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2022年11月25日 (金)

世界情勢の激変の中で日本の「食糧危機」のリスク増大…自給率4割足らずで大丈夫か?

Fb  ロシアのウクライナ侵攻(実際は侵略)以降、小麦等の農産物の価格の高騰が続いています。加えてウクライナ産の小麦の収穫減少や、その他の地域の天候不順による渇水などの影響で、農産物の収量の減少が世界的な問題となりつつあります。こうした状況の中、農産物の自給率の低い日本は、この先大きな課題を背負って行くことになります。

 そして更に、台湾問題が日本への農産物の海上輸送へのリスクを増大させ、食糧危機の到来が以前にも増して心配になってきました。今回はこの問題について記載した、週刊現代の記事を引用して紹介します。タイトルは『台湾侵攻で岸田政権が気づかない「食糧危機」のリスク…自給率4割足らずで大丈夫か?』です。

日本の自給率は「最低水準」

岸田政権は2022年度第2次補正予算案を編成した。ロシアによるウクライナ侵略が引き金となって高騰した電気やガスの代金を大幅に軽減するなど、またしてもバラマキ色が強いメニューが並ぶ。そうした中、安倍政権・菅政権時代の「官邸主導」の農政が終焉し、最近になって息を吹き返した農林族議員やJAグループは新たな利権として食料安全保障に目を付け始めた。

補正予算では農林族らの要求通り、農政に巨額の血税が投入されることが確定した。ただ、国は現在の日本の農政で喫緊の課題である「食料安保」について、明確なビジョンを描けずにいる。そのため、小規模な農林漁業者の保護にとどまり、中長期的な農林水産業の発展は実現しそうにない。

世界ではこの1年間、ロシアがウクライナに仕掛けた一方的な戦争により、食料価格の高騰が継続。米欧は歴史的なインフレに見舞われている。日本も小麦やガソリンなど生産に欠かせない商品の急騰のあおりを受け、今年だけで既に約2万点もの食品が値上がりしている。世界情勢が不安定なままだと、今後もこうした傾向が続く可能性が高い。

そもそも日本の食料安全保障は、ロシアによるウクライナ侵略が始まる前から脆弱だった。コメや魚が食生活の中心だった昭和期には、日本のカロリーベースの食料自給率は概ね5〜6割台で推移していた。しかし、平成に入って以降は3〜4割台と低迷。牛肉や豚肉など輸入品の消費が拡大した結果、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中でも最低水準にある。

台湾海峡が通れなくなったら

一方、日本は周囲を中国、北朝鮮、ロシアに囲まれるなど世界の中でも軍事的に最も厳しい安全保障環境に置かれている。特に今年以降、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを過去に例がない頻度で発射。8月には、ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発した中国が放った弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾し、地域の安定が揺らいでいる。

ウクライナ危機の次に想定されるのが、中国による台湾への武力侵略だ。台湾有事が発生すれば、多くの船舶が行き交う台湾海峡の航行が困難となり、食品やエネルギーの海外からの輸入が滞る可能性が高い。その場合、日本人の生活は危機的な状況に陥る。

しかし、日本国内では、食料安保に対する危機意識が依然として乏しい。本来ならウクライナ侵略を契機として、もっと早く食料安保の在り方を検討すべきだが、政府・与党が議論に着手したのはつい最近のことだ。

異例の3期目にまもなく突入する中国の習近平国家主席は台湾統一に強い意欲を示している。習主席はその手段として武力行使も排除していないにもかかわらず、日本国内では、台湾有事を念頭に置いた議論は全くと言っていいほどなされていない。 

農業予算の使い道が「無計画」

今回の補正予算の規模は総額29兆円に上る。旧統一教会問題で求心力の低下が著しい岸田政権は与党の圧力に抗しきれず、電気・ガス代やガソリンへの補助などビジョンなき「バラマキ」メニューが大量に放り込まれた。大盤振る舞いの中、農林族やJAも負けじと予算確保に躍起だ。もはや新型コロナやウクライナ危機を利用した「予算規模ありきの火事場泥棒」と言える。

過去には、農業市場開放を海外に約束した1993年の「ガット・ウルグアイ・ラウンド」の合意を受け、日本政府は8年間で総額6兆円の農業対策予算を投じた。本来なら農産物の生産増強に使われるべきだったが、その予算は土地改良や温泉施設建設などに充てられた。結果、その後も生産は増えず日本の農林水産業は衰退の一途をたどった。

今回の補正予算では、食料安保に1600億円が充てられる。肥料や麦、大豆の国産化などもっともらしい対策が名を連ねるが、「今回も小規模な生産者の保護など、食料安保とは関連がないものに使われる」(政府関係者)との懸念が聞かれる。

とはいえ、いくら役所側が嘆こうと、農林族らの無理難題を押し返すことはできない。なぜなら改革派の農林水産次官として腕を鳴らした奥原正明氏が2018年に退官して以降、農水省の改革マインドは停滞し、農林族やJAが復権を遂げたからだ。

「国内生産」にこだわるのではなく

彼らの主張の柱は、巨額予算を投じて国内生産を増強すること。確かに今の3割台の食料自給率のままでいいとは誰も思っていない。だが、農産物の国産化を進めることは理にかなってはいるものの、生産者の高齢化が進み、農地面積に限りがある状況では、砂漠に水を垂らすようなものだ。自給率の大幅な向上は期待できない。

例えば、米国やオーストラリアなど信頼できる第三国で日本企業が農産物を生産し、それを日本に輸入するのを後押しすることや、台湾有事などのリスクなどを分析した上で備蓄を進めることがカギとなる。

明確な食料安保ビジョンを欠いたまま予算をつぎ込んでも、零細な農業者や漁業者を保護することにとどまり、国際競争力が低下することは必至だ。

今からでも遅くない。生産者の焼け太りではなく、国民生活の向上に資するよう、農業予算の使途を慎重に見直すべきだろう。

 日本の農政ははっきり言って失敗だらけの連続だったと言っていいでしょう。その根幹は政官業の癒着による、硬直した農政にあります。今の零細農家が中心で、かつ、高齢化と共に後継者不足で、その結果補助金まみれの状況は、農業がいわゆる産業として成り立っていない証拠を表しています。

 記事にもあるように農政族(政)と、農水省(官)、農協(業)のトライアングルが、現場無視、戦略無視の農政を作り上げてきたと言えるでしょう。この構造を壊さない限り新しい産業としての農業は成長せず、近い将来の食糧危機は現実のものとなってしまうかも知れません。

 記事にも述べられているように、まずは国民生活の向上に資するよう、 しっかりした将来への農政ビジョンを描き出し、知恵を絞り予算配分を見直していくべきでしょう。

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