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2022年12月

2022年12月31日 (土)

反撃能力を明記した防衛戦略にかかる3文書、友好国の礼賛の中で韓国が見せた異様な反応

Img_30fc38798904cff5891548e823e439cb8142  「反撃能力」の保有が明記され、これまでの専守防衛から一歩踏み出した形の日本の防衛政策。政府は今月「国家安全保障戦略」など、3文書を閣議決定しました。米国をはじめ友好国は礼賛の姿勢を見せていますが、中国はもちろんとして、あの韓国も賛同しているわけではないと言うニュアンスの、反応を見せています。

 半ば予想されたことですが、その理由は何でしょうか。イトモス研究所所長の小倉健一氏が現代ビジネスに寄稿した文章から、その概要を見てみましょう。タイトルは『韓国が「日本のシン防衛大綱」に異様なほど怯える理由…何が怖いのか、その秘密はあの「トラウマ」にあった』(12/24公開)で、以下に引用します。

日本の持つ「反撃能力」を世界はどう見ている

政府は、12月16日、臨時閣議で「国家安全保障戦略」など3つの文書を決定した。日本では「統一教会」や「防衛費増の財源」問題に、世論が沸騰し、国民は「防衛3文書」についてほとんど知らないままだが、今回の閣議決定では、敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の戦後最大の転換となった。

「反撃能力」と言われて、私たちが一般的にイメージするものはなんだろうか。

あなたは今、敵国がミサイルを日本国内に撃ち込み、それを日本が反撃する能力と考えていないだろうか。もちろん、ミサイルを撃ち込まれたあとに撃ち返すのも反撃能力に含まれているのだが、今回の「反撃能力」の定義はもっと意味が広い。

例えば、北朝鮮が日本にミサイル攻撃に着手した時点、つまり、北朝鮮はミサイルをまだ発射していない時点でも、日本はこの「着手」を攻撃とみなし、反撃に出ることが理論上可能となった。ミサイルを相手国が撃っていなくても、日本はミサイルを撃ち込めるというわけだ。これは、国際法上は許されていることだが、見方次第では「先制攻撃」と非難されてもおかしくない事態である。

閣議決定された3文書の1つ、『国家安全保障戦略』には、以下のような記述がある。

「反撃能力とは、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力をいう」

ここでいう「スタンド・オフ防衛」とは、敵国の射程圏外から攻撃できる長射程のミサイルを活用することだ。主力となるのがトマホークという米軍が湾岸戦争で使用したミサイルで、国産ミサイルが配備されるまでの間、主力に位置づけられる。政府は26年度に部隊へ配備したい考えだ。

ここで問題となるのは、何をもって敵国が日本に対して攻撃に「着手」したとするかである。日本の持つ人口衛星や情報収集能力には限界があり、「着手」したかどうかの判断は、アメリカのインテリジェンスに頼り、アメリカに相談しながら決定されることになる。国際法上は許される「反撃能力」を日本が有することは、日本の防衛力を高めていくのは間違いないものの、アメリカとの一体運営が進むことにもなり、また反撃もアメリカのトマホークに頼ることになる。防衛や外交における日本の自主性が損なわれることがないか心配な面はある。

友好国は手放しに礼賛

これら「防衛3文書」の閣議決定をアメリカ、オーストラリア、カナダ、台湾など日本の友好国は、政府高官、メディアも含め、大いに喜んでいる。簡単に並べてみる。

アメリカは、確認される限り、バイデン大統領、ジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官、オースティン国防長官、エマニュエル駐日大使、ペロシ前下院議長、そしてメディアが、防衛3文書について、支持、歓迎の意を表明した。

「米国はこの重要な瞬間に日本とともにある。我々の同盟は、自由で開かれたインド太平洋の礎であり、平和と繁栄への日本の貢献を歓迎する」(バイデン大統領)、「我々は、日本が、反撃能力を含む地域の抑止力を強化する新たな能力を獲得する決定を支持する。防衛費が2027年にはGDPの2%に達するという決定を支持する」(オースティン国防長官)、「(日本は)中国を安全保障上最大の課題とし、他国を攻撃可能なミサイル購入費を含む軍事費の大幅な引き上げを発表した。日本にとって、第二次世界大戦以降最大の平和主義からの転換の一つとなる。中国を脅威と呼ぶかにつて与党で議論したあと、政府は中国を〈これまでにない最大の戦略的な挑戦〉と表現することに落ち着いた。この文書は、最近発表された米政府の国防戦略と重なる。米国との協力関係の強化は3文書のテーマである」(米ウォール・ストリートジャーナル紙)。

オーストラリア・ウォン外相は、Twitterで「オーストラリアは、日本国家安全保障戦略を発表したことを歓迎する。先週の2+2で再確認したように、豪日両国は、平和で繁栄し、包摂的なインド太平洋地域のために協力していく」と投稿した。

カナダの外務省は、Twitterで「カナダはインド太平洋地域の安全と安定に大きく貢献する日本の新しい国家安全保障戦略と防衛予算の増加を歓迎する。我々は、カナダのインド太平洋戦略の一環として、ルールに基づく国際秩序を堅持し、自由で開かれた包括的なインド太平洋地域を維持するため、日本のような同盟国やパートナーと緊密に協力していく」と投稿し、そのツイートをジョリー外相がリツイートした。

台湾外国部は、HP上で「12月16日、日本政府は国家安全保障戦略等国防3文書を公表した。内容は、日本の台湾、台湾海峡および国際社会の平和と安定に対する高い関心を体現するとともに、民主国家陣営の確固たる立場をはっきりと示すものであり、外交部として評価し、歓迎する」と談話を掲載した。

「反撃する前に、韓国の同意を得よ」

さて、このように友好国が手放しで、防衛3文書を絶賛している状況にあって、複雑な反応を示したのが韓国である。

韓国3大保守紙の東亜日報(12月17日)は「(日本の)専守防衛の原則は77年ぶりの大転換を迎えた。今回改正された安保戦略は、平和憲法9条を完全に無力化する内容だ」とした。聯合ニュース(12月17日)は、「自衛隊は米国に対する攻撃が発生した時も、敵国のミサイル基地等を攻撃できるようになる。自衛隊の朝鮮半島介入は、日帝侵略と植民地支配に対するトラウマがある韓国には想像もできないことだ。いかなる場合であれ、韓国の同意なしに日本または日米の決定だけで朝鮮半島で日本が軍事行動をすることがあってはならない」とした。

韓国外交部も、渋い顔だ。

「日本の防衛安保政策が、平和憲法の精神を堅持しつつ、地域の平和と安定に寄与する方向で、透明性をもって策定されることが望ましいとの立場である」

「今回の日本の安全保障戦略文書において、日本国憲法内の専守防衛の概念を変更せず、厳格な要件内で行使できるという内容に注目している」

「朝鮮半島対照の反撃能力行使のように朝鮮半島の安全保障および韓国の国益に重大な影響を及ぼす事案は、事前に韓国との緊密な協議および同意が必ず必要だとの立場にある」

として、「反撃する前に、韓国の同意を得よ」と無理難題を言い出している。なぜ、このようなことを言い出すのかと不思議に思っていたら、韓国メディアの報道に、その答えがあった。

韓国の聯合ニュースは、「自衛隊は米国に対する攻撃が発生した時も、敵国のミサイル基地等を攻撃できるようになる。自衛隊の朝鮮半島介入は、日帝侵略と植民地支配に対するトラウマがある韓国には想像もできないことだ。いかなる場合であれ、韓国の同意なしに日本または日米の決定だけで朝鮮半島で日本が軍事行動をすることがあってはならない。(韓国)政府は特に、日米首脳会談で役割分担と関連した具体的な内容が確定する前に、両国とこの問題を十分に論議し、韓国の国益を守り、国民の懸念を減らしてほしい」(12月17日)と報道した。

つまり、今回の3文書改定に、韓国が怯えているのは、過去の植民地支配が念頭にあるというのだ。また、韓国3大保守紙の東亜日報は「(日本の)専守防衛の原則は77年ぶりの大転換を迎えた。今回改正された安保戦略は、平和憲法9条を完全に無力化する内容だ」(12月17日)としていて、韓国の日本への警戒ぶりは、日本人の想像を超えている。

諸外国の賛否両論の大きな反応見ても、今回の防衛3文書の改訂が、戦後の日本外交・安全保障の大転換になっていることを知らないのは、日本人だけということのようだ。

 戦前日本が併合した朝鮮と台湾で、このように全くと言っていいほど異なる反応が生じているのは、朝鮮が1910年に、基本、「東夷」と言われた位の低い日本に「小中華」たる朝鮮が統治されたという屈辱が、「恨」となって彼等の奥深くに潜んでいるからでしょう。

 しかし英国旅行家のイザベラバード女史が、日本の統治前の朝鮮を以下のように記述しています

朝鮮の社会と民族性について

・朝鮮の国民を分けるとしたら、「盗む人」「盗まれる人」の2つしかない。

・「搾取する人」は役人 「搾取される人」はそれ以外の国民である。

・一生懸命努力してほんのわずかな金でも蓄財したことが知られれば、役人が全てを搾取していく。

・ゆえ、ぎりぎりに暮らしていけるだけの収入を得ればよいので、それ以上働こうとしない。

・ゆえ、生活の向上がみられず、みんな貧しいままである。

・ロシア人統治の地域に入植した人々は、搾取されることがなかったので、一生懸命働き蓄財し、明るい表情であった。

・ゆえ、朝鮮人が本来がなまけ者であるのではなく、政治腐敗に問題がある。

・朝鮮は自国による改革はもはや不可能であり、他国による改革し方法はなかった。

8_20221230154001 生活の状況について

・1894年当時ソウルは世界一汚い都市である。

・両班と言われる貴族階級は、役人か教師しか職業がなく、ふらふら町ですごす人々が多かった。

・女性は最下層の人が外で働くことがあっても、ほとんどの夫人は家の奥に蟄居させられていて、女性自身はそうされることは大事にされていると感じていた。

・ゆえ、外の世界、ソウルの街さえも見たことがない人が多い。

・当然男尊女卑である。結婚は親が決めた人とし、息子の嫁の手助けを得るまでは朝から夜遅くまで働き、身なりに気をまわすことなどできなかった。

・女性で教育を受けることが出来るのはキーセンのみであった。大事な賓客をもてなすキーセンは客と同じレベルの話題についていけるように、国の運営する養成学校で歌舞などとあわせて教育を受けた。

 こうした朝鮮を、完全とは言えなくとも近代的な国家に育て上げたのは日本の統治時代でしたが、その事実は韓国では完全に伏せられ、逆に日本の圧政と蛮行が行われたという、嘘の歴史を作り出し、子供の時から教育しているのが実態です。

 そしてそれを政府(特に反保守政権)、メディアが繰り返しプロパガンダで国民を洗脳してきていた結果、反日の思想に上から下まで固まってしまったのが現状です。

 逆に日本のメディアはその真実を伝えません。GHQにより弱体化された外交政策の元、政府も腫れ物に触るように取り上げません。ですから戦後まもなく李承晩ラインを勝手に引かれ、日本漁民が大勢拿捕されても、またその後竹島を不法占拠されても、慰安婦強制連行の嘘をつかれても、徴用工問題を捏造されても、外務省は腰が引け続けて今日に至っています。

 安部元首相が慰安婦問題をはじめ、積極的な行動を起こしましたが、猛烈な反日、反安部攻撃のなか、完全な解決に至っていません。安部元首相亡き後、もはや完全な解決は困難でしょう。今後の対韓外交は「いいとこ取り」に徹し、後は完全無視を貫く方がいいと思います。

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2022年12月30日 (金)

ベルリン「水槽破裂」事故が象徴する、ドイツ全体の“老朽化”と“機能不全” 政治家は「中国依存」を憚らず

7_20221229152601   約2週間前の出来事でした。ドイツのベルリンでアクアリウムが突然崩落し、中にいた魚たちが殆ど全滅しました。幸い人身事故はなかった模様です。

 ドイツと言えば機械や車、化学製品など、技術を売り物にした国家というイメージがあります。EUの中心国家、そのドイツで起こったこの事故、一体どうなっているのでしょうか。

 作家でドイツ在住の川口・マーン・惠美氏が、現代ビジネスに寄稿した記事にその詳細を見てみましょう。タイトルは『ベルリン「水槽破裂」事故が象徴する、ドイツ全体の“老朽化”と“機能不全” 政治家は「中国依存」を憚らず』(12/23公開)で、以下に引用します。

6_20221229152601 約1500匹の魚もろとも…

12月16日早朝5時43分、ベルリンのど真ん中でアクアリウムが崩落した。ドーナツのように丸く建てられたラディソンホテルの、ドーナツの穴の部分の真ん中に聳え立つ円筒形のアクアリウムだ。

地上より5mほどのところから始まる円筒形の水槽は、高さ14m(16mという報道も)で、直径11.5m。そして、最大のアトラクションが、その水槽のど真ん中に組み込まれたやはり円形のエレベータ。エレベータの壁は透明である。

つまり、何が凄いかと言うと、エレベータに乗って水槽内を上下する間に、その透明の壁を通して、さまざまな魚が泳いでいるのが触れそうなほど間近に見えること。水槽はいくつかに区切ってあり、本物の珊瑚の間に熱帯魚が泳いでいたり、サメが横切ったり……。

一方、水槽を囲む形のドーナツ型のホテルでは、外側の部屋からはベルリンの素晴らしい景色が堪能でき、内側の部屋からは、アクアリウムの幻想的な風景が楽しめる。贅沢なアイデアだ。

また、ホテルに泊まらず、このアクアリウムのエレベータだけ楽しみたければ、世界50ヵ所以上でスペクタクルな水族館を展開している「シーライフ」(スコットランド発祥)に19ユーロを払って申し込めばよかった。

ところが前述のように、その巨大な水槽が17日早朝、突然破裂し、100万リットルの塩水が溢れ出た。辺り一帯が地獄絵のような大混乱に陥ったことは想像に難くない。約1500匹の魚も、ほぼ全尾がご臨終。

不幸中の幸いは、早朝だったため、水槽の下にも、その付近にも誰もいなかったこと。ホテルの部屋にも直接の影響はなかったが、地下には浸水したという。

2003年の12月に完成したこのアクアリウム、周りを壁などに支えられない独立型の水槽としては世界最大という触れ込みだった。

水深が14mと言われていたので、水槽の底には1平米あたり14トンの圧力がかかることは、中学生でもわかる。だからこそ、それを支えている技術の凄さに、私など数字に弱い人間でさえ感心したのである。

しかも、当時、設計をした建築家が、使われているアクリルグラスは、“たとえピストルで打っても穴が開くだけで絶対安全”と太鼓判を押していたので、余計に感心した。20年には大点検も行われたというが、結局、ピストルで打たなくても、水槽は勝手に崩壊した。

原因に関してはこれから調査が始まるが、今のところ、素材疲労が疑われているという。おそらく今後、アクリルグラスのメーカーやら、建築家やら、施工した建設会社やら、運営会社やらの間で、熾烈な責任のなすりつけ合いが始まるのだろう。

シーライフは早速、「19ユーロはエレベータの使用料で、我が社は水槽には関知していない」という声明を出した。それにしても、水族館の水槽が破裂するなど、何だか発展途上国のようである。

鉄道も郵便も、質の低下が甚だしい

ドイツはこの頃、何だかおかしい。

私がドイツに渡った80年代の初めごろ、ドイツ鉄道は遅れず、日独間の郵便事情はこれ以上は望めないほど正確で、人々はおおらかだった。

しかし、現在のドイツ鉄道は民営化されたものの、その公共性を重視し、株主は国となっている。ところがが、肝心のその国が儲けることに熱心らしく、投資を怠り、設備は老朽。人員削減に励みすぎた帰結として、定時に着く電車が珍しいほどの惨状となった。

病欠が重なるとルーティーンが回せなくなり、客がすでにホームで待っているとき、突然、遠距離の特急電車の運休が知らされることさえ珍しくない。乗っている客はそこで降ろされ、後のケアもない。おそらく多くの日本人は、私が嘘を書いていると思うだろうが、これは実体験だ。

その上、暑くなるとクーラーは故障するし(これも複数回の実体験)、寒くなるとポイントが動かなくなる。それどころか脱線(これは家族の実体験)や、単線の場所での正面衝突まで起こる。さらにいうなら、私は列車を利用することは非常に稀である。それでも乗るたびに何かしら、日本では想像できないような不思議なことが起こるのである。

一方の郵便も、民営化後の質の低下は甚だしく、普通郵便が遅れたり、着かなかったりは毎度のことで、最近は、家族が書留で送った手紙までなくなった。こうなると、大切なものは一切郵便では送れなくなる。

ベルリンで2020年に開港したベルリンの新空港は、着工が06年で、当初の完成予定は11年だったが、期日は7回も延期され、ようやく開港したのが20年。当初17億ユーロだった工費は最終的に65億ユーロとなった。

また、17年に柿落としとなったハンブルクのコンサートホール、「エルプフィルハーモニー」も、最終的に7年の遅延だった。

こちらも7700万ユーロの予定が十倍以上の7億8900万ユーロに膨張。途中で取りやめることも検討されたが、やりかけの高層ビルを取り壊すには、経費はやはり同じぐらい掛かるため、やるしかない!という決死隊のようなプロジェクトだった。

なお、完成後のエルプフィルハーモニーは、過去の不都合は全て忘れるほど素晴らしいホールであることも付け加えておきたい。

首都ベルリンのカオス

ちなみに、ドイツの都市の中で、カオスで一番有名なのが首都ベルリン。01年以来、社民党が政権を持ち、しかも16年からは緑の党、左派党との3党連立が続く。左派党というのは、旧東独の独裁党の流れを引くいわば共産主義者の党なので、ベルリンはドイツでも稀な真っ赤な都市となっている。

真っ赤であることと関係しているかどうかは定かではないが、ベルリン市は財政が破綻しているばかりか、市の行政もまともに機能しない。役所は事務処理が追いつかなくなると、あっさりと窓口を閉めてしまうため、出向いてもダメ、電話も繋がらないのは日常茶飯事。運が悪いと、紛失した免許証の再発行に数ヵ月もかかったりするという。

ただ、何と言ってもベルリン・カオスの極め付きの事件は、21年9月26日に行われた選挙だった。ベルリンは特別市で、独自の政府と議会を持ち、州と同じ権限を有するが、この日は、4年に一度の国政総選挙と、ベルリン市議会議員の選挙、区の選挙、おまけに国民投票が同時に実施された。

ところが、これが破綻した。投票所前が長蛇の列で待ち時間が2時間になったのは序の口で、まもなく投票用紙が足りなくなったり、18歳からしか投票できない国政選挙の投票用紙が、州選挙の投票に来た16歳の人間に配られたり、さらには、配られた投票用紙が違う区のものだったりと、信じ難い事態が続出。

結局、投票用紙切れで閉鎖された投票所が73ヵ所。投票用紙をコピーして使ったというケースもあったというから噴飯物だ。また、慌てて車で投票用紙を取りに走り、中断していた投票を始めたら、18時を過ぎても行列が縮まらず、時間を勝手に延長した投票所もあったというから想像を絶する。

では、そのために何が起こったかというと、何も起こらず、不適格なやり方で選ばれた議員たちが、当然のように区議会に、市議会に、国会に、今も座っている。

そこで、これはおかしいと声を上げたごく少数のジャーナリストらが地道な調査を続けた結果、投票結果の数字の多くが赤ペンで修正されていたことまでが明るみに出た。

結局、彼らの訴えが功を奏し、先月11月の半ば、ベルリン市の憲法裁判所が、市議会と区議会の選挙結果を無効とし、90日以内のやり直しを命じた。これもどこかの発展途上国のようだが、正真正銘、ドイツの首都での話だ。

政治家は堂々と中国依存を主張し

選挙は言うまでもなく、民主主義の要。本来なら、地方選よりも重要である国政選挙の方もやり直さなければならないはずだが、こちらはベルリン市の裁判所の管轄ではないため、時間が掛かりそうだ。

ただ、どんなに時間が掛かっても、正当性の欠ける議員が政治をしている事態は修正されなければならない。そうでなければ、ドイツの議会自体の正当性に疑問符がつくことになる。ただ、これが最終的にどう解決されるのかは闇の中だ。

ドイツはそうでなくても今、混乱している。やはりかなり赤い現在のドイツ政府(社民党、緑の党、自民党の三党連立)は、電気が足りないというのに、原発も石炭火力も止めるという方針を変えず、暖房の温度を低くしろとか、手は冷たい水で洗えというのが解決策だ。

このままいけば、電気とガスの逼迫と高騰、および将来の価格の高止まりは確実で、ドイツは産業国を離脱する方向に進むしかない。中小企業ではすでに倒産が始まっており、体力のある企業は、安価で安定した電気の保証される外国への逃避を考えている。

現在、その最も有力な候補地が中国である。ドイツの繁栄は中国なしにはあり得ないと、すでに堂々と主張する政治家もいる。

中国依存と機能不全。大丈夫だろうか、ドイツは……?

日本はまだ電車もちゃんと走るし、郵便も届く。選挙も、水族館の水槽も大丈夫だと信じたい。しかし、肝心のところは、日本もやはりドイツと同じく中国依存になりそうな予感もする。かなり憂鬱である。

 日本も中国依存になりそうな、ではなくて、経済面ではかなり中国に依存しているところがあります。これから我々が何とか、その依存を脱却しなければならない時期に来ていると思いますが、ドイツ同様、親中派の議員も多いのが気になります。そして原発停止に石炭火力縮小、何だか似ているような気がします。

 冒頭述べたようにドイツのイメージは、技術立国というものでした。川口氏によれば、ベルリンに限ってかも知れませんが、そのイメージが完全に崩れ去る記述です。それが政治の混乱と言うより、政治の左傾化が招いていることが、大きな要因のように思います。

 日本も十数年前、民主党政権時代に混乱を来しましたが、その後の安倍元政権が立ち直しました。ただメディアや学界は相変わらず左に染まっていますので、安心はできません。加えて高度成長期に建設したインフラが寿命を迎えつつあり、かつ少子化のため人材の枯渇も心配されます。

 従って、ドイツが対岸の火事だとは思えないところもあり、しっかりと政策を練り上げて対処しなければ、日本も危うくなる恐れは十分ありそうです。加えて安全保障面の課題もあり、これからの10年は日本にとってまさしく正念場となるでしょう。

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2022年12月29日 (木)

和田政宗氏:中国抑止の鍵は「反撃能力」 安保3文書、一方的な専守防衛からの大転換

K10013908261_2211301912_1130192010_01_02  昨日のテレビの報道番組で、女性のコメンテーターが「反撃能力」をわざわざその旧称「敵基地攻撃能力」と最初に述べ、続いて「憲法に反するような」、と表現していました。

 ウクライナを突如侵略したロシアや、ミサイル発射実験を繰返す北朝鮮、それに台湾侵攻をちらつかせ、日本に対しては毎日のように尖閣諸島周辺で、威嚇行動を繰返す中国という、3つの独裁国家にそれぞれ隣に位置しているという、極めて危険な日本の安全保障環境。

 その現状を考えれば、安全保障に関しては全く無力で、むしろ阻害要因としか言えない現憲法を持ち出して、言及することは、未だに「自虐史観」から抜け出していないことの証左でしょう。まだまだそういう人がテレビで持論を展開しているのが気になります。

 それは別として、自民党参議院議員の和田政宗氏が、その「反撃能力」について月刊hanadaプラスに寄稿していますので、今回それを取り上げます。タイトルは『中国抑止の鍵は「敵基地反撃能力」|和田政宗』(12/24公開)で、以下に引用します。

中国外務省の報道官は安保3文書について「中国の脅威を誇張して軍拡の言い訳とするたくらみは思いどおりにはならない」と反発。日本国内にも反対意見はあるが、我が国が「敵基地反撃能力」を持つことは、我が国のみならず、台湾、インド太平洋地域全体の平和に資する!

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一方的な専守防衛からの大転換

「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書が、今月16日閣議決定した。これまでの受け身一辺倒であった専守防衛から、「敵基地反撃能力」の保有と抑止に重点が置かれ、戦後の安全保障政策の大転換となった。安倍政権、菅政権からの流れを、現政権下の3文書改定で実現したことになる。

なお、「国家防衛戦略」は、「防衛計画の大綱」に代わり新たに策定されたものである。これまでの防衛力の整備の基本的指針である「防衛計画の大綱」に代わり、我が国の防衛目標を達成するためのアプローチとその手段を包括的に「国家防衛戦略」として示した。

また、「防衛力整備計画」は、「中期防衛力整備計画」に代わり新たに策定されたもので、これまでの「中期防衛力整備計画」が5年間の計画だったものを、「防衛力整備計画」は10年計画とし、我が国として保有すべき防衛力の水準を示し、それを達成するための中長期的な計画を記すものとなった。

そして、これらの文書で特に注目すべきものは、中国の脅威が明確に位置づけられ、それに対応する防衛力を整備する内容となっていることだ。

中国は今後5年が、自らが目指す社会主義現代化国家の全面的建設の肝心な時期と位置付けていると分析し、国防費の急速な増加で能力を強化、軍事活動を活発化させており、中国の「対外的な姿勢や軍事動向等は我が国と国際社会の深刻な懸念事項」であると非難した。

さらに、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保する上で、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」であるとし、我が国や東アジアを取り巻く緊迫した情勢は中国に原因があることを明記した。  

この他、北朝鮮、ロシアの行動も併せて考察し、新しい戦い方が顕在化していると分析。精密打撃能力による大規模なミサイル攻撃や、情報戦を含むハイブリッド戦、宇宙・サイバー・電磁波領域や無人アセットを用いた攻撃、核兵器による威嚇に備えなければならないとしている。

こうした攻撃への対応として、今回新たに打ち出されたのが、「抑止」であり、そのために必要なのが「敵基地反撃能力」である。一方的な専守防衛からの大転換である。

抑止力向上、3つのアプローチ

新たに策定された「国家防衛戦略」では、その前提として、ロシアのウクライナ侵略を題材に我が国の防衛上の課題を分析した。ロシアがウクライナを侵略するに至った軍事的な背景は、ウクライナがロシアによる侵略を抑止するための十分な能力を保有していなかったことだと指摘。

「高い軍事力を持つ国が、あるとき侵略という意思を持ったことにも注目すべき」とし、脅威は能力と意思の組み合わせで顕在化するが、意思を外部から正確に把握することは困難であること。国家の意思決定過程が不透明であれば、脅威が顕在化する素地が常に存在することから、このような国から自国を守るためには、力による一方的な現状変更は困難であると認識させる「抑止力」が必要だとしている。

そして、抑止のためには3つのアプローチが必要としており、第1に、我が国自身の防衛体制の強化。第2に、日米同盟の抑止力と対処力を強化し、日米の意思と能力を顕示すること。第3に同志国等との連携の強化し、一か国でも多くの国々との連携を強化することを挙げた。

特に第1のアプローチである、我が国自身の防衛体制の強化については、我が国への侵攻を我が国が主たる責任をもって阻止・排除する能力を保有することであり、相手にとって軍事的手段では我が国侵攻の目標を達成できず、生じる損害がコストに見合わないと認識させるだけの能力を我が国が持つこととしている。

こうした防衛力を保有できれば、米国の能力と相まって、我が国への侵攻のみならずインド太平洋地域における力による一方的な現状変更やその試みを抑止できるとして、我が国がしっかりとした防衛力を整備することがインド太平洋地域の平和を守ることになるとの考えを示した。

痛いところを突かれた中国

そのために必要な能力として、相手の侵攻戦力を遠距離から阻止・排除するスタンド・オフ防衛能力と、米国も提唱する統合防空ミサイル防衛能力を整備する。スタンド・オフ防衛能力は「敵基地反撃能力」の主要部分であり、統合防空ミサイル防衛能力の整備は米国との連携を一層強化することとなり、日米同盟の抑止力・対処力は更に強化される。  

なかでも、「敵基地反撃能力」は我が国への侵攻を抑止する上での鍵としており、近年、我が国周辺のミサイル戦力が著しく増強されている中で、既存のミサイル防衛網の強化のみでは対応が困難になりつつあり、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力が必要とした。

私は安保3文書は、例示したように国家国民を守るためにしっかりと踏み込んだ内容になったと思っている。すぐさま、中国外務省の報道官が安保3文書について「中国への中傷に断固として反対する」「中国の脅威を誇張」と述べたように、中国にとっては痛いところを突かれているわけであり、私は3文書の通りの防衛力を整備していけば、中国の侵略を抑止できる可能性は高くなると考える。

だからこそ、この中身を実現していくとともにそのスピードを上げていかなくてはならない。我が国が「敵基地反撃能力」を持ち、中国を抑止していくことは我が国のみならず、台湾、インド太平洋地域全体の平和に資するからだ。我が国はアジアの平和を守るリーダーとして行動していく。

 現実には軍事力を比較すれば、中国には一歩も二歩も遅れているのが現状です。2027年のGDP比2%の防衛費の目標を達成しても、その差はまだまだ大きい。そこは日米同盟や英豪などの準同盟国と協力し、抑止力を深めなければなりません。

 それと同時に必要なことは、上述のコメンテーターのような、未だにお花畑志向をまき散らす、「自虐史観」病や「9条教」に洗脳された面々を、メディアからできるだけ一掃していくと同時に、国民に「主権維持」の大切さやそのための「愛国心」を教育していく必要があります。「いつか来た道」と悪宣伝をする向きも多いでしょうが、「新たな属国化への道」を今後辿るより、遙かに大事なことだと気づかせることが、今後最も重要な課題でしょう。

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2022年12月28日 (水)

政府の改革方針を拒否する「学術会議」 軍事研究拒否も含め変わらないなら民営化か解体だ 

Images-4_20221227162701  菅前首相の下で行われた、日本学術会議の推薦人6名の任命拒否から2年が経ちました。このとき左翼陣営から多くの抗議が寄せられたことは、ご承知の通りです。なぜなら拒否された6人は、いずれも安保法制、特定秘密保護法、辺野古などで政府に異論を唱えていた人たちで、まさに左翼陣営の意図を汲む学者たちだからでした。

 このブログでも取り上げましたが、政府方針に遭わず、また軍事研究などを拒否するこの会議は、政府の特別機関としてはあり得ない組織で、解体もしくは民営化をすべき存在だと言えます。

 その後政府としてこの会議のあり方を再検討、改革方針をまとめました。そうすると会員の中から異議が出てきました。その概略を産経新聞の社説(主張)が取り上げていますので以下に引用します。タイトルは『学術会議の拒否 変わらないなら民営化だ』(12/26公開)です。

政府は、日本学術会議の在り方に関し、会員の選考過程に第三者が関与することを柱とした改革方針をまとめた。来年の通常国会への関連法改正案の提出を目指す。

政府方針に対し、学術会議は「学術会議の独立性に照らしても疑義があり、存在意義の根幹に関わる」として再考を求める声明を発表した。

同会議の梶田隆章会長(東京大卓越教授)は会見で「70年以上の歴史を持つ学術会議の性格を変えてしまいかねない」と危機感を示した。見当違いも甚だしい。

政府方針では、会員以外にも推薦を求める仕組みを導入し、選考について意見を述べる第三者委員会も設置する。声明は「任命拒否の正当化につながりかねない」と反発した。だが、任命権限は首相にある。「独立性」の意味をはき違えているのではないか。

学術会議は、法律に基づいて設置された「国の特別の機関」である。税金で運営され、会員は特別職国家公務員だ。国政選挙や首相指名選挙などの民主的な手続きを経て就任した首相の人事に従えないなら、もはや国民の税金を1円たりとも投入する必要はない。完全民営化すべきだ。

学術会議を巡っては、改革すべき重要な問題がまだある。昭和25年と42年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」との声明をまとめ、平成29年3月に声明の継承を宣言している。

声明は全国の科学者の学問・研究の自由をかえって脅かすもので、国民を守るための防衛力の充実を妨げてきた。問題の本質は侵略国を喜ばせる「軍事忌避」の体質にこそある。

今年7月、軍事、民生の両方で使える「デュアルユース(軍民両用)」の科学技術研究について「デュアルユースとそうでないものとに単純に二分することはもはや困難」と事実上容認する見解を示した。軍事と民生を切り離す発想から脱却したのであればよいが、一連のおかしな声明を撤回していない以上、体質が本当に変わったのか疑わしい。

政策の策定に科学的な知見を取り入れることは重要であり、科学的な助言を行う機関は必要である。だが、防衛を損なう反国民的言動を反省せず、民主主義を軽視し、自らに人事権があるかのような独善的な振る舞いをする、今のままの学術会議なら必要ない。

 まさに記事の言うとおりでしょう。科学や学問的知見を社会に反映または浸透させることを目的として設立されたこの「学術会議」が、軍事研究を忌避すればそれが社会に反映浸透され、日本と日本国民を守るための、貴重な軍事研究が大学や民間企業から外されてしまいます。

 また反権力志向の強い会員で多くを構成されれば、いたずらに特定野党や反日メディアに利用され、日弁連と同様の反政府組織活動を推進されます。かつての大学も「学問の自由」を旗印に、学内に全学連やマルクス主義教授を温存する手段として利用され、左傾化の拠点となっていた歴史があります。

「学問の自由」とは、反社会的な学問研究以外、どんな学問も許されるという意味でしょう。国民の安全を守る軍事研究を排斥するのは、「学問の自由」を逸脱していることを認識すべきです。それを是としないのなら、社説の述べる通りこの会議は必要ないでしょう。

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2022年12月27日 (火)

内部レポート入手!公式発表とは正反対、中国のコロナ感染大爆発 一方当局は責任逃れのためか数字の公表中止

5_20221226161601  一つの政策転換で、これほど国内の状況が一変するのでしょうか。連日テレビの報道を賑わしている、中国のコロナ感染爆発。少し前まではゼロコロナ政策で完全に封じ込めていたはずのこの感染症が、規制を解いた途端に、信じられないほどのスピードで拡大しているようです。

 その要因は何でしょう、そしてその影響はどうなるのでしょうか。前回に続き今回は、約1週間後の中国のコロナの現状を取り上げます。ジャーナリストの近藤大介氏がJBpressに寄稿した記事から、その詳細を見てみましょう。タイトルは『内部レポート入手!公式発表とは正反対、中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」』(12/25公開)で、以下に引用します。

 日本はクリスマスで浮かれているというのに、中国がこの世の地獄のような事態に陥っている。全土に凄まじい勢いでコロナウイルスが蔓延し、数億人の発熱者と、大量の死者を出しているもようだ。

 中国で日本の厚生労働省にあたる国家衛生健康委員会の12月24日の発表によれば、23日の中国全土の新規感染者数は4128人で、死亡者はゼロである。また前日の22日の新規感染者数は3761人で、死亡者数はゼロ。まったく問題のない状況だ。

 だがこれこそ、「大本営発表」というものだ。実は、国家衛生健康委員会は12月21日午後4時から、極秘の緊急テレビ電話会議を開いていた。この会議の正式名称は、「新型コロナウイルス患者の医療救急活動を強化することに関するテレビ電話会議」。主催したのは、同委員会の李斌副主任で、全国の衛生健康委員会や主要病院などと回線をつないで行った。

当局によってSNS上から削除された「極秘会議」の概要

 この極秘会議の概要を、おそらく参加者の一人が、あまりにいたたまれなくなって、SNS上にアップした。それはほどなく、当局によって削除されたが、その前にかなり拡散しており、私もその内容を入手した。

 私はその概要を読んで、2019年の大晦日に、湖北省の省都・武漢で、李文亮医師が世界に先駆けて、新型コロナウイルスの感染爆発を告発したことを思い出した。李医師は公安(警察)に出頭命令を受けて、「デマを流した」ことにされた。

 そしてそれから1カ月余り後に、新型コロナウイルスの治療に当たっていて自らも感染し、34歳の若さでこの世を去った。今回、内部告発した中国人も、おそらく李文亮医師と同じ気持ちから行ったのだろう。以下に、その内容を訳す。

12月20日の新規感染者数、3699万6400人!

<国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は、次のような見解を示した。全国の防疫措置をさらに一歩、調整するにつれ、春節(2023年1月22日)の大移動と春節期間中、人々が大規模に流動するようになる。

 おそらくさらに多くの地域で、ウイルスの蔓延は増加していくだろう。都市部と農村部の感染率が、ともに伸びていくことが見込まれる。

 かつ農村部の医療体制は底が薄い。慢性病にかかった老人が多い。いったん感染が加速的に蔓延していけば、局面はさらに厳しいものとなるだろう。

 全国31の省級行政地域の中で、北京市と四川省の感染状況が最も深刻で、それぞれ1位と2位だ。どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている。続いて、感染率が20%から50%の間が、深刻な順に、天津市、湖北省、河南省、湖南省、安徽省、甘粛省、河北省となっている。

 12月20日の新規感染者数は、おそらく3699万6400人に上る。これは総人口の2.62%にあたる。18日よりも19日の方が、そして19日よりも20日の方が感染者数が増えている。

 省別に言えば、20日の感染率が高かったベスト5は、四川省、安徽省、湖北省、上海市、湖南省の順だ。都市別で言うなら、トップ4都市は、成都市、蘭州市、合肥市、上海市の順だ。

 累計の感染者数で言えば、2000万人を超えたのが、多い順に四川省、河南省、湖北省だ。1000万人から2000万人の間が、多い順に湖南省、河北省、広東省、北京市、安徽省、山東省だ。都市別に言えば、累計の感染者数が500万人を超えたのが、多い順に北京市、成都市、武漢市、天津市、鄭州市、重慶市だ。

一部の都市ではピークアウトの兆しも見られるものの…

 このように現在、各地域のウイルスの蔓延状況は、比較的大きな差異がある。そしてウイルスが多発している地域は、「密集空間」という特徴がある。

 中でも、北京市・天津市・河北省、四川省と重慶市、湖北省と湖南省、華中地域のウイルスの拡散が比較的早い。一方、長江三角州、珠江三角州、西北と東北地方のウイルスの流行は、相対的に緩慢だ。

 北京市・天津市・河北省地域のウイルス状況は現在、「高止まりの流行」の段階だ。ただ北京市はすでにピークを過ぎ、ここ数日は「緩やかに下降」の態勢だ。

 それでも日々、大量の新規感染者が出ている。加えて現在、重症者のピークを迎えている。そのため、医療救急治療サービスは大きなプレッシャーに直面している。

 天津市は、いままさに流行のピークを迎えている。おそらくあと2日か3日で、山を越えるだろう。河北省は全体的に「ウイルスの拡散スピードが速く、感染者が急増」している。おそらくあと3日から5日で、ウイルスのピークを迎えるだろう。

医療逼迫

 四川省と重慶市地域、湖北省と湖南省地域のウイルスの拡散は迅速だ。特に四川省全域でウイルスは急速に増えており、北京に次いで2番目に感染率が50%を超えた地域となった。成都市を含む多くの都市が同時に流行のピークを迎えており、全省の救急医療の圧力は大きい。

 重慶市に至っては、市内の主要地域から遠く郊外へと、急速に広がりつつある。おそらくこれから一週間前後でウイルスのピークを迎えるだろう。

 湖北省全省はまさに、ウイルス流行のピークを迎えている。直近の二日間は、感染の波が下向きの傾向を示した。

 12月1日以降、中国の19省で累計1100例の感染者のウイルスのゲノムから、12種類の配列のオミクロン変異株が発見されている。主要な流行株は「BA.5.2」「BF.7」「BM.7」だ。

 その中で、北京市、黒竜江省、貴州省、新疆ウイグル自治区では「BF.7」の比重が高い。その他の省ではすべて、「BA.5.2」の比重が高い。いまのところ拡散力、感染力、免疫逃避で具体的に明らかにこれまでとは異なる新たな変異株は発見されていない。

猛烈な感染拡大で新たな変異株発生のリスクも増大

 昨今、全国のウイルスは全体的に、加速的に広がっている段階にある。一日の新規感染者数も増え続けている。12月になってから、人々の累計の感染率は(全人口の)17%を超えた。おそらく12月下旬が、全国の多くの省で、引き続き感染のピークを迎えるだろう。

 加えて、現在ウイルスが広がっている省では、現在もしくはこれから「省の中心都市から中小の都市や農村地域への広がり」が進んでいく状況にある。そしてウイルス流行のピークの1週間前後に、重症及び非重症患者のピークを迎える。

 全国の各地域では確実に、流行のピークに対する応対準備の活動を強化し、ウイルスの流行の進み具合に応じて、全面的な医療救急治療など各種の準備活動を行っていかねばならない。

 馬暁偉主任はこう総括した。各地域の病院は、大量の病人の面倒を看るにあたって、「病人が病院の前にいまにもやって来るのに、(一部の病院は)まだ粗暴な対処しかできていなかったり、逃避しようとしている」。どの病院もそれぞれの地域に置かれた病院として、「あれこれ考えずに、これはやらねばならない任務なのだ」として、早めに準備し、チャレンジに立ち向かうのだ>

 以上である。「大本営発表」の感染者数とはゼロが4つも違う「阿鼻叫喚の世界」が広がっているのだ。大半の若者たちは、数日の高熱の後、回復に向かっているようだが、少なからぬ高齢者が犠牲になっているもようだ。ちなみに中国国家衛生健康委員会は、12月25日より、感染者数の「大本営発表」すらやめてしまった。

 それにしても、一日に約3700万人もが感染したと衛生健康委員会が推定した12月21日、習近平主席はロシアからドーミトリー・メドベージェフ前大統領(統一ロシア党党首)を北京に招いて、会見した。その時の「満面の笑顔」が、CCTV(中国中央広播電視総台)のトップニュースで流されたが、「恐るべき鈍感力」の持ち主だと畏れ入ってしまった。

 今後、何より恐ろしいのが、概要でも指摘されていた「新たな突然変異」である。これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。

 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない。

 感染爆発については、ワクチン摂取率の低さ、そのワクチンの感染力低下性能の低さ、更にはゼロコロナ政策で感染履歴者数が少なく、抗体ができていない人が殆ど、などという要因が報じられています。実は上海在住の私の中国の知人も、ワクチンを接種していながら、最近感染したという報告がありました。

 記事にもあるように、当局は責任回避のためか、感染者数や重症者数の公表を取りやめています。死者数は殆ど基礎疾患の方の理由の死亡にしています。つまり実態は全く分からない、闇へ葬り去ったのです。そして感染者が増えることによる、集団免疫化を狙っているとの報道もあります。まさにこれが権威主義国家のやり方なのです。

 我々も他国のこととして無関心ではいられません。その一番のリスクは感染力の更に強い変異株の発生です。日本でも次々に生まれてくる変異株によって、第8波まで感染拡大が続いています。もうこれで終わりにしたいところに、新たな変異株を持ってこられたら、たまったものではありません。水際対策をしっかりして、なんとかそれだけはお断りしたいものです。

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2022年12月25日 (日)

ゼロコロナ止めた途端に感染爆発の中国、中央経済工作会議で自画自賛の不思議

B8d344ea0e874ff1a1ae1fabf5d13516  中国では白紙デモの後、習近平政権がゼロコロナ政策を緩和、多くの規制を一気に撤廃したため、各地で混乱が発生し、感染者の急増と医療体制の逼迫が生じ始めています。

 最近では全国の感染者数は、2億5千万人にも及ぶとの情報もあります。ジャーナリストの近藤大介氏が、JBpressに寄稿した記事にその実態を見てみましょう。タイトルは『ゼロコロナ止めた途端に感染爆発の中国、中央経済工作会議で自画自賛の不思議』(12/19公開)です。

 世界最先端の5Gスマートシティを建設中のはずの中国の大都市が、ゴーストタウンになり果てている――。

 習近平指導部は12月7日、若者たちのデモ「白紙運動」などを受けて、ついにガチガチの「ゼロコロナ政策」(動態清零)を解除した。そうしたら起こったのは、経済の「V字回復」ではなくて、新たなコロナパニックだった。

ネット通販の商品も感染拡大で配達不能に

 いまや中国の各都市で、外出しているのは、発熱外来や薬局に行く人ばかり。かつ院内感染によって医療崩壊が起こり、薬不足も蔓延している。

 倉庫には、配達が放棄されたネット通販の商品が、うずたかく積まれている。もはや配達員も見当たらなくなってしまった。海外メディアは、夥しい数の感染者と、少なからぬ重傷者、果ては死者数を報じ始めている。

 これは人類が、未知なる細菌に対して「新型」コロナウイルスと呼んでいた2020年初頭のことではない。あれから3年近くも経った2022年末の中国の状況だ。しかも、「ゴーストタウン現象」は、一部の都市だけでなく、中国全土に広がっている……。

 そんな中、首都・北京では、人々が集結している場所があった。そこでは、12月15日と16日、毎年年末の恒例行事である「中央経済工作会議」が開かれたのだ。2022年の中国経済を総括し、2023年の中国経済の指針を決める重要会議だ。

 主催するのは、経済運営の責任者である国務院総理、すなわち李克強首相のはずだが、2015年の年末の会議から、習近平主席が主導権を奪い取ってしまった。参加者は、205人の中国共産党中央委員を始め、各省庁や地方幹部などである。今年は、壇上の李克強首相の隣に、来年3月からの新首相に内定している李強党常務委員(共産党序列2位)の姿もあった。

「重要講話」でコロナの感染拡大問題をスルーする習近平

 壇上中央に鎮座する習主席は、例によって周囲を睥睨するように、厳(おごそ)かかつ長々と「重要講話」を述べた。

「今年は共産党と国家にとって歴史的に極めて重要な一年だった。われわれは勝利のうちに第20回共産党大会を開催し、全面的な社会主義現代化国家のグランドデザインを描いた。

 就業や物価は基本的に平穏で、食糧とエネルギーは安定し、人民の生活は効果的に保障され、経済社会の大局の安定が保たれた。

 私が見るに、中国経済は強靭で、潜在力が大きく、活力は足り、各種政策の効果は引き続き顕著である。来年の経済運行は、総じて上昇することが期待できる。

(習近平)新時代の10年は、わが国の経済社会の発展が歴史的な成果を上げ、歴史的な変革を起こし、ハイレベルの発展に転換した10年だった。われわれは歴史的な絶対貧困問題を解決し、予定通り『小康社会』(ややゆとりのある社会)を建設した。わが国の発展は、新たな高みの歴史的起点に立ったのだ……」

 どうだろう、この開き直りとも言える習主席の楽観的な見解は。中国の現実を見ていないのか、それとも「見せられていない」のか。習主席はさらに、来年の経済運営についても、饒舌に述べた。

SNSに溢れるヒツジマークの意味

「経済活動をうまく執り行うため、必ずや党の全面的な指導、特に党中央の集中統一指導を堅持しなければならない。社会主義の基本的な経済制度を堅持、保全し、社会主義市場経済の改革の方向を堅持し、『二つのいささかも動揺してはならない』(公有制経済の確固と発展、及び非公有制経済発展の奨励、支持、リードをいささかも動揺させない=国有企業と民営企業の共存政策)を堅持する。

 来年の経済活動をうまく執り行うため、(習近平)新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導を仰ぎ、第20回共産党大会の精神を全面的に貫徹実行し、中国式の現代化をしっかりと推進していく。

 来年は『穏』の字を念頭に置くことを堅持し、穏当な中にも進歩を求める。

 科学技術政策は、自立自強に焦点を当てる。社会政策は、民生のボトムラインを守り抜く。就業優先政策を細かく実行し、青年たち特に大卒の就業活動を、さらに突出した位置に置く。人口の老齢化、少子化にも積極的に対応していく。

 第一に、国内の需要拡大に着手する。第二に、現代化した産業システムを、早急に建設する。第三に、『二つのいささかも動揺しない』をしっかり実行する。第四に、さらに尽力して外資を吸引、利用していく。第五に、重大な経済金融リスクを有効的に防止、溶解させていく」

 あくまでも、習近平総書記を中心に、習総書記の指導を仰ぎながら、経済運営を行っていくということだ。美しい言葉が並んでいるが、問題は実行力だ。ちなみに注目のコロナ対策については、こう述べた。

「コロナ対策と経済社会の発展を、さらに一層うまく統合し、臨機応変に優れたコロナ対策を実施していく。新たなステージのコロナ防止の各種措置を真摯に実行していく。人々の病院の利用や医薬品の使用をきちんと保障し、老人や基礎的疾患を抱えた人々のコロナ対策を重点的に掌握し、健康保護と重症防止に着手する」

 以上である。全体的に、習近平指導部と国民との「乖離」が、開く一方に思えてならない。いまや中国のSNS上には、「ヒツジ」の絵文字が溢れている。

 来年は羊年でもないのになぜ?

「羊」は中国語で「yáng」。同音の「陽」に掛けているのだ。「陽」は太陽ではなく、PCR検査の「陽性」、つまりコロナ感染者を意味する。加えて、「羊のようにおとなしく黙らされている」という庶民の状況(秘めた怒り?)をも表している。

 庶民の間では、こんな戯(ざ)れ歌が拡散している。

無症感染喜羊羊(無症状ならニコニコ羊)

渾身酸痛懶羊羊(全身痛いとボンヤリ羊)

持続低燒暖羊羊(微熱が続けばポカポカ羊)

高燒不退沸羊羊(高熱が引かないのはアツアツ羊)

一直不陰慢羊羊(一向に陰性にならないのはモタモタ羊)

一直不羊美羊羊(一向に羊にならないのはバッチリ羊)

 中国のゼロコロナ政策の転換は、予想以上に落ち込んだ経済の建て直しを狙ったものとも言えそうです。ただ感染者の急増が医療崩壊に繋がり、再度規制強化が繰り返されるかもしれません。2兎を追えない難しい状況となっていると言えます。

 中国製のワクチンの性能の問題や、接種率の低さ、高齢者の増大など感染の拡大の条件は揃っています。無症状感染者をカウントから外したり、基礎疾患のある患者の死亡はコロナでの死亡から外すなど、統計数字を欺瞞で隠そうとしていますが、国民は気づいているようです。今後どうなっていくか目が離せません。

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2022年12月23日 (金)

米国が構想する「核の3本柱」 中国脅威への対応 対する日本は

2910101800003_1  最近何度となく語られる、独裁国家中国の軍事拡張の現実。今回は核の脅威について取り上げます。

 産経新聞の外信部編集委員兼論説委員で前ワシントン支局長黒瀬悦成氏が、同誌に寄稿したコラムを引用して紹介します。タイトルは『米国を知るキーワード 「核の3本柱」確立 中国脅威への危機感』(12/17公開)です。

米国防総省は11月29日、中国の軍事力に関する年次報告書を公表し、中国の核弾頭保有数が2035年に約1500発に達するとの見通しを初めて明らかにした。運用可能な中国の核弾頭は21年に400発を超えたとされ、急速な核戦力の強化と近代化に米国は危機感を募らせている。米国とロシアに続く「第3の核大国」を目指す中国の脅威への対処は国際社会の急務だ。

「私たちは中国がもたらす、世代間にわたって刻々と深刻化する難題に挑戦しているのです」

オースティン米国防長官は12月3日、西部カリフォルニア州での講演でこのように述べ、中国が米国の安全保障政策を左右する重大な脅威であるとの認識を改めて示した。実は、このpacing challengeという言葉が頻繁に使われるようになったのはここ数年のことで、今のところ定まった日本語訳もない。

もともとはオースティン氏が21年1月19日、上院軍事委員会での、自身の指名承認公聴会に提出した書面で「pacing threat」という文言を使ったのが初めてとされる。

その後も同氏はこの2つの用語に幾度も言及。同年3月に東京都内で開かれた外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に関する日本外務省の報道発表は、pacing threatに「刻々と深刻化する脅威」との訳語を使用した。

一方、オースティン氏は公聴会で中国に関し「そう遠くない将来に世界の大国になろうとしている。今から彼らの攻撃的行動を確実に阻止すべきだ」と指摘しており、用語には中国の脅威が、米国が軍事戦略や戦備を構築する「ペース(速度)」を規定するほどの最優先課題であるとの意味合いも込められている。

増え続ける核弾頭

実際、国防総省の年次報告書が示した中国軍の実態は米国および日本などの同盟諸国に厳しい現実を突きつけるものだ。

同省は2年前、中国の核弾頭数を「少なくとも200発」と推定していた。今回の報告では「中国が向こう10年間で核戦力を近代化、多様化させ、拡大させようとしている」と指摘。弾頭数は21年の時点で400発を超え、27年に700発、35年に1500発に増えると予測した。

また、1基の弾道ミサイルに複数の核弾頭を積み、それぞれが別個の目標を攻撃できる「複数個別誘導再突入体」(MIRV)能力を備えた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の東風41(射程1万2000キロ)を配備しつつあるとした。

東風41は最大3発の弾頭を搭載し、従来の東風31系列のICBM(同7千~1万1200キロ)に比べ射程や命中精度が向上した。

094型(西側通称・晋級)戦略原潜6隻による外洋での連続航行抑止哨戒も実施している。各原潜は最大で12基の巨浪2(同7200キロ)または巨浪3(同1万2000キロ)潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載可能という。

さらに、中国空軍は核搭載の空中発射型弾道ミサイル(ALBM)を搭載可能な戦略爆撃機H6Nを作戦配備し、ICBMとSLBM、戦略爆撃機で構成される「核の3本柱(トライアッド)」を確立させた。中国国営メディアによればステルス機能を有するH20爆撃機も開発中という。

米国に対抗して、ICBMよりも高度が低い人工衛星の軌道を通って目標を攻撃する、極超音速滑空兵器(HGV)による「部分軌道爆撃」(FOB)システムの開発にも力を入れており、21年7月には実験兵器を約4万キロ飛行させることに成功した。

先制不使用放棄か

加えて報告書が注目するのは、中国が国内3カ所で固体燃料式ICBMの東風31、41向けサイロ(地下格納・発射施設)の建設を進め、その総数が300を超えたとみられることだ。

固体燃料式のミサイルは誘導制御が比較的難しい半面、液体燃料式のように発射直前に燃料を注入する必要がない。このため相手のミサイル発射を察知したのを受けて即時発射が可能な利点がある。

中国は、自衛のために最小限の核戦力を保有し、他国から核攻撃を受けない限り核兵器を使わない「先制不使用」を原則としていると主張する。

だが、中国による固体燃料式ICBMおよびサイロの整備は、中国が米露と同様に、相手の弾道ミサイルが発射されたという警報発令を受け、その着弾前に反撃のミサイルを発射する「警報即発射」(LOW)の態勢構築を進めていることを意味する。

米軍関係者や専門家はこうした動きに関し、中国が先制不使用原則を放棄し、より攻撃的な核態勢への転換を図っている兆候だとして警戒を強めている。

しかも中国は、他の核保有国に対しては「戦略的安定性の強化」のためLOWを放棄するよう唱えつつ、弾道ミサイルの開発や実験、配備の自制などをうたったハーグ行動規範への参加を拒否し、偶発的核戦争のリスク低減を目指す国際的な信頼醸成措置にも背を向け続けている。

米も近代化に本腰

対する米国も核戦力の近代化に本腰を入れた。

核の3本柱のうち、戦略爆撃機をめぐっては現行のB52ストラトフォートレスやB2スピリットの後継となる、無人運用も可能な世界初の第6世代戦略爆撃機、B21レイダーを25年頃に配備する予定だ。

ICBMについては、現在配備されているLGM30Gミニットマン3(射程1万3000キロ)の耐用年数を延長させる一方、後継のLGM35センチネル(射程不明)を29年頃に配備する計画を進めている。

戦略原潜に関しても、1981年に初就役したオハイオ級に代わり、最新のステルス性能などを備えたコロンビア級計12隻を31年から順次就役させることを目指している。

日米同盟の深化を

米露の核戦力は、2011年発効の新戦略兵器削減条約(新START)に基づき戦略核弾頭の配備数を1550発以下、ミサイルや爆撃機などの運搬手段の総数を800以下(うち配備数は700以下)に減らすよう定めている。一方、中国は同条約に縛られず、自由に核戦力を拡大させていくことができる。

将来、中国の核戦力が米国と肩を並べるとどうなるか。米国は日本や韓国に拡大抑止(核の傘)を提供しているが、その実効性に疑問符がつくことも想定される。米国が日本を守るために核使用に踏み切れば、中国がICBMで米本土を報復攻撃するリスクが一層高まる。そこで米国が核使用に慎重になれば、中国が「核の脅し」で勝利を得ることになるからだ。

米国としては核抑止力の充実にこれまで以上に力を入れる必要がある。一方で米国の相対的な軍事力が低下傾向にあるのは否定し得ない事実だ。現時点で自前の核保有という選択肢を持たない日本としても、通常戦力を含めた総合的な対中抑止力の強化に向けて日米の同盟関係を深化させていかなくてはならない。

 恐らく中国に対しては、日本の軍事力は対等には戦えないほど、格差が生じていると思われます。2027年を見据えた防衛力の整備を行ってもまだまだ追いつかないでしょう。核に於いては全く論外と言えます。

 従って米国との同盟関係が死活的に重要となってきます。ですが今までの関係の延長では対応できないと思います。より主体的により戦略的に、核戦略も含めて同盟関係を再構築していかなければ、この巨大化した軍事大国には立ち向かえないでしょう。

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2022年12月20日 (火)

40年前開発のトマホークでは日本は守れないこれだけの理由。ここは国産での開発に集中すべきだ

4_20221219171401  27年度までに43兆円の防衛費予算の枠取りが決まりました。ただその財源について、すったもんだの議論があり、また1ヶ月という短期間で増税の大方の方向性を出したのは、ある意味今までにない政治決断と言えますが、拙速を指摘しその背景を疑う向きもあります。

 そこでその防衛費の使い道ですが、何故か二つの兵器が先行して取り上げられました。それも海外からの調達で、です。軍事・情報戦略研究所長の西村金一氏が、JBpressに寄稿した記事に、その詳細が記述されています。タイトルは『40年前開発のトマホークでは日本は守れない、これだけの理由 本末転倒の防衛予算増額はむしろ日本の防衛力を削ぐ結果にも』(12/19)で、以下に引用して記載します。

まず防衛産業の育成から始めよ

 国家安全保障戦略(安保戦略)が決定する前に、なぜ高い兵器を購入することが決まるのか。日本は、戦い方と抑止力を検討して、どの武器を持つべきなのかよく考えるべきだ。

 今年の11~12月にかけて、2つの海外の武器を購入することがほぼ決まったようだ。

 フィンランド製装輪装甲車500両は、一般的な装甲車の価格1両概ね約5億円という情報から算定すると約2500億円、米国製のトマホーク500発は、英国防省が購入した価格を参考にすると約1500億円だ。

 相当高価な買い物である。

 この2つの買い物は、日本の安保戦略を検討中であるにもかかわらず決まったことだ。

 これらは2つとも、日本防衛の主役あるいはほぼ同じ役割を担う。それなのに、なぜ外国製なのか。

 しかも、日本の防衛基盤を育成しなければならないことが求められているのにもかかわらずだ。

 極めて高価な買い物をしなければならず、膨らむ防衛予算をどうやって確保しようかと、国会で議論されている。

 しかし、実は自民党内でも意見が分かれている。

 高い買い物をするのであれば、本当に必要なものなのか、数量は適切か、他に方法はないのか、今後の日本の防衛産業の発展性(将来性)はどうなのか――。

 どれも大きな問題であるにもかかわらず、一つも提起されていない。

 日本の防衛問題の焦点および日本の防衛の意識・感覚にズレがあるのではないかと、不安を感じざるを得ない。

1.外国の武器購入に軍事戦略はない

 どのような武器を保有(購入)するか考えるときには、まず我が国周辺の軍事的脅威に備えるために、頂点に国家安全保障戦略、このもとに防衛戦略(防衛計画の大綱)、陸海空防衛戦略が、そしてその戦略に基づく陸海空統合の戦い方(統合防衛計画)、陸海空個別の戦い方(個別の防衛計画)を決める。

 その戦い方が達成できる武器を購入するのだ。

 予算の制約や開発の期間を考慮して、長期的に計画するか、あるいは短期的に購入する。

 日本で製造できないものや技術を導入したいものについては、海外からの輸入に頼らざるを得ない。

 しかし、必要な時に必要な武器を導入できること、継戦能力の必要性、日本の防衛産業育成などを考えると、日本国内、日本の企業(防衛産業)に委託することが望ましい。

 防衛装備庁は、「防衛産業基盤を国内に維持し、強化する必要性がある」と認識し、次の2点を強調している。

①国土特性等に適合した装備品を取得することは、我が国防衛の観点から極めて重要である。また、防衛生産・技術基盤は、防衛力そのものである。

②経済安全保障の観点から、我が国の自立性の確保および不可欠性の獲得が喫緊の課題である。防衛生産・技術基盤を国内に維持し、強化する必要性は一段と高い。

 現実に起きているのは、防衛装備庁が強調していることと反対のことだ。

 ウクライナでの戦闘では、精密誘導兵器がいろいろな場面で使用されている。

 この様子を見ていると、日本の戦い方は大きく変わっていかなければならないはずだ。

 ところが、このことについては議論されず、税についてなど、その財源をどうするかが議論されている。

 今回のフィンランド製の装甲車の購入もトマホークの購入についても、前述の理論はなく、突然どこかで決定されたようで、全く奇妙な話である。

 政治家や大手メディアがこのことについて、問題として取り上げないことも不思議に感じる。

2.国土防衛用の戦車・装甲車は国産に

 陸上の主戦場で戦う装甲車を外国製にすることが決定した。

 装甲車というのは、十数人の歩兵を装甲車に搭乗させて、戦車と供に戦う戦闘車だ。例えば国土防衛戦では、

①沿岸付近の陣地に配置して敵の上陸を撃破する。

②国民が安全に後方に下がれば、戦いながら内陸部まで後退する。

③いったん上陸した敵部隊に反撃するときには、戦車と供に攻撃する武器だ。

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 防衛省令和4年12月9日のお知らせによると、「陸上自衛隊96式装輪装甲車の後継車両である次期装輪装甲車(人員輸送型)として、フィンランドPatria社の『パトリアAMV』に決定した」という。

 AMVとは、「Armored Modular Vehicle(装甲モジュラー車両)」のこと。

 選定理由は、

①第1段階評価においては、「日本製の三菱重工業の機動装甲車もフィンランド製のAMVも必須要求事項を満たしている」ということである。つまり、どちらも、防衛省の要求性能を満たしている。

②第2段階評価においては、「基本性能」「後方支援・生産基盤」および「経費」について100点を満点とする加点を行い、最終的な評価点が最も高かったPatria社製AMVに決定したという。

 フィンランド製という外国のAMVに決定しなければならほどの差があったのか。

 決定の理由として、基本性能については、パトリアAMVが最も優れており、経費については、パトリアAMVが高い評価であった。

 後方支援・生産基盤については、全体として概ね同等の結果となった。合計点でパトリアAMVが高い点数を獲得したということらしい。

 この結論の評価結果については不明確であり、全く納得できない。

 パトリアAMVは既存の車両で、三菱重工の装甲車は試作品だ。もし性能が少々劣っているとすれば、製品にする際に改善すればよい。

 後方支援と生産基盤が同じ評価というのも納得できない。

 国内で日本の技術で生産することから、それらの点では、日本の製品の方がはるかに高いといえる。

 この評価の中に、日本の防衛産業の育成という基準がない。

 本来であれば、この評価項目が大きな要素として入れられるべきである。

 関係者から聞いたところによると、なぜ日本企業が提案する装輪装甲車が落選したのか、その理由は具体的には分からないという。

 企業として開発に注力してきた技術陣への説明もできないらしい。

 これでは、日本の企業も技術者もやる気をなくし、企業の防衛産業部門の閉鎖、技術者の民間部門への配置換えが行われることになる。

 近年、日本企業の100社以上が防衛関連事業から撤退するという事態を招いている。極めて不安な事態だ。

 ウクライナでの戦闘でも、ウクライナはロシア軍の侵攻を食い止めるために、戦闘機・戦車・火砲・弾薬を、ミサイルや無人機を飛翔中に破壊する防空兵器を、早急に供与してほしいと何度も懇願した。

 だが、早急に供与してほしいと懇願しても、供与する国の国会や政府が決定するまで得られなかった。また、届けてもらえるまでに、相当な時間がかかった。

 必要な兵器がなければ、戦闘で敗北する可能性がある。また、多くの将兵が刻々と死傷していく。

 これらのことから、現代戦になればなるほど、国内に生産基盤を持つことが求められる。

 国産にすれば、国内企業、下請け企業までも武器生産技術レベルが上がる。大量生産すれば、価格も抑えられる。

 できるかぎり国内の企業に依頼することが望ましいのだ。

3.トマホークは抑止力になるのか

 トマホーク巡航ミサイルは、ほぼ40年前に開発された兵器である。

 1991年の湾岸戦争、2001年からのアフガニスタン戦争、2003年イラク戦争などで、大活躍した。

 私は、当時情報分析官の仕事をしていて、このミサイルがイラクの建物に命中する映像を見て、こんなにすごいミサイルがあるのかと衝撃を受けたものだ。

 国家安全保障戦略の改定検討中に、自民・公明両党は、反撃能力確保のために、米国製のトマホーク導入を盛り込むことに合意したという。

 さらに、防衛省が米国製の巡航ミサイル「トマホーク」について、2027年度までをメドに最大500発の購入を検討しているという。

 岸田文雄首相は12月13日のジョー・バイデン米大統領との首脳会談で購入交渉を進展させる方針を確認し、「反撃能力」の保有に向け、準備を加速させている。

 だが、ちょっと待ってほしい。

 このミサイルは、開発や戦闘で使用されてから20~30年が経過している。

 現在、ロシアは極超音速滑空体「アバンガルド」、中国は変則軌道ができる「DF-17」、北朝鮮も2種類の極超音速滑空体の実験を行っている。

 米国も極超音速巡航ミサイルや極超音速滑空体の実験を行い成功している。軍事大国では、撃ち落とされない弾道ミサイルの開発が焦点だ。

 トマホークの性能は、射程が約1200~3000キロである。

 日本がトマホークミサイルを保有すれば、九州~北京まで約1500キロであることから、狙って攻撃できる。

 また、中国の主要な海軍基地まで1000キロ前後、空軍基地は概ね1300キロ内、地上軍の基地までは1500キロ以内。中国軍の主要都市と中国軍の基地を狙って攻撃できる。

 広島から平壌まで約800キロ、北朝鮮全土まで約1000キロだから、十分に射程圏内に入る。

 だが、大きな問題をはらんでいる。

 問題その1は、速度が時速880キロ(音速よりちょっと遅い)、弾道ミサイルよりも遅い(3分の1~5分の1)ために、打ち落とされる可能性が高いことだ。

 もしも、中国が「S-300」や「S-400」防空ミサイルを重要基地などに配備していれば、撃墜される可能性がある。

 具体的に、ウクライナでは、ロシアの巡航ミサイルが、ウクライナの防空兵器で打ち落とされている。

 中国から弾道ミサイルが発射されると、日本の着弾場所にもよるが、10数分前後で到達する。

 もし、日本が本土からトマホークを撃ち返したとしたら、北京まで2時間近くかかる。こんなのんびりした撃ち返し能力で良いはずがない。

 問題その2は、そもそも抑止力になり得るのかということだ。

 ロシア・中国・北朝鮮は、極超音速滑空体の実験を行っている。弾道ミサイルの弾頭部分の主力として、極超音速弾道のミサイルや滑空体を開発中である。

 このようなミサイルの開発状況の中で、音速にも及ばないトマホークが、中国や北朝鮮に対して抑止力となり得るはずがない。

 問題その3は、トマホークは後10年もすれば、新たな巡航ミサイルと交代することになるだろうということだ。

 目の前にリプレースが迫っている古い兵器を日本が購入する意味があるのか。これは外圧で買わされると考えるのが普通だろう。

 将来的には、日本の「12対艦ミサイル」の射程を伸ばすという案もある。

 日本の長射程巡航ミサイルを保有することには賛成だ。

 だが、中国や北朝鮮が、極超音速で飛翔する弾道ミサイルを開発している時に、巡航ミサイルだけで、抑止力となるという考えは不十分である。

4.日本の反撃能力はどうあるべきか

 まもなく時代遅れになりそうなトマホークを購入することになぜ決まったのか、その経緯の説明が全くないのでは国民の信頼を得られない。

 日本の武器を装備するには、防衛戦略と戦い方と一致させなければならない。防衛戦略や戦い方が不明なままで、トマホークを購入しますというのには納得がいかない。

 本来であれば、中国や北朝鮮の弾道ミサイルを抑止するために、最も適した兵器は何なのかを検討すべきだ。

①極超音速滑空体を搭載した弾道ミサイルか、通常の弾道ミサイルか、あるいは巡航ミサイルかどうかを検討する。

②決定したミサイルは、日本で製造できるのであれば国産で、できなくて米国の技術に依存しなければならないのであれば米国製にするという検討があってよいはずだ。

 日本は、現段階では、速度が遅い巡航ミサイルで抑止力を保有することは必要だ。

 だが、近い将来には、どのミサイルが抑止力になるのかを十分に検討すべきだ。

 日本は、弾道ミサイルを開発・製造する時に来ている。日本には今のところ技術があるので、持つか持たないかの検討に入るべきだ。

 憲法の制約もあり、長らく惰眠をむさぼってきた日本の防衛議論に、突如降りかかった、ロシアによるウクライナ侵略。同時多発的に北朝鮮の今までにない大量のミサイル発射と、中国の台湾侵攻の予兆。これらの外圧で、政府もメディアも一気に抑止力強化に向かって走り出しました。

 しかし如何せん、周回遅れの装備と技術を、たちまち現状・現実に合わせようとしたところに、これらの装備の海外からの調達の議論が一気に進んだのだと思います。何せ日本にはたちまち最新鋭の兵器の設計や製造技術はないのですから、そうした装備の海外調達はやむを得ないのかも知れません。

 ただそれがもうかなり古く、役目を終わりそうなものだとしたらどうでしょう。あるいは日本の装備が、比較してそれほど劣っていないならどうなのでしょう。それだったら日本の防衛産業の英知を集めて、国産で何とか開発製造できないものか、そう考える方がまともなような気がします。ここは西村氏の意見に賛同したいと思いますね。

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2022年12月19日 (月)

北朝鮮の常軌を逸したミサイル発射の影で、交されたロシアとの「悪の取引」

3_20221218135301  ロシアがウクライナ侵略を開始してもうすぐ10ヶ月になります。未だ停戦交渉の糸口はつかめず、ロシア、ウクライナ双方とも一歩も引かぬ状況で膠着状態が続いています。ロシアは1月入って、さらなる攻撃の準備を進めていると言い、終わりの見えない戦いが続きます。

 この秋のウクライナの反転攻勢に対抗し、ロシアはウクライナのインフラ設備へ、多数のミサイル攻撃を続け、冬期に入ったウクライナの電力危機を誘うという、戦争犯罪を続けています。

 こうした中、北朝鮮がロシアに急接近、そのあたりの事情をモラロジー研究所教授で麗澤大学客員教授の西岡力氏が、月刊hanadaプラスに寄稿していますので以下に引用します。タイトルは『ロシアと北朝鮮の「悪の取引」』です。(左上の図は「新・悪の枢軸国」)

米韓軍事演習への対抗措置として、4日間で39発のミサイル乱射した北朝鮮。その常軌を逸した行動の裏には、ロシアの影が――。

常軌を逸したミサイル発射

北朝鮮は連日、ミサイル乱射、海上への砲撃、戦闘機の大量演習を続けている。

11月7日、朝鮮人民軍総参謀部の発表によると、10月31日から11月5日行われた米韓軍事演習「ビジラント・ストーム」に対抗し、「3時間47分にわたって500機の各種戦闘機を動員した空軍の大規模な総戦闘出動作戦」を断行、2~5日の4日間で39発のミサイル(弾道ミサイル14、地対空ミサイル23、巡航ミサイル2)と46発のロケット砲を発射したという。

彼らは米韓軍事演習への対抗措置だと主張するが、4日間で39発のミサイル乱射は常軌を逸している。今年のミサイル発射(11月9日まで)は92発だ。その背景にはなにがあるのか。私はある関係筋から、極秘情報を入手した。実はロシア側から、米国の関心を分散させるため、半島で軍事緊張を高めて欲しいという依頼があったというのだ。

10月1日、ハバロフスクで北朝鮮人民軍とロシア国防省の秘密会談が開かれた。北朝鮮からは李泰燮(イ・テソプ)総参謀長らが参加したという。

そこで、ロシア側は米国のウクライナへの関心を分散させるため朝鮮半島で軍事的緊張を最高度に高めることと、北朝鮮が保有する放射砲砲弾の提供などを要請し、見返りとして年間10万トンの精製された石油(ガソリン、軽油、ジェット燃料など)を提供、ウクライナ戦争終了後には最新鋭戦闘機を提供すると提案した。金正恩総書記は石油と最新戦闘機が欲しいのでこの提案を歓迎。北朝鮮は、局地戦は出来ないがミサイル乱射などそれ以外の方法で軍事的緊張を高めると約束した。

常軌を逸した人民軍の行動はこの密約が背景にあったわけだ。

「試射」「訓練」でもない

北朝鮮が提供することになった砲弾は、1960年代から80年代までソ連からもらっていたソ連製の220ミリと120ミリ砲弾だ。地下倉庫に長期間保管されており、湿気などのため不発が多い。

2010年の延坪島砲撃では不発率5割だった。厳密な検査をして不発ではないと判断されたものだけを中国船に積んで密輸しているという。不発率5割の半世紀前の古い砲弾の見返りに石油をもらうという金正恩にとって大変有利な取引だ。

すでにかなりの量の石油が、ナホトカ港から船で北朝鮮の羅津港に運び込まれている。ナホトカにはシベリアからパイプラインで石油が運ばれていて、大きな石油タンクに保管されている。燃料不足でこれまで満足に空軍演習をすることが出来なかった北朝鮮がここにきて、大量の戦闘機を飛ばしているのはロシアから提供されたジェット燃料のおかげという。

プーチン大統領は戦況が芳しくないウクライナ戦争の局面を打開するため、金正恩総書記に急接近しているのだ。核兵器を使うと公言する二人の独裁者がここにきてお互いの利益のために急接近し、それを習近平の中国が隠れながら一部支援しているという構図が見えてくる。

今年のミサイル発射を振り返ると、11月2日から5日までの39発のミサイル発射が、従来のパターンではないことがわかる。

従来の北朝鮮のミサイル発射には大きく分けて2種類ある。国防科学院による開発段階での「試射」と、完成して軍に引き渡され実戦配備後の人民軍による「訓練」だ。

核ミサイル開発は人民軍が担当していない。労働党中央委員会の軍需工業部が担当する。同部の下で実際の開発にあたっているのが国防科学院だ。だから、国防科学院が完成していないミサイルを実験のために発射するのは「試験発射」「試射」と発表される。そして、開発が終わるとミサイルは人民軍に引き渡され、実戦配備される。

それから発射される場合は、実験ではなく軍事演習になるので、人民軍による「訓練」とされる。その区別は明確だ。

休戦ラインを越えて着弾

北朝鮮は今年11月9日までに約九十二発の弾道ミサイル、地対空ミサイル、巡航ミサイルを発射した。そのうち、1月から4月までの17発中15発は国防科学院の「試射」だった(1月14日の2発は「鉄道機動ミサイル連隊の検閲射撃訓練」)5月から8月の16発は公式報道がなかったが、やはり、大部分が国防科学院の試射である可能性が高い。

ところが、9月25日から10月9日までの14発の発射は金正恩総書記が現地で指導した「戦術核運用部隊の軍事訓練」だと公表された。開発中のミサイルの「試射」ではなく短距離と中距離、つまり韓国、日本、グアムを狙う核ミサイルを撃つ訓練、「核攻撃軍事演習」だったことが明らかになったのだ。その上、模擬核弾頭を付けた、ともされた。

戦術核運用部隊の名前が表に出て来るのも初めてのことだ。人民軍は陸軍、海軍、空軍、戦略軍、特殊作戦軍の5軍体制を取っている。そのなかでも核ミサイルを運用するのは戦略軍と言われているが、「戦術核運用部隊」がどの軍に所属しているかは明らかになっていない。

しかし、11月2日から5日までの39発のミサイル発射は「試射」や「訓練」、はたまた「核攻撃軍事演習」でもなく、さらに上のフェーズ、「朝鮮人民軍の軍事作戦」だった。

39発の発射のなかでも注目すべきは、鬱陵島方向に飛んできた短距離弾道ミサイルだ。2日午前8時51分に元山から日本海側に短距離弾道ミサイルを三発発射、そのうち1発が、NLL(北方限界線)を越えて鬱陵島方向に飛んできて、手前で落ちた。そのため、鬱陵島では空襲警報がかかり住民が避難した。

NLLとは朝鮮戦争休戦時に制海権を握っていた米軍が引いたライン、事実上の海の休戦ラインだ。これまで北朝鮮はNLLの南側にミサイルを撃ち込んだことはなかった。

それに対抗して韓国軍がNLLの北側に3発の空対地ミサイルを射ち込む。今度はそれに対抗して北朝鮮が同日午後「南朝鮮地域の蔚山市の前方80キロ付近の水域の公海上に2発の戦略巡航ミサイルで報復打撃を加えた」と7日に公表。2発の巡航ミサイルがそれぞれ発射されるときの様子と空中を飛ぶ様子の写真まで出した。

中国の台湾侵攻もあり得た

蔚山は韓国の東南部に位置する工業都市。そこからわずか80キロしか離れていない海に北朝鮮がミサイルを2発撃ってきたというのだからすさまじい軍事挑発だ。

ただ、巡航ミサイル発射当日、韓国側からはその発表がなく、北朝鮮の発表後、韓国軍は彼らが言うところの巡航ミサイルの着弾はなかった、と否定している。

韓国軍はNLLを超えて着水した短距離弾道ミサイルの残骸を水中から確保し、形状と特徴からソ連製のS-200地対空ミサイル(SA5地対空ミサイル)だったと明らかにした。

S-200は1960年代にソ連が開発し、80年代に北朝鮮がソ連から持ち込んだ旧式のミサイルだ。韓国の中央日報は「60年代開発のくず鉄ミサイル」と書いた。

従来の「試射」や「訓練」ではなく、「軍事作戦」によるミサイル発射で、かつてないほど軍事的な緊張を高めたのだ。プーチンとの取引を金正恩が忠実に実行したと見て間違いないだろう。

実は、ウクライナ戦争開始前後からロシアは北朝鮮に接近していた。ウクライナ戦争の開戦直後に、私が入手した内部情報によると、プーチンは開戦前に金正恩に対して、「1週間以内にウクライナを占領する計画だ」と伝えていた。ウクライナがこれほど英雄的に抗戦するとは想像していなかったのだ。様々な情報から、プーチンが早期に戦争で勝利できると考えていたことは明らかになっているが、北朝鮮内部情報でもそれが裏打ちされたと言える。

その情報によると、ロシアが計画通り1週間で戦争に勝利すれば、中国が台湾との戦争に突入し、北朝鮮は米軍を攪乱する局地戦を行うことが謀議されていたという。中国は早ければ今年末か来年に台湾侵略を計画していた。その作戦にあたって、中国が北朝鮮に対して朝鮮半島で局地戦を起こして米軍を攪乱して欲しいと依頼していたという。

中国の台湾侵略と同時に人民軍は西海五島地域での局地戦を検討していた。五島を同時に攻める作戦やペンニョンドを攻める作戦などが案として上がっていた。北朝鮮からすると五島は喉に刺さったとげであり、機会があれば占領したいと狙っていたからだ。

ところが、予想に反してロシア軍は苦戦した。そのため、中国の台湾侵攻も計画修正が不可避で、北朝鮮も中国の戦争に加担したら自分たちだけが損害を受けると考えるようになった。つまり、ウクライナの英雄的な抗戦が東アジアの平和を守ったのだ。

当惑する金正恩

矢板明夫産経新聞台北支局長も、ロシア側の内部情報として、私とほぼ同じ情報を入手、月刊『正論』(2022年6月号)でこう述べている。

〈ロシア側の内部情報によると、習近平は今秋に台湾侵攻することを考えていたと言います。

 ウクライナが二、三日で制圧されたら、同じように台湾もやれる、と習近平は選択肢の一つとして考えていたのだと思います。……しかし現在、ロシアは思いのほか苦戦しています。ウクライナの非常に強い抵抗に遭うし、国際社会がこれほどウクライナを支援するとはプーチンも習近平も考えていなかったはずです。……習近平の台湾攻略の野望が今回の失敗・苦戦によって完全に白紙に戻った、ということが中国への最大の影響になるでしょう〉

北朝鮮内部情報とロシア情報がほぼ一致しており、この情報の信憑性は高い。

金正恩政権はウクライナ戦争に高い関心を持っていた。ロシア軍の戦いぶりは朝鮮人民軍の戦闘力が試されているという側面がある。彼らの軍隊はロシアの兵器で武装しているからだ。

金正恩は戦争開戦直後に朝鮮人民軍参観団をウクライナのロシア軍に随行させ、人民軍の偵察総局と総参謀本部から合計20人程度が参加した。ロシア軍の装備とウクライナに提供された西側の兵器の実戦での状況を検討し、戦争過程を把握し北朝鮮に適用することが目的だ。

その結果、肩担ぎ型の対戦車ミサイルのジャべリンやドローンなどによってロシア軍が大きな被害を受ける場面が平壌に報告された。

報告を聞いて、金正恩と人民軍首脳部は軍事大国と言われていたロシアの弱さに当惑した。

ウライナ侵略戦争でロシア陸軍の弱さを見て、金正恩は同じロシア製兵器で武装している北朝鮮陸軍が予想外に弱いことを知ってしまった。それまで米軍さえ撤退させれば奇襲攻撃で韓国を占領できると考えてきたのだが、韓国軍単独でも北朝鮮軍は敗退する可能性が高いという不都合な真実に直面したのだ。

6月の党中央軍事委員会で、通常兵力では韓国単独でもかなわないから核ミサイル開発に集中する方針を非公開で決めたという。9月に核使用の法律を作って自分の命を守ることを最優先とし、自分に危害を加えるならば核で反撃するぞというメッセージを出したのも同じ脈略だ。

「悪の取引」を許すな

3月、ロシアは、ウクライナがなかなか降伏しないことに焦り、北朝鮮と中国に軍事支援を求めていた。ロシアのショイグ国防相が3月、北京を訪れ、中国人民解放軍幹部と北朝鮮人民軍幹部と秘密会談を持った。

ショイグ国防相は訪朝を希望したが、コロナ問題で外国人の入国を拒んでいる北朝鮮が北京での会談を逆提案したという。そこでショイグ国防相は中国にミサイルなどの提供を求め、拒絶されている。

北朝鮮には特殊部隊の派兵とミサイルとその部品の提供を要請し、北朝鮮は検討すると答えたが、実際は拒絶した。金正恩はロシア軍が予想に反して弱いのを目にして、ロシアを全面的に支持すると表明しつつ、戦争への介入を避けるという方針を決めていたからだ。

しかし、今回、金正恩はプーチンの頼みを受け入れ、くず鉄ミサイルを軍事作戦として発射しまくり、不発率5割の砲弾を密輸出することでロシアの戦争を助けた。その見返りが、金正恩が喉から手が出るほど欲しい精製石油と最新鋭戦闘機だった。北朝鮮との武器取引は国連制裁違反だ。また、精製石油の北朝鮮への輸出も国連制裁により厳しい上限がある。

ロシアは国連常任理事国として自国も賛成して決めた国連制裁を公然と破っている。我が国は米国、韓国とも協力してその明確な証拠をつかみロシア、北朝鮮の「悪の取引」を止めさせるために全力を尽くすべきだ。

 令和版「悪の枢軸」の中朝露3国が、日本の脅威になっていますが、北朝鮮は核しかないことがはっきりしています。そして米韓に盾になってもらいましょう。ロシアはまさかウクライナ戦争の終結を待たず、日本へ攻撃という両面作戦はないでしょう。たとえ終結したとしても疲弊した戦力ではそれも難しい。問題は中国です。

 いくら中国経済がここに来て停滞の様相を帯びているにしても、日本を遙かに上回る底力があり、かつ軍事力は桁が違います。核ミサイルも豊富にある現状から、日本が2027年にGDP2%の軍事費を達成しても、到底及びません。そこは日米同盟を軸にクワッドの枠組みで強固な協力関係を持つと共に、核共有も早急に実現しれなければならないでしょう。将来的には核保有も視野に入れる必要もありそうです。

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2022年12月18日 (日)

今進行中の円安のメリットを生かし、「製造業の国内回帰」を積極化しよう。そのためには電力コストの引き下げが必須

S_221073 一時は1ドル150円台をつけた円安、ただ今月17日朝の時点で136円後半と、やや持ち直してきています。これはアメリカの利上げペースが0.75ドルから0.5ドルと、ややペースダウンしたことが大きいとされています。それでも年初に比べれば20円以上円安に振れたことになり、その影響が食料やエネルギーの輸入価格を押し上げる要因になっています。

 しかし悪いことばかりではありません。円安は相対的に日本の物価が、海外(正確に言えばドルをはじめ円に対する通貨が高くなっている国)より安くなっています。端的な例が外国人観光客へのメリットでしょう。輸出企業にも恩恵があります。更に言えば賃金も相対的に下がっていることになり、安い賃金を求めて海外に進出した企業の国内回帰のインセンティブが働くことにもなります。

 それについて産経新聞の正論欄に寄稿した、産業遺産情報センター長で元内閣官房参与の加藤康子氏のコラムを見てみましょう。タイトルは『製造業の国内回帰を支援しよう』(12/16公開)で、以下に引用します。

米国の中間選挙が終わり、利上げペースが減速するなか、円安傾向に変化が表れている。この数カ月、政府・日銀は何度か、ドル売り・円買い介入など円安対策をしてきたが、円安は日本にとってマイナスばかりではなかった。むしろ追い風である。

円安でものづくり国内回帰

7月に財務省が発表した国の一般会計の税収は67兆379億円と2年連続過去最高で、法人税は2兆4082億円増である。日商会頭に就任した三菱商事相談役の小林健氏が記者会見で「企業の製造拠点を日本に呼び戻す」と発言していたが、日本のものづくりは少しずつ国内回帰している。

安川電機は国内生産比率を50%以上に引き上げ、キヤノンは栃木に半導体製造装置の工場をつくる。アイリスオーヤマも国内生産にシフト、ワールドは岡山工場に生産を移転、JVCケンウッドもカーナビを長野で生産する。ダイキン工業も日本でのエアコン生産を検討している。

国内企業が集まり次世代半導体新会社ラピダスが政府肝煎りで誕生、外資ではTSMCが熊本に半導体の製造拠点をつくり、グーグルも1000億円で千葉にデータセンターをつくる計画である。

日本政策投資銀行の地域別設備投資計画調査をみても今年度、製造業の設備投資は全国で前年度比30・5%増の高い伸び率を示した。北関東甲信越地方では前年度比51・8%増、特に茨城は68・3%増と加速している。このまま円安が続けば、製造業の工場新設や生産施設の増強は確実に進む。

国内回帰の背景には、さらに地政学的なリスクや中国のゼロコロナ政策などに起因したサプライチェーン(供給網)の見直しがある。円安が定常化せず円高に振れることは懸念材料であるが、生産調整を余儀なくされる中国リスクが続くなかで、企業関係者はこの傾向は加速すると予測している。

今は経済回復の好機であり、こういうときにこそ日本に帰ってきた製造業をしっかり支援する仕組みが必要である。

安価で安定した電力必要

日本を取り巻く地政学的条件は変わらない。日本はエネルギーの自給率が低い資源小国であり島国である。欧州のように、電力が足りないからといって、隣国から借りるわけにはいかない。日本が豊かであり続けるためには、GDP(国内総生産)の20%以上を担う製造業のための、安価で安定した電力が必要である。

電力多消費産業では、電力と水は工場立地の重要な要素であり、再エネを主電源にしようという政治勢力、脱炭素の圧力による火力の抑制、反原発によって電源開発が進まないことはカントリーリスクであった。原発の建て替えや、次世代革新炉の開発を後押しする政府の発表は未来の経済活動に一縷(いちる)の望みを与えたが、岸田文雄首相はGX(グリーントランスフォーメーション)会議で、再エネ、省エネと原子力の3つの柱をエネルギー政策に掲げた。

だが再エネと省エネではわが国の経済は賄えないことをもう一度再認識すべきである。国内に回帰する製造業のためにも、経済成長を見越した十分な予備電力の準備が必要である。健全な産業活動と暮らしの安定のためには、電気料金をまずは下げる必要がある。

ロシアのウクライナ侵攻以降、欧州各国は自国のサバイバルのためにエネルギー政策の方針を転換した。ドイツやオーストリア、オランダなどは石炭火力を復活し、英国やフランスは新規の原発に取り組む。中国は原発も100基体制を見据え開発を進めるが、国連気候変動対策会議COP27では石炭火力の拡大を宣言した。

経済V字回復へ政治決断を

日本政府はどうか? 前政権の下で進めた2050年カーボンニュートラルを堅持し、電化政策にアクセルを踏みつつ、節電を訴えている。日本のインフレ率は欧州ほどではないものの、電力会社が相次いで報告する電気料金の大幅値上げに、庶民の台所は厳しさを増している。産業用電気料金(円/キロワット時)をみると、今年12月に30・23と、2013年の13・65の2倍以上に跳ね上がっている。

経済産業省の報告書では、電気の生産に必要な発電原価(円/キロワット時)は軽水炉11・5、太陽光事業用12・9、同住宅用17・7、洋上風力30・3、陸上風力19・8である。太陽光は原発より高く、雨が降った日や夜間には十分な電力がない。不安定な電力を火力発電所や、蓄電池で補わなければならない。発電原価には、バックアップ電源である火力や高コストの蓄電池の数字が入っていない。

日本は将来の経済成長を見据えて、まずは国民経済を優先し、エネルギー政策を転換するタイミングである。次世代の経済成長を真に願うのならば、発電効率が悪く安定供給のできない再エネ依存を減らすべきであろう。日本がアジアの新興国や中国と競争するなかで、地政学リスクと円安の好機を利用し、経済のV字回復を目指す絶好のチャンスである。今こそ政治の決断が必要である。

 加藤氏のこのコラムでも記述されていますが、製造業の国内回帰への最大の課題は電気料金です。福島原発の事故がきっかけとなったとは言え、その後の過剰なまでの原発の安全規制で、多くの稼働可能な原発が止められています。発電コストの安い原発を稼働させなければ、世界最高レベルの電力コストが製造業をはじめ全産業、そして家庭をも苦しめます。

 国内回帰支援の第一は、電力コストの削減、そして多くの優良技術者の輩出です。半導体先端技術の話は前回取り上げました。そしてそれ以外の人材についても次回以降取り上げようと思いますが、何れにしてもこの問題は日本の教育に多くを依存する課題です。その課題解決には前川喜平氏など、トンデモ官僚を輩出した文科相の大幅改革が必要でしょう。

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2022年12月17日 (土)

平成政治の大失策、ものづくり産業政策の放棄が先端半導体崩壊の最大要因。「Rapidus」が救世主となるか

1647923628_rectangle_icon  先日このブログで、次世代半導体のコンソーシアム「ラピダス」の記事を取り上げました。1980年代、日本は家電、ゲーム、自動車、半導体、鉄鋼、化学、いずれも世界の先端を走る経済大国で、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」との勢いの元に、アメリカをも席巻する勢いのあったことをご存じの方も多いでしょう。

 だが今ではゲームと自動車を除いて、世界に冠たる産業はなくなってしまいました。家電や半導体も中国や台湾、韓国の後塵を拝するまで落ちぶれてしまっています。何がそうさせたのでしょうか。

 いずれにしても、この中で特に半導体は、今後の国の浮沈を担うと言っていいほど、戦略的に重要な産業です。それは他のすべての産業を支える核となる部品であり、国家防衛に必須の戦略兵器にとっても、主要な機能の一部を構成するからです。

 情報学の専門家である伊東乾氏が、JBpressに寄稿したコラムに、日本の先端半導体の浮き沈みと、今後の課題を記述していますので紹介します。タイトルは『ウクライナ戦争は「電子立国日本」を再生する最後のチャンス 国産半導体「Rapidus」の成否を握る人材育成に全力挙げよ』(12/15公開)で、以下に引用します。

 12月13日、先端半導体の新企業「Rapidus」が、国産半導体の量産化に向けIBMとの共同開発を発表する記者会見を行いました(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221213/k10013921611000.html)。

 社長の小池淳義氏は早稲田大学大学院から日立製作所に入社、東北大学大学院で電子工学の学位を取得。日立OBの方からは、小池氏がエンジニアの中のエンジニアだとうかがっています。

 しかし、悲しいかなNHKの報道は、例によってですが、表面すらも撫でられておらず、何を言っているのかさっぱり分かりません。

「トヨタ自動車やNTTなどが出資するRapidusは2027年をめどに先端半導体の量産化を目指していますが、日本には現在、そのための技術がありません」

「新会社では、今月6日にベルギーの研究機関とも技術協力に向けた覚書を交わしていて、優れた技術を持つ海外勢との連携を積極的に進めようとしています」

 この2つのセンテンスで、何か意味ある内容を把握できる読者がいるとすれば、関係者か超能力者でしょう。

 官僚が書くプレスリリースが無内容なのは、その官僚自身が内容を理解していないことに原因があることが大半です。そのプレスリリースを書き写したような報道には報道機関としての責任感が全く感じられません。

 そもそも、この文章中にある「優れた技術を持つ海外勢との連携」という記述からして社会常識を欠いて無意味です。

 普通、先端技術を持つ企業や研究機関は海外に技術漏洩するのを極度に警戒します。どうしてそうした海外勢との連携が図れるのか、と真っ先に疑問が生じます。

「ベルギーの研究機関」ではなく、なぜ「世界の先端大学が協力して超微細電子工学と情報技術分野で世界を牽引するする「Interuniversity Microelectronics Centre(IMEC)大学際微細電子工学研究センター」と書かないのか。

 関連する内容を扱っている大学の一教官として極めて不本意です。

 また、「日本には現在、そのための技術がありません」の文章に至っては、あまりに間抜けな話です。技術がないのにたった5年でキャッチアップできるのでしょうか。

 日本は1980年代「電子立国日本」だったはずです。どうしてそれが「技術がありません」にまで零落したのか。

モノづくり産業政策を放棄した日本

 この謎を解くカギは2000~2001年「同時多発テロ」直前頃の政策転換にあります。

 この時期、日本は米国から毎年「年次改革要望書」を突き付けられるようになります。官僚はこぞって、これに沿って政策案を書けば国会を通過しました。

 私は1999年、東京大学に着任したので、このありさまをリアルタイムで見るのみならず、御用学者の末端として、研究教育の政策立案にも携わりました。

 正確には「産業政策」周りを回避して、基礎研究、教育だけに集中するように自らの道を選んだ。何しろあまりにもひどい内容だったから。

 一言でいうと小渕恵三政権末期から森喜朗、小泉純一郎政権初期にかけて、日本は独自の「ものづくり産業政策」を放棄したわけです。

「もはや輸出などと言っている時代ではない」「これからは内需拡大、インバウンド重視」など、旗印は結構なのですが・・・。

 世界に冠たるシェアを持つ商品や産業は、ごく一部の例外(車やゲーム、アニメなど)を除いて、ことごとく消えてしまった。

 半導体は日本で育った技術が完全に芽を摘まれ、移植された先の韓国サムスンや台湾TSMCが天下を取りました。

 かつては「電卓戦争」で熾烈な争いを勝ち抜いた「ビジコン」東北大学出身の嶋正利が世界で最初のマイクロプロセッサを設計し、マルチウインドウ型のOSも大阪大学でその原型が開発されたはずでした。

 しかし嶋さんのチップは発足したばかりのベンチャー、米インテルが製造、マルチウインドウ型OSも米アップルとマイクロソフトが独占してしまった。

「技術で勝ってビジネスで完敗」が20世紀末年日本のパターンでした。

 その技術も根絶やしにされかかったのが、21世紀に入ってからのここ20余年だったわけです。

 皮肉なことに2022年、ウクライナで戦争が勃発、米中関係を軸に東アジアにも各種の緊張が走る中、むしろ台北やソウルよりは人件費が安くなってしまった日本の地方で、自由主義圏のモノづくり復活というのが、グローバルに見た日本の現状と言えるでしょう。

 では20世紀「電子立国日本」当時と、21世紀第3ディケードの今日と、エレクトロニクスは何が変化し、日本は「その技術がない」状況になってしまったのか?

 一言でいうなら「ナノテクノロジーものづくり(ファブリケーション)」を支える「ヒト」「基幹技術」そして「設備と組織」が「ない」のです。

 そこで、ここ20年「IT」だ「データ・サイエンス」だと表層的な情報応用に執心して、日本が完全に乗り遅れてしまった「ナノテクもの作り」について、端的な例を挙げて物性物理の観点から平易に示してみたいと思います。

「ナノテクもの作り」に乗り遅れた日本

 Rapidusの記者会見に先立つこと4日の12月9日、世界最大手の半導体受託生産メーカTSMC(台湾積体電路製造)は、3nm世代のCMOSロジックLSI製造技術の確立を発表(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07475/)しました。

「新しい3nm世代LSIは、トランジスタとしてFin-FETを採用、配線は15層でシングルパターンのEUV極端紫外線露光装置でエッチング」などとプロセシング用語を並べてもわけが分からなければ意味がありません。

 トランジスタというのは「スイッチ」です。

「ゲート電極」に電位が掛かると「ソース電極」と「ドレイン電極」の間にチャネルが開かれ電気が流れる。

「ゲート信号によって、ソース→ドレイン間の電流を制御するスイッチング素子」というのがトランジスタの実体です。

 これを単位に論理回路を組み立てることで、CPUやメモリーなどの半導体素子、チップが作られます。

 一言でチップといっても、種類は様々で、すでに確立されているGPUから、私たちがいま創成を目指している「脳型半導体(ニューロモルフィックLSI)」など、種類は豊富です。

 今日、多くの半導体素子が電界効果トランジスタ「Field-Effect Transistor(FET)」と呼ばれるシステムを基本ユニットとして採用しています。

 これはゲート電極にかけた電圧(電界)が半導体内部の状態を変化させ、電気が流れたり流れなかったりを制御する仕組みになっている。

 発明された当初、FETはゲート電極「面」がソース~ドレインに「面」で密着して「電界効果」を与えていました(図のPlanar FET)。

 これを薄型化することで、高速で動作するFETを作ることができます。

「ナノ薄膜」加工によってFETのサイズは数十ナノメートル・スケールまで極小化し、低いスイッチング電位、低消費電力で高速動作する素子を作ることができました。

Planar FET、Fin-FETとGAA

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 ところが、一定以上サイズを小さくしてしまうと、ソースとドレインの間が近づくためにゲートが本来の「扉(gate)」の役割を果たさなくなり、ショートしてしまうなどの難がありました。

 この点を克服するためゲートとソースの接触面積を増やしてスイッチング素子としての性能を高めたのが「Fin-FET」背びれ型電界効果トランジスタと呼ばれる、ナノファブリケーションです。

 それまで膜面を2D積層していたナノ薄膜形成を「3D」化し、3面で接することで、0.5Vの動作電圧でも作動する、高速半導体素子の創成に成功しました。

 現在では「Fin FET」が最先端半導体では主流になっています。

 つまり「半導体ナノシート」のプロセシングで実用に供する歩留まりが出ているといことになる。

 しかしこれがうまくいったのはスケール5nmまでで、4nm以下では動作電圧を下げにくいことが分かり、さらなる高速化に向けてサムスン電子などが注力したのが「Gate All Around(ゲート・オール・アラウンド=まわりがゲートだらけ)」という新しい構造でした。

 一番右に描いた図で分かるように、ゲートの中に直径1ナノメートルほどの、極めて細いソースやドレイン「細線」が埋め込まれています。

 だから「まわりがゲートだらけ」となり、より低い動作電圧でも正確に作動するのです。

 ただ、導線の断面積が小さいので電流量が稼げない。

 そのマイナスを補うために細線が並列つなぎになっている。これがGAA構造と呼ばれるもので、実用に供する歩留まりで「ナノワイヤー」を製造する技術が求められます。

 そして、これらの技術が「日本にはない」。

 冒頭のNHKの報道だけでは、わけが分からないのは、こうした「ナノテクノロジー」の精密なアプリケーションの認識が一切ないまま、ただ単に「最先端」の何のと、意味の希薄な代理店的惹句を並べて終わっているからにほかなりません。

 また、プロでないと気付きにくいですがTSMCの12月9日リリース(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07475/)ではFin-FETの構造で3nmスケールを実現したとしている。

 これは従来はできなかったのではないか・・・という物質科学、材料物性の議論を無視した考えになります。

 量子細線は顕著な物性を持ち、高速で動作もしますが、何分扱いが面倒で歩留まりにも難しい面が考えられる。

 その点「Fin 背びれ」は十分枯れた技術になっており、側面積が広いだけでなく断面積も稼げるので、すでに実用に供している。

 Finでの3nmの背景には、知財としていまだ伏せられているのかもしれない物性物理の成果、量子力学的な効果が秘められている可能性も考えられます。

 という、こうしたモノづくりの全体を「2027年までに」「日本で」「実現」できるかと問われたとき、言えるのは、まず先進圏(この場合は台湾や韓国)から技術委譲を受けながら、それを活用できる「人材」活用の有無が、成否を分けると言えるでしょう。

 先に結論を記します。

 現在の日本の半導体モノづくりは、国策の変化に伴って20年にわたってシステムと人材、そして人材育成のスキームを完全に破壊、根絶やしにしてしまいました。

 歴史と伝統を誇るはずの旧帝大工学部電気電子工学科でも、もはやアナログ回路を教えなくなってしまった。

 カリキュラムは「データ・サイエンス」一辺倒。企業の求人ニーズはそちらにある、というのですが・・・。

 その実は、数年で使い物にならなくなる浅い統計応用、その表層を撫でさせただけで社会に送り出される学生の割合を増やしているだけ。

 いま、我が国で独自の集積回路を設計、実装できるしっかりした「ナノテクもの作り」の人材育成システムは、本家本元の大本山でも、少数の例外を除いて、現在はほとんど稼働していない状況なのです。

 単に「先進国」台湾・韓国に頼るのでなく、日本が半導体モノづくりで再生するか否かは、「人づくり」、2027年の新卒や現在10代・20代以下の若者をどう育ていかにしてモノ作りのプロとして世界で戦える学術技術戦力にブラッシュアップするかに掛かっている。

 それは2010年代までの目新しそうなスキーム(例外なく失敗し続けてきました)ではなく、本命再登場、保守本流「電子立国日本」の新たなオーソドキシーである必要があります。

 しかし、国内を改めて見渡せば、2009年以降、日本の高等学校では行列も複素数もまともに教えていないという亡国の人材欠乏の実態がある。

 高校で複素数を教えず、大学でも実数化したコンピューターの計算で間に合わせているから、かつてはアマチュア無線少年だって通暁した「複素関数論」は完全に学生たちの手に余り、演習のテストでは零点平野のほうき草。

 その複素関数論を駆使する交流理論など、LSI設計に必須不可欠な電子回路技術は「算数」のレベルから人材が払底し、日本は到底自前のチップを設計実装不可能になり、かつての「負うた子」韓国・台湾の後塵を完全に拝する立場まで零落し、人材面からの立て直しに見通しはありません。

 足腰が「弱い」のではない、自力で歩ける足がないのです。超スローモーなカタツムリ、ナメクジ状態。

 そんな若い世代を作り続けてしまった「ゆとり以降」の教育制度「怪革」まさに国難と指摘せねばなりません。

 過去30年ほどの文科省初等中等局スタッフOBOGには深刻な反省を求めねばならないでしょう。

 この国難をいかにして乗り越えていくかについては、稿を改めて現実的な施策を考えてみたいと思います。

「モノづくり大国」として、戦後の焼け野原から25~40年ほどで「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界に讃嘆された「電子立国日本」を再生する上で、ウクライナ戦争の続く2022~23年は最大で最後のチャンス、転機を迎えていると思います。

 専門家の記事はわかりにくいですが、伊東氏の言わんとしていることは分かりますね。「ヒト」「基幹技術」そして「設備と組織」が「ない」日本が、果たして「ラピダス」を皮切りに、再生を図れるか。それは極めて困難な課題でしょう。

 台湾のTSMCは2021年、研究開発費を5490億円投じたと明らかにしています。日本のトップ企業トヨタは1兆円を上回っていますが、富士通は1千億円前後、NECも1千億円強ですのでその額が桁違いだというのが分かります。コンソーシアムを組み、政府が開発援助を進めなければ、とてもTSMC並の開発費は投入できないでしょう。

 それにしてもこの失われた30年間に、政府の物作り戦略の瓦解が、有能な「ヒト」の流出と技術者再生の頓挫、「基幹技術」の失速、そして「設備と組織」の崩壊を招いた罪は重いと言えます。それを回復するには、現在進行中の防衛費の大幅増額と共に、研究開発支援の抜本的底上げが必要なのは、自明の理だと思います。まさにウクライナ戦争で沸き起こった危機感が、そのきっかけを与えたと言っていいでしょう。

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2022年12月16日 (金)

日本国内で原発処理水を「汚染水」と呼ぶのは誰のためか?日本を蝕む反日メディアの正体を明らかにする

2_20221215171601  少し前になりますが今年の7月22日、東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける「処理水」を海に放出する東電の計画について、原子力規制委員会が、安全性に問題はないとして正式に認可しました。

 これにより政府と東電は、来春の放出開始を目指しています。しかし中国、韓国がこの決定に反発、処理水を汚染水と呼びその決定に多くの批判を浴びせています。まあこれは、内政干渉の域を出ないのでそれほど気にすることはありませんが、日本の政治家やメディアが国益を完全に無視し、同様に汚染水として批判しているのです。

 その実態をフリーランスライターの林智裕氏が、現代ビジネスに寄稿しているので紹介します。タイトルは『原発処理水を「汚染水」と呼ぶのは誰のためか…?「風評加害」を繰り返す日本の「異常なジャーナリズム」に抗議する』(12/12公開)で、以下に引用します。

「海洋放出が最も安全かつ妥当」な理由

『新基金は500億円、原発処理水放出の風評対策 漁業者の理解は』──。

2022年11月4日。朝日新聞は、東京電力福島第一原発から来春に海洋放出されるALPS処理水の風評被害対策費として、政府が500億円規模の新たな漁業者支援基金をつくることを報じた。

福島第一原子力発電所では、建屋内で放射性物質に触れた汚染水が発生し続けている。これを暫定的に貯蔵するタンクが敷地内に林立し、廃炉作業の大きな障害になってきた。

もっとも、これらを処分せず溜め続けた理由は技術的な問題では全くない。事故当初と異なり、すでに何年も前から汚染水は多核種除去設備(通称「ALPS」)を用いることでトリチウム以外の放射性物質を規制基準以下まで浄化することが可能になっていた。残るトリチウムは非常に弱いベータ線を出すものの、充分な希釈でリスクは無くなる。

そもそもトリチウムは自然界でも常に生成され続けており(年間約7京ベクレル)、飲用水、人体などあらゆる水の中、もちろん放出先の海水にも元々存在している。体内などに蓄積されてリスクが高まることも無い(仮にリスクを高めるほど蓄積する性質ならば、そもそも分離・除去も容易である)。

そのため、トリチウムは世界中の原子力施設でも日常的に海洋、あるいは大気中に放出処分されてきた。

参考までにフランスのラ・アーグの例を挙げると、2015年の1年だけで1京3700兆ベクレルのトリチウム(なお、福島第一原発のタンクに存在するトリチウムは、総量でも約1000兆ベクレルに過ぎない)を海洋放出している。当然ながら、これらを原因とした環境汚染や健康被害が科学的見地から示された例も全く無い。

国はこうした状況を踏まえながら専門家の英知を集め、長年にわたって「トリチウム水タスクフォース」及び「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」で処理水の処分方法を検討してきた。

結果、改めて「諸外国と同様の海洋放出が最も安全かつ妥当」との結論に達している。

そもそも海洋放出が進まなかった理由は、風評被害を懸念した「配慮」によるものだ。ただし、そうした「配慮」は結局、あらゆる問題の悪化と先送りにしかならなかった。

林立するタンクは敷地を圧迫して廃炉作業の大きな障害となっている上、1基あたり億単位の莫大なコストもかかっている。挙句、使用後は巨大な放射性廃棄物になるため処分も容易ではない。

さらに、タンクはあくまでも一時保管を目的に設計されているため、一般建築物に比べて耐震性も不十分で、災害や老朽化で不完全処理の貯蔵水が漏れるリスクもある。

一方、それら不条理なリスクと負担を現場と地元に強いてまで稼いだ時間で得られたのは、社会の理解どころか「処分不可能なほどに危険だからこそ溜め続けている」に類した新たな誤解と風評ばかりだった。

そこで2021年春、菅義偉内閣がようやく海洋放出を正式に決定した。冒頭の報道は、その道筋を改めて示したものと言えるだろう。

執拗に繰り返された「風評加害」

一方で、風評問題は、原発事故から間もなく12年にもなろうとする今でさえ根深い。それは政府が新たに500億円規模の基金を用意せざるを得ない状況からも明らかだ。

言うまでもないが、先述の「配慮」も含めたこれらの対策費は、最終的には我々の税金や電気代から供出されると言っていい。無論、賛否にかかわらず、日本に生きる全ての人は必ず何らかの形で原発の恩恵を受けてきた以上、一定の負担はやむを得ない。

しかし何故、ここまで風評対策コストが跳ね上がってしまったのか?

その理由は、政府や福島県が情報発信を怠ったためではない。それらの伝達を妨害してきた「風評加害」にこそ主因がある。

「風評加害」とは何か?

それはたとえば、事実に反した流言蜚語を広めたり、明らかになっている知見を無視したり、既に終わった議論を蒸し返したり、不適切な因果関係をほのめかす印象操作や不安の煽動、正確な情報の伝達妨害などが挙げられる。

いずれも復興を阻害してきた核心とさえ言えるものだが、これらを故意に繰り返してきた人々も少なくない。

たとえば処理水問題について、復興庁は「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」としてHPを作成公開し、資源エネルギー庁は「復興の後押しはまず知ることから」のチラシをそれぞれ全国の学校に配布するなど積極的な周知活動を行ってきた。

さらに、処理水に関する審議会や現地での説明会、公聴会も繰り返されてきた。その回数は2021年の1年間だけでも数百回に及び、漁業関係者など現地の利害関係者が参加しての相互協議も行われた。

ところが、「当事者に寄り添い」「風評被害を心配して」海洋放出に反対していたはずの一部マスメディア、政党と政治家、著名人らは、処理水の「汚染水」呼ばわりを執拗に繰り返した。

まさに「風評加害」と呼ぶに相応しい行為であるが、具体的には東京新聞や朝日新聞などのメディア、政党では共産党、社民党、立憲民主党、れいわ新選組とその関係者に加え、中国共産党の動きも目立つ(根拠となる統計データがあるので、詳しくは後述する)。

風評対策費が莫大になった責任は、彼ら「風評加害者」にこそあるのではないか。

中には、「説明や風評対策が足りない」「国民の理解が進んでいない」に類した批判を散々繰り返しておきながら、国民の理解浸透や風評払拭を目的とした科学的情報の発信を妨害するケースまで見られた。

実は、それらしい理由を付けて正当化しながら、事実上風評払拭を「キャンセル」しようとしてきた動きは枚挙に暇が無い。

たとえば前述の復興庁HPは「トリチウムのイラストに顔が描かれていた!不謹慎!」などと本筋と無関係な言いがかりを付けられて炎上し、資源エネルギー庁のチラシには「政府の考えを一方的に押しつけるのは許されない」(共産党)等の科学的事実とは無関係なクレームや配布方法への難癖を付けられ、回収や破棄まで求められている。

『「トリチウム」をゆるキャラ化? 復興庁、批判受け削除』(朝日新聞・2021年4月14日)

『「原発の処理水は安全」国が学校にチラシ直接配布 回収する自治体も』(朝日新聞・2022年2月22日)

『汚染水“安全処分”と学校にチラシ 岩渕氏抗議「回収を」 各省から聞き取り』(しんぶん赤旗・2022年2月5日)

この事件とその意味については、小島正美氏の記事『処理水のチラシ配布に見る国の「ひ弱さ」とメディアの傍観主義の行く末は?』に詳しいので、ぜひご参照頂きたい。

また、2019年にも復興庁が風評払拭のために製作したCMが多数のテレビ局から放送拒否された。CMは「福島の今」を伝える当たり障り無い内容に過ぎなかったが、放送した局は全国で僅か3割程度に留まる。

他にも同年、文科省が全国の学校に配布した放射線副読本に非科学的なクレームが付けられて回収・破棄される騒動も起こった。

これらの事例は、現代ビジネス記事、

『原発「処理水」を、なぜマスコミは「汚染水」と呼び続けたのか』

『正しい情報は邪魔? 8年経っても「福島の風評払拭」が難しい背景』

に加え、3月に上梓した拙著『「正しさ」の商人』でも詳細に記録したが、いずれも氷山の一角に過ぎない。

もはや「風評払拭を妨害している勢力」の存在は明白と言えるだろう。

そもそも「被害」があるからには当然、対となる「加害」もある。ところが、行政も報道も風評問題が深刻と繰り返し強調しておきながら、その発生要因と「風評加害者」の実像にあまりにも無頓着では無かったか。

何故、彼らは風評の拡大や温存を望むのか。主な動機は大きく分類して3つ挙げられる。

1.反原発や政権批判などの政局(政治闘争)

2.災害と不安に便乗した詐欺ビジネス(悪徳商法)

3.自己顕示欲や逆転願望、陰謀論等(承認欲求)

これらを動機や目的とした場合、非日常と社会不安の温存、つまり「原発事故被害の拡大・長期化」こそが利益に繋がることに留意する必要がある。

こうした実情を考慮せず、風評の「加害者」像すら曖昧のまま「消費者と流通業者に正確な情報が届いていない」「正確な情報さえ伝われば誤解や偏見が解ける」かのような前提、社会の善性に依存しきった従来の情報発信だけでは、意図的・確信的に風評の拡散を狙った「風評加害」に全く対応できなかったのも当然と言えよう。

「汚染水」呼ばわりしてきたのは誰か

では、それら「風評加害」の発生源はどこにあるのか。

一つの参考として、前述の「汚染水」呼ばわりを繰り返していたのが具体的に誰なのかを調べたサイトがある。以下の記事では2020年~2022年にかけて、処理水に対し「汚染水」表記をしていたメディアが具体的にまとめられていた。

⇒「処理水を汚染水と呼ぶ新聞はどこ?」(晴川雨読 2022年05月07日)(https://seisenudoku.seesaa.net/article/487794859.html

さらに、同サイトでは、ツイッター上の認証アカウント(本人や組織の公式であると認証されているアカウント)のみを対象に、2019/11/19~2022/11/18 の3年間に「汚染水が海洋放出される」かのようなツイートを誰が行い、それぞれの「いいね」やリツイート、リプライの数など反響がどの程度だったのかも調べられていた。調査条件と結果は以下の通りだ。

【調査条件】

・認証アカウントが対象

・ツイートの期間は 2019/11/19~2022/11/18 の3年間

・「汚染水」をキーワードに検索。PFASなど関係無い汚染水は中身を見て除外。

・単に記事のタイトル・URLをそのままツイートしたのは対象外。ただし、同じ所属が作った記事の場合は対象とする。

・ポータルサイトは、その意図がくみ取れないので対象外

・「原発汚染水。海洋放出反対。」のように、処理前の汚染水か処理後か判断できないものなどは対象外。「汚染水海洋放出反対」は汚染水を放出と言っているので対象。

・調査者をブロックしている人(津田大介氏など)は検索に出てこないので対象外。

⇒「汚染水が海洋放出されるとツイートする認証アカウント」(晴川雨読 2022年11月20日)https://seisenudoku.seesaa.net/article/493673869.html?fbclid=IwAR1qdrJmi2e7FtnJ6Rhb1entZPeA4pqqLGf4U5uq0D3GZsjjn6oRx6gTLSU

さらに、

・フォロアーが1000人以上のアカウントが対象。認証アカウントに限定しない。

・「いいね」が100以上

の条件でも調べると、以下のような結果が得られたという。

⇒「汚染水が海洋放出されるとツイートする影響のあるアカウント」(晴川雨読 2022年11月27日)https://seisenudoku.seesaa.net/article/494030539.html

繰り返しになるが、ALPS処理水の海洋放出が「汚染」をもたらす事実は無い。

さらに、今や国際原子力機関(IAEA)の査察を経たことで海洋放出の安全性と妥当性の裏付けはより強固となっている。IAEA査察メンバーには福島の処理水放出に強硬な反対を表明している韓国、中国、ロシアの研究者も含まれていたが、彼らから問題が指摘されることも無かった。

ジャーナリズムの役割とは何か?

つまり科学的結論はすでに強固であり、ALPS処理水を「汚染水」呼ばわりする正当性は皆無だ。

それでもなお、仮に「一度でも汚染されたモノにデータや成績など関係ない」「福島であることが問題」とでも言うのなら、同様の論理を人間の出身地や身分、性別、人種、国籍、病歴などに当てはめてみるべきだ。独善的かつ執拗な「汚染水」呼ばわりが何を意味するのかは、言うまでも無いだろう。

処理水問題に限らず、東電原発事故ではこれまでも科学的事実に反した風評加害が繰り返されてきた。それらが引き起こした被害は冒頭で述べた「風評対策コストの増加」以外にも多岐にわたるが、最近では実態の具体的な分析も出始めた。

たとえば、この記事ではどのような言説がいかに当事者を追い詰めたのか、具体的な事実が克明に記録されている。

『災害時の不安と危機感から発生した攻撃衝動/首都圏からの自主避難者研究』(加藤文・2022年11月28日)

こうした深刻な問題が何故、社会で大きくクローズアップされてこなかったのか。特に国政政党や政治家までもが「風評加害」に加担してきた事実は、本来であれば巨大スキャンダルとして責任が問われるべきだろう。

なのに何故、報道は問題視すらしないのか?

理由は様々にあるだろうが、「ジャーナリズムの機能不全」が一因として疑われるのではないか。それを示唆するのが、世界的なジャーナリズム団体であるワールド オブ ジャーナリズム(Worlds of Journalism)が加盟66ヵ国のジャーナリストに行った「ジャーナリズムの役割として重要と考えるもの」における調査結果だ。

Country reports – WJS2 (2012–2016)https://worldsofjournalism.org/country-reports/

先日ツイッター上でも話題になっていた、各国(米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国、日本)それぞれの回答比較を実際に見てみよう。

<主な国のジャーナリストの回答(自分の仕事の中での各項目の重要性を"extremely important" "very important" と答えたジャーナリストの比率)を並べて色つけしてみた。それぞれのお国柄はあるけど、それにしても日本のジャーナリズムの異様さがいくつか際立ってるhttps://t.co/nY1TxT20Yw pic.twitter.com/oPf7dD4VbC

— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022)>

「事実をありのままに伝えることが重要」と回答した比率は欧米が全て90%以上であるのに対し、日本は65.1%に留まった。これは中国83.8%、ロシア78.7%よりも低く、比較した各国で最低のスコアだった。

また、「人々が意見を表明できるようにする」も米国76.6%、ドイツ72.1%、ロシア59.2%、中国59.8%に比べて日本だけが24.3%と極端に低い。

反面、最も重視するのは「政治リーダーを監視・精査する」(90.8%)「時事問題の分析を提供する」(84.7%)「人々の政治的意思決定に必要な情報を提供する」(83.0%)の3つとなっている。

さらに特筆すべき点がある。米国11.3%、英国15.1%、フランス15%、ドイツ9.8%、ロシア18.2%、中国29%に過ぎない「政治的アジェンダを設定する」が日本だけで60.5%と突出し、「事実をありのままに伝える」(65.1%)に迫る勢いとなった。

これらの傾向をまとめると、

<「日本のジャーナリズムは政治リーダーを監視・精査することを最重要視している。権力の監視と時事問題の分析、人々の政治的意思決定に必要な情報提供こそがジャーナリズムと捉え、それは事実をありのままに伝える責務以上に優先される。ただし、人々が意見を表明できるようにすることへの関心は極端に低い。政治的アジェンダ設定も人々に代わりジャーナリズムが主導するべきで、それは事実をありのままに伝える責務に比肩するほど重要な役割と考えている」>

と見做すことも可能だろう。

無論、この調査自体の信頼性や妥当性に議論の余地は残る。しかし、仮にこの傾向を原発事故の風評問題に当てはめてみれば、

<「日本のジャーナリズムは政治リーダーを監視・精査することに拘泥して恣意的なアジェンダ設定を繰り返しては世論を誘導し続けた。それらに不都合な事実は伝えず、それに伴う被害や当事者も蔑ろにされ、深刻な風評加害や人権侵害が問題視すらされず放置されてきた」>

という可能性も、否定できないのではないか。

<署名!

今日1日に行われたシンポジウムでは、汚染水の海洋放出や働き方改革などの報道でNHK がいかに政府よりの報道重ね、福島県民や働く人々の声、野党の指摘が報道されなかったが説明された。

民主主義のためにも政府に忖度しない会長を

前川喜平さんを次期NHK会長に! https://t.co/yRAnhB8OF9 pic.twitter.com/deSWEbS9y4

— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) December 1, 2022>

執拗に繰り返された、差別的かつ独善的な「汚染水」呼ばわりは一体「誰のため」なのか──。福島に生まれ、育ち、暮らす一人の県民として、改めて強く抗議する。

 林氏のこの記事には、日本のメディア(特に反日メディア)の特質が濃縮されて記述されています。つまり彼等の目的は反権力(反保守勢力と同義)であり、この原発処理水の報道に見られるように、その目的のためには科学的根拠は全く無視し、自分たち独自に作り上げた不安材料を、地域の漁民や住民など利害関係者に押しつけ、結果として政府や東電の足下をすくうことが、ドライビングフォースとなっていることです。

 この構造は反原発運動にもそのままつながり、更には米軍基地反対運動、防衛力増強反対運動と一連のつながりを持っているのです。そこには何と中朝韓露の思惑と完全に一致する姿が見えます。

 日本はGHQによる占領下、マスコミ各社に対するプレスコードという強力な報道規制が敷かれ、連合国(米英中ソ等)への批判をはじめ、日本軍の賛美や神道などの日本の伝統に関して、徹底的な否定と遮断を余儀なくされました。また保守勢力の公職追放と軍批判勢力の復帰を進めた結果、メディアや大学、企業組合などが完全に赤化したのです。

 その名残が、いまでも大学やメディアに残っていて、中国に甘い体質となっていますし、南北朝鮮には「自虐史観」の洗礼を浴びせられた政治家たちが、主権を無視して甘い対応をとり続ける結果となって、在日韓国・朝鮮人の横暴を許し、地方政治や学校、放送局への就職を影で推進し、今日に至っています。反日メディアの要因はここにあるのでしょう。

 こうしたいびつな構造がそのまま続けば、日本の弱体化は促進され、それでなくても失われた30年の経済的なダメージが、回復不可能となってしまいます。今こそ日本の国益をしっかり考え、「物言う」ことのできる政治家が出現することを願うのみです。

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2022年12月15日 (木)

藤原正彦氏:国会やメディアが些細なことに正義の旗を振り回し、これに国民が共鳴して悲憤慷慨する日本を憂う

Images-2_20221214145701  最近政治家(特に野党)やマスコミは、議員が旧統一教会とどんな関係があったのかとか、閣僚や政府関係者の不始末や過去の発言などをことさら取り上げて、さも自分たちが警察や検察さながら、見せかけの正義を盾に、国民生活とはほど遠いところで批判や非難を繰返し、悦に入っているように思えます。果たしてこれが国や国民のためなのか、どうもそうは思えません。

 こういった日本の現状に警鐘を鳴らす、「国家の品格」の著者でお茶の水女子大名誉教授の藤原正彦氏が、産経新聞に寄稿した記事を紹介します。タイトルは『正義をふりかざす日本人』で、以下に引用します。

日本人は正義をふりかざすのが大好きになったらしい。国会ではここ半年ほど、どの政治家が旧統一教会とどんな関係があったか、大臣たちの領収書や政治資金に関する不始末などに口角泡を飛ばしている。新聞、テレビ、週刊誌などメディアも持ち前の正義感を発揮し騒ぎ立て、野党は鬼の首を取ったように与党に詰め寄る。ここ数年を振り返っても、森友学園、加計学園、桜を見る会で一年も騒いだり、議員の金や女やポリティカル・コレクトネス(PC)に関するスキャンダルについて探偵ごっこに興じたりしてきた。

国会審議の中身のなさには呆れるが、政治の中枢を担う有能な人材として選ばれたはずの大臣が片端から馬脚を露わすのを見ると、政治家の劣化を思い知らされる。選挙で勝つには金や組織が必要なため、高潔高見識の人は全国津々浦々にいても政治家になるのは難しいのだろう。

どのスキャンダルもケシカランことではあるが、一言で言うとさざ波ほどの出来事ばかりだ。国益や国防にほとんど影響を及ぼさぬどころか、どれも十年後にはすっかり忘れられてしまうような事柄である。国会やメディアがこのような些細なことに正義の旗を振り回し、これに国民が共鳴して悲憤慷慨する、というのが近頃の日本と言ってよい。

正義とはイヤなものだ。これに拘っていると、大きな問題が一向に解決しないからだ。弱者を追いこんでいるグローバリズム、進む一方の少子化、経済成長を二十年余りも妨げている緊縮財政、上がらない労働賃金、外国人労働者の安易な受け入れ、国力の指標となるであろうエネルギーや半導体での出遅れ。教育では愚にもつかぬグローバル人材育成とか小学校英語、国立大学への乏しい予算が招いた科学技術力の著しい低下、など喫緊の懸案が多々ある。とりわけロシアによる十九世紀的なウクライナ侵攻が、この二十一世紀に恥ずかし気もなく行われるのを目の当たりにし、北朝鮮のミサイルや中国による尖閣や台湾への侵攻により、日本が戦争にまきこまれる脅威が現実化しつつあるというのに、自主防衛力の飛躍的向上すら遅々として進まない。敵を攻撃する力がなければ自分を守れない、などということは、私などは幼稚園の頃から知っていた。そもそも国防を担う自衛隊はいまだに憲法九条違反の非合法組織として置かれたままである。

メディアやSNSに依存するばかり

国民が「スキャンダルに戯れているヒマはないはずだ」と怒り出さないのは、国民までもが事の軽重を判断できなくなっているからだろう。自ら考えることをせず、メディアやSNSなどのもたらす情報に全面依存しているからである。

小泉竹中政権の郵政民営化がその典型であった。今から見ると、国民にとって近くの郵便局が消え、国内なら一日か二日で届いた手紙が一週間近くかかるようになっただけのものである。それまで郵政事業は黒字で税金などの投入もなく、民営化する必要などまったくなかったのに、郵貯と簡保の三五〇兆円に狙いをつけたアメリカが、日本に執拗かつ強力な圧力を加えた結果であった。政、官、財、主要メディア、御用学者がアメリカからの「官から民」要求を、無邪気にも盟友からの温かいアドバイスと受け止め一斉に賛成した。メディアに盲従する国民も双手を挙げて支持したから、郵政選挙で小泉政権は圧勝した。かつては郵貯と簡保の百%近くは日本国債で運用されていたが、今や郵貯で五分の一、簡保で二分の一ほどに減らされ、多くが米国債など外国への投資に向けられている。アメリカの狙い通りになった。日本人が汗水たらして貯めた金が国内投資に回らないから、経済成長できないし、地方が疲弊する。郵政改革を支持した人々は、その結果を験証し国民に伝える責務があるのだが、何もしようとしないし反省もしない。だから同じ過ちが繰り返される。

中国やロシアは息を吐くようにアカラサマな噓を吐くが、アメリカは国益のためとあらば、はるかに巧妙な大噓をつく。戦後に限ってもGHQによるWGIP(罪意識扶植計画)という日本人洗脳工作を行った。また給食をパン食とし「米を食べるとバカになる」などというまことしやかな噓を広めたため、日本人の食文化はご飯と味噌汁からパンと牛乳へと一変し、日本の生命線たる米作をはじめとする農業は大幅に潰された。米国の余剰農産物対策だった。

「民主主義こそ」と勝ち誇っているが…

日本人が大事なことに騒がず、つまらぬことにいきり立つ、というのは雑多な情報の中から本質的なものを選択するのが不得意になったということにある。この能力は情報の氾濫する二十一世紀において最も重要な能力の一つと言える。これに欠けると情報の海に溺れてしまう。

戦後、アメリカニズムが我が国に導入され、幸せを最大にするには自由を最大にすること、自由を最大にするには選択肢を最大にすること、という考えが主流となった。この中で人々は途方もない数の選択肢を前に、絶えず決断を迫られている。選択するには土台となる知識や教養が必要だし、自分でよく考えることも必要だ。しかも選択した結果には責任が伴う。選択とは苦痛なのである。独裁者がなくならない一因だ。私だってコーヒー豆を買うときにはモカ、コロンビア、ブルーマウンテン、キリマンジャロなどと面倒だから、「この店で一番売れている豆を下さい」と言うことにしている。

人々は選択が辛いからすぐにメディアやSNSなど手近な情報や見解に頼り、それらに流されてしまう。流されないためには、自分の頭でじっくり考える習慣や考えの土台となる正しい知識と教養、そして惻隠など豊かな情緒が必要である。国のリーダーたる政官財学やメディアにはこれに加えて大局観や歴史観も要求される。これらはすべて読書を通して得られる。世界で進行中の活字離れがこれらに対する致命的打撃となっている。にも拘わらず、読書文化の衰退が人々の知的衰退につながることを憂える声すら、正義をふりかざす声にかき消され聞こえてこない。欧米や日本など民主主義先進国は、人権抑圧で彩られる権威主義国を見て、「民主主義こそ」と勝ち誇っているようだが、民主主義は「国民一人一人が成熟した判断を下せる」という、どの国にとっても達成困難な前提の上に成立している。

大半の学生が新聞さえ読まないというほど活字文化が衰えた昨今、民主主義は急速にポピュリズムに接近してきている。年数をかけず同義となるだろう。そうなった日にも、かつてやれグローバリズム、やれAI、やれデジタルと浮き足立ち、PCや正義をふりかざすばかりで、活字離れのもたらす深刻な災禍に無自覚でいた罪を反省する人はいないのだろう。

 確かに今我々身の回りでは、情報があふれ返っていてその整理が全く付かぬ状況で、何が自分にとって重要かがわからぬまま、トレンドに飛びついている人が多いように思います。それを煽っているのがテレビに代表されるマスコミ。普通の人が見ると、奇をてらっているように思えるコスチュームをまとい、訳のわからぬ流行語をさも自慢げに使っているテレビ人によく出くわします。本人はそれがいいと思っているのでしょうが、何がいいのかよく分かりません。

 一方無差別殺人や傷害、凶悪犯罪も増えています。それこそ何でもできるという、自由が行きすぎた世の中の弊害であり、自己中の最たるものです。「刑務所に入りたかった」はまだしも、「死刑になりたかった」と言う御仁がいますが、死刑になりたいのなら勝手に一人で死ねばいいでしょう。被害者はたまったものではありません。それにこうした加害者に対しては、それこそ政治家やマスコミは、正義を振り翳して徹底的に叩けばいいのですが、票や視聴率につながらないためか、特別な法律を作るとか世論作りに奔走するとか、しているようには思えません。ですからこれからもこうした凶悪犯罪は増えるでしょう。

 つまり藤原氏の言うように、上から下まで何が大事で何がくだらないか、判断できない人があふれた世の中になっているようです。さざ波ばかり追求し、本当の日本が抱える国難に目が届かぬ国会議員がその代表者でしょう。少子化の問題以上に、この国会議員の資質のかさ上げが、大きな課題かも知れません。それはとりもなおさず、選挙民つまり国民の「成熟した判断」が必要なのでしょう。藤原氏はこれを「どの国にとっても達成困難」と言っていますが、残念ながらそうなのでしょうか。

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2022年12月13日 (火)

韓国「世界最低の出生率」更新へ…! 日本よりもさらに深刻な「超少子化」の原因はどこにあるのか

Photo_20221212163101  前回は日本の少子化の問題を取り上げましたが、日本より少子化が進んでいる国があります。ご承知の通り韓国です。韓国人は何かというと日本と比べたくなる民族のようですが、この少子化においては文句なく日本を超えています。もっとも自慢にならないので比較はしていないようですが。

 この韓国の少子化の実態を韓国人ジャーナリストの金敬哲氏が、現代ビジネスに寄稿していますので引用します。タイトルは『韓国「世界最低の出生率」更新へ…! 日本よりもさらに深刻な「超少子化」の原因はどこにあるのか

(図は韓国の合計特殊出生率の推移)

国連加盟国中最下位の出生率

世界の人口が80億を突破した。国連人口局は、公衆保健と栄養、個人衛生と医学の発展による人間の寿命の増加と、一部の国で高く維持されている出産率のおかげだと説明した。国連によると、2021年ベースの世界平均出生率は2.4人で、このまま行くと、世界人口は2037年には90億人、2080年には100億人に増えるものと推測される。

一方、平均出生率が1.1人で、国連加盟198ヵ国のうち198位を記録している韓国は、すでに2020年から人口自然減少(死亡者数が出生者数を超える状況)段階に突入しており、世界で最も速い速度で人口が崩壊している国に指名されている。

ソウル市東大門区(トンデムンク)のある住宅街で幼稚園を運営する筆者の友人は、目下、不動産仲介士資格証の勉強に熱心だ。今年、彼女の幼稚園に入園したのはたった3人で、「新入生ゼロ」という悪夢が現実に近づいたためだという。

「近くにマンション団地がいくつもあるのに子供が少なすぎる。近くの小学校も新入生が40人もいかなかった。マンション価格が高騰し、家賃に耐えられない若者層が大挙引っ越したためだという話もあるが、根本は韓国の出生率が低すぎるところにある。うちの娘たちでさえ、一人が気楽だとか結婚したくないとかで、恋愛すらしてないみたい」

教育部が発表した「2022年教育基本統計」によると、2021の1年間、韓国全域から188個の幼稚園がなくなった。2020年にはソウルで2番目に人口の多い江西区に位置する小学校1校と中学校1校が廃校になり、現在までソウル市内の4校が廃校を予定しているという。

全国的には、小学校の約30%が統廃合基準に該当するという統計もある。韓国の小学校はおよそ6000校程度とみられているので、今後、数年内に1800校が閉校することになる。大学の場合はさらに深刻で、すでに「桜が咲く順に」廃校しているという声もよく聞こえてくる。

廃校が続いている原因は、言うまでもなく、長年にわたって少子化基調が続き、学齢人口が急速に減少しているためだ。

日本よりさらに深刻な少子化傾向

韓国統計庁によると、2021年の韓国の新生児数は26万500人で、韓国女性の合計出生率は国連の統計よりも低い数字の0.81人だった。さらに今年は、4-6月期が0.75人、7-9月期が0.79人と、2四半期連続で0.7人台に低下し、年間の出生率でも0.7人台を記録することが確実視されている。

同じく深刻な少子化に悩む日本でさえ、合計出生率がおよそ1.3人、2021年の新生児数が81万1千人であるから、韓国の事情は日本よりさらに深刻だ。

他にも人口千人当たりの婚姻件数を示す組婚率は日本が4.1件、韓国は3.8件。平均結婚年齢は日本が男性30.4歳、女性28.6歳であるのに対し、韓国は男性33.4歳、女性31.8歳だ。女性の平均出産年齢も日本が30.9歳、韓国は33.4歳など、すべての関連統計で日本より深刻な状況となっている。

世界で最も低い出生率の向上のために韓国政府は2006年から「少子化予算」を編成し、2021年までに420兆ウォンを超える国庫を投入したが、韓国の少子化は止まるどころか、年々急速に進行している。

日増しに深刻化する雇用不安による若年層の結婚延期、高い住宅価格と教育費による出産忌避、女性の社会進出による養育の負担などが原因と指摘される。

最近発表された韓国統計庁の「2022年社会調査」によると、韓国人の50%は「結婚しなくてもいい」と考えていて、特に結婚適齢期と言える20代30代の60%以上が「結婚しなくてもいい」という考えを持っているそうだ。

韓国の未婚男女が結婚していない主な理由としては、「結婚資金不足」(28.7%)「雇用状態不安」(14.6%)など、経済問題が43.4%だった。

韓国社会は2010年以後、年平均成長率が2〜3%を維持する低成長時代が持続されていて、良質な働き口がますます減る状況が続いている。

無限競争を勝ち抜くために

大企業中心の経済構造のため、雇用市場の90%を担う中小企業は、賃金が大企業の半分程度であり、経営安定性も低く若年層が好む仕事ではない。一握りしかない大企業に就職するために、韓国の若者たちは数多くのスペック(資格やスキル)で武装し、無限競争へと飛び込む。

各種の国家試験のための塾や学院が密集している鷺梁津で誕生した名物料理「カップ飯」(大きな紙コップにご飯やおかずなどを盛り込んだ食べ物)は、就職競争で食事の時間まで節約しようとする若者たちのために作られた発明品だ。

就職競争のために1分1秒を節約しなければならない若者たちの人生計画書には、結婚や恋愛という文字はない。数年間の就活の末に就職に成功し、やっと結婚に至る年齢は、平均で31〜33歳程度になる。

しかし、いざ結婚をしても、出産に至るまでにはまだ関門が残っている。暴騰する住宅価格のため、マイホーム購入は望み薄で、教育費の心配から子供の数は最小限に計画する。

教育熱の高い韓国の大学進学率は70%前半で、50%台の日本や40%台の米国よりはるかに高い。「良い大学を出てこそ良い働き口を得て成功した人生を生きることができる」という信念が強い韓国の親たちは、子供たちの教育に惜しみなく投資する。

韓国統計庁によれば、2021年、「私教育機関」に分類される入試塾、語学塾などに韓国の両親が支出した費用は23兆4千億ウォンと集計された。これを学生1人当たりに換算すると、月平均35万7千ウォン、私教育を受けたことのある学生だけを別に集計してみると、月平均48万5千ウォンにのぼる。

「超」少子化現象の真の原因

ただ、筆者の体感としては、現実は統計よりもはるかに深刻だ。

筆者の周りには私教育費問題で喧嘩が続き、離婚してしまったカップルもいれば、娘の教育のために夫を家に残したまま名門塾が密集する大峙洞に引っ越した母親もいる。2人の娘に高校3年生の1年間、月200万ウォン以上の塾費を投資しながら、2人ともソウルにある大学に入れることができなかった友人もいる。

筆者の弟は毎週土曜日、家から1時間以上も離れた大峙洞塾街で行われる「特講」のために、小学校5年生と中学校1年生の息子を連れて朝早く家を出る。車のトランクには塾を行き来する間、子供たちが使えるように、枕と毛布、そして小さなテーブルなどが備えられている。

大峙洞の塾費は1時間当たり10万ウォンで、月に40万ウォン。さらに平日は家の近くの塾に通わせるため、月に塾費だけで1人当たり70〜80万ウォンがかかるという。

韓国の「超」少子化現象は経済問題に起因する面が大きいが、その裏には、韓国社会の「無限競争システム」があるとも言えるだろう。

幼い頃から親に手を引かれて競争の渦に巻き込まれ、淘汰されないために必死にもがくしかない韓国の若者たちが、結婚や出産という未来に夢を持つことができるだろうか。

深刻な格差を誘発させ、階層間の移動を妨げているこの特異な社会構造の根本的改善がなければ、韓国の未来は、日本とは比べ物にならないほど暗鬱なものになるかもしれない。

 日本のBS放送やNetflix上に氾濫する韓国ドラマや、K-Popの華やかさからは、想像できない韓国の少子化の元となる就職事情や、教育事情があります。先日の日本の少子化の実態を超える悲惨さが、そこに見られます。

 もちろん日本の現状も暗澹たる状況にあるのは間違いありません。早急に手を打たねばならないのは事実ですが、韓国のそれは重病にさしかかっている日本に比べれば、すでに危篤と言えるのではないでしょうか。

 日本より15年遅く人口減少社会に入ったことから、韓国人にはその深刻さは伝わってこないのかも知れませんが、瞬く間に少子化の嵐が吹き荒れることでしょう。日本が死ぬ前に韓国が死ぬ方が早いのは間違いないでしょう。

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2022年12月12日 (月)

政府や国会の不作為がもたらす大きなリスク、少子化進行で日本は15年後には「死ぬ」

Images_20221211162501  日本の人口は2005年にはじめて前年より2万人減少しました。その後2006、2007年とわずかに増加した後、2008年から本格的に減少が始まりました。2021年には前年より60万人以上が減少、1年で一つの中核都市が消えていく感じとなっています。

 このブログでは何度もこの問題に警鐘を鳴らしてきました。先日ツイッター社を買収したイーロン・マスク氏が、このままでは日本は消滅するというような発言をしていましたが、決して妄言ではありません。様々な問題が目の前にぶら下がっているのが現状でしょう。

 多くの識者がこの問題を論じていますが、今回は麗澤大学の八木秀次教授が月刊正論に寄稿した記事を取り上げます。タイトルは『少子化進行で、日本は15年後には「死ぬ」』で、以下に引用します。

「保育園落ちた日本死ね!!!」というネット上の投稿のフレーズが新語・流行語大賞のトップテン入りしたのは2016年(平成28年)のことだ。 子供の数に対して保育園の入園枠が少なく、この投稿者の子供も保育園を落ちて待機児童になった。 それに怒った母親の投稿だった。

この年の出生数は97万6978人で、1899年(明治32)の統計開始以来初め百万人を割ったことが衝撃をもって伝えられた。翌年9月、安倍晋三首相(当時)は、北朝鮮の核兵器の脅威とともに「国難」とし、それを打破するために衆院を解散した。「国難突破解散」だ。

今年1月から6月までの上期の出生数が38万4942人で、昨年同期比で5%減となることが厚生労働省の人口動態統計(速報値)で分かった。 今年通年の出生数は昨年の81万1604人を下回ることは確実で、第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストの推計では76万2千人と見込まれている(日本経済新聞9月9日付)。「国難」からわずか6年間で実に20万人以上減ったことになる。

戦後最大の出生数は1949年(昭和24)の269万6638人だが、その3割弱しか生まれない。このまま毎年5万人ずつ減っていけば、15年後には待機児童どころか、生まれる子供の数がゼロになる。

少子化の原因ははっきりしている。日本では結婚して子供を産むケースが圧倒的多数で婚外子は2%程度だ。子供を産む前提の結婚が減っているのだ。結婚の件数は1970年代前半には百万件超だったが、2009年には70万件強となった。2018年には60万件を割り、昨年は50万件少しで戦後最少を更新した。満50歳時の未婚割合を示す「生涯未婚率」も統計を取り始めた1980年には男性2.60%、女性4.45%だったが、2020年には男性28.25%、女性17.81%となっている。未婚は「普通」となった。

中央大学教授の山田昌弘氏は若者が結婚しない理由を、20歳から35歳の未婚者の7割以上が親と同居しており(「パラサイトシングル」)、彼らは結婚すると生活水準が下がり、親も子供がそうなることを望んでいないことにあると分析している(「欧米モデルの少子化対策から脱却せよ」「Voice」2020年12月号)。

お茶の水女子大学教授の永瀬伸子氏は若年層の次世代育成への意欲が下がり、若い女性が子育ては大変でリスクがあり、子供を持たなくてもいいと思うようになっているとし、パートナーと暮らす良さや、次世代育成の喜びや責任を教える必要性を強調

している。同時に高齢者への社会保障給付に比べて出産育児に対する社会保障が手薄、女性が子育てしながらも一定以上の収入のある労働人生を送れる賃金モデルをつくる、非正規雇用者にも育児休業給付するなど税制・社会保障・雇用慣行の抜本的改革を求めている(昨年一二月の内閣府男女共同参画局の研究会での配布資料)。

背景には、共同体を解体し、そこから「個人」として解放されることを良き価値としてきた近代社会の理念が家族形成の領域にも及んでしまったことがある。過去からの命が繋がって現在の我々があり、その命を後世にも伝えていこうとの無意識の意欲が低下している。価値観の転換も必要だ。

東欧ハンガリーが対GDP(国内総生産)比4.7%の予算を投入して少子化対策に本気で取り組んでいる。0.8%の日本の約6倍だ。4人以上産めば定年まで所得税ゼロ、3年間の有給育児休暇、結婚すると無利子ローンが受けられ、3人生まれると全額返済不要、住宅ローンの大幅減額、高学歴の女性の出産を促すべく大卒女性の出産には学生ローンの返済が減免、体外受精の保険適用で無償化、国営の不妊治療機関の設置など「子供を産めば産むほど家庭の生活が楽になる」制度を導入した。その結果、出生数も結婚件数も増え始めた。移民に頼らずに人口を増やすことが可

能になりつつある (近藤大介 「人口増加に執念、ハンガリーの「すごい」 少子化対

策」 JBプレス2021年1月4日)。

最早猶予はない。直ちに膨大な予算を投入して対策を打たなければ、日本は死ぬ。

 現実には15年後に出生数がゼロになることはないでしょうが、このまま放置すればかなり少なくなってしまうのは間違いないでしょう。そうなっても直ちに日本が死ぬこともないとは思いますが、今より経済は衰退し、高齢者や子供の福祉には赤ランプが点灯していることになります。

 我々のような、あと15年持つかどうかという高齢者にはそれほどでなくとも、後に続く人たち、ましてやずっと若い人や子供たちには大変な危機が迫ってきてしまいます。今こそハンガリーのような少子化を食い止める努力を、国を挙げて推進する必要があります。

 そのためには、相変わらずの政争に明け暮れる国会を何とかしなくてはなりません。少子化対策特命大臣がいるにはいますが、果たして機能しているのでしょうか。内閣の特命でハンガリーでの成功例を研究するとか、大学に少子化対策科を設け、妙案を提案させるのも一つのアイデアでしょう。待ったなしの対応が求められます。

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2022年12月11日 (日)

韓国が日本の至宝をまた盗んだ!? 高級ブドウ「ルビーロマン」が流出するまでの一部始終

42  先月、日本の高級ブドウ、シャインマスカットが韓国に流出し、品質低下がたたって価格暴落中という記事をJBpressで見ました。ブドウ農家が猫も杓子も栽培をはじめて、供給過剰となり味もイマイチで暴落したと言うことでした。ただそういったこととは別に、問題は日本のシャインマスカットが、中国、韓国で大量に栽培され、日本のブドウ輸出の足枷になっていることでしょう。

 そこへ今度はルビーロマンの流出です。早急に対策を打たねば日本の農業は大きなダメージを受けます。この辺の事情を週刊現代の記事から引用します。タイトルは『韓国が日本の至宝をまた「盗んだ」…!? 1房150万円「ルビーロマン」が流出するまでの一部始終』です。

韓国や中国へ、ブドウやイチゴなど国内外で人気が高い日本産高級フルーツが流出し、歯止めが掛からない状況になっている。小さな苗木や種をカバンに忍ばせれば、容易に持ち出すことができ、さらに「接ぎ木」によってまるで「コピー・アンド・ペースト」するかのごとく、いとも簡単に栽培できることが背景にある。

最近では、1房150万円の値が付く日本一の高級ブドウまで韓国へ流出し、現地で栽培されていることが判明した。こうした状況を放置したままでは、日本の農業の競争力も大きく低下することは避けられない。

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14年かけて開発したのに

今回、韓国への流出が発覚したブドウは、石川県のオリジナル品種である「ルビーロマン」だ。

糖度が約20度とブドウの中でも特に甘く、粒の大きさは巨峰の2倍にもなる。同県の「農林総合研究センター」が実に14年もの歳月をかけて開発し、2008年から出荷が始まった。

金沢市中央卸売市場で今年7月に行われた初競りでは、1房150万円と過去最高値で落札された。1粒あたりでの価格でいえば、およそ5万5000円にも達することになる。

シャインマスカットが一般のスーパーにも並ぶほど普及したこともあって、ルビーロマンはいま高級贈答品として高い人気を誇るようになっており、シンガポールや香港、台湾にも輸出されている。

だがその一方で、「ルビーロマンが韓国で大量に栽培されている」といううわさが数年前から農業関係者の間で広まっていた。事態を重く捉えた石川県は、韓国で流通しているブドウと同県産ルビーロマンのDNA鑑定を国の検査機関に依頼。遺伝子型が一致したことが今年9月に判明し、韓国への流出が裏付けられた。

流出経路としては、苗木の窃盗や、生産者が第三者へ苗木を譲り渡したなどの可能性が考えられるが、判然としない。石川県は国の品種登録制度で守られているルビーロマンの苗木の譲渡を禁じ、さらに栽培を県内の生産者に限定するといった管理体制を敷いている。当然のことながら、日本国内では知的財産として保護されているため、無断栽培は御法度だ。

しかし、輸出や流出といった事態を想定しておらず、韓国の品種登録制度に届け出ていなかったために、無断栽培を招いてしまった。

実は、ブドウは比較的容易に殖やせる植物だ。人差し指ほどのサイズの苗木を持ち出して、別の普通のブドウの木に接ぎ木をすれば栽培できる。日本側の管理が甘かったと評価せざるを得ない。

損失はおよそ「100億円」

いまや日本全国で栽培されている高級ブドウ「シャインマスカット」の中国・韓国への流出も、さらに状況が悪化している。

シャインマスカットは日本国内のホームセンターなどでも苗木が流通するようになっており、そうした苗木が中国や韓国へ渡っているとみられる。さらにはタイや香港などのスーパーマーケットの店頭に並べられている中韓産シャインマスカットは品質が年々向上しており、日本産と競合するようになった。

農林水産省の推計によると、中国への苗木流出が日本産シャインマスカットにもたらしている損失額は、年間100億円以上にも相当する。仮に日本産シャインマスカットを正規のルートで中国に販売していれば、許諾料として100億円は徴収できるという計算だ。

日本は規模でも圧倒されつつある。現在、中国のシャインマスカットの栽培面積は日本の30倍を越えており、今後も東南アジアなどへの輸出が拡大してゆくことは間違いない。

「盗まれ放題」の現状

2018年の韓国・平昌五輪では、カーリング女子日本代表の選手らが休憩中に食べていたイチゴをめぐり、日本から流出したものが起源となっていたことも話題になった。韓国にイチゴの苗が渡ったことにより、日本が被っている年間損失額は40億円程度と推計されている。 

人口減少、さらに農業の担い手減少が進む中、日本の農業は海外で稼ぐ力を身につけることが今まで以上に求められている。にもかかわらず、ブドウやイチゴなど海外で人気が高く、付加価値も高い日本産フルーツが盗み出され、巨額の損失が発生していることはゆゆしき事態だ。

せっかく労力と時間をかけて開発した苗木や種子が、中国や韓国に盗まれ放題という状況を放置すれば、優れた品種を開発するインセンティブが下がり、日本の研究開発能力は低下の一途をたどることになる。

また農業全体を見渡しても、農家の稼ぐ力がそがれた結果、離農者や荒れ果てた農地の増加を招き、日本の食料自給率をますます低下させる悪循環に陥る可能性がある。

取り締まりは「不可能」

農水省は、フルーツ品種の海外流出の防止強化のため、改正種苗法を昨年4月に施行した。品種の開発者が栽培地域を限定し、国外への持ち出しに制限を掛けられるようにすることが狙いだ。

これにより、ブドウやイチゴに加え、かんきつやコメなど、日本国内で知的財産として保護されている品種のうち大半は持ち出しが禁じられた。

とはいえ、それだけでは流出を完全に防ぐことはできない。空港の税関で小さな苗木や種子をすべて見付け出し、取り締まることは事実上不可能だからだ。

同法に基づき、国内での管理を徹底するとともに、中国や韓国を含む流出リスクがある国や、日本が有望な市場と見込むシンガポールなど東南アジア諸国でも、知的財産として品種を保護してもらえるよう、当局に申請することが欠かせない。

実際、さきほど例示したルビーロマンやシャインマスカットは同法施行前に流出していた。しかも不運なことに、中国の品種登録制度に届け出ていなかった上、申請期限もとっくに過ぎていた。

韓国当局もようやく「動いた」が…

一方で、ルビーロマンには明るい兆しも見えてきている。韓国当局がこのほど、韓国国内の第三者が取得していたルビーロマンの商標登録を無効とする判断を下したのである。

これを受け、石川県は韓国特許庁にルビーロマンの商標登録を出願した。県の出願が認められれば、韓国産ルビーロマンの販売に対して法的措置を講じる道が開ける。

ただし、県の申請がすんなり通るかどうかは不透明だ。これまでも日韓関係が悪化するたびに、韓国当局はさまざまな問題で日本に対する「対抗措置」と称して、恣意的な判断を下してきた経緯がある。

今後、冷え込んだ日韓関係が改善せずに行き詰まれば、審査をいたずらに先送りするなど「日本に嫌がらせをしてくることは十分想定される」(日本政府関係者)。

日本政府は、品種の海外流出を防ぐ民間専門機関の創設を後押しする方針だ。来年度に立ち上がる見込みで、無断栽培が発覚した際の証拠集めや訴訟対応などを担う。

シャインマスカットやルビーロマンの教訓から、品種の国内管理の徹底、海外での登録出願、流出の有無を探る定期的な監視などを重層的に講じなければ、日本が誇る優れた品種を守り切ることはできないことが明らかになっている。

日本の農業の再活性化や、いま世界的に懸念されている食料安全保障の強化に向けて、生産者と政府の覚悟が問われている。

 農業の担い手の不足や、品種の保護と言うことに、積極的に取りかからねば、それでなくとも日本の農業を衰退させた農水省の責任は、免れません。霞ヶ関に鎮座ましましている暇などなく、現場、現実、現物をしっかり把握することが必要でしょう。

 それにしても、中国、韓国の「パクリ」癖は留まるところがありませんね。現地での商標登録など、ありとあらゆる手段を使って、この手の流出を抑えたいものです。これはある意味日本の農産物の品種を守るための戦いでもあるのです。

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2022年12月 9日 (金)

立憲民主の呆れた内政干渉発言「日本は台湾独立を支持しないと表明せよ」と首相に詰め寄る。在日台湾人団体は猛反発

40  中国による台湾侵攻が取り沙汰される中、先日行われた台湾の統一地方選では、政権与党の民進党が敗退し、党主席で台湾総統の蔡英文氏が辞意を表明しました。ただ蔡氏自体は台湾独立を目指しているわけではなく現状維持派です。一方副総統の頼清徳氏は独立志向が強いとされています。

 もちろん今回勝利した野党の国民党は、対中融和の姿勢を示していますが、最近の中国の香港政策や、3期目に入った習近平氏の台湾武力侵攻を肯定する発言など、台湾国民を刺激する対応を示していることが、総統選では逆風となりそうです。

 そうした台湾の国内情勢を横目で見ながら、日本の立憲民主党が「台湾が独立する動きは封じていかなければいけない」という、とんでもない内政干渉発言をしました。この点について、産経新聞論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏が、同紙のコラム「阿比留瑠比の極言御免」で批判記事を投稿しています。タイトルは『台湾蔑視する立民の傲慢』で、以下に引用します。

中国による台湾侵攻が今年中か来年にも起きかねないと指摘されている中で、日本では相変わらず「中国を刺激するな」といった日本さえ波風立たないようにしていれば、世界は平和だという天動説のような議論が横行している。日本以外はみな平和を愛する諸国民だとする憲法9条由来の欺瞞(ぎまん)がなせる業なのだろう。

そしてその過剰な中国への配慮は、往々にして「基本的な価値を共有する極めて重要なパートナー」(岸田文雄首相)である台湾軽視や蔑視につながる。

「全日本台湾連合会」(全台連)が5日、台湾独立を押さえ込むような立憲民主党議員による国会発言について、次のような抗議声明を出し、発言の撤回と台湾国民への謝罪を強く求めたのもその一例だといえる。

「正に台湾に対する著しい内政干渉であり、台湾人の人権や感情を蹂躙(じゅうりん)するものである。誠に言語道断であり断じて容認できない」

怒りのほどが伝わってくる。その同会が問題視したのは、立民の岡田克也幹事長と末松義規衆院議員が衆院予算委員会でそれぞれ首相に迫った質問である。

Images-31 まず、岡田氏は10月17日の同委で「(台湾の)独立は支持しないと、米国は最近でも(ブリンケン)国務長官とか、確認していますよね。首相の声を、考え方を聞きたい。その表現を口にできないのか」と問い、理由についてこう述べた。

「台湾が独立するということになれば、中国の武力行使の可能性は高まる。もし(日本に)独立を支持してもらえると思えば、そういう人たちが台湾の中で増えれば、その動きを止められなくなるかもしれない。われわれ日本にとっても耐え難い状況が生まれる」

日本が台湾独立不支持を明言しなければ、台湾人の期待感と独立を目指す動きが高まり、中国を刺激して台湾有事になるからそれは困るという幾重にも仮定を重ねたストーリーである。

日本が曖昧な姿勢のままだと、台湾人は浮足立ち暴走するという相手をバカにした想像に過ぎない。日本が身を低くして中国に寄り添っても、中国がそんな理由で台湾侵攻を諦めるはずもない。

しかも全台連は声明で、岡田氏が引いた米国の立場についても、バイデン米大統領が9月、米CBSテレビのインタビューで「独立に関しては、台湾自らが判断を下す。米国として独立を促してはいない。それは彼らの決定事項だ」と述べていると指摘している。

発言は、台湾独立容認への米戦略変更の示唆かとも話題になったが、岡田氏は国務長官発言は強調しても大統領の言葉は無視するというのだろうか。

この問題を巡っては、末松氏も11月29日の同委で「台湾が独立する動きは封じていかなければいけない。支持しないと、首相の口からはっきり言っていただきたい」と訴えた。だが、日本がいくら気を使おうと中国は関知しない。

参院は今月5日の本会議で、中国の新疆(しんきょう)ウイグル、チベット、内モンゴル各自治区、香港などの人権状況を巡り、当該国政府に説明責任を果たすよう求める決議を採択した。2月採択の衆院決議と同じく「中国」や「人権侵害」といった文言の明記は見送ったが、中国外務省は「重大な政治的挑発」「内政干渉」「悪意をもって中傷」などと反発した。

反撃能力の保有など防衛力増強に関する議論でもそうだが、「中国を刺激するな」論は相手に通じない独り善がりでしかない。

 内政干渉だけではなく、これら立民の議員の発言の背景には、中国による台湾統一を是とするようなニュアンスも感じられます。そうなったら中国の太平洋の扉を完全に開かせることになり、日本への脅威は格段に増幅されるでしょう。

 こうした日本の安全保障のリスクを無視した考えは、まさにGHQによる押しつけ憲法に洗脳され覚醒できていない、お花畑議員の特徴とも言えます。これが野党第一党の幹事長の考えだとすれば、政権を野党に渡すことの危険度が手に取るように分かってきます。もっとも絶対に政権は取れないでしょうが。

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2022年12月 6日 (火)

元公安警察官の警告:あなたも直ぐに拘束される、日本人観光客やビジネスマンが中国で絶対やってはいけないこと 

39  中国ではゼロコロナ政策による過剰な規制政策に反発した、市民(主に学生)による白紙デモが頻発しました。中には公然と現共産党政権を批判する人も出て、天安門事件以来と言われるデモの様相を帯びています。

 もちろん治安部隊と衝突した民衆の多くは、拘束されました。これから拷問に近い取り調べが続くのでしょう。ただこの治安部隊の動きは、今回の騒動に限らず、今までも中国国民だけではなく、他国人にも向かっている現実があります。

 日本大使館が把握しているだけでも、スパイ容疑で拘束された日本人は16人に及ぶと言います。その殆どがスパイ行為をしていないにもかかわらず。その概要を元公安警察官の勝丸円覚氏が、デイリー新潮に寄稿したコラムから引用します。タイトルは『あなたも直ぐに拘束される…日本人観光客やビジネスマンが中国で絶対やってはいけないこと』で、以下に記述します。

 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年、『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、ビジネスマンや観光客が中国でやってはいけないことについて聞いた。

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 2016年7月、シンポジウムに参加するため北京を訪問した日中青年交流協会理事長がスパイ容疑で国家安全部に身柄を拘束された。2013年12月、北京で中国政府高官と会食した際、金日成の娘婿にあたる張成沢が処刑されたことについて質問したことがスパイ行為にあたると言われたという。それから6年後となる今年10月11日、ようやく釈放された。

偽人民元

「理事長が拘束された際、私は現職でしたのでかなり驚いたことを覚えています」

 と語るのは、勝丸氏。かつて警視庁から外務省に出向し、アフリカ大陸の日本大使館に警備担当の外交官として赴任したことがある。

「中国は2015年より、外国人のスパイ行為を厳重に監視するようになりました。これまでスパイ容疑で拘束された日本人は、北京の日本大使館が把握しているだけで16人に上ります。ただ、彼は日中友好協会の役員として200回以上訪中している親中派なのに、なぜ逮捕されたのか信じられませんでした」

 勝丸氏は警視庁を退職した後、ビジネスなどで海外へ渡航する人たちに向けた国別のセキュリティセミナーを開いているという。

「渡航先で暮らす上での注意点を伝授しています。なかでも中国は、注意すべき点が沢山あります。スパイ容疑で拘束されるケースは特別な人たちであって、ビジネスマンや観光客は関係ないと思われがちですが、実際はそうではありません」

 中国では、気軽に写真や動画を撮影していると、思わぬ事態に発展することがある。

「中国は重要なインフラ施設は国家機密とされていて、撮影が禁止されています。軍港や原子力発電所などはもちろん、国際空港も重要施設となっているので、基本的に撮影は辞めた方がいいですね。空港で記念撮影をしていると、身柄を拘束される可能性があります」

 観光施設であっても、注意を要することがある。

「天安門広場は、今は観光施設になっていて撮影しても問題ありませんが、たまたまでもパトカーや制服の警官が写り込んでいるとアウトです。中国は、警察関連の情報については非常にナーバスですので、公安の詰め所に連行され、カメラやスマホの映像は削除されます。場合によっては、パソコンやUSBが没収されることもあります」

 そして、もっと厄介なのが“お金の問題”である。

「国内外には、偽の人民元が大量に出回っています。人民元は、日本円やユーロなどと比べると、精巧な印刷技術が使われていないので偽造しやすいのです。人口の多い都市には、偽造グループが沢山います」

通信を傍受される

 中国で買い物をして、100元札(約1900円)を出してお釣りをもらうと、偽札が入っていることがある。

「中には、店で100元札を出すと、偽100元札とすり替えられ、『これ偽札じゃないか』と言われることも珍しくありません。偽札と知らずに使ってしまうと、偽札所持及び使用で逮捕されてしまいます」

 銀行のATMも安心できないという。

「まさかと思うでしょうが、中国のATMから偽札が出てくることもあります。中国のATMは、偽札が入金されても偽札と判別できないので、そのまま機械に取り込んでしまうのです。そのため現金を引き出すと、偽札が出てくる場合があるのです。偽札を持ってしまった場合は、公安警察に届けることになっています」

 中国では、これだけは絶対やってはいけないことがある。

「電話、Eメール、SNSは、中国当局が傍受しています。AIを使って、ある特定の単語が複数回使われると自動的に傍受される仕組みになっているのです。中国語だけでなく、日本語も傍受します。中国に赴任する日本のビジネスマンには、電話やメールなどで、習近平の悪口は絶対言わないこと。反中国的な発言も駄目だとアドバイスしています」

 実際、勝丸氏は、中国にいる日本人とZoomを使ってセミナーを行った際、傍受されていると感じたことがあった。

「セミナーで、テロという言葉を使ったり、習近平を批判したりすると傍受されて身柄を拘束される恐れがあることを説明していたら、画像が乱れ、音声が途切れたりしたのです。セミナーを中断しました。特許申請などに関する情報や企業の機密情報は、メールなどで送信したりすることはやめた方がいいでしょう」

 私も中国には数回渡航したことがありますが、いずれも2015年以前でしたので、それほど気を遣った記憶がありません。ただ中国同様独裁国家の色彩の強いサウジアラビア滞在中には、私の同僚が国営企業のビルを撮影して拘束されたことがあります。また発電所や検問所、空港などの撮影は、厳禁だと注意を受けていました。

 中国人とメールのやりとりをしていて、中国からの日本への帰化人(反中国共産党の思想を持っている)の話題を書き出したところ、その後その中国人とそのメールアドレス同士では、メールのやりとりができなくなったこともあります。

 こうした完全な監視社会の国のことは、表現の自由が過剰と言えるほど可能な日本では、考えられないことでしょうが、少なくとも中国や中東諸国のような独裁国家では、不用意な撮影をしたり政治的発言や記述はしないよう、注意を怠らないことが肝要です。

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2022年12月 3日 (土)

おめでとう日本、W杯1次リーグをトップで通過、その日本を中国人が応援する意外な理由

Images-29  日本時間で昨日朝4時からのワールドカップサッカー対スペイン戦で、日本は歴史的勝利を収め1次リーグをトップで通過しました。カタールには苦杯をなめましたが、ドイツ戦に続いて強豪を倒しての堂々の1位通過でした。

 各国の賞賛の声が届く中で、ロシアのテレビ局も日本の勝利を熱狂的に伝えました。そして韓国、中国のサポーターも日本代表を賞賛しています。そうした中、今回ドイツ戦に勝利した時の記事ですが、日中福祉プランニング代表の王青氏がDIAMONDonlineに投稿したコラムを取り上げます。タイトルは『サッカーW杯、中国人が日本を応援する意外な理由』で、以下に引用します。

カタールで開かれているサッカーW杯で、日本がドイツを破ったというニュースは、中国でも大ニュースになった。中国メディアは速報を打って日本を称賛し、SNSは歓喜の声にあふれた。しかしなぜ中国人がW杯でそれほど日本を応援するのだろうか?そこにはちょっと意外な理由が……。(日中福祉プランニング代表 王青)

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実はサッカー大好きな中国人

 11月23日夜、サッカーのW杯カタール大会で日本がドイツを逆転で破ったことを、国営・新華社通信を始め、中国の各メディアが一斉に速報した。新華社は「アジアサッカーの水準と魅力を世界に知らしめた」と日本代表を称賛。そして中国のSNSは嵐のように盛り上がり、驚きと歓喜の投稿で埋め尽くされた。中国語版Twitter「微博(ウェイボー)」や最大の検索サイト「百度(バイドゥ)の注目ランキングのトップ5位に入り、「ドイツ1比2日本!(2対1で日本の勝利)」「日本逆転勝利!」といったタイトルの記事には「爆」(もっとも熱いニュースという意味)という赤い印がついていた。

 筆者のWeChatのモーメンツも、しばらくはこの件一色になり、「日本、勝った!」「うれしい!やっと明るいニュースだ!」「日本サッカーのファンとしてもっとも幸せな瞬間だ」「ただただ羨ましい……」などの投稿があふれた。さらに言うと、試合当日だけではなく、11月20日にW杯が始まる前から、サッカーに関する投稿が急増し、盛り上がっている。

 中国は自国代表がアジア最終予選で敗退し、2002年日韓大会以来のW杯出場はならなかったため、今回は隣国日本の勝利を我が国のように喜び、そして、応援している。この興奮ぶりには意外と知られていない背景がある。それは、「サッカー大好き」な中国の国民性だ。日本では、中国の人気スポーツといえば卓球やバレーボールなどと認識されていると思うが、実は、サッカーは中国でとても人気が高いスポーツなのである。

習近平主席もサッカーが大好き

 習近平国家主席も、大のサッカーファンである。例えば新華社は2008年のニュースで、当時中国共産党中央委員会政治局常務委員兼国家副主席であった習氏が、河北省にある秦皇島五輪スタジアムでサッカーをしている写真を掲載したことがある。 緑色の芝生のフィールド上で、習氏が革靴を履いているにもかかわらず足技を披露し、サッカーファンとしての本領を発揮したという記事だった。また、外国を訪問した際にもスポーツの交流で度々サッカーのことを言及し高い関心が示されたと、W杯で中国が優勝するのが夢だと話したこともある、これまで何度も伝えられてきた。

 かつて、筆者が上海で高校に通っていたころ、仲の良い女子のクラスメートたちは、「将来結婚して生まれた子が男の子だったら、絶対サッカー選手にする。女の子だったら、サッカー選手と結婚させる」という夢を語り合い、自らの「サッカー愛」を子ども世代に託していた。当然、それは「夢」に終わってしまったが……。

W杯期間中は勤務時間中の居眠りもOK!?

 W杯に出るという「夢」はなかなかかなわないが、4年に1度のW杯が中国で大きなお祭りであることには変わりない。開催国との時差の関係で、深夜に試合が行われることが度々あるが、そういう時に、会社員が出勤時間に遅刻したり、勤務時間中に居眠りしたりしていても許されるのだ。雇い主も大目に見ている。なぜなら、雇い主自身も同じ試合を見ているからだ。

 W杯の1カ月間は、パブなどの飲食店にとっては稼ぎ時である。テレビで中継を見ながら、ビールとつまみを目の前に置き、仲間と一緒に大声でサッカーを応援するのが至福の時間なのだ。サッカーについて語れない男性は、「おまえは男じゃない」という目で見られる。そして、筆者の女性の友人たちは、「夫が夜更かししたり家事をしなくても、W杯期間中は許している」と話す。それくらい、中国には老若男女問わず、熱狂的なサッカーファンが多いのだ。

 こんなサッカー好きな国民なのに、うれし涙やくやし涙を流し、応援しているのは自国のチームではなく、他国のチームなのである。W杯で自国のチームを応援するチャンスがなかなかやってこないのが、中国人にとってはどれほど悔しく、残念か……。まさに痛恨の極みだ。

なぜ中国のサッカーは日本にかなわないのか?

 今年3月、カタールW杯出場を逃した中国代表について、中国メディア「新浪体育」は、「日本や韓国などと比較し、総合力に大きな隔たりがある」と指摘し、中国サッカー界の凋落ぶり(実力不足?)を悲嘆した。また、「青少年のサッカー人材の育成に問題があり、これは中国代表のW杯予選敗退よりもはるかに深刻な事態である」と考察した。

 中国サッカーはなぜ強くなれないのか――その歴史や歩み、課題などについて本稿では詳しく触れないが、長年、中国国民は自国チームがなんとか復活し、強くなってほしいと期待してきたことは確かである。しかし、毎回毎回、こうした期待は裏切られて、中国代表チームに罵声を浴びせて終わり、という状況が繰り返されてきた。それだけに、今回日本代表がドイツ代表に予想外の「勝利」を収めたことを心の底からうらやましいと思う中国人は多い。SNSでは、「同じ黄色人種、同じ体格なのに、なぜ日本は強く、中国は弱いのだ?」といったコメントが多かった。

「日本は、人口は中国の10分の1、国土も狭い。しかしなぜ日本のサッカーは強く、アジアのフィールドではトップクラスの座を占めて、何度もワールドカップに進出し、優れたプレーを披露してきたのか。日中の差は一体どこにあるのか?」。これは長年、中国が日本に対して抱いているコンプレックスであり、頭を悩ませている課題である。

 この「日中の差」についてこれまでは、「日本は、青少年のサッカー人材育成を非常に重視し、政府や民間が多くの資金を投入し、努力を費やしている」や「欧州のプロコーチを採用してユース育成を指導し、プロ化を完成させた。日本のJリーグはアジアで最も競争力のあるリーグとなり、現在50万人の登録選手がいて、日本代表チームに安定的に人材の供給ができている」などと分析されてきた。

カタールと中国は、同じ地球上にいるのだろうか

 今回のカタール大会は、新型コロナウイルス感染拡大以来初のW杯である。10月に入り、オミクロン株がまた中国全土で蔓延(まんえん)し始めた。中国政府は依然として、一人でも感染者が見つかれば地域全体をロックダウンするという強硬な政策を取り続けている。11月24日の夜には、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層マンションで火災が起き、幼い子どもを含む10人が亡くなった。防疫のための障害物などにより、消防車が現場へ進入できなかったためと伝えられている。人々の我慢はもはや限界に達し、各所で爆発し始めている。

 そうした中でも、カタールW杯では応援する人々もマスクを着けていない。人々が密集して歓喜したり、騒いだりしている様子が映像で伝わってきて、人々は目を疑った。自分たちは集まってテレビ観戦すらできないのに……。

「我々は、彼らと同じ地球にいる?」という投稿が、ネットで瞬く間に拡散された。多くの人は、自分たちがいる世界が外の世界とまったく違うことを、W杯を通じて改めて確認し、世界から取り残されているのではないかと深い孤立感を覚えたのだ。 そして、「世界の人が『世界杯』(W杯の中国語)を見ている。我々は『世界観』を見ている」というSNSでの投稿が拡散され、多くの人たちに共感された。

「世界観の違い」「中国と日本のサッカーの差は、どこにあるのか?」――この課題について、ある日本在住の中国人YouTuberは、自らの動画で下記のように解釈した。

「この差は、国と国のそのものの差であり、社会の体制の差であり、コロナ政策の差であり、ゼロコロナ政策で自宅に封鎖される人々の窮状と渋谷でドイツへの勝利を祝う群衆の笑顔の差である」

 ここ数日、中国の各地でゼロコロナ政策や習近平政権に対する不満が噴出し、抗議デモや暴動が起きているのは、日本でもニュースになっている通りだ。筆者としてはとにかく一日も早く、中国の国民が厳しいコロナ政策から解放されることを切実に願っている。日常を取り戻して、残りのW杯の試合を心から楽しめる日々が再びやってきますように。

 冒頭述べたように、日本との間が微妙なロシアや韓国メディアまで、日本を賞賛しています。やはり政治を超えたところにスポーツはあるのでしょう。そして中国も、今の政治状況を考えれば、ここまでに日本を応援してくれる中国人がいることは、やはり朗報だと思います。

 しかし一方、このカタールでのワールドカップの各国のサポーターの熱狂ぶりを見て、中国国民がゼロコロナによる抑圧された生活に、大いに疑問を持ったのは事実でしょう。そして国策により閉ざされていた世界の動きを、垣間見た事によるショックと怒りは想像を絶するものかも知れません。

 ただもうすでに中国のワールドカップの報道では、観客席を映し出す場面をカットしたりしているようです。また政権批判を含んだかつてない形の白紙デモにも、早くも規制が強化され、治安部隊が封じ込めに動き出しているようです。今後この画期的なデモの動きがどうなるか、日本の決勝トーナメントの行方と併せて、目が離せないところです。

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2022年12月 1日 (木)

習近平政権3期目の船出とともに、急速に沈没する中国経済 経世済民には無関心、その先に待つのは

38  中国では最近、3期目に入った習近平政権の元、ゼロコロナ政策による外出制限などの厳しい規制に対し、反発する群衆によるデモが頻発しています。だがここへ来て当局も厳しい対応を取り始めました。この先どうなるか、注目に値するところです。

 一方経済の方も最近発表されたデータから、かなり厳しい状況が映し出されています。そのあたりの詳細を評論家の石平氏が、現代ビジネスに寄稿したコラムから引用して紹介します。タイトルは『逆祝儀相場! 習近平政権3期目の船出とともに、急速に沈没する中国経済 経世済民には無関心、その先に待つのは』です。

10月の輸出急減

今年10月に開かれた中国共産党全国代表大会では、習近平主席は権力闘争において全面的な勝利を収めた。反対勢力の共青団派の面々を党中央から追い出した上で、最高指導部の政治局常務委員会を自らの側近・取り巻きで固めることに成功した。

これで、3期目の習近平政権は政治的にはまさに盤石な独裁体制を固めることとなったが、実は同じその時、政権が成り立つ土台としての経済はむしろ、音を立てて崩れている最中であった。

11月7日、中国海関(税関)総署は10月の輸入輸出関連の数字を公表した。それによると、10月の中国の輸入・輸出総額はドル建てで5115.9億ドル、前年同期比では0.4%減となった。このうち、10月の対外輸出総額はドル建てでは2983.7億ドルで、前年同月比では0.3%減であったという。

つまり10月に、中国の輸入と輸出の両方ともマイナス成長に陥っていることが分かる。輸入のマイナス成長は当然、中国における生産活動と消費活動の低迷を意味する。輸入というのは普通、外国からの生産財と消費財の両方の調達によって構成されているからである。

成長の牽引車

その一方、10月における輸出のマイナス成長は、中国経済にとって実に深刻な問題である。中国では長年、個人消費率が4割未満という慢性的な消費不足が続く状況下で、対外輸出の継続的拡大は中国の経済成長を牽引してきた大きな原動力の1つである。例えば2021年、中国の対外輸出総額(ドル建て)は3兆3640億ドル、前年比では29.9%増であった。そして同じ2021年、中国経済全体の成長率は8.1%である。

つまり、中国の対外輸出が毎年に数十%の急成長を維持しているからこそ、経済がある程度の成長率を維持できた訳である。したがって中国国内でよく使われる表現では、対外輸出の継続的拡大は固定資産投資の拡大と並んで、中国経済を牽引する「2台の馬車」のうちの1台であるという。

しかし今年後半に入ってからは、中国の対外輸出の伸び率は急速に下がってきている。例えば7月の対外輸出は前年同期比で17.9%増であったが、8月のそれは7.1%増となって、9月は5.7増であった。そして10月は0.3%減であることは前述の通りである。

こうしてみると、7月から10月までの中国の対外輸出の伸び率は、17.9%増→7.1%増→5.7増→0.3%減と、まさに連続的な急落の推移を辿ってきていることが分かる。

このままでは、2022年通しての中国の対外輸出の伸び率は10%以下になることがほぼ確実であるが、それは去年の伸び率の3分の1程度。中国経済を牽引してきた輸出という1台の「馬車」はかなり力を失って失速している最中である。

ダブルマイナス成長

だからこそ、世界銀行は9月26日、2022年の中国の実質国内総生産(GDP)成長率が2.8%となり、前年(8.1%)から大幅に減速するとの見通しを示した。だが、実は、中国経済の足を引っ張っているのは何も輸出の失速だけではない。消費の絶望的な低迷もまた、経済の土台を根底から揺るがしているのである。

11月15日に中国国家統計局が発表したところでは、今年10月の全国社会消費財小売総額は4兆271億元で、前年同期比では0.5%減となった。そして1月〜10月の社会消費財小売総額は36兆575億元、前年同期比では0.6%の微増となっている。これでは今年全体の伸び率は確実に1%以下になる見通しである。

それに対して、昨年、2021年の社会消費財小売総額は44兆823億元、前年比では12.5%増であった。それが、今年は1%以下となる。まさに「断崖絶壁からの急落」というべきものであって、消費の伸びはほぼ完全に止まっていることを意味する。

ただでさえ、長年の消費不足が中国経済にとっての大きなネックだったのに、今更のように消費はここまで落ち込んでいるのであれば、中国経済の回復はまったく不可能であると断言して良い。

こうしてみると、今年10月おける、対外輸出の伸び率の0.3%減と、消費の伸び率の0.5%減という「ダブルマイナス成長」は、まるで習近平政権3期目の船出に対する「逆祝儀相場」であったかのようなもので、習政権下の中国経済の暗澹なる未来を予告している。

それでも経済に関心無し

だが、実は今後の中国経済の沈没にさらに拍車をかけていくのはまさに、3期目に入った習政権の示した驚くべきほどの経済軽視の姿勢である。

先般の党大会が終わってから4日後の10月27日、習近平主席は新しい政治局常務委員会のメンバー全員を率いて政権3期目初めての地方視察に出かけた。

その視察先は陝西省延安市、中国共産党が政権奪取の前に長年本拠地にしていた「革命の聖地」である。そこで習主席は最高指導部メンバーに向かって革命精神の代名詞となった「延安精神」を大いに語り、このいかにも時代遅れの「精神」の継承と高揚を国民に呼びかけた。

本来、中国経済が深刻な状況に陥り社会問題も山積する中で、最高指導者の彼に期待されるのはまず、政権3期目の「経世済民」の政策方針を国民に明確に示すことであろう。しかし当の習主席はこのことにまるきり関心がない。

彼にとって最大の関心事はむしろ、古色蒼然の「革命精神」をいかにして継承し高揚するのかという、まさにイデオロギー上の問題である。イデオロギー最優先はやはり、習主席の一貫とした政治的スタンスだ。

イデオロギー最優先・経済軽視

党大会後に習主席が行った一連の重要人事も彼の政治志向を強く反映している。主席側近の李強氏と丁薛祥氏は党の最高指導部である政治局常務委員会に昇進し、来年3月の全人代ではそれぞれ、国務院次期総理(首相)と次期筆頭副総理に就任する予定である。

しかしこの2名は長年共産党の「党務畑」でキャリアを積んできた幹部であって、国の経済運営や民生管理にタッチした実績はなく、中央政府で仕事した経験もない。このような人たちが来年3月からいきなり、中国という大国の経済運営の重責を担うとはいかにも覚束ない。第一、この2人の門外漢コンピでは、沈没中の中国経済の立て直しはもはや絶望的であろう。

もちろん習主席はこんなことをいっこうに気にしない。自らの側近でイエスマンの2人が中央政府を牛耳ることとなると、主席自身肝煎りの「共同富裕」などの社会主義政策は貫徹できればこれで良いわけである。

習主席のイデオロギー最優先・経済軽視路線を端的に示した人事の1つは、広東省共産党委員会書記の新しい任命である。

中国の場合、省の党委員会書記は省長の上に立って全省の政治・経済・民生を統括する立場であるが、中国経済中心地の1つである広東省の場合、党委員会書記を務めるのは普通、経済運営に明るくて実務経験豊富な有力幹部である。

しかし今度、広東省党委員会書記に転任されたのは習主席側近の黄坤明氏、2013年から今年10月の党大会開催までの約9年間、共産党中央宣伝部副部長・部長を歴任した宣伝部の幹部である。宣伝部幹部といえば、硬直なイデオロギーを振りかざしてプロパガンダを行うことを本領とし、共産主義思想の権化そのものである。このような御仁が市場経済最前線の広東省のトップに任命されるとは何かの冗談とも思われるような頓珍漢な人事であるが、一事が万事、習主席のやることはすべてこの調子である。

戦時統制しか考えていないのか

しかしこれでは沈没最中の中国経済はもはや破滅から免れないだろう。だが、おそらく、独裁者としての習主席はこのような結末をそれほど心配していない。なぜならば、彼が自分の政権の3期目おいてやろうとしていることはそもそも経済の立て直しではないからだ。

彼が3期目政権のスタートに当たってまず着手したのは共産党指導部人事による戦時体制づくりであることは10月28日公開の「これは対台湾『戦時体制』だ-習近平3期目政治局の異例人事の意味」で指摘した通りのことであり、彼はこれから全力を挙げて進めていくのはまさに対台湾戦争の準備である。

実際、党大会閉幕約2週間後の11月8日、習近平主席が中央軍事委員会の委員たち全員を率いて解放軍の統合指揮センターを視察し、全軍に対して「全力を上げて戦争の準備を強化せよ」との大号令をかけたことは、日本を含めた世界中のメデイアが大きく注目して報じたところである。

彼はやはりやる気満々である。そして経済が沈没して失業が拡大して国内に社会的不安が広がる中では、習政権はこうした国内危機克服のためにますます対外戦争の発動に傾くのであろうし、対外戦争の発動で国内経済を戦時統制へ持っていけば経済全体の崩壊をある程度食い止めることもできよう。

どうやら習政権にとって、今後の道は戦争の発動以外になさそうである。

 全く物騒な話です。いずれにしろ周囲の状況を考えれば、そう簡単には台湾侵攻はないものと思われますが、なにしろロシアのウクライナ侵略の例もあります。何が起こるか分かりません。日本は粛々と、そして速やかに抑止力拡大のための軍備の充実に向け歩むしかありません。

 ところで経済の衰退、石平氏の言葉通りこの巨艦中国が沈むとなれば、その周辺に影響を及ぼす波は、とてつもなく高く荒れ狂うことになります。このブログで何度も述べていることですが、中国に進出している日本企業は一日も早く撤退することでしょう。たとえそのためのコストが高く付いても、将来のリスクを考えれば早いに越したことはありません。

 経済的な失速と、ゼロコロナによる行動制限が重なれば、民衆の不満は加速するでしょう。そこに治安部隊の圧力が増せば、衝突の末、鎮圧か爆発かいずれかが起こりそうです。天安門事件の時やそれ以前の文化大革命の時に比べれば、国民の情報力は格段に進歩しているので、鎮圧には相当苦労するかも知れません。

 いずれにしろこの一人独裁を崩すのは、民衆の力による中国国内の反体制運動に期待するしかありません。かなり困難で時間が必要でしょうが。

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