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2022年10月13日 (木)

習近平の3期目続投は悲劇的な誤り(英:フィナンシャルタイムズ)

Img_6eedab1ce33e948392012c4145f903053272  中国共産党第20回党大会が10月22日から開催されます。くわえて、党大会直後には中央委員会第1回全体会議(1中全会)が開催され、中央委員のなかから25名前後の政治局委員と、さらにそのなかから7名の政治局常務委員が選出されます。

 今回の目玉はなんと言っても習近平氏の3期目への続投であり、それが確実視されていることです。これについて英国フィナンシャルタイムズ誌が、次のように続投の影響を報じています。タイトルは『習近平の3期目続投は悲劇的な誤り 国内で硬直化、国外で摩擦のリスク――マーティン・ウルフ』で、以下に引用します。

 習近平がまもなく、中国共産党総書記と軍のトップという2つのポストで3期目に入ることが承認される。

 このような誰も対抗できない強大な権力を習近平が手にすることは、中国にとって、あるいは世界にとって良いことなのか。

 答えは「ノー」だ。双方にとって危険だ。

 仮に習近平が誰にも負けない有能さを発揮した実績を持つ支配者であったとしても、これは危険だ。

 だが、そんな実績は残していない。

 現状では、国内に硬直化のリスクが、そして国外では諸外国との摩擦が強まるリスクが存在する。

何事も10年で十分

 何事も10年で常に十分だ。

 一流の指導者であっても、それほど長くトップの座にいれば衰える。

 誰も対抗できない強大な権力を手にした場合には、もっと早く腐敗することが多い。

 自分が選んだ人に囲まれ、自分が作り上げたレガシー(遺産)を守っているうちに、独裁者はますます孤立し、神経質になり、偏執的にすらなってしまう。

 改革が止まる。意思決定が遅くなる。馬鹿げた決断が反論されずに実行され、そのまま適用され続ける。ゼロコロナ政策はその一例だ。

 中国の外に目をやりたければ、プーチンのロシアで長期支配が引き起こした狂気に気づくだろう。

 中国国内にも毛沢東の例がある。

 常識的な判断の天才だった鄧小平が、習近平がまさにいま覆している任期制限制度を設けたのは、毛沢東の例があったからだ。

個人が君臨する独裁国家

 民主主義国の利点は、善意で行動する賢明な指導者が必然的に選ばれることではない。実際、その逆の人物が選ばれることが珍しくない。

 だが民主主義国では、危険な目に遭うことなくそうした指導者に反対することができ、流血の事態を招くことなく辞任させることができる。

 特定の個人が君臨する独裁国家では、どちらも不可能だ。

 確かに、フルシチョフが思い知らされたように、制度化された独裁主義の世界でも指導者を追い出すことは可能だ。

 だが、それには危険が伴い、指導者の権力が強ければ強いほど危険が増す。習近平の次の10年間がこれまでの10年間よりひどいものになると見るのが、とにかく現実的だ。

では、これまでの10年間はどれくらいひどかったのだろうか。

過去10年間の実績は?

 季刊誌「チャイナ・リーダーシップ・モニター」の最新号に掲載された論文で、米クレアモント・マッケナ大学のミンシン・ペイは、習近平には主な目標が3つあったと論じている。

 個人支配、レーニン主義の一党独裁の再興、中国の世界的影響力の拡大だ。

 1つ目は見事達成され、2つ目は正式に成功を収め、3つ目については完全な成功には至らなかった。

 中国はいまや超大国として一目置かれる存在だが、不安を覚える敵対的な国々を団結させ、強力な連合体を作らせたからだ。

 ペイは、習近平の主要目標のなかに経済改革を入れていない。

 各種の証拠を見る限り、この見方は正しい。習近平は経済改革を目指していない。特に、国有企業に打撃を及ぼしかねない改革は回避されている。

 また、馬雲(ジャック・マー)のような著名な中国人実業家への締め付けも強化された。

 何にも増して、マクロ経済、ミクロ経済、そして環境面における深刻な問題はほとんど手つかずだ。

 これら3分野の問題については、首相を務めた温家宝が以前、「不安定で不均衡、不協調で持続不可能な」経済という表現で要約している。

マクロ経済の基礎的な問題

 マクロ経済の基礎的な問題点は、過剰貯蓄とそれに付随する過剰投資、そしてその必然的な結果である拡大し続ける非生産的な債務の山だ。

 これら3つはセットになっており、2つを解決しなければ残りの1つも解決できない。

 過剰貯蓄は社会的セーフティーネット(安全網)の欠如とその結果生じる家計の高貯蓄のためだと広く信じられているが、それは理由の一部でしかない。

 国民所得における家計の可処分所得の割合があまりに小さく、それ以外の大部分が企業収益から成るためでもある。

 その結果、中国では国全体の貯蓄と投資がともに国内総生産(GDP)の40%相当を上回っている。

 もし投資がここまで多くなかったら、中国経済は恒久的な不況に陥っているだろう。

 だが、成長ポテンシャルの伸びが鈍るにつれ、この投資の大半は非生産的な、資金を借入で調達した建設工事で占められるようになった。

 これでは短期的な治療法にしかならず、不良債権の発生と投資リターンの低下という長期的副作用が生じる。

 真の解決策は、家計部門の貯蓄を減らすだけでなく、可処分所得における家計の割合を引き上げることだ。

 どちらも強力な既得権益を脅かすことになるため、これまで行われてこなかった。

ミクロ経済の問題も拭えず

 ミクロ経済の基礎的な問題点は、汚職の蔓延、民間企業への恣意的な介入、公的セクターに存在するムダの3つだ。

 また環境政策、特に中国による二酸化炭素の大量排出も大変な難題になっている。感心なことに、習近平はこの問題を認識している。

 最近では、外国で自由に動き回っているウイルスを水際で食い止める政策を導入した。

 本当はそうではなく、世界最高のワクチンを輸入し、ワクチン接種を終えてから国を開くべきだった。

 そうした方が賢明だったろうし、開放と協調が正しい方針であると認識し続けていることのしるしにもなったはずだ。

 中央統制を蘇らせようとする習近平のプログラムは、意外なものではない。

 あれは、目上の者以外には説明責任が求められない権力を土台とする政治構造が、自由の拡大を容認したために蝕まれてしまったことへの自然な反応だった。

 その必然的な結果が汚職の蔓延だった。

 だが、この政治構造へのダメージを抑制しようとする代償は、リスク回避と硬直化だった。

 14億もの国民で構成されるかつてないほど高度な今日の中国社会を、1人の人物が絶対的に支配するトップダウン型の組織が健全に統治できるとは想像しがたい。

 ましてや、効果的に統治できるなどと言われればなおさらだ。

中国と世界全体にとって危険

 中国がますます攻撃的になってきたことも意外ではない。

 中国の台頭に適応したがらない西側の姿勢は、明らかに問題の一部を構成している。

 だが、西側が(そしてそれ以外の多くの国々が)大切にしている中核的な価値観に中国が敵意をむき出しにしてきたことも問題だった。

 長期にわたって明らかに成功してこなかったマルクス主義の政治的理想を中国は信奉していると言われても、多くの人は真に受けることができない。

 確かに、鄧小平の見事な折衷主義は機能した。少なくとも、中国が発展途上国である間はそうだった。

 だが、非常に複雑になった今日の中国に古いレーニン主義で正統とされる慣行や考え方を再導入しても、行き詰まるのが関の山だ。

 下手をすれば、習近平がいつまでも国家主席の座に居座り、この再導入が中国自体と中国以外の世界全体にとってなお一層危険なものとなる恐れもある。

 この記事では、習近平氏の続投に対しそれがもたらす危険性を指摘しています。あたかも今世界では独裁国家の脅威が以前より増してきている状況です。軍事大国ロシアのプーチンによるウクライナ侵略、先軍政治に突っ走る北朝鮮金正恩によるミサイルと核開発、イスラム独裁国家イランのハーメネイによるシーア派テロ支援、それにこの巨大化した経済大国の中国習近平の台湾軍事侵攻を手始めとする覇権主義と、危険この上ない国家群が軒を並べています。

 しかもそのうちの3カ国は日本の隣国ですから、この地政学的脅威は世界でも上位に位置するでしょう。それに対し現政権も国民もその認識は薄く感じられます。ここ最近テレビや新聞で、ウクライナへミサイル攻撃を繰返すロシアの暴挙が報じられていますが、多くの日本人にはもう見慣れた光景になっているかも知れません。また先日の北朝鮮のミサイル発射時のJ・アラートへの対応についても、まるで人ごとのように捉えている国民もいます。

 それに対し中国の動きは、ロシアや北朝鮮と違って、メディアを大きく動かしてはいません。ですが、実際その脅威は他の国より最も大きいと言えるでしょう。政府も国民に対しもっとこのリスクを現実のものとして知らしめなければなりません。反対派がどう言おうとしっかり現実を伝えるのが政府の役割だと思います。

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