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2022年12月 1日 (木)

習近平政権3期目の船出とともに、急速に沈没する中国経済 経世済民には無関心、その先に待つのは

38  中国では最近、3期目に入った習近平政権の元、ゼロコロナ政策による外出制限などの厳しい規制に対し、反発する群衆によるデモが頻発しています。だがここへ来て当局も厳しい対応を取り始めました。この先どうなるか、注目に値するところです。

 一方経済の方も最近発表されたデータから、かなり厳しい状況が映し出されています。そのあたりの詳細を評論家の石平氏が、現代ビジネスに寄稿したコラムから引用して紹介します。タイトルは『逆祝儀相場! 習近平政権3期目の船出とともに、急速に沈没する中国経済 経世済民には無関心、その先に待つのは』です。

10月の輸出急減

今年10月に開かれた中国共産党全国代表大会では、習近平主席は権力闘争において全面的な勝利を収めた。反対勢力の共青団派の面々を党中央から追い出した上で、最高指導部の政治局常務委員会を自らの側近・取り巻きで固めることに成功した。

これで、3期目の習近平政権は政治的にはまさに盤石な独裁体制を固めることとなったが、実は同じその時、政権が成り立つ土台としての経済はむしろ、音を立てて崩れている最中であった。

11月7日、中国海関(税関)総署は10月の輸入輸出関連の数字を公表した。それによると、10月の中国の輸入・輸出総額はドル建てで5115.9億ドル、前年同期比では0.4%減となった。このうち、10月の対外輸出総額はドル建てでは2983.7億ドルで、前年同月比では0.3%減であったという。

つまり10月に、中国の輸入と輸出の両方ともマイナス成長に陥っていることが分かる。輸入のマイナス成長は当然、中国における生産活動と消費活動の低迷を意味する。輸入というのは普通、外国からの生産財と消費財の両方の調達によって構成されているからである。

成長の牽引車

その一方、10月における輸出のマイナス成長は、中国経済にとって実に深刻な問題である。中国では長年、個人消費率が4割未満という慢性的な消費不足が続く状況下で、対外輸出の継続的拡大は中国の経済成長を牽引してきた大きな原動力の1つである。例えば2021年、中国の対外輸出総額(ドル建て)は3兆3640億ドル、前年比では29.9%増であった。そして同じ2021年、中国経済全体の成長率は8.1%である。

つまり、中国の対外輸出が毎年に数十%の急成長を維持しているからこそ、経済がある程度の成長率を維持できた訳である。したがって中国国内でよく使われる表現では、対外輸出の継続的拡大は固定資産投資の拡大と並んで、中国経済を牽引する「2台の馬車」のうちの1台であるという。

しかし今年後半に入ってからは、中国の対外輸出の伸び率は急速に下がってきている。例えば7月の対外輸出は前年同期比で17.9%増であったが、8月のそれは7.1%増となって、9月は5.7増であった。そして10月は0.3%減であることは前述の通りである。

こうしてみると、7月から10月までの中国の対外輸出の伸び率は、17.9%増→7.1%増→5.7増→0.3%減と、まさに連続的な急落の推移を辿ってきていることが分かる。

このままでは、2022年通しての中国の対外輸出の伸び率は10%以下になることがほぼ確実であるが、それは去年の伸び率の3分の1程度。中国経済を牽引してきた輸出という1台の「馬車」はかなり力を失って失速している最中である。

ダブルマイナス成長

だからこそ、世界銀行は9月26日、2022年の中国の実質国内総生産(GDP)成長率が2.8%となり、前年(8.1%)から大幅に減速するとの見通しを示した。だが、実は、中国経済の足を引っ張っているのは何も輸出の失速だけではない。消費の絶望的な低迷もまた、経済の土台を根底から揺るがしているのである。

11月15日に中国国家統計局が発表したところでは、今年10月の全国社会消費財小売総額は4兆271億元で、前年同期比では0.5%減となった。そして1月〜10月の社会消費財小売総額は36兆575億元、前年同期比では0.6%の微増となっている。これでは今年全体の伸び率は確実に1%以下になる見通しである。

それに対して、昨年、2021年の社会消費財小売総額は44兆823億元、前年比では12.5%増であった。それが、今年は1%以下となる。まさに「断崖絶壁からの急落」というべきものであって、消費の伸びはほぼ完全に止まっていることを意味する。

ただでさえ、長年の消費不足が中国経済にとっての大きなネックだったのに、今更のように消費はここまで落ち込んでいるのであれば、中国経済の回復はまったく不可能であると断言して良い。

こうしてみると、今年10月おける、対外輸出の伸び率の0.3%減と、消費の伸び率の0.5%減という「ダブルマイナス成長」は、まるで習近平政権3期目の船出に対する「逆祝儀相場」であったかのようなもので、習政権下の中国経済の暗澹なる未来を予告している。

それでも経済に関心無し

だが、実は今後の中国経済の沈没にさらに拍車をかけていくのはまさに、3期目に入った習政権の示した驚くべきほどの経済軽視の姿勢である。

先般の党大会が終わってから4日後の10月27日、習近平主席は新しい政治局常務委員会のメンバー全員を率いて政権3期目初めての地方視察に出かけた。

その視察先は陝西省延安市、中国共産党が政権奪取の前に長年本拠地にしていた「革命の聖地」である。そこで習主席は最高指導部メンバーに向かって革命精神の代名詞となった「延安精神」を大いに語り、このいかにも時代遅れの「精神」の継承と高揚を国民に呼びかけた。

本来、中国経済が深刻な状況に陥り社会問題も山積する中で、最高指導者の彼に期待されるのはまず、政権3期目の「経世済民」の政策方針を国民に明確に示すことであろう。しかし当の習主席はこのことにまるきり関心がない。

彼にとって最大の関心事はむしろ、古色蒼然の「革命精神」をいかにして継承し高揚するのかという、まさにイデオロギー上の問題である。イデオロギー最優先はやはり、習主席の一貫とした政治的スタンスだ。

イデオロギー最優先・経済軽視

党大会後に習主席が行った一連の重要人事も彼の政治志向を強く反映している。主席側近の李強氏と丁薛祥氏は党の最高指導部である政治局常務委員会に昇進し、来年3月の全人代ではそれぞれ、国務院次期総理(首相)と次期筆頭副総理に就任する予定である。

しかしこの2名は長年共産党の「党務畑」でキャリアを積んできた幹部であって、国の経済運営や民生管理にタッチした実績はなく、中央政府で仕事した経験もない。このような人たちが来年3月からいきなり、中国という大国の経済運営の重責を担うとはいかにも覚束ない。第一、この2人の門外漢コンピでは、沈没中の中国経済の立て直しはもはや絶望的であろう。

もちろん習主席はこんなことをいっこうに気にしない。自らの側近でイエスマンの2人が中央政府を牛耳ることとなると、主席自身肝煎りの「共同富裕」などの社会主義政策は貫徹できればこれで良いわけである。

習主席のイデオロギー最優先・経済軽視路線を端的に示した人事の1つは、広東省共産党委員会書記の新しい任命である。

中国の場合、省の党委員会書記は省長の上に立って全省の政治・経済・民生を統括する立場であるが、中国経済中心地の1つである広東省の場合、党委員会書記を務めるのは普通、経済運営に明るくて実務経験豊富な有力幹部である。

しかし今度、広東省党委員会書記に転任されたのは習主席側近の黄坤明氏、2013年から今年10月の党大会開催までの約9年間、共産党中央宣伝部副部長・部長を歴任した宣伝部の幹部である。宣伝部幹部といえば、硬直なイデオロギーを振りかざしてプロパガンダを行うことを本領とし、共産主義思想の権化そのものである。このような御仁が市場経済最前線の広東省のトップに任命されるとは何かの冗談とも思われるような頓珍漢な人事であるが、一事が万事、習主席のやることはすべてこの調子である。

戦時統制しか考えていないのか

しかしこれでは沈没最中の中国経済はもはや破滅から免れないだろう。だが、おそらく、独裁者としての習主席はこのような結末をそれほど心配していない。なぜならば、彼が自分の政権の3期目おいてやろうとしていることはそもそも経済の立て直しではないからだ。

彼が3期目政権のスタートに当たってまず着手したのは共産党指導部人事による戦時体制づくりであることは10月28日公開の「これは対台湾『戦時体制』だ-習近平3期目政治局の異例人事の意味」で指摘した通りのことであり、彼はこれから全力を挙げて進めていくのはまさに対台湾戦争の準備である。

実際、党大会閉幕約2週間後の11月8日、習近平主席が中央軍事委員会の委員たち全員を率いて解放軍の統合指揮センターを視察し、全軍に対して「全力を上げて戦争の準備を強化せよ」との大号令をかけたことは、日本を含めた世界中のメデイアが大きく注目して報じたところである。

彼はやはりやる気満々である。そして経済が沈没して失業が拡大して国内に社会的不安が広がる中では、習政権はこうした国内危機克服のためにますます対外戦争の発動に傾くのであろうし、対外戦争の発動で国内経済を戦時統制へ持っていけば経済全体の崩壊をある程度食い止めることもできよう。

どうやら習政権にとって、今後の道は戦争の発動以外になさそうである。

 全く物騒な話です。いずれにしろ周囲の状況を考えれば、そう簡単には台湾侵攻はないものと思われますが、なにしろロシアのウクライナ侵略の例もあります。何が起こるか分かりません。日本は粛々と、そして速やかに抑止力拡大のための軍備の充実に向け歩むしかありません。

 ところで経済の衰退、石平氏の言葉通りこの巨艦中国が沈むとなれば、その周辺に影響を及ぼす波は、とてつもなく高く荒れ狂うことになります。このブログで何度も述べていることですが、中国に進出している日本企業は一日も早く撤退することでしょう。たとえそのためのコストが高く付いても、将来のリスクを考えれば早いに越したことはありません。

 経済的な失速と、ゼロコロナによる行動制限が重なれば、民衆の不満は加速するでしょう。そこに治安部隊の圧力が増せば、衝突の末、鎮圧か爆発かいずれかが起こりそうです。天安門事件の時やそれ以前の文化大革命の時に比べれば、国民の情報力は格段に進歩しているので、鎮圧には相当苦労するかも知れません。

 いずれにしろこの一人独裁を崩すのは、民衆の力による中国国内の反体制運動に期待するしかありません。かなり困難で時間が必要でしょうが。

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