阿比留瑠比氏:役所が作った文書なのだからと絶対視し、無謬であるかのように取り扱うのは錯誤であり、勘違いも甚だしい
「放送法文書」問題の全体像が明らかになってくるにつけ、その構造が「モリカケ」問題に極めて類似していることも、分ってきました。そしてその根底には「官僚文書」の中には「面従腹背」の人物による、所謂「作為」が存在し、時の政権を貶める意図を持っていると言う実態があるようです。
そしてそもそも、こうした行政文書が「正しい」という固定観念があり、それを利用した人物やメディアによる、意図的な攻撃が行われていると言うのが現実でしょう。この問題について、産経新聞の、論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏が、同紙上のコラム「阿比留瑠比の極言御免」に寄稿した文章を参照します。タイトルは『行政文書を絶対視する錯誤』(3/23公開)で、以下に引用します。
◇
「今回、本件文書について正確性が確認できなかったことは甚だ遺憾だ」
22日の参院予算委員会では、松本剛明総務相が放送法の政治的公平に関する平成27年の総務省の行政文書を巡り、繰り返しこう答弁していた。高市早苗経済安全保障担当相が、文書のうち自身の言動が記された4枚について内容を否定している件である。
行政文書と一言でいっても、メモや覚書の類いも含まれるし、複数人の手が入って修正が加えられることもあるのだから、それは正確だと言い切れないものもあって当然だろう。誰だって記憶違いや意味の取り違えはあるし、推測で言葉を補うこともあろう。
そんなことを考えながら質疑を聞きつつ、13日の同委で立憲民主党の福山哲郎元幹事長が、高市氏にこう迫っていたのを連想した。
「森友・加計学園も同じだったんです。安倍晋三首相が森友学園に関わっていたら辞めると言ったことで、どれほどの官僚に迷惑が及んだのか。そしてそれは、官僚が正確に文書を作成していたからなんです。だって文書を公開したら安倍首相、昭恵夫人との関わりが明確になる」
実際は森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書をみても、安倍氏や昭恵氏の関与は見当たらず、福山氏の質問は実態を反映していない。
ただ、安倍氏が森友問題や加計学園の獣医学部新設とは無関係だったのと同様に、高市氏が自身はあずかり知らないと主張する問題で、野党に責め立てられているのは確かに「同じ」である。それも、安倍氏は財務省と文科省、高市氏は総務省の文書によって-。
安倍氏は財務省の文書改竄が発覚した頃の平成30年3月9日には、筆者にこう話していた。
「この件は早く片付ける。財務省に全部出させる。どの道、中身はたいしたことないんだから」
その2日後の11日には、こうも説明した。
「財務省は、佐川宣寿理財局長の答弁と整合性を疑われるところを落としている。平沼赳夫、鳩山邦夫、鴻池祥肇、中山成彬各氏らの働きかけの部分も全部落としている。ただ、全部本筋に関わりがない」
財務省は安倍氏への忖度ではなく、佐川氏が国会で事実と異なる答弁をした部分との整合性を取るため文書を改竄したのだった。
一方、加計問題に一気に火が付いたのは朝日新聞が平成29年5月17日の朝刊1面トップ記事で「新学部『総理の意向』」「文科省に記録文書」と書いた文科省の「文書問題」がきっかけだった。
だが、その「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題した文書は、文科省が約3カ月後に発表した同様の文書をみると、朝日の記事にはない次の一文が明記されていた。
「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」
安倍氏の指示だということにして取り繕っておけばどうかという話であり、逆にそんな指示などなかったことを示している。
結局、行政文書だ公文書だといっても、省内の都合で改竄されることもあれば、政敵を倒すために一部を切り取ったり隠したりして利用されることもある。そもそも財務省の文書は、「安倍」を「安部」と誤記すらしていた。
役所が作った文書なのだからと絶対視し、無謬であるかのように取り扱うのは錯誤であり、勘違いも甚だしい。
◇
これが所謂行政文書の実態でしょう。そしてその文書は反政権や閣僚の意を持つ人物によって書き換えられるか切り落とされる、または省益の都合でゆがめられるかしているのです。
それをすべて正しいという前提で、反政権や閣僚側が利用する構図が見て取れます。「モリカケ」は朝日新聞、「放送法文書」は小西参議院議員がそれを反安部、反高市に利用したのです。何とも薄汚い手口でしょう。朝日の購読数凋落、立憲民主の支持率低迷は、国民がそうした姿勢を見透かしている結果だと思いますね。
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