元公安警察官の警告:あなたも直ぐに拘束される、日本人観光客やビジネスマンが中国で絶対やってはいけないこと
中国ではゼロコロナ政策による過剰な規制政策に反発した、市民(主に学生)による白紙デモが頻発しました。中には公然と現共産党政権を批判する人も出て、天安門事件以来と言われるデモの様相を帯びています。
もちろん治安部隊と衝突した民衆の多くは、拘束されました。これから拷問に近い取り調べが続くのでしょう。ただこの治安部隊の動きは、今回の騒動に限らず、今までも中国国民だけではなく、他国人にも向かっている現実があります。
日本大使館が把握しているだけでも、スパイ容疑で拘束された日本人は16人に及ぶと言います。その殆どがスパイ行為をしていないにもかかわらず。その概要を元公安警察官の勝丸円覚氏が、デイリー新潮に寄稿したコラムから引用します。タイトルは『あなたも直ぐに拘束される…日本人観光客やビジネスマンが中国で絶対やってはいけないこと』で、以下に記述します。
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日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年、『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、ビジネスマンや観光客が中国でやってはいけないことについて聞いた。
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2016年7月、シンポジウムに参加するため北京を訪問した日中青年交流協会理事長がスパイ容疑で国家安全部に身柄を拘束された。2013年12月、北京で中国政府高官と会食した際、金日成の娘婿にあたる張成沢が処刑されたことについて質問したことがスパイ行為にあたると言われたという。それから6年後となる今年10月11日、ようやく釈放された。
偽人民元
「理事長が拘束された際、私は現職でしたのでかなり驚いたことを覚えています」
と語るのは、勝丸氏。かつて警視庁から外務省に出向し、アフリカ大陸の日本大使館に警備担当の外交官として赴任したことがある。
「中国は2015年より、外国人のスパイ行為を厳重に監視するようになりました。これまでスパイ容疑で拘束された日本人は、北京の日本大使館が把握しているだけで16人に上ります。ただ、彼は日中友好協会の役員として200回以上訪中している親中派なのに、なぜ逮捕されたのか信じられませんでした」
勝丸氏は警視庁を退職した後、ビジネスなどで海外へ渡航する人たちに向けた国別のセキュリティセミナーを開いているという。
「渡航先で暮らす上での注意点を伝授しています。なかでも中国は、注意すべき点が沢山あります。スパイ容疑で拘束されるケースは特別な人たちであって、ビジネスマンや観光客は関係ないと思われがちですが、実際はそうではありません」
中国では、気軽に写真や動画を撮影していると、思わぬ事態に発展することがある。
「中国は重要なインフラ施設は国家機密とされていて、撮影が禁止されています。軍港や原子力発電所などはもちろん、国際空港も重要施設となっているので、基本的に撮影は辞めた方がいいですね。空港で記念撮影をしていると、身柄を拘束される可能性があります」
観光施設であっても、注意を要することがある。
「天安門広場は、今は観光施設になっていて撮影しても問題ありませんが、たまたまでもパトカーや制服の警官が写り込んでいるとアウトです。中国は、警察関連の情報については非常にナーバスですので、公安の詰め所に連行され、カメラやスマホの映像は削除されます。場合によっては、パソコンやUSBが没収されることもあります」
そして、もっと厄介なのが“お金の問題”である。
「国内外には、偽の人民元が大量に出回っています。人民元は、日本円やユーロなどと比べると、精巧な印刷技術が使われていないので偽造しやすいのです。人口の多い都市には、偽造グループが沢山います」
通信を傍受される
中国で買い物をして、100元札(約1900円)を出してお釣りをもらうと、偽札が入っていることがある。
「中には、店で100元札を出すと、偽100元札とすり替えられ、『これ偽札じゃないか』と言われることも珍しくありません。偽札と知らずに使ってしまうと、偽札所持及び使用で逮捕されてしまいます」
銀行のATMも安心できないという。
「まさかと思うでしょうが、中国のATMから偽札が出てくることもあります。中国のATMは、偽札が入金されても偽札と判別できないので、そのまま機械に取り込んでしまうのです。そのため現金を引き出すと、偽札が出てくる場合があるのです。偽札を持ってしまった場合は、公安警察に届けることになっています」
中国では、これだけは絶対やってはいけないことがある。
「電話、Eメール、SNSは、中国当局が傍受しています。AIを使って、ある特定の単語が複数回使われると自動的に傍受される仕組みになっているのです。中国語だけでなく、日本語も傍受します。中国に赴任する日本のビジネスマンには、電話やメールなどで、習近平の悪口は絶対言わないこと。反中国的な発言も駄目だとアドバイスしています」
実際、勝丸氏は、中国にいる日本人とZoomを使ってセミナーを行った際、傍受されていると感じたことがあった。
「セミナーで、テロという言葉を使ったり、習近平を批判したりすると傍受されて身柄を拘束される恐れがあることを説明していたら、画像が乱れ、音声が途切れたりしたのです。セミナーを中断しました。特許申請などに関する情報や企業の機密情報は、メールなどで送信したりすることはやめた方がいいでしょう」
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私も中国には数回渡航したことがありますが、いずれも2015年以前でしたので、それほど気を遣った記憶がありません。ただ中国同様独裁国家の色彩の強いサウジアラビア滞在中には、私の同僚が国営企業のビルを撮影して拘束されたことがあります。また発電所や検問所、空港などの撮影は、厳禁だと注意を受けていました。
中国人とメールのやりとりをしていて、中国からの日本への帰化人(反中国共産党の思想を持っている)の話題を書き出したところ、その後その中国人とそのメールアドレス同士では、メールのやりとりができなくなったこともあります。
こうした完全な監視社会の国のことは、表現の自由が過剰と言えるほど可能な日本では、考えられないことでしょうが、少なくとも中国や中東諸国のような独裁国家では、不用意な撮影をしたり政治的発言や記述はしないよう、注意を怠らないことが肝要です。
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