有本香氏:日中パイプ役林外相の訪中は無残な結果に 拘束日本人は解放されず、今また日本のEEZに「飛行禁止」通知される
日本は日中国交正常化交渉の時から、中国との外交は「釈迦の掌で踊る孫悟空」のような、相手の手中にはまった外交を繰返してきました。当時中国はソ連との軍事的な確執に加え、文化大革命の負の影響で国内が貧困に喘いでいた時期でした。ですから経済的にも安全保障上も、日本を何とか味方につけたいと、以前から戦略を練っていたのです。
一方日本は、日米同盟のもと西側陣営の一員として、共産主義中国とは体制が異なるため、おいそれとは国交回復交渉には踏み切れないでいました。特に戦時賠償のリスクが大きく覆い被さっていたことも躊躇していた要因です。
ところが中国はこの賠償を取り下げたのです。それで日本は「掌」の上に乗ってしまいました。そして突きつけられた台湾との断交をやむなく受入れ、尖閣も棚上げにされてしまいました。その後はODAで長期の資金がつぎ込まれ、日本企業の投資と技術が雪崩を打って投下され、中国の経済発展の礎となったのです。まさに中国の思うつぼでした。
いまもその「掌」の上に乗せられ、日中外交が進められています。ジャーナリストの有本香氏がzakzakに寄稿したコラムにそれが語られています。タイトルは『林外相〝訪中無残〟日台警戒、中国が尖閣周辺「飛行禁止」通知 旗色悪い国になぜ弱腰か「国際宣伝戦」仕掛ける好機も』で、以下に引用して掲載します。
◇
中国が、日本を含む周辺国・地域に、16日から18日の日程で、台湾の北方に「飛行禁止区域」を設定すると通知してきた。「宇宙に関する活動」を行うためという。政府関係者によると、中国が通報してきた区域には沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)が一部含まれている。台湾が抗議して、期間は16日午前の約27分間に短縮された。中国軍は台湾周辺で軍事活動を活発化させており、周辺国は警戒を強めている。ジャーナリストの有本香氏は、中国が続けてきた「危険なゲーム」と、「親中派」の林芳正外相による訪中への疑問を指摘した。
*********
中国政府が、16日から18日にかけて、「航空機の飛行の安全に影響する可能性がある区域の設定」を、日本政府などに通報してきたという。松野博一官房長官が12日の記者会見で明らかにした。
台湾国防部の幹部も同日、中国が同じ日程で、台湾の北約85カイリ(約157キロ)に飛行禁止区域を設定したと発表した。同区域は「日本や韓国、米国などの民間航空機が多く往来する区域」だという。台湾メディアが伝えた。
この区域には、日本のEEZも一部含まれているというが、「領海を含め関連する航行警報については中国側からの通報はない」(松野氏)そうだ。
松野氏は「詳細な情報の収集分析を行っている。その結果を踏まえ、しかるべく対応していきたい」と語ったが、しかるべく対応とは、例えばどんなことを言うのか。
この件で想起したことが二つある。
一つは約10年前、安倍晋三政権下の2013年11月23日で起きた、「尖閣諸島防空識別圏問題」だ。
防空識別圏(ADIZ)とは、不審機の領空侵犯を防ぐことを目的に設定されるものである。これ以前、日本は設定していたが、中国にはなかった。その中国が設定した意図は、日本の安倍政権への牽制(けんせい)、もっと直截にいえば、嫌がらせだったであろう。
ただし、このときの国際社会の反応は中国側の意図したものではなかった。
第2次安倍政権以前、中国が日本に対して、〝歴史〟や〝領土〟をネタに争いを仕掛けると大概、国際社会は中国に味方した。ところが、このときは、米国が、伝統的に中国に融和的な民主党政権だったにもかかわらず、中国に自制を促した。
海外の主要メディアも同様の論調だった。
過去、歴史問題では、史実そっちのけで日本を批判することばかり多かった米紙ニューヨーク・タイムズでさえ、「極めて挑発的で、緊張を高め、日本との直接的な衝突の可能性を高めた」と中国を批判した。中国は尖閣諸島周辺で「不安定化を作り出した」とし、「米国は日本や他のアジア諸国のために立ち上がる必要がある」とまで書いた。
英紙フィナンシャル・タイムズも「危険なゲーム」と題した社説を掲げ、中国に日本への挑発行為をやめるよう要求した。
この頃、国際社会、特に米国の対中認識に大きな変化の兆しが見えたといえる。
この13年と比べたら、いまの中国の旗色の悪さは比較にならない。いまや日本が大きな非難の声を上げ、国際社会に同調を求める宣伝戦を仕掛ける好機ともいえるのだが、例によってわが国は静かだ。日本メディアの中にも、この件を深刻な危機感を持って伝える論調は少ない。
「中国とのパイプ」何だった
もう一つ、本件で想起したことは、1日から2日に行われた林芳正外相の中国訪問である。
米国では2月、自国領内に中国の「偵察気球(スパイ気球)」が侵入したことを理由に、国務長官が訪中をドタキャンした。一方のわが国は、先週の本コラムで報じたように、米国での事件の約2週間後、多数の気球が日本海側に飛来したにもかかわらず、構わず、外相訪中を決行した。
自国民を拘束した国へ、その直後に出かけた外相が、満面の笑みを作って相手の外交責任者と握手をする。さらに、平時と同じ、「私の訪中が実現したことは大変うれしい」と、カメラの前で発言する始末。私には、正気の沙汰とは思えなかった。
この林氏訪中の後、追って届いたのが、「飛行禁止区域」設定の一報だ。拘束された大手製薬会社現地法人幹部が帰る見込みはないままに、である。
メディアやテレビコメンテーターらが、何かにつけ、「中国とのパイプを持つ政治家が重要」と連呼してきたのは一体何だったのか。
日本政界で一二を争う「親中派」である林外相の対中パイプはいま、どんな役に立っているというのか。
林氏の「パイプ」が、中国側が吸うだけの「ストロー」に堕してしまわないうちに、日本政府は、気の利いた国際宣伝戦の一つも仕掛けるべきである。
◇
まさにこの林外相は、中国の「掌」で踊らされる「孫悟空」と同じではありませんか。政界、財界に多くの親中派がいるのは、長期にわたって踊らされている結果でしょう。
テレビをはじめとするマスコミも、完全に中国の影響を受けています。これも中国の「掌」の中で、中国批判は控えめにして忖度しているのです。もはや経済力も軍事力も完全に日本を引き離した中国に、せめて戦略だけでも負けないようにしなければ、これからも「掌」の上で踊らされ続けてしまうでしょう。加えて親中派の外相は中国にとって「カモネギ」です。早急に適切な人物に変える必要があるでしょう。
(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)
(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)
« 小林一哉氏:静岡のリニア議論は「末期症状」 致命的な誤りを認めた川勝知事の「新たな大問題」 | トップページ | 和田政宗氏が国会質問で「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害があったことは否定できない」との外務省見解を覆す快挙 »
「政治、外交」カテゴリの記事
- 有本香氏:日中パイプ役林外相の訪中は無残な結果に 拘束日本人は解放されず、今また日本のEEZに「飛行禁止」通知される (2023.04.15)
- 中国の若者の「空前の就職難」で日本に留学生が押し寄せる 中にはスパイが潜み日本の「経済安保の危機」を招く (2023.04.11)
- 長谷川幸洋氏:中国で拘束の邦人奪還へ「スパイ防止法」急げ お願い外交ではダメ「人質交換」が世界の現実(2023.04.10)
- 岸田首相、韓国大統領をG7に招待の意向。宮嶋茂樹氏:「えっ、ウソやろ。韓国大統領、G7に呼ぶんか?」(2023.03.18)
- 「徴用工」の解決策 安易な迎合は禍根を残す 根本的な歴史認識の掘り下げなしに「歴代内閣の立場を踏襲する」と言う表明は最悪だ(2023.03.08)