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2023年3月20日 (月)

池田信夫氏:行政文書の「幻の大臣レク」は総務官僚のクーデターか 総務省は公文書偽造と秘密漏洩で担当者を告発せよ

Abt3rz03tw  立憲民主の小西議員が取り上げた「総務文書」に関し、論点の「放送法の解釈変更に強要があった」、かどうかについての調査結果が、総務相から17日発表され、「解釈変更を強要されたことはなかった」と結論づけています。複数の関係者が「放送法の解釈をゆがめることはしていない」「解釈変更を行った認識はない」などと証言したようです。

 一方渦中の「大臣レク」について総務相見解は、「あった可能性が高い」としたものの、内容が正確かどうかは「引き続き精査を実施中」として、言葉を濁しています。以前も取り上げましたが、この「大臣レク」について経済学者の池田信夫氏が、JBpressに更に詳細を述べていますので以下に引用します。タイトルは『行政文書の「幻の大臣レク」は総務官僚のクーデターか 総務省は公文書偽造と秘密漏洩で担当者を告発せよ』(3/17公開)です。

 国会は、立憲民主党の小西洋之議員の持ち出した総務省の行政文書をめぐって紛糾している。文書の内容は大した話ではない。2014年11月から2015年にかけて安倍首相の礒崎陽輔補佐官(当時)が「政治的に偏向している番組を行政指導しろ」と総務省に執拗に求めたが、総務省は拒否し、放送法の解釈を変更しなかったというだけだ。

 ところがその中に脇役として登場する高市早苗総務相(当時)についての記述が「捏造だ」と高市氏が否定し、それが捏造でなかったら議員辞職すると答弁したため、彼女の進退を賭けた騒動になってしまった。その真偽を明らかにする過程で出てきたのは、総務省のずさんな公文書管理だった。

大臣レクが「捏造だ」と当の高市大臣が否定

 この行政文書は総務省が本物だと認め、公式ホームページでも公表されているが、正式の決裁を得た公文書ではない。その半分以上が作成者不明で、内容の真偽は「引き続き精査を実施中」である。

 78ページの文書の大部分は、礒崎氏と総務省の官僚のやり取りで、彼は特定の番組(特にTBSの「サンデーモーニング」)を名指しして、総務省が警告するよう求めたが、総務省が民放との全面対決を恐れ、過去の答弁を踏襲した一般論で収めようとした。

 その中で高市大臣が登場し、特定の番組名を出すと「民放との徹底抗戦」になるとコメントしたため、礒崎氏も了承した。このうち礒崎氏の部分についての記述は彼も基本的に認めているが、高市氏に関する4ページは本人が「捏造だ」と否定した。

 特に問題なのは、2015年2月13日の「高市大臣レク結果(政治的公平性について)」という文書である。ここでは安藤友裕情報流通行政局長が高市大臣に対して礒崎氏からの注文を伝え、高市氏が「苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか」など対応を議論している。

 ここで高市氏が慎重な方針を出し、安藤局長はその内容を4日後の礒崎補佐官レクで説明し、礒崎氏も「上品にやる」と矛を収めた。つまりこの高市大臣のコメントは、安倍首相の権威を笠に着て暴れ回る礒崎補佐官を抑え込む上で重要な役割を果たしたが、高市氏はそんな話は聞いていないというのだ。

「上司の関与を経て文書が残っているなら」という曖昧な答え

 国会で高市氏は、2月13日に放送法に関する大臣レクはなく、礒崎補佐官の関与についても今年までまったく聞いたことがないと答弁した。これについて今週の参議院予算委員会で、総務省の小笠原情報流通行政局長は、次のように答弁した。

 作成者によりますと「約8年前のことでもあり、記憶は定かではないが、日ごろ確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば、同時期に放送法に関する大臣レクが行われたのではないかと認識している」ということでありました(中略)。

 以上を勘案いたしますと、2月13日に関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられます。

 これは奇妙な話である。大臣レクには6人が出席し、そのうち3人が大臣室、3人が情報流通行政局長以下の官僚だった。高市大臣と大臣室の2人(平川参事官と松井秘書官)は「そんなレクはなかった」というのだから、あとの3人が「あった」と記憶しているなら、その証拠を出せばいい。

 大臣の日程表は秘書が分刻みで記録しているので、2月13日の15時45分に大臣が何をしていたかはわかるはずだ。総務省は「1年以上前の大臣の日程表は破棄した」というが、イントラネットには電子メールなどの証拠が残っているはずだ。

 この作成者(西潟課長補佐?)は書いた記憶があれば「私が書いた」と答えるはずだが、「大臣レクが行われたのではないか」と他人事のように答えている。これは不自然だ。自分が書いた文書を見たら、書いたかどうかは誰でも思い出す。これは国会や法廷で問い詰められたとき「私が書いたものではない」という逃げ道を残したのだろう。

 それを示すのが「上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば」という奇妙な条件文である。これは暗に議事録に上司(安藤局長?)が手を入れたことを示唆している。当時の総務省では、担当者の書いたメモを上司が原形をとどめないほど書き換えたことが何度もあったというのが経験者の見方である。

 この文書は大臣レクの記録なのに大臣室には配布せず、事務次官(自治省出身)にも配布していない。桜井総務審議官以下の郵政省系の事務方だけで共有され、正式の決裁も受けず、総務省の行政文書ファイル管理簿にも入っていなかった。

 以上から考えると、2月13日15:45から大臣レクが行われた形跡はない。礒崎補佐官への対応をめぐって、総務省が高市大臣に相談した形跡もない。松本総務相も「同席者の間でも内容についての認識が必ずしも一致していない」と明言を避けた。

高市氏と総務官僚のどちらかが嘘をついている

 このように高市氏と総務省の話は、大きく食い違っているので、どちらかが嘘をついている。高市氏が嘘をつく合理的理由はなく、大臣室の2人の答えも一貫しており、共謀して嘘をついているとは思えない。

 では総務省が嘘をつく可能性はあるだろうか。マスコミでは「官僚が議事録に嘘を書く理由がない」というが、本件ではあるのだ。

 2月13日の会議は、その4日後に予定されていた礒崎補佐官レクを前にした作戦会議だったのではないか。礒崎氏からは「本件を総理に説明し、国会で質問するかどうかについて総務相の指示を仰ぎたい」という宿題が出されていた。それについて情報流通行政局長以下が(大臣抜きで)協議した可能性がある。

 ここに大臣コメントとして出ている話は、局長以下のスタッフの話の主語を変えただけなのではないか。17日には、安藤局長が礒崎補佐官に「極端な事例をあげるのは(答弁として)苦しいのではないか」という高市総務相のコメントを伝え、礒崎氏を抑え込んだ。このとき礒崎氏を説得するために、この議事録を使った可能性がある。

 総務省の事務方は、なぜ大臣に礒崎氏の件を相談しなかったのだろうか。当時は「安倍一強」といわれるほど首相官邸の力が強かった。高市氏は礒崎氏と同じく安倍側近であり、マスコミに対しても強硬派だった。2人の意見が特定の番組を名指しで批判すべきだということで一致すると「民放相手に徹底抗戦」になってしまう。

 そのため安藤局長は、高市氏には知らせないで「1つの番組を名指しするのは答弁として苦しい」という慎重派の意見を大臣コメントとして礒崎氏に伝えたのではないか。これは大臣抜きで事務方が官邸と取引して政策を決めるクーデターのようなものだ。

 高市氏も「総務省の中で私は浮いていた」と語っており、こういうことが常態化していた可能性がある。2014年にフジテレビホールディングスの外資規制違反が判明したときも、これを厳重注意処分にとどめたのは安藤局長で、高市大臣は知らされていなかった。

 総務省の歯切れが悪いのは、西潟氏が「あれは大臣レクではなく、局内の作戦会議だった」と答えたからではないか。大臣コメントは彼が書いたものではなく、上司(安藤局長?)が「関与」して書き加えたとすれば、上司は虚偽公文書作成罪に問われる(総務省は告発義務を負う)。

 さらに重大なのは、このような部外秘文書を小西議員が政治利用したことだ。彼はその文書を「総務省職員」から昨年の参議院選挙前に入手したというが、これが事実だとすると、その職員は国家公務員法100条(守秘義務)に違反する。それを入手して公開した小西氏も、国家公務員法111条違反(そそのかし)に問われるおそれがある。

 5月のG7(先進7カ国首脳会議)では経済安全保障がテーマとなり、各国の情報セキュリティを強化する対策が協議される。情報通信を所管する総務省の情報セキュリティがこのようにずさんでは、各国の信頼を得られない。総務省は当事者を国会に呼んで真相を解明し、秘密漏洩や公文書偽造については刑事告発を含めて厳正に対処すべきだ。

 結局この問題提起は、省庁における文書管理問題と、その内容の真偽の問題の両方を浮かび上がらせた、と言う点では藪蛇だったとは言え意味があったと言えるでしょう。それにしても省庁内の別の問題、つまり政治的な意図を持った書き換えが行われていたとすれば、放置できない問題です。

 この点を含め、池田氏の言うとおり真相解明し、秘密漏洩や公文書偽造については刑事告発を含めて厳正に対処すべきだと思います。そして重ねて言いますが、小西議員が入手した経路の解明も忘れないで、実施してもらいたいものです。

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