安全保障政策

2020年8月19日 (水)

迫りくる中国の尖閣侵略作戦、日本はどう対応していくのか

Img_1e217cd3f1d79ad7756886a5424133771240  中国海警局船艇による尖閣諸島海域の威嚇航行は、今月2日までに111日連続を数え、その後も再び連日の航行を続けています。更には8月16日に禁漁が解禁される中国の漁船が、一斉に出港しました。

 NHKニュースによれば『中国の複数の漁師が「尖閣諸島からは離れて操業するよう当局から指示を受けている」と話していて、中国政府が日本との摩擦をさけるため、漁船の管理を強化するかどうかが焦点です』(8/16)と述べていますが果たしてどうなるか目が離せません。

 また昨日18日の産経ニュースで『河野太郎防衛相は18日、中国の孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使と防衛省で約40分間会談した。沖縄県・尖閣諸島など日本周辺の海空域や南シナ海で活動を活発化させる中国に懸念を伝達し、強く行動の自制を求めた。』と報道されていますので、漁船の襲来にも一定の歯止めがかかるかもしれません。

 ただ相手は中国の事です。全く予断を許しません。この尖閣諸島への中国の出方とそれを含む中国の全体戦略、そして日本の対応について、元陸上自衛隊西部方面総監の用田和仁氏がJBpressに寄稿したコラムを以下に引用して掲載します。タイトルは『8・16、中国の尖閣侵略作戦が始まる 武装漁船を先頭に、ミサイル艇など多数が侵入』(8/14)です。

国家的危機に何もしない国会は解散せよ!

 外交、経済、防衛のいずれもが危機的状況を迎えようとしているのに、国会は閉会し、日本政府は日本経済が倒れていく様を呆然と眺め、自民党の税調はこの経済的危機にあって増税を審議している。

 米国は、景気回復のために大統領令を発出してコロナと戦いながら、次々と救済策を打ち出しているのと対照的だ。

 コロナ禍、それに引き続く経済の崩壊、そして米中の本格的軍事対決の危機が迫っているのに、何も議論しないどころか、経済でさらに国民を痛めつけ、香港や中国問題には見て見ぬふりするこの国に異様さを感じないだろうか。

 本来、国の危機をいち早く訴え、警鐘を鳴らさなければならないマスコミや保守と言われる人たちは、一部を除き「米中の対決に日本は巻き込まれることなく、のらりくらりとかわして行けばいい」と言う始末だ。

 最悪の事態に備え、事前に手を打っていかなければならないとする考え方は、どうもこの日本では極少数派の意見のようで、そのため国民に国家的危機の認識がない。

 少なくとも、8月16日以降、中国漁船が大挙して尖閣周辺に押し寄せることが予測されていながら、何も議論することがないのだろうか。

 国家の危機に無反応で道義も失った内閣は総辞職すべきであり、衆議院は即、解散し総選挙を実施すべきではなかろうか。 

 争点はただ一つ、米国と共に自由主義国家と共に歩むのか、それとも化けの皮が剥がれた非人道的な中国の属国として生きるのかである。

激変する未来を予測できない日本

(1)戦後、軍事を排斥した日本

 戦後、軍事をないがしろにし、現実の危機や紛争から憲法の制約だと言って逃げ続けてきた日本人は、最悪を予測してそれに備えるという危機管理の鉄則まで放棄してしまった。

 それに加え、多くの日本人が中国の軍事的挑戦に慣らされてしまい、抵抗の意思さえ示さなくなっている。

 警察の力と権限で軍事力に立ち向かうことはできないので、いずれ簡単に尖閣諸島は獲られてしまうだろう。

 コロナ禍にあって日本は、何となく小康状態を保ち、経済的大不況の前触れにも、米中の本格的対決の時が迫っていることにも反応せず、政治家、経済界などは米中どちらが儲かるかで両者を天秤にかけている。

 日本以外の世界の指導者が宣言するように、ワクチン開発までの「見えないコロナウイルスとの闘い」は、いわば戦争であり、それに起因する「経済崩壊」と「米中の本格的対決」は世界を二分するだろう。

 それは形を変えた戦争が拡大しながら継続するということだ。

 これは予言者でなくとも、最悪のシナリオを考えれば自然と導かれる未来図だ。

 前例踏襲の調整型の危機管理しか考えず、政府の危機管理組織に軍事的知見を持った専門家がいない日本は、最悪に対応する軍隊型の危機管理が分からないし、決断し実行するシステムになっていない。

 コロナウイルスの感染爆発を何とか食い止めている今こそ大胆に国の行く末を考えなければならない時なのに、思考停止している。

 現段階は、コロナに対処をしつつ、経済の底が抜けないように手当てし、自立の道を支援することが重要だ。だが政府がこの難しいかじ取りをしているようには見えない。

 しかし、コロナ禍と経済崩壊への対処は言わば前哨戦であり、次に来る米中本格対決こそ本丸である。

 日本は自由世界で生きるのか、全体主義国家に跪くのか、大きな決断を迫られる。

 いずれにしても、日本は真に戦える軍事力を至急構築しなければ、国難の連続を乗り切ることはできない。

 情勢は、これらへの対応を無駄と考える日本を置き去りにして、従来の考えが全く通用しない時代へと突き進んでいるのだ。

(2)なぜ中国を主敵として腹を決めないのか

 連続する災いの本質は中国である。コロナウイルスをまき散らし、経済崩壊を世界にもたらし、そのうえこれをチャンスとして一挙に軍事的覇権の牙をむき出しにしている。

 それでなくとも中国が宣言する核心的利益は当初チベット、ウイグル、台湾と言っていたものが南シナ海、そして尖閣諸島へと拡大し続けている。

 中国の力が及ぶ範囲が自国の領土であるという考えを裏づけている。

 米国はいまだにコロナ禍に苦しんでいるが、7月の中国の南シナ海での軍事演習に合わせ、空母2隻を南シナ海に送って対決の姿勢を明確にした。恐らく水中では両国の潜水艦が激しく鍔迫り合いを演じているだろう。

 さらに、米国は他国の領土問題には関与しないこれまでの方針を転換し、南シナ海における中国の領有権主張に対し公式非難に転じた。

 米国のコロナによる死者は16万人を超え増え続けており、朝鮮戦争、ベトナム戦争の戦死者を超えてしまった。米国の怒りは最早限界を超えたと見るべきだ。

 香港やウイグル、チベットなどの中国の非人間的振る舞いも含めて米国のみならず、欧州などは絶対に中国を許さないだろう。

 インドは、中国の侵略を受けて敢然と応戦し、オーストラリアも中国から制裁を受けながらも戦い続けている。

 中国との戦いは、単なる覇権争いの域を超え、「人間的社会vs恐怖と抑圧による非人間的社会」の戦いに変質し世界を二分しつつある。

 中国による利益誘導や強権体質の国とはいえ香港への国家安全維持法を認める国が53か国、これに反対する日米欧などの勢力が27か国だったことは、その流れを示している。

 この変質を日本政府は分かっているのだろうか。

 歴史の流れは一瞬にして変化する。その変化を見誤ったら間違いなく国を亡ぼす。

 そして「倫理観なき国家は滅び、倫理観なき経済は蔑まされる」そういう時代に来たということだ。

 恐らく、11月の米大統領選挙後に開催予定のG7プラス4で大勢は決まるだろう。トランプ大統領のG7は時代に合わないという認識は正しい。

 分断する世界の切り口は人間的社会vs非人間的社会である。

 中国に経済を寄りかかるドイツや一帯一路に入ったイタリアなどはG7に不適格だ。韓国にはサムスン電子などの中国傾斜を辞めよという警告だ。

 ロシアの加入は中ロ分断のためには必須だ。今後は、米日豪印英仏加に露を加え、台湾や東南アジア諸国を巻き込むべきだろう。

 米国は、2018年10月のマイク・ペンス副大統領の演説で、従来の対中政策が誤りであったと懺悔し、中国に立ち向かう決意を明確にした。

 2019年3月には超党派で「残酷な全体主義の支配を許さない」と宣言した。

 中国が核心的利益と称する台湾にも軍事支援を強化する米国の決意は固い。そして、2020年7月23日のマイク・ポンペオ国務長官の「自由主義国家は団結して中国共産党に打ち勝たねばならない」という声明へと繋がっている。

 米国の決意は不退転だ。

 日本はいつも曖昧だが、今回はその曖昧さは命取りである。さらに台湾との安全保障・防衛協力の行方は日本が本気かどうかの踏み絵だ。

 日台交流基本法などの締結は待ったなしである。日本と台湾は中国の脅威の前には運命共同体だ。どちらか片方が倒れれば両方とも倒れる。

 それが現実であり、そのため米国は日本が韓国ではなく台湾と共に中国に立ち向かうことを切望している。

Img_24a15e08b874536df81909e70e6baa457866  この写真は、香港の民主活動家の周庭氏(8月10日に国安法違反の疑いで逮捕)が5月27日にツイッターに掲載したものである。

 小・中学生が護送される、これが中国の本性だ。こんな未来を日本人は望んでいるのか。チベット、ウイグル、香港そして次は台湾、日本だ。

 自民党、公明党の与党で習近平主席の国賓訪日に反対しない勢力が幅を利かせ、また、そんな首相候補がいるが、こんな未来を許容するのか。

 こんな世界を拒絶し自由社会を守るために、日本人は自らの立ち位置を明確にして、自らの代表を選び直さなければならない。

国家存亡の危機における日本の防衛

 日本は間違いなく国家存亡の時代に入った。その認識がないから、また、前例主義の調整型危機管理を続けたため国家意思が麻痺してしまっているから時代の激変に無頓着だ。

 間違いなく前例のない危機の時代に足を踏み込んでおり、現憲法の前提は崩壊し、防衛力整備の考え方は危機の時代に全く不適合である。そのことをこそ国会で議論すべきではないのか。

 事実、現防衛力は、中国と北朝鮮の軍事的脅威が明確になったにもかかわらず「自らが脅威となることなく、戦争を誘発する軍事的空白を作らない」という「平時の防衛力」の発想で構築されている。 

 だから、尖閣諸島に軍隊に属する中国公船が縦横無尽に領海侵犯しても、警戒監視を継続し、中国に遺憾の意を伝えることしかできない。

 まさに現防衛力は、平時に一応装備品やミサイルなどを並べたショウウインドウ戦力でしかなく、本気で日本を侵略しようとしている国々にとっては、抑止も効かない弱点だらけの飾り物にしか過ぎないのだ。

 この事実を理解したうえで既に手遅れだが、本気で次のことをすみやかに解決しなければならない。

前提を改めよ

  • 現憲法前文にある「諸国民の公正と信義に信頼し」という前提は崩壊している。

 ならば、国民を守り切る為の防衛力を再構築しなければなるまい。その基本は平時ではなくグレーゾーン・有事対処である。有事に機能しない防衛力は張子の虎である。

  • 憲法に自衛隊を明記するとの考えは既に周回遅れだ。

「国防軍」として諸外国の軍隊が保有する自衛権を行使しなければ、足手まといとなり米国などと共に中国に立ち向かうことはできない。

 国家非常事態に関する法整備も、国境警備法などの制定も待ったなしである。特にグレーゾーンに対応する法整備がないのは致命的だ。

 また、専守防衛や非核三原則中、核の持ち込み禁止などの政策は直ちに廃止すべきである。

  • 尖閣に大挙して侵入する海上民兵を乗せた漁船は、空軍やホーベイ(紅稗)級のミサイル艇、軍艦、地上発射型の対艦ミサイルなどに支援された軍事作戦を遂行する。

 従って、これを抑止し、対処するためには、まず日米の共同哨戒を直ちに実施すべきである。

 そして今からでも遅くはないので、地域調査などの為に国の調査員を尖閣に速やかに派遣する事を宣言すべきだ。

 そして、自衛隊の防衛準備態勢(DEFCON)を引き上げ、 九州から南西諸島全域に防衛出動待機命令を発令すべきである。

 中国沿岸にも尖閣を睨んだ対艦ミサイル部隊などを展開している事実は、当然、日本も後方から軍事支援するつもりだと考えるだろう。

 すなわち、尖閣のみならず、石垣島、宮古島など南西諸島全域にも中国軍の攻撃がある事を前提に防衛の態勢を固めなければならない。

  • 防衛の基本的考え方は、防衛省、特に統合幕僚監部、国家安全保障局の防衛主導へ転換すべきだ。

 そして、財政主導のショーウィンドウに並べただけの平時専用の防衛力整備は直ちにやめ、中国、北朝鮮の脅威に対抗できる「脅威対向型」の自主防衛力を至急構築すべきだ。

 防衛費は3~4倍になるだろうが、国が亡びるよりもましだろう。

 一方で、「対称戦力」(船には船を、航空機には航空機を)の考え方に偏ると防衛費は際限なく増加することから、「非対称戦力」(船にはミサイルや潜水艦・機雷を、敵のミサイル攻撃にはサイバー・電磁波の戦いを組み合わせるなど)で戦う事を追求すべきだ。

 また、防衛大綱における海空優先の方針は戦争の実相を無視している。

 もちろん海空戦力の充実は重要だが、中国の艦艇・航空機の激増により既に東・南シナ海では劣勢で、さらにその差は拡大しているという事実を政府は認め、現実的な「非対称の戦い」に勝ち目を見出すべきだ。

「日米は劣勢下でどう戦うのか」が主要なテーマだ。

 有事にイージス艦を東・南シナ海に浮かべてミサイル防衛を実行するなどは自殺行為だ。

 米国ですら東シナ海では無人機、無人艇、潜水艦などで戦わざるを得ないことを政治家やマスコミは知っているのか。

 米軍は10年の激論を乗り越え統合戦略の海洋圧迫戦略(Maritime Pressure Strategy)を対中作戦・戦略の柱に据えた。

  • 日米の作戦の合体の柱は次の通りである。

 日本が合体させるのは海洋圧迫戦略であり、今の防衛大綱の戦力を修正しつつ、本当に戦って勝てる教義(ドクトリン)を策定しなければならない。

 これが予算の大本、防衛の柱である。負けると思うから某政治家のように中国に対して敗北主義や宥和政策を採るようになってしまう。中国に勝つことを考え、実行すべきであろう。

 米国の戦略の大きな柱は、陸軍・海兵隊が長射程対艦・対地ミサイルおよび電子戦部隊を日本や第1列島線に展開して中国軍の侵攻を阻止・撃破する壁を作り、主に中国の水上艦・潜水艦を撃滅することにある。

 海空軍は、第1列島線の地上部隊を壁として、中国のミサイルの射程外から長射程対艦ミサイルを多数発射して中国艦艇を撃破することになる。

 この際、日本は中国のミサイルなどの攻撃に対し、米国に中国本土への懲罰的打撃を依存することになることから、日本は長射程ミサイルの持ち込みを容認すると共に、非核三原則の核兵器を持ち込ませないという政策は直ちに廃止すべきである。

 そして、上記の行動に連携して、第2列島線からマラッカ海峡にかけて米英豪仏印が主体で海上経済封鎖する。これでマラッカ、スンダ、ロンボック海峡は完全に封鎖される。

 これに呼応して、日本の防衛の柱は、言うまでもなく「船(潜水艦を含む)を沈めよ」である。

 台湾も対艦ミサイルを保有しているし、豪州も米国製の長射程対艦ミサイルの保有を決めた。

 今や日本発の主流の非対称の作戦であるが、国家安全保障戦略の改定や防衛大綱議論で強調されることがないのは不思議だ。

 陸海空自共に東シナ海・日本海をカバーできる長射程対艦ミサイルと撃破に必要な数量を至急装備化しなければならない。

 ちなみに、「F35B」を搭載した「いずも型」護衛艦は、米印英仏豪などと海上経済封鎖を構築するための戦力である。

終わりに

 日本のみならず世界は激変、激動の真っ只中にあるが、その先の希望ある世界へ向かうために次のことを念頭に置き時代の激流を渡ることが必須である。

①国内奴隷を使う中国のサプライチェーンによるグローバル化を終焉させ、強い、豊かな国家再生の原点に立ち返る。

 日本企業も政府ももう一度技術者を中心に国内回帰させ、国内産業を活性化すべきであり、また、それは日本人の義務である

②倫理観を重視し、個人の豊かさ、自由、幸福を追求できる国民国家の再生。

③国民が自らの国は自ら守る原点に回帰し、自由を重視する人間性ある国家と共闘する強い意志と軍事力を保有。

④中国の軍事的野望を断念させる自由主義国家グループの強い意志と軍事力、軍事戦略の再構築。

 その根本は、日米が主導するインドアジア太平洋戦略である。

 国家存亡の危機と元自衛官の用田和仁氏が言うのは、国防に携わっていた人から見ればそう映るのでしょう。だが大方の日本人はそこまでは危機感を持ってはいないようです。むしろ親中派が政治家や経済界に多数います。彼らはイデオロギーや倫理観より現実主義なのでしょう。

 だが少なくともこのまま手を拱(こまね)いていれば、中国の野望は際限なく覇権へと向かい、早晩沖縄へ触手を伸ばしてくるのは大いに予想されます。

 もちろん沖縄は、台湾や尖閣諸島と違い中国の言う「革新的利益」の範疇に入っていません。直接的な領土侵略の野心は控えるでしょう。ただし今も進行しているように、沖縄のトップを筆頭に、県民の中国シンパを増やしていく洗脳工作は進むでしょうし、そのための裏金も準備しているでしょう。つまり物理的ではなく精神的支配をして行くことが考えられます。

 そして今中国でビジネス展開している企業は3万社を数え、サプライチェーンのつながりも含め、日本経済の手足は完全に縛られてしまっています。自国回帰や他国への分散と言っても一朝一夕にはできません。米国のような経済力も軍事力もありません。それに何といっても用田氏の言う危機感がさっぱりありません。

 ですから日本は何か実際に事が起こらなければ目が覚めないでしょう。それでは遅いしそのためには事前の準備が必要ですが、親中派や反日勢力が大きな障害となって、対中防衛議論は進まないかもしれません。それ以前に憲法議論そのものが全く進んでいないことからもそう言えるでしょう。やはり実際に尖閣諸島が襲われなければ、気が付かないのかもしれません。悲しいことですが。

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2020年8月15日 (土)

75回を数える終戦の日、「お花畑」が揺るがす日本の安全保障

13_20200815121101  本日8月15日は、75回目の終戦の日、多くのメディアで特集が組まれ、二度とあのような悲惨な戦争はしてはならない、と多くの人が語ります。私ももちろんそう思います。

 しかし現実は、もはやそんな戦争など日本にはできないのです。憲法にも謳われていますし、また憲法を持ち出すまでもなく、大東亜戦争で戦ったアメリカはもとより、中国やソ連などの軍事大国と戦えるような軍事力はありません。

 左側の人々は、安倍政権が戦争をできる国にしようとしている、と言っていますが、全くの絵空事です。ロシアは勿論、中国も恐ろしい数の核弾頭を備えたミサイルを持ち、日本に照準を合わせています。あの最貧国北朝鮮も、数は少ないにしても核とミサイルを保有しています。アメリカの核の傘に頼っているだけの日本が、仮に戦争を仕掛けても、どうやって守れるのでしょうか。絶対にできないと思います。

 ただ日本が仕掛けなくても、他国から仕掛けられることはあり得ます。その時日本はどうするのでしょうか。専守防衛、軍事研究や武器輸出の足枷、非核三原則の維持、そんなことをやっていてどうして国が守れるのでしょうか。

14  今月6日の広島、9日の長崎で、恒例の被爆者慰霊の平和記念式典が行われました。広島の式典の日、ニュージーランド首相から「核兵器ゼロが広島と長崎の犠牲者に報いる唯一のこと」とビデオメッセージが送られてきました。

 それについての意見も交えて、作家の山本一郎氏が今の日本の国防意識の低さを鋭く突いたコラムを、JBpressに寄稿しています。タイトルは『核兵器廃絶の「お花畑」が揺るがす日本の安全保障 75回を数える終戦の日、次世代につながる安全保障を議論しよう』(8/14)で、以下に引用掲載します。

「戦争」が非日常ではなくなった今日この頃

 この時期になると、広島や長崎に核爆弾が投下され、非戦闘員である多くの日本人が殺害された悲しい記憶を思い出さざるを得ません。8月15日の終戦記念日に向けて、「もう戦争だけはしたくないな」と思い返す一週間を過ごすのが定番になりました。

 一方、香港では、民主化活動の女性スポークスマンであった周庭さんが意味の分からない中国の法律に違反したとして逮捕され、重罪を意味する後ろ手に手錠をかけられた姿が動画で流れています。こういった映像を見ると、「戦争」の二文字は決して非日常ではないのだという思いが冷たい汗とともにこみ上げてきます。状況によっては、日本もチベットや新疆ウイグル、香港、台湾などとともに中国の外縁として緊張の中で暮らしていくことになるのでしょうか。

ニュージーランド首相の戯れ言に呼応する人々

 先般、広島に原爆が投下された悲しい日に、ニュージーランドのアーダーン首相が核兵器の根絶を訴えるビデオメッセージをツイッターに投稿しました。「核兵器ゼロが広島と長崎の犠牲者に報いる唯一のこと」、すなわち日本こそ核兵器禁止条約に批准すべきだとアジるメッセージです。まあ、ご意見あることは素晴らしいことだと思います。

 ところが、日本とは状況が全く異なるニュージーランド首相の、お花畑的なメッセージに呼応する人たちが、日本でも後を絶ちません。大丈夫なのでしょうか。例えば、沖縄県知事の玉城デニーさんはツイッターでこう応じています。「唯一の被曝国が掲げなければならないことなのではないでしょうか」と。

 それ以外にも、続々と与太ツイートが重ねられています。たぶん理解されてないんだろうなあと思うわけですよ。もちろん、玉城デニーさんもバランス感覚の優れた政治家であることは間違いないので、今おられるポジションで最大限のことを考えての発言であろうとは思いますが、同じ日本人として、政治的立場を超えてもう少しお互い歩み寄れないものでしょうか。

 確かに、世界で唯一の被爆国として日本が核兵器廃絶を目指して声を上げるというのは美しいことではあります。「核兵器廃絶しましょうよ」「そうですね」となれば、それが一番素晴らしいことです。しかしながら、現実には今なお9000発以上の核弾頭数が残り、軍拡著しい中国では毎年200発以上の新規核兵器が配備されているとされます。朝日新聞が渾身のインフォグラフィックを展開していたので、是非見てみてください(「世界の核兵器、これだけある」)。

北朝鮮や中国が核兵器を捨てると思う?

 そして、日本は同盟国である米国の保有する核の傘に守られながら、毎週のように罵声込みの恫喝をしてくる隣国・北朝鮮と、日本の同盟国である米国と新たな冷戦を迎えようかというアジアの大国・中国と対峙しています。まさに隣の国からの核の圧力を受けている我が国と、隣でコアラを撫でているオーストラリアしかおらんニュージーランドとでは、核兵器に対する脅威という点で全く異なる地政学的状況にあります。

 そのニュージーランド首相の煽りに乗って我が国が「核兵器はんたーい」と述べたところで、「日本を地図上から消し去る」と威嚇してくる北朝鮮や、日本列島全体をすっぽり包むミサイル網で納めている中国が「分かりました。明日から核兵器をゼロにしましょう」と言ってくれる保障はありません。

 それどころか、彼らが核兵器を日本に対して直接使わない理由は日本が平和国家だからではなく、万が一、日本に核ミサイルを打ち込んだら米国が核兵器で反撃してくる、という抑止の期待があるからです。本当に米国が被害を受けた日本のために核兵器で反撃してくれるのかは保証の限りではありませんが、仮に米国の大統領がトランプさんであろうと、米国は同盟で約束した内容をきっと守ってくれるだろうという前提で東アジアの安全は保たれ、平和が実現しているのです。

 その日本が「核兵器はんたーい」と叫んだところで、中国や北朝鮮から「じゃあ、日本は米軍がぶっ放すかもしれない核兵器を日本周辺から除去してくれるんですね??」とさらに煽られることになります。

中国の膨張主義を加速させる空想的平和主義

 極論を言えば、「核の脅威に直面していない」and「核兵器を保有していない」国が、条約において「核兵器はいかんことですね、廃絶しましょう」と主張することは基本として寝言であり、憲法第9条がある限り日本は戦争に巻き込まれないと思い込む精神構造とさして変わりはありません。「丸腰であれば脅迫されることはない」という緊張感のなさこそが、これから冷戦状態に陥るかもしれない、尖閣諸島だけでなく南シナ海も領海だと主張して人工島を作り軍事拠点を建設する、中国の膨張主義を黙認することに他ならなくなります。

 終戦の誓いが意味していること、それは我が国を引き継いだ世代として「私たちや子々孫々の世代のために戦争をしない平和国家・日本をどう築くか」ということであることです。それは、戦力や核兵器による均衡によって戦争が容易に起きない安全保障の体制をいかに築くかということと同義です。無闇に軍拡することは過去の日本の反省から厳に戒められるべきで、戦争など絶対に起こすべきではありませんが、他国の脅迫に動じなくてすむだけの軍備を行うことは安全を維持するうえでは必須です。平和を願う心とナメられない力を持つことは両立するはずです。

 しかしながら、急速に軍事力を拡大する中国という外的要因に加えて、人口減少と国力低下に見舞われた日本がミサイル防衛やサイバー攻撃、海上・沿岸警備、スパイ対策など多岐にわたる防衛テーマに即応できるよう、内側の体系をいかに築くかは考えなければなりません。

 この問題を考えるにあたっては、核抑止力を自ら放棄するような核兵器廃絶を日本が謳うこと自体が問題です。「そもそも核兵器を持っていない」のに「隣の核兵器の危機に晒されている」から「米国との安保条約(同盟)にすがって米国の核兵器の力に頼らざるを得ない」日本の現状を忘れてはいけないのだ、と毎度のように思います。

「核廃絶」は核兵器保有国に言うのが筋

 ニュージーランド首相が言うべき相手は、まずは大量の核兵器保有国である米国やロシア、中国、北朝鮮その他の核兵器クラブの皆さんであって、隣国の核の脅威に晒されながら核兵器を持っていない日本ではありません。

 ちなみに、この論法で核兵器廃絶を訴えた日本の総理大臣がおりました。その名を鳩山由紀夫さんと仰有るのですが、09年8月30日の総理就任後、国連演説でいきなり「核廃絶」をぶち上げ、米国からの協力を得ると言い放ち、(米国など大国以外から)大喝采を受けました(鳩山首相:日本は核廃絶で先頭に、非核三原則を堅持-国連安保理)。その後、在日米軍再編に手を付けて二転三転した挙句、当時の米オバマ政権から大変な不興を買い、ワシントンポストのコラムニストであるアル・カメンさんから「ルーピー(間抜け)」という素敵なあだ名を頂戴したことは記憶に新しいのではないかと思います。

 確かに、我が国が唯一の被爆経験国であるのは間違いありません。ただ、その事実をきちんと踏まえ、私たちの世代から未来の世代につながる大事な安全保障議論は何かということを、煽られることなく議論をし、吟味し、積み重ねていく以外ないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 日本の政治は「ゆでガエル」的、つまり漸進的な変化には極めて対応が疎い。それに状況把握力も、先進国と言われる中でも最も低いでしょう。インテリジェンス機能の貧困さは最悪です。戦後唯一の被爆国家かどうかは別にして、終戦時にはアメリカしか保有していなかった核を、ソ連、中国、フランス、イギリスと、あれよあれよと開発保有してしまいました。

 アメリカによる占領から解放され主権を取り戻した日本は、経済は勿論ですが、安全保障政策にも直ちに取り組むべきでした。明治維新の後の最大の課題だった富国強兵の、戦後版をやるべきでした。そのための憲法改正もできたのです。

 ところが時の吉田政権は、日米安保に胡坐をかき、経済だけに邁進しました(もちろん疲弊した日本を立ち直らせるためにやむを得なかった部分もあります)。その日米安保も明治維新後の列強との通商条約同様、不平等条約だったのを岸内閣が改定。その時、なんと国民の多くは学生を中心に、大変な反対運動を重ねました。安全保障条約は戦前の戦争できる日本に戻る、と言うことからでしょう。その時の反対運動を指揮した多くは、ソ連共産党に洗脳された人々でした

 結果的には改定は実施され、その時以来アメリカにおんぶにだっこの国防政策が始まり、今に至っています。

 問題は、現状のような安全保障上の外部環境の大きな変化に対しても、国民の多くはコロナの方だけを向き、政治家も本気にならない。憲法論議も全く蚊帳の外。安全保障だけではありません。少子化やそれに伴う様々な危機にも「ゆでガエル」対応。これでは日本の安全を、子や孫への贈り届けるなどは絶対できません。カエル同様ゆであがって、日本と言う国の死を迎えるかもしれません。

 国会議員が真摯に議論を重ね、良案を生み出すという責務を果たさない日本、せっかく多数を占めている与党が、少数の野党に国会審議や運営を左右されている現状。まるで戦前の、機能しない政党政治を繰り返している感があります。

 これではまたまた全体主義が頭を出しかねません。中国と結託して。

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2020年8月 6日 (木)

え!あの人が「正論」? 危機に対する「安全改革」に反対する政治家を糾弾

2020032800002_1  今回は少し視点を変えて、「誰でも正論は発信できる」と言う格好の例を見つけましたので紹介します。

 田原総一朗氏と言えばどちらかと言えば、権力に対して批判的で左側の人間だ、と言う評価があります。口さがない人たちは、「老害だ、もう引退したほうがいい」、「論点があいまいで揺れ動く、訳が分からない」、「人の発言を途中で止めて自己主張する、傲慢だ」等々、最近はあまりいい評価はないようです。まあ石原慎太郎氏の対極にある「暴走老人」かもしれません。

 ところでこの田原総一朗氏が、私見ですが「正論」と思われる文章を寄稿しています。それもサヨク雑誌を代表する「週刊朝日」にです。ネット公開はこれも朝日新聞系列のAERA dot.で、タイトルは『コロナ危機の“安全改革”になぜ政治家は反対するのか』(8/03)です。

 感染拡大が止まらない新型コロナウイルス。ジャーナリストの田原総一朗氏は、政治家のコロナ危機への対応と安全保障への姿勢は通じるものがあると気づいたという。

*  *  *

O0480034013675997731  私は先週のこのコラムで、専守防衛という言葉のインチキさについて記した。繰り返し記すが、「専守防衛」を防衛の公式見解として強調したのは、当時防衛庁長官だった中曽根康弘氏である。

 この言葉が、私にはさっぱり理解できなかった。

「専守防衛」とは言ってみれば本土決戦で、こんなことをやれば1千万人以上の日本人が犠牲になる。そこで、中曽根氏が首相になってから、直接このことを問うた。すると、中曽根氏は「専守防衛とは、戦わない、ということだ」と答え、日本の安全保障について、「日本のために戦うのは米軍だ。あのような憲法を押し付けたのだから。だから、日本は米国と仲良くする。つまり米国との同盟関係を強めればよい。それが安全保障ということだ」と続けた。

 この中曽根理論を自民党の歴代首相は受け継いできた。だが、米国がパックス・アメリカーナを半ば捨てていることで、中曽根理論は破綻している。

 このことを先週記したのだが、与党も野党も含めて、政治家からの反応はほとんどなかった。

 何と、与党も野党も「専守防衛」で日本の安全保障は心配ない、と捉えているようなのだ。

 私は、与野党の大幹部数人に、「今、日本は大変な事態にあるのではないか」と確かめた。誰もが、私の言うことに大きくうなずいた。「だが、この国では安全保障に取り組むのは大変危険なのですよ。各政党からもマスコミからも危険人物というレッテルを貼られる」と、特に与党幹部が小声で答えた。

 実は、こうした安全保障への姿勢と、新型コロナウイルス危機に対する姿勢には通じるものがある。

 現在、自民党内でコロナ危機に対応するために、体制の抜本改革の動きが起きている。だが、この抜本改革には、厚生労働省を始め、少なからぬ既得権益勢力が強く反対していて、自民党内にも反対勢力が多いのだという。

 4月に官邸で安倍首相に会ったとき、「なぜ緊急事態宣言を出すのがこれほど遅れたのか」と問うた。すると安倍首相は、「緊急事態宣言にほとんどの閣僚が反対したのだ」と答えた。

 その数カ月前に、どのマスコミも、日本の財政事情は先進国最悪で、10年近くで破綻すると報じていた。安倍首相は、緊急事態宣言をすれば少なくとも100兆円以上の出費が必要で、財政破綻が早まるだけだと危惧したのである。だが、欧州の国々がいわゆる緊急事態措置を取っていることを知り、有事に財政事情をうんぬんしていられないことがわかって、遅ればせながら宣言をしたのだという。

 明治以来、感染症対策は都道府県、保健所、地方衛生研究所などの地方が中心になってやることになっていて、しかも感染症データの管理・開示がバラバラで、きわめて不統一なのである。

 自民党内の一部では、感染症の危機対応、そして管理を国の責務として位置づけようとしているのだが、これに対しても反対が強いのだという。

 また、各国と比べても少ないと指摘されるPCR検査についても、保健所の権限が強すぎるなどの縛りがあって、法改正をしないと拡大できないのだという。

 なぜ、国民の安全に関わる改革には反対が多いのだろうか。

 そうです。なぜ、国民の安全に関わる改革には反対が多いのでしょうか。それを議論しなければならない環境が、いま日本の内外に山積しているのに、です。    

O0640048014799818135  コロナ危機に対しては6月に出版された、門田隆将氏の著書「疫病2020」に、厚生労働省の人命を重視しようとしない体質と、それによる不作為の実態が辛辣に記述されていますが、官僚自体がまず危機意識がない好例でしょう。それに引きずられて、厚労相を始めとする各閣僚が危機意識を持たない、それが実態です。

 疫病だけではない。安全保障についても全く同様なことが言えます。それは田原氏が引き合いに出している中曽根元総理の発言に凝縮されているでしょう。つまりアメリカが押し付けた憲法だから、アメリカに防衛の片棒担ぎをやってもらうのは当たり前、そういう認識です。

 そこには主権国家と言う独立国が当然持つべき理念がありません。押し付けられた憲法なら、独立国家として主権を回復すべく、改正すればいいだけなのに、それをせずに対米従属の安全保障を、国のトップが恥ずかしげもなく言うのは、全く危機意識がないと言わざるを得ません。

 勿論集団安全保障は大事ですし、その最大の同盟関係である日米同盟は重要です。しかし国内に多くの米軍基地を置かせ、自衛隊の憲法上の位置づけも曖昧なまま、専守防衛を柱にするなど、全く独立国家の体をなしていない、と思います。

 今日までこの体制で、一度も戦争に巻き込まれていない、これが最もいい仕組みではないか、と言う議論があるでしょう。しかし世界を俯瞰して見た場合、こんな国はありません。左側の人たちは逆に、他の国にないこの憲法とこの体制が、世界に誇れる平和を維持するいい仕組みだというのでしょう(明らかに中国や朝鮮にとってはいい仕組みかもしれませんが)。

 だったら国連を通じて、9条を推奨しつつ他の強国に基地を提供して守ってもらうように、各国に働きかけたらいかがでしょうか。恐らく一国たりともそうしたいという国は現れないでしょう。何故か、主権が持てなくなるからです。

 以前のブログで述べたように日本は戦後「デュープス」感染症が拡大し、危機意識を持たない「お花畑」思考の人たちで溢れるようになりました。そして田原氏の記事の中にあるように、政治家の中で安全保障論議に取り組もうとすると、「各政党からもマスコミからも危険人物というレッテルを貼られる」状況が生じ、叩かれるのを覚悟しなければならない、異常な国なのです。

 つまり憲法改正論議に見られるように、議論自体が俎上に乗らない、入り口から門を閉じられるのです。自衛隊のポジティブリスト制度の変更も、攻撃型ミサイルの導入も、すべて入り口で反対勢力の攻撃にさらされ議論に入れない状況です。ましてや米軍基地廃止に至っては完全にタブーで、アメリカからも反対されるでしょう。

 コロナや安全保障以外にも、危機状況はいくつかあります。少子高齢化がその筆頭でしょうし、それに伴う税収減と財政支出の増大、経済の縮小、過疎化や限界集落の拡大、空き家や空き地の増大とそれに伴う犯罪や野生動物による被害の増大等々。

 国会議員にその対応のための立法化が急務なのに、議論さえ進みません。明らかに放っておけば国は衰退の一途です。しかし中国はそれを望んでいるでしょう。ですから朝日新聞やTBSなどのメディアを通じて更なる「デュープス」を生み出す努力を続けるでしょう。そして弱体化した日本を属国化。彼らの長期戦略はそこに行きつくと思います。

 本当に10年後、20年後を見据えた政治家が出て来てほしいと思います。日本を救うために。

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2020年7月 3日 (金)

詭弁に満ちた日本の防衛力議論を封じ、世界が羨む日本の技術を磨け

8_20200702113801  6月15日、河野防衛大臣が発表したイージスアショアの導入断念は各方面に波紋を呼びました。それを受けて元陸上自衛隊西部方面総監用田和仁氏はJBpressに以下の論文を寄稿しています。タイトルは『イージス・アショアより世界が羨む日本の技術を磨け ミサイルをミサイルで撃ち落とす時代は既に終わっている』(6/22)です。10日ほど前に寄稿された記事ですが、今の日本の防衛体制への警鐘として、本質をついていると思われますので引用転載します。長い文章なので、お忙しい方は最後段の「結言」から読んでいただければと思います。

ミサイル防衛から電磁バリアへ

 6月15日の夕刻、防衛大臣は首相の決断として事実上、イージスアショアの導入を断念することを発表した。

 手続き上、政治家へは説明がなかったとして、歴代防衛大臣などからは非難の声が上がっている。

 しかし、イージスアショアの配備はそもそも、日本の3段構えと称するミサイル防衛の実態を議論することなく浮上した計画であった。

 実際には必要な弾数もなく、北朝鮮のような変化球にも対応できず、敵の飽和攻撃に無力な「張り子のトラ」であることを理解する力もなかった。

 今回の配備断念は、自己満足に陥っていた日本の現実を吐露しているに過ぎない。

 筆者は、現防衛大臣と信条は異にするが、今回の決断は、費用対効果を見極めて腹を決めたのならば英断であり吉であったと考える。

 しかし、中国・北朝鮮に対して白旗を揚げたり、財務省と結託して防衛費を新型コロナウイルス感染症対策のために削減しようとしているのならば、大凶である。

 今回の決断で本当に非難されるべきは、防衛の必要性よりも反日の外国勢力、日本防衛など関係ないという反対派の思惑で国が断念したという構図だ。

 今後の日本の防衛にとって悪しき前例となるだろう。特に、中国の超限戦が日本で活発になるだろう。

詭弁の日本の防衛力議論

 日本の防衛力構築の考え方は脅威の実態を論じることなく、実に詭弁に満ちている。

(1)問題の根源は、日本が米国と中国を両天秤にかけ、自ら向かうべき「敵」を曖昧にし、本当に中国の脅威に対抗するためにはどんな戦力を構築すればいいのかが誰にも分からなくなっていることだ。

 北朝鮮は前哨戦であり、本命は中国である。

 あたかも北朝鮮を脅威の本命と論ずるのは防衛費を無駄な投資として最小化したい財務省の思惑とも一致する。

(2)米国は、2010年から従来のミサイルによるミサイル防衛は、北朝鮮やイランなどのならず者国家などに対し防御するもので、中ロのように多数のミサイルで攻撃する国々には無力であると明言していた。

 2015年に日本安全保障戦略研究所(SSRI)のメンバーである筆者を含む陸海空の将官OBは、米国において国防省の外局的役割を果たしている戦略予算評価センター(CSBA)で日米の作戦・戦略を議論するため訪米した。

 CSBAは、対艦・対地・防空ミサイルを装備化した米陸軍・海兵隊の第1列島線への展開やINF条約からの離脱などを国防省へ提言し、次々と実現させている米国における屈指の有力研究所である。

 その時のCSBA側が論点の一つとして問題提起されたのがミサイル防衛であった。

「現在(2015年)の課題は、中国の弾道ミサイルや巡航ミサイルに対する抗堪力をいかに高めていくかである」

「中国は弾道ミサイルの多弾頭化を推進すると共に、攻撃を仕掛ける際には飽和攻撃(一度に多数のミサイルを発射し対応の暇を与えない)を行うだろう」

「これに対し従来のミサイル防衛の考え方では対応できない。このためレーザや電磁波、超電磁砲(レールガン)などの実用化・装備化を急ぐ必要がある」

 CSBA側が、対処するにはミサイル以外の手段しかなく、それが当時は実現が困難だろうと考えていたレーザや電磁波などであったことから、頭が真っ白になったことを鮮明に記憶している。

 それを踏まえ、筆者らは、日本に帰って繰り返し警告を発してきた。

 しかし、政治家は全く無反応だった。日本のミサイル防衛の舵切りを遅らせているのは、日本独自で考えるのをやめ、米国に防衛のすべてを依存してきたことである。

(3)幻想の3段階ミサイル防衛

①イージスアショアがミサイル迎撃の第1段、第2段がイージス艦、そして最後の第3段の迎撃が空自の「PAC3」と陸自の中距離「SAM」などの中距離ミサイルである。

 移動型としてサードミサイルも話題にのぼったが、費用対効果上イージスアショアの代替にはならず、燃料などに問題点が指摘されている。

 このうち、第3段階に中距離ミサイルを配備することは、後述する電磁バリアを構築しても最後の手段として必要だ。

 一方、第3段の迎撃を考えるにあたって、PAC3などが敵ミサイルを迎撃できても必ず彼我の破片と燃料が降りかかってくることを無視してはいけない。

 ブースターどころではない。しかし、政治家もマスコミも何も言わない。

②第1段のイージスアショアであるが、地上設備が2基で約4500億円と言われる。

 また、維持費や実験場の設備も日本が作るならば、2基以上の予算がさらに必要である。

 その弾は30億~40億円といわれ、もし中国の保有するミサイル2000発以上が日本に向けられると、敵の2倍の弾が必要で最大4000発以上、その価格はミサイルだけで6兆円を超えてしまう。

 これに北朝鮮対処を考えれば全体で7兆~8兆円は超えてしまう。今の年間防衛費の1.5倍である。

 それも中国・北朝鮮のミサイルがきれいな弾道を描いて飛んでくれればという前提であり、北朝鮮のミサイルのように不規則な弾道であったりすると当たらないし、飽和攻撃にも対処は困難だ。

 さらに、米国装備品を購入することが日米同盟を強固にする証だと考えている政治家が多いなか、それが日本防衛のための全体の防衛力を削ぐことにならないのか検討したのだろうか。

「中国」を主敵と考えるならそれに勝つため、自ずと予算は決まる。

 しかし、財政主導という暗黙の了解があるから、防衛省は必要額を要求することは無駄とあきらめてしまう。お金の節約が国民の命よりも大切だということだ。

 米国の公刊情報では、日本はイージス艦用迎撃ミサイルを30数発しか購入していないようだ。

 その他のミサイルなどの弾薬もショウウインドウに並べるだけの数しかない。これでは日本防衛の作戦・戦略を作っても意味がない。

 イージスアショアは地上設置型であるがゆえのメリットもあるが、海上・航空・地上からも容易に攻撃されるだろう。

 特に地上からのハイブリッド攻撃は厄介だ。

 一方で陸自の防護対象は拡大しているにもかかわらず、陸自は予算の削減、減額の矢面に立たされている。

 陸自にとってはこれで海空自や米軍と情報を共有し、米軍の巨大な指揮・情報・通信網と連結(ネットワーク化)できなかったことは実に痛いが、今後の第1列島線での日米共同作戦において連結することができるだろう。

 総じて、防衛大臣が費用対効果に問題があると指摘したのは正しい。

 能力にも疑問があり、米国の高額装備品の購入圧力で陸海空の実質的な防衛費は激減しているからだ。

 装備品の整備などができないどころか、災害派遣すらいけなくなるだろう。

Img_2bb1c5e779740f332e506cbd4a09596c7164 ③第2段のイージス艦によるミサイル防衛は本当に正しいのか。

〇限られた弾数の中、電子的な偽変、陽動に耐え、いろいろな軌道で飽和攻撃してくる敵ミサイルに対する迎撃の効果は極めて低いだろう。

〇根本的な問題は、中国や北朝鮮有事の場合、イージス艦などは敵潜水艦の脅威に晒されると共に、機雷などが撒かれ、対艦ミサイルが多数飛来する東シナ海、日本海で果たして行動ができるのかという点だ。

 既に中国艦艇、航空機の数は海空自をしのぎ、さらにその差は拡大しているのに、日本側が海空優勢を取れると考えるのはあまりにも楽観的過ぎるのではないか。

 米国は、海洋圧迫戦略(Maritime Pressure Strategy、MPS)で米陸海空・海兵隊が一体となって徹底的に中国の船を沈め、中国本土の軍事基地・施設などを攻撃する構想を進めており、陸空自はすでに本構想に適合しつつある。

 本構想のもと、米海軍が多数のミサイル艦艇を分散した態勢から中国艦艇を攻撃する(Distributed Maritime Operation、DMO)時には、海自イージス艦も領域防衛の一環として対弾道ミサイルを対艦ミサイルに積み替えて太平洋側から米海・空軍の攻撃に参加すべきかの選択を迫られるだろう。

 幸いなことに空自が導入する「F-18」用の長距離対艦ミサイルはイージス艦から発射できる。

 陸自にイージスアショアを導入させ、海自艦の負担を軽減するのは、海自の作戦が主で陸自がその肩代わりをするという考えではなく、その本質は、海自艦を潜水艦を含む米海空軍の対艦・対潜水艦攻撃に積極的に参画させたいということではないのか。

 すなわち、海自艦は、日米一体の中国艦隊撃滅作戦を重視すべきではないのか。

 そうならば、イージスアショアを固定型のレーダ施設と分離した対艦弾道ミサイルを搭載した安価な護衛艦、または無人艦を東シナ海、日本海に配置する案は有力である。

 その議論が政治の場でも必要であり、わが国の作戦構想を政府や海自から明確に発信しなければ日本の防衛は完結しない。

 時代遅れの空虚な海空優先論を捨て、陸海空自が一体となった統合作戦こそ本来の姿であろう。

 これらを勘案すると、日本のミサイル防衛体制のうち、第1・2段のミサイル防衛は十分に機能しないし、所望の効果を期待できないだろう。

日本独自のミサイル防衛の構築

 日本には参考となる防衛システム上の前例はない。

 イスラエルはアイアンドームという3段階の防衛網があるが、圧倒的に対処するミサイルなどの質量が違う。

 自ら知恵を絞って日本流のミサイル防衛体制を構築しなければ、誰も助けてはくれない。

 米軍も第1列島線へ「展開」はするが、駐屯はしない。すなわち、米軍にとって日本は米国を守る戦場である。

 第1・2段のイージスに代わるミサイル防衛の壁は、防衛計画の大綱にあるサイバー、宇宙、電磁波領域の非物理的打撃機能にほかならない。

 サイバーの壁、宇宙の壁、電磁波の壁(電磁バリア)である。そして日本にはこの選択しかない。腹をくくるべきだ。

 日米共同で考えるとサイバーと宇宙は米国主導で敵地まで攻撃することができる。

 一方、電磁波領域は日本が主導できる。

 現実に、中国などのミサイルやドローン、無人機などを使った飽和攻撃には、ミサイルなどの物理的打撃でもはや対処できないことを理解する必要がある。

 そのゲームチェンジャーとしての技術の核心は日本が握っている。そして、その技術を世界が狙っている。

 残念ながら知らないのは日本人だけだ。それは世界に類を見ない電源であり、兵器にも必須ならば、日本の電力革命による経済の繁栄にも欠かすことができないものである。

 米国などが2015年から5年を目途に完成させるとしていたゲームチェンジャーとしての兵器が、まだ完成しないのはこの特性を持つ電源がないからだ。

 これ以上、情報を開示することはできないが、外国に取られていなければ必ず2~3年のうちに目にするだろう。

 この電源を使えば、まず

①電波妨害兵器(EW、電波を妨害し電子機器の使用を狂わせる、それ以外にも潜在する強力な能力を保持)

②電磁砲兵器(HPMW、電磁波で電子機器を破壊する、全ての兵器が対象)

 さらに5年後以降に

③レーザ兵器(大気中でパワーが減衰するので実用化が遅れている)

④レールガン(弾丸を電磁波で高速で飛ばす、困難な実用化)などが次々と実用化できる。

 米陸軍はまだサイバーの段階で止まっているが、いずれ陸自と同じように上記兵器の車載化で損害を避けつつ戦える体制ができるだろう。

 そして、空自の宇宙作戦隊は、固定型のEWで陸自の車載型EW兵器と共に衛星やAWACSなどを妨害することができる。

 さらに中国・北朝鮮のミサイルを発射段階から捉え、妨害することができるだろう。

 これが第1段階であり、サイバー攻撃と一体化して防御的にも攻撃的にも運用することができる。

 そして早急に、ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイル、航空機、艦船などを電気的に破壊できるHPMW兵器の開発を推進しなければならない。

 HPMWはさらにミサイルに装着し、対艦攻撃や弾道弾の破壊に使うことが必須である。

 HPMWは光速で、ある程度の幅を持って飛ぶので敵の捕捉は極めて容易であろう。これが第2段階である。

 そして、レーザ兵器などへと繋いでいくことが期待される。

 EWそしてHPMWの装備化こそ日本の命運を握る事業であることから、惜しみなく予算を投入すべきであろう。

 第3段の壁は、最後に国民を守る手段として、従来のPAC3や中距離SAMなどの物理的破壊兵器が必要である。もちろんシェルターは必須である。

敵基地攻撃

 敵基地攻撃については、その方策には賛成できない。

①中国に対しての敵基地攻撃は、米軍ですら破るのが困難になったという中国の深い防空網を突破して、地下や移動型の発射体から打ち出されるミサイルをピンポイントで捕捉し攻撃することになり、日本の実力ではできない。

 北朝鮮でも同じで、米軍のように宇宙まで広がった情報・指揮・通信網そして大空軍力無くして実行は不可能である。

②敵基地を攻撃するなら日本は「低出力核爆弾」を装備化すべきである。

 これを潜水艦から発射して上空で破裂させ、EMP効果によって広域に電子機器を破壊すべきだ。

 これは人の殺傷を目的としない核兵器の使用であり、今後日本でも真剣に検討すべき課題である。

結言

 今回のイージスアショアの件は、日本をどう守るかの教義(ドクトリン)もなく、ただ米国の高額装備品を買い続けることに対する警鐘だと考えるべきだろう。

 さらに、既に海空戦力で中国に劣勢になっており、その差は広がるばかりで、「対称戦力」として海空優勢を追求するならば防衛予算は莫大な支出を必要とし、国家財政は破綻するだろう。

 ここは一度立ち止まって財政主導ではなく、国家安全保障会議(NSC)と統合幕僚監部が主導して根幹となる日本防衛作戦・戦略をはっきりと描くことが必須である。

 この際、

①ミサイル防衛のみの見直しではなく、日本防衛全体を明確にする。

②米国の作戦・戦略と完璧に整合させることが必要、この際、米国は海洋圧迫戦略(Maritime Pressure Strategy)で明確な対中作戦を描いているので整合は容易であろう。

③船には船を、飛行機には飛行機をという「対称戦力」の考えを捨て、「非対称戦力」での勝利を追求すべきだ。

 その中核は「サイバー・電磁波領域での勝利」と「艦艇・潜水艦を沈めよ(水中の作戦と長距離対艦ミサイルでの撃破)」「無人機・無人艦(水上、水中)」である。

④サイバー・電磁領域などの戦いでは専守防衛は通用しない。

 非核3原則の核を持ち込ませずなどの非現実的な防衛政策は直ちに廃止すべきだ。

 専門家による記述で難解な部分が多いのですが、この文章から読み解くと日本の防衛の脆弱性、戦略の乏しさ、その要因である政治家の無関心さが際立ってきます。その結果でしょうがマスコミや国民全体に蔓延する、国土防衛に対する無関心が、現状を作り上げていると言うことでしょう。

 日本最大の敵国として中国を上げていますが、私も異論はありません。そしてその中国に今や戦力としては完全に離されている。アメリカに防衛を頼っても、攻撃されれば日本がその直接の楯になることは間違いありません。ですからその攻撃に耐えられる防衛力は必然になります。

 もちろん直接の対決は双方とも望まないでしょうから、局地での小競り合いやサイバー戦になるでしょうが、それとてまずかなわないでしょう。中国は日夜戦力の増強、新兵器の開発に励んでいますが、日本は大学での軍事研究も容易にできない9条の壁があります。

 ですから、用田氏の言うようにサイバー・電磁波領域の研究に集中し、物理攻撃に備えるしかありません。中国もアメリカの後ろ盾のある日本に対し、本格的な戦闘は望まないでしょうから、その間にこの領域の研究を進めるとともに、核開発の研究も同時に進め、抑止力を高めておく必要があると思います。

 その前に必要なのは政治家が状況をよく認識し、共産国家の属国となるか、国家主権を守るかの選択を提示し、眠れる国民をマスコミとともに目覚めさせることでしょう。憲法の改正は言うまでもありませんが。

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2020年6月28日 (日)

中国の“軍事的脅威”に抑止力強化を!『日本は何もしていない』ように見える

2_20200628120701  昨日の産経新聞に以下の記事が記載されています。

 尖閣周辺に中国船 75日連続、最長を更新

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で27日、中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは75日連続。平成24年9月の尖閣諸島国有化以降で、最長の連続日数を更新した。第11管区海上保安本部(那覇)によると、領海に近づかないよう巡視船が警告した。

 先月には中国海警局の船が日本漁船を追尾しているのを、海上保安庁の巡視船が現場で漁船の安全を確保したことについて、中国外務省の報道官が「違法な妨害を行った」と非難するという、逆切れとも思しき対応を示していました。

 このように中国は日本固有の領土尖閣諸島を自国の領土と強弁し、周辺の威嚇航行を続けています。それに対する日本政府の反応は「遺憾砲」のみで、いかにも弱腰に映って見えてしまいます。この件に関し、zakzakは昨夕のコラムで以下のように記述しています。タイトルは『中国の“軍事的脅威”に抑止力強化を! 中国攻勢に政治家もメディアも無関心… 識者「他国から見ると『日本は何もしていない』ように見える」』です。

 中国の軍事的脅威が高まっている。沖縄県・尖閣諸島周辺には中国海警局の公船が74日(26日時点)も連続侵入し、鹿児島県・奄美大島近くの接続水域では中国軍とみられる潜水艦の潜行が確認された。中国発の新型コロナウイルスで世界に甚大な犠牲が出ているなかでも、覇権拡大を狙う行動が確認されているのだ。核と弾道ミサイルで恫喝(どうかつ)する北朝鮮だけでなく、わが国は軍事力と経済力を備えた中国も十分警戒すべきだ。国民の生命と財産を守り抜く、抑止力の強化が注目される。

 「わが国の防衛に空白を生むことはあってはならず、安全保障戦略のありようについて徹底的に議論する」

 菅義偉官房長官は24日午前の記者会見でこう語った。国家安全保障会議(NSC)が同日夕、首相官邸で開催され、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の停止を踏まえた、安保政策の抜本的見直しに関する議論に着手することを見据えたものだ。

 イージス・アショアは対北朝鮮のイメージが強いが、その高性能レーダーは中国やロシアの動向を察知する期待が持たれていた。特に、中国の軍事的脅威は看過できない。

 尖閣諸島周辺で26日、中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁が確認した。これで74日連続で、最長記録を更新している。

 中国軍の動きも警戒されている。

 防衛省によると、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、全国の小中高校の一斉休校が始まった3月以降だけでも、南西諸島などで、中国軍の空母や駆逐艦、哨戒機などの特異な動きは頻繁に確認されている。

 特に、米海軍の原子力空母「ニミッツ」「カール・ビンソン」「ロナルド・レーガン」「セオドア・ルーズベルト」に、新型コロナウイルスの感染者が判明して、抑止力低下が懸念されていた4月、中国海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊が、沖縄本島と宮古島の間を初めて往復した。

 朝鮮戦争(1950~53年)は25日で勃発から70年となった。開戦の経緯を振り返れば、ディーン・アチソン米国務長官(当時)が防衛線に朝鮮半島を含まなかった(アチソンライン)ことなどから、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席が「米国に韓国防衛の意思はない」と誤解し、奇襲攻撃の決断につながったという見方もある。

 領土・領海を守るには、日本の主権を守り抜く強固な意思の表明と、現実的な抑止力の強化・整備は不可欠なのだ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「中国はコロナ禍でも、どんどん実績を重ねている。尖閣周辺に連日侵入しているのは中国海警局の公船だが、中国海軍の艦船を改造したものだ。武装公船は脅威であり、『今のままで大丈夫』などという認識はあり得ない」と解説する。

 河野太郎防衛相は23日の記者会見で、奄美大島近くの接続水域内を潜行した冒頭の潜水艦について、「総合的に勘案して中国のものと推定している」と名指しし、中国に事実上警告したが、まだまだ弱い。

 軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「これだけ中国が攻勢を仕掛けてきているのに、他国から見ると『日本は何もしていない』ように見える。もっと領土・領海を守る具体的行動をすべきだ。一部の政治家やメディアの無関心ぶりにも驚かされる。日本固有の領土が危機にさらされているのに、黙っているつもりなのか。結果的に中国を利することになる。政治家やメディアは国益を考えて行動すべきだ」と指摘している。

 政治家やメディアは国益を考えて行動すべきだ」と井上氏は指摘していますが、なぜか日本という国は「国益」よりも「忖度」を優先するようです。もちろんその背景には「憲法9条」という大きな足かせがあるからでしょう。軍事力や防衛力という言葉は、子供のころからあまり話題にしないように育てられたからでしょう。国民的な議論はほとんどなされません。

 よくこのことは家庭の防犯に例えられます。かつての日本では玄関に鍵をかけることはあまりしませんでした。近所付き合いがよく行われ、周りに不審者がほとんどいなかったからでしょう。これは今の憲法の前文によく似ています。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」

 ところが都市化が進み、近隣の住民との関係が薄れ、又空き巣や強盗などの被害が多くなると、当然カギは必須となり、場合によってはセキュリティー会社に防犯設備を設置依頼する家も出てきました。

 国でもそうです。「平和を愛する諸国民」はいるでしょうが、その諸国民を統括・統治する国の政府は、「平和」は建前で本音は「国益」という、当たり前の現実に従って行動します。そのためには資源獲得や権益拡大のため、軍事力を背景としてお互いつばぜり合いをすることになります。そこで一方的な攻撃にさらされないよう、国家間に力のバランス、均衡が保たれた状態にするため、それぞれの国で軍事力を保ちます。しかしそのバランスが崩れると、抗争が生じさせるもととなるのです。

 今日中間では明らかにバランス上は中国の方に傾いています。中国は共産党独裁国家の強みを生かし軍事力を年々拡大させ、核や攻撃ミサイルも保有します。そして。一方の日本は9条に縛られ、井上氏の「政治家やメディアは国益を考えて行動すべきだ」、という指摘には報復を恐れすぐに対応できないのです。

 答えは二つ、①日本は9条を破棄し軍事的な足枷をなくす。②日米同盟に豪印を加えた軍事同盟を構築する。それしかないように思います。もちろんそれに反対する人は多くいます(中国と仲良くやっていけばいいと本気で思っている人たち)。経済のつながりも大きい。ことはすんなりいかないでしょう。しかし報復恐れの「忖度」抜きで「国益」に沿って対応するには、その覚悟が必要でしょう。そうでなければ残念ながら近い将来尖閣はあけ渡すことになるでしょう。しかもそれで終わる保証もありません。沖縄も・・・北海道も・・・

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2019年9月17日 (火)

ボルトン解任で「日本の核武装」が現実的になった

O0660036814024036447  今回はグローバル・イッシューズ総合研究所代表吉川圭一氏のコラム『ボルトン解任で「日本の核武装」が現実的になった』(iRONNA9/13)を取り上げます。 解任劇の裏事情であるトランプ大統領との見解の相違や、解任による影響などが詳述されています。

 9月10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が解任された。その深層を分析してみると、トランプ政権の実態が見えてくる。そして、それは日米安保の大幅な見直しにもつながっていく可能性が極めて高いのである。

 そもそもボルトン氏が前任者のマクマスター氏に代わって国家安全保障会議(NSC)の大統領補佐官になったのは、ポンペオ氏が中央情報局(CIA)長官からティラーソン氏に代わって国務長官になるのと、ほとんど同時だった。部下を戦死させたくない制服軍人のマクマスター氏と石油会社の社長だったティラーソン氏は、共に対イラン強硬路線に反対だった。

 ボルトン、ポンペオ両氏は、共にタカ派として知られていた。北朝鮮に対しても先制攻撃論者だったが、二人ともNSCの大統領補佐官や国務長官に任命される前後から、トランプ政権が目指していた北朝鮮との対話路線に積極的になった。つまり、この人事は明らかに対イラン強硬派シフトであったのだ。

 日本にとっては残念ながら、この段階で少なくともイラン問題が米国の目から見て解決するまで「二正面作戦」を避けるためにも、北朝鮮とは融和路線を進むことが、トランプ政権の方針だった。

 だがトランプ政権は、サウジアラビア人記者、カショギ氏殺害事件を契機として、サウジの協力を得るのが難しくなった。欧州(おうしゅう)諸国を巻き込んだ対イラン有志連合の形成にも手間取っている。いずれにしてもトランプ大統領は、少なくとも2020年の再選までは、流血の大惨事を避けたいと本気で考えているようである。

 と言うよりも、トランプ氏はこれまでワシントン既成勢力が行ってきた政治を改め、例えば外交に関しては過度な世界への介入を止めることを主張して大統領になった。そして、マクマスター氏ら制服軍人を含めた既存のワシントンの官僚や政治家を徐々に廃して、この公約の方向に自らの政権を変化させてきた。

 ところが、ボルトン氏は印象とは違って、トランプ政権の中では珍しいくらいのワシントン既成勢力派だった。その中では最もタカ派的で、また個人としては真面目な理想主義者だったにすぎない。

 それに対して、ポンペオ氏は2010年に下院議員になった元弁護士で、しかも将来は大統領の地位を狙っているとも言われている。ポンペオ氏がトランプ氏の方針に忠実だったのは当然だったかもしれない。

 実は、ボルトン氏もこれまで多くの同僚たちとの摩擦が問題になったことはあっても、上司との関係は常に良好だった。しかし年齢も70歳。国家に対する最後の奉仕という気持ちもあったかもしれないし、いずれにしても個人としては実に真面目な理想主義者である。そのため、ボルトン氏は次第にトランプ氏の思惑を外れて対イラン、対北朝鮮その他で、強硬路線をひた走り始めた。

 ここで同氏がワシントン既成政治派だったことの影響が出てくる。多くの元同僚を集めることで、NSCを彼は乗っ取ってしまったのだ。イランへの限定的空爆が行われそうになったのも、ボルトン氏がトランプ大統領に正確な情報―100人規模の戦死者が出ることなどを直前まで知らせなかったためだった。このような状況は、その数カ月前から始まっていた。

 やはりワシントン既成勢力の一員というべき制服軍人のマティス氏が国防長官を解任されてから、国防長官代行だったシャナハン氏は、民間企業出身でワシントン政治に慣れていなかった。そのためボルトン氏に影響されることが多かった。

 そこでシャナハン氏を解任し、ポンペオ氏と学生時代から親しいエスパー氏が国防長官に任命される人事が、イラン空爆の直前に行われた。そこでイラン空爆が直前に中止された経緯がある。

 実はエスパー氏も制服軍人なのだが、少なくとも対中強硬派で、しかも宇宙軍創設には積極論者だった。ワシントン既成勢力である古いタイプの軍人や国防省官僚らが、ポストの奪い合いなどを嫌って宇宙軍創設に反対しているうちに、米国は宇宙軍で中国やロシアに後れをとってしまっていた。そこで宇宙軍を創設することもワシントン既成勢力打破を目的とするトランプ政権の重要な役割だった。

 それを任されていたのが、ボーイングの元副社長で、理系でキャリアを積んだシャナハン氏だった。彼であれば制服軍人以上に上手くできたかもしれない。

 さらに、仮に日米安保の大幅な見直しが行われることがあれば、どの在日米軍基地が本当に米国にとって必要で、どれは撤退させてもよい―といった計算も、コンピューターのプロである彼であれば、できるだけ多くの基地を守りたい制服軍人よりも的確にできただろう。

 しかし、理系の彼はワシントン政治のプロであるボルトン氏に影響されすぎた。そこでシャナハン氏も解任され、ポンペオ氏に近く、部下を戦死させることを嫌う制服軍人であるエスパー氏が国防長官になった。これはボルトン氏とのバランスをとるためだったと思われる。

 しかし、ボルトン氏は自らの理想と信念をひた走り続けた。イラン、北朝鮮、日本であまり報道されていないベネズエラなどに対して、これまで以上に強硬路線を主張した。そのため軍事境界線で行われた3回目の米朝会談のときは、モンゴルに出張させられていたほどである。

 このような摩擦が何度も続き、ボルトン氏の解任の最後の決め手になったのは、9月7日、数日後に予定されていたアフガンのタリバン勢力とのキャンプデービッド和平協議を、トランプ政権がキャンセルせざるを得なくなったことだと言われている。これはテロ勢力との和解に反対する強硬派のボルトン氏によるリークも大きな原因の一つであるとワシントンでは考えられている。

 このアフガンからの撤退問題に関しては、トランプ氏は大統領になる前から、正規軍を民間軍事会社に置き換えることを構想している。それは当然、制服軍人を中心としたワシントン既成勢力が嫌うことである。リークはボルトン氏からだけのものだったのだろうか?

 いずれにしても副補佐官、クッパーマン氏がしばらくは大統領補佐官代行になることになった。ボルトン氏に近すぎる彼が正式に大統領補佐官になる可能性は低いが、ないとは言えないようにも思う。彼はシャナハン氏と同様、ボーイングと非常に縁深く、宇宙軍の創設や世界の米軍展開見直しなどにおける活躍が期待できるからである。

 ほかにボルトン氏の後任として名前が挙がっているのは、みな今までイランや北朝鮮との対話路線で活動してきた人ばかりである。いずれにしても、今後のトランプ政権はアクシデントがない限り、当面はイランとも北朝鮮とも対話路線でいくことになるだろう。

 その結果として、米国まで届く核ミサイルさえ持たなければ、核武装したままの北朝鮮と米国が和解する事態も考えられないわけではない。そうなれば日本は北朝鮮の核の脅威に常に曝(さら)されることになる。

ボルトン氏がいてくれれば、日本に味方してくれるのに―と考える日本の保守派は多いかもしれない。しかし、そう一概には言えないだろう。

 ボルトン氏は米国の愛国者で米国の国益を何よりも重視してきた。日本が国連安保理常任理事国になることを積極的に支援し始めたのも、彼が主導したイラク戦争が中国の反対で国連による容認決議がとれなくなってからであり、ブッシュ一世政権時代は湾岸戦争に中国も国連で容認したこともあり、その後の日本の安保理常任理事国入りに積極的ではなかった。

 拉致問題に非常に積極的に協力してくれたのも、北朝鮮を追い詰めるための手段だ。そしてボルトン氏も実は沖縄米軍基地撤退論者だったはずなのである!

 この最後の問題も、私のワシントン時代の経験からすると、制服軍人以外のワシントン既成勢力―特に国務省の官僚の共通認識に実は、なってしまっているように思う。ボルトン氏と言えどもワシントン既成勢力の、それも国務省高官の一人である。

 そのワシントン既成勢力を打倒することが歴史的使命であるトランプ政権もまた、米国が世界に広げすぎた手を縮めて、その分の予算で国内の格差問題などに注力することが目的だ。 

 そう考えると、シャナハン氏、クッパーマン氏といった理系のプロ的な人々が、米国の外交政策を取り仕切るようになったときが、米国が日本に日米安保の大幅な見直しを要求してくるときなのではないかと思う。

 その際に米国は、核を持ったままの北朝鮮と和解し、日本は常に北朝鮮による核の脅威の下におかれるかもしれない。

 日本は、それに備えて憲法を改正し、軍事力を増強するしかないだろう。だが日本の力だけで足りるだろうか?

 一縷(いちる)の望みは今の米国の「反中」は本気だということだ。南シナ海でも航行の自由作戦を繰り返し、ボルトン氏の沖縄米軍撤退論も、その替わりに台湾に米軍基地を置くことを主張していた。中国だけではなく、中東方面での有事を考えるとき、在日米軍基地はロジスティクスの拠点として重要なものも多く、そんなに多くの在日米軍基地を削減できるか疑問もある。

 今の米中の経済摩擦は、単なる貿易や技術の問題だけではない。通信技術の問題は、軍事力による世界覇権―特に宇宙軍やサイバーの問題と密接に関係している。

 むしろここに、日本が米国に協力できる部分があるのではないか? 技術的な問題の一部だとしても、日米共同の宇宙戦やサイバー戦が行えるようになれば、中国や北朝鮮の核の脅威も低減させることができるかもしれない。

 いずれにしても米国から購入するような形でも、もう日本も核武装も考える時期だと思う。それはワシントン既成勢力が、最も嫌がることではある。しかし彼らを打倒する歴史的使命を帯びたトランプ氏は、2016年の予備選挙の最中に一度とはいえ、口に出しているのだ。

 もし実はワシントン既成勢力の一員だったボルトン氏が、大統領補佐官のままだったら、それを許してくれただろうか?

 今回の「ボルトン失脚劇」は、タカ派とハト派の対立というより、ワシントン既成勢力とトランプ改革政治の対立だった。いずれにしても制服軍人以外は、両者共にそろそろ在日米軍基地の大幅な見直しを考えていることは共通している。

 しかしトランプ氏には日本の核武装も含めた既成勢力とは異なるビジョンがある。これからも日本はトランプ政権の人事その他の動向を注視し、その先手を打って協力するようにしていかなければ、世界の中で生き残ることができなくなってしまうだろう。 

Images-1_20190915212201  日本の核武装については内外ともに制約が大きく、現時点では現実味がないものと思われます。それより先に非核三原則を廃し、ひとまず持ち込むことを容認しなければなりません。同時に憲法を改正し、通常戦力の強化、特に攻撃力の格段の強化が必要でしょう。

 ただ日本の西側に核保有国が3国もあり、韓国も核武装を検討しているとすれば、力のバランス上避けて通れない課題になる可能性はあります。そのためにも以前のブログで紹介した、「核兵器を作る能力」の保持は絶対に必要になるでしょう。

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