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2023年4月 3日 (月)

池田信夫氏:日本はなぜ「秘密だだ漏れの国」になったのか 小西議員は国家公務員法違反の共犯か

Photo_20230402143701  「厳重取扱注意」と公印が押された総務省内部文書が、小西洋之議員の手に渡っていた事件は、小西氏本人と総務省の双方とも口をつぐんでいますが、日本の機密保持の甘さを露呈した事件だと言うことが出来ます。

 これ以外にも、日本の秘密管理が甘い事例は多く見られます。何故こうも甘いのか、その背景をアゴラ研究所所長で経済学者の池田信夫氏が、JBpressに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『日本はなぜ「秘密だだ漏れの国」になったのか 小西議員は国家公務員法違反の共犯か』で、以下に引用して掲載します。

 今年の参議院予算委員会ほど無内容な国会は珍しい。立憲民主党の小西洋之議員が総務省の8年前の「内部文書」を持ち出して放送法の解釈変更を追及し、高市早苗経済安全保障担当相が、自分についての記述が「捏造だ」と言い、捏造でなかったら議員辞職すると答弁したため、ほぼ1カ月、国会審議がこの文書をめぐる論争に費やされた。

 その中で、忘れられた問題がある。小西議員がこの文書を「超一級の極秘文書」とする一方、その入手経路を明らかにしないことだ。これは国家公務員法の守秘義務違反にあたる疑いが強いが、当の総務省がこの問題を避けているのだ。それはなぜだろうか。

白昼堂々おこなわれた国家公務員の「秘密漏洩」

 国家公務員法100条では「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と守秘義務を定め、「職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長の許可を要する」と規定している。

 つまり国家公務員法にいう「秘密漏洩」とは、公務員が職務上の秘密を(情報公開請求などによる)許可なく発表することである。この意味で「厳重取扱注意」と公印が押された今回の文書が「職務上の秘密」にあたることは明らかだ。

 同法109条では「秘密を漏らした者」について「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定めている。小西氏によると今回の文書は「総務省職員」から提供されたというから、この職員が守秘義務に違反したことも明らかである。

 では公務員が秘密を漏洩しても、国家公務員法違反にならない場合があるだろうか。小西氏は本件が公益通報だと主張しているが、公益通報者保護法によれば、公益通報とは「個人の生命又は身体の保護その他の犯罪行為の事実」を外部に通報することである。

 公益通報者が保護されるのは、官製談合のように役所の中で犯罪が行われた場合であり、今回の放送法の解釈が犯罪行為でないことは明らかだから、公益通報には当たらない。小西氏は(おそらくこれを意識して)「放送法の違法な解釈変更」と繰り返しているが、法律に違法な解釈などというものはない。

 小西氏は、自分には免責特権があると信じているようだ。確かに憲法では国会議員は「議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない」と定めているが、院外の記者会見やSNSで秘密を漏洩した場合には適用されない。これは森ゆうこ事件の東京高裁判決の示す通りである。

 したがってこの文書を漏洩した総務省職員の国家公務員法違反はまぬがれない。この犯行は明らかなので、総務省はその職員(氏名不詳)を告発する義務を負う(刑事訴訟法239条)。この点では法律の専門家の意見は一致しているが、問題は小西氏の容疑である。

西山事件より悪質な「秘密の政治利用」

 国家公務員の秘密漏洩については、外務省の沖縄密約をめぐって争われた「西山事件」についての1976年の最高裁判決が、最も重要な判例である。

 ここでは守秘義務の対象となる秘密を「非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるもの」と厳密に定義した上で、密約が「外交上の秘密」に当たるとし、これを毎日新聞の西山太吉記者に渡した外務省職員を有罪とした。

 最大の焦点は、その電文を入手して報道し、国会で(結果的に)公開した西山記者の行為を違法とするかどうかだった。これについて最高裁は、国家公務員法111条の「そそのかし」にあたると判断し、西山記者に有罪を言い渡した。

 最高裁判決は、そそのかしを「秘密漏示行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新に生じさせるに足りる慫慂行為」と定義した。今回の事件で小西氏が「慫慂(しょうよう)」したかどうかは今のところ明らかではないが、彼は総務省OBなので、退職後の守秘義務違反に問われる可能性もある。

 西山事件の最高裁判決は、報道の自由を制限した判例として憲法学者にも批判が強いが、今回の事件は国会で閣僚を辞任に追い込もうとする政治利用であり、国民民主党の玉木雄一郎氏は「政治的意図をもってリークが行われる」ことを批判した。

 いずれにせよ、本件が国家公務員法違反に問われることは確実である。国会の会期中は小西氏には不逮捕特権があるが、家宅捜索や任意の事情聴取は可能である。

 総務省がこの問題に言及すると、この文書を漏洩した職員が懲戒処分や刑事罰に問われるだけでなく、その上司や大臣も責任を問われるだろう。それが総務省が曖昧な答弁に終始した理由である。

軍事機密を守れない平和ボケ

 本質的な問題は、このように政府の秘密文書が国会で公開され、SNSで世界にばらまかれる異常事態である。この事件がお咎めなしで終わったら、日本政府はアメリカから機密情報を提供してもらえなくなるだろう。

 日本は「スパイ天国」だとか「秘密の守れない国」だという定評があるが、その原因は(特定秘密保護法で厳格に管理されている)公務員より政治家にある。有名な例は2001年の同時多発テロのとき、アメリカのパウエル国務長官がアーリントン墓地に避難していると記者会見でしゃべった田中真紀子外相である。

 今回も岸田首相のウクライナ訪問のとき、キーウに着く前に日本テレビが「首相はポーランドから列車経由でウクライナに入った」と映像つきで報じた。これがロシア軍に知れたら、列車が爆撃される可能性もあった。

 日本の秘密情報がだだ漏れなのは、このように命のかかった情報がほとんどないからだ。今回のような行政事務の話が公開されても実害はないが、これが総務省の管理している無線局の位置情報だったら、戦争で攻撃されると自衛隊は動けなくなる。

 しかし米軍の情報網は別系統だから、台湾有事の際に日本政府の情報が漏れても、何とかなる。だから米軍は日本政府に軍事機密を渡さない代わりに、東京の上空を米軍横田基地の管制空域にしているのだ。

 それを「日本は占領支配のままだ」と嘆く人がいるが、米軍が撤退してその通信情報を総務省が管理したら、職員が野党にその情報を横流しするかもしれない。それをSNSで世界に公開する国会議員が出てくるかもしれない。

 日本政府の秘密管理が甘い原因は、こういう平和ボケなのだ。その弊害は今のところは国会が1カ月つぶれるぐらいだが、中国や北朝鮮のサイバー攻撃が激化する中で、こんな情報セキュリティ管理で日本は守れない。

 それを防ぐセキュリティ・クリアランスの担当大臣が、今回の攻撃の対象になった高市氏だったことは偶然ではないだろう。これは民間企業にも公務員のような守秘義務と罰則を課す制度だが、抵抗が強く法制化が難航している。

 しかし今回の小西文書の事件をみると、日本の情報セキュリティには政治家(特に野党議員)という大きな穴があいていることがわかる。この穴をふさがないで民間人の管理強化だけやっても、ほとんど効果はないだろう。

 この小西議員に、一体情報セキュリティ感覚があるのか、問いたいところですが、少なくとも憲法審の「サル発言」を平然とやってのけるこの人物には、甚だ疑問があります。

 それにもし、セキュリティクリアランスの立法化に邁進する高市経済安全保障大臣を、この騒動を持って辞任に追い込もうとしていたのなら、完全な政治犯罪となるでしょう。

 それでなくとも池田氏の言うように、「小西文書」でもって、機密保持に抵触するような行為をしたのですから、この人こそ議員辞職をしてしかるべき人物でしょう。

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