない。

 なぜか? ジョブ型の本質を理解していないからだ。

 ジョブ型を実行するには、社員1人1人の仕事を的確に評価し、具体的かつ詳細な資料を作らなければならない。ところが、日本企業の場合、人事考課表を覗いてみると、ほとんど空っぽだ。「よくやった」「頑張っている」くらいしか書かれていないことが多い。S~Dなどの段階評価をしている企業もあるが、それだと社員は上司が自分の仕事をどういう基準で評価しているのか、来年に向けてどうすれば評価が上がるのか、全くわからない。

 逆に言うと、上司は自分の時間のかなりの部分を、部下の評価をきっちり記述すること、それを本人に説明することに使わなければならない。期初に年間目標を設定し、半年後に進捗状況を確認して追加レビューする。1年後に成果を見て、公平にヒアリングをした上で次の年の給与を決める。目標に達しなければ解雇する。そこまでの権限を上司に与えないと、ジョブ型は機能しない。採用時の条件がそうなっているから解雇しても文句は言われない、という制度なのだ。

「上司」ではなく「トレーナー」に

 たとえば、私がいた頃のマッキンゼーでは上司の仕事の時間の15%くらいを部下の評価に使っていた。また、採用シーズンは一流大学に社員が出向いてパーティーを開き、成績優秀な人材を1本釣りする。そのように吟味して採用した人材でも、毎年20%くらい解雇される。それが本当のジョブ型なのだ。

 つまり、新卒者を大量一括採用し、年功序列で役職と賃金が上がっていくシステムと中身のない人事評価のままでは、ジョブ型にはなり得ないのである。

 また、多くの日本企業はオフィスの机の配置が昔ながらの「島」で、その端に課長や係長、窓際に部長や役員の席がある監視型社会だ。その結果、年功序列で昇進した“分別のある”上司や管理職が若手を具体的に引っ張っていけず、成長の妨げにもなっている。

 いま私はスマホベースのスタートアップ企業を研究しているが、どの会社も20代・30代の若手が中核で、オフィスはフリーアドレスだ。先日視察した会社は、階段状の空間で社員たちが思い思いの席に座り、仕事や打ち合わせをしていた。従来の日本企業のピラミッド型組織とは無縁のフラットな組織で、社員に求められるのは成果だけである。

 上司は「上から司る」と書くが、いま上司に求められているのは、スポーツ界における「トレーナー」の役割だ。アスリート(社員)がベストパフォーマンスを発揮できるように、どこを鍛え、どう能力を伸ばしていくか、ということを一緒に考えるのである。これからの上司・先輩社員は、ピラミッド型組織の慣行や分別を部下に押しつけるのではなく、若手が活躍できるように支援するトレーナーになるべきなのだ。21世紀型教育で、学校の教師が上から答えを教える「先生」ではなく、児童・生徒の学びを支援する「ファシリテーター(促進者)」にならねばならないのと同様だ。

 一方で、ジョブ型の広がりを受け、厚生労働省が全企業に対して将来の勤務地や仕事の内容を全従業員に明示するよう求めていく方針だと報じられた(日本経済新聞/8月31日付)。その発想自体、ジョブ型に対する無理解を示している。新型コロナ禍で進んだ在宅勤務とジョブ型組織を混同しているだけでなく、いかにファシリテートするか、という課題にも無頓着だ。

 強固なピラミッド型組織で、政治家に過重労働をさせられて“強制労働省”になっている役所が企業を指導するのは笑止千万である。隗より始めていただきたい。

 企業と政治の政界では、その目標や評価の仕方はかなり違いますが、敢えて政党を企業と見なし、所属する国会議員を社員と見なせば、現状では、政党の目標は一人でも多くの議員数の獲得であり、議員の目標は当選と言うことになります。

 しかし企業が目標とするのは利潤の追求ですが、それだけでは社会的存在価値という意味でNOとなります。当然社員をはじめ顧客や株主などのステークホルダーのための諸施策が必要です。コンプライアンスも重要でしょう。社員はそれらそれぞれの目標達成のために働くことになります。そしてその結果が評価の物差しとなるでしょう。

 政党も議員獲得以外に、日本という国の様々な課題に対し多くの対策を考え、実行手段の提言が不可欠となります。議員はそのために様々な研究や提案をすることが求められて然りです。

 ところが現状は、この本質的な目標はどこかに消え去り、党としてはただ単に議員の数を増やすことにキュウキュウとなっています。議員もとにかく当選することが最大の課題で、議員として何をしなければならないか、その本質を捉えていません。

 ですからメディアも巻き込んで、評価の第三者機関を作り、政党がどの程度日本の重要課題解決に寄与したか、その一点に絞って評価をすべきです。そして政党のトップは、その為に議員一人一人がどう貢献したか、評価しそれによりポストを与えるようにすべきでしょう。年功序列ではなく。もちろん国民の評価も大事です。その評価の結果が選挙民による党の支持率となり、議員の評価となります。

 これらは机上の空論でしかないかも知れませんが、今の国会議員のふがいなさを見るにつけ、何とかしなければ日本は危うくなると危惧するから、このような改革をする必要性を強く感じるわけです。

 そしてそのためには議員数を100人程度に減らし、国のことを第一に考える、ごく有能な人材に絞って、政策提言に邁進してもらい、官僚と合わせ日本の未来を作り上げていくようにしてはどうかと、考えます。実現可能性は低いでしょうが、何とかしなければなりません。

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2022年10月 8日 (土)

日本の現状を憂う:政治行政に関心持たず、政治家・役人を見下す日本人、これでは国が溶けていく

7_20221008100801  秋の通常国会が始まりました。岸田首相の所信表明演説に続き、各党の代表質問が始まっています。5日には立憲民主党の泉代表が旧統一教会問題を取り上げ、議長に答弁を迫るなど、いつも通りの国の重要課題無視の批判だらけの質問に、うんざりした人は多いと思います。

 この野党の態度と共に、新聞やテレビ編集者等のメディア人も、政権批判はすれど、国の課題の解決に手を貸そうという姿勢は極めて弱い感じがします。もちろんかつてのように大物政治家の輩出が殆どなく、最後の大物安部元首相も凶弾に倒れた今、政治の側の発信力も弱い感じもします。それに乗じてか、批判が先行し重要課題に手が付かない日本は、かつてない危機に瀕しているのではないかとも思われます。

 こうした日本の現状とその対応を、日本再生を目指す青山社中(株)の筆頭代表、朝比奈一郎氏がJBpressに寄稿した記事から、引用して紹介します。タイトルは『政治行政に関心持たず、政治家・役人を見下す日本人、これでは国が溶けていく パブリック(公共)に人々が関心を持たない日本に必要な2つの処方箋』です。長文ですが以下に掲載します。

 昨今の日本社会において、懸念することがあります。それは、「パブリック(公共)に人々が関心を持たなくなってしまった」ということです。

 過去には、政治や行政に対して、国民・市民の尊敬がもう少しありました。それに対して今は、批判一辺倒で、政治行政で頑張る人々への尊敬がなくなってしまったように感じます。その結果、官僚や政治家という職を選ぼうと思う人も減り、人材の劣化を招いています。これは、日本という国の弱体化を招きかねない深刻な事態と考えるべきではないでしょうか。

エリザベス女王、ゴルバチョフ氏、安倍元総理、3人の要人の死から見えてくるもの

 最近、国内外において、政治行政に関する重要人物の死が相次ぎました。それを観察していても、少なくとも、今後ますます加速化していく傾向として、公共のために尽くす人への尊敬の薄れ、というものを意識せざるを得ません。そして、日本においては特に、パブリックサービスに勤しむ人への関心が薄れているように思えてならないのです。ここでは具体的に、9月に逝去されたエリザベス女王、8月に他界したゴルバチョフ元書記長、7月に銃弾に倒れた安倍晋三元総理を取り上げて考えたいと思います。

 先月、イギリスではエリザベス女王が亡くなりました。96歳で亡くなるまでの70年間、公的サービスに就かれ、イギリス連邦王国の象徴的存在でもありました。ダイアナ妃の騒動や、フォークランド紛争など、国難において存在を発揮する稀有な存在でもありました。こういう女王・国王はもう出てこないのではないかと思います。

 エリザベス女王の荘厳な国葬は世界的な注目を集めましたが、イギリスの王室自体、日常的にメディアの目や人々の関心にさらされています。そのため公のために懸命に尽くす姿に尊敬が集まる一方、「恵まれた家庭に生まれて、税金で優雅に暮らしている」と人々から言われることもあり、窮屈で、割に合わないと感じている王族もいるのも事実のようです。そのため、愛する人との結婚のために1936年に退位したエドワード8世や、最終的には追い出された形にはなりましたが、独自の自由な歩みを目論んだヘンリー王子とメーガン妃のように王室から離脱する王族もいます。結果として、イギリス王室の公務の担い手が減ってしまうケースがみられます。

 エリザベス女王は、ある意味で、国民的な尊敬を集める最後の国王とも言え、いくら公務に頑張っても、チャールズ新国王には、どうしてもダイアナ妃との不幸な関係という負のイメージが付きまとい、国民の支持は限られたものになると思われます。元をただせば、メディアの過度の関心やスキャンダル暴きが影響しているところもあり、100年前の国王であれば、公務に頑張りさえすれば、もう少し尊敬されていたかもしれません。

 このように、社会の中から「公のために人権制限されながらも尽くす」存在へのリスペクトがなくなってしまうと、残念ながらパブリックサービスも結果的に劣化していくことになります。公務に励まれてきたエリザベス女王も、生前、過度なメディアのスキャンダル暴きによる王室イメージへのダメージそのものよりも、公共・パブリックのために尽くす者が報われなくなる社会の現出を心配していたのではないでしょうか。

寂しかったゴルバチョフ氏の晩年

 ロシアでは8月末にゴルバチョフ元大統領が亡くなりました。ゴルバチョフ氏は、非常に淋しい最期という印象を拭えません。日本人という「よそ者」として私が見る限りにおいては、ゴルバチョフ氏は、ロシア(当時はソ連)のために、そして世界のために大きな貢献をした人物と評価してよいのではないでしょうか。いずれ経済的にソ連は崩壊していたかもしれませんが、あの局面においては、彼なくして、冷戦の終結は考えられません。

 モスクワ大学法学部を卒業した彼は、もともとは検察官志望だったそうですが、その夢は果たせず、故郷に帰って共産党員の青年組織の活動に従事します。ところがそこで頭角を現し、共産党内での出世階段を駆け上り、1985年、54歳になったばかりのゴルバチョフ氏は、チェルネンコ前書記長の死を受けて、電光石火の早業で権力奪取に成功し、ついにソビエト共産党の最高指導者書記長に就任します。

 もしも彼が共産党を延命させることを第一に考えて行動していれば、地位の安泰を手にして、安定的な人生を全うできたかも知れませんが、彼はパブリックのため、ペレストロイカといった思い切った改革に乗り出しました。そして何より、世界平和のため、外交に物凄く尽力しました。結果としての冷戦の終結に向け、ロシアを強く敵視していたレーガン米大統領との4度にわたる会談や、その後のブッシュ大統領との2度の交渉を経て、中距離核ミサイルの廃絶などで合意します。

 ドイツ統一に際しては、それ以上のNATOの拡大がないことを確信して、その統一とNATO入りを承認します(米国の口約束がその後反故になったのは有名な話で、そのことに激怒したプーチンや彼が代表しているところのロシア国民の感情が、今回のウクライナ侵略を引き起こしているのは有名な話です)。

 ゴルバチョフ氏が主導した一連の改革は、経済的に立ち行かなくなっていた当時のソ連にとって絶対的に必要なものだったと、また、国際平和に物凄く貢献したものと私は評価していますが、その大きな副作用として、ソ連の崩壊を招きました。ロシアをはじめとする旧ソ連邦諸国は大いに混乱、経済的に疲弊したのも事実です。

 そのため旧ソ連、ロシアの中ではゴルバチョフ氏は人気がなく、〈混乱に陥れた人〉との烙印を押され、淋しい最期を遂げたとも言えます。パブリックのためにあれだけ頑張った方の他界にしては、寂しい送り出しとなりました。

統一教会問題ばかりをクローズアップし、安倍氏の生前の功績を無視したかのような報道

 7月には、日本では安倍晋三元総理が亡くなりました。誰もが知っているように、母親が旧統一教会に入れ込んでいたという山上徹也容疑者の凶弾に斃れるという、不幸な形での逝去でした。これによって旧統一教会に対し世間から猛烈な批判が巻き起こり、さらには旧統一教会の現総裁を称賛するビデオメッセージを送っていた安倍元総理へも厳しい声が上がりました。

 正直、安倍氏と旧統一教会がどれくらいのつながりがあったのか、今となってはわかりません。教団のイベントにビデオメッセージを送ったりしたことの見返りとして、選挙の際に協力してもらったことはあるのかもしれませんが、おそらく霊感商法に協力したなどということはないでしょう。

 政治においては、物事を動かすために清濁合わせ飲まなければならない側面があります。仕事柄、永田町や霞が関にも頻繁に出入りしている私の目から見て、安倍氏も決して私利私欲のためではなく、自民党政権を安定させて日本の改革を進めるために、清濁合わせ飲むという側面があったと思います。

 これは私の予測・私見ですが、統一教会という存在、宗教については、若干怪しいものを感じつつも、完全なる事実は別として、少なくとも安倍氏の理解として、霊感商法問題はおおむね終わらせた団体、今は世間にある程度受け入れられている団体として認識し、その主張が、いわゆる保守派と近いが故にこれを自らの政策遂行のために利用しよう、と思ったように感じます。

 その「濁」がどの程度までなら許容できるかという点については、歴史の評価と、国民の評価はあると思いますが、「少しでも“濁”を飲み込んだらアウトだ」ということにはならないと思います。なぜなら、功績だってたくさんあるわけですから。

 しかし、岸田総理が「安倍元総理の国葬を執り行う」と言い出したところ、その賛否を巡り、国を二分するような議論が巻き起こりました。国葬の実施が決まったことで、かえって安倍氏の政治家人生を否定するような言説が盛んに流されました。

 安倍元総理のように、政権を長く維持するということは、それだけ苦労やストレスに耐える時間が長く続くわけですから、身体にも大きな負担がかかります。命を削るような思いで首相の任を果たした安倍氏の最期がこれでは、あまりに浮かばれないのではないかと思うのです。

 まずは、パブリックのために、とても尽くしてくれた方を社会として大いに悼むという態度が大前提としてあり、その上で、その負の部分についても正しくスポットライトを当てるべきでしょう(この場合は、統一教会との関係)。あくまで、悼むことがベースにあって、その方式として、国葬か否かなどを論じるべきでしょう。

 どうも、わが国のメディアの議論を見ていると、悼むことはどこかに行ってしまって、その課題だけを炎上させているように見えてしまいます。

一般国民は想像以上に安倍氏への弔意を示したが…

 安倍氏の功績の一つに、国際社会での日本のプレゼンスの向上というものがあったと思います。これも私見ですが、おそらく、安倍氏の存在感を踏まえれば、実際よりもっと多くの諸外国の要人が国葬に参加していたかと思います。しかし、日本国内での批判的報道の盛り上がりを見て二の足を踏んだ各国要人が数多くいた気がします。日本国民・日本社会としては、自業自得とはいえ、とても残念です。

 そんな中、9月27日に行われた国葬では、多くの人が日本武道館まで献花に訪れ、安倍氏を偲びました。献花の列は文字通り長蛇の列となり2万人以上が訪れたと報じられています。友人代表として菅義偉前総理が読んだ弔辞も、聞く人の心を震わせるような素晴らしいもので、これも多くの人を感動させたようです。国葬に際して、こうした反応があったのはせめてもの救いですが、国葬実施までの報道や世論の状況を見ると、やはり日本も「パブリックのために尽くした人々に対する尊敬の念が薄まったな」と感じざるを得ないのです。

優秀な学生が官僚を目指さなくなった

 私は、東京大学法学部出身ですが、昔の東大法学部は、官僚や政治家、弁護士や裁判官など、政治・行政や司法の世界も含めたパブリックサービスに身を捧げようと考えていた学生が多く学ぶ場所でした。

 ところが、最近は、かつてに比べるとパブリックサービスに身を置こうとする優秀な学生が少なくなったと言われています。

 象徴的なのは2021年の入試です。東大の文系は3つに分かれていて、文一(学生の多くは法学部に)と文二(同・経済学部に)、文三(同・文学部に)があります。そしてかつては文一が入るのが圧倒的に難しかったのです。

 しかし、その後、文二の合格者の最低点が文一を上回ります。それだけでも驚きでしたが、2021年はついに文三にも逆転されたのです。

 この現象が象徴しているように、やはり、パブリックセクターで働こうとする優秀な学生が減ってしまったのです。

 前回の参院選、衆院選でも、若者の投票率は低いままでした。政治行政に主体的に権利を行使しようと考える若者が増えていません。政治家や役人のスキャンダルがたびたびメディアを賑わすこともあり、本当に許しがたいものなら良いのですが、針小棒大に、借りた鉛筆を返し忘れた現象を「窃盗だ!」と叫ぶに近いものもあり、ちょっとどうかと感じています。いわんや、「あの政治家が良くやっている」と褒めるような報道はほとんどありません。これも政治家や公務員に対するリスペクトを失わせ、その分野に進もうという若者を減らす原因になっているのではないかと思われます。

 これは国民全体にとっても不幸なことです。まさに、今の日本社会、日本のメディアが行っていることは、天に唾する行為といえるでしょう。

 国立の大学の学費は、私立大学に比べて安く設定されています。これは国立大学に私立大学よりも多くの国費を投入しているからですが、明治時代以来、国立大学には官吏養成学校としての側面があるとも言えます。日本に官立の大学が出来た当時から、学校と学生との間に「税金をつかって高度な教育を施しますから、卒業後は公共のために、お国のために頑張って働いてください」という暗黙の了解があったと言って良いと思います。

 ところが現在はだいぶ事情が変わってきています。まず東大に通う学生の親の年収は、その他の大学に通う学生の親と比べて高いとされています。それにもかかわらず学費は比較的安いままです。そうやって経済的に余裕のある家庭に育ち、安い学費で国内最高峰といってもいい教育を受けた学生はいま、卒業後に外資系のコンサルや金融機関など、高い年収が得られる職業に競うようにして就いています。であれば、税金を使って学費を安く抑える必要もなく、国民から「われわれの税金を使っておきながら何をしているんだ」と叱られても仕方ありません。

 外国人から見て、「日本人は、税金で、優秀な学生を育成して、それを皆、外資系のコンサルや投資銀行に入れて、悪く言えば、日本から富を収奪する手先にしているのだから、本当に不思議な国・社会だよね」と思われても仕方ない現状です。

 もちろんこれらすべてが個々の学生のせいというわけではありません。公ということを考えたときに、日本のため、社会のために優秀層を活かせないということは、この国全体として考えなければならない問題なのです。

永田町や霞が関から世の中を変えるのは「無理ゲー」

 先ほど述べたように、東大を卒業すると外資系など高い報酬が得られそうな職業に就く学生が増えているのですが、一方で地域の課題、困っている人を助けるNPOに行く人なども増えています。社会や公共のことに関心を持つ学生が皆無になったわけではありません。それなのに官僚や政治家を目指す人は、質量ともに減っているのはなぜでしょうか。

 おそらく、「政権を取って世の中を変える」とか「霞が関で力を持ってこれまでやれていなかった施策を打ち出して公共のために尽くす」といったアプローチが「現実的じゃない」ことに若者が気付いているからではないでしょうか。政治や行政の中枢に行く、というアプローチを避けつつ、パブリックに携わる、という流れが出来つつあるのかも知れません。

 最近話題のイェール大助教授の成田悠輔氏の近著『22世紀の民主主義』(SB新書)で、政治で世の中を変えることにリアリティを持てない状況が詳述されていますが、政治や行政の中枢を目指して社会変革を目指すことが「無理ゲー」(解決が無理なゲーム)と思う最近の若手の気持ちも分かります。成田氏の分析とは違うアプローチにはなりますが、アラフィフの私自身の半生の振り返りからも、そのことは実感できます。

「期待を寄せては落胆」を繰り返してきた日本人

 私は現在49歳ですが、物心ついてからこれまでを振り返ると、「政権交代して日本を変える」という試みがほぼ10年刻みで失敗を繰り返してきた歴史になっています。

 高校生時代だった、80年代末から90年代初頭にかけては、バブルが崩壊し、日本新党が誕生、一大ムーブメントを生み出します。ついには同党の党首で元熊本県知事の細川護熙氏が首相となり、日本の中に「世の中がいい方向に大きく変わるかも」という期待が高まりましたが、残念ながら、それほど世の中は変わらず、新党ブームは急速にしぼんでいきました。

 90年代末には、山一證券やメガバンクが破綻し金融危機が起きました。日本が不安に覆われる中で登場したのが小泉純一郎氏でした。「自民党をぶっ壊す」と宣言して臨んだ党総裁選に勝利し首相となると、空前の小泉ブームが起こりました。ぶら下がり会見の一言一言が、連日メディアで好意的に報じられました。

 しかし、公共部門での変革の動きが起きたかというと、確かに郵政民営化は実施されましたが、それで社会の諸問題が抜本的に解決されたかと言えばそうではありませんでした。日本人が期待したほどの実を結ぶことなく、小泉ブームも終わってしまいます。

 2000年代にはリーマンショックが起きて、経済が大混乱に陥りました。その傷が癒えきっていない2008年、民主党による政権交代が起きました。「こんなに日本の改革が進まないのは自民党による一党独裁が続いてきたせいだ」と感じ始めていた有権者は、民主党政権に大きな期待を寄せました。しかし始まってみれば、改革に対する意欲は見えたものの、政権担当能力の低さが目につき、結局は自民党政権時と比べて政治・行政が大きく変わることもなく、人々の期待を裏切るようにして終焉していきました。

 このように、ほぼ8~10年周期で「期待を寄せては落胆」を繰り返してきた私のようなアラフィフ世代は、「有能な政治家を中心に、政権交代を達成し、首相や官邸が主導して世の中を変えていく」という姿にリアリティを持てないのです。ましてや私よりも若い人ならなおさらでしょう。最近では、日本維新の会に期待があつまった時期もありましたし、新たな期待を受けて、小政党が1~数議席を獲得する姿も見えますが、かつてほどの期待感を持たれていない印象です。

 そう考えると、やはり既存の野党に政権交代を望んだり、かつての小泉純一郎氏のような自民党内の異端者に政権獲りを期待したりするのは難しそうです。

 ただ、絶望しても仕方がありません。パブリックセクターが、優秀な人材のコミットメントを得てきちんと機能していくような国になっていくための希望を、どこに見出していくべきでしょう。

東京にはないが、地方にはある「希望」

 私は、一つには、国の政治行政ではなく、地域という切り口に希望があると考えています。

 一見すると荒廃している地域、住民と距離の近い場所で、パブリックのために活躍する人が増えています。

 首長として、その地域の諸問題を解決するために改革を行う人や、民間企業やNPOを運営しながら、地域のために資金を出し、地方創生に貢献している人もいます。首長として頑張るというルートは、割と分かりやすく、典型例として理解しやすいですが、最近は企業・起業家の動きが目立って来ている印象です。

 つまり、金儲けのためだけにビジネスをしているのではなく、地域貢献のために、(1)域外からお金を得て(“外貨”を稼ぎ)、(2)それを地域に投資して頑張っている企業が増えて来ている印象です。こうした方々は、まさに、パブリック(公共)に貢献している人材だと言えます。

 もちろん、昔から、コマツ(小松市)、大塚製薬(鳴門市)、ブルボン(柏崎市)などが、地域を支え、自己犠牲を払っても地域の発展を考える企業として有名ですが、最近新幹線が開通した長崎でのジャパネットの新規投資、前橋での街づくりのためのJINSの投資(先日、田中仁社長に前橋をご案内頂きましたが、まさに私財を投げうって街づくりを考えておられて感銘を受けました)、水戸へのグロービスの投資、三条市でのスノーピークの活躍、ゼビオの各地でのスポーツ施設向け投資など、実は地域を盛り上げるために貢献する企業・企業人が増えている印象です。形を変えた「公務員」と言えます。

 本社機能の一部を祖地である富山に移したYKKや、コロナ下で、本社を地域に移転したパソナグループ(淡路島)などもその一例でしょう。

 このような取り組みの結果として変わっていく地域が増えていけば、やがて日本も変わっていきます。地域でのパブリックでの貢献。そこに期待できると思うのです。

幕末の「地方」にあった驚くほどの気概とパワー

 歴史を振り返れば、地域から日本を変えた例がありました。明治維新です。

 幕末期、幕府が機能不全に陥りつつあった中で、地方の雄藩が明治維新という日本の改革を進めました。薩摩藩や長州藩が突破口を作り日本全体が変わっていったわけです。今考えると信じられませんが、日本のほとんどの藩が守旧的で、改革マインドもなく、門閥による支配が跋扈する中、薩長などごく一部の藩での改革が契機になって、明治維新という世界史的に信じられない一気の大改革・近大化が実現しました。

 現在から振り返ると正気の沙汰とは思えませんが、薩摩藩がイギリスと戦争したり、幕府と競ってパリ万博に独立国的に出品したり、また、長州藩が英仏蘭米の四か国と戦ったりと、とてつもない独立心、自立の気概が日本の各地にありました。戦争が良いわけではないですが、各地や個々人に「自ら立つ」「その地のために全力で貢献する」という気迫が無いと、活性化はままなりません。

 コロナ下のワクチン接種一つとっても、その量が足りない際に、政府に文句を言う自治体はあっても、パブリックのため、自らファイザーと交渉するとの気概を見せた自治体・首長は、寡聞にして聞いたことがありません。例えば、アイスランドという国は35万人の人口ですが、日本で言えば中核市程度。例えばその市長は、アイスランドの首相になったつもりで、世界と渡り合う気概が必要だと思います。

 過去の日本の歴史も紐解きながら、地域活性化に向けたマインドセット、パブリック(公共)への貢献を見習うというのも一つの方法でしょう。

「思想」の力

 明治維新に関して言えば、もう一つ、幕末の日本を大きく変える力になったものがあります。それは「尊王攘夷」運動という「思想」に基づく運動、要するにひとつの社会運動です。力を持った思想が社会に急速に広まると、それは社会を変える大きな原動力になります。政治や行政の公職、すなわち、当時で言えば、幕臣などとして活躍することよりも、思想に基づく運動の展開の方が、社会変革に大きな影響力があるとの見方もできます。

 それは現代でも同じです。人々の行動を大きく変える「思想」は、いつの時代でも生まれてくる可能性があります。

 先述の成田さんの著書では、冒頭から、

<断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは何も変わらない>

と喝破しています。

<何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ルールを変えること、つまりちょっとした革命である>

 と刺激的な言葉を重ねていきます。過激な言説に見えるかもしれませんが、同書を読み進めてみると、日本の人口構成比の中で高齢者層に圧倒されている若者たちの心にはストンと落ちる考え方だと思うのです。

 こうした発想が若い層に広がれば、彼らの投票行動ではなく、彼らの社会変革運動を後押しすることになり、その延長線上に新たな政党が生まれてくる、という現象を生み出すかもしれません。日本を変えていくためには、そういった思想的な動きに期待が持てるのではないかと思います。

 パブリックに関心を持つ若者がいないわけではありません。改革への熱意を持った若者も少なくありません。しかし、そうした人材が永田町や霞が関に足を踏み入れ、そこから公共部門の改革を成し遂げていくというコースは、もはや極めて困難で、ゴールへの到達が不可能なほど目詰まりを起こしているのです。パブリックセクターに就職は出来ても、そこから、何かを変えていくことがとても難しいのも事実です。

 有意な若者は地方行政の責任者や社会起業家として、別の場所で社会を変えようとしています。彼らの思想や行動が、政治家や官僚にはできない社会改革を起こしていく可能性は十分にあると思います。

 そう考えれば、大学も官吏(公務員)養成機関としての機能を持ち続けるだけではなく、地方や企業、NPOなどでパブリックサービスに取り組むような人材の育成に更に力を入れていくべきでしょう。

 青山社中も、その動きを後押ししたいと考えています。今年も10月から、リーダーシップ・公共政策学校を開講します。パブリックリーダーを育成することを目的とし、「リーダーシップ」と「政策」の両方を学ぶことをコンセプトにした学校です。リーダーシップとはすなわち変革。政治行政は、とかく、前例踏襲などが基本と思われがちで、過去の事績・現在の制度などを単に教える公共政策系の学校が多いのが実態ですが、本来は、パブリックセクターこそ、勇気を持った変革が大事です。民間にいながらパブリックにも関わりたい人、政治行政などに関心を持って取り組みたい人に、参加してほしいと思っています。

 地方から日本を変えていく。確かにその可能性はあるでしょう。しかし政治、行政、経済、メディア、文化の殆どの機能が一極集中している中央を、地方から変えて行くには時間がかかりそうです。何とか中央を変える手段はないでしょうか。そういう意味で国会の機能に注目する必要はありそうです。

 国会の論戦で、批判が悪いのだとは言えません。しかし何度も指摘するように、批判の矛先が、国の重要課題に手がつけられていない、あるいはその進行が遅いのに対するものであれば大いにすべきでしょう。しかし今の立憲民主や共産党の批判は、朝比奈氏の指摘のように針小棒大で重箱の隅をつつくような、およそ日本の重要課題とは縁が遠い事案が殆どです。

 そしてその国会での質疑の様子がテレビ中継で流れていますが、まるで犯罪者を吊し上げるような、尊大な態度で質問・追求をしています。これを見ている国民はどう感じるでしょうか。(私は殆ど見ません、時間の無駄ですから)。

 議員から政府への質問ではなく、党をまたいだ議員同士の質疑は殆ど見られません。国会ですから法案審議は議員同士の議論があってもいいはずです。それが少ないのは議員提出の法案が少ないことを物語っています。一体国会議員は何のために高額の報酬を得ているのでしょうか。

 これらの現象を見ていると、報酬と名声を得るために議員になっている人が多いと言うことです。一方政府は行政の善し悪しの結果がすぐ出ますから、芳しくなければすぐに叩かれます。その結果、その下支えをしている官僚に大きな負荷がかかることになります。それだけではありません。政府答弁の下書きや野党の質問に沿った返答のシナリオ作りも彼等の仕事になりますから、くだらない質問が続けば仕事も増え、それもまた無駄な仕事にもなります。

 そういうことが見えて来ていますから、朝比奈氏の言うように、官僚を目指す人も下火になってくるでしょう。原因の大きな部分は、この国会議員(多くは野党議員)の体たらくにあると思います。そしてその議員たちは自分たちが政権を取ることがない、つまり行政側に立つことがないと分かっているので、政府与党の足を引っ張ることしか念頭にない、そうなってしまっているのだと思います。

 ですから、この日本の現状を変えるには国会改革が絶対に必要だと考えます。国会議員になるための資格設定も必要かも知れません。そして与野党ともその議論の目指すところは一点、日本が直面している重要課題に集中し、その解決のために目指すための制度作りだと言うことにすべきです。そうすれば官僚たちも前向きな仕事ができ、意欲も増してくるでしょう。

 更には官僚には担当する部門の現場経験をさせることです。一般人に一定期間公共機関での経験をさせることも重要ですが、官僚にも経験が必要です。そうした現場経験が身につけば知見も広がり発想の向上にもつながるでしょう。今までの農林水産行政を見て、つくづくそう思います。

 何れにしても政治・行政のみならず、経済、防衛、教育いずれの分野でも制度疲労を起こしている日本、この日本の再生を最も重要課題としてみていたのが安部元首相でした。安倍氏亡き後、跡を継ぐ政治リーダーの出現を強く願います。

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2022年10月 7日 (金)

朝日新聞:メディアとして完全失格、的外れの安部氏批判と捏造の中国報道

Images-10_20221007090001 今年は日中国交正常化50周年に当たります。国内では今の日中関係を反映して、記念式典は盛り上がらず、それとは別に安部元首相への襲撃事件があり、襲撃犯の動機から旧統一教会問題が突如炎上し、また安倍氏の国葬を巡って様々な批判も持ち上がりました。

 その多くは野党や反安部を掲げる勢力の、反政権・与党への攻撃に利用している形となっていますが、その攻撃の片翼を担うのが朝日新聞でしょう。朝日新聞は、中国との関係が強いことは知られていますが、日中国交回復以降その報道を見ればよく分かります。

 増記代司氏が世界日報に投稿したコラムから、その経緯を読み解きます。タイトルは『日中国交50年で思い起こされる朝日の「北京と手を握った」中国報道』で、以下に掲載します。

「不安」は最大業績に

9月29日は日中国交50周年だったが、そのことを忘れるほど祝賀行事は低調だった。10年前の2012年の40周年は尖閣諸島をめぐって日中が対立し、祝賀行事は中止された。それに比べて曲がりなりにも祝賀行事が行われたのだから、それよりまし、か。

が、中国は10年前より「ますます攻撃的かつ横暴になっている」(オースティン米国防長官=1日の日米豪防衛相会談で)。もう一つ「攻撃的かつ横暴」になったのが朝日の安倍晋三元首相攻撃だ。

安倍元首相の国葬が行われた9月27日はその因縁の日と言ってよい。10年前の同日、各紙は一斉に安倍氏を社説タイトルに掲げた。菅義偉氏が国葬儀の追悼の辞で、銀座の焼き鳥屋で自民党総裁選への出馬を3時間も口説いたという、その総裁選に安倍氏が勝利し、前日に第25代自民党総裁に就任したからだ。

9月初めに安倍氏が総裁選出馬に意欲を示すと、朝日は「安倍元首相 思慮に欠ける歴史発言」と批判し、「一国の政治指導者として不適格だ」と断じた(同7日付社説)。朝日の願いに反して安倍氏が当選すると、民主党政権の不甲斐なさを目の当たりにしてきた他紙は、27日付社説で「政策力を高めよ」(読売)、「『決める政治』進めよ」(日経)、「再生策を語れ」(産経)と、安倍氏の「再チャレンジ」にエールを送った。

これに対して朝日は「不安ぬぐう外交を」と、真っ先に外交の「不安」を挙げ、領土、従軍慰安婦、靖国などの歴史問題への「不安」材料を並べ立て安倍氏を批判した。12年12月の総選挙で自民党が政権を奪還し第2次安倍政権が誕生すると、それ以降、ご承知の通りの安倍攻撃だ。

だが、「不安」とした材料のうち、「慰安婦」については長年にわたる朝日の虚報が14年8月に白日の下にさらされ、誤りを認めざるを得なくなり朝日は完敗した。朝日が思慮に欠けるとし「不適格」と断じた外交は地球儀俯瞰(ふかん)外交と評価され、「開かれたインド太平洋」構想は最大のレガシー(業績)となり、世界中から称賛の声が寄せられている。ここでも朝日は完敗である。

文革賛美の虚報記事

現在、朝日の誤りの「本命」が残されている。それが中国報道だ。そもそも50年前の1972年の日中国交は朝日が仕掛けた。66年に毛沢東が始めた文化大革命(文革)ではサンケイ(当時)、毎日、西日本の特派員はその実態を打電し続けたため、67年に「文革を中傷し、反中国活動を行った」として国外追放された。中国に残った日本人記者は朝日の特派員1人だけとなり、朝日は北京と手を握った。

それが68年の「政治3原則」だ。3原則とは①中国敵視政策をとらない②「二つの中国」に加わらない③日中国交の回復を妨げない―というもので、朝日はこれを受け入れ「報道の自由」を中国に売り渡し、中国共産党の政治宣伝に全面協力して文革賛美記事を書き続け、国民の「知る権利」を奪った。

だが、広岡知男社長(当時)は「報道鎖国に入るのが記者の役割」とする「歴史の目撃者」論なるものをもって虚報を正当化し、「私には(日中)復交を第一に考えるべきだという大前提がある」と開き直った。これこそ報道を政治的に利用するプロパガンダ(扇動)そのものである。

今に続く外交「指南」

文革から日中国交(72年)に至る朝日の中国報道は「慰安婦」虚報に並ぶ、いや、それ以上の犯罪的虚報だった。その流れは今に続いている。日中国交50年を論じた朝日9月29日付社説は「平和を築く重層的な対話を」と、対話を前面に押し出す。人権弾圧や軍事増強への批判は取って付けたように書き、「勇ましい抑止論だけで国の安全と繁栄はもたらされない」と防衛力増強論を揶揄(やゆ)している。

想起すべきは、朝日の外交政策への“指南”はことごとく間違っていたことだ。親中プロパガンダに騙(だま)されてはならない。そんな安倍氏の声が聞こえてきそうだ。

 今更言うまでもありませんが、どうしてここまで政権与党、特に故安倍氏を批判したいのか。そのすりこまれた論考はもはやカルトに近い意固地さを持っています。一部の批判好きの日本人には、心地よいかも知れませんが、中身が真実であればそれも許されるでしょう。

 しかし朝日新聞は幾多の事実誤認報道や、捏造事件も起こし、殊更反日報道を続けています。それは表現の自由を笠に着た暴挙であり、メディアとして完全失格です。だが購読者が減り続けても不動産事業などを多角的に展開し、生き残り続けています。何とかその「悪」の影響力が周辺に及ばないよう、他のメディアや常識人がその砦となるしかありません。このブログでも精一杯朝日の偏向した報道を批判していきたいと思います。

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2022年10月 6日 (木)

玉川徹氏「電通発言」で全面謝罪。ただ謝罪だけで済むのか、これまでの失言よりはるかに問題

Images-9_20221006100401  地上波テレビの報道番組やワイドショーでは、様々なコメンテーターを呼び込んで、国内外の事案を取り上げ、コメントを引き出しています。ただこのブログでも取り上げた青木理氏等、多くは偏向した番組編集者の方針の代弁者であったり、政府・与党批判に偏った見解が多く語られる中、時には事実に反する失言も見られます。

 そうした中で、今回テレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーで、レギュラーコメンテーターの玉川徹氏が発した「電通発言」が、炎上しています。その詳細をデイリー新潮の記事から引用します。タイトルは『「電通発言」で全面謝罪の玉川徹氏 政治記者は「これまでの失言よりはるかに問題」』です。

「関係者の皆さま、それから視聴者の皆さま、訂正して謝罪致します。申し訳ございませんでした」

 9月29日放映の「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日系)で、コメンテーターの玉川徹氏はいつになく神妙な表情で謝罪の弁を述べた。問題となっているのは、その前々日に執り行われた安倍晋三元総理の国葬を巡る発言だった。

 吉田茂元総理以来、55年ぶりとなった国葬でとりわけ注目を集めたのは、菅義偉前総理の弔辞であろう。官房長官として長らく安倍政権を支えた菅氏は、“友人代表”という立場で安倍元総理への思いを読み上げた。

 多くの人々の心を揺さぶったのは「銀座の焼鳥屋」での秘話だった。

<総理、あなたは一度、持病が悪くなって総理の座を退きました。そのことを負い目に思って、二度目の自民党総裁選出馬をずいぶんと迷っておられました。最後には、二人で銀座の焼鳥屋に行き、私は一生懸命あなたを口説きました。それが使命だと思ったからです。三時間後には、ようやく首をタテに振ってくれた。私はこのことを、菅義偉生涯最大の達成として、いつまでも誇らしく思うであろうと思います>

「趣味は安倍晋三」と語ることもあった菅氏らしい、ふたりの結びつきの強さを象徴するエピソードだ。この弔辞については多くのニュース番組、ワイドショーで取り上げられている。それは「モーニングショー」も同じだった。

「これこそが国葬の政治的意図」

 9月28日に放映された同番組ではこの弔辞の内容をパネルにして紹介。菅氏の写真入りのテロップには<声を詰まらせ…昭恵夫人も涙 会場から拍手>と書かれている。だが、菅氏の弔辞について見解を求められた、レギュラーコメンテーターの玉川徹氏は次のように語り出したのだ。

「まぁ、これこそが国葬の政治的意図だと思うんですよね」

「個人的な付き合いのあった人は、当然、悲しい思いを持って、その心情を吐露したのを見ればですね、同じ人間として胸に刺さる部分はあると思うんですよ。しかし、たとえばこれが国葬じゃなくて、自民党、内閣葬だった場合に、テレビでこれだけ取り上げたり、また、この番組でもパネルで紹介したり、さっきのVTRを流したりしたかというと、なってないですよね。つまり、国葬にしたからこそ、そういう風な部分を我々は見る形になる。僕も仕事上、見ざるを得ない」

「僕は演出側の人間ですからね」

 もちろん、国葬に賛否の声があったのは事実だが、菅氏の弔辞を「これこそが国葬の政治的意図」とはさすがに言い過ぎの感がある。だが、玉川氏はさらに続けるのだ。

「国葬というものがありました。あの時には、ああいう風な胸に刺さる言葉がありました。そういう風な形で既成事実として残るんですよ。これこそが国葬の意図なんですね。だから、僕は、国葬自体がやっぱりない方がこの国にはいいんじゃないか。これが政治的な意図だと思うから」

「僕は演出側の人間ですからね。テレビのディレクターをやってきましたから。それはそういう風に作りますよ、当然ながら。政治的意図がにおわないように、それは、制作者としては考えますよ。当然、これ、電通が入ってますからね」

 これでは番組の視聴者が、菅氏の読み上げた弔辞は電通が用意したものだったと捉えても仕方あるまい。

 おそらくテレ朝局内でも問題視されたのであろう。翌日の「モーニングショー」で玉川氏は、「昨日のパネルコーナーのなかで、私が安倍元総理の国葬に電通が関与しているという風にコメントしたんですけれども。この発言はですね、事実ではありませんでした。さらに、電通はですね、全く関わっていないということが分かりました」と述べ、冒頭の謝罪へと繋がるのである。

問われるテレビ朝日の見識

 玉川氏の発言について、政治部記者は次のように指摘する。

「玉川さんの発言には、安倍元総理の国葬に反対する層の溜飲を下げたいという意図があったのだと思います。また、菅政権下で開催された東京五輪を巡っては、電通の元専務である高橋治之容疑者が逮捕された。それらをないまぜにして、国葬に“政治的意図”を感じると話したわけです。ただ、安倍さんと菅さんに深い親交があったのは紛れもない事実で、弔辞の内容は明らかに菅さん自身の経験がベースになっています。歯に衣着せない発言で知られる玉川さんは、これまで何度も『モーニングショー』で謝罪を繰り返していますが、今回の失言は過去の案件と比べてもはるかに問題です。一国の総理経験者が述べた弔辞に意見するのであれば、それなりの根拠が必要でしょう。そもそも、玉川さんが番組内で単に謝罪しただけで済む問題なのか。テレビ朝日としての見識が問われる事態だと思います」

 当のテレビ朝日に質問すると、以下の回答が寄せられた。

<電通が安倍元総理の国葬に関わっているというスタジオ内での発言が事実誤認であったため訂正と謝罪を行いました。この件で、抗議などはありません。今後はより一層、事実関係の確認を徹底してまいります>

 一読して、木で鼻をくくったような内容という印象は否めない。また、社としての対応についても尋ねたが、明確な返答はなかった。玉川氏はテレ朝の看板番組のなかで「これこそが国葬の政治的意図」、「当然、これ、電通が入ってますからね」と断じているわけで、それを単なる“事実誤認”のひと言で済ませて視聴者は納得するだろうか。

 玉川氏はテレビ朝日の社員で、同発言によってテレ朝から10日間の出勤停止という処分を受けています。しかしツイッターなどのソーシャルメディアでは【#玉川徹の降板を求めます】というハッシュタグが拡散するなど降板運動へと発展しているようです。

 玉川氏はテレビ朝日の意向を汲んで、毎回反政府発言を繰返していたようですが、今回は「事実」ではない内容をコメントしたわけで、記事にあるように過去の案件と比べてもはるかに問題でしょう。

 もしこの事実無根発言が、産経新聞等、右寄りの会社の社員の発言や、政府関係者の発言だったとしたら、テレビ朝日やその親会社格の朝日新聞はどう突っ込んでいたでしょうか。自社の社員の不祥事にただ逃げるだけで責任を取らない、偏向媒体の実態が露呈していると言えるでしょう。

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2022年10月 4日 (火)

李相哲氏:現実を直視しない日本が心配だ このままで良いのか?

Images-8_20221004095601  日本に帰化した外国人で、保守の論壇を飾っているジャーナリストや教授はかなりいますが、龍谷大学の李相哲氏もその一人。彼は石平氏と同様中国から日本に帰化した論客です(両親は朝鮮出身の中国移民)。

 その李相哲氏が産経新聞の「正論」に寄稿した記事が、今の日本の実態を反映していると思い、今回取り上げます。タイトルは『現実を直視しない日本が心配だ』で、以下に引用します。

大学教員になってかれこれ25年になるが、学生を叱ったことはない。偉そうに説教するよりは褒めて伸ばすほうが良いと思うのと、学生のメンタルを心配するからだ。話は飛躍しすぎるかもしれないが、日本に対しても私は褒めることはあっても、批判することはあまりしなかった。しかしこのごろの日本が心配になってきた。このままで良いのかと。

つらくても現実は現実

私が留学のため中国から日本にやってきたのは昭和62(1987)年、時の日本はバブルがはじけ始めたころだった。それでもすべてが「世界最高」の国だった。物価も賃金も土地も、家電もエンターテインメントもだ。

日本に来る前に中国で日刊紙記者として働いた私の月給は日本円で3200円(当時の為替レート)、日本では大学生が4時間ほどのアルバイトで稼げる金額だった。ところが35年たったいま、中国のサラリーマンの月給は50倍、業種によっては100倍も上がった。日本といえばほぼ横ばいだ。

日本経済研究センターの予測では、後4年ほどで韓国の1人当たりの名目国内総生産(GDP)は日本を追い越す。世界知的所有権機関(WIPO)によれば2022年の「世界イノベーション指数」で韓国は世界6位とアジアではトップ、情報通信技術インフラや保有する知的財産権の数などで世界首位の評価を得た。

韓国は外見上危なっかしい政治状況に加え、国民は理念や党派で四分五裂し、日々デモに明け暮れる不安定な国に見えるが、勢いがある。韓国ドラマ、映画、音楽はアジアだけでなく世界を席巻している。

私は、学生に対し「1年だけ死ぬほど頑張って、外国語一つでもマスターすれば人生が変わるよ」ということもあるが、「なぜ変えるんですか」と反問される。おそらく多くの日本人は人生を変える必要性を感じないはずだ。その潜在的意識には、日本は永遠に今のように平和で安全、少々努力すれば食うに困ることはない、病気で治療を受けられない心配もない国であり続けるという前提がある。

日本は分岐点に立っている

しかし、ロシアのウクライナ侵略が物語るのは、国際社会はいまなお弱肉強食のジャングルのような世界だということではないか。日本だけが危険にさらされることもなく、いつまでも今のような平和で安全な環境が保障されているとは到底いえない。

日本はさまざまな意味で歴史の分岐点に立っている。住み心地さえよければよいか、国際的地位を維持すべきか。韓国に負けても中国に少々横暴な扱いをされても戦争さえ回避できれば良しとするのか。国家の安全保障、安危を大国に委ねるべきか、自分の国は自分で守り抜く実力を備えるべきかの分岐点に差しかかっている。

李氏朝鮮末期の啓蒙(けいもう)思想家たちは日本の明治維新に倣って朝鮮を改革、開化させようと、日本を訪れては福澤諭吉先生に教えを仰いだ。すると先生は「教育、新聞、軍事」の3つを興せと話されたそうだ。国家の基本はこの3つにあると考えたのだろう。いまの日本もまさにこの3つにメスを入れるべきではないか。

筆者が体感する大学教育の最大の問題は、日本の学生たちは成績をあまり気にしないことだ。いや学生を採用する企業が大学の成績を気にしないことだ。大学教育に期待していないということだろう。ならば大学教育の存在意義をそろそろ考えるべきではないか。

福澤先生の教えにヒント

メディアも同じだ。記者や編集者も専門職というべきだが、メディア企業の多くは大学の専門、成績と関係なく人材を採用する。日本では会社が人を育てるという「良き」伝統があるが、いまは、そのように悠長に構えられる余裕はないはずだ。

グローバル規模で職業の選択が自由になり、会社が優秀で戦力になる人材を育てても、その企業に居続けるとはかぎらない。また国民の平均的な素養に絶大な影響をおよぼすテレビは、お笑いなど「娯楽」に傾倒、「1億総白痴化」を加速させていると指摘されて久しい。

軍事、すなわち安保分野はより深刻だ。まずいまの若者は、国防や国家の安危に責任を感じ、義務を負わなければならないという意識がないようだ。少なくとも自由を謳歌(おうか)するには義務が伴うということを知る必要がある。そのための教育なり制度設計が必要だ。若者が一定期間、国家のために無条件奉仕する制度はどうだろうか。

日本の防衛予算は規模の上で、すでに韓国に追い越されてしまったが、ハード面でも決して優位とは言えない。昨今の日本では研究者が武器の研究を忌避することを良しとする風潮があるからだ。

衰退を食い止め、未来においても住み心地のよい平和で安全な国である続けるためには3つの分野だけ立て直せばよいというものではない。必要なのは現実を直視し、危機感をもって現状を変えるため果敢に挑戦することだろう。

 多くの部分で李氏の見解に賛同します。福沢諭吉の「教育、新聞、軍事」の3つを興せと訓示されたその三つが、今の日本ではアキレス腱になっている実態を、鋭く突いています。またそれ以上に日本人のマインドを変える必要がある、つまり未だにお花畑志向で現実を見ようとしないそのマインドを、根底から覆す必要があると言うことでしょう。

 そしてそれを阻害する要因が、皮肉にも「教育、新聞(今ではテレビを含む)、軍事(憲法と置き換えた方がいい)」にあるのが今の日本です。30年前とはがらりと一変した、日本周辺の安全保障環境の中、李氏の言う「現実を直視しない日本が心配だ」と、真に思います。政府・民間一丸となってここを何とか変えなければ、日本の未来は危ういでしょう。

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2022年10月 3日 (月)

櫻井よしこ氏:憲法改正と自衛力・国防力強化を急げ

Images-7_20221003102201  政府は年末までに、外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など、安保関連3文書を改定する計画となっています。一方で防衛費の大幅増額を内外に示し、近い将来NATO諸国並みのGDP比2%を達成すべく、議論が進みつつあります。

 ただそれと並行して、「ポジティブリスト」に代表されるように、自衛隊の行動の足枷となっている法体系の改革も待ったなしです。今回は産経新聞に寄稿した櫻井よしこ氏のコラムからその概要を引用して紹介します。タイトルは『自衛隊強化 法整備急げ』です。

安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)における岸田文雄首相の追悼の辞が胸に響いた。「戦後置き去りにされた国家の根幹的な課題に次々とチャレンジ」し、「戦後レジームからの脱却」を目指し、「国民投票法を制定して憲法改正に向けた大きな橋を架けた」として、安倍氏をたたえた。首相の想いは憲法改正につなげてこそ、本物になる。

プーチン露大統領はウクライナ4州の併合を宣言し、核による反撃もいとわないと恫喝(どうかつ)した。中国は台湾への軍事的恫喝を継続し、わが国の排他的経済水域(EEZ)にミサイル5発を撃ち込んだ。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺では、人民解放軍(PLA)の軍機が領空に接近し、海警局の船が領海に侵入する。習近平国家主席もプーチン氏も徹底した力の信奉者だ。

そして、台湾有事が迫る。安倍氏が指摘した日本有事だ。岸田政権が日本を守り通せるかは日本国の根本的欠陥を明確に認識できるか否かによる。わが国国防の根本的問題は自衛隊が軍隊ではないという一点に尽きる。自衛隊は憲法と自衛隊法により警察権の枠内に封じ込められ、実力を発揮できない組織なのだ。

憲法を改正して戦後レジームから脱却しない限り、岸田政権が検討中の自衛隊強化策は基礎工事のなされていない砂地に建物を建てるようなもので、真の危機対応にはなりにくい。逆に、憲法改正で自衛隊を通常の軍隊にすれば、自衛隊はとってはいけない行動を定める「ネガティブリスト」に基づいて持てる力を真っ当な形で行使できるようになる。そのとき自衛隊の力は、予算を1円も増やすことなしに比類なく強化される。

そこに行きつくのが困難ならば、首相には次の一手がある。日本の危機対応の法の穴を埋めるのだ。たとえばシンクタンク「国家基本問題研究所」における織田邦男元空将の以下のような提言だ。

わが国には有事法制はあるがグレーゾーンの法整備はない。現代戦は平時か有事かを区別できないグレーゾーンでの戦いから始まるが、そのような事態を想定していないため自衛隊は対応できない。台湾・日本有事となっても、沖縄県の与那国島などの住民保護は武力攻撃事態などが認定されない限りできない。防衛出動の下令なしには自衛隊は警察官職務執行法に縛られ武器使用が大幅に制限される。

武力攻撃事態、存立危機事態の認定があって初めて自衛隊は国民・国土防衛の活動に乗り出せる。ただ、これらの事態認定は中国などの周辺諸国に「宣戦布告」ととられかねない。住民保護のための事態認定が逆に戦端を開きかねない。この欠陥を埋めるにはグレーゾーンにおいて、自衛隊を通常の軍として活動させる法整備を急げというのだ。ちなみにこのような軍の扱いは世界では当然のことだ。

Images-6_20221003102101 有事に大戦略を決めるのは政治である。その指示で動くのが自衛隊である。政治と軍、政軍関係を健全に保ち、堅固に日本国民と日本国を守れるか否かは政治家の力量による。政治家の力量は現場を知らずしては決して成り立たない。

岸田文雄首相の下で新国防戦略の策定と、予算面からの軍事力強化の検討が行われている。一連の議論の中で思い違いが目につく。

まず、「防衛費の国内総生産(GDP)比2%以上」に向けての増額と防衛力強化の混同である。先述の沖縄県の与那国島などで有事の際の住民避難に必須の港湾・空港の整備・拡張、地下施設建設などインフラ整備費を防衛予算に算入すべしとの意見がある。種々の科学技術研究開発予算、海上保安庁予算も防衛費に算入してGDP比2%以上という国際公約を果たそうとの考え方もある。

港湾や飛行場、滑走路などの整備費は、日本の安全保障全般に関わる国防関係予算であり、防衛予算ではない。自衛隊の軍事力強化にはつながらない。防衛費の見かけ上の増額を図るのは水増しである。防衛費増額と防衛力強化を混同してはならない。

海保は他国の沿岸警備隊(コーストガード)とは異なり、海上保安庁法25条によって軍との関係が全否定されている。有事に軍の指揮下で軍事展開する他国のコーストガードとは全く異なる。従って海保の予算を防衛予算に組み入れることなど許されないだろう。

岸田政権下で国防の新戦略が策定され、戦闘機やミサイルなど新たな調達が決まるだろう。しかし、実際に自衛隊の手元に武器装備が届くのは早くて5~10年後だ。大事なことはそれまでの間、わが国の安全をどう担保するのか、である。

ここでも重要なのは政治家が現場の自衛官の声に耳を傾けることだ。安倍晋三元首相が自衛隊には継戦能力がないと明言したように、ミサイル、砲弾、部品、修理費など、現場は「不足」が山積みだ。まず、いますぐにそれらの補充にとりかかるべきだ。防衛力の現場の穴は最優先で埋めなければならない。

中露北朝鮮。核とミサイルを持った専制独裁国家に取り囲まれているわが国は世界で最も脆弱(ぜいじゃく)な国だ。戦後、国防を米国に頼りきったツケである。自衛隊が軍隊であり得ていない理由である。ここから抜けることが戦後レジームからの脱却なのである。

ウクライナは必死に戦って国家の滅亡を辛うじて回避している。国は国自体で生き残るのではない。一人一人の国民の国を大事に想う気持ち、愛国心によって初めて守られる存在だと痛感する。また、国なくして国民も国民ではいられないのである。ウクライナは日本の私たちに多くのことを教えてくれているはずだ。

日本の前方に立ちはだかる中国の習近平国家主席はプーチン露大統領同様、冷酷な力の信奉者だ。そしてプーチン氏よりはるかに手ごわい。中国の脅威に直面するわが国が覚醒し、発奮せずしてどうするのか。憲法改正の実現に向けて全力で走る。足元の自衛力・国防力強化に全力を注ぐ。この2つをやり抜くことが首相の歴史的使命である。

 戦後間もなくGHQの占領政策、「日本の弱体化を進め、二度とアメリカに立ち向かわなくする」ための、WGIPとプレスコード、ラジオコード、教育への自虐史観の植え付けが行われました。戦後77年を経た今日でも、 未だにその余波が放送界や教育界に残り、具体的な軍事技術の開発や戦略の研究、そしてその報道を控える雰囲気が、日本の軍事戦略音痴を生み出してしまっています。

 そうした中で、中朝露の覇権的行動がますます凶暴化しています。櫻井氏の言う「憲法改正の実現に向けて全力で走る。足元の自衛力・国防力強化に全力を注ぐ」ことが待ったなしの状況です。もちろん一方でこれらの国との対話は必要でしょうが、独裁国家を相手に、日本の思うような外交ができるはずはないでしょう。お花畑思想はきっぱり捨てて、防衛力強化と戦略研究強化を進めていってほしいものです。

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2022年10月 2日 (日)

林外相が国葬から“台湾を排除”した理由 “中国に配慮するように”と指示、迎賓館に台湾は入れず

9_20221001163301  安倍元総理の国葬儀が27日武道館で、4300人の参列者の中でしめやかに行われました。菅元首相の友人代表挨拶では、涙を誘う場面もありました。

 ところで海外からの要人に対し、親中派の林外務大臣が影で、中国への配慮をしていたようです。週刊新潮が報じた記事から引用します。タイトルは『林外相が国葬から“台湾を排除”した理由 “中国に配慮するように”と指示、迎賓館に台湾は入れず』です。

 安倍元総理の不在に託(かこつ)け、自身のプレゼンスを高めているのが、林芳正外相(61)。安倍氏の地盤を手中に収めんとする氏は中国にすり寄るため、国葬で「台湾冷遇」の一策を講じたのだという。

 ***

Images-4_20221001163401  総理の座を目指し、昨年の衆院選で参院から鞍替えした林氏は、安倍元総理の地盤であった下関も手に入れようとしている。来年4月以降、安倍氏の死を受けて、衆院山口4区補選が行われる予定だが、安倍家に通じる関係者は、

「晋三さんの後継者に適任者がいない。断絶もやむを得ないというのが、安倍家の共通認識となりつつあります」

 と内情を打ち明ける。かねてゴッドマザーこと洋子さんのお気に入りという安倍元総理の実兄の長男や、昭恵夫人が擁立されるのでは、ともされてきた。

「いずれも出馬するつもりはなく、晋三さんの弟、岸信夫さんの息子の信千代さんは父の地盤を継ぐ予定です。すると、補選では岸家、安倍家ではない人物が立候補することになる。後継者を出したかった洋子さんも94歳と高齢になり、以前のようにその意志を絶対的に尊重するような雰囲気でもないのです」(同)

 仮に自民党候補が補選に当選しても、10増10減の区割り変更で、山口県は全4区から3区へ再編。現4区の下関市は新3区となり、そこは林氏の地盤になるとみられている。

「下関はもともと、林さんの祖父の代から地盤です。安倍さんに奪われていた“故郷”を取り返す形になります」(地元政界関係者)

「半数が不参加」

 かくて地元奪還という悲願を遂げんとする林氏は、弔問外交が展開された国葬で、外相として中国を利する動きも見せていた。

 外務省担当記者が言う。

「安倍さんが亡くなった直後、台湾の頼清徳副総統が日本へ弔問に訪れています。その際、中国外務省が日本に抗議を入れており、今回の国葬では林さんとその周辺から“中国へ配慮するように”と指示が出ていたのです。実際、外務省は台湾に蔡英文総統と副総統の参列を控えるよう何度も伝えています」

 それが功を奏したのか、今回の国葬では台湾から元立法院長が2人、元行政院長1人が来日。現職政治家を避け、日本側に配慮した人選が行われた。しかし、以前から親中派として知られる林氏はさらなる「台湾排除」に動く。

「首尾よく台湾をはじき出した」

「国葬当日に迎賓館で、岸田総理と参列国首脳のあいさつの場が設けられました。葬儀場でのあいさつも難しい各国の要人と交流するためのものです。しかし、この場に台湾が参加することはかないませんでした」(同)

 どういうことか。政府関係者が言葉を継ぐ。

「迎賓館への招待については基準が設けられました。つまり、大統領や首脳級に関しては現職と元職、議長や閣僚級が来日した国は現職のみに限定したのです」

 その結果、

「元職しか来日していないので、台湾はこの場に参加することができない。林さんは首尾よく台湾をはじき出すことに成功したのです。しかし、それと同時に、この条件に引っかかり、参列する約200の国や国際機関などのうち半数が不参加となってしまった。外務省内からは“外交チャンスが失われた”と林さんの手腕を疑問視する声が上がっています」(同)

 安倍元総理は生前「台湾有事は日本有事」と語り、9月24日には、台湾の高雄市に等身大の銅像まで建てられた。安倍氏の地盤は継いでも遺志は継がず――。どうやら、それが林氏の政治信条のようだ。

 親日国台湾に対し、あくまでも中国への配慮から冷たい態度をとり続ける林氏。今年は日中国交正常化50周年に当たることから、岸田首相も林氏を起用したのかも知れませんが、台湾に寄り添ってきた安部元首相の国葬に対し、この台湾要人への扱いは酷いものです。

 彼が外務大臣でいる限り、中国への配慮は続き、尖閣での中国海警艇の威嚇行動にも、見て見ぬ振りを続けるようです。これではますます中国に、日本が甘いとみられ、台湾有事を早めかねません。可能な限り早い段階で、林氏を外務大臣から外すことを切望します。

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2022年10月 1日 (土)

有本香氏:高市氏が〝捨て身〟の告発、 岸田内閣は「中国スパイ」を野放しか!

6_20220930153201  第2次岸田政権で、経済安全保障担当相に就任した高市早苗前自民党政調会長。保守派の閣僚として、安倍元総理亡き後安倍氏の跡を継いで動き出したようです。

 ジャーナリストの有本香氏がzakzakに寄稿したコラムから、その動きを見てみましょう。タイトルは『高市氏が〝捨て身〟の告発!岸田内閣「中国スパイ」を野放しか 「セキュリティー・クリアランス」提出に圧力、政府内の親中派と暗闘を示唆』です。

高市早苗経済安全保障担当相が28日、「捨て身の告発」に打って出た。先端技術の流出を防ぐため、重要情報を取り扱う研究者らの身分の信頼性を確認する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」をめぐり、政府内の〝抵抗勢力の存在〟や〝親中派との闘争〟を示唆したのだ。「国葬(国葬儀)」で27日に見送られた安倍晋三元首相は生前、日本の国力を維持・発展させるため、欧米諸国では常識である「スパイ防止法」の制定にも意欲を持っていた。日本と中国は29日、国交正常化から50年を迎えた。岸田文雄政権の、国民と国家を守る気概が問われている。ジャーナリスト、有本香氏による緊急リポート。

***********

「大臣に就任した日に言われたのは、『中国』という言葉を出さないでくれというのと、来年の通常国会にセキュリティー・クリアランスを入れた経済安全保障推進法を提出するとは口が裂けても言わないでくれと言われました」

高市氏が28日夜、「BSフジLIVE プライムニュース」に出演した際の発言である。これに岸田首相がどう対処するか〝見もの〟だ。

経済安全保障については今年5月、経済安全保障推進法が成立したが、同法には最も重要な要素が欠落している。それがセキュリティー・クリアランス、「人の適格性の審査」だ。あえて簡単に言えば、外国のスパイを取り締まるルールである。

同法成立の前から、筆者はこの欠落を厳しく批判していた。「仏作って魂入れず」のような経済安保法にどれほどの意味があるのか、ということである。国会提出前の今年2月には、自民党の政調会長だった高市氏と『月刊Hanada』で対談し、次のようなやり取りをした。

高市氏「今年の大きな柱はやはり経済安全保障政策です。どのような事態になっても必要な物資を国内で調達できる環境、サイバー攻撃から国民の生命や財産を守り抜くこと、機微技術の国外流出を防ぐことなどを柱とする『経済安全保障推進法』の第1弾を今国会で必ず成立させたい」

筆者「かねてより高市さんがおっしゃっていた外国人研究者などのスクリーニング(選別)は、その第1弾には含まれるんですか?」

高市氏「外国人研究者のスクリーニングは第2弾でやります。これを入れると今国会では通りませんから」

正直に言うと、7カ月前、高市氏のこの答えにひどく失望したものだ。

対談での高市氏は、「岸田政権をサポートする」「7月の参院選に勝利することが大事」という表明に終始した印象だった。それは政調会長という立場からすると当然ではあるが、あまりにも型通り、多くの読者の失望を誘うものでもあった。

実は、筆者はこのときの失望を、安倍氏にもぶつけた。「人のスクリーニングを盛り込まないなら、意味のない法律です」と。

筆者の怒りに対し、安倍氏は「人のスクリーニングを盛り込んだ法律は必ずやるから。こちらもプッシュしていく。ただ、容易でないことは理解してほしい」と答えていた。

しかしいま、昨晩の高市氏の「告発」を聞き、生前の安倍氏の言葉を思い返すと、経済安保をめぐる自民党内の「闘争」、とりわけ「親中派との闘争」が実感を伴ってみえてくる。2月に筆者が抱いた強い失望は、こうした暗闘への筆者の不理解も少々手伝ったかと反省する。

今般、高市氏が「捨て身の告発」に打って出たのには、安倍氏の国葬儀が無事終わったことも関係しているかもしれない。国葬儀には筆者も参列したが、かけがえのないリーダーを喪った悲しみ、反省を改めて深くする一方で、国難のいまこそ、「闘う政治家」だった安倍氏の遺志を、皆で継ぐべきという思いにもさせられた。

高市氏は同じ28日、BS日テレの「深層NEWS」にも出演し、政府による国葬実施の決定過程について次のような苦言を呈している。

「決定する少し前に国会の議院運営委員会の理事会とか、衆参両院の議長とか、そういったところに話がちゃんとあってもよかったのではないか」

一連の高市発言を「岸田おろし」や「閣内不一致」というレベルの話題にして済ますべきではない。

「中国のスパイ」一つ取り締まれない日本に明日はない。安倍氏の志を真に継ぐのは誰なのか―。はっきりさせるときである。

 このブログでも、普通の国になるためには「スパイ防止法」が不可欠だと述べてきました。ましてや西側に中国、朝鮮、ロシアと言う、有数のスパイ排出国を控えていながらです。有本氏の記事から、野党だけでなく自民党内親中派の妨害がその成立に大きく立ちはだかっているようです。

 逆に中国やロシアでは、日本人が明確なスパイ活動をしていないにもかかわらず、拘束し取り調べを強要しています。もし日本が同様の態度で、日本に入り込んでいる工作員を取り調べれば、何千、何万という人が引っかかるのではないかと思われます。それほど日本は甘いのです。

 重要先端技術の漏洩を防ぐことは、日本にとって最重要の課題です。残念ながら今まで湯水のように垂れ流してきた結果、先端軍事技術から農産物の種苗までパクられ続け、今では日本を凌駕する技術を持たれるに至っています。経済安保の確立は待ったなし。高市氏および保守派の結束が今まさに重要なときだと思います。

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