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2023年4月

2023年4月30日 (日)

福島香織氏:習近平政権になって増加した活動家逮捕と拷問、中国の人権弾圧はさらに続く

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 中国でスパイの定義を拡大した改正法が成立しました。ますます監視の目が厳格となり在住外国人のさまざまな行動にも、当局の一層の網の目が掛けられることになります。

 一方で人権活動家にも更なる弾圧が強化されていて、逮捕、拘束された後の拷問など、弾圧は酷くなっているようです。ジャーナリストの福島香織氏が、JBpressに寄稿した記事がその詳細を語っています。タイトルは『習近平政権になって増加した活動家逮捕と拷問、中国の人権弾圧はさらに続く 次々に逮捕され秘密裁判にかけられる人権活動家たち』(4/20公開)で、以下に引用します。

 この春、習近平が「平和の使者」としてロシア・ウクライナ戦争の調停者の役割をアピールし始めたこともあって、EU諸国の首脳、ハイレベル官僚が相次いで北京詣でを行っている。スペインのサンチェス首相、フランスのマクロン大統領、EUのフォン・デア・ライエン委員長、ドイツのベアポック外相・・・。

 だが習近平の「新時代の大国平和外交」の背後に、圧迫の度合いが急激に増している庶民の人権問題があることを忘れてはならない。

服役中に壮絶な拷問を受けた余文生

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 4月13日、著名人権弁護士の余文生とその妻、許艶が、北京市の派出所から呼び出されたまま連絡が途絶えた。余文生夫妻はその日、EU在中国代表部に訪問する予定だった。余文生夫妻は家族に、中国当局に「挑発罪」容疑で逮捕されたと口頭で伝えている。

 また人権弁護士の王全璋、王宇、包竜軍らが4月14日、警察から外出を禁じられた。おそらくは同13~15日に行われたドイツ外相の訪中と関係があるとみられている。

 EU代表部は4月13日に余文生夫妻がEU代表部に向かう途中で警察に拘留されたことをツイッターで発表し、即座に2人の釈放を要求する、とした。

 余文生夫妻の拘留が発覚して後、知り合いの人権派弁護士、宋玉生と彭剣が余文生の息子の様子を見に自宅に行くと、家の前で2人の看守が監視していた。4月14日夜に7人の警官が自宅を訪れ、余文生が逮捕されたとする通知書を息子に読み上げ、家宅捜査を行い、夫妻の私物を押収したという。

 余文生は、2015年7月9日に起きた人権派弁護士大量弾圧事件の通称「709事件」で逮捕、起訴された王全璋らを擁護し、709事件を「小文革」と非難したことでも知られる。その後、余文生も弾圧対象となり、弁護士資格を剥奪され、国家政権転覆煽動罪で逮捕、起訴、懲役4年の判決を受けて服役していた。

 余文生は最初の拘留中、面相が変わるほどの壮絶な拷問を受けていた。2018年5月、メルケル首相が訪中したとき、余文生の妻の許艶と会見し、中国の人権問題の深刻さについて話し合ったことがあった。

 余文生は2022年3月に出所、獄中の激しい拷問や、妻や息子の安全を盾に自白を強要されたことを出所後、外国メディアのインタビューで語っていた。

 ドイツ外相訪中などに合わせて、習近平政権が再び余文生を拘束し、王全璋に圧力をかけたということは、709事件はまだ終わっていない、ということだろう。そして、ドイツを含むEU諸国に、中国との人権対話が再開されても中国側には譲歩の意志がないことを示したともいえる。

「国家政権転覆煽動」容疑で逮捕された許志永と丁家喜

 余文生夫妻拘束の数日前の4月10日、山東省の人民法院は、新公民権運動活動家で法律家の許志永(50歳)と、新公民権運動に参加していた弁護士の丁家喜(55歳)に対し国家政権転覆煽動の罪でそれぞれ禁固14年、12年の一審判決を言い渡した。彼らは国際的に著名な人権活動家だったが、逮捕後、秘密裁判にかけられていた。

 国際的な人権NGOヒューマンライツウォッチは、2人の裁判の審理プロセスに大いに問題があるとして、中国当局を非難した。ヒューマンライツウォッチの中国部シニア研究員である王亜秋は、「各国政府は、中国当局にすぐに無条件で2人の弁護士を釈放するよう呼びかけるべきだ」と訴えている。

 彼らの逮捕の直接理由は、2019年12月26日、福建省厦門市で行われた人権派弁護士たちによるクローズドの勉強会に参加したことだった。この会合では人権派弁護士、公民権運動家ら約20人が参加し、食事をしながら公民権運動の未来について討論していた。その後、この会合の参加者が次々と捕まった。これは2015年709事件に続く中国習近平体制下の大規模人権弾圧事件として通称「厦門聚餐事件(厦門食事会事件)」あるいは「1226事件」と呼ばれている。

 中国当局(山東省公安局)は2019年12月、北京の友人宅にいた丁家喜(55歳)を逮捕、2020年2月には広州市内に匿(かくま)われていた許志永(50歳)も逮捕した。ほかにも北京の女性労働者権利擁護活動家で許志永の恋人である李翅楚も国家政権転覆煽動の容疑で逮捕され、今なお秘密裡に審理中だ。

「都市浮浪乞食収容送還法」を廃止に追いんだ許志永

 許志永は、私が北京で特派員記者として働いていた頃に何度か取材したことがある。元北京郵電大学講師で、公民権擁護機関「公盟」の共同創設人であり、「新公民運動」の発起人だった。

 丁家喜は北京航空大学卒業のエンジニアだったが後に法律を勉強し商務弁護士に転身した秀才で、やはり公盟に参加し、新公民運動を推進してきた。

 この運動は労働者や農民ら公民の権利を提唱し、政府の透明性と平等に教育を受ける権利などを訴えていた。

 許志永を最初に取材したのは2003年秋、北京市海淀区の人民代表選挙に立候補したときで、彼は庶民のヒーローだった。

 当時2003年3月、広州市で出稼ぎの青年がホームレスと間違われて当局の派出所に強制収容され、収容先で暴行死させられた。この「孫志剛事件」をきっかけに、農村からの出稼ぎ労働者に対する不当な差別に対する庶民の怒りが爆発。許志永は滕彪(人権弁護士、米国に亡命)らとともに全人代常務委員あてに意見書を出し、世論を喚起して、出稼ぎ者をホームレス扱いして強制収容・送還する「都市浮浪乞食収容送還法」を廃止に追い込んだ。

 こののち、出稼ぎ労働者や女性、弱者を公民権に基づいて擁護する組織「陽光憲道社会科学研究センター」(2005年に公盟と改名)を滕彪らと立ち上げ、北京市海淀区の人民代表(区議)に立候補し、当選していた。

 当時の彼は朴訥な好青年で、やわらかい笑顔とわかりやすい表現で、孫志剛事件や自らの立候補について語ってくれた。彼は中国を愛しており、公民の権利が法に基づいて守られる法治国家に中国を変えられると信じていた。

良心的知識人の活動を黙認していた胡錦涛政権

 振り返れば胡錦涛政権がスタートした2002年から2012年までの10年は、中国の公民権運動の萌芽期であり、許志永のような良心的知識人が、中国をより良くしていこうという志を持っていた。また、それが大多数の庶民の心に響いた時代でもあった。

 折しも北京夏季五輪を前に、中国当局も人権問題に対して国際社会からの視線を気にし始めたころであり、彼ら良心的知識人の活動は、矛先が党中央に向かわない限りは黙認される部分があった。

「公盟」は2010年に「公民」と名称を変え、新公民運動を提唱。2012年には習近平への公開書簡を発表し、中国の体制の矛盾について一国民としての真摯な考えを訴えた。だが、おそらくこれが原因で、新公民権運動は習近平から睨まれることになる。この運動に関わったことで丁家喜は2013年から2016年の間、許志永は2014年から2018年まで、公共秩序擾乱罪で4年の禁固刑判決を受け投獄された。

 許志永らは、出所後も新公民権運動を継続しようとし、厦門食事会参加もその一環だった。許志永は厦門食事会参加の後、逃亡している中で習近平への退任勧告をネットで発表。彼の罪が丁家喜よりも重くなったのは、こうした行為が習近平からさらに敵視されたことも関係があるかもしれない。

文革以来の最も過酷な人権弾圧時代

 許志永は少なくとも胡錦涛政権時代には、党中央指導者を個別に批判したことはなかった。習近平に対して厳しい批判を浴びせたのは、やはり習近平体制が特にひどいと感じたからではないだろうか。

 実際、習近平政権のこれまでの10年は、文革以来の中国の最も過酷な人権弾圧時代であるともいえる。

 弾圧対象は、人権派弁護士や新公民運動家にとどまらない。宗教関係者、メディア関係者、民営企業家、共青団派の官僚、マルクス主義の学生たち、さらには長年中国に貢献していきた外国企業の駐在員とあまりに広い。

 そして、こうした苛烈な人権弾圧は、習近平政権3期目も継続することが、今年(2023年)春の一連の人権派弁護士、公民権運動家に対する仕打ちや、日本企業や米国企業の社員のスパイ容疑での逮捕などの事件からわかるだろう。

 許志永ともに新公民運動を立ち上げた滕彪が、ドイツメディア「ドイチェベレ」のインタビューで習近平政権の人権問題への姿勢の特徴を指摘している。

「江沢民、胡錦涛政権時代なら、厦門食事会のような活動は弾圧対象にならなかっただろう。嫌がらせを受けるようなことはあっても、こうした異見人士(意見の異なる知識人)が一斉に逮捕されるようなことはなかった。ましてや国家政権転覆罪なんて容疑で逮捕される人も比較的少なかった」

「習近平時代になってから、国家政権転覆罪を使ったこのような重刑が頻繁に言い渡されている。これは、習近平政権が内心では民間の人権運動をいかに恐れているかを意味していると思う。中国共産党の人権活動家や民間の権利運動に対する敵視具合は頂点に達し、民間パワーの自由主義への影響力を一切排除し尽くそうと思っているのだ」

習近平政権下で明らかに増えている拷問事例

 余文生らの逮捕原因となった2015年の709事件、そして許志永らの逮捕原因となった厦門食事会事件も、いずれも胡錦涛政権下であれば、犯罪を構成する要素すらなかった。取り調べにおける拷問事例も習近平政権下で明らかに増えている。

 EUと中国の人権対話は2019年4月以来途絶え、今年2月に4年ぶりに再会された。だが、今の中国の振る舞いをみると、人権問題について本気で改善する気はなさそうだ。

 中国は今、EUが望むロシア・ウクライナ戦争の停戦を仲介できるキーマンのように振舞っている。その駆け引きの中で人権や台湾問題をカードに利用するつもりではあろうが、本当の狙いは平和ではなかろう。自国民の基本的人権をここまで蹂躙できる国家が本気で平和を望んでいるとは信じられない。平和を餌に掲げながらEUを分断し、米国への疑念を増幅させ、世界を揺さぶろうとしているのではないか。

 中国の言う「民主」や「人権」が私たちの考える民主や人権と違うように、「平和」もまた別物であること忘れてはならない。

 1972年米国や日本が中国との国交を回復し、経済援助と資金援助を開始してから、中国の民主化をひたすら期待していましたが、天安門事件でその期待は大いに削がれました。

 その後急速な経済拡大とそこで可能となった軍事力の拡大により、今や東洋のモンスターとなった中国は、習近平の登場によりその覇権の意思を明確にし、南シナ海へ侵略を開始し、ウィグルを弾圧、香港の一国二制度を破壊し、今また台湾の武力統一を公言しています。

 そして自身の思想の徹底のため、および政権基盤の維持のため、このように反体制派や人権活動家を徹底的に弾圧し、外国人にもその手を広げようとしています。

 少し前、アステラス製薬の社員が拘束された事件もあり、そして政治的な色彩はありませんが、あの自動車ショーでのドイツメーカーBMWに対し、異常な中国民の反応もあります。政権から、そして国民からのチャイナリスクは満載です。

 いまやこの国で事業を続けることは、デメリットの方が大きいでしょう。中国で事業を実施している企業は、可能な限り早い段階で、中国離れを決断することが賢明だと思われます。


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2023年4月29日 (土)

有本香氏:なぜ入管難民法が必要か 一部野党とメディアに騙されるな!バカにされる日本の〝お花畑〟な難民申請

Mqdefault_20230428155301  日本には不法滞在中に実刑判決を受けた犯罪者で、強制送還の対象となった外国人が、それに応じない例がかなりあると言います。その送還逃れに悪用されているのが難民申請です。つまり難民申請期間中は送還されないという点を逆手にとって、何度も申請を繰返す例が多いと言うことです。

 そのため「3回目以降の申請は送還停止の対象外とする」ことを含む改正案が、28日の衆院法務委員会で、国民、維新の修正を取り込んで採決されました。ただあの立憲民主党は自身の修正案が通らず反対の立場です。この改正案についてジャーナリストの有本香氏が、zakzakのコラム「有本香の以読制毒」で次のように述べています。タイトルは『なぜ入管難民法が必要か 一部野党とメディアに騙されるな! バカにされる日本の〝お花畑〟な難民申請 改正趣旨のキモを概説』(4/28公開)で、以下に引用します。

外国人の送還や収容のルールを見直す入管難民法(出入国管理及び難民認定法)の改正作業が〝佳境〟に入った。

2021年4月、当時の菅義偉政権が同法改正に挑んだものの、野党と大メディアのミスリードで頓挫した。その再チャレンジである。

2年前は、不法滞在で摘発され送還が決まっていたスリランカ人女性が、収容施設で死亡するという不幸な一件を、野党とメディアが徹底的に政治利用した。

悪辣(あくらつ)な入管、不幸な女性…という構図を描き、入管難民法改正は「悪」と決めつけたネガティブキャンペーンにより、菅内閣は支持率を大きく落とす事態にまで陥った。

今回、岸田文雄内閣は修正案を野党に提示した。ソフトランディングを狙っているが、野党は再び、一部メディアと組んで、徹底抗戦を仕掛けてくるだろう。この抗戦を今回は、国民の良識で迎え撃つ必要がある。

そもそも、国民の多くが「なぜ入管難民法改正が必要か」を理解していない。だから、2年前にはまんまと騙されてしまった。同じ轍を踏まないよう、改正趣旨の「キモ」を概説しよう。

まず、わが国での在留資格がないまま、不法滞在している外国人の数は、21年1月1日時点で8万2868人に上った。

その後、コロナ禍の影響もあり減少したが、今後は入国者の増大とともに増えることが見込まれている。

この不法滞在者のうち、摘発されて国外退去が決定したにもかかわらず、送還を拒んでいる者(送還忌避者という)が、現在、4233人。これはコロナ禍で不法滞在者が減った中でも、年40%近く増えている。

ところが、現行法(入管難民法)では、この送還忌避者を強制的に国外退去させることが困難となっている。

その理由の一つが、いわゆる「難民申請」にある。

いまの入管難民法では、難民認定手続中の者は、一律に送還が停止される。たとえ重大な罪を犯した者でも、テロリストでも、難民申請をしさえすれば一律に送還が停止されるのだ。

この説明だけで既に、どれほど〝お花畑〟な法律かが分かるだろう。さらに難民申請は何度でもでき、その理由はさほど問われない。

中には、「帰国したら親族から暴力を受ける可能性がある」などという、バカげたものまであると聞く。

自国の警察に相談せよ、という案件だが、いかに日本の難民申請が虚仮(コケ)にされているかを物語る話だ。

よく、「日本は難民認定に時間がかかり過ぎる」「日本は難民認定数が少な過ぎる」という、もっともらしい意見を聞くが、この一因は、適切に門前払いをしてこなかったことにもある(=現在はやや改善されている)。

こんな大甘の制度なら、悪用する輩が当然出てくる。難民認定申請を繰り返すことで退去を回避し、違法状態のまま日本に居座る外国人が存在するのだ。

この大きな穴を塞ごうというのが、2年前からの法改正の狙いである。

ちなみに、21年1月1日時点で約3100人だった送還忌避者のうち、1年を超える実刑判決を受けた者は約490人もいた。そのうち、収容されていたのはわずか100人、仮放免中が約350人、手配中の者が約40人だった。

さらに、同時点の送還忌避者のうち、3年以上の実刑判決を受けた者が約310人。収容中の者はわずか約60人に過ぎなかった。

つまり不法滞在者で、かつ重い刑が確定したにもかかわらず、制度を悪用し、われわれと同じ市井に居座る外国人が存在するのだ。

この異常状態を放置するのはまさに政治の不作為。法改正に反対する野党やメディアは国民の安全を脅かす「敵」と言ってもいい。

今般の修正案には、「難民認定の第三者機関設置」などが附則に盛り込まれたが、私はこれにも反対だ。そんな曖昧な存在に、難民認定という国の重大な決定の裁量を与える余地を残すことは危険である。

善良な国民はもちろん、日本で善良に暮らす外国人も法改正に賛成している。岸田内閣は、毅然(きぜん)と改正の趣旨、意志を貫くべきだ。

 日本は少子化により、労働者不足が懸念されていますが、その穴埋めに外国人を招聘し雇用するのは、時代の流れかも知れません。ただしそこにはしっかりした管理体制が機能しなければ、外国人による犯罪の巣窟となるリスクがあります。

 そのために「出入国管理法」が有るわけですが、そこに「穴」が有るのが現状で、その穴を埋めようとするのがこの改正法案です。しかし特定野党や反日メディアは何故か「外国人」に大甘で、日本の主権や治安維持に全く目を向けずに、外国人優遇政策を掲げようとします。

 日本びいきの善良な外国人なら、それもよしでしょうが、中には犯罪を犯す者も多くいます。有本氏の指摘のように「この異常状態を放置するのはまさに政治の不作為。法改正に反対する野党やメディアは国民の安全を脅かす「敵」と言ってもいい」でしょう。

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2023年4月28日 (金)

ドイツ「脱原発」を祝うのは環境活動家のみ…自己陶酔から覚めた国民は「自国の衰亡」を案じはじめている

11_20230427103901  日本では2011年の東日本大震災発生下の福島原発事故の後、政治もメディアもほぼ脱原発一色になりました。その後化石燃料の大量輸入で、一気に輸入超過となり、同時に電気代の高騰を招きました。またカーボンニュートラルに向けた取り組みも必要なことから、最近では岸田政権のもとで、原発再稼働の動きが加速されるようになっています。

 ところがドイツでは、様々な弊害が出てきているにもかかわらず、脱原発の動きは止まらず、4月15日をもってそれまで稼働していた3基の原発を停止し、脱原発が完了しました。

 ただドイツ国民自体はどう思っているのでしょうか。拓殖大学日本文化研究所客員教授でドイツ在住の川口マーン氏が、現代ビジネスに寄稿した記事にその詳細を見てみます。タイトルは『ドイツ「脱原発」を祝うのは環境活動家のみ…自己陶酔から覚めた国民は「自国の衰亡」を案じはじめている』(4/21公開)で、以下に引用します。

活動家たちのから騒ぎ

2023年4月15日、ドイツの「脱原発」が完成した。この日のために数日前から環境NGOなどが、あちこちで脱原発を祝うパーティーを企画し、参加を呼びかけていた。

8_20230427103901 緑の党、および左翼系の環境NGOがデモをするとき、幼稚なハリボテを作ったり、自分たちが着ぐるみを着たりして、ヘンテコな演出をするのはいつものことだが、この日も、たとえばベルリンのブランデンブルク門の前で、グリーンピースによるそういうシーンが繰り広げられた。

黄色い恐竜のハリボテが四肢を上に突き出して仰向けに横たわり、その上に赤い人形(何を擬人化してるのかよくわからない)が乗って、段ボールで作った剣と盾を手にニコニコ笑っている。盾には「原発? ノー・サンキュー」という反原発派の活動家が50年間使い続けたロゴが入っており、恐竜のお腹には「ドイツの原子力、2023年4月15日に打倒される」。

そしてその横で、活動家の女性たち数人がやはり段ボールで作った剣を持ってはしゃいでいた。いい大人が恥ずかしくないのかと、いつも思う。

ゴリゴリの活動家は、この日停止が予定されていたニーダーザクセン州、バーデン=ヴュルテンベルク州、バイエルン州の各原発の敷地付近にも集まっていた。

9_20230427104001 ニーダーザクセンのエムスランド発電所の門前には、ハリボテの原子炉の格納容器らしきものが置かれ、そこにたくさんのひび割れが描かれていた(1988年運開のこの原発は、実際には老朽ではなく、まだまだ使えるものだ)。

そして、その前には「AUS(切)」と書かれた巨大なスイッチの模型があって、同州のマイヤー環境相(緑の党)が得意満面でそのスイッチに手をかけてポーズをとっている。たとえ州の大臣になっても、緑の党の党員はこういう幼稚なパフォーマンスが好きらしい。

いずれにせよ、発電所のすぐ近くの空き地などでシャンペンを空けて夜中まで大騒ぎをするのは、ここ数年、原発が一基止まるごとに繰り返されたシーンだ。そして、その度にメディアが成功譚のように大仰に取り上げたが、今回は違った。

自己陶酔から覚めたドイツ国民

ドイツ人は時々、全員が理性を放り投げて、自己陶酔状態で一方向に突進していくことがある。おそらくナチの台頭の時もそうだったのだろうし、最近では、たとえば1989年にベルリンの壁が落ちた時や、2015年に中東難民に国境を開いた時がそうだった。

しかし、どちらの場合も、人々は1年もしない間に目が覚め、その途端、自分たちが感動し、夢中になったことが決まり悪く、突然、冷静になったり、あるいは、すっかり忘れてしまった振りをした。そして今、それと同じことが脱原発をめぐって起こっている。

脱原発はドイツ人の宿願だった。だからこそ、2011年の福島第1原発の事故直後、それまで強固な原発擁護派だったメルケル首相が、「福島が私の考えを変えた」と言って、突然、22年の脱原発を決めたとき、人々の感動は最高潮に達した。

「たとえ世界中の人たちが反対しても、たとえ経済的にデメリットを被ることになっても、我々ドイツ人は孤高を持し、正しい道を歩むのだ!」と、こういう悲壮な役割に身を置くことをドイツ人はとりわけ好む。

そんな時の彼らに正論を言っても無駄だ。というか、そもそもドイツの脱原発に論理はなかった。ドイツには津波も地震もないし、周辺の国々ではもっと危ない原発がたくさん稼働しているから、ドイツが原発を止めてもドイツ人の身が安全になるわけではない。しかも、原発を動かせばCO2削減にも役立つし、ガスの輸入にお金を費やすこともない。

それにもかかわらず、彼らにとって脱原発は無条件に正しかった。おそらく原発は、彼らの自然に対する憧れやロマン、そして科学に対する忌避とは相容れない物なのだ。だからこそインテリでさえ、「ダメなものはダメ」でそれ以上の議論は受け付けなかった。

毎日フランスの原発電気を輸入していても、それを問題視することさえなかった。それどころか、下手に論理で対抗しようとすると、反対に、「あなたは原発がいいと思っているのですか?」と眉を顰められて終わりということがしょっちゅうだった。

ただ、その脱原発の夢がようやく叶おうという今、彼らは突然、正気に戻った。ウクライナ戦争のせいでロシアのガスが尽き、シャワーの温度を下げろと言われ、インフレが進み、電気の安全供給が危ぶまれ、産業が窮地に陥っている今、なぜ何の支障もなく動いている原発を止めなければならないのかという当たり前の疑問に、多くのドイツ人が初めて冷静に向き合ったのだ。

ドイツの衰亡を祝う「死の舞踏」

こうなると結論は一つしかない。すでに4月の半ばのアンケートでは、稼働を延長すべきだと答えた人の数が7割近くまで増えていた。画期的な転換である。

ところが、目覚めた国民に付いていけなかったのが政治家だった。ショルツ首相(社民党)は、「ドイツの原発が動くことは2度とない」と胸を張り、レムケ環境相(緑の党)は、「事故が起こった場合の原発の危険は制御不能」だが、「4月15日からようやくドイツの安全が高まる」と強調した。

しかし、ちょうど同じ頃、脱原発の最先鋒だったハーベック経済・気候保護相(緑の党)が訪問先のウクライナで、「ウクライナが原発を維持するのは理解できる。安全に運転している限り、それはOKだ」と発言し、ドイツ国民を驚愕させた。

なぜ、ミサイルが飛び交い、一部は敵国ロシアに占拠されているらしいウクライナの原発が安全で、ドイツの原発は今すぐ停止させなければならないほど危険なのか。しかも、ウクライナで動いている原発の多くは旧ソ連製だ。結局、この発言により、政府の脱原発に正当な理由のないことが、より明確に国民に示された。

それにもかかわらず4月15日、原発は止まった。しかし国民はこの時、冒頭に記したようなお祭り騒ぎを、すでに冷ややかな目で眺めていた。それどころか、ある独立系メディアはこれらのどんちゃん騒ぎを、ドイツの衰亡を祝う「死の舞踏」と呼んだ。活動家に対する評価は、これまでの「よく頑張っている」から、「現実をよく見ろ」に変わっていたのだ。

ところが、日本の多くの新聞は今回も周回遅れが目立つ。日本の主要メディアが、環境グループの言い分だけを報道するのは毎度のことだが、特に朝日新聞は今回、「反原発団体『歴史的な日』をデモで祝う」というタイトルで、あたかも国民全員がそれを喜んでいるように書いた。ミスリードの見本だ。

脱原発の完遂した翌日の4月16日、ドイツのCO2の排出量は新記録となった。CO2フリーの原発を止めて、化石燃料で補うのだから当然の結果だ。ベースロード電源(365日24時間安定して電気を供給する基礎となる電源)を担っていた原発の代わりが再エネには務まらないことが、一瞬のうちに白日の元に晒された。

そして、やはり同日、ドイツで最大の電力会社であるE.onが、7月1日からの電気代の値上げを発表した。値上げはこれが最後ではないだろう。

世界はドイツと正反対の原発ブーム

EUは昨今、CO2削減に異常に力を入れていることもあり、わざわざその流れに逆光し、膨大なCO2を排出し始めたドイツに対する評価は厳しい。

とりわけ問題なのが褐炭で、これはCO2だけでなく、硫黄酸化物や窒素酸化物など有害物質を多く排出するため、ドイツも早急に使用を止めるはずだった。ところが皮肉にも、褐炭はドイツに捨てるほどある格安の国産燃料であるため、今となってはどうしても手が出る。

ただ、仮にドイツが褐炭を諦め、ガスを買い増せば、市場のガス価格は高騰し、貧しい国の手に届かなく恐れもある。要するに、どっちに転んでもドイツの脱原発ははた迷惑だった。

ちなみに現在、世界はドイツの路線とは正反対で、どうも原発ブームのようだ。

4月15日、フィンランドのオルキルオト原子力発電所では、欧州最大級の3号機が稼働。ロシアからの電力やガスが滞る中、タイムリーなデビューだった。稼働をドイツの脱原発の日である4月15日にぶつけたのは、当てつけのような気がしないでもない。

また、スウェーデンとベルギーは、現存する原発を引き続き稼働する他、新設も視野に入れている。なお、すでに着工しているのが、ロシア、フランス、ハンガリー、スロバキア、ベラルーシ。フランスでは今後、14基の原発が新設される予定だという。

さらに、ロシアの天然ガスへの依存を断ち切りたい東欧も原発建設には熱心で、ポーランドは確定。その他、チェコ、エストニア、ウクライナ、オランダでも建設が検討されている。

なぜ、今、原発かというと、ここ数年、皆が再エネに踊ったが、再エネを増やすには広大な土地が必要だし、製造から廃棄までを考えれば、本当に“持続可能”であるかどうかが疑問視され始めたからだ。特に風車の廃棄問題においては、ガラス繊維と炭素繊維を含んだ極めて硬度の高い羽根部分のリサイクル技術は存在しないと、ドイツ政府が言ったばかり。

つまり、今後、毎年何万トンも廃棄される巨大な羽は、目下のところ、どこかに埋め立てるしかないという。太陽光パネルも同じく、複雑な素性(中国製は有毒物質を含むものもある)のガラスのリサイクルは非常に難しい。どちらも将来の巨大な環境破壊だ。その上、再エネはいくら増やしても、お天気任せで安定せず、再エネ関連企業(特に中国)は儲かっても、肝心の基幹産業が逃げ出し、結局、国民は貧しくなるということもわかってきた。

興味深いのは、4月15日、16日に札幌で開かれていたG7のエネルギー・環境の閣僚会議で、米、英、仏、カナダ、日本の5ヵ国が「原子力発電同盟」を結成しようという話が出たこと。これこそ完全にドイツへの面当てである。

現在の危機の原因、メルケルが受勲

最後に不思議な話。

4月17日に、特等大十字章というドイツの功労勲章のうち、最高の等級の勲章がメルケル元首相に捧げられた。これまでこれを受けたのは、元首相であったアデナウアー氏とコール氏の二人だけという名誉あるものだ。

しかし、現在のエネルギー危機の主原因となったロシア依存を後生大事に守り通したのが、16年間も政権の舵取りをしていたメルケル氏だ。そして今、国民はまさにその後遺症で塗炭の苦しみを味わっている。

なお、受勲者の人選の決定権を持つのが大統領だが、それがメルケル政権で8年間、外相を務めたシュタインマイヤー氏。彼もまたロシアとのパイプの太さが自慢の政治家だった。

だからこそ、批判が大きくなる前の滑り込み受勲で、二人してこれを免罪符にするつもりかもしれないが、それにしても、今が戦争の真っ最中ということもお構いなしなのには恐れ入る。

これには、さすがにメルケル贔屓の主要メディアもドン引きで、批判が沸騰している。

こんなことをしていては、ドイツの将来はますます暗くなると思う。EUの国々は今後、ドイツが没落していく様子を静観しつつ、生き残り作戦を練るつもりではないか。

 ドイツの反原発の急先鋒は、緑の党とそれに呼応する諸々の活動家だと言います。それが国民的旋風を巻き起こしているようです。日本も原発事故直後から、そういう動きがありましたが、今では特定野党を中心にやはり反原発活動家が動いていますが、やや下火になってきたのは間違いないようです。

 日独の類似点というと、第2次世界大戦での敗戦後、奇跡の復興を遂げました。しかし日本は1995年を境に失われた30年に突入し、一方のドイツも1990年東西ドイツの統一で、長期にわたる経済停滞に苦しみ、今なお東西格差の問題は残っているようです。

 その両国は福島原発事故を契機に、一気に脱原発へ向かいましたが、日本では経済的理由もあり、行き過ぎた脱原発に歯止めをかけ再稼働へ舵を切りました。しかしドイツでは記事の通り、すべての原発を止めてしまったのです。

 ドイツの原発停止には既に影響は出始めているようですが、これから先、更にどのような経済的あるいは環境的な影響が出てくるか、注目する必要があります。日本政府もドイツをある意味反面教師として、事態の推移を見守るべきでしょう。

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2023年4月27日 (木)

池田信夫氏:ひとり負けした「限界野党」立憲民主党の解党のすすめ モンスタークレーマーが党崩壊の引き金に

7_20230426162701  衆参補欠選挙の投票日から4日経ちました。結果はご承知の通り自公4勝維新1勝で、立民は推薦も含めて全敗でした。ただ与党が圧勝したわけでもなく、岸田首相に解散を勢いづかせることもなかったようです。

 言論プラットフォーム「アゴラ」主宰の池田信夫氏は、コラムで次のようにコメントしています。タイトルは『ひとり負けした「限界野党」立憲民主党の解党のすすめ』(4/24公開)で、以下に引用して掲載します。

今回の補欠選挙は、興味深い結果だった。事前の予想では、自民党の3勝2敗か2勝3敗といわれていたが、意外にも4勝1敗で、立憲民主党は全敗となった。たった5議席で国政の情勢判断はできないが、結果に大きな影響を及ぼした無党派層の気分を知るサンプルとしては意味がある。

スキャンダル暴露は万年野党のマーケティング

特に千葉5区と大分選挙区は数千票から数百票の差で、投票日の直前に出てきた有田芳生候補(山口4区)の「下関は統一教会の聖地だ」という発言の影響が大きかった。これで立民党は、下関市民だけでなく全国の無党派層を敵に回した。

これに先立って通常国会を1ヶ月にわたって混乱させたのは、小西洋之氏の怪文書と「憲法審査会はサル」発言だった。記者会見でそれを追及されると、小西氏は記者を脅迫した。この一連の事件で彼はモンスタークレーマーと呼ばれ、立民党のイメージダウンに大きく貢献した。

有田氏と小西氏の行動には共通点がある。政策とは無関係なスキャンダルで騒ぎ、マスコミに露出することだ。これは昭和初期から、野党の戦術だった。1928年に普通選挙が始まって無産者が有権者になったが、彼らにはむずかしい政策がわからないので、議会で政策論争をしても選挙に勝てない。

そこで野党が持ち出したのが、誰でもわかる松島遊郭事件や朴烈写真事件などのスキャンダルだった。帝国議会はスキャンダルの暴露合戦となり、腐敗した政治にうんざりした大衆は、清潔な軍部に絶大な信頼を寄せるようになった。それが1930年代の軍部の暴走の原因である。

立民党のように党組織の弱体な党にとっては、マスコミが最大の集票装置なので、それに露出するためのスキャンダルが必要になる。それがかつてはロッキードやリクルートなどの疑獄事件だったが、最近は森友学園・加計学園のようなしょぼい話しかなくなった。

そこに出てきたのが、安倍元首相の暗殺という大事件である。これを野党は政治的に利用し、犯人の供述に含まれていた統一教会の20年以上前の事件をスキャンダルに仕立てた。

有田氏は国会議員だった12年間、国会で一度もこの問題を質問したことがなかったのに、いま起こった大事件のように統一教会で騒ぎ続けた。それに妥協して、被害者救済新法をつくった岸田政権にも責任がある。

政治の再建には「限界野党」の解散が必要だ

このような万年野党をなくすために1990年代に小選挙区制が導入されたが、それは参議院に中選挙区を残す不十分なもので、政権を取る可能性のない限界野党が残った。

責任政党をめざした民主党政権は3年で空中分解し、2010年代には野党は離合集散を繰り返した。民進党は中道左派をめざして小池百合子氏の希望の党と合流をはかったが、これに反発した左派が立憲民主党に結集した。

このとき多くの人が(私を含めて)社会党モデルに回帰した立民党は衰退するだろうと予想したが、逆に希望の党が解散し、「立憲主義」という意味不明なスローガンを掲げた立民党が野党第一党になった。

彼らは自民党に政策論争を挑む必要はない。そんなことをしても絶対多数の自公政権は予算を可決でき、野党の政策が採用される可能性はない。それよりテレビ受けするのは、森友・加計や統一教会などのスキャンダルだ。

それは政策としては何の意味もないが、自民党が腐敗しているというイメージをつくり、内閣支持率を下げる効果はある。クレーマーに徹する立民党の戦術は、限界野党のマーケティングとしては正解だが、それでは政治は永遠に変わらない。

もう未来のない立民党は解散し、政策立案能力のある議員は日本維新の会や国民民主党に合流して、有田氏や小西氏のようなモンスターを政界から追放しないと、日本の政治は建て直せない。

 このブログでも「立憲民主党は社民党と同じ道を歩むでしょう」と、願望も含めて述べてきました。しかしコアの支持者はいるのですね。野党乱立の千葉5区の結果を見ても、他の野党を引き離して第2位につけています。

 コアな支持者という点では、どう見ても日本の害にしかならないと思うテレビ番組「サンデーモーニング」も、高齢者のコア視聴者がいて、どんどん視聴率は下がっていますが、かろうじて存続しています。

 ただ立憲民主党もサンデーモーニングも、支持率や視聴率は長期低下傾向ですから、消えて無くなるリスクは抱えていります。特に池田氏の言うように、モンスタークレーマー頼りの党運営では、立憲民主党は確実に国民の支持は失っていくでしょう。またそうなって欲しいと思います。どう見ても日本のために存在する党とは思えません。

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2023年4月26日 (水)

中国人口減少の裏で深刻な若者の「結婚・出産」悲観ムード 昨年初めて人口減少に見舞われた中国のその実態

Images_20230425105801  日本で深刻化している少子化問題。それは中国でも同様で、日本より遅れること10年以上経ちますが、昨年初めて人口が減少に転じました。一人っ子政策の後遺症だけでなく、それが解禁されても子供は増えません。何がそうさせているのでしょうか。

 日中福祉プランニング代表の王青氏が、時事ドットコムに寄稿した記事から、その詳細を見てみましょう。タイトルは『中国人口減少の裏で深刻な若者の「結婚・出産」悲観ムード【洞察☆中国】』(4/01公開)で、以下に引用します。

 中国国家統計局は1月、2022年末時点の中国(台湾、香港、マカオを除く)の総人口が前年比85万人減り、14億1175万人になったと発表した。

 減少は61年ぶり。年齢構成では、16~59歳の生産年齢人口が8億7556万人で全国人口の62.0%を占め、60歳以上は2億8004万人で全人口の19.8%、65歳以上は2億978万人で、14.9%となった。

 ◆衝撃的な数字

 政府が発表した最新データの中で、最もインパクトがあったのは新生児の数である。22年の出生数が956万人。この数は「一人っ子政策」が撤廃された16年の1867万人に比べ、約半分に減ったということであり、その減少数は衝撃的だった。

 新生児の急激な減少の背景には、中国の結婚件数が年々減少していることがある。昨年、中国民政部が発表した統計から見ると、22年の結婚件数は700万である。これに対して、10年前の12年の結婚件数は1323万だったので、10年間で半分近くに減少した。

 急速な経済成長とともに、社会の競争が激しくなった上、不動産価格や教育費などが高騰した。そのため、若者は結婚や出産に対し総じて悲観的なムードになっている。

 最大経済都市の上海では、市政府が最近公開した「上海2022年年次人口監視統計」によれば、合計特殊出生率がわずか0.7である。

 そして、SNSでは「自分を養うことすら精いっぱいなのに、どうやって家庭を築き子どもを育てていくのか」「子どもを産むことに対して大変不安だ」などのコメントが常にあふれている。

 ◆農村まで出産意欲低下

 しかも、現在、中国の少子化は都会の問題だけではなくなり、農村部まで深刻さを増している。

 これまで農村部では「労働力が欲しい、家の後継ぎが必要」という伝統や、「多子多福(子が多ければ幸福)」のような考え方があったため、人々は子どもを多く望み、出生率が高かった。

 ところが、武漢大学社会学院が農村部で行った大規模調査によると、農村部の若者のうち、約3割は全く子どもを産むつもりがないという。また、子どもは1人だけが良いと思う人が38%、2人までは32%、3人はわずか1.75%との統計である。

 さらに農村部の90後(1990年代生まれ)と00後(2000年代生まれ)の若者は、出産意欲が特に低いと調査報告が付け加えた。

 その理由は、社会の進歩や情報通信の発達につれ、農村の若者の居住地がどこであれ、彼らの生活様式が親世代と大きく変わり、考え方が段々と都市化した、というのが調査チームの専門家の分析である。

 ◆あの手この手の出産奨励策

 このような現状を踏まえて、中国政府は何としても出生率を上げようと、さまざまな出産奨励政策を打ち出している。

 例えば、3歳以下の乳幼児に掛かる養育費を個人所得税の控除対象にする。各地方政府も、あの手この手で出産数を増やそうと躍起になっている。

 中国の自治体の中で最初に育児補助金の支給を始めたのが 四川省の攀枝花市だ。21年に、第2子、第3子を持つ家庭を対象に、子ども1人につき3歳まで毎月500元(約1万円)の育児補助金を支給すると決めた。

 その後、多くの地域が似たような政策を相次いで発表した。育児補助金のほか、住宅購入時の優遇や保育園補助金制度、女性の産休期間拡大を含め、子育て、教育、母子の健康など、多方面にわたり、出産支援に力を入れている。

 そして先日、四川省は、未婚者にも出産を認め、出産保険や出産休暇を提供するというので、中国で大きく話題となった。この未婚者に対する出産対策は、今後ほかの地域も追随すると予測されている。

 「一人っ子政策」が7年前に廃止され、その後、3人までもうけられるよう緩和されたが、少子化は歯止めがかからない状況が変わらないどころか、ますます深刻になっている。

 専門家は「一人っ子政策のツケはあまりに大きい。子どもを安心して産める環境がないと、子どもを増やすのは難しい」と指摘している。

 殆ど日本と同様な状況と言っていいでしょう。ただ上海の出生率0.7は、東京の1.08に比べてもかなり低いですね。より深刻なのかも知れません。子育て支援策は似たようなものですが、「未婚者にも出産を認め、出産保険や出産休暇を提供する」という点は、日本にはまだ無いようです。フランスではおなじみですが、日本でも参考になる政策です。

 ある程度生活が豊かになり、女性の社会進出が進んだ国は、いずれも同様な少子化の波が押し寄せているようです。欧州に続き、日本や韓国をはじめ台湾、中国と言った東アジアの国も、その仲間に入りました。

 少子化の食い止めにある程度成功したフランスや、これからその成果が問われるだろうハンガリーのような、出生率改善に取り組む国同様、これら日本をはじめとする東アジアの国々も、少子化を食い止められるか注目されるところです。

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2023年4月25日 (火)

西太平洋の海中に不気味にひそむ潜水艦、いまや「3隻に1隻」は西太平洋に集中、配備する各国の狙いと最新潜水艦事情

Img_2a064cc176d4a089b008e435ac70b04b5459  今世界中で潜水艦の航行ラッシュが起こっているようです。特に日本近海を含む西太平洋上では、海水浴場での「芋の子を洗うような」と言う表現が当たるような状況だと言います。

 その詳細を、ビジネス雑誌記者の深川孝行氏が、JBpressに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『西太平洋の海中に不気味にひそむ潜水艦、“イモ洗い”状態で正面衝突の危険も いまや「3隻に1隻」は西太平洋に集中、配備する各国の狙いと最新潜水艦事情』(4/21公開)で、以下に引用します。

米ロ除き10カ国・地域が西太平洋で潜水艦を保有

 2023年4月8日から3日間にわたり中国は台湾の包囲軍事訓練を行い、蔡英文・台湾総統の訪米に対して“恫喝”した。

 その際、中国海軍の2番目の空母「山東」の包囲訓練初参加に耳目が集まったが、むしろ専門家は空母の下にひそむ中国潜水艦の存在に興味を示していた。4~6隻が水深数百メートル辺りで「山東」の“露払い”を務めていると見られ、虎の子の空母を海の中からもガードできるという自信の表われとも分析されている。

 太平洋の中でも、特にアジア・豪州の両大陸に面する辺りの西太平洋地域の海の中は、中国の海軍力増強を機に20年ほど前から「潜水艦軍拡競争」が勃発し、全世界に600隻弱ある潜水艦の実に3隻に1隻、200隻ほどがここに集まっていると見られるからだ。

 英シンクタンク・国際戦略研究所(IISS)の最新報告書『ミリタリー・バランス(2023年版)』を中心に、激動する潜水艦事情に迫ってみると、米ロを除いて10カ国・地域(以下)が西太平洋で潜水艦を保有する。

・中国59隻

・日本22隻

・韓国19隻

・北朝鮮約20隻(小型潜水艇は除く)

・台湾4隻

・ベトナム6隻

・マレーシア2隻

・シンガポール4隻

・インドネシア4隻

・豪州6隻

 この数字を見ると、中国が最大で日本の実に2倍以上を保有しており、そのほかタイやフィリピンも導入に触手を伸ばしていると見られる。

「地球最後の日」に備える原子力潜水艦の驚愕の“任務”

 潜水艦と言ってもピンからキリまであり、まず「体格」だが、特に正式な区別はないものの、仮に水を満杯にした大きな湯船で完全に沈めた時に溢れる水の重量、「水中排水量(単位/トン、以下同)」で比べると、次のような目安で区別できる。

・およそ500トン以下:小型潜水艇

・700~2000トン未満:小型潜水艦

・2000~3000トン未満:中型

・3000トン以上:大型

 基本的に大きいほうが外洋で長期間作戦が続けられるため有利だ。また小型潜水艇は主に北朝鮮が多数装備し、これも含めて「北朝鮮の潜水艦の数はアジア最大」とするメディアもあるが、性能は限定的で外洋での作戦も困難なため、一般的な潜水艦と同列に扱うには無理があるだろう。

 また、潜水艦は搭載するエンジン(機関)でも「原子力潜水艦(原潜)」と「通常(動力)型潜水艦」に大別され、「原潜」は空気(酸素)が無用な核分裂で莫大なパワーを発揮する原子炉がエンジンで、核燃料を一度積めば10年以上無補給で航行できるのが最大の特長だ。乗組員の食糧と精神力が持つ限り何カ月でも潜航でき、乗組員の酸素・飲料水も豊富な電力で海水から大量に製造できる。

「通常型」は普通のディーゼル・エンジンを載せた在来型の潜水艦で、浮上時はエンジンで航行し、この時バッテリー充電も行う。潜る時は空気が得られないのでエンジンは使えず(浅い潜航ならシュノーケルで大気を取り込める)、バッテリーの電気を頼りに潜航するが、数日が限界だ。

 近年は通常型の潜航時間を数週間に伸ばせるAIP(非大気依存推進)という先端技術の採用例も増えている。液体酸素と燃料・化学剤を反応させてエネルギーを得る方式や燃料電池が主流だ。

 原潜はさらに、「弾道ミサイル原潜(戦略ミサイル原潜)/SSBN)」と「攻撃型原潜/SSN」に分けられ、前者は巨大な(核)弾道ミサイル(SLBM/潜水艦発射型弾道ミサイル)を何発も垂直に並べて搭載し、何カ月も海中に隠れて“地球最後の日”に備える核抑止が任務だ。核弾道ミサイルを使えば人類滅亡が確実なので「使えない兵器」と皮肉られ、じっと隠れているのが鉄則で、敵潜水艦への追跡・攻撃はまず行わない。

 これに対し後者は、まさに敵潜水艦・艦船を魚雷やミサイルで攻撃するのが主任務で、SSBNの護衛も務める。通常型のほぼすべてが攻撃型と考えていい。

南シナ海を「聖域」にしたい中国の思惑

 ここからは各国の潜水艦事情について見ていこう。まず中国だが、急激に質・量を増しているのが特筆すべき点だ。国産のSSBN6隻が同国の核戦力の要(かなめ)の1つで、搭載するSLBMの照準を“仮想敵”であるアメリカに合わせる。

 SSBNは海中に潜り続けて発見されにくいので、核報復の切り札として核保有国は重視する。そのため敵潜水艦などが近づけない“聖域”の確保も重要で、中国は南シナ海をこれに充てようと考える。近年、南沙諸島で占拠や軍事基地化を強引に進めるのもこのためだと指摘する専門家も多い。

 また性能アップにも熱心で、近く配備の「唐(タン)」型SSBNの弾道ミサイル搭載数は現行の2倍、24発になる模様で、SSBNの総数も2030年までに2隻増の8隻体制にするらしい。

 このほかSSN6隻、通常型47隻を揃えるが、20世紀末までは“骨董品”とも言うべき「第2次大戦型」の改良型が大半で、「太鼓を叩いて潜航している」と揶揄されるほどうるさく、探知も容易だった。

 だが2000年代以降はロシアの技術支援などで急速に近代化を図り、いまや大半が現代戦で通用するレベルで潜航時もかなり静かになったという。

 SSNや通常型の相当数には地上攻撃が可能な巡航ミサイルが装備され、また通常型のほぼ半数はAIP搭載の国産「元(ユアン)」型で揃える。

世界初「リチウムイオン電池型」を開発した日本

Img_a4fdf1e69eb1ebbc0f1a61b241a4ba992522  中国に対抗する日本は、10年ほど前までの「潜水艦16隻体制」を改め「22隻体制」とし、さらに何隻かの上積みも模索する。

 保有する潜水艦はすべて国産で、最新鋭の「たいげい」型(4000トン超)は通常型では世界最大クラス。同艦とその前の「そうりゅう」型12隻のうちの2隻(残り10隻はAIP搭載艦)は、世界初の「リチウムイオン電池潜水艦」で、総合的な能力はAIPよりも上だという。

「反撃能力の保持」を決めた岸田政権は2023年4月11日、潜水艦の魚雷発射管から発射する対地攻撃用の長距離巡航ミサイル(射程1000km超)の開発にゴーサインを出した。2027年度までに配備予定で、さらに艦内にミサイルを垂直に何発も並べたタイプの潜水艦の開発も並行して進めるらしい。

国産を決意した台湾と弾道ミサイル発射タイプを配備した韓国

 台湾は武力統一の野望を捨てない中国・習近平政権に対抗するため、2020年に潜水艦の初の国産に踏み切った。2030年までに8隻を完成させると言うが、最大3000トンに達するヘビー級のため、「初心者にはハードルが高すぎる」と不安視する向きもある。一説には英仏、スウェーデンの技術支援も噂される。

 現用の通常型4隻のうち2隻は第2次大戦で活躍した米潜水艦の改良型で、現代戦で使える代物ではなく、残る2隻も1980年代のオランダ製で老朽化が目立つ。

 アメリカが通常型を台湾に供与してもよさそうだが、残念ながらアメリカは半世紀以上前に原潜1本に絞って通常型の建造は行なっておらず、在庫も技術もないのが実情だ。

 韓国は1990年代から潜水艦の保有に舵を切り(小型潜水艇はそれ以前から)、すべてドイツ製で大半を国内ライセンス生産で賄う。注目は「弾道ミサイル通常型潜水艦(SSB)」の開発に熱心な点で、3000トン以上の船体に垂直発射管を組み込み複数のSLBMを搭載し、北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗する。

 2021年8月には初のSSBがミサイル試射に成功した後に実戦配備され、さらに3600トン、垂直発射管数10本にアップしたSSBの建造も2023年3月から始めた。これは2027年ごろの配備予定で、燃料電池式のAIPとリチウムイオン電池も載せる予定だという。

 将来は4500トン台も配備し、最終的にSSBを計9隻備えるらしい。一部では「原潜や核兵器開発に発展する可能性もある。ウクライナ戦争で万が一アメリカがウクライナ側を見捨てれば、いよいよ米韓同盟への不信感が高まり『北朝鮮の攻撃からアメリカは本当に守ってくれるか疑わしい』との国民の声が高まりかねないからだ」との見方もある。

 対する北朝鮮は、前述したように小型潜水艇のほか、60年以上前に開発の旧ソ連製の通常型を約20隻使い続ける。ただし「8・24英雄艦」と呼ばれる2010年代に国産した中型艦のSSB1隻が不気味な存在で、SLBMを積み発射実験を繰り返している。

東南アジアは21世紀に入り近代化・新規保有が活発化

 東南アジア諸国の中で最強の潜水艦戦力を持つのはベトナムで、通常型6隻すべてが4000トンを誇るロシアの“巨艦”「キロ」級である(艦の名前で重さの単位ではない)。

 南シナ海の島嶼の領有権で中国との対立が激しくなり始めた2010年代より配備しているが、中国側も同じ潜水艦を持ち、「兄弟艦同士の睨み合い」がすでに展開されているとの声もある。

 このほか、シンガポールは次期通常型に中型のAIP搭載艦を4隻発注しており、既存の旧式艦と順次交代する計画だ。また、マレーシアも仏西共同開発の中型の通常型を2000年代末に就役させているほか、インドネシアもドイツ製4隻を持ちうち3隻は2010年代の配備で比較的新しい。

原潜保有に舵切った豪州と後押しする米英

 ここ最近で最も衝撃的だったのが豪州の原潜保有宣言で、特に中国は相当危機感を持っているようだ。同国は旧式化したスウェーデン製で大型の通常型6隻の後継艦として、当初フランスが原潜をベースに開発する大型の通常型12隻と決めていた。

 だが増強する中国の脅威に対抗するため、豪米英の3カ国は2021年に軍事同盟「AUKUS(オーカス)」を結成。これに合わせ豪州はフランスとの潜水艦契約を白紙にし、米英との原潜共同開発へと舵を切るという“ちゃぶ台返し”を行った。

 開発される原潜「オーカス」級は、計画ではまず2030年代に既存の潜水艦と交代する形でアメリカから7000トン台のSSNを3隻購入。オーカス級完成までのギャップを埋め、この間に同艦を豪州で建造し2040年代初頭に完成させるというシナリオだ。

 米英の技術を注入して8隻造る見込みだが、豪州は今後30年間に32兆円をつぎ込むというから驚きだ。

 西太平洋の覇権を握るアメリカの状況はというと、原潜を67隻(全部7000トン以上の超大型。「SSBN14隻、「攻撃型」53隻)保有し、うち十数隻~20隻をここに展開していると見られるが詳細は不明である。

 一方、ロシアは51隻(SSBN11隻、攻撃型原潜19隻、通常型21隻)を持ち、15隻前後を太平洋に展開している模様だが、稼働率が低く、実際に稼働できるのは5隻程度ではとの指摘もある。

 さらにAUKUSの関係でイギリスが攻撃型原潜1隻を豪州に常駐させる可能性が高く、同様にフランスやインドも存在感を示すため、同海域に潜水艦を派遣するかもしれない。

2021年に乗組員多数が負傷する米原潜の衝突事故も

 人工衛星やドローン、各種センサー類が急激に進歩する現在、地上や水上、空中で姿をさらす兵器は非常に見つかりやすい。このため海中に身を隠して発見が極めて難しい潜水艦の存在価値は、かつてないほど高まっているのである。

 現在では長距離巡航ミサイル用の「海中発射台」や、特殊部隊を乗せた小型特殊潜航艇を海中から発進させて、敵地の偵察や重要施設の破壊のための母艦に活用されるなど引っ張りだこだ。

 経済力をつけた「グローバル・サウス」の国々が、見栄の張り合いで買い求めるケースもあり、潜水艦の需要は今後世界規模でますます増える可能性が高い。

 このように潜水艦の“イモ洗い”状態になりつつある西太平洋だが、実際2021年には問題の南シナ海で潜航中の米原潜が正体不明の物体と衝突、乗組員多数が負傷する事故も起きている。一説には警戒に当たる中国潜水艦と衝突したのでは、との見方もあるが、仮に事実でも、潜水艦の動きすべてが軍事機密で、中国が公表するとは思えない。

 今後、潜水艦同士の偶発的な“正面衝突”が本当の軍事衝突に発展しなければいいのだが・・・。

 第2次大戦前は日本も海軍王国で潜水艦も多数保有していましたが、今では戦艦も潜水艦も中国の後塵を拝しています。艦船数だけでなくあらゆる面で、残念ながら米国の力がなければ、日本は中国に対抗できないことがよく分ります。

 潜水艦に関して言えば、レーダーなどで捕捉されず守りに強い上に、攻撃力もミサイル搭載などにより、より強力になっています。近い将来、四方を海に囲まれている日本も、より性能に勝る原子力潜水艦を保有したいところです。

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2023年4月24日 (月)

国際ジャーナリストが語る『日本にも拠点、国会議員とも“接点”もつ中国の「秘密警察」の知られざる実態』

5_20230423112501  中国の「秘密警察」。このブログでも何回か取り上げていますが、日本にも存在する「秘密警察」の最新状況を見てみましょう。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が、JBpressに寄稿した記事がそれです。タイトルは『日本にも拠点、国会議員とも“接点”もつ中国の「秘密警察」の知られざる実態 他国の主権などお構いなし、世界中に張り巡らされた国民監視のネットワーク』(4/21公開)で、以下に引用します。

 中国の国外に設置された「秘密警察」がまた問題になっている。というのも、アメリカのニューヨークで4月17日、秘密の警察拠点を運営していたとして、中国人2人が米FBI(連邦捜査局)に逮捕されたからだ。

 2人は盧建旺容疑者(61)と陳金平容疑者(59)で、どちらもアメリカの市民権を持っていた。2人は中国の福建省出身者向けのイベントを開催する団体を運営していた。

 アメリカでは外国の政府のためにアメリカ国内で仕事をする場合は司法省に「外国エージェント」として登録することが決められているが、それをしないで、中国政府のために暗躍していたとされる。

少なくとも53カ国に102カ所の拠点

 中国が世界各地に設置しているこうした警察拠点については、スペインの非営利組織「セーフガード・ディフェンダーズ」が2022年9月に公開した「海外110」という報告書によって広く知られることになった。その報告書には、日本を含む世界53カ国に、少なくとも102カ所もそうした拠点があると記されている。

 これは明らかな主権侵害で、各国の政府が非難する事態になった。中国政府はこうした警察拠点を各地に設置して何をしているのか。そして日本にもある拠点の実態はどういうものなのか。

1年半足らずのうちに国外にいる中国人23万人が「自発的に」帰国

 実は筆者は数年前から、アメリカの元情報機関の関係者らからこんな話を聞いていた。

「FBIやCIA(米中央情報局)など米情報機関は、アメリカで中国人が忽然と姿を消すケースがかなり増えているのを把握しており、これまでにかなり捜査を進めている。この問題について近く世界で問題提起をしていくことになる」

「海外110」の報告書によれば、中国公安部の副部長である杜航伟は、2021年4月から2022年7月までの間に23万人の在外中国人を「自発的に」帰国させたと述べているという。それ以外の期間を入れるとさらに帰国者は増えると考えられるが、言うまでもなく、他国で法執行のような活動をするのは主権侵害にも当たる。

 そして先の元米情報機関の関係者によれば、中国側の言う「自発的」というのは事実とは違うと指摘する。

「外国で中国人が中国当局によって『誘拐』されているケースもある。また中国人がこうした作戦の中でスパイとして協力させられることもある」

 中国のこうした活動の背景にあるのは、習近平国家主席が2014年に始めた汚職を一掃する「キツネ狩り」と呼ばれる作戦だ。汚職撲滅という名目で、習近平は150万人とも言われる公務員らをパージ(粛清)しており、それによって政敵を排除して自身の権力基盤を固めてきたとも言われている。

 無党派の非営利団体である米フリーダムハウスによれば、この「キツネ狩り」作戦には、国家公安部を筆頭に、国家安全部や人民解放軍が深く関与している。それが国外でも広く行われ、汚職に関与していると見られる中国人を他国で捕まえて「自発的に」帰国させ、罪を償わせてきた。同時に、国外にいる反体制派の中国人に対して監視や脅迫を行い、時にはその対象者が忽然と姿を消すケースも起きてきた。

反体制派に監視の目

 海外でそうした活動を担っていたのが、中国が勝手に設置した警察の出先機関だ。それが今回、アメリカで中国人2人が逮捕される結果となった。ただニューヨークでは、同様の罪で中国人が逮捕されたのは今回が初めてではない。2020年から2022年の間で、少なくとも20人以上の中国人が起訴されている。

 例えば、2022年10月に中国共産党中央規律検査委員会の支部から指示を受けた中国人がニューヨークのホテルを拠点に在米中国人を監視し、強制帰国させようとした疑いで逮捕されている。また別のケースでは、在日中国人の情報を集めたり、中国工作員に対する調査の証拠品を破壊したりするよう、米国国土安全保障省の職員らに対し多額の謝礼を支払っていた事件も摘発されている。

 2022年5月には、中国のスパイ組織である国家安全部(MSS)の工作員4人がニューヨークで逮捕されたのだが、逮捕の理由は、中国からの亡命者や不満分子、反体制派らの世話役として有名だった在米中国人活動家を協力者にして、反体制派の中国人の情報を受け取っていたからだった。とんでもない話である。

 加えて、大学関係者や元捜査官、中国人留学生なども協力者にして情報収集などを行なっていたケースもあった。こうした例は枚挙にいとまがない。

 FBIのクリストファー・レイ長官は2020年に、中国政府による国外での活動は、反汚職のためなどではなく、反体制派を取り締まる目的であると断言している。その上で、「例えば、キツネ狩りでターゲットとされた中国人の所在がつかめない時は、中国政府はアメリカに暮らす家族に使者を送り、『すぐに中国に帰国するか、自殺するか、どちらかを選べ』という選択肢を伝えている」と主張する。

 確かに、彼らの手口はマフィアさながらだ。中国国内にいる家族や身内を「人質」にして、在米中国人を脅迫したり、嫌がらせを行ったりして、強制帰国させる。中国に残る身内には、要職などからの追放や住居の破壊、子どもが学校に通えないようにしたり、公的機関の利用や社会保障を無効にしたりする。パスポートを使用できなくする、ホテルの予約をできなくする場合もあるという。

3_20230423112501 都内にある「秘密警察」拠点と国会議員

 そしてこの中国の警察拠点は、日本にも存在している。セーフガード・ディフェンダーズの報告書で確認できるのは2カ所で、一つはホテルになっている東京都千代田区にある十邑会館と、もう一つは江蘇省南通市に関連する「出先機関」だ(報告書では場所はわからないと見られているが、福岡県にあると見られている)。

 さらに問題なのは、千代田区の十邑会館を拠点としている日本福州十邑社団聯合総会は、日本の現役国会議員である松下新平参議院議員を高級顧問に就任させているこことだ。

 十邑会館が紹介している2020年7月8日に行われた就任の「授与式」のリポートには、「7月8日下午,日本福州十邑社团联合总会高级顾问授聘仪式在东京十邑会馆顺利举行,现任日本自由民主党财务金融部会长、参議院議員松下新平先生受聘为我会高级顾问」とある。

 翻訳すると、「7月8日午後、日本福州十邑社団聯合総会の高級顧問任命式が東京の十邑会館で滞りなく行われ、現自民党財務金融部長で参議院議員の松下新平氏が、高級顧問に任命されました」ということらしい。

 参議院のHPに掲載されているプロフィールによれば、宮崎県選出の松下議員は、「自民党人事局長、自民党外交部会長、自民党財務金融部会長、参議院政府開発援助等に関する特別委員長、参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長。参議院政治倫理審査会会長」と要職にある。そんな影響力のある議員が、日本にある中国の警察拠点に深く関係しているとなれば国民を不安に陥れるので、きちんと説明を行うべきではないだろうか。

 イギリスやアメリカでも、現役の国会議員が中国のスパイ工作の餌食になっている。そうした工作には、国家安全部(MSS)や中国共産党の情報機関である統一戦線工作部(UFWD)が関与している。公安や検察などに加えて、こうしたスパイ機関が海外で行われている一連の工作に関与しており、その規模がかなり大きいことがわかる。

 さらに日本では、すでにわかっている2カ所以外にも複数か所、中国の警察拠点があると指摘されており、公安警察なども警戒を強めている。

 最後になるが、今回のニューヨークでの摘発で、特筆すべき問題がある。こうした活動の中で、警察やスパイのように暗躍している中国当局者が、日本でも広く使われているあるアプリを悪用していることだ。それは、オンライン会議サービスの「Zoom」(ズーム)である。

言論封殺に使われたZoom

 米情報機関関係者が言う。

「テレビ会議ができるアプリを提供しているZoomの幹部で、中国政府との窓口役をになっていた人物が、中国政府の指示を受けて天安門事件がらみのZoomのミーティングを遮断していたことが判明、22年12月にアメリカで逮捕されている」

 Zoomを提供しているZoomビデオコミュニケーションズ社は、中国出身で、現在はアメリカ国籍を取得している袁征(エリック・ヤン)が創業した企業だ。

 Zoomは世界中で利用されるようになっているが、中国政府による干渉を懸念する声は以前から上がっていた。実際、習近平政権は、Zoomに触手を伸ばし、中国共産党に反発する中国人を抑え込もうとしている。そこまでしてでも党と政府に対する批判を封じ込め、民衆が行動を起こそうという“芽”の段階で摘み取ってしまおうという強権的思想の表れだ。

 Zoomによる情報漏洩のリスクを回避するため、台湾政府や米情報機関、オーストラリア軍、ドイツ外務省などではZoomの使用が禁止されている。さらに、財閥系企業など、日本でもZoomの使用を禁止にしているところも少なくない。

 ここまでいろいろバレてしまうと、もはや言い訳のしようもないのだが、中国政府は悪びれるそぶりも見せず、事実を否定している。国外における「秘密警察」の活動を停止するつもりなどさらさらないのだろう。

 中国の治安に対する予算の額は、軍事予算に引けを取らないと言われています。現習近平体制を死守するため、反体制派の監視・摘発に膨大な予算を投じている実態が、この「秘密警察」の存在と活動からも汲み取れます。

 裏を返せば、そこまでしなければ体制の安定を損なう事への恐れが払拭できないのだと思います。旧ソ連のスターリンも同様でしたが、独裁の頂点にいる者の避けがたい不安の表れなのでしょう。

 ただ、経済の停滞と高齢化の進展により、中国の財政赤字は急増し、今年は74兆円に上ると予想されています。更には25年には2.3倍の170兆円を突破するとの見通しもあります。そうなれば治安維持関係にこれ以上の金を投入できなくなるでしょう。それが中国の体制に影響が出てくることを期待したいと思いますね。

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2023年4月23日 (日)

安部元首相の『暗殺が成功して良かった』と発言した、法政教授島田雅彦氏による幼稚な弁解ー自称リベラルの反リベラリズム

2_20230422161501  作家で、法政大学国際文化学部教授の島田雅彦氏が、14日に生配信した自身のインターネット番組「エアレボリューション」で、昨年7月の安倍晋三元首相暗殺事件を念頭に、「こんなことを言うと、またひんしゅくを買うかもしれないけど、いままで何ら一矢報いることができなかったリベラル市民として言えばね、せめて『暗殺が成功して良かったな』と。まあそれしか言えない」と発言したようです。(夕刊フジより抜粋して引用)

 慎に不謹慎と思われる発言ですが、新たなテロを誘発しかねないだけに、ネット上だけでなく言論界からも「とんでもない発言」「リベラリズムからもかけ離れている」などと激しい批判が相次いでいるようです。

 この発言に関してブロガーの藤原かずえ氏が、「マスメディアのメソトロジー」に以下のように記述しています。タイトルは『島田雅彦氏による幼稚な弁解ー自称リベラルの反リベラリズム』(4/21公開)で、以下に引用させていただきます。

テロリズム称賛発言

安倍晋三元首相の暗殺事件をめぐって「何ら一矢報いることさえできなかったリベラル市民として、せめて暗殺が成功して良かった」と発言して炎上した島田雅彦氏は『夕刊フジ』の質問に回答する形で反省の弁を述べましたが、その内容は「誤解」という【被害 damage】を社会に与えたことについては認めたものの【責任 responsibility】については認めない典型的な【弁解 excuse】と言えるものでした。

<テロの成功に肯定的な評価を与えたことは公的な発言として軽率であったことを認めます。殺人を容認する意図は全くありませんが、そのように誤解される恐れは充分にあったので、批判は謙虚に受け止め、今後は慎重に発言するよう努めます。>

「暗殺が成功して良かった」という島田氏の発言は、言論に対する暴力的封殺であるテロリズムの結果を肯定する発言であるばかりか、人殺しを称賛するものでした。この簡潔な主張に「誤解」を招く余地など存在せず、「慎重に発言するよう」努めたところでその内容は変わるものではありません。島田氏はすぐに弁解を開始します。

<ただ、安倍元首相襲撃事件には悪政へ抵抗、復讐という背景も感じられ、心情的に共感を覚える点があったのは事実です。山上容疑者が抱えていた旧統一教会に対する怨恨には同情の余地もあり、そのことを隠すつもりはありません。

さらに政権と旧統一教会の癒着を暴露する結果になったのも事実です。今回の「エアレボリューション」での発言はそうしたことを踏まえ、かつ山上容疑者への同情からつい口に出てしまったことは申し添えておきます。>

思考停止のルサンチマン

日本の左翼は「リベラル」を自称しますが、実際には【リベラリズム liberalism】の真逆と言える存在であり、偏狭な道徳を振りかざした【モラリズム moralism】で相手を叩きのめすだけの論理薄弱な情弱に過ぎません。彼らは権力を職務上行使できる者を【悪 evil】と断定する一方で、権力を職務上行使できない自分達を【善 good】と断定する【ルサンチマン ressentiment】を振りかざすだけの幼稚な凡人に過ぎないのです。

民主主義国家の日本の主権は国民にあり、政府はマンスリーに発表される内閣支持率に敏感であるため、その権力の行使には極めて慎重です。例えば、安倍政権は8年間にわたって選挙に大勝し続けましたが、最後まで持論の憲法改正については議論すらしませんでした。そもそも、リベラルな安倍首相は一貫して【格差原理 difference principal】に従い、庶民に豊満な社会保障を提供する弱者の味方であり、サイレント・マジョリティから圧倒的に支持されていました。左翼が妄想するような、民主主義を揺るがして弱者に危害を加えるような「悪政」の構成要件は全く存在しなかったのです。それにも拘らず、左翼はひたすら安倍首相を民主主義の敵として悪魔化し罵り続けました。安倍首相が悪の存在でなければ、ルサンチマンが全てである彼らの存在意義はなくなるからです。島田氏はさらに続けます。

<一方で、安倍元首相暗殺事件や岸田首相襲撃事件を言論に対する暴力と捉える場合、これまで政権が行ってきた言論、報道への介入、文書改竄、説明責任の放棄といった負の側面が目立たなくなるということもありました。

また民主主義への暴力的挑戦と捉えると、国会軽視や安保三法案の閣議決定など民主主義の原則を踏み躙るような行為を公然と行ってきた政権があたかも民主主義の守護者であったかのような錯覚を与えるという面もあります。>

左翼はあたかも日本において「報道の自由」「言論の自由」が束縛されているように主張しますが、そんな事実は存在せず、完全なデタラメです。日本では「報道の自由」「言論の自由」か完全に確立されているばかりか、政権に対する「偏向報道の自由」「ヘイトの自由」まで完全に確立されているのです。

それが証拠に、マスメディアも野党も左翼活動家も、安倍首相に対しては常軌を逸するほどに非難を続けました。彼らは、安倍首相が組織的な選挙妨害に一言意見すれば一斉に袋叩きにし、安倍首相がテロに斃れても全く同情することなく、安倍首相を暗殺したテロリストの主張を一斉に大宣伝し、安倍首相の国葬に一斉に反対し、その国葬当日には一斉に安倍首相をコキ下ろしました。それだけではありません。活動家はブルドーザで安倍首相のマスクを踏みつける儀式を行ったり、ナチスの軍服を着た安倍首相の合成写真を造ってデモで罵倒したりしました。もちろんこれは人権蹂躙のヘイト行為です。それでも安倍首相は笑って受け止め、反論すらしませんでした。彼らがやっていることは、リベラリズムの否定であり、偏狭なモラリズムに他なりません。

反リベラリズム

リベラリズムの正義とは、各個人がもつ善に従う自由を尊重し、その自由の行使が他者の善に従う自由の行使に危害を与える時のみ、その自由の行使を、国民から負託された権力を使って国家が制限するものです。基本的には、各個人は、法律に違反する危害を他者に与えない限り、その自由を行使できます。これがミルの【危害原理 harm principle】であり、善に対して正義が優越することになります。ちなみに、日本の法律は、米国のリベラルな法哲学を具現化した日本国憲法が謳う「公共の福祉」という危害原理を法哲学の主要理念とするものです。日本において、個人の自由および権利は公共の福祉に反しない限り保障されています。

これに対し、モラリズムの正義は、個人がもつ善を他者に強制させる、あるいは個人の悪を他者に禁止させるものです。各個人は、道徳的に不快な行為を他者に与えてはならないとする【不快原理 offense principle】に基づきその行動を制限されるのです。「危害」とは異なり、「不快」には制限はなく、恣意的に偏狭な道徳を振りかざせば、無制限に自由を束縛することができます。

テロリズムはその極致であり、個人が不快と考える他者の自由を殺人という形で奪う行為です。例えば、安倍首相は統一教会の関連団体の集会でスピーチしましたが、これは他者に危害を与えるものではない合法的行為です。山上容疑者はその合法的行為を不快に思って安倍首相を暗殺しました。島田氏は、危害原理で守られる安倍首相の人権を完全に無視して非難した上で、極めて勝手な不快原理の乱用によって人殺しを行った山上容疑者をあたかも被害者であるかのように同情したのです。日本の左翼の人々が真のリベラルであるのなら、批判すべきは島田氏に他なりませんが、批判の声は全く聞こえてきません。

日本に蔓延る偏狭な反リベラリズム

日本社会の自由と権利に対する無知は深刻であり、最近の「食用コオロギ問題」も偏狭な反リベラリズムが暴力的な結末を生んだ典型的な例であったと言えます。これは、徳島県の高校生が自由な意思に基づき、専門家の安全指導の下でコオロギパウダーを使った給食を作り、それを希望者が食したという行為に対し、日本社会のヒステリックな【パターナリズム paternalism】が突如発動されたのです。

パターナリズムとは、相手の利益を思いやるという名目で他者の自由に介入する反リベラリズムの一つです。高校生の行為は、誰にも強制することなく誰にも危害を加えることなく個人の自由を行使しただけなのですが、この行為に対して、SNSが不快原理に基づいてヒステリックに批判するという事態が発生しました。さらに不快原理に基づく偏狭なモラリズムが暴走し、コオロギパウダーを使用したパンを一部商品とする食品メーカーの不買運動に発展し、陰謀論が飛び交う中、バッシングを受けた食品会社が[コオロギ生産を中止]するという事態に至りました。この食品会社も誰に強制することもなく、誰に危害を与えることもなく、ただ自由に商品を作っていただけですが、反リベラリズムの介入を受けて生産中止に追い込まれたのです。

日本社会には偏狭な正義を振りかざしながら他者の自由に介入したがる人物が伝統的に存在します。彼らの主要なモチベーションは承認欲求であり、不快な相手を攻撃してマウントを取ることで自分が正義の存在であることを他者にアピールしたいのです。日本の自称リベラルはその典型と言えます。反リベラリズムで暴走する彼らにとって、悪政の事実の存在やイデオロギーなどはもはやどうでもよく、他者を説教して承認欲求を満足させることが目的化しているものと考えられます。彼らに正義などこれっぽっちもありません。

 全く藤原氏の言うとおりだと思います。左翼学者や言論人、左翼政治家は自分だけが正義だと思い込み、他者を非正義・悪者と決めつけ非難します。この島田氏はその極にいるようで、テロの被害者が自身の思想信条に合わないからと言って、加害者のテロリストの行為を賛美するような言動に出たのです。これが左翼の実態でしょう。決してリベラルと言えません。藤原氏の言うとおり、反リベラリストです。

 法政大学と言えば、あの左翼学者、山口二郎氏がいますし、元学長で名誉教授の田中優子氏もサンデーモーニングで、反権力思想の弁を主張していました。もちろん法政大学の教授がすべて、そうではないでしょうが。

 それはさておき、安倍首相ほど、多くの国民の支持を集めた政治家はいないと思います。それは日本を大事に思い、GHQによって軍国主義と同時に破壊された日本の教育、文化、伝統を取り戻す、つまり「戦後レジームからの脱却」が、日本の未来に光をさすように感じられたからでしょう。

 だがそれは反リベラリストの彼等の思想とは相容れなかった。つまり彼等はGHQによるそれらの破壊と同時に作り上げられた、公職追放の後釜として復帰した、保守とは真逆の敗戦利得者による「疑似共産主義思想集団」の後継者だからでしょう。

 彼等は日本に脈々と受け継がれてきた、教育、文化、伝統を重んじません。彼等に力を与え続ければ日本の未来は、周辺国に乗っ取られるかも知れません。安倍氏亡き後も、日本の主権を守り伝統を重んじる保守系政治家たちが、この日本を守るよう願いたいものです。

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2023年4月22日 (土)

果たして学術会議の存在価値はあるのか 池田信夫氏:学術会議はGHQのつくった「学問の戦後レジーム」

1_20230422083901  日本学術会議法改正案の提出が見送られました。学術会議自身からの反対もあり、また立憲民主や共産党からのお決まりの反対もあって、今回見送ったようです。非常に残念ですが、一方で民間法人化する案も検討されるようです。

 いずれにしても、そもそもこの組織に、その歴史的経緯からして今では存在価値はないように思われます。アゴラ研究所所長の池田信夫氏が、アゴラ言論プラットフォーム上で、20年10月12日に当時の菅首相の任命拒否に絡んで公開した記事を参照します。タイトルは『学術会議はGHQのつくった「学問の戦後レジーム」』で、以下に引用して掲載します。

学術会議法は「学界の新憲法」

学術会議をめぐる議論が迷走している。もともと内閣が諮問機関の人事をその機関に白紙委任することはありえないので、民主的統制のまったくきかない従来の運用が異常であり、今回はそれを正常化しただけだ。

この異常な運用の背景には、学術会議法が学問の世界の新憲法だった歴史がある。戦前には日本学士院と学術研究会議があったが、戦争に協力した学術研究会議は解散され、幹部は公職追放になった。それを総理府所轄の政府機関として再建したのが日本学術会議だった。元会員の生駒俊明氏(東大名誉教授)はこう書いている。

<日本学術会議は、戦後間もない時期にGHQが日本の「軍国主義」を廃絶し「民主主義」を根付かせるために、学者を組織し学界を日本社会の思想的バックボーン形成の中心に据えようとして、日本政府に作らせたものである。したがって、その組織構造は会員選出法を含めて極めて「民主的」であった。すなわち、ある一 定の資格をもつ「学者」が一票の選挙権を持ち、「学者」全員の直接選挙で会員を選出した。>

学術会議は日本の再軍備を防ぐために政府に送り込まれた監視役であり、そのためには外郭団体ではなく政府の中枢に置く必要があった。ところがこの制度設計が裏目に出て、共産党が学術会議を乗っ取ってしまった。

1950年の戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明や軍事研究の禁止などの極左的な方針をとるようになったため、吉田内閣はこれを民営化する方針を打ち出した。

学術会議が設立された4年後の1953年に、学術会議は民営化に反対する要望書を出している。ここでも「日本学術会議の設立に当って異常な関心を示したGHQが、それを国家機関とすることを認めた」と、GHQの意向を強調している。

学術会議が諮問機関として機能しなくなったため、政府は学術審議会をつくり、学術会議に諮問することはほとんどなくなった。この状態を是正するため、1983年に学術会議法が改正されて学会推薦になり、共産党支配は弱まったが、今度は学会ボス支配になった。生駒氏はこう書いている。

<少しでも自分の分野を予算配分等で有利に導こうと駆け引きが始まった。文部省の科学研究費補助金の審査委員に少しでも自分達の仲間が入るようにする。政府に対する勧告や要望はどう見ても我田引水としか思えないもので、「この分野の研究は大事であるから政府は予算をつけろ」と読めるものが頻発した。>

腐敗した学術会議に代わって、科学技術庁の中で調整役だった科学技術会議が2001年の省庁再編で内閣府の総合科学技術会議になり、諮問機関としての役割を果たすようになった。総合科学技術会議の中に、学術会議改革委員会が設けられた。

2003年に発表された学術会議の改革案では、欧米主要国のアカデミーのような政府から独立した法人格を有する組織とするよう求める総合科学技術会議と、それに抵抗する学術会議の主張が両論併記のまま「今後10年以内により適切な設置形態を検討する」と約束し、問題を先送りした。

その後も2015年に内閣府の有識者会議が提言を出し、経団連が提言を出したが、いずれも「国から独立した法人格」をもつことが望ましいとしている。

政府から独立したアカデミーになるしかない

このように学術会議は学問の世界の「戦後レジーム」だが、死に体になったので放置されていた。その政治利用が安保法制のころからまたひどくなったので、政権が人事に介入したのだろう。

菅首相があえて6人の欠員を出し、自民党がさっそくプロジェクトチームをつくり、河野行革担当相が学術会議を行革の対象にした手際のよさをみると、意図的に「きわどい球」を投げて改革のきっかけにしたようにもみえる。

学術会議側は「6人を任命拒否した理由を説明しろ」というが、政府が諮問機関の人選を決めるのは当たり前で、誰を任命しなかったか個別に説明する必要はない。人事の独立性をもつ民間団体になることを拒否したのは、学術会議なのだ。

民営化の話が出てくると「論点のすり替えだ」と逃げるが、これこそ論点の矮小化だ。上でもみたように、学術会議が無用の長物になったのは、改革を拒否して占領体制の遺制を70年も放置し、「国営組織」の権威にしがみついてきたからだ。これを機に特殊法人や独立行政法人などの中途半端な制度設計も見直し、完全民営化できるものはすべきだ。

政府の科学技術予算はもっと増やす必要があるが、学術会議のように学会ボスが科研費を仕切って老人がポストを独占する状況が、日本の科学技術をだめにしている。今までも多くの関係者が提言してきたように「政府から独立したアカデミー」として人事も予算も独立するしかない。その予算は政府が委託研究費として支援すればいい。

Photo_20230422083901  その生い立ちを見ても、またこれまでの経緯を見ても、左翼学者の巣窟のような組織です。立憲民主や共産党が改正法案に反対する理由もよく分ります。これを見ると何故か日本弁護士連盟を想像しますが、いずれにしろ存在価値は全くありません。

 もともと価値のない団体ですから、民営化しても意味が無いようなので、少なくとも委託研究費を出す価値があるのか問われるところです。反日に凝り固まっている法政大学の山口次郎教授の研究室に、科研費が払われているのと同様、税金の無駄遣いと言えるでしょう。

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2023年4月21日 (金)

米NYで摘発された中国「秘密警察」 その存在を否定する中国側の反論は「明らかなウソ」 世界53カ国に存在、日本にも

9_20230420142901  他国の中に秘密の警察をつくり、治外法権のように在留中国人を監視する、中国の「秘密警察」。明らかな主権侵害行為ですが、平然とやってのけるその様は、まさに「権威国家」の象徴です。

 アメリカで摘発されたこの「秘密警察」、中国はいつものようにその存在を否定しています。日本にも以前取り上げたように、複数箇所設置されているようです。デイリー新潮がその実態に迫ります。タイトルは『米NYで摘発された中国「秘密警察」 ねつ造と言い張る中国側の反論は「明らかなウソ」』(4/20公開)で、以下に引用して掲載します。

23041191705_2345x416 チャイナタウンに秘密警察署

 米司法当局は17日、ニューヨーク市で中国の秘密警察署を運営したとして、中国系米国人の男2人を逮捕した。彼らは2022年2月ごろ、同市のチャイナタウンに福建省出身者向けの懇親会などを行う非営利団体の事務所を開設したが、実態は同省福州市の「警察署」だったという。

「昨年10月、FBIがこの“警察署”を捜索しました。男2人は、中国の体制に批判的な人物の言動を監視し、問題のある人物には嫌がらせを行うだけでなく、強制的に帰国させることまで行っていました。さらに2人は中国公安当局からの電信記録を破棄するなど、捜査妨害を行っていたことも発覚。アメリカ政府の許可なく中国政府の代理人として警察活動をしていたわけで、NY州の連邦検事は『中国公安部はNYのど真ん中に警察署を開設し、アメリカの主権を侵害している』と主張しています」(外信部記者)

 中国外務省は18日の会見で「中国は他国への不干渉政策を維持しており、このような警察署は存在しない」と全面否定したが、秘密警察署は少なくとも53か国、102か所にのぼることがスペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」によって昨年、報告されている。日本も例外ではない。東京都内に2か所あり、そのうち秋葉原のビルにある拠点は、やはり福建省福州市の名前が入った一般社団法人となっている。

「こうした中国による監視体制構築のルーツは、習近平体制が発足した2012年以降から始まった『キツネ狩り作戦』にあります」

 というのは、元産経新聞中国総局特派員で、中国問題を研究する一般社団法人「新外交フォーラム」代表理事の野口東秀氏。

「キツネ狩り作戦」とは、海外に逃亡した汚職官僚を追跡し、中国に連れ戻すというもの。相手国への通告はおろか、法律も守らず、勝手に捜査することが問題視されており、2021年7月には男性汚職官僚の摘発を勝手に米国内で行ったとして、NY連邦大陪審がストーカー行為などの罪で中国人捜査員9人を起訴している。彼らは汚職官僚を強引に帰国させようと自宅におしかけ、

「中国に戻って10年服役すれば、家族は無事だ」

 と書いた置き手紙を残したほか、中国にいた官僚の父親を渡米させ、帰国しなければ家族に危害を加えると脅迫した。一連の作戦には、武漢市公安局の捜査員も一緒に渡米していた。

日本でもやりたい放題

「秘密警察はこうした活動を汚職官僚だけでなく、各国に住む中国人にまで広げるための拠点です。福建省をかたるのは華僑が多いこと、海外進出する企業が多いことが挙げられます。チャイナタウンや中華料理屋の入っているビルの1室を借りて拠点として活動しますが、総司令塔はもちろん、北京の安全系統の部門ではないかと思われます。今回逮捕された2人だけで担当区域を担うのは大変ですから、その下に情報係となる協力者が多数います。中国人が多いでしょうが、アメリカ人もいるでしょう」

 習体制を批判しており、しかもそれをSNSなどで発信している――こうした人物情報を徹底的に集め、悪質と思われる人物には「故郷にいる家族に危害が加わる」などと脅して帰国を促すのだという。

 中国人民解放軍による日本へのサイバー攻撃に関与したとして、中国籍の留学生に逮捕状が出た事件(2022年)など、留学生や研究者が本来の身分を隠して技術情報を盗んだり流出させたりするケースも日本では懸念されている。

「日本はスパイ天国です。天安門事件以来、中国へ帰っていない人。飲み屋や食事の席で習近平の悪口を言っている人など、反政府系の人まで、協力者たちの提報によって炙り出されていくのです。今回のように、運営している人間を捕まえても、その下にいる多くの協力者まで摘発しないと、意味はないように思いますが法的には難しい話。いずれにしろ、日本にはスパイ防止法が必要でしょう」

 ちなみに、中国当局は自身のやっていることについて「免許証の更新手続きやコロナ禍で帰国が難しくなった同国民のサポートなどを行っている」と主張している。

「中国だって、免許更新手続きは警察の事務です。それを勝手に代行していいのでしょうか。さらにいえば、例えば免許更新なら、ネット申し込みで9割はできます。残り1割は帰国した際に、健康検査を受ければそれで完了する地域もあります。コロナ禍で困っている中国人を支援するのは、大使館の仕事でしょう。ウソは明白です」

 外国、とりわけ民主主義国にいる中国人の影響力(デモ、記事掲載、SNS発信など)は無視できないということなのだろうが、徹底的に監視網を敷く習体制の在外中国人への締め付けは当面、続くことになりそうだ。

 蟻の子一匹も逃さない、と言うことでしょうが、世界に散らばる中国人を完全監視など不可能なことでしょう。それでもこうした監視の目を崩さないのは、よほど「体制をひっくり返されるのが怖い」という事への裏返しにもなります。

 体制批判の中国人が、その中国人の手によって摘発されるのは、日本にとってはある意味どうでもいいのでしょうが、問題は日本に入り込んで勝手にそういう監視行為をされることでしょう。その逆の状況、つまり日本の警察機構が、中国に勝手に分室をつくって、日本人の監視をしたら、中国当局はどうするでしょうか。当然主権違反行為で逮捕されるでしょう。

 日本にも中華街は多くの都市にあり、そこにこう言う組織が出来れば、実態確認が難しく大きな問題です。更には中国人工作員を呼び込み、スパイ行為をする基地になるかも知れません。それを防止するためにも「スパイ防止法」を早く立法化しなければなりません。多くの人から必要性が指摘されているこの法律を、未だに国会に上程しない政府や国会議員は、その成立を躊躇する理由を明確にしてほしいものです。

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2023年4月20日 (木)

中国経済も停滞の入り口に立ったか 第Ⅰ四半期GDP4.5%成長も忍び寄る「不動産不況」と「高失業率」

Images-15_20230419104601  中国の国家統計局が18日、今年第1四半期のGDPが前年比4.5%成長した、と発表しました。通年目標の5%に近い成長達成と、安堵しているようです。ただ以前から囁かれているように、真実の数値かどうかはわかりませんが。

 このほぼ目標通りのGDP成長率の影で、懸念されているのが不動産市況と若者の失業率の問題です。その概要をジャーナリストの近藤大介氏が、JBpressに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『4.5%成長、堅調ぶり示す中国経済に忍び寄る「不動産不況」と「高失業率」 東アジア「深層取材ノート」(第184回)』で、以下に引用して掲載します。

 4月18日午前10時、中国国家統計局の3カ月に一度の記者発表が、北京で行われた。檀上中央に座ったのは、国家統計局の報道官を兼任する付凌睴・国民経済総合統計司(局)長である。

 この日の付局長は、昨年までと違って自信に満ちた表情で、今年第1四半期の経済統計について語り始めた。

「第1四半期は、峻厳で複雑な国際環境と巨大で煩雑な国内改革の発展を安定させるという任務に直面しながら、習近平同志を核心とする党中央の堅強な指導のもとで、穏やかな成長と穏やかな就業、穏やかな物価をうまく執り行い、疫病防止を比較的早く平穏にソフトランディングさせ、生産の需要を穏やかに上昇させ、就業と物価を総体的に平穏にし、住民の収入を持続的に増加させ、市場の見通しを目に見えて改善し、経済の運行の始まりをうまく行った。

 初歩的な概算によれば、第1四半期のGDPは28兆4997億元で、価格変動を計算しない形で、前年同期比で4.5%成長した」

「4.5」というデータが飛び出すと、会見場に「フー」というため息が漏れた。これは、記者たちの予想よりも高かったからだ。

通年の目標「5.0%成長」に手が届く結果

 先月5日の全国人民代表大会初日の政府活動報告で、当時の李克強首相は、「今年の経済成長目標は5.0%前後」と述べた。昨年までの悪名高かった「ゼロコロナ政策」から脱却し、今年は経済成長していくという自負が読み取れる目標値だった。

 年間を通して5%成長するには、第1四半期は4%程度あれば、V字回復の見通しが見えてくる。「肌感覚」としてもその程度と思っていた記者たちが多かったため、4.5%という高数値は、「小さな驚き」だったのだ。実際、付司長は、上述のように強気な発言に終始したのだった。

 だが、3年のコロナ禍を経て、中国経済の回復は、本当に順風満帆なのだろうか? この日発表された統計から見えてきた「5つの陰」について、以下述べていきたい。

出遅れる製造業の回復

(1)第二次産業の成長率3.3%

 いまや中国のGDPの過半数を占めるのは第三次産業(サービス業)だが、「世界の工場」と呼ばれる中国の屋台骨が第二次産業(製造業)であることに変わりはない。それが今回の発表では、第一次が3.7%、第二次が3.3%、第三次が5.4%。第二次産業がへこんだ格好になっているのだ。

 これは、ウクライナ戦争やアメリカとの摩擦といった理由もあるにはある。だが基本的に、工場の復興が順調に進んでいないと見るべきだろう。今回の統計でも、地方の復興が順調に進んでいないことはデータで示されている。

 現在、北京や上海などの大都会では、「爆食」(レストランでの派手な会食)、「爆遊」(国内旅行ブーム)と呼ばれる現象が起こっている。3年にわたってコロナで蟄居生活を余儀なくされていた人々が、ようやく外出して羽を伸ばせるようになったのだ。

 だが、こうした大都会の「浮かれた状態」に、製造業がついていっていない。いや、大都会においても、オフィスビルはガラ空きだったりするのだ。

拭いきれないデフレ懸念

(2)CPI 1.3%

 改革開放以降の中国の歴代政権は、CPI(全国住民消費価格)が3%を超えないよう注意を払ってきた。1989年の天安門事件も急速なインフレから起こっており、インフレこそは最も警戒すべき現象なのだ。

 だが、ウクライナ戦争の影響などで、日本を含めた世界中がインフレ懸念を抱えている現在、1.3%という数値は、逆に「あまりに低い」のである。そのため記者発表では、「これはデフレではないか?」との質問も飛び出した。本当は「デフレスパイラルでは?」と質問したかったのかもしれない。

 この質問にカチンときた付司長は、激しく反論した。

「デフレではない! その証拠に、GDPは4.5%も成長しており、M2(通貨供給量)は12.8%も伸びている」

(3)輸入の伸び0.2%

 中国は世界最大の貿易立国で、毎年11月には習近平主席の肝いりで中国国際輸入博覧会を上海で開催している。中国は「世界の工場」として世界中に製品を輸出するだけでなく、世界中から製品を買うということを示しているのだ。

 だがそれも、旺盛な消費があってこそである。不景気で消費が滞れば、当然ながら輸入も減る。第1四半期の輸出が8.4%増で輸入が0.2%増というのは、いかにも不釣り合いである。

名門大学の学生も「卒業即失業」状態

(4)家屋工事開始面積-19.2%

 付司長は「万事穏健に成長」と胸を張ったが、マイナスのオンパレードだったのが、不動産関連のデータである。住宅工事開始面積-17.8%、不動産開発企業到達資金-9.0%、不動産国内借入金-9.6%、外資利用額-22.7%、自己資金-17.9%……。

 不動産関連産業はかつて、GDPの約3割を占め、中国経済の牽引役と言われた。いまは15%以下となっているが、特に地方経済にとって牽引役であることに変わりはない。

 それがこの3年ほど、沈滞した状態が続いている。これまではコロナのせいにできたが、コロナから回復した現在でも、一向に回復していない。それどころか、悪化の一途を辿っている。これは「不穏」である。

(5)16歳~24歳の失業率19.6%

 付司長は、心なしかこのデータの部分だけ小声で述べた。それも当然である。若年層の5人に一人が失業中であることを示しているからだ。

 付司長はこのデータに関連して、二つの事実を暴露した。第一に、今夏の大学卒業生は、昨年の1076万人よりもはるかに多い史上最多の1158万人が見込まれること。もう一つは、すでに大学院生の数の方が大学生の数よりも多いというのだ。これは大学院生の定員数を大幅に増やし、就業できない大学卒業生を吸収してきたからに他ならない。

「卒業即失業」「全民失業」……巷では様々な流行語が生まれている。北京では名門大学を卒業した若者が、コンビニバイトや宅配便の配達員をやって糊口を凌いでいるとも聞く。

 以上、「5つの陰」を見てきたが、全体的に中国経済の回復は、いまだ道半ばと言えるだろう。

 日本では失われた30年と言われ、バブル崩壊以降経済停滞が続いています(前回のブログで取り上げました)。その要因には不動産不況と生産年齢人口減が大きな要素を占めています。

 今回の中国の発表で、不動産は不況入りしたのがはっきりしています。特に最大の不動産会社恒大集団は、すでに2021年にフォルトを経験しています。そして生産年齢人口のピークは2013年で、これも過ぎています。(日本は1995年)

 中国が今でも持ちこたえているのは、一党独裁の政策運営で、国を挙げて投資促進をしているからでしょう。だが財政事情の悪化は進んでいて、もうこれ以上大型の投資は難しくなってきているはずで、いよいよ中国においても経済減速の入り口に立ったと言っていいでしょう。長期のデフレもあり得るシナリオです。

 そうなれば中国の経済的魅力も薄れてきます。これを機会に中国で事業を続けている日本企業は、早晩国内に回帰し、日本の経済回復に寄与して欲しいと思います。独裁政治によるチャイナリスクを避ける意味でも、賢明な選択だと思います。

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2023年4月19日 (水)

受け入れざるを得ない悲しい現実、アジアの中でも「小国」に転落する日本 日本は抜本的な意識の転換を

Images-14_20230418161901  日本は失われた30年と言われて久しくなります。バブル崩壊後の緊縮財政と、生産年齢人口の減少が重なり、それまでの右肩上がりの成長から、成長はほぼゼロという大きな変化の屈折点となりました。

 更にリーマンショック後の超円高が、日本企業の海外転出を加速させ、産業空洞化が進む中、コンクリートから人へのスローガンを掲げた、民主党が政権を握り、景気の後退に拍車をかけました。

 その後の安倍政権が起死回生を賭けた、アベノミクスもデフレ解消には至らず、企業の投資意欲を喚起できないまま今日に至っています。他国が成長を続ける中、日本だけが低成長の結果G7の中でも最も生産性の低い国になり、給与は上がらず、韓国や台湾にも抜かれる局面を迎えています。。

 こうした状況の詳細を、経済評論家の加谷珪一氏がJBpressに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『受け入れざるを得ない悲しい現実、アジアの中でも「小国」に転落する日本 インドネシアにも抜かされる?日本は抜本的な意識の転換を』(4/17公開)で、以下に引用して掲載します。

 コロナ危機を経て、新興国が驚異的な経済成長を実現している。国内では日本のGDPがドイツに抜かされつつあることが話題となっているが、本当の脅威はそこではない。アジアやアフリカなど新興国の成長が本格化することで、大国の概念が大きく変わりつつある。日本は将来、インドネシアにも抜かれ、アジアの小国に転落する可能性が高く、それを前提にした戦略に転換する必要がある。(加谷 珪一:経済評論家)

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東南アジアが急激に豊かになっている

 フィリピン政府は2023年1月、2022年の実質GDP(国内総生産)成長率が前年比でプラス7.6%になったと発表した。この数字は、政府の目標値を上回っており、しかも過去2番目の大きさである。

 高成長を実現したのはフィリピンだけではない。同年におけるマレーシアの成長率はプラス8.7%、ベトナムの成長率はプラス8.0%、インドネシアは5.3%と軒並み高い数字が並ぶ。

 各国に共通しているのは消費の強さである。これまでアジアの新興国は、米国や日本、韓国の下請けとして工業製品を製造するケースが多く、基本的に輸出に依存していた。だが一連の高成長の原動力となっているのは内需であり、とりわけ個人消費の伸びが大きい。

 東南アジア各国が個人消費によって高成長を実現していることから分かるのは、各国で資本蓄積が進み、国内のインフラが整ったことで、国民生活が豊かになってきたという現実である。

 一般的に新興工業国は、輸出とそれを支えるための生産設備への投資で経済を伸ばしていく。かつての中国や日本がそうだったが、GDPに占める設備投資の比率が高く、個人消費はそれほど成長には寄与しない。だが十分に資本蓄積が進んでくると内需の寄与度が大きくなり、本格的な消費社会が到来することになる。

 こうした変化が発生するしきい値となるのは、1人あたりGDPで1万ドル前後と言われており、これは多くの文化圏に共通した現象である。1人あたりGDPが1万ドルを超えてくると、当該国は相当程度、豊かな生活を送れるようになり、消費パターンも先進国と似通ってくる。

 この法則は過去の日本にも当てはまる。日本の1人あたりGDPが現在価値で1万ドルに達したのは1960年代であり、70年代以降、国内の風景は一変した。筆者は1969年生まれだが、小学校に入学する頃までは街中は汚く、一部では戦後の貧しい時代の雰囲気を色濃く残していた。ところが70年代後半から社会は急速に豊かになり、施設も見違えるように立派になっていった。

 現在の中国における1人あたりGDPは1万2500ドルとなっており、しきい値を超えている。中国人の生活は劇的に変化しており、従来の中国とはまったく違う国になったと考えてよい。

 ひるがえって東南アジア各国の1人あたりGDPは、マレーシアが1万3000ドル、タイが7600ドルとなっており、マレーシアはすでに中国並みの豊かさを実現し、タイが準先進国入りするのも時間の問題である。

 ベトナムは4000ドル、フィリピンは3600ドル、インドネシアは4700ドルなので、1万ドルに到達するまでには少し時間がかかる。だが逆に言えば、1万ドルまでは青天井となる可能性が高く、当分の間、驚異的な成長を実現するだろう。

日本はインドネシアにも抜かされる?

 今の議論はあくまでも1人あたりGDP、つまり社会の豊かさに関するものだが、東南アジア各国の脅威はそれだけではない。中国ほどではないにせよ東南アジア各国は人口が多く、GDPの絶対値も大規模になる可能性が高いのだ。

 日本の人口は1億2500万人であり、相対的には人口が多い国である。日本が戦後、工業国として成長できた理由のひとつは人口の多さであり、低賃金を武器に大量生産を実現したことで先進国の仲間入りを果たした。ビジネスや外交において規模は重要であり、人口が多いことが強力な武器になるのは今の中国を見れば明らかだろう。

 東南アジアで最も人口が多いのはインドネシアで約2.8億もの人口を抱えている。ベトナムやフィピンもインドネシアほどではないが人口が多く、ベトナムは約1億人、フィリピンは1億1000万人、タイも7000万人なのでかなりのボリュームだ。

 多くの人口を抱えた東南アジア各国が今後、急激に成長し、豊かになってくると、中国のような爆買いを行うことは容易に想像できる。中国に加えて東南アジアが爆買いを開始した場合、アジアのビジネス環境が激変するのはほぼ間違いないだろう。

 特に脅威となるのがインドネシアである。

 インドネシアの1人あたりGDPはまだ5000ドルだが、今後、急激に豊かになり、今のタイやマレーシア並みに成長するのは確実である。3億人近い人口を抱えた国が経済成長すると、GDPの絶対値も大きな数字となる。多くの専門家が今後20年以内にインドネシアのGDPは日本を抜き、世界で5本の指に入る経済大国になると予想している。

 東南アジアではないが、意外なところではアフリカのナイジェリアもそれに該当する。

 同国はまだ貧しい新興国だが、人口は2億を超えた。東南アジアに続いて急成長を実現するのはアフリカ諸国と言われており、そうした新時代においてナイジェリアは大国になる可能性を秘めている。

日本は小国であるという現実を受け入れよ

 これまでの日本は、相応の人口を抱え、GDPの絶対値が大きかったことから、私たちは日本について大国であると認識してきた。だが、一連の現実からも分かるように、豊かさ(1人あたりのGDP)という点ではすでに台湾に抜かれ、韓国に追い付かれるのも時間の問題となっている。GDPの絶対値においても、新興国が驚異的なペースで規模を拡大させており、すでに日本は大国ではなくなりつつある。

 日本における最大の貿易相手国は輸出入とも中国となっており、望むと望まざるとにかかわらず、日本は中国を中心とするアジア経済圏に取り込まれつつある。中国の人口は14億、東南アジア全体では7億人近くの人口があり、各国が今後、急激に豊かになるという現実を考えると、アジア経済圏において日本は小国の1つに過ぎない。

 繰り返しになるが、外交や軍事力、ビジネスなど、対外的な交渉力や国家覇権という点では、1人あたりのGDPではなく、GDPの絶対値がモノを言う。戦後の国際社会はすべて米国を中心に回ってきたといっても過言ではないが、米国が世界のリーダーとして君臨できたのは、ひとえにその巨大な経済規模のおかげといってよい。

 日本は世界最大の経済大国である米国と同盟国であり、かつGDPの規模が米国に次いで2位であった。この絶対値の大きさがあらゆる面でメリットになっていたことは疑いようのない事実であり、残念なことに日本は中国と東南アジアの台頭によって、その両方(「同盟国である米国が突出して大きな経済規模を持っていたこと」と「GDPの絶対値」)を失いつつある。

 小国として経済や外交を運営するには、大国とはまったく異なるパラダイムが必要だが、日本人にその準備ができているとは思えない。これまでの価値観をすべてゼロにするくらいの意識改革を行わなければ、次の50年を生き抜くのは極めて難しいだろう。

 あのバブルの時代、土地代や株は天井知らずに上がり続け、物価高騰を上回る給与の上昇が、不動産やものの価格の上昇をまた招くという、今では考えられないような経済状況が続いたのです。

 ところが、土地の高騰を抑えるための金利引き締めと、マネー収縮政策がとられ、その前から下がり始めた株と共に、土地の価格も下げに転じました。それまでは土地の価格は上がるものだと信じ込んでいた多くの人たちは、何が起こったか分らないまま、唖然とこの現象を眺めていたものです。

 初めての経験とは言え、このとき景気を冷やしすぎるような政策をとらず、何らかの知恵を持ってソフトランニングさせていれば、その後の山一証券や拓銀などの大手三銀行の破綻も起きていなかったかも知れません。

 いずれにせよ、バブル崩壊に端を発した日本の長期の経済低迷を、何とかしなくてはなりません。少子化もそれに輪をかけているので、非常に困難な状況ですが、加谷氏の言うように、これまでの価値観をひっくり返すような意識改革を行わなければなりません。

 今まだ過去に蓄積した資産もあり、また一方で日本の持つ強みも残っています。それがある内に思い切った改革を政府、民間一体となってやることしか、失われた30年を成長軌道に乗せる道は無いと思われます。

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2023年4月18日 (火)

東京新聞・望月衣塑子記者がまた法相会見で大暴れ 間違いや意味不明な質問を繰り返す

2304141021_1714x476  かつて菅元総理が官房長官時代、傲慢で自己中の権化のような質問を繰返した、東京新聞の望月衣塑子記者。その後も彼女をモチーフにしたと言われる、映画「新聞記者」に絡む、財務省の遺族との間で繰り広げられた事件があり、世間の批判を浴びたことは周知の通りです。

 その望月記者が、傲慢さと執拗さが健在だと知らしめたのが、齋藤健法務大臣との記者会見でのやりとりです。デイリー新潮がその詳細を記事にしています。タイトルは『東京新聞・望月衣塑子記者がまた法相会見で大暴れ 間違いや意味不明な質問を繰り返した上、「私もショックでした!」』(4/14公開)で、以下に引用して掲載します。

 齋藤健法務大臣の閣議後記者会見がヒートアップしてきた。国会で入管法改正案が審議入りしようとするなか、5分間の「ウィシュマさん動画」が遺族側によって公開されたからである。この展開にいきり立ったのが東京新聞の望月衣塑子記者。だが、思い込みや主観の入った質問をする姿勢は相変わらずで……。

************

齋藤大臣がブチ切れたワケ

「原告側が勝手に編集をしてマスコミに提供して、公開したものであるというふうに承知をしております」

「本件については皆さんにもよく考えていただけたらなと思います」

 4月7日、国会内で開かれた閣議後記者会見で齋藤大臣はこう不快感をあらわにした。名古屋出入国在留管理局で2021年3月に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)収容時の監視カメラ映像を、遺族側が公開したことを受けての発言である。

 なぜこんな荒々しい言葉でキレたのか。法務省関係者が代弁する。

「あの映像は、遺族が損害賠償を求めて国を訴えた裁判で、国が裁判所からの勧告に従って提出した映像の一部です。裁判審理に使うための証拠を、入管法改正反対を煽る”世論操作に使うな”と大臣は言いたかったのです。『編集した』という言葉のウラには、5時間ある映像のうち問題あるように見える箇所だけ恣意的に抜き出した、という怒りが込められています。看守だって人間だから仕事中に雑談も交えることがある。そんな場面などを切り取るのはフェアではないだろうと」

 だが、「勝手に編集」はいささか言葉が過ぎたのではないかという指摘もある。

「確かに目的外使用にはあたりますが、違法性はありません。2年前、一度廃案になった入管法改正案を再提出している重要な時期だからこそ、つい感情的な言葉を使ってしまったのでしょう」(同)

2304141021_2345x230 間違いだらけの質問

 この”敵失”にいきり立ったのが、近ごろは「もはや記者ではなく活動家」と評されている東京新聞の望月衣塑子記者である。下記が彼女の質問だ。

「検察が公開した5時間の中には、いわゆる非常に問題視された、『鼻から牛乳』『わはははは』とか、『薬きまってるか』などの非常に問題だとされている入管側の発言等々が全く記録されていません。そういったところを意図的に5時間の映像に含んでいなかったかという点と、それから、今回のことを非常に皆さん考えてもらいたいというお話ですけれど、検察側には、裁判官から出向している検事さんという方たちもいらっしゃいます。もともと2月から3月の上映と言われていた上映が、三者協議のなかで6月21日と非常に遅くなりました……(後略)」

 いつもながらとっ散らかった内容だが、まずは冒頭から。「検察が公開した」は誤りである。ウィシュマさん裁判は遺族が国を訴えた民事裁判であり刑事裁判ではない。「検察」という箇所は「国」もしくは「入管庁」とすべき。また、「公開した」という表現も事実を混同している。映像を「公開した」のは遺族側であり、国は映像を裁判所に証拠提出した立場である。

 次いで、引っかかるのは「検察側には、裁判官から出向している検事さんという方たちもいらっしゃいます」という箇所だ。ここはまったく意味不明。この後も説明がないため、意図を汲み取るのは難解である。

「おそらく、国を当事者とする訴訟の代理人になる訟務検事の中に裁判所から出向している裁判官がいると言いたかったのでは。でも、だから何なんでしょう」(同)

自分の気持ちまで披露

 11日の閣議後会見の質疑でも望月氏は同じ議題で再び「検察官」と口にした。

「おそらく、これは検察官が作り、その文書を二度にわたってそのまま読み上げたなと思っているんですけれども……」

 批判を浴びた「勝手に編集」答弁のペーパーを「検察官」が作成したに違いないと言っているのだが、これも憶測に過ぎない。入管庁には確かに法務・検察から出向している検事もいるが、大半がプロパー職員だ。

 さらに望月氏はこの質問の最後に、

「私自身も聞いていて非常にショックでした。撤回しないのでしょうか」

 と自分の気持ちまでも語ったのである。前出の法務省関係者が呆れて言う。

「記者会見は記者の主観を述べる場ではないでしょう。さすがにこの一言には他社の記者たちも呆れかえっていたようです」

厚労省担当に異動?

 それにしても望月氏はなぜ「検察」にこだわるのだろうか。検察取材が豊富なあるベテラン記者はこう分析する。

「今は『反権力』を標榜しているようなんで、検察イコール権力ということで持ち出したんじゃないですかね。けれど、昔は当局ベッタリでしたよ。彼女は振り出しの千葉県警、神奈川県警でスクープを連発。その実績を提げ、検察担当に抜擢されたのですが、検事たちにかわいがられていました。日歯連事件の捜査を指揮した大鶴基成特捜部長がブチ切れて、『望月にリークしている奴を探し出せ』と指令を出し、疑われた事務官がノイローゼになったこともありました」

 なお、現在、社会部遊軍記者として法相会見に出席している望月氏だが、5月から厚労省担当に異動するという。加藤勝信厚労相もさぞ戦々恐々としているに違いない。

 望月記者は典型的な権力批判にのめり込む活動家ですね。社会を完全に一方向しか見ない、いや見えない、多分に記者としての資格が欠如していると思います。その言動から、自己顕示欲が強すぎるナルシストではないかとも思われます。

 ですから他の常識ある記者からは呆れ返って見られているのです。しかしそれに気づかないのですから、どうしようもないでしょう。日本には「言論の自由」のもとに、間違いだらけで意味不明な質問をする記者が、とがめを受けずに活動しているようです。何とかならないものでしょうか。

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2023年4月17日 (月)

岸田首相テロ襲撃事件、聴衆が明かす事件の一部始終 「危ない!」「おい、何やってんや!」

8_20230416104201  一昨日の土曜日15日に、和歌山で選挙応援演説中の岸田首相を狙ったテロ事件が発生しました。首相は無事で、容疑者はすぐ逮捕されました。聴衆も無事でした。昨日のテレビ報道はこの話題で終始していました。

 現場にいた聴衆がその一部始終を語った記事が、現代ビジネスに寄稿されましたので、以下に引用します。タイトルは『「おい、何やってんや!」岸田首相テロ…木村隆二容疑者(24歳)の脇にいた人物が明かす緊迫の瞬間一部始終(4/15公開)です。

いったい何が起こっていたか

聴衆の一番前で岸田首相の様子を見ていた人物は、「現代ビジネス」の取材にこう明かした。

「岸田首相は門候補と支援者に向かって手を振り、笑顔を振りまいていました。演説が始まる直前、演壇の後ろにも支援者がいることを門候補が気づき、そちら側も向いて歓声に応じていた。

すると、その方向から銀色の筒のようなものが飛んできたのです。背後からキャーという大声がしました。岸田首相はとっさに振り返り、銀の筒は首相の2mくらい手前に落ちた。すぐにSPが岸田首相をガードして現場を離れていきました」

漁港に怒声が響き、近くのジャージ姿の中年男性が、筒を投げた男めがけて飛びかかった。すぐさまSPが加勢して、男を押し倒し両足をつかんだ。

「危ない!」

「こいつがやった!」

「何しているんや!」

場内が大混乱となるなか、岸田首相がいた演壇側から「ボーン」という破裂音がこだました。来ていた支持者たちはいっせいに逃げ惑い、現場は大パニックに陥った──。

4月15日、岸田首相は衆議院和歌山1区の補選で、自民・門博文候補の応援のために現地入りしていた。最初の演説会場となったのが、和歌山市の南側に位置する雑賀崎漁港だった。

岸田首相は東京から空路で向かった。関西空港に降り立ち、現場の漁港に到着したのは11時20分ころのことだ。約200人の支援者らが出迎えるなか、手を振りながら車から降りた岸田首相は、門候補とともに雑賀崎漁港を視察し、関係者から説明を受けた。

火を付けるような格好をしたので

周囲にはびっしりとSPが囲んでいた。あらかじめ用意されていた地元の新鮮な鯛や海老に舌鼓を打つ岸田首相は、「おいしい。歯ごたえがある」と笑顔で話して、門氏とともに演壇に向かった。

岸田首相を一目見ようとする支援者たちが取り囲み、スマートフォンのシャッター音がひびく。司会者が「それでは皆様、お越しいただきありがとうございます!」と岸田首相を呼び寄せようとした刹那、件の筒が投げつけられたのだ。

銀色の筒を投げたのは、木村隆二容疑者(24歳)。その場で取り押さえられ、威力業務妨害で現行犯逮捕された。

木村容疑者のすぐ近くで一部始終を見ていた人は、興奮冷めやらない表情でこう語る。

「男はグレーのリュックを背負っていて、何かを取り出そうとしたのです。そして火をつけるような格好をしたので、ただごとではないと思い『なにやってんや!』と声をあげて男に飛びつきました。

私と同様に、男の尋常ではない様子に気づいた地元の支援者が、男に手をかけて羽交い絞めにしました。

すぐにSPが駆け寄って男の足にタックルして倒した。地元の支援者の漁師が、SPといっしょに男におおいかぶさって動きをストップさせました。男は足をばたつかせて抵抗していましたが、完全に封じられた。

すると、そこで爆発音が鳴り響いたのです。男が筒を投げてから20秒くらいでしょうか。支援者は逃げまどい、SPは男をかかえて、演壇から離れた場所に移動しておさえつけたのです」

岸田首相は、すぐに車で現場を離れた。

見に来ていた大半は漁師や漁協関係者

だが、木村容疑者を取り押さえたはいいものの、そのわずか1〜2m離れたところにもう一本の銀の筒が落ちていた。

「爆発するぞ」

「危ないから逃げて」

現場はパニックに陥った。中には小さな赤ちゃんをつれて逃げ惑う人、高齢のお年寄りもいた。

制服の警官が両手を広げて「危ない!近寄らないで!もっと離れて!」と叫ぶ様子は、まるで映画のワンシーンを思わせるような緊迫したものだった。

10分ほどすると、サイレンを鳴らしたパトカーが到着し、警官に抱えられた木村容疑者は和歌山県警西警察署に連行されたという。木村容疑者は、兵庫県川西市に住んでいることがわかっている。

この日、岸田首相は雑賀崎漁港での演説後、繁華街のあるJR和歌山駅に移動して再度支援を訴える予定だった。その日程は、SNSやネットでも公表されていた。

木村容疑者の様子を見ていた人は、こう語る。

「演説を見に来ていたのはたいてい顔見知り、地元のもんばかりや。大半が漁師とか漁協とか関係者とその家族。顔を知らんもんがいるなとは思っていた。しかしこんなひどいテロをやるだなんて、ビックリするだけだよ」

和歌山県警の調べに木村容疑者は黙秘し、「弁護士から来てから話す」とだけ答えているという。警察庁の幹部はこう語る。

「総理大臣が来られるので十分な警備計画を練って、対応していた。それもあって総理をすぐに現場から離れさせることができた。選挙の最中に支援者の荷物チェックまではできない。そんな隙を狙った犯行ではないか。爆弾が岸田首相を直撃しなかったのは、不幸中の幸いだった」

安倍晋三元首相が奈良市で凶弾に倒れてからわずか9か月の惨劇。卑劣なテロは許されるものではない。

 周りは漁師が多く、容疑者がすぐに取り押さえられたのは幸いでした。安部元首相の暗殺の際は、犯人は聴衆のいない背後から狙って、成功しましたが、今回は聴衆に紛れていたため、犯行に制約があったのかも知れません。

 それと共に爆発物が投げ込まれた後に、すぐにSPが首相を爆発物から遠ざけたのも、未然に防げた一因です。ただ爆発物が手榴弾のように、すぐに爆発するものだったら、どうなったかわかりません。

 いずれにしても、このような選挙演説中の襲撃が、今後とも手を替え品を替え増えて行くことが予想されます。それでなくとも日本の治安は悪くなってきていますので、要人警護のさらなる強化の取り組みが求められますね。

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2023年4月16日 (日)

和田政宗氏が国会質問で「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害があったことは否定できない」との外務省見解を覆す快挙

6_20230415105201  外務省のホームページには、尖閣諸島や竹島、北方4島などについて、「日本固有の領土」と明記しています。だが残念ながら、尖閣は中国に脅かされ、竹島や北方4島は韓国、ロシアに不法占拠されたままですが。

 ところが中国における南京事件については「日本政府としては、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害があったことは否定できないと考えています」と言う見解を述べています。

 この見解に対し、国会で質問をした自民党参議院議員の和田政宗氏が、その内容を含めて月刊hanadaプラスに寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『国会史上初の答弁! 南京事件「省内に根拠となる文書は存在しない」と林外相|和田政宗』(4/14公開)です。

政府全体で記述の根拠となる文書はあるのか

先週の参院決算委員会で、南京戦についての日本政府の見解の根拠について質問したところ、国会史上初の答弁が出た。

政府が外務省ホームページなどに記載してきた、「日本政府としては、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害があったことは否定できないと考えている」との見解について、根拠となる文書が外務省内に存在するのかを問うたところ、「外務省が作成したものは確認できない」との答弁が林芳正外務大臣より出た。

南京戦における政府見解の問題は、近現代史研究家の阿羅健一さんが昨年3月、外務省に根拠となった資料の公開を求めたところ、今年1月に「該当文書を確認できなかったため、不開示(不存在)とした」との回答を得たことで顕在化した。

阿羅さんより、「根拠のないことが外務省ホームページに記載されており、修正できないのか」との相談を受けたことにより、私も外務省と事実関係についてやり取りを始めた。そうしたところ、外務省より、根拠となる文書が外務省内には存在しないことが私にも示され、今回の国会質疑で公式に確認したものである。

私は、この審議において、外務省内に文書が存在するか否かの答弁を得たうえで、さらに政府全体で記述の根拠となる文書は存在するのかを質問しようと、まず「外務省内に根拠となる文書は存在するのか」と質問したが、「存在しない」という答弁だけでなく、なぜか林外務大臣は、次の質問で予定していた「政府全体で記述の根拠となる文書はあるのか」の問いについての答えも一括で答弁した。

その答弁は、「いま御指摘のありました外務省のホームページの記載でございますが、平成19年4月24日に閣議決定された質問主意書への政府答弁、これを記載したものでございまして、同答弁で示されました認識は関係者の証言や事件に関する種々の資料から総合的に判断したものでございます。

この資料でございますが、外務省が作成したものは確認できておりませんが、政府機関で作成されたものとしては、1975年に出版されました当時の防衛庁防衛研修所戦史室による『戦史叢書 支那事変陸軍作戦』第一巻において該当する記述があると承知をしております」というものである。

慰安婦問題における河野談話と酷似

しかし、この答弁にあった『戦史叢書 支那事変陸軍作戦』は、戦後30年が経過した昭和50年にまとめられたものであり、私はこの本において参考文献とされている文書や関連文書を国立国会図書館から取り寄せすべて読んだが、一般住民を日本軍が意図的に殺害したとの明確な記述はこれらの資料からは得られなかった。

また、外務大臣答弁における「該当する記述」とは、「無辜の住民が殺傷され」との記述とみられるが、これは日本軍が意図的に住民を殺害したという文脈で記されているのではなく、「非戦闘員や住民が巻き添えをくらって死亡した」との前提で記されているものである。さらに、この『戦史叢書 支那事変陸軍作戦』では、「南京付近の死体は戦闘行動の結果によるものが大部分であり、計画的組織的な虐殺とはいいがたい」と明記されている。

これらから言えることは、政府の南京戦における見解は政府保有の文書において確認できないものをもとに、「公式見解」が作られており、慰安婦問題における河野官房長官談話と酷似している。

外務省ホームページの記述は、平成19年の質問主意書に対する政府答弁書の記述、「昭和12年の旧日本軍による南京入城後、非戦闘員の殺害があったことは否定できない」をもとにしたとのことだが、今回の質疑を通して明らかになったのは、その根拠となる文書が外務省に存在しないこと、根拠としている『戦史叢書 支那事変陸軍作戦』においても、意図的な非戦闘員や住民殺害は明記されていないことである。

7_20230415105401 村山談話の一部の記述も根拠なく記された

私は、現在明らかになっている政府保有の文書をもとに、政府見解や外務省ホームページの記述を訂正すべきであると考える。もし、非戦闘員や住民の殺害について明確に記している文書が明らかになれば、その通り記述することになると思うが、現在そうした文書は存在しない。

では、どのように記述するのか。

『戦史叢書 支那事変陸軍作戦』の記述について、参考文献である様々な資料を私は調べたが、戦闘において住民を巻き込み死なせてしまったことは記述があり、事実であると認識している。私は、このように政府の公式文書に記されている内容に修正すべきであると考える。

外務省のホームページの記述、「非戦闘員の殺害があったことは否定できない」は、中国によって「日本政府は、日本軍が意図的に一般住民を殺害し虐殺したとする説を肯定した」との根拠にされている。「非戦闘員の殺害」ではなく、「巻き込んで死亡させた」と、政府の文書に根拠をもって記されてきた内容とすべきではないか。

過去、私は平成27年の国会質疑や質問主意書において、村山談話における「植民地支配」「侵略」の定義について政府に質問した。これに対する政府答弁は「植民地支配及び侵略の定義については様々な議論があり、お尋ねについてお答えすることは困難である」と、植民地支配や侵略は定義できず、日本が行ったかどうかについても答えられないというものであった。

すなわち、村山談話における「植民地支配」「侵略」の記述は、根拠なく記されたということが明らかになった。

「定義できないなら削除すべき」

これを受け、当時の外務省ホームページ「歴史問題Q&A」における「問1 先の大戦に対して、日本政府はどのような歴史認識を持っていますか」と「問6 『南京大虐殺』に対して、日本政府はどのように考えていますか」に対する回答で、「植民地支配と侵略」という文言を使用していることについて、私は「定義できないなら削除すべき」であると政府に質問主意書で平成27年4月に問うた。

これに対する政府答弁書は「削除する考えはない」とのものであったが、その後、8月の戦後70年安倍内閣総理大臣談話を受け、外務省ホームページの「歴史問題Q&A」から、「侵略」「植民地支配」の文言が削除され、「南京大虐殺」も「南京事件」との記述に変わった。

このように、過去においては、政府が保有する文書を根拠に、言えるもの言えないものを明確にし、記述を訂正した事例があるのである。南京戦は、中国により「大虐殺があった」との宣伝に使われている。日本政府はあいまいな論拠をもとに、政府見解を作成するのではなく、明確に根拠を持った内容をもとに見解や記述を作成するべきだ。

そうでなければ、史実と違っても「日本政府も認めており事実」との誤った認識が広がってしまう。これを訂正することは、先人たちの名誉やこれからの時代を生きる子供たちのためにも重要なことである。私は根拠を持った公式見解とするよう政府に求め続けるとともに、しっかりとした歴史的事実を国内外に広めていきたい。

 まさに和田氏の言うとおりであり、外務省という政府機関まで、「自虐史観」に染まったような見解を執ることは、中国のような反日独裁国家につけいる隙を、わざわざ見せていることになります。

 河野談話や村山談話も全く然りで、韓国の泣いて喜ぶような「自虐表現」でもって、日本を陥れる結果をもたらしているのです。反日左翼の非政府関係者ならいざ知らず、政府要人が発した重みはあまりにも重い。しかも本人たちは一向にその大罪を反省していないのです。万死に値するのではないでしょうか。

 この二人の談話を踏襲せず、「侵略」「植民地支配」の文言の削除につなぐ結果となった安部談話は、やはり素晴らしかったと言えるでしょう。いずれにしても外務省の公開文書には、曖昧な形で中朝韓露などにつけいる隙を与えるような文書は、早急に書き換えることが必要でしょう。そしてその元となった「自虐史観」は完全に捨て去る必要があると思います。

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2023年4月15日 (土)

有本香氏:日中パイプ役林外相の訪中は無残な結果に 拘束日本人は解放されず、今また日本のEEZに「飛行禁止」通知される 

Images-13_20230414154101 日本は日中国交正常化交渉の時から、中国との外交は「釈迦の掌で踊る孫悟空」のような、相手の手中にはまった外交を繰返してきました。当時中国はソ連との軍事的な確執に加え、文化大革命の負の影響で国内が貧困に喘いでいた時期でした。ですから経済的にも安全保障上も、日本を何とか味方につけたいと、以前から戦略を練っていたのです。

 一方日本は、日米同盟のもと西側陣営の一員として、共産主義中国とは体制が異なるため、おいそれとは国交回復交渉には踏み切れないでいました。特に戦時賠償のリスクが大きく覆い被さっていたことも躊躇していた要因です。

 ところが中国はこの賠償を取り下げたのです。それで日本は「掌」の上に乗ってしまいました。そして突きつけられた台湾との断交をやむなく受入れ、尖閣も棚上げにされてしまいました。その後はODAで長期の資金がつぎ込まれ、日本企業の投資と技術が雪崩を打って投下され、中国の経済発展の礎となったのです。まさに中国の思うつぼでした。

 いまもその「掌」の上に乗せられ、日中外交が進められています。ジャーナリストの有本香氏がzakzakに寄稿したコラムにそれが語られています。タイトルは『林外相〝訪中無残〟日台警戒、中国が尖閣周辺「飛行禁止」通知 旗色悪い国になぜ弱腰か「国際宣伝戦」仕掛ける好機も』で、以下に引用して掲載します。

中国が、日本を含む周辺国・地域に、16日から18日の日程で、台湾の北方に「飛行禁止区域」を設定すると通知してきた。「宇宙に関する活動」を行うためという。政府関係者によると、中国が通報してきた区域には沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)が一部含まれている。台湾が抗議して、期間は16日午前の約27分間に短縮された。中国軍は台湾周辺で軍事活動を活発化させており、周辺国は警戒を強めている。ジャーナリストの有本香氏は、中国が続けてきた「危険なゲーム」と、「親中派」の林芳正外相による訪中への疑問を指摘した。

*********

中国政府が、16日から18日にかけて、「航空機の飛行の安全に影響する可能性がある区域の設定」を、日本政府などに通報してきたという。松野博一官房長官が12日の記者会見で明らかにした。

台湾国防部の幹部も同日、中国が同じ日程で、台湾の北約85カイリ(約157キロ)に飛行禁止区域を設定したと発表した。同区域は「日本や韓国、米国などの民間航空機が多く往来する区域」だという。台湾メディアが伝えた。

この区域には、日本のEEZも一部含まれているというが、「領海を含め関連する航行警報については中国側からの通報はない」(松野氏)そうだ。

松野氏は「詳細な情報の収集分析を行っている。その結果を踏まえ、しかるべく対応していきたい」と語ったが、しかるべく対応とは、例えばどんなことを言うのか。

この件で想起したことが二つある。

一つは約10年前、安倍晋三政権下の2013年11月23日で起きた、「尖閣諸島防空識別圏問題」だ。

防空識別圏(ADIZ)とは、不審機の領空侵犯を防ぐことを目的に設定されるものである。これ以前、日本は設定していたが、中国にはなかった。その中国が設定した意図は、日本の安倍政権への牽制(けんせい)、もっと直截にいえば、嫌がらせだったであろう。

ただし、このときの国際社会の反応は中国側の意図したものではなかった。

第2次安倍政権以前、中国が日本に対して、〝歴史〟や〝領土〟をネタに争いを仕掛けると大概、国際社会は中国に味方した。ところが、このときは、米国が、伝統的に中国に融和的な民主党政権だったにもかかわらず、中国に自制を促した。

海外の主要メディアも同様の論調だった。

過去、歴史問題では、史実そっちのけで日本を批判することばかり多かった米紙ニューヨーク・タイムズでさえ、「極めて挑発的で、緊張を高め、日本との直接的な衝突の可能性を高めた」と中国を批判した。中国は尖閣諸島周辺で「不安定化を作り出した」とし、「米国は日本や他のアジア諸国のために立ち上がる必要がある」とまで書いた。

英紙フィナンシャル・タイムズも「危険なゲーム」と題した社説を掲げ、中国に日本への挑発行為をやめるよう要求した。

この頃、国際社会、特に米国の対中認識に大きな変化の兆しが見えたといえる。

この13年と比べたら、いまの中国の旗色の悪さは比較にならない。いまや日本が大きな非難の声を上げ、国際社会に同調を求める宣伝戦を仕掛ける好機ともいえるのだが、例によってわが国は静かだ。日本メディアの中にも、この件を深刻な危機感を持って伝える論調は少ない。

「中国とのパイプ」何だった

もう一つ、本件で想起したことは、1日から2日に行われた林芳正外相の中国訪問である。

米国では2月、自国領内に中国の「偵察気球(スパイ気球)」が侵入したことを理由に、国務長官が訪中をドタキャンした。一方のわが国は、先週の本コラムで報じたように、米国での事件の約2週間後、多数の気球が日本海側に飛来したにもかかわらず、構わず、外相訪中を決行した。

自国民を拘束した国へ、その直後に出かけた外相が、満面の笑みを作って相手の外交責任者と握手をする。さらに、平時と同じ、「私の訪中が実現したことは大変うれしい」と、カメラの前で発言する始末。私には、正気の沙汰とは思えなかった。

この林氏訪中の後、追って届いたのが、「飛行禁止区域」設定の一報だ。拘束された大手製薬会社現地法人幹部が帰る見込みはないままに、である。

メディアやテレビコメンテーターらが、何かにつけ、「中国とのパイプを持つ政治家が重要」と連呼してきたのは一体何だったのか。

日本政界で一二を争う「親中派」である林外相の対中パイプはいま、どんな役に立っているというのか。

林氏の「パイプ」が、中国側が吸うだけの「ストロー」に堕してしまわないうちに、日本政府は、気の利いた国際宣伝戦の一つも仕掛けるべきである。

 まさにこの林外相は、中国の「掌」で踊らされる「孫悟空」と同じではありませんか。政界、財界に多くの親中派がいるのは、長期にわたって踊らされている結果でしょう。

 テレビをはじめとするマスコミも、完全に中国の影響を受けています。これも中国の「掌」の中で、中国批判は控えめにして忖度しているのです。もはや経済力も軍事力も完全に日本を引き離した中国に、せめて戦略だけでも負けないようにしなければ、これからも「掌」の上で踊らされ続けてしまうでしょう。加えて親中派の外相は中国にとって「カモネギ」です。早急に適切な人物に変える必要があるでしょう。

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2023年4月14日 (金)

小林一哉氏:静岡のリニア議論は「末期症状」 致命的な誤りを認めた川勝知事の「新たな大問題」

Images-11_20230413142601  知事の中には国防や重要インフラに対して、自己主張を通そうとする人がいます。国の安全保障政策に対して持論を展開する沖縄の玉城知事、卸売市場の豊洲移転に反対し、今また新築家屋への太陽光パネル取り付けを業者に義務化する小池東京都知事、そしてリニアに反対する川勝静岡県知事などでしょう。

 いずれも国や利用者へ多大な迷惑をかけていながら、鉄面皮な態度で素知らぬ顔を示すところはよく似ています。中でも川勝知事はその傲慢さにおいては引けを取らなかったのですが、ここへ来てようやく雲行きが変わってきたようです。

 ジャーナリストの小林一哉氏が現代ビジネスに寄稿した記事を参照します。タイトルは『静岡のリニア議論は「末期症状」!致命的な誤りを認めた川勝知事の「新たな大問題」』(4/05公開)で、以下に引用して掲載します。

誤りを認めた川勝知事

「山梨県内で行う調査ボーリングが『サイフォンの原理』で、静岡県内の地下水を山梨県内に流出させる」と、超自然現象の“珍説”を唱えた川勝平太知事は2023年3月28日の会見で、ようやく「サイフォンの原理は間違っていた」と誤りを認めた。その席で、「サイフォンの原理」に代わる静岡県内の地下水流出の新たな理由を説明した。ところが、こちらも「真っ赤な嘘」だった。

現代ビジネスの記事(「命より水」を貫き通す川勝知事の「傲慢」…静岡県のリニア議論がどうにもやばすぎる…!)で紹介した通り、川勝知事は2月28日の会見で、「山梨県内の調査ボーリングをするという差し迫った必要性は必ずしもない」と勝手に決めつけた上で、「調査ボーリングをやめろ」の根拠に、「山梨県側の断層および脆い区間が静岡県内の県境付近の断層と(地下深くで)つながっている。それゆえ、いわゆる『サイフォンの原理』で、静岡県内の地下水が流出してしまう懸念がある」と主張した。

水などの液体を、高いところに上げてから、低いところに移すために用いる曲がった管を「サイフォン管」と呼ぶ。管内を完全に真空状態にして、圧力差を利用して、吸い上げ、低いほうに移すことが「サイフォンの原理」である。家庭用ストーブの石油ポンプを使った移し替えをはじめ、ダム湖から発電所まで配管内を真空にしてダム湖の水を吸い上げて発電に用いる時などに使う。

「サイフォンの原理」が登場した背景には、県リニア担当の渡邉光喜参事が、JR東海の「地質縦断図」を調べていて、山梨県内の断層と地下約500メートルで静岡県側の斜めの大きな断層とつながっている地質縦断図を発見したことが大きな理由だ。ただし、“新発見”という地質縦断図も、JR東海が過去に県に提供したものである。

JR東海の地質縦断図の断層を示す赤い斜線が上から下までつながっていて、まるで管のように見えるから、山梨県内の断層を掘削すると圧力が掛かり、地下深くの静岡県内の断層に影響を与え、静岡県内の地下水が山梨県内の断層に引っ張られると考えて、「サイフォンの原理」を思いついたのだろう。

その上、JR東海がまるで情報隠しをしていると勘違いしたから、川勝知事は2月28日の会見で、「(JR東海は)断層がつながっているのに、つながっていない(地質縦断)図をつくって事実をねじ曲げた。つまり断層はつながっている」と曲解した上で、自信たっぷりに「サイフォンの原理」を持ち出して、静岡県内の地下水が山梨県内へ流出する根拠に挙げたのだ。

現在の科学では解明できない

JR東海は、これまでの山梨工区の調査ボーリングの結果を踏まえて、「静岡県内の地下水が大量に山梨県内に流入することは想定しがたい」と説明した上で、2月21日から山梨県内の断層とは遠く離れた地点から調査ボーリングを開始した。当然、山梨県内の断層へ到達したとしても、「静岡県内の水資源に影響はない」と予測している。

また前方に湧水が予想される対策として、トンネル前方に一定区間を確保することで、工学的に対応するなどと説明している。

Images-12_20230413142601 県は3月3日、調査ボーリングで大量の湧水量が発生する恐れがあり、適切な説明を求めるなどとする意見書をJR東海に送った。もし、万が一、調査ボーリングで大量の湧水が発生したとしても、山梨県内の湧水であり、静岡県がとやかく言える筋合いではないのだが、3月3日の時点では「サイフォンの原理」による静岡県内の地下水流出を信じ切っていたのだろう。

このため、山梨県内の断層帯に到達した際、川勝知事の唱えた「サイフォンの原理」現象がはたして起きるのかどうかに注目が集まっていた。

3月20日の県地質構造・水資源専門部会で、山梨県内の調査ボーリングが取り上げられた。JR東海は「一般論として調査ボーリングで水が出てくる懸念はわかる。水が出るというのは、(山梨県内の断層帯の)調査ボーリングによってサイフォンの原理が働くために起きる突発湧水のことか」と尋ねた。県は「その通りだ」と回答した。

これに対して、丸井敦尚委員(産業技術総合研究所地質調査総合センター研究員)は「サイフォンは、例えば、2つのバケツがあって、雑巾か何かで高さを変えたときに、一方のバケツに水が集まるという考えだ。ここはサイフォンとは違う」と、県の見解をきっぱりと否定した。

断層は真空状態の細長い管状の空洞ではない。温泉掘削のように垂直に断層を掘らない限り、圧力が掛かり上方に噴き出すなどありえない。もともと、JR東海の地質縦断図は現地踏査などで予測しただけで地中深くの状況まで解明したものではない。現在の科学ではそこまで解明できないのだ。

「わたしだ。間違っていた」

だから地中深くの断層ゾーンには破砕帯の帯水層だけでなく、粘土などの遮水層もあり、山梨県内の調査ボーリングによる圧力が掛かっても静岡県の地下深くの断層に影響を与える可能性は全く考えられない。

この2つの断層ゾーンでサイフォン作用が起きてしまえば、まさに超自然現象である。「世界最大級の断層地帯」が続く南アルプスの地下は超神秘的な事象が起きる“オカルト世界”になると、筆者は3月13日の現代ビジネス記事で指摘した。

それどころか、これまで川勝知事の珍妙な主張でさえ支持してきた頼みの県専門部会が「サイフォンの原理」を完全に否定したのだ。

このため、3月28日の知事会見で、テレビ静岡記者が「ちょうど1ヵ月前の会見で、『サイフォンの原理』を持ち出して、県内の地下水が流出する懸念があると表明されたが、この『サイフォンの原理』という珍妙な説を言い出したのは誰か?」と疑問を呈した。

「わたしだ。間違っていた」と、川勝知事は「サイフォンの原理」を誤りだとあっさり認めた。さらに記者が「間違っていたことに対する(JR東海への)謝罪はないのか」と追及した。これに対して、川勝知事は「山梨県内の断層帯をボーリングすることにより、削孔された部分が1気圧となり、高圧の地下水が圧力の高いところへ流れ、静岡県内の地下水が抜けるおそれがある」、「掘っていけば極めて高い水圧があり、その圧力の違いによって水が流出するというのが正しいことだ」と記者の追及をごまかすように、「サイフォンの原理」に代わる新たな根拠を述べたてたのだ。

“1気圧”というふだん生活する空気の圧力で、高圧の地下水があったとしても、静岡県の地下水が抜ける理由にはならない。

記者が「専門家に確認したのか」と質すと、川勝知事は「(森下祐一)専門部会長から説明をいただいた」として、さらに丸井委員の名前も加えた。記者が「丸井さんは多分、そうは言っていないのでは」と疑問を呈したが、川勝知事は「(森下)部会長と丸井先生がそうおっしゃった」と言い張り、知事の隣で説明した渡邊参事が回答を補強した。さらに川勝知事は「間違いなく静岡県の地下水が流出する理由がある」、「静岡県の地下水が抜ける恐れがある」を繰り返した。

末期症状のリニア議論

もともと1月25日の県専門部会で、森下部会長のみが「山梨県内の調査ボーリングで静岡県の地下水が抜けてしまうリスクを冒してまで県境付近で工事を進める意義はない」と静岡県の“御用学者”の役割を果たしていた。

さらに、3月20日の県専門部会で、丸井委員が「サイフォンの原理」を否定すると、森下部会長は「実際に高圧が掛かっていて水が出てくれば、それは高圧水となる。今の時点で心配はないが、高圧水が出てくる可能性はある。断層があるということは透水係数が非常に大きいからだ」と主張した。この高圧水が川勝知事の新たな根拠となったようだが、どう考えても、高圧水で静岡県の地下水が抜けてしまう根拠にはならない。

筆者は直接、丸井委員に連絡して確認した。

丸井委員は「静岡県の地下水が抜けてしまう理由など申し上げていない。もし、問題の断層で10⁻⁶という透水係数が掛かったとしても水がじわじわ出てくる程度でリニア工事のリスクにはならない。もし高圧水が出ても、10年掛かってわずかの水が到達する程度であり、その間にリニアトンネルが出来ていれば何の支障もない」と説明した。丸井委員は「サイフォンの原理」だけでなく、今回の川勝知事(森下部会長)の発言を否定してしまった。つまり、丸井委員の名前まで挙げて、静岡県の地下水が抜ける理由を説明した川勝知事は、記者会見の場で再び、真っ赤な嘘をついたことになる。

今回のように、真っ赤な嘘をつく静岡県の化けの皮がはがされたとしてもまた新たな嘘を平気で並べ立て、静岡県はJR東海に不毛な議論を求める。ムダな時間ばかりが過ぎていき、リニア計画の一日も早い完成を望む人たちを裏切り続けるのだ。

3月27日開催された大井川利水関係協議会同様に、静岡県のリニア議論は末期症状だ。最も不幸なのは“真実”を知らされない大多数の静岡県民である。

 一度こうだと思ったら、それに固執し主張し続け、そこから逃れられない人は時々見かけますが、政治家、特に知事などのトップにそういう人がつくと、もしそれが今回の例のように、交通インフラのような公共インフラに関係していれば、関係する人たちに多大な影響を与えてしまいます。

 川勝知事はその反対する理由として、意味不明な科学的所見を並べ、主張したところに悪質性が見られます。そこには開き直りとこじつけが残るだけで、はた迷惑もいいところでしょう。何故リニア建設を止めさせようとするのか、そう主張する理にかなう根拠を明確にしてほしいものです。

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2023年4月13日 (木)

有本香氏:あの「中国気球」について衝撃事実 2~3月に多数が日本海に飛来も…当局は政治的影響に鑑み「対処しない」決定していた

Images-10_20230412162801  中国気球の話題も過去の者となりつつある今、実は先月、先々月にも日本海に飛来していたようです。ところがメディアではあまり報道されていなかった。日本当局は「対処しない」という方針を結滞したようですが、何故なのでしょう。

 それまでの経緯についてジャーナリストの有本香氏がzakzakにコラムを掲載しました。タイトルは『「中国気球」について衝撃事実 2~3月に多数が日本海に飛来も…当局は政治的影響に鑑み「対処しない」決定していた』(4/07公開)で、以下に引用して掲載します。

「2023年 中国『偵察気球(スパイ気球)』事件」は、まだ記憶に新しいことだろう。

発端は2月1日、米モンタナ州上空に正体不明の「気球」が飛来、多くの市民の目撃動画が次々にネット上にアップされ始めたことだった。地元空港は万一のリスクに備えて、飛行機を欠航させた。

これを受け2日、米国防総省の報道官が「1月28日、中国の気球が米国の領空に入った」と公表した。

その後、紆余(うよ)曲折あって4日、米南東部サウスカロライナ州沖に達したところで、米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」が空対空ミサイルで気球を撃墜した。あの一件である。

発見から撃墜までの数日間、世界に共有された光景はさながら、テレビドラマのようだった。

中国は「平和的な気球だ」「米国は過剰反応だ」と主張。しかし、アンソニー・ブリンケン国務長官は予定していた中国訪問を中止した。

ここまでは外交上の〝ドラマ〟だが、野党・共和党はジョー・バイデン政権の対応を「弱腰」だと非難した。米中関係の緊張とともに、米国内の対立も激化した。

この一件後、筆者はずっとモヤモヤしたものを感じていた。

中国の主張を真に受けるわけでは無論ない。米国の大メディアが報じた「軍事偵察目的」との話も、さもありなんと思った。とはいえ、たかが気球である。

当初、「目的は米軍基地の画像情報取得だ」との報道があったが、200基以上の偵察衛星を保有している中国が、わざわざローテクの気球を使う必要があるのかと思った。

また、たかが気球を撃ち落とすのに、米国が、同盟国の日本にさえも「機密保持」を理由に売らなかった戦闘機F22を用いる必要があったのか。当初、国防総省は撃墜を考えなかったとも報じられていたのに…。などなど、多くの疑問が消えなかった。

3年前、わが国の東北地方に同様の気球が飛来したときのことも思い出した。当時の河野太郎防衛相は、気球の行方や再飛来の可能性を問われて「気球に聞いてください。安全保障に影響はございません」と答えていた。

今般改めて野党の追及を受けた河野氏は「分析の内容を対外的に話すことはできない」と答弁した。

これは大筋として理解できる。しかしそれなら、「お答えを控えます」と真面目に言うべきところを、「気球に聞いて」と茶化すように言うセンスには首をかしげる。

余談だが、河野氏は2021年の自民党総裁選に立候補した際、敵基地攻撃能力について「昭和の時代の概念」などといってケムに巻いた。国防の肝であり、最も言い難い論点をはぐらかす態度からは、「将来の宰相の器」を感じられない。

気球に話を戻そう。

米NBCテレビは3日、気球が「複数の米軍基地の兵器システムが発する信号や兵員間の通信を傍受していた」と報じた。収集した情報はリアルタイムで中国本土に送っていたという。

織田邦男氏「目的はピンポイントで持っていけるようにする」

だとすると、安全保障に影響は大ありだ。当然、わが国に飛来した気球にも同様の疑いを向けるべきだ。さらに、元航空自衛隊空将の織田邦男氏は、筆者のネット番組「百田尚樹・有本香のニュース生放送 あさ8時!」で、震撼(しんかん)する未来予想を解説した。

「中国がもくろんでいるのは、この気球を世界中にピンポイントで持っていけるようにすることです。風の速度と方向は高度によって違いますが、それが全てわかれば、全データをAIに入れ、どの高度に上げて(下げて)どこまで持っていくか操れるようになる。ピンポイントでワシントンに持っていき、生物兵器を落とすことも可能です」

もはや、たかが気球という話ではない。

最後に、筆者があるソースから得た最近のわが国に関わる重大情報を明かそう。

米国での「気球」事件の後、2月中旬から3月にかけ、わが国の日本海側に中国のものとみられる気球が多数飛来していた。当初、空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)で監視したが、その後、数があまりにも多いことや、政治的影響に鑑み、日本当局は「対処しない」と決定した。

果たして、この決定は正しいのか。われわれの未来の安全を「気球に聞いて」いる場合ではないはずである。

 日本当局とはどの部署を指すのでしょうか。防衛省判断でしょうか、それとも首相の判断でしょうか。しかも殆どメディアに扱われていないのは、極秘裏に偵察をしていたのでしょうか。

 加えて「政治的影響」とは何でしょうか。中国への配慮でしょうか。それとも対処しないことを国民に知られてはまずかったのでしょうか。「対処しない」のではなく「対処できない」のが本音だったのではないでしょうか。いずれにしろどうも不可解な決定のように思います。

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2023年4月12日 (水)

小西議員の「サル発言」や「メディア恫喝」問題 進まぬ処分は党だけでなく国会の機能不全か 政治不信の加速に拍車

Images-9_20230411110601  統一地方選の前期の結果が出て、維新の躍進が伝えられているところです。一方立憲民主は、北海道知事選での惨敗以外では現状維持のようです。小西議員の「サル発言」や「メディア批判」問題が影響したのかどうかは分りません。

 その小西議員に対する党内の動きに対し、産経新聞のコラム「政界徒然草」がコメントを出しています。タイトルは『「小西問題」ダンマリの立民』で、以下に引用して掲載します。

立憲民主党が、衆院憲法審査会をめぐる「サル」発言や報道機関を恫喝するような言動を繰り返した小西洋之参院議員への対応にもたついている。参院憲法審の野党筆頭幹事からの更迭で事を収めようとしたが、内外からの批判を受け、執行部は追加処分も検討する。立民内には擁護論もあるが、統一地方選の最中という事情もあり、誰もが小西氏の件に触れようとしない奇妙な沈黙が支配する。

小西氏の問題は岡田克也幹事長が預かり、対応を検討している。党幹部は「政治家の命がかかっている案件だから、幹事長が丁寧に小西氏の言動を精査中だ」と語る。

しかし、小西氏の言動はすでにツイッター上などで明らかになっており、「精査」の余地は乏しい。小西氏は護憲派として知られ、リベラル系の支持者の間では擁護論もある。執行部は追加処分した場合の反発に尻込みし、統一選にも影響を及ぼさないよう、ひとまず様子見を決め込んでいるのが実態のように映る。

そこにはトップのリーダーシップも見えない。

「党として何も問題がないということであれば、私は先週(の記者会見で)謝罪もしないし、幹事長が精査することにもなっていない。われわれは党として対応している」

立民の泉健太代表は7日の会見で、小西氏の言動を「不祥事だと認識しているか」との質問に、開き直るかのように答えた。

ベテラン記者が「重大な不祥事だ」と重ねて迫ると、今度は「その話は1週間遅れている。私は先週『(小西氏の言動は)まかりならん』と言った。すでにその意見を表明している」と反論。あえて反感を買いにいくような対応に終始した。

小西氏は衆院憲法審の毎週開催について「サルがやること」などと記者団に発言した。それを報じたメディアに関して「放送法などあらゆる手段を講じて報道姿勢の改善を求めたい」「産経とフジテレビは今後一切の取材を拒否」「(総務省の)元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」などと、恫喝めいた投稿をツイッターに行った。

報道の自由は民主主義を支える根幹だ。立民内でもこれを問題視する意見は強く、産経新聞の複数の記者に対しても、同党関係者から「同じ党の人間として申し訳ない」「私は御社側に立ちます」といったメッセージが寄せられた。統一選の街頭活動で、小西氏の件を有権者から難詰された議員も少なくないはずだ。

一方で立民内には擁護論もあり、原口一博元総務相はツイッターに「小西を守れ!」などと投稿した。小西氏の後任として参院憲法審の野党筆頭幹事に就いた杉尾秀哉参院議員も「憲法審の場で(小西氏が)謝罪しなければいけないということではない」と記者団に述べ、前任者をかばうような姿勢をみせた。

ただ、擁護派もそうでない側も、大勢は「事なかれ」とばかりにダンマリを決め込む。小西氏が端緒となった放送法の解釈をめぐる総務省文書の問題も、国会質疑ではすっかり影をひそめた。一時は小西氏の文書発掘をほめそやした立民幹部も、今では「小西なんぞに時間を使っていたら、本質的なことに時間が取れなくなる」とうそぶく。

自民も小西氏の問題には「全く興味がない」(参院議員)などと関心が薄い。特に参院には野党の不祥事を漫然としたままで済ませる風土もある。衆参の憲法審でも、小西氏の発言に言及した自民議員はほとんどいなかった。

そんな状況下で攻勢に出ているのが日本維新の会だ。馬場伸幸代表は、衆院憲法審の場で小西氏が謝罪する必要があると指摘。「信頼関係は完全に損なわれた」として、立民との政策協調を当面、凍結する意向を示した。立民にとってデリケートな問題で強気の要求を突きつけ、「駄目なところをあぶり出す」(維新関係者)作戦のようだ。

9日投開票された統一地方選の前半戦では、比較的立民の地盤が固い北海道知事選で、同党推薦の新人が自公推薦の現職にトリプルスコア以上で敗れるなど苦戦が目立った。小西氏を巡る一連の問題も少なからず影響しているとみられ、党内には11日に告示される衆参5つの補欠選挙への懸念も広がる。

都合の悪い問題には沈黙を決め込み、不祥事にきっちりけじめを付けることもできず、リーダーには責任から逃げるような姿勢が目立つ立民。そのような組織では党勢回復もおぼつかないのではないか。(千葉倫之)

 立憲民主党は政府関係者、とりわけ閣僚への追及では、その内容の真偽にかかわらず、「疑惑は深まった」などとして、徹底追求姿勢を貫くことが多い事で有名です。

 ところが今回のように、自党に不利な状況になれば、一点「ダンマリ」を決め込む。こんなアンフェアーなことはありません。与党も国会では「査問委員会」を除いて、制度的な追求の場もないことから、なかなか追い込めません。

 このように政権与党と野党の間には、審議に於いて大きな格差があり、それがひいては野党の退廃化を招き、国会の質を下げる結果ともなっています。与野党の区別無く、議員が起こした問題をお互いに議論する場が必要でしょう。第3者に入ってもらう手もあります。

 そうしたことで議員の質を上げていかなければ、日本はよくならないでしょう。なぜなら国民の手本となるべき国会議員の体たらくは、国民の目に常に映り、政治不信を助長するなどマイナスの影響を与えているからです。悪いことは悪いと、けじめをつけることが議員にも必要です。

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2023年4月11日 (火)

中国の若者の「空前の就職難」で日本に留学生が押し寄せる 中にはスパイが潜み日本の「経済安保の危機」を招く 

5_20230410103501  前回「スパイ防止法」の制定を急ぐ必要性を記述しましたが、今回もそれに関連して述べていきます。中国では経済がピークアウトし、今後は右肩下がりの状況に落ち込むことが予想されます。約30年前の日本と同様な「失われた○○年」の始まりです。

 その兆候の一つが若者の就職難。日本も「就職氷河期」という呼称がはやりましたが、それと同様の現象が中国でも起こっています。その影響が意外なところに。国際ジャーナリストの山田敏弘氏がJBpressに寄稿した記事が、その詳細を物語っています。タイトルは『中国「空前の就職難」がもうすぐ日本の「経済安保の危機」を招く 日本に中国人留学生が押し寄せるのは必定、それに伴い増加するスパイ』(4/07公開)で、以下に引用します。

 いま中国で、学生の就職難が大きな社会問題になっている。

 2023年、中国では1158万人が大学を卒業し、史上最も厳しいと言われる就職難に直面している。大学卒業生は昨年と比べると7.6%も増加しており、就職を求める学生が市場に溢れるのは必至だ。

 中国の統計を見れば、2022年の時点ですでに大学卒業生の就職率は極めて低いことがわかる。文系学生の就職率はなんと12.4%と極めて低水準だし、理系でも理学系が29.5%、エンジニア系が17.3%となっている。2023年にはこの数がさらに低くなるとみられているのだ。

 中国のSNSでは就職できない学生らの悲痛な声で溢れており、大きな社会問題になりつつある。

締め付けが厳しい米国を避け、中国人留学生の目は日本へ

 国内で就職にあぶれると外国に活路を見出そうとする学生も増える。これは中国からの留学生が多い日本にとっても決して無関係ではない。

 筆者は中国人の知り合いも少なくないが、日本に留学しているある中国人大学院生に話を聞くと、「中国では景気の低迷による就職難で海外留学したい人が非常に多くなっている」という。しかも、これまで人気が高かったアメリカに留学したい人は激減しているのだそうだ。その理由は、トランプ政権以降、スパイ対策などで中国人留学生への締め付けが厳しくなったからだ。

 この大学院生いわく、「今ではアメリカに留学する人は二流だとみられます。優秀な学生は多くが日本への留学を希望している」という。

留学生受け入れに前のめりな岸田政権

 それに呼応するかのように、日本政府も海外からの留学生を積極的に受け入れる政策を発表したばかりだ。

 岸田文雄首相は3月に行われた「教育未来創造会議」で、新しい資本主義を実現するためには、人への投資を一層進めることが重要だ」と述べ、外国人留学生の受け入れを年間40万人規模にする計画を明らかにした。

 こうした流れを見ると、すでに日本への留学生の数でトップである中国からの留学生が増加するのは間違いないだろう。

 だがこの「中国人留学生の増加」は、日本にとって経済も含めた安全保障上の脅威となる可能性があるとの指摘もある。

 教育関連機関で、学生や研究者への奨学金に関わる業務に従事している知人によれば、「日本政府の奨学金を得ているのは、中国人が少なくない。例えば、ある学生を対象にした関東の国立大学の奨学金制度も10%ほどは中国系が獲得している」という。

 また別の教育機関職員は、「中国人留学生はいわゆる『海亀族』となって日本の技術を持ち帰ってしまうと耳にしますが、いまだに日本の大学では警戒感は薄い」と顔をしかめる。

中国人は海外にいても中国政府の情報活動に協力する「義務」が

 日本の大学で身に付けた知識や技術を母国に持ち帰るのは致し方ないとしても、これが積極的なスパイ活動に発展すると話は変わってくる。

 元外事警察関係者は、「中国共産党や政府機関は、中国人留学生に対して、お小遣い程度の謝礼を払ったり、中国国内に残る家族の社会保障などで優遇すると約束するなどしてスパイ行為をさせる」と言う。

「そうした条件で情報を盗み出すなどのスパイ工作をお願いされて断る学生などはほとんどいない」(元外事警察関係者)。

 前出の大学院生にこうした話について聞くと、「実家にいる家族は留学費用を出してくれているので悲しませるわけにはいかないと思う留学生は多い。拒否して中国政府相手に目をつけられたくないから、協力してしまう」と話した。中国共産党という強権的な監視の目が国外にいる中国人にもプレッシャーを与えているということだろう。

 さらに留学生の中には日本に残って就職を希望する者も少なくない。そして留学生が社会人になっても、母国から協力要請はやってくる。

「中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)の関連機関や在日中国大使館の関連機関などが留学生や元留学生を把握しており、必要に応じてスパイ工作への協力を持ちかける」(元外事警察関係者)。

 例えば、2021年12月に大阪府の私立大学を卒業した元留学生について、人民解放軍のサイバー攻撃部隊である61419部隊の関係者からの要請で日本に対するハッキングによるサイバースパイ工作に協力したとして警視庁が逮捕状を取ったことがニュースになった。

 この元留学生は、人民解放軍関係者からスパイ行為をするよう要請され、それに応じていた。といのも、中国には国家情報法という法律があり、中国人や中国企業は情報機関などの協力要請に応じる「義務」があるからだ。

スマート農業の情報を流出させた中国人も中国共産党員で人民解放軍と接点

 中国はまだまだ日本の技術を狙っている。共同通信が「国内の電子機器メーカーに勤務していた技術者の中国人男性が昨年、ITを活用したスマート農業の情報を不正に持ち出したとして、警察当局が不正競争防止法違反容疑で捜査していたことが2日、捜査関係者への取材で分かった」と報じている。この中国人男性は元留学生ではないが、人民解放軍とも接点がある中国共産党員だった。

 実は先に触れた「教育未来創造会議」が4月4日に行ったワーキンググループでは、外国人留学生の国内就職率を現在の48%から、2033年までに60%を目指すと提言している。外国人留学生はますます日本国内で就職しやすくなる。それとともに、政府機関や国内企業は情報流出やサイバー攻撃のリスクが高まることになるだろう。

他国では中国人留学生に強い警戒心

 こうした問題は、何も日本特有のものではない。知人のイスラエル人セキュリティ関係者は以前、「イスラエルにも中国人留学生がいるが、彼らはある意味で中国政府に家族を人質に取られているようなもの。だから、セキュリティ関係者らは中国人留学生を警戒している」と述べていた。

 アメリカでは2018年から、FBIを監督する米司法省が、中国人ビジネスマンや留学生のスパイ行為を取り締まる「チャイナ・イニシアティブ」を立ち上げた。2021年になって、「中国を狙い撃ちにしている」という批判を受けて、その対象範囲を広げるようになったが、現在も中国人留学生などに対する警戒心は高い。

 そのため、ビザの審査時に、SNS(ソーシャルメディア)のアカウントを申告させたり調査することで、中国政府との関係も炙り出そうとしている。とにかく、アメリカでは徹底して中国人スパイの動向を監視しようとしている。

 これから中国人留学生と留学生の就職が増える可能性が高い日本も、ビザの審査は今以上に厳しくする必要があるだろう。さもないと、気がつけばビジネス分野や学術分野で知的財産や研究成果が盗まれてしまう可能性がある。

 近年、日本の公安関係機関の間でも中国人や企業に対する警戒は高まっている。今後は、スパイ防止法やセキュリティクリアランス制度など、経済安全保障の流れからの対策強化は不可欠なのである。

 この中国リスクを抑えるためにも、高市経済安全保障担当相が推し進めるSC(セキュリティクリアランス)法の、早期成立が望まれます。ところが「小西文書」問題や、奈良県知事選での平木候補の落選などに、親中派を中心とした高市氏を取り巻く反高市陣営が乗じる動きもあり、順調に進んでいないようです。更にはSC推進と共にスパイ防止法の制定にも言及して、中国に厳しい意見を持つ高市氏です。中国が潰すために裏で動いているのは間違いないでしょう。

 何しろ日本は前回述べたように、性善説を信じるお人好し民族ですから、外交においても相手がどうであれ、隣国と仲良くと言う主張が通ったりします。中国にとってはまさに組みやすい「カモネギ」日本です。

 だがそれでは駄目に決まっています。中国につけ入れられないように、きちんとガードを固める必要があります。そのために、留学生への規制強化と共に、スパイ防止法やSC法などの成立を急がねばなりません。

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2023年4月10日 (月)

長谷川幸洋氏:中国で拘束の邦人奪還へ「スパイ防止法」急げ お願い外交ではダメ「人質交換」が世界の現実

Images-8_20230409144801  今月初めに、日中外相会談の状況を取り上げましたが、拘束された日本人の解放には何も進展がありませんでした。多くの国では他国に拘束された国民を救出する手段として、自国にも同様に拘束した人間との交換をする例がありますが、日本ではスパイ防止法がなく、そうした行為をした外国人を法的に取り締まるのが困難なため、その手段は使えません。

 何故スパイ防止法が日本では立法化されないのか、以前にも記述しましたが、「憲法」盾に猛反対勢力がいるからです。それはさておき、中国当局が日本人(アステラス製薬幹部社員)を拘束した事件に関して、ジャーナリストの長谷川幸洋氏がzakzakに寄稿した記事を紹介します。タイトルは『今回も中国で拘束の邦人奪還へ「スパイ防止法」急げ 親中派・林外相の訪中に西村経産相の英断 お願い外交ではダメ「人質交換」が世界の現実』(4/08公開)で、以下に引用します。

林外相(左)は笑顔を見せて、中国の李強首相と会談した。邦人奪還のために乗り込んだのではないのか。

***********

中国当局に、大手製薬会社「アステラス製薬」の中国現地法人幹部が「スパイ容疑」で拘束されたことを受け、日本の「外交」や「危機管理」の課題が浮上している。日中は国交回復以降、経済・友好関係を拡大させてきたが、中国が専制主義的色彩を強めるなかで齟齬(そご)が目立ち始めている。むき出しの利害が衝突する外交の現場では、交渉の武器となる軍事力や対外情報機関の裏付けも不可欠なのだ。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、拘束された邦人を奪還するためにも、「スパイ防止法の制定」を訴えた。

中国が拘束した日本人を取り戻すのに、日本の外務省はどれほど頼りになるのか。ご家族には誠に気の毒だが、私はまったく期待していない。そもそも、彼らには戦う武器も取引材料もないからだ。

日本は「スパイ防止法の制定」を急ぐ必要がある。いざというときの「人質交換」に備えるためだ。

私は当初から、「今回の事件は仕組まれていた」とみている。中国は、日本が下手に出ざるを得なくなるように拘束した。例えば、「日本が対中半導体規制で手加減する」といった手土産を期待していたのだ。

先週のコラムにそう書いたら、経産省は林芳正外相訪中の前日(3月31日)になって、「先端半導体装置の輸出を許可制にする」と発表した。これには、驚いた。林訪中の先手を打って、経産省が既成事実をつくったかたちになったからだ。

米国は昨年11月以来、半導体規制で対中包囲網をつくるために、日本とオランダに同調を求めてきた。ところが、日蘭はなかなか動かず、一部では、「同調しても発表しない」といった観測記事も流れていた。

ところが、オランダは3月8日に規制強化を発表した。日本は沈黙を守っていたが、外相訪中の直前に突然、動いた。タイミングからみて、訪中する林氏と中国を牽制(けんせい)したとみて間違いない。「林外相が中国に甘い顔を見せたりしたら、大変だ」とみたのだろう。

オランダには後れをとったが、毅然(きぜん)と筋を通した西村康稔経産相には、拍手を送りたい。「親中派」の外相にフリーハンドを与えていたら、どれほど中国に追い込まれていたことか。林氏は結局、手ぶらで帰国せざるを得なかった。

■「人質交換」が世界の現実だ

中国はあきらめず、追撃してきた。

4月5日付の読売新聞によれば、中国は圧倒的な強みを持つ「磁石技術を禁輸する方向で検討」という。「半導体の仇(かたき)を磁石で討つ」という話である。一連の展開をみれば、中国がいかに半導体規制を恐れていたか、が分かる。

ロシアは最近、米紙ウォールストリート・ジャーナルの米国人記者を拘束した。中国やロシアのような独裁・専制主義国家はいまや、なりふり構わず、外国人を拘束している。こうした動きは今後、加速はしても、止まることはない。

では、どうするか。

米国は昨年、ロシアに拘束された元海兵隊員と女子プロバスケットボール選手を取り戻すために、密輸などの罪で収監していたロシア人2人を解放した。カナダも2021年、拘束していた中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を、米国と同意のうえで解放する代わりに、拘束されていたカナダ人2人を奪還した。事実上の「人質交換」だ。これが世界の現実である。

残念ながら、日本は人質交換しようにも、拘束している大物がいない。スパイ防止法がなく、当局が摘発に非常な苦労を強いられているからだ。ようやく事情聴取しても、直後に帰国されてしまう例もある。

誤解のないよう書いておくが、「人質が必要だから法律をつくれ」というのではない。法律があれば、日本で勝手に不法な警察活動をしているような中国人を取り締まれる。そうなれば、いざというとき、役に立つかもしれないだろう。

徒手空拳のお願い外交だけでは、ナメられるだけだ。

 日本人はお人好しであり、性善説に基づいて物事を考える傾向があります。これは日本人同士には、良好なコミュニケーションを図るためにも、非常に有効です。「和を以て貴しとなす」民族です。

 しかし国益を争う多国間の交渉の場では、冷徹な論理や正確な数字に裏付けされた「交渉力」と、経済力や軍事力などを背景とした「力」が無ければなりません。日本外交には、それが決定的に欠けています。

 そして法体系にもその日本人的発想が影響されています。日本人が作った憲法ではありませんが、その憲法の「人権」や「権利」がことさら強調され、「スパイ防止法」のような法律制定に対しては、それが反対勢力の錦の御旗となっていて、成立が困難になっています。

 日本人も「個人間の付き合い」と「外交」とを、明確に切り分けて考える必要があります。「何でも外交で解決」など出来ないし、権威主義国家には「友好」など通用しないことなど、いい加減に認識すべきでしょう。尖閣周辺海域や北方領土周辺を相手国から威嚇されても、抑止力向上を退け、「外交」至上主義を訴える人は、一度中国、ロシアのような国と交渉してみたらいいでしょう。

 先進国の殆どが施行している「スパイ防止法」は、邦人拘束のような異常事態の「外交」には不可欠と思われます。それでなくてもスパイ天国と言われて、先端技術をはじめ情報をかすめ取られている日本。その状況の打破を真剣に考えなくてはなりません。 岸田政権も対中、対露姿勢を明確にしている今、「スパイ防止法」の制定に向け、是非力を入れるべきでしょう。

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2023年4月 9日 (日)

伊東博敏氏:熱海土石流、リニア、太陽光……静岡・川勝平太知事への反発はなぜ強まり続けるのか

Images-7_20230408105301  静岡県の川勝平太知事は様々な面で物議を醸す、所謂親中反日の代表的人物です。特に国家プロジェクトとも言うべき、リニア新幹線への、こじつけとも思われる理由をもっての反対姿勢は、もはや「異常」というところでしょう。

 それ以外にも問題行動の多いこの知事について、ジャーナリストの伊東博敏氏が、現代ビジネスに寄稿した記事に、詳細が述べられています。タイトルは『熱海土石流、リニア、太陽光……静岡・川勝平太知事への反発はなぜ強まり続けるのか』で、以下に引用します。

土石流の原因は本当に地下水だったのか?

リニア中央新幹線の「建設意義」については賛否両論があろう。しかし「(工事で発生する)湧水全量を戻せ」と工事を完全に止めている川勝平太静岡県知事の頑なな姿勢については、疑問視する声が少なくない。4月9日から本格化する統一地方選を前に、「反川勝」の動きが続々と出始めた静岡県内の動きを追った──。

「(静岡)県の原因調査報告書では、『土石流の原因は地下水』ということになっていますが、これは明らかにおかしい。『表流水』のことが無視されている。その誤りを伝えるにはどうすればいいかということで、この本を作ったんです」

こう語るのは、災害発生当初から「表流水説」を唱えていた工学博士の塩坂郁雄氏である。塩坂氏は、「熱海市盛り土流出事故被害者の会」で技術顧問を務める清水浩氏と共同で『TRUTH 熱海土石流の真実』(白順社)を上梓した。発言は、出版を記念して3月31日、熱海の「起雲閣」で開かれた講演会でのもの。被災者や被害者家族をはじめ多くの市民が集まった。

住宅150戸が倒壊し、28名もの人命が奪われた熱海土石流災害から1年2ヵ月が経過した2022年9月、静岡県は「記録的な大雨で大量の地下水が集まり、盛り土内の水圧が高まることで土が柔らかくなる現象が起きて崩落が発生した」とする最終報告書を発表した。

『TRUTH』は真っ向から異を唱えるもの。ただ、塩坂氏は「反行政」を立ち位置にする人ではない。川勝知事の信頼も厚く、リニア中央新幹線地質構造・地下水部会で委員を務め、「反リニア」の立場を鮮明にする川勝知事を学者の知見でサポートする。「JR東海は南アルプスの地質構造や断層の考え方がまったくわかっていない」と発言、JR東海をきりきり舞いさせてきた。

塩坂氏は、「川勝県政批判に回ったのか」という筆者の質問に、「学者として正しいと思っていることを述べているだけ」と、ポジショントークではないことを強調した。

共著者の清水氏は土木設計エンジニアとして道路、河川、造成設計を専門としており、2人の専門家の手による『TRUTH』は専門用語や数字が多く、読みやすい書物ではない。だが、伝えたいメッセージは明確で、意欲は十分に感じられる。

それは序章に記載された塩坂氏の次の言葉に集約されよう。

〈結論的には、地下水説にこだわり表流水について検討しない県の検討委員会の姿勢は、「木を見て森を見ない」広域的な視点が欠けていたと言わざる得ません〉

県の結論が「天災」に流れた本当の理由

ではなぜ、県は広域的な視点を欠いたのか。

それに対して、東日本大震災の発生直後から被災地を支援し続けた清水氏は、点群データ解析、設計照査、行政手続きを検証した結果として、特に行政対応の問題点をあげる。宅地造成、土砂取り、森林法、太陽光発電施設、緊急伐採といった申請などに対し、「業者が巧みに法の目をかいくぐった」のではなく、「行政が業者の違法な造成を見逃していたのではないか」と指摘する。

例えばそれが、宅地造成された鳴沢川流域の造成地からの表流水が、土石流発生の逢初川流域に流れ込んだ原因のひとつに加えられるし、現所有者が行った太陽光発電所建設による盛り土疑惑にもつながる。清水氏は、こう指摘している。

〈強引で理不尽な地下水説は予見可能性を否定する意味合いを持つが、これが裁判対策の一環で行われた行為なら、悪質と言わざるを得ない〉

雨水が鳴沢川流域から分水嶺を超え、盛り土周辺に通常の6倍もの水が集まったことを主因とするという「塩坂見解」は、発生直後に現場を視察して導かれていた。だが、災害を担当した難波喬司副知事(22年5月まで。以降、同年11月まで理事)は、即座に否定した。

「崩落のメカニズムはわかった。流域面積に6倍もの水が集まることはない。太陽光発電施設も関係ない」と、発生から6日後、7月9日の記者会見で述べた。名古屋大学大学院で土木工学を専攻し、国土交通省技術総括審議官を経て副知事となった難波氏の見解に異論を挟む記者はおらず、難波氏が報道をリードしたし「難波説」が県の公式見解となった。それが最終報告書での「地下水説」を誘引し、「人災」ではなく「天災」の色合いを濃くした。

『TRUTH』はそれを否定するが、県の結論が「天災」に流れたのは「川勝知事の意向を忖度したもの」(県政界関係者)という指摘がある。

「静岡文化芸術大学学長などを経て知事となった川勝氏は、『命の水を守る』を合言葉にリニア中央新幹線の工事をストップさせ、県民の支持を集めて4選(21年6月)を果たしました。人気はありますが独断専横が目立ち、職員は知事の顔色をうかがってビクビクしています。リニア反対だってJR東海が理詰めで工事再開を求めているのに聞く耳を持たず、もはや反対のための反対。熱海においても、難波副知事は県政に責任があるような結論は出せなかったんでしょう」(同)

理解できないダブルスタンダード

県の最終報告書に異論を述べているのは2人の専門家だけではない。今年2月、県議会特別委員会は「検証は十分ではなく再検証すべき」という報告書をまとめ川勝知事に提言した。しかし知事は、3月28日、「検証し直すには至らない」という結論を出した。

こうした川勝知事の姿勢に批判の声が高くなっているのは事実だ。

静岡県では4月9日日曜日、静岡県議会議員選挙と政令指定都市の静岡、浜松両市の市長選挙が行われる。92名が立候補した県議選の焦点は、川勝知事と距離を置く自民党会派を中心に、法的拘束力を伴う不信任決議案の可決に必要な51議席に届くかどうかだ。

また、もっと注目されているのは静岡市長選に川勝氏の側近だった難波氏が立候補していること。それもリニア推進派として与野党相乗りで支持を受けている。

3月12日の政策発表会見で難波氏はこう述べた。

「市や県のトップとして、リニア事業について個人の価値判断で行政判断を歪めてはダメで、行政判断はリニア事業の推進に協力すべきです」

「トンネル湧水全量の戻し方の解決策が示されていない」として、南アルプストンネル工事を認めなかった元リニア担当副知事の言葉とも思えないが、その時は知事の意向に従う行政マンとしての務めを果たしたのだろう。

さらに、リニア中央新幹線工事において静岡県外に流出する水を戻すJR東海が示した「田代ダム取水抑制案」は、3月27日の段階で大井川流域の市長などで構成される大井川利水関係協議会がほぼ全員が了承し、「待った」をかけているのは県だけになった。

では「命の水」を大切にする川勝知事の姿勢に共感していた環境団体はどうか。これについても川勝知事の姿勢に反発する声が高くなっている。

県東部の函南町で行われている大規模太陽光発電所建設計画を巡り、反対運動を行っている全国再エネ問題連絡会共同代表の山口雅之氏が、こう不信を露わにする。

「(函南町の)町議全員が賛同した『林地開発許可の取り消しを求める請願』は、昨年末、県議会でも全会一致で採択されました。しかし川勝知事は『許可の取り消しには至らない』と請願に応じません。リニアは止めて、熱海の被災地に近接し、同じ不安を抱える太陽光は推進させる。理解できないダブルスタンダードです」

結局、川勝知事は自分が一度、決めたことを覆さない。それが「命の水」を理由にしたリニアであり、熱海の「地下水説」であり、函南の太陽光発電所である。無謬であろうとする「学者知事」らしいこだわりが、各所に軋みを生じさせている。

 このブログでも川勝知事のニア反対行動について、ジャーナリストの小林一哉氏のコラムを、2回にわたって取り上げましたが、なんとその理由に挙げた大井川の「水」の問題を、川は違いますが熱海の土石流では人災の隠蔽の為に無視しようとしているのです。

 その「水」の出所が、塩坂氏の指摘にあるように、大規模な宅地造成や太陽光発電施設の設置などが要因となれば、これはその開発を容認した県が起こした、人災と言ってもいいでしょう。

 土石流では開発による「水」を否定し、リニアでは「水」を殊更重要視してみせる川勝知事に対し、そのダブスタに多くの関係者が批判をし始めたのは当然だと思います。

 神奈川と愛知に挟まれた静岡県、ともすれば埋没しそうな県の存在感を上げるためかも知れませんが、リニア問題に代表されるこうしたパフォーマンスは願い下げです。更には多くの人の命を奪った熱海の土石流の人災を、天災として隠蔽しようとする姿勢は為政者としては許されないでしょう。こうした川勝知事は次期知事選では不出馬を期待せざるを得ません。

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2023年4月 8日 (土)

日本在住の外国人経営者が指摘する、日本の農業の問題点 今のままでは少子化のうねりの中で壊滅してしまう

Images-6_20230407164901  日本の農業はそれぞれの農地が非常に狭く、収益性が低いのと、その所為も含めて後継者不足が足枷となり、国の安全保障の根幹となる3大要素のひとつ、食料安全保障に赤信号をともす結果となっています。

 その大きな要因は農地の集約化とそれを支える大規模経営化が進んでいないことでしょう。それには農林族、農水省、JAによる利益誘導トライアングルの存在があります。彼等が農業の発展を阻害してきたからです。

 このブログでも何度か農業の問題を取り上げましたが、今回は小西美術工藝社社長のD・アトキンソン氏が月刊hanadaに寄稿した記事に焦点を当てます。タイトルは『農業復活の鍵は耕地面積の集約』で、以下に引用して掲載します。

日本は「農業後進国」

最近、食料不足対策として、栄養豊富で効率よく生産できる食用コオロギが世界的に注目されており、国内でも粉末化して食品への利用が進められています。 徳島県のある県立高校では、食用コオロギの粉末を使って調理実習を行い、希望者が試食。ネット上で「子どもにゲテモノを食わすな」などと批判が上がり、高校にクレームが殺到。コオロギ食の是非について、議論が紛糾しました。

私自身は、コオロギ食に必ずしも反対ではありませんが、食料安全保障を考えるならば、もっと先に目を向けるべきものがある。

農業です。

あとを継ぐ人がいないため、日本では放置される農地が毎年増加しています。政治家は、業界団体の旧体制を守ることだけしか考えておらず、農業は一向に成長していきません。私が本でそう書いたら、一部から「日本は農業大国だ」などと反論がきた。

「実際に、一戸あたりの経営耕地面積(農林業経営体が経営する耕地の面積)はどれくらいあるのだろう」

ふとそう思って調べてみたら、驚愕しました。日本は農業大国どころか、「農業後進国」レベルの耕地面積しかなかったからです。

具体的に数字を見てみましょう。

全国一戸あたりの経営耕地面積は3.2ヘクタールですが、北海道の平均が20.5ヘクタールで、平均をグンと押し上げています。北海道を除いた都府県で見ると、平均は1.4ヘクタール。これが大きいのか小さいのか、感覚的にわからなかったので、国際比較してみると、日本は先進24ヵ国中、下から2番目でした

国別で見ると、イギリスは70.86、フランスは45.04ヘクタール、農業大国とはいえ国土が日本の約9分の1しかないデンマークも49.78へクタールあります。欧州の平均を見ると39.4へクタールで、日本の10倍です。一方、日本と同じくらいの耕地面積は、ミャンマー、インド、フィリピン、パキスタンと、みんな発展途上国でした。

それほど、日本の戸あたりの経営耕地面積は小さいのです。

多くの農家が趣味レベル

耕地面積が小さいと何が問題なのかといえば、生産性が上がらなくなるからです。

たとえば、かつて、8時間かかっていた農作業が、機械化によって2時間で終わるようになったとします。耕地面積が4倍あれば、これまでと同じ作業時間で生産性が4倍になる。しかし、耕地面積が狭いと、機械化して2時間で終わらせても、それ以上やれることがない。生産性は上がらないところか、機械化したコストの分だけマイナスです。

つまり、耕地面積が狭ければ狭いほど、どんなに機械化し、効率を高めようとも、生産性に限界がある。どんなに補助金を出しても、経済合理性を高められません。 生産性が上がらないと得られる所得は低迷して、若い人は農業を選ばなくなります。

これは、中小企業問題とまったく同じ構造です。一つひとつの会社が小規模だと、大きな投資をやったり輸出したりすることができず、生産性が上がらないのです。

食料安全保障の観点からも、経済成長の観点からも、私は農地を集約して、生産性の高い農業を目指すべきだと考えています。

しかし、農家自ら率先して農地を集約し、成長するような行動に出ることは期待できません。

いまの農業の基幹従事者の69.6%(41.4万人)が65歳以上の高齢者。高齢者でも農業が続けられるのは、面積が小さく作業量が少なくて済むからで、これからわざわざ面積を広くしようとは思わないでしょう。

おまけに、農家はそれほど稼がなくても餓死する心配がありません。農作物は自分たちでつくっているし、家も代々の持ち家で家賃もかからないから、必要最低限の作物を育てて売ればいいと考えている。多くの農家は、稼業ではなく、趣味レベルで農業をやっているといいます。

集約が進まない理由

そもそも、なぜここまで農地は細切れにされているのか。

それには戦後、GHQによる農地改革が関係しています。GHQは、農地を所有しながら自らは耕作をしない地主と、土地を借りる代わりに農作物の大半を地主に納める小作農との格差を縮めようと、一世帯が所有できる農地を家族が自ら耕作できる面積に制限。政府は地主から小作地を強制的に買い取り、小作人に売わたしました。

結局、これがいまの小さな農業につながっているのです。

41.4万人もの高齢者の農地(平均耕地面積3.2ヘクタール)がこのまま引き継がれなかったとしたら、132万ヘクタールもの農地が遊休農地になります。

繰り返しますが、小さい面積ではどんなに努力しても売り上げに限界がありますから、よほど情熱のある若者でなければ、農地を受け継いで農業をしようと思わないでしょう。

日本は太陽の陽もたくさんそそぎ、雨もよく降る。農業に適した気候で、真面目に取り組めば農業大国になれるポテンシャルを秘めています。日本のフルーツは訪日観光客からの評価も高く、海外需要も見込める。自分たちが最低限生活できる分だけなどと言わず、メガファーム化で大量生産、輸出もして、どんどん成長していけばいい。

そのために、農地の集約は必須。政府が率先して農地を買い取り、集約して、農業をやりたい若者に売るなど、新たな農地改革をやるべきです。

農業政策において保守的な欧州も昔から集約化を進めており、1980年~2000年の間に、平均耕地面積が30.9ヘクタールから43.3ヘクタールに拡大しています。

結局、日本で集約が進まないのは、農協など「現状維持」をしたい人々が反対しているからです。

農協としては、小規模農家の会員がたくさんいたほうが影響力を保てる。実際に、農業の企業参入に反対したり、大きく成長した農家は、会員からはずしたりしています。

農地を貸したい人から借り受け、必要とする農家に転貸する「農地バンク」という公的事業もありますが、あまり普及していません。 先述したように、農家自身が農地を拡大したい、成長したいと思っていないからでしょう。

意欲ある若い世代が農業に参入してくれればいいですが、農家になるための条件や申請書類のハードルが高いことに加え、農家になったとしても、農協からは条件の悪い土地しか紹介してもらえないという話もあります。

補助金は衰退を促進する

補助金などの優遇政策で保護されてきた点でも、農業と中小企業は似ています。 2015年の経済協力開発機構(OECD)の報告書では、日本の農家収入の約半分を公的補助金などが占め、この割合はOECD加盟国平均の二倍以上だと指摘。

農家の収入の半分を税金で補うことに、いったいどんな経済合理性があるのか。疑問を抱かざるを得ません。

中小企業政策でも、間違った補助金が見られます。「中小企業は弱いから守らないといけない」と、成長を促進するための補助ではなくて、現状維持させるための補助金が多い。

農業も、1ヘクタール程度では発属性がないのに、現状維持させるために補助金を出す。これでは、いつまでたっても農業は改善しません。人口減少の下、若い人はこの発展性のない制度の犠牲者になりたくないから、あとを継ぐ人はいなくなる。

結果として、現状維持の補助政策はその業界の衰退を促進するだけに終わります。

アメリカは合理的で、逆に大規模な農業を行うメガファームをメインに、補助金を出しています。 約202万の農場のうち98%は個人事業で、大型農場は3%しかありません。この十年間、平均して年2.1兆円もの補助金の大部分が、上位3%の農家に充てられているのです。

しかも、補助金の申請はかなり複雑で、個人事業主ではほとんど手に負えません。アメリカ政府に近い知人に、複雑にしている理由を訊いたら、わざと複雑にしていると言っていました。申請のプロフェッショナルを雇えないような農家は、そもそも申請すらできないようになっているのです。

日本も、もう小規模農家への優遇策はやめるべきでしょう。

こう言うと、「弱者切り捨てだ」と反論がくるかもしれませんが、小さなところを守ることで、食料安全保障が脅かされ、経済成長も阻害しています。日本人全体が割を食っているのです。

悪循環を断ち切れ

中小企業問題で、私は連携や合併企業数を集約していかなければならないと主張すると、「潰せというのか!」「淘汰論者め!」「日本では集約はできない」と批判されましたが、農業の問題についてツイッター」に書いたら、同じような批判がきました。

「日本は平地が少ないから、集約は「無理」。

日本ではよく見られるゼロか百の極端な議論です。

4_20230407165201 日本の農地のほとんどが平地以外にある事実もなければ、耕地面積を集約できない事実もありません。実際、日本の30ヘクタール以上の経営耕地面積は、2010年の26.2%から2020年には36.3%まで上がっています。

ただ、もともと大きな耕地を持っている農家の話なので、小規模農家の集約も加速させていかなければいけない。

私はなにも、1.4ヘクタールの平均耕地面積を一気に50ヘクタールにしろと言っているわけではありません。1.4ヘクタールを2ヘクタールに、2ヘクタールを2.5ヘクタルに...と少しずつでも集約していこうと言っているのです。

「農家は淘汰されるべきだというのか」という批判もありますが、そんな話をしているのではありません。

別に廃業せずとも、農地の集約は可能です。先述したように、政府が農地を買い上げて集約、意欲ある若者に売るというのがベストですが、所有者が違う隣接する二つの農地があったとしたら、たとえば企業が間に入って、二つの農地を一括管理。農家にも働いてもらい、毎月、給料を支払う。農家に企業の「社員」になってもらうイメージです。

企業は社員の給料を支払わなければならず、「必要最低限」などと言っていられませんから、生産性の高い農業をせざるを得なくなる。

集約のやり方はいろいろあるのです。

農家や農協はいまのままでも困らないでしょうが、日本全体では話が違います。

これから日本は未曾有の少子高齢化社会に突入します。これまでの社会保障などインフラを維持するためには、生産性を高め、経済成長していかなければいけません。しかし、中小企業問題が象徴するように、小規模なものが多すぎることで、日本の成長は阻害されています。

私は別に、小規模の農家を営んでいる人を批判しているわけではありません。ただ、成長性、発展性がないのに、補助金を出すなど優遇するのは経済合理性がなく、おかしいと言っているだけです。

日本では、経済合理性がない分、補助金を出して補填する、補助を受けた側は補助金があるから経済合理性を追求しない、という悪循環がよく見られます。この悪循環が続けられたのも、人口増加ボーナスによる経済成長があったから。少子高齢化社会に突入するこれからの時代は、そうはいきません。

この考え方を批判する人に訊きたい。大半の農家は高齢者で、若い人は農業を選ばない、耕地面積はどんどん減っていく、補助金を出しても中身がよくなっていない、農業をやっている人の所得は十分ではない、食料自給率は悪化の一途…この現状の何がいいのですか、と。

経済成長できないままこの悪循環を続ければ、守ろうとしていた「弱者」もろとも、日本は滅びるでしょう。

 D・アトキンソン氏はイギリス生まれで、オックスフォード大学を卒業後、いくつかの会社を経て、1992年ゴールドマン・サックス社に入社、その後2009年に日本の小西美術工藝社に入社し現在社長である、日本在住の外国人経営者です。

 その彼が経営者の視点から、日本の農業の問題点を鋭く突いて、改善の提案をしています。日本人にも同様の視点を持つ人もいて、指摘もしているのでしょうが、何しろ冒頭述べたように、農林族の政治家と農水省の官僚、そして小規模農家の会員によって構成されているJAの、補助金と票の強い結びつきが、改善の目を潰してきたのが戦後の日本農業の実態でしょう。

 しかしアトキンソン氏の言うように、今のままでは、少子化の大きな波の中で、後継者はいなくなり、明日の農業は壊滅状態になってしまうでしょう。収益力の高い農業を目指し、新たな雇用を創出していくことが、必要不可欠です。そのためには、経済合理性を生かせる規模の拡大化と同時に、大規模農地は必要としないが、高付加価値を生み出す農作物の、先端農業技術の開発促進が待ったなしだと思います。

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2023年4月 7日 (金)

「カネがない男は結婚できない」超高額結納金に苛まれる中国結婚絶望事情 風習と経済状況が人口減少を加速する

1_20230402161101  岸田政権の「異次元の少子化対策」が始動した日本。ただ少子化の大きな要因である未婚率の改善は、何故かその対策の中には含まれていないようです。その未婚率が重要課題になっているのが、同様に少子化への道をひた走る中国です。

 その要因を中国鑑測家で中央大学政策文化総合研究所客員研究員の北村豊氏が、現代ビジネスに寄稿した記事に見てみましょう。タイトルは『「カネがない男は結婚できない」超高額結納金に苛まれる中国結婚絶望事情 風習と経済状況が人口減少を加速する』(3/30公開)で、以下に引用します。

驚愕の結納金要求

中国語で結納の金品を「彩礼」と呼ぶ。今年1月に「上海厳公子(上海の厳若様)」(以下「厳さん」)と名乗るネットユーザーがソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のサイト『知乎』の掲示板に書き込んだ「彩礼」にまつわる話が注目されて大きな話題となった。

厳さんの前カノは江西省の出身であった。彼ら2人は海外留学先の大学で知り合った同級生で、3年以上にわたって同棲生活を過ごした仲、互いに将来の結婚を考えていた。大学卒業後に2人は一緒に帰国し、厳さんは故郷である上海市の実家へ戻り、彼女は上海市の戸籍を取得して同じく上海市内に住んだ。

彼女はたびたび実家暮らしの厳さんの所を訪れていたから、彼の両親は彼女と顔なじみになり、彼女を決して美人じゃないけど、礼儀正しく教養もあると気に入ってくれていた。

こうした経緯で厳さんは彼女が彼の実家の状況を理解してくれているものと考えた。そこで、そろそろ結婚の潮時かと考えた厳さんは、彼女と結婚することを前提に「聘金(結納金)」の額を胸算用で弾いてみた。

彼の両親は共に上場企業の高級管理職なので、彼の家庭の条件が悪いはずはない。彼女側に100万元(約2000万円)の現金を贈り、これに加えて上海市内の中心部に夫婦2人用の住宅を購入、さらには江西省にある彼女の実家付近にも彼女名義で住宅を購入することも厭わないし、婚礼費用の負担も問題ないという腹積もりであった。

しかしながら、いざ彼女の両親に結婚の許可を求めたところ、彼女の両親から提示された条件は次のような驚くべき内容だった。

  1. 結納金として1888万人民元(約3億7760万円)を支払う。<「1888」というのは同音異義語の「要発発発」を指し、「発財(金儲け)」を意味する縁起の良い数字>
  2. 上海市内に4500万人民元(約9億円)の住宅を購入して、その名義を娘とする。
  3. 江西省の実家の近くに数百万元の住宅を購入して名義を娘とする。この住宅は娘が里帰りした際の滞在用に使う。
  4. 結婚式に参列する娘側の親戚・友人100人以上全員に1人当たり10万元(約200万円)の「紅包(祝儀)」を配るのと同時に飛行機の1等航空券を往復で手配する。
  5. 娘が子供を1人出産する毎に1000万元(約2億円)の現金と時価2000万元(約4億円)以上の不動産を娘に与える。

「江西省の結納には上限がない」

「江西彩礼上不封頂(江西省の結納には上限がない)」とは世間で良く聞く言葉である。しかし、上記1~4を合計すると少なくとも8000万元(約16億円)となる訳で、いくら何でも女性側の条件は常識からかけ離れた内容であり、たとえ裕福な厳さん一家でも到底承服できない内容であった。

ちなみに、2022年9月に中国のネットサイト「小楽聞界」に掲載された『2022年最新全国各地彩礼排行榜(最新全国各地結納ランキング)』には、「彩礼(結納)」金額(但し、車や住宅は含まず)の全国最高は江西省で38万元(約760万円)であり、それに続くのが福建省の30万元(約600万円)、浙江省の25万元(約500万円)、江蘇省と遼寧省の20万元(約400万円)であるとあった。なお、全国最低は西蔵(チベット)自治区の1万元(約20万円)であり、その上に北京市の3万元(約60万円)があり、さらにその上に広州市の4万元(約80万円)が続いた。

北京市や広州市の「彩礼」が低いのは都市部の大都市であることが理由の一つだが、そのために地場の住宅価格が極端に高く、さらに車や住宅を含めるならば、「彩礼」の合計額は跳ね上がるはずである。ちなみに、大都市である上海市の「彩礼」は18万元(約360万円)であり、これに車や高額な住宅の費用を含めれば、その合計額は江西省以上の金額に膨れ上がるだろう。

それはさておき、厳さん一家と女性一家の間では幾度か話し合いが持たれたが、最後まで合意に至ることはなかった。

女性の父親は海外留学までさせたたった一人の愛娘を嫁がせるのだから、婿側が多少の誠意を見せるのは当然であり、彼らの要求する結納の総額は厳さん一家が持つ財産の5分の1にも満たない程度で過分なものではないとして一歩も譲歩しなかった。この点については女性も父親と同意見であったことで、漸く本来の理性を取り戻した厳さんは女性との離別を決意し、最終的に彼女との結婚話はご破算になったのだった。

結婚は「高値の花」

2月初旬に中国のネットで報じられた「彩礼」に関連する話題をもう一つ紹介すると以下の通り。

四川省の少数民族である彜族(いぞく)の女性(19歳)は実家を離れて出稼ぎに出ていた。2023年の春節(旧正月)の元旦は1月22日であり、春節休暇は大晦日の1月21日から1月27日までの7日間だった。彼女は家族から実家へ里帰りするように強く求められていたので、春節休暇を利用して久しぶりに実家へ戻ったのだった。

実家へ戻った彼女を待ち受けていたのは予期せぬ「相親(見合い)」であった。彼女は親の命令で見知らぬ男と無理やり見合いをさせられ、何が何だか分からない間に嫁入りを迫られ、驚くことに見合いから3日目には無理やり結婚式を挙げさせられたのだった。

彼女に結婚する気は全く無かったが、父親が相手の男から30万元(約600万円)の「聘金(結納金)」を受領済みであったために否(いや)も応もなく嫁がざるを得なかったのであった。

彜族の習慣に従えば、女性側が「彩礼銭(結納金)」を受け取りながら、結婚しない或いは離婚するならば、女性側は男性側に賠償金を支払わねばならず、彼女に結婚を拒否する力はなかったのだった。嫌々ながら結婚式に臨む彼女の顔には沈鬱な空気が漂い、19歳の活気に満ち溢れた気配はどこにも無かったのだと言う。

中国には悪しき習俗としての「彩礼」が存続しているのが実情である。こうした傾向は農村部で顕著であり、「高価彩礼(高額な結納)」や「大操大辦(冠婚葬祭の儀式を盛大に行うこと)」を抑制すべく、2021年に中国政府は全国に32の「婚姻風俗改革実験区」を設置している。

中国政府はこれら実験区における抑制効果を見極めた上で、婚姻風俗改革の法制化を予定しているのだろうが、たとえ法制化したとしても中国国民がそれを素直に受け入れるとは思えない。

とにかく、高額な結納が中国の男性に結婚を思いとどまらせる最大要因であることは間違いのない事実である。

中国政府「国家統計局」が発表した2022年の中国国民一人当たり平均の年間可処分所得は3万6883元(約73万8000円)であり、その内訳は都市部住民が4万9283元(約98万6000円)、農村部住民が2万133元(約40万3000円)であった。この数字を見れば、独身男性にとって各地の「彩礼」がいかに高額か分かるはずであり、彼らにとって結婚が「高嶺の花」ではなく、「高値の花」であるかが理解できよう。

2_20230402161201 急落が続く中国の結婚率

さて、話は変わるが、2022年8月に中国政府「民政部」(日本の総務省に相当)が発表した『2021年民政事業発展統計公報』の「婚姻登記服務(結婚登録サービス)」の項目には、中国で登録された結婚と離婚の状況が次のように記載されていた。

2021年の法に基づく結婚届は764.3万組で、前年比6.1パーセント(%)減少した。婚姻率<人口千人当たりの婚姻件数>は5.4パーミル(‰)で、前年比0.4パーミル低下した。一方、法に基づき行われた「離婚手続」は283.9万組で、前年比34.6パーセント減少した。このうち、民政部門に離婚届を提出した離婚は214.1万組であり、裁判所の判決や調停による離婚は69.8万組であった。離婚率<人口千人当たりの離婚件数>は2.0パーミルで、前年比1.1パーミル低下した。

同項目に掲載されていた「2017~2021年の結婚率と離婚率」の表は以下の通り。

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この表1から分かるのは、2017~2021年の5年間で結婚率が7.7から5.4まで2.3パーミル低下し、離婚率が3.2から2.0まで1.2パーミル低下したことである。出生人口が年々減少している中国にとって、離婚率の低下は喜ばしいことに思えるが、結婚率の低下はさらなる出生人口の減少をもたらす要因と言えよう。

「女旱(ひで)り」では結納金高騰は当然

2020年11月1日を基準日として実施された「第7次人口普査(第7回国勢調査)」によれば、中国の総人口は14億978万人、その構成は男:7億2142万人、女:6億8836万人で男が女より3306万人多かった。これを女性にとって妊娠・出産が比較的容易と思われる20~39歳に限定した男女別人口構成を見ると表2の通り。

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要するに、年齢を20~39歳に限定しただけでも男女の人口差は1533万人にも及んでいるので、結婚したくても肝心な相手の女性にあぶれる男性が発生するのは必然である。だからこそ、「女旱(ひで)り」の中国では上述したように「彩礼(結納)」の金額が高くなるのは致し方ないことであり、カネがなければ結婚できないのは至極当然なことと言えるのだ。

2022年3月に結婚メディアの「結婚産業観察WIO」が発表した『2022年中国婚姻報告』によれば、中国の初婚人数は2013年に年間2386万人の最高値を記録してから下降を続け、2020年には1229万人まで下がったが、これは2013年に比べて48.5パーセントの下落であった。

また、結婚登録件数は2013年に1347万組で最高値を記録したが、その後は下降に転じ、2018年:1014万組、2019年:927万組、2020年:814万組となり、2021年には上述の通り764万組になった。これは2013年以来8年連続の下降であり、恐らく2022年も下降傾向はさらに継続するものと思われる。

一方、高学歴女性には「男旱り」

なお、上述した『2021年民政事業発展統計公報』の「結婚登録サービス」の項目には表3に示した「2021年結婚登録人口の年齢分布」が掲載されていた。

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登録人口の合計は1528.5万人であるが、夫婦は男女各1人で1組だから、合計を2で割ると764.3万組となり、上述した2021年の結婚届の764.3万組と同じになる。40歳以上の結婚登録はそのほとんどが再婚だと考えられるが、それでも登録者が297.9万人もいて、全体の19.5パーセントもの比率を占めているのは奇異な感じがしてならない。それほど再婚の件数が多い理由は何なのか。

中国の法定結婚年齢は『婚姻法』第6条に規定あり、男は22歳、女は20歳となっている。上記の表によれば、結婚登録人口の最大は25~29歳(539.3万人)であり、それに30~34歳(305.2万人)が続くが、両者の合計で55.3パーセントを占めている。

一方、表2で示した「第7回中国国勢調査」における20~39歳の男女人口合計は3億8995万人であったが、表3で示した20~39歳の結婚登録人口は1230.6万人になる。この1230.6万人が男女人口合計の3億8995万人に占める比率はわずか3.2パーセントに過ぎない。20~39歳に限定した年間の結婚登録人口が人口合計の3.2パーセントでは余りにも少ないのではなかろうか。これでは出生人口が年々減少するのは当然と思える。

なお、第7回国勢調査の結果によれば、20~34歳の人口(2億9094万人)中には大学生および大学院生が合計5894万人も含まれていた。その内訳は男性が2788万人(47.3パーセント)に対して女性が3106万人(52.7パーセント)で、女性の比率が男性を5.4パーセント上回っていた。女性の高学歴化はそれに釣り合う学歴を持つ男性不足を招き、彼女たちに「男旱(ひで)り」の現象を引き起こしている。世の中はうまく行かないことばかりなり。

 中国の結婚の大きな阻害要因の一つには、結納が高額すぎることが挙げられるようです。日本の平均は98万円だそうですから、やはり高額だと言えそうです。ただ冒頭に登場した厳さんの例は、いかにも異常な気がしますが。

 それに男女の人数の差も結構な要因かも知れません。特に男性の方が女性より年長で結婚するとすれば、年々人口が減っていく中では、その差が更に大きくなってしまいます。

 結婚登録人口の定義がよく分りませんが、適齢期の人口の3.2%しかないというのは、中国の統計の信憑性のなさを示しているのでしょう。しかし、年々減少しているのは間違いないでしょう。2050年には人口が半減するというのも、あながち間違いではないでしょうね。それによって覇権の動きが弱まれば幸いなのですが。

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2023年4月 6日 (木)

髙橋洋一氏:「令和のトリックスター」小西洋之の陰で、国会でスルーされた元官僚の「人事介入事件」が危なすぎる

3_20230406100201  小西洋之議員による「小西文書」問題が沈静化の動きを見せた直後、「憲法審サル」問題、そして「メディアへの圧力」問題が追い打ちをかけ、こちらは本人の正式な謝罪がないまま今日に至っています。

 そうした小西議員が仕掛けて自らに跳ね返った、国会のバカバカしいこれらの動きの影で、またも官僚の天下り問題が進行しているようです。経済学者で教授の髙橋洋一氏が、現代ビジネスに寄稿した記事にその概要が語られています。タイトルは『「令和のトリックスター」小西洋之の陰で、国会でスルーされた「人事介入事件」が危なすぎる』(4/03公開)で、以下に引用します。

完敗後も止まらなかった「暴走」

先週の本コラムでは岸田首相のウクライナ訪問をとりあげたが、3月20日まで3週続けて書いてきた「小西文書問題」はその時点で終結していた。

3月20日以降の動きを書けば、3月22日に総務省はさらなる精査結果を公表した。これが事実上の最終結果だ。

そこでは、「5月12日以前に放送法第4条の解釈に関する大臣レクがあったかについては、関係者間で認識が分かれており、確認はできなかった」、「作成者及び同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった」とあり、レクメモの正確性と信頼性に疑問を呈している。これは3月初め以降、本コラムで書いてきた筆者の見立てと同じだ。

24日の国会審議でも、石垣のりこ参院議員(立民)の高市大臣罷免要求に対し、岸田首相は小西文書の正確性が確認できないので、更迭はあまりに論理飛躍だと一蹴した。

立民は参院予算委員会で高市大臣の追及をしてきたものの、結果として高市大臣の問責決議すら出せないまま予算案は28日参院を通過した。これで、政治的には高市氏の完勝、小西氏の完敗となった。

ところがこれがよほど悔しかったのか、小西氏の暴走は止まらなかった。29日、参院憲法審査会の理事懇談会後、記者団に対し「参議院では、毎週開催はやらない。毎週開催は、憲法のことを考えないサルがやることだ。何も考えていない人たち、蛮族の行為で、野蛮だ」と述べた。

これに対し、立民の泉代表は、31日に小西氏を参院憲法審査会筆頭理事から更迭した。

更迭された31日の記者会見で、小西氏は再度「しでかした」。謝罪会見という形だったが、会見後にとんでもない光景があった。産経記者がスマホ画面を示すと小西氏は「やったら全部法的措置とりますから」と語り、「書いたら法的措置をとる?」という問いかけに「とりますよ。もう厳しくやります」小西氏は答えたのだ。まさに、マスコミに対する「圧力」ではないか。

ここまで来ると、小西氏に好意的で高市大臣に批判的だったリベラル系マスコミも一斉に小西氏を批判するようになった。

小西氏はこの過程で「元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だと思うが」とかマスコミが飛びつくことまで言っている。小西氏は、身をもって放送法の重要性をわからせてくれる、トリックスターのようだ。

国交省元次官の圧力

ただし、小西文書が国会で議論になっている間、重要な問題がスルーされている。

その一つが天下り問題だ。国交省元次官の企業人事介入問題が報道された。

国土交通省の元事務次官が昨年12月、羽田空港などの施設管理等を行う「空港施設」(空港法に基づく指定空港機能施設事業者)に対し、国交省OBの副社長を今年6月に予定されている役員人事で社長に昇格させるよう求めていた。同社の乗田俊明社長が3月30日に明かしたところでは、元次官の本田勝・東京メトロ会長から「(国交省OBが社長に就任した場合は)国交省としてあらゆる形でサポートする」と持ち掛けられたという。乗田社長らは、同社は上場会社であり、取締役候補者は指名委員会で決める手続きになっているとして要求に難色を示した。

「空港施設」は1970年2月の設立以来、国交省OBらが社長に就任しており業界では天下り会社として有名だったが、菅義偉政権中の2021年6月に日本航空(JAL)出身の乗田氏が初めて民間から社長に就任していた。乗田氏は「私の前までは国交省出身の方が社長を務めていたので、そういうこと(意向)かと受け止めた」という。

ありえないガバナンス違反の背景

元次官の本田勝・東京メトロ会長は、国交省OBを社長に昇格させるよう求めたことを認め「軽率な行動によるもので、反省しなければならない」と述べたが、国交省現役職員の関与は否定した。

なお、国交省人事課は「省として関与していない。上場企業である民間企業の役員人事に対し、コメントする立場にもない」としている。

東京メトロは、1941年に設立された帝都高速度交通営団を前身とし、小泉政権の道路公団民営化などと関連し2004年に特殊会社化されて発足した。2009年度までに株式を上場することを目標としていたが、上場は先送りされていた。菅義偉政権の2021年7月国土交通省の交通政策審議会が完全民営化早期実現を求める答申を出した。その結果、東京メトロの株式は政府が53.4%、東京都が46.6%保有しているが、その一部は2027年度までに売却され上場されることとなっている。

上場方針が決まっている東京メトロの代表取締役の会長が、他の上場会社の社長を国交省0Bを押したというのはあり得ない非常識だ。しかも、東京メトロの上場方針が固まったのも、代々天下り会社だった「空港施設」で民間人社長が誕生したのも、菅義偉政権の同じ時期の話である。

そこから推測すれば、今回の社長人事の介入は、東京メトロ上場方針という菅義偉政権時代の流れに反対する動きなのかもしれない。

ともあれ、上場を目指す会社の代表権のある会長が他の上場会社の社長人事に介入した時点で、コーポレートガバナンスの観点から見ればまったく失格だ。

東京メトロの大株主である政府はどのような態度をとるのであろうか。岸田政権は、東京メトロの上場方針をどうするのか、そして国交省元次官の会長をどのように処遇するのか。また、国交省は関与していないというが、本当なのか、東京メトロの上場方針はそのままなのか、この際はっきりさせてもらいたい。

 確かに「小西事件」の影で、こうした元官僚が仕組んだ天下りの問題が進行しているようですが、あの前川喜平元文科省事務次官が、文科省の天下りを組織化しようとした罪で、職を追われたように、以前から官僚の天下りは頻繁に行われているのが実態です。

 ただ、なかなかマスコミに登場しません。裏で密かに行われているのでしょう。小西氏も元総務官僚、官僚の不祥事は続いていますが、このままでは日本の未来はどうなるのでしょう。抜本的な改革が必要です。

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2023年4月 5日 (水)

青沼陽一郎氏:外国人を簡単に拘束する中国、中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ

Images-3_20230403103401  アステラス製薬の社員が中国当局にスパイ容疑で拘束されました。林外相が中国を訪問し、抗議と早期解放を要求していますが、そもそも何故スパイ容疑なのか判然としません。過去にもこういうことが度々起きています。もちろん日本人だけではありません。

 こうした中国の行為の実態はどう言うものか、作家でジャーナリストの青沼陽一郎氏が、JBpressに寄稿した記事にその詳細を見てみましょう。タイトルは『外国人を簡単に拘束する中国、中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ 難癖のような理由で執拗な取り調べ、対応を間違えればきっと拘束されていた』(4/03公開)で、以下に引用します。

 中国の首都・北京で先月、アステラス製薬の50代の日本人男性が拘束された。

 中国外務省は3月27日の記者会見で「この日本人はスパイ活動に関わり、中国の刑法と反スパイ法に違反した疑いがある」として、司法当局が拘束して取り調べていることを認めている。

 中国では2014年に反スパイ法が施行された。その後、少なくとも17人の日本人が拘束され、11人が刑期を終えるなどして帰国。1人は服役中に病死。2人が服役中、1人が公判中、1人は逮捕されたまま。そして、先月にもう1人だ。

 ところが、具体的にどういう行為が法律に違反するのか、反スパイ法の規定が曖昧で、今回も中国政府は詳しい内容を明らかにしていない。

 それどころか、27日の会見で中国外務省の報道官は、「ここ数年、日本人が同様の事件をたびたび起こしており、日本側は、国民への教育と注意喚起を強化すべきだ」とまで吐き捨てている。

 ならば、いい機会なので私が中国国内で受けた“仕打ち”について、いま一度披露しよう。

カドミウムで汚染されたコメ

 私は中国で田んぼの写真を撮っていただけで、公安(警察)に同行を求められ、執拗な取り調べを受けたことがある。湖南省でのことだ。

 湖南省といえば、省都の長沙で2019年7月に50代の日本人男性が拘束され、今年2月8日にスパイ活動に関わったとして、懲役12年の判決が言い渡されている。また、先月27日から中国を訪れている、台湾の馬英九前総統が先祖の墓参りに訪れたばかりだ。そして、毛沢東の出生地として知られる。

 長沙から車で約2時間。衡陽市衡東県大浦鎮を訪れたのは、2015年7月のことだった。

 その当時、ここから隣の広東省広州市圏に出荷された米から、許容量を超えるカドミウムが検出されて問題となっていた。その前年には子どもたちの血中鉛濃度が国の基準値を最大で3倍以上にもなっていたことを、国営の新華社通信やAFP通信が伝えている。地元の化学工場から排出された汚染物質が原因とみられ、この工場は捜査のため一時閉鎖されたとされる。

田んぼの風景を撮影しただけで警官が

 その大浦で高速道路を降りたあたりから、車窓に黒いフィルムを貼ったセダンが私の車のあとをずっとつけてきていた。最初は白で、しばらくすると黒い車体に代わった。

 監視されていることはわかった。目立つことはしないほうがいい。だから、工場跡地や田園をまわりながらも、写真は車の中から撮った。その度に車を停めると、セダンも一定の距離を保って停まった。

 そして、そのまま帰路に着こうと高速道路の入口に近づいたところで、「ここなら、大丈夫でしょう」と通訳の青年が言った(あとから振り返ると、彼も中国当局と結託していたのかも知れない)。

 揚子江より南の地域では二期作が主流で、当時も田植えの済んだ隣の田圃で収穫作業が行われていた。そんな珍しい風景を、はじめて車から降りて写真に撮っていると、背後から声がした。「中国公安」と文字の入ったパトカーが止まっていて、2人の制服の警官が立っていた。

「外国人が写真を撮っているという通報がありました。通報を受けた以上、住民に説明をしなければならない。手続きのため、ご同行いただけませんか」

 初老の警官に言われて、断る術もなく、連れていかれたのは町の中心を少し外れた場所にある古びた地元警察の建物だった。

まるでチンピラのような共産党書記

 そこの会議室のような場所で、入口から一番遠い壁際の机の向こうに座らされると、初老の警官に続いて、スマートフォンだけを持ってビーチサンダルを履いた男が入ってきた。痩身に張り付くような派手なシャツやパンツからして、チンピラのようにしか見えないこの男が、地区の共産党書記だった。さらにパソコンやビデオカメラを持った私服の男たちが入って来る。

 まずパスポートの提示を求められた。それから、「録音機器や、他に小型のカメラがないか、確認させてください」と言って、手荷物のすべてを隣の部屋に持っていってしまった。

 扉の隙間から、所持品を写真に撮るシャッター音がする。私の目に見えないところで、全てがいじくられる。あとで返された時には、財布のクレジットカードまで抜き取られて、配置が変わっていた。

「ここへ来た目的はなんだ?」

 ビデオを回しながらの尋問がはじまった。口調がきつくなっている。

「観光」と答える。観光ビザで入国していたからだ。

「観光なら、その旅費はどうした? 渡航費用は? 滞在費は? 誰が出している?」

 費用は自分で用意している、と答える。そもそも、そんなことまで答える必要がどこにあるのか。

 すると警官はすぐに、「あなたは、長沙市内の○○というホテルに宿泊している」と言い当て、さらにこう続けた。

「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」

 そして彼の次の言葉に驚かされた。

「東京にある出版社から、中国の旅行代理店に送金があったことを我々は知っている」

「代理店の担当者は、その資金で旅程を組んでいることを認めている!」

 東京からの送金実績まで事前に把握しているとは思いもよらなかった。当局によって自分が裸にされている不気味さと恐怖を実感する。

堂々巡りの押し問答

「そこから依頼を受けて、調査活動が目的でここへやって来たのだろう!?」

 反スパイ法のことは知っていた。調査活動、すなわちスパイの容疑をかけているのだとすれば、認めるわけにはいかない。調査ではない、取材だ。

「取材なら、なぜ取材申請をしなかった」

「なぜ、観光と嘘をついて入国したのか」

 ここへ来るまでに、私は吉林省の長春で、入場料を払って満洲国の皇帝だった溥儀の皇宮と資料館を見てきた。陝西省の「梁家河」という寒村も訪ねた。習近平が若い頃、下放されて暮らしていた“聖地”と呼ばれる場所だ。そこはすでに観光地化して入場料をとっている。習近平の生い立ち調査が目的とはいえ、これを観光ではないと言い張る中国人がいるだろうか。

 その旨を伝えると警官は黙った。ところが、それまで黙っていた共産党書記が蒸し返す。

「だけど、わからないな。出版社からの送金でここまで来ているのなら、それは調査だろう!」

「そうだ。どうなんだ」

 そこから堂々巡りと押し問答が続く。

 中国側は執拗に同じ質問を繰り返す。繰り返しの説明は、疲労を伴う。なるほど、こうしてイライラと疲れの蓄積で、罪を認めさせようという魂胆か。

 取り調べ中も開け放たれたままの扉から、入れ替わり立ち替わり室内を覗きにきた地元の住人がスマートフォンでこちらの写真を撮る。まるで動物園のサルを見るような目つきだった。不愉快だった。これが正当な司法手続きと言えるのか。

「帰れないのは誰のせいなのか」

 やがて何時間も経過し、とっくに日が暮れて食事も与えられないでいると、肥った私服の中年男性が部屋に入ってきた。この警察の署長だった。私の正面に机を挟んで座ると言った。

「私が制服から私服に着替えて、まだ帰れないのは誰のせいだと思いますか」

 主張を曲げない私を責めた。そうやって威圧する。

「先生、まだこんなことを続けますか」

 では、どうしたらいいのか、こちらから訊ねた。

 すると、真っ白なA4サイズの紙とボールペンを出してきて、これから言うことを日本語で書くように指示された。とにかく「事情説明」と題された、いわば中国共産党が好む「自己批判」を書かせようとする。

 彼らとしても面子を保たなければ、私を解放できなかったのだろう。とはいえ、相手の都合のいいことばかりでは、どんな罪に問われるか、わかったものではない。そこで相手の意向と妥協点を探りながら文章を構成する。異様な労力に屈辱感が胸元から湧き上がる。この屈辱に先行きの見えない恐怖が私のトラウマに変わる。

 この直筆の書面と尋問形式の調書に指印させられて、ようやく解放された。カメラにあった写真データは全て消去された。外には街灯らしいものもなく、あたり一面が真っ暗だった。

中国は信用できるか

 写真を撮る自由さえない中国。執拗に罪を認めさせようとする地元警察。土壌汚染の事実など、都合の悪いことは黙らせたい。中国共産党の言論封殺の本性がそこにある。

 解放されたとはいえ、一時的に拘束された立場からすれば、法律に違反した取り調べというより、嫌がらせだった。地方の小さな村にまで浸透した権威主義のゴリ押しと、外国人の粛清。

 日本のパスポートを開けば、最初に外務大臣の名前でこういう記載がある。

【日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。】

 中国の外務省が表明したように「日本側は、国民への教育と注意喚起を強化すべきだ」とするのなら、それはたった一言で済む。

「中国は、およそ信用に値する国ではない」

 それだけのことだ。

 青沼氏の経験を元に考えれば、アステラス製薬の社員の拘束も、似たような理由であろうと推察されます。ただ青沼氏は聴取で終わっているので、社員はもう少し疑いが強いのかも知れませんが、おそらくスパイ行為はしていないと思われます。そのスパイ行為の定義も曖昧ですが。

 写真撮影と言えばサウジアラビア在住の時に、私の同僚がサウジ直轄の石油会社「アラムコ」の建屋を撮影した角で拘束されました。発電所などのインフラや国営企業の写真撮影は犯罪と見なされます。様々な関係者が動いて、半日で解放されましたが、独裁国家での写真撮影は特に注意が必要です。

 青沼氏の例は写真撮影でしたが、刑務所に送られた日本人はどう言う内容の罪だったのでしょうか。いずれにしろ取り調べも弁護士なしで一方的、裁判も民主的な手続きなどないのでしょう。

 中国にはこの事例を含めて様々な政治リスクがあります。青沼氏の言うように、信用に値する国ではないのです。これから中国で事業を行おうとしている会社は是非思いとどまった方がいいでしょう。また、今中国で事業を行っている会社も、できるだけ早期に撤退することが、社員の安全のため必要だと思います。

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2023年4月 4日 (火)

日中外相会談〝なめられた日本〟 中国側は人質、領海侵入で「恫喝外交」展開 「スパイ防止法や対外情報機関必要だ」

Images-5_20230403145701  林外相が中国を訪問し、中国要人3人と会談を持ちました。今後の日中関係の関係改善へ向けての総括的な話し合いの中で、当然スパイの嫌疑をかけられた日本人の解放もその一つですが、どうもスルーされたようです。

 この外相中国訪問の目的と成果について、zakzakが手厳しい見解の記事を掲載しています。タイトルは『日中外相会談〝なめられた日本〟 中国側は人質、領海侵入で「恫喝外交」展開 「スパイ防止法や対外情報機関必要だ」』(4/03公開)で、以下に引用します。

習近平総書記(国家主席)率いる中国共産党政権が、「恫喝(どうかつ)外交」を展開した。林芳正外相は2日、北京で秦剛国務委員兼外相と会談し、中国当局に「スパイ容疑」で拘束された日本人男性の早期解放を要求したが、取り合わなかったのだ。沖縄・尖閣諸島周辺では、外相会談の最中も中国海警局船が日本の領海侵入を続けた。国民や国益を守り切るためにも、スパイ防止法の制定や、対外情報機関の創設が必要との意見が出ている。

約3年3カ月ぶりとなった日本の外相による中国訪問は、およそ友好的とはいえない結果に終わった。

中国当局は3月、日本の製薬大手「アステラス製薬」の現地法人幹部の男性を、「中国の刑法や反スパイ法に違反した疑いがある」(中国外務省)として拘束した。

林氏は外相会談で、これに抗議して早期解放を求めた。ところが、秦氏の回答は「法に照らして処理する」というものだった。両国の主張は平行線をたどった。

林氏は、中国が尖閣諸島を含む東シナ海や日本周辺で軍事活動を活発化させていることへの深刻な懸念も伝えた。だが、海警局船は会談中も、尖閣周辺の日本領海内を航行していた。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、中国海警局船4隻が3月30日午前11時10分ごろ、尖閣周辺の領海に侵入した。このうち1隻は領海外側に出たが、残る3隻はその後も領海内に居続けた。領海侵入時間は、政府が12年に尖閣諸島を国有化してから過去最長となる80時間36分となった。

日本としては「人質」を取られて外交交渉に臨んだ格好で、対抗手段が必要との意見も出ている。

元大阪市長で弁護士の橋下徹氏は2日放送のフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で、「中国が反スパイ法で日本人を拘束したのは、どうも外交のカードとして使っているのではないか」「反撃能力というのであれば、スパイ防止法も1つのツールになるだろう。『やられたらやり返す』という姿勢を示す」などと語った。

国益が激突する外交の世界は、きれいごとではすまない。

国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一名誉教授は「林氏は『親中派』として中国人脈を培ってきたはずだが、今回大いに役に立ったとは思えない。カナダ当局が18年に、ファーウェイの孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を拘束した後、中国当局はカナダ人2人を拘束した。これが国際社会の冷徹な現実だ。スパイ防止法というカードのない日本は中国に揺さぶられ、なめられている。外交交渉を優位に行うためにも、スパイ防止法の制定や、対外情報機関の創設が必要だ」と語った。

Images-4_20230403145801  島田洋一氏の主張はまさにその通りですが、ロシアのウクライナ侵略に対して、眉をひそめるような発言を繰返してきた橋下徹氏も、今回はまともな意見を言っているようです。

 ところで、何故日本ではスパイ防止法の制定がなされないのでしょうか。それは特定野党や反日メディアが「憲法が保障する表現の自由に抵触する」として猛反対するからです。

 しかしスパイ防止法を定めているその他の国々で表現の自由、言論の自由が制約されている国があるでしょうか?アメリカやイギリスなど、いずれもスパイ防止法が制定されていますが、同時に言論の自由も保障されています。

 ここは単に野党やメディアが、「憲法」を持ち出して、自己の活動に都合の悪いことが起こらないように、つまり中朝露などの独裁国家との結びつきを、疑われないようにしたいだけなのかも知れません。そんな連中のことより国益の方がよほど重要です。是非しっかりした法整備をして、スパイ天国の汚名を晴らして欲しいと思います。

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2023年4月 3日 (月)

池田信夫氏:日本はなぜ「秘密だだ漏れの国」になったのか 小西議員は国家公務員法違反の共犯か

Photo_20230402143701  「厳重取扱注意」と公印が押された総務省内部文書が、小西洋之議員の手に渡っていた事件は、小西氏本人と総務省の双方とも口をつぐんでいますが、日本の機密保持の甘さを露呈した事件だと言うことが出来ます。

 これ以外にも、日本の秘密管理が甘い事例は多く見られます。何故こうも甘いのか、その背景をアゴラ研究所所長で経済学者の池田信夫氏が、JBpressに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『日本はなぜ「秘密だだ漏れの国」になったのか 小西議員は国家公務員法違反の共犯か』で、以下に引用して掲載します。

 今年の参議院予算委員会ほど無内容な国会は珍しい。立憲民主党の小西洋之議員が総務省の8年前の「内部文書」を持ち出して放送法の解釈変更を追及し、高市早苗経済安全保障担当相が、自分についての記述が「捏造だ」と言い、捏造でなかったら議員辞職すると答弁したため、ほぼ1カ月、国会審議がこの文書をめぐる論争に費やされた。

 その中で、忘れられた問題がある。小西議員がこの文書を「超一級の極秘文書」とする一方、その入手経路を明らかにしないことだ。これは国家公務員法の守秘義務違反にあたる疑いが強いが、当の総務省がこの問題を避けているのだ。それはなぜだろうか。

白昼堂々おこなわれた国家公務員の「秘密漏洩」

 国家公務員法100条では「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と守秘義務を定め、「職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長の許可を要する」と規定している。

 つまり国家公務員法にいう「秘密漏洩」とは、公務員が職務上の秘密を(情報公開請求などによる)許可なく発表することである。この意味で「厳重取扱注意」と公印が押された今回の文書が「職務上の秘密」にあたることは明らかだ。

 同法109条では「秘密を漏らした者」について「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定めている。小西氏によると今回の文書は「総務省職員」から提供されたというから、この職員が守秘義務に違反したことも明らかである。

 では公務員が秘密を漏洩しても、国家公務員法違反にならない場合があるだろうか。小西氏は本件が公益通報だと主張しているが、公益通報者保護法によれば、公益通報とは「個人の生命又は身体の保護その他の犯罪行為の事実」を外部に通報することである。

 公益通報者が保護されるのは、官製談合のように役所の中で犯罪が行われた場合であり、今回の放送法の解釈が犯罪行為でないことは明らかだから、公益通報には当たらない。小西氏は(おそらくこれを意識して)「放送法の違法な解釈変更」と繰り返しているが、法律に違法な解釈などというものはない。

 小西氏は、自分には免責特権があると信じているようだ。確かに憲法では国会議員は「議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない」と定めているが、院外の記者会見やSNSで秘密を漏洩した場合には適用されない。これは森ゆうこ事件の東京高裁判決の示す通りである。

 したがってこの文書を漏洩した総務省職員の国家公務員法違反はまぬがれない。この犯行は明らかなので、総務省はその職員(氏名不詳)を告発する義務を負う(刑事訴訟法239条)。この点では法律の専門家の意見は一致しているが、問題は小西氏の容疑である。

西山事件より悪質な「秘密の政治利用」

 国家公務員の秘密漏洩については、外務省の沖縄密約をめぐって争われた「西山事件」についての1976年の最高裁判決が、最も重要な判例である。

 ここでは守秘義務の対象となる秘密を「非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるもの」と厳密に定義した上で、密約が「外交上の秘密」に当たるとし、これを毎日新聞の西山太吉記者に渡した外務省職員を有罪とした。

 最大の焦点は、その電文を入手して報道し、国会で(結果的に)公開した西山記者の行為を違法とするかどうかだった。これについて最高裁は、国家公務員法111条の「そそのかし」にあたると判断し、西山記者に有罪を言い渡した。

 最高裁判決は、そそのかしを「秘密漏示行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新に生じさせるに足りる慫慂行為」と定義した。今回の事件で小西氏が「慫慂(しょうよう)」したかどうかは今のところ明らかではないが、彼は総務省OBなので、退職後の守秘義務違反に問われる可能性もある。

 西山事件の最高裁判決は、報道の自由を制限した判例として憲法学者にも批判が強いが、今回の事件は国会で閣僚を辞任に追い込もうとする政治利用であり、国民民主党の玉木雄一郎氏は「政治的意図をもってリークが行われる」ことを批判した。

 いずれにせよ、本件が国家公務員法違反に問われることは確実である。国会の会期中は小西氏には不逮捕特権があるが、家宅捜索や任意の事情聴取は可能である。

 総務省がこの問題に言及すると、この文書を漏洩した職員が懲戒処分や刑事罰に問われるだけでなく、その上司や大臣も責任を問われるだろう。それが総務省が曖昧な答弁に終始した理由である。

軍事機密を守れない平和ボケ

 本質的な問題は、このように政府の秘密文書が国会で公開され、SNSで世界にばらまかれる異常事態である。この事件がお咎めなしで終わったら、日本政府はアメリカから機密情報を提供してもらえなくなるだろう。

 日本は「スパイ天国」だとか「秘密の守れない国」だという定評があるが、その原因は(特定秘密保護法で厳格に管理されている)公務員より政治家にある。有名な例は2001年の同時多発テロのとき、アメリカのパウエル国務長官がアーリントン墓地に避難していると記者会見でしゃべった田中真紀子外相である。

 今回も岸田首相のウクライナ訪問のとき、キーウに着く前に日本テレビが「首相はポーランドから列車経由でウクライナに入った」と映像つきで報じた。これがロシア軍に知れたら、列車が爆撃される可能性もあった。

 日本の秘密情報がだだ漏れなのは、このように命のかかった情報がほとんどないからだ。今回のような行政事務の話が公開されても実害はないが、これが総務省の管理している無線局の位置情報だったら、戦争で攻撃されると自衛隊は動けなくなる。

 しかし米軍の情報網は別系統だから、台湾有事の際に日本政府の情報が漏れても、何とかなる。だから米軍は日本政府に軍事機密を渡さない代わりに、東京の上空を米軍横田基地の管制空域にしているのだ。

 それを「日本は占領支配のままだ」と嘆く人がいるが、米軍が撤退してその通信情報を総務省が管理したら、職員が野党にその情報を横流しするかもしれない。それをSNSで世界に公開する国会議員が出てくるかもしれない。

 日本政府の秘密管理が甘い原因は、こういう平和ボケなのだ。その弊害は今のところは国会が1カ月つぶれるぐらいだが、中国や北朝鮮のサイバー攻撃が激化する中で、こんな情報セキュリティ管理で日本は守れない。

 それを防ぐセキュリティ・クリアランスの担当大臣が、今回の攻撃の対象になった高市氏だったことは偶然ではないだろう。これは民間企業にも公務員のような守秘義務と罰則を課す制度だが、抵抗が強く法制化が難航している。

 しかし今回の小西文書の事件をみると、日本の情報セキュリティには政治家(特に野党議員)という大きな穴があいていることがわかる。この穴をふさがないで民間人の管理強化だけやっても、ほとんど効果はないだろう。

 この小西議員に、一体情報セキュリティ感覚があるのか、問いたいところですが、少なくとも憲法審の「サル発言」を平然とやってのけるこの人物には、甚だ疑問があります。

 それにもし、セキュリティクリアランスの立法化に邁進する高市経済安全保障大臣を、この騒動を持って辞任に追い込もうとしていたのなら、完全な政治犯罪となるでしょう。

 それでなくとも池田氏の言うように、「小西文書」でもって、機密保持に抵触するような行為をしたのですから、この人こそ議員辞職をしてしかるべき人物でしょう。

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2023年4月 2日 (日)

軍政下のミャンマーの惨状第二弾、日本人も投獄された「生き地獄」の刑務所のその実態

Nwdpan41qq_wm4ppt4qisk9g6ddrbnsrb4wonnb7  3日前、軍事政権下のミャンマーの惨状を、このブログで取り上げました。そのミャンマーでデモの撮影中に拘束された映像ジャーナリストの大塚智彦氏が、投獄されましたが、昨年恩赦で釈放されました。

 テレビ朝日でも数日前、釈放された本人が生出演し、身をもって体験した刑務所内の状況が、報道されました。一方インドネシア在住ジャーナリストの大塚智彦氏が、月刊hanadaプラスにミャンマーの状況を寄稿していますので、その記事を掲載します。タイトルは『ミャンマー刑務所の生き地獄|大塚智彦』(2/13公開)で、以下に引用します。

◇    

いま、どんどん明らかになるウイグル人権弾圧の実態。 しかし、ミャンマーでも目を覆いたくなるような人権弾圧が……。

************

2021年2月、ミャンマーではミン・アウン・フライン国軍司令官らによるクーデターが勃発、ノーベル平和賞受賞者で民主化運動の旗手とされたアウン・サン・スー・チーさんが実質的に率いる民主政府が転覆され、以来、軍事政権が続いている。

スー・チーさんら民主政府幹部や与党「国民民主連盟」(NLD)関係者はクーデター当日に身柄を拘束、スー・チーさんは19の容疑で訴追を受け、合計33年の禁固刑で刑務所での日々を送っている。

軍政は、民主政府復活やスー・チーさんらの釈放を求める市民によるデモや集会を暴力、拷問、虐待、そして殺害という強権弾圧で抑え込もうとしているため、対立が激化。民主政権時代から、国境周辺で軍との戦闘を続けてきた北部カチン州の「カチン独立軍」(KIA)や中東部カヤー州の「カレン民族解放軍」(KNLA)、西部チン州の「チン民族戦線」などの少数民族武装勢力に加えて、クーデター発生後に地下潜伏したり国外に逃れたりした民主派勢力が組織した「国民統一政府」(NUG)傘下の武装市民組織「国民防衛隊」(PDF)の武装市民らと衝突、戦闘も激化していて、ミャンマーは実質的な「内戦」状態に陥っている。

軍政は、PDFによる神出鬼没の都市街戦や山間部での待ち伏せ攻撃などのゲリラ的戦法に手を焼いている。PDFのメンバーや関係者、シンパなどの摘発に乗り出しているが、その過程で無実、無抵抗、非武装の一般市民への暴力的尋問が横行、抵抗する市民の殺害、疑わしき市民の逮捕が各地で相次いでいる。

そのため、国内に56カ所あるとされる刑務所はどこも政治犯で定員オーバー、超過密状態といわれている。

犬小屋に閉じ込められる

そうした刑務所では、反軍政抵抗運動などの容疑で逮捕されたいわゆる政治犯は劣悪な環境、粗末な食事などに加えて、刑務官や一般刑事犯収容者らによる恣意的な暴力行為、差別、虐待に日常的に直面している。健康を害しても、医療関係者による診断や満足な医薬品の提供を受けられずに放置されて、刑務所の房で命を落としたりするケースも多いという。

最近、こうしたミャンマーの刑務所の実態が独立系メディアの「ミッズィマ」 「ミャンマー・ナウ」 「イラワジ」「キッティッ・メディア」などで報道され、国内外に伝えられた。

独立系メディアで働く記者らは、治安当局から指名手配され、潜伏しながら命懸けの取材を続けている。

報道は、実際に服役している仲間や政治犯からの情報提供に基づいていることから、その内容の信憑性は極めて高い。

中心都市ヤンゴンにあるインセイン刑務所は悪名高い刑務所である。その劣悪な環境から、「人類が作った地獄」の異名をとっているほどである。130年以上前、イギリス植民地時代に住民弾圧のために建設され、放射状に伸びた房に定員の2倍(約1万人)の一般刑事犯、政治犯が収監されている。

収容経験者の話によると、独房などは下水設備も未整備で、硬い床の上に薄い毛布があるだけ。食事は小石や砂の混じった米に、肉ではなく動物の骨や腱がわずかに与えられるだけという貧弱なものだったという。

特に政治犯は、刑務官や取り調べに当たる治安当局者から殴る蹴るの暴力を受けるのが日常茶飯事。火傷を負わされたり、電気ショックを加えられたり、傷口に塩をすりこまれ、犬小屋に閉じ込められるなどの人権侵害が行われているのだ。

スー・チーさんも2003年と2009年に、政治犯としてインセイン刑務所に収監されたことがあり、ヤンゴンで反軍政の市民デモを取材中に逮捕された映像ジャーナリスト久保田徹さんや、入管法に問われていたビッキー・ボウマン元英国大使、スー・チーさんの経済顧問でクーデター発生直後に逮捕され収監されていたオーストラリア人のショーン・ターネル氏も収容された。

2021年4月には、ヤンゴン市内で取材中に拘束された日本人の北角裕樹氏も、拘束直後にインセイン刑務所に収監されて当局から尋問を受けた(北角氏は約1カ月後に釈放され、強制退去処分となって日本への帰国を果たしている)。

刑務所内で射殺

2022年4月には、インセイン刑務所内で受刑者の間に不穏な動きがあるとして、主に学生運動家などの政治犯100人以上が国内の56の刑務所に分散移送された。このような措置により、政治犯同士の連絡や情報共有を不可能にして孤立させる狙いが当局にあったとみられている。

6月にも同様のことがあった。

スー・チーさんの誕生日である6月19日は、クーデター前はスー・チーさんのシンボルでもある花を手にした市民が国中の街角で祝福のデモを行い、街角には多くの花が飾られ、国会でも誕生パーティーが催されるなど「民主化運動を率いた不屈の闘士」にとっては華やいだ一日となる。

インセイン刑務所に収容されている政治犯受刑者12人は、スー・チーさんの誕生日に密かにささやかなお祝いを計画。12人は手のひらに反軍政のメッセージを書き、刑務所内で行われる予定だった裁判の法廷で見せるというものだったが、刑務所内にいる当局スパイによって計画が漏れたため、雑居房から独房に移送されたという。

独房に移送された12人の政治犯は、お互いのコミュニケーションが取れなくなった。

ミャンマー中部の都市マンダレーにあるオポ刑務所とミンヤン刑務所も、現地ではともに「悪名高い刑務所」として知られる。

オポ刑務所では、6月5日に刑務官による過剰暴力が原因で2人の政治犯が死亡、13人が負傷した。刑務所長を含む複数の刑務官が金属製の棒で、理由は不明確だが、政治犯に殴り掛かり2人が死亡、13人が刑務所内の病院に収容され、20人が独房送りとなった。150人が同市内のミンヤン刑務所に移送されたというから、かなり大規模な事件だったことがわかる。

6月6日には南東部カレン州にあるパアン刑務所で、政治犯2人が刑務所内で射殺され、60人が負傷する事件も報道されている。

生理用品も提供されず

中部サガイン地方域のモンユワにある約900人の政治犯が収容されている刑務所では、6月1日に女性政治犯2人が口論していたところ、刑務官が2人を強く殴打し続けたということが報告されている。

このモンユワの刑務所では男性刑務官による女性政治犯へのセクハラ、性的暴力の頻発も伝えられている。

たとえば、女性政治犯を男性受刑者の区画に収容したり、プライバシーが確保できないトイレしかなく、水が流れる清潔なトイレがないという。生理用品も提供されないなどの事例が報告されている。

5月初旬には、このモンユワ刑務所で処遇改善などを求め、受刑者による暴動が発生し、多数の受刑者が刑務官による過剰暴力で鎮圧されている。

ミャンマーの刑務所に関して、六月に大きな動きが2つあった。スー・チーさんの刑務所移送と、民主派政治犯への死刑執行方針表明である。

6月22日に、スー・チーさんがヤンゴン市内の軟禁場所から首都ネピドー郊外の刑務所に移送され、独房に収監されたとのニュースが流れ、民主派組織や人権団体から非難の声が一斉にあがった。

2021年2月1日のクーデター当日に軍政によって逮捕されたスー・チーさんは、その後、しばらくの間はネピドー市内の自宅に軟禁され、その後はどこかわからない軟禁場所から裁判に出廷していたとされる。今後は、刑務所の独房から刑務所内に設けられる特別法廷に出廷して裁判を受けていた。

軍政としては、刑務所に収容することでスー・チーさんの政治的影響力を極力削ぎ、市民の反軍政運動の鎮静化にげたいのだろう。スー・チーさん自身に精神的プレッシャーをかけて闘争心を挫き、民主化運動への情熱を失わせる狙いもあるとみられている。

インターネット上には、スー・チーさんが移送されたとみられる、このネピドー郊外の刑務所の外観が映像配信されている。

映像を見ると、道路の両側にジャングルが続く地帯の道路脇に突然刑務所の正面玄関とみられるゲートが現れ、銃を持った兵士が警備する門の前には、面会を求める家族らしい人が数人待機している様子が確認できる。

ネピドーは2006年にヤンゴンから首都移転した都市で、何もないジャングル地帯の軍用地を開発したから、周囲には広大なジャングルが残っているのだ。スー・チーさんが移送された郊外の刑務所も比較的新しい施設とみられているが、生活環境や食事内容などは明らかにされていない。

ASEANの要請も拒否

スー・チーさんの33年の禁固刑には各方面から非難が沸き上がっており、ミャンマーが所属する地域連合である東南アジア諸国連合(ASEAN)も素早く動き出した。

2022年のASEAN議長国(持ち回り)であるカンボジアのプラク・ソコン外相は、ASEAN特使として6月29日からヤンゴンを訪問し、軍政幹部との会談を重ねて、スー・チーさんを刑務所から軟禁状態にあった施設に戻すよう訴えた。武力行使の停止や関係者との面会なども要求したが、いずれも拒否されたという。

ASEANは、クーデター後からスー・チーさん解放に向けて動いてはいた。2021年4月、ASEANはインドネシアのジャカルタでASEAN緊急首脳会議を開催し、軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官を各国首脳との直接面談の場に引っ張り出すことに成功。

スー・チーさんの即時釈放はミン・アウン・フライン国軍司令官の反対で合意に達しなかったものの、議長声明という形で「5項目の合意」で意見の一致をみた。もちろん、ミャンマーも合意した。

「5項目」には「即時武力行為停止」とともに「全ての関係者との面会」が含まれており、以後のASEANのミャンマー問題解決への基本方針となっている。

しかし、軍政は「武装市民らの攻撃が続いている」として武力行使の停止を拒否するとともに「裁判の被告人との面会を許す国などない」として、スー・チーさんとの面会を拒絶し続けている。

ASEANとしては、問題解決には民主派指導者であるスー・チーさんとの面会が「必要不可欠」との姿勢だが、軍政の頑なな姿勢の前に、調停工作は行き詰まっている。

30年ぶりの死刑執行

今回、スー・チーさんが刑務所に移送されたことで、ASEANの「面会要求」はますます困難になると判断、ASEAN特使であるカンボジアのプラク・ソコン外相が、急遽ネピドーを訪問。

6月3日に、軍政はクーデター後に組織した「国家統治評議会」(SAC)は、死刑判決を受けて収監中の民主派勢力の著名人政治犯2人を含む4人に対する「死刑執行方針」を明らかにし、7月23日に死刑を執行した。

今回、死刑が執行されたのは、スー・チーさんが党首だった民主政府与党のNLD元議員のピョーゼヤートー氏と、民主化運動活動家のチョーミンユー(愛称コー・ジミー)氏、さらに国軍へのスパイ行為をしていた女性をヤンゴン近郊で殺害した二人の計4人。

いずれも軍政支配下にあり、公正さや公平さが全く欠如している裁判によって死刑判決を受け、インセイン刑務所に収監されていた。

ピョーゼヤートー氏とコー・ジミー氏2人は上級裁判所に上訴したが、いずれも却下されて刑が確定していた。

4人の死刑執行は、司法制度に基づく死刑としては1990年以来だ。

ミャンマーの刑務所には死刑判決を受けた政治犯が約100人いるとされるが、クーデター後に執行されたのは今回の4人が初めてだった。

軍政の死刑執行方針表明に対しても、ASEANは議長国カンボジアのフン・セン首相がミン・アウン・フライン国軍司令官に書簡を送り執行中止を求めたが、軍政はその要請を無視して死刑を執行した。

この死刑執行で、ミャンマー問題の仲介・調停に当たってきたASEANは態度を硬化させ、11月のカンボジア・プノンペンでの首脳会議にミャンマーは招待されず、ミャンマー抜きのASEANが常態化する事態を招く結果となった。

クーデターからすでに2年以上が経過しようとしているが、ミャンマー国内の治安状況は依然として混迷を極めている。

各地で軍と武装市民、少数民族武装勢力との戦闘が続き、双方に多くの犠牲者が出ている。こうした抵抗、治安の不安定化は軍政にとって予想外のことで、軍内部には相当の焦燥感が募っているという。こうした焦りが、各地で軍による一般市民への暴力、逮捕、残虐行為、殺害に拍車をかけている。

最近、軍は地方の村落で民家や農家を焼き払う「放火作戦」を実行、市民の斬首遺体や集団焼殺遺体が各地で発見されており、放火に伴う一般市民への残虐行為、人権侵害が激しくなっているという。

消耗戦のスパイラル

こうしたなか、軍政は11月17日に政治犯など5800人に恩赦を与えて釈放した。

この恩赦では、先述したインセイン刑務所に収容されていた、映像ジャーナリストの久保田徹さん、ビッキー・ボウマン元英国大使、ショーン・ターネル氏も含まれていた。

久保田氏は恩赦の翌日18日に、強制退去の形で日本に無事帰国している。

1月にも約七千人の恩赦を行ったが政治犯の恩赦は400人に留まった。軍政が恩赦を実行した背景には、全国の刑務所が政治犯でいっぱいになっていた状況に加え、恩赦という形によって多くの政治犯を釈放することで、欧米やASEANに対してアピールする狙いがあるとみられている。

欧米による軍政への批判や経済制裁は、中国のバックアップによって、深刻な影響を与えるまでには至っていない。武装市民への武器供与は、軍事訓練を受けた国境周辺の少数民族武装勢力経由でされているが、それも限界がある。結局、待ち伏せ攻撃した軍兵士や輸送トラックから武器を奪うしかない。武器奪取は命懸けで犠牲も多いとされ、武装市民組織は厳しい状況での戦いを強いられている。

民主派のNUGの発表によると、5月7日から6月6日までに軍との戦闘が5934件あり、地雷や爆弾事件は百七件発生し、軍兵士2613人が死亡、539人が負傷。

軍政もこの消耗戦に頭を痛めている。クーデター後に、軍や警察組織を離脱したり辞職して国外脱出したり、民主勢力に合流したりした兵士や警察官は8000人以上に上るという。

軍側は犠牲者数や辞職・離脱者数を明らかにしていないため、数字の信憑性は不明だが、相当数の犠牲者・離脱者が出ていることはたしかだ。

一方、民主派勢力側は、タイのバンコクに本拠を置く人権団体「政治犯支援協会」(AAPP)によると、2月10日現在、殺害された市民は2968人、逮捕拘留されている市民は1万7725人となっている。

このように、ミャンマーでは軍政と武装市民組織との間での戦闘が繰り返される「消耗戦のスパイラル」に陥っており、和平や調停などによる問題解決の道筋は全く見えてこない。

ミャンマーが頼りにする中国やASEAN、日本を含めた国際社会も問題解決に積極的にかかわれない、ないしはかかわろうとしないなかで、今日もミャンマーの一般市民や刑務所内の政治犯は、極限状態のなかで人権侵害や死に直面している。

 前回同様、軍政による圧政が詳細に記述されていますが、今回は刑務所に焦点を当てた記事になっています。所謂日本人である我々の刑務所へのイメージとは全くかけ離れた、それこそ「生き地獄」のような状況が語られています。

 国境という大きな壁により、ASEANを初めとする諸外国からの働きかけも、全く功を奏さず、悪の限りを尽くす軍には、やりたい放題の状況となっています。ここでもやはり中国という「同胞」の援助が、国際社会の経済制裁の抜け穴となってしまっているようです。

 ただ軍としても、反対勢力との戦闘には危機感もあるようで、それが更に「牙」を研ぎ澄ます要因にもなっているようですが、いずれにしてもこのような恐怖統治が続くことは、ミャンマーの発展のためには最悪だと言えます。

 日本では「死刑になりたい」などと言って、無差別に人を襲うバカがいますが、そういう人間を一度、ミャンマーで刑務所経験をさせたらいいと思いますね。冗談は抜きにして、早くミャンマー国民がこの圧政から解放されることを、願うばかりです。

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2023年4月 1日 (土)

憲法審「サル」発言の小西洋之議員へ批判集中 本人は謝罪する一方で開き直りのテレビ局批判 どこまで傲慢・尊大なのか

Images_20230331161401  いわゆる「小西文書」で、貴重な国会の審議時間を浪費させた小西洋之参議院議員が、今度は「サル」発言で批判の集中砲火を浴びています。国会内の記者会見で、衆院憲法審査会を念頭に「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」などと述べたことが発端です。これに野党やメディアが飛びつきました。

 様々なメディアが取り上げていますが、ここでは先ずzakzakの記事から紹介しましょう。タイトルは『「サル」発言の立民・小西洋之氏に批判続々 維新「党として厳格処分を」 身内からも…立民・中川氏「適切ではない、不快」』で、以下に引用して掲載します。1/2ページ

 立憲民主党の小西洋之参院議員は30日、国会内で記者会見し、衆院憲法審査会を念頭に、「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」「蛮族だ」などと述べた前日の発言を撤回する考えを表明した。一方で、「オフレコと理解していた」「発言後に撤回、修正の意思表示をしたが切り取られた」とも主張し、報道内容について「法的に問題のある表現行為があったのではないか。今、顧問弁護士と相談している」と法的措置も示唆した。

 与野党では30日、小西氏への批判が相次いだ。

 同じ立憲民主党の中川正春憲法調査会長は「私自身もそういう表現は適切ではないと思うし、不快に思っている」「そんな見解を私たちは持っていない」と突き放すように語った。

 自民党の遠藤利明総務会長も「国会はまさに言論の府だ。言葉の軽さが少し目立ってきているような気がする」と述べた。

 日本維新の会の音喜多駿政調会長は自身のツイッターで、冒頭の会見を「謝罪というより釈明といえるレベル」と指摘し、「しかるべき形での謝罪と撤回」「党としての厳格な処分」があるまで、立民との政策協調を凍結すると明言した。

 メディアの報道も増えてきた。

 新聞各紙が政治面で騒動を報じるなか、朝日新聞は31日朝刊で、「小西議員『放送法違反 フジをBPO告発できる』」との見出しで、小西氏が自身のツイッターで、一部メディアを批判していることに言及した。

 冒頭の記者会見でも、小西氏のツイートが「政治的圧力」に当たるとの質問が出たが、小西氏は「フジテレビの報道姿勢が、放送法の趣旨に則したものにはなっていない。その是正を図る」などと語った。

 そのフジテレビは30日夜、「小西議員『サル』発言を陳謝 『冒とくだ!』批判相次ぐ」とのネット記事の最後に、気になる一文を入れている。

 《小西氏は、〝あくまでもオフレコ取材と認識していて、すぐに撤回修正した〟と主張している。しかしFNNが、29日の小西氏の発言内容を精査したところ、記者団に対し、発言を撤回するとは明確に述べてはいなかった》

 立憲民主党の泉健太代表は31日の記者会見で、小西氏が務める参院憲法審査会の野党筆頭幹事を交代させたことを明らかにした。事実上の更迭としている。

 続いて朝日新聞の記事を紹介します。タイトルは『立憲・小西氏「放送法違反で告発できる」 自身の発言報じたTV局に』で、以下に引用します。

 立憲民主党の小西洋之参院議員が、自身の発言を放送したフジテレビに対し、「放送法違反でBPO(放送倫理・番組向上機構)等に告発することが出来ます」などとツイッターで発信した。内容は放送局への圧力ともとられかねず、妥当性が問われそうだ。小西氏は国会審議で、放送法の政治的公平性の解釈をめぐり、政権を追及していた。

 フジテレビが取り上げたのは、29日の小西氏の発言。衆院憲法審査会が毎週開かれていることについて小西氏が「毎週開催はサルがやることだ」などと述べたと報じた。小西氏は参院憲法審で野党側の筆頭幹事を務め、憲法改正に積極的な与党などに批判的な見解を示してきた経緯がある。

 これに対し、小西氏は29日に自身のツイッターで「(発言は)オフレコで、特に『人にサルはいけないですね』と撤回していた」と説明。その上で、フジテレビの過去の報道が「国会審議の核心論点を放送してない」と主張し、放送番組の政治的公平を定めた放送法4条に違反していると持論を展開した。元総務官僚である自身の経歴を引き、「元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」とも投稿した。

 小西氏は30日、国会内で記者団の取材に応じ、自身の投稿について「私は名誉毀損を受けたという認識。非常に偏った報道で、一個人として対抗措置を取らないといけない」などと主張。「事実として放送法に抵触している」とし、政治的圧力にはあたらないと強調した。「サル」などと揶揄した発言については「私の発言報道により不快な思いをされた方々にはおわびを申し上げたい」と釈明した。

 小西氏は開会中の通常国会で、放送法4条の解釈をめぐる安倍政権下の首相官邸と総務省とのやりとりを記録した行政文書を入手し、公表。政治の関与で報道側を萎縮させた可能性を指摘し、「報道の自由が危機にひんしている」などと、当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相らへの追及を強めていた。

 この小西議員の放送局批判の発言を読売新聞も取り上げています。タイトルは『「サル発言」小西洋之氏、NHKやフジTVに圧力か…釈明会見で「法的措置とる」』で、以下に引用します。

 立憲民主党は31日、憲法審査会の毎週開催を「サルがやること」などと発言した小西洋之参院議員について、参院憲法審の野党筆頭幹事から更迭すると発表した。統一地方選への影響を考慮して幕引きを図る狙いがあるが、党内外の批判は収まっていない。

 泉代表は同日の記者会見で、「党としても謝罪したい。発言は党の見解とは異なる」と陳謝。「自制心をなくし、他者を攻撃するばかりになってはいけない」とも語り、小西氏を口頭で注意したと明らかにした。

 ただ、党内からは対応の不十分さを指摘する声が出ている。一連の経緯の中で、小西氏が報道機関への圧力と取られかねない発信を続けているためだ。ツイッターには「NHKとフジテレビに対し、あらゆる手段を講じて報道姿勢の改善を求めたい」などと投稿したほか、30日の釈明記者会見でも、記者団の質問に「法的措置をとる」と繰り返した。小西氏は国会で、放送法を巡って安倍政権が報道に圧力をかけたと政府を追及しており、党内でも「言動が矛盾している」との批判が広がっている。

 日本維新の会は30日、立民側に対し、小西氏に「厳格な処分」が下るまで、国会での「共闘」を凍結すると通告した。野党連携にも影響が出始めた状況に、立民幹部は「役職停止など正式な処分が必要だ」と語った。

Images-1_20230331161501  小西議員は以前から、その人間性を疑わせるような傲慢な態度で国会の質疑に登壇し、「クイズ王」と言われるように、答弁者を困惑させるようなクイズ質問をしたり、「小西文書」問題でも見られたように、違法とも思われる手段を用いて、国民のことはそっちのけで、ひたすら閣僚の辞任を要求するなど、国会議員としてあるまじき態度を取ってきました。

 泉立民代表からは「改めて自身の立場の重さと、常に自らを律して自制心を持って発言、行動していくことは極めて大事だと強く思う」と言われ、参議院憲法審査会の野党筆頭幹事ポストから更迭されましたが、ガーシー元議員同様、議員辞職を心から願いたいですね。

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