安全保障政策

2022年11月 8日 (火)

櫻井よし子氏:フランスのエマニエル・トッド氏が提唱する、日本核保有の可能性についても議論すべきだ

Images-21  第二次世界大戦戦勝5カ国が、安全保障理事会常任理事国に居座る国連(その名も戦勝国連合、ただし中華人民共和国は戦勝国ではない)。そしてすべて核保有国で拒否権を持ちます。その一国ロシアが起こした侵略戦争はその拒否権でもって、何ら解決の目処が立っていません。

 そのことから言えるのは二つ。拒否権を持つ常任理事国が存在する国連安保理は現状基本的に紛争解決のよりどころにはならない。そして核を持たない国、または核を持つ国の同盟国でなければ、核を持つ国から侵略されても、甘んじるしかないと言うことです。

 日本は核を持ちません、アメリカの核の傘に入っていますが、果たしてこの傘は他国による核攻撃を守れるのか、不透明です。非核三原則を守るという岸田首相の言うとおりであれば、国内に核は持ち込めません。核を持たない列島にはたして傘があるのでしょうか。

 今や核論議はタブー視すべきではありません。海外の識者も提言をしています。産経新聞のコラム「美しき勁き国へ 櫻井よしこ」に、以下の記事が掲載されました。タイトルは『政治主導 国防費純増を』で、以下に引用、転載します。

Images-20 フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は国家基本問題研究所創設15周年の記念講演で助言した。

「戦争が進行中の欧州から来た人間として、おこがましいかもしれませんが言わせてほしい。ウクライナ戦争で明らかになったことの一つは核兵器が安全を保障する武器だったということです。日本は強い軍を持つべきですが、人口的に、(十分な)若者を軍に投入することは難しい。ならば核武装すべきです。核武装こそ平和維持に必要だとの確信を私は深めています」

「敵基地攻撃」という表現さえ忌避するわが国への助言としては大胆だ。だが、ソ連崩壊をその15年前に予言したトッド氏の炯眼(けいがん)を無視するのは歴史の展開に目をつぶるに等しい。

北朝鮮は11月第1週に大陸間弾道ミサイルを含めミサイルを30発以上撃った。ロシアはウクライナが放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」を準備中だと非難するが、その裏にロシア自身が戦術核を使用する危険が見てとれる。中国の習近平国家主席は中国共産党大会で歴史に逆行する姿勢を打ち出した。常務委員会(国会)を側近で固め、中央軍事委員会ではあからさまな台湾侵攻人事を断行した。「台湾侵攻は予想よりずっと早く武力によって行われる」とのブリンケン米国務長官の警告が現実味を帯びる。

いま、米国やアジアが日本に求めているのが、異次元の国防力強化策だ。日本だけでなく台湾を含むアジア諸国を中露北朝鮮の脅威からいかに守るか、明確な指針を示すのが政治の役割だ。強い国防力は強い経済なしには維持できない。日本経済の格段の成長が必要なゆえんだが、政府内で奇妙なことが起きている。

10月26日午後、自民党の萩生田光一政調会長に岸田文雄首相から電話があった。鈴木俊一財務相以下茶谷栄治財務次官らが官邸に来て、「総合経済対策費は25兆円になる。同件は政調会長にも逐一報告済みだ」と説明を受けたが、それは事実かという直々の問い合わせだった。その時間帯、萩生田氏はまさに総合経済対策を議論する党の政調全体会議を開き、必要な予算を議論していた最中で、25兆円の枠組みなど決まってもいなかった。財務省が政治家の裏をかいて、まず首相に25兆円枠をのませ、自民党を押さえこもうとしたのであろう。

萩生田氏は「政策の責任をとるのは官僚ではなく、選挙で選ばれたわれわれ政治家だ」と語る。官僚の優れた能力は政治家の示す方向に沿って政策実現のために生かすのが筋だ。政治家をだまして政策決定に走ることではないだろう。結局、同夜までに政治主導で4兆円以上積み上げ一般会計総額は29兆1000億円となった。財務省の独断専行は日本の命運を分ける国防政策においても際立っている。

国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を重視する財務省の政策でわが国経済は徐々に力を弱め、国際社会の劣位へと後退中だ。わが国はすでに、購買力平価の1人当たりGDP(国内総生産)で韓国に抜かれ、国防費でも同様に抜かれている。

いま、中国の脅威の前で経済力、軍事力を強化して国民と国を守り通さなければならないが、防衛力強化の財源をどこに求めるのか。それを論ずる財務省主導の有識者会議に欠けているのが切迫した事態への認識ではないか。結果として、国防力の真の強化につながる防衛費の純増よりも、防衛予算の水増し策が採用されようとしている。典型例が海上保安庁予算の防衛省予算への編入だ。

海保、すなわちコーストガードの予算は軍事費に組み込むのが北大西洋条約機構(NATO)基準だというが、欧米のコーストガードは有事に軍の指揮下で行動をともにする。海保には海上保安庁法25条があり、「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むこと」を禁じられている。

自民党の小野寺五典安全保障調査会長が語る。

「昨年の春くらいまでの1年間、25条改正を目指して議論しました。しかし、公明党、自民党の国土交通関係議員、海保が一丸となって反対し、潰れました。いまは、25条改正にこだわって一歩も進まないより、海自と海保の連携を少しでも前に進めようとしています」

その一例が、中国のミサイル動向などを探る無人機の操作を海保の任務とし、情報を海自と共有する案だ。海自、さらに米軍との情報共有が実現する保証は実はまだないのだが、希望的観測に基づいて海保予算2600億円余を防衛省予算に組み込む流れが、財務省主導でできつつある。

こんなことを見逃してよいはずはない。25条改正を葬った昨春と比べて、国際情勢は驚天動地の変化が生まれた。そのことを認識し、25条改正に再挑戦するのが本来の政治の役割だ。

「自衛隊には継戦能力がない」と安倍晋三元首相も岸田文雄首相も認めるのが日本だ。では、いかにしてわが国を守るのか。それを考える一つの材料がある。

米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が台湾をめぐって米中戦争が2026年に勃発するとの前提で、24通りの模擬戦争をした。このうち21例が完了し、今年12月に最終結果が発表される。重要な点は、ほとんどの戦いで米台側が勝利し、中国の台湾占領を防いだ。

しかし、米台の損耗は激しく、米国の国際社会における地位は長きにわたって損なわれるという結果も出た。当然、日本も同様の状況に陥るだろう。

教訓はどれほどの予算をつぎ込むとしても、その方が大戦争を戦うよりは、安全で安くつくということだ。戦争抑止のために強い軍事力を持つのだ。そのためにできることは全てするという文脈で、トッド氏が提唱する日本核保有の可能性についても論ずるべきだ。

財務省のプライマリーバランス重視は歴史の局面がどんでん返しになったいま、修正すべきだろう。どれほど赤字国債を積み上げようと、私たちは強い軍事力を持ち、地球規模の勢力争いを生きのびなければならない。岸田首相の双肩に日本の命運がかかっている。戦後秩序の根幹を変えるために発奮してほしい。

 日本は第2次大戦後の占領軍(GHQ)にすり込まれた、自虐史観と反軍思想が未だに強く残っていて、特に特定野党と左派系メディアの中にこびりついています。そして彼等は軍は「攻撃するもの」という片務的な思考しか持ちません。現代では軍は「守るもの」というのが一般的であるのに。

 そういう意味でますます脅威を増す周辺独裁国に対峙するには、軍の装備の拡充は欠かせません。そのためには軍事費を大幅に増強し、せめてNATO並にする必要があります。そして費用対効果の最も大きい核の保有もタブー視しないことは重要です。

 櫻井氏は「岸田首相の双肩に日本の命運がかかっている。」、と言いますが、岸田首相が果たして日本の命運を背負えるのか、ます非核三原則の撤廃から、大幅な思考転換が必要なように思えます。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村 

2022年10月19日 (水)

織田邦男氏:日本独自の核抑止戦略を早急に構築せよ、非核三原則はもう通用しない

16_20221018204801  北朝鮮のミサイル発射実験が繰返される中、日本は相変わらず「抗議」一辺倒で、何ら有効な対応ができていません。「抗議」しても、何の効果もなく北朝鮮は全く無視することはもちろん自明の理ですが、それでも「抗議」しなければ日本政府は何もしていないとつつかれるのでやっていると、穿った見方も出てきます。

 一方韓国はそれなりに対抗してミサイルを発射しているようです。先日は打ち上げ失敗もしたようですが。

 加えて北朝鮮は、しばらく行っていなかった核実験をやるのでは、という報道もあります。奇しくもロシアがウクライナ侵略の渦中で、戦術核を使うという脅しも複数回出ています。ロシアも隣国です。それに中国も核保有国で台湾を狙っている。

 日本政府は日本を取り巻く核保有の独裁国家にどう対応していくのでしょうか。またどう対応すればいいのでしょうか。そうした中、核には核をという考えが一部保守派の中で芽生えてきています。それは別として今回は国基研企画委員で麗澤大学特別教授の織田邦男氏がJINFに寄稿したコラムを取り上げます。タイトルは『日本独自の核抑止戦略を早急に構築せよ』で、以下に引用して掲載します。

 10月4日、北朝鮮が発射した「新型の地対地中長距離弾道ミサイル」(朝鮮中央通信)は、日本列島上空を通過して太平洋に着弾した。飛距離は4600キロで、米インド太平洋軍の拠点グアム島攻撃用と言われている。続いて6日に短距離弾道ミサイル2発、9日にさらに2発を発射した。今年になって既に25回、40発を超えるミサイルを発射しており、明らかに異常である。

 目的は、国際社会に北朝鮮を核保有国として認めさせることにある。建国記念日前日の9月8日、金正恩総書記は最高人民会議で「核保有国としての地位が不可逆になった」「絶対に核を放棄することはできない」と述べ、「核戦力政策に関する法令」を採択して核の先制使用を明確にした。

 ウクライナ戦争で、国連安保理常任理事国ロシアが核をちらつかせながら力による現状変更を試みたのを誰も止められなかった。核による威嚇は核でしか無力化できない。この現実を金正恩氏は見た。

  • 「核の傘」が破れ傘に

 核拡散防止条約(NPT)体制も崩壊寸前にある。五つの常任理事国以外の核保有を認めないこの条約には、核保有国が核軍縮を行い、非核国に対し核の使用、核による威嚇をしないという前提があった。だがこれが崩れた。北朝鮮に核放棄をさせる原則「完全かつ検証可能で不可逆的な解体」(CVID=Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement)はもはや死文化した。

 北朝鮮は2017年9月、「日本列島は核爆弾により海に沈められなければならない」(朝鮮中央通信)と述べており、重大かつ深刻な脅威である。日本は早急に「核抑止戦略」を構築しなければならない。

 核抑止には拒否的抑止と懲罰的抑止がある。

 拒否的抑止には弾道ミサイル防衛やシェルター整備がある。現行の弾道ミサイル防衛では、不規則軌道をとる新型ミサイルは迎撃できない。これを無効化するには、発射前に地上でミサイルを撃破するか、ミサイルを制御する通信システムや司令部を叩く「反撃力」を持つしかない。日本のシェルター整備に至っては見る影もない。

 日本は懲罰的抑止を米国に全面的に依存しているが、北朝鮮がワシントンに届く核ミサイルを完成させた時点で、「核の傘」は「破れ傘」になる。ワシントンを犠牲にしてまで米国が日本を防衛するとは考えられないからだ。同じことが1980年代に欧州で起こった。この時はソ連の中距離核ミサイルに対抗して米国の中距離核ミサイルを欧州に配備し、結果的に中距離核戦力(INF)全廃条約として結実した。日本で同様に対応しようとすると、非核三原則がネックとなる。

  • 通用しない非核三原則

 「唯一の被爆国」というのは「特権」でもなければ、敵が攻撃を躊躇するような「抑止力」にもなり得ない。清水幾太郎氏が著書「日本よ国家たれ」で喝破したとおりである。「被爆国」だから非核三原則というのは、もはや通用しない。日本独自の「核抑止戦略」構築に向け、制約のない議論が求められている。

 「日本は核武装せよ」を著わした橋下琴絵氏は、その序文で「私が納得できるのは 、敵の核ミサイルよりも多くの本数の核ミサイルを保有ないし共有して日本を守ることである。敵が日本を攻撃すれば敵もまた同時に滅亡するという物理的根拠である。この物理的根拠によって抑止が成立するという確信である。現状は、米国が代理報復するかもしれないし、しないかもしれないという情況だ。これで国を守れるという無知蒙昧な迷信が許される時局ではない。」と、書いています。

 まさに橋本氏の言うとおり、核に対抗するには現実的には核しかないのかも知れません。いずれにしろ差し迫った核攻撃の脅威に織田氏の言う「日本独自の核抑止戦略構築に向け、制約のない議論が求められている。」のは間違いないでしょう。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年10月 1日 (土)

有本香氏:高市氏が〝捨て身〟の告発、 岸田内閣は「中国スパイ」を野放しか!

6_20220930153201  第2次岸田政権で、経済安全保障担当相に就任した高市早苗前自民党政調会長。保守派の閣僚として、安倍元総理亡き後安倍氏の跡を継いで動き出したようです。

 ジャーナリストの有本香氏がzakzakに寄稿したコラムから、その動きを見てみましょう。タイトルは『高市氏が〝捨て身〟の告発!岸田内閣「中国スパイ」を野放しか 「セキュリティー・クリアランス」提出に圧力、政府内の親中派と暗闘を示唆』です。

高市早苗経済安全保障担当相が28日、「捨て身の告発」に打って出た。先端技術の流出を防ぐため、重要情報を取り扱う研究者らの身分の信頼性を確認する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」をめぐり、政府内の〝抵抗勢力の存在〟や〝親中派との闘争〟を示唆したのだ。「国葬(国葬儀)」で27日に見送られた安倍晋三元首相は生前、日本の国力を維持・発展させるため、欧米諸国では常識である「スパイ防止法」の制定にも意欲を持っていた。日本と中国は29日、国交正常化から50年を迎えた。岸田文雄政権の、国民と国家を守る気概が問われている。ジャーナリスト、有本香氏による緊急リポート。

***********

「大臣に就任した日に言われたのは、『中国』という言葉を出さないでくれというのと、来年の通常国会にセキュリティー・クリアランスを入れた経済安全保障推進法を提出するとは口が裂けても言わないでくれと言われました」

高市氏が28日夜、「BSフジLIVE プライムニュース」に出演した際の発言である。これに岸田首相がどう対処するか〝見もの〟だ。

経済安全保障については今年5月、経済安全保障推進法が成立したが、同法には最も重要な要素が欠落している。それがセキュリティー・クリアランス、「人の適格性の審査」だ。あえて簡単に言えば、外国のスパイを取り締まるルールである。

同法成立の前から、筆者はこの欠落を厳しく批判していた。「仏作って魂入れず」のような経済安保法にどれほどの意味があるのか、ということである。国会提出前の今年2月には、自民党の政調会長だった高市氏と『月刊Hanada』で対談し、次のようなやり取りをした。

高市氏「今年の大きな柱はやはり経済安全保障政策です。どのような事態になっても必要な物資を国内で調達できる環境、サイバー攻撃から国民の生命や財産を守り抜くこと、機微技術の国外流出を防ぐことなどを柱とする『経済安全保障推進法』の第1弾を今国会で必ず成立させたい」

筆者「かねてより高市さんがおっしゃっていた外国人研究者などのスクリーニング(選別)は、その第1弾には含まれるんですか?」

高市氏「外国人研究者のスクリーニングは第2弾でやります。これを入れると今国会では通りませんから」

正直に言うと、7カ月前、高市氏のこの答えにひどく失望したものだ。

対談での高市氏は、「岸田政権をサポートする」「7月の参院選に勝利することが大事」という表明に終始した印象だった。それは政調会長という立場からすると当然ではあるが、あまりにも型通り、多くの読者の失望を誘うものでもあった。

実は、筆者はこのときの失望を、安倍氏にもぶつけた。「人のスクリーニングを盛り込まないなら、意味のない法律です」と。

筆者の怒りに対し、安倍氏は「人のスクリーニングを盛り込んだ法律は必ずやるから。こちらもプッシュしていく。ただ、容易でないことは理解してほしい」と答えていた。

しかしいま、昨晩の高市氏の「告発」を聞き、生前の安倍氏の言葉を思い返すと、経済安保をめぐる自民党内の「闘争」、とりわけ「親中派との闘争」が実感を伴ってみえてくる。2月に筆者が抱いた強い失望は、こうした暗闘への筆者の不理解も少々手伝ったかと反省する。

今般、高市氏が「捨て身の告発」に打って出たのには、安倍氏の国葬儀が無事終わったことも関係しているかもしれない。国葬儀には筆者も参列したが、かけがえのないリーダーを喪った悲しみ、反省を改めて深くする一方で、国難のいまこそ、「闘う政治家」だった安倍氏の遺志を、皆で継ぐべきという思いにもさせられた。

高市氏は同じ28日、BS日テレの「深層NEWS」にも出演し、政府による国葬実施の決定過程について次のような苦言を呈している。

「決定する少し前に国会の議院運営委員会の理事会とか、衆参両院の議長とか、そういったところに話がちゃんとあってもよかったのではないか」

一連の高市発言を「岸田おろし」や「閣内不一致」というレベルの話題にして済ますべきではない。

「中国のスパイ」一つ取り締まれない日本に明日はない。安倍氏の志を真に継ぐのは誰なのか―。はっきりさせるときである。

 このブログでも、普通の国になるためには「スパイ防止法」が不可欠だと述べてきました。ましてや西側に中国、朝鮮、ロシアと言う、有数のスパイ排出国を控えていながらです。有本氏の記事から、野党だけでなく自民党内親中派の妨害がその成立に大きく立ちはだかっているようです。

 逆に中国やロシアでは、日本人が明確なスパイ活動をしていないにもかかわらず、拘束し取り調べを強要しています。もし日本が同様の態度で、日本に入り込んでいる工作員を取り調べれば、何千、何万という人が引っかかるのではないかと思われます。それほど日本は甘いのです。

 重要先端技術の漏洩を防ぐことは、日本にとって最重要の課題です。残念ながら今まで湯水のように垂れ流してきた結果、先端軍事技術から農産物の種苗までパクられ続け、今では日本を凌駕する技術を持たれるに至っています。経済安保の確立は待ったなし。高市氏および保守派の結束が今まさに重要なときだと思います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年9月 6日 (火)

日本防衛の驚くべき実態、軍事情報は国家機密ではなく観光資源

9_20220905171701  数年前、特定野党や反日メディアの反対が渦巻く中、「特定秘密保護法」が成立しましたが、軍事秘密に抵触するような開けっぴろげな自衛隊施設の公開が、多数行われています。

 戦後長期に渡る「お花畑」環境が、ここでも見事に影響しているようです。このあたりの詳細を、月刊hanadaプラスに寄稿した国防ジャーナリストの、小笠原理恵氏の記事から引用して紹介します。タイトルは『航空自衛隊のアラートハンガーも!「撮影禁止!」できない日本の病』です。

潜水艦や戦闘機、空母の改修工事まで撮影可能な稀有な国として、外国から軍事ファンが大量に押し寄せる日本。自衛隊施設や関連工場が見物できる場所に公園や展望台を置き、ベンチを設置する自治体も多い。軍事情報を観光資源にしてもいいのか。

***********

軍事情報は国家機密ではなく観光資源

これまで日本の情報保全や危機管理意識の低さについての記事を寄稿してきた。潜水艦や空母化改修工事中の艦艇等が自由に撮影され、動画サイトで全世界に公開されている。自衛隊施設も米軍のように広大な敷地はなく、施設を近距離で視認できる状況である。

また、自衛隊は撮影の規制や対策も十分でない。米国や中国は情報を漏洩させないために危機意識を持って徹底した対策を行っている。わずかな情報漏洩も致命傷になり得る。それは国や企業、個人と同じだ。組織の規模が大きいほど徹底した対策が必要だ。

このような日本の甘い危機管理が続けば、防衛の根幹を揺るがし、国家存亡にかかわる事態になりかねない。早急に法を整備し、対策をとる必要がある。だが、日本では憲法上、軍隊は存在しない。自衛隊は軍事機密を持つ「軍」ではなく、透明性を要求される「行政組織」だ。

自衛隊は外観を撮影禁止にできず、視界を遮断する壁や防護壁を作る予算もない。撮影リスクに対して、予算内でできる限りは隠すが、それでもダメなら仕方ないという認識だ。合法的な撮影は非難できない。

敵に能力を知られた上での防衛は過酷なものになる。

潜水艦や戦闘機、空母の改修工事まで撮影可能な稀有な国として、外国から軍事ファンが大量に押し寄せる日本。自衛隊施設や関連工場が見物できる場所に公園や展望台を置き、ベンチを設置する自治体も多い。日本では軍事情報は国が守らなければならない国家機密ではなく、観光資源なのだ。

撮影者は自衛隊の部隊行動の時間まで知り尽くしている。自衛隊の日々の活動を熟知し、特別な装備品は詳細に解説される。政治家も自治体も自衛隊員自身も国民もそれが異常だと感じるセンサーがもはや機能していない。

________20220905171801 アラートハンガーを見渡せる「松原展望台広場」

さて、今回は日本で最も緊迫している航空自衛隊の「アラートハンガー(要撃戦闘機の緊急発進用格納庫)」についてだ。

アラートハンガーとはスクランブル対応の航空機やパイロット等が24時間対応でスタンバイする格納庫だ。日本の防空識別圏(ADIZ : Air Defense Identification Zone)に不審な航空機が近づき、領空に侵入する可能性があると判断されたときに、スクランブル対応戦闘機が発進する。

警告に応じず、退去しない場合は警告射撃を行うため、このアラートハンガーの戦闘機には燃料が搭載され、射撃可能な状態にある。

2021年度には1004回と緊急発進する回数も過去2番目となっている。数分もたたないうちに領土に到達する可能性がある航空機への対応は重要である。そんなアラートハンガーも撮影可能だ。YouTubeで確認した動画には2機のF-2戦闘機がスタンバイしている。

その動画では撮影開始後1分でアラートハンガーが開かれる。撮影開始1分後に格納庫が開くという宣言通りにゲートが開き、膝に印のあるのがパイロットですという解説も入る。撮影者はアラートハンガー内のことを知り尽くしているようだ。

航空自衛隊の滑走路や格納庫との境は鉄条網があるが、そこには監視員はいない。動画撮影中に保安パトロール車が素通りしている。撮影している人がいても声をかけることはない。しかも、このアラートハンガーを見渡せる「松原展望台広場」は行橋市(自治体)が設置している。

撮影箇所近くの松原展望台広場、自治体が航空自衛隊基地の滑走路を観光資源としていることがわかる

「さあ!見てください!」といわんばかりだ。失笑するしかない。

この動画を仮にテロリストがみたらどうなるだろう。

スクランブル発進を妨害したい相手にこの情報はどう映るのだろう。

目視で確認できる距離であれば、純正の迫撃砲なら戦闘機を破壊できる。山上容疑者がつくったような手作りのロケット砲やテロリスト御用達の東側ロケット砲、PG7での破壊は難しいが、それでも砲撃の混乱でスクランブル発進を遅らせることは可能だ。

わずか数分で領空に到達する未確認航空機に対応できなければ、どこかの学校、病院、発電所、駅や空港、自衛隊基地等、狙った場所に爆撃されるリスクがある。すでに動画配信されてから2年が経過している。インターネット上にあげられた画像は消せない。今も全世界に公開されている。

動画タイトルには「門外不出の極秘映像」

滑走路を見渡せる場所に展望台を設けられた航空自衛隊も機密性の高いアラートハンガー撮影に、諸手を上げて賛成しているわけではない。過去にも同様の事例があった。

2019年8月、航空自衛隊小松基地の格納庫で戦闘機の整備中の様子が無断撮影され、YouTubeに投稿された。

同年8月6日の毎日新聞の記事によると「格納庫は領空侵犯に備えた緊急発進(スクランブル)用で機密性が高い。格納庫前に設置されたコンクリート塀越しに撮影され、同基地渉外室は『敷地外からの撮影を制限する権限はなく、法的責任は問えない』と困惑している」とある。

小松基地の無断撮影動画タイトルには「門外不出の極秘映像」とある。確かに極秘映像だ。撮影を制限する権限がない小松基地渉外室は困惑するしかなかっただろう。その後、小松基地は障壁で物理的に撮影を遮断した。

自衛隊に軍事施設撮影禁止の権限を与える法整備ができないのであれば、予算を投入し自衛隊関連施設に障壁やドームで覆う以外に方法はない。日本国憲法制定より70年以上経過しても、まだ憲法改正の発議すらできない立法府の責任は重い。

この安易な軍事施設の撮影を享受する意識の弊害は自衛隊のみにとどまらない。セキュリティ保安のために在日米軍は基地内の無許可撮影を禁止している。米軍施設内ではむやみにカメラを出してはトラブルになる。

岩国空港は民間航空機も離発着する空港だが、米海兵隊岩国航空基地との共有部分を持つ。旅客機の離発着時に米軍の基地を撮影しないようにとアナウンスが流れる。その在日米軍基地に無断撮影する人が現れた。

訓練中のF-35Bステルス型戦闘機も撮影されて動画サイトにあがっている。動画タイトルは那覇基地とあるが、岩国で撮影されたもののようだ。特徴ある噴射口の動きもはっきりわかる動画だ。日米地位協定等で在日米軍内のセキュリティについては取り決めがある。日本政府側にクレームがでそうな問題だ。

10_20220905171901 動画に撮影されたF-35Bステルス型戦闘機を空母化工事中のいずも型護衛艦が搭載する予定だ。さらに、航空自衛隊が導入した次期戦闘機の主力はF-35Aだ。米国は軍事機密の塊であるF-35をセキュリティの低い自衛隊の基地に置くことを許さない。

すでにF-35Aは三沢基地に配備されている。青森にある航空自衛隊三沢基地は周囲を在日米空軍に囲まれ、二重のセキュリティに守られている。空母化工事が進み、南西諸島周りの防衛力の強化を考えるときに期待のF-35戦闘機が三沢基地以外の南西部の航空基地にも配備が広がらなければ話にならない。

日本はスパイ天国と言われる。スパイ天国の条件は「重要な情報が豊富で、情報を得ても捕まりにくく、万一捕まっても重刑を課せられない」ことだ。スパイ天国の定義よりもさらに日本は緩い。

5月の日米首脳会談で岸田総理はバイデン米大統領に防衛予算の「相当な増額」を伝えた。これは同盟国への国際公約だ。台湾有事が目の前と言われる今、日本国内の軍事情報へのセキュリティがこのままでいいのかと岸田内閣に問いたい。

 小笠原氏の記述で驚いた部分があります。『自衛隊は軍事機密を持つ「軍」ではなく、透明性を要求される「行政組織」だ』。何という事でしょう、嘘だろうと言いたいのですが、確かに「軍」ではなく「隊」です。

 しかしだからと言って自衛隊が軍なのは明らかです。そしてその施設や武器・兵器、隊員等の情報は極秘とされるべきでしょう。スパイ防止法なき日本はスパイ天国で、かつ軍事情報は垂れ流しでは、いくら抑止力などと言っても、周辺国に筒抜けで抑止にも何にもなりません。

 直ちに関連法規を変える必要があり、自衛隊を軍に格上げするよう憲法も変える必要があります。岸田政権も軍事費を増やすだけでなく、こうした穴だらけの日本の防衛の現状改善に、すぐに取り組まねばなりません。


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年8月20日 (土)

止められるか中国に盗まれる重要技術、極めて重要な「経済安全保障」の枠組み

Images-8_20220820101401  日本の技術が他国、特に中国に流出しているという話が、以前から取り沙汰されています。流出の中身は漏洩、窃取そして持ち出しなどがありますが、ハッキングなどの手段やスパイ行為など、多くは違法な形での流出となっています。いずれにしろそれが中国の軍事技術に応用されている実態もあり、安全保障上ゆゆしき問題となっているのが現実です。

 こうした状況の中、「経済安全保障推進法」が成立し、経済安全保障所管大臣に高市早苗氏が就任、遅まきながら対応に向けて動き出しました。これまでの流出の実態とその影響、今後の課題を日本戦略研究フォーラム政策提言委員の平井宏治氏が週刊新潮に寄稿しているので引用して紹介します。タイトルは『中国の「極超音速ミサイル」に日本の最先端技術を流用か 注意すべき「スパイ留学生」の実態』です。

 すべての人民にスパイ行為を、また外国企業には技術移転を強要する中国。かつての“世界の工場”は、経済面でも日本や西側諸国の深刻な脅威と化した。日本戦略研究フォーラム政策提言委員の平井宏治氏が、我が国が直面する経済安全保障リスクの現実を解説する。

 ***

 去る5月11日、「経済安全保障推進法」が参議院本会議にて賛成多数で成立した。(1)半導体などの重要物資を安定的に確保するサプライチェーンの強化(2)サイバー攻撃を想定した電気や鉄道など14分野の基幹インフラに関する事前審査(3)宇宙や量子などに関連する先端技術開発における官民協力(4)原子力や自衛隊の装備品に関する特許の非公開という四つの骨子からなる法は、今後の日本の安全保障環境に大いに資することは明白だ。

 にわかに注目を集める「経済安全保障」とは何か。法案の狙いとその課題を検証する前に、法整備が急ピッチで進められた背景を振り返っておきたい。

 覇権主義国家と化した中国は、日本をはじめとする西側諸国が持つ高度な技術の取り込みをもとに、急激かつ圧倒的な軍事的拡大を進めている。国際法をものともせずに「力」による世界秩序の変更を目指すかの国の脅威は、いよいよ我が国の安全保障に留まらず、一般庶民の日常生活にも影を落とし始めているのだ。

経済面における安全保障が必要な最大の理由

 例えば、コロナウイルスの感染が日本で広がった一昨年のことを思い起こしてほしい。街中のドラッグストアから、マスクや消毒用アルコールが忽然と消え、医療用手袋、ガウンといった医療関係者の必需品が手元に届かない事態が生じた。それにより、各地の医療現場では手術どころか診療もままならない事態に陥った。

 その理由は、日本で使用されている医療用手袋などの9割以上が中国製に頼っていたからだ。当時は「サプライチェーンの問題」と繰り返し報じられたから、ご記憶の方も多いだろう。

 中国に限らず、特定の国や地域に医療用品の調達を頼っていては、相手国との関係が悪化して輸出を止められた場合、途端に医療崩壊が起きてしまう。これが経済面における安全保障が必要になった最大の理由だ。

 独裁国家の中国は、軍拡と経済成長が一体化した歪な国だ。技術開発は軍事組織がリードし、その成果を民間企業が生産・販売して国家の経済成長を図る。この方針は「軍民融合政策」と呼ばれ、人民の生活や権利など二の次として国力増強を目指す。

 軍民融合政策の背景にあるのはハイテク技術を駆使した戦いだ。現代における戦い「智能化戦争」と呼ばれ、主に人工知能(AI)や高速インターネット通信、自動運転技術といった最新技術が“兵器”に活用される。中国は超大国であるアメリカに勝利を収め、自国に有利な世界秩序に変更することを企図している。

Images-7_20220820101401 スパイだった東北大学助教授

 少し長いが引用する。

〈マッハ5以上の速度で飛行し、現状のミサイル防衛では迎撃が困難とされる極超音速兵器。戦争の様相を一変させる「ゲームチェンジャー」とも称される最新技術の開発を巡り、中国が日本の知見を流用した恐れがある――。

 公安調査庁はこう警告する報告書を関係閣僚にひそかに提出した。昨年5月のことだ。

 報告書は「我が国から帰国後、中国の大学・研究機関で極超音速関連研究に従事する中国人研究者が多数存在する」と指摘し、ジェットエンジンや流体力学、耐熱素材などの専門家9人を挙げた。

 同庁関係者によると、うち1人は中国の軍需企業傘下の研究所研究員を経て1994年、東北大の助教授に就任。科学研究費助成事業(科研費)を受け、宮城県の宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))の関連施設に出入りした。2000年頃、中国に戻ると、中国科学院の研究所に所属し、17年にJAXAの施設と形状が似た極超音速実験施設の開設に関わったという〉

 これが事実なら、日本独自の高度な技術が国立大学を通じて中国に渡り、それがほぼ迎撃不能とされる最新兵器の開発に利用されたことになる。これまで日本の学術界は一貫して「軍事技術開発には協力しない」との立場を取ってきた。ところが実際には、日本の安全保障には一切協力しないが、その裏では中国の軍拡にせっせと協力していたのだ。日本学術会議は、先の主張に基づいて、国防七校と提携する大学に提携の破棄を求めるべきだ。

世界の製造覇権国家

 2015年5月、中国政府は軍民融合政策と智能化戦争への準備が組み入れられた産業政策「中国製造2049」を公表した。そこには、中国共産党が主導した中華人民共和国の誕生から100年後に当たる2049年に、中国が米国に取って替わって“世界の製造覇権国家”になることが目標と明記されている。

 そのスケジュールは明確で、2025年までに中国が製造強国入りを果たし、2035年までに製造強国の中堅ポジションに入り、2049年までに製造強国のトップになる、というものだ。対象は以下の10の産業分野である。

・次世代情報通信技術(IT、半導体を含む)

・先端デジタル制御工作機械とロボット

・航空・宇宙設備

・海洋建設機械・ハイテク船舶

・先進軌道交通設備

・省エネ・新エネルギー自動車

・電力設備

・農薬用機械設備

・新材料

・バイオ医薬・高性能医療機器

 中国政府はこれらの目標達成のために、海外企業から技術を窃取している。各企業に中国市場へのアクセスを許可する代わりに、保有技術の開示を要求するのだ。ただ、その実態は強要である。

日本の3社が世界的なマーケットシェアを失う事態に

 7月3日、読売新聞は〈中国政府が、日本を含めた外国オフィス機器メーカーに対し、複合機などの設計や製造の全工程を中国内で行うよう定める新たな規制を導入する方針であることがわかった〉と報じた。

 これが典型的な例だ。複合機は富士フイルムビジネスイノベーション、キヤノン、リコーの3社が知的財産権をクロスライセンスしている。複合機の電子写真技術には、物理、化学、電気、精密機械などの複合技術が使われる。

 これらの技術を開示したら最後、中国は手に入れた技術をもとに独自の製品を生産し、WTOルール違反の疑いがある産業補助金を使ったダンピング輸出を各国に向けて行うだろう。その場合、日本の3社は世界的なマーケットシェアを失って、壊滅的な打撃を受けることになる。しかも、ネットワークにつながっている複合機にバックドア(不正侵入の入り口)を仕掛け、そこから機密情報を盗み出すことも可能になるのだ。

 中国製造2049の第2段階である「中国標準2035」では、中国がIoT、情報技術機器などの国家標準や業界標準の国際標準化を推進することが目標とされている。日本政府はすぐにも電子写真関連技術をコア業種に指定して、日本の技術を保護しなければならない。

全ての国民にスパイ活動を強いる法律

 外国企業が抱えるリスクはほかにもある。「国家情報法」の7条で、すべての国民にスパイ活動を強いており、「いかなる組織及び個人も法に基づき国家諜報活動に協力し、国の諜報活動に関する秘密を守る義務を有する」とされている。つまり、日本企業で働く中国人従業員や日本の大学に留学する中国人留学生が、企業や研究機関で知り得た機密情報を窃取する事態が憂慮されるのだ。

 ほかにも、恣意的濫用が懸念される中国版エンティティ・リスト、輸出管理リストと輸出管理法をはじめ、裁判や法務当局とは関係なく政府の判断だけで外国や国内外企業への報復を正当化する「反外国制裁法」、国内で開発された技術や製造物などのデータの国外移転を厳しく管理・規制する「データ安全法」と「個人情報保護法」がそれぞれ施行済みだ。

 習近平が率いる中国は、かつての指導者・トウ小平が掲げた「改革開放路線」を打ち捨てて、自身の権力基盤を盤石にする「統制と規制路線」へと舵を切った。そんな中国の無法を西側諸国も見過ごしてはいない。

 米国は中国製造2049が、中国に莫大な利益をもたらし、米国から国際的な覇権を奪う意図がある、と受けとめた。すぐに議会も動き、2019年度国防権限法を成立させ、外国企業が米国の機微技術や軍民両用技術を持つ企業を買収する際は、対米外国投資委員会が厳格に審査するよう改めた。

 英国や欧州連合(EU)においても、中国を念頭に置いた企業買収の厳格化を進めており、先端技術の海外移転に対する規制強化が着々とはかられている。

 わが日本も例外ではなく、2020年に「外国為替及び外国貿易法(外為法)」を改正した。政府は武器や装備品をはじめ、航空・宇宙、原子力、電力、通信、鉄道、上水道などのインフラ事業をコア業種に指定。上場会社や非上場会社を問わず、事前申請対象を拡大して条件を厳格化する措置を講じた。

台湾が侵攻された場合、石垣島なども攻撃対象に

 では今後、中国が台湾の侵攻に踏み切った場合はどうか。人民解放軍の矛先は、彼らが「台湾の一部」と公言する尖閣の島々に留まらず、石垣島や西表島、宮古島を含む先島諸島の全域も攻撃の対象になるだろう。

 調査会社の帝国データバンクによると、2020年1月時点で中国(香港とアモイを除く)に進出している日本企業は1万3646社に上る。2022年2月時点でロシアに進出している企業は約370社というから、実に36倍以上の規模だ。それだけに有事の際には多くの日本人が中国当局に拘束されたり、行方不明になることが予想される。中国内に保有している資産や施設などが取り上げられれば、経営には甚大な影響が及ぶ。場合によっては倒産という事態にもなりかねない。

「強力な反撃・威嚇力を形成」

 さて、わが国の経済安全保障推進法である。一つ目のサプライチェーンの強化とは、既存の供給網の脆弱性を確認し、それを修正・補強することだ。半導体や医療品をはじめ、一旦供給が途切れたら国民生活が破綻するものは供給網の安全を確保し、常にリスクを分散させ、必要に応じて回避していくことが必要だ。

 過去20年で世界経済のグローバル化は飛躍的に進行した。「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」は、国境を越えて自由に行き来する時代とされ、日本からは多くの工場が中国や東南アジアなどの海外に移転し、国内にあった生産拠点は閉鎖された。一方で、一昨年4月には中国共産党中央委員会の機関紙「求是」が、習近平総書記の「産業の質を高めて世界の産業チェーンのわが国への依存関係を強め、外国による人為的な供給停止に対する強力な反撃・威嚇力を形成する」という指示を報じた。

中国の明白な意志

 もはや中国は明白な意志をもって、経済的影響力を通じて周辺諸国をひざまずかせようとしている。サプライチェーンの見直しが個別企業の安全に留まらず、日本の安全保障に直結していることがお分かりいただけるだろう。

 二つ目の柱は、国民生活の土台となる基幹インフラの安全確保だ。通信、電力などの各種エネルギー、水道、輸送といった基幹インフラのほとんどは、いまや情報通信技術で支えられている。ここがサイバー攻撃を受けて通信や物流が遮断されたりかく乱されたりすれば、私たちの日常生活はすぐに立ち行かなくなる。

 だからこそ、基幹インフラ関連事業者は、設備投資の際にマルウエア(悪意のあるプログラム)の有無や、バックドアなどのスパイ機能が仕込まれた機器の購入の回避、取引先企業と懸念国の資本関係の有無などを確認する必要がある。

 過日、中国国営企業の上海電力が日本法人を通じて台湾有事の際に防衛の要となる、山口県の岩国基地の近くに設置されていた7万5千キロワットもの大規模太陽光発電所を買収した。

 前述の通り、中国には国防動員法がある。中国共産党の思惑で、有事の際に岩国基地へ影響が生じることはないのか。国の基幹インフラ事業に中国の国営企業の参入を許す、政府の姿勢には大いに問題がある。

日本の技術、生産物を経済的抑止力に

 そして三つ目の「高度な技術開発における官民協力」とは、わが国が各国から依存されるような強みを持つことだ。仮にどこかの国が日本と深刻な対立関係に陥った場合、その国が日本に大きく依存する物品の輸出を制限することは、外交上の有利なカードとなり得る。

 それこそ2年前に中国の医療用品の輸出制限で日本が混乱したように、経済活動や生活に必須な物品の輸入を日本に頼っている国は、ひとたび国内が混乱に陥れば、たちまち音を上げてギブアップするだろう。今後、日本の高度な技術や生産物は大いなる経済的抑止力となるのだ。

 ただし、これには「セキュリティークリアランス制度」の導入が不可欠だ。これは秘密情報を扱う人物の適格性を確認する制度で、研究者を装って入国してくる他国のスパイ対策である。過去には国会で議論されたが、公明党などが個人情報の保護を理由に反対し、導入が見送られた経緯がある。

 民間人を対象としたセキュリティークリアランス制度は、米、英、カナダ、豪、ニュージーランドをはじめ、欧州の主要国では導入されている。いまだ導入のメドすら立たない日本は、西側諸国との機密性の高い共同研究に参加できない不利益も被っている。とくに防衛関連や情報通信産業から、共同研究や製品発注などの話がもたらされても対応できていないのが現状なのだ。

特定の特許出願を非公開とすべき

 四つ目の技術特許の非公開は重要だ。現行制度では、新たな発明は出願から1年6カ月を経過すると一律に公開される。仮に国の安全保障に関わる重要な発明であっても、一定期間が過ぎれば世界中に公開されてしまうのだ。実際に公開された特許情報が外国により核兵器の開発に利用された例もあると聞く。だからこそ、特定の特許出願を非公開とし、国内外への安易な流出を防ぐ必要がある。

 経済安全保障推進法は成立したが、日本が抱える課題はいまなお山積している。政府は一刻も早く、同法の不備を改め、実効力あるものに強化しなければならない。

 この記事を読むまでもなく、経済・軍事分野の戦略性、計画性に於いては、日本は中国の足元にも及びません。日本がいくら経済大国、技術大国を誇ってもそれは過去のこと、今では中国にいくつかの技術では追い越されているのが実態です。それもやはり多くの部分、戦略性のなさが要因となっているように思います。

 高市経済安全保障担当相に期待する部分は大きいのですが、彼女一人ではやはり力不足です。一方の中国は独裁国家ですから、政権が決めたことは反対もなく即決即断できます。日本は野党や反日マスコミというやっかいな阻害分子がいて、時間もかかり中身も抜け穴だらけとなりやすい。特定秘密保護法制定の時など、野党や朝日新聞などの反日メディア、日弁連などが反対の大合唱を起こしたことは記憶に新しいと思います。こうした政治構造の違いも日中で大きな計画性の格差を生じさせています。

 いずれにしろ今からでも遅くありません。独裁国家の中国に世界の覇権を取らせては絶対になりません。旧統一教会問題に明け暮れする、政治やメディアの昨今を見ると実に嘆かわしいと思いますが、そんな現状に目を奪われず、粛々としかも早期に経済安全保障のしっかりとした枠組みを作り出して欲しいと思います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村 

2022年7月28日 (木)

核もタブー視しなかった安部元首相の安全保障感覚

Cf34ef140aefed7320889e6051a1ebce_1  5ヶ月間お休みしていました。また再開して週1,2回のペースで投稿しようと思います。以前と同様ご一読いただければ幸いです。

 安部元首相が凶弾に倒れて、20日が経ちました。その間、巷ではその功績を讃え、追悼の声が鳴り止まぬと同時に、警備の杜撰さが指摘される一方、左側の反安部だった連中が、国葬や旧統一教会を引き合いに出し、あることないこと騒ぎ立てています。いつものパターンですが、それは無視して、安倍氏の日本の安全保障に対する一つの象徴となる行動が、国際政治学者の島田洋一氏が月刊WILL誌に寄稿していますので、以下に引用して紹介します。タイトルは『独自核に「いいね」安部元首相』です。

 「手製の銃で安倍元首相を襲おうとした男が取り押さえられた」

 警備がしっかりしていれば、本来これで終わる話だった。

 最も大事な政治家が、かくも易々と暗殺されるようでは、この国は持たない。

 レーガン米大統領暗殺未遂(一九八一年)では、身を挺したシークレットサービス一人が銃弾を受け、報道官、警察冨も被弾した。

 三秒後にはレーガンを乗せた車両が現場を離れ、四分後には病院に入っている。

 銃弾一発がレーガンの心臓まで約ニセンチの肺に達して吐血、血圧が六十まで低下して呼吸困難に陥っていた。手当てがもう少し遅れれば危なかった。

 銃を持つ犯人を事前に排除できなかった点、日本同様、警備の大失態だが、最初の発砲後の対処は迅速だった。

 あの時(大統領就任からわずか二ヵ月)レーガンが世を去っていれば、副大統領のブッシュ父が跡を継いでいた。

 「勝利によって冷戦を終わらせる」を口癖とし、ソ連崩壊を目指して次々に圧力強化手段を打ち出した保守ハードランナーのレーガンと異なり、ブッシュは平和共存・安定重視主義者だった。

 アメリカが一九八〇年代を通じてブッシュ父政権だったとすれば、ソ連崩壊は相当先に延びたかも知れない。ひょっとすると、いまだに、独裁者プーチンの肩書はソ連共産党書記長だったかもしれない。

 凶弾に倒れる直前に安倍氏が発した最後の言葉は、「彼はできない理由を考えるのではなく……」だった。「まずできない理由を考える」勢力の蔓延をいさめた大政治家の遺言だったと私は考えている。

 それには根拠がある。

 今年三月、私は英国型の独自核抑止力を日本も持つべきだと説く一文を産経新聞「正論」欄に寄せた。英国は、発見されにくい原潜四隻にそれぞれ十六機の多弾頭核ミサイルを積み、常時一隻は必ず外洋パトロールに出る反撃体制を採っている。その文をフェイスブックにも転載したところ、安倍氏がまもなく「いいね」を付けてくれた。

 日本で独自核武装と言うと、左翼・進歩派は言わずもがな、保守派の政治家でも大抵は、「無理です」「核兵器不拡散条約に入っていますから」で終わってしまう。

 しかし安倍氏は違った。

 現下の政治情勢では難しいとしつつ、潜水艦を用いた核抑止力についても、さまざまに思考を巡らせていた。

 時に戦闘的言辞を厭わず、野党やメディアに目の敵にされ、理不尽に叩かれ続けた安倍氏だが、それらの言動もいわば氷山の一角に過ぎなかった。

 地道な勉強に裏付けられた、さらに大きな塊りが深部にあった。

 その全体として「安倍晋三の遺志」を受け継げる政治家が一体どれだけいるだろうか。

 「唯一の被爆国が核抑止力を持つなど許されない」との洗脳が、日本ではいまだ行き渡っている(論理的には無論逆で、むしろ三回目の被爆を避けるため堂々と核抑止力を持ち得る)。

 核分裂エネルギーを制御して用いる原子力発電は、現代文明の粋と言うべき技術だが、ことさら原爆と同一視し「核アレルギー」を煽り立てる無責任な議論も絶えない。先月号(八月号)で取り上げた小泉純一郎元首相の「原発は国民に向けた核兵器」論など典型である。

 彼ら「平和主義者」や反原発活動家の恫喝的言動は、まさにテ囗国家の核恫喝と連動して、原爆には被害国を長期にわたって無力化する効果があると国際キャンペーンを張っているに等しい。

 安倍氏は、自民党の「最新型原子力リプレース(建て替え)推進議連」の顧問を務めるなど、原発の新増設や高効率石炭火力発電所の新設にも積極姿勢を見せていた。

 参院選後には、活動のギアを数段上げていたはずである。

 七月初めに福井県美浜町を訪れた萩生田光一経産相は、電力需給が逼迫する中、運転再開を前倒しした美浜原発三号機について「天からの助け。再稼働に同意頂いた地元の皆さんにお礼申しあげる」とした上、「(現状は、旧式火力を動かすなど)引退選手にまでユニフォームを着せ、十一人ちょうどで戦っているサッカーのようだ。一人倒れたら終わってしまう」と述べている。萩生田氏には安倍氏の「遺志を継ぐ」先頭に立ってもらわねばならない。

 ロシアのウクライナ侵攻で政府内ににわかに湧き上がった防衛費の増額論。5年以内にGDP比2%超との意見が出る中、岸田政権が何処まで本気に取り組むか。「非核三原則堅持」や「核共有は否定する」などの発言が暗雲を誘い、今ひとつ信用できません。

 島田氏の寄稿文中「唯一の被爆国が核抑止力を持つなど許されない」との洗脳が、日本ではいまだ行き渡っている(論理的には無論逆で、むしろ三回目の被爆を避けるため堂々と核抑止力を持ち得る)との部分、特に括弧内の見解に強く賛同したいと思います。

 萩生田氏の話題についても、彼が本当に安倍氏の意志を完全に継いでくれるか、疑問は残ります。ただ誰かが、あるいは複数の誰かが安部元首相の意志を継ぐと共に、その力量を発揮してもらわなければ、日本の安全保障は危ういと言えるでしょう。保守派の奮起を今一度促したい。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

2022年1月22日 (土)

急げ、極超音速ミサイルなどの先端兵器開発。危険極まりない中朝露に囲まれた日本の安全を守れ

Hk3qy33fxbkhblkzuwltb3qfdu  政府は2022年末までに、国家安全保障戦略を改定するのに合わせ、「敵基地攻撃能力」の保有に関する検討を本格化させる、と表明しました。迎撃困難なミサイルの開発を進める中国や北朝鮮への、抑止力・対処力を強化するのが狙いです。自民党は既に提言作成に着手。他国領土に届く長射程ミサイルを含む装備を保有するかが焦点となっています。

 そうした中、北朝鮮が極超音速ミサイルの発射実験を行った、との報道が伝えられました。中国は既に先行しており、ロシアも保有するこのミサイルは、現状迎撃困難で日本も早急に対応が急がれます。

 産経新聞が北朝鮮の今回の発射実験の様子を伝えています。タイトルは『北の極超音速は迎撃困難 日本も開発で「抑止力に」』(1/15)で、以下に引用します。

 またそれに続いて、それに関連する日本の取るべき道への提言を、JBpressの記事『極超音速ミサイル、世界の開発動向を詳解 際立つ中国とロシアの開発強化、日本には技術以前の問題も』 から引用します。

 ◇

北朝鮮が12日、極超音速ミサイルの発射実験で「最終的な確証」を行ったと発表したことで、日本を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさの度合いを増した。政府は軍事的圧力を強める中国などを念頭にさまざまなミサイル防衛(MD)強化策を進めているが、極超音速ミサイルは現在のMD網では迎撃困難とされる。迎撃の可能性を高める技術開発を行う一方で、極超音速ミサイルや高速滑空弾を保有することで抑止力強化を図る道も探っている。

北朝鮮や中国などが開発を進める極超音速滑空兵器(HGV)は通常の弾道ミサイルより低高度で変則軌道を描くため現状では追尾できない。防衛省は米国が整備を進める「衛星コンステレーション」により宇宙から追尾できる可能性に期待をかけている。

衛星コンステレーションは通常の早期警戒衛星より低い軌道に赤外線観測衛星を多数配置する構想で、防衛省は来年度予算案に研究費約3億円を計上した。米国は2年後から150基以上の衛星で試験運用する計画で、日本も数年後には実用化できると見込む。

一方、迎撃態勢については見通しが暗い。日本のMDは洋上のイージス艦に配備された迎撃ミサイルSM3と、地上で迎え撃つ地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の2段構えだが、基本的には弾道ミサイルを対象としている。

防衛省は多層的なMD網を実現するため、巡航ミサイルなど低軌道で飛来するミサイルへの対応も進めているが、HGVにも対応できるかは未知数だ。来年度予算案に計上した改良型の迎撃ミサイル「SM6」と「PAC3MSE」は開発した米国がHGVへの対処力を研究中だ。日本政府も独自開発した主に巡航ミサイル用の「03式中距離地対空誘導弾改善型」(中SAM改)で極超音速ミサイルを迎撃する可能性を探る。

先端技術を活用した迎撃技術の研究にも着手している。一つは高出力の電波を照射して電子的に敵兵器を無力化する「指向性エネルギー兵器」。もう一つは電磁力で砲弾を高速射出する「レールガン(電磁砲)」だが、いずれも研究開発段階で、有効性があるのか不透明だ。

ミサイル迎撃に限界がある中で「同種の能力を持つことで抑止力になる」(防衛省幹部)との見方も出てきた。同省は平成30年度から島嶼(とうしょ)防衛用として高速滑空弾の開発を進める。音速の5倍(マッハ5)には達しないものの、マッハ3~4の速度を実現した変則軌道弾で速度以外はHGVと同種だ。また、マッハ5以上の極超音速を実現するジェットエンジンの研究開発も同時に行っており、いずれも来年度中には試作が完成する予定になっている。(市岡豊大)

**********

以下は、矢野義昭氏がJBpressに寄稿したコラム『極超音速ミサイル、世界の開発動向を詳解 際立つ中国とロシアの開発強化、日本には技術以前の問題も』(1/21)に記載された記事からの引用です。記事の途中からで、日本の取るべき道への提言が盛り込まれています。

**********

(前略) このような現状を踏まえ、わが国として極超音速兵器の開発配備に向けて、以下の施策を早急にとる必要があるとみられる。

①攻撃的な極超音速兵器の早急な開発配備

 極超音速兵器への決定的な迎撃手段は見通し得る将来も開発配備は困難であろう。

 既存の迎撃ミサイルによる対処法では、機動型の場合未来位置の予測に限界があり、極超音速では警告時間が短く、対処が困難である。

 開発中の指向性エネルギー兵器についても、その成果は不透明でまだ開発に時間がかかる。

 レールガンは、砲身の腐食と連射耐久性、超遠距離目標の確認と追尾、超高速の弾丸の誘導と急加速への弾丸内蔵電子部品の開発、発射用大電力源の確保といった問題がある。

 レーザー砲には大電力源確保とレーザーエネルギーの大気中の減衰、熱による歪みなどの克服困難な問題がある。

 電磁パルス(EMP)兵器は大気中の減衰もなく有力な迎撃手段だが、敵味方の核爆発時のEMPにも耐えられるとされる核弾頭等の防護用電磁シールドを突破・無効化できなければならない。

 いずれも近距離の速度の遅い目標には対応できても、多数の極超音速目標に対し撃ち漏らしなしに対応するのは、見通し得る将来も不可能であろう。

60decfbd6d544562876063f9997fc91f  中朝ロの極超音速兵器には核弾頭搭載型もあり、撃ち漏らしは許されない。

 核弾頭の撃ち漏らしの可能性を考えると、わが国も抑止のために極超音速兵器とそれを支援するインフラおよび目標発見・誘導システムを宇宙やサイバー、電磁波領域も含めて早急に構築する必要がある。

 敵基地攻撃能力が専守防衛に反するとの見解があるが、このような見方は時代遅れの考え方である。敵基地攻撃能力が専守防衛に反するとするのは、日本が敵地に侵攻作戦を行うからという理由であろう。

 しかし、中朝ロは第1列島線上の日本に対して、射程千から千数百キロ以上の極超音速兵器により自国領域内から直接、撃墜困難な極超音速兵器で攻撃が可能になる。

 しかも、いったん発射された場合、飛翔中での迎撃は極めて困難と予想される。弾頭には核兵器が搭載されている可能性も大きく、撃ち漏らしは許されない。

 そのため日本は国土の自衛のためにも、敵本土領域内の発射プラットホームである陸海空のミサイル部隊、航空機、艦艇、それらを指揮統制する司令部、通信・レーダー施設などを制圧しなければならなくなる。

 すなわち、敵基地攻撃能力は日本の自衛のためにも不可欠になる。

 自ら敵地に侵攻するか否かによる、攻撃と防御の本質的な区別はなくなる。日本が先制奇襲攻撃を受ければ、そのとき敵は、最も安全迅速にかつ秘匿して戦闘準備が可能な敵国領域内から極超音速兵器を撃ちこんでくるであろう。

 自衛のために、それを阻止するにはわが方も同様の極超音速兵器による反撃能力を保有していなければならない。

 もしも敵基地攻撃能力を持たなければ、敵にとり安全な自国領域内から、核攻撃を含め一方的に攻撃されることになり、自衛は不可能になる。

 このような将来戦の特性は、距離が意味をなさないサイバー攻撃においても同様である。

 攻勢的サイバー戦を認めず防勢のみであれば、いずれはセキュリティシステムを破られ、一方的にわが方のサイバー空間を破壊され、あるいは情報を奪われ操作される結果になる。

②秘密保護法とスパイ防止法の制定

 高市早苗自民党政調会長は、「中国の極超音速ミサイルは日本の技術で作られている」と指摘し、スクラムジェットエンジンや耐熱素材など戦略的な研究を行っている日本の学術機関が、中国の国防7大学の技術者を研究員として迎え入れていることを問題視し、これでは「間接的に日本が中国人民解放軍の兵器を強力化することに貢献していることになってしまっている」と述べている(https://blogos.com/article/555235/?p=2、2022年1月20日アクセス)。

 日本国内の報道では、まだ極超音速兵器開発の風洞試験を行っているとは報じられていないが、両用分野でのスクラムジェットエンジンの開発や耐熱素材の開発においては、日本は優れた技術を持っている。

 上記の米国の議会報告(略)でも明らかなように、米国は中ロのみならず、日本、豪州、印度、仏独、韓国、イスラエルなどの同盟国や友好国を含めた世界中の諸国の開発動向についても、周到な情報収集と能力分析を行っている。

 米国としては、単に各国の動向を探るだけではなく、共同開発を行うのに適した国の選別を図るとともに、中ロと独仏印の協力関係など同盟・友好国の信頼度にも警戒監視の目を向けている。

 優れた潜在的技術力を持つ日本もその対象になっていることは明白である。

 しかし、これらの緊要な技術が中国に流出したとすれば、日本の秘密保護態勢、スパイ防止などの対諜報能力が疑問視され、国際的な共同開発への参加や機微な情報の交換もできなくなる。

 防衛用のみならず両用技術を含めた日本の民間企業、他省庁の海外との機微技術の国際共同開発、情報交流にも支障をきたすことになり、日本の機微技術は世界との交流を絶たれ、軍民両分野で世界の発展から取り残されることになる。

 これはわが国の経済安全保障にとり死活的問題であり、民間企業等の情報保護も可能にする秘密保護法とスパイ防止法の制定を急がねばならない。

 そのためには、経済安全保障包括法の中に、この両用技術についての機微情報を含めた、民間企業や一般国民も保護対象とする秘密保護、スパイ防止を可能にする条項を盛り込むことも検討する必要がある。

 極超音速兵器技術はじめAI・量子技術・ロボット・バイオ・衛星・サイバー・電磁波などの領域も含めた軍民両用の機微技術情報の秘密保護とスパイ防止のための関連法制整備を早急に行い、国際的信頼を得られる水準に高めねばならない。

③極超音速技術開発のためのインフラ整備と予算の確保

 研究開発体制の整備には多額の安定的資金が不可欠である。

 米国は各軍種とDARPAがそれぞれ数億ドル以上の研究開発予算を割り当てて各種の極超音速兵器の開発を進めている。

 中ロも同様であり、むしろ米国に先行して各種の極超音速兵器を実戦配備している状況にある。

 世界各国が増設と性能向上に努めている極超音速風洞や極超音速兵器の飛行試験場などのインフラ整備についても、国を挙げた体制整備が必要である。日本国内に最先端極超音速風洞施設を増設し、計10数か所、最高速度マッハ30級の風洞施設等の整備が必要である。

 また情報保全や施設警護、ミサイル追尾・通信中継システムにおけるJAXAや民間企業などの航空宇宙・通信電子関係の協力体制の整備も必要になるであろう。

 日本の経済安全保障の一環として、自ら極超音速兵器の開発配備に、防衛省のみならず、官民学など国の総力を挙げて取り組まねばならない。

 またこの極超音速兵器などのゲームチェンジャーと呼ばれる分野の研究開発は、民間の航空宇宙、通信電子、情報など最先端産業分野への波及効果も大きく、科学技術者、サイバー人材の育成・雇用確保や先端技術力の向上、ひいては経済成長の中核にもなりうるであろう。

 そのために必要な予算を長期安定的に確保する必要がある。

 中長期的に毎年数百億円以上の研究開発予算を長期安定的に確保する必要がある。今年予定されている中期防衛力整備計画での予算の優先確保措置が必要である。

 その際には、防衛関連予算の配分については、陸海空の別にこだわることなく、統合レベルでの予算として確保しなければならない。

 また、研究開発の効率化のため、開発計画は他省庁と民間の関連計画も含め、国全体として目標を明確にし、相互に調整され整合したものにする必要がある。

 そのためには防衛上の一貫した運用構想が明示されなければならない。研究開発当初から統合レベルでの相互運用性、国土戦を前提とする統合運用構想の確立が重要になる。

 特に、効率化と運用上の柔軟性を確保するため、開発される極超音速兵器は、潜水艦の垂直発射管を含めた陸海空の各種の発射母体から発射可能で、潜在敵のミサイル防衛網を突破し目標に到達し破壊できる能力を持たなければならない。

 弾道ミサイルと組み合わせ、少なくとも1000キロ以上、最大6000キロ程度の射程をもつ極超音速兵器が必要となろう。

④国際協力の推進

 グローバルな課題である、航空宇宙・サイバー・情報通信などの領域での国際間の協力と前述したように国際水準の秘密保全に関する国内法制の整備を急がねばならない。

 また射場については、国内での確保には限界がある。

 米国すら豪州の施設を利用しており、日本国内での最先端風洞実験設備の増設とともに、豪州などとの平時ACSAを通じた施設借用などの施策も検討すべきであろう。

 ただし、その際のデーター漏洩には注意が必要である。

 米国としては中ロに対する遅れを速やかに取り戻すためには、連邦累積財政赤字が30兆ドル近くに達しようとする中、他国との共同開発を必要としていることは明らかである。

 AUKUSでは米国は英豪との共同研究開発、豪州の基地や施設の利用についても協力に合意している。日本もAUKUSに準じて、米英豪等との共同開発と豪州、米国の飛行試験場の利用を進める必要があるとみられる。

⑤人材育成と日本学術会議改革

 人材育成と研究開発は大学などの高等教育機関と研究機関の役割であり、それを担っているのは学界である。

 その学術界の頂点に立つ組織が「日本学術会議」であり、年間約10億円の国家予算が投じられており会員は特別職国家公務員である。

 それにもかかわらず、一部の会員が中国の世界的なヘッドハンティング組織である「千人計画」に参加し、あるいは前述したように人民解放軍の国防七大学と共同研究を行うと言ったことがこれまで放任されてきた。

 他方で日本学術会議は創設直後の1950年以来、軍事目的のための科学研究を行わない旨の声明をたびたび発しており、防衛用装備品の研究開発に各大学の研究室や研究者が参画するのを阻害している。

 このような日本の安全保障上の死活的国益を損なう行為を行ってきた日本学術会議は、民営化するなどの改革を断行し、軍民融合を加速させている中国やそれに対抗して大学、研究機関、関係省庁の総力を挙げて軍事研究開発に取り組もうとしている米国に倣い、わが国でも、学界を含む国を挙げた研究開発体制を整備する必要がある。

 ◇

 このブログで再三指摘しているように、日本の周辺には中朝露という核保有国が存在し、かつすべて極超音速ミサイルやサイバー兵器を保有し、極めて危険な領域に位置しているのに、未だに「専守防衛」とか「非核3原則」などと言う、数十年も前の古い防衛思想から脱却できていません。

 ようやく「国家安全保障戦略」を改定にあわせ、この化石に似た防衛思想から脱却しようとしているのは評価できますが、同時に自衛隊の最大の足枷になっている「憲法9条」の改定も急がねばなりません。矢野義昭氏の提唱する、「秘密保護法」と「スパイ防止法」の制定や「日本学術会議」の抜本的改革も必要でしょう。

 そして何よりも、急変する日本周辺の安全保障環境の実態を、国民に周知させねばなりません。未だにGHQの押しつけた憲法や自虐史観にどっぷりつかって、戦力保持なき平和という夢想をむさぼっている、一定数の日本人はいます。彼等の考えに寄り添えば、早晩日本の主権はなくなってしまうでしょう。そうした人はこの際無視して、日本の危機を受け止める人を増やし、日本の抑止力を高める施策を、政府は早急に打ち出すことを願います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

 

2022年1月15日 (土)

「敵基地攻撃」で中国抑止 揺らぐ米の核の中、台湾有事どう防ぐ

Maxresdefault_20220115100301  「敵基地攻撃能力の保有も含めてあらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化する」。昨年11月、岸田首相は自衛隊観閲式でこう演説しました。自衛隊の観閲式とはいえ、こう明言した首相は果たして本気なのでしょうか。

 長い間政府与党は、「専守防衛」という憲法9条の理念に基づく、およそ抑止力としては心もとない考え方を、日本の安全保障の基本に据えてきました。しかし中国の現状変更の意図が、ここに来て急速に明確になるにつれ、もう「専守防衛」などと言ってはいられない、差し迫った状況が近づいてきているのが現状です。

 そうした日本の安全保障上のリスクと課題を、産経新聞のコラム「主権回復」シリーズに寄稿された記事から、紐解いてみましょう。タイトルは『「敵基地攻撃」で中国抑止 揺らぐ米の核 台湾有事どう防ぐ』(1/13)で、以下に引用します。

 ◇

2030年、中国が核戦力で米国と肩を並べる時代が始まるかもしれない。そんな「現実」を突きつける2つの報告書が昨年11月、米連邦議会に相次いで提出された。

「中国は恐らく30年までに少なくとも核弾頭1千発を保有する意図を有している」。米国防総省は中国の軍事動向に関する年次報告書でこう指摘した。

米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」(USCC)の報告書はまた、中国が核弾頭の運搬手段となる地上発射型の戦略ミサイルの数で30年までに米国と「対等」となる可能性に言及。米国の戦略核戦力の優位が崩壊する恐れが出ていると警告した。

「核の影」。USCCの報告書には、こんな聞きなれない言葉が登場した。

米国の核の優位性が低下すると、米国は中国による米本土への核攻撃を恐れ、同盟国を守るための核使用を躊躇(ちゅうちょ)する可能性が生じる。インド太平洋地域における通常兵器の軍事バランスは、米国から中国優位に傾こうとしている。中国が米国の核を抑止できれば、地域で軍事行動をとる自由度が増すことになる。

米国の核の優位が崩壊することで地域紛争の脅威が高まることを「核の影」という。30年はその意味で、台湾統一を「歴史的任務」とする中国の習近平政権が台湾侵攻に動く危機が最も高まる時期ともいえる。

中国を手詰まりに

在日米軍や自衛隊の基地をミサイルで攻撃し、日米の制空能力を低下させた上で、台湾周辺の空海域で優勢な状況を確保し、米軍の増援排除を図る―。台湾有事では、中国がこうした行動に出ることも想定されており、日本も影響を免れない。台湾有事は「日本有事」でもある。

日本に迫る危機をどう防ぐのか。「核の影」の危険を米側に説いてきた一人、米政策研究機関「ハドソン研究所」研究員の村野将(まさし)は「射程2千キロ以上の弾道ミサイルの配備が最も効率的だ」とみる。

中国軍機の出撃拠点となる航空基地を巡航ミサイルよりも速度が速い弾道ミサイルで攻撃し、一時的に無力化させる。日米はこの間に態勢を立て直す。「そうなると中国は手詰まりになるので、緒戦におけるミサイル攻撃を思いとどまらせることにつながる。作戦妨害能力が日本の対中抑止の要だ」と村野は語る。

北朝鮮対応で議論される敵基地攻撃能力が中国にも有効となりうる。USCC報告書も、米国の中距離ミサイル配備を同盟・パートナー諸国に求めるべきだと唱えた。

時間との戦い

「敵基地攻撃能力の保有も含めてあらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化する」

首相、岸田文雄は昨年11月27日、自衛隊観閲式でこう強調した。元首相の安倍晋三すら曖昧にした表現を改め、「敵基地攻撃能力」と明言し、それ以降、前向きな発言を繰り返す。その保有は1956(昭和31)年、鳩山一郎内閣が「法理的に自衛の範囲」との統一見解を示している。

だが、与党・公明党は「理論的な可能性を肯定しても、現実の防衛装備として取らないと一貫してやってきた」(代表の山口那津男)と慎重だ。メディアなどからは戦後堅持してきた専守防衛から「逸脱」しかねないとの指摘も上がる。NHKの世論調査(2020年7月)では能力保有の支持が40%で反対が42%。国民世論も割れている。

中国は台湾侵攻能力の向上を急ぐ。議論は時間との戦いだ。防衛省関係者は「米軍との役割分担を決めて計画を作り、訓練を行う際に『敵基地攻撃能力』を明確に位置づけないと前に進めない」と漏らす。

「日本の支えがないと米国も台湾を支援できない。中国がそう自信を持てば、抑止が崩れる」(村野)。自国の安全保障を米国に頼るだけではすまされない時代が本格的に到来した。 

国境の島の危機感

日本最西端の沖縄県・与那国島は人口1700人弱の小島だ。面積は東京都世田谷区の約半分、わずか29平方キロ。島西側で海を望むと、晴天下では台湾の山並みが見える日もある。最短距離は111キロ。沖縄本島までの約5分の1だ。

「与那国が巻き込まれるのは確実だ」。昨年11月下旬、与那国町長の糸数健一(68)は産経新聞の取材に対し、台湾有事への強い危機感を語った。

島には2016(平成28)年、陸上自衛隊の駐屯地が開設され、沿岸監視隊員約170人が東シナ海で脅威を増す中国軍の動向を監視してきた。23年度までには陸自電子戦部隊約70人の追加配備が予定され、航空自衛隊の移動警戒隊も常駐を始める。中台関係の緊迫化を受けた措置だ。

昨年11月には米インド太平洋軍司令官のジョン・アキリーノが駐屯地を視察した。アキリーノは昨春、台湾有事は「大多数が考えるより間近に迫っている」と語っていた。米統合参謀本部議長のマーク・ミリーは昨年11月、台湾有事は「向こう12~24カ月はない」と指摘したが、国防総省高官は、中国軍が27年までの近代化目標を達成すれば、台湾有事で「より実効性の高い軍事的選択肢を確保し得る」との認識を示した。

中国軍に対する日米同盟の「耳と目」となる与那国島など先島諸島は、中国が台湾侵攻に踏み切れば戦域に含まれる恐れがある。

政府に対する不信

与那国町議会の議長、崎元俊男(56)によると、駐屯地開設前に強かった反対運動は「下火」になった。自衛隊誘致をめぐる当時の住民投票では賛成632票に対し、反対も445票を数えたが、20年にあった電子戦部隊配備への抗議集会の参加者は7、8人にとどまったという。

「国境・離島防衛は不可欠と(の意識が)住民に浸透してきている」。地元選出の沖縄県議、大浜一郎(59)はそう説明した。

ただ、自衛隊が部隊を増強しても駐屯するのは「守備隊ではない」(糸数)。有事の島民避難や台湾からの邦人退避、多数の避難民は町だけではとても対応できない。「国はシミュレーションをしているのか」。糸数は政府への不信感をのぞかせた。

「武力侵攻でも平和統一でも、台湾が中国に併吞(へいどん)されれば島の周りに中国軍が出没し、漁はできなくなる」。与那国町漁協組合長の嵩西(たけにし)茂則(59)の言葉は切実だ。そうなれば住民は島を離れ、日本最西端の領土は「自衛隊だけが残る国境の島になる」。

島西部の高台にある駐屯地に島に1台しかないタクシーで訪れると、警衛隊員が駆け寄ってきた。「門柱以外は撮らないで」。島に張り詰めた空気が漂う。

防衛強化急ぐ台湾

海の向こうの台湾には中国の圧力が高まっている。

防空識別圏(ADIZ)への中国軍機進入は昨年10月4日に1日当たりで過去最多の延べ56機を記録。昨年1年間の累計は延べ970機に上り、20年1年間の延べ約380機から激増した。

軍出身の台湾の国防部長(国防相に相当)、邱国正(きゅうこくせい)は、状況は「40年余りの経験で最も深刻だ」と説明。25年には中国軍が台湾への全面侵攻能力を備えるとの認識を明らかにした。

台湾は防衛強化を急ぐ。米政府によると、米国が台湾への売却を決めた武器総額は17年以降、約190億ドル(約2兆2千億円)相当。蔡英文政権は22年度国防予算を過去最高の3726億台湾元(約1兆5千億円)とし、さらに今後5年で約2400億台湾元を投じてミサイルや艦船を増強する。

台湾では少子化や徴兵制から志願制への移行で兵士のなり手が減っている。今年から予備役の増強を図り、兵士不足を補う対策も始めた。訓練に昨年参加した予備役の男性(27)は「どれだけ戦力の向上につながるか分からないが、台湾を守る意思が強まる」と気を引き締めた。

吉田茂が抱く思い

日本が主権を回復した1952年のサンフランシスコ講和条約発効から今年4月で70年。日本が問われているのは「自分の国を守る意思」だ。条約に署名し、日米同盟の下での軽武装・経済成長路線の道筋をつけた元首相の吉田茂は、63(昭和38)年出版の著書「世界と日本」でこう語り、未来の世代に期待を託した。

「(日本が)いつまでも他国の力を当てにすることは疑問であって、自らも余力の許す限り、防衛力の充実に努めねばならない」

 ◇

 日本が戦後復興を急ぎ、経済を軌道に乗せるために、他国(米国)に日本防衛の肩代わりをしてもらったのは、当時としてはやむを得ない選択だったのでしょう。しかし復興を成し遂げ、世界第2の経済大国になってからも、延々と米国の核の傘と基地の米軍にその役割を委ね、「専守防衛」の理念を持ち続けたのは、「主権国家」の体をなしていない、と言えるのではないでしょうか。

 ようやくここへ来て、政府も重い腰を上げ、国の安全保障の考え方の方向転換をしようとしているのは、歓迎されることです。ただあくまでも「主権回復」との論理的帰結ではなく、日本を取り巻く地政学的リスクがそうさせたというのには、やや不満が残りますが、ここにも戦後メディアや大学教授などの有識者が植え付けた「軍は悪」との国民意識が、根強く残っているからでしょう。

 あるテレビ番組で、若いコメンテーターが、「国防」それにつながる「軍隊や軍備」を話題として取り上げるのを、忌避してきた歴史がある、と言っていましたが、その通りで、今後はメディアでも教育でも、民間の話題にでも、「国防」を避けることなく取り上げることが、重要になってくると思いますね。


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

2022年1月 8日 (土)

「敵基地攻撃能力」の要諦、「専守防衛」に浸りきった日本に必然の発想の転換

0002p1  中国習近平政権の「中国の夢」構想による、南シナ海への侵攻や香港の中国化、そして台湾の統一への動きが具体化するにつれ、日本への脅威も年々増大して来ています。

 この中国の覇権を果たして食い止めるための準備が、日本にできているのか。米軍依存はいいが、米軍が本当に日本の防衛に真剣に取り組むのか、不透明な部分は残っています。

 その中で最近にわかに浮上してきた、日本の「敵基地攻撃能力保持」の議論。今まで一貫して態度を保持してきた「専守防衛」の考えと、一線を画せるのか。そのあたりの実情を元陸上自衛隊の幹部で現在軍事研究家の樋口穰次氏が、JBpressに寄稿したコラムに見てみます。タイトルは『米軍教本が教える、敵基地攻撃なし・専守防衛の大問題 日本人はなぜ安全保障音痴になってしまったのか』(1/7)で、以下に引用します。

 ◇

日本人を軍事音痴にした戦後体制

 戦後、わが国では、先の大戦の責任の大半を一方的に軍と軍人に負わせ、問答無用の姿勢で軍事、戦略そして地政学は「悪」として断罪し、その定着化が図られてきた。

 結果として、これらの用語・概念は、長い間、政治家をはじめ多くの国民にとって、邪悪な領域として忌避され、政治、社会、学問的研究や教育などの場から排斥された。

 例えば、日本における最難関大学とされる東京大学は、「一切の例外なく、軍事研究を禁止」している。

 東京大学の研究に関する内規は、「東京大学は、第二次世界大戦およびそれ以前の不幸な歴史に鑑み、一切の例外なく、軍事研究を禁止する」と定めている。

 この内規は、平成23(2011)年3月に「科学研究ガイドライン」として情報理工学系研究科(ロボット研究室)が明文化したものである。

 軍事研究の禁止を明文化したのは同科だけであるが、東大広報課は「他の学部でも共通の理解だ」と説明している。

 このため、東大のロボット研究者たちは、米国国防省の国防高等研究計画局(DARPA)が主宰する人型ロボット(例えば、放射能漏れ事故を起こした原子炉建屋で作業するロボットへの応用)の開発に関するコンテストへ参加するため、同ガイドラインに抵触することを避ける必要から、東大を退職せざるを得なかった。

 戦前、東京帝国大学(現東京大学)には「(工学部)造兵学科」が存在したが、戦後廃止され、行き場がなくなった当時の学術資料は、現在ファナック(FANUC)社の蔵書庫で保管されているようだ。

 また、1949年に国(内閣府)の特別機関として創設された日本学術会議は、1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また1967年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」をそれぞれ発表している。

 その大本である「戦争の放棄及び陸海空軍の戦力の不保持並びに交戦権の否認」を規定した「国防なき憲法」の下では、政治家も、学者・研究者も、まして一般国民も、軍事音痴に陥るのは仕方のないことだ。

 そこで、米陸軍の『OFFENSE AND DEFENSE(攻撃と防御)』(Army Doctrine Publication No. 3-90, Headquarters Department of the Army Washington, DC, 31 July 2019、以下ADP3-90)を題材に、専守防衛を防御と対照しつつ、敵基地攻撃を含めた基本的な作戦原則を確認してみたい。

専守防衛・敵基地攻撃能力なしの問題点

 ADP3-90第4章「防御(The Defense)」の「防御の目的(PURPOSES OF THE DEFENSE)」の項では、以下の通り記述している。

 攻撃は、より決定的である一方、防御は、通常、強力である。しかし、普通、防御のみによって戦闘の結果を決することはできない。陸軍部隊は、一般的に攻撃のための好条件を作為するために防御を行う。

 この記述のポイントは、防御のみによって戦闘の結果を決めることはできないという点にあり、そのため、防御によって好条件を作為し、機を見て攻撃に転移するとしているのである。

 わが国の「専守防衛」は、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。

(参議院議員・小西洋之氏の提出した安倍晋三内閣における「専守防衛」の定義に関する質問に対する答弁書)

 すなわち、「専守防衛」が、いわゆる防御だけに限定され、攻撃あるいは逆襲を伴わないとすれば、それをもってわが国の防衛目的を達成することはできない、とADP3-90の基本的な作戦原則は示唆しているのである。

 歴代政府の統一見解は、「専守防衛」は軍事用語の「戦略守勢」と同義語のように言われるが、そのような積極的な意味を持つものではないと説明している。

 戦略守勢の場合は、必要によって敵基地や策源地を攻撃することも含んでいるが、「専守防衛」はそれを積極的に肯定していない所に重大な瑕疵・弱点があるのだ。

 また、ADP3-90第4章「妨害(DISRUPTION)」の項では、以下の通り記述している。

 防御部隊は、敵部隊の準備を混乱させる行動によって攻撃を妨害する。妨害行動は、敵偵察部隊に対する欺編や攻撃、戦闘隊形の解体、(攻撃)梯隊の分離、敵諸職種連合部隊の連携能力の妨害を含む。防御部隊は、敵の戦力集中を阻止する無効化攻撃を遂行する。また、逆襲によって敵部隊の展開を妨害する。防御部隊は、電子戦、サイバー戦や敵の指揮統制組織に致命的打撃を与えるシステムを運用し、敵の上級司令部と前方部隊を縦深にわたって分離する。(かっこ内は筆者)

 さらに、同「縦深の作戦(OPERATIONS IN DEPTH )」の項では、以下の通り記述している。

 縦深の作戦は、(敵基地・策源地を含めた)すべての作戦地域にわたって戦闘力を同時運用することである。指揮官は、縦深の作戦を計画する。そして、敵の長距離火力、継戦能力、指揮統制を妨害することによって(防御が成り立つ)条件を創出する。これらの妨害は、敵の戦力を弱め、敵の早期成功を阻止する。縦深の作戦は、敵の(攻撃)衝力の維持を妨害する。防御において、指揮官は、警戒地域と戦闘地域の前縁(FEBA)に連接する主戦闘地域(MBA)を構築する。(1・2・3番目の括弧は筆者)

 以上は、米陸軍のADP3-90が示した防御を成功に導くための条件の一例である。これらをわが国の敵基地攻撃論争に当てはめて考えると、2つのポイントを指摘することができる。

 その一つは、わが国の専守防衛政策を成功させるためには、時期的に見て「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使」するのでは遅すぎ、中国軍の行動をその準備段階から妨害する必要がある。

 2つ目は、中国軍の弾道・巡航ミサイルなどの長距離火力、兵站施設や軍事基地などの継戦能力、そして侵攻作戦を指揮統制するためのC4ISRなどの作戦・戦力重心を、マルチドメインの各種手段を駆使して攻撃・無効化することである。

 もしも、これらの要件が専守防衛政策や敵基地攻撃能力から欠落するとすれば、わが国の防衛は危いと言わざるを得ないのである。

専守防衛における攻撃能力の保持と敵基地攻撃に必要な能力

専守防衛における攻撃能力の保持

「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」によると、日本に対する武力攻撃が発生した場合、自衛隊は防勢作戦を主体的に実施し、米軍は自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦(攻勢作戦)を実施することができる、と定められている。

 つまり、専守防衛における攻撃能力については、米軍に依存する役割分担を基本としているが、それはあくまで「打撃力の使用を伴う作戦を実施することができる」のであって、実施の可否は米国・米軍の判断に委ねられているのである。(以上、下線は筆者)

 2021年8月の米軍のアフガニスタンからの撤退は、米国の軍事的コミットメントの強さや信頼性に対して国際社会の疑念が深まったことは否定できない。

 首都カブール陥落後、台湾では「米国は有事の際に台湾防衛に動くのか」との警戒感を引き起こしたように、インド太平洋地域の当事国の間では期待外れの感は否めず、落胆・不安は解消されていない。

 台湾に対する「曖昧戦略」の見直しの必要性も指摘されているが、具体的な動きは見られない。

 これらを踏まえれば、米軍の打撃力の使用を伴う作戦(攻勢作戦)実施の確約が得られていない現状において、わが国が専守防衛政策を抜本的に見直すことができない場合でも、その政策を最低限担保するには、独自の攻撃力を保持しておくことが必要不可欠である。

 なお、米軍が攻勢作戦を実施する場合は、日米共同作戦調整所における情報の共有や役割分担など、緊密な二国軍間調整に基づいて実施されることになろう。

敵基地攻撃に必要な能力

 敵基地攻撃に当たっては、長距離対地ミサイルやサイバー戦、宇宙戦などマルチドメイン作戦における全領域・全手段を総動員するのは当然である。

 目標となる海空軍基地やC4ISR等の重要インフラなどの固定施設・サイトは、偵察衛星等で事前に偵知が可能である。

 問題は、わが国にとって死活的な脅威である移動式弾道・巡行ミサイルや隠蔽秘匿された弾道ミサイルの地下式格納施設(サイロ)である。

 それらを攻撃するには、ミサイルの所在(目標情報)をピンポイントかつオンタイムで把握しなければならないからである。

 特に移動式については、今、ここに在るという確実な情報が不可欠であるが、それを偵察衛星などのハードウエアで偵知することは困難で、最後は特殊部隊や潜入工作員(例えば米国のCIA)などのヒューミント、そして長時間滞空(MALE)無人機による偵察・監視・目標標定システムなどに依存せざるを得ないのである。

 また、攻撃後の戦果の確認も大事であるが、それもまた、ヒューミントなどの出番となる。

 つまり、敵基地攻撃能力については、「目標発見→捕捉追随→攻撃→戦果確認」のサイクルをしっかり確立しなければならないのである。

 1990年1月17日に始まった湾岸戦争では、イラクが隣国のサウジアラビアやイスラエルにソ連製のスカッド・ミサイルを撃ち込んだ。

 同ミサイルは移動式のため、偵察衛星等ではその所在を掴めず手を焼いた米軍は、英軍の特殊部隊などを地上から投入し、移動式スカッド・ミサイルの位置を特定し、その誘導によって航空攻撃や砲撃等を行い、ようやく制圧に成功した。

 2021年9月、米軍がアフガン撤退直前に実施した空爆は、民間人10人の命を奪う誤爆だったと判明した。

 空爆の前に、情報機関(CIA)が標的のエリアに一般市民がいると警告したが、米軍が頼ったのは無人機(ドローン)による情報収集で、情報機関と軍との意思疎通の失敗が誤爆の原因だったと見られている。

 いかに軍事科学技術が発達しても、「戦場の霧」を晴らすには、最後は人間の力に頼らざるを得ないのである。

 わが国は、目標を発見し捕捉追随する決め手となるヒューミントの能力を欠いており、その整備が最大の課題である。

 陸上自衛隊には、2004年に創設された陸上総隊隷下の「特殊作戦群」が存在する。

 部隊の性質上、その任務や訓練の内容、保有する装備などは一切公表されていないが、アメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー、デルタフォースなど)と同様、他国における特殊偵察や直接行動、情報戦などの多様な任務を遂行することができる世界水準の特殊部隊を目指しているといわれている。

 海上自衛隊にも、能登半島沖不審船事件を機に、2001年、全自衛隊で初めて特殊部隊としての「特別警備隊」が創設された。

 海上警備行動発令下に不審船の立ち入り検査を行う場合、予想される抵抗を抑止し、不審船の武装解除などを行うための専門部隊として新編されたものである。

 同警備隊は、米海軍Navy SEALsに代表される海軍コマンドと同様に、海岸・沿岸地域の偵察や陸上における人質救出作戦などの多様な任務にも耐えうるものと見られている。

 また、航空自衛隊は、ヒューミントではないが、「長距離を飛行し、空から超高性能なカメラを使って地上の様子を分析し把握するための航空機」である「RF-4E/EJ」偵察機を保有している。

 今後、長時間滞空(MALE)無人機による偵察・監視・目標標定システムとともに攻撃型無人機(ドローン)の整備も避けて通れない。

 まずは、これらの部隊に、中国大陸や朝鮮半島において、特殊作戦に従事できる任務・権限を付与し、その目的に資するよう早急に育成することである。

 この際、敵基地攻撃は統合作戦をもって遂行されるべきであり、陸海空の特殊部隊を統合部隊として編成することも検討課題の一つとなろう。

 他方、現在の敵基地攻撃能力は、航空自衛隊が保有する「JSM(ジョイント・ストライク・ミサイル)」や「JASSM(ジャズム)-ER」の空中発射巡航ミサイルに限られている。

 しかし、航空機の運用には、航空優勢の帰趨や天候気象条件に左右されるなどの問題点や欠点があり、地上発射あるいは海上・海中発射の対地攻撃ミサイルなど、多様な手段を準備し、相互に補完・強化できるようにしておくことが重要である。

 例えば、陸上自衛隊は地対艦ミサイル(SSM)と呼ばれる巡航ミサイルを装備しているが、それを長射程化し地上・海上・空中発射型スタンドオフミサイルとして開発を進め、また、海上自衛隊の水上艦艇や潜水艦に、米軍のトマホーク巡航ミサイルを搭載するのも有力な選択肢である。

 岸田文雄政権によって、国家安全保障戦略などの戦略3文書が年内を目標に見直され、敵基地攻撃についても積極的な取り組みが行われようとしている。

 それを実効性ある戦略に高めるためには、「戦場の霧」を晴らすなど、まだまだ為すべき措置対策の多いことを重々認識し、わが国の敵基地攻撃能力のシステム構築を急がなければならない。

 ◇

 樋口氏の言を俟つことなく、日本の置かれた状況は厳しく、またそれに反して学会や識者・マスコミのなんとも「大甘」な考え方が、対照的に浮き彫りになっているのが、日本の現状でしょう。

 もし本当に中国の攻撃が日本に向けられた場合、自衛隊と国内基地の米軍だけで果たして対抗できるのでしょうか。武力だけでなく、サイバー攻撃や稀少金属などの禁輸も当然畳みかけてくるでしょう。「対話」で事が済むほど相手は甘くありません。

 ですから、樋口氏の指摘の通り、敵基地攻撃能力の早急な整備や特殊作戦部隊の大幅拡充など、抑止力としてできることは、すべてやる必要があります。またそうすることによって、日本の技術の進歩がはかられるでしょう。大学や日本学術会議の「軍事研究は排除する」取り決めなど、即刻取り払うべきです。それに抵抗する大学には補助金は一切出さないようにするのがいいでしょう。学術会議のメンバーで、それに反対するものは任命拒否するのも当然すべきです。「軍事音痴」の研究者の一掃を図ることも、岸田政権の課題だと思います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

2021年11月21日 (日)

櫻井よし子氏:「中国核弾頭1000発の恐怖」背景には習近平が台湾併合実現を目指し毛沢東化

5c637ff62500003502c826f6  アメリカ国防省が、中国が2030年までに少なくとも1000発の核弾頭保有を目指している、と報告しました。そのうちの多くは、日本や在日米軍基地を標的にしているでしょう。極超音速ミサイルの開発も進めています。日本はどう対応していけばいいのでしょうか。

 櫻井よし子氏が、週刊新潮の彼女の連載コラム「日本ルネッサンス」の975回目に関係する記事を寄稿しています。タイトルは『中国核弾頭1000発の恐怖』(11/18)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

中国の習近平国家主席の毛沢東化、終身皇帝への道がまた一歩、確実に前進した。今月8日から開催された重要会議、第19期中央委員会第6回総会(6中総会)の最終日に当たる11日には習氏の「第3の歴史決議」を採択する。

毛沢東の「若干の歴史問題に関する決議」(1945年4月)、鄧小平の「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」(81年6月)に続くものだ。毛も鄧も決議によって自らの政治路線の正しさを明確化させ、権威を高め、権力基盤を盤石にした。「第3の歴史決議」で、習氏はまず毛、鄧両氏と並び、さらに彼らを凌ぐ絶対的高みに上る道を切り拓くと予想される。

だが、絶対的権力の確立は生易しいものではない。14億人を納得させるには、毛沢東も実現できなかった台湾併合の偉業達成が必要だ。そのために習氏は89年以来の大軍拡をさらに強化しつつある。強大な軍事力を築く一方で、台湾併合に関しては軍事力の使用を否定しない。また、台湾攻略法として、経済的圧力、サイバー攻撃、メディア支配、フェイクニュース拡散、工作員送り込みなどあらゆる手を使う。

対外強硬策は中国国民のナショナリズムを刺激し求心力を高めるが、習氏は各王朝が下からの革命で倒されてきた中国の歴史を十分に知っている。自身への絶対的崇拝を徹底させようと躍起なのは、ナショナリズムが政府への不満に転化し国民蜂起につながるのを恐れているからだ。

中国教育省は8月24日、「学生の頭脳を習近平の中国の特色ある社会主義思想で武装する」よう指示した。小学生には「全党人民の道案内人は習近平主席」であると教え、敬愛の念をこめて「習おじいさん」と呼ばせる。大人は皆、共産党を唯一の指導組織として崇め、企業は「中国共産党と一心同体でなければならない」と指導される。

14億の国民を洗脳するための一連の独善的政策は外交や安全保障政策にも通底する。外国に対しては経済力と軍事力をアメと鞭として使う。

日本も最大級の被害

中国の軍事費は日本の4倍以上となり、軍事力の差は開く一方だ。日本も台湾も存亡の危機だ。そうした中の10月1日、台湾海峡上空に中国軍機が大挙飛来した。5日までに計150機が押し寄せた。

中国の暴走などで万が一、台湾有事となれば、間違いなく日本も最大級の被害を受ける。だが、私たちは押されてばかりではない。日本を含めて多くの国が中国の軍事的脅威に対峙し、中国を抑止するために協力の構えを作っている。たとえば中国軍機群が台湾海峡上空に飛来した日と重なるように、沖縄の南西海域で日米英加蘭とニュージーランドの6か国が初の共同訓練を展開していた。

米空母の「ロナルド・レーガン」「カール・ビンソン」の2個打撃群、英国の空母「クイーン・エリザベス」打撃群、海上自衛隊のヘリコプター搭載準空母「いせ」の4空母が訓練の主体を占めた。カナダ、オランダ、ニュージーランドの艦船も含めた17隻が「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の理念を掲げて訓練した。

中国にとっては非常に不快であろう。明らかにこちら側の訓練に触発されたのであろう、習氏は中央軍事委員会を緊急招集し、直ちに台湾への圧力を強化せよと指示した。それが中国軍機の台湾海峡飛行の中でも最大規模の4日の56機の展開につながったと言われている。

ここで注目するべき点はその編制である。どんな種類の中国軍機が飛んだかを見ることで、作戦の意図が明らかになる。これまで台湾海峡上空に迫る中国軍機の中で多数を占めていたのが戦闘機だった。しかし10月初旬の大規模飛行では戦闘機や爆撃機に加えて作戦支援機である早期警戒管制機、通信対抗機、電子偵察機、情報収集機、電子戦機、哨戒機などが目立っていた(『東亜』11月号、防衛省防衛研究所地域研究部長・門間理良)。

戦闘機や爆撃機だけの飛行は実戦的ではない。爆撃機は攻撃の的になる。そのために、実戦ならば必ず戦闘機の護衛を必要とする。また現代の航空戦で勝利するには、通信を妨害したり戦闘機を効率よく運用するための早期警戒管制機などの作戦支援機が欠かせない。

つまり中国は実戦を想定して台湾海峡上空に軍機団を送り込んだということだ。日米をはじめこちら側も共同訓練を重ね、抑止力を高めつつある。一方、中国も飽くまでも強気なのである。

全地球をカバー

米国防総省が11月3日、「中国の軍事・安全保障動向に関する報告書2021」を公表した。2030年までに中国は少なくとも1000発の核弾頭保有を目指していると報告された。現在、各国保有の核弾頭はロシアが6255発、米国が5550発、中国は350発とされている。そうした中でこの1000発という数が何を意味するのかを知っておかねばならない。国家基本問題研究所企画委員の太田文雄氏が語る。

「中国はこれまでのカウンターバリュー(対価値)の戦略をカウンターフォース(対軍事力)のそれに変えたと思います」

カウンターバリューとは、ある国の大都市、たとえば米国ならニューヨークやワシントン、シカゴなどを核攻撃することで、政治的にそれ以上の戦争続行を許さない状況を作り出す戦略だ。他方、カウンターフォースは、たとえば米国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の収納サイロを攻撃する戦略だ。ミサイルの精度を高めることで正確に軍事施設を破壊できるため、一般国民の犠牲を減らし、国際社会の非難も和らげることができるという考え方だ。

中国は昨年6月に航法衛星北斗で全地球をカバーできるようになり、ミサイル攻撃の精度を上げた。全米には多数のICBMが多数のサイロに収納されている。それらを封じ込めるためにはより多くの核兵器が必要となる。それが中国の目指す1000発だと、太田氏は指摘する。

中国が核戦力において米国と並び、かつてない程の脅威となれば日米、欧州諸国は大いに苦しむことになるだろう。米国は中露両国と対峙しなければならない事態も起き得る。その場合私たちの状況は想像を超える厳しいものとなりかねない。

そんな状況に追い込まれないように、最大限の知恵を働かせて流れを逆転する時だ。その第一歩は、何としてでも日本国の軍事力を強化することだ。次に沖縄、台湾を守るために、日米協力を飛躍的に強化することだ。第一列島線に中距離ミサイルを配備する。非核三原則を二原則にして、そのミサイルへの米国の核搭載に踏み切る議論を進めよ。

 ◇

 日本はこの核大国中国の台湾侵攻に巻き込まれないようにしようとしても、日米同盟がある限り巻き込まれるのは必至でしょう。そうなれば日本は極めて困難な国防の試練に立ち向かわなければなりません。習近平が毛沢東化を目指せば目指すほど、台湾侵攻は現実のものとなるでしょう。

 従ってそれを阻止するには、台湾侵攻は極めて危険だと言うことを、中国に思い知らさなければなりません。ところが人権に関し極めて関心の薄い中国共産党、そのトップの習近平にとって、自国民の人的被害は大して気にしないかも知れません。

 かつて毛沢東が「核戦争になっても別に構わない。世界に27億人がいる。半分が死んでも後の半分が残る。中国の人口は6億だが半分が消えてもなお3億がいる。われわれは一体何を恐れるのだろうか」と言ったそうですが、毛沢東化を目指す習近平は、台湾侵攻で多くの犠牲が出ても気にしないということは、全くあり得ないことではないでしょう。

 そうなれば人的被害をもっとも恐れる西側諸国にとって、全くやっかいな戦いに引き込まれることになります。櫻井氏の指摘の通り、日本の軍事力の強化や日米同盟の深化や非核三原則の「持ち込ませない」を破棄は重要ですが、このモンスターとなりつつある中国をどう押さえ込むか。中国国民の覚醒手段も含め、今後民主国家グループの知恵と行動力が試されていると言えます。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

その他のカテゴリー

ICTと政治 イノベーション エネルギー エネルギーと環境 オリンピックとメディア人 オリンピックと人権侵害 オリンピックと政治家 スポーツ スポーツと政治 テロの標的国家 デジタル技術 マナー、道徳 メディア メディアと政治 メディアの偏向報道 中国の政治 中国経済 五輪と反日国、メディア 人種・民族差別 共産主義 共産党と総選挙 共産党の組織と実態 刑法、犯罪 創作と現実 医療 医療と健康 医療と政治 危機管理 原発と核実験 原発・エネルギー 原発再稼働 反日メディア 反日政治家 司法 国会改革 国連 国際政治 土地の買収 在日、サヨク 地方政治 地方行政 地球環境 外交 大学 天候 学問・資格 安全保障 安全保障政策 宗教と政治 宗教界 官僚の実態 対テロ作戦 少子化問題 左翼インテリ 情報・インテリジェンス 感染症と政治 憲法 憲法違反 戦争の歴史 技術、戦略 拉致被害者 政権構想 政治 政治、外交 政治、政党 政治、政局 政治、文化 政治、経済 政治とテロ 政治と原発論議 政治とSNS 政治スキャンダル 政治体制 政治家の誹謗中傷 政治理念 政治評論 政策 政策課題 教育 教育、文化、愚民化 教育・歴史 文化 文化、歴史 文化・芸術 新型コロナウイルスの起源 日本の未来 核の威嚇 歴史 歴史・国際 民族弾圧 民族弾圧、ジェノサイド 水際対策 海外、スポーツ 海外、政治 海外、経済 海外の人権侵害 海外・社会 災害、政治 研究開発 社会 社会・政治 社会・文化 社会主義運動とテロ 福祉政策 経営 経営戦略 経済・政治・国際 経済対策 緊急事態と憲法 総選挙 自民党総裁選候補 自衛隊 芸能人と思想 行政改革 言葉の定義 軍事 軍事、外交 輸入食材 選挙公約・バラマキ 離島防衛 韓国の教育 音楽 領土、外交 食糧問題 NHK改革 SNS・インターネット

2022年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
フォト
無料ブログはココログ