日本復活の処方箋、次の世代を育てる大人の役割を全うせよ
今日は政治や時事問題から少し離れて、APU(立命館アジア太平洋大学)の学長である出口治明氏が、DIAMONDonlineに寄稿したコラムを引用します。タイトルは『「最近の若者は…」という大人が大間違いな理由』です。
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APUからハーバード&オックスフォード大学大学院へ!?
世界中から優秀な人にきてほしいという話も聞きます。僕が学長をしているAPU(立命館アジア太平洋大学)は学生の約半分が外国人です。とても優秀な学生が世界中から集まっています。
去年の卒業生の総代は、ダイレクトにハーバード大学大学院に入りました。
一昨年はオックスフォード大学大学院に入っています。
地方の私立大学で、ハーバードやオックスフォードの大学院にダイレクトに入るケースはほとんどないと思います。
でも、彼らはAPUにきて、さらに世界の有名大学の大学院を目指します。
僕が「なぜ?」と聞いたら、
「欧米のほうが日本より経済成長率が高いから、若い人にもいろいろなチャンスがある。新しいユニコーンが生まれているから、ワクワク、ドキドキする」というのです。
世界中から優秀な人にきてもらおうと思ったら、社会がある程度成長し、ワクワク、ドキドキする、新しいものがどんどん生まれる社会をつくっていかなければなりません。
日本復活の処方箋
そう考えれば、日本を再興させる一番いい方法は、日本でも数十匹単位でユニコーンが生まれるようなオープンな社会をつくっていくように、我々大人が頑張らなければいけないわけです。
そうしないと、この国は衰退の一途をたどるだけです。
よく、こんな声が聞かれます。
「最近の若者は新聞も読まない。本も読まない。上昇意欲もない。保守的だ」
でも僕は根本から間違っていると思います。
若者は大人を映す鏡です。
若者は大人をロールモデルとして行動しているので、「今の若者が新聞も本も読まない」のなら、それは大人がその見本を見せていないからです。
若者がリスクをとらないなら、それは大人がリスクをとって行動していないからです。
そういう意味で、人間は何のために生きているかといえば、「次の世代のために生きている」のです。
これは動物としての根本なので、次の世代を育てることが大人の唯一の役割なのです。
そうであれば、大人がまず「人・本・旅」で一所懸命勉強して新しい産業や起業にチャレンジし、みんなでユニコーンが生まれる社会をつくっていくことが根本なのです。
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これは立命館小学校で行われた出口氏の講演のダイジェストと言うことです。私もかつて企業の能力開発部門に籍を置いていたので、教育や人材育成には興味があります。出口氏の言葉の中で「人は次の世代のために生きている」という部分に強く共感を覚えます。
昨今自分の子供を虐待したり、またはネグレクトする親が増えているのを見たり、それ以前に結婚しない人たちが増えているのを見ると、人間は生き物の一種でありながら、生き物の最も重要な「種族保存」本能を忘れた、いわば絶滅危惧種なのではないか?と感じることもあります。
私の好きな動物の番組では、時折自己の危険を顧みず子供を守ろう、助けようという親の行動をとらえたものをよく見かけます。人間も本来そうであるはずです。ですから「人は次の世代のために生きている」という考えは非常に重要な考えだと思うのです。
しかし個人の自由と権利が強調される現在、ともすると親は親、子供は子供と自己を中心に考えるようになり、上述のような親が出て来たり、未婚の人たちが増えてしまうのでしょう。また子供も高校生くらいになると、逆に親を親とも思わない言動をとる子供も出てきます。極端な例では親に傷害を与えたり極端な場合殺してしまったり。
たまに動物の中にも子育て放棄の親もいるようですが、それは特殊な例です。それに自分の子にまさか虐待をする動物の親はいないでしょう。
個人の自由の行きつく先が生き物本来の目的、種の保存にも多大な影響を与えているのだとしたら、重大です。実際先進国と言われる国では人口減少が始まっています。そして日本はその先頭をひた走っているのです。
日本は戦後75年、徐々に今のような形になりました。確かに豊かになり、安全は保たれているようです。しかし多くの人がどうも満足していないようです。出口氏の言われるように「ワクワク、ドキドキする、新しいユニコーンができる社会」とは、少し離れているのかもしれません。それを若い人たちに期待するのではなくまず大人が実践せよ、と出口氏は言っています(小学校での公演が少し気になりますが。)
私自身新聞や本をよく読み、旅も海外を含めよくしていますが、若い人に「俺の背中を見ろ」と偉そうに言えるものは残念ながらあまりないような気がします。
ですがこれだけは言いたいと思います。「世の中を批判的にあるいは分析的に見るのは大いに結構。ただしそれが改善に役立つならば。批判のための批判だけは絶対にするな。それでは世の中の改善に何の役にも立たないから。必ず批判や分析の後は、こうしたほうがいいと言え。理由や根拠をつけて」。実はこれ、今の野党の先生方に最も言いたいことです。
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