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2023年3月25日 (土)

尹錫悦韓国大統領来日で「日韓雪解け」? まず韓国が日本に謝罪すべきだろう 岸田政権「なあなあ決着」への疑問

30_20230324165001  韓国は保守派の尹錫悦大統領になって、それまでの文在寅前大統領時代に最悪の関係となった、日韓関係修復の動きが加速してきました。3月16日には尹錫悦大統領が来日し、岸田首相との首脳会談も行われ、徴用工問題の韓国側提案を日本側も歓迎し、シャトル外交の再開も約束されました。

 順風満帆のようにも思える両国の関係ですが、韓国国内では反日の急先鋒である李在明氏が、代表を務める野党「共に民主党」 が多数を占めていて、徴用工問題でも日本への譲歩に憤る原告や支援者が、受け入れ阻止だと大騒ぎしています。

 もともと強い反日の土壌がある上に、徹底した反日政策を5年間とり続けた文在寅政権時代を、一気に変えることは難しいでしょう。まだまだ課題が残る日韓関係の現状を、国際投資アナリストの大原浩氏が現代ビジネスに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは前編『尹錫悦韓国大統領来日で「日韓雪解け」? まず韓国が日本に謝罪すべきだろう 岸田政権「なあなあ決着」への疑問』、後編『韓国と米民主党には油断は禁物、GSOMIAがどうなったか忘れるな』(3/20公開)で、以下に引用して掲載します。

<前編>

「世界平和」は望ましいが

韓国の尹錫悦大統領が3月16、17日に来日した。

日本と近隣の国々が友好関係を保つのは「世界平和」の観点からも望ましい。だが、その「友好関係」が「一方的な日本の譲歩」によって維持されるのだとしたら国益の観点からどうであろうか。

要するに、友好関係を結ぶのは大事だが、そのために相手国に卑屈になる必用は全く無いということである。これは韓国に対してだけではなく、共産主義中国、米国など世界中のあらゆる国々に対する外交上の原理原則である。

来日前から、懸案の行方については例えばロイター3月9日「韓国大統領、16-17日に訪日=松野官房長官」といった報道がなされたが、注意しなければならないのは、この記事で「懸案事項だった元徴用工問題をめぐっては、韓国政府が6日に解決策を発表。同政府傘下の財団が被告の『日本企業に代わって賠償する』方針を示していた」と表記されている部分だ。

日本の韓国に対する賠償および「韓国が日本に支払わなければならないかもしれない賠償」については、私が執行パートナーを務める人間経済科学研究所フェロー八幡和郎のプレジデントオンライン3月6日「徴用工問題に抗議する韓国人が知らない"切り札"がある…韓国政府の『賠償金肩代わり案』を私が評価するワケ」記事が非常に参考になる。

同記事2ページ目の「請求権は『解決済み』なのに司法が暴走」では、「日韓両政府ともに、1965年の日韓国交正常化(日韓基本条約)にあたり締結した『日韓請求権協定』で、両国間の請求権問題は『完全かつ最終的に解決された』として、たとえ原告の要求が正当でも、賠償金を支払うのは韓国政府としているのにもかかわらず、文在寅政権が任命した判事が暴走し、被告企業の在韓資産を現金化しようとしているのだ」とある。

まったくその通りで、「日韓基本条約」ですでに「解決」した問題を、韓国側が日本に対して「不当にごねていた」というのがいわゆる「徴用工問題」の本質である。要するに、提訴した原告に対して賠償金を支払う義務があるのは元々韓国政府なのだ。

つまり、「本来日本側が支払う必要が無い賠償金を韓国(裁判所)が不当に請求したことによって日韓関係を破壊し、窮地に陥ったので、『(責任から逃れていた)韓国政府が勝手に賠償金を支払う』」ということになったということなのだ。韓国が勝手に行う行為に関して「日本の責任」などあるはずがない。

だから、ロイター以外にも多くのメディアで『日本企業に代わって賠償する』などという表現がなされていることは大きな問題だ

このように、オールドメディア主導で「韓国側の言い分」だけが伝えられるのは、過去の徴用工問題や、いわゆる従軍慰安婦問題などと同じパターンだ。これでは、日韓関係において「本当の意味の改善」は行われていないというべきであろう。

日本の秘密兵器

さらに、日韓基本条約が定める責任から韓国政府が逃げて、実際に日本企業の資産が奪われた場合には、日本には秘密兵器がある。

前記八幡和郎の記事5ページ目「日本人が知らない日韓交渉の歴史的経緯」および6ページ目「日韓基本条約を反故にしたら困るのは韓国である」がポイントだ。

「日韓基本条約」は、韓国に対して日本側が大幅に譲歩した内容であり、「徴用工問題でへたに日本を刺激してちゃぶ台返し」をされて困るのは韓国の方である。

具体的には、「韓国が基本条約を廃棄して再交渉というなら、あらためて、日本人が韓国に残してきた財産への補償を要求できる。さらに、日本は韓国との和解のために計5億ドルの経済協力をしたわけだから、当時の貨幣価値も考慮して返還してもらいたい」ということだ。

さらに、「また、北朝鮮が瓦解して南北統一が可能になったようなときには、『統一費用は日本に出させよう』と韓国は期待している。たしかに、かつての韓国に対する経済協力と同程度のものを北朝鮮に対して行うことを期待する、というのは理解できる。しかし、もし日韓基本条約を韓国が実質的に破棄するならば、北朝鮮の復興への協力はありえないというのは当然だ」ということなのだ。

日本は韓国に対して強力な武器を持っているのだから、「けじめをつけなければ相手にしないよ!」と毅然とした態度で接すればよいだけのことである。

だが、現状の岸田政権にそのような毅然とした態度は望みにくい。したがって、現在の(演出された)「日韓雪解けムード」は本質的な問題に目をつぶった表面的なものであり、将来の日韓関係のさらなる火種になるのではないかと懸念している。

まず、韓国が日本に謝罪すべきである

真の日韓友好関係樹立のためには、いい加減「日本側だけが一方的に謝罪する」という悪弊を終わらせなければならない。

したがって、読売新聞3月4日「『元徴用工』韓国側が解決策なら日本政府も呼応、過去の談話踏襲を岸田首相表明へ」のような「日本の過去の一方的謝罪の踏襲」など、「韓国の謝罪」がない限り行うべきではない。

竹島の不法占拠、伊藤博文暗殺、慰安婦問題、徴用工問題等々、多数の問題に関して、謝罪すべきは韓国である。慰安婦問題や徴用工問題については、根拠の無い主張や行動で日本の名誉を貶めた罪は重い。

ドイツ中部の州立カッセル大の敷地内に設置されていた慰安婦像は撤去された。しかし、設置者側が反省して自ら撤去したわけではなく、再三の日本政府の要請に応じて大学側が重い腰を上げたと伝えられる。

さらに、伊藤博文暗殺犯(テロリスト)である安重根を「義士」とする記念碑がいまだに日本の宮城県に存在する。

最悪ともいえる文在寅から、尹錫悦に大統領が代わってましになった感じがする韓国の政治だが、前記の事例からもその本質は変わっていないように思える。

2019年8月7日公開「文在寅の韓国は、アメリカに見捨てられ北朝鮮より先に『崩壊』するか」3ページ目「原田いずみ症候群から狂言自殺・自爆テロリストへ」のようなことはもううんざりだ。

そもそも、日本が韓国と友好関係を結ぶメリットはほとんど無い。韓国が改心して心から「ごめんなさい」と謝罪の言葉を述べるまで日本は「戦略的放置」を続ければよいのである。

日本は痛くもかゆくもない。

韓国が日本に対して「自らの罪」を謝罪しないのなら、また同じことの繰り返しだ。

<後編>

GSOMIA問題を忘れるな

GSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)は、日米韓にとって安全保障上重要な存在だ。もちろん、北朝鮮と38度線で接する韓国にとって特に重要である。

だから、GSOMIAは「韓国が結んでやった」などというものではなく、「日本や米国の力をお貸しいただいて」韓国の国防を強化すると言ってよい性質のものだ。

それにもかかわらず、従軍慰安婦問題を巡る日韓対立においてオバマ元大統領が、仲介の労を取る必要があった。その結果、2015年の日韓慰安婦問題合意につながり、ようやく2016年にGSOMIAが発効した。

しかし、その後、2018年に韓国海軍によるレーダー照射事件が起こった。これは「同盟国への攻撃」という観点から言えば、2月24日公開「米政府が関与か? ノルドストリーム爆破疑惑のバイデンと『迷走』岸田のコンビでは日本が危うい」で述べたノルドストリーム爆破疑惑同様重大な問題である。

ところが、韓国側は謝罪するどころか、いまだに2022年11月18日GLOBE+「自衛隊機へのレーダー照射疑惑、韓国国防省が改めて否定 絶対に認められない軍の事情」という状況だ。

そして、2019年11月19日 MONEY VOICE「文在寅氏、ついにGSOMIA継続『拒否』を明言。あと数日で韓国の自殺点が決まる」で述べられているように、安全保障のための条約を、日韓の間の政治的駆け引きの道具に使うという暴挙に出た。

結局、朝日新聞デジタル 同11月22日「韓国、GSOMIA延長を日本側に通告 米の要請影響か」で伝えられているように土壇場で翻意した。同記事のタイトルにもあるように、さすがにオバマ政権が安全保障のために苦労して成立させたGSOMIAを「おもちゃ」にするような行為に、米国側の怒りが頂点に達したことを察したのであろう。

まだ終わっていないGSOMIA問題

そして、実はこのGSOMIA問題はまだ解決していない。本来は1年ごとに更新される効力の期限が來る90日前までに通告をしなければ自動延長されるのだが、2020年8月24日東京新聞「GSOMIA『いつでも破棄できる』と韓国は強調」と強弁しているのだ。

2019年8月22日に韓国が一度協定の破棄を決定したが、協定失効前日の2019年11月22日に開催した国家安全保障会議で協定失効通告の停止を決定したから「協定失効通告の効力停止」の状態であるため、いつでも破棄可能だというのが韓国側の理屈である。

このような行為を改めないままの韓国と「友好関係」など維持できるのであろうか?まずは韓国が過去の「過ち」を自ら認めるところから両国の友好関係が始まる(なお、2023年3月16日に行われた岸田文雄総理と尹錫悦大統領による日韓首脳会談で、尹大統領は「会談で完全な正常化を宣言した」と報道された。だが、韓国が再び同じような「暴挙」を行わないという保証はどこにもない)。

最悪の敵は?

今回の「日韓雪解けムード」において、オバマ政権の副大統領であったバイデン大統領が、日本側に圧力をかけた可能性は十分にある。彼らにすれば、「台湾有事」が視野に入る中で、対中国勢力として日韓を団結させたいという事なのであろう。

そして、韓国が反省して謝罪しないから「日本側に大幅に譲歩を求める」という過去の悪しきパターンが繰り返される。

だが、米民主党政権がどれだけ頑張っても、韓国は歴史的に中国の事実上の属国であり、現在でもその傾向は変わっていないように思える。韓国が西側の一員であるというのは幻想であり、西側の仮面を被った中華圏であると捉えるのが正解ではないだろうか。

ナポレオンは「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である」と述べているが、韓国に関しては「無能」というよりも「本当に味方になってくれるのか」という疑いが常に付きまとう。

しかも、日本側に大幅な譲歩を要請していると思えるバイデン民主党政権は、「ノルドストリーム爆破事件」という重大疑惑を抱える。彼らの要請に従ったからと言って、日本の安全保障をしっかりと考慮してくれるとは思えない。

また、3月19日公開の「中国の仲介でイラン・サウジ関係改善、世界は米国抜きで回り始めた」で述べた中東産油国と違って、韓国との友好関係を維持することに日本の実益はあまり無い。韓国に対しては、日本の国益に照らし合わせてどのような対応を行うべきか慎重に検討すべきだ。

 このブログでも再三述べているように、日本の戦後外交はGHQが植え付けた「自虐史観」の強い影響を受け、腰が引け続けていて相手の強硬な態度に右往左往し、謝罪を繰返してきた経緯があります。

 日中友好条約は、当時中国がソ連との確執や文化大革命による疲弊の中で、日本に救いを求めてきたのが真相ですが、中国側の周到な準備と調査、戦術の中で日本が逆に中国側の手玉に取られ、終始中国側の都合のいいように条約を結ばれたことが、門田隆将氏の著書に記述されています。

 日韓条約も日中条約までとは言えないでしょうが、韓国側の強硬姿勢に推された面もあるのではないでしょうか。そして中国においてもそうですが、特に韓国においてはその後も慰安婦や徴用工と、ゆすられ続けているのです。一方で竹島の不法占拠は意のままにされ続けています。

 まさに大原氏の述べるように、「韓国との友好関係を維持することに日本の実益はあまり無い。韓国に対しては、日本の国益に照らし合わせてどのような対応を行うべきか慎重に検討すべきだ」と思いますね。その前に、日本の腰砕け外交を早急に立て直さねばならないのは、言うまでもありませんが。

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