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2023年2月

2023年2月28日 (火)

中国の情報収集、国家をあげての「秘密工作」あの手この手、平和ボケ日本は最大の得意先

Images_20230227154901  以前アメリカで、中国ファーウェイの電子機器や、TikTokアプリなどが、情報を盗む為に使われていると言う理由で、使用禁止の決定がなされました。TikTokはその後、利用者が多いことから使われ続けているようですが。

 日本でもアメリカの圧力があってか、ファーウェイは公的機関での利用は禁止されたようですが、スマホやスマートウォッチはまだ販売されています。果たして情報の抜き取りはどうなのでしょうか。

 これらの情報機器に限らず、例の気球問題の件も含めて、日本の情報漏洩対応はガードが甘いようです。週刊現代がそれを取り上げて気にしています。タイトルは『「平和ボケしている日本人」はこうして中国に情報を抜かれている…驚愕リスト《中華店、ホテル、企業、大学》』(2/24公開)で、以下に引用します。

コロナ禍による緊張感が緩んでいく中で、新たな”魔の手”が日本に忍び寄る。ターゲットとなるのは政府、企業、大学そして全国民―あの手この手で行われる、中国の「秘密工作」のすべてを明かす。

日本人はお人好し過ぎる

「中国のスパイ活動は強まることはあっても、弱まることは絶対にありません。今回の無人偵察用気球によるスパイ活動は、軍事基地の電波情報を狙ったもので、すでに米国や日本を含む40ヵ国以上で行われています。しかし、日本政府は『情報収集に努めていく』の一点張り。日本人は”お人好し”過ぎます」(著書に『盗まれる大学 中国スパイと機密漏洩』がある、米ジャーナリストのダニエル・ゴールデン氏)

2月4日、米軍は中国の偵察気球を領空上で撃墜したことを明らかにした。この報道に慌てたのが日本の防衛省だ。

類似の気球は過去、4度も目撃されていた。しかし、'20年に仙台上空で目撃された際、河野太郎防衛大臣(当時)は会見で「気球? ああ~、安全保障に影響ございません」と素っ気ない対応に終始した。それが今になって、「中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定される」と、態度を急変させたのだ。

中国はやりたい放題

時すでに遅し―。中国のスパイ活動に対して後手に回り、やりたい放題にされているのが日本の現状だ。情報安全保障研究所首席研究員の山崎文明氏はこう警告する。

「今回の気球以外にも、日本の軍事情報を狙った中国のスパイ活動として、基地周辺のマンション最上階が中国人に買い占められています。とある関東の米軍基地に隣接したマンションでは、最上階の部屋のベランダが常に黒い幕で覆われ、監視カメラだけが出ているという報告もあります。

基地周辺にある、自衛隊員が好んで出入りするような中国人経営の中華街や、赤坂などに点在する政治家御用達の高級な中華料理店も国防の観点では危うい。盗聴器を通じて情報が筒抜けになっているケースが多いです」

もちろん政府要人を狙った「ハニートラップ」も消えてはいない。カラオケパブやスナックがそうだ。たとえば「現役女子大生」を売りにした店舗の場合、在籍するスタッフにスパイの中国人留学生が紛れ込み、会話を糸口に情報収集が行われるという。

一見、中国資本とは無縁な外資系の高級ホテルも、今やスパイ活動の温床となっている。

「'18年、業界1位のマリオットホテルから約5億人の顧客情報が流出し、それが中国の諜報機関による仕業だと発覚したように、外資系ホテルは意外にもセキュリティが甘いんです。ハッキングによって定宿にしている要人を見つけ、次にいつ、どの部屋に宿泊するかを入念に調べあげる。その上で事前に部屋に盗聴器やカメラを仕掛けるわけです」(外務省関係者)

狙われるのは中小企業

中国への漏洩は政府情報だけに止まらない。近年、急速に懸念が広がっているのが、中国の産業スパイによる日本企業の営業秘密の持ち出しだ。

警察庁によれば、海外企業への流出を含む企業の営業秘密漏洩を巡る営業秘密侵害事犯は、'21年に23件と過去最多を記録するなど、増加の一途を辿っている。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が語る。

「背景には、中国政府が'15年に打ち出した『中国製造2025』というハイテク産業振興策があります。国家として『世界の工場』から脱却し、『先端技術を作れる国』を目指す。その一環として、日本から技術を貪欲に吸収しているのです」

そのためなら不当な手段でも構わない、と習近平はほくそ笑んでいるのだろう。血の滲むような努力で生みだした技術やノウハウがいとも簡単に中国に掠め取られている。

前出の山崎氏が、産業スパイの手口を解説する。

「まず社員として潜り込むパターンです。従来は研究開発部門が多かったですが、最近は経営企画や総務・人事など管理部門への流入が顕著です」

当然、日本人社員も狙われている。好待遇を餌とした中国企業によるヘッドハンティングが後を絶たない。また、企業自体を乗っ取るという手段もある。後継者がいない中小企業の買収もその一つ。基幹部品や素材を供給する中小企業は、中国にとっては喉から手が出るほど欲しい存在。後継者不足により経営を手放しそうなタイミングを見計らい、買収に動くケースが多発しているという。

秘密の全リスト

以下の表は、中国によって情報を抜かれていると考えられる「スパイ活動」のリストだ。ぜひ身の回りの現象や変化と照らし合わせて、「奪われる日本の情報」の状況について、考えてみてほしい。

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(ここからは記事の後半になります)新たな緊張が日本に広がっている。ターゲットとなるのは政府、企業、大学そして全国民―あの手この手で行われる、「秘密工作」のすべてとは>

大規模サイバー攻撃の恐怖

そこで情報安全保障研究所首席研究員の山崎文明氏が指摘する。

「日立製作所やJAXAなど200にのぼる日本の組織が'16年から'17年にかけて、中国人民解放軍の指示による大規模なサイバー攻撃を受けました。狙いとなったのは各社が導入していたセキュリティ・ソフトウェアの脆弱性です」

企業のパソコンを一元管理するような社内管理ソフトは、中国のサイバー攻撃の標的になりやすいという。

独自の技術を育むのに不可欠な大学や研究機関も中国のターゲットだ。研究員となった中国人留学生が「学術スパイ」となって、AIなど先端技術の情報を盗み出す事件が次々と起きている。

ただ、彼らはあくまで末端の実務部隊に過ぎない。裏で指揮を執り、本国に情報を流すのが、中国人留学生の支援団体だ。そう指摘するのは、元海上自衛隊情報業務群司令の末次富美雄氏だ。

「中国人留学生の支援団体は、事あるごとに学生を呼び出し、最初は世間話から始め、徐々に在籍する組織の機密情報を持ち出すように指示します。そうして集めた情報は本国の『分析官』と呼ばれるデータ分析のプロに届けられ、あたかも中国独自に開発した技術として活用されるわけです」

もちろん中国人留学生は情報提供を拒むことはできない。「本国に残された家族がどうなってもいいのか」「お前は当局の反乱分子リストに載っている」と脅されるからだ。

中華スマホ・ゲームの危険

中国のスパイ活動の対象は、もはや日本の全国民にまで広がっている。SNSによる個人情報収集はその最たる例だ。

「中国政府は'17年に『国家情報法』を施行し、国内外の中国企業、中国人は政府に情報の提出を要請されたら応じなければいけなくなりました。SNSなどのネットサービスを運営している中国企業は利用者の電話番号や交友関係などを握っていますが、中国政府がその気になれば、いつでもその情報を要求できる。無論、中国製のスマートフォンや中華系のオンラインゲームも同じ危険性を孕んでいます」(ITジャーナリストの山谷剛史氏)

何気ない日常の中にこそ、情報を狙う工作員の目が光っている。通販サイトもその一つだ。ITビジネスアナリストの深田萌絵氏が警鐘を鳴らす。「商品を購入した相手が中国業者の場合、名前や住所が勝手にリスト化され、業者間で出回るケースが少なくありません」

怪しいエロ動画サイト

こっそりパソコンやスマートフォンで見ているエロ動画サイトも、実は中国に監視されているかもしれない。深田氏が続ける。

「中国語をそのまま翻訳したような、日本語表記が怪しいエロ動画サイトは、まず中国人が運営していると見て間違いないでしょう。こうしたサイトは、パソコンやスマホに内蔵するカメラを遠隔操作で勝手に起動し、顔を録画してきます。最悪の場合、『恥ずかし過ぎる動画を観ている姿をばら撒かれたくなかったら、金を払え』と脅してくるんです。

実は中華系のエロ動画サイトの運営元は、辿っていくと中国の情報機関・国家安全局の下部組織であることが少なくありません。つまり習近平政権による立派な個人情報収集の一つに組み込まれているのです」

性善説は、中国という国には一切通用しない。日本人のその「美徳」に、彼らはつけ込んでくるのだから。

 こうした記事を目にすると、中国という国は国家を挙げて情報窃盗集団と化していると言えるでしょう。もちろんその目的は技術のみならずあらゆる情報を取り込み、共産党独裁政権の維持発展の為に利用している為です。

 そしてこの記事が示すように、お人好し日本人は簡単に引っかかってくれる、いいお客さんとなっているのが現実です。ハニートラップにひっかかった政治家や実業家も多くいます。そしてスパイ防止法もSC関連法も成立していない日本はまさにスパイ天国と言えるでしょう。

 いずれにしろこれでいいわけがありません。中国が国家を挙げて情報取得に動くなら、日本も国家を挙げて情報漏洩を防ぐように、法整備をしっかりしていかなければならないでしょう。

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2023年2月27日 (月)

殺人犯であっても精神障害で刑事責任能力がなければ無罪に!それでは被害者家族は浮かばれない。「結果責任」で「隔離」に法改正を

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 山上徹也が安部元首相を襲撃(暗殺)してから、半年以上が経ちました。単独犯なのかどうか疑問も残りますが、先月殺人と銃刀法違反の罪で起訴されました。ただこの間半年近くにわたって被告は「鑑定留置」で、精神鑑定をされていたのです。もし精神障害があれば刑事責任能力なしと言うことで、無罪の可能性があったのです。結果は責任能力ありで上記罪状で起訴されましたが。

 ただここで疑問が残ります。被害者は被疑者に刑事責任能力があろうがなかろうが、被害を受けた結果には変わりがありません。特に殺人となれば家族関係者は塗炭の苦しみを受けているのです。そこへ責任能力なしで無罪となれば、全く浮かばれないでしょう。

 2018年発生した事件で、精神障害で昨年無罪となった判決があります。朝日新聞の記事を引用しましょう。タイトルは『乳児暴行死、母親に無罪 横浜地裁「心神喪失状態だった疑い残る」』(22/01/12公開)です。

 生後1カ月の長男に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪に問われた神奈川県大和市の無職女性(39)の裁判員裁判で、横浜地裁は12日、無罪(求刑懲役5年)を言い渡した。奥山豪裁判長は、女性は統合失調症の影響下にあり、罪に問えない心神喪失状態だった疑いが残ると判断した。

 女性は2018年8月、大和市の自宅で長男を床に放り投げるなどして、急性硬膜下血腫により死亡させたとして起訴された。公判で女性は、長男を投げ飛ばすよう命令する「声」が聞こえたなどと供述しており、責任能力の有無と程度が争点となっていた。

 判決は、女性が事件当時、統合失調症にかかっていたとする精神鑑定の信用性を認めた上で責任能力について検討。暴行の内容や程度などから、「統合失調症による幻聴などの圧倒的な影響下にあった」と結論づけ、完全責任能力があったとする検察側の主張を退けた。

 判決を受け、横浜地検の安藤浄人次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントを出した。

 その後地検がどう対応したかはわかりませんが、この事例は被害者は幼児で加害者はその被害者の母親ですから、特段その判決に他からの異論も薄いものと思われます。

 ところが2017年神戸で発生した5人殺傷事件の裁判で、2021年神戸地裁が下した判決は、もっと衝撃的なものです。神戸新聞NEXTの記事から引用します。タイトルは『「お母さん返して」「こんなこと許されるのか」立ち尽くす遺族 5人殺傷、無罪判決に騒然』(21/11/04公開)です。

5_20230227094001 責任能力はあったのか、なかったのか-。4日にあった神戸5人殺傷事件の判決。男性の被告(30)の事件当時の精神状態を巡って専門医の見解が分かれる中、神戸地裁は無罪を言い渡した。閉廷後、ショックでぼう然とする遺族関係者ら。一方、無期懲役と無罪の間で「究極の選択」を迫られた裁判員。刑法の専門家は「負担は相当だったはず。裁判員裁判という制度の見直し議論も必要」と指摘した。

 「被告人をいずれも無罪とする」。神戸地裁101号法廷。約40分の判決文朗読の後、後回しにされていた主文が言い渡された。

 男性の被告はこれまでの公判同様、身じろぎ一つせず前を向いていた。

 「無罪ですが、行ったことは取り返しがつかないことは分かっていますね」。裁判長の問いかけに、小さくうなずいた。

 落ち着いた様子は、被告が事件時に抱いていたとされる妄想の荒唐無稽さとは対照的だった。判決によると、被告は事件2日前から元同級生の女性の幻聴が聞こえ始め、妄想により女性を「超常的な存在」と思うようになったという。

 周りの人は人間の形をした「自我や意識のない存在」で、倒すのが女性と結婚するための試練だと考えていた、とこれまでの公判で証言していた。

 閉廷が告げられると、傍聴していた被害者関係者らは困惑の表情を浮かべた。被告の伯父(67)は、3人の位牌を手に傍聴していた。殺害された祖父母と、その長女で公判前に亡くなった妻だ。

 発生から4年余りがたっての無罪判決に「本当にむごい。3人にどう報告すればいいのか分からない」と立ち尽くした。

 徐々に地裁内は騒然とし始めた。「お母さん返してよ!」「人が3人死んでんねんで!」。被害者の関係者とみられる女性は、地裁庁舎内で叫んだ。「こんな判決おかしいやんか。遺族の気持ちはどうなるの!」

 4日夕、亡くなった女性=当時(79)=の遺族は「何の罪もない3人が無法に命を奪われたのに、被告は法律で守られたことは到底納得できない」とのコメントを発表した。

 負傷した女性(69)も「こんなことが許されるのかと落胆している。4年間かけてようやく取り戻しつつあった安心が一気に崩れ去りました」とし、神戸地検に控訴を求めた。

【園田寿・甲南大名誉教授(刑法)の話】 複数人が殺害された事件でも、刑事責任能力が争点になって無罪になるケースはある。刑事責任能力の有無を判断するには非常に専門的な知識が求められ、特に裁判員は、専門家の意見を信用せざるを得ない。精神鑑定の手続きなどに問題ないかで判断することになる。

 今回は精神鑑定を担当した専門医2人の見解が分かれた。11回にわたって面接した1回目と、5分程度あいさつを交わしたのみという2回目を比べると、1回目を信用するのは自然な判断だ。「疑わしきは被告の利益に」の原則に沿った判決だ。ただ、それでも無期懲役か無罪かの判断を迫られた裁判員は、相当な負担を感じたはず。

 裁判員制度の趣旨は、裁判の進め方や内容に国民の視点を反映することだが、「究極の選択」を一般人に強いるのは問題だ。制度導入前には、懲役10年以下の犯罪などを対象とするという議論もあったはずで、制度を考え直す議論も必要ではないか。

 この事案も地検が控訴を選択したようですが、その後の裁判がどうなったか、ネットでは確認できませんでした。この裁判、裁判員制度への注目もそうですが、それよりこの精神鑑定による刑事責任能力の有無で、有罪か無罪にする現制度の方を問題視したいと思います。

 橋下琴絵氏が氏の著書「日本は核武装せよ!」の中で、『刑法は「有害な存在を隔離して社会秩序を守る」為にある』という項に、次のような記述があります(抜粋)ので引用します。

精神障害者の免罪規定は、1907年に施行された現行刑法が採用している。 刑法には第三十五条から第三十九条まで「違法性阻却事由」といって、罪にならないケースを定めている。この中の第三十九条に精神障害者の免罪規定がある。これは、大日本帝国がドイツの刑法を輸入した際、そのまま準用された規定である。

一般的に、世界の刑法には四つの目的がある。応報、抑止、隔離、矯正である。ドイツ刑法は応報と抑止を目的にしており、イギリス刑法は隔離と矯正を目的にしている。日本も、戦前から戦後まで、一貫してその運用は応報と抑止を主目的にしているが、最近では矯正を主眼に置いている。全国の刑務所を統括する部局の名称が「法務省矯正局」となったのも、このためである。

ドイツ刑法は、犯罪の原因を「犯罪の故意」に求め、これを処罰するという目的がある。よって、犯罪者に対して正義の執行をせしめ、被害者に代わって国家権力が報復するという考え方が 「応報」である。また、社会に潜在する犯罪予備群に対して、刑罰が確実に執行されることを示して威嚇し、犯罪を抑止する目的を併せ持つ。

精神障害免罪論はドイツ観念論の考え方だ。 精神障害者は「犯罪の故意」がないと考えるため、応報の対象にはならず、また損得勘定もできないため抑止効果もない。だから、「心神喪失」で罪に問えないという理屈である。

一方、イギリス刑法は、犯罪の故意ではなく「犯罪の結果」を重視する。何故ならば、健常者に殺されても精神障害者に殺されても、被害者遺族の苦痛は変わらないからだ。 刑法の目的も、社会に有害な存在を社会から隔離して「社会」を防衛することにある。よって、その有害性が消滅するまで隔離するか矯正を試みるということになる。このため、精神障害者が重大犯罪をした場合、ドイツや日本と同じような免罪規定はない。

イギリスで精神障害者が凶悪犯罪をした場合に注目されるのは、「公判能力があるかないか」ということである。よって、公判に参加して弁論する能力の有無が審査される。この審査の結果、被告人に公判能力がないと判断された場合、訴訟能力が回復するまで特別な精神病院で強制的に治療を受けさせられる。この治療は制度上更新制となっているが、目的は「公判能力を回復させる」ことであるから、回復するまで治療に専念する義務がある。また、裁判を受ける能力はあるものの精神障害が顕著な場合も、同じく特別な精神病院での治療に専念することになる。この治療目的は「裁判を受ける能力または刑罰の執行を受ける能力を「回復させること」であり「社会復帰」ではない。

 私もこの「犯罪の結果」責任論に同調したいと思います。いくら何でも上記の事例のように3人の殺人を含む5人の殺傷事件で、無罪はないと思います。もちろん精神疾患の強制的な治療は受けさせるかも知れませんが、それがイギリスのように「隔離」を重視し、同一犯罪を阻止する方向であればいいのですが、日本は「隔離」ではなく「社会復帰の促進」を法で謳っているのです。

 もともと刑事責任能力がないという程の、重度の精神疾患(例えば統合失調症)であれば、完治し社会復帰は難しいとされています。そのような矛盾した対応で処理が行われれば、万が一何かの理由で途中で退院したり脱走したりすれば、同様の被害者を出す恐れがあるでしょう。国民の安全の為に「結果責任」で「隔離」にするよう法改正を願いたいものです。

 日本では冤罪を出さない為に、様々な面で加害者の権利を保護しています。弁護士帯同もその初歩的な部分です。憲法にも10条にわたってその規定があります。戦前の特高などによる行き過ぎた容疑者取り扱いの反省からでしょうが、そこから逆に被害者の視点がすっぽり抜けてしまっています。

 最近になって被害者質問の解禁など少しは改善されているようですが、あまりに酷い極悪犯罪でも殺人二人までは死刑にならないなど、被害者の無念を晴らすには高い壁があります。特にこの精神障害による無罪など、完全に被害者を置き去りにしています。再度被害者の無念を晴らす為にも、「結果責任」で「隔離」にするよう法改正を願うと共に、神戸の事件の例などは死刑も視野に入れて欲しいと思いますね。

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2023年2月26日 (日)

和田政宗氏:韓国が竹島の不法占拠をやめない限り、両国間の関係改善などあり得ない**だが日本政府は竹島奪還の努力をしているのか

3_20230225150001  一昨日「竹島の日」の式典が行われました。だが今年も首相はおろか、一人の閣僚も出席しませんでした。そもそも島根県という地方自治体の主催の式典しかなく、国の式典はありません。竹島は「日本固有の領土」と外務省のHPでも謳っているのに何故でしょうか。『「竹島の日」式典、11年連続で政務官派遣へ 今年も閣僚は出席せず』(2/16公開)というタイトルの、産経新聞の記事がありますので、以下に引用します。

<政府は、島根県などが22日に松江市で開催する「竹島の日」の記念式典に、中野英幸内閣府政務官を出席させる方針を固めた。谷公一領土問題担当相が17日にも発表する見通しだ。複数の政府関係者が16日、明らかにした。地元が求めている閣僚の派遣は今年も見送り、11年連続で政務官が政府を代表して出席する。

式典は、韓国が国際法上の根拠がないまま70年近く不法占拠を続けている竹島(島根県隠岐の島町)の早期返還を訴える目的。平成18年以降、島根県が条例で定める「竹島の日」の2月22日に開いている。同県によると今年も例年通り、首相、官房長官、外相、文部科学相、農林水産相、領土問題担当相の6人に式典への出席の案内を送った。

ただ、閣僚の出席は一度も実現していない。韓国政府は式典の開催自体に抗議し、日本政府は日韓関係に配慮する観点から政務官の派遣にとどめてきた。

韓国では昨年5月、悪化した日韓関係の改善を強く訴える尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任。日本政府は現在、韓国政府といわゆる徴用工訴訟問題の解決に向けて協議を続けており、こうした状況も踏まえて例年と同じ対応を踏襲したとみられる。

ただ、地元では政府の対応に反発が拡大し、竹島返還を求める世論の低迷への懸念も増している。式典では毎年、政府主催の「竹島の日」式典の開催を求める特別決議を採択している。自民党も平成24年の衆院選で政府主催を公約したが、検討は進んでいない。>

 日本は戦後一貫して、韓国、中国に戦時中迷惑をかけたという理由からか、卑屈なまでの謝罪外交を展開してきました。ただ韓国に関して言えば、戦時中交戦相手国でもないし、併合時代日本は大枚の資金を投入して、インフラ整備や教育改革、産業発展に貢献してきたのに、韓国側のただ一点の主張「主権を奪った」ということに反応し、謝罪を繰返してきたのです。

 更に次のような尾ひれがつきます。「日帝の植民地のもとでの圧政と蛮行の35年間の収奪の歴史」。もちろん真っ赤な嘘です。だが真っ赤な嘘と誰も言えない、そして泣き止まぬ赤子をあやすように、「よしよし」と言いながら日韓条約の締結と同時に、大枚の資金援助をしたのです。

 その甘さが更に韓国を増長させ、慰安婦や徴用工、旭日旗、戦犯企業という主張をでっち上げ、また竹島の不法占拠に対して、韓国の領土だとこれもでっち上げてきたのです。竹島問題に関しては自民党参議院議員の和田政宗氏が月刊hanadaプラスに、次のような記事を寄稿しています。タイトルは『韓国が竹島の不法占拠をやめない限り、両国間の関係改善などあり得ない』(2/24公開)で、以下に引用します。

江戸時代初期までに竹島の領有権を確立

竹島は我が国ではかつて「松島」と呼ばれ、韓国の鬱陵島が「竹島」や「磯竹島」と呼ばれていた。我が国がこれらの島々を区別していたことは、長久保赤水の「改正日本輿地路程全図」(1779年初版)などから明らかであり、その資料も多数存在している。

1618年には、鳥取藩米子の町人・大谷甚吉と村川市兵衛が藩主を通じて幕府から鬱陵島(当時の日本名「竹島」)への渡海免許を受けた。これ以降、両家は葵の紋の船印で鬱陵島に渡海し、アワビ漁やアシカ猟を行って将軍家への献上もなされた。

鬱陵島への渡海にあたっては、竹島を途中の停泊地として利用し、アワビ漁やアシカ猟も行われた。こうして我が国は、江戸時代初期にあたる1600年代半ばまでに竹島の領有権を確立した。

さらに、竹島においてアシカの捕獲が明治30年代(1900年代初期)に本格的に行われるようになり、島根県隠岐島民の中井養三郎は捕獲事業の安定を図るため、明治37(1904)年、日本政府に対しての領土編入及び10年間の貸し下げを願い出た。

これを受け、政府は島根県の意見を聴取した上で1905(明治38)年1月に閣議決定で竹島を「隠岐島司ノ所管」と定め、島根県知事は1905(明治38)年2月22日、竹島が隠岐島司の所管となった旨を告示した。このように竹島は、日韓併合以前、日露戦争終結以前に平穏に領土編入の確定が行われたのである。

韓国が一方的に設定した「李承晩ライン」

竹島が我が国固有の領土であることは歴史上明白であるのだが、先の大戦後の昭和27(1952)年に李承晩韓国大統領が、いわゆる「李承晩ライン」を国際法に反して一方的に設定し、ライン内側の漁業管轄権を主張。そのライン内に竹島を取り込んだ。

同年7月には、不法漁業を行っていた韓国漁民に対し竹島から退去するよう求めた海上保安庁の巡視船が、韓国官憲によって銃撃されるという事件が発生した。

なお、日本は昭和26(1951)年9月に署名されたサンフランシスコ平和条約において、朝鮮の独立を承認し朝鮮の領有を放棄したが、竹島は含まれていない。条約の草案起草時に韓国は「竹島」の領有放棄を求めたが、米国は日本固有の領土だとして韓国の主張を否定し、条約には盛り込まれなかった。

さらに、「李承晩ライン」設定後の1954年に韓国を訪問したヴァン・フリート米国特命大使の帰国報告にも、「竹島は日本の領土であり、サンフランシスコ平和条約で放棄した地域には含まれないというのが米国の結論である」と記されている。

その後、昭和29(1954)年6月に韓国は韓国沿岸警備隊の駐留部隊を竹島に派遣したことを発表。同年8月には、竹島周辺を航行中の海上保安庁巡視船が竹島から銃撃され、韓国の警備隊が竹島に駐留していることが確認された。

我が国はこのような韓国による竹島不法占拠問題の解決を図るため、同年9月に、竹島に関する紛争を国際司法裁判所(ICJ)に付託することを韓国に提案したが、韓国は拒否した。その後も2度にわたりICJに付託することを提案したが韓国はこれを受け入れようとしなかった。

これらICJへの付託は、実は米国も韓国に対して勧めていた。1954年に韓国を訪問したヴァン・フリート大使の帰国報告には、「米国は、竹島は日本領であると考えているが、本件をICJに付託するのが適当であるとの立場であり、この提案を韓国に非公式に行った」との記録が残されている。

2_20230225150101 今こそ国際司法裁判所へ単独提訴を!

では、国際司法裁判所(ICJ)による解決が困難ななか、我が国が取るべき方策は何か。

それはまず、韓国が竹島の不法占拠をやめない限り、両国間の関係改善などあり得ないという明確なメッセージを日本政府が発信することである。

日韓の経済関係や安全保障関係のことを考えればそうすべきでないとの論もあるが、国家とは国土と国民を守るために存在しているわけで、奪われた国土の話を抜きにして親密な関係を築くことなどあり得ない。

そして、私はICJへ単独提訴をすべきであると思う。日本政府が単独提訴したとしても、韓国政府が応じなければ裁判は開けない。しかし、意味のないことでは全くない。日本は国際法のルールに従い、領土問題を平和的に解決しようとしているのに、韓国が拒否しているということが世界に明らかになるからである。

世界各国では、日本の竹島を韓国が不法占拠していることを知らない人が多い。韓国がいかにおかしなことをしているかが世界に広まれば、ICJでの裁判を韓国は受け入れるべきであるという圧力となる。

平成26(2014)年には安倍晋三総理大臣が国会審議において、国際司法裁判所(ICJ)への単独提訴も含め、検討・準備している」との答弁を行っている。日本政府は今こそ単独提訴を行い、国際社会に強く訴えていくべきである。

私も韓国の竹島不法占拠の事実を世界各国に強く広めていく。そして、国際法に則り平和的に紛争が解決できる世界としていかなければならない。

 国際司法裁判所(ICJ)への単独提訴と同時に、あるいはその前に先ずは政府が竹島問題を、日本の主権維持の為の必要不可欠の課題として、政府主催の「竹島の日」を設け、竹島が日本固有の領土だと言うことと、現在竹島を韓国が不法占拠しているのだという事実を、内外に公表することでしょう。

 それはまさに紛れもない事実であり、どんなに韓国側が反論しようとも、事実はねじ曲げられません。そしてそれを長年出来なかった政府外務省の理由をも明らかにし、それも同時に公表すべきでしょう。

 そこから併合時代の韓国の嘘と、慰安婦、徴用工問題の嘘を明らかにしていく必要があるでしょう。日本にいる中国、韓国の主張を必要以上に取り上げる、反日親周辺国の「自虐史観」にそまった人をあぶり出す為にも。

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2023年2月25日 (土)

福島香織氏:武漢で始まった「白髪革命」デモ 保険制度改革に激怒する中国の老人たち、「政府を倒せ」とシュプレヒコール 

Photo_20230224164601  中国で医療保険制度改革が発端で、直接の影響を受ける高齢者のデモが、各地で勃発、特に武漢では退職工員によるデモが大きなうねりとなって、地方政府を揺さぶっています。

 習近平政権の3期目のスタートか半年弱、その間白紙デモや、ゼロコロナ解禁後の感染大爆発、そして気球問題など矢継ぎ早に政権には面白くない出来事が続いていますが、この所謂「白髪デモ」もそれに一枚加わりました。

 フリージャーナリストの福島香織氏がJBpressに寄稿したコラムにその詳細を見てみましょう。タイトルは『保険制度改革に激怒する中国の老人たち、「政府を倒せ」とシュプレヒコール 革命の聖地、武漢で始まった「白髪革命」デモ』(2/23公開)で、以下に引用して掲載します。

 中国・武漢で起きた退職工員たちによるデモがただごとではないと話題になっている。シュプレヒコールの中で「反動政府を打倒せよ」という言葉が叫ばれていたからだ。

 昨年(2022年)11月に南京の大学から始まった、若者が白紙を掲げてゼロコロナ政策などに抵抗した「白紙革命」では、「共産党下台(共産党は退陣しろ)」「習近平下台(習近平は退陣しろ)」という叫びがあった。今度は退職した老人たちが立ち上がる「白髪革命」で政府打倒の呼びかけが起きたのだ。しかも場所は武漢という「革命の聖地」である。

 習近平は第3期目総書記の任期継続を決め、新型コロナに対する決定的勝利を先日宣言し、3月の全人代に万全の体制で臨もうとしている。しかし、この社会の動揺はその足元をすくいかねない状況だ。

1_20230224164601 政府打倒を叫ぶ白髪交じりの退職者たち

 武漢で「白髪革命デモ」が起きたのは2月8日、そして15日。デモの目的は、中国で目下全国的に進められている医療保険改革を撤回させることだ。

 最初のデモは2月8日、国有企業である武漢鉄鋼の退職工員を中心とした元工場労働者たちによって行われた。彼らは市政府前に集まって、医療保険新政策(医保新政)反対のスローガンを掲げてデモを行った。その数はゆうに1万人を超えており、国内外の耳目を集めた。

 デモ参加者によれば、2月1日から始まった医保新政により、武漢市だけで200万人近くいる退職工が悪影響を受けているという。政府がこの政策を撤回するなりして問題を解決しなければ、15日にさらに大規模な抗議を起こす、と訴えた。8日は雨で、政府市庁舎前の広場には、退職工らが市庁舎の出入り口をふさぐように詰めかけていた。敷地内は警察が厳戒警備を敷き、緊張感が漂った。

 武漢政府は結局、手荒なことはほとんどせず「改革を一時的に緩和する」と譲歩の姿勢をみせ、その日の朝から始まったデモも夜には解散となった。だが、改革撤回を宣言をしなかったため、2月15日に再び武漢でデモが起きた。

 15日のデモは武漢市の中山公園が集合場所で、そこから市政府に向かった。そのルートは辛亥革命の始まりとなる武昌蜂起と同じだった。

 参加者は一時、数十万人に膨らんだという情報もある。高所からの映像がネットに上がっていたが、公園から市政府までの道が群衆であふれていた。参加者の多くが白髪交じりで、国内外でこのデモを「白髪革命」と呼ぶようになっていた。

 2月15日にこのデモが起きるとわかっていた当局は朝から地下鉄を封鎖し、退職者が暮らすコミュニティの門を封鎖した。だがそれでもこれだけの人が集まったということが国内外で衝撃を与えた。大勢のデモ参加者が警察に連行されたが、当局はその様子がメディアやSNSを通じて広がらないように幕で隠したりしていた。辛亥革命の始まりの土地で、デモの鎮圧には相当気を使ったようだ。

 このデモでやはり注目すべきは、警察と対峙した群衆から「反動政府を打倒せよ!」というシュプレヒコールが起きたことだ。途中、警官隊と小競り合いになり、デモ隊の老人が突き飛ばされたときに、「反動政府を打倒せよ!」という叫びが一斉にあがった。

 この武漢デモに呼応するように、同日、大連でも数千人の退職者デモが起きていた。大連のデモ鎮圧は注目されていなかった分、過激だった。参加者たちはスマートフォンを掲げながら革命歌の「インターナショナル」を歌い、それを警官隊が催涙スプレーなどを吹きかけて追い払っている様子がネット上の動画で拡散された。

社会保険制度は崩壊の危機

 実は2月初めから上海、広州、鞍鋼などの都市でも同様のデモが起きている。上海と広州では、デモを受けて地元政府が医療保険新政策の棚上げを約束したという。

 中国の医療保険は1998年から国有企業を中心に導入された。その仕組みはシンガポールの医療保険制度を参考にしているという。具体的には、医療保険料は月々の工員の賃金と工場側からそれぞれ徴収され、「個人口座」と「共通口座」に分けて積み立てられる。個人口座は、少額の外来診療や医薬品の購入などに比較的柔軟に使える。一方、共通口座の資金は社会保険基金の一部を構成し、保険加盟者が病院で入院、手術などの高額治療を受ける際の補助金となる。

 英BBCがその仕組みをわかりやすく説明している。たとえば月収1万元の従業員の場合、月収の2%にあたる200元の保険料を給与から天引きの形で納め、工場側が8%の800元を保険料として納める。保険会社(地方政府)は、あわせて1000元の保険料を受け取ることになる。そして、個人が納めた200元と、工場が納めた800元のうち380元を合わせた580元を個人口座に積み立てる。800元のうち残りの420元は共通口座に積み立てる。ちなみに、地方ごとにこの保険料の比率は異なる。

 個人口座の積み立ては目的が指定された強制貯金みたいなもので、共済機能はない。共済機能があるのは社会保険基金に組み込まれる共通口座のほうだ。

 武漢当局の話だと、全市の医療保険資金の6割が、若者や健康な人たちの個人口座に使われないまま貯められているという。現役の労働者はそんなに医療費を使わない。また、彼らは個人口座に振り込まれた医療保険積立金を貯蓄だとみなしており、病気になってもそれを使わないのだ。

 さらに、彼らはもしも「入院しても入院しなくてもどちらでもいい」という状況になった場合、共通口座から医療費を賄って入院しようとする。このため武漢の入院率は長年20%を超えており、共済に使われる社会保険基金の資金不足が深刻になっていた。

 2020年、中国で、労働者向け社会保険基金に余剰があるのはわずか6省だけ。事実上、中国の社会保険制度は崩壊の危機に直面していた。

 さらに病気にほとんどならない若い労働者が積み立ててきた大量の個人口座資金を一部企業が密かに米や小麦、油など非医療物資の購入に充てるなどの汚職が発覚する事件もあった。

 こうしたことから、中国政府は2021年に「全職工の基本医療保険外来共済保障メカニズムを健全にするための指導意見」を発布し、個人口座をなくし、共済保障に利する形で制度改革を行うようにと通達した。これを受けて、各省が今年に入って医療保険新政策を打ち出したのだった。武漢は、まさに段階的に個人口座に振り込む資金を減らしているところだった。

 武漢の改革では、個人口座への振り込みを減らす代わりに、本来個人口座から負担する外来診療費の50%を共済口座から還付するとした。たとえば現在働いていて月収1万元の人は、個人口座に医薬品購入補助金として毎月200元振り込まれる。企業が払う800元はすべて共済用の共通口座に入るが、外来診療のときの費用の50%はそこから還付される、というわけだ。

高齢者も若者も溜め込んでいる政府への不満と不信

 ここで納得いかないのが、武漢の退職労働者、退職工たちだ。

 退職工は、すでに払い終わった社会保険料から毎月260元あまりが個人口座に医療補助金として振り込まれていた。だが改革後は、これが80元ほどに減らされるという。

 ただ、病院での診療費補填率は60%に引き上げられる。当局側は、実際は退職工に向けられる医療費は現役労働者の4倍になり、退職工の方が得をするのだ、と説明する。だが、目に見える個人口座への振り込み金額が減ることで、退職工は政府に納めた医療保険費を政府に奪われた、と感じてしまうのだ。

 ちなみに診療補填を受ける場合、「指定の大病院に限る」「初診料を除く」といったいくつもの条件があり、実際は全体的に医療費は高くつくようになると多くの人たちは感じている。

 個人口座の積み立て資金で購入できる医薬品についても、安くて効果的なジェネリック薬を対象外にするなど、改悪されたという見方もある。ほかにも葬儀補填費として7万元支給されていたが、3万元に減額されている。

 建前は“医療保険制度の最適化”だが、実際はコロナ禍の3年間で多くの地方政府の財政がひっ迫し、社会保険基金が底をついてしまったため、老人向けの医療費削減策に迫られた、ということだろう。

 中国の一般市民は、中国の高齢社会化に伴って老人向けの社会保障制度がおそらく今後削減されていくことを予感しており、今回の医保新政に対する反応も激しいものになったといえる。

 日本では、高齢者の社会保障費用が若者の負担になっているとして、若い世代側から「高齢者の集団自決論」まで唱えられている。中国でそうした「高齢者 vs.若者」の分断の形にならないのは、若者だけではなく高齢者も政府に対する長年の不満と不信を溜め込んでいるからだろう。

 また、国家・地方公務員を含めて政府側の人間はもともと医療費を全額公費で賄われており、「政治家・官吏 vs.民衆」の分断の方が大きいという背景もある。問題は政府とその姿勢にあり、「我々は老いも若きも『剥奪される側』だ」という認識で共通しているのだ。

 なので、武漢の白髪革命では「団結こそパワー」というスローガンが掲げられ、退職した高齢者だけでなく現役労働者にも若者にも共感が広がっている。むしろ、若者の抗議運動「白紙革命」と高齢者「白髪革命」がリンクする可能性を指摘する人が多い。

革命もコロナも武漢から始まった

 この「白髪革命」の成り行きにチャイナウォッチャーたちがとりわけ注目しているのは、場所が「武漢」ということもある。

 武漢は辛亥革命が始まった武昌蜂起の起きた土地。そして2020年に最初に新型コロナの洗礼を浴び、その後も激しい感染と長いロックダウンを経験した。多くの死者を出し、その多くは高齢者だった。今回のデモ参加者はその厳しいコロナ禍を生き抜いた老人たちでもある。

 そして彼らの年代は、文革を経験し、その前の大躍進後に起きた3年大飢饉も生き残った人たち。つまり、中国人の中で最も中国共産党の政治に振り回されながらも、それに耐えて生き抜いてきた世代だ。そういう世代が、ついに立ち上がったというインパクトは大きい。彼らが我慢できないことに他の誰が耐えられようか。

 しかも、武漢は長江沿い五大都市、つまり上海、南京、武漢、重慶、成都の中心にある交通の要衝であり、武漢で起きたことは中国全土に広がりやすい。革命もコロナも武漢から始まり中国全土に広がった。

 中国は古来「易姓革命」の思想が根強い。徳を失った君主は天に見放される。自然災害が起き、民衆が蜂起し、王朝は交代させられる。習近平はすでに徳を失っている。民衆の敵意を腐敗官僚に向けさせようとしたり、巨大民営企業家に向けさせようとしたり、あるいは米国や西側先進国に向けさせようといろいろ画策しているが、結局、人民と正面から向き合わざるを得ないのではないか。禅譲か放伐か。民衆がそれを迫る日が意外に近いかもしれないと、この「白髪革命」を見て思う人もいるのである。

 最近どの局か忘れましたが、テレビで中国の影の部分、つまり農村部の貧困の状況が映し出されていました。多くの若者は都会に出て農民工として働いていますが、都会地区の人とは格差は縮まらない。若者がいなくなった結果、日本同様後継者も少なく、食糧自給率の維持が心配されていました。その疲弊状況は北京や上海の影に隠れていますが、この国の3分の一程度の人が、そうした中で暮らしているのです。

Img_a214fef96180960dcdbfb1c0fe4df65d1968  一方で広くて快適な建物の中で、食事も娯楽も医療も完璧に提供されている、都会地区の裕福な人たち向けの御殿のような高齢者施設が紹介されていました。その施設では習近平氏とのビデオ会話も行われていました。この記事の退職工員ではとても入居できない高額な施設のようです。

 まさに天国と地獄が同居する国、それが中国のようです。もともと共産主義は平等をその理念に置いているはずですが、中国はその理念とは全く逆の超格差社会です。そんな国が長く続くわけがないと思いますね。今は徹底的な監視と強権で押さえつけていますが、「白髪デモ」がその崩壊の発端になるかも知れません。

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2023年2月24日 (金)

阿比留瑠比氏:核「持ち込ませず」に見直し論 中谷、高市、安倍氏の問題提起

20_20230223161301  ロシアのウクライナ侵略の衝撃から1年経ちました。国連安保理の常任理事国で核保有国のロシアが起こした侵略戦争。国連は停戦勧告も何も出来ません。この侵略戦争のもう一つ意味するものは、核を持たない国が核を保有する国に、容易に侵略されると言うことでしょう。

 中国が虎視眈々と狙う台湾、そして日本でさえ明日のウクライナにならないと、誰が言えるでしょう。そうした中で日本は防衛費のGDP比2%を目指し、反撃能力を含む「安保三文書」の改定に踏み切りました。

 だがこのブログで再三取り上げているように、驚くべきことに「専守防衛」の旗は降ろさず、「反撃能力」も「必要最小限の自衛」としているのです。それに加えて、岸田首相は「非核三原則」の堅持を唱えたのです。

 ところが自民党内でこの「非核三原則」に対する問題提起が持ち上がっています。産経新聞論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏が、同紙にコラムを寄稿した記事を紹介します。タイトルは『核「持ち込ませず」に見直し論 中谷、高市、安倍氏の問題提起』(2/23公開)で、以下に引用します。

韓国の大手紙、朝鮮日報の20日付社説は、日本にとっても人ごとではなく、同様の危機意識を持つべき内容だった。社説は、18日に北朝鮮が液体燃料式大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射訓練を行ったことについて、「『開発と量産を終え、実戦配備に至った』と誇示する意図があるようだ」と指摘し、こう結論付けていた。

「北朝鮮の核の効用性を一瞬でゼロとする方法は韓国独自の核保有しかない。他の選択肢が全て無意味となる瞬間が徐々に近づいている」

北は昨年11月には、ICBM「火星17」を発射し、成功したと発表している。米本土まで攻撃対象となるICBMが実戦配備されていく中で、米国の核の傘、拡大抑止はどこまで信頼できるのか。

ウクライナを侵略するロシアへの姿勢からも、自国を攻撃する能力を持つ核保有国と直接戦う気はないという米国の本音が見え見えである。ウクライナとは異なり、日韓は米国と同盟関係にあるが、それはどこまで効力を持つだろうか。

もちろん脅威は北だけではない。日本は地理的に中国、ロシアという核大国とも対峙(たいじ)していかなければならない。特に通常兵器の性能では西側諸国に及ばない北やロシアは、有事にはいきなり核頼みとなる危険性がある。

そんな国際情勢下にあって、中谷元・首相補佐官が18日、「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則の見直しに言及したのはタイムリーだった。時事通信によると中谷氏は地元・高知市での国政報告会で語った。

「非核三原則はいつまでも通用するのか。(日本国内に核兵器を)せめて持ち込むということは現実的ではないか」

中谷氏の指摘は、朝鮮日報が主張する独自の核保有までいかずとも、米国の核兵器が日本国内にあるか、あると相手に思わせるだけで抑止力になるということだろう。政府内から、こうした率直な意見表明がなされることの意義は大きい。

この論点は、高市早苗経済安全保障担当相がかねて主張してきたことでもある。高市氏は例えば、自民党政調会長だった昨年3月6日のフジテレビ番組で、「有事のときの『持ち込ませず』については党内で議論したい」と述べ、こう強調していた。

「非核三原則を守るべしという人の中には、有事にも、核兵器を搭載した米艦船が日本の領海内を通過しても領空を飛んでもダメという議論まである。(日本は)米国の核の傘の下で守られているというが、いざとなったら核抑止力が全く機能しないと言っているのと同じことになる」

高市氏は昨年12月に政府が閣議決定した「安保3文書」からも、非核三原則を外すよう訴えたという。

米国が、日本が核攻撃を受けたからといって、自ら危険を冒してまで核保有国に対して核で報復してくれるのか。核の傘は、すでにいくつも穴が開いた破れ傘になりつつはないか-。

この疑問から安倍晋三元首相は昨年2月、米国の核兵器を日本の領土・領海内に配備して共同運用する核共有について問題提起したのだった。

岸田文雄首相が「核兵器のない世界」を目指すことと、非核三原則の見直しは矛盾しない。米国の核の傘を当てにしている時点で、日本は既に理想と現実に境界線を引いている。それならば、せめて「持ち込ませず」は見直していい。

Images-11_20230223161301  岸田首相は広島県出身で、殊更「核兵器」に敏感なようで、「核兵器のない世界」の実現を主張しています。5月のG7の広島サミットも広島で開催、議長国として「核軍縮」を重要なテーマにしようとしています。ただ核保有国が3カ国参加しますが、それ以外の核保有6カ国が参加しない中で、理想ばかり追いかけても現実はついてこないのではないのでしょうか。

 自己の主張を日本をも対象とし、「非核三原則」を頑なに固持し、かつ内外に公表することは、核保有の隣国に対し、「日本組み易し」との誤ったメッセージを送ることになります。それは「自己の思い」の為に国民の安全を毀損する事につながるのではないでしょうか。

 プーチンが自己の思いを実現する為に、ウクライナを侵略し、ロシア国民を孤立させたように、自己の思いは必ずしもプラスには働きません。岸田首相も「核兵器のない世界」を目指す思いは結構ですが、現実に日本の置かれた安全保障環境を直視することなく、安易に理想を現実に当てはめようとしないよう願いたいと思います。

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2023年2月23日 (木)

世界を困らせる3大バカ老人とは バカ老人が国のトップに立つと、自国民他国民とも被害は甚大

21_20230222144801  世界には200以上の国がありますが。大きく分けて民主主義国家、権威主義国家、その他の国家に分類されると思います。日本は民主主義国家ですが、今やその数、世界では少数派かも知れません。

 その内権威主義国家はやっかいです。国の内外に緊張をもたらす存在です。その指導者が特に権威主義の塊であれば、その影響は極めて大きくなります。その内3人を上げるとしたら・・・

 ウクライナを侵略したプーチン、台湾侵攻をほのめかす習近平、そしてミャンマーでクーデターを起こしたミン・アウン・フラインの3人、いずれも独裁国家で国民そっちのけで覇権の限りを尽くしています。

 著述業の勢古浩爾氏がこの3人を取り上げたコラムを、JBpressに寄稿しました。タイトルは『世界を困らせる3大バカ老人とは バカ老人が国のトップに立つと、自国民他国民とも被害は甚大』(2/22公開)で、以下に引用します。

 老人バカというと、老人全般がバカという意味にとらえられようが、バカ老人といえば一部の老人のことである。

 しかしまあ、いまや老人全般がバカ、といいたいような気もする。というのも賢く落ち着いた老人は、テレビやネットでも、新聞や雑誌でも、はたまた身近な暮らしのなかでも、ほとんど見ることがないからである(養老孟司氏など、ごく少数だがいることはいる)。

 一口にバカといっても種類や程度は無数、存在は無限である。

 身近にいる暮らしのなかのバカは、なるほど影響力は小さいかもしれないが、迷惑を被る人間にとってはたまったもんじゃないのである。下手をすると穏やかな生活が脅かされて、暮らしに支障がでる。

 だが、バカが国のトップに立ったりすると、被害は甚大である。自国民だけにととまらず、ときには他国民を巻き込んでしまう。しかもこのバカに「老い」が加わると、目も当てられない事態になる。

バカの四条件に照らして世界を見れば

「老い」は、腐ったゴムのように可塑性がないから、バカ老人のやることすべてに寸毫の反省もない。もともと頭が固まって反省がないからバカ、なわけなのだが、「老い」はそれをさらに不可逆的に強化するのだ。

 バカの特徴の一つは、世間にはとっくにばれているのに、自分がバカだと思っていないことである。だから無茶苦茶をやってもまったく平気なのだ。

 特徴の二は、平気でうそをつくことである。生まれてからほんとうのことをいったことがないのじゃないかと思うほど、ウソが板についているのだ。

 特徴の三は、若いときからバカだということで、老人になってから急にバカになったということはない。

 特徴の四は、俗情のかたまりだ、ということである。

 そこでこの四条件に照らして現在の世界を見渡してみれば(とはいえもう最初から決めていたのだが)、世界の3大バカ老人が浮上する。ロシアのプーチン大統領(69)、中国の習近平国家主席(70)、それにミャンマーのミン・アウン・フライン軍総司令官(67)である。

ロシアには役者が揃っている

 3人目のアウン・フラインについては異論が出るかもしれない。ヒジャブ着用をめぐる市民デモを弾圧したイランのハメネイ師(84)がいるじゃないか。いや、北朝鮮で唯一丸々と太った金正恩総書記(40)はどうした?

 しかし残念ながらハメネイはいま一つ実体が曖昧だし、金正恩はまだ若いので「老い」の条件を満たしていない。あとベラルーシ大統領のルカシェンコ(69)がいるが、これも地味でいまひとつ。

 他には前米大統領のトランプ(76)がいる。前ブラジル大統領のボルソナロ(67)も相当なバカだったが、この二人は失権しているからとりあえず除外。ちなみにシリアのアサド大統領(57)もバカ度は高いが、まだ若い。

 ちなみにロシアにはまだいる。ロシアには役者が揃っており、老人の3バカ大将はプーチン、ラブロフ外相(72)とショイグ国防相(68)である。

 その下に次の3バカ大将予備軍のメドベージェフ(58)がいる。このリトルプーチンはなにかというと、すぐ「核」を口にする。前駐日ロシア大使のガルージン(62)も結構なバカ老人であった。

 しかしここでこういうことをいう人がいるかもしれない。いかにやっていることがひどくても、仮にもその国の元首クラスの人間に対してバカとは無礼ではないか、と。

 バカという言葉が下品であることは認める。またバカという言葉が含んでいる「間抜け」という滑稽なニュアンスは、かれらを形容するにふさわしくないかもしれない。

 バカという言葉は、外交上はたしかに無礼にあたるだろう。「悪の帝国」とはいっても、個人を名指しで公に「バカ」といったためしはないのである。各国の政治家はよく抑制しているものだ。

 しかし外交官でもない人間にとってはそんな縛りは無用である。プーチンなんかは殺人者や虐殺者と呼んでもいいくらいだ。習近平もミン・アウン・フラインもアサドも金正恩もそうである。

3大老人は同じ穴のムジナ

 プーチンは自国に反撃したら核を使うぞという無言の脅迫をしながら、一方的にウクライナを爆撃し放題という汚い戦争をやっている。西側が恐れているのは、バカはなにをするかわからないことである。

 習近平の中国も、いうことなすことがなにひとつ信用できない。ひとつとしてほんとうのことをいったことがないし、ひとつでも世界のためになることをしたこともない。

 またミン・アウン・フラインは、典型的な政治的後進国の独裁者である。

 世界が注視しないのをいいことに、2011年にミャンマー軍の最高司令官に就任して以来、国民を弾圧し、一家でミャンマーを食い物にしている。

 息子のアウン・ピャエ・ソネは、貿易、建設、保険、通信、医療、リゾート経営などの事業をほしいままにしている。娘のキン・ティリ・テット・モンは高級スポーツジムチェーンとメディア制作会社などを所有している。テレビで見たが、ミン・アウン・フラインは息子か娘の結婚式を宮殿みたいなところで豪華にやっていた。もちろん国費を使ってである。

 そしてこのミン・アウン・フラインを後押ししているのが習近平でありプーチンだ。ミン・アウン・フラインは、反政府勢力弾圧のためだけに、中国とロシアから武器や戦闘機を購入しているのである。この3老人は利権でつながり、金と暴力による後進的統治でつながっている同じ穴のムジナである。

 こんなところでバカだのなんだのと悪態をついてもまったく無意味である。蟷螂の斧にもなっていないし、溜飲は全然下がらない。しかしほんとうに腹が立つなあ。かれらは人を殺してもまったくなんとも思っていないのである。ほんとうに邪悪な人間というものは存在するのだ。

国連の機能不全に無力感

 この一年間、ウクライナ国民とロシア兵士が何万人も死に、現在も死んでいるのだ。しかし世界はどうすることもできない。

 それでもアメリカやEUはよくウクライナをよく支えているというべきか。第二次大戦前にドイツがチェコを侵略したとき、西側はチェコを見殺しにしたことを思えば、戦後民主勢力の進歩であるだろう。

 しかし国連は完全に機能不全に陥ったままである。バカげた常任理事国(米・英・仏・露・中)の拒否権があるために何事も決まらない。とくにロシアと中国のやることに対しては、国連は手も足もでないのである。

 当の国連改革(安保理改革)もロシアか中国が拒否権をもっているかぎり、実現できないのである。しかし国連決議が実現しても、従わなければいいのだし、戦前の日本のようにいざとなれば脱退することも可能なのだ。

 その無力感にいても立ってもいられなくなったのか、プーチンに関して日本でこういうことがあった。

 去年6月、72歳のじいさんが“プーチンわら人形”を作って、千葉県松戸市の神社の神木に釘で打ち付け、逮捕されたというのである。

 その男は、本殿で律儀に二礼二拍手一礼したあと、神社奥に行き、プーチンの顔写真を貼り付けたわら人形を木に打ち付けたのである。額には「凶」と書かれ、人形の体内からは「ウラジーミル・プーチン 1952年10月7日生 70才 抹殺祈願」と書かれた紙が出てきたという。

 このじいさんは妻と二人暮らしで、ふだんのかれは花を植えたり、教会に行ったりする気持ちの優しい人らしい。逮捕後かれは黙秘したというが、まあ大した罪にもならず釈放されたことだろう。

 かくすればかくなるものと知りながらの、やむにやまれぬ大和魂が、たぶんこのじいさんを動かしたのだろう。気持ちはわかるが、しかしやったことがちょっとバカだったかもしれない。

 この勢古という人、プロフィールを見ると1947年生まれですから、まさに老人です。「老人全般がバカ」とは、自分も含め自嘲気味に書いたのかも知れません。そして瀬古氏に反論しますが、賢く落ち着いた老人は養老孟司氏以外にも多くいると思いますね。

 それはともかく、バカ老人の4条件は確かにこの3人にぴったりです。ですが私は老人でなくてもこの4条件に当てはまる「金正恩」、瀬古氏が実態が曖昧と言っていますが「ハメネイ」を入れて、「5大バカ指導者」としたらいいと思います。

 イランもミャンマーも親日国だったのですが、今やこのバカ指導者に国民が蹂躙されて、本当に気の毒です。そして中朝露の3国。これは間違いなく日本の脅威となっています。私も老人ですから5人のわら人形を造って、釘で打ち付けたい気分にはなります。ですがバカ老人と言われないように、実際はやりませんが。

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2023年2月22日 (水)

小野寺五典議員:「専守防衛」の元で「必要最小限度の自衛の措置」では、領土、国民の安全は守れない。

Images-15_20230220170301  岸田首相は安保三文書を閣議決定したとき、「反撃能力」の保有を明記しつつも「必要最小限度の自衛の措置」だと定義し、「専守防衛」の考え方に変わりはない、と発言しています。これで果たして敵の攻撃に対して、有効な反撃が出来るのでしょうか。

 元防衛相で安全保障に詳しい自民党の小野寺五典議員が、それに疑問を呈しています。産経新聞のコラムから引用しましょう。タイトルは『ウクライナ侵略1年 私はこう見る 高い「専守防衛」のコスト』(2/20公開)です。

「専守防衛」が、自国にどれだけ大きなコストを負わせるか。今のウクライナの姿は、それをまざまざと示している。ウクライナは他国を侵略する意図も、そのための装備も有していなかった。では、それで平和が守られたか。むしろ、そうであったからこそロシアのプーチン大統領は攻撃しようと判断したのだと思う。

これまで続いてきたのはウクライナ国内の戦闘だ。ロシア側は、送り込んだ兵士の被害があっても、モスクワでは人々が普通に生活している。こうした状況下でプーチン氏が「このあたりで停戦しよう」と考えることはないだろう。残念ながら、これが専守防衛のリアルだ。ロシアも、相手国やその仲間の国の反撃で壊滅的な被害を受けると思えば、侵略という選択はしなかったはずだ。

他方、各国がウクライナを応援しているのは、ウクライナが自ら国を守る意欲を示しているからだ。「私たちは戦えないので助けてください」という国を、助ける仲間はいないだろう。

日本の安全保障に同盟国の米国をはじめ、価値観を共有する国々とのチームが重要な役割を果たしているが、日本自身が努力しないとチームは機能しない。日本も、万が一のときは「自分たちの力で領土を守る」「やられたらやり返すぞ」という強い意志と能力を持つことが必要だ。

課題は山積している。昨年8月、ペロシ米下院議長(当時)が台湾を訪れた直後、中国が発射した弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。ミサイル防衛は従来、北朝鮮を念頭に配置していたが、今後は中国も、もしかしたらロシアも意識しなければならないかもしれない。3正面に向き合うとなれば、そのための装備と警戒監視活動が必要となる。反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有するだけでなく、太平洋域を含む広い範囲で警戒監視に当たれるようドローンなど無人の装備も活用すべきだ。

非常に脆弱(ぜいじゃく)で国際スタンダードに劣後しているサイバー防御など、日本の安全保障体制をソフト面で引き上げる必要もある。憲法9条に基づく専守防衛は、武力攻撃を受けたときに必要最小限度で守らないといけない。大規模災害が起きた際、司令官は「全力で国民を守れ」と言えるが、自衛隊が本来の能力を最も発揮すべきときに「必要最小限度で守れ」ではおかしい。国民を万全な体制で保護するためにも憲法改正は必要だ。

 「反撃能力」は最大限の装備と能力を発揮して、領土、国民を守る為に万全を期すものです。小野寺氏の指摘の通り、「専守防衛」で「必要最小限の自衛の措置」では、中国軍どころか北朝鮮軍にもたちどころに粉砕されるでしょう。

 今の日本には軍事専門家がいないのか、いても政府の安全保障の会議には呼ばれないのか、相変わらず敵から見れば「お花畑」の考えで染まりきっているようです。現実が見えていません。

 もう一つ岸田首相の考え方の中に「非核三原則」がありますが、わざわざ核を持ちません、造りません、持ち込みませんと宣言する国があるでしょうか。日本の周りには核で威嚇する国がそろっているのに、です。

 これでは積極的に核で威嚇して下さい、と言っているようなものです。そして威嚇されれば、まさにアメリカにおんぶに抱っこの状態で、守ってもらわなければならないでしょう。そこに日本の主権があるのでしょうか。

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2023年2月21日 (火)

左翼学者を使って偏向番組を作り上げるNHK 受信料を取ってまで反日報道を続けるこの局は解体すべきだ

Images-14_20230220160801  NHKはGHQに「真相はかうだ」をラジオで放送させられてから、反日・反軍思想が宿り、かつて「JAPANデビュー」や「731部隊の真実」など、反日・反軍番組を放送してきました。 

 最近でこそ、大きな批判を浴びるような番組は影を潜めているようですが、それでも小出しにその片鱗を覗かせているようです。今回はその一つ、評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏が、zakzakに寄稿したコラムを取り上げます。タイトルは『公共放送を覆うパシフィズムの闇 「安保3文書」と岸田内閣に対する明らかな揶揄、誹謗…NHKは言いたい放題 放送法にも忖度なし』(2/18公開)で、以下に引用します。(左上の画像はリベラル学者の中見真理氏)

昨年末、政府はいわゆる「安保3文書」を閣議決定した。翌日付「朝日新聞」朝刊は、《安保政策の大転換 「平和構築」欠く力への傾斜》と題した社説で激しく批判した。毎日新聞も「国民的議論なき大転換だ」と題した社説で、東京新聞も「平和国家と言えるのか」と題した社説で非難した。

これら報道の問題点は、月刊『正論』3月号掲載の拙稿に委ね、以下、NHK「Eテレ」(旧教育テレビ)の番組「100分de名著」を取り上げよう。

米政治学者、ジーン・シャープ著『独裁体制から民主主義へ』を扱った同番組は、「国際関係思想の専門家・中見真理(清泉女子大名誉教授)さん」を「指南役として招き」、こう語らせた。

「先日サッカーで日本が対戦して話題になったコスタリカっていう国は軍隊を持たないことで軍事費を教育や福祉に回す方針をとっているんですね。(中略)外交もまた努力してるんですね。こういうことこそ私たちは学んでいくべきだと思います」(1月30日初回放送)

確かに、コスタリカは常備軍こそないが、有事には軍隊を組織できる。米州機構に属し、集団的自衛権行使も、徴兵制も認められている。2007年に台湾との外交関係を断絶し、中国との外交関係を開設したが、それでも先々週、中国の「偵察気球(スパイ気球)」が上空を飛んだ。そもそも、日本はコスタリカのような小国ではない。一体、何を学べというのか。

冷笑しながら、こうも語った。

「アメリカは経済的な観点からも軍事的な介入を抑えていきますよね。当然ね。そこへ日本がノホホンと軍事力を増強してなんて出ていったら、本当にバカみたいですよね」

番組の最後をこう締めた(?)。

「最近よく耳にする専守防衛という言葉についてもですね、他国に脅威を与えるような専守防衛になっていないかどうか、他国に不安を与えるならば、それは必ず日本の不安となって跳ね返ってくるわけです」

「安保3文書」と岸田文雄内閣の方針に対する、明らかな揶揄(やゆ)誹謗(ひぼう)である。国家公務員は、特定の内閣に反対することも、政治の方向に影響を与える意図で特定の政策に反対することも法令で制限されているが、公共放送であるNHKは言いたい放題らしい。放送法にも忖度(そんたく)しない。

そもそも、シャープ氏の「名著」との関係も薄い。我田引水に自説を語っただけ。それを公共放送「Eテレ」が垂れ流す。いまもメディアを、パシフィズム(=反戦平和主義、反軍平和主義、護憲平和主義、絶対平和主義、無抵抗主義)の闇が覆っている。

 リベラル(リベラルとは本当の意味は「自由主義」、政治的指向のリベラルを意味するものは「反日左翼」と言った方がいいが)の大学教授を使って、番組のプロデューサーの意見を代弁させている、核心的反政府左翼番組でしょう。

 これが公共放送と言えるでしょうか。反軍・親周辺国のGHQによる占領時代のプレスコード思想そのままです。その上受信料を徴収している。こんなNHK、今すぐ解体して本当の国家、国民の為の無料の国営放送を組織する必要があると思いますね。

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2023年2月20日 (月)

民主国家モンゴルで反中国活動家が不当逮捕、それに対し高市早苗大臣が会長を務める国会議員連盟が世界を動かした

Twitter___freemunkhbayar__2_  中国政府が各国に設けている「海外警察」が問題化しています。日本にも数カ所設けられていると言う報道 もあります。在日中国人の反政府政治犯の偵察や逮捕が目的のようですが、モンゴルではその存在がモンゴル人の反中国活動を行った国民にも及んでいるそうです。

 その辺の事情を自由インド太平洋連盟副会長の石井英俊氏が月刊hanadaプラスに寄稿した記事から引用します。タイトルは『国民栄誉賞受賞ジャーナリストの不当逮捕に習近平の影|石井英俊』(2/17公開)で、以下に掲載します。

いま民主主義国であったはずのモンゴル国が、独裁国家中国によってその色を塗り替えられようとしている。そのような中、高市早苗大臣が会長を務める「南モンゴルを支援する国会議員連盟」が世界を動かした!

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民主主義国で行われている中国の人権弾圧

日本人であるあなたが、日本国内で反中国の活動を行ったからといって、日本政府から弾圧されるということなど想像できるだろうか。

実はいま独立国であり民主主義国であるはずのモンゴル国において、反中国のスパイ活動をおこなったという「罪」により、モンゴル国民がモンゴル国によって逮捕され、モンゴル国の刑務所に収監されるという信じ難いことが現実に起きている。

現在、世界で日本を含む各国に中国政府が設けている「海外警察」と呼ばれる公安の出先機関の存在が問題化している。中国の少数民族や人権活動家などの反体制派の活動を監視し、時には脅迫し、中国へ強制的な帰国もさせているという。

本稿で述べるムンヘバヤル・チョローンドルジ氏の不当逮捕というモンゴル国での異常事態も、この中国の海外警察の暗躍が関与しているとされる。中国の影響力の拡大を許せば何が起きるのかという禍々しい現実を突きつけられる事件でもある。

「中国による人権弾圧は中国で起きているだけではない。中国の国境の外でも、中国による弾圧が起きている」――本件を一言で言うとこうなる。民主主義国であったはずのモンゴル国が、独裁国家中国によってその色を塗り替えられようとしている。モンゴル国で何が起きているかをレポートする。

日本の重要なパートナー国が危うい状況に

モンゴルとはどのような国か。もともと一つであったはずのモンゴルは、ヤルタ会談の密約によって南北分断が固定化されてしまう。冷戦期にはモンゴルの北半分はソ連の影響下のモンゴル人民共和国に、南半分は中国の内モンゴル自治区となった。

その後、社会主義国であったモンゴル人民共和国は、ゴルバチョフの登場とソ連崩壊により、1990年には一党独裁を放棄、1992年にはモンゴル国へと改称して、社会主義を放棄して今日に至っている。この30年の間、複数政党制によって政権交代も度々起きており、民主主義国としての歩みを進めてきていた。

我が国との関係では、横綱の白鵬や朝青龍に代表される大相撲の関係でなじみが深いが、政治的には、モンゴル国が元は社会主義国であったことから北朝鮮と国交を有しているため、北朝鮮拉致問題での交渉の仲介役としての役割が大きい。

政治的にも国民感情的にも親日国であり、我が国にとって今後とも重要なパートナーの一つである。そのモンゴル国がいま危うい状況に陥っているのだ。

モンゴルで知らない人はいない

事の発端は昨年2月に突如としておとずれた。事件の概要はこうだ。

2月17日、モンゴル国ウランバートル市において、モンゴル国中央情報機関(GIA)によって、ムンヘバヤル・チョローンドルジ氏(以下、ムンヘバヤル)がスパイ罪の容疑で逮捕された。

ムンヘバヤルは、モンゴル国出身のモンゴル国民で、現在55歳(逮捕当時54歳)の著名なジャーナリストだ。モンゴル国立大学を卒業後、新聞社での勤務などを経て様々な著作を発表し、モンゴル国政府からモンゴル国最高の勲章である北極星勲章や国民栄誉賞などを授与されている。モンゴルでは知らない人はいない。

ムンヘバヤルは南モンゴル(中国の内モンゴル自治区)の人権問題や環境問題に熱心に取り組んできたことでも知られ、筆者も直接会って話をしたこともあるほか、SNSを通じて情報交換を行ったりもしてきた。同氏が2016年に来日した折には、筆者が招聘人、身元保証人になってビザの取得を手伝ったりもした友人だ。

通常の刑事犯罪として警察に逮捕されたのではなく、情報機関によるスパイ罪で逮捕されたムンヘバヤルの裁判は秘密裁判によって行われた。弁護士が付くことは許されているため、裁判の進行と内容は、その弁護士が記者会見を度々行うことによって外部に伝えられてきた。

中国政府の意向

ムンヘバヤルの逮捕容疑は、①外国の情報機関と共謀し、②中国に対するスパイ行為を行い、③モンゴル国と中国との関係を損ない、④国家安全を脅かした、というものだ。

GIAが発表した逮捕容疑では「外国の情報機関と共謀」とされているが、裁判ではインドの情報機関の名前があげられ、駐モンゴル国インド大使館の二等書記官も名指しされている。要は、「インドから資金を受け取って、反中国の活動を行った」という罪状だ。

ところが、このインドの外交官に対してモンゴル国は何の措置もしていない。国外退去などの処分すらしていないのだ。ムンヘバヤルだけを逮捕し、もう一人は放置している。明らかに異常である。

そもそも中国に対するスパイ行為を行ったからモンゴル国が逮捕するというストーリー自体が、話の筋立てとしておかしい。ムンヘバヤルの弁護士も主張しているが、モンゴル国のいかなる憲法条文や法律にも、他国に対するスパイ行為で自国民を処罰する規定など存在していない。言うなれば、中国の代わりにモンゴル国が自国民を処罰するという本件の構図は、法的に全く成立しない事案なのだ。

このような無茶な筋立てを行ってまでムンヘバヤルを処罰しようとするモンゴル国政府の頑なな姿勢の背後には、長年にわたって南モンゴル問題で大きな働きをしてきたムンヘバヤルを疎ましく思っている中国政府の影響があると考えられる。中国政府の何らかの意向を受けて、モンゴル国政府が動いているとしか考えられないのだ。

無実のまま懲役10年の判決

ムンヘバヤルは、モンゴル国において著名なジャーナリストであるとともに、南モンゴルの運動に携わっている人々にとっては欠かせない同志だ。2月17日の逮捕直後、世界各地の南モンゴルの運動団体が逮捕を非難する声明を出した。

検察側が主張する犯罪容疑が証拠の一切ない、いかにでたらめな一方的主張に過ぎないかは長くなるのでここでは詳述しないが、関心がある方は「Southern Mongolian Human Rights Information Center(南モンゴル人権情報センター)」のホームページを是非ご覧いただきたい。

南モンゴル人権情報センターはニューヨークに本部を置く人権団体で、2001年の設立以来アメリカ連邦議会でも数多くの証言を行ってきている南モンゴル運動の中心的な団体だ。ムンヘバヤルが6月に拘置所の中で記した手書きの手紙が、家族の手を経てこの南モンゴル人権情報センターに届けられ、原文のモンゴル語が英語に翻訳されて全文がホームページ上で公開されている。手書きの手紙の原本も、画像が公開されている。

この手紙において、検察の主張がいかに根拠のないものであるか、その一つ一つに対して丁寧に反論し、ムンヘバヤルは自身が全くの無罪であることを主張している。実際、犯罪の証拠は何一つ示されてはいない。

そのことは、モンゴルの裁判所でも一時期認められていた。4月1日、ウランバートル市の裁判所で開かれた第一審において、裁判所は「犯罪を示す証拠が不十分である」として事件を検察に差し戻しているのだ。本来であればこれで無罪となり、この件は終了していたはずである。

ところが、同じ裁判所において、新たな「証拠」も加えられないままに再度審議が開かれ、6月28日に一変して懲役10年の判決が下されたのだ。さらに、9月21日の第二審においても、第一審と同じく懲役10年の判決が下った。

世界中で日本にしか存在しない議員連盟

ムンヘバヤルを救出するため筆者が具体的に動き出したのは、この6月の第一審判決が下された直後からだった。それまで南モンゴル団体や支援する日本人が動いているとばかり思っていたのだが、南モンゴルを支援する運動全体がこの問題についてはほとんど動いていなかったことを知る。

2月の逮捕直後に、日本の南モンゴル運動団体から、ある南モンゴル議連役員にメールを一通送ったという。ムンヘバヤルという同志が逮捕されたこと、この件で協力して欲しい旨が記されていたが、そのメールを一度送っただけで南モンゴル議員連盟(議連)への説明などは何も行われていなかった。それでは国会議員が動けるはずもない。

さらに、5月に議連において勉強会が開催され、モンゴル人や支援者の日本人が何人も出席し、その後に懇親会まで開かれていたが、誰一人としてムンヘバヤルの事件については話題にも出さなかったという。そのため、議連はこの件について全く知らない状況だったのだ。

実は「南モンゴルを支援する国会議員連盟」(会長:高市早苗経済安全保障担当大臣、幹事長:山田宏参議院議員)は、世界中で日本にしか存在しない。2021年4月に自民党議員によって結成された議員連盟で、内モンゴルという言葉ではなく、南モンゴルという言葉を冠した議連として発足した。その意義は大きく、同じ中国における人権問題の中でも、チベットやウイグルとは違い、南モンゴルに関しては日本の国会での動きが一歩進んでいる。

にも拘らず、その議連にムンヘバヤルの事件が知らされていなかったのだ。

日本の活動が世界を動かした

まずは資料を整え、不当逮捕の中身や裁判の進行について纏めて筆者が議員会館を回り始めたのが昨年9月に入ってからだった。逮捕から実に半年以上も経ってしまっていた。ムンヘバヤルに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

しかし、そこからの議連の動きは迅速だった。中でも議連幹事長の山田宏参議院議員が特に積極的に動いてくださった。

山田宏議員に説明に行ったおりに筆者からは「議連として本件に対しての声明文を出してほしい」旨をお願いした。そして「釈放要求」や「非難声明」までは難しいことは重々承知しているので、「議連として本件を注視している」というラインなら可能ではないかと相談。

山田議員からは「そのようなもので意味があるのか」とも問われたが、筆者は大きな意味があるのでぜひお願いしたいと答えた。なぜなら南モンゴルを応援する国会議員レベルのグループは日本にしか存在しておらず、現にこのムンヘバヤルの件に関しては世界的に見ても政治レベルではどこにもまだ動きがない以上、例えどんな文言であってもまずは日本において声明文という形あるもので先鞭をつけてもらうことに意義があると考えたからだ。

山田議員と面会した翌週の9月30日には、役員会に求められて出席。ムンヘバヤルの事件について、出席したモンゴル人活動家が説明に当たり、質疑も活発に行われた。その質疑応答の中で、ある議連幹事の衆議院議員より「それで、私たち(議連)への具体的なリクエストは何ですか?」との質問がなされたので、資料を配布して声明文を出してもらいたい旨のお願いを行った。

議連会長の高市早苗衆議院議員が閣内にあるため、その日の議連役員会に出席していなかったこともあり、役員会では結論にまで至らなかったものの、そのあと山田宏議員が声明文を出す方向での取りまとめに動いてくださった。そして、10月26日に開かれた議連総会で議連声明文として採択されたのだ。

議連の声明文には次のように書かれている。

「ムンへバヤル氏の活動は、我々『南モンゴルを支援する議員連盟』の設立趣旨、活動内容とも思いを一にするものである」

「当該裁判が、特に他国から何らの圧力等を受けることなく、モンゴル国の法令に基づいて公正・公平に進められることを期待し、今後、当該裁判の進捗状況について重大な関心を持って注視していくこととする」

「他国から何らの圧力」が中国のことを差しているのは言うまでもない。

中国に関する問題では、往々にして欧米各国が先に動いて日本が追随するケースが多い。

ところが、全く報じられないが、このムンヘバヤルの件に関しては、世界で最初に動いたのが日本の国会議員連盟だったのだ。これは特筆すべきことで、議連会長の高市早苗衆議院議員、事態を重視して果敢に決断して動いてくださった山田宏議連幹事長には特に深く感謝をしている。

そして日本の国会議員が動いたということが、世界を動かしていくことにつながっていった。

前モンゴル国大統領が署名

日本で国会議員が動いたので、次は世界の人権団体で一斉に動こうとの提案を行って回った筆者の念頭にあったのは、北京冬季オリンピックへのボイコット運動の時に、世界で200を超える人権団体による共同声明文を出したことだった。あの時、世界中で大きなニュースにもなった経験から、本件でも大きな運動を作れると考えたのだ。

年が明けて本年1月12日、世界で100を超える人権団体が、モンゴル国政府に対してムンヘバヤルの即時釈放を求める共同声明文を発出した。この共同声明文の中には、日本の南モンゴル議連が10月に声明文を出したことについても触れられている。大きな意味があったと受け止められているのだ。

実際に署名の取りまとめに動いたのは、先述した南モンゴル人権情報センターで、100を超える人権団体のうち約30がモンゴル人の団体だった。モンゴル国や南モンゴルをはじめ、ロシアのブリヤート、アフガニスタンのハザラなど、世界各地のモンゴル人たちの団体が名を連ねている。

そして、100を超える団体の代表として、10人が筆頭署名者として個人名を出しているが、特筆すべきは、エルベグドルジ前モンゴル国大統領が名前を出していることだ。前大統領が、現政権に対して、ムンヘバヤルの逮捕は不当であり釈放すべきだと求める声明文にサインしたのだ。これは重大な意味を持っている。

さらには、ウイグル人の世界全体のリーダーである世界ウイグル会議のドルクン・エイサ総裁や、代表なき国家民族機構(UNPO)の代表、さらには言論の自由の観点からジャーナリストの不当逮捕に抗議する趣旨でペン・アメリカまでが名前を連ねている。

共同声明文への署名の取りまとめが始まったのは12月中旬だが、この最中の12月21日、モンゴル国最高裁判所において、ムンヘバヤルへの懲役10年の判決が確定した。モンゴル国での法的手続きは残念ながらこれで終わった形となり、あとは国際的圧力によっていかに釈放を勝ち取るかに焦点が絞られている。

ノーベル平和賞の候補者としてノミネート

そのような中、日本の国会議員によって、ムンヘバヤルの救出運動は進んでいく。二人の日本の国会議員(名前は非公開)が推薦人となって、ムンヘバヤルは2023年のノーベル平和賞の候補者としてノミネートされたのだ。

ノーベル平和賞は毎年1月31日に候補者の推薦が締め切られ、10月に受賞者が発表される。毎年200から300の個人または団体がノミネートされている。物理学賞や化学賞などが実際の「成果」に基づいて受賞されるのと違い、平和賞は政治状況に極端に影響される。

典型的なのは昨年で、2022年ノーベル平和賞がロシアとウクライナの人権団体に与えられたのは、ロシアによるウクライナ侵攻があったからだ。そのため、平和賞には意味はないと考える人もいるだろうが、その権威が実際に影響力を持っているのも事実である。受賞にまで至らなくても、候補者として正式にノミネートされただけでも、当該人物に対する扱いに違いは出てくるだろう。

1月31日、ノルウェーのノーベル委員会から、ムンヘバヤルの推薦を正式に受理した旨の連絡を事務局である筆者が受け取った。ムンヘバヤルがノーベル平和賞にノミネートされたことは、彼一人の名誉ではなく、弾圧下で自由と人権のために戦う全ての人々に勇気を与えるものだと考えている。

北をロシア、南を中国に囲まれ、地政学的に見れば、いわば独裁国家の海に浮かぶ民主主義の島と言ってもよいのがモンゴル国だ。この橋頭堡としての価値を自由民主主義陣営としてもいま一度見直すべきではないだろうか。

ムンヘバヤルの救出運動は彼一人を助ける運動ではない。モンゴル国の民主主義を守る運動であり、中国の覇権主義の拡大を食い止める運動なのだ。

 このムンヘバヤル氏の逮捕、そして裁判での有罪判決に中国の影響が具体的にどうであったかは不明ですが、少なくともモンゴル内の「中国警察」による情報収集と中国政府によるモンゴル政府への圧力は間違いなくあったのでしょう。

 南モンゴル(内モンゴル自治区)は、ウイグル弾圧の影に隠れていますが、やはり中国共産党からの締め付け、弾圧は凄まじいものがあり、自治区内の多くの住民は平和な生活は完全に奪われてしまっていると聞きます。ましてや反中国思想を持った人への弾圧は、ウイグルと同様な状況でしょう。

 その南モンゴルを支援しようとモンゴル内で活動していた人物が、モンゴル国内で犯罪者にされたのですから、不当逮捕、判決であるのは間違いないでしょう。早い段階での釈放を願いますね。

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2023年2月19日 (日)

福島香織氏:中国人女性が「買った」沖縄の無人島「屋那覇島」、中国のネットユーザーは「中国のもの」

20_20230218134701  中国人による日本の土地の購入が話題になっています。北海道ニセコなど、既にチャイナ化している土地がありますが、先月末中国の女性が沖縄の無人島を買った、という動画がアップされ、物議を醸しています。

 その詳細を、中国の外国土地購入の実態と合わせ、ジャーナリストの福島香織氏が、JBpressに寄稿していますのでここに取り上げます。タイトルは『中国人女性が「買った」沖縄の無人島、中国のネットユーザーは「中国のもの」 一躍渦中の島となった「屋那覇島」、世界で警戒される地域のチャイナ化』(2/16公開)

 中国人女性企業家の張さん(34歳)が沖縄の無人島を買ったという。沖縄本島・那覇北部の無人島、屋那覇島(やなはじま)である。

 その島に上陸した張さんの動画が、1月30~31日にTikTokにアップされた。

「うしろにある70万平方メートルの小島、私が2020年に買った小島よ」

「徒歩4時間で一周できるの」

 そう説明しながら波と戯れたり砂浜を走る様子に、中国のネットユーザーは

「うらやましい!」

「仰天した!」

「30代で島を買ったのか、私は30代でダブルワークだよ」

「どこからそんな金を得たんだ」

「あなたの島民になりたい」

とうらやましがったり、驚いたりするコメントが殺到した。

 同時に、

「国家に譲渡して軍事基地にすればいい」

「五星紅旗(中国の国旗)を立てよう!」

「(中国人が買った島なら)中国のものだな!」

といった物騒な「愛国コメント」も多くついた。

 さらには、日本でもこのニュースはネット上で話題となり、国家安全上問題があるのではないか、中国人に無人島が乗っ取られるのではないか、という懸念で一部から注目を集めるニュースとなった。

 2月13日、松野官房長官がこの話題の屋那覇島について、2021年6月に成立された「重要土地利用規制法」の対象外だとの認識を示した。重要土地利用規制法は、自衛隊の基地や原子力発電所といった重要インフラ施設から1キロの範囲や、国境に近い離島などを「注視区域」に指定し、国が土地などの所有者の氏名や国籍などを調査できるとする法律だ。特に基地周辺や国境に近い無人島などの「特別注視区域」で一定の面積の土地を売買する場合は、事前の届け出が必要で、その区域で電波妨害など問題行為が確認されれば、国が土地や建物の利用中止を命じることができる。

 屋那覇島は、国境の島でもないし、基地の周辺でもないので、「注視区域」に該当しない、ということだ。

 だが、これで一件落着、一安心、ということにはならないようで、私も先日からこの問題についてコメントを求められることが多い。確かに世界各地で今、中国人・中国企業による土地購入に対する懸念が深まっており、日本としても今後どう向き合うかを考える必要があるだろう。

購入は「リゾート開発のため」

 この動画の女性が紅星新聞という中国のネットメディアのインタビューに答えたところによれば、彼女は中国・青島出身で、2014年に飲食業を創業。家族が不動産と金融の会社を営んでおり、その会社名義で、競売にかけられていた屋那覇島の土地を購入したという。

 屋那覇島は917の土地所有権に分かれており、そのうち720の権利譲渡が2021年2月1日までに完了しているという。日本のネットメディア、SAKISIRUが売り手側の元の土地所有企業代表にインタビューしていたが、それによると譲渡額は3億5000万円で、登記簿上の面積は島のおよそ50%に当たるという。ちなみに島は沖縄県・伊是名村(いぜなそん)に所属するが、村議会はこの売買契約を事前に知らされていなかった模様。

 この島の約半分の土地を実際に購入したのは、義昌商事という東京のコンサルティング会社である。それは公式サイトでも公表している。サイトによれば、リゾート開発目的で購入したそうだ。義昌商事は、これまでも地方創生事業や中国人観光客インバウンド事業に関するコンサルティングの実績があるという。

 名前からすれば中国系企業のようだが、1968(昭和43)年に東京・南麻布で創業と歴史は古く、2005年に社長に就いた馬和克社長も、日本生まれで日本国籍、日本語ネイティブ、野村証券に在籍したこともあるとプロフィールに記されている。

 義昌商事は、馬社長が代表を務めるMAラボラトリーグループ傘下にあり、そのグループ企業には中国・青島の飲食チェーン企業も含まれているので、「張さん」はその関係の人かもしれない。

 馬社長は野村証券時代にグローバルM&Aアドバイザリー業務や法人・国家機関向け債券発行業務等に従事していたといい、その頃の経験や人脈を使って家業を拡大したのかもしれない。義昌商事に取材申し込みのメールを送ったが、今のところコンタクトは取れていない。

 この屋那覇島は沖縄県名護市の北にある離島で、伊是那島に属する。伊是名島は人口1200人、伊是名村の唯一の有人島で、その周辺の屋那覇島、具志川島、降神島の三島は無人島だ。

 屋那覇島から50キロのところには伊江島があり、1945年に米軍に占領されたのち、米軍の補助飛行場がつくられ、軍事演習期間は米軍の空対地ミサイル演習の重要基地となっていた。ベトナム戦争中は、この基地がベトナム戦争に向かう兵士たちが最後の訓練を受ける場所の一つだった。そういう意味では地政学的にも要衝地と言えるかもしれない。

 今回売買された土地は、20年前は水産関連企業組合のもので、養殖産業を興すつもりが伊是名村の村民の反対運動で挫折。その後、所有者が変わるもいろいろトラブルに見舞われ、競売にかけられたという。

 張さんは、60万元(1200万円)からスタートした競売に参加したというが、譲渡額が3億5000万円に吊り上がった経緯などはもう少し調べてみないと分からない。リゾート開発といっても、電気水道その他インフラを何もない状態からつくる必要があるので、一企業グループの事業には収まり切れないかもしれない。

世界で発生している「地域のチャイナ化」問題

 おそらく、日本人の懸念は、中国の国有企業などがインフラ建設などで大量に中国人を送り込み、気が付けばチャイナタウンならぬチャイナアイランドと化してしまうことではないか。あるいはプライベートジェット用の飛行場や港が勝手につくられる懸念。あるいは建設に伴う深刻な環境破壊が起きるという懸念。

 実はこういう懸念は日本のものだけではない。習近平が2015年に一帯一路戦略を打ち出して以降、中国企業が関わる海外におけるインフラ建設、リゾート開発が様々な物議をかもしていることはすでに何度も報じられている。それはいわゆる「債務の罠」だけでなく、環境破壊、文化破壊、地域社会の分断が起こり、現地コミュニティが破壊された挙句にその土地が「チャイナ化」するという現象が起きているからだ。

 例えば2019年にフィジーを訪問したとき、私は中国系企業によるリゾート開発によって、大量のマングローブ林が破壊された状況を目の当たりにした。開発契約上は問題がなく、政府がGOサインを出したのだが、その後、勝手に計画規模を拡大し、広範囲のマングローブ林を伐採したのだ。

 結局、開発は中止となったが、失われたマングローブは還らず、生態および地元の漁民たちの暮しが破壊されることとなった。工事のために大量にやってきた中国人従業員らは暇になり、地元の習慣、文化を尊重せずに我が物顔で振る舞い、地元民との軋轢を生み、治安も悪化した。

 またカンボジアのシアヌークビルは、今や中国人専用リゾートエリアといっても過言ではなく、中国人向けカジノが林立し、そこで働く人間も客も中国人、中国語が公用語化し人民元が普通に流通している。中国人エリアになったことで、地元の警察司法権力よりも中国人用心棒(マフィア)の力の方が強くなり、マネーロンダリング、人身売買、詐欺など犯罪拠点化する問題が起きている。

 中国企業によるリゾート開発やインフラ建設は、必ずしも地元経済や地元の人々の暮らしを潤すものとはならない。むしろ地元民から自然資源を奪い、その土地に住む人々を排除することで反中感情を増幅させる。それが地元の政治家の汚職とつながっている場合は、政権不安、社会の分断などを引き起こす。

 地域のチャイナ化が起きた場合、最大の懸念は現地警察による治安維持が及ばず、むしろ北京の権力やルールが適用される状況が常態化することだ。実際、東南アジアや南太平洋島嶼国では、地元警察よりも先に、中国から派遣された公安組織が現地の中国人犯罪を取り締まり、現地当局も知らない間に容疑者の身柄を移送したりしている。それが、政治犯である場合は、当然人道上の問題となる。さらに言えば、外国籍者の地方参政権が認められる場合は、地域のチャイナ化はすなわち地域政治のチャイナ化になる。

 昨今は、米国やカナダ、オーストラリアなどの先進国でもこうした懸念は共有されており、中国企業による土地購入、開発に対する規制強化の動きが出ている。

 たとえばテキサス州で中国富豪がラーフリン空軍基地から70マイル離れた土地を風力発電所建設のために購入したことが話題となった。土地購入自体は、対米外国投資委員会(CFIUS)から問題なしとされているが、州議会では大騒ぎとなり、中国、イラン、北朝鮮、ロシアの政府、企業、個人も含めてテキサス州の不動産を購入できないように求める議案が2022年11月に提出されている。

 昨今は中国企業による農地所有そのものが食糧安全問題に関わるという見方もあり、米ワイオミング州議会農業公共土地水務委員会は1月26日に、中国とロシアによる土地購入を制限する議案を可決した。過去2年の間、米国の少なくとも18の州で外国(中国)が農地に投資したり、所有したりすることを制限する法律、あるいは法改正が提出されている。

 カナダでも外国人による投機的不動産購入が問題になり、2023年より2年間、外国人による不動産購入は禁止されている。

日本の不動産にも触手を伸ばす中国資本

 さて、日本に目を向けると、この屋那覇村だけでなく、北海道ニセコ町や沖縄県宮古島などでのリゾート開発、京都の町屋など不動産の爆買い、あるいは太陽光発電などのインフラ投資の問題など、中国系資本による様々な懸念を呼ぶ事象が起きている。

 こうした問題は重要土地利用規制法で解決するものではないし、たとえより厳格な法律をつくっても、私たちの懸念が晴れるものではない。

 自由経済市場の原則と個人の財産権保護の観点でみれば、こうした経済活動を法律で阻むことは難しいし、そもそも、阻んでよいかどうかというのも、世論を二分も三分もする難しいテーマだろう。それに、安易に中国人・企業の経済活動や所有権を制限すれば、それは日本経済にとってマイナスになるかもしれないし、ヘイトクライム、差別の問題にもつながりかねない。

 だから、なぜ今世界が、中国企業や中国人個人による土地購入やリゾート、インフラ開発に敏感にならざるを得ないのか、というところをまずしっかり洗い出すことだろう。

 最終的に、地域の「チャイナ化」を防ぎつつ、中国企業も含めた外国資本が日本人と日本文化・社会をリスペクトした形で開発に参与するように仕向けるのには、やはり成熟した世論や民意が必要だと思うのだ。

 成熟した世論や民意に頼っても、中国による土地購入の背景にある「その土地のチャイナ化」はおそらく防げないのではないでしょうか。それはこの国の共産党政府の「中華思想」と「覇権主義」の作り出す、自己増殖的なDNAのなせる技かも知れません。

 ですからアメリカのいくつかの州で取り上げられている、特定の国に対する土地購入や投資制限を、日本も少なくとも北海道や沖縄県で実施する必要があると思います。これ以上地域の「チャイナ化」を防ぐ為にも。

 ところで、腰の引けた日本政府がそれをやりきれるかという問題があります。そのためにも報道やNETを駆使し、日本の土地を外国勢力から守ろうという、地域住民を巻き込んだ国民運動として盛り上げていかねばなりません。

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2023年2月18日 (土)

望月衣塑子記者が法相会見で「特定の学生団体に肩入れ質問」 他紙の記者は「彼女はもはや活動家」

2302131512_6714x476  かつて安倍政権で官房長官を務めていた菅氏の記者会見で、ことあるごとに難癖に近い質問をし続けていた東京新聞の望月記者。その関連で財務省で自殺した赤木氏の事件を追いかけて、遺族とトラブルを起こしてしまい信用を失いますが、最近はあまりメディアに登場しないと思ったら、今は齋藤法務大臣の記者会見でまたまた粘っているようです。

 この望月記者の動向について、デイリー新潮が取り上げていますので、以下に紹介します。タイトルは『望月衣塑子記者が法相会見で「特定の学生団体に肩入れ質問」 他紙の記者は「彼女はもはや活動家」 東京新聞の見解は?』(2/14公開)で、引用記事を掲載します。

 財務省の文書改ざん事件で自死した赤木俊夫さん(当時54)の遺族とのトラブルで、信用が失墜した東京新聞の望月衣塑子記者(48)。いま彼女が執心しているのが齋藤健法務大臣の記者会見だという。だが、同業者からの評判はあいも変わらずで、「自分の意見を述べたいがために会見を利用している」「記者という立場を利用して、特定団体の宣伝をしている」と辛辣なのである。

***********

赤木さんの遺族からはいまも“逃亡中”

 彼女を一躍有名にしたのは、安倍内閣時代の菅義偉官房長官会見だった。菅氏から煙たがられながらも「森友学園問題」について執拗に質問を続ける姿勢が、“権力に斬り込む真のジャーナリスト”と評価され、ついには著書「新聞記者」がNetflixで映像化までされた。

 だが、赤木さんの遺族が「作品内容が事実とまるで違う」と抗議すると、望月氏は説明責任を果たさないまま“逃亡”。遺族はいまも「報道目的で貸した資料を無断流用された。資料を返してほしい」と望月氏に呼びかけているが、無視を決め込んだままだ。

 政治部記者が騒動を振り返る。

「そもそも、菅官房長官会見の時から彼女の振る舞いはめちゃくちゃでした。前提となる質問に、思い込みや事実誤認が多い。限られた時間のなかで他社が簡潔な質問を心がけているのに、一人でワーワーと時には10以上も質問を被せていくのです。自己アピールのために記者会見を利用しているという批判は絶えなかった」

中学生作文コンテストに“噛みついた”

 そんな彼女の変わらぬ姿勢がいまも見受けられるというのが、齋藤健法務大臣の閣議後会見だ。昨年末あたりからよく出席するようになったという。

「2021年に名古屋入管でスリランカ人のウィシュマさんが死亡した事件に強い関心を持っているようで、たびたび、入管法改正問題について質問しています。ただ、そのやり口があまりに強引でして……」(前出・政治部記者)

 記者たちが「特にひどかった」と批判するのが、2月3日の会見である。まず、冒頭で齋藤大臣から次のような報告があった。

「今朝の閣議におきまして、法務省案件はありませんでした。続いて、私から、第41回全国中学生人権作文コンテストの入賞作品の選出についてご報告いたします。このコンテストは、中学生の皆さんが人権の大切さについて考えた作文を募集するもので、今年度で41回を迎えました。今年度は、全国の6000を超える中学校から、77万通もの作品が寄せられ、この度、内閣総理大臣賞をはじめとする入賞作品が選出されました」

 大臣はこのほのぼのとした話題を「積極的に周知してほしい」と記者たちに呼びかけた。だが、ひとり望月氏はこう噛み付いた。

「77万通の作文を全部見れたとは思えないのですけれども、この中にはおそらく、今問題とされている入管法改正や外国人、入管収容者に対する法務省等々の問題も指摘されていたかなと思われます。こういった作文を目にされたか、そういったものを読んでどう感じられたかという点と……」

「質問」ではなく「意見」

 77万通の中には入管法改正問題に触れた作文もあったはず、と望月氏は決め込んだばかりでなく、彼女自身も言う通り、すべての作文に目を通すことが不可能な大臣に「そういったものを読んでどう感じられたか」と問うたのである。

 質問はさらにこう続いた。

「そして(入管法)改正法案は、今概要説明書等々が出ていますけれども、大阪弁護士会、関東弁護士連合会、東京弁護士会が、相次いで今年に入ってから、この法案提出を見送るようにという声明を出されております。先ほど人権のことを言及されましたが、難民認定申請者の強制送還を法案で可能にすることは……(後略)」

 延々と望月氏は喋り続け、最後に「大臣のご見解をお聞かせください」と結んだのだが、出席していた他社の記者は「いつものこと」と呆れながら語る。

「回答を引き出すためではなく、自分の意見を披露するための質問しているようにしか見えない。実際、大臣よりも喋り続けていますから。彼女は、自分が質問している様子をスマホで撮影し、後で東京新聞のサイトなどにあげるんです」

 大臣は前段の質問に対しては、「77万通の作文の中に、入管法の作文があったかどうか、ちょっと承知しておりませんので、ですから全てを読んではいないということになります」、後段の質問には、「(プラスとマイナスの両面を鑑みながら)必要な法改正の早期実現に向けて力を尽くしていきたい」と答えた。

特定の学生団体の「宣伝」を始めた

 だが、望月氏の追及はこれで終わらなかった。二の矢を放とうとする望月氏に広報室長が「質問は次が最後でお願いします」と牽制すると、

「毎回、2回制限以上、2回目の質問を許可されなくなっているので、どういう事情があるのかわからないんですけど、もう少ししっかり追及させていただければなと思います」

 と身構えた。そして、「大臣には大学生のお子様がいらっしゃると聞いています」と呼びかけてから、特定の学生団体を宣伝するかのような質問を始めた。

「先日、大学生を中心とした入管の仮放免者等々若しくは入管収容者と向き合っている個人、NPO団体BOND(バンド)というところの学生さんたちが記者会見をしました。(中略)今、多くの外国人と若い学生さんが色々な生活の場で向き合うようになって、私の時代では考えられませんでしたけれども、今日から再び国会前で6時以降ですけれども、シットインデモというものを始めるということです……」

 これまた長いので後半は要約するが、望月氏はBONDという学生団体の紹介を交えながら、「学生さんたちと向き合う、お話を聞くというつもりがあるのか」と大臣に迫ったのである。

すかさず署名入りで記事を配信

 彼女はこの日、この団体がシットインデモをする様子を自撮りしながらTikTokにアップしている。〈「更なる人権侵害になる改悪法案は廃案に!(怒った絵文字)〉という文言が赤い枠で強調された動画だ。これを見る限り、望月氏がこの団体の活動に思い入れているのがよく分かる。

 つまり、彼女は自分が肩入れしている学生団体の活動を宣伝するばかりか、その団体と対話するよう大臣に迫ったのである。大臣はこう返した。

「まず、学生の皆さんがこの問題について多く関心を持っていただいているということについては、自分も学生の子供がいますから、これは大変いいことだろうと思っています。ただ、繰り返しますけれども、今はまだ検討の途上でありますので、その一つ一つの内容について、私がこの瞬間にお話しすることはできませんので、お目にかかっても、実りあるディスカッションはできないのではないかなというふうには思いますけれども、ちょっと考えてみたいと思います」

 当たり障りない言い方で望月氏からの「提案」をかわした、と取るべきところだろう。だが、彼女はこの後、大臣が対話に前向きな姿勢を示したと受け取れかねない記事を署名入りで書いている。上記した大臣の回答と読み比べてほしい。

《大学生らとの対話に法相「ちょっと考えてみたい」と含み 入管難民法改正案反対を訴えるグループ 「自分も学生の子供がいる」

「ちょっと考えてみたいと思う」。斎藤健法相は3日の閣議後の記者会見で、今国会に提出が見込まれる入管難民法改正案に反対する大学生らが対話を求めていることについて問われ、実現に含みを持たせた。

 法相と直接話したいと意思表示しているのは、仮放免者や入管収容者の支援に携わる大学生中心のグループ「BOND(バンド)」のメンバーら。斎藤法相は「学生の皆さんがこの問題について大きく関心を持っていることは、自分も学生の子供がいるので、これは大変いいことだろうと思う」と心情を明かした。

 ただ「いまはまだ(法案は)検討の途上なので、内容についてお話しすることはできない。お目にかかっても実りある議論はできないのではないかと思う」とやんわりけん制。その上で「ちょっと考えてみたい」と、時期は未定ながら検討する姿勢を見せた》(東京新聞電子版:2月3日13時55分配信)

東京新聞の見解は?

〈実現に含みを持たせた〉〈時期は未定ながら検討する姿勢を見せた〉。大臣の発言を恣意的に捉えた原稿になっていると感じないだろうか。タイトルにある「自分も学生の子供がいる」という発言も、望月氏が誘導して引き出した言葉に過ぎない。

 この状況を見て、他社の記者たちは「記者に扮して活動家が会見に出ているようなもの」と呆れかえっているのである。

 このような批判について、望月氏や東京新聞はどう考えているのか。東京新聞に見解を聞いたが、〈ご質問いただいた法務大臣への質問及び記事について、問題があるとの認識はございません」(東京新聞編集局)〉とのことだった。

 これほど人の意見を恣意的に自身の側に誘導しようとし、それがかなわない場合、執拗に質問を繰返す姿勢は、まさに活動家そのものです。唯我独尊、どこかの国のトップによく似ているようです。

 国会の質問でもそうですが、質問を受ける側が逆質問したり、質問を勝手に打ち切ったりしづらい(故石原慎太郎氏はそれが出来る人でしたが)ため、こうした増長した記者が、他者の迷惑を顧みず、のさばっているのでしょう。

 反日新聞は朝日も毎日も唯我独尊ですが、この望月記者に限って言えば、東京新聞に反日大賞を与えられると思いますね。彼女が弱みを見せるとすれば権力側ではなく、元財務省の故赤木氏の家族のような、一般人になるでしょう。逃げまくっているようですから。

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2023年2月17日 (金)

「韓国人窃盗団」による対馬の仏像盗難、韓国高裁の逆転判決を評価してはいけない 「元は倭寇の略奪」を排除していない

Img_3077fc8e2cda1b9dbdc2f7ca58f228431972  今月初め、韓国で対馬の仏像を盗んだ窃盗団に対する裁判が大田高裁で行われ、所有権が対馬の観音寺にある事を認めた判決が出されました。単純に言えば1審の判決が覆され、日本側の主張が認められたことで、朗報と捉えられますが、事はそれほど喜んでもいられないようです。

 その判決の詳細を著作業を営む宇山卓栄氏が、JBpressに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『韓国人窃盗団による対馬の仏像盗難、韓国高裁の逆転判決を評価してはいけない 倭寇の関与認め、「もともとは日本人が盗んだ」は変わっていない』(2/06公開)で、以下に引用します。

 本当に「一歩前進」「正当な判決」なのか?

 2月1日、韓国の大田(テジョン)高裁は、韓国人窃盗団によって長崎県対馬市の観音寺から盗まれた文化財「観世音菩薩坐像」の所有権が同寺にあることを認めました。

 韓国側の所有権を認めた一審とは反対となった今回の判決について、日本では「一歩前進」「正当な判決」などと、有識者を含めて、好意的に評価する声が聞かれます。

 しかし、そんな前向きな評価をしていいのでしょうか?

 高裁判決文には、仏像について「倭寇による略奪をうかがわせる相当の状況がある」とあります。その上で、対馬の観音寺が長年占有したことにより、「取得時効」が成立し、現在の所有権は観音寺側にあるというのです。

「倭寇による略奪」を示す明確な証拠も史料もないのに、いったいどうして、そのような認定を韓国高裁がすることができるのか、疑問です。

 一般に、判決は結論を示す主文だけでなく、認定・判断の経緯を示す事実及び理由の陳述が重要です。高裁はあくまで、もともとは倭寇が盗んだとして、日本側の不法行為を一方的に認定しています。

 徴用工判決でも同じですが、乏しい根拠で日本側の非を認める韓国司法のやり方は変わっていません。これが「正当な判決」と言えるでしょうか。

様々な解釈があり実態不明の倭寇

 朝鮮半島や中国沿岸に出没していた海賊集団とされる倭寇については、歴史家による様々な解釈があり、実態がどうだったのか、不明な部分が多く残っています。「倭寇には朝鮮人の賤民も多く含まれていた」「ほとんど中国人によって構成されていた」「日本人、朝鮮人、中国人が均等に混ざり合っていた部隊だった」など、様々な解釈があります。

 このように、倭寇の存在自体、わかっていないことが多いにも関わらず、韓国高裁が「倭寇による略奪をうかがわせる」などと判定したのです。

 仏像について、忠清南道瑞山市にある浮石寺(プソクサ)がもともと、「数百年前に倭寇により略奪された」として、所有権を主張していました。

 浮石寺は仏像を保管している韓国政府に対して、仏像を寺へ引き渡すように求めて訴訟を起こし、2017年1月の一審判決では、同寺の所有権が認められました。今回の控訴審で、大田高裁は一審判決を取り消し、原告の請求を棄却しました。

 ただ、最高裁判決では、再逆転する可能性もあります。

 ちなみに、この一審判決で、「仏像の中から見つかった記録」などを根拠に、「倭寇によって盗まれた」ということが認定されていますが、その「記録」の内容も充分には明かされていません。今回の判決で、「倭寇による略奪をうかがわせる相当の状況がある」としたのは、この一審の経緯を踏襲したからです。

14世紀に誰が所有していたか、根拠は曖昧

 仏像は14世紀に製作されたものと見られています。韓国の大学教授の中には、16世紀末の豊臣秀吉による文禄・慶長の役で、日本兵に略奪されたという主張をしている人もいます。一方、浮石寺は製作されてから間もない同世紀に略奪されたとしており、見解が分かれています。

 李氏朝鮮時代の仏教弾圧から、仏像を守るために対馬に持ち込まれたとする日本側の見解もあります。

 そもそも、浮石寺がこの仏像を14世紀に所有していたということを、どのように証明できるのでしょうか?

 これについて一審で問われた際、浮石寺は「根拠を示す鑑定書は仏像を失ったときに、思い出すのが悲しいので捨てた」と述べています。

 14世紀に、そのような鑑定書があったのか、また、あったとしても、「鑑定書を捨てた」という史料は残っていないでしょう。それにも関わらず、なぜ、「鑑定書を捨てた」と言い切れるのか、疑問です。

 このような曖昧な根拠で、一審では、浮石寺の仏像の所有権が認められ、その上で、「観音寺側が仏像を正当に取得したということを訴訟で確認するまで、日本に仏像を返還してはならない」という判決を下し、日本に立証責任を求めました。

 どのような経緯で、仏像が日本に渡ったのか、数百年前の出来事ということもあり、誰にもわからないというのが実情でしょう。

明白なのは韓国人窃盗団による犯罪のみ

 はっきりとしているのは、この仏像が韓国人窃盗団によって盗まれたということだけなのです。韓国政府が仏像を管理していますが、このような不法行為が前提としてある以上、即刻、日本に盗品を返還すべきです。それは裁判で争う以前の問題です。

 韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の保守政権が誕生し、日本との関係改善が模索されています。今回、一審判決が覆されたのも、政権交代の影響があるのではないかと観測されています。

 いわゆる徴用被害者のための賠償の問題でも、尹錫悦政権は歩み寄りを見せているように見えます。

 韓国政府が先に、徴用被害者への賠償金を支払い、後に、韓国政府がその立て替えた賠償金を日本企業に請求するという「代位弁済方式」を採用するように日本に呼び掛けています。または、韓国政府が設置する元徴用工らのための基金に、日本企業が自発的に協力するように要請する案などが出ています。いずれも結局は、補償金請求と変わりません。

 韓国は「日本人が韓国人を強制徴用し、不法行為を働いた」という主張をまったく変えていません。その上で、日本側の実害を軽減するために、妥協的「解決策」を提起しているのだと恩着せがましく主張しているのです。

 今回の仏像を巡る裁判も「日本人の不法行為」を色濃く浮かび上がらせる判決内容になっています。所有権が認められて良かったと片付けられる話ではありません。

 韓国の歴史捏造は多くの場合全く根拠のない上に作り上げられていますが、それを指摘しても「それが事実だ」との一点張りです。証拠がなくてもそう言い張ります。

 かつて金大中元大統領が韓国人の手で拉致されたときも、これは証拠があったのですが証拠を完全無視して、拉致の事実を否定しています。このように証拠のないものを事実だとし、逆に証拠があるのに完全無視するのが韓国のやり方です。

 そういう韓国の手の内が分っていながら、日本の外務省は徹底的に反論したり追求したりせずに、戦後一貫して腰砕け外交をしてきました。そのツケが竹島の不法占拠や、慰安婦や徴用工問題の今につながっているのです。

 この仏像問題も小さな問題とは言え、やはり韓国側の倭寇に関する一方的解釈が、その元となっています。外務省は対馬の観音寺任せにせず、ねじ曲げられた倭寇解釈に対し徹底した反論を、ぶつけるべきだと思います。

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2023年2月16日 (木)

「安倍回顧録」で詳述、「財務省」との確執。官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

Images-13_20230214111501  安部元首相はデフレ脱却を旗印に「アベノミクス」を展開しましたが、景気上昇の鍵となる財政出動や、景気を押し下げる増税に関して、財務省の攻勢とかなり戦ってきた経緯があるようです。

 その一端が「安倍晋三回顧録」に記述されています。上武大学教授の田中秀臣氏がzakzakに寄稿したコラムを紹介しましょう。タイトルは『「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感』(2/14公開)で、以下に引用します。

19_20230214111601 『安倍晋三回顧録』が話題だ。トランプ前米大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らへの評価が面白い。個人的に注目しているのが、財務省への評価だ。消費増税の先送りを決めたときに、財務省が安倍降ろしを画策したと安倍元首相は同書で発言している。

「安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策した。彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」。穏やかではない。この点を国会の質疑で問われた岸田文雄首相は、財務省の安倍降ろしを「感じたことがない」と否定した。〝財務省ムラ〟の住人である岸田首相らしい答弁である。

この財務省の政治介入とでもいうべき動きは、安倍政権下でもマスコミで話題になっていた。2014年12月の衆院選の時だ。私も当時、ネット媒体で「安倍首相、消費増税めぐる財務省の政界工作を示唆 省益優先で不況下に緊縮財政の罪」と題する論説まで書いている。回顧録でも明言されているが、この衆院選は消費税10%への引き上げを先送りするために、国民の真意を問い、それによって財務省の政治介入を防ぐ狙いがあった。

当時、安倍氏自らが「財務省が『善意』ではあるが、すごい勢いで(消費再増税に向けて)対処しているから党内全体がその雰囲気だった」として、この増税ありきの雰囲気を転換するためだったと報道番組で明言している。

財務省の攻勢が、官僚の本分を超えて、政治の領域を侵犯していることに、安倍氏が強い危機感を抱いていたことがわかる。回顧録では、その点をより明白に語っている。財務省の「善意」の増税攻勢を受けていたはずの、岸田首相が気付かないはずはない。もし気が付かないのであれば、それは財務省が増税を説得するまでもなく、陣営(財務省ムラ)の一員だったからだろう。

安倍氏は選挙に勝利して消費税を延期し、さらにもう一度再延期を成し遂げた。だが、財務省には議員たちを説得する以上の工作も可能だ。予算編成の権力を利用して、安倍政権では最初の13年度以外はすべて緊縮財政を押し付けた。このため金融緩和だけに頼る形になり、それでも雇用や経済成長は大きく改善したが、デフレ脱却はできなかった。

消費税10%を最後は防ぐことができなかったが、むしろ安倍政権だからこそ2回も延長できたのだろう。回顧録は、「ザイム真理教」の恐ろしさを伝えてもいる。

 かつて家庭の財布を妻に握られている夫が、大きな買い物をする時、「大蔵省(財務省の前身)」、つまり妻の了解がいる、と自嘲気味につぶやくことが多かったようですが、これこそ「金」を操るものの強さの代弁でしょう。

 政界でも同様の状況があり、財務省の権力がさすがの長期政権を誇った安部元首相でも、思いのままには出来なかった事が語られているようです。失われた30年の責任の一端は、財務省にあるのでしょうか。

 岸田首相が増税という言葉をよく口にするのは、田中氏指摘のように財務省の陣営にいるのでしょうか。「新しい資本主義」という意味不明な政策も、財務省の後ろ盾だという人もいます。

 いずれにしろ予期せぬ物価高騰でデフレから脱却しつつある現在、財政出動と規制改革で経済を強くしてもらわなければ、日本の未来は暗いものとなります。プライマリーバランス重視の緊縮財政だけは、やめて欲しいと心から願いますね。

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2023年2月15日 (水)

中国大型気球の狙いはインフラ破壊「電磁パルス」攻撃か 「人民解放軍が運用」と米国は名指しで批判

2302101754_1714x476  中国の偵察用気球は世界のあちらこちらで観測され、既にアメリカ空軍に複数個撃墜されています。何故この時期世界に拡散したのでしょうか。中国は民間の気象観測用などと嘯いていますが、アメリカの撃墜した気球の分析では、明らかに偵察用のようです。

 米中間の新たな火種になったこの気球問題、ジャーナリストの加賀孝英氏が、zakzakに寄稿した記事を紹介します。タイトルは『中国大型気球の狙いはインフラ破壊「電磁パルス」攻撃か 「人民解放軍が運用」と米国〝ブチ切れ〟中国射程にICBM発射実験決行』(2/13公開)で、以下に引用します。

ジョー・バイデン米政権が「主権侵害」に強い姿勢を見せている。米軍戦闘機が4日、南部サウスカロライナ州沖上空で、中国の「偵察気球(スパイ気球)」を撃墜したのに続き、10日と11日、12日、米国とカナダ上空を飛行していた国籍不明の物体を撃墜したのだ。米軍機が撃墜した飛行物体は計4件となる。こうしたなか、米軍がひそかに警戒をしているのが、大型気球による「電磁パルス(EMP)」攻撃だという。あらゆる電子機器を損傷・破壊し、電子機器を使用した通信・電力・交通などの重要インフラを使用不能にする。同様の気球が確認された日本も厳重な警戒と対応が必要だ。ジャーナリストの加賀孝英氏による衝撃リポート。

「米国は『中国潰し』の総攻撃態勢に入った。今回のスパイ気球事件は『米本土への直接攻撃』そのものだ。米国は絶対許さない」

外事警察関係者はこう語った。

米中関係が緊迫している。ご承知の通り、米国は4日、米本土に侵入、横断飛行した中国のスパイ気球を、米最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」で撃墜した。10日、今度はアラスカ州上空に現れた物体を同様に撃墜した。国籍不明だが、中国の可能性が指摘されている。

外務省関係者は「異常事態だ。スパイ気球事件に抗議して、アントニー・ブリンケン国務長官は訪中を延期した。中国は猛反発し、米国が提案したロイド・オースティン国防長官と、魏鳳和国防相の電話協議を完全拒否した。米偵察機などへの報復攻撃まで示唆した。危険だ」と語った。

当初、中国外務省は「気球は民間の気象研究用」と説明していた。だが、米国は「国際社会を欺く虚偽の主張だ」と激しく非難している。

防衛省関係者は「米国は『スパイ気球は人民解放軍が運用している』とほぼ断定した。『米国に侵入したが、(レーダー網で)すぐには探知できなかった』『気球が狙った標的は米国や日本、台湾など、五大陸で40カ国以上』と説明した。スパイ気球の飛行ルートは、中国が攻撃目標とする大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射基地など、ことごとく重要軍事拠点だった。防空網を突破され、米国は激怒している」と語った。

バイデン政権は10日、報復措置を発表。スパイ気球の製造などに関与したとして、中国企業6社・団体に対し、米国製品・技術を事実上輸出禁止とした。14日に発効する。米国は今後、同盟国に呼びかけ、中国の半導体産業、人工知能(AI)産業など、徹底的に潰す方針だ。

米議会の反発もすさまじい。下院は9日、「419対0」の全会一致で、中国に対する非難決議を採択した。「あからさまな主権侵害だ」「脅威だ」と激しく批判した。

当然、米軍も警戒態勢を強めている。

 ハワイに本拠を置く米国陸軍第25歩兵師団司令官、ジョセフ・ライアン少将は8日、訪問先のフィリピン・マニラで、「米軍とアジアの同盟国は、戦う準備ができている」と、AP通信のインタビューに答えた。

米国防総省は9日夜、カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地で、中国を射程に収める核弾頭搭載可能なICBM(大陸間弾道ミサイル)「ミニットマン3」の発射実験を決行した。「米国の核戦力の準備ができていることを示し」ている、との声明を発表した。

米国は中国に対し、ブチ切れている。なぜか。以下、日米情報当局から入手した驚愕(きょうがく)情報だ。

 「スパイ気球の狙いは、重要軍事拠点の機密情報の収集だ。だが、それだけではない。『気球に取り付けた兵器を想定した秘密攻撃訓練だった疑いがある』という極秘情報がある。小型の電磁パルス(EMP)兵器なら悪夢だ。米本土上空の高高度で爆破すれば、強力な電磁波で、米本土の電子機器を損傷・破壊し、通信や電力、交通などの重要インフラが使用不能になる。米国に約90基ある原子炉が、危機的状況に陥(おちい)る」

 ■日本も標的…中国の暴挙を許すな

スパイ気球と同様の白い球体は、日本でも複数回目撃されている。

2020年6月、仙台市や福島県の上空で、白い球体に十字状の物がぶら下がり、プロペラ状のものがついた飛行体が目撃された。21年9月にも青森県八戸市の上空で目撃された。

松野博一官房長官は9日の記者会見で、「昨年1月、九州の上空でも所属不明の気球が確認された」ことを明かし、「米国など同盟国と連携し、情報収集と分析に全力を挙げる」と語った。

全身全霊の怒りを込めていう。中国の暴挙を断固許すな。日本も標的にされている。日本は今年、G7(先進7カ国)の議長国を務めている。岸田文雄首相には、世界平和を死守する行動と覚悟が求められている。

中国は今月初め、親中派である林芳正外相の訪中を要請してきた。沖縄県・尖閣諸島周辺海域では、中国海警局船が連日わが物顔で侵入している。林氏は「尖閣諸島は日本固有の領土だ。中国の強奪は許さない。立ち去れ」と抗議できるのか。岸田政権は本当に大丈夫なのか。

 アメリカの怒りは相当のものです。三期目を迎えた習近平政権にとって、ゼロコロナ下の白紙デモ、人口減少の始まり、不動産不況のさらなる悪化、そして経済減速のスタートと立て続けにマイナスの影が打ち寄せています。

 そこに、身から出たさびとは言えこの気球問題、まさに暗雲立ちこめるこの状況、鬱憤晴らしで台湾侵攻などしないか心配になってきます。日本も安全保障面の手綱をしっかり締めて、対応しなければなりません。

 なおこの気球問題、以前日本にも飛来しましたが、松野官房長官の話にもあるように、「情報収集と分析」といかにも日本的対応で、特に軍事面での具体的反応はしませんでした。しかしそれは日本の反応を確かめる目的だったかも知れません。 

 それで世界の各地に飛ばしたとすれば、日本がリトマス試験紙だったのでしょうか。ただ日本の無反応は承知の上でしょうから、それはないでしょうね。いずれにしろ、領海侵犯を繰返されても懸念や抗議で済ましている日本は、この先どんな手を打ってくるか分らない中国に、本当に対峙できるのか心配になります。ましてや安部元首相なきあとの岸田―林ラインでは。

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2023年2月14日 (火)

大原浩氏:NHKの「電波押し売り」をいつまで放置するのか? いい加減スクランブルか完全国営かはっきりすべし

Images-12_20230213154901  私事ですが、NHKはニュース以外殆ど見ません。そのニュースも冒頭の5分くらいで、後はお決まりの障害者やマイノリティーの特集などが続き、そこでチャンネルを変えます。ところが民放も見る番組が限られ、視聴率の低下傾向からか、CMがやたら長く目立っています。そのCMも白痴化が進んでいて、馬鹿馬鹿しいので結局スイッチを切ります。

 そんなこんなでテレビ視聴時間は食事中に限られ、情報の殆どはネットからという日が続いています。そこで今回はこのテレビをテーマにした記事を取り上げます。国際投資アナリストの大原浩氏が現代ビジネスに寄稿した記事で、タイトルは『NHKの「電波押し売り」をいつまで放置するのか? いい加減スクランブルか完全国営かはっきりすべし』(2/12公開)で、以下に引用します。

もはや「戦後」ではない

日本初のテレビ本放送は、1953(昭和28)年2月1日、東京・内幸町にあったNHK放送会館で始まった。70年前のことである。ちなみに、日本テレビも同年8月28日に開局しており、1955年4月1日のTBSなど民放各社が続いた。

これは、1945年に終戦となり焼け野原となった日本を何とか復興しようと懸命に頑張っていた日本人にとって、朗報であったといえよう。

まだ、各家庭にテレビ受像機が普及していなかった時代には、Pen 2021年8月5日「1964年、街頭テレビはこんなに小さかった! 身近なモノのサイズを考える」のような街頭テレビに黒山の人だかりができていた。

この記事の写真を見ると驚かされるが、当時の画質の悪いテレビで、本当に後ろの方の人が見えていたのかと思わず疑ってしまう。プロレス、ボクシング、大相撲の中継にはたくさんの人が集まったそうだが、1964年の東京オリンピックの時もすごかった。

このような時代、国民にとって「テレビ」がとても重要な存在であったことは疑いが無い。例えば、紅白歌合戦の最高視聴率は81.4%(1963年・第14回)である。まさに国民的テレビ番組と呼んでもよい状態であった。(ただし、民放もNHKとほぼ同時期に歩みを進めている。NHKだけが重要であったわけではない)。

しかし現在は、情報を得る手段が、新聞・ラジオ・(地上波)テレビなどのオールドメディアしか無かった当時と比べて、ケーブルテレビ、Netflixやユーチューブ等の動画配信、さらには「ネットメディア」などが乱立し情報過多といえよう。

「強制徴収する受信料制度」に基づく「公共テレビ」など今や「過去の遺物」だと言ってよい。「電波を押し売りする組織」を維持する必要が一体どこにあるというのだろうか。

最後の項で述べるが、本家ともいえるBBC(1936年に世界で初めてのテレビ放送を行った)も「強制受信料制度」の問題点を改革する動きを始めているのだ。

NHKを観ているのは一部の人だ

テレビ放送開始当時は重要な国民の情報源であったが、現在は多チャンネル、ネットの時代だ。NHKのテレビ放送に「公共性」など無いと言える。ちなみに2021年・第72回の紅白歌合戦の視聴率は最低の34.3%である(2022年は35.3%)。

ちなみに朝ドラの平均視聴率も1983年の「おしん」の52.6%を最後に右肩下がりで、2022年の「ちむどんどん+舞い上がれ!」は15.8%と悲惨だ(社会実情データ図解、NHK朝の連続テレビ小説年度別平均視聴率の推移)。

ついでに同「NHK大河ドラマの平均視聴率推移」では、1987年の「独眼竜政宗(渡辺謙)」39.7%および1988年の「武田信玄(中井貴一)」39.2%以降下げ、2019年の「いだてん(中村勘九郎/阿部サダヲ)」で最低の8.2%を付けた後、「鎌倉殿の13人(小栗旬)」は12.7%である。

民放チャンネルの枠を政府が押さえればよい

今でも社会的大事件、災害の際には(テレビ東京以外?)の民放が報道特別番組を編成し、「国民のニーズ」に応えている。

2021年3月6日公開「菅首相『長男接待』騒動のウラで、なぜかマスコミが報じない『本当の大問題』」で述べたが、民放といえども「国民の財産」である「電波」を借用して営業しているのだから、ある意味当然である。

もっと議論を進めれば、民間放送局に免許を与える際に、「重大な事件」が起こった場合には、「政府の広報」としての役割を果たすべき事を明確な(義務)規定によって定めればよいのである。その方が、たくさんのチャンネルでより多くの人々に情報を伝えることができる。また、局ごとに番組内容をアレンジすれば、より多くの情報を同時に伝えることもできる。

すでに述べたように、娯楽番組においてNHKの役割は終わった。国民のごく一部しか見ていないのだから、観たい人はスクランブル放送で別途料金を支払えば良いだけの事である。

問題は「緊急放送」だが、いまどきNHKしか見ることができない家庭など無いだろう。もしかしたら、離島などでそのようなケースがあり得るかもしれないが、その際には民放で「報道特別番組」を見るための設備投資に補助を与えれば良いのだ。その金額などたかが知れている。

スマホの方が「国民メディア」である

最近、北朝鮮のミサイル発射や地震速報などでJアラートが鳴ることが多い。実際、国民に何かを伝えたければ、今ではスマホの方が手っ取り早い。近い将来、テレビ放送で情報を伝えること自体が「過去の遺物」になっているであろう。

現在テレビの世帯所有率は約93%(単身世帯は87.5%)だが、年々低下傾向にある。若い世代では、固定電話を持たずに、携帯(スマホ)だけという場合が増えているが、(地上波が映る)テレビも「固定電話」のようになっていくのではないだろうか。

ソフトバンクニュース2022年4月21日「身近で進む『デジタル化』、普及率はどれくらい?」によればスマートフォンの保有率は79.7%である。また、13~59歳は90%以上の保有率、20~49歳では100%以上で1人1台以上保有している。

しかも60代でさえ約8割の人が保有しているから、70歳以上の人々が保有率を極端に下げているということだ。「国民皆スマホ」は「すでに起こった未来」である。

実際AVウォッチ2021年5月21日「10~20代の約半分『ほぼテレビ見ない』。NHK調査」と報道されているように若者はテレビそのものから離れている。

政府は、むしろ、ネットや携帯で広報・告知に注力すべきである。例えば、HP上では動画を含めた大量の情報を掲載でき、オンディマンドでいつでも再生できる。したがって、テレビ放送を見た人々の噂と違って情報の真偽を誰もがいつでも自分で確認できる。デジタル庁がまずこのような事業を推進すべきではないだろうか?

もちろん、ネット上の情報伝達にNHKのような非効率な組織を介在させることは「悪」だと言ってよいだろう。

NHKは「押し売り」をやめるべき

まず、国民には「押し売り」を拒否することができる「基本的人権」があるのは明らかだ。日本では、「契約自由の原則」は、憲法第13条(個人の尊厳および幸福追求権)、憲法29条(財産権)に由来するとされる。

法務省の「契約自由の原則」資料も漫画でわかりやすくその内容を説明している。

そして、前述のようにNHKが「オワコン」になっているにも関わらず、AV Watch 1月19日「NHKの“2倍割増金制度”が4月から運用決定。総務省が規約変更認可」と報道された。

まったく、言語道断である。

例えば、憲法第30条で明確に「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」と規定されている税金でさえ、Money Forward 2021年7月9日「最大1.4倍!?知らなかったでは済まない追徴課税と加算税」なのである。(税金の仕組みは大変複雑なので、詳細は税務署や税理士などの税の専門家に必ず直接確認いただきたい)。

いずれにせよ、延滞税などすべてを合わせてもNHKによる「3倍」もの「懲罰的徴収」を正当化する理由にはならない。

それどころか、NHK受信料に関しては憲法違反を理由とした提訴が行われている。広島駅前法律事務所「最高裁平成29年12月6日大法廷判決(NHK受信契約制度の合憲性)について解説しました」に詳しいが、私は、これはいわゆる「不当判決」であると考える。

娯楽番組も報道番組も、選択肢が多数ある現在では個人の嗜好である。

性的マイノリティが保護されるべきなら、朝ドラや紅白歌合戦が大嫌いな「番組マイノリティ」も守られるべき。いいや、むしろ前述のとおり、NHKの番組を見る人々の方が少数派になっているから、彼ら「マイノリティ」の権利を守るためにスクランブル放送化で対応すればよい。

裁判官といえども、我々と変わらない一般国民である。「高い良識・見識」を持つことが求められるが、本当にそうであるかは確かめようが無い。彼らも組織の中で「上司」の顔色を窺って出世を目指すサラリーマンと変わらないのだ。

正直、前述の最高裁判決は、政府に忖度し波風を立てないようにした「現状追認判決」に思える。たぶん、司法としては「NHKの受信料制度を(憲法違反によって)ひっくり返す勇気」が無いから、「立法によって対処してほしい」と望んでいるのではないだろうか。

結局、視聴(料金)支払いの強制は、最高裁の判決に関わらず人権侵害行為だと考える。

国民に不可欠なものなら、なぜ国営にしないのか

1万歩譲って、NHKが国民に必要不可欠なものとすれば、「完全国営」にして費用をすべて税金で賄った方が合理的である。

税金(所得税)は所得に応じて課税される。また、累進課税で所得が多いほど高い税率になるから、所得の少ない人々の負担は軽い。それに対して、NHKの受信料は貧富の差に関わらず一律だから、低所得層の負担が非常に大きい。

また、税金の使い道は、国民が選挙で選んだ議員が国会で審議して決定、その内容も明らかにされる。だが、NHKの予算は国会で審議されても透明性に欠けると考える。例えば、NHK職員が国家公務員とかけ離れた高給取りであるとよく騒がれるが、なぜなのか?

逆に、国営とは真逆のスクランブル放送にしないのもおかしい。

これまで述べてきたように国民にとって必要が無いから「押し売り」しないと売れないのだ。

衛星テレビ、ケーブルテレビ、Netflixなどの有料配信と「自由競争」をすれば「親方日の丸」のNHKに勝ち目がないとNHK自身が考えているのだろう。

そのような「必要のない組織」を「強制徴収」した受信料で支える必要は全くない。

BBCは改革へ向かっている

昨年2月5日公開「過去の遺物、NHK強制受信料制度の一掃を――BBCで見直しすすむ」の冒頭「英国でも『強制加入』が問題になっている」で、英国文化省が「BBCの受信料制度廃止を示唆」したニュースを取り上げた。

その後、東洋経済オンライン昨年5月7日「NHKにも影響?BBC『受信料制度見直し』の意味」と伝えられる。

冒頭で述べたように、本家の英国BBCは旧態依然とした「受信料強制徴収制度」から離脱しようとしているのだ。日本も、戦後の「負の遺産」を整理すべき時ではないだろうか。

 さすがに最近は「JAPANデビュー、アジアの一等国」のような、台湾統治を悪意を持って捏造した番組のようなものはないようですが、戦後NHKの出発点はGHQによる言論統制(プレスコード)の中で、放送内容を完全に反軍、反神道日本、そして周辺国擁護から出発した経緯を持ち、その名残が今でも残っているようです。

 ですから反政府の思想が報道番組の中に潜んでいて、時々首をかしげる内容が見られます。また日曜日の政治討論番組「日曜討論」では、各党の意見が平等に扱われ、議席数とは真逆の野党の意見が長々と続くので、今では全く見る気もしませんね。

 TBSの反日番組「サンデーモーニング」や「報道特集」よりはいいかもしれませんが、いずれにしろ見る価値はないと言っていいでしょう。ましてやドラマやバラエティは一切見たことはありませんね。

 私も大原さんの見解には賛成ですし、他国のように多チャンネルにして選択肢を増し、NHKは国営放送(税金運用)としてニュースチャンネルとすればいいでしょう。その際内容には国民監視可能とするのがいいでしょう。

 この問題、電波オークション等の意見が出されて何年にもなります。既得権を保持したい現チャンネル局の猛反対はあるでしょうが、いい加減総務相も重い腰を上げるべきでしょう。

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2023年2月13日 (月)

長谷川幸洋氏:日本が「韓国とアメリカ」に取り残される…「核問題」を避け続ける岸田政権への絶望 いつまで能天気でいるつもりか?

Images-11_20230211160701  安部元首相が提言した「核共有」論。ロシアのウクライナ侵略や中国による台湾有事への動き、そして北朝鮮の異常な多数のミサイル挑発が続きざまに発生し、これらの激変する核保有の独裁近隣諸国発の危険極まりない情勢に、日本を守るという一点で出てきた提言を、岸田首相は「非核三原則は国是」と一蹴しました。

 果たしてこれで日本を守れるのでしょうか。これに警鐘を鳴らすのがジャーナリストの長谷川幸洋氏で、現代ビジネスにコラムを寄稿しています。タイトルは『日本が「韓国とアメリカ」に取り残される…「核問題」を避け続ける岸田政権への絶望 いつまで能天気でいるつもりか?』(1/27公開)で、以下に引用して掲載します。

米シンクタンクの報告書を読み解くと…

韓国の核武装問題が急速に動いている。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が政府の会議で核武装を検討する発言をしたかと思うと、米国の有力シンクタンクは「米国は韓国に核兵器を再配備する準備を始めるべきだ」と提言した。日本の岸田文雄政権は大丈夫か。

私は先週1月20日公開のコラムで、尹大統領が1月11日、核武装の可能性に言及した発言を紹介した。この発言について、日本のマスコミはなぜか、ほとんど無視してしまったが、韓国内では大きな議論を呼んでいる。米国でも、直ちに報道された。

すると、今度は米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が19日、米軍の核の韓国再配備を訴える報告書を発表した。尹大統領発言の直後というタイミングだ。時間からみて、大統領発言の前から準備していたのは間違いないが、米国の「抜かりのなさ」をうかがわせる。彼らはいったい、何を提言したのか。

報告書は全部で30ページ。CSISのジョン・ヘイムリ所長とハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が共同議長として全体をとりまとめた。要点を紹介すると、次のようだ。

〈ウクライナ戦争は、核武装した北朝鮮と対峙している韓国の国民が、核を保有していない自分たちの脆弱性に対する懸念を深める結果をもたらした。とくに、ドナルド・トランプ前大統領がしたように、米国に新しい政権が誕生すれば、また米軍を撤退させるのではないか、と心配している〉

〈韓国との政策協議では、核と通常兵器の両方に使える戦略的資産(注・爆撃機など)の活用や朝鮮半島に対する米国の戦術核兵器の再配備、北大西洋条約機構(NATO)のような核共有(シェアリング)の導入といった韓国の脆弱性を克服する方策が焦点になる〉

〈現在の情勢下では、同盟国は米国の戦術核を朝鮮半島に再配備すべきではないし、韓国の核保有を認めるべきでもない。こうした議論は、米国の拡大抑止に対する韓国内の疑念から生じている。これらは、別の方策によって対応可能だ〉

ここで「再配備すべきではない」と言っているのは、あくまで「現在の情勢下では」という条件付きだ。言ってみれば、建前を書いた注釈のようなものであり、本当に訴えたかったのは、ここではない。提言の本論部分では、次のように書いている。

〈もしも、新しい米国の政権が同盟関係を地域戦略の中核に据えないとか、かつての(注・北朝鮮に宥和的だった)「戦略的忍耐政策」に逆戻りするような事態になったら、米国の拡大抑止に対する疑念が広がるだろう〉

〈米国の拡大抑止政策は「抑止と核の不拡散」という2つの目的に合致し、韓国民や他国の国民が米国に疑念を抱かせるような心理的、物理的な条件を認識していなければならない。たとえば、抑止に進めるためだからといって、核不拡散を犠牲にしてはならない〉

〈米国がどうやって核抑止政策に対する(注・韓国や他国の)信頼を構築するか、という心理的な問題が議論の出発点になる。そのために、次の6つが必要だ。広報と共同の計画立案・実行、日米韓3極の対話と作戦、米軍の調整、米軍の戦術核を将来、再配備する可能性に備えた準備の枠組み作り、中国との調整である〉

5番目にあるように、報告書は慎重な書きぶりながら「戦術核の再配備」を提言している。それだけではない。続けて、こう書いている。

〈同盟国は合同の核計画の枠組みを新設すべきだ。これはNATOの「核使用立案グループ」に似たようなものになるだろう。2国間、そして日本を加えた3国間で立案されるが、実際の監督は米国が引き続き担うような仕組みである〉

先に見たように、前段で「NATOのような核共有導入といった方策が焦点になる」と書いている。米軍の核再配備は単に「米軍の核を持ち込む」という話にとどまらず、米韓、さらには日本も加えた3国による「核共有」に発展する可能性を見据えているのだ。

さらに、こうも書いている。

〈可能性としては、英国やフランスのような同志国も加えた多国間の「核の傘」を創設する将来展望も検討すべきだ…(核による)拡大抑止を強化する選択肢について、日本での議論の様子は韓国と異なっているが、両国は「拡大抑止の信頼性に対する懸念を共有している」という事実を活用すべきだ〉

多国間の核による拡大抑止とは、事実上「NATOの太平洋への拡大」に匹敵するような大胆な提案だ。日本については「核アレルギーが強いが、米国に対する疑念は韓国と共有しているだろう。それなら韓国と足並みを揃えたらどうか」と言っている。

米国が先手を打った

以上は、けっして言いっぱなしの夢物語を語っているのではない。それが証拠に、報告書は韓国に戦術核を再配備するなら「保管場所の選択や安全対策、合同訓練、数年後の完成を目指した保管施設の建設も具体的に検討すべきだ」とまで提言している。

バイデン政権は公式には、いまも「朝鮮半島の非核化」を訴えている。だが、CSISのような有力シンクタンクが具体的に「韓国への戦術核の再配備」を提言した動きは無視できない。

この報告書を執筆したメンバーは国務省や国家安全保障会議、国防総省などで実際に政策を担ってきた元政府高官たちである。つまり、政府とつながりがあるどころか、政権と事実上、二人三脚で「政権が表で語りにくいホンネを語っている」とみていい。

先週のコラムで紹介したように、韓国民の間では、米国核の再配備よりも「独自に核開発すべきだ」という意見が強い。別の米シンクタンクが実施した世論調査では、回答者の71%が「独自の核開発」に賛成していたのだ。

つまり、今回のCSIS報告は韓国が核の独自開発に動き出す前に、先手を打って「米国は核の再配備を前向きに考えてますよ、というサインを送った」とも読めるのだ。

韓国は米と共同歩調、一方の日本は…

もしも独自開発するとなると、韓国は核不拡散条約(NPT)から脱退する話になる。NPT脱退となれば、韓国は米欧などから経済制裁を受ける可能性も覚悟しなければならない。北朝鮮は脱退を表明したが、西側の一員である国がNPTから脱退すれば、初めての事態だ。NPTの崩壊につながりかねない大事になる。

さすがに、それを理解しているのか、尹大統領は1月19日付のウォール・ストリート・ジャーナルとの会見で「NPT体制を尊重することが現実的かつ合理的だ」と語り、独自開発には慎重な姿勢を見せている。結果として、CSIS報告は尹政権と歩調をそろえる形にもなった。

いずれにせよ、韓国の核武装問題をめぐって、米韓の間で議論が急ピッチで進んでいるのは間違いない。しかも、議論の方向は「米韓の核共有」が落とし所になりそうな気配だ。

私は昨年12月23日公開コラムで書いて以来、繰り返し、核抑止問題を素通りしている岸田政権の能天気ぶりを批判してきたが、いよいよ米韓に取り残されている事態がはっきりしてきた。この調子では、5月の広島サミット(先進7カ国首脳会議)までに、米韓でさらなる進展があるかもしれない。

核廃絶一本槍の岸田政権、そして日本は、いよいよ正念場を迎えている。

Images-10_20230211160401  この核問題について岸田首相は、広島出身という思い入れが強い為か、殊更否定的な見解を持っているようです。それが「非核三原則」堅持の姿勢にも表れています。しかし核被爆国だから核を持たない、運び込ませないというのは、一つの見解かも知れませんが、全く論理性を欠いています。

 つまり、殴られたから決して殴り返さない、もっと言えば攻められても攻め返さない、つまり反撃能力も否定することになるでしょう。こう言う考えが竹島や北方領土を奪還しようとしないことにつながっていれば、主権国家とは言えないのではないでしょうか。

 今や核の脅威に対しては、核で対峙するしかないのは、ロシアの核に脅されている、あるいは中国の核に領土の危機を去らされている台湾を見れば分ります。そして日本も中朝露の核の前には本格的な抑止は困難でしょう。核共有を進め、日本も核の報復が出来るぞと言うメッセージが、大きな抑止力となると思いますね。

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2023年2月12日 (日)

異論排除の共産党、党員除名への朝日、毎日の批判に「内部干渉」と逆ギレ。まさに中国共産党と瓜二つではないか。

Images-9_20230211144601  一共産党員として「日本共産党の党首公選制」を訴えた松竹伸幸氏が除名処分となりました。除名は最も重い処分です。

 これに朝日新聞や、毎日新聞がかみつきました。朝日は社説で「国民遠ざける異論封じ」と報じ、毎日は同様「時代にそぐわぬ異論封じ」と報じました。共産党は早速、朝日新聞を「党運営に対する乱暴な介入、干渉、攻撃だ」と批判し、毎日新聞の社説には、「政党の自由に対する攻撃で、あまりにも見識を欠いたものだ」と批判しています。

 だが一般的に見れば、共産党側も、両新聞側も反日左翼の代表で、コップの中の戦いにしか過ぎないと思います。両新聞も元来「異論封じ」は社是のようなもので、批判するのもおこがましいようですが、批判することによって自身の異論封じを和らげようとしているのでしょう。

 この顛末をフリーライターの梶原麻衣子氏が、月刊hanadaプラスの【読書亡羊】蘭に、コラムを寄稿していますので紹介します。タイトルは『党内の異論を封殺する日本共産党に外交なんて無理なのでは? 』(2/10公開)で、以下に引用します。

党改革を訴えたら除名処分

共産党員の朝は早い。

『しんぶん赤旗』を配り歩き、収入の1%を党費として納める。政党助成金や企業・団体献金を受け取らない代わりに、27万人と言われる共産党員が党を支えている。

既に報じられているように、一共産党員として「日本共産党の党首公選制」を訴えた松竹伸幸氏が除名処分となった。理由は「分派活動を行ってはいけない」とする取り決めに対する「重大な規律違反」であるといい、除名は最も重い処分だ。

共産党執行部のこの判断を聞いて「やっぱり共産党だな」と思った人は少なくないだろう。近年、共産党は若手や女性を前面に出して、イラストやカラフルなチラシや動画を使ったポップな党勢拡大運動に勤しんでいたが、やっぱり地金は隠せない。どんなに包み紙を柔らかい素材にしても、中身はやっぱり共産党なのだ。

松竹氏は、かつては党職員として政策委員会の安保・外交部長を務め、志位委員長との方針の違いから退職した後、かもがわ出版に移り、編集・執筆業に従事している。憲法と自衛隊をどう位置付けるかをテーマにした本を多数、著わしてきた。退職後も党員を続け、かつては週2回、朝5時に起きて『しんぶん赤旗』を配っていたという。

B0bs3mf9qs01_sclzzzzzzz_sx500_ その松竹氏がここへきて繰り出したのが『シン・日本共産党宣言 ――ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)だ。

日本共産党には党首選がなく、結果、志位体制が長々と続いている。公明党以外の各党は党員を交えた投票によって代表や党首を選んでいるにもかかわらず、だ。

党内で党首選が実施されることで、おおよその方向性を同じくする政党内にも、さまざまな点で違う意見を持つ議員が存在し、活発な議論が行われていることが可視化される。

一方、共産党の場合、「闊達な党内議論」を外から確認することはできない。

松竹氏はそうした状況に一石を投じようと、本書を刊行して公選制を訴えるとともに、「もし党首公選が実現するなら、自分も手を挙げたい」と名乗りを上げたのだ。

プーチンより長い志位体制

共産党は「安倍一強」や「異論の出ない自民党」を批判してきたが、当の共産党・志位和夫委員長体制はすでに20年以上、続いており、メドベージェフ政権を挟んだロシアのプーチン政権よりも長い。

しかも、ロシアにはいろいろ問題はあるにせよ、対立候補も出馬し、大統領選挙が行われたうえで国民から選ばれて大統領に就任している。

大統領選と党首選では事情が違うが、日本共産党党首の場合は、すべての党員が投票して決める選挙は行われない。民主集中制と呼ばれる制度の下では、党員の最も小さな集まりである支部から始まって、選出に選出を重ねてきた人たちが代議員となり、中央委員を選ぶ。そして中央委員が党首を選ぶ。だから民主的だというのだ。

松竹氏も指摘するように、これは中国共産党と同じシステムだ。中国も日本共産党も、「民主集中制を取っているから、独裁にはなり得ない」としているが、中国は習近平が定年ルールをも超越して、独裁的長期政権を築いている。

では共産党はどうなのか。宮本顕治や不破哲三も「長期政権」だった。

先日、立憲民主党の西村智奈美代表代行が、同性婚を巡るやり取りの中で岸田首相に「プーチンの方がマシ」と発言して物議をかもしたが、こと選出プロセスにおいては、この言葉はそのまま志位委員長に贈った方がいいかもしれない。

共産党の「変節」を追う

党首公選制と並んで、本書が日本共産党と志位委員長に突きつけているのが「自衛隊と憲法9条」のあり方だ。むしろこちらの方が、共産党にとっては痛手となった可能性もある。

本書の安保政策はかねて松竹氏が提案し続けてきたものがベースになっているが、ここへきて安全保障環境に対する国民の危機意識が高まっており、「9条護持」「軍拡ではなく外交!」の掛け声だけでは事態に対処できないことが露呈しているためだ。

本書では、共産党の安保議論も振り返ることができる。松竹氏が入党した1974年、共産党は「中立自衛」を掲げており、9条についても「自衛権の行使にあらかじめ大きな制約を加えたものであり、憲法の恒久平和の原則をつらぬくうえでの制約ともなり得る」として、日米安保条約の破棄後、9条改憲も辞さないとしていた。

ところが1994年、共産党は「9条は共産主義の理想に合致している」として、180度転換。

それにより、共産党は「侵略されたらどうするんだ」という質問への回答に窮するようになった。その結果、現在の志位委員長の持論である「外交でなんとかする」一辺倒になってしまったのだ。

さすが元共産党・政策委員会の安保・外交部長だけあって、この辺りのツッコミの鋭さは際立っている。

加えて、松竹氏は2005年に党の月刊誌に寄せた「自衛隊と9条」に関する論文で志位委員長から「共産党の立場から大きく逸脱している」と批判され、自己批判文書の掲載を迫られ、処分こそなかったものの、その後、松竹氏は退職したという経緯がある。ツッコミの切っ先が鋭くなるのも当然だ。

もちろん、改憲派からすれば松竹氏の言う「改憲ナシの自衛隊と9条の並立」には乗れないし、本書で詳述している抑止力に対するスタンスも相容れない。それでも、「当面は自衛隊を使うが、最終的には解体する」と嘯く共産党の現執行部と比べれば、現実に即した安全保障議論ができる。

そして松竹氏がなぜ、共産党に現実に即した安全保障論、自衛隊論、憲法論を望むかと言えば、その先に野党共闘を見ているからだ。つまり、松竹氏の提案を共産党が拒絶し、より「純潔路線」に行けば行くほど、野党共闘は遠のき、自民党に利する形になる。

松竹氏の除名処分は「党内プロセスを経ずに党首公選制をぶち上げ、党を攻撃した」ことが第一に挙げられている。しかし、第二の理由として本書で「安保政策の転換を図らなければ野党共闘は不可能、と攻撃した」ことを挙げている(下記URL参照)。

やはり、安保政策と、それが現実的であるがゆえに野党共闘が遠のいている、という痛いところを突かれたことが大きいようだ。

「党に対する攻撃だ!」

さて、松竹氏の除名が公表されると、日本共産党の小池晃書記局長は会見で

「異論を述べたから処分したわけではない。異論を外から攻撃する形でやってきた(からだ)」

「党をしっかり守らないといけない。攻撃されたら」

と述べている。本書の内容や「党首公選制」の提案を「外からの攻撃」とするのは、あまりに狭量ではないか。

すでにリベラル派とみられる有識者からも「残念」「提案を却下するにしてもオープンに議論したうえでなら、共産党のイメージアップに資したのではないか」との批判の声が漏れている。「当然の処分だ」と言わんばかりの共産党議員のツイートとは実に対照的だ。

こつこつと、朝もはよから『しんぶん赤旗』を配り歩き、なけなしの党費を納めている党員らは、この一党員に対する党の仕打ちをどう受け止めているだろうか。

何よりつらいのは、共産党・志位委員長の「武力攻撃を受けそうになっても、外交でなんとかします!」と言ってきたこととの言行不一致だろう。国内・党内でさえ対話を実現できない政党に、外交を任せられるわけがないのだ。

 こうして同じ左の立ち位置にいる朝日新聞や、毎日新聞からも批判され、またそれに対して「内部干渉」として逆ギレしていますが、その様は完全に中国共産党と同じ構造だと言えるでしょう。

 いかに中国共産党とは異なると言っても、その組織構造が殆ど同じ点からは、やはりいくら仮面をかぶっても独裁政党の本質は見え見えであり、民主主義国家の中では浮いた存在は否めないでしょう。

 歴史的にもソ連共産党や中国共産党との対立、新左翼との対立、部落解放同盟との対立など、同類との軋轢を繰返しています。まさに異論は排除する一貫した姿勢があるのでしょう。共産党が主導する野党共闘など旨くいくはずがありません。

 外交優先といいながら、相手の異論を完全に封じる姿勢からは、外交など成り立つわけはありません。 日本の為に存在価値がゼロ、むしろマイナスのこの党は、異論を認めないまま内部崩壊してもらう方が、日本の為に間違いなくなるでしょう。

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2023年2月11日 (土)

中国「習近平体制」がもたらす「経済“大失速”の深層」と、中国型「全体主義」が限界をむかえる「あぶない兆候」

Images-8_20230209150201  中国は春節を終え、国内の大移動は終了しましたが、ゼロコロナの解除後の感染爆発は下火となったとは言え、各地の火葬場は未だにごった返していて、火葬できていない人の列が延々と続いているという報道もあります。

 そうした中、経済再建に躍起となっている習政権ですが、李克強氏に代る首相李強氏は経済には素人と言います。経済音痴の習近平氏と並ぶ二人は、果たして中国経済の舵取りが出来るのでしょうか。

 その詳細を経済産業研究所コンサルティングフェローの藤和彦氏が、マネー現代に寄稿した記事から、引用しましょう。タイトルは『中国「習近平体制」がもたらす「経済“大失速”の深層」と、中国型「全体主義」が限界をむかえる「あぶない兆候」』(2/06公開)で、以下に掲載します。

絶対君主の習近平

ゼロコロナ政策の解除を機に、中国経済への期待が高まっているが、果たして本当だろうか。

中国は本格的な人口減少の時代に突入するなど構造的な問題を抱えており、中長期の見通しについて悲観的な見方を示す専門家もまた、増えているからだ。

中国は、肝心かなめの「統治のあり方」に疑問が呈されるようになっている。

このポリティカルリスクのネガティブインパクトは、想像以上に大きいようだ。

中国の習近平国家主席は昨年10月の第20回共産党大会で最高指導部の政治局常務委員に側近を引き上げた。常務委員会の総意による意志決定をやめ、毛沢東以来でもっとも強力な指導者になったと言われている。

習氏の経済分野への介入強化はかねてから懸念されていた。

習近平で限界を迎えた中国型「全体主義」

「国内の情報の流れを把握するなど影響力を持ちすぎる」との警戒から民間IT企業を厳しく取り締まったことで、世界の投資家の中国に対する信頼が揺らいだ。

その結果、民間部門で最も効率的なセクターの時価総額が数兆ドル規模で消失した。

不動産市場の低迷など経済が悪化していることから、短期的には締め付けが緩和されるだろうが、抜本的な方針転換が図られるとの期待は薄い。

むしろ、習氏への権力集中に伴い、専門家の意見を聞かずに密室で決定される政策が増加し、経済への悪影響がさらに拡大すると危惧されている。

そもそも中国の統治制度はどのような特色を有しているのだろうか。

米スタンフォード大学の許成鋼客員研究員は、中国の統治制度を「地方分権的全体主義」と定義している(1月27日付日本経済新聞)。

中国共産党は1950年代初期、政治・経済を含むあらゆる分野の支配権を中央に集中させる全体主義の制度をソ連(当時)から導入したが、50年代半ば以降、「郡県制」という伝統的な統治手法を加え、その制度を改めた。

個人崇拝などで最高指導者の絶対的権威を確立する一方、行政の立案・運営の権限のほとんどを最高指導者が任命する地方の指導者に与えるものだ。

これにより、中国共産党はソ連より強固な一極集中の体制をつくり上げたことに成功した。

この制度の下に、地方の指導者は最高指導者の意向に沿った取り組みを競い、切磋琢磨してその実現に邁進したのだが、最高の成功事例は改革開放だったことは言うまでもない。

経済成長を巡る地方間の激しい競争が民間セクターの発展を可能にし、政治改革を伴わずに中国は高度成長を長年にわたり享受することができた。

しかし、こうした競争は環境破壊や所得格差の拡大、不動産バブルといった問題をもたらし、改革開放は今や負の側面の方が大きくなっている。

絶対権力者の「落とし穴」

現在、習近平体制が敷こうとしている統治制度の根本的な問題は、最高指導者と地方の間の意思疎通が迅速かつ正確に行われず、カリスマ化した最高指導者に対するチェック機能が働かないことだ。

広大な国土と世界最大級の人口を擁する中国では「鶴の一声」が往々にして極端な結果を招いた。

カリスマ化した前例である毛沢東統治下で起きた「大躍進」や「文化大革命」の悲劇はあまりに有名だ。1979年から実施された「1人っ子政策」でも極端な人口減少を生じさせる結果となった。

習近平のやり方は伝統的な統治制度を復活させた感が強いが、「ゼロコロナ政策の突然の解除によってもう一つの悲劇が生まれるのではないか」との不安が脳裏をよぎる。

習近平の歓心を得るため、これまでゼロコロナ政策を墨守してきた地方政府だが、不動産市場の低迷で土地売却収入が激減し、ゼロコロナ政策を維持するのに必要な巨額の資金を捻出することができなくなってしまった。

台所が「火の車」になった地方政府からの突然の悲鳴に驚いた習近平が、なんら対策を講じることなくゼロコロナ政策を解除してしまったのが内情だろう。

国民は「政府発信」の情報が信じられない

中国政府は「新型コロナの感染は収束しつつある」と喧伝しているが、専門家の間では「中国の感染爆発は長期にわたって続く」との見方が有力だ。

農村部の高齢者の犠牲を防ぐことがゼロコロナ政策を正当化する根拠だったことから、中国では今後、農村部を中心に100万人以上の死者が出るかもしれない。

中国政府が「不都合な真実」を隠蔽する可能性が高いが、このような姿勢は「人民の安全を守る」という政府の最も重要な責任を放棄したとのそしりを免れないだろう。

ゼロコロナ政策の解除により、政府の存在感が急速に薄れているのが気になるところだ。

新型コロナの感染が急拡大する中、政府から支援を得られない都市部の住民は医薬品などを融通し、助け合いで生き抜こうとしている(1月19日付ブルームバーグ)。

新型コロナの治療についても、保健当局者の発言よりもソーシャルメデイアのインフルエンサーの意見に頼るようになっている(1月24日付ブルームバーグ)

ゼロコロナ下で非常に大きな存在感を示していた政府は「今は昔」だ。人々は政府抜きの生活を実感していると言っても過言ではない。

富裕層が逃げだした

政府がゼロコロナ政策に伴う渡航制限を解除したことで富裕層の海外移住の動きも加速している(1月26日付ブルームバーグ)。

共産党に楯を突かない限り、富を増やし続けられることができた富裕層は、習近平の経済活動への締め付けや「共同富裕」の動きに辟易としているからだ。

「政府による一党支配を受け入れる代わりに、国民の安全を維持し生活を向上させる」という、これまでの社会契約が無効になりつつある。

慣れ親しんできた統治制度を抜本的に見直すことは困難だ。

だが、そうしない限り、体制の危機が進んでしまうのではないだろうか。

 習近平政権の3期目が始まった途端、白紙デモが起き人口減少が始まりました。民衆が政権からの距離を置き始め、人口減少と経済政策の司令塔の経済音痴が重なれば、経済失速は早められ経済に支えられてきた共産党の基盤も揺らぎます。富裕層が逃げ出すのも頷けます。

 この周辺諸国には極めて迷惑なモンスターが弱体化すれば、それはそれで歓迎すべき事かも知れませんが、国内問題を外への覇権行動により覆い隠そうとする政策も十分考えられます。つまり国内が混乱する前に、台湾統一を画策しようとする動きが顕在化するかも知れません。日本はここ数年が対中問題に関して、正念場を迎えるでしょう。「お花畑は」一掃しなければなりません。

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2023年2月10日 (金)

共産党シンパの「コラボ」代表、その裏の顔はフェミニストならぬ反日活動家 さらに活動資金の不正受給の疑惑が明るみに

18_20230209141401  今ネットを中心に話題を集めている「コラボ問題」。それが国会にも飛び火し、維新の会の議員が代表質問で取り上げました。ところが共産党がこの質問に激しく反応し、また機関誌「赤旗」も異例の批判をしています。

 このコラボ問題の国会質問に関して、コラムニストの乾正人氏が産経新聞に寄稿していますので、紹介します。タイトルは『なぜ共産党は激高するのか コラボ問題の国会質問に 乾正人』(2/03公開)で、以下に引用します。

前回「小池さん、無駄遣いはダメです」(1月20日付)で、ネットを賑(にぎ)わしている「Colabo(コラボ)」問題を俎上(そじょう)に載せたが、「都知事は予算案を白紙撤回してほしい」「氷山の一角では?」などと思いのほか多くの反響をいただいた。

コラボ問題を簡単におさらいすると、こうだ。虐待や性被害などを受けた少女らの支援を行い、都などから事業委託を受けている一般社団法人「コラボ」について、「都からの委託料を不正受給しているのではないか」と疑惑を抱いた「暇空茜」なる男性が、昨年都に監査請求した。

その結果、都監査委員は、経費精算に一部不当な点があるとして都に再調査を勧告したのである。住民監査請求が一部でも認められたのは、極めて異例。都では舛添要一元知事に対する経費返還請求以来で、いま再調査が進んでいる。

代表質問でコラボ問題

国会でも浅田均参院議員(日本維新の会)が、1月27日の代表質問でとりあげた。浅田氏は、コラボが年4557万円で委託を受けている「若年被害女性等支援事業」に関する監査について「行政改革として関連する事業を包括的に見直す必要性が強く示唆されるもの」と強調。仁藤夢乃代表が、同事業の基本方針を論議した厚生労働省主管の検討会メンバーであり、今も「困難な問題を抱える女性への支援」に関する有識者会議の委員であることを念頭に「所属する団体への利益誘導とも考えられる」と指摘した。

この質問に対する共産党の反応は、異様だった。

「本会議でやることか!」「品がないよ!」といった激しいヤジが、共産党席から飛んだことを、音喜多駿参院議員がツイッターで暴露している。

「デマや誹謗中傷を助長」

翌日付の日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」も「維新 女性支援を攻撃」という見出しを掲げ、「国会議員が特定の女性支援団体とその代表者に対して『利益誘導』などと攻撃することは極めて異常です」と非難。「浅田氏の質問は、インターネット上で行われているデマや誹謗(ひぼう)中傷を止めるどころか、助長するもの」と口を極めて罵(ののし)った。

たとえ福祉事業であっても公金の適正な支出を監視するのが、議会の大きな役割の一つである。共産党も一貫して政府の「無駄遣い」を厳しく追及してきたはずなのに、これは一体どうしたことか。

代表の仁藤氏は、前回紹介したように毎週水曜日にソウルの慰安婦像前で開かれている「反日デモ」に参加しただけでなく、沖縄の米軍辺野古基地建設反対運動にも積極的に参画している。しかも彼女は一昨年の総選挙前、「共産党の議員さんに一人でも多く国会に行っていただきたいと思っている。私は比例は共産党に入れます」と公言した。つまり、共産党は「シンパ」が攻撃されたから激高しているようにも見える。

岸田文雄首相は、浅田氏の質問に「28日までに都が再調査をすると承知している。その結果をふまえて対応していく」と答弁した。

再調査の結果、都や政府がどう対応するのか。大手町の片隅からしっかりと、監視していきたい。

 最近LGBTqに関するある元政府関係者の発言から、マイノリティに対する多様性擁護への、野党やメディアの反応が凄まじいものがあります。このコラボもフェミニストとして弱者救済の先頭に立っているようですが、裏の顔は共産党と一蓮托生の、反日団体でしょう。

 それが公金を使い、しかも不正受給をしていると言うから、これは許せないですよね。加えて地上波で殆ど報道されないのは、かつての辻元議員と同様、左翼とテレビ局の報道番組プロデューサーとの、強固なつながりがあるのでしょう。

 東京都はこのコラボの不正を明らかにし、関連する問題点をきちんと公開するよう願いますね。

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2023年2月 9日 (木)

少子化問題、30年前からの課題にようやく火が付く、しかし今後数十年は減少が止まらない、どうするその方策

Images-7_20230208155901  岸田首相が「異次元の少子化対策」方針を打ち上げてから、ようやく日本でも政界・メディア界とも、本格的にこの問題を取り上げ始めました。人口問題は30年のスパンで考える必要があると言います。昨年の出生者数が80万人を切るだろうとの予測が出され、今完全に火がついた状態ですが、30年前にはほぼ予想した状況ではなかったのでしょうか。

 政府はこの間、子育て対策として、少子化担当大臣を設けるなど、あらたな制度作りを始め、それなりの取り組みをしてきました。しかし残念ながら有効な対策となっていなかったのは、出生者数が毎年減少してきていることからも分ります。

 中国、韓国も日本と同様、世の中が豊かになり、結婚しなくても自活できる女性が増え、それにつられ未婚の男性も増えています。特に日本は未婚の親から生まれた子供への風当たりは強いことから、結婚しない男女が増えれば、当然子供も少なくなります。少子化は豊かさの代償の部分もあるでしょう。しかし少子化が作り出す未来は決して明るいものではありません。

 同時に日本ではこの30年デフレとそれに伴う経済停滞が続き、賃金は増えず子育てにかかる負担は相対的に増してきています。その結果2人、3人の子供を作ることに躊躇する夫婦も多くいます。

 ではどうすればいいか、議論が渦巻く中、ジャーナリストの河合雅司氏がデイリー新潮に寄稿した記事で、人口減少を前提としてどう対応するか、その見解を述べています。タイトルは『人口減少でディストピア化する日本 豊かに暮らすための「四つの方策」とは』(1/31公開)で、以下に引用します。

 かつて1位だった日本の競争力は、現在、世界34位なのだという。隔世の感があるが、もはや人口増は望めず、何か手を打たなければ今後も下がる一方だろう。では、どんな方策があるというのか。それは唯一、人口減を前提とした社会に日本を作り変えることである。

日本経済の衰退が覆い難くなってきた。

 GDP(国内総生産)こそ何とか世界第3位を維持しているものの、4位のドイツにかなり迫られている。それどころか、2030年ごろにはインドに追い抜かれると見られているのだ。

 各種の国際ランキングを見ると、下位に甘んじているものが少なくない。国際経営開発研究所(IMD)の「世界競争力ランキング」では、22年の日本の総合順位は34位だ。1990年代初頭には首位をキープしていただけに、「別の国」になってしまったような印象である。

下図は-IMD「世界競争力ランキング」日本の総合順位の推移

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 経済が成長しなければ、国民の豊かさが損なわれていく。日本経済研究センターは、個人の豊かさを示す指標とされる1人当たり名目GDPが22年に台湾、23年には韓国を下回ると試算している。イギリスの経済誌「エコノミスト」が、世界中のマクドナルドで売られているビッグマックの価格で各国の購買力を比較した「ビッグマック指数」を毎年2回発表しているが、22年7月の日本は54カ国中41位だ。中国や韓国、タイよりも安く、日本人の賃金の低さを映し出している。

 もちろん、急速に進んだ円安でドル換算の金額が目減りしているという一時的要因もある。だが、円安だけでここまでは落ち込まない。デジタル化の遅れが象徴するように、あらゆる分野で劣化が進んでいるのだ。日本製品が次々と世界を席巻し、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと言われていた頃の勢いはどこにも見当たらない。

 

生産年齢人口が約14%減少

 この四半世紀、日本にいったい何が起きていたというのか。日本経済の低迷についてはさまざまな分析が加えられてきたが、言うまでもなくデフレが最大の要因だ。バブル経済の崩壊や金融危機によって日本企業の競争力は低下した。だが、デフレを招いた初発の原因ばかりを追究していても、かくも長く脱却できない理由は解明できない。

 そこで国勢調査を見てみると、経済の主たる担い手の生産年齢人口(15~64歳)がピークを迎えたのは、日本経済が低迷を始めた1995年(8716万4721人)だ。2020年は7508万7865人なのでこの四半世紀に13.9%も少なくなっている。生産年齢人口の減少と歩調を合わせる形で日本経済が低迷したのは偶然ではないだろう。少子高齢化を伴いながら進む人口減少はデフレを長期化させている大きな要因であることは間違いない。

 生産年齢人口といえば、「働き手」と同時に「旺盛な消費者」でもある。両方が一度に減ったのだから日本経済が低成長を続けてきたのも無理はない。

 デフレを長引かせている人口の変化はもう一つある。この間、高齢者が激増したことだ。高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)が14%を超えて日本が本格的な高齢社会に突入したのは1994年である。その後も年を追うごとに上昇を続け、2022年は29.1%だ。主たる収入が年金という高齢消費者がマーケットの「主役」を占めるようになったのでは、企業や商店は値上げしたくても簡単にはできない。

マイナスのループ

 人口減少が日本経済に及ぼす影響は、これにとどまらない。深刻さで優るのは、将来に対する希望や活力を人々から奪っていったことだ。この20年間、社会保障費の急増や空き家問題に代表されるように高齢社会に伴う諸課題が顕在化した。あらゆる分野で若手人材の不足が叫ばれ、地方では自治体の“消滅”までが語られるようになった。高齢社会の厳しい現実が多くの人に知られるようになるにつれて、出生数は目に見えて少なくなっていったのである。いまや若い世代にとって「未来」という言葉がネガティブなワードとなっている。

 これは若い世代に限ったことではない。医療や介護サービスの度重なる改悪で、中高年にも老後生活への不安は広がっている。「人生100年」と言われるほど寿命が延びたことで、“気ままな老後暮らし”が幻想であったことに多くの人が気付いた。

 こうなると、期待成長率は低下する。1990年代半ば以降の日本では、将来への期待が急速にしぼみ、投資不足が起きていたのだ。投資不足は潜在成長力を弱め、生産性を低下させていく。こうして日本経済はどんどんマイナスのループに陥っていったのである。投資をしないので企業には内部留保だけが積み上がり、労働者の賃金はほとんど上昇することはなかった。

新興国のマーケットは魅力的だったが…

 タイミングも悪かった。日本で少子高齢化や人口減少が進むのと並行してコンピューターが急速に発達・普及し、人件費の安い新興国に次々と最新鋭の工場が建設されていったのである。新興国は高い技術力やスキルがなくとも、“それなりの品質”の製品を大量生産できるようになったのだ。各国経済が急速に発展し、人々の生活水準が格段に向上したことで、“それなりの品質”の製品が流通するマーケットも次々と誕生した。

 これは、日本企業にとって新たなライバルの出現であった。圧倒的な技術力による優位性を失ったのである。新興国で作られた製品はデフレ経済に陥っていた日本に大量に輸入され、内需で成り立ってきた企業までを苦境に追い込んだ。

 一方で、日本企業にとって新興国に新たに誕生したマーケットは、国内マーケットの縮小を補う魅力的なフロンティアであった。反転攻勢とばかりに乗り込んだのである。しかしながら、“それなりの品質”が中心の新興マーケットにとって日本製品はオーバースペックであった。欧米マーケットでのようには売れず、日本企業は戦略の立て直しを迫られた。

人を「コスト」として扱った

 ここで新興国とは競合しない分野へとシフトする選択肢もあったが、競争力を取り戻すべくコストカットに踏み込んでいった。生産拠点を新興国に移すと同時に、日本人の人件費にも手を付けたのだ。技術者までをリストラし、新規学卒者を非正規雇用者にしてしまった。こうして就職氷河期世代を生み出したのである。人を「資本」ではなく「コスト」として扱ったということだ。これは技術者の海外流出を招き、現在につながる日本企業の開発力の低迷をもたらした。

 若者の雇用を破壊すれば、将来の人生設計ができなくなる。結婚や妊娠・出産を望めない人が増え、出生数の減少を加速させたのだ。企業が自ら「未来の消費者」を減らし、国内マーケットを縮小させるという自殺行為に走ったのである。当時の経営者の責任は重い。

日本の労働者に「割安感」

 これに対して、政府・日銀は「デフレを脱するには賃金が上がる環境を作らなければならず、それには物価を上げる必要がある」と考え、インフレ目標を掲げて異次元の金融緩和を行ってきた。しかしながら、国民の将来に対する不安がデフレを深刻化させている背景となっている以上、これではうまくいかない。

 民間エコノミストなどからは「賃金上昇のために必ずしもインフレは必要ない」との指摘が出ているが、物価高が賃金の上昇に結びついていない現状がこれを証明しているといえよう。

 デフレに対して有効な対策を打てず、むしろ日本企業がオウンゴールのように自ら多くの人々の雇用を破壊した結果、日本は総じて低賃金の国になってしまった。OECDのデータ(21年)では日本の平均賃金は34カ国中で24位にまで低下している。政府や経済団体の首脳は人口減少対策として外国人労働者の受け入れ拡大に前のめりになっているが、いまや日本人に「割安感」が出ている。すでに中国をはじめ海外企業が日本人を雇用すべく日本に進出するケースが出てきているのだ。技術力が高く勤勉な日本人が“優秀な外国人労働者”として経済成長が著しい新興国などに出稼ぎに行く時代へと、いつ転換してもおかしくなくなってきている。

 繰り返すが、新興国との競争にのめり込んで人件費を抑制するという日本企業の経営モデルは、国内マーケットの縮小をより速める。人口減少社会においてはやってはならないことの一つなのだ。

海外の投資家に見切りをつけられる

 将来の国内マーケットを縮小させるといえば、目立ち始めてきた国外での投資収益の獲得も同じだ。それ自体が悪いわけではないが、これを国内マーケットの縮小への対策として力を入れすぎることは危うい。収益が海外の子会社の内部留保となって国内に十分に還流しないだけでなく、こうした形で収益を得られることに味を占めてしまうと、人口減少の時代でも本業を成り立たせるための改革が遅れ、国内で良質な雇用が生まれづらくなるためだ。そうなれば、国内マーケットはさらに縮小する。企業だけ生き残り、日本社会が衰退したのでは意味がない。

 オウンゴールを繰り返し、実人口が減る以上に国内マーケットを縮小させていけば、外国が日本を見る目はより厳しくなる。そうなると、海外の投資家や優秀な人材が「日本の成長力」に見切りをつけ、日本はますます縮小する。円の価値も低くなり、エネルギーや食糧などの調達がままならなくなっていく。

「戦略的に縮む」

 日本が人口減少とともに“輝き”を失えば、すべてが悪い方向へと向かう。

 いつまで先進国でいられるか分からないのに、人口減少対策の動きは鈍い。それどころか、人口減少など「別世界」とばかりに、国内シェア争いにまい進している企業が多い。現在の需要しか見ていないような大規模な開発計画も全国各地に目白押しである。空き家問題が深刻化しているのに、新築住宅はいまだ建てられている。

 人口が増えていた時代の「拡大」による成功体験が染みついているのだ。だが、国内マーケットは確実に縮小していくので、このまま「拡大」のみで突き進めば必ず破綻する。内需だけで経営を成り立たせている企業は死活問題に直面する。

 人口減少社会で豊かさを維持していくには、経営手法をはじめ、思い切って社会の仕組みを変えるしかない。そのためには「戦略的に縮む」ことである。

 まずは企業が国内マーケットの縮小を前提とし、それでも成長し得る経営モデルへと転換することだ。

 いや応なしに消費者が減るのである。売上高を増やすことで利益を拡大させる経営スタイルは人口減少社会では通用しない。

 少子化が進むにつれて、人手不足も恒常化する。配送するドライバーや販売する小売店の店員も含め、関連する業種がすべて縮小するのだから、1社だけが拡大路線にこだわろうと考えてもうまくいくはずがない。

 とはいえ、単純に売上高を減らせば、当然ながら企業は存続しえない。そこで目指すべきは少量販売でも利益を増やす経営モデルだ。そのためには、付加価値を向上させることである。

「生活に必要なモノ」は売れる

 消費者は自分にメリットがあると思えば多少無理をしてでも購入する。例えば、スマートフォンだ。その利便性の高さは多くの人に「生活に必要なモノ」として認められ、決して安い買い物ではないが、瞬く間に普及した。

 ヨーロッパの企業に見られる洋服やハンドバッグなどのブランド品も同じだ。企業の生産能力に応じた数しか製造しないが、経営が成り立つには十分な利益を獲得している。顧客のニーズをしっかり把握し、必要とされるモノやサービスを、必要とされるタイミングで提供することで付加価値を高めているのである。

 消費者が必要とするモノやサービスを提供しさえすれば、マーケットの縮小で売上数がこれまでより少なくなったとしても、単価を高くすることによって利益をむしろアップさせることは可能なのだ。

 厚利少売で成功しているのが、イーロン・マスク氏が率いる米国の自動車会社テスラだ。他要因もあるので単純には比較できないが、1台あたりの純利益が他社を圧倒している。22年7~9月期決算を見ると、販売台数はトヨタ自動車の8分の1ほどで、純利益はほぼ同じである。

「なくてはならない存在」を目指す

 世界が必要とする分野で付加価値を向上させ、新興国の追随を許さない製品やサービスを生み出すことで、海外マーケットを取り込める。

 そもそも、人口減少が止まらない以上、日本はいずれ海外に活路を見出さなければならない。だが、新興国をライバルとしたままやみくもに打って出ても“負け戦”に終わるだけだ。それよりも、高付加価値化によって「なくてはならない存在」となった上で、勝負したほうが成功確率は高くなる。

 もちろん、安価で安定的な提供を求められる日用品メーカーなど高付加価値化にそぐわない業種もある。こうした業種は、経営の多角化を図ることだ。高付加価値化の製品やサービスを扱える部門を創設したり、企業合併をしたりすることで企業全体として採算がとれるようにするのである。

人を「資本」として投資できるか

 高付加価値化には、まず独創性が不可欠だ。だが、それを生み出す若い人材は、少子化の進行でどんどん減っていく。こうした状況を打開するには、従業員一人一人のスキルを底上げし続けるしかない。政府も旗を振りはじめたリスキリング(必要なスキルの獲得)などが重要となる。二つ目にすべきは、個々のスキルアップによって労働生産性を向上させることである。「稼ぐ力」を高めるのだ。

 資源に乏しい日本が、人口が減ってもなお経済成長を続けるためには、世界が必要とする分野において他国を圧倒するアイデアを生み出し、技術力で差別化を図っていくことに尽きる。それは人口が増えていた時代においても求められてきたことであり、人口が減る時代においてはなおさら傑出した分野を作ることが求められる。そうした意味においても人を「コスト」と捉えてはならない。「資本」として投資していくことが非常に大事だ。

商圏を維持せよ

 三つ目は、マーケットの掘り起こしである。

 高齢化率はどんどん上昇し65年には38.4%となる。高齢消費者が増え続けるのに対し、多くの業種ではシニア向けビジネスに本気で取り組めていない。高齢者の暮らしぶりが十分理解できておらず、高齢者マーケットのニーズに対してイメージを描けていないのである。

 例えば、ファッション業界を例に挙げると、若い世代向けにはセンスの良さや素材の新しさが付加価値となってきたが、高齢消費者が服を買うときの基準はこれらに加えて、脱ぎ着のしやすさや、洗濯のしやすさなどが加わる。

「着て行く場所」の提供も必要だ。「買っても着て行くところがない」となると購買そのものをしなくなってしまう。日本に圧倒的に不足しているのは“大人の社交場”である。高齢消費者のみならず、中高年にとっても「ハレの場」は少ない。

 このように、高齢者マーケットを掘り起こすには、付加価値を高めたり、新たな需要を創出したりする必要がある。その際に異業種と連携することで、思わぬ効果が生まれるかもしれない。

 四つ目は商圏規模の維持だ。縮小していく国内マーケットを分散させたのでは、一つ一つのマーケットの勢いが削がれていく。

 とりわけ、人口減少がすでに始まっている地方圏では重要なポイントとなる。今後は過疎エリアが広がっていくとみられるためだ。

やみくもな地方移住より「集住」

 国土交通省の資料によれば、00年から20年までは人口5万人未満の小規模自治体において人口減少が進んだ。しかしながら、40年までに著しく減るのは人口5万~10万人の自治体で、00年比22%減となる。10万~30万人といった地方の中心的都市も14%減となる。商圏人口が減れば多くの民間企業が撤退を始め、電気やガス、水道といった公共サービスは割高となる。

 民間企業が撤退すれば、地域の雇用は減る。こうなると都会への人口流出が激しくなり、それによってさらに民間企業が立地できなくなる悪循環を生む。

 政府や地方自治体は東京一極集中を是正すべく、デジタル田園都市国家構想総合戦略において27年度に地方と東京圏間の転出入者の均衡を図ることを打ち出した。年間1万人の地方移住を図る方針だが、だからといって人里離れた場所に思い思いに住む人が増えれば過疎地を拡大させる結果となる。

 地方移住自体を否定するつもりはないが、企業が立地しうるだけの人口規模を維持できなければ、そこに住む人の生活は不便となる。撤退を余儀なくされる民間企業の側に立って考えると、そこに消費者がいることが分かっていながら費用対効果が悪くて販売機会を逸するということにほかならない。国内マーケットがさらに縮むようなものである。

 地方圏で商圏規模の縮小スピードを緩めるためには、既存の市街地などに「集住」することが求められる。

 残念ながら、日本の衰退の背景となっている人口減少を止める方策は見当たらない。瀬戸際に追い詰められている以上、過去の成功体験を捨て去り、思い切った改革に取り組むしかないのである。現状維持バイアスにとらわれ続けるならば、日本に明日はない。

 河合氏は人口減少がもはや止められない、という前提、あるいは対策が打たれ始めても2,30年は人口減少が続くという前提、で企業経営のあり方を中心に述べていますが、確かに人口減少を止められた、あるいはこれから止めようとしている、フランスやハンガリーのような、大英断を日本政府は取れないだろうと思っているのでしょう。

 それは子ども手当の所得制限を設けるかなくすかというような、抹消の部分で国会がもめている様子からも、すぐさま対策が打たれることは無理だと思われる節があります。しかしそうは言ってもこのまま放置すれば、やがては大変なことになるでしょう。

 そこに河合氏の指摘する、人口減少社会の中で取り組む改革が必要になるでしょうが、これさえ出来るかどうかも分りません。なぜなら今の企業経営者や政治家が本当に20年先、30年先の人口減少社会を見すえて行動を取れるか、甚だ疑問だからです。

 こう言えばお先真っ暗ですが、一つの方法は国会改革です。今何かにつけて政府与党に反対しかしない特定野党の意見を一時的に全く無視して、政府と国会を切り離す制度改革法案を出し、強行でもなんと言われてもいいから通すことです。もともと3権分立ですから、国会は与野党の質疑中心とし、政府案を付託された与党が法案を提出し、どんどん決議していくのです。野党にも質問を浴びせ、その非を次々と突いていき、それを国民に見せることです。

 その中に少子化対策に関して、与党はハンガリーと同様な案を提出し、多数欠で通してしまえばいい。もちろん国債で。それくらいのことをしなければ、河合氏の言うように少子化は止まらないでしょう。

 少子化対策のみならず、他の日本の直面する重要課題対応の制度や法案も決めていき、その決まった制度や法案を政府が粛々と実行に移す。これ位しないと、国会の体たらくと日本の沈滞化は止まらないと考えますが、如何でしょうか。もっとも岸田首相にその胆力があるかどうか、かなり疑問はありますが。

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2023年2月 8日 (水)

世の憤りも当然、回転寿司での迷惑行為が破壊した日本の食文化と安全神話

17_20230206151601  数日前、回転寿司店における客による迷惑動画が拡散し、大きな反響を呼んでいます。その行為そのものも不衛生で、他の客の大迷惑になる事なのに、またそれをご丁寧にSNSにアップする行為に至っては、全く開いた口が塞がりません。昨日はまたアルコール除菌スプレーに火をつけて遊ぶ、トンデモ動画がアップされています。

 当人は面白がってやったのでしょうが、SNSを使うことにより、模倣犯を拡散しています。最近はこうした迷惑行為に加えて、強盗や無差別傷害・殺人事件が頻発しています。家庭や学校、そして社会の教育が地に落ちてしまったようにも思います。

 この回転寿司の迷惑行為に関し、ジャーナリストの青沼陽一郎氏がJBpressにコラムを寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『世の憤りも当然、回転寿司での迷惑行為が破壊した日本の食文化と安全神話 まかり間違えれば食中毒の原因にも、当事者は事の重大さを認識しているか』(2/06公開)

 回転寿司店での迷惑行為の動画が拡散して問題になっている。

 それでとても嫌なことを思い出した。中学校に通っていた時、同じクラスの男子生徒の弟が回転寿司店の寿司を食べて死んだ。サルモネラ菌による食中毒だった。店の杜撰な衛生管理が原因で、それでサルモネラ菌の存在を知ったし、普通に生活を送っていても簡単に人は死んでしまうのだと思わされた。

動画拡散でますますエスカレートする非常識行為

 男子生徒はしばらく学校にやってこなかったが、再び教室で顔を合わせた時には、どう言葉をかけていいのか戸惑った。だが、向こうが何事もなかったように話しかけてきたから、それに調子を合わせてやり過ごすことができた。それでも、同じ場所で同じものを食べていた家族が死んでしまうこと、ひょっとしたら自分が死んでいたかも知れないと思うことを想像すると、辛くなった。

 今回の問題が大きくなったのは、回転寿司チェーンの「スシロー」で、高校生の少年が未使用の湯呑みの縁や醤油ボトルの注ぎ口を舌で舐め回したり、回転レーンを流れる寿司に唾液をこすりつけたり、皿から1カンだけ取って食べるなどの動画がSNSで拡散したことだった。

 それ以前には、「はま寿司」で他の客が注文した寿司に勝手にわさびを乗せる動画が出回っていて、これがきっかけとなって迷惑動画がエスカレートしたようだ。

「スシロー」を運営するあきんどスシローはすでに被害届を警察に出した。さらにこの動画を投稿した少年と保護者から連絡があり、直接会って謝罪を受けたことを明らかにしたが、それでも「当社としましては、引き続き刑事、民事の両面から厳正に対処してまいります」と声明を発表して、厳しい姿勢を貫いている。

「はま寿司」を運営するゼンショーホールディングスでは、加害者からの謝罪の申し入れを断って、警察へ被害届を出した。

もしもあれが唾液ではなく毒物だったら…

 この動画を見たことによって、SNSでは「回転寿司には行きたくない」という声も広まっている。動画がニュースで報じられると、スシローの株価が下がって、時価総額で約168億円を失った。回転寿司店にとっては死活問題だ。

 それ以上にこれは、日本に生まれたからには、安全なものを安心して食べられるという、日本人なら誰もが共有して守ってきた社会規範と伝統を破壊する行為で、それこそ日々の平和を脅かす。

 極端なことを言えば、これがわさびや唾液でなく、毒物であれば人を殺せる。新型コロナウイルスで多くの日本人は忘れてしまっただろうが、2017年の夏には全国で腸管出血性大腸菌O157による食中毒が相次ぎ、その当時は総菜店や焼肉店で客に共有されるトングが問題となったこともあった。唾液に細菌やウイルスが潜んでいるかも知れない。O157や新型コロナウイルスは無症状でも陽性者はいる。そうでなくても、私の友人は弟を亡くしている。

脅かされ始めた、「日本の食物は清潔」という共通認識

 そもそも、魚を生で食べるという文化は日本独特のもので、いまでこそ世界に寿司文化が知れ渡るが、それ以前には野蛮なものとして扱われた。そんな食文化が育まれたのも、日本の国土と環境による。

 日本はその地形から急流河川が多く、水にも恵まれ、常に洗い流されていることから、きれいな水質を保てた。その河川が流れ込む近海もきれいだったことが、刺身の文化を育んだとされる。

 例えは悪いかも知れないが、これが中国のような大陸をじっくりと時間をかけて流れる大河であれば、およそ魚を生で食べるような文化は生まれなかったはずだ。中国は食材に必ず火を通す食文化だ。野菜でさえ、火を通す。今世紀の初頭まで、中国で生野菜のサラダなんて信じられない食べ物だった。栽培した野菜にしても、家畜や人の糞尿を肥料に与えたものなど、生のままでは食べられなかった。

 裏を返せば、日本の食物は清潔である、という共通認識がそこに暮らす人々の前提にある。それが独自の文化を育み、社会の規範もその信用の上に成り立つ。

 いま高騰して社会問題にもなっている卵。生卵をごはんにかけて食べるというのも日本特有のものだ。他国では卵を生のまま食べない。それこそサルモネラ菌による汚染が懸念されるからだ。香港では輸入される日本の卵がブランドになって、卵かけごはんが流行っているほどだ。勿論、日本の生産者の厳しい衛生管理と努力が清潔な食文化を保っている。

湯飲みや醤油ボトル「ぺろり」は日本文化の冒涜

 いまは世界中に寿司の店舗がある。モスクワでの寿司のエピソードは以前にも書いた(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70427)。だが、外国人は寿司を簡単に受け入れたわけではなかった。それも生魚を食べる習慣がなかったことだけが理由ではない。もうひとつ、生の魚を素手で握って出すことに抵抗があった。他人が素手の掌で握ったものを、箸や素手で食べる。それも日本特有で、他にあるとすればおにぎり(おむすび)くらいだ。

 そこでは信頼関係が重要となる。毒を盛ることは絶対になければ、調理する人間も清潔であって、衛生的で安全なものを提供するという結びつきと日本の心。むしろ、おにぎりには時としてむすんでくれた相手の愛情すら感じられる。

 そうした日本人のもつ規範や伝統をぶち壊したのが、回転寿司店での迷惑行為だった。だからこそ、これだけの物議を醸すはずだ。

 もっと言えば、飲食店の椅子に座って「お冷や」や「お茶」が無料で提供されるのも日本独自のものだ。豊かな水資源がそうさせたのであって、海外を旅行したことのある人ならわかるように、水は飲食店でも買うものだ。醤油は、最後の味付けを調理人ではなく、食べる人間が行うという独特のもので、卓上調味料の起源とされる。米国のハインツのケチャップも醤油を念頭に開発されたものだ。

 客が自由に飲めるお茶のための湯飲みの縁と、醤油の注ぎ口を舌で舐め回す。もはや日本のよき文化をことごとく冒涜しているに等しい。

壊してはならない店と客との信頼関係

 スシローでは迷惑行為を受けて、店舗の運営方法を一時的に変更するとしている。レーンと客の間にはアクリル板を置き、注文を受けたものだけ客に届ける。これでは回転寿司ではない。

 訪日した外国人観光客が喜び、海外に持ち出された日本の文化に、写真付きのメニューがある。言葉がわからなくても、どんなものが食べられるのか眼で見てわかるからだ。模造した食品サンプルも日本独自のもので、外国人が土産に買っていくこともある。

 その上をいって、実物を並べたものが回転寿司だった。実際に目で確かめて、しかも座ったまま、おいしそうなものを自分で選んで食べる。それも店舗を共有する他の客との信頼関係があって成り立つ。その画期的な日本の発明も存亡の危機にある。

 迷惑行為を行った加害者には猛省を促したい。同時に、この日本の美しくて人に優しい文化を再考してほしい。

 そして、回転寿司に限らず、飲食の場は家族や仲間たちが笑顔になれるところであってほしいと切に願う。

 かつて我々は子供の頃、「他人に迷惑をかけるな」と親からくどいほど躾けられました。「ものを盗むな」という事と同じウェイトで躾けられたような気がします。それほど迷惑行為は日本人の恥として、行き渡っていました。

 しかし今では迷惑行為は至る所にあります。騒音や暴走、いじめや嫌がらせ、あおり運転など、違法行為と迷惑行為の境目が分らなくなるほど、あふれています。もちろん犯罪行為は許されるものではありませんが、迷惑行為も度が過ぎれば犯罪でしょう。

 日本は戦後新憲法の下、自由や権利が強調され、その下敷きとなる義務や責任が軽んじられてきた歴史があります。それでも戦後間もない間は戦前生まれの親のおかげで、「他人に迷惑をかけるな」という教育は残されてきました。

 日本人の多くはまだその感覚を持ち続けているようですが、そうでない人間も少なからずいて、傍若無人な振る舞いをしているのが現実です。この日本人の態度や習慣も「戦後レジームからの脱却」の一つのテーマになるかも知れません。そしてその対策の為にも、「教育勅語」の復活が効果的な手段としてあげられるのではないでしょうか。

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2023年2月 7日 (火)

撃墜で一気に緊迫、「気象研究用が誤って米国に進入」のわけがない中国気球 日本でも過去に偵察活動

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 中国の偵察気球がアメリカの上空に飛来し、大陸を横断した後西太平洋上で米軍機によって撃墜されました。中国は民間の飛行体と称し、アメリカ軍の撃墜に対し猛烈に抗議しています。だが中国には純粋な民間企業はなく、すべて共産党の管理下にあります。ましてやこのような飛行体が純粋な民間である可能性は極めて低いでしょう。

 この飛行体は、日本にもかつて上空に飛来した事がありますが、そのときはメディアはまるでUFOでも見るように、興味本位で捉え、自衛隊により偵察用気球だとの指摘もありましたが、その正体を深く掘り下げてはいません。お花畑日本の象徴的出来事でしょう。

 この飛行体の詳細について、元幹部自衛官で軍事評論家の数多久遠氏が、JBpressにコラムを寄稿していますので、今回これを取り上げます。タイトルは『撃墜で一気に緊迫、「気象研究用が誤って米国に進入」のわけがない中国気球 日本でも偵察活動、気球の仕様と性能は?』(2/05公開)で、以下に引用して掲載します。

 アメリカ本土上空で中国の偵察用気球が確認され、反発したアメリカが、1月5日から予定されていたブリンケン米国務長官の訪中をキャンセルするなど問題となっています。

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 この気球は、日本時間の5日早朝、サウスカロライナ州沖の大西洋上に出たところを、米軍のF-22戦闘機が撃ったミサイルによって撃墜されました。中国側は「過度な反応だ」として強くアメリカ側に抗議しています。

 この気球で思い起こされるのは、2020年6月に仙台市上空で確認された気球騒ぎです。2021年9月にも、同種とみられる気球が八戸市上空で確認されています。

 また、2020年10月に秋田市上空でドーナツ状の光が見えたとの報告がありますが、これも気球だった可能性があります。

 当時も、これが偵察目的の気球ではないかとの推測が多数ありました。確認された位置が、米軍三沢基地に近い八戸やイージス・アショアの建設予定地だった秋田新屋演習場上空だったことも関係しています。

 今回アメリカで確認された形状の酷似した気球は、中国が飛ばした偵察用気球だったことが明らかとなりました。そのため仙台市、八戸市で確認された気球も、中国の偵察気球だったことが確定したと言ってよいでしょう。

 日本上空を領空侵犯した気球が偵察活動を行っていた可能性が高いのですから、これは由々しき事態です。

 今回、撃墜された気球は、回収されて仕様や性能が間を置かずに明らかになると思われますが、本稿では、主に仙台市上空で確認された際の情報を元に、この偵察気球の能力を推定し、今後、自衛隊が採るべき対処とその可能性について考察します。

中国は「気象研究用」と釈明

 今回、アメリカで確認された気球は、写真を見る限り、仙台および八戸上空で確認されたものと酷似しています。

 報道では、今年1月末頃にカナダ上空を経てアメリカ領空に侵入し、モンタナ州にあるICBM(大陸間弾道ミサイル)基地を偵察したようです。

 中国で放球されたのか、カナダ領内で放球されたのかは不明です。可能性としてはどちらもあり得るでしょう。太平洋戦争中、日本が米本土に向けて風船爆弾を放ったことからも明らかなように、中国からアメリカまで飛翔させることも可能です

 アメリカ国防総省の高官が「中国の気球であると確信している」と述べています。過去に確認された同種の気球を撃墜したか、あるいは墜落したものを確認した、さもなくば過去3回、同様の気球がアメリカ上空に侵入していたとの情報があることを考えると、放球からアメリカ領空侵入まで、継続して確認していたことによる確信だと思われます。

 中国は、当初否定していましたが、アメリカで反発が強まったことを受け、気象研究用のものが誤ってアメリカ領空に進入したとして遺憾の意を表明しています。今回、米軍が撃墜したため、残骸の確認で詳細が明らかになるでしょう。

旅客機より高高度を飛行、巨大な機体に偵察機材を搭載

 今回確認された気球については、現段階では情報が多くないため、過去日本で確認されたもの、特に2020年6月に仙台で確認された気球の情報を元に、その仕様と性能を推測してみます。

 宮城県が公表した情報によれば、気球は仙台市南西30キロほどの蔵王町上空で観測され、石巻市の南太平洋上で見失われています。時間としては7時間以上で、おおよその移動距離から速度を計算すると、秒速約3メートルほどとなります。これは、風に乗って移動する気球としてはかなり遅い速度です。また、高度は3000メートル以上とされていました。

 防衛省が確認の上、情報を公開していれば、もっと正確な情報が分かったのですが、仙台、八戸ともに情報は公開されていません。

 この気球に吊るされた構造物の前後には、プロペラが付いていました。動画ではゆっくりと回転する様子が映っており、かなり弱いながらも推進力を持っていたことが確認されています。今回、アメリカで確認されたものも、機動可能だと発表されており、同様の推進装置を備えていた可能性が高いものと思われます。

 しかしながら、仙台で気球が確認された際も、あの非常にゆっくりと回転するプロペラ程度のもので意図したとおりに機動できるのかという疑問が提示されていました。仙台上空に7時間以上にわたって留まるには、相応の機動性が必要になると思われたからです。

 そのカギは、気球の高度にありました。

 航空機が飛行する高度では、「ジェット気流(ジェットストリーム)」や「偏西風」と呼ばれる強い西風が吹いていることが知られています。ジェット気流は、旅客機の飛行速度にも影響を及ぼす強烈な風で、日本からアメリカに往復する際に所要時間が大きく異なるのはこのジェット気流のためです。

 しかしながら、旅客機が飛行する高度10kmをはるかに超える高高度では、風は弱まります。仙台で気球が観測された2020年6月17日の観測データによると、仙台に最も近い観測ポイント秋田では、20km近い高度の風は西風2~3メートルの微風となっていましたし、さらに高い20kmを超える高度では逆向きの東風が吹いてさえいました。

<秋田と舘野(つくば)の高層データを見ると高度19キロ(70hPa)前後で西風でゆっくり東に流されていたと考えるとほぼ辻褄があいます。さらに上(22キロ)では東風で戻ってしまう。下層は20m/秒の西風でとてもあのプロペラでは抗えない(抗ってたら相当姿勢が傾くはず)。

高度19キロとわかれば疑問解決です。 pic.twitter.com/xKBAvWJ6la

— 佐々木徹 (@tsukuba_tsasaki) June 18, 2020>

 宮城県の発表では、この気球の飛行高度は3000m以上とされていましたが、上空を飛行していた航空機よりも高高度を飛んでいたとの情報もありました。実際には、今回アメリカで確認された気球と同様に、高度20km近くの高高度を飛行していたと思われます。アメリカで確認された気球は当初高度18kmを飛行していたと報道されています。

 風速2~3メートルの微風であれば、わずかながらも推進力があれば、風に流されることを計算に入れながら、ほぼ狙った経路を飛行できると思われます。微風しかない高高度では、仙台上空に長時間留まるために大した機動力は必要なかったということです。

 更に、この推定された高度から、気球の大きさが推定可能でした。当日、気球が月の近くで撮影されていたことから、三角関数によって気球のサイズがかなり正確に計算できたのです。それによると気球のサイズは直径30mにも及ぶ巨大なもので、ヘリウムが充填されていると仮定すると、下部に懸架されている物体の重量は5t(トン)もあったと推測されます。

 この推定が正しいと仮定すると、相当の偵察機材が搭載できていたと思われます。

 懸架物の重量には、バッテリーや太陽電池、プロペラを含むモーターなどの推進装置が含まれるため、偵察、通信機材の重量は1tを下回る程度しかないかもしれません。しかし、気球にデジカメを下げた程度とは程遠い、れっきとした偵察機材と言えます。特に、現代の偵察手段はデジタルであるため、かつて銀塩写真に頼っていた頃と比較すると偵察手段は相当軽量化が可能になっています。アメリカの反応も頷けるものと言えます。

気球による偵察は有効なのか

 次に、1t程度(筆者による推測)の偵察機材を使用し、高度約20kmでどの程度の偵察が可能か考えてみたいと思います。

 比較として参考になるのは、1955年に初飛行し、いまだに類似の機体が存在せず、現役として偵察活動に投入されている米軍の高高度偵察機U-2です。

 U-2は、仙台で確認されていた気球が飛行していたと推定される高度20kmを若干超える高度21km以上を飛行し、約1.36tの偵察機材を使用して偵察を行います。つまり、U-2とほぼ同等程度の偵察能力を持つと推測される気球が、アメリカ本土上空を領空侵犯していたということになります。

 ただし、開発当時は撃墜不可能と言われたU-2も、ミサイルの発達により進空からわずか5年後の1960年には撃墜され、キューバ危機の最中である1962年にも撃墜されています。現代では、敵国の領空上空に侵入して偵察することなど基本的に不可能になっているのです。

 また現代では、気球よりは高度が高くなるものの低軌道の衛星が増えています。たとえば2017年にJAXAが打ち上げた衛星「つばめ」(超低高度衛星技術試験機)は、最低高度167.4キロを飛行しています。低軌道衛星の地球周回高度が下がっているため、今回、アメリカの高官が「中国が低軌道の人工衛星で得られるであろう情報よりも大きな付加価値を生むものではない」と発言しています。実際には、この気球による偵察が、衛星による偵察を超えるものではないとみている可能性もあります。

 アメリカが「中国の気球であると確信を持っている」と言っていたことを考えると、過去、極秘に撃墜したか、墜落したものを確認している可能性もあります。

自衛隊は対処できるのか

 仙台、八戸で気球が確認された際、自衛隊は対領空侵犯措置を行っていません。これは、気球の目的や誰が放球したのか不明だったことも影響していると思われますし、政治的な影響を避けるため、黙認した可能性もあります。

 しかし、今回のアメリカの反応を踏まえると、次回同種の事案が発生した際に、これを見逃すことはできません。領空侵犯として対処することになるでしょう。

 その場合、自衛隊が対処できるのか検討してみます。

【発見は可能か?】

 まず、発見できなければ話になりません。天候が良ければ、仙台で確認された通り、目視で発見できる可能性もありますが、夜間や雲があった場合は、レーダーが捉えなければ誰も気づかないまま日本上空を通過するでしょう。

 気球のバルーン部分は定高度気球と思われるため、ポリエチレンなどの樹脂製と思われます。直径30メートルとかなり大型ですが、これはレーダーに映りません。ただし、アメリカで確認された気球は、当初では高度18キロと言われていましたが、撃墜時の高度は20キロとの情報があり、高度を変更可能な気球だった可能性もあります。

 問題は懸架物の方ですが、かなりの重量があると推測されるため、構造材などに金属も使われており、レーダーに映ると思われます。アメリカも気球を追跡していますが、日中は目視の可能性もあるものの夜間はレーダーでしょう。

 自衛隊が、警戒管制レーダーで捉えることができているかについては、守秘義務があるためここでは書けません。しかし、仙台や八戸の事案で防衛省、自衛隊がとくに驚いていないという事実は、推測を行うに十分だろうと思います。

【撃墜は可能か?】

 実際に米軍が撃墜しているのですから、自衛隊でももちろん迎撃は可能です。ですが、手段は限られ、今回の撃墜同様、少々特殊な手法が必要になります。

 U-2の初期の被撃墜は、地対空ミサイルによるものでした。しかし、気球に関しては、パトリオットや中SAMで狙うことは可能ですが、かなりの高高度であることと、懸架物からのレーダー反射が少なく近接信管が作動しない可能性があるため、撃墜確率が十分に高いとは言えないかもしれません。

 有効な手段は、米軍が行った方法と同様に航空機による迎撃です。しかし、気球が飛行している高高度は、F-15などの戦闘機であっても通常の飛行方法では到達できません。巡行可能な高度10キロ程度で高速で飛行した上、速度を生かして急上昇し、ロケットのように斜め下方から接近するズーム機動と呼ばれる飛行方法で接近する必要があります。

 今回の米軍での撃墜では、F-22が高度約17.6km(58000ft)でミサイルを発射し、高度約20km(65000ft)の気球を撃ち落としています。

 更に、宇宙から飛来する弾道ミサイルを確認できる地上レーダーと違い、航空機の機上レーダーは出力が低く、レーダー反射の少ない気球の懸架物をレーダーで捕捉できる可能性は低いため、地上から航空機を誘導してズーム機動(機体本来の上昇率・上昇限度を一時的に超えた上昇動作)で接近させる必要があります。

 ただし、今回米軍が行った攻撃では、天候が良くパイロットが目視で確認できたはずなので、地上からの誘導は必要なかったと思われます。

 また、気球を撃墜するためのミサイルも、地対空ミサイルと同じようにレーダーで誘導するミサイルでは高い迎撃確率は期待できない可能性があります。今回、F-22は空対空ミサイル「AIM-120 AMRAAM」を使用した可能性がありますが、その場合は、気球の動向を監視していた際に、AMRAAMでのロックオンができることを確認していたと思われます。

 また、気球の動力はモーターと考えられるため、赤外線放射も少なく、赤外線誘導のミサイルも不適です。最も効果的に気球を撃墜できるミサイルは、可視光、あるいは赤外線を使った画像誘導ミサイルであると思われます。我が国が保有する空対空ミサイルでは「AAM-5」がこれに該当し、アメリカでは「AIM-9X」が該当します。米軍による撃墜では、このAIM-9Xが使用されたとの情報が有力です。

 上記の方法がベストと考える理由は、高度20キロ近い高高度では、ミサイルの機動性能が低下するためです。ほぼ移動していない気球相手であっても、ミサイルの飛翔途中までの誘導には誤差があるため、高高度に到達した時点でも軌道修正は必須です。機動性能が低下した状態では命中率が低下します。機動性能の低下を最小限にとどめるためには、ミサイルの存速を高くするとともに、可能であればロケットモーターが燃焼を続け、推進力を保持した状態で目標に接近させることが必要です。そのために、戦闘機をズーム機動で接近させ、ミサイルの飛翔距離、上昇高度を少なくすることで、なるべくミサイルが持つエネルギーを高く保つことがベストなのです。

 今回、米軍がF-22を使用した理由は、最新のF-35と比べても、F-22の方が高い高高度飛行性能を持つためです。自衛隊が、同様の気球を撃墜する場合、機体の飛行性能では劣ることになりますが、自衛隊が装備するAAM-5はAIM-9Xよりも高い飛翔性能を有するため、問題はないと思われます。

中国が行った気球迎撃の実験

 なおこの方法で、今回確認されたものと同種と思われる気球を迎撃する実験も実際に行われています。

 実施したのは、気球を放った当の中国で、その情報を公開しています。

 なぜ、迎撃実験の情報をわざわざ公開しているのか理解に苦しみますが、中国は、ロシアと同じように国際法を意にかけていないため、気にしてはいないものと思われます。

 ユーロファイターによく似たデザインのJ-10C戦闘機に、AAM-5やAIM-9Xと同じ画像誘導方式のPL-10を搭載し、地上からの誘導に基づき、ズーム機動で接近し、撃墜しています。こちらのサイトに詳細がありますが、今回の事案を受けて削除されるかもしれません。

 注目すべきなのは、この記事がアップされたのは、仙台で気球が確認されるよりも前となる2019年9月だということです。中国は、気球による偵察活動を行うにあたり、自らは対処できることを確認しているのです。

中国に断固たる処置を

 本記事の主要な内容は、仙台で気球が確認された2020年の段階で筆者が考えたものです。当時日本政府は、あの気球に何らの対処も行いませんでした。そのため、記事化は控えていました。

 しかし今回アメリカが問題視したことで、今後は対処することが必須となるため、記事としてまとめました。

 中国側は、気象観測用の気球が“不可抗力”でアメリカ上空に入ってしまったと発表しています。しかし、説明したように、この気球は、風の弱い高高度を移動用のプロペラによって経路修正ができるものです。不可抗力などということはありません。中国の違法な軍事偵察に対しては、断固たる処置が必要です。

 戦後80年近く、他国からの軍時侵略を受けたことがない日本は、所謂不明な飛行体が現れても、それが偵察を意図したものと捉え、対応していなかったことが分ります。まさにお花畑ではないでしょうか。

 これまでも北朝鮮の工作員を発見できず、拉致被害者を何人も出したことからも、物体だけではなく人に対しても意図的な侵略に対し脇が甘い体質をさらけ出しています。加えて法的な整備も決定的に遅れていることも否めません。

 物理的な侵略に対する抑止力も重要ですが、サイバーや人、今回の偵察飛行体のような、ハイブリッドな攻撃に対しても、抑止力を持たねばなりません。この案件はその必要性を強く発信するいい機会になったと思います。

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2023年2月 6日 (月)

「元徴用工」問題 岸田政権は法と史実に基づき毅然とした対応を 謝罪は断固拒否せよ、誤るべきは韓国だ

Images_20230205154301  今、日韓の間での最大の懸案は徴用工問題でしょう。韓国の最高裁判決は、原告の言う酷い状況で強制労働させられたという提訴自体、でっち上げの影が強く付きまとうし、また日韓請求権協定の定めた内容にも違反する判決である事は、日本側ははっきり確認しています。

 それなのに何故日本はこうも韓国に、責められなければならないのでしょう。徴用工だけではありません。慰安婦の件でも、併合時代の件でも、一方的に責められ謝罪に追い込まれています。その内容はでっち上げで嘘まみれなのに。

 そもそも併合は国として体をなしていない当時の大韓帝国を、放置すればロシアの属国で前進基地となり、日本に甚だ危険となる国際情勢の中で、アメリカの後押しもあり、しかも大韓帝国側の賛同の元併合しているのです。

 韓国は後になって、併合は違法だとか日本のごり押しだとか言っていますが、そんな証拠はありません。しかし日本は敗戦後、GHQによる日本弱体化の為の公職追放により保守系の公民は職を追い出され、「自虐史観」に染められた、あるいはそもそも反軍・反日主義だった「敗戦利得者」たちがその公職に就き、周辺国への謝罪教育と外交が始まったのです。

 それに乗じた韓国が、併合時代の日本叩きを初め、それが嘘で固めた史実であるにもかかわらず、自虐に染まった日本の多くの人はその非を認める形で、今までの日韓関係が構築されました。慰安婦問題もその流れにあり、日本はいとも簡単に韓国の論調に押され、河野談話や村山談話で謝罪を積み重ね、日本の国益を害して来ました。それには朝日新聞の捏造記事なども加担していたのは周知の通りです。

 そうした流れを打ち切るべく、この徴用工問題に関しては、法と史実の元、毅然と対処しなければなりません。そのあたりの考え方について、ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、zakzakに寄稿した記事を取り上げます。タイトルは『「元徴用工」問題 岸田政権は〝おわび談話〟を断固拒否せよ 謝り続けること自体「異常」 韓国の言い分を認めれば正常な外交関係は築けない』(2/04公開)で、以下に引用します。

いわゆる「元徴用工」問題で、韓国の原告側が求める日本企業による賠償を韓国の財団が支払う解決案について、日本側が「見返り」を与えるような動きが報じられた。

1つは、日本が韓国を輸出管理で優遇する「グループA(『ホワイト国』から改称)」に再指定する(産経新聞1月28日)。もう1つは、日本政府が従来、表明してきた「おわび談話」をあらためて確認する案だ(共同通信1月28日)。これらをどう考えるか。

そもそも、元徴用工に対する賠償は、1965年の日韓請求権協定で日本が無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力を約束し、請求権問題は「完全かつ最終的に解決」されている。元徴用工たちが賠償金を受け取っていなかったのであれば、それは韓国政府の責任だ。

韓国の財団が、日本の「肩代わり」をするという話でもない。一切の責任は韓国側にある。

これと輸出管理の話は本来、まったく関係がない。

とはいえ、緊迫する東アジア情勢を考えれば、日本と韓国の関係改善は、日本の安全保障にプラスだ。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権と違って「親北親中路線」から転換を図りつつある。

そうであれば、元徴用工問題を韓国側の責任で解決する機会を捉えて、日韓関係全体を見直すのは悪くない。元徴用工解決案の一部ではなく、新たな日韓関係構築という枠組みの下であれば、議論は可能だろう。

その際、重要なのは、日本が輸出した軍事転用可能な先端材料などを「韓国側が厳格に管理する」という保障措置だ。これができないなら、論外である。日本は韓国の対応をしっかり見極めたうえで、しかるべく適切に対応すればいい。

一方、おわび談話は、まったく別だ。

日本政府は、これまで村山富市首相談話(1995年8月)、戦後60年の小泉純一郎首相談話(2005年8月)、戦後70年の安倍晋三首相談話(15年8月)を出してきた。いずれも「痛切な反省」と「心からのおわび」という言葉を含んでいる。

つまり、繰り返し謝罪してきた。私は、政府が公式に謝罪した話を、何度も同じ言葉を使って謝り続けること自体が「異常なこと」だと思う。それでは、「最初の言葉が信じられなかった」という話になる。

韓国の態度は「永久に謝り続けよ」というようなものだ。そんな韓国の言い分を認めたら、いつまで経っても正常な外交関係は築けない。今回、談話踏襲を確認するなら、事実上、4回目の政府談話を出す話になってしまう。岸田文雄政権は断固、拒否すべきだ。

日韓関係では、当コラムが先々週から指摘してきたように、「韓国の核武装」という重要問題が浮上している。米軍の核再配備を含めて、韓国が核武装すれば、日本はもちろん、東アジア全体に大きな影響が及ぶのは言うまでもない。

米有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は、米韓の核共有(シェアリング)にとどまらず、日本や英国、フランスを含めた「核の傘」も提言した。

にもかかわらず、国会論議を見ると、立憲民主党は「反撃能力」の保有にすら、「相手国のミサイル発射着手段階における、日本からの敵基地攻撃は、国際法違反の先制攻撃にならざるを得ず、反対の立場だ」(泉健太代表)などと反対している。

ウクライナ戦争で核の脅しがあっても、核問題を議論せず「首相の手土産」を追及する野党とは、一体何なのか。もっと重要な問題を議論せよ。

 そもそも謝罪しなければならないことないのですから、(残念ながら冒頭記述したとおり、韓国と国内の反日主義者によって謝罪に追い込まれましたが)、謝罪を繰返すことなど言語道断、それと同時にホワイト国復帰のバーター取引なども、やってはならないと思います。

 今更引き返せませんが、GHQに植え付けられたWGIPによる「自虐史観」の洗脳とその影響は、何とか払拭しないと日本の未来は危うくなるでしょう。なぜなら力をつけてきた中国や韓国に負い目を持ちながら外交や経済交流をすることは、日本にマイナスの影響しか与えないからです。旧統一教会に対する日本人の高額献金など、その影響をもろにかぶっていると思います。

 安部元首相が残した「戦後レジームからの脱却」は、まさにこの「自虐史観」からの脱却と同意だと思います。軍事力を高め、経済安全保障をしっかり担保した上で、「自虐史観」の払拭を進めることにより、「戦後レジームからの脱却」は推し進められると確信します。

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2023年2月 5日 (日)

日本を衰退させた南京事件の噓、その嘘を否定しない外務省。一体何処の国の省庁か

Rectangle_large_type_2_1bb1573ef6775d0f3  中国、韓国の大東亜戦争以前の歴史認識には、史実を偽った嘘や捏造が多く見られます。日本軍が蔣介石国民党軍と戦火を交えていた時代の、南京事件(一般には南京大虐殺と言われる)もその一つです。

 この事件は当時の中国国民党と、国民党に雇われたアメリカ人宣教師が作り上げた謀略だったことが判明しています。また田中正明氏が著わした、「南京事件の総括」に見られるように、様々な調査・研究の結果、虐殺の証拠がないことが明確に記述されています。

 しかし日本の外務省はそれを完全否定せず、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことを認め、教科書にも未だ「南京事件」は記述されています。この南京事件の捏造の概要と日本政府の対応を、新しい歴史教科書をつくる会副会長の藤岡信勝氏が、産経新聞のコラムで記述していますので引用します。タイトルは『日本を衰退させた南京事件の噓』(2/01公開)です。 

旧臘(きゅうろう)、あるインフォーマルな会合で語られた一人の商社マンの言葉が忘れられない。日本の経営者のある年代以上の人は、日本は中国に対して悪いことをしたと思い込んでいるので、中国人とのビジネス交渉の場で、相手の理不尽な要求でも「断るのは悪い」という意識が抜けない。それが日本企業にとって大きな損失になっている、というのである。

中国国民党による謀略

過去半世紀、日本人に中国に対する贖罪(しょくざい)意識を植え付けた最大のネタは「南京事件」であった。昭和12年12月13日、日本軍が中国の首都・南京を陥落させてから数週間にわたって、南京市民30万人を虐殺したとされる事件である。「南京大虐殺」ともいう。

しかし、今日では、それは仕組まれた謀略であったことが明らかになっている。自ら仕掛けた上海事変において、結局日本軍に敗れ、軍事的にはどうしても日本に勝てないと悟った蔣介石は、鉄砲のかわりにペンで戦う方針に転換した。国民党中央宣伝部に国際宣伝処を新設し、欧米人に金を渡して日本軍の残虐行為を捏造(ねつぞう)した本や記事を書かせた。

世界中を駆け巡った日本軍による市民虐殺の報道は、もとを辿(たど)ると、一人のアメリカ人宣教師の書いたメモに行き着く。その人物の名はマイナー・ベイツ。南京大学の教授でもある。彼は噓の文書をつくり、それを南京を去る5人の欧米の記者に目撃証言の記録を装って渡した。ニューヨーク・タイムズはじめ、南京事件の第一報は全てベイツ・メモの焼き直しである。もちろん、ベイツは国民党に雇われていた。

公文書が事件の不在を証明

南京城内には、アメリカ人宣教師を中核とする15人の欧米人によって国際委員会が組織され、官庁街を含む区域に安全区が設定されて、市民はそこに避難していた。安全区は日中両軍が立ち入ることのできない中立地帯であると僭称(せんしょう)していたが、実態は国民党の将校や敗残兵が多数潜り込み、日本軍の仕業に見せかけて悪事をはたらく拠点になっていた。

国際委員会は市民からの告発を記録する窓口を設け、毎日、市民の証言なるものをタイプライターで記録し続けた。そして、それを日報として各国大使館に届けた。日本大使館は外務省本庁に報告する。効果は絶大であった。欧米の新聞報道と相まって、日本の外交官の一部や軍の首脳までもが、日本軍への悪宣伝を信じ込んでしまったのである。ここに、お人よしで、信じやすく、騙(だま)されやすい日本人の民族的欠陥と、国家としての脆弱(ぜいじゃく)性が露呈している。

国際委員会が集めた証言をまとめた『南京安全区の記録』(英文)は、国民党政府の公文書として公刊された。しかし、それを読むと、517件の「事件」のうち、殺人事件として記録されているものは26件で、そのうち、証言者が自ら目撃したものは1件しかない。しかもその記述を読むと、これは、戦時国際法に違反して軍服を脱ぎ捨て、市民に変装した中国兵の「合法的処刑」であるとわざわざ注記されているのである。

結局、南京事件なるものは、膨大な証拠があるように見えて、それは雰囲気づくりに利用されているにすぎず、実態をタマネギの皮を剝ぐように確かめていくと中心には何もないことが判明するという次第になっているのである。

外務省見解の撤回が焦点

では、なぜ、日本人の多くがいまだに南京事件があったと信じているのだろうか。それには写真の影響が大きい。国民党の宣伝機関は競って捏造写真の製作に熱心に取り組み、数冊の写真集として出版された。

しかし、南京事件の証拠とされる143枚の写真は全て、事件の証拠写真の要件を欠いたプロパガンダ写真であることが証明されている(東中野修道他『南京事件証拠写真を検証する』)。これについては、2月12日から3日間、東京・文京シビックセンターにて、プロパガンダ写真のからくりを解明した展示会が開催される。

Images-6_20230204143801 ここで述べたことは、日本「南京」学会などの研究によって、すでに十数年前に明らかになっていたことである。それにもかかわらず、外務省のホームページには、相変わらず「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」と書かれている。

これが教科書記述の根拠にもされている。現在、小中高の歴史教科書は1社を除いて、南京事件があったと書いている。

ところが、近現代史研究家の阿羅健一氏が外務省にその根拠となる行政文書の開示を求めたところ、「関係するファイル内を探索」したが「該当文書を確認できなかった」として、「不開示(不存在)」との回答が来た(『正論』2月号)。つまり、日本政府は根拠もないのに、南京事件があったと断定しているのである。この外務省見解を取り消させることなしに日本の再生はないことを、私たちは銘記しなければならないのである。

 外務省は、竹島は日本の領土と言い、また尖閣は日本の領土でかつ領有権の問題は存在していないと言います。しかし実体は、竹島は韓国に不法占拠され続け、また尖閣の周辺には中国の公船が連日威嚇航行を続けています。しかも竹島奪還の交渉をする気はないようですし、尖閣の領有権問題に決着をつける動きも全くありません。

 これは日本の主権を守る気がさらさらないという証拠にもなります。さらにはこの南京事件に至っては、中国側の見解を半ば認めているという、これが日本の外務省かという態度も示しています。何故ここまで腰砕けなのでしょうか。

 藤岡氏は南京事件の贖罪意識が、日本の経営者が中国の理不尽の要求に屈してしまう要因だと述べていますが、それはそのまま日本の政治家や官僚にも当てはまると思います。外務省がその一番手でしょう。

 ですから南京事件については、政府自らはっきりと、それは捏造であり日本人が中国人に贖罪意識を持つ必要がないと、明確に言わねばなりません。中国に侵攻したのは事実ですが、時の国際情勢上やむを得ない侵攻であり、日本も通州事件のような残虐非道な中国兵の襲撃も受けています。戦争に善悪を語るのは後付けですし、負けたからと言って日本が全部悪いというのは東京裁判史観そのものです。

 日本の官僚は優秀で、戦後復興の立役者だったかも知れませんが、今や外務省、農水省、文科省、財務省など、日本の将来には貢献どころか阻害要因になるような動きが垣間見られます。政治家も含め大改革が必要ではないでしょうか。

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2023年2月 4日 (土)

中国への忖度で骨抜きにされた国会の「人権決議」、理由は与党にはびこる〝中国共産党代理人〟

Maxresdefault_20230203155201  中国共産党による少数民族への蹂躙、弾圧はチベットに続き、ウィグルでその残虐さを増幅し、更にモンゴル自治区にも同様な魔の手が伸びています。関係書籍を読めばその非道ぶりは目を覆いたくなるもので、欧米はこの人権問題を大きく取り上げて批判を強くしています。

 一方の日本は経済の結びつきを理由に、極めて弱腰の対応が続いています。そして国会議員、中でも与党の中に中国の顔色を窺う議員が多くいるようです。その詳細を元衆議院議員で現在チベット・ウイグル両議連事務局長、日華懇談会事務局長で日本の尊厳と国益を護る会副代表の長尾たかし氏が月刊hanadaプラスに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『与党にはびこる〝中国共産党代理人〟』(1/30公開)で、以下に引用します。

欧米各国が中国による人権侵害を事実認定して、政府や議会において対応すべく法整備が整っているのに、なぜ日本だけは一歩も前に進めないのでしょうか。永田町、霞が関の広範囲にわたって、中国共産党の呪いがかけられているとしか思えません――。

**********

新たな議連が設立されたが

2022年12月5日、「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」が設立され、私も総会に出席しました。チベット、ウイグル、南モンゴル、各議員連盟の会長を中心に、企業が取引先を含めた人権侵害を把握し、予防策を講じる人権デューデリジェンスを進め、海外での重大な人権侵害に制裁を科す日本版「マグニツキー法」の制定も視野に活動する議連です。

設立趣意書は、中国の行動を「常軌を逸した人権侵害」と表現し、「民主主義・基本的人権の尊重・法の支配という共通の価値観を持つ国や団体が有機的に連携して現実を究明し内外に発信し行動する」と明記。これまでに採択された衆議院、参議院の人権状況決議に比べれば、はっきりとした主張となっていますが、主な議員発言者の言葉を振り返ると、不安ばかりが募ります。

「われわれが人権侵害を中国の思うようなかたちにさせないという覚悟が必要だ」

「中国への政府対応で国会や議連が背中を押すことが重要だ」

「ウイグルなど人権等を巡る諸問題について主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」

「米国にはウイグル強制労働防止法がある。日本でなんら法整備が進まないのは残念だ」

どれもこれもごもっともなご発言ですが、数年前から同じ言葉を繰り返しているだけと言わざるを得ません。次の一歩がいまだに踏み込めない。その一歩とは、議連の枠組みを越えた衆参両院の意志として、中国による人権侵害に対し強い非難、対抗措置としての法整備を決意し、立法手続きを始めることです。

議連が設立された当日、参議院で「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が採択されました。しかし当初の決議案、骨抜きにされた衆議院決議(2022年2月)、そして今回の参議院決議の変遷を確認すると、不本意ながら、議連の決意を越えたところでは、一歩も進んでいないことが証明できてしまうのです。

「人権侵害」の文言が消失

そもそも、自民党、公明党を除く超党派で了承を得た当初の決議案の表題は、「新疆ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議」でした。しかし、人権侵害が人権状況と修正され、それに伴い、文中にあった人権侵害の文言が、すべて人権状況に置き換わったのです。

当初案では、深刻な人権侵害が発生しており、弾圧を受けている人々が国際社会に助けを求め、国際社会もこれを脅威と認識し、強く非難して直ちに中止するよう求めていました。さらに立法府の責任において、救済するための必要な法整備の検討を決意すると宣言し、政府もこれに追随せよという内容だったのです。

これが自公幹部により骨抜きとなり、「弾圧を受けていると訴える人々」と修正されたことにより事実認定を避け、人権侵害を強く非難する文言が消え、深刻な懸念というレベルにテンションが下がり、あくまでも弾圧をしている側の説明責任を求めるに止まっているのです。

立法府が法整備に取り掛かる決意の文言も削除され、議会が政府に対して事実関係に関する情報収集を行うべき、と第三者的表現に修正されました。衆議院決議と参議院決議において、特段その違いを指摘するものはありません。

強いていうなら、日米首脳、G7に加えて、新たに国連人権高等弁務官事務所が人権状況への深刻な懸念を共有したこと、中国という文言がどこにも入っていないので当該国政府と付け加えたこと、この2点だけです。

孔鉉佑駐日中国大使からのお誘い

私たちはこれまでに、どれだけの「命の証言」を聞いてきたことでしょうか。多くの阿鼻叫喚の光景を受け止めたのではなかったか。

関係した議員が取りまとめた国会決議文がどれだけ「工夫」されていようとも、

・中国を名指ししない

・ジェノサイドを謳わない

・人権侵害を認めていない

・法的根拠を持った対抗措置を決意しない

これでは世界には全く響かない。周回遅れも良いところです。響かないどころか、日本の人権侵害に対する課題認識はその程度のものかと、恥ずべきメッセージ性を帯びてしまうのです。

このような諸問題があるから、法律を作らなければならない、その理由を立法事実と言います。立法府における立法事実の存在は必要不可欠です。つまり、国会が結果を出す、立法するためには、人権侵害を政府もしくは議会が事実認定をしなければならないのです。

この一番重要なハードルが乗り越えられていない。欧米各国が人権侵害を事実認定して、政府や議会において対応すべく法整備が整っているのに、なぜ日本だけは一歩も前に進めないのでしょうか。

永田町、霞が関の広範囲にわたって、中国共産党の呪いがかけられているとしか思えません。

国会決議に消極的な与党役員は、「個人的にはやらなければならないと思うが、人権侵害の事実認定ができていないんじゃないかということを外務省は言っている」と口にします。

政府や外務省がそういうならば、各政党として、あるいは衆参それぞれの議会として調査を行い、事実認定すれば良いのですが、思考回路はその手前で停止するのです。

私は2021年4月13日、自民党本部で孔鉉佑駐日中国全権大使と面と向かって直接議論した際、同じ発言を耳にしました。

大使は、私が指摘するチベット、ウイグル、南モンゴル等に対する人権侵害に対して、「そんな事実はない」 「その話は中国では茶番と言われている」 「笑い話になっている」と言い切り、「あなたは新疆に来たことがありますか? なければご案内しますよ。素晴らしいところですから」とお誘いまで受け、そんな事実はない、とあくまでもとぼけ通すのです。

仮にご案内を受けたところで、強制収容所の実態を見せてもらえるはずもなく、行けば「ほら、何もなかったでしょ」と言われるのが関の山。さらには、トラップをかけられて口封じをされてしまうかもしれませんので、丁重にお断りしました。

公明党が最大のブレーキ

日本政府をはじめ、主要政党に対し事実認定させない抗日プログラムが長きにわたり浸透し続け、与党側の神経が麻痺していることを私は確信しました。最大のブレーキを踏んでいるのは公明党幹部です。

今回、新しく設立された議員連盟に、公明党議員の名前は一人もありませんでした。これは公明党の政党としての意思です。この議員連盟への公明党の合流を、特に連立与党を組んでいる自民党側が説得にどれだけ汗をかいたのでしょうか、甚だ疑問です。参加したかった公明党議員もいたと聞いています。

しかし、上層部の指示には従わざるを得ない組織の悲哀。党派を越えた議員一人ひとりの強い意志の積み重ねを貫ける環境は、議員自身たちが構築しなければなりません。

自民党国会議員の皆さんを信用していないわけではないのですが、選挙で支援をもらっている自民党側からすれば、公明党が判断に窮するような提案はできるだけ避けたい、どうしてもその辺の空気感が読めてしまうのです。

議連の総会に出席されていたジャーナリストの櫻井よしこ先生は、「アジアの大国として声を上げろ!」と仰せでした。議連では声が上がるのですが、政府として、議会としての声がまとまりません。これが現実です。

ドルクン・エイサ世界ウイグル会議総裁はこう訴えました。

「習近平の独裁、ウイグルへのジェノサイドが続くなかで、日本が果たすべき役割はたくさんあるはずだ。日本が立ち向かってほしい。中東が中国共産党になびかぬよう、日本が中東に働きかけをしてほしい。中国首脳に対して直接、ジェノサイドのことを言え! 強制労働のサプライチェーンを外せ。強制労働の商品を日本に入れない、マグニツキー法を制定してほしい」

繰り返しますが、これらを実現するためには、政府や国会が事実認定をしなければ、ただの一歩も進まないのです。

高市早苗大臣と岸信夫補佐官

そんななか、あまり報道されていないのですが、2つの喜ばしいことがありました。

高市早苗経済安全保障担当大臣がドルクン・エイサ総裁と初会談したのです。世界ウイグル会議総裁が日本の閣僚と面会するのは今回が初めて、歴史的瞬間でした。高市大臣の勇気、段取りをして下さった有本香さんには、心から感謝と敬意を表します。

この際、ドルクン総裁からは、重大な人権侵害に対し制裁を科す人権侵害制裁法の制定や、企業によるウイグル人の強制労働防止に向けた法整備を整えてほしいという話がありました。これに対し、高市大臣は「関係閣僚と積極的に取り組みたい」と応じたのです。

東京都は新築戸建て住宅等へ太陽光パネル設置義務化を決めましたが、ウイグルの強制労働による製造が疑われる中国製太陽光パネルが使用されれば、日本がジェノサイドに加担することになりかねません。人権侵害のうえに経済は成り立ってはいけない、まさに経済安全保障における人権デューデリジェンスに大きくかかわること。その担当大臣との面談が実現したのです。

他にも、岸信夫首相補佐官との面談も実現しました。これがほとんど報道されないのも実に不思議です。

さて、どなたかお忘れではないでしょうか。

岸田政権肝煎りで就任した中谷元国際人権問題担当首相補佐官です。

「官邸は民族団体とは絶対に会わない、それが方針である」

これがいまも貫かれたままです。

2021年12月24日、私は各民族団体の提言書を携え、官邸の中谷補佐官を訪ねました。その際、「制裁法を作るためには、人権侵害を政府として事実認定する必要があるので、政府の立場で民族団体を官邸に招き、ヒアリングを早々に行ってほしい」と申しあげました。

中谷補佐官ははっきりと「わかりました」とおっしゃるものの、私の言っていることがわかったのか、それとも承知したという意味のわかったなのか、不明確でした。

中谷補佐官が私に強調したのは、マグニツキー法成立に向けての気持ちはいささかも変わっていないこと、必ず検討すること、とにかく一所懸命やっているというものでした。

あれから1年以上が経過しました。法律を作るのならば、日本政府は事実認定に至るために、どのような情報収集をしてきたのでしょうか。民族団体からの「命の証言」を、政府としてヒアリングをまだ一度もしていない、これが現状です。

中国の呪いにかかったまま

とかく日本の政府や国会は、個別の国家をターゲットとした制裁法を忌み嫌います。対北朝鮮輸入禁止などの制裁措置ですら、実現するのに10年以上の月日を費やしました。

連日繰り返される北朝鮮による日本海方向へのミサイル発射に対しても厳重な抗議を言えるようになりました。ロシアによるウクライナ侵略に端を発し、ロシアに対しても強い姿勢で臨めるスタンスが確立しています。どちらもいちいち褒めることでもありませんが……。

しかし、2022年8月4日、中国が与那国島周辺海域の排他的経済水域にミサイルを5発撃ち込んだことに対して、抗議を電話で伝えただけに終わっています。北朝鮮のミサイルに対しては国家安全保障会議を開くのに、中国の日本のEEZ内へのミサイル攻撃については開かない。この違いは何なのでしょう。相手が中国であることについては全てスルーしているのです。

岸田総理は事あるごとに、「言うべきことは言う」と口にされます。言うべきことを言っていないということは、言うべきことだと思っていないということなのでしょうか。そして自民党、公明党のなかも妙に静かです。野党は論外で、全く無関心です。

2021年3月30日の記者会見で、ウイグルの人権問題をめぐり、「経済や人事交流の極めて厚い、中国との関係も十分に考慮し、摩擦や衝突をどう回避するかも重要な考慮事項だ。慎重に対応する必要がある」と主張した山口那津男公明党代表の言葉を、ふと思い出しました。

まるで中国共産党の代理人のような発言、おそらく中国の呪いにかかったままなのでしょう。申し訳ありませんが、中国には何も言えないいまの国会には反吐が出ます。

今回設立された議連では、参与という立場を頂戴いたしました。唇をかみ締めながら、在野の立場からしっかりと職責を果たす覚悟です。

 野党のみならず、与党の中でも中国に忖度して、言うべきことを言わず、事なかれ主義に陥っている議員がなんと多いことか。確かに尖閣周辺の領海侵入に対しては、「遺憾砲」を使い、都度抗議はしています。しかしそれが中国に対して有効なメッセージとなっているでしょうか。中国にとってはちょっと蚊に刺されたくらいの反応でしょう。それさえも感じないかも知れません。

 尖閣に構築物を作ったり、海洋調査をしたり(始めたようですが)、(領海、領空ですから)自衛隊機による上空の監視飛行を繰返したり、具体的な対抗策をしなければ、日本の意思は示せないでしょう。同様に人権に関しても同様にしっかりと中国を名指しで、人権弾圧だと明言し、マグニツキー法を制定しなければ日本の意思は伝わらないでしょう。

 ただお花畑の中で、平和な暮らしを続けた日本は、主権国家という認識と有事の感覚が麻痺しています。ですからひたすら事を構えないように、萎縮した対応をとることを続けて来ました。そうした事なかれ主義の生んだ対応がこの人権侵害非難決議にもつながっています。

 公明党は創価学会という宗教団体がバックに控えています。宗教は人権弾圧に対して厳しい見方をするのが普通なのではないでしょうか。中国共産党という非人道的な組織と、どうして親和性が生まれるのでしょうか。もしかしたら本質的にはつながりがあるのでしょうか。

 いずれにしろ長尾氏には、どう進めたら議員が動き出すのか、非常に難しい課題ですが、今までの経歴を元に、頑張っていただき、この人権問題を日本の意思として明確に伝えられるような国会決議に、持って行っていただければと思います。

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2023年2月 3日 (金)

過熱するJR東海vs.静岡県知事…「反リニア」のためなら嘘をつき続ける川勝知事と「腐った静岡県庁」の実態

Images-5_20230202161901  JR東海が建設を進めているリニア新幹線、これに通過地元県知事として「嘘」で固めた内容で様々な難題をふっかけ、障害となってきたのが川勝静岡県知事。その言動や発言内容に疑わしい部分があり、県内では様々な意見があるものの、川勝知事に県庁職員の多くは忖度して反論せずにいるようです。

 その概要をジャーナリストの小林一哉氏が現代ビジネスに寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『過熱するJR東海vs.静岡県知事…「反リニア」のためなら嘘をつき続ける川勝知事と「腐った静岡県庁」の実態』(2/02公開)です。

政府見解と「異なる意見」

静岡県の川勝平太知事の発言が単なる“勘違い”ではなく、「反リニア」に奔走するために平気で「嘘」をついていることがわかった。県職員たちは、知事の「嘘」をごまかすことに必死だ。常軌を逸する事態を招いた責任は「腐った県庁組織」にある。

川勝知事は2023年1月24日の会見で、退任する金子慎JR東海社長の評価を聞かれたのに対して、これまでのリニア問題の経緯を述べた最後に、現在、議論の焦点になっている東京電力の「田代ダム取水抑制案」を持ち出した。

「田代ダムは(山梨県)早川町に立地していることによって電源立地交付金が入ってくる。これが取水抑制によって、交付金が低くなる。それをJR東海から補償してもらうと(辻一幸・早川町長が)言われた。金子社長はそれに対応する形で、相応の負担を補償すると言われた」などと述べた。

続けて、「(補償をする)その途端に、結局(田代ダム取水抑制案)は目的外使用というか、水利権の問題に関わることになる」などと田代ダム取水抑制案が河川法の水利権に当たると従来通りの発言を繰り返したのだ。

この発言に、共同通信記者が「補償をしたとしても目的外使用に当たらないというのが(政府)見解だったのでは」とかみついた。

何度も説明しているのに

川勝知事は「取水抑制を東電がなさるのは自主判断でできるが、補償という金銭のやり取りがあることで、それが目的外使用になる。実際にそういうことがなければ違法でも何でもない」と金銭補償が発生すれば田代ダム取水抑制案は“違法”になると、勝手な解釈をして政府見解を否定してしまった。

2022年4月の県専門部会で、工事期間中(約10カ月間)に最大約500万立方メートルの水が山梨県に流出するのに対して、川勝知事から全量戻しを求められたJR東海は東京電力に田代ダムの取水を一時的に抑制してもらい、県外流出量分の取水をしないことを提案した。当然、東京電力の内諾を得ていた。

その直後の会見で、川勝知事は「JR東海は関係のない水利権に首を突っ込んでいる。水利権の約束を破るのはアホなこと、乱暴なこと」など強く反発した。

このため、JR東海は県専門部会で「田代ダム取水抑制案」が水利権にからまないことを詳しく何度も説明している。

さらに国土交通省の吉田誠参事官が、同案が水利権を規定する河川法に触れないことを政府見解として説明した。また電源立地交付金による地元への支援を定めた電源開発促進法などは河川法と全く無関係であることも明言した。

「検討の余地がある」

2022年8月の田代ダム現地視察に同行した辻町長が、JR東海に何らかの「補償」を求めると述べたのは事実だが、河川法上は全く問題ない。

田代ダム取水抑制案を東京電力に持ち掛けたのは辻町長であり、当然、水利権に触れないことを承知して「補償」を求める発言をしたのだ。つまり、川勝知事の自分勝手な解釈は、明らかな間違いである。

森貴志副知事は12月4日の県専門部会後の取材に、「田代ダム取水抑制案がJR東海の工事中の全量戻しに有効であると川勝知事も認識している」と答えた。違法が疑われるJR東海の提案を県専門部会で議論するはずもなく、「補償」などの疑問点について政府見解を得たから、事務方は正確に理解していた。

それにも関わらず、川勝知事は12月16日、27日の会見で「田代ダム取水抑制案は別の事柄、南アルプス工事と結びつくものではない」「田代ダム取水抑制案は全量戻しとは違う認識」などと森副知事の発言を“ちゃぶ台返し”した。

記者たちが強く反発、厳しく追及すると、川勝知事は田代ダム取水抑制案を「検討の余地がある」とその場を言い繕った。

ところが、2023年1月4日の年頭会見に続いて、1月24日の会見で、川勝知事は田代ダム取水抑制案が水利権にからむと明言。従来通り、田代ダム取水抑制案を否定してしまう。

「勘違い」はありえない

この期に及んで、川勝知事の発言が“勘違い”では済まされないだろう。川勝知事が「嘘つき」だという“本性”がはっきりと現れたのである。事務方が事前にちゃんと説明したはずだから、川勝知事が“勘違い”することはない。政府見解を頭に入れた上で、さまざまなごまかしや言い繕うことで、記者たちの前でも嘘をつき通したのだ。

2022年8月発刊した拙著『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太静岡県知事「命の水」の嘘』(飛鳥新社)は、リニア問題に対する川勝知事の唯一無二の論拠となってきた「静岡県民62万人の命の水を守る」が真っ赤な嘘であることを明らかにして、追及した。

12月県議会では2人の県会議員がこの問題を取り上げて、川勝知事の答弁を求めたが、知事は答弁に立たず、森副知事が「62万人の『命の水』とは、大井川広域水道だけでなく、各市町が使う自前の水も合わせた量だ」などと無責任な回答でごまかした。

それどころか、川勝知事は県庁東館2階に「命の水」の書を掲げて、いまでも「62万人の命の水を守る」を口にする。こんな「嘘」を平気でつくことができるのが川勝知事の“本性”なのだ。

14_20230202161001 幹部職員の「責任転嫁」

田代ダム取水抑制案でも「62万人の命の水を守る」発言と同様に、川勝知事は平気で同じ「嘘」をつき続けているだけに過ぎない。しかし、もっとひどいのは川勝知事に“真実”をつげない職員たちである。

1月24日の会見で、共同通信記者は、田代ダム取水抑制案に「補償」がからんだとしても水利権と関係ないことを正確に理解している事務方の説明を求めた。

しかし、担当の幹部職員である渡邉光喜参事は「国の参事官から譲渡に該当しない。譲渡は、有償無償は関係ないという発言があった。いま12月21日にJR東海にその辺の事実関係について質問書で意見を確認している」などと、質問の趣旨を外して訳の分からない回答でごまかした。

2022年8月の田代ダム視察に同行した辻町長。取水抑制案を提案、水利権に無関係の「補償」についても話した(静岡市、筆者撮影)

それで記者は「(事務方と)川勝知事の見解と同じなのか」と突っ込んだが、渡邉氏は「JR東海のいわゆるB案はまだ確定されたほうではない」などとごまかし続けた。

渡邉氏と言えば、12月27日の会見で、森副知事と食い違う知事発言に業を煮やしたテレビ静岡記者が、事務方の説明を求めた際にも対応した。

その際も渡邉氏は、やはり知事発言に触れるのを避けて、全く関係のない説明に終始、さらにJR東海への責任転嫁を始めた。このため、記者は「それでは森副知事が嘘をついているんですね。はっきりと録画も録音も残っている。そういう不誠実なことはやめたほうがいい」と厳しく迫った。

このため、川勝知事が代わり、「私は(森副知事と)見解がずれているとは思わない。残念ながら森副知事は東京へ出張しており、見解への説明は今できない」といつもの通りごまかした。

川勝知事の初歩的な「間違い」

たとえ「補償」があったとしても、渡邉氏が「田代ダム取水抑制案は水利権と無関係だ」と説明すれば話は簡単に済んだ。つまり、川勝知事の事実認識の誤りを指摘すればいいのだ。ところが、渡邉氏は知事の顔色をうかがい、今回も記者の質問をはぐらかすことに必死だった。渡邉氏は「反リニア」川勝知事のご機嫌を取る“腰巾着”だからなのだろう。

渡邉氏は2022年4月24日、反リニアを標榜する「『大井川の水を守る62万人運動』を推進する会」主催の会合に講師として出席、川勝知事のでっち上げた「命の水」の嘘をそのまま説明して、反リニアの住民を煽る役割に徹していた。

東海道線の「丹那トンネル」工事で新資料が発見されたとして、2021年10月26日の知事会見に出席、渡邉氏は丹那トンネルの湧水流出をリニア工事への懸念に結びつけて、事実を故意に歪めた上で、川勝知事の発言に沿った印象操作を行い、記者たちをあざむく世論誘導をした。

もし、渡邊氏が県職員としての本来の役割を果たすのならば、1月24日の会見で、まず、もっと基本的な知事発言の明らかな間違いをたださなければならなかった。

川勝知事は「田代ダムは早川町に立地している」と2度も述べる簡単な間違いをした。

電源立地交付金を受ける早川町に立地するのは、田代川第一発電所と第二発電所である。田代ダムが立地するのは静岡市であり、だから静岡県は毎年約3千万円の流水占用料を東京電力から徴収している。

偽計業務妨害罪の可能性も

そんな基本的な前提条件さえ理解できていないのに、川勝知事の水利権違反の発言が全く説得力もないことくらいわかるはずだ。当然、知事発言の間違いを承知しているはずの渡邉氏だが、共同通信記者の質問をごまかすことに必死だったのだろう。

同じ1月24日の会見で、川勝知事は岸田文雄総理大臣宛に送った意見書を読み上げた。その中で、風評被害を引き起こし、JR東海の経営を危機に陥れるほどの重大な誤りを犯した。経営上、最も重要な長期債務残高の数字を間違えたのだ。

川勝知事は、過去の会見でJR東海の長期債務残高を「6兆円」(実際は4・94兆円)とする間違いを連発していた。その結果、今回の総理宛意見書という重大な文書で決定的な間違いを犯しても、同席した渡邉氏をはじめ県職員は誰ひとり指摘しなかった。川勝知事の逆鱗に触れるのが怖いのか、それとも“腰巾着”かのいずれかだろう。

今回の間違いはJR東海の経営に関して、嘘の情報を流して業務を妨害する偽計業務妨害罪に問われてもおかしくない。その証拠となる意見書を受け取った岸田総理、経営上の重大な誤りを静岡県ホームページに公開されてしまったJR東海がどのように対応するのかまだわかっていない。

すべての原因は、川勝知事の“腰巾着”ばかりで固めた「腐った県庁組織」にある。

Images-3_20230202161401  川勝知事は何の為にこんな嘘をつきまくっているのでしょう。そしてそれが本当に県民の為になるのでしょうか。リニアの完成、つまり日本の鉄道技術の進行を遅らせ、それで何を得ようとしているのでしょうか。(まさかと思いますが、リニア先進国の中国への加担でしょうか)

 それとこの知事に何も言えず、ただ金魚の糞のようについて回り、その発言を擁護し続ける県の職員たちも、何と情けない存在でしょうか。この記事を読んでいると、県職員の知事への忖度が尋常ではない様子が窺えます。他の知事、例えば小池都知事や吉村府知事もそんな存在なのでしょうか。

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2023年2月 2日 (木)

「21世紀の戦国時代」防衛力強化だけでは不十分 日本は食料・エネルギーの備えも重大な課題

002808wide  防衛力、食料、エネルギー、どれが欠けてもその国の平和と安全は保てません。ところがこの日本ではこれまで、敗戦の廃墟の中から産業の発展を重視し、産業の作り出す加工製品を輸出することで、食料、エネルギーの輸入が可能となり、それらの弱点を凌いできました。防衛力は米国に頼ることによって。

 ところが産業競争力の衰退と共に、その生み出す付加価値は減少し、今や貿易赤字は日常化し、この先の不安を煽る形となっています。食料、エネルギーの買い負けも発生し始めています。また防衛力についてはようやく最近になって、国際安全保障環境の激変に伴い、政府も重い腰を上げその強化に乗り出したところです。

 防衛力はある意味、金をかければ何とかなるかも知れません。しかし食料やエネルギーはそうはいきません。そこに警鐘を鳴らしているのは国際投資アナリストの大原浩氏でzakzakに、以下のコラムを寄稿しています。タイトルは『「21世紀の戦国時代」防衛力強化だけでは不十分 日本は食料・エネルギーの備えも重大な課題』(1/23公開)で、以下に引用します。

ウクライナ戦争や台湾有事など、世界の安全保障環境が危機に直面している。国際投資アナリストの大原浩氏は、現状は20世紀の2つの世界大戦の間にあたる約100年前と共通点が多く、世界は再び「多極化」の時代に突入すると指摘する。緊急寄稿で大原氏は、21世紀の「戦国時代」において、日本は防衛力強化だけでなく、食料やエネルギーの備えも重大な課題だと警告する。

***********

戦争は望んで行うものではない。自らを守るための自衛権の行使が基本だ。そして「話し合いで解決できない相手」がこの世の中に必ず存在するのは紛れもない事実だ。

記憶に新しい安倍晋三元首相暗殺事件では、「話し合いで解決する」議員を選ぶ場である選挙の応援演説中、卑怯(ひきょう)にも放たれた銃弾によって、国民の信望を集める人物の尊い命が奪われた。

どのような国でも犯罪者がいることを前提に警察が存在する。そして、不幸なことに必ず犯罪者が現れる。

国際社会でも他国に害を成す国家が現れる。例えば現在、日本と正式な国交を持たない北朝鮮はどうであろうか。

安倍元首相が懸命に取り組んだ拉致被害者問題は、一向に解決の糸口が見えない。それどころか、北朝鮮は昨年、約70発のミサイルを発射したとされる。

北朝鮮は2003年に核拡散防止条約(NPT)から一方的に脱退し、05年に核兵器の保有宣言を行った。06年に核実験を行い「事実上の核保有国」となったが、「世界の警察」と称される米国をはじめ、どの国も止めることができなかった。

その結果、われわれは常に北朝鮮から飛来する核ミサイルの脅威におびえ続けなければならない。「自分の国は自分で守る」ことを真剣に思い起こすべきだ。

現在は、1914年から始まった第一次世界大戦後、あるいは39年開戦の第二次大戦前夜に似ている。第一次大戦までの世界の覇者は英国など欧州であり、世界秩序も彼らが保っていた。だが、第一次世界大戦以降「多極化」の時代に入った。

第二次大戦後に米ソ二極の時代へ突入し、91年のソ連崩壊以後は「米国一極時代」が続いたが、共産主義中国やインドなどの台頭により、それも終わりを告げつつある。つまりわれわれは、再び「多極化」の時代へと向っているということだ。

歴史を振り返れば、多極化の時代は、群雄割拠の「戦国時代」である。地政学リスクが高まるのは当然だ。後世において、「21世紀の戦国時代」の発端はウクライナ戦争とみなされるかもしれない。「台湾有事」の危険性も高まっている。

われわれが抱えているリスクはそれだけではない。世界的インフレが発展途上国の貧しい人々を追い詰めている。昨年7月には経済危機に瀕(ひん)したスリランカのラジャパクサ大統領が軍用輸送機でモルディブに逃亡し、政権が事実上崩壊した。12月にはガーナ政府が対外債務の一時支払い停止を表明し、事実上のデフォルトに陥った。

現在は「世界大乱の時代」に突入しており、いつどこで「地政学リスク」が爆発してもおかしくない。

そのような時代において、日本政府がまず行うべきは「国民の安全の確保」である。早急に防衛力を増強すべきなのはもちろんのこと、食料・エネルギー問題の解決も緊急課題だ。

食料についてはカロリーベースで38%、エネルギーではたったの10%程度という脆弱(ぜいじゃく)な自給率への対策も欠かせない。いくら武器があってもそれを動かすエネルギーがなく、それを取り扱う兵士や国民が飢えていては、戦いなどできるはずがない。

 食料はまず耕作放棄地を何とか耕地に変え、飼料用穀物でも大豆や小麦でも、とにかくできる限り栽培し、有効活用することです。そして農業を事業として成り立たせる為に、すべての農地を対象に積極的に法人にその所有を認め、硬直した兼業農家と農協の壁を破り、本当に農業をやりたい人に法人経営権を開放すべきでしょう。当然優秀な社員を雇用し生産性を上げることです。

 またエネルギーについては原発の再稼働が先ず第一。海水ウランの活用や、核燃料サイクルの確立を急ぐことでしょう。しかしエネルギーに関しては日本だけで自給できるようにするには、食料以上に困難が伴います。国会で重箱の隅をつつくような、つまらない議論を繰返すのはやめ、積極的に取り上げるべき重要課題だと思います。

 また、国の安全や存続の為に、もう一つ欠けてはならないのは人的パワーでしょう。今それに対する一番のリスクは少子化です。政府は今年になってようやく重要課題として位置づけました。この問題も上記3つの要素に加えて、避けて通れない課題だと思います。国を挙げて取り組むべき時でしょう。

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2023年2月 1日 (水)

「福島の除去土壌は危ない!」と煽り立てる言説が、深刻な風評加害となる「5つの理由」 原発処理水風評加害と同根

12_20230130152701  原発事故を起こした福島原発の処理水の海洋放出が迫ってきました。これに関しては中国や韓国に加えて、国内からも反日メディアや反原発団体、地元漁業関係者の批判が渦巻いています。ただ科学的に見れば、全く害のないレベルまで処理され、中韓の処理水より汚染レベルは低いと言います。つまり科学的根拠のない感情論と反日プロパガンダのなせる技と言えるでしょう。

 これと似た状況が福島の土壌に関しても見られます。フリーランスライターの林智裕氏が現代ビジネスに寄稿したコラムがそれを取り上げています。タイトルは『「福島の除去土壌は危ない!」と煽り立てる言説が、深刻な“風評加害”となる「5つの理由」 情報災害との新たな闘い』(1/27公開)で、以下に引用します。

事実誤認に基づく「汚染土」呼ばわり

<「新宿御苑に来ています。汚染度(※原文ママ。後に本人が別記で「汚染土」と訂正)を新宿御苑の花壇に埋めると言う実証実験をやることに反対をしています。」

「新宿御苑の花壇に汚染土を使うということの住民説明会があるというので新宿門へ。(中略)まだ多くの人に知られていません。新宿御苑は保育園児をはじめ子どもも大人も全国から世界から人々が集うところ。汚染土の拡散、再利用に反対です」>

社民党党首の福島瑞穂議員は2022年12月21日から翌22日にかけ、ツイッターで相次いで発信した。これは、環境省が東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で出た土壌を、所管の新宿御苑(東京都新宿区)内の花壇で再利用する実証事業計画に対する動きだ。

環境省は新宿御苑の他、環境調査研修所(埼玉県所沢市)、国立環境研究所(茨城県つくば市)でも同時に実証事業を行う。

しかし、福島議員の主張は深刻な事実誤認に基づいている。持ち込まれるのは除去土壌に再生処理を施した「処理土」と言えるものであり、断じて「汚染土」ではない。そして当然ながら、被曝による健康リスクをもたらすことも無い。

除去土壌の基準値(8000Bq/kg以下)は作業者が年1000時間扱う想定でも年間追加被曝線量が1mSv以下になるよう逆算して設定されており、相当に安全と言える。

さらに、実際に使われる土の線量は基準値上限より遥かに低いものばかりである上、追加で覆土処置まで行う。環境への影響など起こり得るはずもない。

同議員の発信に対しては、以下のような厳しい批判が殺到しているが、これまで謝罪や撤回は見られていない。

・「科学的知見ではなく感情論」

・「偏見を広めるような真似、国会議員がやることか???」

・「何時まで東北震災の風評被害を広め続けるつもりなのか」

・「差別主義者」

・「処理した土の上を50cmも覆土したら何も起きませんよ。事故前だって8000Bq/kgのものは建設資材などに利用可能だった」

・「今まで首都圏に電力を送り続けてきた福島の負担を応分に負担しようという気は無いのか」

また、東京新聞や共産党の機関紙「しんぶん赤旗」も、それぞれ『汚染土の再利用 拙速な進め方に住民から怒りの声 県外搬出がなぜ必要か、疑問解消せず』(12月18日)『新宿御苑での「汚染土」再利用 笠井氏「強行許されぬ」』(12月18日)などと、「汚染土」呼ばわりとともに実証実験反対を強調している。

東京新聞は、それ以前の12月10日にも『原発事故の除染土「後始末が家の目の前で…」 新宿御苑、所沢、つくばで福島県外再利用の計画浮上』という記事中で、「汚染拡散につながる再利用を安易に進めていいのか」などと書いていた。

執拗な「汚染」呼ばわりの何が問題か

こうした「汚染」呼ばわりと反対運動の何が問題なのか。そこには5つの理由がある。

1)民主党政権下の決定に基づいた執行に過ぎない

2)すでに先行利用実績が多数あり、何ら問題も出ていない

3)被災地の声を踏み躙り、更なる被害を強いる

4)「汚染」呼ばわりこそが健康被害をもたらす凶器となり得る

5)「風評加害」のツケは、全て被災地と一般国民が支払わされる

1.民主党政権下の決定に基づいた執行に過ぎない

前述のように、これらの処理土には何ら健康リスクなど生じない。一方で、たとえ「汚染土」でなかったとしても、除染で一旦除去された土を敢えて使うことに疑問を感じる方も少なくないだろう。何故、減容化と福島県外での再生利用が必要なのか。最初に、背景を3点挙げておく。

・福島での除染目標は、健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することはもちろん、「一刻も早い住民の安心確保」も重視された。そのため、避難指示対象地域に比べ相対的にリスクが低いとみなされる地域まで除染対象となった。結果、除去土壌の性質には大きなグラデーションが生じている。県内各地から中間貯蔵施設に運ばれた大量の除去土壌のうち実に7割以上は一般土壌とほぼ変わらないと言えるのが実情。

・中間貯蔵・環境安全事業株式会社法によって、除染等の措置に伴い生じた土壌等については「中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」ことが国の責務として明記されている。つまり除去土壌の処分責任は全て福島県外にあり、時限も伴う。「そのまま福島に置いておけ」は不可能。

・まとまった土壌は本来的には有用な資源にもなり得る。土木工事などに利用される他、肥沃な農地から剥ぎ取った土には有効活用の途もある。適切な再生利用は国民の利益となる一方、仮にこれら全てを廃棄物扱いとして管理した場合、逆に莫大な税金負担と広大な土地が「福島県外で」必要になる。

なお、これら一連の流れは2011年に民主党政権下で決定された法を忠実に執行しているに過ぎない。

《放射性物質汚染対処特別措置法》(菅直人政権下の8月30日に公布、翌2012年1月1日から全面施行)でも、除去土壌について「技術の進展を踏まえつつ、保管又は処分の際に可能な限り減容化を図るとともに、減容化の結果分離されたもの等、汚染の程度が低い除去土壌について、安全性を確保しつつ、再生利用等を検討する必要がある」と示された上、「再生利用先の創出等に関し、関係省庁が連携して取組を進めることや、政府一体となって除去土壌等の減容・再生利用等に取り組むこと」とされている。

処理土の減容化と再生利用は、本来であれば当時政策を決定した旧民主党関係者を中心とした政治家が責任を持って国民に理解を求めるべき政策といえる(自民党に移った細野豪志議員だけは、今も尽力し続けている様子が頻繁に確認できる)。

かつて民主党と連立政権を組んだり、昨今では後継政党(立憲民主党)と選挙協力までしている社民党や共産党が今更になって強硬に反対するのは、お門違いではないか。

2.すでに先行利用実績が多数あり、何ら問題も出ていない

こうした「汚染」呼ばわりの反対運動には、「お前が(使えるものなら)使ってみろ」の声が必ず出てくる。福島県産食品やALPS処理水、避難解除でも事あるごとに「喰ってみろ、飲んでみろ、住んでみろ」は繰り返された。

しかし、すでに処理土は福島県内の飯舘村長泥地区で農地造成の実証事業などに取り組んでいる他、総理大臣官邸、各省庁と大臣室、自民党本部や公明党本部などにも多数の先行利用実績がある。

仮に被曝して危ない「汚染土」だというならば首相や大臣達にこそ真っ先に被害が及んでいるはずだが、当然ながら何も起こっていない。

《除去土壌を用いた鉢植えの設置状況》

(2022年12月時点)

環境省本省

大臣室、副大臣室、政務官室、中央合同庁舎5号館1階(プランター)

関東地方環境事務所

東北地方環境事務所

環境調査研修所

新宿御苑

国立環境研究所

総理大臣官邸

復興庁

自民党本部

公明党本部

総務省

外務省

防衛省

文部科学省

経済産業省

国土交通省

なお、これらの行政機関では食事にも以前から福島県産食品が積極的かつ日常的に用いられ続けてきた。

さらに、故安倍元総理は福島を何度も訪れ、その度に魚介類、米、野菜、桃、あんぽ柿などの特産品を食べては笑顔で「ジューシー」と繰り返してきた。後任の首相たちもこの方針を受け継いでいる。非科学的な「汚染」呼ばわりを未だ繰り返す勢力とは、あまりにも対極的と言えるだろう。

3.被災地の声を踏み躙り、更なる被害を強いる

除去土壌について、被災地からは早急な減容化と再生利用が求められている。

中間貯蔵施設が立地する大熊町と双葉町は「正確な事実を知り、県外最終処分に向けて具体的なことを進めてほしい」と繰り返し発信し、政府への要望を重ねてきた事実がある。

また、福島県内最多部数の地元紙「福島民報」も12月15日付の論説で、「【除染土再利用】3カ所では足りない」「県内外での実証事業の拡充は不可欠と言えるだろう」と書いている。

ところが一部の県外政治家やメディアは、こうした当事者の声を完全無視している。それどころか、まるで嘲笑うかのように処理土への不要な不安や忌避感情ばかりを煽り続ける。福島は長年、それらがもたらす誤解と風評にこそ苦しめられてきたにもかかわらずだ。

「放射能がうつる」などと差別されたことがあった。「福島県民お断り」が話題になったこともある。最新の環境省調査でさえ、子孫に遺伝的な影響が起こる可能性があると誤解している人が全国で約4割に上ることが判っている。根付いてしまった偏見差別は深刻と言えるだろう。

執拗な「汚染」呼ばわりはこれらを助長する「被災地いじめ」であり、悪質な人権侵害と復興の妨害に他ならない。「科学的事実も当事者さえも踏み躙り、被災地に更なる不利益を強いて復興を妨害する」彼らは、断じて「弱者の代弁者」などではない。

4.「汚染」呼ばわりこそが健康被害をもたらす凶器となり得る

<「知らないうちに殺されるのと一緒だ。すでに放射能を撒き散らされ、被ばくさせられている上に、だ。それも政府によって!」>

2020年度・2021年度に全国フェミニスト議員連盟の共同代表を務めた増田かおる松戸市議は2018年12月、処理土再利用に向けてこのような発信をしていた。

被災地は東電原発事故後から、これに類した事実無根かつセンセーショナルな言説を幾度となくぶつけられてきた。しかし今や、こうした言説こそが当事者に被曝以上の健康被害をもたらすリスクが複数の国際研究から明らかにされている。

そもそも東電原発事故では、住民が健康被害を起こす量の被曝をしたケースは見られていない。国連科学委員会(UNSCEAR)も、「健康影響について、今後検出可能なレベルで増加することは予想されない」とした上で、「心理的・精神的な影響が最も重要だと考えられる」と結論付けている。

ただし、この「心理的・精神的な影響」こそが深刻なリスクとなる。

たとえば2006年に世界保健機関(WHO)から出された報告書では、1986年に起こったチョルノービリでの原発事故における健康被害の総括として、「メンタルヘルスへの衝撃は、チョルノービリ原発事故で引き起こされた、最も大きな地域保健の問題である」と結論付けた。

福島と違い住民に特異な被曝があったチョルノービリでさえ、強い不安や恐怖こそが被曝以上に健康への脅威をもたらしたというのだ。その他の異なる研究でも、「高い健康不安」が心疾患発症や死亡率を上げることが指摘されている。

それらの知見を踏まえた上で、「東電原発事故では被曝そのものでの健康被害は起こらなかった。しかし被曝以外の要因で健康被害と震災関連死が多発し、特に福島は被災県の中でも突出した」現実の意味を、風評が人々の健康にもたらすリスクを、社会は知る必要がある。「念のため」「当事者を心配して」など何の言い訳にもならない。

まして、科学的事実ばかりか当事者さえ無視して繰り返された執拗な「汚染」呼ばわり、社会不安や恐怖の煽動など「加害」以外の何物でもあるまい。

5.「風評加害」のツケは、全て被災地と一般国民が支払わされる

処理土を「汚染土」呼ばわりする勢力はこれまで、安全性が確保されている「ALPS処理水」にも同様の非科学的な「汚染水」呼ばわりを繰り返してきた。そのたびに当事者から激しい非難や反論を浴びたが、公式の謝罪や訂正は見られない。

たとえば2021年の衆議院議員選挙期間中も、共産党は執拗な「汚染水」呼ばわりを各地で展開していた。それらに寄せられた多数の苦情と抗議に対し、立憲民主党・共産党・社民党・れいわ新選組などの野党統一候補として出馬した公認候補者は以下のように返信した。

〈「処理水と呼べ」というみなさんに猛烈にお集まり頂いていますが、政府がALPS処理水の定義をそっと変更したことで決着済みの議論ですのでお付き合いは遠慮し、このコピペで対応します。

「現状、処理水と呼べるものはない」「真っ当に処理したかどうか発表する東電を県民は信用していない」以上です。〉

野党統一候補が言うALPS処理水の定義変更とは、「トリチウム以外の放射性物質を規制基準以下まで浄化処理した水」のみを指すよう、むしろ厳格化されたに過ぎない。それの一体何が問題なのか?

さらに客観的なデータすら無きまま「東電を信用していない」との主観だけで「処理水と呼べるものはない」などと難癖を付けているが、これでは冤罪でっち上げや陰謀論の類とさえ言えるだろう。

今やALPS処理水の安全性と海洋放出の妥当性は、IAEAの査察(スタッフには処理水放出に強固に反対している中国、韓国、ロシア出身の研究者も含まれたが、全く問題とされなかった)でさらに強化されている。つまり野党統一候補の主張は不当かつ非科学的だが、野党各党から公式の謝罪や訂正は一切無いままだ。

それどころか2023年1月13日、今年になってもなお、共産党の山添拓参議院議員は執拗な「汚染」呼ばわりを繰り返す。

〈 福島第一原発の汚染水海洋放出、「春から夏ごろを見込む」と政府。国も東電も、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とした約束を投げ捨て、汚染水を増やさないための抜本対策もとろうとせず、海洋放出ありき。「丁寧に説明」というばかりで、聞く耳持たず。〉

説明どころか、科学的事実や当事者の激しい抗議すら「聞く耳持たず」は一体どちらか。

そもそも汚染無きものを「汚染」呼ばわりして拒否を呼びかける行為は、言うならば献血に対し「穢れるから〇×の血は入れるな!」などと叫ぶに等しい。

「事故を起こした原発由来のものを同じ扱いするな」というのも、いかに優秀な成績だろうと「(特定の)出身地/人種/国籍/家柄/社会階級/性別/病歴etc...の人間を同じ扱いするな!」と変わらない。これが福島にぶつけられてきた風評、未だに続く「汚染」呼ばわりの本質といえる。

しかし現実には、これに類した言動が少なくない政党や政治家、大手マスメディア、著名人、インフルエンサーなどの間で執拗に繰り返されてきたのだ。

なお、ALPS処理水への「汚染水」呼ばわりについては、ツイッターやメディアで発信していた具体的な人物や組織について、下記のサイトで統計も取られている。

【汚染水が海洋放出されるとツイートする認証アカウント】

【汚染水が海洋放出されるとツイートする影響のあるアカウント】

【処理水を汚染水と呼ぶ新聞はどこ?】

(「晴川雨読」より)

こうした不当な「汚染」呼ばわりは典型例だが、「事実に反した流言蜚語を広めたり、明らかになっている知見を無視したり、既に終わった議論を蒸し返したり、不適切な因果関係をほのめかす印象操作や不安の煽動、正確な情報の伝達妨害」(これら風評被害を故意にもたらす行為を、昨今は「風評加害」と呼ぶ動きが広がっている)によって、日本社会はこれまで幾度と無く混乱と停滞に陥った。

莫大なコストや時間、リソースを空費させられ、その代償と不利益は全て我々一般国民が一方的に支払わされてきた。

現にALPS処理水関連では、すでに設置されていた300億円の風評対策基金に加え、昨年11月には追加で500億円が新たに必要になった。当然ながら、これらは全て我々の税金や電気代から間接的に賄われると思っていい。

・『新基金「300億円超に」 経産相、原発処理水巡り』(日本経済新聞 2022年10月30日)

・『原発処理水を「汚染水」と呼ぶのは誰のためか…?「風評加害」を繰り返す日本の「異常なジャーナリズム」に抗議する』(現代ビジネス 2022.12.12)

しかし、東電原発事故に関した一連の「風評加害」には、たとえ政党や政治家、メディア、著名人が加担しても、社会や報道からはスキャンダル扱いすらされず、責任を問われることもなかった。むしろ、それらが「実績」のように扱われて利益を手に入れた者さえいる。

そうした現状に対し、「風評対策コストは税金での補填のみならず、風評加害者にこそ責任を問い請求するべきだ」との論もいくつか見られるものの、そもそも「風評加害」の被害と構図がほぼ報道されず広く知られていない以上、世論では大きな流れには至っていない。

あと何回、同じ構図が繰り返されるのか

今回問題となった「除去土壌」を巡っても、こうした構図が繰り返されている。付言すれば、これは東京都の豊洲新市場移転問題からも繋がっている。実際に、少し調べただけでも「汚染」呼ばわりを繰り返す顔ぶれが驚くほど重複していることが判るはずだ。

それを裏付けるように、処理土に対する動きも活発化し始めた。このままでは処理土問題でも豊洲やALPS処理水と同様、一般国民と被災地が「風評加害」の代償を全て一方的に支払わされる羽目になるだろう。

昨年末の12月30日には共産党の沢田あゆみ新宿区議会議員がツイッターで、#原発事故 #汚染土 #実証事業 #山添拓参議院議員 #吉良よし子参議院議員 #笠井あきら衆議院議員 などのタグをつけながら「放射能汚染された土を新宿御苑に持ち込み」と発信した。

この発信に対し、当事者の代表とも言える福島県議会の渡辺康平議員が「典型的な風評加害です。中間貯蔵施設の除染土は汚染土ではありません」と抗議しているが、無視され続けている。

年明け1月7日には「放射能汚染土持ち込みをめぐる学習会&準備会」なる会合が催されたが、ツイッターでは共産党の藤原たけき新宿区議会議員が「#新宿御苑 への放射線 #汚染土持ち込み についての学習会のご案内」と発信し、同じく共産党の高月まな新宿区議会議員も「汚染土壌が持ち込まれる」などと書かれたチラシの画像を拡散させた。

さらに、一部の学者も共産党と足並みを揃えた。政治学者で高千穂大学の五野井郁夫教授も「学習会」に参加し、「新宿御苑に放射能汚染土を行政が持ち込もうとしている事案」などと訴えている。

共産党は、所沢市でも1月9日同党の城下のり子所沢市議会議員が「福島の汚染土搬入中止!️」と発信した。

さらに1月17日には、またしても東京新聞が『所沢で汚染土再利用計画 中止求め署名活動 市民ら29日には勉強会』などと報じた。

しかし所沢市と言えば、平成11年2月1日に「野菜が高濃度のダイオキシンに汚染されている」などとテレビ朝日「ニュースステーション」(当時)が報じたことで、深刻な風評被害に苦しんだ土地である(なお、この問題では生産者がテレビ朝日を相手に裁判を起こし、最終的にテレビ朝日側が謝罪の上で和解金1000万円を支払う結果となった)。

他ならぬ所沢市の議員が、汚染無き土壌を「汚染」呼ばわりするのか!

『所沢ダイオキシン裁判「和解」 和解金1000万円全額を三宅島と所沢市に寄付』(農業協同組合新聞 2004.6.17)

東京新聞は1月13日の記事でまたしてもこの話題に触れ、「除染作業で集めた汚染土、いわゆる『除染土』を首都圏で再利用する実証事業」などと書いた。

記事では複数の人物の口を借りながら「科学的に安全とは言い切れない」「福島県外の除染土の現地処理は、時の内閣が閣議決定した方針にすぎない」「再利用は法的根拠が薄く」「丁寧な議論を重ねるべきだ」と続けた上で、「各地に汚染土の受け入れを迫る構図」などと締めた。

いずれも何ら正当性の裏付け無き主観に過ぎない上、報道機関が率先して「汚染」呼ばわりを執拗に繰り返している。まるで、前述した所沢のダイオキシン騒動の再現を見るかのようではないか。

『原発事故の除染土再利用は「人ごとじゃない」 東電と意外な縁のある新宿の住民らが立ち上がった』(東京新聞 2023年1月13日)

我々社会は、これらに対抗するためにどうするべきか?

1月14日、政府はALPS処理水海洋放出決定を改めて伝えた際、「風評対策の徹底に万全を期す」とした上で、「丁寧な説明を尽くしていく」と強調した。

しかし、これまで散々示してきたように、12年近くも「汚染」との印象操作を繰り返してきた勢力が、いまさら科学的事実や当事者からの抗議に耳を傾けることは有り得ない。真に求められるのは、「丁寧な説明」以上に強硬な「風評加害」対策と言えるだろう。

現に、このニュースを報じたNHK福島でさえ、わざわざ「放射性物質含む処理水」などと報じている。これでは誤解や偏見、風評が払拭に向かうはずもない。

海外メディアであるBBCも、「Japan to release radioactive water into sea this year(日本、今年中に放射能汚染水を海洋放出へ)」などと書いた。

これらに抗議の一つすらせず、またしても広められた誤解と偏見に訂正も出来ないならば、「風評対策の徹底に万全を期す」との約束は、あまりにも空虚だ。

 共産党や社民党などの左派政党、そして東京新聞のような左翼メディアは、中国や北朝鮮の政治的発言・プロパガンダと同様に、科学的根拠を全く無視し、また捏造し繰返し繰返し、風評加害をまき散らしている実態が見て取れます。

 それと同時にその風評加害対策を行うべき、政府や自治体の対策の貧困さもまた目につきます。これは中国や韓国の捏造歴史による日本への誹謗中傷に、「遺憾砲」以外何も対応していない政府、外務省の腰砕け対応と同じ構造でしょう。

 何故日本がこのような内外からの不当な攻撃に弱いのか、そこをしっかり検証しなければ、今後ともこのような攻撃は消え去らないどころか、手を変え品を変え続けられると思います。

 もう今や日本は豊かな国ではありません、不当な攻撃に後ろ向きの金をつぎ込む余裕はないはずです。早急に「風評加害」対策を打ち立てると同時に、攻撃の主体の共産党を非合法にする、それが出来なければ「共産党の悪質攻撃から日本を守る会」を、共産党以外の超党派で作ることを願いますね。

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