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2023年3月 2日 (木)

中国の不動産バブル崩壊がいよいよ現実に、そして韓国も。経済停滞から下降への序章が始まる?

8_20230228172201  中国の不動産バブルは、いよいよ崩壊の域に入ったと思われます。これまで造るだけ造ったマンションが、「鬼城」と化し、かつ最近では施主が建築費を払えないので工事が途中で止まってしまったマンションやビル(爛尾楼)も多く現れています。

 ただこのバブル崩壊は中国だけではなく、韓国でも起きているようです。日本で30年ほど前に起こった不動産バブル崩壊、今中国、韓国を襲おうとしています。

 その概要を住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、現代ビジネスに寄稿しています。先ずは中国の状況を。タイトルは『怖すぎてマンションが買えない…!中国の不動産バブルが崩壊して起きている、まさかの「ヤバすぎる事態」!』(2/27公開)で、以下に引用します。

30年で100倍以上に達したマンション価格

中国と韓国のマンション市場が、かなり異常な状態となっている。

世界第2位の経済大国にのし上がった中国では、2000年代の高度経済成長期以後、ほぼ一貫してマンション価格が高騰。正確な統計はないが、その値上がり幅はここ30年で数十倍から100倍以上に達するとされる。

北京や上海、深圳などの都心では、日本円にして2億や3億でも買えない物件が多くなっている。これはとんでもないバブルだろう。

一方、お隣の韓国では、2017年5月に誕生した文在寅政権の経済失策で、ソウルの中心エリアではマンション価格が約2倍になった。これも一種のバブルだ。

中国と韓国、我々にとってわりあい身近なこの両国で、不動産市場にバブルが形成されていたのだ。そして今、両国ともにそのバブルが崩壊し始めている。その様子を、少し詳しく見てみたい。

いつ完成するかわからない「爛尾楼」

まず中国。この国では昨年あたりから「爛尾楼」というのが話題になっている。これは、施主が建築費を払えないので工事が途中で止まってしまったマンションやビルのことを指す中国の新語だ。

マンションの場合は、一般消費者が購入契約を結び、住宅ローンの支払いが始まっているのに、住戸が予定通りに引き渡されないばかりか、いつ完成するかも分からない状態。日本ではあり得ない。

日本でもマンションは建物の完成前から販売され、購入契約が結ばれるのが一般的。ただし、日本の場合は「手付金保全措置」が講じられる。デベロッパーなどの倒産でそのマンションが引き渡されない場合、手付金は最終的に保証会社から返還される仕組みだ。

さらに日本の場合、住宅ローンの融資実行はマンションの引渡時点であり、返済開始はその後だ。

中国ではそういった保全措置がないばかりか、ローンの実行は契約時点。返済はそれ以降に始まる。建物の引渡し前から住宅ローンを返し始めるのだ。だから、デベロッパーが建築費を払えなくなって工事が止まると、悲惨なことになる。

中国全土で「爛尾楼」になっているマンションがどれほどあるのか。

「途方もない数字」

やや古いが、2022年7月29日付のダイヤモンドオンラインの記事に、以下のような記述がある。

〈経済メディア「財新網」によると、分かっているだけで「爛尾楼」の総面積は2.31億平方メートル(中略)、「爛尾楼」関連のローン規模は0.9兆元(約18兆円)と、全国の金融機関ローン残高の1.7%に当たるとされる〉

日本円で「18兆円」とは途方もない数字である。1件の住宅ローンが3000万円とすると、60万件ということになる。

日本で2022年に販売された分譲マンションは、全部で7万2967戸(不動産経済研究所)。日本の約8.2年分がそっくり「爛尾楼」になっているのか?

ちなみに、2022年2月1日のAFP記事に出ている中国のマンション価格は「調査対象の35都市における住宅購入の一戸当たり価格は154万1000元(1元=約18円)」。日本円にすると2772万円だ。

「契約したマンションが引き渡されないのに、ローンは支払わなければならない」

そんなことが現実に起こっているのなら、当然消費者側は怖くてマンションを買えなくなる。朝日新聞22年12月1日付の記事では、〈中国国家統計局によると、1~10月の住宅販売額は前年同期比28・2%減。開発も進まず、住宅の開発投資額も同8・3%のマイナスとなった。いずれも今年は1999年以降で最大の下げ幅となる見通し〉とある。

「この程度では済まない」

実際のところ、中国の新築マンション開発はフリーズ状態ではないか。

当然、価格も下がる。以下はロイターの2023年1月13日の記事である。

〈中国国家統計局が16日発表したデータに基づきロイターが算出した2022年12月の新築住宅価格は前月比0.2%下落した。下落は5ヵ月連続。(中略)11月も0.2%下落していた。12月は前年比では1.5%下落し、8ヵ月連続のマイナスとなった。11月は1.6%下落だった〉

実態はこの程度では済まないだろう。物件によっては半値以下に下がっていても不思議はないが、そんな当局に都合の悪い統計数字が出てくるお国柄ではない。

中国の昨年のGDPは3.0%のプラスと発表されている。5.5%が目標であったから、何とか半分をクリアさせたような数字。実際はマイナスであろうと予測している専門家も多い。

おそらく、今年も似たようなものではないか。つまり、中国経済は確実に停滞期に入ったと考えるべきだ。

不動産価格というのは、経済が成長していると上昇し、停滞が続くと下降するのがセオリー。さらに言えば、中国には「マンション在庫が34億戸ある」という報道記事も見かける。話半分にしたところで、過剰在庫になっていることは間違いないだろう。当面このバブルの崩壊現象は続くと思われる。

 以上が中国の状況です。マンション在庫はその多くが売れ残りだとすれば、「鬼城」も膨大な数に上るでしょう。その鬼城は利用客が付いていないでしょうから、それこそ凄まじい不良在庫の山と言えます。今後中国経済に重くのしかかってくるのは間違いないでしょう。

 次に韓国の実情です。タイトルは『一発逆転を狙ったことが裏目に…!韓国の不動産バブルが崩壊して起きている、阿鼻叫喚の「悲惨すぎる現実」!』で、以下に引用します。

人生の「一発逆転」を狙ったことが裏目…

韓国でもマンションバブルが崩壊し、価格が下がり始めたことで様々な悲劇が起こっている。

そういった悲劇の主役たちは、「ヨンクル族」という新造語で呼ばれる人々。その意味は(魂までかき集めて住宅ローンを組んだ人)ということだという。年齢は20~30代。

背景にあるのは、韓国の若年失業率の高さだ。公式統計には表れにくい若年層の「体感失業率」は20%とも25%ともいわれる。

サムスンや現代などの一流企業への採用、もしくは公務員を目指した就職浪人組が多いのが、ヨンクルを生み出した一因とされる。同国の厳しい競争社会の中で、そういった「勝ち組」に入るのはかなり困難なのが現実。

中小企業に就職すると「負け組」と見なされてしまう。「負け組」、あるいはそうなってしまいそうな人々にとって、人生の一発逆転を狙えるのがマンションの購入だった。

相次ぐ経済失政

購入したマンションが値上がりして資産を築けば、彼らは「負け組」から「勝ち組」に変わることができる。韓国人にとって「住宅」は「学歴」や「車の種類」と並ぶ、人生のヒエラルキーを形成する「3大アイテム」と言われている。

ヨンクルたちにとって、時代の巡り合わせも悪かった。

まず、2017年に発足した前大統領・文在寅の政権は、不動産政策で失敗に失敗を重ねる。

文在寅が大統領に就任した頃、世界的な金融緩和を背景に、ソウルでもマンション価格が上がり始めた。それに対して文政権は、マンションの購入に様々な制限を加えることで価格を抑制しようとした。それが逆効果となって、さらにマンション価格が高騰したのだ。

「今買わないと買えなくなる」「買えば必ず価格が上がる」

そんな空気が広がる中、多くの若者は「魂をかき集める」ように様々な借金をして、マンション購入に走った。ところが、まさかの事態が起こる。

9_20230228172301 通貨が弱い「ウォン」の宿命

2022年からアメリカの急速な金融引き締めが始まった。金利の上昇である。

韓国は通貨の弱い国である。自国通貨・ウォンを防衛するため、韓国は金利を上げざるを得ない。

ドル金利が上がったにもかかわらず、漫然と異次元金融緩和を続けて極端な円安を招いた日本とは、対称的である。

韓国銀行は政策金利を2023年1月まで継続して引き上げ、現時点(2月26日)では3.5%となっている。当然、住宅ローンの金利も上がる。主要銀行の住宅担保ローンの変動金利は2022年1月の年3.57~5.07%から、2023年1月には5.27~8.12%まで上昇。

金利が上がれば、不動産価格が下がるのが経済のセオリー。2022年の年央からたちまちマンション価格も下がり始めた。

聯合ニュースの2023年1月16日の記事には、〈昨年12月は全国の住宅価格が前年同月比2.0%、ソウルも2.0%下落し、いずれも単月ベースで03年以降最大の下落幅を記録した〉とある。

これは表面的な数字だ。実際の市場価格は少なくとも10%から20%は下がっていると予想される。

すでにマンションを購入した人にとっても、悲惨な現実を招いている。

「お金がないので昼食を抜く」人も

住宅ローンの返済額が上昇したことで、日常の暮らしを圧迫。

「可処分所得のほとんどがローン返済に消えて、生活ができない」

「お金がないので昼食を抜く」

そんな切ないエピソードが伝えられる。

売却してローンを精算しようにも、値下がりしているので「売るに売れない」状況に追い込まれている人も多い。

さらに恐ろしい話も聞こえてくる。

韓国では現在、日本でいうところの「売れ残り」や「在庫」にあたる「未分譲」と分類されるマンションが約6万8000戸もあると報道されている。

韓国の人口は日本の約4割。日本なら「17万戸」の在庫があるということになる。

2022年に日本で分譲されたマンションは7万2967戸である。そこから考えても、韓国の「6万8000戸」というのは、途方もない数字だ。

韓国のマンションバブルの崩壊は、その傷が癒えるまで何年かかるのだろうか。

中国も韓国も、マンション市場はかなり危機的な様相である。

振り返って日本はどうか?

日本は金利の引き上げ次第

約10年続いた異次元金融緩和は、日本のマンション市場にも地域限定でバブルをもたらした。ただし、その中身は中国や韓国に比べれば、かなり穏やかである。

東京の港区や千代田区あたりで約2倍。23区内の近郊エリアや大阪の都心地区で1.5倍程度。郊外では1.2倍にもなっていないところがほとんどだ。

日本銀行の新総裁が、仮にこの異次元金融緩和を多少修正して金利を引き上げたとしても、マンション価格はひとまず「10年前」水準をめざして緩やかに下落する程度ではなかろうか。

ただし、日本経済に不況感が強まれば「10年前」水準を超えて下落することもあり得る。

 バブル崩壊は必ずやってきます。1991年の日本の株と不動産のバブル崩壊、2008年の米国でのサブプライムローンでのバブル崩壊、そして現在の中国、韓国での不動産バブル崩壊と、続きます。

 不動産や金融商品は上昇が急になれば警戒が必要です。しかしそれに気づいても踊らされてしまうのがバブルです。資本主義下では大なり小なりバブルは発生し、はじけると言います。しかしその程度が大きいと国の経済は危うくなり、長期停滞が続きます。

 韓国はまだしも、中国はその規模からしてかなりリスクが高いでしょう。日本はその点を十分留意して、中国と経済的に交流する必要があるでしょう。間違っても不動産関係のビジネスは避けなければなりません。

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