朝日新聞社説にみる安保議論に立ちはだかる前時代の亡霊たち 「際限なき軍拡競争」指摘すべきは日本ではなく中国だろう
ロシアのウクライナ侵略を機に、日本では安全保障議論はそれまでの理想論の羅列から、現実的なものに変わった感があります。政府も「安保三文書」の改訂を済ませ、防衛費の増額も打ち上げました。
しかしそうした中でも、相変わらず旧態依然の理想論にすがる左派メディアがあります。日本放送の飯田浩司氏がzakzakのコラム「飯田浩司のそこまで言うか!」に寄稿した記事を紹介します。タイトルは『朝日新聞社説にみる安保議論に立ちはだかる前時代の亡霊たち 「際限なき軍拡競争」指摘するべきは日本ではなく中国では?』(3/08公開)で、以下に引用します。
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先日拙稿で、ロシアによるウクライナ侵略1年で、日本の安全保障議論は現実的なものに変わったと書きました。しかし、まだまだ前時代の亡霊たちは手を替え品を替え、執拗(しつよう)に立ちはだかります。
例えば、先月22日付の朝日新聞社説。見出しは、「防衛費と国債 戦後の不文律捨てる危うさ」でした。
審議が進む2023年度予算案について、《戦後初めて、防衛費の調達を目的にする建設国債の発行を盛り込んだ予算案であり、このまま認めれば、「借金で防衛費をまかなわない」という不文律が破られる》とし、《熟議もないままに、憲法の平和主義を支える重要な規律を破ることは許されない》と批判しました。
そもそも、財政の話であるのに「憲法の平和主義を支える」とは飛躍し過ぎではないか? と思い読み進めると、現行憲法や財政法の制定当時に遡(さかのぼ)って論じています。
財政法4条「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」を引き合いに、《当時立法に深く関わった旧大蔵省の平井平治氏は、『財政法逐条解説』に「公債のないところに戦争はないと断言し得る。本条は憲法の戦争放棄の規定を裏書保証するものであるともいい得る」と記した》と解説します。
ただ、その後、1965年に特例公債が発行され、75年以降は毎年発行されているので、政府はこうした説明を否定し、あくまで健全財政のための条文であるとしています。
ところが、朝日社説は制定直後の解釈にこだわり、《辛うじて守られてきた不文律が破られれば、防衛費が青天井で膨張し、平和主義が骨抜きにならないか。周辺国との際限なき軍拡競争を起こさないか》と危惧します。
なぜ、自国の防衛費を増やすことが平和主義の骨抜きに直結し、即座に軍拡競争になるのでしょうか?
それは裏返せば、日本という国は防衛費を増やすと即座に周辺国に攻め入ることのできる強国だという認識なのでしょうか。大した自信じゃありませんか。かつて米ソ冷戦の時代、日本はアジアで唯一の大国でしたから、そうした夜郎自大な認識も説得力を持ち得たのかもしれません。
しかし、時代は変わりました。むしろ周辺国の中には、わが国を圧迫して余りある国があります。「際限なき軍拡競争」と言いますが、中国はこの30年で軍事費を39倍に、この50年で90倍に増やしました。指摘する相手は日本ではなく中国でしょう。
ねじれた夜郎自大な認識から抜け出し、現実的な議論をすべきです。仮に70年以上前の「不文律」にこだわるのであれば、必要な防衛力を備えずリスクの高い現状維持を目指すのか、大増税によって防衛費を賄うのかのどちらかのはず。
どちらも示さず批判だけするのは、まさに前時代的と言わざるを得ません。
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そもそも日本国憲法は日本を弱体化するためにGHQが起草したものであることは、ほとんどの日本人が知っています。GHQが植え付けた自虐史観の中で、この憲法を後生大事に守ろうというのは政党では立憲民主党と共産党だけです。この2党で国民の支持率は合わせても10%に行くか行かないかです。
一方自虐史観に染まった新聞メディアの筆頭朝日新聞は、その発行部数約430万部、全国の所帯数が5500万所帯ですから、購読率は7.8%です。同様な論点を持つ毎日、東京新聞を合わせても10%台半ばには行かないでしょう。つまりこれら政党やメディアに強い親和性を持つ日本人は明らかに少数派なのです。
憲法の制約のある中で、今まで過小だった防衛費をようやく他国並みに増やそうとしている日本が、どうして朝日の言う<防衛費が青天井で膨張し、平和主義が骨抜きにならないか。周辺国との際限なき軍拡競争を起こさないか>と、危惧されるのでしょう。全く寝ぼけているとしか思えません。
飯田氏の言うように、それはまさに中国に言うことであって、GHQのプレスコードから抜け出せない、時代に完全に立ち後れたメディアの典型的な空論です。このブログで何度も取り上げているように、この日本にとって害にしかならない新聞は、早々に廃刊に追いやる必要があります。
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