海外、政治

2022年9月15日 (木)

大統領が替わったら日韓関係は改善に向かうのか?在日3世が語る韓国の現状

13_20220915102901  韓国の保守政権に変わったら、韓国社会は少しは変わるのか。尹錫悦新大統領の支持率は極めて低い状態が続いています。文在寅前大統領時代に完全に悪化した日韓関係。本当に今までの反日姿勢を転換できるのか、そして社会は少しは変わり始めたのか、注目されています。

 以前にも登場いただいた、韓国コンサルタントで在日3世の豊璋氏が、そのあたりの詳細をマネー現代に投稿しているので、引用して紹介しましょう。タイトルは『「在日3世」の私が、韓国で「日本、謝罪、謝罪、謝罪」という“番組”を見てわかった「反日不買」の“意外すぎる結末“』です。

韓国では、文在寅元大統領の「日本に2度と負けない」をスローガンに、反日、不買運動が大きく盛り上がったことは記憶に新しい。

しかし、そんな反日不買ムーブメントのウラで、じつは変わらず韓国経済が「日本製品頼み」を続けていた現実についてはあまり語られない。

日本で生まれ、現在は韓国に住む「在日3世」の著者は、現地にいるとそうした“おかしさ”は気付かれないという。

ここへきてコロナ禍も落ち着きを見せ、日韓の行き来も復活しそうな中、いまこそ“反日不買”の反省をしっかり見直すべき時なのかもしれない。

その教訓とは何だったのか。いま再び韓国で反日ムーブメントが復活する可能性はないのか――その最前線をレポートしよう。

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「竹島上陸」の愚行

日韓関係の歴史を振り返ると、もともと金大中元大統領の日本文化開放以降、李明博政権時には事業家出身の大統領ということで、日韓関係の回復が期待されていた。

李氏をめぐっては、本来の政治家とは違った感覚の持ち主と謳われ、日韓関係の経済関係に大きな刺激を与えると期待されたのだ。

だが、現実はまったく違った。

李氏は真剣に日韓問題に取り組むこともなく、むしろ政権末期には支持率が低迷する中、有終の美を飾るためだけに竹島上陸という歴代大統領の中で初めての愚行を行った。

「日本に二度と負けない」と…

朴槿恵元大統領も朴正煕の娘であることから日韓関係に対して、就任時は周りからは大きな期待をされていた。

そんな朴氏は職務をする姿勢が見られないことから「孤独の大統領」「古株議員の操り人形」と揶揄されたが、そうした中で、電撃的に「慰安婦合意」を発表。そこから日韓関係は、民間ベースでも良好な関係が作られていった。

そのままいけばよかったのだが、朴氏は政権中枢での“孤独”ゆえに、頼った親友崔順実(チェ・スンシル)の所業で任期を満了できず、退陣へと追いやられた。

そんな退陣を先頭をきって声高に叫んでいたのが文在寅なのだ。

言うまでもなく、その後、文在寅政権が誕生し、日韓関係は「歴史上最悪」と言われるまでに悪化していった。

もし朴政権がもう少し続いていれば、もっと違った“歴史”になっていたかもしれないが、そんなことを考える隙も与えないほどに文在寅政権は「日本に二度と負けない」と叫び、反日不買ムーブメントを煽り続けた。

日韓関係は「変わる」のか…?

そんな文政権の所業に嫌気を差した日本は、文在寅政権に代わって誕生した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に関してもいまだ慎重な姿勢を崩さない。

尹錫悦政権発足後、韓国は無茶苦茶になっている米韓、日韓関係修復のため文在寅氏が勝手に配置をやめたTHAADの再配置を決め、2019年の徴用裁判の結審の出る前の約6ヵ月、日本からの提案をすべて無視しほったらかしていた文政権の徴用問題にも積極的に取り組んでいる。

尹錫悦政権はどの歴代政権より日韓問題修復に力を入れていることは、いまのところ間違いのない事実だろう。

大統領選の時、対北係で「国民の力」の選挙運動に尽力していた脱北者の先生が「今回の尹錫悦は内部で、事ある事に日韓問題を取り上げていた。その口ぶりからしても大統領就任後の行動には日韓問題に対する覚悟が見える」と我々に知らせてくれた。

その姿勢については日本も認めているだろうが、いままでの日韓の歴史を考えれば、すぐに「関係改善へ」と手を差し出す気になれないのも理解できるものだ。

「在日3世」の私が経験してきたこと

そんな日韓関係について、日本ではもともと関心が薄かったと思う。

90年代当時までも、我々の話を聞く日本人は少なかった。もちろん、日韓の現状についていろいろ訴えていた在日も少なくないが、日本人はほとんど関心を持っていなかった。それは日本の国政議員も同じで、在日の話す経験からの真実は与太話の様に受け止められていたように感じる。

その結果、日本に長く住み、日本を愛する「在日3世」で私から見ても、日本は韓国、北朝鮮に軽く足あわれているように感じることがあった。

その原因は国民の興味の希薄さと「モノを言えない日本」にあったと思うのだ。

でも、これからは少し期待ができる。日本はもう韓国の勝手にさせてばかりではいけないとばかりに行動し始めている。

「日本、謝罪、謝罪、謝罪」の“意味”

日本人はほとんど知らないと思うが、韓国の右派ネットニュースで「日本、謝罪、謝罪、謝罪」という番組があった。

内容は2019年当時、反日、不買運動の最中、日本の謝罪回数を取り上げて、「(韓国では)日本が謝罪がないと言う方がいますが、日本はこれだけ謝罪してます。これでも、誠意がないと受け止めますか?」としながら、65年基本条約以降に日本が韓国に手を差し伸べた歴史についてしっかり解説していた。

こうして正しい情報が韓国でも少しずつではあるが広がっていく中で、韓国内の日本に対する見方も筆者の実感的にも変わりつつあると思う。韓国では「日本を超えた」などと語り、すぐに日本を比較したがる者も少なくないが、それだけ日本への関心が高いことへの裏返しでもある。

尹錫悦政権下で、徴用問題について国民の理解を求め、自国解決できれば、日本との関係はさらに良好なものへと変わっていくだろう。

そして、民間ベースで行き来する両国関の良好な関係構築はさらに進むだろう。

「真の日韓関係」のために

文在寅政権下の反日色は、確実に民間レベルでは変わりつつある。

そのことを理解したうえで、今後、日本は決して妥協せず対等な言い分をしっかり伝え付き合うべきと筆者は思う。

それが真に日韓関係にとっていい結果をもたらすと思うのだ。

 「手のひら返し」を繰返された経緯から、日本は尹錫悦新大統領が対日関係を改善する意欲は認識していても、少数与党でありかつ支持率の低さも相まって、日本政府がすぐには歩み寄る姿勢を示さないのは、やむを得ないことであり、また慎重に対応すべきでしょう。

 ただ文在寅前大統領の時代、またそれ以前でも、韓国の日本批判に対しその論点に鋭く切り込み、反論してきたかと言えば、完全にNOと言えるでしょう。日本側にもその非は大いにあると思います。それが韓国をつけあがらせた理由の大きな一つでもあるからです。

 従って今後は竹島問題にも、徴用工、慰安婦問題にも、日本の立場を臆することなく伝え、更には韓国で行われている捏造歴史教育にも切り込まなければ、戦後こじれ続けた日韓関係のリセットはできないと思います。

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2022年9月 8日 (木)

相変わらず仁義なき戦い、韓国与野党の国民不在のバトル

S_kyodo_nor2022090501000743  韓国で尹錫悦保守系大統領が誕生して4ヶ月になろうとしていますが、国民の支持率は一向に上がりません。党内のゴタゴタや夫人のスキャンダルなど、政策とは遠いところで批判が渦巻いているからでしょう。加えて少数与党であり、多数を占める野党の「共に民主党」の追及も厳しさを増しているようです。

 そうした中で尹政権も巻き返しに出ています。対する野党もそれに反撃し、まるでバトルのような展開です。そのあたりの詳細を、元韓国大使で外交評論家の武藤正敏氏が、マネー現代に投稿した記事から引用します。タイトルは『韓国で「戦争だ」「報復だ」と“大騒ぎ”…! 文在寅“代理戦争”と化す「与党・検察vs野党・警察」の全面対決がヤバすぎる…!』です。

韓国でいま与野党の「全面対決」が注目を集めている。

野党の民主党の代表に李在明氏が就任すると、韓国検察がその直後に、李在明氏に対して出頭するよう要請したことがきっかけだ。

大統領選では尹錫悦氏と争った李氏だが、選挙期間中から次々に浮かび上がる「疑惑」から“疑惑のデパート”と称されるほどだったが、ここへきてその核心に迫る動きが出てきたわけだ。そうした動きに対して、野党は「狙い撃ちだ」と反発を強めており、まさに全面対決の様相を呈してきた。

韓国でいま、いったい何が起きているのか。そして、これからどうなるのか――。その最前線をレポートする。

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大統領は「私は知らない」

李在明氏が野党第一党の民主党代表に就任すると、韓国検察は3日後の1日、李在明氏に対し、6日に出頭するよう要請した。

この検察の出頭要請に対し、尹錫悦大統領は、記者団に「経済と国民生活が優先」「刑事事件はわたくしも報道を見るが、記事をじっくり読む時間もない」と述べ、李代表に対する出頭要請に介入していないことを強調した。

しかし、尹錫悦大統領は閣僚に検察出身者を多数起用しており、法務部長官は尹大統領の側近である。今回の出頭要請に尹大統領が介入してないと言っても信じる人は少ないであろう。

「出頭要請です。戦争です」

よしんば具体的な指示は出していなかったとしても、法務部・検察当局が大統領の意向は忖度しているであろう。

李在明代表の出頭要請は、国会本会議に出席していた李代表に補佐官から「出頭要請がいま届きました。戦争です」と報告した携帯ショートメールが写真記者団に捉えられた。

民主党内部でもこれを「宣戦布告」と受け止める雰囲気だったという。

李在明代表も記者団に対し「叩いてもだめだから突拍子もないことで上げ足を取っている。適切ではない」と反発する姿勢を示した。

今回の出頭要請は選挙期間中の「虚偽事実の公表」疑惑に焦点を合わせている。

李氏は、城南市長在任中に柏ヒョン洞の土地が自然緑地から準住居地域へと用途変更されたことを巡り、国会の国政監査で「朴槿恵(パク・クネ)政権下の国土交通部が城南市の公務員に用途変更を行うよう圧力をかけた」という発言したのは虚偽の事実だとして、公職選挙法違反の疑い検察の捜査を受けた。

当時の野党国民の力と市民団体の告発によるものである。

死亡した「職員」

また、同氏の大庄洞開発事業を巡る不正疑惑に関連し、死亡した城南都市開発公社職員について昨年のインタビューで「末端の職員だったので市長在任中には知らなかった」と虚偽の発言をした疑いも持たれている。

李在明氏にまつわる疑惑は数限りない。

李在明氏は、大統領選挙中「大統領選挙で負ければ無実の罪で監獄に行くようだ」と発言したと言われ、6月1日の国会議員補欠選挙に立候補したのも、国会議員の不逮捕特権を得たいためであったとの説がささやかれている。

李在明氏の側近では検察の事情聴取を受けるなどした後、4人が自殺したのではないかとの疑惑がもたれている。

不動産疑惑で2人、弁護士費用に関する疑惑を告発した人物、そして李氏夫人の公用カードによる公金流用疑惑である。

李在明氏の偽証から入った捜査は、今後核心部分に迫っていくだろう。

「政治報復だ」「非道な政権だ」

李代表の出頭要請に対して民主党のパク・ソンジュン広報は国会内で記者会見を開き、

「司法機関の主張が間違っていることを示す事実が一部の取材記者の証言で確認されたにもかかわらず、『無条件』で召喚を行っている」「到底納得しがたい出頭要請だ」、「尹錫悦大統領と競合した大統領候補、野党第1党代表に対する政治報復、野党を瓦解させようとする政治弾圧に対し、民主党は退くことはできない」

と批判した。

民主党からは党内の派閥に関係なく非難の声があがった。

非李在明系のコ・ミンジョン最高委員は、ハンギョレ紙とのインタビューで「事案が重くなければ書面で代替するのが一般的だが、党代表に呼び出し調査を通知し、検察自らがイシューを作った」と述べた。

親李在明系のパク・チャンデ最高委員は「(代表に当選した後)このように直ちに政治報復を始めるかは知らなかった」とし、「政治報復、政治弾圧でなくては説明できない措置」と糾弾した。

また、チョン・ソンホ議員は「本人の事件と関連して『事実でない』と言ったことを虚偽事実だと口実をつけて呼び出すとは、こんな非道な政権がどこにあるのか」と反発した。

検察vs警察の様相も…!

こうした民主党の動きに対し、国民の力の法務・司法委員会所属の議員は「当該選挙法事件は9月9日が公訴時効満了なので検察が起訴するには今出席要請するのが順番」「李代表側では民主党内部でいわゆる『防弾用』の党規改正まで推進したではないか。なにが政治報復だと主張するのは妥当ではない」と述べた。

ちなみに、文在寅前大統領に近く、尹錫悦政権から幹部人事などで文在寅体質を転換するよう強い圧力を受けている警察は、検察が李在明氏に出頭を要請した同じ日に「性接待疑惑」調査のため李俊錫前代表の出頭を要求した。

ただ、李代表が性接待を受けたとされるのは2013年7-8月であり、性売買処罰法と斡旋収賄容疑は控訴事項(7年)が満了している。

このように国民の力、民主両党の対立は泥仕合の様相を呈してきた。

尹錫悦政権の支持率が低迷する中での野党第1党代表の検察への出頭要請である。

これに世論がどう反応するかは国民の力、民主党両党にとって重要な要素である。

世論の「リアル」

世論の反応についてはコリア・レポートの辺真一氏が分析している。同氏は社説で取り上げた6紙を分析、いずれも李代表は出頭に応じ、事実関係を明らかにすべきだとの論調であると解説した。その一方で各紙の報道傾向によって主張に違いがあることも紹介している。

保守系の朝鮮日報は、李代表の各種疑惑を述べ、「李代表は『私は関係していない』『知らないことだ』と説明しているが、これまで(李代表が言っていることの)多くは真実ではないことが明らかになっている。彼の周辺の人物が芋ずる式に逮捕され、また極端な選択(自殺)をしている」と主張した。

中立系では、韓国日報は「(政府は)局面転換との疑いを持たれてはならない」「政治的に利用しようという主張は決してばかげているとは言えない」と述べ、国民日報も「嫌疑が適用された李代表の発言も多くは大統領選挙の過程で政治的なやり取りの中で行われたものである。通常選挙が終われば、相手の発言に対する告訴、告発を取り下げるものである」として検察の出頭要請の背景について疑問を呈している。

身から出た錆

その一方で、尹政権に厳しい論調を取るソウル新聞は「民生と国会は与野党の政治紛争の犠牲になってはならない」と述べ、「検察の政治的中立を強調してきた民主党が李代表の捜査を前に政治的論理を唱えること自体が矛盾している」として李代表にとって辛辣なコメントをしている。

革新系のハンギョレ新聞の社説は次のような結論を述べている。

「執権層と関連した事案は次々と不起訴処分となっている。提起された事件の調査は誰にとっても公正かつ厳格でなければならないが、事案の重大性、内容を適切に検討しなければ、政治報復性調査の批判は免れないだろう」

尹錫悦政権にとってさまざまな政策を遂行する上で、民主党の抵抗は大きな障害である。

これを打破していくには、民主党に歩み寄り協力していくか、民主党を無力化させていくかの選択である。 

与党・国民の力にしてみれば、数々のスキャンダルにまみれた李在明氏が代表になったことは、民主党叩きの絶好の機会を民主党が作ったということかも知れない。

「無力化」せよ

尹錫悦政権として文在寅前大統領を叩くことは国民の反発を受けかねない。

しかし、李在明氏は京畿道知事として汚職まみれであり、特に土地開発を巡って巨大な利益を得たことを検証すれば李氏失脚、民主党の自爆に持ち込めるとの計算があるのではないか。

尹錫悦政権の支持率も一時の20%台から、世論調査によっては30%台に回復しているとは言え、依然として危機的状況にあることに変わりはない。国民の支持回復には、経済国民生活を改善する以外ないが、そのためには文在寅政権の経済政策を否定し、抜本的に改革していく必要がある。

しかし、これに民主党が協力する可能性は高くなく、民主党を無力化していく以外方途はないだろう。

そのため、民主党との全面対決に舵を切ったのが今回の検察による李在明代表への出頭要請ということではないか。

 保守系の大統領が誕生して、ようやく親北反日米から反北親米、そして日韓関係改善へと舵を切った韓国ですが、文在寅前大統領の政策新党の影響も大きく、尹政権の先行きも予断ができません。

 そうした中でのこのバトル、果たしてどうなるか、と注目されるところですが、何しろ元はスキャンダル合戦。アメリカのバイデン、トランプ両陣営のバトルとは格が違いすぎます。

 それにしても、反日を是としギャーギャー騒ぎ、スキャンダルまみれの李在明氏が党代表に就任する韓国の政党は、日本では考えられませんね。これが韓国だ、と言うことでしょう。

 尹政権が如何に日韓関係を改善しようとしても、議員の多く、そしてその議員を支えている国民の多くは、相変わらず「洗脳された反日」なのです。再びみたび、「ちゃぶ台返し」をされないよう、慎重に、かつ毅然と対応していく必要がありそうです。


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2021年12月25日 (土)

泥沼の韓国大統領選、これが韓国政界の実態だ

10_20211225100501  来年3月、韓国は大統領選を迎えますが、与野党候補者の戦いは激しさを増しています。ただし政策論争よりもスキャンダル合戦が続き、これが先進国の仲間入りをした国なのか、およそ信じられないような泥仕合となっているようです。

 韓国在住のライター、田中美蘭氏がJBpressに寄稿したコラムから、その概要を紹介します。タイトルは『相次ぐ身内の醜聞に方向感を失った韓国大統領選のドロ沼 カメラの前で土下座した与党候補と妻の学歴詐称で叩かれる対抗馬』(12/24)で、以下に引用します。

 ◇

「またか」というため息とともに、プロレスの罵り合いを見ているような錯覚に陥りそうだ。2022年3月に控えた韓国大統領選挙が本格化する中、激しさを増している与野党の候補者同士による“口撃”である。

 とりわけ、双方の身内に関するスキャンダルの応酬は見ていて見苦しい。クローズアップされるのは、候補者のスキャンダルばかり。両陣営ともに、スキャンダル以外に勝機を見出せない異常な選挙戦は、もはや迷走状態に陥っている。

 例えば、与党「共に民主党」の候補である李在明氏は、自身はもとより、親族など周辺のスキャンダルや不祥事が次から次へと露見し、話題にこと欠かない。スキャンダルの内容も、眉をひそめたくなるようなものばかりだ。

 これまでに取り沙汰されたものといえば、女優、キム・ブソン氏との不倫関係をはじめ、飲酒運転で検挙された過去や暴力団との親密な関係などが挙げられる。特に強烈な印象を与えたのは、李氏の甥が過去に交際女性との別れ話のもつれから、女性と女性の母親をめった刺しにしたという事件であろう。

 李氏本人や直属の家族の起こした事件ではないものの、李氏は甥の弁護を引き受けた上で、甥への「寛大な処分」を主張していたことも明らかになっている。甥の襲撃から自身は何とか逃れたものの、自宅から転落し重傷を負った交際女性の父親は、李氏がこの事件について釈明をした際に、「デートDV(交際相手間の暴力)」と発言したことに不快感を示し、強い口調で非難した。

 続いて浮上したのは、李氏の長男にまつわるスキャンダルだ。長男が違法賭博に興じ儲けていたこと、それに関連したやりとりと思われるネット上のチャット内容が流出したのだ。

 朝鮮日報など主要メディアの報道によると、李氏の長男は2019~20年にかけて、ネット上のポーカー関連の掲示板に、賭博で儲けたという自慢を分かっているだけで200件余り書き込んでいた。さらに、賭博で儲けた金でたびたび、買春をしていたことを示唆する投稿も明らかになっている。

 投稿の内容は、ソウル近郊に実在するマッサージ店の店舗名が書かれたものや、隠語を使って店や風俗嬢を揶揄するような書き込みだ。別ユーザーに対して、「(賭博で)金を儲けてお前も(女を)買え」と買春を勧めるものまであったという。

 大統領候補の長男の不道徳的な行為に対する批判に加えて、名門・高麗大学への進学や、卒業後にインターンを経て金融系企業に就職した経緯についても忖度を疑う声が上がっている。一連の長男の疑惑に対して、李氏はカメラの前で国民に土下座するなど火消しに躍起だ。

ナッツ・リターン事件で職を辞した父親

 日本でも、身内の不祥事を巡り、著名人が謝罪する光景を目にすることがある。こうした親の立場での謝罪について、「子供が成人しているのであれば、親がそこまで謝る必要はない」「影響力の立場にあるからこそ対応は必要である」という様々な声が上がる。

 政治家や企業人、芸能人が子供の不祥事に対して、親が頭を下げたり、親の責任を追及されたりするのは韓国でもままある。

 例えば、2014年に大韓航空の副社長(当時)だったチョ・ヒョナ氏が、機内で客室乗務員のサービス対応が悪いと激昂し、暴言、暴行を働いたケースが挙げられる。混乱に陥った飛行機は、ニューヨークの空港に引き返すことになった。いわゆる「ナッツ・リターン事件」である。

 経営陣の一角であるチョ氏が自社の社員に対して、公共の面前でパワハラしたということだけでも衝撃だったが、さらに彼女の行状や性格、彼女の弟や妹の過去の傍若無人な行動も明るみに出るなど、非難の矛先は父親である当時の会長、チョ・ヤンホ氏に向けられた。

 最終的にヒョナ氏は副社長をはじめとする役職を辞し、マスコミの前で謝罪をしたが、マスコミと世論の反発は収まらず、世間を騒がせたことに対する謝罪と「子供の教育を誤った」と父のヤンホ氏も頭を下げた。その後、グループ会社の韓進海運が経営危機に陥った上に、ヤンホ氏自身も2018年の平昌冬季オリンピック組織委員会委員長を辞職することになった。こういった心労が祟ったのか、ヤンホ氏は2019年に米国で死去している。

 また、李氏と同じく政治家で、野党「国民の力」に所属する国会議員のチャン・ジェウォン氏も、長男の醜聞に悩まされている。

著名ラッパーの政治家のパパも受難

 彼の長男はNO:EL(ノエル)という芸名で活動するラッパーで、中高生を中心に広く人気を博していたが、ここ数年は飲酒運転や暴行事件など警察沙汰が相次いでいる。

 彼は既に成人だが、問題を起こすたびに、父であるチャン氏にも批判が向けられ、進退を問う声が上がる。2021年3月にはチャン氏の地元、釜山で通行人と喧嘩沙汰を起こした。9月には、2019年に続き2度目となる飲酒運転で検挙されている。

 芸能活動よりも、今や醜聞で名を耳にする機会が多くなったNO:ELに対して、国民からは父であるチャン氏の教育と立場を批判する声が相次ぐ。大統領府の国民請願のホームページには、チャン氏の「議員職剥奪」を求める意見が投稿され、12万人が同意した。

 国民請願は同意数が規定に満たなかったために、政府からの特段の回答はされなかったものの、チャン氏は国民に向け、「(息子の不祥事について)成人として、自分が犯した過ちに対していかなる処罰も甘んじて受けなければならない。国会議員として、息子に関する事件には、いかなる影響力も行使しないことを明確にする」と釈明した。野党の大統領候補、 尹錫悦氏の選挙サポートチームへの参加辞退もすることとなった。

 李氏に対して、同様に「京畿道知事の辞職、ひいては大統領選挙の候補者を辞退すべきだ」という声が出るのも当然の流れだ。むしろ、その声がもっと大きくてもいいのではないかさえ感じる。

 現に、筆者の周辺だけでなく、ネット上でも「自分の子供のこともまともに教育できない人間が政治を行うとは聞いてあきれる」「あなたの口だけの発言とパフォーマンスを見ていると政治家より俳優にでも転身した方がいいのではないか」「このような人物が大統領候補に堂々となっていることが恐ろしい」といった意見が散見される。

 李氏をはじめとする政治家、企業人の子息、子女の不祥事に対して国民の心象が悪くなるのは、自身の家族さえまともにまとめることもできない人間に、リーダーが務まるのかという率直な気持ちの現れだ。

 李氏と与党は土下座謝罪で「問題は解決済み」という印象を与えようとしている。一連のスキャンダルから国民の目をそらせたいのだろう。

究極の選択を強いられる韓国の有権者

 現在、大統領選は「家族リスクによる混迷」を指摘されている。李氏のスキャンダルのインパクトが目立つが、対する野党「国民の力」の尹氏も夫人の学歴や職歴について、虚偽や詐称が指摘されている。

 学歴社会の韓国では、経歴詐称や不正入学には厳しい目が向けられる。尹氏も夫人の疑惑に対して対応を迫られている。両者のスキャンダルについて、李氏が不利とする見方が多数ある反面、尹氏が苦戦を強いられることになるという見方もある。今後、選挙戦にどのように影響していくかは未知数だ。

 従来、韓国の大統領選挙は相手のネガティブキャンペーンで盛り上がるところがある。ただ、今回は李氏に醜聞が多く、尹氏は政治手腕が未知数という点から、どちらも大統領候補者として疑問符が付いている。その中で、国民は「どちらもふさわしいと思わないけど選ばなくてはいけない」という「究極の選択」を迫られている。

 既に大統領選の争点は、あるべき政策論などからかけ離れ、それぞれの自身または家族によるスキャンダルに移っている。

 国民が置き去りにされた感じさえある大統領選挙だが、世論調査では、10代(満18歳以上)、20代の若年層の有権者達が大統領選挙に高い関心を示し、「投票に行く」と回答している結果も出ている。

 前述の学歴等の不正や詐称は言うまでもないが、特に若年層は同世代の政治家や企業人の子息、子女が親を後ろ盾に忖度を受けることを嫌う傾向にある。このため、若年層にとっては、尹氏の夫人のスキャンダルよりも李氏の長男の起こした問題をより厳しく、苦々しく見ている節がある。

 李氏のスキャンダルはまだまだ出てくる可能性もある。一番重要なことは残り2カ月で国民は報道や、与野党の泥仕合なネガティブキャンペーンに流されることなく、候補者の人格や公約を見極めた上での投票を行うことだ。

 ◇

 日本では大統領選はありませんが、国のトップを選ぶのは現状では自民党総裁選でしょう。その中で身内であっても大きな醜聞を受けた人物がいれば、先ず総裁にはなれないでしょう。総裁選にも出られないと思います。

 しかし韓国では筆者が言うように「またか」と言われるほど、毎回のようにスキャンダルが付きまとっているようです。それにしても今回は少し酷いようですが、韓国の政財界の日常が吹き出ている感じがします。

 いずれにしろ与党の李氏は「反日、侮日」の代表ですから、日本としては野党の尹氏の方が当選した方が良さそうです。しかし韓国のことです、政治が世論に流されることの多いのが現実です。子供の頃から反日教育を受けている国民と、その教育を受けさせている国家には、誰がトップになろうと気を許せることはないでしょう。

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2021年12月16日 (木)

習近平が進める「台湾海峡大橋」計画 前のめりのワケは

Xx3wy2deonlj3d6rlo6ueuti6y  中国による台湾統一の野心は、習近平政権になってからより先鋭化しています。「中国の夢」構想の、核心的利益の領土面のトップにもあげられる台湾。台湾有事はより現実的なものになりそうと思われます。「台湾有事は日本の有事」と多くの議員が認識する中、また一つそれを示唆する情報が現れました。

 産経新聞の前中国総局長、西見由章氏が同紙に掲載したコラムから、その内容を引用します。タイトルは『習近平氏が進める「台湾海峡大橋」計画 前のめりのワケは…』(12/8)で以下に掲載します。

 ◇

世紀の大プロジェクトか、こけおどしの大風呂敷か-。中国政府が幅120キロ超の台湾海峡に世界最長の海上大橋と海底トンネルを建設し、中国本土と台湾を結ぶ計画を喧伝(けんでん)している。台湾への武力侵攻を排除せず軍事的な威嚇も強める習近平指導部からの一方的な提案に、台湾側の反応は当然ながら「独りよがりだ」と冷ややかで、軍事利用への警戒感も根強い。

中国と台湾を橋やトンネルで結んで「陸続き」にする計画は、習近平国家主席が台湾対岸の福建省幹部だった1990年代から取り組んでいる自身肝いりの構想だ。2020年までの「第13次5カ年計画」に福州と台湾を鉄道で直接結ぶ構想が盛り込まれるなど、中国側の長期インフラ構想にしばしば登場してきた。

ただ台湾側では、対中傾斜を強めた国民党の馬英九政権(08~16年)ですら、世論の対中警戒感の高まりを背景に大橋計画へのゴーサインを出すことはなかった。計画の本格始動には台湾側の合意が不可欠で、膠着(こうちゃく)状態が長年続いている。

にもかかわらず中国の習指導部は、同計画への前のめりな姿勢を崩していない。想定ルートの一つで中国側の起点となる福建省福州市から、台湾に最も近い中国の島である平潭(へいたん)島までの約90キロ区間は、20年に高速道路と鉄道が開通した。中国側から海上大橋に接続する「取りつけ道路」部分がすでに完成していることになる。

今年2月には、共産党中央と中国政府が発表した35年までの全国的な交通運輸網の整備計画案に「福州から台北」に至るルートを明記。中国で台湾政策を担う国務院(政府)台湾事務弁公室の報道官は11月下旬、この整備計画に言及し、「両岸(中台)同胞のためによりよい交通運輸資源とサービスを提供できる」と早期建設をアピールした。

蔡政権に全方位の圧力

中国共産党系の環球時報(電子版)によると、数十年間に及ぶ事業構想の中で有力な案は、35年までの整備計画案に盛り込まれた北ルート(中国の福建省福州市-同省平潭島-台湾の新竹市-台北市)のほか、南ルート(福建省アモイ市-台湾の金門島-嘉義市)もある。北ルートの海域部分は約120キロ、南はその倍に及ぶが、両ルートを建設して「環状線」にすることも可能だとしている。

具体的な工法については、海上橋を基本とし、海峡の中間部分に海底トンネルを建設する構想が浮上。建設費は北ルートで4000億元(約7兆円)超という。

同紙は、建設に向けた課題について「技術面、資金面、政治」の3つがあり、政治的問題の解決が最も難しいと指摘する。これはうなずける主張だ。中国がこれまで建設した高速道路の総延長は16万キロ、高速鉄道は4万キロ弱に達しており、その経験値は侮れない。18年には香港、マカオと中国本土の珠海を世界最長の海上橋とトンネルで結ぶ「港珠澳(香港・珠海・マカオ)大橋」(全長55キロ)を完成させている。

一方、「政治的問題」は深刻だ。習指導部は昨年以降、台湾の防空識別圏に大量の軍用機を進入させるなど、中国側の統一要求に応じない民主進歩党の蔡英文政権に全方位の圧力を強めている。その傍らで中台間の人や物の往来を爆発的に増加させる大橋計画を早急に進めようとしているのだから、まるで左手に刃物を持ったまま右手で握手を求めるようなものだ。

中台間の交通網の整備を通じて中国が経済的な影響力を強め、軍事侵攻にも利用しようとしているのではないかと台湾側が警戒するのも無理はない。台湾で対中国政策を主管する大陸委員会は「中国共産党の独りよがりな台湾統一に向けた宣伝は、絶対多数の台湾民衆から賛同を得られない」と計画を切り捨てた。

中国側がいま、「大橋建設計画」をアピールする狙いはなにか。東京外国語大の小笠原欣幸(よしゆき)教授は「台湾に対する揺さぶり工作という面もあるが、それ以上に中国国内と国際社会に向けて、習氏による台湾統一が着々と進んでいるという偽の雰囲気をつくりだそうとする〝苦肉の策〟ではないか」と分析する。

中国世論と現実のギャップ

習氏は19年1月の演説で、「一国二制度」による統一を台湾側に呼びかけた。しかし、香港でのデモ拡大に対する当局の弾圧を目の当たりにした台湾人の間には「今日の香港は明日の台湾」との危機感が広がり、20年1月の総統選では中国と距離をとる蔡英文氏が再選した。習氏の統一案に台湾人は明確な「ノー」を示した。

「習氏の台湾政策は全く進んでいないのに、中国国内では『今ほど統一に近づいたときはない』と壮大な宣伝をしてきた。来年秋の共産党大会までに、そのギャップをなんとか埋めようとしているのが現在の中国政府だ」と小笠原教授は指摘する。大橋計画のアピールもその戦略の一環というわけだ。

♪あの列車に乗って台湾に行こう あの35年に あの歌の阿里山を見よう-。

中国では11月以降、動画投稿サイトで「2035年、台湾に行こう」という歌が拡散した。大橋計画をアピールする意図は明らかだ。台湾の国防安全研究院は「中国共産党が話題になることを狙ってつくりだした、(口コミの拡散を利用した)バイラル・マーケティングによる宣伝作戦」と分析している。

中国のネット上では「35年に中台を結ぶ鉄道が完成するということは、遅くとも25年には統一が実現するというシグナルだ」などと一方的な期待感を膨らませる声もある。世論の期待と現実のギャップは広がるばかりで、危険な兆候だ。

「北京五輪が終了した後の来年3、4月ぐらいに、大きい動きがあるのではないか」。小笠原教授は中国による武力侵攻の可能性には否定的だが、軍事的な威嚇や経済的な圧力などの先鋭な動きをみせると予想している。

 ◇

 「台湾海峡大橋」の実現には、中台の統一が前提にあり、それを狙っての宣伝工作と分かっていても、台湾にとっては放置できない案件でしょう。日本にとっても台湾有事が現実のものとなれば、対岸の火事では済まされないことは自明の理です。

 この計画を外から阻止することはできません。武力を使うことが必須となるからですし、そんなことは日米とも不可能です。ですから台湾の抵抗を支援することしかありません。中国が先に武力行使に出れば、日米を主力とする多国籍軍を組織し、その対抗のために台湾防衛に回ることになるでしょうが、双方共に多大な損害が発生するので、そうはならない確率は高いと思われます。

 ただ中国の台湾への、武力以外での攻撃と圧力は続くことは間違いないでしょう。それに台湾が耐えられるか、そのための支援をどうしていくかが、日米および他の支援国の必須の課題です。

 ところで日韓の間にも「日韓トンネル」構想がありますが、巨額の投資資金が必要な割には、日本のためには効果の少ないこの構想は破棄すべきでしょう。特に今や敵性国家となった韓国と、道路でつなぐことは安全保障上の脅威を増すことにもなります。台湾海峡大橋とは違った意味で、構想を破棄すべきでしょう。

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2021年11月22日 (月)

震え上がる中国、米国に代わって過激派組織の標的に

Images-3_20211120130901   昨日と打って変わって、今回は中国の弱みにも当たる記事を紹介します。ウイグル自治区にイスラム教徒の住民を抱える中国ですが、タリバンが制圧したアフガニスタンにも食指を伸ばそうとしています。ところがこのアラビア諸国への介入が、思わぬ火の粉をかぶる恐れもあります。

 経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏が、JBpressに寄稿したコラムから、そのあたりの事情を見てみましょう。タイトルは『震え上がる中国、米国に代わって過激派組織の標的に 中国がアフガニスタンに侵攻する日は近いのか』(11/12)で以下に引用して掲載します。

タジキスタンとの連携を強化

 米軍が8月下旬にアフガニスタンから撤退して以降、中国は中央アジア諸国と安全保障面での連携強化を急いでいる。アフガニスタンからのテロの輸出を防いでいた米軍が撤退した以上、中国は自力で自国民の命と利権を守らなければならなくなっているからだ。

 アフガニスタンで実権を掌握したイスラム主義勢力「タリバン」と友好関係を築こうとする一方、中央アジア諸国の中で中国がとくに連携強化を図っている国がタジキスタンだ。

 他の中央アジア諸国とは異なり、タリバンとの直接の協議を避けているタジキスタンと中国は、「タリバンが国内の過激派組織を抑えることができない」との懸念を共有している。

 10月下旬、中国政府がタジキスタンのアフガニスタンとの国境近くに警察施設を建設していることが明らかになった(10月29日付AFP)。施設はアフガニスタンから中国へ繋がる回廊(ワクハン回廊)の近くに位置する。建設費用(850万ドル)は全額中国側が負担し、完成後はタジキスタン警察に引き渡されるという。

 また、中国政府は「中央アジアに中国の基地は一切ない」としているが、タジキスタン南東部に中国軍の基地がすでに1カ所存在していることは公然の秘密だ。

 タジキスタンはかつて旧ソ連のアフガニスタン侵略の前線基地だった。今なお条約に基づきロシア軍が駐留している。

 プーチン大統領が10月13日に「過激派の活動家たちがシリアやイラクからアフガニスタンへ移動している」と警告を発したことを受けて、ロシア軍は10月下旬、旧ソビエト6カ国で構成されるCSTO(集団安全保障条約機構)による合同軍事演習をタジキスタンで実施した。「テロリストなど過激派組織が侵入した」という想定で6日間にわたって実施された演習に総勢4000人が参加した。

 ロシアが「裏庭」とみなす中央アジアに中国が過剰に介入すれば、蜜月と言われるほど良好な中ロの関係に亀裂が生じかねない。中国がリスクを冒してまで中央アジアでのプレゼンスを高めるのは、「アフガニスタンが不安定化し、隣接する新疆ウイグル自治区に過激派が流入する」事態を極度に警戒しているからだ。中国政府は、アフガニスタンに潜伏しているとされる分離独立派のウイグル人戦闘員が国境を越えて新疆ウイグル自治区に侵入してこないよう、取り締まりを強化している。

タリバンの不倶戴天の仇敵「IS-K」

 中国政府は9月上旬、タリバンに対して「食糧や新型コロナウイルスワクチンなど2億元(約34億円)相当の支援を提供する」と表明し、10月にはロシアとともにタリバンの代表を国際会議に招くなどアフガニスタン情勢の安定化に腐心してきた。

 だがアフガニスタンで過激派組織のテロ活動が一向に収まる気配を示していない。その代表格はイスラム国(IS)の地方組織「イスラム国家ホラサン州(IS-K)」だ。

 イラン東部、中央アジア、アフガニスタン、パキスタンにまたがる地域の旧名称である「ホラサン」が示すとおり、IS-Kの拠点はパキスタンとの麻薬密輸や密入国ルートに近い東部ナンガルハーレル州だ。

 IS-Kはタリバンと同じスンニ派武装組織だが、“不倶戴天の仇敵”の関係にある。IS-Kは「タリバンは穏健すぎる、過激さが足りない」と不満を持つジハード(聖戦)主義者の格好の受け皿になっている。2015年1月に設立されて以来、アフガニスタン各地でテロを繰り返してきたが、2020年以降、新しい指導者の下、国内での暴力をエスカレートさせている。国連は「兵力は500~1500人だ」と推定する。

中国のウイグル問題を引き合いに出してテロを正当化

 IS-Kは「反米」を掲げ、これまで中国を敵視してこなかったが、10月に入り中国を震撼させるテロ事件を引き起こした。10月8日、アフガニスタン北部にあるイスラム教シーア派のモスクで自爆テロが発生し、礼拝中のシーア派少数民族ハザラ人70人以上が死亡した。IS-Kは「中国の要請に応じてウイグル人をアフガニスタンから追放するシーア派とタリバン政権を標的にした」との声明を出した。IS-Kがタリバンの権力掌握以降、宗教的・民族的少数派を攻撃するのは珍しいことではないが、中国のウイグル問題を引き合いに出してテロを正当化したのは極めて異例だ。

 注目すべきは、IS-Kが初めて攻撃の実行犯にウイグル人を投入したことだ。実行犯のウイグル人が新疆ウイグル自治区出身かどうかは定かではないが、IS-Kが、中国が抱く懸念を煽っていることは間違いない。中国に対して強硬路線に転換した兆しだとも受け止められている。

 IS-Kにとって、タリバン政権が強化されることは、アフガニスタンにおける自分たちの生き残りのために非常に都合が悪い。このため、タリバン支配下のアフガニスタンに関与を深める中国に対して、IS-Kは敵意を燃やすという構図になっている。

 タリバンは中国の意向に配慮して、アフガニスタンからウイグル人を追放する意向を表明した。そのことに不満を抱くウイグル人を、IS-Kが新たな戦力に迎える好機として捉えている節もある。シリアのISのように、IS-Kの下にウイグル人戦闘員が集まる可能性が出てきている。

 中国政府はアフガニスタンの内政には関与せず、ひたすらテロの侵入阻止に注力する姿勢に終始している。だがタリバンの代表と頻繁に接触しても「新疆ウイグル自治区の安全が保たれる」との確信は持てない。タリバンの失政が続けば続くほど、IS-Kの脅威は強まる。「タリバンによる政権奪取は中国にとってリスク以外の何ものでもない」との認識が募るばかりだろう。

アフガンで米国に代わり中国が攻撃対象に

 IS-Kの上部組織にあたるISは2014年7月、中国を「ジハード遂行」の戦場の1つに挙げたが、その後、ISのプロパガンダに中国やウイグルに焦点を当てたメッセージが登場することは少なかった。中国がアフガニスタンやイラク、シリアで対IS軍事作戦に参加していなかったからだ。

 だが米軍がアフガニスタンから撤退し、イラクからも攻撃部隊を撤収しようとしている現在、ISをはじめとする過激派組織が見過ごしてきた中国が、今や米国に代わる攻撃対象になりつつある。権力の空白を利用して利権の拡大を図る中国に、過激派組織が目を向けるのは当然の成り行きだ。新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒弾圧の問題への注目度も過激派組織の間で確実に上がっている。

 アフガニスタンの隣国、パキスタンでは中国人に対するテロが相次いでいる。「一帯一路」構想に基づき巨額の投資を行う中国の存在感は年を追うごとに高まっている。過激派組織にとって「中国」はパキスタン政府にダメージを与えるための格好の標的なのだ。大国化して目立つ存在になった中国のことを、パキスタンの武装勢力は「21世紀の新植民地主義国」と呼んで非難している。

 タリバンが米軍に勝利した今、アフガニスタンでも過激派組織にとって次なる標的は中国だ。タリバン政権が頼りにならないとなれば、中国自身が乗り込んでいくしかなくなる。

 自らの「縄張り」である中央アジアで中国がプレゼンスを高めることを黙認しているロシアは、「自国に代わって中国がテロリストと戦ってくれている」とほくそ笑んでいるようだ。11月1日付露プラウダは「ロシアは中国に死にゆく機会を提供した」と皮肉たっぷりの論説記事を掲載した。

 古代ギリシャのマケドニアを皮切りに、英国、旧ソ連、米国が侵略戦争に失敗したことから、アフガニスタンは「帝国の墓場」と呼ばれている。このことを熟知しているにもかかわらず、習近平率いる中華帝国が新たな墓標を建てることになるのは時間の問題なのかもしれない。

 ◇

 イスラム系のウイグル人に過酷な弾圧を加える中国に、イスラム諸国が介入してこなかったことは、中国の軍事力を恐れてのことだったことかも知れません。また宗主国とも言うべきトルコが、中国と親交を深めていることも背景にあるようです。

 しかし、今やアメリカ以上に中央アジアに介入しつつある中国に対して、イスラム原理主義グループがこの記事のように、標的化していくのは時間の問題と思います。中国にとっては、かつてのやっかいな「北狄西戎」を思い起こすことでしょう。

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2021年9月 9日 (木)

「帝国の墓場」アフガンと中国

Images-3_20210909093601  アフガニスタンでは、タリバンによる政権の準備が進んでいるようですが、要職にタリバンの中心メンバーが連なり、女性の採用や民主化の動きにはほど遠い布陣のようです。予想通りですが。

 そのアフガニスタン、中国と急接近の気配が濃厚ですが、イスラム教民族のウイグル人弾圧の中国と、イスラム教原理主義のタリバンは、その宗教観において全く異なる国同士で、将来は全く不透明です。この二国の関係は今後どうなるのか、文化人類学者で静岡大学教授の楊海英氏が、産経新聞「正論」に寄稿したコラムから、その一端を取り上げます。タイトルは『「帝国の墓場」アフガンと中国』(9/6)で、以下に引用します。 

混迷を極めるアフガニスタン。その首都はどんな所だろうか。

≪諸民族の美しい都の歴史≫

「小さな地方である。細長い地方である。東から西へ向かって細長く延びている。周囲はすべて山である」「城で酒を酌(く)め。やむことなく盃をまわせ。…山であり川であり、町であり砂漠であるが故に」。これは16世紀にインドでムガール朝を創設した中央アジアのティムール帝国の王子、バーブルが、自伝『バーブル・ナーマ』(間野英二訳注、東洋文庫)で描いた往昔の中央アジアの都カブールの美しさである。

バーブルの母語はチャガタイ・テュルク語で、自伝はペルシア文学の美文調と草原の叙事詩の伝統が混ざりあった優雅な文体だ。優れた遊牧の戦士とは言い難いが、天才文人であったバーブルは自身をチンギス・ハーンの血統を引く者と認識してモンゴル帝国を再建した。それがムガールで、「モンゴル」の転訛(てんか)である。

「気候はまことに快適である。…夏でも夜は毛のコートなしでは眠られない。冬は雪がほとんどの場合大量に降るが、極端な寒さはない」。バーブルは生まれ育った中央アジアから他のチンギス裔(えい)の英雄に追われインドに落ちて行った。彼は蒸し暑いデリーが気に入らず理想の都カブールに帰る夢を見続けた。そこはテュルク語とモグール(モンゴル)語、アラビア語とペルシア語など12種の言葉が使われていた民族の坩堝(るつぼ)だった。

≪テロと欲望の巣窟に≫

時代が下って、中央アジアきっての文明の都市、カブールは今やテロと欲望の巣窟に変わり果てようとしている。19世紀から新興の帝国が相次ぎ、この堅牢(けんろう)な要塞都市を掌中に収め自身の植民地を構築しようとした。ムガールのラストエンペラーを追放しインドを征服した大英帝国は更(さら)に北上してアフガンに入ったものの、2度も惨敗した。中央アジアを支配下に置き更に南下する勢いを見せていた帝政ロシアを食い止めようとしたグレートゲームの一環である。

20世紀になると、ユーラシア全体を社会主義一色に染めたソ連は1979年にアフガニスタンに侵攻し、親ソ政権に肩入れしようとしたものの、自身の崩壊の引き金を引いてしまった。10年後にはソ連も解体したからだ。美しいカブールを都とする国はまた「帝国の墓場」と化したのである。

ソ連の侵略に抵抗していた聖戦士ムジャヒディンを誰よりも支援していたのは米国だった。その米国に牙をむいた聖戦士の隊列にウサマ・ビンラーディンがいた。ソ連も米国もその価値観は自分たちのイスラム的理念に合致しない「邪悪な存在」だとして理解したからだろう。

2001年の「9・11テロ」の首謀者とされたビンラーディンをアフガンの神学生からなる武装勢力は匿(かくま)った。タリバンだ。友を敵に引き渡すことは遊牧民の価値観に合わないからだ。そこから米国のアフガン戦争も20年間も続き、ついにバイデン大統領は撤収を命じて混乱を収拾しようとしたが、逆にテロが生じている。戦略的にはあまりにも粗末な作戦だが、これ以上「帝国の墓場」にワシントンは嵌(はま)りたくなかったのだろう。

≪中国の野望を葬る地にも≫

カブールはその魅力ゆえに新しい帝国を次から次へと惹(ひ)きつける。東方から触手を伸ばす中国だ。米軍の作戦が泥沼化しつつあった時から中国軍は既に敵側のタリバンの支配地で活動していた。

幽霊のように動く中国軍の存在をいち早く察知したのはモンゴル軍だ。米軍指揮下で展開する国連PKO部隊にモンゴル軍は以前から参加していた。アフガンは13世紀からモンゴル人と交流を重ねて来たし、バーブルのようなチンギス裔の拠点でもあった。

また、ハザラ人というモンゴルとペルシアが融合して形成された民族も存在している。そのため、モンゴルのアフガンへの関与は米軍より文化的に深層に至っていた。タリバンがアフガニスタンを牛耳れば、中国がやってくる、とモンゴル軍の将校は2019年に私に語っていた。それが今、現実となってきたのである。

中国が狙うのはアフガニスタンの銅鉱と石油である。政権樹立を目指すタリバンが中国に期待しているのは国連安全保障理事会常任理事国としての承認と経済的援助だ。銅鉱が埋蔵されている地に古代の仏教遺跡が人類の遺産として立ち並ぶが、バーミヤン渓谷の大仏も破壊したタリバンはそれに関心がない。その点は現世利益を優先とする中国とタリバンは利害関係が一致する。

タリバンと中国はいずれ衝突する。厳格なイスラム法に基づく建国と統治を理想とするタリバンは超原理主義者であるのに対し、中国は超現実主義者であるからだ。

横柄な対外交渉を進めてきた中国の「戦狼」外交官は儒教のマスクをかぶってカブールに残る。孔子学院をカブールに設置してイスラム世界に進出しようとするが、その活動をタリバンがどこまで許容するのか。「帝国の墓場」は早晩、中国の野望を葬る地となるだろう。

 ◇

 超原理主義者と超現実主義者、混乱の中では手を結ぶでしょうが、タリバンが中国の狙いを知らないわけはありません。資源開発を委ねて経済の基盤にしようともくろむタリバンと、その資源を最終的には自分のものにしようと狙う中国とは、いずれぶつかる時期が来るでしょう。

 ただどちらも独裁的で先軍主義の部分は一致します。そして圧倒的に国力の優れた中国が、アフガンを属国化しようとしたとき、両者はゲリラ戦となるでしょうが、果たして帝国(中国)の墓場となるかどうか。なって欲しいとは思いますが。

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2021年8月30日 (月)

「習政権の権威主義」:中国 強くなるほど嫌われる

Images_20210829105001  覇権主義をひた走る中国の習近平政権。毛沢東の死後に続く、歴代の共産党トップとはその統治形態において、一線を画した習政権。その違いは何なのでしょうか。またなぜなのでしょうか。

 米国の政治学者、デイビッド・シャンボー氏が読売新聞の「あすへの考」に寄稿したコラムを引用します。タイトルは『習政権の権威主義」 : 中国 強くなるほど嫌われる』(8/29)で、以下に掲載します。

(編集委員 鶴原徹也)

 中国共産党創設100年の祝賀式典を今夏開催した 習近平総書記(国家主席)は、世界第2位の経済力をテコに盤石の国内支配体制を敷いているように見える。

 だが習政権の権威主義的行動、特に新疆ウイグル自治区や香港、台湾、東・南シナ海を巡る強圧的振る舞いは国際的批判を招いてきた。

 米中対立の常態化も踏まえた先の先進7か国首脳会議(G7サミット)が、国際秩序を乱す中国に対抗して、民主主義陣営の結束を示す場となったことは記憶に新しい。

 米国の中国政治研究の泰斗デイビッド・シャンボー米ジョージ・ワシントン大学教授は現状をどのように見ているのか。半世紀近い中国観察歴に照らしながら自説を語ってくれた。

*****

20210828oyt1i50155t  私は1974年、英領だった香港を訪れ、対中国境に向かいました。中国は毛沢東(1893~1976年)の文化大革命(66~76年)の末期で、「西側」に門戸を閉ざしていたのです。国境で目撃したのは有刺鉄線と監視塔。中国から人民が香港に脱出するのを阻むためでした。人民が逃れたい中国とは何なのか、興味が膨らみ、帰米後、中国研究を専攻しました。

 私が学んだジョージ・ワシントン大学の教授らは皆「反共」で、毛沢東の独裁のありようと人民の悲劇を子細に論じたものです。

 米中両国は72年のニクソン米大統領(在任69~74年)の訪中で国交正常化に大転換していましたが、国交樹立は79年のことです。

 その79年に私は中国を初訪問し、80年代は大半を留学生として中国で過ごしました。まず天津・南開大学、次に上海・復旦大学、そして北京大学。90~91年は同大客員研究員でした。

 刺激的な時代でした。

 毛の死後、実権を握ったトウ小平(04~97年)が「改革開放」を導入し、推進していた。社会は毛の全体主義という長い悪夢からようやく目覚め始めていた。私はチベットと新疆を含む中国全土を旅して回りました。出会った人々は皆、毛時代の苦難を嘆き、新しく知った自由を喜び、経済的、社会的、あるいは知的な夢を口々に語ったものです。それぞれが自分らしい生き方を希求していました。

改革開放に協力した米国人は落胆。今や全体主義国家です

 今は昔です。改革開放を歓迎し、陰に陽に協力してきた米国人は一様に今の中国に落胆しています。

 改革開放は浮き沈みがありましたが、総じて中国は開放と「一定の自由」の道を歩んでいました。

 逆行の始まりは2010年頃、明確になったのは習近平氏が共産党総書記に就いた12年です。今や中国は現代の全体主義国家です。残念であり、 憂鬱になりますが、危険をはらむ変容です。

 中国は習氏の独裁下にあります。トウ小平が導入し、その後の歴代政権が踏襲してきた党の集団指導体制は葬り去られてしまった。習氏は党の意思決定制度、特に政策調整機関の「指導小組」を牛耳り、全てを最終的に決定している。党の最高指導部・政治局常務委員会はもはや形骸化しています。

 習氏の統治手法の特徴は、政策を巡る異論や他の選択肢を早々と排除し、審議にかけないことです。私の見るところ、習氏以外の有力者らは意思決定に関わる真の情報を十分に得ていない。習氏以外の6人の常務委員の間では 王滬寧氏と 栗戦書氏がイデオロギーと党務の分野で幾ばくかの情報と影響力を持つ程度でしょう。習氏周辺は「ボスに取り入る」ことを最優先する茶坊主ばかりです。

 習氏の独裁に不満を持つ党幹部はいますが今は無力です。意見の相違を嫌い、反証を退ける党中枢の傾向は党宣伝機関を通じて増幅され、社会を覆ってしまっている。

ただ、長期的には弱体の始まり。党の外皮は不満によって破られる

 2人の独裁者、習氏と毛沢東には多くの共通点があります。

 絶対的忠誠を強要し、反論を許さず、不服従は断罪し、政敵を容赦なく排除し、人民を過酷に支配する。権力を独占し、権限を委譲しない。哲人・教養人を自任し、自身の「思想」を皆に押しつけ、自らを崇拝するよう求める。自己陶酔型で、他者に感情移入し共感することができない――。

 加えて、どちらもイデオロギーを好む支配者でマルクス主義者を公言しています。ただ習氏はレーニン主義者の色合いが濃く、支配する制度として強い党に信を置いている。一方、毛は文革に顕著なように、党の支配に不信を抱き、党の破壊を企てさえしました。

 これらは2人の共通点の幾つかです。私は毛を旧来の全体主義者、習氏を現代の全体主義者と呼んでいます。両者の統治には40年近い時間の隔たりがあり、その間、中国は大きく変わりました。21世紀の中国が、圧政で国を害した前世紀の毛によく似た指導者を頂いていることに私は驚いています。

 習氏は党を軍隊同様の上意下達のロボットに変えてしまった。下から上の意見具申も水平的な政治参加も出来なくなっています。

 党は今年創設100年を祝いました。習氏は党を完全に管理下に置いています。短期的には党を強化したと言えるでしょう。

 ただ長期的には弱体の始まりです。多くの党員と社会の様々な構成員は習氏の独裁と党支配の強度に不満を募らせています。ロボットとなった党の硬い外皮は早晩、内部で膨張する不満によって破られるに違いないと私は考えます。

 21世紀の米中対立は20世紀の米ソ冷戦とは違います。

 米ソは軍拡競争が象徴するように、敵の動きに反応し合い、雪だるま式に競争を拡大していった。

 米中関係は相互反応的ではありません。独自に動き、外交・通商・情報技術・研究・価値観などあらゆる分野、世界の至る所で競い合っている。「不定全面競争」と私は命名しています。これが世界秩序の新しい常態なのです。

 互いに優位に立とうと努めながら、相手を打ち負かすことができない。そんな状態が長く続く。対立が近い将来、収まることはありません。むしろ激化の一途です。世界、特にアジアは深く巻き込まれることになります。

 米中対立の震源は今後、東南アジアになると私は考えます。東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国をひとくくりにすると2019年時点で人口は6億6000万人を超え、域内総生産(GDP)は約3兆2000億ドルで世界有数の経済力を持っている。東南アジアはそれ自体が重要な地域です。

 従来、東南アジアの大抵の国は米国ではなく中国とより良好な関係を求めてきました。

 バイデン米政権はその傾向を転換したいと思っている。7月のオースティン国防長官、8月のハリス副大統領の東南アジア歴訪はその表れです。同盟国・日本の評判が東南アジアで芳しいことは米国に有利に働きます。日本、韓国、インド、オーストラリアと連携すれば、経済や通商分野で中国に代わる選択肢を東南アジアに提示できるはずです。

 敵失も米国を有利にします。中国は近年の「戦狼外交」、つまり威嚇的な外交姿勢が露骨に示すように、相手の主張に耳を貸さず、高慢、かつ強引に振る舞い、評判をおとしています。世論調査を見ると、世界各地で中国の好感度は最低レベルです。中国は強くなるほど嫌われるのです。

 私見では、世界は三つの陣営に分かれます。第1は自由・民主主義の陣営、第2は反自由・専制主義の陣営、第3は第1、第2両陣営に関わって双方から利益を得ようとする陣営です。政治的にも多様な東南アジアは三つの陣営に分散する可能性があります。

 米国には第1陣営を主導する力がある。中国には第2陣営を束ねる力がない。ただ第1、第2陣営は勢力的に 拮抗きっこう する。世界秩序のキャスチングボートを握るのは第3陣営です。最終的にどう転ぶのか、私には予測できません。

 ◇

 習近平政権に関するシャンボー氏の捉え方は、まさにその通りだと思います。ただそれに対してどうすればいいのか、氏は答えていません。おそらく文末に「最終的にどう転ぶのか、私には予測できません。」と、結んでいるように、今後の情勢次第だと言うことでしょう。

 私見ですが日本は完全に第1陣営に属すると言うよりも、どうも第3陣営にも足を突っ込んでいる可能性があります。そして韓国は文政権の元、第3陣営にどっぷりつかっている感じがします。

 中国が一帯一路や独裁政権支援などの無理な拡張政策やとどまることがない軍拡、そして人口減少を間近に迎えた労働環境の逼迫から、近い将来経済的にゆとりがなくなるのはまず間違いがないでしょう。

 それを加速するために、第1陣営が結束し、今までとは真逆の経済制裁を行って行く必要があります。そのためにも日本は正真正銘の第1陣営で役割を全うする事が肝要だと思います。

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2021年8月29日 (日)

報道されないアフガン「不都合な真実」

P09sy4zx  アフガニスタンではタリバンによる制圧後、邦人の移送を含め、各国とも関係者のアフガンからの脱出を必死に試みています。ところが空港警備のタリバンの検問が厳しく、容易に空港内にたどり着けず、なかなか思うように行っていないのが現状です。

 こうした問題以外にも、イスラム教国家であるアフガニスタン特有の問題もあるようです。そのあたりを産経新聞に寄稿された記事から拾ってみます。イスラム研究者の飯山陽氏のコラム『報道されないアフガン「不都合な真実」』(8/25)がそれで、以下に引用します。

 ◇

イスラム過激派組織タリバンが8月15日、アフガニスタンの首都カブールをほぼ制圧し、アフガン全土を支配下においた。

これについての日本メディア報道には一定の奇妙な傾向が見られた。一斉に「アメリカのせい」だと報じたのである。

日経新聞は8月16日の「米介入20年『力の支配』限界 タリバン、終戦を宣言」という記事で、米国の「力による支配」と「国家建設の試み」が失敗に終わった原因は、「テロとの戦いに明け暮れ、一般のアフガン国民が成長の果実を実感できなかったことにある」と分析した。

しかし、そもそも20年前、米軍がアフガンに侵攻したのはテロとの戦いのためだ。それを「テロとの戦いに明け暮れていたではないか」と批判するのは道理に合わない。またテロを放置したまま、アフガン国民が「成長の果実を実感」できるようになるとは考えられない。実際米軍は、一度はタリバン政権を崩壊に追いこむという成果を挙げた。その後アフガンにタリバンに対抗できる軍が育たず民主主義が根付かなかったのは、必ずしも「アメリカのせい」だけではない。米批判を前面に出すあまり、暴力によって全土を支配したタリバンや、タリバンと戦う気などなく敗走した政府軍、腐敗したアフガン政権、国外逃亡した大統領といったアフガンに内在する問題を省みないのでは、反米イデオロギー喧伝のためにアフガン情勢を利用していると批判されても致し方あるまい。

「米国の責任」…朝日新聞の社説は本当か

朝日新聞は8月17日の朝刊に「アフガンと米国 『最長の戦争』何だった」という社説を掲載し、以下のように米批判を展開した。

「米国の責任は重大」

「テロの根源は、各地に広がる紛争や格差、貧困であり、失敗国家をなくさない限り、安全な世界は築けない。同時テロから学ぶべき教訓を生かさず、軍事偏重の行動に走り続けた結果、疲れ果てたのが今の米国の姿ではないか」

しかしアフガンの責任を担うべきは第一にアフガン人自身であるはずだ。またタリバンの武装攻撃はタリバンにとっては「テロ」ではなく、神の命令に従ったジハードの敢行であり、彼らが目指すのはイスラム法統治だ。彼らが戦うのは格差に憤っているからでも、貧乏だからでもない。「テロの根源は格差・貧困」という主張は、書き手がイスラム過激派の「テロ」の本質について完全に無知であることを露呈させている。

タリバンがほとんど抵抗らしき抵抗を受けることなくカブール制圧にまで至った事実は、今後「タリバンを含む暫定政権の樹立」といった軟着陸が困難であることをうかがわせる。タリバンが単独政権を樹立しイスラム法による統治を強行すれば、この20年間にアフガン女性たちが徐々に獲得してきた権利や自由は一挙に、完全に失われる可能性が高い。

タリバンは今になって急にアフガン全土を制圧したわけではない。これまでも各地を支配下におき、イスラム法統治を行なってきた。国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの2020年6月の報告によれば、タリバン支配下ではイスラム法的統制により人々の基本的人権が著しく損なわれており、第二次性徴を迎えた女子は通学を禁じられ、女性は男性親族のつきそいなしには家から出ることを認められず、外出時には全身を覆い隠すブルカの着用が義務付けられ、就労も、男性医師の治療を受けることも禁じられている。

今アフガンは、この状況が全土に広がる危機に瀕している。

アフガン復興のため20年間にわたり約68億ドル(約7500億円)を支援してきた日本国民として、我々はこうした暗い見通しを深刻に受け止める必要がある。全てを「アメリカのせい」にする「報道」をいくら続けたところで、それは単にメディアやジャーナリストの自己満足にしかならず、アフガンの現状や先の見通しについて日本の一般国民には一切伝わらない。こんなものは「報道」とは呼べまい。

イスラム法の統治…理解されていない本質

日本メディアのアフガン報道の問題点は他にもある。それは彼らがどうやら、アフガン人の価値観と欧米由来の近代的価値観とは全く異なるという本質的な問題について理解できていないようだという点だ。たとえばタリバン報道官が「イスラム法の認める範囲で女性の人権を認める」と述べた際、ほとんどのメディアはそれが近代的な女性の人権とは全く異なることを指摘しなかった。

アフガン人のほとんどは敬虔なイスラム教徒であり、一般にイスラム教徒として敬虔であることは、彼らが神の言葉と信じる『コーラン』の文言に忠実に生きることに最大の価値を置くことを意味する。

2013年に米拠点の調査機関ピュー・リサーチ・センターが実施した世論調査では、調査対象となったアフガン人の99%が「イスラム法による統治を望むか」という質問に対し「はい」と回答した。『コーラン』第5章44節には「神が下されたもの(啓示、イスラム法)に従って裁きを行わない者は不信仰者である」とあるため、改めて「イスラム法統治を望むか」と質問された場合「いいえ」と回答するのはイスラム教徒にとっては難しい。それを勘案しても、同じくイスラム諸国であるエジプトで「はい」の割合が74%、インドネシアでは72%であることと比較すると、アフガン人のイスラム法統治支持率の高さは特筆すべきものがある。しかも当該調査は、米軍侵攻によるタリバン政権崩壊の後に行われていたのである。

イスラム法統治とはすなわち神の命令を絶対的価値とする統治であり、そこでは人間の発案した近代的価値などとるに足らないものとして打ち捨てられる。この価値観の絶対的差異について認識が不十分だったのは、米当局も同じであろう。しかし、今回のタリバンによるアフガン制圧に際し、まるで鬼の首をとったかのように「アメリカのせい」だと執拗に繰り返すメディアもまた、同じ穴の狢である。

武力でもカネでも、神の命令を絶対とするアフガン人の価値観を強制的に変えさせることなどできない。それができるとすれば、アフガン人の中に、イスラム的価値観と近代的な自由や人権、民主主義といった価値観をすり合わせていく必要があると信じる人が現れた時である。

 ◇

 おそらく飯山氏は朝日新聞に代表される日本のメディアが、いつものように現状を深く考察することなく、知見もないのに初めから結論ありきの、紋切り型の浅薄な意見を寄稿することに、憤りを感じているのでしょう。

 こうしたメディアの姿勢は飯山氏の記事の中の『全てを「アメリカのせい」にする「報道」をいくら続けたところで、それは単にメディアやジャーナリストの自己満足にしかならず、アフガンの現状や先の見通しについて日本の一般国民には一切伝わらない。こんなものは「報道」とは呼べまい。』、という部分によく現れています。

 それはそれとして、もともと人間を救うためのものであった「宗教」が、今ではお互いの闘争の源のようになっているのには、大きな矛盾を感じます。タリバンやアルカイダとイスラム国、イランとサウジアラビアというように、もともと同じイスラム教の国、集団同士が、宗派は異なるとは言え、骨肉の争いをしているのは、人間の浅はかさなのでしょうか。残念ですがこれが現実です。

 そして飯山氏の言う『それができるとすれば、 アフガン人の中に、イスラム的価値観と近代的な自由や人権、民主主義といった価値観をすり合わせていく必要があると信じる人が現れた時である』と言うくだりも、できないとは分かっているけれども、何とかできないかという理想が込められているのでしょうね。

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2021年8月24日 (火)

タリバンとは何者か、なぜ恐れられるのか

Img_3ca41e658fff7df516b5f4538f2c29e16268  アフガニスタン情勢が今世界を賑わせています。日本にとってはやや遠い国ですが、イスラム原理主義を掲げた過激な集団というイメージが強く、日本人の間でも関心が高い国です。

 そのタリバン、一体どういう集団か、その発生から歴史的に見てみようと思います。Newsweekに掲載された記事を紹介します。タイトルは『タリバンとは何者か、なぜ恐れられるのか』スー・キム氏8/20)で、以下に引用します。

<20年ぶりにアフガニスタンの実権を掌握したタリバンとはいったい何者なのか、アフガニスタンはどうなるのか>

アフガニスタンでは、イスラム原理主義組織タリバンが全権を掌握。国の将来を不安視する声が高まり、大勢のアフガニスタン人が、なんとか国外に脱出しようと試みている。

タリバンは1990年代後半、独自の厳格なシャリーア(イスラム法)解釈に沿って、アフガニスタンを支配していた。2001年に米軍がアフガニスタンに侵攻したことで権力の座を追われたが、その米軍の撤退完了が8月末に迫るなか、タリバンは各地で攻勢を強め、8月15日には首都カブールを制圧。再び政権を握ることが、ほぼ確実となった。

タリバンのザビフラ・ムジャヒド報道官は8月17日に開いた記者会見の中で、自分たちに反対してきた全てに恩赦を与えると宣言し、タリバンの新たな統治下においては、女性の権利も尊重していくとも述べた(ただしイスラム法の範囲内で)。

タリバンとはいったい何者なのか。なぜこれほど恐れられるのか。その歴史と最新状況について、以下に詳しく説明していく。

タリバンの起源

アフガニスタンの公用語であるパシュトゥー語で「学生たち」を意味するタリバンは、1979~89年によるソ連のアフガニスタン侵攻に抵抗したムジャヒディン(イスラム・ゲリラ組織の戦士)によって形成された。カンダハル州のイマーム(イスラム教導師)だったムハマド・オマルが1994年にタリバンを創設し、米CIAとパキスタンの情報機関である軍情報統合局(ISI)が、同組織を密かに支援していた。

その後、パキスタンのマドラサ(イスラム神学校)で学んだパシュトゥン人の若者たちが、タリバンに参加した。パシュトゥン人は、アフガニスタンの南部と東部で多数派を占める民族であり、パキスタンの北部と西部における主要民族でもある。

タリバンはアフガニスタン南部を拠点とし、同地域で影響力を拡大していった。米シンクタンクの外交問題評議会はタリバンについて、ソ連軍の撤退後、1992年〜96年にかけて対立する複数のムジャヒディン組織が争いを繰り広げていたなかで、アフガニスタンに安定をもたらすという約束を掲げて、国民の支持を獲得していったと説明している。

タリバンは、2001年9月11日の同時テロが起きるまで、長年にわたって国際テロ組織アルカイダをかくまっていた。米国家テロ対策センター(NCTC)によれば、タリバンはアルカイダが「テロリストを自由に補充し、訓練し、ほかの国々に配備できる」ようにするための拠点を提供していた。

2001年10月、アルカイダの撲滅を目指すアメリカ主導の有志連合軍が、アフガニスタンへの攻撃を開始。タリバンを権力の座から追放した。

『アフガニスタン/その文化と政治の歴史』の著者であるトマス・バーフィールドは本誌に対して、「タリバンの究極の目標は、アフガニスタンでイスラム法に基づく統治を行うことだ」と語った。

米ボストン大学の教授(人類学)で、同大学のイスラム社会研究所のディレクターでもあるバーフィールドは、新たなタリバン政権の約束が守られるかどうかについては「全ての人が注目している」と言う。「彼らは以前とは違うし、公に示している姿勢も1990年代とは大きく異なる」と指摘した。

実際、タリバンには単独で行政サービスを提供する能力はなく、政府職員や医療、人道支援などの各種サービスを提供する組織の協力なしには国を統治できないと、バーフィールドは言う。彼らが1990年代に「統治」したカブールは所詮、まともな政府もインフラもない廃墟だった。

それに対して現在のカブールは「500万人の人口を抱える大都市で、政府は安全だけでなく各種サービスも提供しなければならない。タリバンがそれを行うためには、(自分が倒した)かつての敵の協力を仰ぐしかない」と言う。

「世界でも人権弾圧がひどい国」

タリバンは、1992年にソ連の傀儡政権が崩壊した後、1994年までに同国南部で影響力を拡大し、複数の州を制圧。1996年9月までには首都カブールを掌握し、大統領を殺害してアフガニスタン・イスラム首長国を樹立した。

タリバン政権が最初に行ったのが、「コーランの定めに沿った法律の厳格な解釈」で、「女性やあらゆる類の政敵、宗教的少数派の処遇についての無慈悲な方針」が含まれた、とNCTCは指摘する。

米国務省民主主義・人権・労働局が2001年11月に発表した報告書によれば、1990年代後半にタリバンの支配下にあったアフガニスタンは「世界で最も人権状況の悪い国のひとつ」だった。報告書は当時のタリバン政権について、「全ての国民を組織的に抑圧し、個人の最も基本的な権利さえも否定した」と指摘。同政権の「女性に対する戦争はとりわけ恐ろしいものだった」と述べている。

国際的な人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が2020年6月に発表した別の報告書は、当時のタリバン政権による抑圧には「処刑を含む残虐な体罰や、宗教・表現・教育の自由の極端な弾圧」も含まれたと指摘した。

当時のアフガニスタンでは、女性が仕事をしたり、教育や医療を受けたりする権利が大幅に制限された。移動や服装についても制限があり、全身と顔を覆う「ブルカ」を着用しなければならなかった。外出する際は男性の親族が付き添わなければならず、違反すればタリバンから暴力を振るわれるおそれがあった。

2001年の報告書は、「タリバン政権下で女性は尊厳を奪われ、家族を支えることができない立場に置かれた。少女たちは基本的な医療も受けられず、一切の学校教育を受けられなかった。歌や人形、ぬいぐるみも全てタリバンによって禁止され、子ども時代さえも奪われた」と指摘した。「タリバンは女性に対して、レイプや拉致、結婚の強制などのひどい暴力を行った。娘を守るために、パキスタンやイランに送った家族もいた」

手を切断する刑罰は廃止しない?

タリバンの新政権が以前とどう違うのかはまだはっきりしない。AP通信は、新たなタリバン政権の下、女性は働くことを奨励した、と報道した。8月16日にタリバン幹部がアフガニスタンのテレビ番組に出演し、女性キャスターからインタビューを受けた中で語った。また少女たちは学校に戻ることが許され、学校の入り口ではイスラム教のヘッドスカーフが配られた。

またAP通信によれば、タリバンのムジャヒド報道官は17日の記者会見で、「イスラム法の範囲内で」女性の権利を尊重すると約束した。だが90年代後半のタリバン政権下で導入されていた、犯罪者の手を切断する刑罰については、廃止を明言しなかった。

ムジャヒドは会見の中で、タリバンはアフガニスタン軍の元兵士や諸外国の軍に協力した請負業者や通訳に対して恩赦を与えると言明。ロイター通信によれば、タリバンは元兵士や政府関係者に対する報復はしないと述べた。

それでもカブールには、不安が根強い。AP通信は8月18日に、武装した男たちがカブールの民家を一軒一軒まわって、追放された前政府や治安部隊で働いていた者を探しているという住民の声を報じた。だがこの武装した男たちがタリバンなのか、タリバンになりすました犯罪者なのかは分かっていない。

ムジャヒドは、タリバンが首都に侵攻したのは、警察がいなくなった後の法と秩序を回復させるためだったと主張。カブールの治安が崩壊した責任は、前政府にあると非難した。

 ◇

 アメリカでは共和党を始め民主党の一部にも、アフガンからの米軍撤収は拙速だったと、バイデン大統領への批判が高まっているようです。しかしベトナムでもそうであったように、その国の統治を外国の手によって変えることは極めて困難です。

 あくまで米国での9.11テロの犯行集団、アルカイダへの報復を狙った、米国の空爆から始まったアフガンへの米軍投入だったわけで、それが長引くにつれタリバンとの泥沼の闘争となってしまったようです。ビンラディンの殺害が潮時だったのでしょうが、おそらくタリバンを掃討し親米政権を作り勝ったのかも知れません。

 いずれにせよ、これ以上の人命と金をつぎ込むことに、バイデン大統領はノーを下したのでしょう。だが大統領の思いとは裏腹に、アフガンの政府軍はいともあっけなく粉砕されてしまいました。やはり人命をなんとも思わない、宗教に凝り固まった武装軍団には、かなわなかったようです。

 そのようなタリバンが目指す政権がどんな形になるのか、今のところ全く不明なようです。少なくとも彼等は彼等のイスラム原理主義でもって国を統治したいと思っているでしょうし、それが一般のアフガニスタン人の求める国家統治と一致するのは、かなり困難ではないでしょうか。いずれにしろ中東にまた一つ、より不安定な国が現れた感が強い、といえるでしょう。

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2021年8月 4日 (水)

“台湾を中国の一部とする地図を禁止” 米下院が法案可決

Picture_pc_c62d6557ab01ef8694510ea7e4053  米中対立が深刻化する中、アメリカがまた一歩中国への圧力強化に踏み出しました。アメリカの下院で、「台湾を中国の一部とする地図の作成などを米政府に禁じることを盛り込んだ法案」を可決しました。

 zakzakに寄稿されたコラム『“台湾を中国の一部とする地図禁止”米下院が法案可決 親台派議員ら中国へ圧力 識者「米航空会社HPで独立国家と同等表記か」 』(8/3)に、その詳細が記されていますので以下に引用します。

 米ジョー・バイデン政権による中国の習近平政権に対するボディーブローとなるのか。米下院は、台湾を中国の一部とする地図の作成などを米政府に禁じることを盛り込んだ法案を可決した。東京五輪開会式中継で、米テレビ局が台湾が含まれない地図を紹介したとして激怒したばかりの中国に、議会が改めてプレッシャーを与えたことになる。

*****

 2022会計年度の米国務省に関する歳出法案について、下院の親台派議員として知られる共和党のトム・ティファニー議員やスティーヴ・シャボット議員ら5人が、台湾を中国の一部とする地図の作成や調達、展示への資金支出を禁止することを盛り込んだ修正案を提出し、全会一致で可決された。

 修正された法案は7月28日、賛成217、反対212で可決された。今後、上院で可決され、バイデン大統領が署名すれば成立する。

 米国政治に詳しい福井県立大の島田洋一教授は「成立すれば、米航空会社のホームページ地図などで台湾が独立国家と同等に表記される可能性もあるだろう。人権問題に関心が高いことで知られるベテランのシャボット氏ら修正案を提出した議員が、法案成立までにどれだけ問題提起するかが重要になる」と解説する。

 一見地味な修正法案だが、台湾では中央通信社をはじめ、複数のメディアが好意的に報じた。これに対し、中国メディアは敏感に反応している。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は、台湾メディアを引用する形で法案の可決を伝え、ネット上に「なんて奇妙な法案だ」「内政干渉だ」「なんの意味があるのか」といった投稿が相次いでいると紹介。中国外務省の趙立堅副報道局長が「台湾は中国領土の不可分な一部」との見解を示したと報じた。

 中国と台湾の地図をめぐっては、同23日に行われた東京五輪の開会式を中継した米NBCテレビが、中国選手団を紹介した際の地図に台湾が含まれていなかった。五輪には中国とは別に台湾が「チャイニーズ・タイペイ」として出場していることもあり、台湾が中国の地図に含まれなくてもおかしくないが、中国の在米ニューヨーク総領事館が「不完全な地図」「中国人の尊厳と感情を傷つけた」などとイチャモンを付けていた。

 日本でも地図における台湾の扱いは変化し始めている。2020年度版の防衛白書では中国の防衛政策などを紹介した際、台湾をピンク色に配色し、「参考」として台湾の戦力も紹介していたが、7月13日に政府が閣議で了承した21年度版では、地図上で台湾はグレーとなり、戦力も紹介しなくなっている。

 一方、中国は五輪期間中、台湾を想定した上陸演習を中国国営の中央テレビを通じて放映し、お構いなしに軍事的覇権拡大を続ける。

 また、台湾の政治家や当局高官ら100人以上の無料通話アプリ「LINE(ライン)」の個人アカウントがハッキングされた。機密情報を狙った可能性があり、一部の台湾メディアは中国の情報機関が関与している可能性もあると報じた。

 なりふり構わぬ中国に対し、日本と米国、台湾の有力議員らは、初の「日米台戦略対話」を開催した。安倍晋三前首相らが出席し、安全保障や経済分野の関係強化など、台湾の蔡英文政権と連携を図る動きが進められている。

 28日に米ミサイル駆逐艦「ベンフォールド」が台湾海峡を通過し、翌29日には英海軍最新鋭空母「クイーン・エリザベス」が南シナ海に入った。自由主義国が連携して中国への牽制(けんせい)を強めているといえそうだ。

 前出の島田氏は「台湾に関しては多くの国が注目しており、戦艦の航行は最も分かりやすい中国への圧力だ。中国が軍事的拡大をやめない限り、圧力を継続するしかない」と指摘した。

 ◇

 台湾は日本の統治後蒋介石国民党が敗走しましたがその後実権を握り、紆余曲折の末現在は蔡英文総統率いる民主進歩党が実権を握っています。急進的に独立を目指すのではなく、現状維持を政策目標においていますが、中国の一部という議論にはもちろん与しません。

 日本でも東京五輪においては開会式でNHKが「台湾」という呼称で紹介しましたし、昨日の卓球女子の団体戦でも、日本の相手は「台湾」と各紙が伝えています。むしろ「チャイニーズ タイペイ」の方が全くマイナーな呼び方となっています。

 おそらく民族的にも文化的にも独自のものを持つ台湾を、中国の一部と捉える中共は極めて政治的、軍事的な判断でそう言っているだけで、歴史的にもそれを完全に肯定をする証拠はないものと思われます。

 日本も隣国の一つであり、親日で地政学的にも極めて重要な台湾を、国として正式に認める動きを目指すべきだと強く思います。

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