安全保障政策

2020年7月 3日 (金)

詭弁に満ちた日本の防衛力議論を封じ、世界が羨む日本の技術を磨け

8_20200702113801  6月15日、河野防衛大臣が発表したイージスアショアの導入断念は各方面に波紋を呼びました。それを受けて元陸上自衛隊西部方面総監用田和仁氏はJBpressに以下の論文を寄稿しています。タイトルは『イージス・アショアより世界が羨む日本の技術を磨け ミサイルをミサイルで撃ち落とす時代は既に終わっている』(6/22)です。10日ほど前に寄稿された記事ですが、今の日本の防衛体制への警鐘として、本質をついていると思われますので引用転載します。長い文章なので、お忙しい方は最後段の「結言」から読んでいただければと思います。

ミサイル防衛から電磁バリアへ

 6月15日の夕刻、防衛大臣は首相の決断として事実上、イージスアショアの導入を断念することを発表した。

 手続き上、政治家へは説明がなかったとして、歴代防衛大臣などからは非難の声が上がっている。

 しかし、イージスアショアの配備はそもそも、日本の3段構えと称するミサイル防衛の実態を議論することなく浮上した計画であった。

 実際には必要な弾数もなく、北朝鮮のような変化球にも対応できず、敵の飽和攻撃に無力な「張り子のトラ」であることを理解する力もなかった。

 今回の配備断念は、自己満足に陥っていた日本の現実を吐露しているに過ぎない。

 筆者は、現防衛大臣と信条は異にするが、今回の決断は、費用対効果を見極めて腹を決めたのならば英断であり吉であったと考える。

 しかし、中国・北朝鮮に対して白旗を揚げたり、財務省と結託して防衛費を新型コロナウイルス感染症対策のために削減しようとしているのならば、大凶である。

 今回の決断で本当に非難されるべきは、防衛の必要性よりも反日の外国勢力、日本防衛など関係ないという反対派の思惑で国が断念したという構図だ。

 今後の日本の防衛にとって悪しき前例となるだろう。特に、中国の超限戦が日本で活発になるだろう。

詭弁の日本の防衛力議論

 日本の防衛力構築の考え方は脅威の実態を論じることなく、実に詭弁に満ちている。

(1)問題の根源は、日本が米国と中国を両天秤にかけ、自ら向かうべき「敵」を曖昧にし、本当に中国の脅威に対抗するためにはどんな戦力を構築すればいいのかが誰にも分からなくなっていることだ。

 北朝鮮は前哨戦であり、本命は中国である。

 あたかも北朝鮮を脅威の本命と論ずるのは防衛費を無駄な投資として最小化したい財務省の思惑とも一致する。

(2)米国は、2010年から従来のミサイルによるミサイル防衛は、北朝鮮やイランなどのならず者国家などに対し防御するもので、中ロのように多数のミサイルで攻撃する国々には無力であると明言していた。

 2015年に日本安全保障戦略研究所(SSRI)のメンバーである筆者を含む陸海空の将官OBは、米国において国防省の外局的役割を果たしている戦略予算評価センター(CSBA)で日米の作戦・戦略を議論するため訪米した。

 CSBAは、対艦・対地・防空ミサイルを装備化した米陸軍・海兵隊の第1列島線への展開やINF条約からの離脱などを国防省へ提言し、次々と実現させている米国における屈指の有力研究所である。

 その時のCSBA側が論点の一つとして問題提起されたのがミサイル防衛であった。

「現在(2015年)の課題は、中国の弾道ミサイルや巡航ミサイルに対する抗堪力をいかに高めていくかである」

「中国は弾道ミサイルの多弾頭化を推進すると共に、攻撃を仕掛ける際には飽和攻撃(一度に多数のミサイルを発射し対応の暇を与えない)を行うだろう」

「これに対し従来のミサイル防衛の考え方では対応できない。このためレーザや電磁波、超電磁砲(レールガン)などの実用化・装備化を急ぐ必要がある」

 CSBA側が、対処するにはミサイル以外の手段しかなく、それが当時は実現が困難だろうと考えていたレーザや電磁波などであったことから、頭が真っ白になったことを鮮明に記憶している。

 それを踏まえ、筆者らは、日本に帰って繰り返し警告を発してきた。

 しかし、政治家は全く無反応だった。日本のミサイル防衛の舵切りを遅らせているのは、日本独自で考えるのをやめ、米国に防衛のすべてを依存してきたことである。

(3)幻想の3段階ミサイル防衛

①イージスアショアがミサイル迎撃の第1段、第2段がイージス艦、そして最後の第3段の迎撃が空自の「PAC3」と陸自の中距離「SAM」などの中距離ミサイルである。

 移動型としてサードミサイルも話題にのぼったが、費用対効果上イージスアショアの代替にはならず、燃料などに問題点が指摘されている。

 このうち、第3段階に中距離ミサイルを配備することは、後述する電磁バリアを構築しても最後の手段として必要だ。

 一方、第3段の迎撃を考えるにあたって、PAC3などが敵ミサイルを迎撃できても必ず彼我の破片と燃料が降りかかってくることを無視してはいけない。

 ブースターどころではない。しかし、政治家もマスコミも何も言わない。

②第1段のイージスアショアであるが、地上設備が2基で約4500億円と言われる。

 また、維持費や実験場の設備も日本が作るならば、2基以上の予算がさらに必要である。

 その弾は30億~40億円といわれ、もし中国の保有するミサイル2000発以上が日本に向けられると、敵の2倍の弾が必要で最大4000発以上、その価格はミサイルだけで6兆円を超えてしまう。

 これに北朝鮮対処を考えれば全体で7兆~8兆円は超えてしまう。今の年間防衛費の1.5倍である。

 それも中国・北朝鮮のミサイルがきれいな弾道を描いて飛んでくれればという前提であり、北朝鮮のミサイルのように不規則な弾道であったりすると当たらないし、飽和攻撃にも対処は困難だ。

 さらに、米国装備品を購入することが日米同盟を強固にする証だと考えている政治家が多いなか、それが日本防衛のための全体の防衛力を削ぐことにならないのか検討したのだろうか。

「中国」を主敵と考えるならそれに勝つため、自ずと予算は決まる。

 しかし、財政主導という暗黙の了解があるから、防衛省は必要額を要求することは無駄とあきらめてしまう。お金の節約が国民の命よりも大切だということだ。

 米国の公刊情報では、日本はイージス艦用迎撃ミサイルを30数発しか購入していないようだ。

 その他のミサイルなどの弾薬もショウウインドウに並べるだけの数しかない。これでは日本防衛の作戦・戦略を作っても意味がない。

 イージスアショアは地上設置型であるがゆえのメリットもあるが、海上・航空・地上からも容易に攻撃されるだろう。

 特に地上からのハイブリッド攻撃は厄介だ。

 一方で陸自の防護対象は拡大しているにもかかわらず、陸自は予算の削減、減額の矢面に立たされている。

 陸自にとってはこれで海空自や米軍と情報を共有し、米軍の巨大な指揮・情報・通信網と連結(ネットワーク化)できなかったことは実に痛いが、今後の第1列島線での日米共同作戦において連結することができるだろう。

 総じて、防衛大臣が費用対効果に問題があると指摘したのは正しい。

 能力にも疑問があり、米国の高額装備品の購入圧力で陸海空の実質的な防衛費は激減しているからだ。

 装備品の整備などができないどころか、災害派遣すらいけなくなるだろう。

Img_2bb1c5e779740f332e506cbd4a09596c7164 ③第2段のイージス艦によるミサイル防衛は本当に正しいのか。

〇限られた弾数の中、電子的な偽変、陽動に耐え、いろいろな軌道で飽和攻撃してくる敵ミサイルに対する迎撃の効果は極めて低いだろう。

〇根本的な問題は、中国や北朝鮮有事の場合、イージス艦などは敵潜水艦の脅威に晒されると共に、機雷などが撒かれ、対艦ミサイルが多数飛来する東シナ海、日本海で果たして行動ができるのかという点だ。

 既に中国艦艇、航空機の数は海空自をしのぎ、さらにその差は拡大しているのに、日本側が海空優勢を取れると考えるのはあまりにも楽観的過ぎるのではないか。

 米国は、海洋圧迫戦略(Maritime Pressure Strategy、MPS)で米陸海空・海兵隊が一体となって徹底的に中国の船を沈め、中国本土の軍事基地・施設などを攻撃する構想を進めており、陸空自はすでに本構想に適合しつつある。

 本構想のもと、米海軍が多数のミサイル艦艇を分散した態勢から中国艦艇を攻撃する(Distributed Maritime Operation、DMO)時には、海自イージス艦も領域防衛の一環として対弾道ミサイルを対艦ミサイルに積み替えて太平洋側から米海・空軍の攻撃に参加すべきかの選択を迫られるだろう。

 幸いなことに空自が導入する「F-18」用の長距離対艦ミサイルはイージス艦から発射できる。

 陸自にイージスアショアを導入させ、海自艦の負担を軽減するのは、海自の作戦が主で陸自がその肩代わりをするという考えではなく、その本質は、海自艦を潜水艦を含む米海空軍の対艦・対潜水艦攻撃に積極的に参画させたいということではないのか。

 すなわち、海自艦は、日米一体の中国艦隊撃滅作戦を重視すべきではないのか。

 そうならば、イージスアショアを固定型のレーダ施設と分離した対艦弾道ミサイルを搭載した安価な護衛艦、または無人艦を東シナ海、日本海に配置する案は有力である。

 その議論が政治の場でも必要であり、わが国の作戦構想を政府や海自から明確に発信しなければ日本の防衛は完結しない。

 時代遅れの空虚な海空優先論を捨て、陸海空自が一体となった統合作戦こそ本来の姿であろう。

 これらを勘案すると、日本のミサイル防衛体制のうち、第1・2段のミサイル防衛は十分に機能しないし、所望の効果を期待できないだろう。

日本独自のミサイル防衛の構築

 日本には参考となる防衛システム上の前例はない。

 イスラエルはアイアンドームという3段階の防衛網があるが、圧倒的に対処するミサイルなどの質量が違う。

 自ら知恵を絞って日本流のミサイル防衛体制を構築しなければ、誰も助けてはくれない。

 米軍も第1列島線へ「展開」はするが、駐屯はしない。すなわち、米軍にとって日本は米国を守る戦場である。

 第1・2段のイージスに代わるミサイル防衛の壁は、防衛計画の大綱にあるサイバー、宇宙、電磁波領域の非物理的打撃機能にほかならない。

 サイバーの壁、宇宙の壁、電磁波の壁(電磁バリア)である。そして日本にはこの選択しかない。腹をくくるべきだ。

 日米共同で考えるとサイバーと宇宙は米国主導で敵地まで攻撃することができる。

 一方、電磁波領域は日本が主導できる。

 現実に、中国などのミサイルやドローン、無人機などを使った飽和攻撃には、ミサイルなどの物理的打撃でもはや対処できないことを理解する必要がある。

 そのゲームチェンジャーとしての技術の核心は日本が握っている。そして、その技術を世界が狙っている。

 残念ながら知らないのは日本人だけだ。それは世界に類を見ない電源であり、兵器にも必須ならば、日本の電力革命による経済の繁栄にも欠かすことができないものである。

 米国などが2015年から5年を目途に完成させるとしていたゲームチェンジャーとしての兵器が、まだ完成しないのはこの特性を持つ電源がないからだ。

 これ以上、情報を開示することはできないが、外国に取られていなければ必ず2~3年のうちに目にするだろう。

 この電源を使えば、まず

①電波妨害兵器(EW、電波を妨害し電子機器の使用を狂わせる、それ以外にも潜在する強力な能力を保持)

②電磁砲兵器(HPMW、電磁波で電子機器を破壊する、全ての兵器が対象)

 さらに5年後以降に

③レーザ兵器(大気中でパワーが減衰するので実用化が遅れている)

④レールガン(弾丸を電磁波で高速で飛ばす、困難な実用化)などが次々と実用化できる。

 米陸軍はまだサイバーの段階で止まっているが、いずれ陸自と同じように上記兵器の車載化で損害を避けつつ戦える体制ができるだろう。

 そして、空自の宇宙作戦隊は、固定型のEWで陸自の車載型EW兵器と共に衛星やAWACSなどを妨害することができる。

 さらに中国・北朝鮮のミサイルを発射段階から捉え、妨害することができるだろう。

 これが第1段階であり、サイバー攻撃と一体化して防御的にも攻撃的にも運用することができる。

 そして早急に、ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイル、航空機、艦船などを電気的に破壊できるHPMW兵器の開発を推進しなければならない。

 HPMWはさらにミサイルに装着し、対艦攻撃や弾道弾の破壊に使うことが必須である。

 HPMWは光速で、ある程度の幅を持って飛ぶので敵の捕捉は極めて容易であろう。これが第2段階である。

 そして、レーザ兵器などへと繋いでいくことが期待される。

 EWそしてHPMWの装備化こそ日本の命運を握る事業であることから、惜しみなく予算を投入すべきであろう。

 第3段の壁は、最後に国民を守る手段として、従来のPAC3や中距離SAMなどの物理的破壊兵器が必要である。もちろんシェルターは必須である。

敵基地攻撃

 敵基地攻撃については、その方策には賛成できない。

①中国に対しての敵基地攻撃は、米軍ですら破るのが困難になったという中国の深い防空網を突破して、地下や移動型の発射体から打ち出されるミサイルをピンポイントで捕捉し攻撃することになり、日本の実力ではできない。

 北朝鮮でも同じで、米軍のように宇宙まで広がった情報・指揮・通信網そして大空軍力無くして実行は不可能である。

②敵基地を攻撃するなら日本は「低出力核爆弾」を装備化すべきである。

 これを潜水艦から発射して上空で破裂させ、EMP効果によって広域に電子機器を破壊すべきだ。

 これは人の殺傷を目的としない核兵器の使用であり、今後日本でも真剣に検討すべき課題である。

結言

 今回のイージスアショアの件は、日本をどう守るかの教義(ドクトリン)もなく、ただ米国の高額装備品を買い続けることに対する警鐘だと考えるべきだろう。

 さらに、既に海空戦力で中国に劣勢になっており、その差は広がるばかりで、「対称戦力」として海空優勢を追求するならば防衛予算は莫大な支出を必要とし、国家財政は破綻するだろう。

 ここは一度立ち止まって財政主導ではなく、国家安全保障会議(NSC)と統合幕僚監部が主導して根幹となる日本防衛作戦・戦略をはっきりと描くことが必須である。

 この際、

①ミサイル防衛のみの見直しではなく、日本防衛全体を明確にする。

②米国の作戦・戦略と完璧に整合させることが必要、この際、米国は海洋圧迫戦略(Maritime Pressure Strategy)で明確な対中作戦を描いているので整合は容易であろう。

③船には船を、飛行機には飛行機をという「対称戦力」の考えを捨て、「非対称戦力」での勝利を追求すべきだ。

 その中核は「サイバー・電磁波領域での勝利」と「艦艇・潜水艦を沈めよ(水中の作戦と長距離対艦ミサイルでの撃破)」「無人機・無人艦(水上、水中)」である。

④サイバー・電磁領域などの戦いでは専守防衛は通用しない。

 非核3原則の核を持ち込ませずなどの非現実的な防衛政策は直ちに廃止すべきだ。

 専門家による記述で難解な部分が多いのですが、この文章から読み解くと日本の防衛の脆弱性、戦略の乏しさ、その要因である政治家の無関心さが際立ってきます。その結果でしょうがマスコミや国民全体に蔓延する、国土防衛に対する無関心が、現状を作り上げていると言うことでしょう。

 日本最大の敵国として中国を上げていますが、私も異論はありません。そしてその中国に今や戦力としては完全に離されている。アメリカに防衛を頼っても、攻撃されれば日本がその直接の楯になることは間違いありません。ですからその攻撃に耐えられる防衛力は必然になります。

 もちろん直接の対決は双方とも望まないでしょうから、局地での小競り合いやサイバー戦になるでしょうが、それとてまずかなわないでしょう。中国は日夜戦力の増強、新兵器の開発に励んでいますが、日本は大学での軍事研究も容易にできない9条の壁があります。

 ですから、用田氏の言うようにサイバー・電磁波領域の研究に集中し、物理攻撃に備えるしかありません。中国もアメリカの後ろ盾のある日本に対し、本格的な戦闘は望まないでしょうから、その間にこの領域の研究を進めるとともに、核開発の研究も同時に進め、抑止力を高めておく必要があると思います。

 その前に必要なのは政治家が状況をよく認識し、共産国家の属国となるか、国家主権を守るかの選択を提示し、眠れる国民をマスコミとともに目覚めさせることでしょう。憲法の改正は言うまでもありませんが。

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2020年6月28日 (日)

中国の“軍事的脅威”に抑止力強化を!『日本は何もしていない』ように見える

2_20200628120701  昨日の産経新聞に以下の記事が記載されています。

 尖閣周辺に中国船 75日連続、最長を更新

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で27日、中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは75日連続。平成24年9月の尖閣諸島国有化以降で、最長の連続日数を更新した。第11管区海上保安本部(那覇)によると、領海に近づかないよう巡視船が警告した。

 先月には中国海警局の船が日本漁船を追尾しているのを、海上保安庁の巡視船が現場で漁船の安全を確保したことについて、中国外務省の報道官が「違法な妨害を行った」と非難するという、逆切れとも思しき対応を示していました。

 このように中国は日本固有の領土尖閣諸島を自国の領土と強弁し、周辺の威嚇航行を続けています。それに対する日本政府の反応は「遺憾砲」のみで、いかにも弱腰に映って見えてしまいます。この件に関し、zakzakは昨夕のコラムで以下のように記述しています。タイトルは『中国の“軍事的脅威”に抑止力強化を! 中国攻勢に政治家もメディアも無関心… 識者「他国から見ると『日本は何もしていない』ように見える」』です。

 中国の軍事的脅威が高まっている。沖縄県・尖閣諸島周辺には中国海警局の公船が74日(26日時点)も連続侵入し、鹿児島県・奄美大島近くの接続水域では中国軍とみられる潜水艦の潜行が確認された。中国発の新型コロナウイルスで世界に甚大な犠牲が出ているなかでも、覇権拡大を狙う行動が確認されているのだ。核と弾道ミサイルで恫喝(どうかつ)する北朝鮮だけでなく、わが国は軍事力と経済力を備えた中国も十分警戒すべきだ。国民の生命と財産を守り抜く、抑止力の強化が注目される。

 「わが国の防衛に空白を生むことはあってはならず、安全保障戦略のありようについて徹底的に議論する」

 菅義偉官房長官は24日午前の記者会見でこう語った。国家安全保障会議(NSC)が同日夕、首相官邸で開催され、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の停止を踏まえた、安保政策の抜本的見直しに関する議論に着手することを見据えたものだ。

 イージス・アショアは対北朝鮮のイメージが強いが、その高性能レーダーは中国やロシアの動向を察知する期待が持たれていた。特に、中国の軍事的脅威は看過できない。

 尖閣諸島周辺で26日、中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁が確認した。これで74日連続で、最長記録を更新している。

 中国軍の動きも警戒されている。

 防衛省によると、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、全国の小中高校の一斉休校が始まった3月以降だけでも、南西諸島などで、中国軍の空母や駆逐艦、哨戒機などの特異な動きは頻繁に確認されている。

 特に、米海軍の原子力空母「ニミッツ」「カール・ビンソン」「ロナルド・レーガン」「セオドア・ルーズベルト」に、新型コロナウイルスの感染者が判明して、抑止力低下が懸念されていた4月、中国海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊が、沖縄本島と宮古島の間を初めて往復した。

 朝鮮戦争(1950~53年)は25日で勃発から70年となった。開戦の経緯を振り返れば、ディーン・アチソン米国務長官(当時)が防衛線に朝鮮半島を含まなかった(アチソンライン)ことなどから、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席が「米国に韓国防衛の意思はない」と誤解し、奇襲攻撃の決断につながったという見方もある。

 領土・領海を守るには、日本の主権を守り抜く強固な意思の表明と、現実的な抑止力の強化・整備は不可欠なのだ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「中国はコロナ禍でも、どんどん実績を重ねている。尖閣周辺に連日侵入しているのは中国海警局の公船だが、中国海軍の艦船を改造したものだ。武装公船は脅威であり、『今のままで大丈夫』などという認識はあり得ない」と解説する。

 河野太郎防衛相は23日の記者会見で、奄美大島近くの接続水域内を潜行した冒頭の潜水艦について、「総合的に勘案して中国のものと推定している」と名指しし、中国に事実上警告したが、まだまだ弱い。

 軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「これだけ中国が攻勢を仕掛けてきているのに、他国から見ると『日本は何もしていない』ように見える。もっと領土・領海を守る具体的行動をすべきだ。一部の政治家やメディアの無関心ぶりにも驚かされる。日本固有の領土が危機にさらされているのに、黙っているつもりなのか。結果的に中国を利することになる。政治家やメディアは国益を考えて行動すべきだ」と指摘している。

 政治家やメディアは国益を考えて行動すべきだ」と井上氏は指摘していますが、なぜか日本という国は「国益」よりも「忖度」を優先するようです。もちろんその背景には「憲法9条」という大きな足かせがあるからでしょう。軍事力や防衛力という言葉は、子供のころからあまり話題にしないように育てられたからでしょう。国民的な議論はほとんどなされません。

 よくこのことは家庭の防犯に例えられます。かつての日本では玄関に鍵をかけることはあまりしませんでした。近所付き合いがよく行われ、周りに不審者がほとんどいなかったからでしょう。これは今の憲法の前文によく似ています。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」

 ところが都市化が進み、近隣の住民との関係が薄れ、又空き巣や強盗などの被害が多くなると、当然カギは必須となり、場合によってはセキュリティー会社に防犯設備を設置依頼する家も出てきました。

 国でもそうです。「平和を愛する諸国民」はいるでしょうが、その諸国民を統括・統治する国の政府は、「平和」は建前で本音は「国益」という、当たり前の現実に従って行動します。そのためには資源獲得や権益拡大のため、軍事力を背景としてお互いつばぜり合いをすることになります。そこで一方的な攻撃にさらされないよう、国家間に力のバランス、均衡が保たれた状態にするため、それぞれの国で軍事力を保ちます。しかしそのバランスが崩れると、抗争が生じさせるもととなるのです。

 今日中間では明らかにバランス上は中国の方に傾いています。中国は共産党独裁国家の強みを生かし軍事力を年々拡大させ、核や攻撃ミサイルも保有します。そして。一方の日本は9条に縛られ、井上氏の「政治家やメディアは国益を考えて行動すべきだ」、という指摘には報復を恐れすぐに対応できないのです。

 答えは二つ、①日本は9条を破棄し軍事的な足枷をなくす。②日米同盟に豪印を加えた軍事同盟を構築する。それしかないように思います。もちろんそれに反対する人は多くいます(中国と仲良くやっていけばいいと本気で思っている人たち)。経済のつながりも大きい。ことはすんなりいかないでしょう。しかし報復恐れの「忖度」抜きで「国益」に沿って対応するには、その覚悟が必要でしょう。そうでなければ残念ながら近い将来尖閣はあけ渡すことになるでしょう。しかもそれで終わる保証もありません。沖縄も・・・北海道も・・・

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2019年9月17日 (火)

ボルトン解任で「日本の核武装」が現実的になった

O0660036814024036447  今回はグローバル・イッシューズ総合研究所代表吉川圭一氏のコラム『ボルトン解任で「日本の核武装」が現実的になった』(iRONNA9/13)を取り上げます。 解任劇の裏事情であるトランプ大統領との見解の相違や、解任による影響などが詳述されています。

 9月10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が解任された。その深層を分析してみると、トランプ政権の実態が見えてくる。そして、それは日米安保の大幅な見直しにもつながっていく可能性が極めて高いのである。

 そもそもボルトン氏が前任者のマクマスター氏に代わって国家安全保障会議(NSC)の大統領補佐官になったのは、ポンペオ氏が中央情報局(CIA)長官からティラーソン氏に代わって国務長官になるのと、ほとんど同時だった。部下を戦死させたくない制服軍人のマクマスター氏と石油会社の社長だったティラーソン氏は、共に対イラン強硬路線に反対だった。

 ボルトン、ポンペオ両氏は、共にタカ派として知られていた。北朝鮮に対しても先制攻撃論者だったが、二人ともNSCの大統領補佐官や国務長官に任命される前後から、トランプ政権が目指していた北朝鮮との対話路線に積極的になった。つまり、この人事は明らかに対イラン強硬派シフトであったのだ。

 日本にとっては残念ながら、この段階で少なくともイラン問題が米国の目から見て解決するまで「二正面作戦」を避けるためにも、北朝鮮とは融和路線を進むことが、トランプ政権の方針だった。

 だがトランプ政権は、サウジアラビア人記者、カショギ氏殺害事件を契機として、サウジの協力を得るのが難しくなった。欧州(おうしゅう)諸国を巻き込んだ対イラン有志連合の形成にも手間取っている。いずれにしてもトランプ大統領は、少なくとも2020年の再選までは、流血の大惨事を避けたいと本気で考えているようである。

 と言うよりも、トランプ氏はこれまでワシントン既成勢力が行ってきた政治を改め、例えば外交に関しては過度な世界への介入を止めることを主張して大統領になった。そして、マクマスター氏ら制服軍人を含めた既存のワシントンの官僚や政治家を徐々に廃して、この公約の方向に自らの政権を変化させてきた。

 ところが、ボルトン氏は印象とは違って、トランプ政権の中では珍しいくらいのワシントン既成勢力派だった。その中では最もタカ派的で、また個人としては真面目な理想主義者だったにすぎない。

 それに対して、ポンペオ氏は2010年に下院議員になった元弁護士で、しかも将来は大統領の地位を狙っているとも言われている。ポンペオ氏がトランプ氏の方針に忠実だったのは当然だったかもしれない。

 実は、ボルトン氏もこれまで多くの同僚たちとの摩擦が問題になったことはあっても、上司との関係は常に良好だった。しかし年齢も70歳。国家に対する最後の奉仕という気持ちもあったかもしれないし、いずれにしても個人としては実に真面目な理想主義者である。そのため、ボルトン氏は次第にトランプ氏の思惑を外れて対イラン、対北朝鮮その他で、強硬路線をひた走り始めた。

 ここで同氏がワシントン既成政治派だったことの影響が出てくる。多くの元同僚を集めることで、NSCを彼は乗っ取ってしまったのだ。イランへの限定的空爆が行われそうになったのも、ボルトン氏がトランプ大統領に正確な情報―100人規模の戦死者が出ることなどを直前まで知らせなかったためだった。このような状況は、その数カ月前から始まっていた。

 やはりワシントン既成勢力の一員というべき制服軍人のマティス氏が国防長官を解任されてから、国防長官代行だったシャナハン氏は、民間企業出身でワシントン政治に慣れていなかった。そのためボルトン氏に影響されることが多かった。

 そこでシャナハン氏を解任し、ポンペオ氏と学生時代から親しいエスパー氏が国防長官に任命される人事が、イラン空爆の直前に行われた。そこでイラン空爆が直前に中止された経緯がある。

 実はエスパー氏も制服軍人なのだが、少なくとも対中強硬派で、しかも宇宙軍創設には積極論者だった。ワシントン既成勢力である古いタイプの軍人や国防省官僚らが、ポストの奪い合いなどを嫌って宇宙軍創設に反対しているうちに、米国は宇宙軍で中国やロシアに後れをとってしまっていた。そこで宇宙軍を創設することもワシントン既成勢力打破を目的とするトランプ政権の重要な役割だった。

 それを任されていたのが、ボーイングの元副社長で、理系でキャリアを積んだシャナハン氏だった。彼であれば制服軍人以上に上手くできたかもしれない。

 さらに、仮に日米安保の大幅な見直しが行われることがあれば、どの在日米軍基地が本当に米国にとって必要で、どれは撤退させてもよい―といった計算も、コンピューターのプロである彼であれば、できるだけ多くの基地を守りたい制服軍人よりも的確にできただろう。

 しかし、理系の彼はワシントン政治のプロであるボルトン氏に影響されすぎた。そこでシャナハン氏も解任され、ポンペオ氏に近く、部下を戦死させることを嫌う制服軍人であるエスパー氏が国防長官になった。これはボルトン氏とのバランスをとるためだったと思われる。

 しかし、ボルトン氏は自らの理想と信念をひた走り続けた。イラン、北朝鮮、日本であまり報道されていないベネズエラなどに対して、これまで以上に強硬路線を主張した。そのため軍事境界線で行われた3回目の米朝会談のときは、モンゴルに出張させられていたほどである。

 このような摩擦が何度も続き、ボルトン氏の解任の最後の決め手になったのは、9月7日、数日後に予定されていたアフガンのタリバン勢力とのキャンプデービッド和平協議を、トランプ政権がキャンセルせざるを得なくなったことだと言われている。これはテロ勢力との和解に反対する強硬派のボルトン氏によるリークも大きな原因の一つであるとワシントンでは考えられている。

 このアフガンからの撤退問題に関しては、トランプ氏は大統領になる前から、正規軍を民間軍事会社に置き換えることを構想している。それは当然、制服軍人を中心としたワシントン既成勢力が嫌うことである。リークはボルトン氏からだけのものだったのだろうか?

 いずれにしても副補佐官、クッパーマン氏がしばらくは大統領補佐官代行になることになった。ボルトン氏に近すぎる彼が正式に大統領補佐官になる可能性は低いが、ないとは言えないようにも思う。彼はシャナハン氏と同様、ボーイングと非常に縁深く、宇宙軍の創設や世界の米軍展開見直しなどにおける活躍が期待できるからである。

 ほかにボルトン氏の後任として名前が挙がっているのは、みな今までイランや北朝鮮との対話路線で活動してきた人ばかりである。いずれにしても、今後のトランプ政権はアクシデントがない限り、当面はイランとも北朝鮮とも対話路線でいくことになるだろう。

 その結果として、米国まで届く核ミサイルさえ持たなければ、核武装したままの北朝鮮と米国が和解する事態も考えられないわけではない。そうなれば日本は北朝鮮の核の脅威に常に曝(さら)されることになる。

ボルトン氏がいてくれれば、日本に味方してくれるのに―と考える日本の保守派は多いかもしれない。しかし、そう一概には言えないだろう。

 ボルトン氏は米国の愛国者で米国の国益を何よりも重視してきた。日本が国連安保理常任理事国になることを積極的に支援し始めたのも、彼が主導したイラク戦争が中国の反対で国連による容認決議がとれなくなってからであり、ブッシュ一世政権時代は湾岸戦争に中国も国連で容認したこともあり、その後の日本の安保理常任理事国入りに積極的ではなかった。

 拉致問題に非常に積極的に協力してくれたのも、北朝鮮を追い詰めるための手段だ。そしてボルトン氏も実は沖縄米軍基地撤退論者だったはずなのである!

 この最後の問題も、私のワシントン時代の経験からすると、制服軍人以外のワシントン既成勢力―特に国務省の官僚の共通認識に実は、なってしまっているように思う。ボルトン氏と言えどもワシントン既成勢力の、それも国務省高官の一人である。

 そのワシントン既成勢力を打倒することが歴史的使命であるトランプ政権もまた、米国が世界に広げすぎた手を縮めて、その分の予算で国内の格差問題などに注力することが目的だ。 

 そう考えると、シャナハン氏、クッパーマン氏といった理系のプロ的な人々が、米国の外交政策を取り仕切るようになったときが、米国が日本に日米安保の大幅な見直しを要求してくるときなのではないかと思う。

 その際に米国は、核を持ったままの北朝鮮と和解し、日本は常に北朝鮮による核の脅威の下におかれるかもしれない。

 日本は、それに備えて憲法を改正し、軍事力を増強するしかないだろう。だが日本の力だけで足りるだろうか?

 一縷(いちる)の望みは今の米国の「反中」は本気だということだ。南シナ海でも航行の自由作戦を繰り返し、ボルトン氏の沖縄米軍撤退論も、その替わりに台湾に米軍基地を置くことを主張していた。中国だけではなく、中東方面での有事を考えるとき、在日米軍基地はロジスティクスの拠点として重要なものも多く、そんなに多くの在日米軍基地を削減できるか疑問もある。

 今の米中の経済摩擦は、単なる貿易や技術の問題だけではない。通信技術の問題は、軍事力による世界覇権―特に宇宙軍やサイバーの問題と密接に関係している。

 むしろここに、日本が米国に協力できる部分があるのではないか? 技術的な問題の一部だとしても、日米共同の宇宙戦やサイバー戦が行えるようになれば、中国や北朝鮮の核の脅威も低減させることができるかもしれない。

 いずれにしても米国から購入するような形でも、もう日本も核武装も考える時期だと思う。それはワシントン既成勢力が、最も嫌がることではある。しかし彼らを打倒する歴史的使命を帯びたトランプ氏は、2016年の予備選挙の最中に一度とはいえ、口に出しているのだ。

 もし実はワシントン既成勢力の一員だったボルトン氏が、大統領補佐官のままだったら、それを許してくれただろうか?

 今回の「ボルトン失脚劇」は、タカ派とハト派の対立というより、ワシントン既成勢力とトランプ改革政治の対立だった。いずれにしても制服軍人以外は、両者共にそろそろ在日米軍基地の大幅な見直しを考えていることは共通している。

 しかしトランプ氏には日本の核武装も含めた既成勢力とは異なるビジョンがある。これからも日本はトランプ政権の人事その他の動向を注視し、その先手を打って協力するようにしていかなければ、世界の中で生き残ることができなくなってしまうだろう。 

Images-1_20190915212201  日本の核武装については内外ともに制約が大きく、現時点では現実味がないものと思われます。それより先に非核三原則を廃し、ひとまず持ち込むことを容認しなければなりません。同時に憲法を改正し、通常戦力の強化、特に攻撃力の格段の強化が必要でしょう。

 ただ日本の西側に核保有国が3国もあり、韓国も核武装を検討しているとすれば、力のバランス上避けて通れない課題になる可能性はあります。そのためにも以前のブログで紹介した、「核兵器を作る能力」の保持は絶対に必要になるでしょう。

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