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2023年3月

2023年3月31日 (金)

「フェミニスト」上野千鶴子氏が入籍していた事実に唖然! 飯山陽氏が語る「おひとりさま」を裏切る偽善者

Images-17_20230330111901  岸田政権が日本の重要課題と位置づける「少子化問題」。その一因に「結婚しない男女」の問題があります。(以前このブログで櫻井よし子氏の警鐘文を取り上げました)。その風潮を助長しているのが所謂「フェミニスト」思想、そしてその代表格のような人物が社会学者の上野千鶴子氏です。

 このブログでも取り上げましたが、東大の名誉教授でもある彼女は2019年度の東京大学卒業式で、左翼思想満載の祝辞を述べたことで、そのマルクス主義的思想の片鱗を遺憾なく発揮していました。

 その上野氏は「おひとりさま」の教祖とも呼ばれています。ところが先月末週刊文春が上野氏が入籍していた記事を公開しました。それをうけて、イスラム思想研究者の飯山陽氏が月刊hanadaに寄稿した記事を紹介します。タイトルは『偽善者に騙されるな 「おひとりさま」を裏切る偽善者』で、以下に引用して掲載します。

結婚しない人が増えている。

2022年6月に内閣府から発表された 『少子化社会対策白書』によると、「生涯未婚率」は年々増加しており、1970年には男性1.7%、女性3.3%だったのに対して、2020年には男性28.3%、女性17.8%となった。生涯未婚率とは、五十歳になった時点で一度も結婚したことがない人の割合である。

「生涯未婚者」や「非婚者」という言葉には、どこか寂しい印象がつきまとう。最期には孤独死をむかえて無縁仏となる、という負のイメージとも重なりやすい。これに「おひとりさま」という新しい名称を与え、その印象をポジティブに変えようとした人物がいる。東京大学名誉教授で、フェミニストとしても名高い上野千鶴子氏だ。

2007年に出版された「おひとりさまの老後」(法研)に始まる上野氏の「おひとりさま」シリーズ本は、累計128万部を売り上げたベストセラーだ。2021年発売の「在宅ひとり死のススメ』(文春新書)で上野氏は、「わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしていま現在七十二歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、ひとり静かに死んで。ある日、亡くなっているのを発見されたら、それを「孤独死」とは、呼ばれたくない。それが本書の執筆動機です」と述べている。

著者の上野氏も非婚だ、というのがこのシリーズの前提である。彼女は自ら「負け犬」を名乗り、卑下してみせるリップサービスも忘れない。私もあなたたちと同じなんだと、仲間意識を喚起する。

ショッピングサイト・アマゾンには、当該シリーズ本について「独りで生き抜く勇気をもらいました。自分に強く生き抜くって大変だけど、素敵だとおもいました」とか、「私も一人だけど、やっぱり幸せです」「この本は、生きるための道標(戦略本)になると思います」「私はお一人様ですが、とても参考になり、友達にも勧めてます!!」といったレビューが多数寄せられ、軒並み高評価がつけられている。

上野氏は間違いなく非婚者の星であり、ロールモデルだった。「その道」で最も稼いだ人物の一人でもあろう。

見事な言行不一致

ところが二月末、『週刊文春』が「”おひとりさまの教祖〟上野千鶴子が入籍していた」という記事を出した。実は、上野氏は「負け犬」ではなかったのだ。

ある男性と二十年以上前から恋愛関係を続け、結婚か養子縁組かは不明だが入籍し、相続もしていたと報じられている。相手の男性は二年前に亡くなったが、晩年に生活を支え最期を看取ったのは上野氏で、火葬の際には「本当に憔悴していた」という。

これはおかしい。これではまるで、仲睦まじい夫婦そのものではないか。

上野氏は自らが非婚派だっただけでなく、結婚という制度自体を強固に否定し、いかに結婚が誤った制度であるかについて、社会に対し声高に訴えてきた。

2016年9月には『東洋経済』で、結婚について「自分の身体の性的使用権を、特定の唯一の異性に、生涯にわたって、排他的に譲渡する契約のこと」と定義している。これはマルクスの盟友エンゲルスが、一夫一婦制によって女性は男性の奴隷及び子供を生産する道具となった、と述べたことを彷彿とさせる。上野氏は自ら「マルクス主義的フェミニスト」を名乗って憚らない。

2020年4月には『週刊金曜日』で、「結婚という法制度自体がイヤ」「自分のセックスの相手をお国に登録する意味は、まったく認められません」とも述べている。

ところが、彼女は入籍していた。言行不一致も、ここまでくれば見事なものだ。

いや、感心している場合ではない。彼女に影響を受け、結婚や出産のタイミングを逃した人は少なからず存在するだろう。1976年生まれの筆者も、女は自立しろ、男に頼るな、結婚も出産も自由を失うだけだ、そんなものをするのは愚かな女だけだ、と言われて育った。女の子は「私は一生、結婚なんてしない。 職業を持ち一人で自立して生きていく」と宣言することこそが正しい、と教わってきた。上野氏は間違いなく、そうした社会の風潮を先導していた一人だ。

京都精華大学人文学部教授から1993年には東大文学部の助教授となり、1995年には東大大学院の教授となった。論壇でもメディアでもフェミニズムの旗手として脚光を浴び、世に非婚やおひとりさまなどをススメてきた。上野千鶴子は、男に依存せず自立していて、意気軒昂で知的で、なおかつ社会的地位も名誉もある、新しい時代の女性の理想像を体現していたはずだった。

彼女の活躍と連動するように、日本の生涯未婚率は上昇し、少子高齢化も進んだ。 上野氏のイデオロギーや活動が、わが国における非婚者の増加や少子高齢化に多少なりとも「貢献」した可能性を勘ぐるのは、筆者だけではあるまい。

結婚するかしないか、子供を産むか産まないか。重大な局面でこうした選択を迫られた女性が、上野氏の主張や、彼女が牽引してきた「フェミニズム」的な思想や生き方に影響を受け、非婚や子供を産まないほうへ背中を押された事例は少なくなかろう。夫にも子供にも縛られず、自由にのびのびと、しかも日本の最高学府の教授として活躍する彼女の姿に自身を重ね、こんな生き方もいいなとか、私もこうありたいと思った女性や、非婚という自分の選択は正しかったと自己肯定したり、結婚や子育てに自由を奪われ翻弄される主婦に対して、敗北感ではなく優越感を感じたりした女性もいただろう。

おひとりさまとは言っても、生涯未婚者と、連れ合いに先立たれてひとりになるのとでは全く違う。

前者だったはずの上野氏は、実は後者だったわけだ。彼女には、自分には愛し愛された家族がいたという記憶が残っているだろう。愛した人と過ごした年月と思い出に加え、財産まで受け継いでいる。彼女は、いまは物理的にはおひとりさまかもしれないが、心のなかは温かいもので満たされているはずだ。それらのすべては、生涯未婚者には限りなく縁遠い。

「私は弱者の味方」という嘘

家族というのは、長い歴史のなかで、無数の人間たちが子孫を生み育てるだけでなく、自らの心の拠り所ともしてきた共同体だ。しかし上野氏をはじめとする現代の社会学者は、家族は人間一人ひとりの「居場所」にして愛情と幸福の源である、という理念を「幻想」だと否定してきた。現代社会学は家族というものを、個人を縛り付け、自由を奪う監獄のようなイメージで捉える。その家族から脱却すること、あるいは家族を作らない、結婚しないことが、新しい、正しい生き方だと喧伝されてきた先に、いまの日本がある。

ところが、当の上野氏自身は、他人に対しては非婚やおひとりさまを勧めつつ、自らはちゃっかり伴侶を得て家族を築いていた。

不特定多数の人を孤独な人生へと導いておいて、自らは温かい幸せに包まれていた。

これほど偽善に満ちた裏切りは、そうはあるまい。

彼女は「平等に貧しくなろう」と「脱成長」を訴えているが、自身は東京都武蔵野市のタワーマンションの上層階を購入して居住し、愛車はBMWで、八ヶ岳の別荘も「相続」している。

上野氏が「お前たちはせいぜい平等に貧しく暮らせ」と仰せなのは、自身がすでに十分に「成長」し、美味しい思いをしてきたからであろう。我々一般庶民は、そこまで侮られているのだ。

彼女の言行不一致は著しく、自分だけは特別だという特権意識は「平等」という彼女の掲げる崇高な理想とはあまりにかけ離れている。

筆者は生涯未婚を否定しない。結婚したくない人もいるだろうし、したくてもできなかったという人もいるだろう。しかし、生涯未婚率上昇の背景に、結婚を否定し、非婚こそ是だ、それこそ進歩的女性のあるべき姿だ、というイデオロギーを吹聴してきた上野氏のような左翼活動家がいたこと、小学校から中学校、高校でも、そして大学という高等教育の場でも、メディアでも、それが肯定されてきたことは確認しておく必要がある。

「私はあなたたち弱者の味方だ」と言う活動家の甘言に騙されてはならない。よく見れば、彼らが弱者などではなく特権を持つ強者だということがわかるはずだ。

 共産主義思想の持ち主は多くは上野氏と同様、平等とは裏腹の特権意識を持つ人が多いと思いますね。その代表例が中国共産党員であり、日本でも日本共産党のトップ層です。

 またテレビの反日コメンテーターにも「我々庶民」といいながら、都心に邸宅を構えている御仁も多いと思います。所謂言行不一致の人間はごまんといるのが現実でしょう。

 特にこの上野氏の言行不一致は罪が重い。自身がマルクス主義にかぶれたからと言って、結婚まで「国家に登録する」耐えがたい行為のように考える様は、まさにマルクス主義に洗脳され、抜け出せない人間の「わめき」のように聞こえます。いずれにしろ「化けの皮」が剥がれた彼女の今後が注目されます。

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2023年3月30日 (木)

長谷川幸洋氏:プーチンが「極悪非道」を尽くしても、世界にまだ「親ロシア国」が少なくない理由 鍵を握る「グローバル・サウス」

33_20230328105901  ロシアのウクライナ侵略戦争はウクライナの抵抗により、すでに2年目に入り、春からのウクライナによる反転攻勢が予定されています。それに呼応するようにスロバキアやポーランドから戦闘機が供与され始め、ドイツからも戦車レオパルド2が到着したようです。

 そうした中でロシア側としても、兵士の増員などの対応が取られようとしていますが、新たにベラルーシへ戦術核を配備というニュースが飛び込んできました。ウクライナへの侵略行為や核の脅しを続けるロシアに、欧米などがウクライナ支援やロシアの経済制裁を強化していますが、一方で未だにロシア側につく国も多く有ります。

 この蛮行を続けるロシアを何故非難せず、あるいは裏で支える国が多いのか、ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、現代ビジネスに寄稿した記事を参照しましょう。タイトルは『プーチンが「極悪非道」を尽くしても、世界にまだ「親ロシア国」が少なくない理由 鍵を握る「グローバル・サウス」』(3/10公開)で、以下に引用します。

世界情勢を左右する「グローバル・サウス」

「ウクライナ戦争後の世界」は、どうなるのか。欧米では「自由主義と専制主義の陣営に分裂する」という見方が多い。だが、そう単純ではないかもしれない。「グローバル・サウス」と呼ばれる新興・途上国が両者の間に立って、揺れ動く事態の鍵を握る可能性がある。

「グローバル・サウスが鍵を握る」という見方は、ウクライナ戦争の長期化に伴って、急速に強まっている。1月にスイスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)や、2月にドイツで開かれた安全保障会議でも、大きな焦点になった。

ロシアによるウクライナ侵略戦争は、自由主義の欧米をウクライナ支援で結束させた。「ロシアに懲罰を与えなかったら、別の侵略者に『オレたちもできる』というメッセージを与えてしまう」(アントニー・ブリンケン米国務長官)という危機感からだ。一方で、専制主義のロシアと中国、北朝鮮なども連携を強めている。では、両陣営に属さない「その他の国」はどうなるのか。これが「グローバル・サウス」だ。

欧州のシンクタンク、欧州外交問題評議会(ECFR)は2月22日、興味深い世論調査の結果を発表した。それによると、グローバル・サウスの代表国であるインドやトルコは「問題ごとに自国の国益に照らして行動し、両陣営に縛られない」というのだ。

ECFRは昨年12月からことし1月にかけて、米欧と中国、ロシア、インド、トルコなど計15カ国で調査を実施し、約2万人から意見を聞いた。

ウクライナ戦争については、インド(54%)とトルコ(48%)で「ウクライナが一定の領土をロシアに譲っても、早期に停戦すべきだ」という回答が多数を占めた。同じ答えが少数にとどまった欧州9カ国(30%)や英国(22%)、米国(21%)とは対照的だ。欧州9カ国(38%)や英国(44%)、米国(34%)では「たとえ戦争が長引いても、ウクライナはすべての領土を取り戻す必要がある」という回答が多数を占めている。

インドが「親ロシア」な理由

各国はロシアという国を、どう位置付けているのか。

インド(80%)や中国(79%)、トルコ(69%)は「ロシアを利害や価値を共有する同盟国」ないし「戦略的に協力しなければならない不可欠のパートナー」とみている。これに対して、米国(71%)、欧州9カ国(66%)、英国(77%)は「戦っている敵国」ないし「競争しなければならないライバル」と認識している。真逆と言ってもいい。

中国は当然としても、インドやトルコでは、ロシアを「仲間」とみている人が多数派なのだ。とくに、インドの80%という高さには驚かされる。インドは米国、オーストラリア、日本とともに、4カ国の戦略的枠組みクアッド(QUAD)の参加国である。これは、対中包囲網の一環だ。

インドは、なぜ「親ロシア」なのか。

答えは、中国と緊張関係にあるからだ。インドと中国は昨年12月、国境の山岳地帯で衝突した。2020年にも衝突し、双方に計24人の死者を出した。インドは中国をけん制するためにも、ロシアとの関係を悪化させたくないのだ。

インドは、ウクライナ戦争が始まってから、ロシアとの貿易を5倍に増やした。3月3日にニューデリーで開かれたクアッド外相会議の共同声明は「ルールに基づく国際秩序の尊重」や「核兵器の使用や威嚇は許されない」と記した。だが「ロシア」の国名は出さなかった。インドに配慮した結果である。

逆に、ロシアの側もインドを「同盟国ないし戦略的に協力しなければならない不可欠なパートナー」(80%)とみている。

民主主義と世界の行く末

民主主義の考え方についても、米欧と中ロ、インド、トルコでは大きな違いがある。

中国(77%)やインド(57%)、トルコ(36%)は「自国こそが真の民主主義国」と考えている。米欧から見れば、異常な高さと言ってもいい。ロシア(20%)はさすがに、それほど高くない。

ロシアの国力に対する評価も、欧米とそれ以外の国では異なる。欧米では「戦争前に比べて国力は衰えた」とする見方が多数派だが、逆に、インドやトルコ、中国、それにロシア自身も「戦争前に比べて強くなった」という見方が多い。

「10年後に世界はどうなっているか」という設問では、どうだったか。

米国(26%)や英国(29%)、欧州9カ国(28%)では「米国と中国が、それぞれ主導する2つのブロックに分裂する」という見方が多い。これに対して、ロシア(33%)と中国(30%)、トルコ(23%)は「世界のパワーは複数国によって、より均等に分割される」。中国とロシアの政権は「世界の多極化」を目指しているが、国民も目標は達成可能と感じているのだ。インド(31%)は「米国による世界支配」である。

ただ、米国(28%)と英国(39%)、欧州9カ国(34%)は「分からない、どれでもない」が最多を占めている。ここは、やや意外だ。欧米は、実はあまり自信がないようだ。

NATO加盟国のはずだが…

他国はトルコを、どうみているか。

ロシア(74%)やインド(59%)、中国(55%)はトルコを「同盟国ないし戦略的に協力しなければならない不可欠なパートナー」とみているのに対して、米国(39%)や英国(37%)、欧州9カ国(39%)は、それほどでもない。

トルコが北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であることを考えれば、これは驚くべき結果だろう。西側の同盟国としてみられて当然なのに、ロシアや中国は「トルコは、むしろ中ロ側」とみているのだ。

逆に、トルコが相手国をどうみているか、と言えば、欧州9カ国(73%)やロシア(69%)、米国(65%)を「同盟国ないし戦略的に協力しなければならない不可欠なパートナー」とみている。ここで、ロシアは欧米並みに扱われている。

昨年10月30日付のニューヨーク・タイムズによれば、トルコは開戦以来、ロシアとの貿易量を3倍に増やした。この増加幅は中国の64%増を、はるかにしのいでいる。トルコはウクライナに武器を供与しているが、ロシアにとっては、もっとも信頼できる貿易相手の1つになっている。

対ロ制裁に参加しないブラジルと南アフリカ

この調査は対象にしていないが、忘れてならないのは、ブラジルと南アフリカである。

ブラジルはロシアの侵攻を非難しているが、インドや南アフリカとともに、経済制裁には加わらず、ウクライナに武器供与もしていない。一方、ロシアとの貿易量は開戦以来、2倍に増やした。

南アフリカはロシア、中国とインド洋で軍事演習をした。旧ソ連は人種差別が残っていた時代に、南アフリカを支援した。国民は「その恩を忘れていない」という。南アフリカはロシア寄り、とみていい。

グローバル・サウスの人々は、欧米に対して「二重基準」も感じている。ウクライナには莫大な支援を続けているのに、新型コロナの感染拡大では、なぜ途上国に十分な支援をしなかったのか。あるいは、なぜウクライナの難民には暖かく、アフリカや中米の難民には冷たいのか、といった疑問だ。

戦争でエネルギーや食料価格が上がったが、それも、ロシアの侵攻が理由というより「西側の制裁のためだ」という見方が多い。

どうすれば引き寄せられるか

こうしてみると、グローバル・サウスと呼ばれる国の人々や政府は、さまざまな気持ちや事情を抱えて、いまの世界を眺めている。彼らは1枚岩でもない。問題によって、こちら側にもあちら側にも動く可能性がある。グローバル・サウスは、彼らの内側でも「多様化、流動化」している。

西側は、それらを汲み取ったうえで「どう、彼らを自由と民主主義の側に引き寄せるか」が問われている。自由や民主主義、国際ルールの尊重といった「イデオロギー」を唱えるだけでは、まったく不十分だ。きめ細かで、多様な戦略と戦術が必要になる。

にもかかわらず、日本の林芳正外相は国会審議を理由に、先の主要20カ国・地域(G20)外相会合を欠席した。ここで触れたインドやブラジル、トルコ、南アフリカなどグローバル・サウスの重要国は、みなG20のメンバーである。せっかくの重要な機会を、自ら手放してしまった。この調子では、5月の先進7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)でも、日本の活躍は大して期待できそうにない。

 林外相のG20欠席は確かに大きな誤りでしたが、G7にはインド、ブラジルを招待しています。トルコ、南アフリカは招待していませんが、長谷川氏の見解からはその2国も、と言う思いがあります。現実には難しいのでしょうが。

 いずれにしろ、世界を民主主義と権威主義に2分するのは、現在の世界情勢を反映していないことになります。もう一つ「グローバルサウス」というのがいいか分りませんが、「どちらにも属さない国家群」の存在を忘れてはいけないと言うことでしょう。

 日本は民主主義国家に含まれますが、欧米よりもインドやトルコに近い位置にいます。アメリカ一辺倒ではなく、これら「グローバルサウス」とも連携していくことが、日本にとって今後重要になっていくものと思われます。

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2023年3月29日 (水)

少年を斬首、女性をレイプ、僧侶も銃殺…残虐性増すミャンマー国軍の血も涙もない攻撃 殺害された市民は3124人に

32_20230327152601  先月このブログで紹介した世界の3大バカ老人の一人、ミャンマーのミン・アウン・フライン総司令官が、不法にもクーデターを起こし、以来軍事独裁政治を行っています。27日そのミャンマーで軍事パレードが開催されましたが、国民は軍政のもとで、中国のウィグル人弾圧と勝るとも劣らない、残虐非道な人権弾圧に怯えて生活しています。

 その詳細をPan Asia News記者の大塚智彦氏が、現代ビジネスに寄稿した記事に見てみましょう。タイトルは『少年を斬首、女性をレイプ、僧侶も銃殺…残虐性増すミャンマー国軍の血も涙もない攻撃 殺害された市民は3124人に』(3/19公開)で、以下に引用します。

軍政の残虐非道な行動が明らかに

ミン・アウン・フライン司令官率いるミャンマー軍事政権は2022年から2023年にかけて反軍政の抵抗を続ける市民組織「国民防衛軍(PDF)」などへの弾圧を強化しており、その過程で一般市民の殺害も増加している。

そうした中でも特に未成年の若者や女性を虐殺するケースが相次いで報告され、人権侵害がこれまで以上に深刻化しているという。

さらに2023年3月13日にはミャンマーの独立系メディアが仏教寺院に避難していた一般市民と同時に僧侶をも殺害していたことを報じた。

 

ミャンマーは国民の90%を仏教徒が占める国で、僧侶は国民の尊敬を集める対象となっているだけに、僧侶まで殺害するという軍政の容赦ない姿勢は反軍政を掲げる国民の反感と怒りを高めている。

こうした軍政の残虐非道な行動は、2月2日に戒厳令を7郡区から37郡区に拡大し、同月22日にもさらにサガイン地方域で3郡区を追加するなどして、抵抗勢力との戦闘が激化している地方での軍の権力を強化したことと関係があるとみられている。

2021年2月のクーデター以降すでに2年以上が経過しながらも、国内の治安が一向に安定せず、8月に予定している「民主的な総選挙」の実施も危ぶまれる状況に対する軍政の焦りが背景にあるとの見方が有力視されている。

軍政は総選挙実施で軍政に対する「国民の信任」を得たとしてクーデターの正当化を目論んでいるため、万難を排してまでも総選挙実施を企図しているとされ、各地から報告される兵士による残虐行為はその反映とされている。

寺院の避難民を僧侶と共に殺害

独立メディア「ミャンマー・ナウ」はミャンマー北東部シャン州南部ピンラウン郡区のナンニント村で市民ら29人が殺害されているのを地元抵抗勢力である「カレンニー民族防衛隊(KNDF)」が3月13日の声明で明らかにしたと伝えた。29人の中には仏教僧侶3人が含まれていたとしている。

KNDFなどによると、軍は11日にナンニント村に空爆や砲撃を加えた上で、地上部隊が村に進入、村内の仏教寺院に避難していた市民を外に連れ出しその場で射殺した。その時僧侶3人も同時に殺害されたとしている。犠牲者には10代前半の少年2人も含まれ、全員がナンニント村の男性住民であるとしている。

ナンニント村の大半の住民は軍による攻撃激化を恐れて数週間前にすでに村外に避難していたが、僧侶が避難をせずに村に留まったことから20数人の男性村人が共に村に残り、空襲・砲撃を逃れるために寺院に避難していたという。

KNDFはナンニント村の状況を確認するためにドローンで上空から偵察していたところ、寺院で多数の遺体を発見したものの兵士が撤退するのを待ったため現場の寺院には12日までたどり着けなかったとしている。

KNDFのミャンマー語のホームページには殺害現場の生々しい写真が複数アップされ、民族衣装であるロンジーをまとった多数の男性が銃撃を受けて頭部や上半身などから血を流して寺院の外壁周辺に倒れている様子が写っている。

死者の間にはサフラン色の僧衣をまとった仏教僧侶が僧衣の一部を血に染めて横たわっており、寺院の外壁にも多数の弾痕が残されている。住民らに向けて銃を乱射して殺害した問答無用の残虐行為の跡がみてとれる。KNDFによると兵士はその後、ナンニント村の住居を焼き払ったという。

この寺院襲撃、僧侶殺害に関し、軍政のゾー・ミン・トゥン報道官はメディアに対して武装市民組織と民間人の何人かが死亡したことは確認したものの「地元のPDFメンバーによる殺害である」として兵士の関与を否定した。

若者を虐殺、斬首で遺体放置

独立系メディアなどによると、2月25日に北西部サガイン地方域ミンム郡区ニャウン・ピンカン村付近で武装市民組織PDFと軍による戦闘が発生した。PDF側が弾薬不足のため退却する際に退路に地雷を埋設していた若者5人が軍に拘束された。

その後若者5人の遺体が発見されたが、うち3人は斬首され、頭部が竹柵や荷車の上に「晒し首」状態で放置されており、中には手足が切断された遺体もあったという。遺体には銃創が一切ないことから、若者らは生きたまま斬首された可能性が高いとみられている。

兵士は殺害した若者の携帯電話を取り上げて犠牲者の親族や友人に電話をかけて「死を祝っている」と述べたうえ、犠牲者を罵倒し続けたという。

斬首されたのは15歳の少年、17歳と19歳の青年で、いずれも地元の武装市民組織を手伝い地雷を設置していたところを軍に拘束され、虐殺されたという。事件を伝える独立メディアのウェブサイトには3人の若者がほほ笑む生前の写真がアップされている。

同村周辺ではさらに2人の若者の殺害遺体も発見されているほか、サガイン地方域カン・タイン村では別の男性2人の斬首遺体が発見され、同地方域ミンム郡区ニャウンイン村では16人が殺害されている。

このように国軍は今や、軍に同調しない市民とみれば年齢に関係なく殺害するという「殺人組織」と化している。

こうした傾向は以前からあり、2022年9月にはサガイン地方域にある小学校が空爆されて児童11人が犠牲となり15人が行方不明となった。この時、軍は死亡した子供たちの遺体を袋詰めにしてトラックでどこかに運び去ったと地元メディアは伝えている。

国連によるとクーデター発生後、ミャンマー全国で軍による攻撃で死亡あるいは重傷を負った子供は少なくとも約400人に上っている。

このほか10月には北部カチン州ハパカント近郊の村で軍政に抵抗を続ける少数民族武装勢力やその支持者、一般市民が参加して開催中のコンサート会場を軍が空爆して地元の著名女性歌手や男性演奏家、多数の観衆が殺害される事件も起きている。

レイプして殺害される女性たち

3月2日、サガイン地方域サガイン群区タルタイン村で女性3人を含む住民が軍に拘束されて「人間の盾」として戦闘現場に立たされたことが報じられた。

さらに同じ日、同地方域ミンム群区ニャウンイン村でレイプされた女性の遺体が発見されたほか。同村では計14人の遺体が発見されたが、その中にはレイプされ顔面や頭部を激しく殴打された痕跡の残る女性3人の遺体も含まれていたという。

2022年8月27日には、サガイン地方域カニ郡区タイエットピンブラ村に進入した兵士らが民家に取り残された知的障害のある40代の女性を屋外に連れ出して複数の兵士がレイプした。

また同月11日には同地方域インマビン群区インバウンテン村で10代の少女ら2人が兵士から集団レイプを受け、その後殺害され、遺体が崖に全裸の状態で放置されるという残虐な事件も明らかになっている。

激化する人権侵害事件

このように軍は2022年から、各地で抵抗を続ける武装市民組織メンバーに対する掃討作戦を通じて一般市民を巻き込んだ強権的弾圧を強化、女性や若者をも無差別に殺害しているが、国民の尊敬と信仰の対象である仏教僧侶まで容赦なく殺害するという暴挙に対し内外から厳しい批判が高まっている。

戒厳令を拡大したことで地方の行政権が大幅に軍に移譲され、軍はこうした残虐行為を通じて抵抗勢力や反軍政の市民への「見せしめ効果」を狙っているとされる。しかしこうした残虐な人権侵害行為は反軍政感情を一層高めるという逆効果を招いており、ミャンマーの混乱は収拾不能な状況に陥っている。

タイ西部ターク県メーソットに本拠を置くミャンマーの人権団体「ミャンマー政治犯支援協会(AAPP)」によると、3月14日現在、軍政によって身柄を拘束された市民は20359人、殺害された市民は3124人に上っている。

 ロシアによるウクライナ人殺戮や、中国共産党のウイグル人弾圧の影に隠れた形で、最近は日本でもあまりメディアに取り上げられませんが、昨日久しぶりに民放(テレビ朝日)で取り上げられました。ミャンマー軍のこういった反対勢力に対する残虐行為は、目に余るものが有ります。「殺害された市民は3124人に上っている」と有りますが、実態はもっと多いのではないでしょうか。

 世界各地で繰り広げられる、独裁政権下の人民弾圧の中でも、おそらくトップクラスに上げられるのではないでしょうか。僧侶の虐殺は中国のチベット仏教徒殺害と並んで、神仏をも恐れぬ暴挙です。カンボジアのポルポト政権同様、将来ミャンマー軍の圧政が裁かれる日が来るのを、期待するしか有りません。

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2023年3月28日 (火)

「小西洋之議員を刑事告発せよ!」 有本香氏が語る「小西文書」謀略劇の全体像

Hqdefault-1_20230327132001  連日取り上げている「総務省の行政文書」問題。ようやく沈静化に向かっている様子も見せていますが、SNSの世界ではまだバトルが止んでいないようです。

 今回はその背景について、かなり詳細な分析をしている、ジャーナリストの有本香氏が月刊hanadaに寄稿した記事を紹介します。タイトルは『小西洋之議員を刑事告発せよ!』で、以下に引用して紹介します。

「結構ですよ」に小西狂喜

高市早苗大臣がピンチである。

といっても、大臣職務に落ち度があったわけではなく、本来、窮地に陥る事態ではないのだが、あのモリカケと同じく、作られた「総務省文書問題」で連日責め立てられている。

責め手側の切り込み隊長は、立憲民主党の小西洋之参議院議員。「国会クイズ王」と呼ばれ、貴重な質疑時間に、国策の大事から程遠い「憲法クイズ」など出題して、総理や閣僚を困らせて喜ぶ「困ったちゃん」だ。

この小西砲を援護射撃しているのが、同党の福山哲郎議員、社民党の福島みずほ議員ら。この顔ぶれを聞いただけでウンザリする読者も多かろうが、その悪い予感どおりの展開である。

嗚呼、またもや、我々の税金で運営される国会の審議時間が無駄遣いされ、重要な国策は一切議論されずに時間ばかりが過ぎるのか。

始まりは三月二日、小西議員が総務省の内部文書なるものを公開したことだった。小西氏は、入手した書類が、安倍政権時に首相補佐官(礒崎陽輔氏)と総務省の間で、放送法第四条に定める「政治的公平」の解釈変更を企図した、そのやりとりを記したものだと得意満面で語った。

これに、当時の総務大臣であった高市さんが「内容に覚えがない。捏造ではないか」と厳しい口調で疑義を呈す。すると、小西氏が「仮に捏造文書でなければ、大臣、そして議員を辞職するということでよろしいですね」と挑発し、高市さんが「結構ですよ」と応じたのである。

この「売り言葉に買い言葉」に、小西側は狂喜した。この場面は、六年前のデジャブのようだった。思い起こされるのは二〇一七年二月、森友学園問題が惹起されたときのことだ。

モリカケとの相違点

衆院予算委員会で森友学園の件を訊かれた故安倍晋三元総理が、少々苛立ち気味に「私や妻が関係していたなら総理大臣も国会議員も辞める」と発言した、あの場面である。この一言から、安倍政権は延々、数年にわたって、ありもしない「疑惑」の追及に悩まされることとなった。

高市さんの「結構ですよ」は、多くの良識ある国民に、六年前の「悪夢」を連想させた。

同時に、野党勢と左派メディアには「モリカケの夢よ、もう一度」を想わせただろう。

高市さんの「結構ですよ」を「軽率「だった」と批判する向きがある。たしかに、参院予算委員会が何日も空転したのだから、余計な一言だったとはいえる。

しかし私は、濡れ衣を着せられかかったときに「冗談じゃない!」と憤る安倍さんや高市さんの姿に、共感と政治家らしさを見る。

つねに冷静沈着、何を言われても「御身大切」に、無表情でやり過ごす。そんな人を評価する向きもあるが、いまの日本には「怒り」も「誇り」も忘れた、官僚の出来損ないのような議員ばかりが多過ぎる。

“騒ぎ”を受けて総務省が文書を精査、五日後の七日に、小西氏の公開したものが、総務省に保存されているものと同一の「行政文書」だと確認、発表した。

ここで、社会人なら当然の疑問が湧く。一体、小西議員はどうやってその文書を手に入れたのか――。

筆者もさっそく情報収集に努める。すぐに深刻な事情が判明した。

その事情を説明する前に、今般、高市さんを襲った「総務省文書問題」とモリカケ問題には、いくつも共通点があることと同時に、重要な相違点があることに触れておく。

今回の件とモリカケとの明らかな相違点は、立憲民主党が早々に「党を挙げて攻める」ことから退き始め、やや逃げ腰になったことだ。三月八日、泉健太代表はつぎのツイートをした。

《小西ひろゆき議員に届いた文書。放送法の政治的公平性を巡る礒崎首相補佐官、高市大臣、首相官邸のやり取りの記録を総務省は行政文書と認めました。それを高市大臣だけが「捏造」と主張。これは大臣と関係者のみが知る事案。行政文書全体の信頼性も問われる事案。まず政府は納得のいく説明を!》

なるほど、文書は小西氏ひとりが入手したもので「党ぐるみ」で入手したわけではない、と泉氏は逃げを打ってきたわけだ。ツイッター上には「とかげのシッポ切りか」などの嘲笑コメントが飛んでいた。

アクセス不可能フォルダ

泉代表が早々に逃げを打ったのにはワケがある。それが問題勃発早々に筆者が得た「深刻な事情」と関係があるのだが、この内容は後日、十三日の参院集中審議での高市大臣の答弁でも明らかにされた。

小西氏が手に入れた文書は、省内の情報通信部局のフォルダに入れられており、同フォルダは通常、大臣室のPCからであっても閲覧不可能だというのだ。あとから書き換えられるのを防ぐためだが、逆に、仮に不適切な文書が作られ保存されても、それをチェックすることは難しい。

となるとますます、総務省OBとはいえ部外者の小西氏が、そんなフォルダ内にある文書をどうやって手に入れたのかが大問題とされて然るべきだ。しかも、文書の多くには「取扱厳重注意」と記されている。

国家公務員法(百条)には、《職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない》との規定がある。行政文書の提供・流出は右の規定に違反するのではないかと複数の識者が指摘したが、小西側は「公通報だ」と主張している。

ネット上でも、小西氏と総務官僚の漏洩に不審の声が上がったが、マスメディアはこの問題をほぼスルーしている。

そんななか、九日の夕刊フジで、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう指摘した。

「刑事告発があれば、特捜部が担当する政治案件になる。特捜も推移を見守っているだろう」

「内容が事実なら、国家公務員法違反などに該当する機密漏洩かの判断が焦点だ」

これでは、泉代表も及び腰となるわけである。立憲民主党内からも「いいかげんにしろ」というような陰口が聞かれたが、小西氏ほか、モリカケでもおなじみだった杉尾秀哉氏らが加勢する見通しだという。

つまり、いつものメンバーが、安倍さん亡きいまも、形を変えた「アベガー」をやりたいだけ、という構図なのである。

しかも、高市さんの名前が出てくる部分のメモの中身があまりにもお粗末だ。

とくに、安倍総理(当時)と高市大臣の電話の内容を示唆するメモのお粗末さは極め付きである。電話があったことを、いつ、誰から聞いたかも不明、安倍総理と高市さんとの電話の日時も不明、さらに安倍総理の発言とされる部分には「?」マークが記されている。

かくも怪しげなメモを、小西氏は

「正確性を疑うな」といい、福島みずほ氏は「極めて精緻ですよ!」と予算委員会の場で断言してみせた。

普通の社会人なら、新入社員研修でダメ出しされるレベルのメモを、「極めて精緻」とまでいって褒めちぎる福島氏は日頃、どんな文書と接しているのだろうか。

このメモ一つ見れば、民間に働く多くの日本国民が、 総務官僚の事務処理力に大きな不審を抱くだろう。

田原総一朗のツイート

「第二のモリカケ」をやれると色めき立った小西側が描いた筋書きは、おそらくつぎのようなものだろう。

放送法四条が定める「政治的公平」についての従来の政府見解は、仮に特定の番組が偏向していても、テレビ局全体としてバランスがとれていればOKというものだった。

しかし、安倍総理と高市総務大臣が特定の番組 (TBS系「サンデーモーニング」)が公平性を欠いたと処断することができるよう、磯崎補佐官を通じて総務省に圧力をかけ、放送法の解釈変更を迫った。 これは言論、報道の自由への抑圧だ――。

本誌読者の皆様なら誤解はないと思うが、念のため確認しておくと、放送法のいう「政治的公平」について、政府見解は変更されていない。だから今日でも、地上波テレビの報道は偏向し放題。政府批判もやりたい放題である。

しかし仮に、政権が見解変更を検討したとしても別に問題ではない。

だが、小西側はそうは考えない。小西氏らとおそらく考えを同じくし、民間側の強力応援団となるであろうある人物が、文書公開直後の四日、つぎのようなツイートをした。

《2016年、安倍政権下で高市さんが番組が偏向報道してる場合は免許取消しもある、と発言し何人ものジャーナリストが断固反対表明をした。僕も参加した。働きかけがあったとよく証言したと思う。》

この「僕」とは、ジャーナリストの田原総一朗氏だ。

田原氏のこのツイートには、わずかの賛成意見とともに、「偏向報道したなら免許停止があるのは当たり前だろ」「偏向報道しなきゃいいだけ」「偏向報道する気まんまん、語るに落ちる」などの厳しい批判リプライが溢れた。

すでに記憶にない方のために概略を書くと、二〇一六年のこのとき、田原氏は、岸井成格氏、 鳥越俊太郎氏、青木理氏らと「私たちは怒っています!」という横断幕を掲げて、いとも醜悪な反高市キャンペーンをやったのである。まさにこのとき、 田原氏らは高市さんの発言を偏向して報じている。

長年の「高市フォビア」

この「偏向報道にはペナルティがあり得る」という高市発言は、実は民主党政権時の閣僚答弁を踏襲したものに過ぎなかった。しかし田原氏らは、あたかも高市さんが異例のトンデモ発言をして、報道を抑圧しようとしたかのように騒いだ。

そしていまも、小西氏の文書公開に乗じて、またもや高市さんを不当に貶める印象操作に努めている。

田原総一朗氏が過去二十年以上にわたり、事あるごとに高市さんを貶めてきたことを、私は幾度か本誌に寄稿した。一例を挙げると、〇三年、田原氏司会の番組で、「先の大戦はセキュリティのための戦争だった」と語った高市さんを、田原氏は「無知で下品」とテレビカメラの前で面罵したのである。

そんな長年の「高市フォビア(恐怖症)」を拗らせたご老人が、またぞろ反高市、その裏にある反安倍の動きに加勢を試みている。この異様な憎悪と執念がなんとも薄気味悪い。

思えば、 田原氏「反安倍」の人たちが力を結集して大キャンペーンを張るときというのは、必ず日本の大きな転換点となる政策、とりわけ日本を守るために必須の政策を安倍さんが打ち出したときだった。

二〇一五年の「安保法制」然り。モリカケが始まった二〇一七年は、 安倍さんが「憲法九条に三項を加えて自衛隊を明記する」といういわゆる加案を打ち出した年だった。

そして、安倍晋三亡きいま、安倍さんが総裁に推した盟友・高市早苗さんは、スパイ排除のための規制である「セキュリティ・クリアランス」のルール整備に挑もうとしている。

特定野党勢、それと連携する田原氏らの一連の動きを見ていると、今回の件とモリカケとのもう一つの重要な共通点が見えてくる。

それは、日本を他国の侵略浸透から守ろうとする政治的アクションがあったタイミングで、あたかもそれを阻止せんがためのように「疑惑」が浮上する、という点だ。これは、はたして「偶然の一致」か。

そうではないと思うのは、陰謀論的な見方だとお利口さんな人たちに嘲笑われるだろうか。

「上司の関与を経て」

モリカケのときと同様、次々に論点をずらしつつ、国会の時間を無駄遣いし続ける野党勢だが、十四日現在、あるキーワードが出てきて、展開が変わりかけている。その言葉は、十四日の衆議院総務委員会でのつぎのやり取りで聞かれた。

質疑者は立憲民主党の大築紅葉氏。

「総務省の官僚が、なかったレク(説明)を実在したかのように捏造することはありえないのではないか」と質すと、松本総務大臣がこう答えて

いる。

「上司の関与を経て、このような文書が残っているのであれば、二月十三日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高い」

この答弁のなかで、マスメディアは「大臣レクがあった可能性が高い」という部分で騒いだが、元大蔵官僚の高橋洋一氏らは「上司の関与を経て」という部分に鋭く反応し、「これは文書の書き換えがあったという意味だ」との解説を始めた。

実は同じ「上司の関与を経て」という文言は、前日の総務省答弁にも出てきていた。関係者によると、その真意はこうだ。

二〇一五年二月十三日のレク等に関して、記録者の残したメモを、原型を留めないほどに書き直させた「上司」の存在がある。この人物の関与は明らかだと複数の総務官僚が明かしているが、すでに退官している人なので、証言を拒否する可能性が高い。

また今回、総務大臣や総務省の答弁のなかに「上司の関与を経て」という文言を敢えて入れたのは、記録者を守るための措置だった。

仮に今後、記録者が告発される事態となっても、この人だけの判断でメモが残されたわけではない、ということも明らかにされるからだ。

ここで、前述の若狭弁護士の言が思い出された。仮に刑事告発され、捜査対象となったら、文書作成にかかわったすべての人の行動と、文書がいかに漏洩し、いかにして小西氏の手に渡ったのかのすべての経緯が明らかにされるのか。

総務省関係者と弁護士ら複数に尋ねてみた。すると、思わぬ「壁」があることがわかる。関係者はいう。

「この文書が作られたのは八年前、時効は七年ですから、すでに過ぎています。時効後だからということで、退官した『上司』がその関与の中身を正直に話せば全容は明らかになりますよ。高市大臣への追及も終わるんじゃないでしょうか」

高市潰しと隣の独裁国

高市大臣は連日の国会対応のため、徹夜に近い状態で資料を読み、答弁の準備をしていると聞く。本来、いま最も注力しなければならない「経済安全保障」分野の業務とりわけセキュリティ・クリアランスに係る法案づくりも佳境のはずだ。

このタイミングで高市さんに負荷をかけることが追及の狙いなのか、と勘ぐりたくもなる。

高市さんは、「なんとしても記録者を守りたい」と言っているとも聞く。官僚のなかから自殺者が出るような事態を恐れているのかもしれない。

関係者はいう。

「時効を過ぎていますから、退官した書き直しの”真犯人“が関与を否定したら、それ以上の追及は難しくなります。だから高市大臣は、自分がかぶるしかないと思っているのではないでしょうか」

日本の政治はどこへ行くのか。

日本を守ろうと必死になる政治家がまた消耗させられていくのか。

先月来、アメリカ連邦議会の下院では「中国特別委員会」が開催されている。前政権の要職にあった人々らが次々に証人として呼ばれ、中国の脅威に関する詳細なヒアリングが行われている。

一方の中国は、全人代を終えて習近平氏の三期目が本格稼働。国内での権力基盤を固めた習氏は、サウジアラビアとイランの国交回復を仲介して中東での影響力を誇示し、ウクライナ情勢にも影響を及ぼそうとしている。「外交」アピールを盛んにし始めたのだ。全人代では、「台湾統一を断固進める」というメッセージも発信している。

絶望的な言葉で本稿を締めくくるのは本意ではないが、このままではわが国が隣の独裁国に呑み込まれる未来しか見えない。

外敵に立ち向かう前に、まず国会を私たち国民の手に取り戻す具体的な術を真剣に考えるべきである。

 小西参議院議員が取り上げたこの文書問題、その背景は一言で言えば保守対リベラルの戦いです。ただその戦いもリベラル側の「嘘とまやかし」を込めた、背信的行為がもたらす戦いのようです。ですから有本氏は万感を込めて「小西洋之議員を告発せよ!」と訴えているのです。

 他の民主国家にも主義主張の異なる者同士の、バトルは有るでしょうが、日本の特定野党や反日メディアのような、国自体を貶めようとする勢力による、政権側への攻撃はあまりないのではないでしょうか。

 そしてそれは有本氏の最後に述べた「このままではわが国が隣の独裁国に呑み込まれる未来しか見えない」という言葉に、その危機感が込められています。それを回避するためにも、小西議員のような「国民の敵」を何とか排除していく戦いを、進めて行かなければなりません。

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2023年3月27日 (月)

高市早苗氏が「捏造」と断じた行政文書、その出所・総務省の腐敗度はいかほどか 官と郵政やNHKなどの利権の伏魔殿

31_20230326102701  連日メディアを賑わせている総務相の「文書問題」は、意外な展開を見せています。総務相の前身、旧郵政省と旧自治省のバトルや放送法の問題点を捉えた政官の議論に加え、行政文書を悪用した野党や反日メディアの政権叩きなど、明らかになってきました。

 ここに放送事業の監督官庁である総務相と、NHKに代表されるオールドメディアのグレーなつながりを取り上げた、国際投資アナリストの大原浩氏の現代ビジネスに寄稿したコラムを紹介します。タイトルは『高市早苗が踏んだ虎の尾、いじめの震源・総務省自身の腐敗度はいかほどか 官とオールドメディア利権の伏魔殿』(3/25公開)で、以下に引用します。

高市早苗氏は「捏造」と主張

いわゆる総務省文書について高市早苗氏が「捏造」と断じた件については、ZAKZAK3月20日「高市早苗氏追及の構図崩壊か 放送法文書問題、圧力や解釈変更を図った有無が確認されず『謀略なら大問題、予算審議と切り離し特別審議を』」という状況だ。

このほかにも色々な情報を分析すると、高市早苗氏にこの件に関する「落ち度」があるとは思えず、わざわざ国会で追及したり、オールドメディアが騒ぎ立てたりする理由は見当たらない。

国会の運営には1日あたり3億円もの血税が必要とされるのだから、野党も含めた国会議員は、効率的な審議を行って国民の幸せを追求してほしいものである。

そして、この光景は「いつか来た道」である。「大原浩の逆説チャンネル<第2回・特別版>安倍元首相暗殺事件と迫りくるインフレ、年金・保険破綻」で述べたように、「美しい国、日本」を目指す志半ばで卑劣な暗殺犯の凶弾に倒れた安倍元首相も、生前はモリカケ・サクラのような「火のないところに煙を立たせる」執拗な攻撃に悩まされた。

その「火のないところに煙を立たせる」中心勢力が、2020年5月22日公開「安倍首相を叩く『アベノセイダーズ』が、民主主義を捨て全体主義に走る理由」で述べた人々である。

彼ら「既得権益者」にとって、日本を「美しい国」にするために全身全霊を捧げて改革に邁進する安倍氏はとにかく邪魔な存在であった。だから「美しくない人々」は3月24日公開「ノルドストリーム破壊、脱炭素、ワクチン安全性……我々は「正しい情報」を得ているのか?」で述べたように、何百回も何千回も「火のないところに煙を立たせる」ことによって、国民に「虚構」を信じさせようと必死であったのだ。

今回の総務省文書事件は、まさにモリカケ・サクラのデジャブである。

前記ZAKZAK記事によれば、「高市氏は18日、自身のツイッターで《総務省文書騒動で役所の公務は殆どできなくなりました》《多くの企業が参加される経済安全保障の講演会もドタキャン。「国会軽視」はしていません》などと書き込み、担当する機密情報の取り扱い資格『セキュリティー・クリアランス』の法整備が影響を受けている現状に苦悩を明かした」とのことだ。

要するに「タカイチノセイダーズ」が、放送法の既得権益を死守しようとするオールドメディアも含めた「多勢」で高市氏を取り囲み、「いじめ」を行っている構図である。

オールドメディアの岩盤利権

今回の総務省文書問題においてより悪質なのは、オールドメディアや総務省の利権がダイレクトに絡んでいるように見える点である。

その点については、JBpress 3月17日「行政文書の『幻の大臣レク』は総務官僚のクーデターか」やSAKISIRU 3月14日「電波官僚とマスコミが悪魔合体!高市早苗は『官報複合体』の罠を突破できるか?」などが参考になる。

つまり、今回「タカイチノセイダーズ」が執拗な攻撃を続けるのは、オ―ルドメディアや総務省の「核心的利権」に触れたからであるように思えるのだ。

実際、SAKISIRU 3月17日「管理簿に存在しない『極秘文書』に正当性 !? 立民・小西氏にネット民の疑問噴出」において論じられているように、モリカケ・サクラと比べても追求の「根拠」に乏しいのが今回の「総務省文書問題」である。

逆に考えれば、モリカケ・サクラで火のないところに煙を立たせてきた「野報複合体」(野党+オールドメディア)だが、彼らがどうしようもなくなっていることの証なのかもしれない。

NHKの腐敗は総務省の責任

オールドメディアの腐敗ぶりは、3月16日公開「日本は高齢者だけのものではない、多数派の横暴は許されるのか?」で述べた、日本の将来に興味の無い情弱な人々以外には広く知られた事実だ。

だが、今回の事件の当事者でもある総務省の腐敗ぶりも負けず劣らずである。総務省の監督下にある組織には2月12日公開「NHKの『電波押し売り』をいつまで放置するのか?いい加減スクランブルか完全国営かはっきりすべし」で述べたNHKがある。

「皆様のNHK」と事あるごとにプロパガンダを繰り返すのは、実際には「特定権益者のためのNHK」であることの裏返しである。

NHKの問題点は前記記事で詳しく述べたが、総務省(政治家)が国民のことを考えていればいつでも改善可能なものばかりである。

ところが、未納者への「法外な罰金」や、意味の無いインターネットへの進出など、NHKを肥大化させる動きを後押ししている。これは、NHKが政治家だけではなく総務省にとっても巨大な利権であることを意味している。

郵政事業はNHKになりつつある

不必要であったと思われる郵政事業民営化については、米国の圧力を受けた小泉元首相の責任も確かに大きい。しかし、その後の運営の混迷は総務省に大きな責任があると言える。

民営化後の郵便事業は、THE OWNER昨年1月23日「日本郵政、豪企業買収で4,000億の巨額損失 中途半端な『グローバル展開』の末路」のような大失敗だけではなく、土曜日配達休止などのサービス低下も著しい。

さらに、国民へより良いサービスを提供するために日夜努力しているヤマト運輸などの民間つぶしとも考えられる「メール便親書問題」も放置されたままだ。

「郵便法違反で逮捕する」という理不尽な方針のおかげで、顧客を守るためにやむなく撤退したヤマト運輸の考え方は「信書における問題点」で公開されている。

特に2「送る人が罪に問われるリスクがあります」冒頭で、「信書規制の最大の問題は『何が信書に当たるのかわかりにくい』にもかかわらず、郵便または信書便以外で信書を送った場合、運送事業者だけでなく送り主も罰せられることです」ということが指摘されている。このような恣意的な法解釈はNHKの受信料制度に極めて似通った問題である。

中途半端な民営化が癌

さらに、かんぽ生命保険不正契約問題は、中途半端な民営化の結果であるといえよう。いまだに、日本郵政の株式の34.3%を財務大臣が保有している。

結局「民営化」と言いながらも、官と民のいいとこどりのNHKや、かつて破綻が相次いだ第3セクターのように、国家を後ろ盾にした権力を振るいながら、公務としての責任は負わないという状況になる。

かんぽ生命不正が蔓延した(いまだに?)のは、国家を後ろだてにした「権力の中枢」に位置する人々が、民間ベースの現場にただ「ノルマ」を課すことしかできない点にある。権力の中枢にいる人々に、経営やマネジメントのノウハウが無いから、ただノルマという鞭でたたくことしかできないのが原因だ。

長年にわたって、NHKの集金人の評判がすこぶる悪かったが、その集金員たちも「奥の院」の幹部の手先に過ぎなかったともいえる。かんぽ生命も同様だ。いまだに日本郵政が「3分の1国営」であることが不正が蔓延した大きな原因である。

2022年6月30日現在、取締役兼代表執行役社長・増田寬也氏が建設省出身の総務大臣経験者、取締役の衣川和秀氏と千田哲也氏が旧郵政省出身であり、横浜銀行出身の池田憲人氏だけが唯一の民間出身(社外では無い)取締役なのだ。

さらに気になるのが、SVB破綻によって露になった「債券運用リスク」である。日本の地銀も大きなリスクを抱えているが、郵政事業も運用ノウハウにおいては地銀レベルあるいはそれ以下である。「お役人」が金融市場の運用をきちんと理解しているとは思えない。

ロイター2月14日「ゆうちょ銀、12月末国債保有比率は16.5% 保有残高減少」とある。確かに、2023年3月期第3四半期ゆうちょ銀行決算資料によれば、「総資産」226.7兆円のうち国債は37兆円だ。だが外国証券等は倍以上の77.9兆円あるから約34%であり、両者を合わせれば総資産に対する割合は50%を超える。

さらに、前記記事によればかんぽ生命の場合は、国債保有比率でさえ58.8%である。

中途半端な民営化のままの郵政事業の今後が危惧される。

総務省はやるべきことがある

結局、総務省やオールドメディアの利権の核心とつながる、電波オークションに問題が凝縮されているように思える。

日本経済新聞3月17日「三菱電機に業務停止命令 電波法違反で」と報道されたが、記事の内容を読む限り大騒ぎするような事ではない。

それよりも、2021年3月6日公開「菅首相『長男接待』騒動のウラで、なぜかマスコミが報じない『本当の大問題』」冒頭「確かに総務省に問題あり」で取り上げた「電波オークション」問題に真摯に取り組むべきである。

郵政民営化をリードした小泉元首相は「自民党をぶっ壊す」と叫んだが、現在は諸悪の根源であるNHKや郵政事業などの元締めである総務省を「ぶっ壊す」べきではないだろうか?

 総務相の文書問題が様々なところに飛び火して、こうした背景を浮かび上がらせたのは、小西議員の功績(?)と最大限の皮肉を述べたいと思いますが、これらの問題は何とかしなければなりません。大原氏の言うように総務相をぶっ壊して、一から作り直すことが必要かも知れません。

 それにしても、日本の頭脳を集めたはずの省庁が、腰砕けの外務省、間違った政策だらけの農水省、日本経済弱体化の総帥財務省、そして利権の温床総務相と日本の失われた30年の元凶に成り下がっています。ぶっ壊さなくてはならないのは総務相だけではないようです。

 なんだかんだ言っても、戦後日本の経済復興を担ってきたのは、優秀な官僚のおかげというのが通説です。だがここに来てどうしてこうなってしまったのでしょうか。

 官僚だけではなく政治家もそう感じます。そうした中で故安倍氏や、高市大臣のような、気骨のある政治家は日本のためには絶対必要でしょう。それを貶める日本弱体化の元凶特定野党や反日メディアも合わせ、ぶっ壊さなければ日本の未来は明るくなりません。

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2023年3月26日 (日)

門田隆将氏:ヤブ蛇と化した「高市糾弾文書」、「行政文書」真相究明により追い込まれる立憲民主・総務官僚・マスコミ

E_ac1rucaqifi7  「小西文書」または「放送法文書」と呼ばれ、メディアで連日取り上げられている、小西参議院議員が提出した8年前の「行政文書」問題。時が経つにつれ小西議員の意図するものと、実体が食い違ってきたことが明らかになってきました。もちろん小西議員側の意図は「高市大臣」の糾弾と、閣僚辞任への追い込みにあったようですが、残念ながら実現していません。

 既にこのブログでも複数回取り上げてきましたが、今回は作家でジャーナリストの門田隆将氏が月刊willに寄稿した 、よりわかりやすい構図で、小西議員側の意図をついた記事を紹介します。タイトルは『ヤブ蛇と化した「高市糾弾文書」 「行政文書」真相究明により追い込まれる立憲民主・総務官僚・マスコミ』で、以下に引用します。

爆弾が落とされた

三月三日、立憲民主党の小西洋之参議院議員が国会へ持ち込んだ計七十八枚の総務省の内部文書なるものは、想像を遥かに超える波紋をもたらした。総務省内部に、永田町に、マスコミに、それぞれ全く異なる意味の大津波を引き起こしたのだ。

ポイントは七十八枚の中の四枚に、当時の高市総務大臣が登場しており、そこに放送法をめぐってテレビの政治的公平性を問題視する発言が記されていた。小西氏は、それを掲げて高市氏に「ここに出ている会話は事実か」と問うたのである。

高市氏は、「事実ではありません。全くそれは捏造文書だと考えております」と答え、小西氏は、「捏造の文書でなければ大臣、そして議員を辞職するということでよろしいですね?」と問い、「結構ですよ」というやりとりになったのは、周知の通りである。

この瞬間、文書は、さまざまなものを炙り出す“爆弾”となった。なぜ捏造か。 それは、高市氏が他とは全く異なる大臣であることに尽きるだろう。

高市氏は官僚の書いたものを単に朗読する大臣ではない。自分自身で案件を咀嚼し、理解した上で答弁する。風呂敷を抱えて資料を自宅に持ち帰り、納得いくまで勉強して答弁することで知られる政治家だ。

自分が登場する四枚の文書を読んだ高市氏は即座に「これは事実でない」と気づいた。官僚文書の”朗読大臣“なら八年前のことを思い出すことはできないが、案件をいちいち頭に叩き込む高市氏は「自分の意見と違う内容」「絶対に口にしない言葉」が記されている文書の中身が虚偽であることを悟った。そして、小西氏と冒頭のやりとりをおこなったのである。

郵政省vs自治省

総務大臣を都合三度も経験している高市氏は、総務省の特殊事情”を知っている。 旧郵政省、旧自治省、旧行政管理庁の官僚たちが集まった総務省は、常に内部で熾烈な権力抗争が行われている。特に「旧郵政」対「旧自治」の争いは知る人ぞ知る。 旧逓信省の郵政省、旧内務省の本流・自治省は互いにブライドが高く、情報共有もないほど対立している。

今回の文書には、配布先に「大臣」も、旧自治省出身の「事務次官」も入っておらず、旧郵政トップ・桜井俊総務審議官ほか、「旧郵政の部署にしか配布されていない」ことを見てとった高市氏は“旧郵政官僚の手”による“旧郵政のための文書”が流出したことを即座に感じとったのだ。そしてなぜ今、この文書が国会に出されたのかもわかったに違いない。

大手紙の政治部デスクによれば、「三月二日に小西氏が国会で記者会見をしてこの文書を明らかにしたのですが、マスコミの一部は、その日が大分県参議院補選の立候補者を決める自民党大分県連の候補者の公募が始まる日だったことにすぐ気づきました。大分では野党系参議院議員が知事選立候補のため議員辞職し、補選が行なわれるのです。公募には前回の参院選で落選した礒崎陽輔・前参議院議員が名乗りを挙げることが取り沙汰されていたのです」

それと文書がどう関係するのか。

「これらの文書には当時、総理補佐官だった磯崎氏が頻繁に登場します。磯崎氏は偏向放送を続けるテレビ番組に対して放送法を用いて改革を促すべきだと考えており、折々に総務省の旧郵政系官僚と衝突していた。磯崎氏は旧自治出身で旧郵政の官僚たちにとっては許しがたい存在。この政界復帰は阻止したかった。

さらに高市氏は自民党奈良県連会長で、奈良県知事選にも旧自治の元総務官僚・平木省氏が出馬する。礒崎、高市を糾弾し、そして平木当選を阻止するための旧郵政側の意図的リークだったと言われています。放送法で地上波に政治的公平を実現させるなど考えてもいなかった高市氏は文書を捏造と判断したわけです」

高市氏の予想外の反撃で、逆に文の信憑性が注目され、小西氏に内部文書を渡したのは誰かという国家公務員の守秘義務違反や、さらには公文書偽造の疑いまで出てきてしまったのだ。つまり第二の外務省機密漏洩事件(西山事件)の恐れが出てきたのである。

高市氏は親中・親韓メディアにとって、かねて頭の痛い存在だ。経済安全保障の法整備、機密情報に触れる個人の資格を審査するセキュリティクリアランスなど、彼らが警戒する政策を打ち出している中心人物。オールドメディアは、この問題で必死に高市叩きを続け、一方、ネットメディアは次々と新たな事実を探し出し、両者の激しい攻防がくり広げられた。

その中で高市氏は確実に“ポスト岸田”への国民の期待度と知名度を上げた。親中・親韓勢力にとって“やぶ蛇” になってしまったのは日本にとって素晴らしい。

 国会で立憲民主党の石垣のり子議員が、岸田首相に「高市大臣をいつ罷免するのか」とバカな質問をしましたが、岸田首相は「行政文書の正確性に疑義が呈され、総務省が確認作業をし『正確性は確認できなかった』との結果が出されているのが現状で、引き続き正確性の議論が必要な段階。その段階でいきなり更迭云々と仰るのは、あまりに論理が飛躍している」と答えています。当然でしょう。

 これで分ることは立憲民主党は党を挙げて、違法に持ち出された捏造した文書でもって、高市氏を貶めようとしている意図が明確となったことです。今後は逆にこの文書の作成と持ち出しの経緯を明らかにし、関係者の処罰を厳正に進めることが必要でしょう。省庁と野党議員のグレーな結びつきを解明するためにも。

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2023年3月25日 (土)

尹錫悦韓国大統領来日で「日韓雪解け」? まず韓国が日本に謝罪すべきだろう 岸田政権「なあなあ決着」への疑問

30_20230324165001  韓国は保守派の尹錫悦大統領になって、それまでの文在寅前大統領時代に最悪の関係となった、日韓関係修復の動きが加速してきました。3月16日には尹錫悦大統領が来日し、岸田首相との首脳会談も行われ、徴用工問題の韓国側提案を日本側も歓迎し、シャトル外交の再開も約束されました。

 順風満帆のようにも思える両国の関係ですが、韓国国内では反日の急先鋒である李在明氏が、代表を務める野党「共に民主党」 が多数を占めていて、徴用工問題でも日本への譲歩に憤る原告や支援者が、受け入れ阻止だと大騒ぎしています。

 もともと強い反日の土壌がある上に、徹底した反日政策を5年間とり続けた文在寅政権時代を、一気に変えることは難しいでしょう。まだまだ課題が残る日韓関係の現状を、国際投資アナリストの大原浩氏が現代ビジネスに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは前編『尹錫悦韓国大統領来日で「日韓雪解け」? まず韓国が日本に謝罪すべきだろう 岸田政権「なあなあ決着」への疑問』、後編『韓国と米民主党には油断は禁物、GSOMIAがどうなったか忘れるな』(3/20公開)で、以下に引用して掲載します。

<前編>

「世界平和」は望ましいが

韓国の尹錫悦大統領が3月16、17日に来日した。

日本と近隣の国々が友好関係を保つのは「世界平和」の観点からも望ましい。だが、その「友好関係」が「一方的な日本の譲歩」によって維持されるのだとしたら国益の観点からどうであろうか。

要するに、友好関係を結ぶのは大事だが、そのために相手国に卑屈になる必用は全く無いということである。これは韓国に対してだけではなく、共産主義中国、米国など世界中のあらゆる国々に対する外交上の原理原則である。

来日前から、懸案の行方については例えばロイター3月9日「韓国大統領、16-17日に訪日=松野官房長官」といった報道がなされたが、注意しなければならないのは、この記事で「懸案事項だった元徴用工問題をめぐっては、韓国政府が6日に解決策を発表。同政府傘下の財団が被告の『日本企業に代わって賠償する』方針を示していた」と表記されている部分だ。

日本の韓国に対する賠償および「韓国が日本に支払わなければならないかもしれない賠償」については、私が執行パートナーを務める人間経済科学研究所フェロー八幡和郎のプレジデントオンライン3月6日「徴用工問題に抗議する韓国人が知らない"切り札"がある…韓国政府の『賠償金肩代わり案』を私が評価するワケ」記事が非常に参考になる。

同記事2ページ目の「請求権は『解決済み』なのに司法が暴走」では、「日韓両政府ともに、1965年の日韓国交正常化(日韓基本条約)にあたり締結した『日韓請求権協定』で、両国間の請求権問題は『完全かつ最終的に解決された』として、たとえ原告の要求が正当でも、賠償金を支払うのは韓国政府としているのにもかかわらず、文在寅政権が任命した判事が暴走し、被告企業の在韓資産を現金化しようとしているのだ」とある。

まったくその通りで、「日韓基本条約」ですでに「解決」した問題を、韓国側が日本に対して「不当にごねていた」というのがいわゆる「徴用工問題」の本質である。要するに、提訴した原告に対して賠償金を支払う義務があるのは元々韓国政府なのだ。

つまり、「本来日本側が支払う必要が無い賠償金を韓国(裁判所)が不当に請求したことによって日韓関係を破壊し、窮地に陥ったので、『(責任から逃れていた)韓国政府が勝手に賠償金を支払う』」ということになったということなのだ。韓国が勝手に行う行為に関して「日本の責任」などあるはずがない。

だから、ロイター以外にも多くのメディアで『日本企業に代わって賠償する』などという表現がなされていることは大きな問題だ

このように、オールドメディア主導で「韓国側の言い分」だけが伝えられるのは、過去の徴用工問題や、いわゆる従軍慰安婦問題などと同じパターンだ。これでは、日韓関係において「本当の意味の改善」は行われていないというべきであろう。

日本の秘密兵器

さらに、日韓基本条約が定める責任から韓国政府が逃げて、実際に日本企業の資産が奪われた場合には、日本には秘密兵器がある。

前記八幡和郎の記事5ページ目「日本人が知らない日韓交渉の歴史的経緯」および6ページ目「日韓基本条約を反故にしたら困るのは韓国である」がポイントだ。

「日韓基本条約」は、韓国に対して日本側が大幅に譲歩した内容であり、「徴用工問題でへたに日本を刺激してちゃぶ台返し」をされて困るのは韓国の方である。

具体的には、「韓国が基本条約を廃棄して再交渉というなら、あらためて、日本人が韓国に残してきた財産への補償を要求できる。さらに、日本は韓国との和解のために計5億ドルの経済協力をしたわけだから、当時の貨幣価値も考慮して返還してもらいたい」ということだ。

さらに、「また、北朝鮮が瓦解して南北統一が可能になったようなときには、『統一費用は日本に出させよう』と韓国は期待している。たしかに、かつての韓国に対する経済協力と同程度のものを北朝鮮に対して行うことを期待する、というのは理解できる。しかし、もし日韓基本条約を韓国が実質的に破棄するならば、北朝鮮の復興への協力はありえないというのは当然だ」ということなのだ。

日本は韓国に対して強力な武器を持っているのだから、「けじめをつけなければ相手にしないよ!」と毅然とした態度で接すればよいだけのことである。

だが、現状の岸田政権にそのような毅然とした態度は望みにくい。したがって、現在の(演出された)「日韓雪解けムード」は本質的な問題に目をつぶった表面的なものであり、将来の日韓関係のさらなる火種になるのではないかと懸念している。

まず、韓国が日本に謝罪すべきである

真の日韓友好関係樹立のためには、いい加減「日本側だけが一方的に謝罪する」という悪弊を終わらせなければならない。

したがって、読売新聞3月4日「『元徴用工』韓国側が解決策なら日本政府も呼応、過去の談話踏襲を岸田首相表明へ」のような「日本の過去の一方的謝罪の踏襲」など、「韓国の謝罪」がない限り行うべきではない。

竹島の不法占拠、伊藤博文暗殺、慰安婦問題、徴用工問題等々、多数の問題に関して、謝罪すべきは韓国である。慰安婦問題や徴用工問題については、根拠の無い主張や行動で日本の名誉を貶めた罪は重い。

ドイツ中部の州立カッセル大の敷地内に設置されていた慰安婦像は撤去された。しかし、設置者側が反省して自ら撤去したわけではなく、再三の日本政府の要請に応じて大学側が重い腰を上げたと伝えられる。

さらに、伊藤博文暗殺犯(テロリスト)である安重根を「義士」とする記念碑がいまだに日本の宮城県に存在する。

最悪ともいえる文在寅から、尹錫悦に大統領が代わってましになった感じがする韓国の政治だが、前記の事例からもその本質は変わっていないように思える。

2019年8月7日公開「文在寅の韓国は、アメリカに見捨てられ北朝鮮より先に『崩壊』するか」3ページ目「原田いずみ症候群から狂言自殺・自爆テロリストへ」のようなことはもううんざりだ。

そもそも、日本が韓国と友好関係を結ぶメリットはほとんど無い。韓国が改心して心から「ごめんなさい」と謝罪の言葉を述べるまで日本は「戦略的放置」を続ければよいのである。

日本は痛くもかゆくもない。

韓国が日本に対して「自らの罪」を謝罪しないのなら、また同じことの繰り返しだ。

<後編>

GSOMIA問題を忘れるな

GSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)は、日米韓にとって安全保障上重要な存在だ。もちろん、北朝鮮と38度線で接する韓国にとって特に重要である。

だから、GSOMIAは「韓国が結んでやった」などというものではなく、「日本や米国の力をお貸しいただいて」韓国の国防を強化すると言ってよい性質のものだ。

それにもかかわらず、従軍慰安婦問題を巡る日韓対立においてオバマ元大統領が、仲介の労を取る必要があった。その結果、2015年の日韓慰安婦問題合意につながり、ようやく2016年にGSOMIAが発効した。

しかし、その後、2018年に韓国海軍によるレーダー照射事件が起こった。これは「同盟国への攻撃」という観点から言えば、2月24日公開「米政府が関与か? ノルドストリーム爆破疑惑のバイデンと『迷走』岸田のコンビでは日本が危うい」で述べたノルドストリーム爆破疑惑同様重大な問題である。

ところが、韓国側は謝罪するどころか、いまだに2022年11月18日GLOBE+「自衛隊機へのレーダー照射疑惑、韓国国防省が改めて否定 絶対に認められない軍の事情」という状況だ。

そして、2019年11月19日 MONEY VOICE「文在寅氏、ついにGSOMIA継続『拒否』を明言。あと数日で韓国の自殺点が決まる」で述べられているように、安全保障のための条約を、日韓の間の政治的駆け引きの道具に使うという暴挙に出た。

結局、朝日新聞デジタル 同11月22日「韓国、GSOMIA延長を日本側に通告 米の要請影響か」で伝えられているように土壇場で翻意した。同記事のタイトルにもあるように、さすがにオバマ政権が安全保障のために苦労して成立させたGSOMIAを「おもちゃ」にするような行為に、米国側の怒りが頂点に達したことを察したのであろう。

まだ終わっていないGSOMIA問題

そして、実はこのGSOMIA問題はまだ解決していない。本来は1年ごとに更新される効力の期限が來る90日前までに通告をしなければ自動延長されるのだが、2020年8月24日東京新聞「GSOMIA『いつでも破棄できる』と韓国は強調」と強弁しているのだ。

2019年8月22日に韓国が一度協定の破棄を決定したが、協定失効前日の2019年11月22日に開催した国家安全保障会議で協定失効通告の停止を決定したから「協定失効通告の効力停止」の状態であるため、いつでも破棄可能だというのが韓国側の理屈である。

このような行為を改めないままの韓国と「友好関係」など維持できるのであろうか?まずは韓国が過去の「過ち」を自ら認めるところから両国の友好関係が始まる(なお、2023年3月16日に行われた岸田文雄総理と尹錫悦大統領による日韓首脳会談で、尹大統領は「会談で完全な正常化を宣言した」と報道された。だが、韓国が再び同じような「暴挙」を行わないという保証はどこにもない)。

最悪の敵は?

今回の「日韓雪解けムード」において、オバマ政権の副大統領であったバイデン大統領が、日本側に圧力をかけた可能性は十分にある。彼らにすれば、「台湾有事」が視野に入る中で、対中国勢力として日韓を団結させたいという事なのであろう。

そして、韓国が反省して謝罪しないから「日本側に大幅に譲歩を求める」という過去の悪しきパターンが繰り返される。

だが、米民主党政権がどれだけ頑張っても、韓国は歴史的に中国の事実上の属国であり、現在でもその傾向は変わっていないように思える。韓国が西側の一員であるというのは幻想であり、西側の仮面を被った中華圏であると捉えるのが正解ではないだろうか。

ナポレオンは「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である」と述べているが、韓国に関しては「無能」というよりも「本当に味方になってくれるのか」という疑いが常に付きまとう。

しかも、日本側に大幅な譲歩を要請していると思えるバイデン民主党政権は、「ノルドストリーム爆破事件」という重大疑惑を抱える。彼らの要請に従ったからと言って、日本の安全保障をしっかりと考慮してくれるとは思えない。

また、3月19日公開の「中国の仲介でイラン・サウジ関係改善、世界は米国抜きで回り始めた」で述べた中東産油国と違って、韓国との友好関係を維持することに日本の実益はあまり無い。韓国に対しては、日本の国益に照らし合わせてどのような対応を行うべきか慎重に検討すべきだ。

 このブログでも再三述べているように、日本の戦後外交はGHQが植え付けた「自虐史観」の強い影響を受け、腰が引け続けていて相手の強硬な態度に右往左往し、謝罪を繰返してきた経緯があります。

 日中友好条約は、当時中国がソ連との確執や文化大革命による疲弊の中で、日本に救いを求めてきたのが真相ですが、中国側の周到な準備と調査、戦術の中で日本が逆に中国側の手玉に取られ、終始中国側の都合のいいように条約を結ばれたことが、門田隆将氏の著書に記述されています。

 日韓条約も日中条約までとは言えないでしょうが、韓国側の強硬姿勢に推された面もあるのではないでしょうか。そして中国においてもそうですが、特に韓国においてはその後も慰安婦や徴用工と、ゆすられ続けているのです。一方で竹島の不法占拠は意のままにされ続けています。

 まさに大原氏の述べるように、「韓国との友好関係を維持することに日本の実益はあまり無い。韓国に対しては、日本の国益に照らし合わせてどのような対応を行うべきか慎重に検討すべきだ」と思いますね。その前に、日本の腰砕け外交を早急に立て直さねばならないのは、言うまでもありませんが。

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2023年3月24日 (金)

阿比留瑠比氏:役所が作った文書なのだからと絶対視し、無謬であるかのように取り扱うのは錯誤であり、勘違いも甚だしい

29_20230323104301  「放送法文書」問題の全体像が明らかになってくるにつけ、その構造が「モリカケ」問題に極めて類似していることも、分ってきました。そしてその根底には「官僚文書」の中には「面従腹背」の人物による、所謂「作為」が存在し、時の政権を貶める意図を持っていると言う実態があるようです。

 そしてそもそも、こうした行政文書が「正しい」という固定観念があり、それを利用した人物やメディアによる、意図的な攻撃が行われていると言うのが現実でしょう。この問題について、産経新聞の、論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏が、同紙上のコラム「阿比留瑠比の極言御免」に寄稿した文章を参照します。タイトルは『行政文書を絶対視する錯誤』(3/23公開)で、以下に引用します。

「今回、本件文書について正確性が確認できなかったことは甚だ遺憾だ」

22日の参院予算委員会では、松本剛明総務相が放送法の政治的公平に関する平成27年の総務省の行政文書を巡り、繰り返しこう答弁していた。高市早苗経済安全保障担当相が、文書のうち自身の言動が記された4枚について内容を否定している件である。

行政文書と一言でいっても、メモや覚書の類いも含まれるし、複数人の手が入って修正が加えられることもあるのだから、それは正確だと言い切れないものもあって当然だろう。誰だって記憶違いや意味の取り違えはあるし、推測で言葉を補うこともあろう。

そんなことを考えながら質疑を聞きつつ、13日の同委で立憲民主党の福山哲郎元幹事長が、高市氏にこう迫っていたのを連想した。

「森友・加計学園も同じだったんです。安倍晋三首相が森友学園に関わっていたら辞めると言ったことで、どれほどの官僚に迷惑が及んだのか。そしてそれは、官僚が正確に文書を作成していたからなんです。だって文書を公開したら安倍首相、昭恵夫人との関わりが明確になる」

実際は森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書をみても、安倍氏や昭恵氏の関与は見当たらず、福山氏の質問は実態を反映していない。

ただ、安倍氏が森友問題や加計学園の獣医学部新設とは無関係だったのと同様に、高市氏が自身はあずかり知らないと主張する問題で、野党に責め立てられているのは確かに「同じ」である。それも、安倍氏は財務省と文科省、高市氏は総務省の文書によって-。

安倍氏は財務省の文書改竄が発覚した頃の平成30年3月9日には、筆者にこう話していた。

「この件は早く片付ける。財務省に全部出させる。どの道、中身はたいしたことないんだから」

その2日後の11日には、こうも説明した。

「財務省は、佐川宣寿理財局長の答弁と整合性を疑われるところを落としている。平沼赳夫、鳩山邦夫、鴻池祥肇、中山成彬各氏らの働きかけの部分も全部落としている。ただ、全部本筋に関わりがない」

財務省は安倍氏への忖度ではなく、佐川氏が国会で事実と異なる答弁をした部分との整合性を取るため文書を改竄したのだった。

一方、加計問題に一気に火が付いたのは朝日新聞が平成29年5月17日の朝刊1面トップ記事で「新学部『総理の意向』」「文科省に記録文書」と書いた文科省の「文書問題」がきっかけだった。

だが、その「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題した文書は、文科省が約3カ月後に発表した同様の文書をみると、朝日の記事にはない次の一文が明記されていた。

「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」

安倍氏の指示だということにして取り繕っておけばどうかという話であり、逆にそんな指示などなかったことを示している。

結局、行政文書だ公文書だといっても、省内の都合で改竄されることもあれば、政敵を倒すために一部を切り取ったり隠したりして利用されることもある。そもそも財務省の文書は、「安倍」を「安部」と誤記すらしていた。

役所が作った文書なのだからと絶対視し、無謬であるかのように取り扱うのは錯誤であり、勘違いも甚だしい。

 これが所謂行政文書の実態でしょう。そしてその文書は反政権や閣僚の意を持つ人物によって書き換えられるか切り落とされる、または省益の都合でゆがめられるかしているのです。

 それをすべて正しいという前提で、反政権や閣僚側が利用する構図が見て取れます。「モリカケ」は朝日新聞、「放送法文書」は小西参議院議員がそれを反安部、反高市に利用したのです。何とも薄汚い手口でしょう。朝日の購読数凋落、立憲民主の支持率低迷は、国民がそうした姿勢を見透かしている結果だと思いますね。

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2023年3月23日 (木)

高橋洋一氏:高市大臣の「濡れ衣」はほぼ晴れたのに、まだ「罷免」にこだわる人たちに告ぐ

Images-13_20230322164501  「放送法文書」の国会での小西立民議員と高市大臣のやりとりは、今や高市大臣の「もう質問しないで下さい」という答弁の言葉尻を捉えた、実にくだらない本質から外れた問題にすり替わってしまっています。

 しかも同じ与党自民党の末松信介参議院予算委員長が異例の注意をしたことにより、高市氏もやむなく撤回する羽目になっています。メディアは一斉にこの撤回の件を大臣の放言撤回のように報道しています。だがよく考えると、末松氏は誰か高市氏をよく思っていない人物が背後でそう言わせたのではないかと、勘ぐってしまいますが。

 いずれにせよ、この「放送法文書」の顛末は、高市氏には非がなく総務省内(旧郵政省)内の、反高市氏勢力による捏造と考えられるようになっていますが、この問題の背景について、経済学者で大が教授の高橋洋一氏が、現代ビジネスに寄稿した記事を参照しましょう。タイトルは『高市大臣の「濡れ衣」はほぼ晴れたのに、まだ「罷免」にこだわる人たちに告ぐ』(3/20公開)で、以下に引用します。

奈良県知事選前のネガキャン

3月3日の参院予算委員会から、小西文書で国会は持ちきりだが、いよいよ最終局面になったと思っていた矢先、とんでもない情報が18日夜に舞い込んできた。政府内で、高市大臣を罷免する動きがあるというのだ。

週明け21日には何があるのか予断を許さないが、結論から言えば政府は何をみてきたのかとあきれるばかりであり得ないことだ。冷静にこれまでの動きを振り返っておこう。

本コラムでは3月6日付《小西氏公表の「放送法文書」は総務省内の「旧自治」「旧郵政」の些細なバトルの産物?》で、8年前の旧自治対郵政の下らない案件ではないかという見立てから、小西文書の形式面の不備も指摘した。

8年前当時の旧自治の礒崎補佐官が放送法を取り上げようとしたが、旧郵政の山田秘書官と旧郵政の安藤情報流通行政局はディフェンスした。結果的に官邸で誰も関心を示さなかったので、放送法の解釈の変更も何もなかったというものだ。

それを今になって立憲民主党が取り上げたのは、大分の参院補選(4月6日告示、23日投開票)で自民党県連が立候補者を発表する直前で、出馬が目されてきた礒崎氏またはその勢力へのネガティブイメージを作ること、さらに奈良の県知事選(3月23日告示、4月9日投開票)での旧自治の平木氏(高市総務大臣時代の秘書官)へのネガティブキャンペーンだ。

特に大分の参院補選は、2019年の参院選で礒崎補佐官を破った立民、共産などの支援を受けていた安達氏の大分県知事選への出馬に伴うものなので、再び野党系候補を当選させたかったのだろう。

こうした筆者の見立ては、これまでのところほとんど当たっている。

総務省は10日、全体の文書の精査状況を明らかにした。13日付本コラム《「小西文書」のなりゆきに慌てふためく左派メディアは、世界の潮流がわかっていない》では、10日の総務省発表で小西文書が行政文書であることが判明し、鬼の首を取ったかのように一面トップで報じた朝日新聞と毎日新聞を冷笑した。

レク結果は書き換えられた?

元官僚である筆者から見れば、小西文書が行政文書であるのはわかっていたが、同時に、行政文書といってもメモ程度のもので、必ずしも正確とは限らない。6日付コラムでは、形式面に着目して、正確でない下らない文書と書いたつもりだ。

争点になっていたのは2015年2月13日の高市大臣レク結果という文書だ。翌14日、衆院総務委員会で松本総務大臣は「「上司の関与を経て、このような文書が残っているのであれば、2月13日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高い」と説明した。

この松本総務大臣発言で重要なのは「『上司の関与を経て』レク結果があるので、レクがあった可能性が高い」という点だ。筆者は、その言葉を13日の国会でも総務省局長が使っており、かなり驚いた。

この「上司の関与を経て」は書き換えを示唆しているからだ。要するに、大臣レクについて、(1)行われた可能性が高い、(2)レク内容はわからない、(3)レク結果は書き換えられたと松本総務大臣は答弁しているのだ。この13日の局長答弁と14日の大臣答弁は、13日の本コラムの執筆時にはわからなかったが、本コラムはほぼ当たりだった。

一部マスコミからも、『上司の関与を経て』について、「あれは記録者が最初に作ったメモを、上司が原形をとどめないほど書き換えたことをにじませたものだ」という報道も出ている。

いずれにしても、高市氏と、同席していた大臣室の2人(参事官、秘書官)もそうした大臣レクの記憶がないというのはあまりに不自然だ。

一般の方が行政文書と聞くと、無批判に正しいものと勘違いしてしまう。そういう人たちのために、筆者の体験を書いておこう。

筆者の場合、2005年から06年に総務大臣補佐官(大臣室参事官)を経験している。その前の大蔵省時代、「大蔵対郵政大戦争」の最前線にいて、各種の政策議論を当時の郵政省と交わす立場だった。郵政内の行政文書で当時、どのように書かれていたのか見たところ、まったくデタラメだった。当時の筆者の驚きと、今回の高市氏の反応は似たものだろう。

2017年3月の加計学園問題でも、各省間での折衝の際、折衝メモがそれぞれの省の職員で作られたが、相手省の確認を受けておらずに、自省に都合よく書かれていて、その正確性は疑問視された。

その後の行政文書作成のガイドライン改正で、政策立案などでの打ち合わせ文書では相手方の確認を取るとされたが、それ以前は確認を取ることはなかった。

今回問題とされている行政文書は2015年のものなので、正確性が確保されていなくても不思議ではない。

高市完勝、小西惨敗

16日には、さらに驚きの事実が国会で明らかになった。総務省の小笠原情報流通行政局長は16日の衆院総務委員会で、共産党の宮本衆院議員の質問に対し、「総務省で電子的に保存されていた。総務省が行政文書と認めた文書は、確認した結果、行政文書ファイル管理簿への記載が行われていなかった」と答弁した。

8年前の話なので、筆者は正直に言って電子的に保存されているかどうかは五分五分だと思っていた。行政文書ファイル管理簿への不記載は、小西文書が旧郵政の内輪メモであるので、旧自治に知られないようするためには不記載だろうと思っていた。

これでほぼ最後のピースが解けた。電子的に保存されていれば、どのように書き換えが行われたかも明らかなはずだ。

17日には、総務省から精査状況の追加報告があった。

まず、礒崎補佐官関係で、「放送法4条の解釈を変えるよう強要されたことはなかったことは確認された」。

2015年2月13日の高市大臣レクについて、「放送関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」、「作成者および同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった」とある。

安倍総理への電話については、「高市大臣から安倍総理又は今井秘書官への電話のいずれかについても、その有無について確認されなかった」。

以上の話はほとんど公開情報に基づくものだが、マスコミは、安倍総理が放送法の解釈変更を総務省に迫ったという「思い込み」で凝り固まっているので、まったく方向違いの方向の記事ばかりだ。おかげさまで、筆者のYouTubeチャンネルで報じており、すでに再生回数は600万回に達しようとしている(3月19日夕方時点)。

こうしてみると、高市大臣の晴れた濡れ衣はほぼ晴れただろう。普通であれば、これらの総務省調査により、事態は収束していくはずだ。立憲民主党にはこれ以上追及する余地はほとんどないからだ。

しかしながら、ここで終わらないのが、政治の怖いところだ。それが冒頭に述べた、政府内における高市大臣の罷免の動きだ。これはデマではない。筆者は二次情報に基づく話で書かないのは、本コラムの読者であればわかっているだろう。

一連の総務省の発表を見れば、高市大臣の完勝、小西議員の完敗である。しかし、この時期に高市大臣に謝罪をさせ、マスコミはそれをやはり間違っていたと報じた。それにより自民党内の高市大臣に反感を持っている人の溜飲を下げ、高市大臣の影響力をそぐ動きが実際にあったのだ。当然、高市大臣はそうした謝罪は拒否したので、罷免になるぞという脅しが岸田首相本人かどうかは不明だが、政府内にあるのだ。

ここで国民的な人気があり、セキュリティクリアランスを精力的に進めている高市大臣を罷免したら、各地の補選や統一地方選にも影響するだろうから、そんなバカな話は、筆者は絶対にないと思うのだが、もしそんなことになったら、日本は沈没してしまう。

 この高橋氏の記事で、小西議員が国会審議に提出した文書の全体像が分りますが、問題はこれを取り上げた小西議員や、後追いで質問を続ける立憲民主党の意図です。

 高橋氏は奈良知事選や大分参院補選に対するネガキャンだと指摘していますが、そうであれば何とも汚いやり方ではないでしょうか。この議員やこの党は国政を何だと思っているのでしょうか。やはり社民党のように、やがて消えて無くなって行く方が、国民のためになる党である事は間違いないでしょう。

 それにしてもこの立憲民主による意図に図らずも乗ってしまい、高市氏の罷免に走ろうとする勢力が自民党内にあることは、極めて遺憾です。そこには正義も何もない、ただ野党に翻弄されるのを避けようとする、自己防衛の姿勢がありありとしているように思えます。こんなことでは高橋氏指摘のように日本は沈没してしまうでしょう。

 

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2023年3月22日 (水)

伊東乾氏:絶対に知っておくべき、プーチン逮捕状の真の意味 旧統一教会にも酷似する悪行の手口に、全世界からノー

Images-12_20230320145801  国際刑事裁判所(ICC)は17日、ロシアが侵略するウクライナの子供の拉致に関与した疑いがあるとして、戦争犯罪の容疑でロシアのプーチン大統領に逮捕状を出しました。ロイター通信によると、ウクライナのコスチン検事総長は「ウクライナと国際法システム全体にとって歴史的な決定だ」と歓迎しています。

 これに関連して東京大学大学院情報学環助教授の伊東乾氏が、JBpressにコラムを寄稿しています。タイトルは『絶対に知っておくべき、プーチン逮捕状の真の意味 統一教会にも酷似する悪行の手口に、全世界からノー』(3/20公開)で、以下に引用して紹介します。

 オランダ・ハーグに所在する国際刑事裁判所がロシア連邦大統領のウラジーミル・プーチン容疑者に対して、占領地域からの子供の拉致監禁などの戦争犯罪で逮捕状を出しました。

 このアクションに関して、日本の報道がスルーしているポイントを3つほど強調しておきます。

 第1はこれがアメリカ合衆国からではなく、米国が参加していない国際刑事裁判所(ICC)からのものであることです。

 つまり欧州・EU発の「ウクライナ終戦」に向けての強いリクエストであるという基本事実です。

 プーチンの犯罪容疑について考えてみましょう。

 いまもし、北海道にロシア軍が上陸し、市街を爆撃し無差別殺戮を行った後、生き残った日本人の大人と子供を区分けし、大人については「鑑別収容所」に送って人物チェックを実施したとしましょう。

 そして、子供については「人道的な観点から」サハリンやカムチャツカ、ウラジオストクなどの沿海州に連れ去り、そこで「保護の観点から」ロシア人家庭との「養子縁組み」を強要したとしたら?

 プーチンが、執行官のマリア・リボア=ベロア・ロシア大統領全権代表と共にやっていることは、まさにこれに等しいのです。

「プーチン容疑者」第2のポイントは、いま日本で第1に指摘すべきとも思いますが、霊感商法の宗教カルト、統一教会による「集団結婚式」に類似した手口であるという事実です。

戦争犯罪はいかに構成されるか

 これまでにもロシアが、ドンバスやザポリージャ、あるいはキーウ近郊などウクライナの占領地域で働いてきた悪逆非道は、幅広く報道されています。

 無差別砲撃、強制収容、拷問、虐殺、レイプ・・・。

 こうした犯罪をどれだけ並べても、そうした「皆殺し」がピョートル大帝以来の歴史的伝統、下手をすれば英雄的美徳などとされかねないロシアでは、蛙のツラに小便ほどの効果もありません。

 開き直って正当性を主張するパターンが延々と続いてきました。

 これは何も珍しい特殊なことではなく、ほんの80年ほど前の日本でも、鬼畜米英に対抗し本土決戦を本気で考えていた人たちがあり、占領地域での「武勇伝」を誇らしげに地元で語る兵も少なからず存在していました。

 戦後、BC級戦犯として多くが命を落とすことになりましたが、筆者にとっては両親ともこの出征世代で、父親は実際に学徒出陣してソ連軍と白兵戦を戦い、虜囚となってシベリアのラーゲリ、強制収容所で油田開発の強制労働に従事させられています。

 ついこの間、我が家が遭遇した難儀という現実感をもって記しています。樺太にあった伊東家の家作も根こそぎ奪われました。

 しかし、こういう局面でも、相手が大人であれば、何とでも言い逃れをして恥じないのが現地の文化で、むしろ見え見えのウソであってもそれを強弁することが「狡知の働く英雄的なキツネ」程度に評価されるのが、民衆感情の一端にあるようです。

 日本でも「秀吉の一夜城」など、敵を欺いて大勝利の計略に拍手喝采を送るメンタリティがありますから、ロシアだけを特殊視はできないでしょう。

 相手が「成人」であれば「テロリストであった」「武力で反撃してきた」「やむを得ず正当防衛で攻撃した」など、何とでも反論ができる。それで口を拭っていればよい。

 しかし、そうした行動がとれない未成年者、子供の場合はどうか。

 今回の国際刑事裁判所・検事の立件は、この点を突いたものであることに注意する必要があります。

 子供はいまだ自己決定するだけの分別がありません。また武装などしておらず、幼児であればあらゆる抵抗が不可能な、無力な存在に過ぎません。

 その保護はあらゆる国際法が認めるところで、ロシアですら建前上は「保護」を前面に打ち出さないわけにはいきません。

 しかし、そうやって強制的に「ロシア人」と「縁組」させられる子供の心情を考えればどのようであるか?

「里親」にさせられるロシア人もまた、当局に強制されて里子を迎え入れる場合が大半であることに注意する必要があります。

 要するに、養子縁組させられるロシア側も、ウクライナ側も、実は「被害者」なのです。

 しかし無理やり縁組させられ、共に暮らして1年2年と時間が過ぎれば、そこは人間と人間です。情が湧くのが当然で、すげないことはできない、ずぶずぶの泥沼にはめられていく。

 この手口、まさに「統一教会」が「集団結婚式」でむりやり「縁組」させ、永続的な搾取の構造を固定するのと、そっくり同じであることを指摘しないわけにはいきません。

 人の心をもずたずたにする、こうしたロシアの戦争犯罪は、決して許されるものではありません。

ついに始まったロシア包囲網

 今回の戦争は、これが長引くことで経済的に利益を被るセクターがあるため、短期決戦での終戦が先延べされているのは間違いないでしょう。

 しかし、実際に戦わされる前線の兵士たちにとっては「いい迷惑」だけで済む話にはなっていない。

 欧州サイドから「もうやめてくれ」という強い意思表示が示されたのが、今回の「プーチン逮捕状」だと、正しく理解する必要があるでしょう。

 ロシアは国際刑事裁判所の批准国ではないので、プーチンの身柄が直ちに拘束されることはありません。もっとも、署名国ではあるので、引き渡しの可能性は理屈の上ではあり得ますが・・・。

 現実問題として、今の体制が続く限りはその可能性はないでしょう。

 そこで改めて「国際刑事裁判所」の源流も探訪しておきます。

 ICC(国際刑事裁判所)は2003年の国連会議で採択された「国際的に重大な関心が寄せられる刑事犯罪」に関して「個人」を裁くために設置された刑事司法機構です。

 具体的には「大量殺戮」「人道に対する罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」などを対象とし、同様の犯罪を裁く国際司法裁判所が「国家」などの法人を対象とするのに対して、「個人」の犯罪を裁くことに焦点が当てられている。

 だから今回の逮捕状は、あくまで「人道に対する罪」である「戦争犯罪」を犯した容疑で、ロシア連邦のウラジーミル・プーチンとマリア・リボア=ベロア個人を国際手配するものであることに注意しておきます。

 国際刑事裁判所の加盟国は世界123か国にのぼります。

 と同時に、現在の2大超大国である米国と中国が未加盟、さらにはかつて冷戦期のメガパワーであり、現在のウクライナ戦争当事者であるロシア連邦も未加盟であるため、「その有効性を疑問視」する声も上がっていました。

 しかし、今回の「プーチン逮捕状」報道が、狙いすました形で、3月20日から予定されている中国の習近平国家主席のロシア訪問にぶつけられている点に注意するべきでしょう。

 いずれもICC加盟国ではないロシアと中国ですが、ICCはEUの枠を超えた全欧州地域、つまり英国もスイスもノルウェーも締結国で、プーチンが外交上これら加盟123か国を訪問した場合、直ちに身柄を拘束される可能性があります。

 プーチン容疑者にとってはありがたいことに、中国のほかにも「お仲間」のベラルーシ、あるいはトルコ、北朝鮮なども未加盟なので、そうした国々と仲良くやっていくことになるのでしょう。

 しかし、はっきり言って世界の大半、もっと言えばOECD(経済協力開発機構)の主要国とまともな円卓につけない「身分」に落ちてしまったわけです。ここに「プーチン容疑者」第3のポイントがあります。

 プーチン・ロシアはまともな先進国外交のテーブルにつけない、最後通牒を突き付けられてしまった。

 超大国を除くほぼすべての先進国から「容疑者」扱いの人物を大統領に担いでいる間中、外交交渉上至る所でロシアが不利になるのは、あまりに明らかです。

 つまりロシアの内側からも、もうこんなおみこしを担ぐのはたくさんという動きが加速する可能性が考えられるでしょう。

 例えば、ロシアはG20の加盟国ですが、2021年にG20が開催されたイタリアはICC加盟国、2022年のインドネシアは未加盟国でした。

 今年から向こう3年間にG20が開催される国を見てみると

2023年、インド:未加盟

2024年、ブラジル:加盟国

2025年、南アフリカ:加盟国

 となっています。

 もし来年までプーチンが政治的、生物学的に延命していたとしてもG20首脳会議に出席することは見合わせた方が安全、ということになっている。

 まあ、そこまで持つか誰も分からないところではあります。

 子供の拉致と強制収容という手口はまた、かつてナチス・ドイツが行ったホロコースト犯罪をも踏襲するものです。

 よく知られた「アンネ・フランク」一家の場合、アムステルダムで隠れ家を急襲されたのち、両親はアウシュヴィッツに送られ、子供たち、つまりアンネとお姉さんのマルゴーの2人はベルゲンベルゼンの子供収容施設に移送されました。

 衛生状態最悪の同地で、たぶんチフスのためと思われますが、終戦前月の1945年3月、命を落としています。

 絶滅収容所の印象が強いアウシュヴィッツですが、実際にはドイツの化学企業IGファルベンの軍需生産工場でもありました。

 そこでの強制労働をアンネの父親、オットー・フランクだけが生き伸びることができました。

 お母さんのユーディット・フランクはアウシュヴィッツで労働に値せずと判断されたのち、1945年1月に餓死しています。

「ロシアによるこどものつれさりと養子縁組」という文字列の後ろに、どれだけ多くの人外無法な犯罪がひしめいていることか。

 昨今のネットユーザに十分伝わっているか大いに疑問であり、あえて生々しい例を引きつつ、実情と思しい容疑事実の非道さを強調しました。

 本件に限らず、立件可能な戦争犯罪、侵略犯罪、人道に対する罪などの咎で、今回のウクライナ戦犯が一日も早く一掃されることを望まないわけにはいきません。

 日本もロシアの前身ソ連により、大東亜戦争終戦間際の8月9日突如として日ソ中立条約を破棄、宣戦布告されました。そしてソ連は、総兵力147万人をもって満洲・樺太・千島に侵攻し、殆ど兵力のなかった日本を完膚無きまで叩き、兵士のみならず多くの一般人に、残虐の限りを尽くしたことは周知の事実です。

 更には伊東氏の父親が遭遇したように、満州の日本兵は殆どがシベリアに強制移動(シベリア抑留)され、強制労働、拷問にも似た共産主義洗脳教育をされました。60万人近くが抑留され、約1割の人が死亡したとされています。

 このような旧ソ連政府の残虐非道の流れを汲む、今のロシアのプーチン政権は、ネオナチとの戦いと言ってウクライナ侵略を始めましたが、自身こそナチスの生まれ変わりのような残虐非道なことを、ウクライナでやっているのです。逮捕状が出るのが当然で、むしろ遅すぎたと言えるでしょう。

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2023年3月21日 (火)

【放送法問題】安倍元首相がTBS「サンデーモーニング」より問題視していたNHKの“偏向番組”「JAPANデビュー」

27_20230320111701  今渦中の「放送法文書」問題。当時首相補佐官だった礒崎陽輔氏が、総務相官僚との間で繰り広げられたやりとりの中身が、いろいろ取り沙汰されていますが、その中で、放送法4条の解釈を変えるよう強要されたことはなかったことは確認されています。 もちろん高市氏が関与しているような文書は、高市氏本人によって完全否定されています。このように小西議員の意図も崩されつつあるようです。

 ところでこれらの文書の中で、当時、故安部元首相がテレビ放送の「政治的公平」に関し、もっとも問題視していたのはNHKの放送番組(JAPANデビュー)だったことが、礒崎氏の発言として含まれていたようです。この「JAPANデビューの第一回、アジアの“一等国”」は以前にもこのブログで取り上げました。

 今回はより詳細に記述された記事があります。 デイリー新潮編集部がこの「放送法文書」問題に関連して公開した記事です。タイトルは『【放送法問題】安倍元首相がTBS「サンデーモーニング」より問題視していたNHKの“偏向番組”とは』(3/16公開)で、以下に引用します。

「TBS NEWS DIG」は3月14日、「高市大臣、放送法の解釈に関する答弁前夜の『資料を提出する』」との記事を配信した。高市早苗・経済安全保障担当相(62)は国会で、《礒崎氏の影響を受けていないことを証明するため、資料を提出する考えを表明》したという。

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 この《礒崎氏》とは、当時の首相補佐官だった礒崎陽輔氏(65)のことだ。礒崎氏は2015年3月6日、3人の総務省官僚と首相官邸で面談した。

 その際、重要な問題として取り上げられたのが、「サンデーモーニング」(TBS系列・日曜・8:00)と「報道ステーション」(テレビ朝日系列・平日・21:54)の“比較論”だった。

 もちろん出典は“放送法文書”だ。立憲民主党の参議院議員・小西洋之氏(51)が入手し、総務省が行政文書と認めたものだ。

 前日の3月5日、磯崎氏はテレビ放送における「政治的公平」の問題に関し、当時の安倍晋三首相に説明を行った。

 磯崎氏はテレビに対して安倍氏がどのような考えを持っているのかを官僚に伝え、その概要が「磯崎総理補佐官からの連絡(総理レクの結果について)」という題でメモ化された。非常に興味深い内容のためここで紹介する。

 ちなみに当時「報道ステーション」は古舘伊知郎氏(68)がキャスターを務めていた。文書には古舘氏の名前が登場するが(※原文は「古館」と誤記)、その点をご留意いただきたい。

 では早速、内容を見てみよう。以下の引用は全て磯崎氏の発言だと文書に明記されている。

《総理がいちばん問題意識を持っているのはNHKの「JAPANデビュー」だが、これはもう過去の話。今はサンデーモーニングには問題意識を持っている。(報道ステーションの)古舘も気に入らないが、古舘はゲストを呼ぶ。ゲストが弱くて負けるのはしょうがないが、この違いは大きい。サンデーモーニングは番組の路線と合わないゲストを呼ばない。あんなのが(番組として)成り立つのはおかしい。あとはNHKの5:30のラジオ(?)もテレビに出演できないようなゲストばかりで質が悪いが、今日のところはこれはいい。とにかくサンデーモーニング》

 次に紹介する発言は、磯崎氏の見解も少し入っているように読める。

《古舘は番組には出演させる。総理が呼ばれれば総理はけんかするだろう。その意味でもサンデーモーニングは構造的におかしいのではないかということ。皆さんもこうした問題意識は頭に入れておいていただきたい。(笑いながら)あんまり無駄な抵抗はするなよ。何回も来てもらってありがとう》

「JAPANデビュー」

 文書の信憑性が議論されているとはいえ、多くの人が「非常にリアル」という印象を持ったはずだ。安倍氏の“テレビ観”が浮き彫りになっており、国会で激しい論戦が繰り広げられているのも当然だろう。

 ちなみに、「モーニングバード(現「羽鳥慎一モーニングショー」)」(テレビ朝日系列・平日・8:00)に関する安倍氏の発言も文書には記録されている。報道各社の報道では、この3つの番組に触れたものが多い。

 その一方で、安倍氏が本当に問題視していたのは「JAPANデビュー」だったという記事は──朝日新聞など少数の新聞社を除けば──見受けられていない。担当記者が言う。

「『JAPANデビュー』は2009年4月から6月まで、『NHKスペシャル』(総合・日曜・21:00)の4回シリーズとして放送されました。開国に踏み切った日本が欧米列強にキャッチアップするためどのような歴史を歩んできたか、『アジア』、『天皇と憲法』、『貿易』、『軍事』という大テーマを据えて放送しました」

 放送当時の首相は麻生太郎氏(82)だった。安倍氏は「今、問題視するのは、さすがに古すぎる」という判断を下し、代わりに「サンデーモーニング」に焦点を当てたと考えられる。

「超偏向番組」

 安倍政権がテレビ局に強い“圧力”をかけようとしていたことが“放送法文書”から読み取れる──こう解説する専門家や識者は多い。

 その指摘は頷けるところも多いが、だからと言ってNHKの「JAPANデビュー」が“偏向番組ではない”ということにはならない。

 いや、はっきり言えば、偏向していたのだ。安倍氏が問題視したのも「JAPANデビュー」に限って言えば頷ける。

 特に日本統治下の台湾を取り上げた第1回の「アジアの“一等国”」は、その内容を専門家が疑問視しただけなく、取材に協力した出演者からも強い異論が表明された。

 週刊新潮は2009年4月23日号に「歴史歪曲と『台湾人』も激怒したNHK『超偏向』番組」との特集記事を掲載した。

 安倍氏の“テレビ観”が形作られた原点として、特集記事の全文を掲載する。文中の肩書や固有名詞は掲載時のままとした。まずはリードからだ。

【リード】

 性懲りもなく、というべきか。史実を枉げ、日本の台湾統治を徹底的に貶めたNHKドキュメンタリーの「超偏向」ぶりに抗議が殺到している。日本の視聴者ばかりか出演した台湾人も激怒するこの番組、中国、台湾との外交関係にも影を落としそうなのだ。

“人間動物園”の真実

【本文】

「“偏向番組”の一言に尽きます。“日本は加害者”という自虐史観ありきで、そこから一歩も出ていない」

 台湾出身の評論家・金美齢氏も、そう憤るのだ。4月5日に放送されたNHKスペシャルの「超偏向」ぶりに、識者や関係者、そして一般視聴者から怒濤の批判が沸き起こっている。

 横浜開港で日本が世界にデビューしてからの150年を辿る「シリーズ・JAPANデビュー」。その第1回放送『アジアの“一等国”』のテーマは、50年に及んだ日本の「台湾統治」だった。明治28年、日清戦争に勝利した日本は、台湾を割譲された。この番組によれば、植民地を持つことで世界の“一等国”入りを目指した日本は、抵抗勢力を武力で押さえつけ、台湾の先住民族を博覧会に“展示”して統治の成功を世界に示し、さらに「格差と同化」という矛盾する統治で「差別」を生みながら、「改姓名」などの皇民化運動で台湾人から民族性を奪っていった……この番組は、日本の台湾統治の“極悪非道”ぶりを徹底的に描き出すのだ。

「番組全体が“捏造”とまでは言わないにせよ、ひどい歪曲の連続でした」

 台湾研究フォーラム会長の永山英樹氏が呆れて言う。

「たとえば、番組冒頭で“日本の台湾統治を象徴する”ものとして紹介された1枚の写真には“人間動物園”なる刺激的なタイトルがつけられている。そして、台湾の先住民族パイワン族を、日本政府は1910年にロンドンで開かれた日英博覧会に連れて行き、“見世物として展示した”と解説されるのです。確かに当時の西欧には、植民地化した土地の未開人を見せて金を取る人間動物園という見世物があった。しかし、この時にパイワン族が披露したのは伝統的な踊りや模擬戦闘。歌舞伎や相撲の海外興行と同じで、誇りを持って自分たちの技を披露しているのです。同じ博覧会の写真でインドの人々は半裸ですが、パイワン族がちゃんと民族衣装をつけていることからも、扱いの違いが窺える。NHKは“展示された青年”の遺族に“悲しいね。この出来事の重さ、語りきれない”と言わせていますが、写真だけ見せられて“あなたのお父さんはロンドンで動物のような扱いを受けた”と言われたら、誰だって悲しくなるでしょう」

 櫻井よしこ氏も言う。

「この番組では、強烈なイメージを呼び起こす“人間動物園”という言葉を、当時の日本政府が使った言葉と錯覚するように使っている。全篇がそうした“歪曲報道”の連続なのです」

 さらに、番組では〈台湾人を強制的に日本人へと変える政策〉の一環として、〈同じ時期、朝鮮半島では新たに氏を創る「創氏改名」が行われ、台湾では「改姓名」が始まりました〉と解説しているが……。

「ここにも大きな誤りがあります。半ば強制だった(?)朝鮮の創氏改名と、許可制だった台湾の改姓名は全く別物。日本語常用家庭に育ったことなどの条件を満たした上で、総督府の審査に通らなければ改姓名はできなかった。その証拠に、昭和18年の時点で朝鮮では人口の80%以上が創氏改名を済ませていましたが、台湾で改姓名したのは1・6%に過ぎません。この数字を見れば強制でなかったことは一目瞭然です」(同前)

 日本統治の“苛酷さ”を強調するナレーションは、さらにヒートアップする。〈皇民化政策は、台湾人の心の中まで踏み込んでゆきます。台湾全島に日本の神社を次々に建て、人々に参拝を強制します。そして、台湾人が拠り所にしてきた宗教への弾圧が始まります。道教寺院や廟の参拝を制限。建物の取り壊しも始めます〉。そして現在、廟を管理する80歳男性の少年時代の記憶として、〈1938年、地域の寺院や廟に祀られていた神々の像が集められ、すべて焼かれました〉〈「(神像の提出に)従わない者は29日間も刑務所に入れられるのですよ」〉。そんな“弾圧”ぶりが紹介される。

「確かに、一部の地方官吏によって半ば強制的に行われた例もあったのかもしれませんが、台湾総督府がこのような“寺廟整理”を行ったのには理由があり、しかもそれは強制ではありませんでした。そもそも、寺廟整理は、迷信の打破・物資の節約・火災の危険予防など台湾の近代化、文明化に必要だとして、台湾の有識者らの賛同も得て行われたこと。それを単純に“宗教弾圧”とするNHKの見方は乱暴だし、公正さを欠くものです」(永山氏)

 番組は、教育勅語を得意気に暗唱してみせる台湾人男性の姿なども紹介しながら、やはり最後はこう締めくくるのだ。〈親日的とも言われる台湾に、今も残る日本統治の深い傷。これは今後アジアの中で生きていく日本が分かち合わなければならない現実です〉。ここまで“日本統治=悪”、“日本人=加害者”の意識を貫ければ、むしろ、ご立派というしかない。

無視されたトオサンの声

 そうした「歪曲」以上に話題となっているのが、台湾の人々の証言が、編集の名のもとに恣意的に“操作”され、日本を貶める論調に利用されたことだった。

「この番組は、NHKワールドプレミアムという有料チャンネルで日本と同時に見ることができたのですが、その内容には驚きました」

 そう言うのは、日本統治時代に日本人として教育を受けた日本語族台湾人、いわゆる「トオサン(多桑)」の一人として今回の番組に度々登場する、柯(か)徳三さん(87)である。番組では、狭き門をくぐり抜けてエリート校・台北第一中学校に入学した台湾人生徒について〈しかし日本人が大多数を占める中で、より多くの偏見や差別に苦しめられることになります〉とするナレーションに、柯さんのこんな発言が続く。〈「台湾の、あの豚肉の角煮ね、ローバーだな。ああいうものを弁当に持っていくでしょ、そうすると笑われるんだ。特に豚のしっぽなんか持ってったら笑われる。『あれなんだ、豚のしっぽだ。台湾人は豚のしっぽ食うのか』と、わいわい騒ぎ立てる」〉

 柯さんの苦言は続く。

〈「私のいとこのお姉さんが、日本人の嫁になって日本に行ったけれどね、戸籍が入らん。あれが差別。こういうのが差別でしょう」〉

〈「頭のコンピューターが、すでに日本語化されてしまっているから。あの二十何年間の教育というのはね、実に恐ろしいね。頭が全部ブレーンウォッシュ(洗脳)されているからね」〉

 こうした証言だけ聞くと、柯さんは筋金入りの反日家のように聞こえるが、ご本人はこう憤るのである。

「私がNHKの取材で強調したのは、日本による台湾統治はプラスが50%、マイナスが50%、確かに差別も受けたが日本は台湾に多くのものを遺してくれた、ということ。日本の教育を受けなければ今の私もなかった。日本は私にとって“おっかさん”のようなものです。それが、私が一番伝えたい部分でした。だが、そうした発言は悉くカットされた。取材の際にスタッフからは“都合の悪いことは言わなくていい”と言われていた。私は“都合の悪いこと”は日本批判かと思い、“なんでも正直に話すつもりですが、聞こえが悪いところがあったらどんどん削ってよ”と言いました。それは、日本人を不快にする悪口があれば削ってくれ、という意味です。ところが放送を見たら、逆に悪口ばかりが使われているので大変驚きました」

 05年に東京で出版した著作『母国は日本、祖国は台湾』でも、柯さんは、日本人への感謝の気持ちを含め、日本統治の功と罪とをきちんと振り返っている。

 トオサンたちの日本統治時代への思いを取材した平野久美子氏のノンフィクション『トオサンの桜』には、110人に尋ねたアンケートの結果が掲載されているが、たとえば〈今までの人生で最も愛着を覚えるのはどの時代ですか?〉という問いに対する回答のトップは「日本統治時代」だった。番組では柯さん以外にも何人かが日本に対する恨み節を口にしたが、

「彼らが恨んでいるのは、戦後の日本に対してです。日本が戦争に負け、サンフランシスコ講和条約で台湾の領有を放棄したこと、つまり日本に捨てられたことが彼らのトラウマになっているんです。NHKは、こうしたファクトには全く触れずに番組を作っている。ドキュメンタリーとしては完全に失格です」(平野氏)

 柯さんはこうも心配する。

「今、台湾は中共に飲み込まれるかどうか、という危うい状況です。日本の統治時代を知る70代以上の年配者は、今こそ日本に手を差し伸べてもらい助けてほしいと願っている。その状況で、台湾が反日であるかのような誤った情報が強調されれば、二国間の関係に水を差すことになる。NHKがこんな番組を作った背後には、日台の関係を引き裂こうとする中共の意向があるのではないか、と邪推してしまいます」

「後藤新平」評価のウソ

 かくも偏向した内容に、日台の視聴者はすぐに声を上げた。日台友好に尽力する「日本李登輝友の会」の柚原正敬・事務局長の話。

「放送の翌日以降、番組に対する怒りの声が数十件、友の会に寄せられました。台湾の若い世代の間でも、“僕のおじいちゃんは日本大好きなのに、あの番組は変だよ”といった疑問の声があがっているそうです。そこで、4月9日には小田村四郎会長と5人の副会長の連名で、NHK会長宛の抗議声明を手渡しました」

 柚原氏も、あの番組にはおかしなところがいくつもある、と指摘する。

「たとえば、総督府の民政局長を務めた後藤新平について、当時の主要産物だった樟脳で儲けようとキールンの港や縦断鉄道を整備したように描いている。しかし、李登輝総統時代に台湾の歴史の副読本に採用された『認識台湾』という本には、後藤が台湾の米作りやサトウキビ栽培を何十倍にも拡大した功績がきちんと記されています」

 メルマガ「台湾の声」編集長の林建良氏も、

「前日4日に放送された同シリーズのプロローグ編『戦争と平和の150年』も観ましたが、“左巻き”の歴史学者たちの宣伝みたいな番組でした。だから、翌日、台湾が取り上げられると聞いて嫌な予感はしていたのですが……。私の親の世代の台湾人はみな口を揃えて“今回の番組はウソだ”と怒っていますよ。NHKは、06年に中国が青海省からチベットまでの鉄道を開通させた時にも、わざわざ2回も特番を組んで礼賛していた。私に言わせれば鉄道はチベット統治を強化するためのものでしかありません。日本の植民地支配をここまで批判しながら、中国で現在進行中の少数民族弾圧などを全く批判しないのも、おかしいでしょう。NHKは中国に阿(おもね)っているといわれても仕方ない」

勉強不足か確信犯か

 そんな数々の怒りの声に、NHKは何と答えるのか?

「この番組は、公共放送としての使命にのっとり、国内外で取材をつくして制作・放送したものであり、『反日・自虐史観を前提にした偏向報道である』とは全く考えていません。歴史的な事実を共有することで、日本と台湾、また日本とアジアとの真の絆、未来へのヒントを見いだそうとしたものです」(NHK広報局)

 台湾の人々、そして日本の視聴者を愚弄したことへの反省は微塵も感じられないのだ。先に紹介した柯さんや平野さんの著作を知っていたのかという質問にも回答はなし。知らなかったのなら信じがたい勉強不足だし、まして、知っていて無視したのなら、まさに「超偏向番組」の謗りは免れまい。さらに、こんな批判も。

「NHKのドキュメンタリーの作り方は、『プロジェクトX』が“成功”を収めた頃から変わってきた。分かりやすさを優先し、本来は複雑な世の中を白黒の2つに単純化することでドラマティックな物語を生んだが、同時に不都合な事実には敢えて触れないといった不実さも生まれたのです」

 と指摘するのは、東京工科大学教授(メディア論)の碓井広義氏である。

「しかし、以前に比べれば、現在の視聴者のメディア・リテラシー(メディアの情報を鵜呑みにせず批評的に解読する力)は高まってきています。誤魔化そうとしても、必ずボロが出る。今回の騒動は、番組スタッフがそのあたりを甘く見過ぎた結果とも言えるでしょう」

 4月5日の番組冒頭で、NHKは〈未来を見通す鍵は歴史の中にある〉と高らかに宣言している。とすれば、このシリーズの〈未来〉にも直近の〈歴史〉である第1回放送で露呈した「超偏向」の姿勢が見え隠れするのである。

 この記事を見ると、NHKが完全に中国による「日本と台湾」を貶める意図、を代弁しているかのようです。何故ここまで反日、反台湾の番組が作れるのでしょう。それはNHKの中に中国の闇の手が伸びていることと、脈々と受け継がれてきた、GHQによる「自虐史観」と「プレスコード」による報道管理、検閲の姿勢が、未だに消えていないのでしょう。

 報道管理、検閲の姿勢と言えば、まさに中国共産党政権の施策そのものです。そして偏向報道については、今でもそこここに見られます。民放であれば無料放送ですから、多少の偏向(サンデーモーニングは多少ではないが)も仕方がないかも知れませんが、NHKは受信料を視聴者から取っているのです。偏向は許されません。

 おそらくNHKの中に親中のプロデューサーやディレクターがいて、表現の自由の庇護の元にこうしたシナリオを作成するのでしょうが、今後ともそうした姿勢を貫くのであれば、受信料制度は破棄すべきでしょう。日本の公共放送の資格はありませんから。

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2023年3月20日 (月)

池田信夫氏:行政文書の「幻の大臣レク」は総務官僚のクーデターか 総務省は公文書偽造と秘密漏洩で担当者を告発せよ

Abt3rz03tw  立憲民主の小西議員が取り上げた「総務文書」に関し、論点の「放送法の解釈変更に強要があった」、かどうかについての調査結果が、総務相から17日発表され、「解釈変更を強要されたことはなかった」と結論づけています。複数の関係者が「放送法の解釈をゆがめることはしていない」「解釈変更を行った認識はない」などと証言したようです。

 一方渦中の「大臣レク」について総務相見解は、「あった可能性が高い」としたものの、内容が正確かどうかは「引き続き精査を実施中」として、言葉を濁しています。以前も取り上げましたが、この「大臣レク」について経済学者の池田信夫氏が、JBpressに更に詳細を述べていますので以下に引用します。タイトルは『行政文書の「幻の大臣レク」は総務官僚のクーデターか 総務省は公文書偽造と秘密漏洩で担当者を告発せよ』(3/17公開)です。

 国会は、立憲民主党の小西洋之議員の持ち出した総務省の行政文書をめぐって紛糾している。文書の内容は大した話ではない。2014年11月から2015年にかけて安倍首相の礒崎陽輔補佐官(当時)が「政治的に偏向している番組を行政指導しろ」と総務省に執拗に求めたが、総務省は拒否し、放送法の解釈を変更しなかったというだけだ。

 ところがその中に脇役として登場する高市早苗総務相(当時)についての記述が「捏造だ」と高市氏が否定し、それが捏造でなかったら議員辞職すると答弁したため、彼女の進退を賭けた騒動になってしまった。その真偽を明らかにする過程で出てきたのは、総務省のずさんな公文書管理だった。

大臣レクが「捏造だ」と当の高市大臣が否定

 この行政文書は総務省が本物だと認め、公式ホームページでも公表されているが、正式の決裁を得た公文書ではない。その半分以上が作成者不明で、内容の真偽は「引き続き精査を実施中」である。

 78ページの文書の大部分は、礒崎氏と総務省の官僚のやり取りで、彼は特定の番組(特にTBSの「サンデーモーニング」)を名指しして、総務省が警告するよう求めたが、総務省が民放との全面対決を恐れ、過去の答弁を踏襲した一般論で収めようとした。

 その中で高市大臣が登場し、特定の番組名を出すと「民放との徹底抗戦」になるとコメントしたため、礒崎氏も了承した。このうち礒崎氏の部分についての記述は彼も基本的に認めているが、高市氏に関する4ページは本人が「捏造だ」と否定した。

 特に問題なのは、2015年2月13日の「高市大臣レク結果(政治的公平性について)」という文書である。ここでは安藤友裕情報流通行政局長が高市大臣に対して礒崎氏からの注文を伝え、高市氏が「苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか」など対応を議論している。

 ここで高市氏が慎重な方針を出し、安藤局長はその内容を4日後の礒崎補佐官レクで説明し、礒崎氏も「上品にやる」と矛を収めた。つまりこの高市大臣のコメントは、安倍首相の権威を笠に着て暴れ回る礒崎補佐官を抑え込む上で重要な役割を果たしたが、高市氏はそんな話は聞いていないというのだ。

「上司の関与を経て文書が残っているなら」という曖昧な答え

 国会で高市氏は、2月13日に放送法に関する大臣レクはなく、礒崎補佐官の関与についても今年までまったく聞いたことがないと答弁した。これについて今週の参議院予算委員会で、総務省の小笠原情報流通行政局長は、次のように答弁した。

 作成者によりますと「約8年前のことでもあり、記憶は定かではないが、日ごろ確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば、同時期に放送法に関する大臣レクが行われたのではないかと認識している」ということでありました(中略)。

 以上を勘案いたしますと、2月13日に関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられます。

 これは奇妙な話である。大臣レクには6人が出席し、そのうち3人が大臣室、3人が情報流通行政局長以下の官僚だった。高市大臣と大臣室の2人(平川参事官と松井秘書官)は「そんなレクはなかった」というのだから、あとの3人が「あった」と記憶しているなら、その証拠を出せばいい。

 大臣の日程表は秘書が分刻みで記録しているので、2月13日の15時45分に大臣が何をしていたかはわかるはずだ。総務省は「1年以上前の大臣の日程表は破棄した」というが、イントラネットには電子メールなどの証拠が残っているはずだ。

 この作成者(西潟課長補佐?)は書いた記憶があれば「私が書いた」と答えるはずだが、「大臣レクが行われたのではないか」と他人事のように答えている。これは不自然だ。自分が書いた文書を見たら、書いたかどうかは誰でも思い出す。これは国会や法廷で問い詰められたとき「私が書いたものではない」という逃げ道を残したのだろう。

 それを示すのが「上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば」という奇妙な条件文である。これは暗に議事録に上司(安藤局長?)が手を入れたことを示唆している。当時の総務省では、担当者の書いたメモを上司が原形をとどめないほど書き換えたことが何度もあったというのが経験者の見方である。

 この文書は大臣レクの記録なのに大臣室には配布せず、事務次官(自治省出身)にも配布していない。桜井総務審議官以下の郵政省系の事務方だけで共有され、正式の決裁も受けず、総務省の行政文書ファイル管理簿にも入っていなかった。

 以上から考えると、2月13日15:45から大臣レクが行われた形跡はない。礒崎補佐官への対応をめぐって、総務省が高市大臣に相談した形跡もない。松本総務相も「同席者の間でも内容についての認識が必ずしも一致していない」と明言を避けた。

高市氏と総務官僚のどちらかが嘘をついている

 このように高市氏と総務省の話は、大きく食い違っているので、どちらかが嘘をついている。高市氏が嘘をつく合理的理由はなく、大臣室の2人の答えも一貫しており、共謀して嘘をついているとは思えない。

 では総務省が嘘をつく可能性はあるだろうか。マスコミでは「官僚が議事録に嘘を書く理由がない」というが、本件ではあるのだ。

 2月13日の会議は、その4日後に予定されていた礒崎補佐官レクを前にした作戦会議だったのではないか。礒崎氏からは「本件を総理に説明し、国会で質問するかどうかについて総務相の指示を仰ぎたい」という宿題が出されていた。それについて情報流通行政局長以下が(大臣抜きで)協議した可能性がある。

 ここに大臣コメントとして出ている話は、局長以下のスタッフの話の主語を変えただけなのではないか。17日には、安藤局長が礒崎補佐官に「極端な事例をあげるのは(答弁として)苦しいのではないか」という高市総務相のコメントを伝え、礒崎氏を抑え込んだ。このとき礒崎氏を説得するために、この議事録を使った可能性がある。

 総務省の事務方は、なぜ大臣に礒崎氏の件を相談しなかったのだろうか。当時は「安倍一強」といわれるほど首相官邸の力が強かった。高市氏は礒崎氏と同じく安倍側近であり、マスコミに対しても強硬派だった。2人の意見が特定の番組を名指しで批判すべきだということで一致すると「民放相手に徹底抗戦」になってしまう。

 そのため安藤局長は、高市氏には知らせないで「1つの番組を名指しするのは答弁として苦しい」という慎重派の意見を大臣コメントとして礒崎氏に伝えたのではないか。これは大臣抜きで事務方が官邸と取引して政策を決めるクーデターのようなものだ。

 高市氏も「総務省の中で私は浮いていた」と語っており、こういうことが常態化していた可能性がある。2014年にフジテレビホールディングスの外資規制違反が判明したときも、これを厳重注意処分にとどめたのは安藤局長で、高市大臣は知らされていなかった。

 総務省の歯切れが悪いのは、西潟氏が「あれは大臣レクではなく、局内の作戦会議だった」と答えたからではないか。大臣コメントは彼が書いたものではなく、上司(安藤局長?)が「関与」して書き加えたとすれば、上司は虚偽公文書作成罪に問われる(総務省は告発義務を負う)。

 さらに重大なのは、このような部外秘文書を小西議員が政治利用したことだ。彼はその文書を「総務省職員」から昨年の参議院選挙前に入手したというが、これが事実だとすると、その職員は国家公務員法100条(守秘義務)に違反する。それを入手して公開した小西氏も、国家公務員法111条違反(そそのかし)に問われるおそれがある。

 5月のG7(先進7カ国首脳会議)では経済安全保障がテーマとなり、各国の情報セキュリティを強化する対策が協議される。情報通信を所管する総務省の情報セキュリティがこのようにずさんでは、各国の信頼を得られない。総務省は当事者を国会に呼んで真相を解明し、秘密漏洩や公文書偽造については刑事告発を含めて厳正に対処すべきだ。

 結局この問題提起は、省庁における文書管理問題と、その内容の真偽の問題の両方を浮かび上がらせた、と言う点では藪蛇だったとは言え意味があったと言えるでしょう。それにしても省庁内の別の問題、つまり政治的な意図を持った書き換えが行われていたとすれば、放置できない問題です。

 この点を含め、池田氏の言うとおり真相解明し、秘密漏洩や公文書偽造については刑事告発を含めて厳正に対処すべきだと思います。そして重ねて言いますが、小西議員が入手した経路の解明も忘れないで、実施してもらいたいものです。

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2023年3月19日 (日)

「管理簿」に存在しない「極秘文書」に正当性 ? 立民・小西議員にネット民の疑問噴出「公にしたらあかんやろ」「泥棒と同じ」

D02b0f18660d2d72cae5d780c1707b68  小西議員が持ち出した総務省の放送法に関わる文書。「上司が書き換えた」という疑惑も新たに出てきて、俄に改竄の可能性が取り沙汰されるようになってきました。更にはこの文書が総務省内の「管理簿」にも記載されていないことが分り、この文書の存在の意味と、何故一国会議員に渡ったのか、流出の経緯の問題も再浮上しています。

 これについてSAKISIRU編集部が、同紙上で公開した記事を取り上げます。タイトルは『管理簿に存在しない「極秘文書」に正当性 !? 立民・小西氏にネット民の疑問噴出 「公にしたらあかんやろ」「泥棒と同じ」』(3/17公開)で、以下に引用します。

安倍政権時代の放送法解釈を巡る問題で、立民の小西洋之参院議員が16日夜のツイッターで、焦点となっている総務省文書について「総務省の最高幹部らが作成し使用したこの文書の内容には疑問など存在しないと言ってよい」などと改めて正当性を主張したものの、その根拠とした「極秘文書」に対する見解が物議を醸した。

小西氏の発言は、ジャーナリストの門田隆将氏が文書問題に関する、この日の衆院総務委での質疑を紹介する中で飛び出した。

総務委では、共産・宮本岳志氏が「文書は行政文書ファイルに保存されていたのか」などと保存の仕方について質問したのに対し、総務省側は「電子的に保存されていたもの」と述べた上で、「確認した結果、行政文書ファイル管理簿への記載が行われていなかった」と答弁した。門田氏はこのやりとりを受け、「管理簿にも存在しないものが、なぜ小西議員に渡ったのか。内容の信憑性を含め更に疑問噴出…」とツイートした。

すると小西氏は「門田氏の悪意は本当に残念だ」と批判し、「行政文書の管理簿に存在しない『極秘文書』だからこそ、提供者はこの文書を使って違法な解釈を廃絶し、言論の自由と民主主義を守って欲しいとの思いで私に託して下さったのだ。総務省の最高幹部らが作成し使用したこの文書の内容には疑問など存在しないと言ってよい」と正当性を強調した。

これに対し、門田氏は「ならば真実の証明にその場にいた人を国会に呼びましょう。まさか反対しませんよね」とすかさず応酬。国会への証人喚問など公開の場での検証を求めた。

小西氏の「極秘文書」に対する見解について、元海上保安官の一色正春氏は「極秘文書は持ちだしたらあかんし、まして公にしたらあかんやろ」とツッコミ。アゴラ研究所代表の池田信夫氏も「自分が何いってるのかわかってるのか」と呆れた様子。さらに池田氏は「『極秘文書』を持ち出すのも、それをそそのかすのも国家公務員法違反だ。役所から文書を持ち出す泥棒と同じ。そのうち検察が来ればわかる。震えて待ってろ」と述べ、小西氏を猛批判した。

一般のネット民も小西氏に対し、

極秘文書だからこそ、管理簿に載せて管理をしっかりしないと いけない気がするんだけど 認識が間違っているのかな?

提供者が明確でない「極秘文書」だからこそ、小西氏はこの文書の正当性を責任を持って証明する必要がある。

管理簿に存在しなかったら、行政文書でも何でも無いのでは??

などの疑問が噴出していた。

 いよいよこの文書は、「国民の敵」小西参議院議員が、当時の総務相高市氏と、首相の故安倍氏を意図的に貶めるために、演出した芝居だという様相が濃くなってきました。

 テレビでは追及を受けてそれを否定し続ける高市氏を、あまり好意的に扱っていないようです。それもそのはず追求側と回答側の立場の格差が、それを助長しています。左派系のメディアは此処ぞとばかり「頑固で気色張った」高市氏を強調しているようです。

 だが事態を冷静に見れば、小西議員の「猿芝居」が透けて見えて来ます。何度も言いますが、立憲民主党はこんな姑息なことばかりやっていないで、国民のためにやらねばならないことに、少しは首を突っ込んではどうか、と思いますね。

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2023年3月18日 (土)

岸田首相、韓国大統領をG7に招待の意向。宮嶋茂樹氏:「えっ、ウソやろ。韓国大統領、G7に呼ぶんか?」

Images-11_20230316141101  韓国の尹錫悦大統領が来日し、日韓関係の諸問題について話し合いがもたれました。日本政府は改善に向けて前のめりで歓迎しているようですが、一歩前進とは言えまだまだ課題は多くあります。本当の改善はこれからと言ったところでしょうか。 

 ところで日韓関係に関し、今回はちょっと風変わりな、しかし結構核心に触れた表現の記事を紹介したいと思います。ウクライナ滞在中のカメラマンの宮嶋茂樹氏が、産経新聞のコラム『直球&曲球』に寄稿した記事から引用します。タイトルは『韓国大統領、G7に呼ぶんか?』(3/16公開)です。

不肖・宮嶋、いまだ戦火の絶えぬウクライナに潜伏中である。「2月には行きたい」とおっしゃってた、われらが岸田文雄首相はホンマに来る気あるんか? もはや待ち疲れてしもうたわ。G7首脳で岸田首相だけやで、ウクライナ行ってないの。

そんな〝行く行く詐欺〟みたいなことやってたら国際社会の信用なくすで。いや、もうすでにガタ落ちか? G20にドタキャンって、林芳正外相も国内外から大ひんしゅく買うたしのう。

いや、おのれがよう行かんのやったらG7の会場、つまりおのれの選挙区へゼレンスキー大統領をサプライズでお迎えしたらどないや? ウクライナの首都キーウが無理やったら、隣のポーランドあたりまで政府専用機を差し向けて、護衛に航空自衛隊のF―15戦闘機をつけたらエエ。

えっ、ウソやろ? ゼレンスキー大統領は呼ばんけど、韓国の大統領は招待するって? 不肖・宮嶋、還暦過ぎて耳も眼もボケたかと思うたで。あんのう、外交が〝お得意な〟岸田首相! 韓国にこれまで何されてきたか、忘れたとは言わせへんで。反日イヤガラセをやらしたら、ロシアも中国も舌巻くほどや。それがみーんな前の「反日」大統領の〝肝煎り〟やったんや。そこまでして北朝鮮の3代目の歓心買うて、今や日本海はミサイルのゴミ捨て場や。もう尖閣諸島周辺の海と同じで日本の漁師が安心して操業でけんありさまや。

許せんのは、わが国の領土「竹島」の不法占拠を続けとることや。まさかお忘れやないやろな。そういえば、今年も「竹島の日」に、首相どころか、閣僚すら送らんかったな。えっ? 大統領は代わったし、自称・徴用工の問題も合意でけたし…って、浮かれとったら、とことん付け込まれるで。どうせ広島まで呼ぶんやったら、ついでに「北の3代目」も呼んで、アメリカのオバマ元大統領みたいに、原爆の広島平和記念資料館、見ていただき、お得意の話し合いで原爆の恐ろしさを理解していただいてや。朝鮮半島の非核化に道つけたらノーベル平和賞もんや。

まぁ、ムリやろけど。

 この記事は冒頭述べたように結構核心を突いていますね。決して揶揄ではなく真実です。竹島の問題なとまさに宮嶋氏の言うとおり。徴用工の問題より遙かに大きな問題で、日韓の間に刺さった棘どころか、日本に突きつけられた刃であって、奪還へ向けて動かねばならない第一の課題でしょう。

 しかし「竹島の日」への政府の対応に見られるように、まるで無関心のように見えます。主権という概念がないのでしょうか。それとも「自虐史観」が今なお抜けきらずに、韓国の反発を恐れキュウキュウとしているのでしょうか。

 いずれにしろ、竹島の奪還が終わらなければ真の日韓関係正常化は無理でしょう。まさか尖閣で中国にしてやられた「棚上げ論」を竹島にも適用するつもりではないでしょうね。何だか政府の姿勢を見ると「棚上げ」しているように見えてしまいます。主権国家日本、を取り戻してほしいものです。

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2023年3月17日 (金)

阿比留瑠比氏:総務文書「上司の関与」か? 上司が原形をとどめないほど書き換えた可能性に言及

26_20230316133201  捏造された(?)総務文書をもとに、立憲民主党が執拗に食い下がる「放送法文書」問題。新たにその捏造に担当職員の上司が関与していたのではないかという疑惑が浮上しています。

 産経新聞の阿比留瑠比氏が、同紙のコラム「阿比留瑠比の極言御免」で記述した記事を取り上げます。タイトルは『総務文書「上司の関与」の闇』(3/16公開)で、以下に引用します。

放送法の政治的公平に関する平成27年の総務省の行政文書をめぐり、当時、総務相を務めていた高市早苗経済安全保障担当相に対する立憲民主党の執拗な攻撃が続く。高市氏は自身の言動が記された4枚の文書は不正確だと内容を否定するが、立民側は「役人が噓をついて文書を書く理由はほぼない」(泉健太代表)などと反論し、議論は平行線をたどってきた。

特に、27年2月13日に総務官僚が高市氏に対して行ったという放送法の「レク(説明)」に関しては、高市氏はレクの存在自体を認めておらず、当初は捏造という表現も使っていた。

今月13日の参院予算委員会では、この点について総務省の小笠原陽一情報流通行政局長が、大臣レク文書の作成者への聞き取り調査結果を踏まえてこう述べた。

「約8年前で記憶が定かではないが、日頃、確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経て、文書が残っているのなら、同時期に大臣レクが行われたのではないかと認識しているということだった。2月13日に大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」

ただ、小笠原氏は自ら続けて「文書に記載されている内容が正確か否かを現時点で答えることは困難だ」との留保も置いた。

そして13日夜、この問題を取材していたところ、ある政府高官からこんな衝撃的な指摘を受けた。

「きょうの国会で、総務省局長が『文書が残っているなら』の前に『上司の関与を経て』とつけていただろう。あれは記録者が最初に作ったメモを、上司が原形をとどめないほど書き換えたことをにじませたものだ。そんなことが何度かあったらしい」

もし、総務官僚がメモや覚書の類いであろうと、行政文書を何らかの意図を持って改竄したのだとすると、これは捏造と言っていい。問題の焦点は、立民が狙う高市氏の進退ではなく、総務省の行政文書の信憑性自体が問われる。刑事事件にも発展しかねない。

実際、翌14日の衆院総務委員会での松本剛明総務相の歯切れは悪かった。

立民の大築紅葉氏が「総務省が文書を捏造するはずがない。捏造した可能性はないと考えているか」とただしたのに対し、松本氏はやはり「上司の関与を経て」という言葉を用いた上で、こう言葉を濁した。

「同席者の間でも内容についての認識が必ずしも一致していない。まだ確認中で、捏造であるかどうか私が今、申し上げることはできない」

この大臣レク文書では、高市氏が「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」などと語ったことになっているが、高市氏はいずれも否定している。

レクには記録者を含め6人が出席したと記載されているが、そのうち少なくとも高市氏を含む3人はこのようなレクは受けていないという点で一致している。

また、高市氏本人の発言記録であるのに文書の配布先は総務審議官、官房長、局長…と多数指定されながら、大臣室は除外されるなど不自然さは否めない。

平成30年3月16日には、当時の安倍晋三首相からこんな言葉を聞いた。森友学園問題をめぐり、安倍氏は財務省の忖度を招いたと批判されていたが、安倍氏自身は事務方のトップである杉田和博官房副長官にこう言われたのだという。

「申し訳ないが総理、役人には総理がどうなろうとどうでもいいんです」

役所は数年で代わる首相や閣僚よりも、役所の論理とニーズで動く。

 役所の論理とニーズには、個人的な政治的指向も含まれるのだと思います。何度も引き合いに出しますが、元文科相事務次官の前川喜平氏など、その代表でしょう。彼のような人物が官僚であれば、政権に批判的な文書を書き上げる可能性もあるのだと思います。

 今回の阿比留氏の記事は、そうした思いを持った上司が書き換えた可能性を示唆したもので、十分にありうることだと思います。なぜなら高市大臣が進退をかけて否定しているところに、その可能性を見いだせます。

 いずれにしろ、総務大臣や総務官僚は省益のために、肝心なところで言葉を濁して曖昧にしている節がありますが、何とか真実を暴いてほしいものだと思います。こういうことがもし起きているとすれば、霞ヶ関の存在を揺るがす大問題ですから。

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2023年3月16日 (木)

日本が直面する食品輸入に関する4つの危機 東大教授が警鐘鳴らす、「世界で最初に飢えることになる」

Pixta_shopping750x501  ロシアのウクライナ侵略に端を発した、世界的な食料価格の高騰。それに加えてエネルギー価格の高騰による輸送費のアップも重なって、今多くの食材を輸入に頼る日本では、加工食品中心に食料品価格がかつてないほど高騰しています。

 だが価格の高騰よりもっと怖いこと、つまり食料品そのものが入手できない危機が迫ってきているのです。食糧危機については以前このブログでも取り上げていますが、今回再度NEWSポストセブンで公開された記事を紹介しましょう。タイトルは『日本が直面する食品輸入に関する4つの危機 「世界で最初に飢えることになる」東大教授が警鐘鳴らす』(3/07公開)で、以下に引用します。

かつてキューバの革命家ホセ・マルティは「食料を自給できない人たちは奴隷である」と述べ、高村光太郎は「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」と言った。果たしていま、日本は独立国といえるのだろうか──。

スーパーに行けば新鮮な肉や野菜が手に入り、コンビニにはすぐに食べられるような弁当や総菜が所狭しと並ぶ。外食ひとつとっても、高級フレンチから、チェーンのラーメン店まで多様な選択肢の中から選べるうえに、それらの一つひとつはさらに細分化している。たとえば「お肉が食べたい」と思ったら、神戸牛でも比内鶏でもアンガス牛でも部位や産地を選び放題だ。

昨今、多少値段は上がっているものの、いつでもどこでも食料が手に入る「飽食の時代」であることは間違いない。そんな日本から食べ物が消えて、日本人が飢える日が来るなど考えられない──ほとんどの人はそう思うだろう。

しかしその陰で、現実には、食料を輸入も自給もできずに飢えていく「食料危機」が始まりつつある。『農業消滅』(平凡社)、『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社)などで繰り返し危機を訴えてきた東京大学教授・農業経済学者の鈴木宣弘さんが、食料危機のリアルをお伝えする。

*********

24_20230313150901 現在の日本の食料自給率は、37%。裏を返せば、いま私たちが口にしている食品の半分以上は、海外から来たものだ。つまり、もし食品の輸出がストップすれば、現在流通している食品の半分以上が消えることになる。

そうなった場合、私たちの食卓は一体どうなるのか。2022年4月に放送された『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)では、農林水産省の資料をもとに「国内生産だけで成人1日分の必要カロリーを供給する場合のメニュー例」が再現され、大きな衝撃を与えた。その内容はりんご4分の1個と焼き魚ひと切れ、米以外は、ほとんどすべてのカロリーを芋でまかなう「3食、芋だけ生活」だったのだ。

実際にいま、さまざまな要素が絡み合って日本の食品輸入は危機に瀕しており、「芋だけ生活」は目前まで迫ってきている。筆者はそれを「クワトロ・ショック」と呼び、日本に訪れた4つの危機に警鐘を鳴らしている。

◆中国のトウモロコシ輸入量は10倍に

1つ目は、コロナ禍で起きた物流停止がまだ回復していないこと。2つ目は、中国の食料輸入量の激増に伴う食料価格の高騰だ。

実際、2022年の中国のトウモロコシの輸入量は2016年の10倍に増えており、その驚異的な伸びはコロナ禍からの経済回復による需要増だけではとても説明できない。戦争の勃発など、有事を見越した備蓄増加も考えられる。

大豆輸入量も年間約1億トン。一方の日本は300万トンの輸入量に過ぎず、中国の「端数」にもならない。

もし中国が「もう少し大豆を買いたい」と言えば、輸出国は中国への輸出分を確保するために、日本に大豆を売らなくなる可能性すらある。

さらに脅威を感じるのは、海上運賃においても中国と日本の間に大きな格差が生じていることだ。いまや中国の方が高い価格で大量に買う力があるので、コンテナ船も相対的に取扱量の少ない日本経由を敬遠しつつある。そもそも大型コンテナ船は中国の港に寄港できても日本の小さな港には寄港できない。

そのため、まず中国に着港して小さな船に食料を小分けして積み直してから日本に向かうことになるが、当然その分の海上運賃は高騰する。

3つ目は、慢性化した異常気象によって世界各地で農作物の不作が頻発したこと。

そして最後は、ウクライナ紛争の勃発による物流の停止だ。「世界の穀倉」と呼ばれ、ロシアとともに世界で3割の小麦輸出量を占めるウクライナは耕地を破壊され、農業に大きなダメージを負った。

深刻なのは、そうした紛争の影響を危険視した国々が「国外に売っている場合ではない」と自国民の食料確保のため、防衛的に輸出を規制し始めていることだ。その数は現時点で小麦生産世界2位のインドをはじめとして30か国に及ぶ。現在日本は小麦をアメリカ・カナダ・オーストラリアから買っているが、それらの代替国に世界の需要が集中し、食料争奪戦が激化しているのだ。しかも現在、そこに歴史的な円安も加わり、日本は“買い負けて”いる。もしいまの状況があと数年も続けば、私たちの食卓からあっという間に小麦やトウモロコシは消えていく。当然、それらを加工したパンやケーキ、スパゲティといった食品も手に入らなくなるだろう。

◆将来の自給率は肉も野菜も5%以下

日本が世界に買い負け、入ってこなくなる恐れがあるのは、食料そのものに留まらない。例えばかつては日本が買い付けの主導権を握っていた、牧草や魚粉などの家畜や養殖魚のエサは、いまや中国が大量に高値で買い付けており、日本は高くて買えないどころか、ものが調達できない。

その最たるものが化学肥料原料だ。日本はリンとカリウムを100%、尿素も96%を輸入に依存しているのに、最大調達先の中国は国内需要が高まったため輸出を抑制しだした。カリウムはロシアとベラルーシに大きく依存していたが、ウクライナ紛争によって日本は“敵国”認定され、輸出がストップ。現在、それらの値段は平常時の2倍に高騰しており、原料が入らないために製造中止となった配合肥料も出てきている。

飼料や肥料に加え、現在深刻な問題となっているのが、野菜の「種」も海外に依存しているという事実だ。

日本で流通している野菜の80%は国産だといわれているものの、もととなる種は9割が海外の畑で採集されている。そうした状況下でも国内で奮闘している種苗業者によると、いまや「三浦大根」や「ごせき晩生小松菜」などの在来種ですら、多くはイタリアや中国など海外に依存しているという。そのため、いかに種を国内で確保するかが重要になるにもかかわらず、日本政府はそれに逆行し、国が予算を出して米や麦、大豆の種を県の試験場で作って農家に供給する事業をやめさせるような政策を取っているのだ。

現状の「37%」という食料自給率も諸外国と比較すればとんでもない低さだが、飼料や肥料、種を取り巻く事態を鑑みれば実質はもっと低い。

飼料や種の海外依存度を考慮すると、2035年には牛肉・豚肉・鶏肉の自給率は4%・1%・2%、野菜の自給率は4%と、信じがたい低水準に陥る可能性さえある。いまは国産率97%の米ですらも、国産の「種」を守ろうとしない政策によって、いずれ野菜と同様になってしまう可能性は決して否定できない。

◆「牛乳搾るな牛殺せ」

このままでは日本は世界で最初に飢えることになる──食料安全保障の危機は、すでに何年も前から予測され、筆者も警鐘を鳴らしてきた。しかし、日本の政治家たちはそれをまったく認識していない。実際、昨年1月に発表された岸田文雄首相の施政方針演説では「経済安全保障」だけが語られ、「食料安全保障」「食料自給率」についての言及は皆無だった。農業政策の目玉は「輸出5兆円」「デジタル農業」など、ほとんど夢のような話に終始している。

日本人には、「食料やそのもととなる種や飼料を過度に海外依存していては国民の命は守れない」という現実が突きつけられており、国産の食料を少しでも増やし、自給率を上げることが何よりの急務。つまり日本各地で頑張っている農家を国を挙げて支えることこそが、自分たちの命を守ることにつながるはずだ。

にもかかわらず、政府は真逆の政策を取っている。

その最たるものは、国内生産の命綱ともいえる米だ。国内の米の価格はどんどん下がっており2022年はコロナ禍の消費減も加わって、1俵60kg=9000円まで下がった。生産コストは1俵当たり平均1万5000円かかるため、作るほどに赤字になるのは明白だ。しかし政府が取った対応は、支援や補填ではなく「余っているから米はこれ以上作る必要はない」と苦境に立つ農家を切り捨てるものだった。

同様の危機は、酪農家にも起きている。2020〜2021年にかけて、コロナ禍による一斉休校に伴う給食需要や外食産業、観光地の土産菓子などの需要が蒸発したことによって、深刻な「牛乳余り」が発生した。しかしこのときも政府は「余っている牛を殺せ。殺せば1頭当たり15万円払う」という政策を打ち出した。だが、乳牛は種付けから搾乳できるまで最低3年はかかる。近いうちに乳製品が足りなくなったとしても牛は淘汰されていて、また大騒ぎになることが目に見えている。

◆食料は「武器よりも安い武器」

そもそも米も牛乳も“余っている”のではなく、買いたくても買えない人が続出しているというのが真実だ。わが国は先進国で唯一、20年以上も実質賃金が下がり続けており、新型コロナに伴う深刻な不況がそれに追い打ちをかけたことで日本の貧困化が顕在化したに過ぎない。だからいま必要なのは、政府が農家から米や乳製品を買って、フードバンクや子ども食堂など、食べられなくなった人たちに届ける人道支援だろう。

アメリカでは、コロナ禍における農家の所得減に対して総額3.3兆円の直接給付を行ったうえ、3300億円で農家から食料を買い上げて困窮者に届けている。

そもそもアメリカやカナダ、EU諸国では緊急支援以前から最低限の価格で政府が穀物や乳製品を買い上げ、国内外の援助に回す仕組みを維持している。例えばアメリカでは、米を1俵につき4000円ほどの低価格で売るように農家に求めるが、「最低限コストである1万2000円との差額は100%国家が補填するので安心して作ってほしい」とセーフティーネットも張り、それをほかの穀物や乳製品にも適用している。

そのうえで、食料を「武器よりも安い武器」と位置づけて、世界で安く売っているのだ。アメリカが輸出大国なのは競争力があるからではなく、食料を安全保障の要、武器とする国家戦略があるからだ。

しかもアメリカは、年間1000億ドル近い農業予算の6割以上を「SNAP」と呼ばれる消費者支援として使っている。これは低所得者にプリペイドカードのように使える「EBTカード」を配り、所得に応じて最大月額7万円まで食品の購入費に充てることができるという制度だ。これは消費者はもちろん、農家にとっても経済効果がある。

一方、日本は農業予算を削り、防衛費を強化するという方針だ。実際、2022年末の閣議決定では今後5年の防衛費を前回の1.5倍の額である43兆円と計上している。しかし、世界で唯一、エネルギーも食料もほとんど自給できていない国である日本が経済封鎖されて兵糧攻めに遭ったとき、助けてくれる国はあるだろうか? その答えは、いまのウクライナを見れば一目瞭然だ。

実際、私たちが命を守るのにどれだけ脆弱な砂上の楼閣にいるのかということを裏付ける衝撃的な試算が2022年8月、アメリカで発表された。米ラトガース大学などの研究チームが学術誌『Nature Food』に発表したもので、局地的な核戦争で15キロトン級の核兵器100発が使用され、500万トンの粉塵が発生するという恐ろしい事態を想定した場合だが、直接的な被爆による死者は2700万人。さらにもっと深刻なのは「核の冬」による食料生産の減少と物流停止によって、その2年後には世界で2億5500万人の餓死者が出るが、そのうち日本が7200万人で世界の餓死者の3割を占めるというものだ。ショッキングな事実だが、冒頭から説明している現実から考えれば当たり前のことだ。

このままでは、芋どころか、いざとなれば昆虫しか食べられないような事態になりかねない。

 日本の霞ヶ関では、国の政策原案が日夜検討され政治家(閣僚)へ提言されているはずですが、理想と現実は雲泥の差となっているようです。国益からの発想がほとんどなくて、省益にキュウキュウとしている様が、見え隠れします。

 私見ですが国益に最も鈍感な省庁は先ず外務省。これは論を俟たないでしょう。次に農水省、鈴木氏が言うように状況把握と将来展望に全く欠けていると言えます。米が余れば減反しろ、生乳が余れば牛を殺せなど、その象徴的な政策でしょう。

 農業従事者の高齢化と担い手の問題や、JAや兼業農家による農業の法人化への障害などについて、現場知らずでそれを無視する行政に加え、鈴木氏の言うように種苗に関する恐ろしいまでの無関心など、まるで農業が分っていない官僚たちが考える政策で、日本の農業はガタガタになっています。

 更にこの先食糧安保に各国が動き始めたら、日本の食糧危機は本当に現実化するでしょう。一刻も早くこの問題に政府も取り組まねばなりません。同時に、いつまで経っても些末な事案にのめり込んでいる野党も、こうした日本の将来に危機をもたらす重要課題に目を向けて欲しいですね。税金泥棒を続けるのではなくて。

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2023年3月15日 (水)

朝日新聞社説にみる安保議論に立ちはだかる前時代の亡霊たち 「際限なき軍拡競争」指摘すべきは日本ではなく中国だろう

25_20230314170701  ロシアのウクライナ侵略を機に、日本では安全保障議論はそれまでの理想論の羅列から、現実的なものに変わった感があります。政府も「安保三文書」の改訂を済ませ、防衛費の増額も打ち上げました。

 しかしそうした中でも、相変わらず旧態依然の理想論にすがる左派メディアがあります。日本放送の飯田浩司氏がzakzakのコラム「飯田浩司のそこまで言うか!」に寄稿した記事を紹介します。タイトルは『朝日新聞社説にみる安保議論に立ちはだかる前時代の亡霊たち 「際限なき軍拡競争」指摘するべきは日本ではなく中国では?』(3/08公開)で、以下に引用します。

先日拙稿で、ロシアによるウクライナ侵略1年で、日本の安全保障議論は現実的なものに変わったと書きました。しかし、まだまだ前時代の亡霊たちは手を替え品を替え、執拗(しつよう)に立ちはだかります。

例えば、先月22日付の朝日新聞社説。見出しは、「防衛費と国債 戦後の不文律捨てる危うさ」でした。

審議が進む2023年度予算案について、《戦後初めて、防衛費の調達を目的にする建設国債の発行を盛り込んだ予算案であり、このまま認めれば、「借金で防衛費をまかなわない」という不文律が破られる》とし、《熟議もないままに、憲法の平和主義を支える重要な規律を破ることは許されない》と批判しました。

そもそも、財政の話であるのに「憲法の平和主義を支える」とは飛躍し過ぎではないか? と思い読み進めると、現行憲法や財政法の制定当時に遡(さかのぼ)って論じています。

財政法4条「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」を引き合いに、《当時立法に深く関わった旧大蔵省の平井平治氏は、『財政法逐条解説』に「公債のないところに戦争はないと断言し得る。本条は憲法の戦争放棄の規定を裏書保証するものであるともいい得る」と記した》と解説します。

ただ、その後、1965年に特例公債が発行され、75年以降は毎年発行されているので、政府はこうした説明を否定し、あくまで健全財政のための条文であるとしています。

ところが、朝日社説は制定直後の解釈にこだわり、《辛うじて守られてきた不文律が破られれば、防衛費が青天井で膨張し、平和主義が骨抜きにならないか。周辺国との際限なき軍拡競争を起こさないか》と危惧します。

なぜ、自国の防衛費を増やすことが平和主義の骨抜きに直結し、即座に軍拡競争になるのでしょうか?

それは裏返せば、日本という国は防衛費を増やすと即座に周辺国に攻め入ることのできる強国だという認識なのでしょうか。大した自信じゃありませんか。かつて米ソ冷戦の時代、日本はアジアで唯一の大国でしたから、そうした夜郎自大な認識も説得力を持ち得たのかもしれません。

しかし、時代は変わりました。むしろ周辺国の中には、わが国を圧迫して余りある国があります。「際限なき軍拡競争」と言いますが、中国はこの30年で軍事費を39倍に、この50年で90倍に増やしました。指摘する相手は日本ではなく中国でしょう。

ねじれた夜郎自大な認識から抜け出し、現実的な議論をすべきです。仮に70年以上前の「不文律」にこだわるのであれば、必要な防衛力を備えずリスクの高い現状維持を目指すのか、大増税によって防衛費を賄うのかのどちらかのはず。

どちらも示さず批判だけするのは、まさに前時代的と言わざるを得ません。

 そもそも日本国憲法は日本を弱体化するためにGHQが起草したものであることは、ほとんどの日本人が知っています。GHQが植え付けた自虐史観の中で、この憲法を後生大事に守ろうというのは政党では立憲民主党と共産党だけです。この2党で国民の支持率は合わせても10%に行くか行かないかです。

 一方自虐史観に染まった新聞メディアの筆頭朝日新聞は、その発行部数約430万部、全国の所帯数が5500万所帯ですから、購読率は7.8%です。同様な論点を持つ毎日、東京新聞を合わせても10%台半ばには行かないでしょう。つまりこれら政党やメディアに強い親和性を持つ日本人は明らかに少数派なのです。

 憲法の制約のある中で、今まで過小だった防衛費をようやく他国並みに増やそうとしている日本が、どうして朝日の言う<防衛費が青天井で膨張し、平和主義が骨抜きにならないか。周辺国との際限なき軍拡競争を起こさないか>と、危惧されるのでしょう。全く寝ぼけているとしか思えません。

 飯田氏の言うように、それはまさに中国に言うことであって、GHQのプレスコードから抜け出せない、時代に完全に立ち後れたメディアの典型的な空論です。このブログで何度も取り上げているように、この日本にとって害にしかならない新聞は、早々に廃刊に追いやる必要があります。

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2023年3月14日 (火)

高橋洋一氏:「小西文書」のなりゆきに慌てふためく左派メディアは、世界の潮流がわかっていない

Hqdefault_20230313131801  小西議員が持ち上げた総務省の行政文書について、その実態が明らかになるに付け、ある意図的な捏造が行われていたのではないか、と言う状況が見えてきました。前回ご紹介したように、そこには安部元首相と高市元総務大臣(現経済安全担当相)を狙い撃ちにした謀略が、背景に在るようです。

 今回はその実体解明の第3弾として、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏が現代ビジネスに寄稿したコラムを取り上げます。タイトルは『「小西文書」のなりゆきに慌てふためく左派メディアは、世界の潮流がわかっていない』(3/13公開)で、以下に引用して掲載します。

行政文書と「正確性」は別物だ

総務省の「小西文書」をめぐる騒ぎが続いているが、「行政文書」にはすべて正しいことが書かれているのか。省や派閥の思惑による文書の作成はないのか。大臣はすべてを把握できるのか。

先週3月6日の本コラム《小西氏公表の「放送法文書」は総務省内の「旧自治」「旧郵政」の些細なバトルの産物?》で書いた小西氏が国会で明らかにした文書はすべて行政文書だ。7日に総務省が公表した。

翌8日の朝日新聞と毎日新聞は鬼の首を取ったかのように、一面トップで報じた。朝日新聞は、その後も9日と12日の社説で《高市元総務相 国の基盤 揺るがす暴言》、《放送法の解釈 不当な変更、見直しを》と追及している。

一般の方が行政文書と聞くと、正確なものと誤解するが、そうでもない。行政文書の法的な定義は、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」(情報公開法第2条)だが、単なるメモでも他の職員が仕事で使い見せれば行政文書になるので、その正確性は別問題だ。

議論となっている2015年2月13日「高市大臣レク結果」についてみると、作成者が明確な行政文書だ。しかし、正確性は当てにならない。というのは、先週の本コラムで書いたように、配布先に大臣、事務次官が抜けているので、正確性が担保されていない典型的な行政文書だ。配布先から、総務省全体ではなく旧郵政の内輪情報共有メモであることもわかるが、高市大臣が旧郵政から部外者扱いされたバイアスで書かれている可能性がある。

ちなみに高市氏は、レクそのものの内容がおかしいと国会で否定している。

これはかなり重大な国会での発言だ。日時が特定できるはずの2015年2月13日の高市大臣レクそのものがなかった可能性もある。その場合、レク結果をでっち上げてメモを作り、旧郵政関係者に配布した可能性もある。レクがあったがどうかは容易にわかることであるが、本稿執筆時点(3月12日)で総務省からも明快な説明がない。

首相動静をチェックすると

レク結果の後に添付されている資料をみると、不可解な点もある。レク結果で書かれているように礒崎補佐官のことを高市大臣に説明するのであれば、レク資料に礒崎補佐官の名前が明記されていないとおかしいが、一切ない。これでは、担当課である総務省情報流津行政局放送政策課の法解釈における見解であると思ってしまう。レク結果では、口頭で礒崎補佐官に言及していると書かれているが、添付資料にはそれを裏付けるものがなくまったく不適切な行政文書である。

高市大臣レクがなかったにもかかわらずレク結果が行政文書として残されたとしたとすれば、それこそ総務省そのものの存在意義に関する重大な話に発展するだろう。レクがあったとしても礒崎補佐官の名前を出さなければ、五十歩百歩だろう。

さらに、総務省は10日、全体の文書の精査状況を明らかにした。全48ファイルのうち26ファイルは、現時点で作成者が確認できていないと説明。文書中の不自然・不一致箇所は6項目。引続き精査しているのは高市大臣と安倍総理関連。これで今回の行政文書の正確性がないのが分かるだろう。

なお、日時が特定できるものとして2015年3月5日の総理レクがある。

これは、作成者不明であるが、総理レクは16時5分から、総理、礒崎補佐官、今井秘書官、山田秘書官で行われたと書かれている。しかし、当日の首相動静では、16時8分まで別件が入っている。

このため、総理レク結果の行政文書の正確性まで疑われている。首相動静は、一般的には政務秘書官の今井秘書官が作成しマスコミ各社に配布する。それによれば。16時8分まで別件で、16時58分官邸発となっているので、その間に総理レクが行われ、小西文書での作成者か、情報を架電した山田秘書官が開始時間を間違ったかの可能性もある。

全てチェックするのは物理的に困難だ

いずれにしても、行政文書であるからといって、必ずしも正確でないことがわかるだろう。

例えば、筆者の場合、2005年から06年に総務大臣補佐官(大臣室参事官)を経験している。その前の大蔵省時代、大蔵対郵政大戦争の最前線にいて、各種の政策議論を当時の郵政省と交わす立場だった。総務大臣補佐官の時どのように郵政内の行政文書で書かれていたのか興味があったので見たら、まったくデタラメだった。当時に筆者の驚きと、今回の高市大臣の反応は似たものだろう。

2017年3月の加計問題でも、各省間での折衝の際、折衝メモがそれぞれの省の職員で作られたが、相手省の確認を受けておらずに、自省に都合よく書かれてその正確性は疑問視された。

その後の行政文書作成のガイドライン改正で、政策立案などでの打ち合わせ文書では、相手方の確認を取るとされたが、それ以前では確認を取ることはなかった。

今回問題とされている行政文書は2015年のものなので、正確性が確保されていなくても不思議でない。

一般論として大臣へのレクにおいて官僚側に都合よくレク結果がまとめられがちだ。しかも、大臣レク結果を全てチェックするのは物理的に困難だろう。

それにもかかわらず、朝日新聞の社説は、小西文書、つまり行政文書が正しいとの前提で書かれている。その正しさに異議を唱える高市氏を非難しているが、前提となる行政文書が正しくないのであれば、朝日新聞の社説のほうがおかしいとなる。

ネット上では、高市氏が小西文書の正確性を立証する責任があるとの意見もでていたが、文書作成の総務省のほうから必ずしも正確でないとなった。

「官邸が圧力」というストーリー

筆者の先週の本コラムその他で、小西文書を旧自治対郵政の下らないものとし、その正確性でも一部で違和感を書いたので、今回は当然の成り行きと思っている。しかし、小西文書を正しいものとして、論を展開していた、小西議員、朝日新聞などの左派マスコミはさぞ困ったことになっただろう。

著名な女性記者は、高市氏を礒崎氏の名前を今年3月になってから初めて聞いたと勘違いして、嘘つき呼ばわりした。これに対し、高市氏は、当然礒崎氏を知っていたが、放送法解釈について礒崎氏の名前が出ているのを知ったのが今月という意味と丁寧に答えている。女性記者のほうが悪意の切り取りだが、そういう揚げ足取りしか出来ないのだろう。

官邸がテレビに圧力というストーリーに、左派マスコミは酔っているようだ。実は、テレビは圧力をかけたいほどの存在でもない。

例えば、テレビには放送法による政治的公平があるので、筆者のような見解-8年前の旧自治対旧郵政のやりとりを持ちだして今度の補選・県知事選で相手候補にマイナスダメージを与える-を地上波選挙コードで伝えることが出来ない。もちろん、筆者は自分のYouTubeチャンネルで報じており、すでに再生回数は300万回に達しようとしている(3月12日夕方時点)。

いずれにしても行政文書だからといって正確であり、官邸がテレビに圧力というのは筋違いだ。

そもそも、放送法の解釈は変わっていない。生前の安倍さんはテレビで放送法の縛りがあるならネットでいいといっていたほどだ。

もっとも、今回旧郵政の行政文書が杜撰であったことが明らかになった。高市氏を蚊帳の外にするなど、旧郵政官僚の横暴も明らかになった。このままであると、下らない行政文書が明らかになっただけで、あまりに進歩がないので、筆者なりの改革案を提示しよう。

そこまで旧郵政が総務大臣を排除したいなら、放送行政について、今の総務省に代えて世界標準の独立行政委員会方式のほうがいい。アメリカは連邦通信委員会、イギリスは通信庁、フランスは視聴覚・デジタル通信規制機構、ドイツは州メディア監督機構だ。ついでにいえば、通信行政についても独立委員会で先進国は運営されている。

放送・通信行政ともに独立委員会方式にして、技術進歩に対応するとともに政治的な関与をできるだけ少なくというのが世界の常識だ。独立委員会方式では、政治的公平については出演機会の確保などほとんど規制なしだ。日本は放送・通信で完全に先進国に乗り遅れたが、今回を奇貨として先進国にせめて規制だけはキャッチアップしたらいいだろう。

左派マスコミは、放送法を守れなんて言っているが、まったく世界の潮流がわかっていない。放送法の変な縛りを外して独立行政委員会が正解だ。

 省庁経験者の高橋氏の分析には、やはり当事者として鋭い突っ込みがあり、同じ当事者だった小西議員の謀略にも目が行き届いているようです。「モリカケ」でうまい汁を吸ったメディアも、今回は「柳の下」を狙えないようです。

 いずれにしても、何度も言いますが国の重要課題をそっちのけで、ただひたすら政権を追い込もうとする、立憲民主党や反日メディアの姿勢は、もはや日本にとって「ゴミ」でしかありません。最もこのような謀略を持ってやるのは「ゴミ」を通り越して「売国奴」としか言いようがないと思います。

 それに彼等が言う「権力」は、むしろ彼等の方が「言論権力」を振り翳して、日本を弱体化しようとしているように思えてなりません。まさに民主国家日本に巣くう「獅子身中の虫」と言っていいでしょう。背景に周辺諸国の影がちらつく、と思うのは私だけでしょうか。

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2023年3月13日 (月)

有本香氏:「閲覧不可能フォルダ」から誰が持ち出したのか? 総務省「放送法文書」流出 「高市潰し」と執拗に続く「反安倍キャンペーン」

20_20230311141801  今回も前回に続いて総務省の文書問題を取り上げます。立憲民主党の小西洋之議員が総務省から入手した文書について、「機密扱い」になっているはずなのに、何故一議員の手元に渡ったのでしょうか。この点を小西議員は明確にしていないようです。

 これについてジャーナリストの有本香氏が、夕刊フジの公式サイト「zakzak」に寄稿していますので、以下に紹介します。タイトルは『「閲覧不可能フォルダ」から誰が持ち出したのか? 総務省「放送法文書」流出 「高市潰し」と執拗に続く「反安倍キャンペーン」』(3/10公開)です。

本稿を書き始めたところへ、思わぬ〝朗報が〟飛び込んできた。

米国の国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」が8日、「亡命ウイグル人組織『世界ウイグル会議』が、2023年度のノーベル平和賞にノミネートされた」と報じたのだ。現段階ではあくまでもノミネートだが、国際社会が「ジェノサイド」認定するほどの苦難にさらされている世界中のウイグル人にとって、大きな励ましとなることは間違いない。推薦したのは、カナダの国会議員らとノルウェーの団体だ。

世界ウイグル会議については、本稿でも幾度も書いてきたが、世界最大の在外ウイグル人組織で、ドイツ、ミュンヘンに本部を置く。創設者の一人で現総裁のドルクン・エイサ氏は私の旧友であり、「中国政府が最も嫌う男」でもある。だが同時に、世界の指導者らと親交し、日本の政界にも独特の人脈を持つ人物だ。

そのドルクン氏がとりわけ深い信頼を寄せていたのが、安倍晋三元首相であった。昨年9月、安倍氏の「国葬儀」が行われた日にちょうど来日していたドルクン氏は、一般献花の列に3時間以上も並んで故人を悼んだ。

その後、私とともに安倍邸を弔問した際、ドルクン氏は昭恵夫人に、こう述べていた。「多くの日本人が安倍総理の死を深く悲しんでいると承知するが、世界中のウイグル人の悲しみの深さは、その日本人の悲しみに勝るとも劣らない」。

ドルクン氏は昨年12月にも来日したが、その折に、日本の現職閣僚としては初めて、氏と面会したのが高市早苗経済安全保障担当相であった。

この面会の詳細については、過去の本コラムをご参照いただきたいが、面会の最後にドルクン氏は高市氏に向かってこう述べた。

「安倍さんは素晴らしい総理でした。また、G20(20カ国・地域)で中国の首脳に対し堂々と、ウイグル問題を提起してくださった岸田(文雄)総理にも感謝しています。そして、高市さんには一日も早く、『日本初の女性総理』になっていただきたい」

その高市氏がいま、特定野党勢力とマスメディアから、思わぬ「濡れ衣」を着せられかかっているようだ。

Images-8_20230311141901 立憲民主党の小西洋之参院議員が、総務省側から提供された例の文書の一件だ。その内容を、高市氏は事実無根と主張しているが、社民党の福島瑞穂参院議員は「極めて精緻ですよ」などと予算委の場で言い立てている。

いつ、誰から聞いたかも不明、安倍首相(当時)と高市氏との電話の日時も不明、安倍首相の発言とされる部分に「?」マークが付いている。かくも怪しげなメモの類を「極めて精緻」とまでいう福島氏は日頃、どんな文書と接しているのか。

このメモ一つで、民間に働く多くの日本国民が、総務官僚の事務処理力に大きな不審を抱くだろう。加えて、いくらOBだとはいえ、総務省内部の「取扱厳重注意」と記された文書を、一国会議員がやすやすと手に入れられる管理体制、官僚の体質にも不審を抱く。

すでに「国家公務員法違反の疑い」を指摘する声もあるが、筆者の得た情報に照らしても、今回の事態は相当深刻な問題をはらんでいる。

総務省内の情報通信部局のフォルダは、通常、大臣室からであっても閲覧は不可能だと聞く。後から改竄(かいざん)されることを防ぐためだが、逆に、仮に意図的に不適切な文書が作成されていても、それをチェック、批正(=批判して訂正・改正すること)することはできない。

「謎のメモ」に、高市氏と安倍首相(当時)の電話での会話があったと記されているに2015年は、安保法制で揺れた年だった。当時のメディアによる「反安倍・反安保」の偏向報道はひどいもので、その余波が続く16年には、高市氏が「地上波停波」に言及したとして、ジャーナリストの田原総一朗氏や青木理氏らから、不当に攻撃されたこともあった。

これはあくまでも私の邪推だが、この頃に「いつか高市氏を嵌(は)めてやろう」との意図で、「謎のメモ」が残された疑いすら否定できない。そして、閲覧さえも不可能なフォルダから、一体誰が文書を持ち出し、いかにして小西議員に渡されたのか。これこそ、公文書管理に関する大スキャンダルだ。

「高市潰し」、その裏には亡くなってなお執拗(しつよう)に続けられる「反安倍キャンペーン」がある。そして、私たちの血税で運営されている国会では、国の存立をかけた大事は議論されずじまいだ。

日本政界から「愛国」も「正義」も消えかかっている。これこそ外敵以上の危機である。

 立憲民主党は小西議員に限らず、国や国民の利益よりも党益を優先し、結果として政権党を批判することにその殆どの精力を費やしています。その一つが公文書の記載をネタに、事実をねじ曲げ、あるいはねじ曲げられた文面を取り上げ、追及の手を執拗に繰り出す、いつものやり方です。

 今回の一件は有本氏の指摘の通り、その文書の入手プロセスに違法な部分が隠されており、そこを大々的に追求すべきでしょう。そして「モリカケ」の二番煎じは効かない、柳の下にどじょうはいないことを、この「国民の敵」小西議員に知らしめるべきでしょう。

 再度言いますが、立憲民主党は、こんなことばかりに現を抜かしていれば、早晩国民から完全にそっぽを向かれるでしょう。まさに日本の「外敵」となってしまい、いみじくも応援を受けている福島瑞穂氏率いる社民党と同じく、やがて日本の政界から消えていく運命になると思います。

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2023年3月12日 (日)

小西洋之議員が公表した「放送法文書」は“捏造”なのか 朝香氏:そうした謀略が取られた可能性が極めて高い

Images-9_20230311161301 立憲民主党の小西洋之議員が取り上げた総務省の文書の記述問題。国会でもそのやりとりが行われ、当時総務相だった高市早苗現経済安全担当相の辞職問題にも言及されるようになっています。小西氏はツイッターでも高市氏を攻撃し続けています。

 それに対し高市氏は、一貫してこの文章は「捏造」されたものと、発言し続けていますが、その真偽はどうなのでしょうか。それについて経済評論家の朝香豊氏が現代ビジネスに寄稿したコラムで見解を述べています。タイトルは『小西洋之議員が公表した「放送法文書」は“捏造”なのか…? その信憑性について考えてみる』(3/07公開)で、以下に引用します。

総務省職員から入手したという文書

参議院予算委員会の質疑において、放送法をめぐる問題で、小西洋之議員が総務省職員から入手したという文書に基づいて、高市早苗大臣らに詰め寄る一幕があった。

文書に記載された生々しい会話も、いろいろと出てきた。

「サンデーモーニングは番組の路線と合わないゲストは呼ばない。あんなのが番組として成り立つのがおかしい。とにかくサンデーモーニング。総務省もウォッチしておかないとダメだろう。けしからん番組を取り締まるスタンスを示す必要があるだろう」

磯崎首相補佐官が総務官僚にこのように話したとか、「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと高市大臣が語ったとか……。

こういう話を聞くと、政府部内でとんでもない謀略が行われていたのだろうと思ってしまうのが、ごく自然な反応ではないか。

しかも、今回の文書について、「同じものが(総務省の)放送政策課に存在するということの確認を受けている」と小西議員は述べている。

これを否定する答弁は政府側からも出ていないので、総務省内にこの文書があったこと自体は間違ってはいないと見ていいと思う。

そうなると、いよいよもって政府が怪しいということになるわけだが、真相はどこにあるのか、考えてみたい。

「放送法4条」の解釈

今回問題になっているのは、放送法4条の解釈だ。

放送法4条は、放送事業者が放送する番組の編集にあたり、

(1)公安及び善良な風俗を害しないこと

(2)政治的に公平であること

(3)報道は事実をまげないですること

(4)意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

を求めている。このように、事実に基づき、政治的立場に偏りなく、多くの角度から取り扱い、風紀的な問題を生じさせない報道を心がけよというのが放送法が求めるところだ。

放送法の解釈については、仮に特定の番組が特定の見方に偏っていたとしても、他の番組がそれを補っていることもあるだろうから、番組一つで問題視するのは適切ではないというということが、長年言われてきた。

安倍政権当時の平成28年2月、この解釈に関して、より具体的なものが政府の統一見解として明確化された。

放送局の番組全体を見て判断するとの基本路線はそのとおりだとしつつも、一つの番組のみでも、不偏不党の立場から明らかに逸脱している場合などは、政治的公平を確保しているとは認められないとしたのである。

この政府統一見解を、従来の放送法の解釈を明確化したものだというのが政府側の言い分であるのに対して、放送法の重大な解釈変更だと考えているのが小西議員だということになる。

そしてこの点については、政府見解の方が正しいと言うべきだろう。

昭和39年に示された判断

昭和39年4月28日に、政府側委員の宮川岸雄氏は、こう述べている。

「ある一つの番組が、極端な場合を除きまして、これが直ちに公安及び善良な風俗を害する、あるいは、これが政治的に不公平なんである、こういうことを判断する——一つの事例につきましてこれを判断するということは、相当慎重にやらなければもちろんいけませんし、また、慎重にやりましても、一つのものにつきまして、客観的に正しいという結論を与えることはなかなかむずかしい問題であろうと思うのであります」

宮川氏の発言は長々としてややわかりにくいので、私なりに噛み砕くと、極端な場合を除いて、ある一つの番組が直ちに放送法に違反するか否かを判断するのは、相当慎重にやらなければいけない、という内容だ。

これは逆に読めば、一つの番組の内容であっても、放送法に違反するかどうかの判断は、十分に慎重に行うならば、判断できる余地はないわけではないし、極端な場合には慎重に判断する必要すらない、ということになる。

この昭和39年に示された判断は、その後に問題視されることがなかったことから、この解釈は歴代の政権で引き継がれてきたものだと見ることができる。そしてこの内容は、安倍政権が示した政府統一見解とも矛盾するものではない。

読みようによっては、むしろ昭和39年の答弁より安倍政権の政府統一見解のほうが若干緩い判断になったと解釈できる余地すらある。

以上を踏まえて、今回の文書の内容に信憑性があるかどうかを考えてみよう。

解釈変更がない以上

小西議員の文書は、放送法についての重大な解釈変更があったことを前提とし、この件は一筋縄でいかない大問題だったということが、総務省の役人だけでなく、磯崎首相補佐官、高市大臣、安倍総理までを含めた共通認識になっていたことを前提としている。

冒頭に一部を紹介したが、この文書によれば、高市大臣は放送法の解釈変更について、「本当にやるの?」「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと発言したことになっている。

だが、安倍内閣の認識としては、すでに昭和39年の段階で国会で語られ、その後引き継いできた内容について明確化しただけでしかない。解釈変更がない以上、高市大臣が「本当にやるの?」「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと口にするということは、どう見ても考えられないのである。

平成27年5月に高市大臣が行った答弁と平成28年2月に安倍総理が行った答弁に食い違いがあるから、その結果として、きちんとした政府の統一見解を文書として出せとの声が野党からあがり、それに基づいて出されたのが政府統一見解だと、高市大臣は発言している。

高市大臣は、仮に高市大臣と安倍総理が、小西議員の文書に書かれているとおりに、放送法の「解釈変更」について事前に打ち合わせをしていたのであれば、こうした見解の食い違いが起こるのはおかしいのではないかと発言している。この議論は非常に説得力がある。

21_20230311161601 また、小西議員の文書によると、高市大臣は平成27年2月に総務省の役人から答弁に関するレク(レクチャー)を受けたことになっている。だが、高市大臣にこの件に関して質問があったのは平成27年5月であって、答弁の3ヵ月前に答弁対策のレクを受けたというのは時系列的に合わない。

高市大臣は答弁に合わせて答弁前夜に行われるレクも受けていないし、答弁当日の朝に行われるレクすら受けていないことも語っていた。高市大臣は公務員の働き方改革を推し進める見地から、レクを受けずに自分で答弁書を用意するようにしていたという。

この高市大臣の答弁に信頼を寄せるならば、高市大臣にレクが行われていると記載している文書は、事実に基づかずに捏造されたものだと推論するのが妥当だろう。

「公文書」として認められるのか

そもそも、今回の総務省の文書については、そもそも公文書として認められるかどうかの段階から争いがある。

小西議員が参院予算委員会でこの文書を質疑資料として配布しようとしたが、与党側は文書の正確性に疑義があるとして配布を認めなかった。

これは文書に登場する人物に内容の確認を行ったところ、多くの人から事実に反するとの回答があり、正規の文書として認めることはできないと与党側から指摘があったためである。

正式文書化に際して、関わった当事者全員の確認を取るというのは、公文書に限らず、民間の文書であっても、当然のプロセスではないか。こうしたプロセスを取らないという実に杜撰なことを行えば、後で「言った」「言わない」問題になる可能性がある。

事実にないことを捏造し、文書に登場する人物に確認しないままに済ますということが可能となる仕組みになっていたとすれば、それは公文書のあり方からして、大問題であるのは言うまでもない。

もっとも、総務省の放送政策課に同じ文書が存在するというのは事実なのだろう。そのこと自体は岸田総理も否定していない。

しかしながら、正規のプロセスを踏まずに謀略的に文書を蓄積し、これを「証拠」として政権を追い詰めるということが行える仕組みは、公文書管理のあり方からして断じて認められるべきではない。

そして今回は、そうした謀略が取られた可能性が極めて高いと言わざるをえない。

日本の公務員の倫理観

当事者として身に覚えのないことが書かれていることから、高市大臣は今回の文書について捏造ではないかと話していたが、これに対して小西議員は、なぜ総務省の幹部が悪意を持ってこういう文書を作るのかと、高市大臣に詰め寄った。

これに対して高市大臣は、NHK改革でNHKに対して非常に厳しい姿勢を取っていて、NHKの理事が菓子折りを持ってきたのを突き返したこともあるとのエピソードも交えながら、こうした高市大臣の態度が総務省の一部の幹部の大きな反発を招いたのではないかと説明している。

NHK改革が進めば、総務官僚の天下りなどの利権にも大きな影響を及ぼすのは避けられない。この流れを総務官僚が強烈に嫌がったことは、決して想像できない話ではない。

このように見た場合、少なくとも今回の文書の一部については、総務省の一部の官僚が政権与党に打撃を与えるために、事実関係のない話を作り上げた可能性が高いと考えるべきではないか。

登場人物に内容の確認をしないで、文書を作り上げることを行い、それが「公文書」として保管される仕組みを作っているとすれば、日本の公務員の倫理観を大きく失墜させるものである。

このような重大な疑惑を持たれていることについて、岸田政権がこの解消のために大ナタを振るうことを躊躇することがあってはならない。さらに言えば、政権からどんな動きがあるかにかかわらず、公務員自身が、自らが疑われることになることへの強い危機感を持って、今回の疑惑の追及を行ってもらいたいものである。

 以前文科省の事務次官だった前川喜平氏が、自身のスタンスについて「面従腹背」と答えたことがありましたが、官僚と言ってもすべて時の政権に従う姿勢を示してはいないのは自明の理でしょう。逆の政治的スタンスを持っている官僚も必ずいるはずです。

 ですからありもしないことを書かれた高市氏が「捏造」と言ったことは、十分にあり得ることでしょう。問題はこうした行為を省庁の職員が仮にやったとすれば、大問題です。そこをうやむやにせずに、しっかりと検証していくことが政府としても強く求められます。そして小西議員に文書が渡った経緯もしっかり検証されなければならないでしょう。

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2023年3月11日 (土)

小沢一郎氏へ、引退のススメ 「政権交代」と「野党連合」だけを唱えていても、政策なしでは議員の資格なし

Images-7_20230309150501  立憲民主党はこれでも野党第一党かと思われるほど、何が今重要か事の本質が見えていない政党です。確かに旧統一教会の被害者救済は重要ですし、官僚の文書の真偽も重要です。だがそれを優先順位の筆頭にあげて、ひたすら議論をふっかけている姿を見ると、果たして日本の為の政党なのか、大いに疑問がわいてきます。

 その立憲民主党所属の重鎮(?)小沢一郎氏も、日本の重要課題に言及することなく、ただひたすら政権交代に固執していて、全く同じ穴の狢である事に変わりがありません。

 その小沢氏へ産経新聞の論説委員坂井広志氏が、同紙上にコラムを寄稿しています。タイトルは『小沢氏へ「引退のススメ」』(3/07公開)で、以下に引用します。

「55年体制が終わりを告げてから30年、政権奪還から10年。われわれは新たな歴史の転換点にいる」

先に行われた自民党大会で岸田文雄首相(党総裁)がそう語ったのを耳にし、時がたつ早さを感じずにはいられなかった。

約30年前の平成5年8月、非自民の細川護熙連立内閣が発足した。自民の最大派閥だった旧経世会(旧竹下派)は、会長だった金丸信元副総裁の跡目争いの末に分裂した。細川政権は、自民を割って出た小沢一郎衆院議員の怨念が作り出した代物といえる。

約10年前の平成24年12月には、旧民主党政権が崩壊した。背景にあったのは、消費税増税を巡る当時の野田佳彦首相と小沢氏による対立だった。

平成の政治史は、小沢氏抜きで語ることはできない。政争に明け暮れ、構図はいつも「反小沢対親小沢」だった。小沢氏が政界にいなければ、どのような景色になっていたかは、歴史にイフがない以上、考えるのは詮ないことではあるが、小沢氏の「番記者」だった筆者にとっては、興味の尽きないテーマである。

そんな小沢氏が20年以上にわたって続けてきた政治塾が当面休止となる。新型コロナウイルス禍による応募者数の減少のためという。小沢氏の影響力の減退を象徴している。

先月行われた政治塾では「立憲民主党はエンドレスに議論して、何の問題でも結論を出すのに異様に時間がかかる。だから他の野党からばかにされる」と自党をこき下ろすなど、いたって意気軒高だった。

昨年12月の名古屋市での講演では、泉健太代表が次々回の衆院選で政権交代を目指すと公言したことに関し「今の立民では政権交代不可能だ。党執行部に政権を取る意志がない」と批判した。執行部に刃(やいば)を向けるのは、昔から変わっていない。変わったのは党内のほうで、挑発に対し微動だにしなかった。

小沢氏が若い頃に見て感動した映画に「山猫」という作品がある。監督は「ベニスに死す」で知られるイタリアの巨匠、ルキノ・ビスコンティだ。

演説や著作などで小沢氏は、作品に出てくるセリフ「変わらずに生き残るためには、みずから変わらなければならない」を好んで使い、明治維新を引き合いに出し、若き志士が持ち得た「改革の志」の重要性を説いている。

名古屋の講演では「次の衆院選で政権を取る。ここで諦めてしまっては、自民党を出て苦労してきたことが無意味になってしまう」と述べるなど、議員を続ける気は満々のようだ。

令和2年4月に出版された小沢氏へのインタビュー本「小沢一郎 闘いの50年」(岩手日報社)の中でも「もう一度、政権交代を実現させて日本の議会制民主主義を成熟させなければ、議員を50年やろうが60年やろうが、70年やったって、僕の政治家人生の意味はないでしょう」と似たようなことを口にしている。

二大政党政治の定着が悲願なのは知っているが、議員の身分に汲々(きゅうきゅう)としているようにしか見えない。権力志向の小沢氏らしいといえば、それまでだが、議員を続ける理由が過去の苦労と帳尻を合わせるためというのなら、お辞めになったほうがいい。あとは党内の「若き志士」に任せ、後進に道を譲ってはいかがか。

 「おやめになった方がいい」は大賛成ですが、「党内の若き志士に任せ」という部分は、そんな人物がいるのか?と率直に思いますね。「政権交代」はこの人だけでなく、野党第一党の人は皆そう言います。だが「こう言う目標を持って」、「この政策を柱にして」という文言はついぞ聞いたことがありません。

 それは、湧き上がる時々の政策課題に、安易に対処療法を施すだけで、根本的な政策を打ち出せない、そしてそれが故に政権批判が政策の中心になっていくしかないのでしょう。これでは万年野党、万年「税金泥棒」のそしりをまぬがれません。

 小沢氏も似たり寄ったりでしょう。この人の言葉には、「政権批判」と「野党連合」しか思い浮かびません。坂井氏の言葉通り、「おやめになった方がいい」。ついでに、可能であれば若い人に、「今の日本の状況把握と課題の発掘」という、政策の入り口に必要なプロセスを教えてあげて欲しいと思います。いきなり政府批判に走るのではなく。無理な注文かも知れませんが。

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2023年3月10日 (金)

櫻井よし子氏:「未婚化対策に叡智を」 少子化要因の一つである未婚問題にメスを入れないと、異次元の対策には決してならない

Images-6_20230309142401  昨年の出生者数が80万人を切って、少子化について俄に国民的課題となってきました。ただこの課題は今に始まったことではなく30年前、バブルがはじけた頃からの課題だったのです。それを政府やその他の不作為によって、部分対応に終始してきた結果が、この数字に表れたと言っていいでしょう。

 岸田首相は「異次元の少子化対策」を打たねばならないと、打ち上げましたが、その論点の中心は子ども手当に代表される、子育て家庭向けの対策です。確かにそれも重要でしょうが、今もっと深刻な問題があります。それは未婚の男女が激増していることです。

 日本は私生児(婚外子)に偏見を持つ風潮もあり、結婚した夫婦から子供が生まれるのを通常視します。ですから結婚しない男女が増えれば、当然生まれる子供は減っていきます。ですからこの未婚の男女に対する対策も、大きな課題なのです。

 この課題に対して、ジャーナリストの櫻井よし子氏が、産経新聞に寄稿したコラムで、一部「Colabo問題」にも触れて述べていますので、以下に引用します。タイトルは『未婚化対策に叡智を』(3/06公開)です。

Images-5_20230309142401  昨年、日本に生まれた赤ちゃんが80万人を下回った。政府の見通しより11年早い。法政大学経済学部教授の小黒一正氏はわが国の少子化はもっと加速し、2031年の新生児は70万人、40年には60万人、52年には50万人を下回ると政府よりもずっと厳しく予測する。人口減少は憲法改正を必要とする国防と並ぶ最も深刻な日本国の課題であり、少子化対策が急がれる。

 岸田文雄首相は異次元の少子化対策のたたき台を3月末までにまとめるとし、その柱は①児童手当を中心とする経済支援強化②子育てサービスの拡充③働き方改革の推進―だと語った。

 実績で見れば年来の子育て支援策は少子化問題解決に貢献していない。少子化の真の原因を間違えているからだ。このままではせっかくの大計画は従来の施策同様、少子化対策にはつながらない。

 わが国では婚外子が全体の2%にとどまることに見られるように結婚と子供を持つことに強い相関関係がある。であれば少子化解決の第一は結婚する人を増やす、つまり未婚化問題の解決こそが鍵だ。

 正しい対策は正しい認識からしか生まれない。若い世代の結婚観について日本社会には大いなる誤解があると指摘するのが、中京大学現代社会学部教授の松田茂樹氏だ。子育て期で見ると、「夫は仕事、妻は家庭という役割分担を行う夫婦」が全体の80%で圧倒的多数を占めているという。女性が職場から離れて子育てをする夫婦への支援強化策が必要だということだ。

 彼らへの支援は一組の夫婦が産み育てる子供の数を増やすことにもつながる。結婚した夫婦が望む子供の数は2人が52%、3人が23%、4人以上も入れると約8割の夫婦が2人以上の子供を持つことを望んでいる。しかし、希望する数まで増やせないなどとする夫婦が約67%。理由の第一が「お金がかかりすぎる」である。ここに異次元の援助を入れるべきだろう。シングルマザーや働くお母さんへの援助と同様、典型的家族への支援充実が大切だ。

 若い世代の結婚観は急速に変化している。出産後も女性が継続して働くのが望ましいと考える割合が女性で34%、男性で39%と増えている。一生結婚せず、子供も持ちたくないという人も増加し、結婚しないという男性は6年前より5ポイント増の17・3%、女性は6ポイント増の14・6%だ(国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査)。

 未婚化対策がいかに大事かということだ。若者が結婚しない最大の理由に種々の調査は収入の不安を掲げている。未婚化と貧しさには強い相関関係がある。シワ寄せは非正規雇用の男性に集中し、彼らは結婚願望も低い。企業の協力で非正規雇用を減らすか、彼らの賃金を高める施策に日本の叡智(えいち)を結集するときだ。

********

 結婚観が大きく変化するいま、厚生労働省、文部科学省、法務省などには、日本人の生き方を一定方向に誘引する制度を定める委員会や有識者会議が設置されている。各種委員会の決定は往々、リベラルな方向に傾いてきた。それらが日本国政府の基本方針となり、法制化され、予算が投入され、確実にわが国社会の形を創っていく。

 特定の民間団体と密接に関係する人物が専門委員などに就き、自身の所属する団体の利益になるよう政策を誘導することが、至る所で頻繁かつ公然と行われてきた。

 本当に大事にすべきなのは特定の人々だけではなく、全員なのだ。シングルマザーもLGBT(性的少数者)もきちんと受けとめたうえで、多数を占める典型的な家族を大事にしなければならない。その多数派を置き去りにするかのような政策を決めてきた委員会や専門家会議の在り方を、今こそ見直すべきだろう。

 これでよいのかと検証すべき一例が「Colabo(コラボ)」であろう。性暴力や虐待などの被害を受けた若い女性らへの支援事業を東京都から委託されている一般社団法人だ。Colaboに対しては会計報告に不正があったとして住民監査請求がなされたが、問題の根は深い。代表の仁藤夢乃氏は厚労省の「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」のメンバーで、政府の公職にある。

 仁藤氏は厚労省の会議で「女性支援法」に基づく国の政策形成に関して、「法律が実効性のあるものになるように、予算をつけてほしい。(中略)強制力を持って実行できるようなものが要る。やらせる、そういう法律や計画にしてほしい」と述べている。

 離婚夫婦の片方による子供連れ去り事件や、その法的問題点について詳しいジャーナリストの池田良子氏が語った。

 「自治体から巨額の補助金を受けている団体の代表が、自治体に自分の事業に対する予算措置を強制的に行うよう法律で義務付けてほしいという要望に聞こえます。公職にある立場の人には許されない発言です」

 仁藤氏を支える議員に社民党の福島瑞穂党首、立憲民主党の蓮舫、打越さく良両参院議員らがいる。Colaboは家出少女に食事や宿泊場所を提供する活動を行ってきたが、そうした活動の一環として若い女性たちの合宿を沖縄で行い、「辺野古基地反対座り込み」などの政治活動も行っている。その活動を支える「女性支援法」は、実は衆参両院での議論が全くなされない中で成立した。

 Colaboの事例が示すのは、国民の監視の目が全く届かない中で、女性支援法など多くの人が疑問を抱くことも反対することもない、美しい名前の法律に守られて多額の公金が特定の団体に支給されているケースがあるという事実だ。公金が本来の目的とは異なる目的、たとえば左翼的政治活動に使われ、リベラル勢力の活動資金となっている例は実は少なくない。

 異次元の少子化対策は、家族のあり方の見直しを起点とし、政府内の種々の有識者会議の構成員の見直しも含め、「異次元の体制」で取り組まなければならない課題である。シングルマザーをはじめ少数の人々の生き方をきちんと受け入れるという大前提を踏んだうえで、伝統的家族の長所に目を向け、若い人々が結婚できる社会の構築に最大限の支援が急がれる。

 リベラル勢力は前回のこのブログで指摘したように、「多様性」の美名の元にマイノリティや弱者と言われる人を重要視し、大多数のマジョリティへの視線が決定的に欠けています。Colabo問題の本質もそこにあるのではないかと思われます。

 それと櫻井氏の指摘のように、少子化問題にしてもその本質をきちんと把握した上で、有効な手を打たねばなりません。そこには結婚しない男女の問題が取り残されていて、そこにメスを入れる必要があることはこのブログでも指摘してきました。

 野党、立憲民主党は、今総務省の文書問題で沸き立っているようですが、優先順位が全く見通せない情けない党です。弱体化した国の力を取り戻す為に、今何が重要かを考えて政策論議をしなければ、やがて社民党と同じ運命を辿ることでしょう。

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2023年3月 9日 (木)

「多様性」という美名の元に、むやみにそれを助長すれば、日本の伝統や文化が破壊される怖さがある

19_20230308165001  近年「多様性」という言葉をよく耳にします。特に性の多様性、ジェンダーギャップやLGBTqがよく話題になっています。LGBTqについては国会でも論議にされています。

 先般、荒井勝喜元首相秘書官が同性愛を巡る一連の発言で更迭されました。同性愛者を対象とする「差別」発言で、オフレコの会見が毎日新聞記者の所謂「暴露」で公開され、大変な批判を浴びました。

 またかつて同性婚に異を唱えた杉田水脈議員の「生産性がない」発言が物議を醸しました。しかし冷静に見れば間違った見解ではありません。ただLGの人たちへの「差別」だと言う指摘はそうかも知れません。なぜなら「差別」は絶対悪と捉えられているからです。

 しかし「差別」というのは主観が入ります。ある人にとっては差別でも、違う人にとってはそうでないかも知れません。そこには考え方の差があり、もっと言えば思想信条の違い、あるいは文化や伝統の違いがあるからです。

 この「多様性」の問題について、特に宗教の観点からイスラム研究者で麗澤大客員教授の飯山陽氏が産経新聞にコラムを寄稿しています。タイトルは『愛という名の下に…「多様性」の矛盾』(3/08公開)で、以下に引用して掲載します。

自由主義諸国では「多様性を認め合う社会を目指す」のが正しいことだとされている。日本でもあらゆる政党やメディアがそうあるべきだと主張している。岸田文雄総理も2月17日、「政府としては、多様性が尊重され、すべての人々がお互いの人権あるいは尊厳を大切にする、そして生き生きとそれぞれの人生を享受できる社会を目指すべく努力をしていかなければならない」と述べた。

ではその認め合うべき多様性とは何か。昨今、本邦で議論の俎上に載せられているのは「性の多様性」だ。前提にあるのは、性というのは男性と女性だけではなく多様なのだ、という考えである。いわゆるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)だけではない。性というのは、自分の性をどのように(男性か女性か、そのいずれでもない何かなど)認識するかという性自認も、どの性を好きになるかという性的指向も多様であり、無数に存在するとされる。

では性の多様性を認めるとは具体的にはどうすることなのか。2月に岸田総理と面会したLGBTなどの支援団体が訴えたのは、同性婚実現や差別禁止法の制定だ。毎日新聞は2月5日の社説で「多様性を掲げるなら、日本も法制化に乗り出すべきだ」と説き、同15日には「岸田首相の人権感覚 『多様性』掲げるだけでなく、法制化で示せ」という古賀伸明・元連合会長の寄稿をデジタル版に掲載した。

しかし多様性を認めるとはすなわち特定の法律の制定だとするならば、話は些か厄介なことになる。というのも多様性には性の多様性だけでなく、人種や民族、国籍、宗教、年齢、障害の有無など「多様な多様性」があるからだ。

筆者の専門であるイスラム教を例に挙げよう。日本では2011年以降人口減少が続いているが、その中にあって増加の一途を辿っているのがイスラム教徒だ。

早稲田大学名誉教授の店田廣文氏は、2020年の日本在住イスラム教徒の人口を23万人と推定している。2010年には11万人、1990年には3万人弱とされているので、急増と言っていい。

イスラム教徒は全知全能の一神のみを信仰し、生活のあらゆる場面において神の定めた法(イスラム法)に従う宗教的義務を負うが、彼らがそれを日本で実践しようとするとさまざまな困難に直面する。

朝日新聞(デジタル版)は2022年2月、コンビニエンスストア「ローソン品川埠頭店」がイスラム教の戒律に従ったハラール食品の販売を始めたことを取り上げ、「誰にとっても安心して食事ができる環境は必要」とその取り組みを称賛し、「価値観が多様化する時代には『食の多様性』への意識も高めたい」と啓蒙した。

共同通信は2022年11月、大分県日出町でイスラム教徒用の土葬墓地建設に地元住民が反対していると報じ、取材した記者は「取材後記」で「墓地への反対意見には、ムスリムに対する偏見がにじむ」と地元住民を批判しただけでなく、「国際化が進む中で、多様な宗教をいかに尊重し、受け入れるか」「日本社会への問いかけでもある」と批判の矛先を日本社会へも向けた。

一夫多妻も法制化するのか

イスラム法は食や埋葬だけでなく、結婚や離婚についても詳細に定める。イスラム教徒男性は4人まで妻を娶ることができると規定される。原則として求婚は男性から女性の後見人(通常は父親)に対して行われ、女性がその婚姻に同意するかどうかという意思は法的効力を有しない。婚姻最低年齢は定められていないので、生まれた直後に父親が娘を他の男と結婚させることも可能である。夫は妻に対し「離婚する」と3度言いさえすれば離婚が成立し、妻の同意は必要とされない。

では「多様性を認め合う社会」を目指す日本は、在日イスラム教徒が「一夫多妻はイスラム教徒の権利だ」とか、「イスラム教徒の父親には娘に婚姻を強制する権利がある」とか、「10歳の娘を結婚させることはイスラム教徒の父親の権利だ」とか、「イスラム教では夫が妻に一方的に離婚を言い渡す権利がある」等々と訴えたら、それを尊重し、日本の法律に抵触してでもそれを例外的に認めるべきなのか。

彼らが「法で認められないのは差別だ」「信教の自由に違反している」と声をあげたら、それを法制化すべきなのか。

前出の毎日社説は「あらゆる人の権利が尊重される社会にしなければならない」と主張する。しかし主張するのは簡単だが、その具体像を想像するのは限りなく難しい。ある人の権利の尊重は、別の人の権利の侵害や別の不平等を生み出す可能性がある。何を権利と考えるかの認識自体が多様なのだから問題は限りなく複雑になる。そもそもどれほど多くの法律を制定したところで、「尊重される」という「感覚」や「気持ち」を万人にもたらすことなどおよそ不可能であろう。

一夫多妻はイスラム法では認められるが日本の法では禁じられる。イスラム教徒だけにそれを認めるのも、男性だけに認めるのも、日本国憲法第14条の定める法の下の平等に反する。では全ての日本国民に、一夫多妻も一妻多夫も認めるのが「多様性を認め合う社会」なのか。

父親が娘に婚姻を強制することも、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立するという憲法第24条に抵触する。それでもこれを尊重するのが「多様性を認め合う社会」なのか。

気づかぬふりして突き進む

問題は婚姻のみにとどまらない。

イスラム法は性を男女の二者択一で規定し、「性の多様性」なるものは一切認めない上に、異性間の性交、婚姻のみを合法とし、同性愛行為を死罪と定める。イスラム法は神の法であり、そこに妥協の余地はない。

店田名誉教授は、日本のイスラム教徒人口は欧米先進諸国に比べると小規模だが国内にムスリム・コミュニティーが根付きつつあるのは確かであるという現状分析を示した上で、政府や地方自治体が「多文化共生」施策を実施していく上でも、日本のイスラム教徒人口の動向を視野に入れていくことが必要だと提言している。

日本は今、性の多様性や同性愛行為を一切認めない一方で一夫多妻や夫の妻に対する一方的離婚を是とするイスラム教徒の人口が年々増加する中、性の多様性を認めよという声が高まり、社会変革に向けて邁進するという矛盾を生きている。

しかし残念なことに、「多様性を認め合う社会を目指す」人々の多くは、その命題自体が矛盾を孕んでいるという事実に気づいていないか、あるいはそれに気づいてなお、その道に突き進もうとしているようである。

 私もサウジアラビア滞在の経験がありますから、飯山氏の指摘はよく分ります。イスラム教国家では ジェンダーギャップはあって当たり前の世界ですから、男女平等などはあり得ません。つまり性の「多様性」は一切認めない国の生活経験をしてきました。つまりイスラム教と多様性はつながらないのです。

 話は変わりますが、リベラル政党の多くは、外国人参政権を主張しています。これも「多様性」の一つでしょう。そこまで行かなくても学校や自治体、放送局など日本以外の国籍の人が就業していますが、中には反日を旨とする人たちもいます。こうした人も「多様性」の名の下に受け入れてきているのです。

 民族や慣習、文化などの「多様性」を取り入れていく先には、日本の慣習や文化の破壊が待ち受けています。そしてそれが日本人同士の軋轢にもつながるのです。「多様性」を受け入れるのもいいのですが、あくまで日本という国のありように、影響を与えない範囲でなければ、日本が日本でなくなる怖さを秘めていることを、しっかり頭に入れておくべきでしょう。

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2023年3月 8日 (水)

「徴用工」の解決策 安易な迎合は禍根を残す 根本的な歴史認識の掘り下げなしに「歴代内閣の立場を踏襲する」と言う表明は最悪だ

Maxresdefault_20230307164301  韓国政府が所謂「徴用工問題」の解決策を発表しました。林外相、岸田首相とも前向きに受け止め、それぞれ歓迎の意を表しています。そして早くも麻生副総裁の訪韓、尹錫悦大統領の日本招聘、更にはホワイト国への復帰の話まで出ています。まさに前のめりのような対応に、一抹の不安を感じるのは私だけでしょうか。

 産経新聞の昨日の社説に、同様の懸念が示されています。タイトルは『「徴用工」の解決策 安易な迎合は禍根を残す』(3/07公開)で、以下に引用します。

岸田文雄政権が、いわゆる徴用工訴訟問題について、韓国政府が正式発表した「解決策」を受け入れた。

韓国の不当な振る舞いを糊塗(こと)する「解決策」への迎合で、日韓関係の本当の正常化につながらない。極めて残念だ。

「解決策」の柱は韓国最高裁が日本企業に命じた賠償支払いを韓国政府傘下の財団が「肩代わり」することだ。

元徴用工関係者に金銭を支払うのは韓国政府の勝手だが、そもそも日本企業には「賠償金」を支払ういわれがない。「国民徴用令」という法令に基づき、賃金を支払っていた。第二次大戦当時、多くの国で行われていた勤労動員にすぎない。さらに、日韓間の賠償問題は昭和40年の日韓請求権協定で「個人補償を含め、完全かつ最終的に解決」している。

岸田政権は、日本企業は史実と国際法を無視した韓国司法に言いがかりをつけられた被害者で「肩代わり」という表現も見当違いだともっと説明すべきだ。それも十分行わず、韓国側財団が肩代わりする点を評価するようでは、日本の勤労動員が違法で非人道的だったという印象を広めてしまう。

にもかかわらず、岸田首相は朝鮮統治をめぐって日本側が「痛切な反省と心からのおわび」に言及した平成10年の日韓共同宣言に触れ、「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と表明した。

日本が被害者である「徴用工」問題で、首相や外相がすべき発言ではない。政権が交代したり、何か問題が起きたりするたびに、関係もないのに謝罪の表明を繰り返す前例になることを恐れる。

岸田首相は、韓国政府の解決策を評価し、「日韓関係を発展させていきたい」と述べた。だが、対等な主権国家の関係を構築できるとは思えない。韓国が史実を歪(ゆが)めて糾弾し、日本が頭を下げる不健全な関係が続きかねない。岸田首相は今後、過去のおわびや反省の文言を読み上げるなどの対応を避けなくてはならない。

日韓の経済団体が若者の交流拡大の共同基金をつくる案が持ち上がった。「徴用工」問題と無関係だというが、そうは受け取れない。基金拠出は望ましくない。

対日関係改善を追求する尹錫悦政権の姿勢は分かるが、岸田政権が「徴用工」問題で迎合するのは本末転倒である。

 この記事の内容に同感です。そもそも韓国では、日韓併合時代の日本を史実とは真逆の「日帝植民地主義による圧政と収奪」と決めつけ、自国が完全な被害者だというストーリーを作り、国民にも洗脳・教育し、これまで様々な形で日本を非難、ユスリタカリを繰返してきました。

 それに対し日本は戦後GHQにより押しつけた、「日本は周辺国に多大な迷惑をかけた」という「自虐史観」を植え付けられ、戦前日本の発展に寄与してきた保守派の人たちを公職追放で追いやられ、代わりに反軍親周辺国で固まった共産主義思想に近い人間(敗戦利得者)を要職に就けられた結果、彼等の影響も強く残り、政府は中国・韓国の史実をねじ曲げた、「南京大虐殺」や「慰安婦強制連行」に対しさして反論せず、またその嘘も明らかにせず、謝罪を繰返してきた歴史があります。

 この「徴用工問題」もまさにその一環で、そもそも強制労働とは韓国側のでっち上げであり、訴訟の対象になど出来ないのにもかかわらず、韓国の大法院がまさに世紀の大嘘の判決を出したものです。しかも日韓で1965年締結した「日韓請求権協定」の内容にも違反する、まさに国際法違反の判決なのです。

 ですから、韓国が自国で個人請求を処理するのは、当たり前中の当たり前のことであり、何も前のめりになって歓迎の姿勢を示す必要はないのです。ただ尹錫悦政権に対しては、保守派の政権と言うことから、交流を深めることは日本の国益にもかなうでしょう。だがだからと言って「ホワイト国」への復帰や基金の設立などは、筋違いも甚だしい。それはそれで「徴用工問題」解決とは別の次元で交渉するべきでしょう。

As20230117002716  韓国内では未だに原告の一部や支援団体が、韓国の決定に反対していますし、完全解決ではありません。慰安婦合意に見られるように、何処でちゃぶ台返しが起こるか分りません。それはこの問題の根底にある「韓国の捏造歴史認識」を日本側が明確に指摘し、是正を要求しないことにあります。

「日韓併合時代」は日本はそれまでの欧米の植民地とは異なり、併合先のインフラを整備し、教育を改革し、産業を発展させた併合先にとって、恩は感じても非難できないはずです。同様に統治した歴史のある台湾を見れば分るでしょう。彼等は感謝こそすれ日本は非難などしていないのです。これを見ても韓国の異常さが浮き彫りになるでしょう。

いずれにしろ「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と表明したことは、またも日本の腰砕け政治を続けることになり、同時に韓国の政権が変われば三度四度とちゃぶ台返しをされるかも知れません。それを岸田政権は果たして念頭に置いて対応しているのでしょうか。懸念は拭えませんね。

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2023年3月 7日 (火)

シンガポールで遊ぶミャンマー国軍トップの家族写真が拡散… 国民は「なぜこんなことが許されるのか」と激怒

Images-4_20230305150901  2月23日このブログで公開した「世界を困らせる3大バカ老人とは・・・」の3人の中の一人、ミャンマー国軍のミンアウンフライン総司令官。息子や娘も国を食い物にしているようですが、国民の苦悩そっちのけで、シンガポールで遊ぶ家族写真が拡散、物議を醸しているようです。

 そうした状況を旅行作家の下川裕治氏が、デイリー新潮にコラムとして寄稿していますので以下に引用します。タイトルは『シンガポールで遊ぶミャンマー国軍トップの家族写真が拡散… 国民は「なぜこんなことが許されるのか」と激怒』(3/03公開)です。

 国軍の弾圧を逃れ、タイに密入国。その後、自殺したものと思われるミャンマー人の遺書が、ミャンマー内で拡散されている。そこには「ご飯をください」「水をください」という悲痛な叫びが書き連ねられていた。

 昨年、ミャンマーとタイの国境にあるタイ側のメーソートを訪ねた。街の人の話では、国境の山を歩いて越え、タイに密入国するミャンマー人は1日100人をくだらないという。国軍に追われた人たちだ。タイ側に逃げれば身は安全だが、密入国の身では働くことはできない。自殺したのはそんなミャンマー人なのか。

 2年前のクーデターでミャンマーの人たちの生活は一変した。仕事がなくなり、将来への夢も消えた。貯えもなくなりつつある人が多い。しかし生きなくてはならない。国軍に対抗する民主派の軍隊、国民防衛軍(PDF)で銃をもつか、国外脱出の道を選ぶか。

 それを見すかすかのように、1月1日、国軍はパスポートの発給を停止した。システムの更新が対外的な理由だが、

「軍事政権になると多くの若者が国外へ逃げようとする。それは国軍も織り込みずみ。パスポート発給のための賄賂で国軍幹部が儲けようとしている前兆」

 そう考える市民は多い。

パスポートをめぐる混乱は過去にも…

 ミャンマーは2011年まで軍事政権がつづいた。その後、民政化し、社会は活気づいたが2021年、クーデターで再び軍事政権に戻ってしまった。2011年までつづいた軍事政権時も多くの若者が海外脱出を試みた。そのためのパスポート取得が至難だった。500ドルを超える裏金が必要だった。その金が軍の幹部の懐に入っていった。

 当時、ヤンゴンの空港でミャンマー人の青年とパスポートを待ちつづけたことがあった。彼と一緒にバンコクまで行く手筈だった。発給を依頼した間に立つブローカーから頻繁に電話が入った。曰く「いまパスポートオフィスにいる」「職員がなかなか現れない」。結局、パスポートは届かないまま、飛行機の搭乗時刻になってしまった。僕はひとりで飛行機に乗った。あの時代にまた戻っていく気がした。

 実際、パスポートの発給申請を受け付けていた昨年12月、すでにブローカーの暗躍がはじまっていた。正規のやり方で申請するためには、ネットで申し込み、QRコードを受けとらなくてはいけない。しかしそこがうまくいかない。ブローカーに頼むしかなかった。通常手数料の4万チャット(約2600円)が100万チャット(約6万5000円)まで値あがりしていた。

 QRコードを取得しても、その先がある。連日、パスポートオフィスには長蛇の列ができていた。

M_dailyshincho961503 流出した「国軍トップ」家族の写真

 そんなミャンマーで国軍トップのミンアウンラインの家族の写真がSNSで拡散された。妻や息子や娘、家族たちの楽しそうな姿。場所はユニバーサル・スタジオ・シンガポールだった。ミャンマーからチャーター機で向かったという。

 ミンアウンラインだけでなく、息子や娘も経済制裁を受けている。シンガポールは経済面の制裁には加わっているが、彼らの入国まで制限していない可能性は高い。しかしシンガポールで撮られた写真は、パスポートすら手にするのが難しい国民感情を逆なでする。国軍の武器調達にかかわるミャンマー人がタイで逮捕されたが、その取り調べから、ミンアウンラインの隠し財産も発覚してきているという。

「経済制裁を受けた国軍関係者は何種類ものパスポートをもっています。私たちはなかなかパスポートがつくれないのに、彼らは簡単につくることができる」

 船員になって国外に出ようと考えているRさん(24)はいう。

 2月24日にパスポートをつくるためのQRコードの申請は再開された。しかし申し込みが殺到しているのか、なかなかつながらないという。

 ミンアウンラインのシンガポールでの写真が掲載されたSNSには、こんな文章が添えられていた。

<どうしてこんなことが許されるのだろう?

 この一家はミャンマー人のすべての苦しみに責任があります。

 何百万もの人々がホームレスになっているのは、この一族の権力と富に対する欲のせいだ。

 どうして彼らが贅沢を楽しむことが許されるのだろうか?>

 今やミャンマーが何故軍政を敷いているか、その本質が明確になっています。彼等は国民を食い物にし、貧しいミャンマーの中で唯一贅沢な暮らしをする為に、頂点にいるのです。経済制裁を受けても賄賂と利権で潤っているのでしょう。

 私はサウジアラビアに数年滞在していました。サウジアラビアも王家の独裁国家ですし、賄賂も横行していましたが、国民には石油収入を還元し、宗教上の理由からか男女の格差は大きなものがありますが、 国民全体は豊かな生活を送れるようにしていました。ミャンマーの軍人とは全く異なります。

 ただ出稼ぎに来ている外国人は貧しい生活を強いられていました。様々な国から来ていますが、掃除をしているバングラ人は1日600円の収入(10年前)で、半分は国へ送金していました。もちろん技術士や医師などは高給でしたが。

 日本人はアメリカなどとは相対的に給与レベルがじり貧で、今や30年前の半分以下となり、台湾や韓国にも抜かれつつありますが、ミャンマーやバングラなどから見れば、まだまだ豊かです。

 今の若い人で日本に不満を持っている人など、こういった国に行ってみればいいと思います。収入や治安など、自分たちがどんなに恵まれているか分るはずです。世界は広く、いろいろな人がいろいろな環境で暮らしているのだと言うことを、よく見て考えて欲しいと思いますね。

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2023年3月 6日 (月)

なぜロシア軍はこれほど弱いのか、中国人民解放軍が徹底分析 台湾統一を見据え、ロシアの失敗から多くを学ぶ目的

14_20230304140501  ロシアのウクライナ侵略戦争は1年を超え、ロシアは圧倒的な戦力の差がありながら苦戦を強いられています。今は東部バフムトでウクライナ軍に総攻撃をかけていますが、まだ陥落はしていないようです。この先春になれば欧米からの戦車のウクライナ提供が本格化します。果たしてこの先どうなるのか予断を許しません。

 ところで欧米のウクライナ支援もありますが、何故ロシアがこれほど苦戦しているのでしょうか。そしてその状況を中国が詳細に分析しています。ハーバード大学アジアセンター・シニアフェローで前陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏がJBpressに寄稿した記事に、その詳細を見てみましょう。タイトルは『なぜロシア軍はこれほど弱いのか、中国人民解放軍が徹底分析 台湾統一を見据え、ロシアの失敗から多くを学ぶ目的』(3/04公開)で、以下に引用します。

 ロシア・ウクライナ戦争(=露宇戦争)が勃発してから1年が経過した。ロシアのウクライナ侵略直後、世界中の多くの専門家は「ロシアが短期間でウクライナを占領するだろう」と予想していた。

 しかし、米国の統合参謀本部議長マーク・ミリー大将が「ロシア軍は、戦略的にも作戦的にも戦術的にも失敗している」と発言したように、ロシア軍はこの戦争で大苦戦し、多くの失敗を繰り返している状況だ。

 世界中の軍事関係者は、露宇戦争から多くの教訓を引き出そうとしている。特に中国にとって、これらの教訓はより重要な意味を持つ。

 なぜなら、中国は大規模な戦争の経験がなく、過去数十年間の急速な人民解放軍(=解放軍)近代化のためにロシアの兵器とドクトリンに大きく依存してきたからである。

 そのロシアが始めた戦争の帰趨は、中国が目指す台湾統一のための軍事作戦と密接な関係があるからだ。

 本稿においては、解放軍が露宇戦争、特にロシア軍をどのように分析し評価しているか、解放軍の機関紙である『解放軍報』を根拠に明らかにしたいと思う。

露宇戦争は長期戦の様相

 ウラジーミル・プーチン大統領はロシア軍に対して、「ドンバス地方の2州(ドネツク州、ルハンシク州)の3月末までの完全占領」を命じている。

 この命令を受けたロシア軍は、ドンバス2州においてほぼ全力で攻撃している。

 しかし、多大の犠牲を伴ったロシア軍の攻撃は順調に実施されているとは言えない。

 確かに最大の激戦地であるバフムト正面では、民間軍事会社ワグネルを中心としたロシア側の攻撃が徐々に進捗し、ウクライナ軍を包囲する態勢ができつつある。

 一方、ロシア軍が重視しているドネツク州南西部の要衝ウフレダル(Vuhledar)では数千人の犠牲者を出して攻撃が頓挫している。

 ルハンシク州のクレミンナやスバトベ正面でも大きな部隊が攻撃しているが、ウクライナ軍の激しい抵抗に遭遇し、攻撃は進捗していない。

 つまり、露宇戦争の現状は「膠着状態にある」と言わざるを得ない。

ロシア軍の人員・兵器の損耗は大きい

 ロシア軍がこの戦争で被った人員と兵器の大量損耗は、今後の戦況に大きな影響を与えることになる。

 英国防省によると、2月末の時点におけるロシア軍の死傷者は20万人で、死者数は6万人に上る可能性があるという。

 この6万人という数字は、第2次世界大戦以降の戦争で死亡したロシア兵士の数よりも多い。

 戦略国際問題研究所(CSIS)のリポートは次のように分析している。

「ウクライナ戦争でのロシア軍の死者数は6万から7万人だ。ロシア軍の毎月の死者数は、チェチェン戦争での死者数の少なくとも25倍、アフガニスタン戦争での死者数の35倍である」

 ロシア軍の兵器の損耗であるが、オープンソースの情報を分析している組織「Oryx」の分析によると「ロシア軍はウクライナで毎月約150台の戦車を失い、2022年2月以降、合計1779台の戦車を失っている」という。

 一方、エコノミスト誌によると、ソ連は1940年代、月に1000台の戦車を生産することができた。

 現在、ロシアには戦車会社がウラルバゴンザボード(UralVagonZavod)1社しかなく、毎月20台前後の新型戦車を生産することができるが、1つの会社がウクライナ戦争における膨大な需要に追いつくのは困難である。

 ウラルバゴンザボードはまた、毎月8両の古い戦車を改修しており、ロシアの他の3つの修理工場は毎月17両ほどを改修している。

 ロシアは近い将来、新たに製造される毎月20両の戦車に加えて、毎月約90両の戦車を復活させることができる可能性はある。

 しかし、ロシアはウクライナで毎月約150台の戦車を失っており、再生可能数は損失数には及ばないだろう。

 つまり、経済制裁下における兵器生産の限界により、戦車以外の兵器においてもその損耗を穴埋めできない状況だ。

 その結果、ミサイルや弾薬は不足し、戦車等の主要兵器が不足する状況である。

 ロシアは、イランや北朝鮮から弾薬や兵器を入手する努力をしているが、それでは不足を賄えない状況だ。

 そこで注目されるのが、中国からの弾薬や兵器の入手である。

 もしも中国が武器や弾薬を大量にロシアに提供すると、露宇戦争に根本的な影響を与えることになる。

 そのため、ジョー・バイデン政権は何が何でも中国の武器等の提供を阻止しようとして、その帰趨が注目される。

 いずれにしても、中国がロシアの戦争遂行能力に大きな影響を与える可能性があり、中国がロシアの運命を左右する存在であることは確かだ。

16_20230304140901 ロシア軍にダメ出しする『解放軍報』

 解放軍は、露宇戦争におけるロシア軍の動向に注視し、その教訓を将来の台湾統一作戦に生かそうとしている。

 解放軍の『解放軍報』は2023年1月12日付の記事で、苦戦するロシア軍に対してダメ出しを行っている。

 その記事は、露宇戦争におけるロシア軍の問題点を率直に指摘した興味深い内容であるので紹介する。

  • ロシア核戦力の統合

・『解放軍報』の記述内容

 通常戦力が立ち遅れるロシア軍にとって、核戦力は米国やNATO(北大西洋条約機構)との戦略的に対等な立場を維持するために不可欠な戦力になっている。

 ロシア軍は、戦略核戦力の「3本柱」へのコミットメントを維持し、2022年に核兵器の近代化率を91.3%に高めた。

 この年、最初の戦略爆撃機「Tu-160M」が航空宇宙軍に引き渡され、955A(ボレイ)型戦略原子力潜水艦「スヴォーロフ」が北方艦隊に編入され、大陸間弾道ミサイル(ICBM)サルマトが戦闘任務に就いた。

 また、ロシアは核封じ込めを効果的に補完するものとして、極超音速兵器に代表される非核兵器の封じ込め戦力を拡充し、「核と通常戦力」による2重封じ込め戦略効果を狙ってきた。

 また、核演習によって核戦力を誇示し、核戦力の運用能力の向上を図り、「第3次世界大戦は核戦争になる」と西側諸国に警告を発した。

 一方、実戦では戦略爆撃機による巡航ミサイルの発射、極超音速ミサイル「キンジャール」の反復使用などで決意を示し、NATOの直接軍事介入を抑止した。

 ロシアはNATOに対する効果的な戦略的抑止力を確保するために、主権と領土保全、国際戦略バランスの重要な保証として、戦略核戦力の「3本柱」を維持し続けるであろう。

・筆者の解説

 プーチン大統領が戦争の終始を通じて多用しているのが「核のカード」である。ロシアは、通常兵力ではNATOに劣っており、NATOとの均衡を保つために核抑止力に依存している。

 ロシアは、「核演習を行い、核戦力の戦闘態勢を高め、第3次世界大戦は核戦争になると警告する」ことで西側諸国のウクライナへの支援を抑止している。

 つまり、プーチンの核の脅しにより、バイデン政権は「F-16」や「ATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)」のウクライナへの供与を拒否している。

 私はこの状況を「プーチンの核の脅しによる認知戦がバイデン政権に対して効果を発揮している状況だ」と表現している。

『解放軍報』の記事では、ロシアが通常弾頭の極超音速ミサイルを使用することで、「NATOの直接軍事介入を抑止した」と記述しているが、私はこの記述に反対する。

 私は、ロシアの極超音速ミサイルの効果は限定的だったと思っている。やはり、非核ではなく核ミサイルの抑止効果の方が圧倒的に大きいのだ。

  • 陸上部隊を中核とした諸兵連合作戦の態勢構築

・『解放軍報』の記述内容

 ロシア・ウクライナ戦争は、依然として陸上での勝敗が戦局のカギを握っていることをロシアに十分認識させた。

 戦争開始当初、ロシア軍は作戦目的達成のため、大隊戦術群(BTG)を中核とした多領域連合作戦(多域联合作战)を行おうとした。

 しかし、NATOの作戦支援に力を得たウクライナ軍を前に、諸兵連合作戦(CombinedArmsOpearation)能力の不足、戦争継続能力の不備など、BTGの弱点が次々と露呈された。

 また、ロシア軍の諸兵連合作戦能力は限定的であり、ロシア軍は効率的な諸兵連合作戦を行うことができない状況だ。

 報道によると、陸上戦場における戦闘指揮関係を合理化するため、ロシア軍は陸軍を中核とする連合戦力システムを再構築し、戦術作戦レベルで部隊の高度な指揮統一を実現しようとしている。

 そして、ロシア軍伝統の大軍団作戦の優位性を最大限に発揮して戦場における主導権を獲得しようとしている。

 そのための第1の方策は、旅団の師団化プロセスの推進である。

 旅団には柔軟性はあるが、規模が小さ過ぎて戦力に限界があり、長期にわたる高強度の消耗戦に効果的に対処することができない。

 ロシア軍は師団を復活させる方針で、7個歩兵旅団を歩兵師団に拡大し、新たに3個歩兵師団を編成するほか、空挺部隊も2個空挺突撃師団の編成を増やす、さらに既存の海軍歩兵旅団をベースに5個海兵師団を編成する予定だ。

 第2の方策は、各集団軍に航空・宇宙軍を割り当てて作戦を行うことである。

 露宇戦争において、ロシアの航空宇宙軍の出撃回数は少なすぎ、精密打撃の効果がなく、陸軍との連携も限定的であった。

 この点で、ロシアは各集団軍に混成航空師団と陸上航空旅団を1個ずつ配置し、空地での統合作戦を確保する方針である。

 第3の方策は、西方戦略方面への兵力配置の最適化である。

 フィンランドやスウェーデンのNATO加盟後に出現する脅威に対処するため、ロシア軍はモスクワとレニングラードの2つの軍管区を新設する計画で、西部軍管区はウクライナ方面の脅威への対処に特化する可能性がある。

・筆者の解説

 ゲラシモフ参謀総長が鳴り物入りで導入した大隊戦術群(BTG)は現在、解体されている。

 記事で書かれているように、諸兵連合作戦能力の不足、戦争継続能力の不備など、BTGの弱点が次々と露呈され、BTGは解体されている。

 バフムトなどの激戦地では、BTGに代わる小規模な突撃部隊を多数編成して、人海戦術による波状攻撃を行っている。

『解放軍報』は、ロシアが諸兵連合作戦の問題解決に苦戦していることを認め、「ロシア軍は諸兵連合戦の効果的な実行ができていない」と述べている。

 西側のアナリストは、戦場におけるロシアの航空戦力の不在を推測している。この点がロシア軍の最大の問題点である。

『解放軍報』は、ロシア空軍は「出撃回数が少なすぎる」と批判し、「精密攻撃の効果が不十分で、陸軍との連携も限定的だった」としている。

  • 情報化作戦能力の欠如

・『解放軍報』の記述内容

 ロシア軍の情報化作戦能力の不足により、特別軍事作戦においては従来の機械化戦争の戦法が継続されている。

 ロシア軍は戦略・戦術を積極的に調整し、作戦のスピードアップ化を図り、情報化作戦能力の向上に力を注ぐべきだ。

 第1は、指揮・通信システムにおける情報レベルの向上である。

 ロシア軍は指揮自動化システムの適用範囲を拡大し、大隊以下の戦闘部隊に指揮自動化システム端末と新世代デジタル無線を優先的に装備すべきだ。

 人工知能の技術を積極的に導入し、戦闘システムの有効性を向上させるべきだ。

 第2は、戦場状況認識能力を向上すべきだ。

 主に分隊や小隊の戦闘部隊に無人機を装備し、戦場の偵察ネットワークを統合し、秘匿された通信チャンネルを通じてリアルタイムで情報を伝達し、「偵察と打撃」間のループの有効性を大幅に向上させるべきだ。

 第3は、ドローンなどの知的戦闘装備の開発を加速し、戦略ドローン、監視ドローン、徘徊型自爆ドローンの開発を中心に進め、特に精密誘導砲弾の生産を拡大することである。

 また、ロシア軍の初期作戦や動員過程の後方支援に生じた問題や矛盾を受け、ロシアは軍事産業化委員会の役割を重視し、特別軍事作戦の材料や技術的なニーズに焦点を合わせている。

 高度な医療キットや防弾チョッキなどの装備を部隊に提供している。

 同時に、「外注」の後方警備のシステムをさらに最適化し、軍独自の「随伴」装備の整備と警備能力を向上させ、各レベルの修理部隊を復活させ、警備能力を戦場のニーズに合わせるとしている。

・筆者の解説

 解放軍では、作戦の発展段階を「機械化→情報化→智能化」と表現している。

 情報化作戦の典型は米軍の湾岸戦争やイラク戦争における作戦であり、ICT(情報通信技術)の進歩に伴い可能になった先進的な作戦である。

 情報化戦争を可能にするのが指揮・統制・戦闘システムの開発と配備である。

 この解放軍の分析でも、「ロシア軍の情報化戦闘能力は不十分である」と評価している。

 ロシアは情報化戦を効果的に実行できないので、この理解によれば、「機械化戦の伝統的な戦術に頼らざるを得なかった」ということになる。

 1990年代から2000年代にかけてバルカン半島や中東に展開した米軍の研究から、中国共産党は、将来の戦闘は情報を核として行われ、「非接触戦争」に大きく依存するだろうと考えるようになった。

 これは紛争地域周辺から行う長距離精密打撃を意味する。ロシアが長距離精密打撃により、どの程度ウクライナでの作戦に成功したのか、解放軍は疑問視している。

 情報化戦におけるロシアの現在の不備に対処するため、中国側は3つの分野に優先的に取り組むべきだと分析している。

 それは、大隊以下の戦闘部隊への指揮自動化システム端末の装備を優先して、指揮自動化システムの利用拡大をすること。そして無人機の導入拡大である。

 無人航空機(UAV)は分隊や小隊レベルで使用し、戦場の状況把握やリアルタイム情報の伝達により「偵察と打撃ループ(侦察-打击回路)」を改善する。

 つまり、リアルタイムの目標情報に基づき、迅速な火力打撃により目標の迅速な撃破を実現するということだ。

 ロシア陸軍は、ISR(情報・監視・偵察)のプラットフォームを使用し、最下層の部隊や指揮官に権限を与え、目標捕捉、偵察、攻撃を迅速化することの価値を認識するに至った。

 解放軍は、米国の無人偵察機と攻撃用ドローンの導入についてはすでに研究しており、中国の巨大な国内ドローン産業とともに、中国軍のあらゆるレベル、各兵科における高レベルのドローン使用を加速させるものと思われる。

 結論として、解放軍はロシア軍の作戦を情報化作戦に至らない古い機械化作戦レベルであると批判しているのだ。

結言

 中国共産党は将来的な台湾統一を睨んで、露宇戦争の動向をよく観察している。『解放軍報』の分析記事は、露宇戦争におけるロシア軍の軍事的失敗を率直に認めている。

 つまり、ロシア軍は、解放軍にダメ出しされているのだ。

 露宇戦争においては、表面上はロシアに有利に見える烈度の高い戦争も、エスカレートするリスクを伴う長い消耗戦に陥りやすい可能性が非常に高い。

 中国の指導者たちが、これを単に克服すべき一連の軍事技術上の問題と見ているのか、それともそもそも戦争は避けるべきだという警告なのか、いずれの結論に達するかが注目される。

 いずれにしても、露宇戦争で明らかになった問題点を改善するために、北京の政治家や戦略家が日夜努力していることが、中国語の文献から読み取れるのである。

 中国がこのロシアの侵略戦争を仔細に研究しているのは、想像に難くありません。台湾統一を視野に戦略を立てる過程で、参考にしようとしているのでしょう。更には直接の参戦者ではありませんが、ウクライナに武器等を支援しているアメリカやイギリスも、この戦争を仔細に分析し、逐次メディアに公開しています。

 日本にもNIDSという防衛研究所がありますが、詳細な分析を行っているのでしょうか。殆どメディアに研究や分析の結果が公表されていませんが、内密に進めているのでしょうか。『ウクライナ戦争の衝撃』という研究者の執筆した書籍が刊行されていますが、それは戦況の仔細な分析や戦略的レベルの研究ではないようです。研究実態は分りません。

 いずれにしろ中国が台湾統一を目指して戦況分析をするのに対し、日本も台湾有事を想定してあらゆる角度からシミュレーションが必要でしょう。ただそのためにロシアによるウクライナ侵略戦争の分析が、はたして貴重な情報となるかどうかは分りませんが。

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2023年3月 5日 (日)

和田政宗氏:「みなさまのNHK」ではなく、「俺が偉くなるためのNHK」ーー古色蒼然の官僚体質

Images-3_20230304151101  NHK札幌支局のアナウンサーが、ストーカー規制法による禁止命令が出されたと報道されました。以下に3月2日付けの産経新聞の記事を引用します。

<知人女性の住むマンションに無断で侵入したとして警視庁中野署に逮捕されたNHK札幌放送局のアナウンサー船岡久嗣容疑者(47)に対し、ストーカー規制法に基づく禁止命令が出されていたことが2日、捜査関係者への取材で分かった。

捜査関係者によると、船岡容疑者は2月17日夜、無断で東京都中野区にあるマンションに立ち入ったとされる。17日午後11時半ごろ「不審者がいる」との110番があった。船岡容疑者は3階から飛び降りて負傷し、退院後の20日に逮捕された。中野署が経緯を調べている。

NHK関係者によると、船岡容疑者は平成11年に入局。スポーツの実況などを務めていた。>

 この件にも関連し、元NHKアナウンサーの参議院議員和田政宗氏が、月刊hanadaプラスにコラムを寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『「みなさまのNHK」ではなく、「俺が偉くなるためのNHK」』(3/02公開)です。

2月20日、NHKの船岡久嗣アナウンサーが、住居侵入の疑いで逮捕された。私は、NHKの事なかれ主義や、組織のいびつな体質がこうした事件の遠因になっていると考える。今回は、これらNHKのおかしな状況について記したい。

NHKの事なかれ主義と組織のいびつな体質

NHKの船岡久嗣アナウンサーが、住居侵入の疑いで逮捕された。私はNHKアナウンサー当時、相撲中継やスポーツ中継で共に実況をした後輩であるので、このニュースに接した時にとても驚いた。当初NHKは逮捕の事実を公表しなかった。2月20日午後に逮捕されていたのに、翌21日の夕方になって各社が報道した後、ようやくNHKは逮捕の事実を公表した。

私は、NHKの事なかれ主義や、組織のいびつな体質がこうした事件の遠因になっていると考える。今回は、これらNHKのおかしな状況について記したい。

NHKのいびつな体質の最たるものは、2010年代の「経営改革」の中で職員の給与は段階的に1割削減されたのに、経営陣である理事の給与が10年も削減されていないことである。理事の年間報酬は2206万円。現在の理事10人はいずれもNHK職員からの内部昇格である。

経営改革を行うのに、自らの報酬に手を付けずに社員の給与だけを削減する経営陣が果たして一般企業にいるだろうか。常識では全く考えられないことをNHK経営陣は行っているのである。

そして、報道機関としておかしな状況は放送現場にも現れている。NHKは「おはよう日本」などで、AI自動音声アナウンスでニュースを伝えているが、ニュースを伝えるということは、本来、極めて高い能力が求められる。

取材者として研鑽し経験を積み、様々な事象を捉えることができる人物が、音声を通じて最終的な伝え手として責任を持って伝えるというのが基本であり、それを高めるために日々努力をする。しかし、何がニュースなのか、事象の重みも分からない自動音声で伝えるというのは、もうNHKは報道機関であることを放棄していると言えるし、アナウンサーを極めて軽視しているということである。

自動音声で十分であるという考えならば、もうアナウンサーは努力をしなくて良いということになるし、そもそもアナウンサーは不要ということになる。「伝え手」とは何なのかということをNHKは全く無視してニュースを制作している。

契約職員に対するセクハラやパワハラ

こうしたおかしな点は、ニュースを誰が伝えるのかという所にも出ている。NHKには職員アナウンサーと、年度契約の契約キャスター(アナウンサー)がいる。契約キャスターは給与が職員に比べて安く、生活もやっとという給与水準の場合もある。

正職員であっても契約職員であっても同様に出演するニュースや番組の現場でなぜこのような給与格差があるかということであるが、NHKの説明は、「担ってもらう役割が違う」「責任が重い部分は正職員が担う」というものである。

こうした説明から、私が現職の時は、朝や夜の5分間のTVニュースであっても職員アナウンサーが必ず伝えていたが、現在では契約キャスターが1人でTVニュースを伝えている時間帯がある。であるならば、同一労働同一賃金で給与は同様にするべきだが、格差は続いている。

契約キャスターで職員アナウンサー以上の能力を発揮する方もいる。だが、トレーニングや育成が職員アナウンサーでは体系立てて行われているのに対して、契約キャスターではほぼ行われない。それは契約キャスターの契約体系では給与が「出演料」となっており、自己責任でスキルを高めるということになっているからである。

安い給与で1年契約、最大3年更新まで。トレーニングも行われないまま責任も負わされる。契約キャスターはこのような不安定な立場に置かれている。NHKもニュースで労働問題を取り上げるが、まず自らの職場の労働環境を省みるべきである。

そして、アナウンサーの職場をはじめ、ディレクターなどニュース・番組の製作現場において、契約職員に対する正職員によるセクハラやパワハラがNHKでは散見される。正職員と契約職員という力関係から生じるセクハラといった特に酷い場合もある。こうしたことが発覚し、正職員側が加害者である場合、正職員側はNHKの他地域の放送局に転勤となるが、雇用は守られる。

しかし、被害を受けた側が契約職員であった場合、結局その放送局に居づらくなり辞めてしまうことが多い。NHKは被害者側が守られる組織になっていない。私はNHK時代も国会議員になってからも、被害者が守られる体制作りを求めてきたが、外部弁護士の相談窓口が創設されたものの、根本的な被害者保護にはなっていない。

「記者にあらずんばNHK職員にあらず」

船岡アナウンサーに対してはストーカー規制法に基づく禁止命令が出されたと報道されているが、NHKは被害者をしっかり守った上でここまでエスカレートする前に防ぐことが出来なかったのか。NHKの事なかれ主義、隠蔽体質がこうしたことを生じさせてしまったと言える。

その他にも、NHKの中にはびこる記者至上主義もいびつな体質の大きな要因だ。記者出身者は多数NHKの理事になっているが、アナウンサー出身者の理事はいまだに1人もいない。記者が放送現場をコントロールし、「記者にあらずんばNHK職員にあらず」といったNHK内の権力構造は極めていびつだ。

そして、局長クラスになると理事への昇格を狙い、激しい権力闘争を始める。局内で正当に競い合うということであればまだそれでも許せるのかもしれないが、相手を追い落とすために内部情報かつ不利な情報を週刊誌にリークしたりする。「みなさまのNHK」ではなく、「俺が偉くなるためのNHK」になるのである。

このようにNHKはその体質を、解体的出直しの覚悟で根本的に改革しなければ不祥事は続くであろう。理事の高額報酬をはじめ、国民の不信感が一層高まれば受信料制度は崩壊するはずだが、NHKはいびつな体質の根本改革をやる気は全くない。

稲葉延雄新会長においても、自民党総務部会でのやりとりからは真剣さは感じられない。NHKはもう終わりの始まりに突き進んでいるのであろう。NHKは存続できたとしても民営化の道を歩むことになろう。

 和田氏のこの記事から想像するに、NHKは古色蒼然とした官僚体質のままというように思いますね。正職員と契約職員は公務員のキャリアとノンキャリア同様、給与が異なり、そもそも契約職員には昇格もなくノンキャリアよりもっと酷い扱いだと思います。

 加えて正職員にも記者とアナウンサーの格差があると言うから、まさに階級社会の組織の典型ですね。理事の意識も改革マインドに満ちているとはとても思えません。これでは民営化しても組織は立て直せない、根本的な組織的改革が必要だと思います。

 こう言う甘ったるい組織運営で成り立っているのは、受信料という天から降ってくる収入があるからでしょう。先ずはそれを半減するなりして、理事を初め全職員にショックを与えることから始める必要がありそうです。そして将来はその存在価値そのものもよく検討し、価値が低ければ解散に持って行くのが賢明でしょう。民営化しても持ちそうもありませんから。

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2023年3月 4日 (土)

林外相、国会優先でG20欠席 だが答弁は「53秒」だった。そもそも審議は中身がないうえに退屈で、「やる意味があるのか?」

Images-1_20230303163201  インドで開かれたG20外相会議では、今月2日実質的な審議の中で、ロシアのウクライナ侵略をめぐり米欧とロシアの対立が改めて鮮明となったようです。ところで日本がこの会議に林外相が欠席した事により、開催国のインドを初め内外から批判が出ています。

 この問題は、日本の「国会運営」と「国益」の両方の視点から、掘り下げる必要があります。ここでは二つのコラムを取り上げて見てみましょう。先ずは産経新聞の社説である「主張」です。タイトルは『林外相のG20欠席 国会優先は国益を損なう』(3/02公開)で、以下に引用します。

林芳正外相がインドで1日から2日間の日程で始まった20カ国・地域(G20)外相会合への出席を見送り、令和5年度予算案の国会審議を優先した。林氏の代わりは山田賢司副大臣である。

政府と国会の見識を疑う。ロシアや中国などの専制国家の振る舞いが国際情勢を極めて緊迫化させている中での国際会議だ。

にもかかわらず、外交を担う閣僚が国会審議を優先し、そうした会議を欠席するとは驚きだ。国益を損ねる判断というほかない。

国会は1日、参院予算委員会で岸田文雄首相と全閣僚の出席が原則の基本的質疑を開いた。政府は、予算審議の優先を求めた参院自民党と立憲民主党の意向を踏まえ、林氏の出席を見送った。

松野博一官房長官は記者会見で「林氏が出席する可能性を追求したが、国会を含む国内での公務の日程、内容などを総合的に勘案した」と釈明した。全く理解に苦しむ。政府は国会に対し、もっと強く説得すべきだった。

G20の枠組みでは先の財務相・中央銀行総裁会議で、ロシアのウクライナ侵略を巡って、中露両国と先進7カ国(G7)各国などとの意見対立が鮮明になったばかりである。日本は今年のG7首脳会議(サミット)議長国としてG20での議論を主導すべき立場だ。

しかもG20は、対露関係で米欧と距離を置くインドネシアや南アフリカなどの「中間国」も構成国である。

ロシアの侵略を即刻中止させるには、中間国が多い「グローバルサウス」(南半球を中心とする途上国)を積極的に取り込み、広範な対露包囲網を形成することが重要だ。

その際には、伝統的にロシアと友好関係にあるインドとの連携も欠かせない。その意味でインドで開催される今回のG20は、日本の立場を主張し、対露包囲網を呼び掛ける絶好の機会だった。それを自ら逸してしまった政府と国会の判断は、世界に対する責任を果たさないものだといえよう。

これまで岸田首相は「5月のG7広島サミットを成功させ、その成果を9月のG20サミットにつなげ、アジアから世界の平和と繁栄の新しい秩序を主導する」と繰り返し語ってきた。だが、林氏の欠席はインドとの連携にも水を差しかねない。首相と林氏の見識も問われる事態である。

 産経新聞はこの件に関する別の記事で、「閣僚の海外出張を巡っては、昨年2月にも鈴木俊一財務相がG20財務相・中央銀行総裁会議への出席を国会日程のため見合わせており、同様の失態を繰り返したことになる」とも述べています。

 次にデイリー新潮の記事を取り上げます。タイトルは『「G20」欠席して国会での仕事は「53秒」だった林外相を足止めした犯人は誰なのか?』(3/03公開)で、以下に引用します。

林氏の無駄遣い

 3月2日の参議院予算委員会は、審議のために林芳正外相のG20(主要20か国の外相会合)への出席が見送られたことが話題となった。岸田文雄首相は国会の場で説明し、自民党の麻生太郎副総裁は苦言を呈するなどし、各報道番組でも報じられた。実際、林外相が国会で席に座っている意味はほとんどなかったようで、国益を逸しているとの指摘もある。開催国インドのメディアからも批判が出ている。欠席となったのは誰のせいなのか?

Images-2_20230303163301  日本維新の会の音喜多駿氏は参院予算委員会での質疑で、林氏が国会を優先した結果、G20に欠席することになった判断に注文を付けた。

 これに対して岸田首相は、「林氏の出席の可能性を追求したが、国会を含む日程などを総合的に勘案した」と説明したのだが……。

「音喜多氏は、1日の審議で林氏への与野党の質問がたった1問で回答時間が53秒だったことを持ち出して、”林氏の無駄遣いだったと言わざるを得ない“と言っていましたね。誰の目にも、”林さんは国会にいる必要がなかったよね“というのは明らかだったと思います」

 と、政治部デスク。

やる意味があるのか?

 一方で自民党の麻生副総裁も自派閥の会合で、「林外務大臣が、G20外相会合に出られなくなったというのはどうかと思う」と苦言を呈した。

「ロシアのウクライナ侵攻から1年が経過し、G20は関連の話をするにはまたとない会合なのに、ほとんど意味のない国会での論議が足を引っ張って欠席に至ったことを嘆いているようでもありました」(同)

 予算委での基本的質疑については、首相と全閣僚の出席が原則となってきた。副大臣や政務官が代理で答弁してもいいことになっているのだが、往々にして「大臣出席が必要」という声が幅を利かせがちだ。

「国会としては基本や慣例に忠実にということで、林氏のG20出席に待ったをかけたようです。しかし、外務省がしつこいくらいに出席を主張していたら、柔軟な対応ができていたのではないかという声は大きいですね。その他、衆院と同じ扱いを求めたとされる自民党の参院側の“責任”を問う声もあります。世耕弘成参院幹事長が何らかの働きかけを行っていれば話は変わったかもしれません」(同)

みんなでスルー

 実のところ、経緯を見ると、立憲民主党だけではなく自民党も林氏の外遊を認めないというスタンスを主張していた。国民民主党の玉木雄一郎代表は「林大臣はG20に出るべきだ」と主張していたが、彼らと自民党が共闘した形跡もない。

 つまり麻生副総裁は今頃になって苦言を呈しているが、何のことはない、自分たちも「国会優先」という側に立っていたことになる。

 政府与党、あるいは外務省が記者クラブらに対して「国会優先はおかしい」と問題提起を事前にしていたら展開は変わったかもしれないが、そもそも当事者もメディアもほとんどこの件をスルーしていたのだ。

 では、岸田首相は今回の判断にどれくらい関与したのか?

「ほぼ関与していないと見られますが、結果として良くなかったと思います。中身がないうえに退屈で、”やる意味があるのか?”とかねて指摘される国会審議の不要論に拍車がかかりそうですね。まぁそれは言い過ぎだとしても、首相は今回の件でもリーダーシップを発揮すべきだったのにできなかったと言えるのではないでしょうか」(同)

ウクライナ訪問は切望

「首相は自身がウクライナに訪問することには相当前のめりになってきたのに、今回の件には後ろ向きというか冷めた姿勢というか……。自分がスポットライトを浴びる場面とそうでない場面とでは熱意に差が出るのは仕方ないのかもしれませんが、対ロ包囲網で各国が一致結束する好適なタイミングだっただけに、残念な印象を受けますね」(同)

 林氏は首相と同じ宏池会所属で、次の首相候補として名があがる。「外交の岸田」からすると、自分以外が外交で目立つのに抵抗でもあったのだろうか。

「首相は林氏を信頼しつつも、どこかでライバル視するところもあり、晴れ舞台に送り込むのを躊躇したのではないかと邪推する人もいましたね」(同)

 要するに、首相も与党も多くの野党も、林氏がG20に出ても出なくてもどうってことない、という認識で一致していたということだろうか。

 何が国益に資するのかといった子供でもわかるような判断や単純な日程調整がなされていないことは嘆かわしい限りである。

 このブログで何回も主張していますが、今の国会運営は全く基礎からなっていないと思います。先ずは会議形式ではない。企業の会議とは異なると言われるかも知れませんが、もし企業の会議であれば、「テーマ」に対し、関係者各人がそのテーマの中の課題を掘り下げ、様々な意見を述べテーマに沿った最善の施策や解決策に収斂させていく、しかも決められた時間内で、と言うことになるでしょう。

 予算審議であれば、予算案に対し、同様に各党が様々な意見を出し合い、最良の予算に収斂させていく、それが会議の姿でしょう。ところが国会では事務方(官僚)が造った予算案を、事務方が造ったシナリオで担当閣僚が説明し、それに対しあらかじめ造っておいた反対シナリオでもって、主として野党が追及する。時にはテーマ(予算案)の趣旨を逸脱し、的を外れた反対シナリオも混ぜる事も多い。しかも意図的に。これが現実ではないでしょうか。これは会議ではありません。所謂「ショー」ですね。

 しかもそのショーは全く面白くもなんともない。時には馬鹿馬鹿しい限りです。更には最適案に収斂する試みもない。ですから記事中の「かねて指摘される国会審議の不要論に拍車がかかりそう」と言うのも、言いすぎではないと思いますね。

 そして慣習か何だか知りませんが、審議に全閣僚出席など全く意味がありません。副大臣や官僚の代役で十分でしょう。閣僚(大臣)は審議中の無駄(?)な時間に本来の仕事をすべきでしょう。今回の林外相について言えば、G20外相会議出席はマストだったでしょう。

 いずれにしろ国会改革は絶対必要です。私は全く面白くない国会中継ショーなど見ませんが、これを見た若い人などは間違いなく政治不信を抱くでしょうね。言い過ぎかも知れませんが、このくだらなさが投票率の低迷の要因の一つになっているかも知れません。政治不信を招かないような国会にしなければ、日本の未来は暗いと思いますね。

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2023年3月 3日 (金)

韓国人旅行客が急増、各地で爆買い。だがぬか喜びしてはならない、背景に長期のデフレや円安で日韓逆転が

11_20230302144101  昨年暮れからの空港検疫など水際対策の緩和から、規制中の中国人を除く外国人旅行者が急増しています。中でもかつて「No Japan」運動を繰り広げた韓国旅行者が目を引きます。政権が保守に交代したからと言う理由もあるでしょうが、今や日本ブーム再燃と言ってもいいような勢いです。

 文在寅政権時代の韓国を思い出すと、やはり素直には歓迎したくない気もしますが、文政権時代でもコロナ以前では韓国人は多かった、つまり政治と観光は別でしょうね。

 最近の韓国人観光客の動向について、韓国人ジャーナリストの李正宣氏がJBpressに記事を寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『韓国で空前の「Go JAPAN」ブーム、“神商品”を買う客でドンキに長蛇の列 円安・免税を生かして高級ブランドを格安で購入、転売して大儲けする人も続出』(3/01公開)です。

 韓国社会ではいま、かつての「No JAPAN」運動が嘘だったかのように、空前の「Go JAPAN」ブームが起きている。筆者もそのブームに便乗するかのように先日東京に行ってきた。

 東京の街は「日本人半分、韓国人半分」という韓国メディアの記事があながち間違いではないと思えるほど韓国人の人波で溢れていた。

 韓国人観光客が多く訪れるドラッグストアやドン・キホーテではレジの前に並ぶ長蛇の列ができており、筆者も買い物をあきらめなければならない場面が何度もあった。まるで中国人から「爆買い」のバトンを韓国人が引き継いだかのような感覚さえ覚えた。

日本に行ったら絶対に買わなねばならない“神商品”の数々

 筆者の日本行きが決まると、たちまち知人から「欲しいもの」リクエストが殺到した。ゴルフが趣味の友達は「サロンパス」を10箱も注文してきたし、胃の弱い老母は「太田胃散」や「キャベジン」を、記者の友達は「めぐりズム」のアイマスクや液体絆創膏などを…といった具合だ。リクエストの大部分は韓国人のブログやYouTubeで紹介されている、いわゆる「日本に行ったら必ず買わなければならない“神商品”」だ。

 3泊4日の短い日程で東京を訪れた筆者は、ホテル近くのドン・キホーテでこれらのリクエスト商品を一気に買ってしまえばよいと考えていたのだが、免税カウンターの前に並ぶ長い列を見て呆然としてしまった。結局、店舗スタッフの「あと1時間程度かかりそうです」という言葉に購入を諦めなければならなかった。

日本産ウイスキーは小売店も奪い合い

 空港内の免税店でも韓国人の爆買いに遭遇した。お菓子売り場では、筆者の前に並んでいた若い韓国人男性が菓子代として何と6万円以上支払うのを目撃した。

 酒類売場は日本産ウイスキーを買い求める韓国の若者で賑わっていた。そこで出会った若者はウイスキーを買いに日本に来たという。彼は「韓国で5万ウォン(約5000円)以上する『サントリー角瓶』が日本では1万ウォンちょっとだった」と言い、スーツケースをウイスキーでいっぱいにして喜んでいた。

 ここ数年、韓国の若者の間ではウイスキーブームが起きている。新型コロナによって外で会食する機会が減り、自宅で楽しむ一人酒が流行する中で、若年層の嗜好がビールや焼酎からウイスキーなどの高級酒へとシフトしているためだ。中でも安価なウイスキーを使ってもウイスキーの味を楽しめる「ハイボール」は、まさに空前の流行となっている。江原道原州(カンウォンド・ウォンジュ)のある小都市は、町おこしのために「ハイボール祭り」なるものを企画したが、これが口コミでかなりの人気を集めている。

 韓国関税庁によると、日本産ウイスキーの輸入額はノージャパン運動の真っ最中だった2019年の136万ドルから、2022年には414万8000ドルへと3倍以上に増加した。

 しかし、爆発的な需要にいまだ供給が追いついておらず、大型スーパーに「山崎」や「響」など韓国人に人気のウイスキーが入荷する日は朝から店頭に長蛇の列ができている。それでも売りに出されるウイスキーはわずか10本前後であることが多い。

 酒の小売店主が集まっているインターネットサイトには「卸屋から、サントリーのウイスキーを手に入れたいのなら他社のウイスキーと抱き合わせでなければダメだと言われた」「価格も引き上げられ、しかも売れ残りの製品まで一緒に買わなければいけない。それでも月にようやく1本回してもらう程度だ」「サントリーを買おうと入金したら詐欺にあった」などなど、取引を巡る苦情がひっきりなしに報告されている。

10_20230302144201 「日本で爆買い、韓国で転売」でボロ儲け

 コロナパンデミックで約3年ぶりに再開した海外旅行、しかも「円安」という追い風まで重なった日本旅行で、韓国人が爆買いしているのは薬品やウイスキーだけではない。

 最近の円安によって韓国と日本との物価が逆転してしまった影響で、有名海外ブランドのショッピングも日本が絶対的に有利なのだ。

 しかも日本は韓国よりはるかに大きいマーケットだけに数量も豊富で多様なデザイン――特に日本限定デザインの商品も多いため、韓国の若者の間では日本のデパートなどでブランドバッグや靴などを購入して自分のSNSなどで転売するのが流行っている。

 価格自体も韓国より安いが、そこに免税が適用されるので、一度日本に行ってくれば、少なくとも百万ウォンから数百万ウォンを稼ぐことができるという話も聞こえてくる。

 こんな具合に韓国社会が「Go JAPAN」「Buy JAPAN」で盛り上がる中、韓国の独立運動記念日である「三一節」を迎えることになったわけだが、にもかかわらず日本旅行の熱気は全く冷めないと複数の韓国メディアが報道している。

三一節でも衰え見せない「Go JAPAN」ブーム

 三一節とは、大日本帝国による植民地時代の1919年3月1日、韓国全域で同時多発的に勃発し、数カ月にわたって繰り広げられた独立運動(3・1運動)を記念する日だ。当時の「朝鮮総督府」の記録によると、3・1運動鎮圧の過程で韓国人553人が死亡、1万2000人が逮捕されたとされているが、韓国人が記録した『韓国独立運動之血史』によれば7000人余りが死亡、4万5000人余りが投獄されたという。

 どちらの数字が正確なのかはともかく、三一節とはこうした日本との不幸な歴史に基づく民族の祝日で、韓国人にとっては一年を通じてもっとも反日感情が高まる日でもある。

 そのため政府が反日感情を刺激しまくった文在寅政権時代には、三一節のタイミングで日本を旅行した動画をアップした有名YouTuberが、視聴者からの猛烈な抗議によって土下座で謝罪する事態に追い込まれたし、日本料理を紹介したケーブルテレビ番組が視聴者への謝罪文を公開しなければならなくなるなど、この時期、日本と関連したすべてのことがタブー視された。

 ところが今年の三一節は、韓国メディアの報道によると休暇を取って日本旅行へ行く若者が急増し、日本便があるLCC航空会社は3月1日の航空券前売り率がいずれも90%を超えるという。

かつて反日ムードを煽ったメディアは…

 こうした状況に対して、いくつかの韓国メディアは不満な様子を隠そうとしなかった。

<韓国人の「日本行きラッシュ」は、日本政府が北朝鮮の脅威を踏み台に反撃能力保有を宣言し、「竹島の日」行事を開催するなど、韓国国民の反日感情を高めるような行動を強行する姿を考慮すれば、過去とは違う流れだ> (世界日報)

<韓日間では強制徴用など歴史、安保問題で大小の葛藤が依然として収まっていない状況だが、円安現象などの影響で日本を訪れる韓国人観光客は大きく増えた。三一節に日本旅行に行くこともあまり気にしない様子だ>(SBSニュース)

<いろいろと日本旅行に行くのに良い時期だそうだ、旅行に行っても韓国の歴史について忘れない韓国国民になってほしい」(YTNニュース)

 文政権の反日路線に便乗して韓国国民の反日感情を煽ったのもこうした報道各社だ。当時、威勢よく反日の刀を振り回した彼らだけに、今年の三一節の「日本ブーム」には呆然とするほかないのだろう。

 政治と観光は違うと冒頭に述べましたが、「YTNニュース」が言うように「旅行に行っても韓国の歴史について忘れない韓国国民になってほしい」と述べるあたり、やはり韓国らしいと思いますね。

 一言付け加えれば、韓国の歴史の大半は捏造で、自国に都合のいいように嘘で固めたストーリーにしていますし、三・一運動も韓国では「大虐殺があった」と触れ回っていますが、そんなことはありません、真っ赤な嘘です。むしろ、三・一運動を機に日本の朝鮮統治は安定し、インフラ投資などが軌道に乗ったというのが真実です。

 それはともかく注目すべきは韓国より日本で買う方が安い、つまり長期のデフレと円安で、物価は日韓逆転し、国民所得あるいは給与レベルも逆転してしまっている事実でしょう。

 ですから韓国から観光客が来て爆買いしてくれると、ぬか喜びするのではなく、あらゆる手段を駆使して、日本経済をかつてのように強くしなければならないと思う必要があります。日本を追い越したと、韓国人に上から目線で言われ続けないように。

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2023年3月 2日 (木)

中国の不動産バブル崩壊がいよいよ現実に、そして韓国も。経済停滞から下降への序章が始まる?

8_20230228172201  中国の不動産バブルは、いよいよ崩壊の域に入ったと思われます。これまで造るだけ造ったマンションが、「鬼城」と化し、かつ最近では施主が建築費を払えないので工事が途中で止まってしまったマンションやビル(爛尾楼)も多く現れています。

 ただこのバブル崩壊は中国だけではなく、韓国でも起きているようです。日本で30年ほど前に起こった不動産バブル崩壊、今中国、韓国を襲おうとしています。

 その概要を住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、現代ビジネスに寄稿しています。先ずは中国の状況を。タイトルは『怖すぎてマンションが買えない…!中国の不動産バブルが崩壊して起きている、まさかの「ヤバすぎる事態」!』(2/27公開)で、以下に引用します。

30年で100倍以上に達したマンション価格

中国と韓国のマンション市場が、かなり異常な状態となっている。

世界第2位の経済大国にのし上がった中国では、2000年代の高度経済成長期以後、ほぼ一貫してマンション価格が高騰。正確な統計はないが、その値上がり幅はここ30年で数十倍から100倍以上に達するとされる。

北京や上海、深圳などの都心では、日本円にして2億や3億でも買えない物件が多くなっている。これはとんでもないバブルだろう。

一方、お隣の韓国では、2017年5月に誕生した文在寅政権の経済失策で、ソウルの中心エリアではマンション価格が約2倍になった。これも一種のバブルだ。

中国と韓国、我々にとってわりあい身近なこの両国で、不動産市場にバブルが形成されていたのだ。そして今、両国ともにそのバブルが崩壊し始めている。その様子を、少し詳しく見てみたい。

いつ完成するかわからない「爛尾楼」

まず中国。この国では昨年あたりから「爛尾楼」というのが話題になっている。これは、施主が建築費を払えないので工事が途中で止まってしまったマンションやビルのことを指す中国の新語だ。

マンションの場合は、一般消費者が購入契約を結び、住宅ローンの支払いが始まっているのに、住戸が予定通りに引き渡されないばかりか、いつ完成するかも分からない状態。日本ではあり得ない。

日本でもマンションは建物の完成前から販売され、購入契約が結ばれるのが一般的。ただし、日本の場合は「手付金保全措置」が講じられる。デベロッパーなどの倒産でそのマンションが引き渡されない場合、手付金は最終的に保証会社から返還される仕組みだ。

さらに日本の場合、住宅ローンの融資実行はマンションの引渡時点であり、返済開始はその後だ。

中国ではそういった保全措置がないばかりか、ローンの実行は契約時点。返済はそれ以降に始まる。建物の引渡し前から住宅ローンを返し始めるのだ。だから、デベロッパーが建築費を払えなくなって工事が止まると、悲惨なことになる。

中国全土で「爛尾楼」になっているマンションがどれほどあるのか。

「途方もない数字」

やや古いが、2022年7月29日付のダイヤモンドオンラインの記事に、以下のような記述がある。

〈経済メディア「財新網」によると、分かっているだけで「爛尾楼」の総面積は2.31億平方メートル(中略)、「爛尾楼」関連のローン規模は0.9兆元(約18兆円)と、全国の金融機関ローン残高の1.7%に当たるとされる〉

日本円で「18兆円」とは途方もない数字である。1件の住宅ローンが3000万円とすると、60万件ということになる。

日本で2022年に販売された分譲マンションは、全部で7万2967戸(不動産経済研究所)。日本の約8.2年分がそっくり「爛尾楼」になっているのか?

ちなみに、2022年2月1日のAFP記事に出ている中国のマンション価格は「調査対象の35都市における住宅購入の一戸当たり価格は154万1000元(1元=約18円)」。日本円にすると2772万円だ。

「契約したマンションが引き渡されないのに、ローンは支払わなければならない」

そんなことが現実に起こっているのなら、当然消費者側は怖くてマンションを買えなくなる。朝日新聞22年12月1日付の記事では、〈中国国家統計局によると、1~10月の住宅販売額は前年同期比28・2%減。開発も進まず、住宅の開発投資額も同8・3%のマイナスとなった。いずれも今年は1999年以降で最大の下げ幅となる見通し〉とある。

「この程度では済まない」

実際のところ、中国の新築マンション開発はフリーズ状態ではないか。

当然、価格も下がる。以下はロイターの2023年1月13日の記事である。

〈中国国家統計局が16日発表したデータに基づきロイターが算出した2022年12月の新築住宅価格は前月比0.2%下落した。下落は5ヵ月連続。(中略)11月も0.2%下落していた。12月は前年比では1.5%下落し、8ヵ月連続のマイナスとなった。11月は1.6%下落だった〉

実態はこの程度では済まないだろう。物件によっては半値以下に下がっていても不思議はないが、そんな当局に都合の悪い統計数字が出てくるお国柄ではない。

中国の昨年のGDPは3.0%のプラスと発表されている。5.5%が目標であったから、何とか半分をクリアさせたような数字。実際はマイナスであろうと予測している専門家も多い。

おそらく、今年も似たようなものではないか。つまり、中国経済は確実に停滞期に入ったと考えるべきだ。

不動産価格というのは、経済が成長していると上昇し、停滞が続くと下降するのがセオリー。さらに言えば、中国には「マンション在庫が34億戸ある」という報道記事も見かける。話半分にしたところで、過剰在庫になっていることは間違いないだろう。当面このバブルの崩壊現象は続くと思われる。

 以上が中国の状況です。マンション在庫はその多くが売れ残りだとすれば、「鬼城」も膨大な数に上るでしょう。その鬼城は利用客が付いていないでしょうから、それこそ凄まじい不良在庫の山と言えます。今後中国経済に重くのしかかってくるのは間違いないでしょう。

 次に韓国の実情です。タイトルは『一発逆転を狙ったことが裏目に…!韓国の不動産バブルが崩壊して起きている、阿鼻叫喚の「悲惨すぎる現実」!』で、以下に引用します。

人生の「一発逆転」を狙ったことが裏目…

韓国でもマンションバブルが崩壊し、価格が下がり始めたことで様々な悲劇が起こっている。

そういった悲劇の主役たちは、「ヨンクル族」という新造語で呼ばれる人々。その意味は(魂までかき集めて住宅ローンを組んだ人)ということだという。年齢は20~30代。

背景にあるのは、韓国の若年失業率の高さだ。公式統計には表れにくい若年層の「体感失業率」は20%とも25%ともいわれる。

サムスンや現代などの一流企業への採用、もしくは公務員を目指した就職浪人組が多いのが、ヨンクルを生み出した一因とされる。同国の厳しい競争社会の中で、そういった「勝ち組」に入るのはかなり困難なのが現実。

中小企業に就職すると「負け組」と見なされてしまう。「負け組」、あるいはそうなってしまいそうな人々にとって、人生の一発逆転を狙えるのがマンションの購入だった。

相次ぐ経済失政

購入したマンションが値上がりして資産を築けば、彼らは「負け組」から「勝ち組」に変わることができる。韓国人にとって「住宅」は「学歴」や「車の種類」と並ぶ、人生のヒエラルキーを形成する「3大アイテム」と言われている。

ヨンクルたちにとって、時代の巡り合わせも悪かった。

まず、2017年に発足した前大統領・文在寅の政権は、不動産政策で失敗に失敗を重ねる。

文在寅が大統領に就任した頃、世界的な金融緩和を背景に、ソウルでもマンション価格が上がり始めた。それに対して文政権は、マンションの購入に様々な制限を加えることで価格を抑制しようとした。それが逆効果となって、さらにマンション価格が高騰したのだ。

「今買わないと買えなくなる」「買えば必ず価格が上がる」

そんな空気が広がる中、多くの若者は「魂をかき集める」ように様々な借金をして、マンション購入に走った。ところが、まさかの事態が起こる。

9_20230228172301 通貨が弱い「ウォン」の宿命

2022年からアメリカの急速な金融引き締めが始まった。金利の上昇である。

韓国は通貨の弱い国である。自国通貨・ウォンを防衛するため、韓国は金利を上げざるを得ない。

ドル金利が上がったにもかかわらず、漫然と異次元金融緩和を続けて極端な円安を招いた日本とは、対称的である。

韓国銀行は政策金利を2023年1月まで継続して引き上げ、現時点(2月26日)では3.5%となっている。当然、住宅ローンの金利も上がる。主要銀行の住宅担保ローンの変動金利は2022年1月の年3.57~5.07%から、2023年1月には5.27~8.12%まで上昇。

金利が上がれば、不動産価格が下がるのが経済のセオリー。2022年の年央からたちまちマンション価格も下がり始めた。

聯合ニュースの2023年1月16日の記事には、〈昨年12月は全国の住宅価格が前年同月比2.0%、ソウルも2.0%下落し、いずれも単月ベースで03年以降最大の下落幅を記録した〉とある。

これは表面的な数字だ。実際の市場価格は少なくとも10%から20%は下がっていると予想される。

すでにマンションを購入した人にとっても、悲惨な現実を招いている。

「お金がないので昼食を抜く」人も

住宅ローンの返済額が上昇したことで、日常の暮らしを圧迫。

「可処分所得のほとんどがローン返済に消えて、生活ができない」

「お金がないので昼食を抜く」

そんな切ないエピソードが伝えられる。

売却してローンを精算しようにも、値下がりしているので「売るに売れない」状況に追い込まれている人も多い。

さらに恐ろしい話も聞こえてくる。

韓国では現在、日本でいうところの「売れ残り」や「在庫」にあたる「未分譲」と分類されるマンションが約6万8000戸もあると報道されている。

韓国の人口は日本の約4割。日本なら「17万戸」の在庫があるということになる。

2022年に日本で分譲されたマンションは7万2967戸である。そこから考えても、韓国の「6万8000戸」というのは、途方もない数字だ。

韓国のマンションバブルの崩壊は、その傷が癒えるまで何年かかるのだろうか。

中国も韓国も、マンション市場はかなり危機的な様相である。

振り返って日本はどうか?

日本は金利の引き上げ次第

約10年続いた異次元金融緩和は、日本のマンション市場にも地域限定でバブルをもたらした。ただし、その中身は中国や韓国に比べれば、かなり穏やかである。

東京の港区や千代田区あたりで約2倍。23区内の近郊エリアや大阪の都心地区で1.5倍程度。郊外では1.2倍にもなっていないところがほとんどだ。

日本銀行の新総裁が、仮にこの異次元金融緩和を多少修正して金利を引き上げたとしても、マンション価格はひとまず「10年前」水準をめざして緩やかに下落する程度ではなかろうか。

ただし、日本経済に不況感が強まれば「10年前」水準を超えて下落することもあり得る。

 バブル崩壊は必ずやってきます。1991年の日本の株と不動産のバブル崩壊、2008年の米国でのサブプライムローンでのバブル崩壊、そして現在の中国、韓国での不動産バブル崩壊と、続きます。

 不動産や金融商品は上昇が急になれば警戒が必要です。しかしそれに気づいても踊らされてしまうのがバブルです。資本主義下では大なり小なりバブルは発生し、はじけると言います。しかしその程度が大きいと国の経済は危うくなり、長期停滞が続きます。

 韓国はまだしも、中国はその規模からしてかなりリスクが高いでしょう。日本はその点を十分留意して、中国と経済的に交流する必要があるでしょう。間違っても不動産関係のビジネスは避けなければなりません。

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2023年3月 1日 (水)

「日本人の半分はNHKを見ていない」という衝撃データは何を物語っているか このままではNHKはNetflixに完敗してしまうだろう

7_20230227165801  1週間前、「偏向報道を続けるNHK」をテーマに、このブログでNHKを取り上げましたが、今回はそもそもNHKは国民の多くに視聴されているのか、その点を取り上げてみたいと思います。

 早稲田大学社会科学総合学術院教授の有馬哲夫氏が「NHK受信料の研究」と言う書籍を著わしています。その著書の中からエッセンスを取りだして、デイリー新潮編集部が、記事にしています。前後編に分かれていますので先ず前編から。タイトルは『「日本人の半分はNHKを見ていない」という衝撃データは何を物語っているか 『NHK受信料の研究』著者が指摘する問題点』(2/27公開)です。

 NHK受信料について疑問を呈してきた政党の信頼度が、このところ劇的に低下しているのを一番喜んでいるのはNHKかもしれない。

 放送する政見放送で「受信料は払わなくてよい」「ぶっ壊す」などと言われるのは、彼らにとっては苦痛だっただろう。

 しかしながら、なぜテレビを持っているだけで支払う義務が生じるのか、といった疑問あるいは違和感を抱く人がいなくなったわけではない。

 有馬哲夫・早稲田大学社会科学総合学術院教授は、新著『NHK受信料の研究』の序章で、ネット時代の現在、受信料を払うことにどういう意味があるのかという根本的な問題を問いかけている。そして、それは結果として国家レベルで見た場合に、文化の発信力を弱めることにつながっている、と主張している。

 その問題提起に耳を傾けてみよう(以下は『NHK受信料の研究』より再構成)。【前後編の前編】

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BBCの受信料は廃止の方向に

 2022年1月17日、BBCニュースの日本語版が「英文化相、BBCの受信料制度廃止を示唆」と報じた。その翌日、同ニュースサイトは「英政府、BBC受信料の2年間凍結を下院で発表」と続報を打った。

 いよいよBBCも追い詰められた感がある。

 これは日本のNHK(日本放送協会)の受信料制度に影響を与えるのだろうか。間違いなくそうなるだろう。NHKは、BBCと共通する部分が多い。だから放送の事情に詳しい人々は「イギリスで起こっていることはやがて日本でも起こる」と考え始めている。そのこと自体が大きな影響だ。

 2020年2月17日には、ボリス・ジョンソン首相(当時)が、現行の許可料(日本のNHK受信料にあたる)を廃止し、新たに従量制に移行させるという計画を発表した。現行制度では、放送を利用しようとしまいと、また、どれくらい長く利用しようと、一律年間 159ポンド(週割り、月割り可、日本円で約2万6000円)支払うと決められている。

 ジョンソン首相はこれを廃止して、放送を利用した人が、した分だけ払う、従量制に変えたいとしたのだ。実現すれば、広告で収入を得る民放とは違って、広告を流していないという理由だけで許可料のほとんどを得ているBBCの経営に大打撃を与える。

 ジョンソン政権は、BBCに国民から許可料を強制的に徴収することをやめさせようとした。なぜだろうか。

 それは第一にBBCの放送がほとんど利用されてないのに、許可料のほとんどがBBCに流れてしまうからだ。

 第二には、BBCだけを肥え太らせる現在の許可料制度を続ければ、イギリスの放送・コンテンツ産業がNetflixやAmazon Prime Videoなどの有料動画配信大手に太刀打ちできなくなる。

 ナディーン・ドリーズ文化相も、「BBCは米Netflixや米Amazon Prime Videoなどの有料動画配信大手と競合できるようになる必要がある」と発言しているし、ツイッターでも「素晴らしいイギリスのコンテンツに予算をつけて支援して、販売するための、新しい方法を話し合い議論するべき時だ」とつぶやいている。

 ジョンソン首相は、単にBBC嫌いなのではなく、国民からの支持も国益もしっかり考えていたということだ。言うまでもなく、これら二つの問題はNHKにも当てはまる。というよりNHKのほうが事態ははるかに深刻だ。

2302270605_3714x476 日本人の半分はNHKを見ていない

 日本を見てみよう。第一の問題だが、NHKの放送がほとんど視聴されていない事実は、これまで私は雑誌やネットの記事でもたびたび指摘してきたが、ようやく広く認知されるようになった。NHK放送研究所の「テレビ・ラジオ視聴の現況 2019年11月全国個人視聴率調査から」によれば、NHK総合チャンネルを1週間に5分以上見ている日本人は54.7%だった。1日ではなく、1週間である。

 逆に言えば、残りのおよそ半数の日本人はNHKを週5分も見ていない。BSに関して言えば、二つのチャンネルの1日の平均視聴時間の合計が6分しかなかった。

 たしかに、テレビ視聴は、見る人々は長時間見て、見ない人々は全然見ないというように両極化している。それでも否定できないことは、全然見ない人々は、圧倒的に若者に多く、彼らは今後もテレビ視聴の習慣を身に付けることはないことだ。つまり、将来にわたってテレビ視聴時間は減少し続けるのだ。

 なのに、日本では、見ていようが、いまいが、受信できる機器を持っているだけでNHKと受信契約を結ぶことを義務付けられている。

 ドリーズ文化相が指摘した第二の点だが、日本の置かれている状況は、イギリスよりはるかに厳しいといえる。コロナ禍の巣ごもり需要でNetflixやAmazon Prime Videoなど有料動画配信大手が業績を伸ばしているのは私たちが日々実感していることだ。また、基本的に有料ではないYouTubeのシェアも、イギリスほど高くないにしても、とくに若者の間では伸び続けている。加えて、U-NEXT、Disney+のような後発の有料動画配信大手も徐々に浸透してきている。

 日本では、放送と動画配信を並べて比較したものは発表されていないが、それが出されれば、放送が有料動画配信大手を含む動画配信にシェアを奪われていること、とりわけNHKの惨状が明らかになるだろう。

 総務省の情報通信白書は、放送の視聴時間とインターネットの利用時間しか明らかにしていないが、最近の調査でも前者が減り、後者が増加する傾向ははっきり見られる。

 しかも、60代のインターネット利用時間は、この5年間でかつての2倍になっていて、それまで長時間放送を視聴してきた年齢層の間でも放送からインターネットへのシフトが起こっていることが分かる。

 NHKは受信料を独り占めにする資格があるようなコンテンツを生産し続けているだろうか。ドラマの一部は評価や人気を得ているようだが、あくまでも国内向けのものである。

 全般的に見て世界で勝負できるようなコンテンツは極めて少ない。欧米はもちろん、韓国のコンテンツが世界市場で勝負できている時代にあまりに内向きだ。

 そもそも、将来的なことを考えた場合、ニュースは、放送という限界(定時まで待たなければならない、時間の長さが限られている)のために、ネットニュースには速報性でも詳述性でもかなわなくなっていくだろう。どうしても必要だとなれば、民放や海外メディアがしているように、YouTubeやNetflixなどにアップすればいい。

 ここからは後編で、タイトルは『このままではNHKはNetflixに完敗してしまうだろう 『NHK受信料の研究』の著者が警告』です。

「国民の約半分は1週間に5分もNHKを見ていない」――これは前回ご紹介したNHK放送文化研究所が公表したデータである。

 有料の動画配信が世界中で勢いを増している中、旧来通りの「受信料」でNHKを運営し続けることは、本当に国益、視聴者の利益につながっていくのだろうか。新著『NHK受信料の研究』の中で、著者の有馬哲夫・早稲田大学社会科学総合学術院教授はこんな問いかけをしている。以下、その問題提起に前編に続き耳を傾けてみよう(以下『NHK受信料の研究』をもとに再構成)。【前後編の後編】

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人々はテレビを見る習慣がない

 前編で触れた「約半数の国民がNHK総合テレビを週に5分も見ない」というデータを示されても、にわかには信じがたいというNHKファンもいるかもしれない。朝は連続テレビ小説を見て、夜には「クローズアップ現代」「ニュースウオッチ9」、週末には大河ドラマを見る、という生活様式の人が今なお相当数いるのは事実である。

 このような全体からみれば少数派の人々のために、大多数の、とくに若い人々の、典型的なメディア利用のパターンを示してみよう。これは、仮にあなたが今そうなっていなくても、これからたどることになるパターンだと思ってもらいたい。

 まず、現代人の大部分がスマホ中毒になっていることを念頭におかなければならない。朝起きると、LINE、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokのどれかをチェックする。メールが来ていれば返信し、時間があれば投稿する。ニュースも天気予報もこれらのSNSに貼り付いてきたものを読む。

 したがって、かつてのようにテレビで天気予報やニュースをチェックすることはほとんどしない。とにかくスマホを手放さない。

 令和3年版情報通信白書によれば、2020年における20代の日本人の平日1日のテレビ視聴時間は88分。それに対してインターネット使用時間は255.4分だ。内訳は、PCが73.8分、モバイルが177.4分、タブレットが15.6分だ。つまり、モバイルでSNSを使ったり、YouTubeを視聴したりすることに多くの時間を費やしている。スマホ中毒の実態が表れている。

 こうしてみると、日本人が総スマホ中毒の現代では、およそ半数が「NHKの地上波総合テレビの視聴時間が週に5分」というのは、決して誇張ではなく、現実だということがわかる。放送に関していえば、NHKだけでなく、民放も視聴されていない。日本だけでなく、世界的な現象だが、放送よりも動画配信の視聴時間が伸びている。

 NHKは、テレビに限らず、ケータイでも、パソコンでも、とにかく放送を受信できる機器を持っていれば、受信料を払えという。だが、私たちは、ケータイもパソコンもNHKの放送を受信するために買っているのではない。民放の番組を見るために買っているのでもない。放送よりも、さまざまな種類の動画配信を見るために買っているのだ。

 イギリスなどでも起こっていることだが、最近では、電波を受信できない、テレビモニターやプロジェクターを買い、それで動画配信を見ている若者が増えてきている。これは放送を受信できないので、基本的にNHK受信料の対象とはならない。

日本も文化的属国になる

 このままでいくと、日本人は日本製コンテンツを、放送ではなく、有料動画配信大手で見るようになる。そして、放送が力を失っていくので、日本のコンテンツ制作会社は、有料動画配信大手の下請けになっていく。

 その結果、優れた日本製コンテンツは、欧米の有料動画配信大手と契約しなければ見ることができなくなる。それだけにとどまらず、有料動画配信大手は、市場原理に基づいて、とくに日本で利益を上げるというより、中国を含めたアジア全体で利益を上げるもの、つまり、日本風ではあるがアジア的なものを作るように強いるかもしれない。

 言い換えれば、日本のコンテンツ産業は、有料動画配信大手という文化帝国の属国にされてしまうかもしれない。

 これを防止するためにできることは何か。この点については、本書の最後に私案を述べることとするが、簡単に言えば、旧来の放送局ではなくコンテンツそのものに重きをおいていく方向に進めるべきだ、ということになる。

 前編で述べたように、NHKと似たBBCがあるイギリスは、この方向に向かっている。つまり、有料動画配信大手に対抗し、イギリス人がイギリス製のコンテンツを見続けるために、人々の心をつかむコンテンツが作れないBBCに許可料(日本のNHK受信料にあたる)を独占させるのではなく、ほかのコンテンツ制作機関に回すようにしようとしている。それによってイギリスが有料動画配信大手の文化的属国にならないようにしようとしている。

 BBCだけではない。公共放送の受信料の廃止は世界的趨勢になっている。有料動画配信大手の影響力の拡大は、先進国に共通してみられることだからだ。これらの国々では、放送を動画配信が脅かしている。多くの人々が、放送よりも有料動画配信を含めた動画配信を多く見るようになっている。だから、見なくなった公共放送に受信料を払うのを嫌がっている。この流れは年を追うごとにはっきりとしてきている。

受信料規定に胡坐をかいている

 このような世界の流れにもかかわらず、NHKは放送法に受信料の規定があるのをいいことに国民に対して強権的態度を強めてきている。

 つまり、NHKを見ようと見まいと関係ない。あなたが払いたいか、払いたくないかもどうでもいい、払うことになっているのだから払えという姿勢だ。

 だが、NHKは自分でも考えてみたことはないのだろうか。なぜ、見ていないのに、受信機があるだけでNHKと契約を結ばなければならないのか。テレビには、NHKの放送だけでなく、民放も映るのに、なぜNHKにだけ受信料を払うとされているのか。契約の自由が憲法によって保障されているのに、強制的に契約させるのはおかしいではないか。だから、この規定は、訓示規定、すなわち規定を順守しなくても、処罰の対象にならず、また、違反行為そのものの効力も否定されないものと考える法学者がいる。つまり、受信契約を結ばないことが違反だとはいえても、それを罰することはできないということだ。

 しかも実は法律をきちんと読めば、受信料を払わなければならないとなっていない。それが定められているのは放送法の中ではなく、「日本放送協会放送受信規約」、つまり私的契約規定の中だ。なのに、NHKはこの受信料規約を根拠として、NHKを視聴しようとしまいと、受信契約を望もうと望むまいと、国民から受信料を強制徴収できるかのように振る舞っている。これは大問題だ。

 本書で詳述することになるが、もともと法律が作られた占領期にさかのぼって、受信料の規定には矛盾があり、齟齬があり、理にかなっていなかったのだ。法律そのものが最初から、それを押し付けたGHQと日本側の通信官僚たちの思惑の違いから、おかしなつくりだった。しかも、占領が終わった後も改正せず、おかしいままに放置してきた。むしろ、時の総理大臣、吉田茂とその愛弟子佐藤栄作は、放送法に、木に竹を接ぐような、とんでもない大改悪を行った。その後も受信料の矛盾は大きくなり続けたが、有料動画配信大手がシェアを伸ばして放送にとって代わろうとしている現代では、その矛盾が以前にもまして大きくなっている。

 受信料の問題は、NHKにとってばかりでなく、日本の放送産業、コンテンツ制作産業、政治、言論にとっても大きな問題だ。そして、現在においても問題だが、過去においてもそうだったし、このまま放置すれば、未来もそうであり続けるだろう。

 現在にいたるまで、受信とは放送を受信することだった。だが、これからは受信とは放送ではなく動画配信を受け取ることを意味するようになる。いやすでにそうなっている。

 このような根本的な変化に直面して私たちは、もはや「払うことになっているから、払うのだ」という答えには満足しなくなっている。それなのに、NHKはまったく応えず、自分の論理、あるいは嘘を繰り返している。

***********

 有馬氏が指摘しているのは、従来通り、自動的に受信料がNHKに流れ込むようなシステムの下では、国際競争力を持つようなコンテンツを作れないのではないか、ということだ。あらゆる情報やソフトがグローバルな競争にさらされている中、国内で競争原理にさらされないままで良いものが生まれるのか。

 イギリスはすでにこの視点から変わろうとしている。日本はどうするのだろうか。

 今までこのブログでは、NHKの放送の中身が、日本の国益にとって相応しいかどうかの視点で論じてきましたが、有馬氏はそもそも受信料が世界の社会通念上適切ではないのではないか、と言う視点で語っています。

 それはNETでの有料動画配信や無料のYouTubeなどとの比較から、そして優良コンテンツの制作動機からも、時代遅れだと論じているのです。全く同感です。

 ではこの先どう展開するのか、先ずは受信料に不満を持つ人たちを組織化できる、有識者が集まり、総務省を動かしていくのが王道でしょう。

 しかし一方でNHKのみならず、テレビ界の再構築となると既得権を持つ現在の放送業界の抵抗を如何に躱していくか、そのためには強制的な立法措置か、国民運動にするしかないでしょう。いずれもすぐには難しい。日本人特有の時間をかけて進めるしかないのでしょうか。

 その前に有料コンテンツの枯渇で、地上波やBSテレビが、他の動画配信メディアに駆逐されていく方が早いかも知れませんが。

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