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2022年12月29日 (木)

和田政宗氏:中国抑止の鍵は「反撃能力」 安保3文書、一方的な専守防衛からの大転換

K10013908261_2211301912_1130192010_01_02  昨日のテレビの報道番組で、女性のコメンテーターが「反撃能力」をわざわざその旧称「敵基地攻撃能力」と最初に述べ、続いて「憲法に反するような」、と表現していました。

 ウクライナを突如侵略したロシアや、ミサイル発射実験を繰返す北朝鮮、それに台湾侵攻をちらつかせ、日本に対しては毎日のように尖閣諸島周辺で、威嚇行動を繰返す中国という、3つの独裁国家にそれぞれ隣に位置しているという、極めて危険な日本の安全保障環境。

 その現状を考えれば、安全保障に関しては全く無力で、むしろ阻害要因としか言えない現憲法を持ち出して、言及することは、未だに「自虐史観」から抜け出していないことの証左でしょう。まだまだそういう人がテレビで持論を展開しているのが気になります。

 それは別として、自民党参議院議員の和田政宗氏が、その「反撃能力」について月刊hanadaプラスに寄稿していますので、今回それを取り上げます。タイトルは『中国抑止の鍵は「敵基地反撃能力」|和田政宗』(12/24公開)で、以下に引用します。

中国外務省の報道官は安保3文書について「中国の脅威を誇張して軍拡の言い訳とするたくらみは思いどおりにはならない」と反発。日本国内にも反対意見はあるが、我が国が「敵基地反撃能力」を持つことは、我が国のみならず、台湾、インド太平洋地域全体の平和に資する!

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一方的な専守防衛からの大転換

「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書が、今月16日閣議決定した。これまでの受け身一辺倒であった専守防衛から、「敵基地反撃能力」の保有と抑止に重点が置かれ、戦後の安全保障政策の大転換となった。安倍政権、菅政権からの流れを、現政権下の3文書改定で実現したことになる。

なお、「国家防衛戦略」は、「防衛計画の大綱」に代わり新たに策定されたものである。これまでの防衛力の整備の基本的指針である「防衛計画の大綱」に代わり、我が国の防衛目標を達成するためのアプローチとその手段を包括的に「国家防衛戦略」として示した。

また、「防衛力整備計画」は、「中期防衛力整備計画」に代わり新たに策定されたもので、これまでの「中期防衛力整備計画」が5年間の計画だったものを、「防衛力整備計画」は10年計画とし、我が国として保有すべき防衛力の水準を示し、それを達成するための中長期的な計画を記すものとなった。

そして、これらの文書で特に注目すべきものは、中国の脅威が明確に位置づけられ、それに対応する防衛力を整備する内容となっていることだ。

中国は今後5年が、自らが目指す社会主義現代化国家の全面的建設の肝心な時期と位置付けていると分析し、国防費の急速な増加で能力を強化、軍事活動を活発化させており、中国の「対外的な姿勢や軍事動向等は我が国と国際社会の深刻な懸念事項」であると非難した。

さらに、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保する上で、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」であるとし、我が国や東アジアを取り巻く緊迫した情勢は中国に原因があることを明記した。  

この他、北朝鮮、ロシアの行動も併せて考察し、新しい戦い方が顕在化していると分析。精密打撃能力による大規模なミサイル攻撃や、情報戦を含むハイブリッド戦、宇宙・サイバー・電磁波領域や無人アセットを用いた攻撃、核兵器による威嚇に備えなければならないとしている。

こうした攻撃への対応として、今回新たに打ち出されたのが、「抑止」であり、そのために必要なのが「敵基地反撃能力」である。一方的な専守防衛からの大転換である。

抑止力向上、3つのアプローチ

新たに策定された「国家防衛戦略」では、その前提として、ロシアのウクライナ侵略を題材に我が国の防衛上の課題を分析した。ロシアがウクライナを侵略するに至った軍事的な背景は、ウクライナがロシアによる侵略を抑止するための十分な能力を保有していなかったことだと指摘。

「高い軍事力を持つ国が、あるとき侵略という意思を持ったことにも注目すべき」とし、脅威は能力と意思の組み合わせで顕在化するが、意思を外部から正確に把握することは困難であること。国家の意思決定過程が不透明であれば、脅威が顕在化する素地が常に存在することから、このような国から自国を守るためには、力による一方的な現状変更は困難であると認識させる「抑止力」が必要だとしている。

そして、抑止のためには3つのアプローチが必要としており、第1に、我が国自身の防衛体制の強化。第2に、日米同盟の抑止力と対処力を強化し、日米の意思と能力を顕示すること。第3に同志国等との連携の強化し、一か国でも多くの国々との連携を強化することを挙げた。

特に第1のアプローチである、我が国自身の防衛体制の強化については、我が国への侵攻を我が国が主たる責任をもって阻止・排除する能力を保有することであり、相手にとって軍事的手段では我が国侵攻の目標を達成できず、生じる損害がコストに見合わないと認識させるだけの能力を我が国が持つこととしている。

こうした防衛力を保有できれば、米国の能力と相まって、我が国への侵攻のみならずインド太平洋地域における力による一方的な現状変更やその試みを抑止できるとして、我が国がしっかりとした防衛力を整備することがインド太平洋地域の平和を守ることになるとの考えを示した。

痛いところを突かれた中国

そのために必要な能力として、相手の侵攻戦力を遠距離から阻止・排除するスタンド・オフ防衛能力と、米国も提唱する統合防空ミサイル防衛能力を整備する。スタンド・オフ防衛能力は「敵基地反撃能力」の主要部分であり、統合防空ミサイル防衛能力の整備は米国との連携を一層強化することとなり、日米同盟の抑止力・対処力は更に強化される。  

なかでも、「敵基地反撃能力」は我が国への侵攻を抑止する上での鍵としており、近年、我が国周辺のミサイル戦力が著しく増強されている中で、既存のミサイル防衛網の強化のみでは対応が困難になりつつあり、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力が必要とした。

私は安保3文書は、例示したように国家国民を守るためにしっかりと踏み込んだ内容になったと思っている。すぐさま、中国外務省の報道官が安保3文書について「中国への中傷に断固として反対する」「中国の脅威を誇張」と述べたように、中国にとっては痛いところを突かれているわけであり、私は3文書の通りの防衛力を整備していけば、中国の侵略を抑止できる可能性は高くなると考える。

だからこそ、この中身を実現していくとともにそのスピードを上げていかなくてはならない。我が国が「敵基地反撃能力」を持ち、中国を抑止していくことは我が国のみならず、台湾、インド太平洋地域全体の平和に資するからだ。我が国はアジアの平和を守るリーダーとして行動していく。

 現実には軍事力を比較すれば、中国には一歩も二歩も遅れているのが現状です。2027年のGDP比2%の防衛費の目標を達成しても、その差はまだまだ大きい。そこは日米同盟や英豪などの準同盟国と協力し、抑止力を深めなければなりません。

 それと同時に必要なことは、上述のコメンテーターのような、未だにお花畑志向をまき散らす、「自虐史観」病や「9条教」に洗脳された面々を、メディアからできるだけ一掃していくと同時に、国民に「主権維持」の大切さやそのための「愛国心」を教育していく必要があります。「いつか来た道」と悪宣伝をする向きも多いでしょうが、「新たな属国化への道」を今後辿るより、遙かに大事なことだと気づかせることが、今後最も重要な課題でしょう。

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