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2023年3月22日 (水)

伊東乾氏:絶対に知っておくべき、プーチン逮捕状の真の意味 旧統一教会にも酷似する悪行の手口に、全世界からノー

Images-12_20230320145801  国際刑事裁判所(ICC)は17日、ロシアが侵略するウクライナの子供の拉致に関与した疑いがあるとして、戦争犯罪の容疑でロシアのプーチン大統領に逮捕状を出しました。ロイター通信によると、ウクライナのコスチン検事総長は「ウクライナと国際法システム全体にとって歴史的な決定だ」と歓迎しています。

 これに関連して東京大学大学院情報学環助教授の伊東乾氏が、JBpressにコラムを寄稿しています。タイトルは『絶対に知っておくべき、プーチン逮捕状の真の意味 統一教会にも酷似する悪行の手口に、全世界からノー』(3/20公開)で、以下に引用して紹介します。

 オランダ・ハーグに所在する国際刑事裁判所がロシア連邦大統領のウラジーミル・プーチン容疑者に対して、占領地域からの子供の拉致監禁などの戦争犯罪で逮捕状を出しました。

 このアクションに関して、日本の報道がスルーしているポイントを3つほど強調しておきます。

 第1はこれがアメリカ合衆国からではなく、米国が参加していない国際刑事裁判所(ICC)からのものであることです。

 つまり欧州・EU発の「ウクライナ終戦」に向けての強いリクエストであるという基本事実です。

 プーチンの犯罪容疑について考えてみましょう。

 いまもし、北海道にロシア軍が上陸し、市街を爆撃し無差別殺戮を行った後、生き残った日本人の大人と子供を区分けし、大人については「鑑別収容所」に送って人物チェックを実施したとしましょう。

 そして、子供については「人道的な観点から」サハリンやカムチャツカ、ウラジオストクなどの沿海州に連れ去り、そこで「保護の観点から」ロシア人家庭との「養子縁組み」を強要したとしたら?

 プーチンが、執行官のマリア・リボア=ベロア・ロシア大統領全権代表と共にやっていることは、まさにこれに等しいのです。

「プーチン容疑者」第2のポイントは、いま日本で第1に指摘すべきとも思いますが、霊感商法の宗教カルト、統一教会による「集団結婚式」に類似した手口であるという事実です。

戦争犯罪はいかに構成されるか

 これまでにもロシアが、ドンバスやザポリージャ、あるいはキーウ近郊などウクライナの占領地域で働いてきた悪逆非道は、幅広く報道されています。

 無差別砲撃、強制収容、拷問、虐殺、レイプ・・・。

 こうした犯罪をどれだけ並べても、そうした「皆殺し」がピョートル大帝以来の歴史的伝統、下手をすれば英雄的美徳などとされかねないロシアでは、蛙のツラに小便ほどの効果もありません。

 開き直って正当性を主張するパターンが延々と続いてきました。

 これは何も珍しい特殊なことではなく、ほんの80年ほど前の日本でも、鬼畜米英に対抗し本土決戦を本気で考えていた人たちがあり、占領地域での「武勇伝」を誇らしげに地元で語る兵も少なからず存在していました。

 戦後、BC級戦犯として多くが命を落とすことになりましたが、筆者にとっては両親ともこの出征世代で、父親は実際に学徒出陣してソ連軍と白兵戦を戦い、虜囚となってシベリアのラーゲリ、強制収容所で油田開発の強制労働に従事させられています。

 ついこの間、我が家が遭遇した難儀という現実感をもって記しています。樺太にあった伊東家の家作も根こそぎ奪われました。

 しかし、こういう局面でも、相手が大人であれば、何とでも言い逃れをして恥じないのが現地の文化で、むしろ見え見えのウソであってもそれを強弁することが「狡知の働く英雄的なキツネ」程度に評価されるのが、民衆感情の一端にあるようです。

 日本でも「秀吉の一夜城」など、敵を欺いて大勝利の計略に拍手喝采を送るメンタリティがありますから、ロシアだけを特殊視はできないでしょう。

 相手が「成人」であれば「テロリストであった」「武力で反撃してきた」「やむを得ず正当防衛で攻撃した」など、何とでも反論ができる。それで口を拭っていればよい。

 しかし、そうした行動がとれない未成年者、子供の場合はどうか。

 今回の国際刑事裁判所・検事の立件は、この点を突いたものであることに注意する必要があります。

 子供はいまだ自己決定するだけの分別がありません。また武装などしておらず、幼児であればあらゆる抵抗が不可能な、無力な存在に過ぎません。

 その保護はあらゆる国際法が認めるところで、ロシアですら建前上は「保護」を前面に打ち出さないわけにはいきません。

 しかし、そうやって強制的に「ロシア人」と「縁組」させられる子供の心情を考えればどのようであるか?

「里親」にさせられるロシア人もまた、当局に強制されて里子を迎え入れる場合が大半であることに注意する必要があります。

 要するに、養子縁組させられるロシア側も、ウクライナ側も、実は「被害者」なのです。

 しかし無理やり縁組させられ、共に暮らして1年2年と時間が過ぎれば、そこは人間と人間です。情が湧くのが当然で、すげないことはできない、ずぶずぶの泥沼にはめられていく。

 この手口、まさに「統一教会」が「集団結婚式」でむりやり「縁組」させ、永続的な搾取の構造を固定するのと、そっくり同じであることを指摘しないわけにはいきません。

 人の心をもずたずたにする、こうしたロシアの戦争犯罪は、決して許されるものではありません。

ついに始まったロシア包囲網

 今回の戦争は、これが長引くことで経済的に利益を被るセクターがあるため、短期決戦での終戦が先延べされているのは間違いないでしょう。

 しかし、実際に戦わされる前線の兵士たちにとっては「いい迷惑」だけで済む話にはなっていない。

 欧州サイドから「もうやめてくれ」という強い意思表示が示されたのが、今回の「プーチン逮捕状」だと、正しく理解する必要があるでしょう。

 ロシアは国際刑事裁判所の批准国ではないので、プーチンの身柄が直ちに拘束されることはありません。もっとも、署名国ではあるので、引き渡しの可能性は理屈の上ではあり得ますが・・・。

 現実問題として、今の体制が続く限りはその可能性はないでしょう。

 そこで改めて「国際刑事裁判所」の源流も探訪しておきます。

 ICC(国際刑事裁判所)は2003年の国連会議で採択された「国際的に重大な関心が寄せられる刑事犯罪」に関して「個人」を裁くために設置された刑事司法機構です。

 具体的には「大量殺戮」「人道に対する罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」などを対象とし、同様の犯罪を裁く国際司法裁判所が「国家」などの法人を対象とするのに対して、「個人」の犯罪を裁くことに焦点が当てられている。

 だから今回の逮捕状は、あくまで「人道に対する罪」である「戦争犯罪」を犯した容疑で、ロシア連邦のウラジーミル・プーチンとマリア・リボア=ベロア個人を国際手配するものであることに注意しておきます。

 国際刑事裁判所の加盟国は世界123か国にのぼります。

 と同時に、現在の2大超大国である米国と中国が未加盟、さらにはかつて冷戦期のメガパワーであり、現在のウクライナ戦争当事者であるロシア連邦も未加盟であるため、「その有効性を疑問視」する声も上がっていました。

 しかし、今回の「プーチン逮捕状」報道が、狙いすました形で、3月20日から予定されている中国の習近平国家主席のロシア訪問にぶつけられている点に注意するべきでしょう。

 いずれもICC加盟国ではないロシアと中国ですが、ICCはEUの枠を超えた全欧州地域、つまり英国もスイスもノルウェーも締結国で、プーチンが外交上これら加盟123か国を訪問した場合、直ちに身柄を拘束される可能性があります。

 プーチン容疑者にとってはありがたいことに、中国のほかにも「お仲間」のベラルーシ、あるいはトルコ、北朝鮮なども未加盟なので、そうした国々と仲良くやっていくことになるのでしょう。

 しかし、はっきり言って世界の大半、もっと言えばOECD(経済協力開発機構)の主要国とまともな円卓につけない「身分」に落ちてしまったわけです。ここに「プーチン容疑者」第3のポイントがあります。

 プーチン・ロシアはまともな先進国外交のテーブルにつけない、最後通牒を突き付けられてしまった。

 超大国を除くほぼすべての先進国から「容疑者」扱いの人物を大統領に担いでいる間中、外交交渉上至る所でロシアが不利になるのは、あまりに明らかです。

 つまりロシアの内側からも、もうこんなおみこしを担ぐのはたくさんという動きが加速する可能性が考えられるでしょう。

 例えば、ロシアはG20の加盟国ですが、2021年にG20が開催されたイタリアはICC加盟国、2022年のインドネシアは未加盟国でした。

 今年から向こう3年間にG20が開催される国を見てみると

2023年、インド:未加盟

2024年、ブラジル:加盟国

2025年、南アフリカ:加盟国

 となっています。

 もし来年までプーチンが政治的、生物学的に延命していたとしてもG20首脳会議に出席することは見合わせた方が安全、ということになっている。

 まあ、そこまで持つか誰も分からないところではあります。

 子供の拉致と強制収容という手口はまた、かつてナチス・ドイツが行ったホロコースト犯罪をも踏襲するものです。

 よく知られた「アンネ・フランク」一家の場合、アムステルダムで隠れ家を急襲されたのち、両親はアウシュヴィッツに送られ、子供たち、つまりアンネとお姉さんのマルゴーの2人はベルゲンベルゼンの子供収容施設に移送されました。

 衛生状態最悪の同地で、たぶんチフスのためと思われますが、終戦前月の1945年3月、命を落としています。

 絶滅収容所の印象が強いアウシュヴィッツですが、実際にはドイツの化学企業IGファルベンの軍需生産工場でもありました。

 そこでの強制労働をアンネの父親、オットー・フランクだけが生き伸びることができました。

 お母さんのユーディット・フランクはアウシュヴィッツで労働に値せずと判断されたのち、1945年1月に餓死しています。

「ロシアによるこどものつれさりと養子縁組」という文字列の後ろに、どれだけ多くの人外無法な犯罪がひしめいていることか。

 昨今のネットユーザに十分伝わっているか大いに疑問であり、あえて生々しい例を引きつつ、実情と思しい容疑事実の非道さを強調しました。

 本件に限らず、立件可能な戦争犯罪、侵略犯罪、人道に対する罪などの咎で、今回のウクライナ戦犯が一日も早く一掃されることを望まないわけにはいきません。

 日本もロシアの前身ソ連により、大東亜戦争終戦間際の8月9日突如として日ソ中立条約を破棄、宣戦布告されました。そしてソ連は、総兵力147万人をもって満洲・樺太・千島に侵攻し、殆ど兵力のなかった日本を完膚無きまで叩き、兵士のみならず多くの一般人に、残虐の限りを尽くしたことは周知の事実です。

 更には伊東氏の父親が遭遇したように、満州の日本兵は殆どがシベリアに強制移動(シベリア抑留)され、強制労働、拷問にも似た共産主義洗脳教育をされました。60万人近くが抑留され、約1割の人が死亡したとされています。

 このような旧ソ連政府の残虐非道の流れを汲む、今のロシアのプーチン政権は、ネオナチとの戦いと言ってウクライナ侵略を始めましたが、自身こそナチスの生まれ変わりのような残虐非道なことを、ウクライナでやっているのです。逮捕状が出るのが当然で、むしろ遅すぎたと言えるでしょう。

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