立憲民主が「野党第一党」の時代は間もなく終わるかも知れない まともに議論せず批判ばかりで中身がない
野党第一党の立憲民主は泉新代表誕生の時、「提案型政党」に変わると宣言したはずでした。しかしその後の選挙での敗北と支持率の低迷により、元の「何でも反対」政党に逆戻りしたようです。最近の立民各議員による国会質問での、意味のない政府批判色満載の状況から、はっきりそれが汲み取れます。
しかしいくら政府与党批判を重ねても、各種世論調査での支持率向上は見られません。それはそうでしょう、国民の多くはこの政党が国のために資する政党とは、どう見ても見られないと判断しているからでしょう。
そうした中、最近の国政選挙や統一地方選での党勢停滞から、野党第一党の地位が危ぶまれて来ています。その辺の状況をルポ作家の青沼陽一郎氏が、JBpressに寄稿しています。タイトルは『立憲民主が「野党第一党」の時代は間もなく終わるかも知れない 補選で仕掛けられた維新による「立民追い落とし」にまんまとやられる弱体ぶり』(4/29公開)で、以下に引用して掲載します。
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統一地方選挙で躍進した日本維新の会。自民党が4勝1敗だった衆参補欠選挙でも、衆院和歌山1区で自民候補との事実上の一騎打ちを制して、唯一の黒星を付けている。
自治体の首長や地方議員を600人とすることを目標としていたが、公認した599人が当選し、非改選の175人をあわせると774人になった。奈良県知事選挙では自民候補を下して、大阪以外ではじめて公認知事が誕生したことも大きい。
この結果を受けて、野党第一党の奪取に本腰を入れはじめた、とする報道も散見するようになった。だが、それは間違いだ。
維新はとっくに野党第一党を視野に入れている
維新は選挙中から野党第一党を目指してあからさまに立憲民主党を追い落としにかかっていた。それは衆院補欠選挙で和歌山1区と並んで公認候補を立て、立民と競合した千葉5区の選挙から知ることができる。
千葉5区は、自民党の薗浦健太郎前議員が、政治資金パーティーで得た収入を政治資金収支報告書に過少に記載した政治資金規正法違反で略式起訴され、議員辞職した「政治とカネ」の問題に伴うものだった。自民も公募で独自候補を立て、与野党の7人が立候補する乱立となった。それでも報道各社の事前の情勢分析では、自民と立民の事実上の一騎打ちと見られていた。
そこへ割って入ろうと、維新が擁立したのが、28歳の岸野智康候補だった。「政治とカネ」の問題や政策で自民党を批判するのは当然としても、街頭演説であからさまに立憲民主党を名指しして批判していたのだ。国会での放送法をめぐる追及、安全保障への取り組み、憲法審査会の「サル発言」などなど。市川市内の巨大ショッピングモールの昼時。幼い子どもを連れた母親も目立つ中で、選挙カーの上に立ち、マイクを通じて、政策より立民の政治姿勢を批難する。演説にも力がこもり、その勢いは罵倒にすら聞こえるほどだ。
「立憲民主党は意識している」
街頭演説のあとに真意を質すと、はっきりそう答えていた。
「日本維新の会はあと3回の衆議院選挙で与党になることを目標にしている。その前に野党第一党になって立民を超える。そのための選挙だと考えている」
「国会でまともに議論したいのに、立民はイデオロギー対立ばかりで中身がない」
今年2月の党大会。日本維新の会は、今後3回以内の衆院選で政権奪取することを目標とした2023年の活動方針を決めている。そこでは、統一地方選挙で地方議員を600人増やすことも掲げ、目標に届かなければ、馬場伸幸代表は、代表を辞任する意向も示していた。地方議員を増やすことは「国政選挙の足がかりになる」としていた。それを踏まえてのものだろう。
「自民党対野党といった時の野党とはどこか。野党がまとまらない中で、政権への不満があり、立民もダメとなれば、維新がその選択肢に入る。野党第一党はどこか、それを問うのが統一地方選挙の目的」
目指すべきは保守中道の2大政党による政権交代にあるとする。
「国会でも中身のある議論に入りたいのに、立民はイデオロギーの対立ばかりしていて中身がない」
「防衛費のGDP比2%の増額にしても、中身の議論をすべきで、それもない立民はずれている。憲法審査会でのサル発言にしても、野党第一党とは言えない」
そこであえて立民を名指しして批判する。自民の前に立民を追い落としにかかる。
「立憲民主党は与党になるつもりはない」
それは候補者だけの考えではなかった。選挙戦最終日には藤田文武幹事長も応援に入り、マイクを手にこう語っていた。
「もうね、立憲民主党に自民党に代わり得る勢力になる可能性は0%です、ありませんから。なぜなら、国家の根幹である憲法の話をしようとしたら、議論するだけでサルというバカがいるんですから。それからね、外交安全保障、エネルギー、そういう話を表で議論やりましょうといったら、やらないんですから。党内にまとめる力がない。
加えて、野党第一党の仕事は与党になることですよ。選択肢を示して、前回の衆議院選挙は彼らは220〜230の候補者を立てました。だから与党になる可能性はあったんです。でも次回衆議院選挙、150以下しか出せないと宣言してるんですよ。
もうね、与党になる気ありません。だから次回の衆議院選挙で私たちは、その野党第一党という座は代わってもらおうと思っている。まあ、ご勇退いただいて、立憲民主党さんには。
私たちが自民党と対峙し、そして政策競争、改革競争、そして政治姿勢の覚悟を勝負する、そういう正々堂々の政治を、批判だけじゃない、提案型のガチンコ勝負のそういう政治を実現させていただきたい」
党執行部の意向がよくわかるこの発言は、YouTubeで今でも確認することができる。
千葉5区の結果は、自民が5万0578票を集め、立民4万5635票の4943票差で勝利した。そこに国民民主党の2万4842票、維新の2万2952票と続く。共産党も1万2360票を獲得した。立民が勝てると踏んだここ千葉5区と、参院大分選挙区でも自民候補にわずか341票差で敗れて、全敗だった。
立民の岡田克也幹事長は、千葉5区での敗因を「野党が候補者を調整できなかったこと。その1点につきる。これを1つの教訓にしなければいけない」と語っている。
だが、維新は今年2月の段階で、立民からの千葉5区の候補一本化に向けての協力要請を断っている。馬場代表は「他党との選挙協力は絶対にしない」とも言い切っている。挙句に、国会では「共闘」しながら、選挙で一方的に立民を批判し、野党第一党の追い落としにかかる。それを立民の執行部はわかっているのだろうか。
野党第一党の立場、必ずしも盤石ではない
維新にしてみれば、結果は立民の半分にも及ばない得票でも、ある一定の存在感を示し、立民の足を引っ張ったのなら、ひとつの役目を果たしたとも言える。
今回の補欠選挙は、岸田文雄首相の今後の解散戦略にも影響を与えるとされた。早ければ、来月のG7広島サミットのあとの解散も囁かれる。4勝1敗とはいえ、衆院千葉5区の自民の得票率は30.6%で圧倒的に野党票が多い。参院大分選挙区も341票差の勝利だ。それでも勝ちは勝ちだ。これをどう見るか。維新の躍進も不気味だ。
ただ、維新はあらゆる選挙区で候補者を立てる方針を急ぐ。千葉5区の補選のように、維新が独自候補を立て、野党が浮動票を食いあって票が分散することになれば、自民の勝利もみえてくる。そうであれば、早い時期の解散もあるのかもしれない。そのあとには立民が野党第一党の座にいられるか、それもひとつの注目となる。
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立民の体たらくに比較すれば、維新はまだマシだという感じはします。しかし自民党に代って政権の座に着けるか、と言う点では、人材や政策の面でまだまだというのが実態でしょう。ただ日本の重要課題に論点を置かず、政府与党批判一点張りの立民よりは、まだましだと言えるでしょう。
日本の国会はそもそも国の重要課題を審議し、行政に対し国や国民のために最良となる法案を立法し、提供する大切な役割があります。その役割を放棄し、意味のない批判ばかり繰返すような政党ははっきり言って必要ありません。国民の中には「権力批判」をよしとする人たちも一定数はいます。しかし野党の中にもしっかりした政策を提案し、それを実行する意欲のある政党が出現すれば、自ずとそちらへ目は向かうのではないでしょうか。
野党がしっかりすれば、与党も安閑として入られず、結果として国会議員そのものの質の向上が期待できます。別に維新とは限らないのですが、与党に互してしっかりと、国と国民のための政策論戦が出来る野党の出現を願うものです。
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