医療

2020年6月21日 (日)

未熟な手術・事故多発だけではない 韓国、整形手術の恐るべき実態 

Maxresdefault_20200621103101  今回は韓国を取り上げますが、政治の話題ではありません。日本を敵視し続ける韓国に対し、嫌韓に染まらず一定数の韓国びいきの人々がいます。経済界にも韓国とつながりが深い人たちもいますし、韓流、K-POP、韓国コスメ、韓国料理、それぞれにはまって抜け出せない日本人もまだまだいます。そうした韓国の中で、あの有名な「整形手術」、プラスティックサージャリーの実態を紹介します。日本通の韓国人、アン・ヨンヒ氏のコラム『韓国、整形手術の恐るべき実態 未熟な手術・事故多発だけではない、法的隠蔽工作も』(JBpress 6/19)を以下に引用掲載します。

 韓国は、「整形共和国」という有り難くない別名をいただいている。それだけ整形手術が一般人にまで普及しているのは否めない。

 また、その技術力を頼って外国人、とりわけ日本や中国、アジアの近隣諸国から患者が押し寄せて来る。外国人に医師を斡旋する国際医療コーディネーターも活躍している。

 しかし、その裏で「工場式幽霊手術」という手法が取られているのはご存じだろうか。

「工場式」は、工場でモノを大量生産するように整形手術を行うこと。

「幽霊手術」というのは、最初にコンサルティングを受けた経験豊富な医師ではなく実際の手術はあまり経験のない医師が替え玉で手術をすることを意味する。

 中には医師免許を持っているか怪しい素人の医療関係者もいるようだ。

 工場式と幽霊手術が合体したのが工場式幽霊手術で、大きなオペ室に10以上の作業台を並べ、手術台と手術台はカーテンで仕切りをしただけ。患者を麻酔で眠らせた後、経験の浅い医師が一斉に手術を行う。

 工場式幽霊手術はこれまで様々な医療事故を起こしてきた。そのため、こうした危険な手術に警鐘を鳴らす医師も現れている。

 例えば、大韓整形外科医師会の元法制理事キム・ソンウン院長は、整形外科で行われている世にも恐ろしい「工場式幽霊手術」の実態を人々に知らせようと、先鋒に立って活動している。

 その活動の一つに今のご時世にあったユーチューブ活動も含まれている。

 彼によれば、韓国での「工場式幽霊手術」は、すでに組織的で体系的なシステムになっているという。

 ブローカーを通じて患者を供給してもらった整形外科医が、幽霊手術で患者を死亡させたり、障害や脳死にさせたりするケースが後を絶たないという。

 しかし、そのよう事件が発生した場合でも、あたかも真っ当な施術をしたかのように書類を偽装してしまう。こうなると被害者は簡単には太刀打ちできない。

 訴訟に発展するようなケースでも、病院側が数億ウォン(数千万円)のキャッシュで口封じすることもあるという。

 綺麗になりたい女性の心につけ込む整形外科医は手術料が高く莫大な現金を蓄積している。そのため、有名法律事務所と契約していたり検察、裁判官に鼻薬を利かせたりすることも可能だという。

 完璧な犯罪カルテルまがいのシステムが出来上がってしまっているのだ。

 また、2005年に、それまでの医療広告を禁止する措置に対して違憲判決が下されたことも被害拡大に一役買っている。

 これ以降、医療広告の規制が解かれ、美容整形業界が爆発的に成長した。同時に整形被害も増大したのである。

 こうした被害を未然に防ぎたいと、キム氏は今年5月7日、青瓦台(大統領府)に「幽霊手術殺人を止めるため、整形手術死亡被害者の数を把握してください」という国民請願を提出した。

 しかし、1か月間で20万人の同調者を得ることができず、残念ながら大統領府からの返事はもらえなかった(20万人以上の署名が集まれば大統領府は何らかのアクションを起こさなければならないことになっている)。

 とはいえ、韓国の整形手術の実態や保健当局の穴だらけの管理監督の問題点が白日のもとに晒されたことで、韓国内で話題を集めた。

 キム院長がこうした医療事故に関心を持ち始めたのは、2003年、二重(ふたえ)手術と鼻の手術を受けた女子高生が脳死状態に陥り、その後死亡した事件で真相調査に参加したことからだった。

 この過程で衝撃的な犯罪手術の実態を知り、その問題点を公にしようと思ったという。

 整形手術の途中で患者が死亡または重体になる事例は今現在もかなりの数が報告されている。今年だけでも例えば次のようなケースが表面化している。

 今年1月、香港財閥3世のボニー・エビタ・ロー(女)氏が、ソウルの某病院で脂肪吸引などの手術途中で死亡した。

 5月にも顔面の輪郭形成術(俗に「小顔整形」)を受けていた20代の患者が重体になる事故が発生した。

 また、4月にはソウルの整形外科で手術を受けた後、手術や処方薬の副作用に苦しんでいた30代の女性が自殺した。

 この女性は、自分が手術を受けたいと言った箇所だけでなく、他の部位まで勝手に手術が行われ鬱になっていたという。

 また、少し前では、故クォン・デヒ(男)氏の死亡事件は、整形外科の工場式幽霊手術の実態が世間に如実に晒された事件として有名だ。

 2016年に大学生だったクォンさんは、ソウルの某整形外科で顔面の輪郭形成術を受けた後、重体となり死亡した。

 当時、警察が確保したオペ室の監視カメラには衝撃的な映像が映っていた。

 手術の途中で医師や麻酔医が出て行ってしまった手術室には、致死量を超える血を流しているクォンさんが残されていた。

 クォンさんは止血処置を受けることなく、准看護師がただ床に滴り落ちる血をモップで拭いている様子などが映っていたのだ。

 今回、キム氏の大統領府に対する国民請願は実らなかったが、メディアの関心は間違いなく集めた。

 イ・ジェミョン京畿道知事を動かしたのである。

 イ知事は、6月8日、フェイスブックにキム元理事の医療犯罪を訴える記事をリンクし、「オペ室の監視カメラについては公共病院は即施行し、義務化する法律をいち早く制定すべし」という題の文章をアップした。

 今回、大統領府に請願を出したキム元理事は、日本の皆さんの中にもご存知の方がいるかもしれない。

 2013年に整形外科で女子高生が死亡した事件を調査して「幽霊手術」の現状を世に知らしめたため、名誉棄損などの容疑で起訴されているからだ。

 第1審では「シロ」と出たが、検察の控訴により現在第2審裁判が行われている。

 崖っぷちに立たされているキム氏は、ドクター・ヴェンデッタというユーチューブチャンネルを運営している。参考までにリンクを記す。

https://www.youtube.com/channel/UCcAr8jkpscsMfSeaNYzJwNg

 もちろんしっかりした病院や医師はいるとは思いますが、この記事のような病院や医師が実在するとすれば恐ろしいことです。しかし記事中のキム院長が真相調査に着手してから今日に至るまで、ずっと同じ状況が続いている、と言うことが信じられません。

 日本ではもちろん患者からの訴えがあれば、大騒ぎになるでしょうし、「文春砲」のようなメディアの実態報道なども、連発されるでしょう。病院は稼ぎまくっているようですが、その金をちらつかせ行政や政治家との癒着でもあるのでしょうか。いずれにしろ民主国家と言えるのだろうかという疑問がわきます。

 それにこういった悪徳病院や医師がはびこるのは、需要がいかに多いかと言うことの証左でしょう。それだけ韓国の女性(男性も?)は外観を異常に気にしているのですね。もちろん美人の方がいいに決まっていますが、それを中身でカバーよりもまず整形、と外観づくりに走ってしまうようです。何がそうさせているのか、その真の要因を知りたいところです。

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2020年6月 2日 (火)

1億7千万円の新薬、対象幼児と家族の期待の裏側で

8-2  全世界で、新型コロナウイルスの感染症に効果がある、新薬の登場が待たれていますが、以前このブログで「脚光を浴びる新薬の裏側で」と題し、画期的な新薬登場を喜ばしく思う反面、それがとびぬけて高額な価格の場合、医療財政を急速にひっ迫させている現実を取り上げました。

 今ここに「ゾルゲンスマ」という遺伝子治療薬が登場、公的医療保険の対象となったようです。その価格なんと1億7千万円だそうです。本日の産経新聞の社説から以下に引用転載します。タイトルは『国内最高額の薬 価格には信頼が不可欠だ』です。

 約1億7千万円という遺伝子治療薬が、公的医療保険の対象になった。過去最高額で日本で1億円を上回ったのは初めてだ。乳幼児の脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ」で、点滴により1回投与する。

 これまでは人工呼吸器を生涯装着するか、2歳程度までしか生きられなかった幼児が、早期投与により座ったり歩いたりするようになった事例が報告されている。

 長期的効果の見極めはこれからだが、根源的治療になるかもしれない。幼児の人生を開くものとして、家族と期待を共有したい。

 1剤あたりは高額でも、患者の自己負担は低い。個人では負えない大きなリスクに直面しても、効果のある治療があるなら使えるようにすることは公的医療保険の本来の役割といえる。

 ただ、価格が決まるまでの経過には苦言を呈したい。厚生労働省の「先駆け審査指定制度」が適用された。画期的な効果があり、世界に先駆けて日本で開発・申請される薬を、スピード承認と高い薬価で報いる仕組みだ。

 だが、優れた新薬を早期承認する狙いが、今回は途中で失われた面は否めない。薬剤の開発元だったベンチャーによって品質に関する不適切なデータ操作があったことが、製薬会社から報告された。品質の再評価が行われ、有効性や安全性に影響はないとして認可された。

 製薬会社は、開発元ベンチャーへの監督が行き届かなかったことを猛省すべきだ。この不祥事で審査は少なくとも数カ月遅れた。

 こうした問題があったにもかかわらず、指定制度に伴う加算により、価格に約1千万円が上乗せされたことには疑問を感じる。公的医療保険に関わる薬価には信頼が不可欠である。厚労省は加算の見合わせも検討すべきだったのではないか。

 公的医療保険の対象となる高額薬には肺がん治療薬「オプジーボ」や血液がん治療薬「キムリア」もある。高額でも効果の高い薬を用いる必要性は、これからますます出てくるだろう。

 保険対象の高額薬が増えれば保険財政を圧迫し、ひいては保険料や税金で国民負担が膨らみかねないことも同時に認識しておかなくてはならない。その意味でも価格が効果に見合うかどうかを丁寧に精査していく必要がある。

 社説では開発元のベンチャー企業の不祥事が発端となって、認可が遅れ、かつ1千万円が上乗せされたことを中心に、問題点として指摘していますが、それより最後の部分、「保険財政への圧迫」の方を本稿の問題点として取り上げたいと思います。

 周知の通り、現在国家予算のほぼ3分の1が社会保障費、そのうちの約3分の1が医療費で、昨年度予算では11兆8千億円となっています。医療保険ですから本来は保険料で賄わなければなりませんが、高齢化による医療費の高騰で、現在では3割近くが国の税金から投入されている状況です。

 「人の命は地球より重い」という哲学的な表現を用いずとも、人命の尊さは一部の過激派や原理主義者を除き、万人認めるところです。しかし交通事故死での補償などに見られるように、金額にすればそれは億単位の例もあるでしょうが、無限ではありません、当然有限です。

 確かに人一人の命を救えれば1億7千万円かけても、という考えは支持されるでしょうし、逆に財政を圧迫するという理由で反対するのは、対象者の人権を否定する意味で受け入れられないでしょう。ましてこれで幼児を救えるのです。しかし・・・と私は思うのです。

 国民全体が若く国家財政が潤沢な時代はいいでしょうが、今や借金に寄り掛かった瀕死の状態、しかも人口減少はまだまだ続き、収入はもうこれ以上増えないしむしろ減る、そうした中で膨らむ社会保障費、どうしたらいいのでしょう。

 結婚しない若者をあの手この手で結婚させ、多額の出産祝い金を出すことにより子供をできるだけ多く生んでもらい、そのために若者が子育てしやすいよう産業を整備し、同時に若者の給与を上げ、高齢者より子持ち家庭に社会保障費をできるだけシフトし、国を挙げて少子化を止める。そのための特別立法を早急に立案成立させる。・・・などと考えても、今の与野党の論戦状況では実現性は程遠いようです。

 いずれにしろ、今後ともこれらの新薬が登場し、高薬価への保険適用を進めて行けば、やがて破綻が来るのは目に見えています。今回の新型コロナウイルスへの対応状況を見れば、今の厚生労働省に有効な対応を期待するのは、あまり現実的ではないようです。スーパー厚労省の出現を祈るのみです。


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2020年5月 5日 (火)

オンライン診療の解禁、実は岩盤規制で遅れていた

Prm2003300003view_1  3月下旬にこのブログで『コロナを機に「薬をもらうためだけの病院通い」の無駄を省こう』というテーマを取り上げましたが、病院に何度も来てもらわないと病院の経営が苦しくなるという、つまり日本医師会の求める利権を厚労省とタッグを組んで守ろうとする規制の構図だと紹介しました。

 オンライン診療がなかなか解禁にならなかった理由も同じ構図のようです。読売新聞の本日の記事『[コロナ危機]経済政策<上>苦境が崩した「岩盤規制」』を引用してその内容を紹介します。

 長年、医療界がかたくなに守ろうとしてきた「岩盤規制」にも穴が開いた。家にいながら初診から医師の診察を受けられるオンライン診療の解禁である。4月20日に政府が決定した緊急経済対策は、全42ページの約1割をオンラインや電話での診療の記載に割いた。

 風邪や腹痛といった軽症の人が、初診からオンライン診療を活用すれば、通院に伴う感染リスクを減らせる。メリットは明らかで、当然の規制緩和と言える。

 しかし、実際は危機に直面している状況であっても、岩盤規制をうがつことは容易ではなかった。政府の規制改革推進会議を活用し、オンライン診療の普及を目指す経済産業省や財務省などの前に、日本医師会と、同会をおもんぱかる厚生労働省が立ちはだかった。

 財務省幹部は打ち明ける。「日本医師会の『査定』で立ち消えになった案件がある」。次世代通信規格5Gへの対応も視野に入れたオンライン診療体制の整備に取り組んだ医療機関に、1か所当たり最大825万円の補助金を出す支援構想のことだ。

 霞が関の経済官庁や経済界には、世界的に医療ビジネスが次の経済成長の源泉だと見なされている中、日本でもオンライン診療の普及を急ぐ必要があるとの声が根強い。

 一方、医師会はオンライン診療に「誤診や見逃しのリスクがある」として反対を続けているが、その裏には病院間の経営格差の拡大懸念があるともみられている。

 オンライン診療が広がれば、通院が可能かどうか「距離」に関係なく、評判の良い大病院などに診察希望が集中し、個人経営の病院の経営が苦しくなるかもしれない。こんな危惧を抱く医師会が、最先端の5G対応オンライン診療システムの普及を後押しする補助金政策を容認するわけがなかった。経済官庁幹部は「抵抗勢力は患者を奪われると懸念する開業医」と解説する。

 水面下の攻防が繰り広げられる中、方向性が固まったのは3月31日。安倍首相が経済財政諮問会議で、オンライン診療の意義を「患者の方々のみならず、医師や看護師の皆様を院内感染リスクから守るためにも重要だ」と強調したことで、厚労省は初診からのオンライン診療の解禁だけは受け入れた。安倍内閣としては、なんとか規制緩和の「ゼロ回答」は免れ、面目を保った格好だ。

 一方、オンライン診療を巡っては現状、推進派と反対派の一時的な手打ちに過ぎないとの見方がもっぱらだ。

 医師会の松本吉郎常任理事は、「非常事態の下での例外中の例外」と訴え、全面解禁でないとクギを刺す。確かにオンライン診療には、触診や聴診ができないといった制約がある。

 今回の解禁がどういった効果を上げ、課題を残したのか。感染収束後にオンライン診療の推進派も反対派も、その検証に取り組む必要がある。

 ◆オンライン診療=スマートフォンやパソコンなどの画像通話機能を使って、患者が病院に行かなくても、離れた場所で医師が行える診察。政府は4月に「感染が収束するまでの間」に限って、初診から認めることにした。これまでは、初診に加えて事前に3か月間、対面診療を毎月受ける必要があり、対象も糖尿病などの生活習慣病や慢性の病気に限定されていた。医療機関が受け取る診療報酬は、初診の場合、対面診療の4分の3程度。

 かかり付け医の多くが個人経営であり、ひと月1回の薬の処方のために病院通いを義務付けているのも、患者の状態を継続的に把握するためというのは建前であって、本音は診療報酬を多く得たいための手段だということを、前回申し上げましたが、このオンライン診療の解禁拒否の姿勢も全く同じ理由からでしょう。

 私の通うかかり付け医は、電話での薬の処方もしてくれません。法的に解禁されているにもかかわらずです。ましてやオンライン診療など到底不可能でしょう。そうであればそれが可能な病院にアクセスするのは当たり前で、こうした小規模の開業医は一気に経営が苦しくなるのもよくわかります。当然医師会としては反対するでしょう。

 今この新型コロナウィルスの感染で大変なのは指定病院であって、公的でかつ恐らくかなり大きな規模の病院でしょう。本当ならばそうした病院のことを重視した施策を医師会は積極的に取るべきなのでしょうが、ここは数の多い開業医の意見が通りやすいのかもしれません。

 患者のためではなく病院のために組織が動くのはある程度やむを得ないのかもしれません。しかしそれを患者のために施策を打ち出すのが厚労省のはずです。残念ながら日本の官庁の一般的な構図はその業界のために優先して働くことのようです。

 かつて世間を騒がせた加計学園問題も、その本質は日本獣医師会と文科省がタッグを組んで、獣医学部の新設を阻もうと岩盤規制を構築していましたが、それに風穴を開けるべく、国家戦略特区に指定された今治市に、新たに獣医学部を作るために加計学園が指定されたことにあります。つまり実態はこれも岩盤規制側とその風穴を開ける側の戦いの問題です。

 もちろん社会生活を安全で円滑にするために必要な規制も多くあります。しかし上記のような業界を守ることにその重点を置き、消費者や利用者を忘れ去った規制は崩していかないとなりません。

 昨日述べたマイナンバーや業者ナンバーと様々な情報を結び付けて、申請やその他の報告に時間と労力を大幅に削減するような、ITの活用制度も、何かの規制によって妨げられているのかもしれません。世界的には5Gの時代になって、数年先には6Gも考えられているのに未だに紙での申請や報告では、IT後進国になり下がってしまいます。改善が急がれますね。

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2020年3月29日 (日)

新型コロナウイルスの治療薬の開発・承認を急げ

5e7173ef23000050280c63a9  昨日は東京で63人、千葉で62人、そして全国で202人の新型コロナウィルス新規感染者が出ました。いずれも最多更新の数字です。いよいよ感染爆発の予兆が感じられるようになってきました。感染拡大を防ぐためのワクチンの開発には、一年から一年半かかると多くの医療専門家が述べています。それまで待って世界中で外出禁止を続けていれば先に経済が死んでしまいます。そこで同時に期待されるのが治療薬の開発です。昨日安倍首相が「アビガン」に言及しました。朝日新聞デジタルの記事から引用します。

 安倍晋三首相は28日、首相官邸で記者会見し、新型コロナウイルスに感染した患者に対し、臨床研究(観察研究)として使い始めている新型インフルエンザ治療薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)について、薬事承認を目指す考えを示した。「正式に承認するに当たって必要となる治験プロセスも開始する考えだ」と述べた。

 アビガンは新型インフルエンザ治療薬として備蓄されているが、中国で新型コロナウイルスの治療効果が確認されたとの報告が出ている。安倍首相は「世界の多くの国から関心が寄せられている」として、薬の量産を開始するとした。

 ただ、アビガンについては妊婦が服用すると胎児に副作用が出るおそれが指摘され、新型インフルエンザ薬としても従来の治療薬では効果がないか不十分なときに限って使用が認められている。

 また、膵炎(すいえん)の治療薬「フサン」(一般名ナファモスタットメシル酸塩)についても、観察研究として、新型コロナウイルスに感染した患者に対し、事前に同意を得たうえで使い始める考えも表明した。

 「アビガン」については富士フイルム富山化学が開発した新型インフルエンザ用の治療薬です。ただしこの薬は「催奇形性 (妊娠中の女性が薬物を服用したときに胎児に奇形が起こる危険性のこと )」の副作用が発生する恐れがあるので、上記の通り使用には注意が必要なようです。このあたりの詳細を日経ビジネスの記事から引用します。

 そもそもアビガンは14年に抗インフルエンザ薬として日本で承認されているが、通常の医療用医薬品とは扱いが大きく異なる。「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分な新型または再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される」とされ、厚生労働大臣の要請がない限り販売はできない。 

 というのも承認を取得した際、動物実験の結果などから催奇形性(さいきけいせい)を持つ可能性が指摘されたためだ。承認申請は11年に提出されたが、審査期間は約3年と長期に及び、既存の抗インフルエンザ薬とは異なるメカニズムであることから、新型インフルエンザに対する備蓄用の位置づけで何とか承認された。ただし、催奇形性が心配されるため、妊娠中や妊娠の可能性がある女性が使うことはできない。服用した薬は精液や母乳の中にも出てくるので、男性が服用した場合も避妊が必要だし、授乳も中止しなければならない。このように、慎重に使用する必要がある薬であり、臨床研究などを除いてこれまでほとんど使われてこなかった。

 この薬を安倍首相が名指しで取り上げたのには理由があります。それは中国が先に、この薬が新型コロナウィルスに有効だと発表したからです。その詳細を日経ビジネスは以下のように伝えています。

 中国の科学技術省の張新民主任は3月17日に北京で開いた記者会見で、富士フイルムホールディングス(HD)の100%子会社である富士フイルム富山化学(東京・中央)が創出した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」が、新型コロナウイルスの治療に有効だと発表した。有効成分であるファビピラビルの臨床試験で良好な結果を得たとし、「今後、中国内の医療機関に対し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の診療ガイドラインへの掲載を推奨する」などと語った。

 つまり中国当局のお墨付きを得た薬のようです。ただ中国の医薬メーカーとのライセンス契約は終了していて、中国で使用されてもライセンス料は富士フィルム富山化学には入ってこないとのことです。又もや中国にしてやられたような気がしますが、それはさておき、中国側の発表のように有効性が確認されれば朗報です。

 特に「催奇形性」という副作用は高齢者には関係が薄く、重症患者が高齢者に多いことから期待できます。できるだけ早い承認が待たれるところです。

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2020年3月28日 (土)

新型コロナ感染拡大防止のための自粛要請の限界

7  東京都の新型コロナウィルスの感染者が3日連続で40人を超えました。小池都知事は週末の外出を控えるよう自粛要請しました。3日前の夜間外出自粛要請の後、東京都内は花見の時期もあって、若者を中心にかなりの外出風景がテレビの映像で流れていました。

日本人は要請によく従うのか?

 テレビでこの外出をしている人たちにインタビューをしている映像が流れます。「知らなかった」に始まり「週末デートだから、洋服を買うため」、「花が散る前にぜひ見ておきたい」、「自粛って強制でないのでしょう?強制だったら出ない」、「私の周りが感染していないから大丈夫だと思う」などなど。

 意味不明な返答も含めて、外出している人へのインタビューですから、予想された反応ですけれど、都民の1%でも自粛を無視すれば11万人が街に出るわけです。街と言っても繁華街や桜の名所でしょうから人が集中します。つまり自粛要請しても日本人の100%が従うわけではありません。

 それに今では個人の自由は高らかに謳われても、公民という概念は非常に薄くなっています。「人に迷惑をかけるな」と散々親から言われて育った私などにすれば、こんな時出歩いて感染したら、家族や周りの人に大迷惑をかける、と真っ先に思いますが、上述のインタビューの返答は完全に個人の自由優先、つまり自己中なのです。もはや日本人だから、という考えは薄らいで来ていますね。

日本人は我慢強いのか?

 自粛期間はおおむね2~3週間です。その間「巣籠り」しなければなりません。尤も平日は仕事がある人は、自宅でできない場合は通勤しなければなりません。

 それはそれで大変ですが、夜は自宅で過ごすということが自粛に沿うことでしょう。本当の意味での「巣籠り」は週末です。その2日間我慢できない、また平日の夜の外出も我慢できない人が、結構いるのです。

 東日本大震災の時の被災地のように、物理的に自宅や避難所で過ごさなければならないような場合、我慢が強いられます。その時は我慢強さが称賛されました。(実際は避難所で不平や文句を言ったり、救援物資を独り占めしようとする人もいたそうですが)

 今回の疫病の場合はその物理的な障害はありません。目に見えない敵との戦いですから、見ようとしなければ我慢したくない人は我慢しません。つまりここ2~3日の夜間外出をしている人たちは、我慢していないことになります。

自粛要請では感染拡大は防げない?

 感染源の中国武漢市、そして感染爆発した中東や欧米の最近の状況は、殆どが緊急事態宣言下の外出禁止です。街から人が完全に消えています。イタリア、フランス、イギリスなどは外出した人に罰金を科し、それも次第に高くしていっています。武漢では警官が厳しく取り締まっていましたし、今のインドでは警官が外出している人を手や棒で叩いたり、腕立て伏せやスクワットを強制しています。どこでも命令に従わない人はいるのですが、それを強制力を持って従わせているのです。

 翻って日本では自粛要請にとどまっています。ブラジル大統領が東京の街の人出の状況をとらえて、外出禁止をした一部の州を非難し、「日本を見習え」と言ったそうですが、経済第一主義の大統領の思いが、外出禁止による経済への影響を懸念してこうした言動に走ったようです。

 確かに外出制限は経済にはダメージを与えます。しかしやはり経済優先主義のトランプ大統領のおひざ元アメリカの多くの州では、緊急事態宣言が発令されています。感染爆発したニューヨークでは人通りが消えています。ブラジルも日本もまだ爆発していないからでしょうが、今のままでいいのでしょうか。

8_20200328133301 日本での緊急事態宣言は?

 先日日本でも改正特措法が成立し、更に政府の対策本部設置が閣議決定され、緊急事態宣言の準備はできました。これで都道府県にも対策本部の設置が義務付けられます。しかし緊急事態宣言を発令するには「新型コロナウイルスの全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるとき」ということで、全国的に急速に蔓延という状況にあるかどうか、が判断の分かれ目になるという点があり、東京都だけのためにできるか、というハードルがあります。

 また地方自治体の長に権限が付与されると言っても、あくまで協力要請であり、諸外国のように指示命令や罰則を伴わない、甘い法律のようです。これは野党の私権制限につながるという過度の指摘のため、今まで同様「ざる法」化してきたためでしょう。つまり外出も禁止ではなく自粛要請なのです。その他医療やイベント会場、学校などの公的施設については協力要請であっても従うと思いますが、個人や個人営業の店舗や飲食店では罰則がなければ完全には無理でしょう。

 それでも緊急事態宣言という言葉の発する重みはあり、今のような単なる要請よりいいでしょうが、何しろ「新型コロナウイルス感染症がまん延した結果として、医療提供の限界を超えて、国民生活・経済への甚大な影響が懸念されるとき」すなわち第3フェーズに入ってという前提があります。それに「医療提供体制が危機に陥る恐れがある場合に限った伝家の宝刀」という位置づけもあり、特に左派系の日本人に特有の政府による締め付けを極度に嫌う体質から、なかなか発令は難しいものと思われます。また安倍首相もまだその段階ではないと発言しているので、しばらくは無理かもしれません。

要は一人一人の自覚に俟つしかない

 連日のようにこの疫病の持つ特徴がメディアで報じられています。どうしても一部の跳ね返り者は居るものです。そうした人間は放っておいて何とか個人レベルでは感染しないよう、自己防衛していくしかありません。仕事を持つ人は特に自宅業務にするか、できない人は通勤時に感染しないよう、心がけるしかありません。そしてあえて不要不急の外出を控えましょう。それしかありません。それと自粛要請に従う食料品や医薬品を除く個人経営の店舗や飲食店、そこへの経済的支援は行政の責任としてきちんと対応をいただきたいと思います。

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2020年3月27日 (金)

コロナを機に「薬をもらうためだけの病院通い」の無駄を省こう

7173565  このブログをご覧の方の中に医師、特にかかりつけ医の方がいらっしゃるかもしれません。その方には申し訳ないと思いますが、これから取り上げる内容は、処方箋の問題点です。

 実際私も血圧降下剤などいくつかの薬を処方していただいていますが、毎回同じ薬で、しかも数年にわたって服用し続けているのに、それを入手するには「医師に診察を受けて処方箋を書いてもらう」必要があるのです。

 そのたびに病院に行き、診察を受け、診察費を払わなければなりません。かつ一般の開業医では海外出張等特別な事情がない限り一か月分しかもらえません。私が海外に居住したとき、その国では薬局で簡単に買えました。

 その理由と、新型コロナウィルス感染拡大のこの時期、一時的にその規制が緩和されていますので、規制緩和の実情を弁護士ドットコムのコラムから以下に引用します。

コロナ問題を機に「薬をもらうためだけの病院通い」が終わる可能性 一時的な規制緩和実現(3/23) 

新型コロナウイルス の感染拡大が続く中で、2月28日付けの厚労省通知「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その2)」にて、病院、薬局に行かずに薬をもらうことが、臨時的に認められるようになりました。

本来、医師法20条、歯科医師法20条にて、診察なしでの処方せん交付は禁止されています。今回、この規制が緩和されました。これまで毎回、薬をもらうためだけに、病院に通わなければならない、といったやり方が、一時的なものとはいえ、変わるということは、今後の医療のあり方を考える意味で、大きなインパクトがあります。

  • 受診をせずに、どう薬をもらえるようになったのか

病院、薬局には、病気の方が集まっています。パンデミックとなっている現在、病院の待合室にコロナに感染している患者さんがいる可能性は否定できません。軽症の風邪で受診した結果、コロナに感染してしまうこともあるかもしれません。また、コロナに対する治療法は見つかっておりませんので、受診したところで対症療法しかできない状況があります。

このような状況で、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの疾患は、1~2日薬を飲まなかったとしても、すぐには自覚症状が出ないことも多いため、受診の優先順位が下がってしまうこともあります。しかし、薬を服用していないと病状悪化し、ある日突然脳卒中になってしまうこともあります。

そこで、臨時的な規制緩和により受診なしで薬をもらえるようになりました。手順は以下の通りです。

患者(コロナの疑いなし、継続的に薬をもらっている、比較的状態安定)→病院へ連絡

病院→薬局へ処方せんFAX または、病院→患者→薬局もOK

薬局→患者へ宅配便または薬剤師が在宅訪問

料金は後日(振込対応もできるかも)

  • 何度も病院に来てもらわないと、病院経営が苦しくなるという台所事情

今回、一時的にでも規制緩和されたことで、将来的な緩和の実験にもなります。

日本では、1~3か月に1回、病院受診することが多いです。

カナダ、フランス、オーストラリアなどでは、3か月分くらい処方されますが、1枚の処方箋で何度も薬を調剤してもらえる制度があります。これを、リフィル処方せんと言います。リフィル処方せんがあれば、病院受診なしで何度も薬局で調剤を受けられるので、病院受診は年1回程度ということもあります。

日本では、日本医師会などがリフィル処方せんに反対しているため、まだ実現できておりません。反対の理由としては、医師が患者の状態を把握するためには継続的な受診が必要というものです。裏の理由としては、病院に何度も来てもらわないと、病院の経営が苦しくなるからだともいわれています。いわゆる「利権」の考え方です。

「利権」の動きを考えるため、一つの例をあげてみます。

医師や薬剤師などは、講演会での講師料、記事執筆の原稿料または研究の援助のためなど、製薬メーカーから資金提供を受けていることがあります。現在、学会発表、論文発表の際には、どのメーカーからどのように資金提供を受けたのか公開する必要があります。

しかし、医療制度を決める社会保障審議会、厚生科学審議会、薬事・食品衛生審議会、中央社会保険医療協議会などでは、審議委員の受けた資金提供の公開は求められておりません。審議委員の発言が、製薬メーカーの利益のために動いているように見えることもあります。

ただし、規制がすべて悪いわけではありません。患者の安全のために規制しているという面もあります。

たとえば、楽天の三木谷氏が、厚生労働省を相手取った訴訟に勝訴し、インターネットによる医薬品販売が解禁されました。

しかし、2019年9月に公表された「平成30年度医薬品販売制度実態把握調査結果について」によると、店舗販売に対し、インターネット販売では、法令順守率が低いとの結果となっていました。

特に医薬品に対する相談に適切な有資格者が対応した割合において、インターネット販売では大きく劣っていました。薬の副作用、飲み合わせの悪い組み合わせ、薬を飲んではいけない疾患は非常に多岐にわたります。きちんと勉強し、国家資格試験に合格した人でないと、これらを把握し、適切な対応をすることはほぼ不可能です。

  • オンライン診療、服薬指導も変化を促す一大要因に

最後に、IT化の進展も含めた大きな流れを考えてみましょう。2018年より、条件付きでオンライン診療が解禁されています。

ただし、2020年3月現在、国家戦略特区を除き、オンライン服薬指導は認められていません。そのため、オンライン診療を受けた後、処方箋を持って薬局に行かなければなりません。 2019年11月医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(略して改正医薬品医療機器等法、もっと略して改正薬機法)が可決・成立しました。2020年9月より、オンライン服薬指導が開始予定です。

これにより、医師の往診、薬剤師の在宅訪問服薬指導の負担軽減となり、患者にとっても便利になる可能性があります。

今回の一時的な規制緩和をきっかけに本格的な規制緩和の機運が高まり、リモート診療、リモート服薬指導や、リフィル処方せんのような新たな流れが大きく進むのであれば、医療の世界は劇的に変わるかもしれません。

 このコラムの中で述べられている「インターネット販売」については、極めて一般的な薬品にとどめ、機が熟してきてから徐々にその範囲を広げればいいのではないかと思います。つまり購入者があまり疑問や質問を要するようなものは先に延ばしたらいいでしょう。

 またオンライン診療や、オンライン服薬指導などは将来的には拡大していくでしょう。

 それより、まずかかりつけ医と言われている開業医で毎回処方してもらう薬を、少なくとも3か月に一度とか、半年に一度にしてもらって、それで減少する診察料の補填は、薬価も含めて医療制度全体で検討したらどうでしょうか。

 そこで気になるのは日本医師会による「利権」の部分です。その医療制度の再検討に立ちはだかる壁にならないとは限りません。今回のコロナ感染の治療に関しても、検査が進まないのはまさか病院側が受け入れを渋っているのが主因ではないでしょうね。そのバックに日本医師会がいたら、と勘繰ってしまうのは私だけでしょうか。

 とにかく薬を入手するためだけ、診察と言っても血圧測定だけ(私の場合はそうです)、それだけのために病院に行かなければならないという無駄は、是非省きたいものです。

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2020年3月25日 (水)

タダでは転ばぬ中国、厄災を利用する様は「焼け太り」か

P1  昨日夜、IOCのバッハ会長と安倍首相(日本の五輪関係者も列席)が電話会談で、東京五輪の開催を1年程度の延期で合意しました。今朝のメディアはその話題で一色となっています。昨日このブログで、新型コロナウィルスの影響で東京五輪の延期も視野に入れるという新たな展開について取り上げましたが、さすがにこんなに早く時期の決定がなされるとは思いませんでした。正式な日程はまだですが、いずれにしても早い合意は歓迎したいと思います。

 話は変わりますが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の中で、その発生元と言われる中国が、すでに収束の段階に近づいていると言います。そうした中、日経ビジネス誌上で副編集長小平和良氏が『新型コロナで「焼け太り」の中国、次の狙いは世界経済の救世主か』(3月24日)というコラムを記しています。以下に引用します。

 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は3月16日に発行された中国共産党中央委員会の機関誌「求是」に、「疫病の流行を防ぐ戦いに打ち勝つため、科学技術のサポートを提供せよ」と題する文章を寄稿した。
 

 寄稿の中で習国家主席は「人類と疫病との戦いの中で最も有力な武器は科学技術である」と指摘。「我が国は感染症の予防・治療の領域において、研究の水準やプラットフォームの建設、人材などの面で明らかにレベルアップしている」と記した上で、「疫病の流行拡大を防ぐための人民戦争、総力戦に打ち勝つにはまだ苦しい努力が必要である」として、科学技術に携わる人たちのさらなる奮起を促した。 

 同じ号の求是はほぼすべての記事が新型コロナウイルスに関連するものとなっている。その中で「新型コロナウイルスと科学技術」に関する記事が習国家主席のものも含めて、4本並んでいる。 

 未知のウイルスとの戦いにおいて科学の力が不可欠であるのは当然ではある。ただ、共産党の「理論誌」との位置づけの求是において、科学技術の必要性を強調するのは、中国の科学技術力が新型コロナウイルスの流行拡大を抑えるのに役立ったと喧伝(けんでん)する狙いがあるように見える。 

 実際、中国は新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込みつつある。中国の国家衛生健康委員会は、22日に新たに感染が確認された人の数は39人、死亡者は9人だったと発表した。新たに感染が確認された39人はいずれも別の国から中国にウイルスを「逆輸入」した人たちだという。 

 新型コロナウイルスの感染者が最初に見つかった湖北省での新たな感染者はゼロだった。同省の武漢市政府は22日、移動制限を緩和し、一定の条件を満たせば自宅を出て出勤を認めるとの通知を出した。 

 一方、中国政府は同日、北京を目的地とする国際便の直接乗り入れを禁じる措置を発表した。北京を目的地とする航空機はいったん上海や西安、内モンゴル自治区のフフホトなど12の空港に着陸し、乗客への検疫を実施した後、問題がない乗客だけが北京に向かうことができる。国内での感染拡大以上に、ウイルスの逆輸入を警戒している。 

 その他の地域も逆輸入を防ぐべく水際対策を実施してきた。上海市は韓国や日本、米国、イランなど感染が拡大している24の重点国家から渡航してきた人について14日間、指定施設や自宅で隔離する措置を取ってきた(22日に日本が重点国家から除外され、フィリピンが追加された)。 

セルビア大統領は中国の医療専門家を空港まで出迎え

 中国政府が発表する感染状況の統計は信頼性に疑問があるのも確かだ。香港の英字紙「サウス・チャイナ・モーニングポスト」は23日、新型コロナウイルスの陽性反応が出たにもかかわらず、無症状であることを理由に公表されなかった事例があると報じた。その数は2月末の時点で4万人以上だという。 

 しかし、国内での感染拡大抑制にめどを立てたとみる中国政府は、感染が広がる欧州などへの支援を加速させている。中国国営の新華社は23日、新型コロナウイルスの流行が世界に広がる中で、習国家主席によるトップ外交が活発になっていると報じている。 

 新華社によると、1月22日から3月21日までの間に、国連のグテーレス事務総長を含む18の国・機関のリーダーと19回の電話会談を行ったという。フランスのマクロン大統領とは1月と2月に2回行ったほか、3月16日にはイタリアのコンテ首相と、17日にはスペインのサンチェス首相とも電話で会談した。 

 医療物資の支援や医療専門家の派遣も目立つ。21日にはセルビアのベオグラードに中国の医療専門家6人が到着し、ブチッチ大統領が空港まで出迎えて、「肘タッチ」で歓迎した。死亡者数が中国を超えたイタリアには18日に、中国の医療専門家の第2陣が到着している。米フォーチュンは、中国の広域経済圏構想「一帯一路」を念頭に置いた「健康のシルクロード」を広げようという取り組みだと報じた。 

 中国企業のサービスも同様に世界に広がろうとしている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、オンライン教育を実施する際に助けとなるツールの一例として、アリババ集団の仕事用コミュニケーションアプリである「釘釘(DingTalk)」や動画投稿アプリ「TikTok」で知られる北京字節跳動科技(バイトダンス)のコミュニケーションアプリ「Lark」を取り上げている。

 欧州と同様に感染が拡大している米国では、トランプ大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼ぶなど、中国から流行が始まったことを強調する動きが出ている。中国政府はこれに対し、激しく反発している。そもそも新型コロナウイルスの感染が拡大したのは、湖北省や武漢市など中国の地方政府の初動が遅れたことに原因がある。 

 しかし、中国政府はいち早く感染拡大を食い止めた経験と技術力を武器に欧州などの国々への支援に乗り出している。米国と並び立つ大国としての責務を果たしていることを示すと同時に、中国脅威論を抑える狙いもありそうだ。さらに経済の面でもいち早く回復することによって、リーマン・ショック後に大規模な景気刺激策を打ち出した時のように、「世界経済の救世主」となることを考えているのかもしれない。

 いかにも中国らしく、自国民に初動の遅れなどが原因で多くの感染者や死者を出し、医療関係者も塗炭の苦しみを味わったにもかかわらず、その経験を何の呵責もなく利用し、まさにこのコラムのタイトルにあるように「焼け太り」とも思える対応を行おうとしているように思えます。

 この疫病の影響は世界経済に大きな影響を与え、十数年前のリーマンショックをしのぐ規模の後退になるとの観測も出てきています。中国も当然その影響を受けざるを得ませんが、コラムの最後に描かれている通り、「世界経済の救世主」になろうと考えているのかもしれません。そんなことより、以前にもこのブログで述べましたが、火元としての損害賠償をしてほしいところです。

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2020年3月21日 (土)

自粛延長やむなし新型コロナ対策、政府にも企業や市民にも

W  一昨日の19日、新型コロナウィルス感染症対策専門家会議が実施され、以下に示す提言(抜粋)がなされました。

 専門家会議としては、現時点では、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするという、これまでの方針を続けていく必要があると考えています。そのため、「①クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応」、「②患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保」、「③市民の行動変容」という3本柱の基本戦略は、さらに維持、必要に応じて強化し、速やかに行わなければならないと考えています。

 さらに、これまで報告の少なかった欧州や米国などの諸外国で新規感染者数が急増しており、中東、東南アジア、アフリカなどでも大規模感染が拡がっていることが推定されることなどから、感染者ゼロを目指す国内での封じ込めは困難な状況です。このため、こうした国々から、我が国に持ち込まれる新型コロナウイルスへの対応や、国内においても、後述する、クラスター(患者集団)の感染源(リンク)が追えない事例が散発的に発生していることなどへの対策は依然として必須であり、クラスターの早期把握とともに、地域ごとの状況に応じた「市民の行動変容」や「強い行動自粛の呼びかけ」をお願いすることなどにより、いかにして小規模な感染の連鎖に留め、それぞれの地域において適切な制御を行った上で収束を図っていけるかが重要になってきています。

 以上の状況から、日本国内の感染の状況については、3 月 9 日付の専門家会議の見解でも示したように、引き続き、持ちこたえていますが、一部の地域で感染拡大がみられます。諸外国の例をみていても、今後、地域において、感染源(リンク)が分からない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねないと考えています。

 現在の実施体制では、クラスターの早期発見・早期対応という戦略を更に継続するのは厳しく、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行を回避できなくなる可能性があります。

 このため、専門家会議としては、抜本的なクラスター対策の拡充を迅速に実施すべきであると考え、その一刻も早い実現を政府に強く要望します。具体的には、①地域でクラスター(患者集団)対策を指揮する専門家を支援する人材の確保、②地方公共団体間の強力な広域連携の推進を図った上で、③地方公共団体間で保持する感染者情報をそれぞれの地域のリスクアセスメントに活用できるシステムを作ること、④保健所が大規模なクラスター対策に専念できる人員と予算の投入等が挙げられます。

 これに対し各新聞がその論評を社説等で発信しています。読売新聞は「新型コロナ対策 警戒緩めず長期戦に備えたい」として、専門家会議の提言に基づいて対応を実施していくよう述べています。おおむね自治体や医療機関など、現場での対応をさらにしっかり整えようという論旨です。

 一方朝日新聞では「新型コロナ対策 不安に応える発信を」として以下のように政府に対応を求めています。

 方向性に異論はないが、主催者側とすれば、地域とはどの範囲か、感染状況を誰に、どう確認すればいいのか、そのイベントに適したリスク低減策として何が考えられるかなど、相談できる先がほしいだろう。

 専門家会議の機能や人員を拡充し、科学的分析力とあわせ、情報の収集力・発信力を強化することが求められる。

 政府全体で顔をしっかり見せて、最新の知見や対策をきめ細かく提示し続けることが、人々の理解を得るうえで不可欠だ。説明を嫌い、厳しい質問から逃げてきた安倍政権だが、健康に関わり、社会・経済生活を大きく揺るがしているこの問題に、これまでの姿勢は通じない。

 その意味で、きのうの政府対策本部での首相の対応には疑問がある。専門家会議の見解を受け、学校については再開に向けて指示を出したものの、同じく自らの唐突な要請で始まったイベントの自粛に関しては明確な言葉で語らなかった。責任をどう自覚しているのだろうか。

 何につけても政権批判につなげたい意図が見え見えだと思います。同じ左派系でも毎日新聞は、以下のように政府だけに対応を求めてはいません。

 新型コロナの特徴を考えると、世界的流行は今後、長期間続くだろう。終息までの間、社会的・経済的影響を抑えつつ、医療を支えるには、対応策も持続可能でなくてはならない。そのための知恵が、政府にも企業や市民にも、求められている。

 さらに読売新聞紙上では何も対策を取らない場合の都道府県別の感染者のピーク推計(厚労省)を掲載しています。東京都を例にとると4万5千人強。最低の鳥取県でさえ2千4百人弱の数字です。朝日新聞の述べるように、何でも政府や専門家に事細かに指示や提示を求める姿勢では、あまりにも自主性に欠き、待ちの姿勢でしかありません。そんなことではこの疫病はとても食い止められないでしょう。

 自分が感染しないためには、また、自分が感染させないためには、どうすればよいか、メディアでは何度も何度も伝えてきています。それでも感染が抑えられていないのは、不運にも濃厚接触者になった人を除けば、それを甘く見たり怠る人がいるからであって、政府の所為にしても全く前に進みません。もし政府にその責任を完全に負わせようとしたら、感染が急増した欧米のように、緊急事態宣言を発して往来禁止や外出禁止を指示するしかないでしょう。そうすればそうしたで、また政府を批判するに違いありません。

 私は今までの政府の施策がすべてよしというつもりはありません。後手後手という批判はある程度当たっているように思います。しかし感染のオーバーシュートを抑えようとすれば、政府だけではなく企業や市民にも、自主性をもってその対応は求められていると思います。もちろんメディアにも。

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2020年3月 8日 (日)

今は国民一体となって、コロナ対策に向かうべきだ

6_20200308120801 私はかつてある研修会で「理入と行入」と言う言葉を聞いたことがあります。あることをしようとする場合、「理入」つまり理論、理屈から入る場合と、「行入」つまり実践、行動から入る場合がある、と言うことだったように記憶しています。

 私はテニスが好きで(もちろん下手ですが)テニスを例にとると、「理入」は本を読んだりビデオを見たりして、一生懸命サーブやレシーブ、ストロークやボレーの理論を学習して、実践に生かそうとするやり方。一方「行入」はまずはラケットを振って、ボールに慣れて、相手と練習をして・・・、と言うやり方、と言うことでしょうか。

 テニススクールの教え方はどちらかと言うと「行入」かもしれません。コーチに理論を教わることは少なく、実践の方が多いかなあ、と感じます。一方学校での教育は「理入」に位置するのでしょうか。理科や数学はまさにそうでしょう。体育や美術などの例外はありますが。ただいずれにしてもどちらかに重点があるにしても、完全に一方だけと言うことはないでしょうね。

 そういう意味では新型コロナウィルス対策の中で「小中高の休学」「行入」に近いのかもしれません。その効果を理屈で考えるよりも、結果はやってみなければわからないという意味で、まず実践、やってみようと決断したのではないでしょうか。

 一方「中国・韓国からの入国規制」は、「理入」、つまり多くの感染者を出している国からの入国者を対象に、入国後の行動規制をする。やる前にこうすれば感染が広がらない、とあらかじめ理屈で考えて結論を出した、と言うことになります。時期の問題は別にして。

 ところが「理入」「行入」がままならない場合もあります。検査や治療です。これは理屈では片端から検査したほうがいいに決まっていますが、その能力の問題があり、そう簡単にはいかない、又検査が仮にできたとしても、治療体制が整っていなければ絵に描いた餅になります(死者が急増している韓国、イラン、イタリアなどがそうではないでしょうか)。つまり「行入」に制約が大きいのです。又治療に欠かせない新薬については、未知のウィルスと言うことで新薬開発に理論的な展開が難しい。「理入」がしづらいという現実があります。

 別に「理入」「行入」を持ち出さなくても、未知の疫病の対策は困難を極めます。ですから医療機関は勿論、政府、国民一体になって感染防止に取り組まなければなりません

 ですが政権批判をしたい人たちは、「行入」つまりまずやってみようとした政策には、理屈に合わない、根拠が薄弱だ、と批判し、「理入」つまりやる前にいろいろ考えて、やるのが遅れれば、やるのが遅い、なぜやらない、と批判する。

 「行入」「休校要請」も関係者が困惑していると批判し、「理入」「入国規制」も遅すぎると批判するのです(実は私も遅すぎると思う一人です)。規制するな、と言う暴論もありますが。

 政治評論家の田崎史郎氏はテレビの報道番組で政府を代弁して、「やっても批判され、やらなくても批判されるのなら、やって批判される方がいい」と最近の矢継ぎ早の対策の裏話をしていました。ただ残念ながら検査、治療に関してはどんどんやる、と言えないところにこの感染症のむずかしさがあるのでしょう。

 繰り返しになりますが、この緊急事態を突破するのは「批判」ではなく「政府、国民、医療機関の一体化」だと思います。今批判をしている人たちは、批判ではなく代案を出すなり、有効な提案をして欲しいとつくづく思います。

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2019年5月12日 (日)

脚光を浴びる新薬の裏側で

14949_l  昨年のノーベル医学生理学賞を、京都大学特別教授の本庶佑氏が受賞したことで、一躍有名となった癌治療薬の「オプジーポ」。従来の抗がん剤とは全く異なるメカニズムが特徴で、有効性が高く副作用も少ない。多くの種類のがんに効く利点もあり、がん治療に革命をもたらす新薬として脚光を浴びています。

 しかしこの新薬に代表される、新しい新薬類がもたらす負の側面、それが医療費膨張による財政負担の増大です。昨年8月にもこのブログで述べましたが、再度取り上げてみたいと思います。

 日本の国家財政の状況については、GDPの2倍の借金を抱え、危機的状況だという意見もあれば、それは財務省の立場からの意見で、負債のみを問題にして、資産を隠している。しかも借金は国民からの借金で、ギリシャや他の財政危機国家とは違う。そう言う意見もあり、財政素人の私にとってはどちらが正論かはよくわかりません。

Download-2_1  ですが財政支出の中で、この10年の間突出して増えているのが、福祉関係の支出。他の支出が漸増なのに、2倍にも膨れ上がっています。明らかに高齢者の増加がその大きな要因でしょう。年金、介護、医療いずれも大幅に増加しています。

 それぞれ保険なので、元来保険制度の中でやりくりすべきなのでしょうが、現実には高齢者の増加に伴う支出の増大を、保険収入ではとてもまかないきれず、税金の補填が必要とされて来ています。今後ますますこの福祉関係の支出は増大するものと思われます。

 この中でも、医療費は特に問題をはらんでいます。近年医学の進歩が進み、新しい医薬が開発されています。それはガンや難病に苦しむ患者にとって非常にいいことには違いありませんが、医薬品メーカーの多額の開発費を回収するため、その価格は跳ね上がる一方です。

Img_faf739157ab42ef6aa45ac86d9e9ce2c1010  「オプジーポ」もその一つの例です。2016年に出版された「医学の勝利が国家を滅ぼす」の著者で先端医療に詳しい里見清一氏によると、体重によって投与量が変わるが、60Kgの人だと1回投与当たり134万円、2週に一度の投与で1年で3,500万円ほどになるといいます。

 この「オプジーポ」、2017年には半額に引き下げられ、その後も引き下げが続いて、昨年末には1,090万円になりましたがそれでも高額です。他の治療薬「アレセンサ」は、1錠6,615円。一日4錠必要で1年で966万円とこれもかなり高額です。

 さらに「オプジーポ」はすべてのがん患者に効果があるわけではなく、全体の2~3割程度になります。しかも効くかどうか、投与するまでわかりません。いや投与してもわからないことがあるそうです。したがって本人が希望すれば、結果として効果のない人まで投与されることになり、膨大な薬代が使われることになります。

 加えて日本の保険制度なら1~3割の負担で済む上、高額療養費制度があるため、患者が払う額は年間最高200万円に抑えられ、その他は税金などで賄われます。ですからこのような高額な新薬は、患者にとっては救いの神になりますが、医療財政にはその負担が大きくのしかかって来るのです。

 要は先述の里見清一氏も述べているように、新薬が出来て癌や難病の治療に大きな貢献が出来る部分の、いわゆる正(賞賛)の部分だけではなく、国家財政をますます脅かすであろう負(警告)の部分もあるという、両面からの考察が重要だと認識することでしょう。

 もちろん国はそれに対して有効な対策を考えていく必要があり、福祉財政が破綻する前にそれを成し遂げなければならない使命があります。厚生労働省はこれから正念場を迎えていくでしょう。是非効果的対策が打たれることを望みます。

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