安全保障政策

2022年1月22日 (土)

急げ、極超音速ミサイルなどの先端兵器開発。危険極まりない中朝露に囲まれた日本の安全を守れ

Hk3qy33fxbkhblkzuwltb3qfdu  政府は2022年末までに、国家安全保障戦略を改定するのに合わせ、「敵基地攻撃能力」の保有に関する検討を本格化させる、と表明しました。迎撃困難なミサイルの開発を進める中国や北朝鮮への、抑止力・対処力を強化するのが狙いです。自民党は既に提言作成に着手。他国領土に届く長射程ミサイルを含む装備を保有するかが焦点となっています。

 そうした中、北朝鮮が極超音速ミサイルの発射実験を行った、との報道が伝えられました。中国は既に先行しており、ロシアも保有するこのミサイルは、現状迎撃困難で日本も早急に対応が急がれます。

 産経新聞が北朝鮮の今回の発射実験の様子を伝えています。タイトルは『北の極超音速は迎撃困難 日本も開発で「抑止力に」』(1/15)で、以下に引用します。

 またそれに続いて、それに関連する日本の取るべき道への提言を、JBpressの記事『極超音速ミサイル、世界の開発動向を詳解 際立つ中国とロシアの開発強化、日本には技術以前の問題も』 から引用します。

 ◇

北朝鮮が12日、極超音速ミサイルの発射実験で「最終的な確証」を行ったと発表したことで、日本を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさの度合いを増した。政府は軍事的圧力を強める中国などを念頭にさまざまなミサイル防衛(MD)強化策を進めているが、極超音速ミサイルは現在のMD網では迎撃困難とされる。迎撃の可能性を高める技術開発を行う一方で、極超音速ミサイルや高速滑空弾を保有することで抑止力強化を図る道も探っている。

北朝鮮や中国などが開発を進める極超音速滑空兵器(HGV)は通常の弾道ミサイルより低高度で変則軌道を描くため現状では追尾できない。防衛省は米国が整備を進める「衛星コンステレーション」により宇宙から追尾できる可能性に期待をかけている。

衛星コンステレーションは通常の早期警戒衛星より低い軌道に赤外線観測衛星を多数配置する構想で、防衛省は来年度予算案に研究費約3億円を計上した。米国は2年後から150基以上の衛星で試験運用する計画で、日本も数年後には実用化できると見込む。

一方、迎撃態勢については見通しが暗い。日本のMDは洋上のイージス艦に配備された迎撃ミサイルSM3と、地上で迎え撃つ地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の2段構えだが、基本的には弾道ミサイルを対象としている。

防衛省は多層的なMD網を実現するため、巡航ミサイルなど低軌道で飛来するミサイルへの対応も進めているが、HGVにも対応できるかは未知数だ。来年度予算案に計上した改良型の迎撃ミサイル「SM6」と「PAC3MSE」は開発した米国がHGVへの対処力を研究中だ。日本政府も独自開発した主に巡航ミサイル用の「03式中距離地対空誘導弾改善型」(中SAM改)で極超音速ミサイルを迎撃する可能性を探る。

先端技術を活用した迎撃技術の研究にも着手している。一つは高出力の電波を照射して電子的に敵兵器を無力化する「指向性エネルギー兵器」。もう一つは電磁力で砲弾を高速射出する「レールガン(電磁砲)」だが、いずれも研究開発段階で、有効性があるのか不透明だ。

ミサイル迎撃に限界がある中で「同種の能力を持つことで抑止力になる」(防衛省幹部)との見方も出てきた。同省は平成30年度から島嶼(とうしょ)防衛用として高速滑空弾の開発を進める。音速の5倍(マッハ5)には達しないものの、マッハ3~4の速度を実現した変則軌道弾で速度以外はHGVと同種だ。また、マッハ5以上の極超音速を実現するジェットエンジンの研究開発も同時に行っており、いずれも来年度中には試作が完成する予定になっている。(市岡豊大)

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以下は、矢野義昭氏がJBpressに寄稿したコラム『極超音速ミサイル、世界の開発動向を詳解 際立つ中国とロシアの開発強化、日本には技術以前の問題も』(1/21)に記載された記事からの引用です。記事の途中からで、日本の取るべき道への提言が盛り込まれています。

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(前略) このような現状を踏まえ、わが国として極超音速兵器の開発配備に向けて、以下の施策を早急にとる必要があるとみられる。

①攻撃的な極超音速兵器の早急な開発配備

 極超音速兵器への決定的な迎撃手段は見通し得る将来も開発配備は困難であろう。

 既存の迎撃ミサイルによる対処法では、機動型の場合未来位置の予測に限界があり、極超音速では警告時間が短く、対処が困難である。

 開発中の指向性エネルギー兵器についても、その成果は不透明でまだ開発に時間がかかる。

 レールガンは、砲身の腐食と連射耐久性、超遠距離目標の確認と追尾、超高速の弾丸の誘導と急加速への弾丸内蔵電子部品の開発、発射用大電力源の確保といった問題がある。

 レーザー砲には大電力源確保とレーザーエネルギーの大気中の減衰、熱による歪みなどの克服困難な問題がある。

 電磁パルス(EMP)兵器は大気中の減衰もなく有力な迎撃手段だが、敵味方の核爆発時のEMPにも耐えられるとされる核弾頭等の防護用電磁シールドを突破・無効化できなければならない。

 いずれも近距離の速度の遅い目標には対応できても、多数の極超音速目標に対し撃ち漏らしなしに対応するのは、見通し得る将来も不可能であろう。

60decfbd6d544562876063f9997fc91f  中朝ロの極超音速兵器には核弾頭搭載型もあり、撃ち漏らしは許されない。

 核弾頭の撃ち漏らしの可能性を考えると、わが国も抑止のために極超音速兵器とそれを支援するインフラおよび目標発見・誘導システムを宇宙やサイバー、電磁波領域も含めて早急に構築する必要がある。

 敵基地攻撃能力が専守防衛に反するとの見解があるが、このような見方は時代遅れの考え方である。敵基地攻撃能力が専守防衛に反するとするのは、日本が敵地に侵攻作戦を行うからという理由であろう。

 しかし、中朝ロは第1列島線上の日本に対して、射程千から千数百キロ以上の極超音速兵器により自国領域内から直接、撃墜困難な極超音速兵器で攻撃が可能になる。

 しかも、いったん発射された場合、飛翔中での迎撃は極めて困難と予想される。弾頭には核兵器が搭載されている可能性も大きく、撃ち漏らしは許されない。

 そのため日本は国土の自衛のためにも、敵本土領域内の発射プラットホームである陸海空のミサイル部隊、航空機、艦艇、それらを指揮統制する司令部、通信・レーダー施設などを制圧しなければならなくなる。

 すなわち、敵基地攻撃能力は日本の自衛のためにも不可欠になる。

 自ら敵地に侵攻するか否かによる、攻撃と防御の本質的な区別はなくなる。日本が先制奇襲攻撃を受ければ、そのとき敵は、最も安全迅速にかつ秘匿して戦闘準備が可能な敵国領域内から極超音速兵器を撃ちこんでくるであろう。

 自衛のために、それを阻止するにはわが方も同様の極超音速兵器による反撃能力を保有していなければならない。

 もしも敵基地攻撃能力を持たなければ、敵にとり安全な自国領域内から、核攻撃を含め一方的に攻撃されることになり、自衛は不可能になる。

 このような将来戦の特性は、距離が意味をなさないサイバー攻撃においても同様である。

 攻勢的サイバー戦を認めず防勢のみであれば、いずれはセキュリティシステムを破られ、一方的にわが方のサイバー空間を破壊され、あるいは情報を奪われ操作される結果になる。

②秘密保護法とスパイ防止法の制定

 高市早苗自民党政調会長は、「中国の極超音速ミサイルは日本の技術で作られている」と指摘し、スクラムジェットエンジンや耐熱素材など戦略的な研究を行っている日本の学術機関が、中国の国防7大学の技術者を研究員として迎え入れていることを問題視し、これでは「間接的に日本が中国人民解放軍の兵器を強力化することに貢献していることになってしまっている」と述べている(https://blogos.com/article/555235/?p=2、2022年1月20日アクセス)。

 日本国内の報道では、まだ極超音速兵器開発の風洞試験を行っているとは報じられていないが、両用分野でのスクラムジェットエンジンの開発や耐熱素材の開発においては、日本は優れた技術を持っている。

 上記の米国の議会報告(略)でも明らかなように、米国は中ロのみならず、日本、豪州、印度、仏独、韓国、イスラエルなどの同盟国や友好国を含めた世界中の諸国の開発動向についても、周到な情報収集と能力分析を行っている。

 米国としては、単に各国の動向を探るだけではなく、共同開発を行うのに適した国の選別を図るとともに、中ロと独仏印の協力関係など同盟・友好国の信頼度にも警戒監視の目を向けている。

 優れた潜在的技術力を持つ日本もその対象になっていることは明白である。

 しかし、これらの緊要な技術が中国に流出したとすれば、日本の秘密保護態勢、スパイ防止などの対諜報能力が疑問視され、国際的な共同開発への参加や機微な情報の交換もできなくなる。

 防衛用のみならず両用技術を含めた日本の民間企業、他省庁の海外との機微技術の国際共同開発、情報交流にも支障をきたすことになり、日本の機微技術は世界との交流を絶たれ、軍民両分野で世界の発展から取り残されることになる。

 これはわが国の経済安全保障にとり死活的問題であり、民間企業等の情報保護も可能にする秘密保護法とスパイ防止法の制定を急がねばならない。

 そのためには、経済安全保障包括法の中に、この両用技術についての機微情報を含めた、民間企業や一般国民も保護対象とする秘密保護、スパイ防止を可能にする条項を盛り込むことも検討する必要がある。

 極超音速兵器技術はじめAI・量子技術・ロボット・バイオ・衛星・サイバー・電磁波などの領域も含めた軍民両用の機微技術情報の秘密保護とスパイ防止のための関連法制整備を早急に行い、国際的信頼を得られる水準に高めねばならない。

③極超音速技術開発のためのインフラ整備と予算の確保

 研究開発体制の整備には多額の安定的資金が不可欠である。

 米国は各軍種とDARPAがそれぞれ数億ドル以上の研究開発予算を割り当てて各種の極超音速兵器の開発を進めている。

 中ロも同様であり、むしろ米国に先行して各種の極超音速兵器を実戦配備している状況にある。

 世界各国が増設と性能向上に努めている極超音速風洞や極超音速兵器の飛行試験場などのインフラ整備についても、国を挙げた体制整備が必要である。日本国内に最先端極超音速風洞施設を増設し、計10数か所、最高速度マッハ30級の風洞施設等の整備が必要である。

 また情報保全や施設警護、ミサイル追尾・通信中継システムにおけるJAXAや民間企業などの航空宇宙・通信電子関係の協力体制の整備も必要になるであろう。

 日本の経済安全保障の一環として、自ら極超音速兵器の開発配備に、防衛省のみならず、官民学など国の総力を挙げて取り組まねばならない。

 またこの極超音速兵器などのゲームチェンジャーと呼ばれる分野の研究開発は、民間の航空宇宙、通信電子、情報など最先端産業分野への波及効果も大きく、科学技術者、サイバー人材の育成・雇用確保や先端技術力の向上、ひいては経済成長の中核にもなりうるであろう。

 そのために必要な予算を長期安定的に確保する必要がある。

 中長期的に毎年数百億円以上の研究開発予算を長期安定的に確保する必要がある。今年予定されている中期防衛力整備計画での予算の優先確保措置が必要である。

 その際には、防衛関連予算の配分については、陸海空の別にこだわることなく、統合レベルでの予算として確保しなければならない。

 また、研究開発の効率化のため、開発計画は他省庁と民間の関連計画も含め、国全体として目標を明確にし、相互に調整され整合したものにする必要がある。

 そのためには防衛上の一貫した運用構想が明示されなければならない。研究開発当初から統合レベルでの相互運用性、国土戦を前提とする統合運用構想の確立が重要になる。

 特に、効率化と運用上の柔軟性を確保するため、開発される極超音速兵器は、潜水艦の垂直発射管を含めた陸海空の各種の発射母体から発射可能で、潜在敵のミサイル防衛網を突破し目標に到達し破壊できる能力を持たなければならない。

 弾道ミサイルと組み合わせ、少なくとも1000キロ以上、最大6000キロ程度の射程をもつ極超音速兵器が必要となろう。

④国際協力の推進

 グローバルな課題である、航空宇宙・サイバー・情報通信などの領域での国際間の協力と前述したように国際水準の秘密保全に関する国内法制の整備を急がねばならない。

 また射場については、国内での確保には限界がある。

 米国すら豪州の施設を利用しており、日本国内での最先端風洞実験設備の増設とともに、豪州などとの平時ACSAを通じた施設借用などの施策も検討すべきであろう。

 ただし、その際のデーター漏洩には注意が必要である。

 米国としては中ロに対する遅れを速やかに取り戻すためには、連邦累積財政赤字が30兆ドル近くに達しようとする中、他国との共同開発を必要としていることは明らかである。

 AUKUSでは米国は英豪との共同研究開発、豪州の基地や施設の利用についても協力に合意している。日本もAUKUSに準じて、米英豪等との共同開発と豪州、米国の飛行試験場の利用を進める必要があるとみられる。

⑤人材育成と日本学術会議改革

 人材育成と研究開発は大学などの高等教育機関と研究機関の役割であり、それを担っているのは学界である。

 その学術界の頂点に立つ組織が「日本学術会議」であり、年間約10億円の国家予算が投じられており会員は特別職国家公務員である。

 それにもかかわらず、一部の会員が中国の世界的なヘッドハンティング組織である「千人計画」に参加し、あるいは前述したように人民解放軍の国防七大学と共同研究を行うと言ったことがこれまで放任されてきた。

 他方で日本学術会議は創設直後の1950年以来、軍事目的のための科学研究を行わない旨の声明をたびたび発しており、防衛用装備品の研究開発に各大学の研究室や研究者が参画するのを阻害している。

 このような日本の安全保障上の死活的国益を損なう行為を行ってきた日本学術会議は、民営化するなどの改革を断行し、軍民融合を加速させている中国やそれに対抗して大学、研究機関、関係省庁の総力を挙げて軍事研究開発に取り組もうとしている米国に倣い、わが国でも、学界を含む国を挙げた研究開発体制を整備する必要がある。

 ◇

 このブログで再三指摘しているように、日本の周辺には中朝露という核保有国が存在し、かつすべて極超音速ミサイルやサイバー兵器を保有し、極めて危険な領域に位置しているのに、未だに「専守防衛」とか「非核3原則」などと言う、数十年も前の古い防衛思想から脱却できていません。

 ようやく「国家安全保障戦略」を改定にあわせ、この化石に似た防衛思想から脱却しようとしているのは評価できますが、同時に自衛隊の最大の足枷になっている「憲法9条」の改定も急がねばなりません。矢野義昭氏の提唱する、「秘密保護法」と「スパイ防止法」の制定や「日本学術会議」の抜本的改革も必要でしょう。

 そして何よりも、急変する日本周辺の安全保障環境の実態を、国民に周知させねばなりません。未だにGHQの押しつけた憲法や自虐史観にどっぷりつかって、戦力保持なき平和という夢想をむさぼっている、一定数の日本人はいます。彼等の考えに寄り添えば、早晩日本の主権はなくなってしまうでしょう。そうした人はこの際無視して、日本の危機を受け止める人を増やし、日本の抑止力を高める施策を、政府は早急に打ち出すことを願います。

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2022年1月15日 (土)

「敵基地攻撃」で中国抑止 揺らぐ米の核の中、台湾有事どう防ぐ

Maxresdefault_20220115100301  「敵基地攻撃能力の保有も含めてあらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化する」。昨年11月、岸田首相は自衛隊観閲式でこう演説しました。自衛隊の観閲式とはいえ、こう明言した首相は果たして本気なのでしょうか。

 長い間政府与党は、「専守防衛」という憲法9条の理念に基づく、およそ抑止力としては心もとない考え方を、日本の安全保障の基本に据えてきました。しかし中国の現状変更の意図が、ここに来て急速に明確になるにつれ、もう「専守防衛」などと言ってはいられない、差し迫った状況が近づいてきているのが現状です。

 そうした日本の安全保障上のリスクと課題を、産経新聞のコラム「主権回復」シリーズに寄稿された記事から、紐解いてみましょう。タイトルは『「敵基地攻撃」で中国抑止 揺らぐ米の核 台湾有事どう防ぐ』(1/13)で、以下に引用します。

 ◇

2030年、中国が核戦力で米国と肩を並べる時代が始まるかもしれない。そんな「現実」を突きつける2つの報告書が昨年11月、米連邦議会に相次いで提出された。

「中国は恐らく30年までに少なくとも核弾頭1千発を保有する意図を有している」。米国防総省は中国の軍事動向に関する年次報告書でこう指摘した。

米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」(USCC)の報告書はまた、中国が核弾頭の運搬手段となる地上発射型の戦略ミサイルの数で30年までに米国と「対等」となる可能性に言及。米国の戦略核戦力の優位が崩壊する恐れが出ていると警告した。

「核の影」。USCCの報告書には、こんな聞きなれない言葉が登場した。

米国の核の優位性が低下すると、米国は中国による米本土への核攻撃を恐れ、同盟国を守るための核使用を躊躇(ちゅうちょ)する可能性が生じる。インド太平洋地域における通常兵器の軍事バランスは、米国から中国優位に傾こうとしている。中国が米国の核を抑止できれば、地域で軍事行動をとる自由度が増すことになる。

米国の核の優位が崩壊することで地域紛争の脅威が高まることを「核の影」という。30年はその意味で、台湾統一を「歴史的任務」とする中国の習近平政権が台湾侵攻に動く危機が最も高まる時期ともいえる。

中国を手詰まりに

在日米軍や自衛隊の基地をミサイルで攻撃し、日米の制空能力を低下させた上で、台湾周辺の空海域で優勢な状況を確保し、米軍の増援排除を図る―。台湾有事では、中国がこうした行動に出ることも想定されており、日本も影響を免れない。台湾有事は「日本有事」でもある。

日本に迫る危機をどう防ぐのか。「核の影」の危険を米側に説いてきた一人、米政策研究機関「ハドソン研究所」研究員の村野将(まさし)は「射程2千キロ以上の弾道ミサイルの配備が最も効率的だ」とみる。

中国軍機の出撃拠点となる航空基地を巡航ミサイルよりも速度が速い弾道ミサイルで攻撃し、一時的に無力化させる。日米はこの間に態勢を立て直す。「そうなると中国は手詰まりになるので、緒戦におけるミサイル攻撃を思いとどまらせることにつながる。作戦妨害能力が日本の対中抑止の要だ」と村野は語る。

北朝鮮対応で議論される敵基地攻撃能力が中国にも有効となりうる。USCC報告書も、米国の中距離ミサイル配備を同盟・パートナー諸国に求めるべきだと唱えた。

時間との戦い

「敵基地攻撃能力の保有も含めてあらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化する」

首相、岸田文雄は昨年11月27日、自衛隊観閲式でこう強調した。元首相の安倍晋三すら曖昧にした表現を改め、「敵基地攻撃能力」と明言し、それ以降、前向きな発言を繰り返す。その保有は1956(昭和31)年、鳩山一郎内閣が「法理的に自衛の範囲」との統一見解を示している。

だが、与党・公明党は「理論的な可能性を肯定しても、現実の防衛装備として取らないと一貫してやってきた」(代表の山口那津男)と慎重だ。メディアなどからは戦後堅持してきた専守防衛から「逸脱」しかねないとの指摘も上がる。NHKの世論調査(2020年7月)では能力保有の支持が40%で反対が42%。国民世論も割れている。

中国は台湾侵攻能力の向上を急ぐ。議論は時間との戦いだ。防衛省関係者は「米軍との役割分担を決めて計画を作り、訓練を行う際に『敵基地攻撃能力』を明確に位置づけないと前に進めない」と漏らす。

「日本の支えがないと米国も台湾を支援できない。中国がそう自信を持てば、抑止が崩れる」(村野)。自国の安全保障を米国に頼るだけではすまされない時代が本格的に到来した。 

国境の島の危機感

日本最西端の沖縄県・与那国島は人口1700人弱の小島だ。面積は東京都世田谷区の約半分、わずか29平方キロ。島西側で海を望むと、晴天下では台湾の山並みが見える日もある。最短距離は111キロ。沖縄本島までの約5分の1だ。

「与那国が巻き込まれるのは確実だ」。昨年11月下旬、与那国町長の糸数健一(68)は産経新聞の取材に対し、台湾有事への強い危機感を語った。

島には2016(平成28)年、陸上自衛隊の駐屯地が開設され、沿岸監視隊員約170人が東シナ海で脅威を増す中国軍の動向を監視してきた。23年度までには陸自電子戦部隊約70人の追加配備が予定され、航空自衛隊の移動警戒隊も常駐を始める。中台関係の緊迫化を受けた措置だ。

昨年11月には米インド太平洋軍司令官のジョン・アキリーノが駐屯地を視察した。アキリーノは昨春、台湾有事は「大多数が考えるより間近に迫っている」と語っていた。米統合参謀本部議長のマーク・ミリーは昨年11月、台湾有事は「向こう12~24カ月はない」と指摘したが、国防総省高官は、中国軍が27年までの近代化目標を達成すれば、台湾有事で「より実効性の高い軍事的選択肢を確保し得る」との認識を示した。

中国軍に対する日米同盟の「耳と目」となる与那国島など先島諸島は、中国が台湾侵攻に踏み切れば戦域に含まれる恐れがある。

政府に対する不信

与那国町議会の議長、崎元俊男(56)によると、駐屯地開設前に強かった反対運動は「下火」になった。自衛隊誘致をめぐる当時の住民投票では賛成632票に対し、反対も445票を数えたが、20年にあった電子戦部隊配備への抗議集会の参加者は7、8人にとどまったという。

「国境・離島防衛は不可欠と(の意識が)住民に浸透してきている」。地元選出の沖縄県議、大浜一郎(59)はそう説明した。

ただ、自衛隊が部隊を増強しても駐屯するのは「守備隊ではない」(糸数)。有事の島民避難や台湾からの邦人退避、多数の避難民は町だけではとても対応できない。「国はシミュレーションをしているのか」。糸数は政府への不信感をのぞかせた。

「武力侵攻でも平和統一でも、台湾が中国に併吞(へいどん)されれば島の周りに中国軍が出没し、漁はできなくなる」。与那国町漁協組合長の嵩西(たけにし)茂則(59)の言葉は切実だ。そうなれば住民は島を離れ、日本最西端の領土は「自衛隊だけが残る国境の島になる」。

島西部の高台にある駐屯地に島に1台しかないタクシーで訪れると、警衛隊員が駆け寄ってきた。「門柱以外は撮らないで」。島に張り詰めた空気が漂う。

防衛強化急ぐ台湾

海の向こうの台湾には中国の圧力が高まっている。

防空識別圏(ADIZ)への中国軍機進入は昨年10月4日に1日当たりで過去最多の延べ56機を記録。昨年1年間の累計は延べ970機に上り、20年1年間の延べ約380機から激増した。

軍出身の台湾の国防部長(国防相に相当)、邱国正(きゅうこくせい)は、状況は「40年余りの経験で最も深刻だ」と説明。25年には中国軍が台湾への全面侵攻能力を備えるとの認識を明らかにした。

台湾は防衛強化を急ぐ。米政府によると、米国が台湾への売却を決めた武器総額は17年以降、約190億ドル(約2兆2千億円)相当。蔡英文政権は22年度国防予算を過去最高の3726億台湾元(約1兆5千億円)とし、さらに今後5年で約2400億台湾元を投じてミサイルや艦船を増強する。

台湾では少子化や徴兵制から志願制への移行で兵士のなり手が減っている。今年から予備役の増強を図り、兵士不足を補う対策も始めた。訓練に昨年参加した予備役の男性(27)は「どれだけ戦力の向上につながるか分からないが、台湾を守る意思が強まる」と気を引き締めた。

吉田茂が抱く思い

日本が主権を回復した1952年のサンフランシスコ講和条約発効から今年4月で70年。日本が問われているのは「自分の国を守る意思」だ。条約に署名し、日米同盟の下での軽武装・経済成長路線の道筋をつけた元首相の吉田茂は、63(昭和38)年出版の著書「世界と日本」でこう語り、未来の世代に期待を託した。

「(日本が)いつまでも他国の力を当てにすることは疑問であって、自らも余力の許す限り、防衛力の充実に努めねばならない」

 ◇

 日本が戦後復興を急ぎ、経済を軌道に乗せるために、他国(米国)に日本防衛の肩代わりをしてもらったのは、当時としてはやむを得ない選択だったのでしょう。しかし復興を成し遂げ、世界第2の経済大国になってからも、延々と米国の核の傘と基地の米軍にその役割を委ね、「専守防衛」の理念を持ち続けたのは、「主権国家」の体をなしていない、と言えるのではないでしょうか。

 ようやくここへ来て、政府も重い腰を上げ、国の安全保障の考え方の方向転換をしようとしているのは、歓迎されることです。ただあくまでも「主権回復」との論理的帰結ではなく、日本を取り巻く地政学的リスクがそうさせたというのには、やや不満が残りますが、ここにも戦後メディアや大学教授などの有識者が植え付けた「軍は悪」との国民意識が、根強く残っているからでしょう。

 あるテレビ番組で、若いコメンテーターが、「国防」それにつながる「軍隊や軍備」を話題として取り上げるのを、忌避してきた歴史がある、と言っていましたが、その通りで、今後はメディアでも教育でも、民間の話題にでも、「国防」を避けることなく取り上げることが、重要になってくると思いますね。


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2022年1月 8日 (土)

「敵基地攻撃能力」の要諦、「専守防衛」に浸りきった日本に必然の発想の転換

0002p1  中国習近平政権の「中国の夢」構想による、南シナ海への侵攻や香港の中国化、そして台湾の統一への動きが具体化するにつれ、日本への脅威も年々増大して来ています。

 この中国の覇権を果たして食い止めるための準備が、日本にできているのか。米軍依存はいいが、米軍が本当に日本の防衛に真剣に取り組むのか、不透明な部分は残っています。

 その中で最近にわかに浮上してきた、日本の「敵基地攻撃能力保持」の議論。今まで一貫して態度を保持してきた「専守防衛」の考えと、一線を画せるのか。そのあたりの実情を元陸上自衛隊の幹部で現在軍事研究家の樋口穰次氏が、JBpressに寄稿したコラムに見てみます。タイトルは『米軍教本が教える、敵基地攻撃なし・専守防衛の大問題 日本人はなぜ安全保障音痴になってしまったのか』(1/7)で、以下に引用します。

 ◇

日本人を軍事音痴にした戦後体制

 戦後、わが国では、先の大戦の責任の大半を一方的に軍と軍人に負わせ、問答無用の姿勢で軍事、戦略そして地政学は「悪」として断罪し、その定着化が図られてきた。

 結果として、これらの用語・概念は、長い間、政治家をはじめ多くの国民にとって、邪悪な領域として忌避され、政治、社会、学問的研究や教育などの場から排斥された。

 例えば、日本における最難関大学とされる東京大学は、「一切の例外なく、軍事研究を禁止」している。

 東京大学の研究に関する内規は、「東京大学は、第二次世界大戦およびそれ以前の不幸な歴史に鑑み、一切の例外なく、軍事研究を禁止する」と定めている。

 この内規は、平成23(2011)年3月に「科学研究ガイドライン」として情報理工学系研究科(ロボット研究室)が明文化したものである。

 軍事研究の禁止を明文化したのは同科だけであるが、東大広報課は「他の学部でも共通の理解だ」と説明している。

 このため、東大のロボット研究者たちは、米国国防省の国防高等研究計画局(DARPA)が主宰する人型ロボット(例えば、放射能漏れ事故を起こした原子炉建屋で作業するロボットへの応用)の開発に関するコンテストへ参加するため、同ガイドラインに抵触することを避ける必要から、東大を退職せざるを得なかった。

 戦前、東京帝国大学(現東京大学)には「(工学部)造兵学科」が存在したが、戦後廃止され、行き場がなくなった当時の学術資料は、現在ファナック(FANUC)社の蔵書庫で保管されているようだ。

 また、1949年に国(内閣府)の特別機関として創設された日本学術会議は、1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また1967年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」をそれぞれ発表している。

 その大本である「戦争の放棄及び陸海空軍の戦力の不保持並びに交戦権の否認」を規定した「国防なき憲法」の下では、政治家も、学者・研究者も、まして一般国民も、軍事音痴に陥るのは仕方のないことだ。

 そこで、米陸軍の『OFFENSE AND DEFENSE(攻撃と防御)』(Army Doctrine Publication No. 3-90, Headquarters Department of the Army Washington, DC, 31 July 2019、以下ADP3-90)を題材に、専守防衛を防御と対照しつつ、敵基地攻撃を含めた基本的な作戦原則を確認してみたい。

専守防衛・敵基地攻撃能力なしの問題点

 ADP3-90第4章「防御(The Defense)」の「防御の目的(PURPOSES OF THE DEFENSE)」の項では、以下の通り記述している。

 攻撃は、より決定的である一方、防御は、通常、強力である。しかし、普通、防御のみによって戦闘の結果を決することはできない。陸軍部隊は、一般的に攻撃のための好条件を作為するために防御を行う。

 この記述のポイントは、防御のみによって戦闘の結果を決めることはできないという点にあり、そのため、防御によって好条件を作為し、機を見て攻撃に転移するとしているのである。

 わが国の「専守防衛」は、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。

(参議院議員・小西洋之氏の提出した安倍晋三内閣における「専守防衛」の定義に関する質問に対する答弁書)

 すなわち、「専守防衛」が、いわゆる防御だけに限定され、攻撃あるいは逆襲を伴わないとすれば、それをもってわが国の防衛目的を達成することはできない、とADP3-90の基本的な作戦原則は示唆しているのである。

 歴代政府の統一見解は、「専守防衛」は軍事用語の「戦略守勢」と同義語のように言われるが、そのような積極的な意味を持つものではないと説明している。

 戦略守勢の場合は、必要によって敵基地や策源地を攻撃することも含んでいるが、「専守防衛」はそれを積極的に肯定していない所に重大な瑕疵・弱点があるのだ。

 また、ADP3-90第4章「妨害(DISRUPTION)」の項では、以下の通り記述している。

 防御部隊は、敵部隊の準備を混乱させる行動によって攻撃を妨害する。妨害行動は、敵偵察部隊に対する欺編や攻撃、戦闘隊形の解体、(攻撃)梯隊の分離、敵諸職種連合部隊の連携能力の妨害を含む。防御部隊は、敵の戦力集中を阻止する無効化攻撃を遂行する。また、逆襲によって敵部隊の展開を妨害する。防御部隊は、電子戦、サイバー戦や敵の指揮統制組織に致命的打撃を与えるシステムを運用し、敵の上級司令部と前方部隊を縦深にわたって分離する。(かっこ内は筆者)

 さらに、同「縦深の作戦(OPERATIONS IN DEPTH )」の項では、以下の通り記述している。

 縦深の作戦は、(敵基地・策源地を含めた)すべての作戦地域にわたって戦闘力を同時運用することである。指揮官は、縦深の作戦を計画する。そして、敵の長距離火力、継戦能力、指揮統制を妨害することによって(防御が成り立つ)条件を創出する。これらの妨害は、敵の戦力を弱め、敵の早期成功を阻止する。縦深の作戦は、敵の(攻撃)衝力の維持を妨害する。防御において、指揮官は、警戒地域と戦闘地域の前縁(FEBA)に連接する主戦闘地域(MBA)を構築する。(1・2・3番目の括弧は筆者)

 以上は、米陸軍のADP3-90が示した防御を成功に導くための条件の一例である。これらをわが国の敵基地攻撃論争に当てはめて考えると、2つのポイントを指摘することができる。

 その一つは、わが国の専守防衛政策を成功させるためには、時期的に見て「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使」するのでは遅すぎ、中国軍の行動をその準備段階から妨害する必要がある。

 2つ目は、中国軍の弾道・巡航ミサイルなどの長距離火力、兵站施設や軍事基地などの継戦能力、そして侵攻作戦を指揮統制するためのC4ISRなどの作戦・戦力重心を、マルチドメインの各種手段を駆使して攻撃・無効化することである。

 もしも、これらの要件が専守防衛政策や敵基地攻撃能力から欠落するとすれば、わが国の防衛は危いと言わざるを得ないのである。

専守防衛における攻撃能力の保持と敵基地攻撃に必要な能力

専守防衛における攻撃能力の保持

「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」によると、日本に対する武力攻撃が発生した場合、自衛隊は防勢作戦を主体的に実施し、米軍は自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦(攻勢作戦)を実施することができる、と定められている。

 つまり、専守防衛における攻撃能力については、米軍に依存する役割分担を基本としているが、それはあくまで「打撃力の使用を伴う作戦を実施することができる」のであって、実施の可否は米国・米軍の判断に委ねられているのである。(以上、下線は筆者)

 2021年8月の米軍のアフガニスタンからの撤退は、米国の軍事的コミットメントの強さや信頼性に対して国際社会の疑念が深まったことは否定できない。

 首都カブール陥落後、台湾では「米国は有事の際に台湾防衛に動くのか」との警戒感を引き起こしたように、インド太平洋地域の当事国の間では期待外れの感は否めず、落胆・不安は解消されていない。

 台湾に対する「曖昧戦略」の見直しの必要性も指摘されているが、具体的な動きは見られない。

 これらを踏まえれば、米軍の打撃力の使用を伴う作戦(攻勢作戦)実施の確約が得られていない現状において、わが国が専守防衛政策を抜本的に見直すことができない場合でも、その政策を最低限担保するには、独自の攻撃力を保持しておくことが必要不可欠である。

 なお、米軍が攻勢作戦を実施する場合は、日米共同作戦調整所における情報の共有や役割分担など、緊密な二国軍間調整に基づいて実施されることになろう。

敵基地攻撃に必要な能力

 敵基地攻撃に当たっては、長距離対地ミサイルやサイバー戦、宇宙戦などマルチドメイン作戦における全領域・全手段を総動員するのは当然である。

 目標となる海空軍基地やC4ISR等の重要インフラなどの固定施設・サイトは、偵察衛星等で事前に偵知が可能である。

 問題は、わが国にとって死活的な脅威である移動式弾道・巡行ミサイルや隠蔽秘匿された弾道ミサイルの地下式格納施設(サイロ)である。

 それらを攻撃するには、ミサイルの所在(目標情報)をピンポイントかつオンタイムで把握しなければならないからである。

 特に移動式については、今、ここに在るという確実な情報が不可欠であるが、それを偵察衛星などのハードウエアで偵知することは困難で、最後は特殊部隊や潜入工作員(例えば米国のCIA)などのヒューミント、そして長時間滞空(MALE)無人機による偵察・監視・目標標定システムなどに依存せざるを得ないのである。

 また、攻撃後の戦果の確認も大事であるが、それもまた、ヒューミントなどの出番となる。

 つまり、敵基地攻撃能力については、「目標発見→捕捉追随→攻撃→戦果確認」のサイクルをしっかり確立しなければならないのである。

 1990年1月17日に始まった湾岸戦争では、イラクが隣国のサウジアラビアやイスラエルにソ連製のスカッド・ミサイルを撃ち込んだ。

 同ミサイルは移動式のため、偵察衛星等ではその所在を掴めず手を焼いた米軍は、英軍の特殊部隊などを地上から投入し、移動式スカッド・ミサイルの位置を特定し、その誘導によって航空攻撃や砲撃等を行い、ようやく制圧に成功した。

 2021年9月、米軍がアフガン撤退直前に実施した空爆は、民間人10人の命を奪う誤爆だったと判明した。

 空爆の前に、情報機関(CIA)が標的のエリアに一般市民がいると警告したが、米軍が頼ったのは無人機(ドローン)による情報収集で、情報機関と軍との意思疎通の失敗が誤爆の原因だったと見られている。

 いかに軍事科学技術が発達しても、「戦場の霧」を晴らすには、最後は人間の力に頼らざるを得ないのである。

 わが国は、目標を発見し捕捉追随する決め手となるヒューミントの能力を欠いており、その整備が最大の課題である。

 陸上自衛隊には、2004年に創設された陸上総隊隷下の「特殊作戦群」が存在する。

 部隊の性質上、その任務や訓練の内容、保有する装備などは一切公表されていないが、アメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー、デルタフォースなど)と同様、他国における特殊偵察や直接行動、情報戦などの多様な任務を遂行することができる世界水準の特殊部隊を目指しているといわれている。

 海上自衛隊にも、能登半島沖不審船事件を機に、2001年、全自衛隊で初めて特殊部隊としての「特別警備隊」が創設された。

 海上警備行動発令下に不審船の立ち入り検査を行う場合、予想される抵抗を抑止し、不審船の武装解除などを行うための専門部隊として新編されたものである。

 同警備隊は、米海軍Navy SEALsに代表される海軍コマンドと同様に、海岸・沿岸地域の偵察や陸上における人質救出作戦などの多様な任務にも耐えうるものと見られている。

 また、航空自衛隊は、ヒューミントではないが、「長距離を飛行し、空から超高性能なカメラを使って地上の様子を分析し把握するための航空機」である「RF-4E/EJ」偵察機を保有している。

 今後、長時間滞空(MALE)無人機による偵察・監視・目標標定システムとともに攻撃型無人機(ドローン)の整備も避けて通れない。

 まずは、これらの部隊に、中国大陸や朝鮮半島において、特殊作戦に従事できる任務・権限を付与し、その目的に資するよう早急に育成することである。

 この際、敵基地攻撃は統合作戦をもって遂行されるべきであり、陸海空の特殊部隊を統合部隊として編成することも検討課題の一つとなろう。

 他方、現在の敵基地攻撃能力は、航空自衛隊が保有する「JSM(ジョイント・ストライク・ミサイル)」や「JASSM(ジャズム)-ER」の空中発射巡航ミサイルに限られている。

 しかし、航空機の運用には、航空優勢の帰趨や天候気象条件に左右されるなどの問題点や欠点があり、地上発射あるいは海上・海中発射の対地攻撃ミサイルなど、多様な手段を準備し、相互に補完・強化できるようにしておくことが重要である。

 例えば、陸上自衛隊は地対艦ミサイル(SSM)と呼ばれる巡航ミサイルを装備しているが、それを長射程化し地上・海上・空中発射型スタンドオフミサイルとして開発を進め、また、海上自衛隊の水上艦艇や潜水艦に、米軍のトマホーク巡航ミサイルを搭載するのも有力な選択肢である。

 岸田文雄政権によって、国家安全保障戦略などの戦略3文書が年内を目標に見直され、敵基地攻撃についても積極的な取り組みが行われようとしている。

 それを実効性ある戦略に高めるためには、「戦場の霧」を晴らすなど、まだまだ為すべき措置対策の多いことを重々認識し、わが国の敵基地攻撃能力のシステム構築を急がなければならない。

 ◇

 樋口氏の言を俟つことなく、日本の置かれた状況は厳しく、またそれに反して学会や識者・マスコミのなんとも「大甘」な考え方が、対照的に浮き彫りになっているのが、日本の現状でしょう。

 もし本当に中国の攻撃が日本に向けられた場合、自衛隊と国内基地の米軍だけで果たして対抗できるのでしょうか。武力だけでなく、サイバー攻撃や稀少金属などの禁輸も当然畳みかけてくるでしょう。「対話」で事が済むほど相手は甘くありません。

 ですから、樋口氏の指摘の通り、敵基地攻撃能力の早急な整備や特殊作戦部隊の大幅拡充など、抑止力としてできることは、すべてやる必要があります。またそうすることによって、日本の技術の進歩がはかられるでしょう。大学や日本学術会議の「軍事研究は排除する」取り決めなど、即刻取り払うべきです。それに抵抗する大学には補助金は一切出さないようにするのがいいでしょう。学術会議のメンバーで、それに反対するものは任命拒否するのも当然すべきです。「軍事音痴」の研究者の一掃を図ることも、岸田政権の課題だと思います。

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2021年11月21日 (日)

櫻井よし子氏:「中国核弾頭1000発の恐怖」背景には習近平が台湾併合実現を目指し毛沢東化

5c637ff62500003502c826f6  アメリカ国防省が、中国が2030年までに少なくとも1000発の核弾頭保有を目指している、と報告しました。そのうちの多くは、日本や在日米軍基地を標的にしているでしょう。極超音速ミサイルの開発も進めています。日本はどう対応していけばいいのでしょうか。

 櫻井よし子氏が、週刊新潮の彼女の連載コラム「日本ルネッサンス」の975回目に関係する記事を寄稿しています。タイトルは『中国核弾頭1000発の恐怖』(11/18)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

中国の習近平国家主席の毛沢東化、終身皇帝への道がまた一歩、確実に前進した。今月8日から開催された重要会議、第19期中央委員会第6回総会(6中総会)の最終日に当たる11日には習氏の「第3の歴史決議」を採択する。

毛沢東の「若干の歴史問題に関する決議」(1945年4月)、鄧小平の「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」(81年6月)に続くものだ。毛も鄧も決議によって自らの政治路線の正しさを明確化させ、権威を高め、権力基盤を盤石にした。「第3の歴史決議」で、習氏はまず毛、鄧両氏と並び、さらに彼らを凌ぐ絶対的高みに上る道を切り拓くと予想される。

だが、絶対的権力の確立は生易しいものではない。14億人を納得させるには、毛沢東も実現できなかった台湾併合の偉業達成が必要だ。そのために習氏は89年以来の大軍拡をさらに強化しつつある。強大な軍事力を築く一方で、台湾併合に関しては軍事力の使用を否定しない。また、台湾攻略法として、経済的圧力、サイバー攻撃、メディア支配、フェイクニュース拡散、工作員送り込みなどあらゆる手を使う。

対外強硬策は中国国民のナショナリズムを刺激し求心力を高めるが、習氏は各王朝が下からの革命で倒されてきた中国の歴史を十分に知っている。自身への絶対的崇拝を徹底させようと躍起なのは、ナショナリズムが政府への不満に転化し国民蜂起につながるのを恐れているからだ。

中国教育省は8月24日、「学生の頭脳を習近平の中国の特色ある社会主義思想で武装する」よう指示した。小学生には「全党人民の道案内人は習近平主席」であると教え、敬愛の念をこめて「習おじいさん」と呼ばせる。大人は皆、共産党を唯一の指導組織として崇め、企業は「中国共産党と一心同体でなければならない」と指導される。

14億の国民を洗脳するための一連の独善的政策は外交や安全保障政策にも通底する。外国に対しては経済力と軍事力をアメと鞭として使う。

日本も最大級の被害

中国の軍事費は日本の4倍以上となり、軍事力の差は開く一方だ。日本も台湾も存亡の危機だ。そうした中の10月1日、台湾海峡上空に中国軍機が大挙飛来した。5日までに計150機が押し寄せた。

中国の暴走などで万が一、台湾有事となれば、間違いなく日本も最大級の被害を受ける。だが、私たちは押されてばかりではない。日本を含めて多くの国が中国の軍事的脅威に対峙し、中国を抑止するために協力の構えを作っている。たとえば中国軍機群が台湾海峡上空に飛来した日と重なるように、沖縄の南西海域で日米英加蘭とニュージーランドの6か国が初の共同訓練を展開していた。

米空母の「ロナルド・レーガン」「カール・ビンソン」の2個打撃群、英国の空母「クイーン・エリザベス」打撃群、海上自衛隊のヘリコプター搭載準空母「いせ」の4空母が訓練の主体を占めた。カナダ、オランダ、ニュージーランドの艦船も含めた17隻が「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の理念を掲げて訓練した。

中国にとっては非常に不快であろう。明らかにこちら側の訓練に触発されたのであろう、習氏は中央軍事委員会を緊急招集し、直ちに台湾への圧力を強化せよと指示した。それが中国軍機の台湾海峡飛行の中でも最大規模の4日の56機の展開につながったと言われている。

ここで注目するべき点はその編制である。どんな種類の中国軍機が飛んだかを見ることで、作戦の意図が明らかになる。これまで台湾海峡上空に迫る中国軍機の中で多数を占めていたのが戦闘機だった。しかし10月初旬の大規模飛行では戦闘機や爆撃機に加えて作戦支援機である早期警戒管制機、通信対抗機、電子偵察機、情報収集機、電子戦機、哨戒機などが目立っていた(『東亜』11月号、防衛省防衛研究所地域研究部長・門間理良)。

戦闘機や爆撃機だけの飛行は実戦的ではない。爆撃機は攻撃の的になる。そのために、実戦ならば必ず戦闘機の護衛を必要とする。また現代の航空戦で勝利するには、通信を妨害したり戦闘機を効率よく運用するための早期警戒管制機などの作戦支援機が欠かせない。

つまり中国は実戦を想定して台湾海峡上空に軍機団を送り込んだということだ。日米をはじめこちら側も共同訓練を重ね、抑止力を高めつつある。一方、中国も飽くまでも強気なのである。

全地球をカバー

米国防総省が11月3日、「中国の軍事・安全保障動向に関する報告書2021」を公表した。2030年までに中国は少なくとも1000発の核弾頭保有を目指していると報告された。現在、各国保有の核弾頭はロシアが6255発、米国が5550発、中国は350発とされている。そうした中でこの1000発という数が何を意味するのかを知っておかねばならない。国家基本問題研究所企画委員の太田文雄氏が語る。

「中国はこれまでのカウンターバリュー(対価値)の戦略をカウンターフォース(対軍事力)のそれに変えたと思います」

カウンターバリューとは、ある国の大都市、たとえば米国ならニューヨークやワシントン、シカゴなどを核攻撃することで、政治的にそれ以上の戦争続行を許さない状況を作り出す戦略だ。他方、カウンターフォースは、たとえば米国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の収納サイロを攻撃する戦略だ。ミサイルの精度を高めることで正確に軍事施設を破壊できるため、一般国民の犠牲を減らし、国際社会の非難も和らげることができるという考え方だ。

中国は昨年6月に航法衛星北斗で全地球をカバーできるようになり、ミサイル攻撃の精度を上げた。全米には多数のICBMが多数のサイロに収納されている。それらを封じ込めるためにはより多くの核兵器が必要となる。それが中国の目指す1000発だと、太田氏は指摘する。

中国が核戦力において米国と並び、かつてない程の脅威となれば日米、欧州諸国は大いに苦しむことになるだろう。米国は中露両国と対峙しなければならない事態も起き得る。その場合私たちの状況は想像を超える厳しいものとなりかねない。

そんな状況に追い込まれないように、最大限の知恵を働かせて流れを逆転する時だ。その第一歩は、何としてでも日本国の軍事力を強化することだ。次に沖縄、台湾を守るために、日米協力を飛躍的に強化することだ。第一列島線に中距離ミサイルを配備する。非核三原則を二原則にして、そのミサイルへの米国の核搭載に踏み切る議論を進めよ。

 ◇

 日本はこの核大国中国の台湾侵攻に巻き込まれないようにしようとしても、日米同盟がある限り巻き込まれるのは必至でしょう。そうなれば日本は極めて困難な国防の試練に立ち向かわなければなりません。習近平が毛沢東化を目指せば目指すほど、台湾侵攻は現実のものとなるでしょう。

 従ってそれを阻止するには、台湾侵攻は極めて危険だと言うことを、中国に思い知らさなければなりません。ところが人権に関し極めて関心の薄い中国共産党、そのトップの習近平にとって、自国民の人的被害は大して気にしないかも知れません。

 かつて毛沢東が「核戦争になっても別に構わない。世界に27億人がいる。半分が死んでも後の半分が残る。中国の人口は6億だが半分が消えてもなお3億がいる。われわれは一体何を恐れるのだろうか」と言ったそうですが、毛沢東化を目指す習近平は、台湾侵攻で多くの犠牲が出ても気にしないということは、全くあり得ないことではないでしょう。

 そうなれば人的被害をもっとも恐れる西側諸国にとって、全くやっかいな戦いに引き込まれることになります。櫻井氏の指摘の通り、日本の軍事力の強化や日米同盟の深化や非核三原則の「持ち込ませない」を破棄は重要ですが、このモンスターとなりつつある中国をどう押さえ込むか。中国国民の覚醒手段も含め、今後民主国家グループの知恵と行動力が試されていると言えます。

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2021年11月19日 (金)

防衛費2%超で、まず補うべき日本の「知られざる弱点」

5_20211118172901  自民党の高市政調会長が、政策の一つとして主張している防衛費のGDP2%。保守派以外の議員からは疑問も持たれているようですが、2%にしても世界標準に近づくだけです。主要国で2%を切っているのはドイツと日本だけで、サウジアラビアの8%超を筆頭に、ロシア、アメリカ、インド、韓国など、2%をかなり上回っています。(中国は正確な統計がありません)

 ところで日本が仮に2%に増大させるにしても、課題があるようです。軍事評論家の数多久遠氏が、JBpressに寄稿したコラムから、その詳細を引用します。タイトルは『防衛費2%超で補うべき日本の「知られざる弱点」 ホームランド・ディフェンスのために日本にも「カラビニエリ」を』(11/17)です。

 ◇

 自民党は、防衛費をGDP比2%に引き上げる倍増案を方針として掲げています。

 2%という数字は、2020年に米トランプ政権のエスパー米国防長官が、日本を含む同盟国に「国防費をGDP比で少なくとも2%に増やしてほしい」と表明したことがベースになっていると思われます。このことをもって、即外圧だと非難する向きもありますが、アメリカとすれば、国防費の少ない同盟国は、安保にただ乗りする寄生虫のようにも見えているかもしれません。

 国防長官という政治のレベルでは2%という数字で語られますが、この数字が某大臣のように「おぼろげながら浮かんできた」などということはないはずです。国防総省内で同盟各国の戦力を分析し、必要かつ可能だと結論づけられていたのでしょう。ただしその分析は公開されていません(そんなものを公開したら内政干渉だと騒ぐ人もいるでしょう)。

 この防衛費倍増案に反対するメディアの中には、装備費を引き上げただけではムダ使いのオンパレードになる上、現在でも隊員の充足に苦労しているように、定員増を図ることも容易ではないとして、倍増は不可能だと非難する声も聞かれます。

 しかし、筆者としては可能だと考えていますし、当然必要だとみています。以下では、防衛費増額の相当部分を必要とするであろう自衛隊の不足機能について考えてみたいと思います。

 さて、本論に入る前に、クイズを出しておきます。超基本的なクイズですが、自衛官でも結構な確率で間違えるクイズです。

 自衛隊の任務は何でしょう?

 答えは、自衛隊に不足している機能に関係しています。

自衛隊に不足する「ホームランド・ディフェンス」能力

 米軍関係者が自衛隊の能力を評価すると、総じて高い評価を与えてくれますが、一部の能力に関しては極めて低評価となります。その1つが、敵基地攻撃能力です。これを増強するためにも防衛費の増額が必要になりますが、この記事では別の能力について注目したいと思います。

 それは、「ホームランド・ディフェンス(Homeland defense)」と呼ばれる能力です。

 日本語に直訳すれば「国土防衛」となるかと思いますが、軍事の世界で言われるホームランド・ディフェンスは単に国土防衛と訳すことが不適切なため、ここでも「ホームランド・ディフェンス」と書くことにします。

 ホームランド・ディフェンスは、主権、領土、国内人口、重要なインフラを、外部からの脅威や侵略、その他の脅威から守ることです。

 アメリカの場合、軍を統括する国防総省がその任を負っていますが、ホームランド・ディフェンスにはその他の省庁も関係するため、それら各省は国防総省を支援することになっています。

 なお、ホームランド・ディフェンスに近い言葉で、「ホームランド・セキュリティ」というものもあります。アメリカの場合、こちらは国土安全保障省が担当省となります。両者は密接に関係しますが、ホームランド・セキュリティの方が少し広い概念です。

「自衛隊のホームランド・ディフェンスに関する能力が低い」など何ということを言うのだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ホームランド・ディフェンスが対処するべき脅威は、自衛隊が“主に”対処しようとしている脅威とは若干異なります。ホームランド・ディフェンスが対処すべき脅威は、テロや災害、それに暴動などです。もちろん、これらの脅威に対しても自衛隊は訓練を行っています。災害派遣にも積極的です。しかし、脅威の量に対して絶対的に駒が足りません。

 以下では、自衛隊がホームランド・ディフェンスにおいて備えるべき組織や戦力、装備について確認します。

台湾侵攻で中国が日本に仕掛ける支作戦

 近い将来に発生する可能性のある、日本が関係する危機の中で最も可能性が高いのは中国による台湾侵攻でしょう。軍事作戦では、主作戦の他に、主作戦をやりやすくするための支作戦がしばしば行われます。ここで考えなければならないのは、中国による支作戦です。

 台湾侵攻が発生した場合、台湾軍と共に、米軍、特に在日米軍が台湾防衛の主力となります。そして、日本と自衛隊にも台湾と米軍への支援が求められるでしょう。ただし、もし日本が中立姿勢を取るのであれば、米軍機が在日米軍基地から発進し、戦闘することは認められません。艦艇への補給も同様です。在日米軍が台湾防衛の主力の一部となるということは、台湾防衛の成否が日本の姿勢にかかっていると言っても過言ではないと言えます。

 中国が米軍や日本による台湾支援の阻止を意図し、支作戦を実施する時、先島を中心とした沖縄に攻撃し、自衛隊と戦闘する可能性もあります。けれども、もっと容易で効果的な作戦があります。それは、日本国内での破壊工作です。

 工作員を送り込む、あるいは国防動員法により日本国内に居住している中国人を工作員化することで、破壊工作を行う可能性は高いと思われます。この場合、銃くらいは与えるかもしれませんが、大した装備は必要ありません。たとえば電気を遮断するのであれば、警戒されている発電所を避け、送電線や変電所を攻撃します。解体工事などで使用されているガスバーナーを使い、田んぼの真ん中にある鉄塔を切り倒すことで送電線を切ることができますし、無人の変電所で火災を起こすことも容易です。

 ガスや水道も、設備に放火されると復旧するまでに多大な時間を必要とします。鉄道も同様に、変電設備などへ放火すれば容易に止められます。1カ所では、さほどの日数を要することなく復旧できますが、複数の変電所が破壊された場合、鉄道は長期にわたって止まってしまいます。

 道路も、高速道路の高架でタンクローリー事故を起こさせれば、かなりのダメージを与えられます。2008年に首都高5号線で発生した熊野町ジャンクション火災事故では、仮復旧までに5日、本格復旧までに2カ月半を要しました。こうした事故が複数箇所で発生すれば、東京の物流は麻痺状態になることでしょう。通信も、マイクロ送信設備の鉄塔を倒すか、設備に放火することで遮断できます。

 電気、ガス、水道が止まり、電話も通じず、食料品が配送されなくなることでスーパーから商品がなくなった時、それでも日本国民は台湾支援を良しとするでしょうか。太平洋戦争当時であれば、都内でもかなりの野菜が生産されていました。しかし、都市化が進み、我々の生活には都市インフラが必須になっています。すぐに生活が成り立たなくなるでしょう。国民がこれに耐えられるとは思いません。

根本的に不足している人的な戦力

 現状では、こうした破壊工作に対してまずは警察が警戒することになりますが、治安出動などの発令により、自衛隊が警戒にあたることも可能です。ですが、上記のような攻撃が行われる場合、警戒しなければならない施設は膨大な数になります。警察は、通常の仕事もあるため、こうした対処に当たれるのは機動隊くらいです。

 陸自が本年(2021年)9月15日から大規模な陸上自衛隊演習を続けているように、自衛隊は中国による台湾侵攻が行われれば、多くの部隊は沖縄九州方面に機動して、破壊活動ではなく軍によるもっと直接的な支作戦、先島や沖縄本島に対する攻撃への警戒に当たらなければなりません。

 それに、そもそも陸自は約18万しかいないのです。中国による破壊活動は日本各地で行われる可能性が考えられるため、東北や北海道でも警戒が必要です。47都道府県に戦力が分かれることを考えれば、陸自の人的戦力は単純計算で各県4000人にも届きません。そして多くが機動してしまうため、各県に残る戦力はその一部しかありません。さらに常時警戒が必要な上、夜間の方が危険度が高いことも考えれば、交代で任務に就く必要があるでしょう。現場で警戒に当たることのできる人員は、各県とも数百人程度に留まります。この人数では、原発、政府、地方自治体施設など極めて重要な施設しか警戒できません。

 ホームランド・ディフェンスに当てられる主として人的な戦力が、根本的に不足しているのです。このため、米軍関係者は「難あり」と評価することになります。

ホームランド・ディフェンスを任務とする各国の組織

 アメリカの場合、いわゆる米軍として認識されているアメリカ連邦軍ではなく、「州兵」あるいは「州軍」とも言われる“National Guard”が主にホームランド・ディフェンスを担っています。

 州兵には、陸軍州兵と空軍州兵があります。9.11アメリカ同時多発テロ事件の際、最初にスクランブル発進したのはオーティス空軍州兵基地のF-15でした。空自が行っている対領空侵犯措置にあたる活動も空軍州兵が担っているのです。

 そして、上に挙げたような地上での破壊活動に対処するのは約33万人の陸軍州兵となります。日本の人口は、アメリカの約3分の1です。アメリカと同等のホームランド・ディフェンス戦力として州兵同等の組織を整備するのであれば、11万人の戦力を置いても良いはずです。

 しかも、アメリカ本土は、脅威となる国から離れています。それでも、これだけの警戒をしているのです。日本は、台湾進攻が行われた場合には、最前線の一歩後ろです。アメリカ本土よりも、よほど警戒が必要でしょう。

 アメリカ連邦軍は、戦闘が発生すれば、機動し、本土から遠く離れて戦います。州兵は国外に駆り出される(湾岸戦争など)こともありますが、基本的には、いついかなる時でも郷土にあって警戒にあたります。ホームランド・ディフェンス戦力として担保されているのです。

 アメリカの州兵以外にも、いわゆる国防軍とは別に、ホームランド・ディフェンスを任務とする組織を持っている国は多くあります。

 イタリアの「カラビニエリ」は、国家治安警察隊、国家憲兵、軍警察などとも訳され警察的活動を行いますが、軍(l'Arma)と呼ばれることもあるように、軍と警察の中間的存在です。イタリアの人口は日本の半数ほどですが、カラビニエリだけでも、11万もの兵力があります。フランスの国家憲兵隊も、カラビニエリに近い組織です。

 以前のロシアなど、内務省軍と呼ばれる組織として、国防省などではなく、内務省の指揮を受ける軍として編成されている国も数多くあります。それぞれの国情によって任務や編成が異なりますが、ホームランド・ディフェンスを担う組織として、国防軍とは別の軍組織を持っていることは珍しくないのです。

自衛隊の任務は何か

 さて、ここで冒頭クイズの答え合わせをしたいと思います。

 自衛隊の任務は何でしょう?

 この問いに「国民の生命と財産を守る」と答える人は多いでしょう。自衛官にも少なくありません。

 ですが、これは間違いです。自衛隊の任務は「平和と独立を守る」です。正確には、自衛隊法第3条第1項に「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」と規定されています。

 ホームランド・ディフェンスに該当するのは「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」という部分です。これは、治安出動を行うための記述だと理解されています。任務に含まれてはいますが、「必要に応じ」とあるように常に課されている任務ではありません。

 歴史を振り返ってみましょう。

 1950年に朝鮮戦争が勃発し、日本国内に駐留していたアメリカ占領軍が日本を空けることになりました。そのため、GHQは日本政府に「警察予備隊」の編成を命じます。警察予備隊の任務は、警察予備隊令に「治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動する」と定められていました。

 2年後の1952年、警察予備隊は「保安隊」に改められます。保安隊時の任務は、保安庁法に「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護する」と定められていました。

 歴史的にみると、ホームランド・ディフェンスだけが任務でしたが、警察予備隊から、保安隊、自衛隊へと変わる中で、国防の任が付与、主任務化され、それまで本業だったホームランド・ディフェンスが付加的(予備的)任務となったのです。

 その理由には、警察と防衛庁(当時)の縄張り争いなど、いろいろな要素がありましたが、日本の場合、警察力が優秀だったこと、および戦後は他国と本格的な衝突をすることがなかったため問題が顕在化せずに済んでいたのです。しかし、中国による台湾侵攻は、現在極めて憂慮すべき情勢にまできています。支作戦として日本国内での破壊活動が行われる可能性を、本気で警戒しなければなりません。

自衛隊とは別組織として編成を

 筆者としては、州兵やカラビニエリのよう現在の自衛隊とは別組織として、ホームランド・ディフェンスを担う組織を編成するべきだと思っています。その最大の理由は、別組織を作らず自衛隊の規模を拡大するのでは、人の確保ができないからです。

 もちろん、別組織にする場合でも、何万もの組織を一朝一夕に作ることはできません。相当苦労することになるでしょう。しかし、州兵などを参考にすれば、現在の自衛隊よりも募集を容易にすることは可能です。「県外への転勤なし」「営内(駐屯地や基地の内部)居住の必要なし」といった、自衛隊とは異なる条件で組織を編成できるためです。遠方への転勤や営内居住は、誰にとっても敬遠される条件となります。また、災害派遣での主力ともなるため、人助けをしたいという人にもアピールできるでしょう。

 こうしたリクルートの結果、今以上に自衛隊の募集が難しくなる可能性はあります。しかし、防衛費の増額が前提であれば、その分、自衛隊を給与や待遇面で優遇しても良いと考えます。アメリカの軍人は、自衛官と比べればはるかに好待遇です。

 アメリカでも、連邦軍と州兵では格の違いがあります。映画『ランボー』でやられ役だったように、装備面でも技量的でも州兵は連邦軍よりも下です。しかし、役割を考えればそれで問題ありません。装備の面では、高性能高価格な装備(ハイ)と低性能安価な装備(ロー)を組み合わせるハイローミックスが行われることがありますが、組織面でハイローミックスを行うということです。

 別組織として編成する場合は、その指揮や性格も、自衛隊とは異なるものにすることが可能です。そして、そこにメリットも生まれます。筆者としては、警察権も持つ方が効果的な組織になるため、カラビニエリのようなものの方が効果的だと考えます。しかし、左派マスコミが「特高の復活」などと騒ぎそうですし、何より高度な訓練が必要になり、ローになりません。その点を考慮すれば、州兵のような形態の方がよいかもしれません。

 ただし、警察権も付与するか否かにかかわらず、平時の指揮に関しては、防衛大臣の下に置くのではなく、州兵が州知事の指揮を受けているように、都道府県知事の指揮を受ける現行の警察のような形態が望ましいでしょう。知事の中には、都道府県民の生命や財産を守ることは国の責任であるかのように考えている方もいるように見受けられます。ホームランド・ディフェンスを担う組織を都道府県知事の指揮下として知事の責任を明確にすれば、現在のような無責任な態度はとれなくなるでしょう。

 逆に、警察を大幅に増強するプランもありますが、破壊工作に対して、警察官として、つまり警察官職務執行法の範囲で対処することは効果的ではありませんし、危険です。警察権を持つ組織とする場合でも、カラビニエリのように軍として動ける組織にするべきです。

必要な組織の規模と予算は?

 ホームランド・ディフェンスを担う組織を新たに立ち上げた場合、費用はもちろん規模に比例します。アメリカの場合、連邦軍は予備役を除き48万人、それに対し陸軍州兵は33万人です。人数比では約70%となります。イタリアの場合、正規陸軍11万に対し、カラビニエリも11万です。逆の例を出すと、イギリスのようにホームランド・ディフェンスのための組織を持たない国もあります。

 組織の性格や国情によるため、我が国での適正規模を見積もることは困難です。そこでここでは仮に、人口が日本の半分であるイタリアのカラビニエリと同規模として考えてみましょう。

 すると人数は約11万です。この数字は、偶然ですが、アメリカとの人口比で州兵相当とした場合と同じです。装備は、自衛隊ほどの重火力は必要がないため、整備費用は、規模の割には少なくて済むものの、当初は施設の建設費用なども必要となるため、当分の間は人数比で考えれば自衛隊と大差ない費用が必要になるでしょう。

 11万は、予備役を除く自衛隊の44%に当たります。この規模のホームランド・ディフェンスを担う組織を立ち上げれば、防衛費は現行の140%ほどになるでしょう。敵基地攻撃能力を高めるための新たな装備品などを購入するなどすれば、防衛費は倍増することになり、GDP比2%に迫るものと思われます。

 アメリカの要求と自民党の方針は、決して根拠のない数字ではないはずです。

(結論)ホームランド・ディフェンスを担う新組織を編成すべき

 筆者はかねてからホームランド・ディフェンスの能力を高めるべきだと考えていました。しかし、防衛費の大幅増額など望むべくもないと思っていました。そうなると、スクラップ・アンド・ビルドしかありません。2013年末に発表された防衛計画の大綱では、戦車の大幅な削減が打ち出されましたが、筆者はそれ以前から、戦車などを削減してホームランド・ディフェンスの能力が高い普通科を増強するべきだと主張していました。

 今後、本当に防衛費が倍増され、GDP比2%もの防衛予算が確保されるのであれば、まだ使用可能な戦車などを廃棄することなく、ホームランド・ディフェンスの能力を高めることができるでしょう。

 実際に防衛費が倍増されるかどうかは不透明ですが、もし可能であれば、敵基地攻撃能力などだけではなく、カラビニエリや州兵のようなホームランド・ディフェンスを担う新組織を編成すべきだと考えています。

 ◇

 2020年末現在、日本に中長期に滞在している中国人は77万8112人(194国中1位)です。 そのうち永住している中国人やその家族は29万1603人(2位)であり、それ以外の中国人が52万2072人だそうです。中国が国防動員法を発令した場合、国内在住の中国人がすべて破壊活動に参加しなくても、膨大な数の中国人がもし本当に破壊活動を行えば、11万人のホームランド・ディフェンス要因がそれを阻止できるのでしょうか。

 数多氏の提言は非常に貴重だと思いますが、現実には国防動員法を発令への抑止力を高めるしかないでしょう。もっとも日本国内にいる中国人が、アルカイダやIS、タリバンのようなテロや破壊活動を行えるか分かりません。

 可能な手段としては、中国がもし国防動員法を発令しようとするならば、在日中国人のすべてを国外退去にすると言って、中国に事前に申し入れることでしょう。その場合、日本で自由を経験した中国人の中の多くが、強制送還を拒否して国防動員法に従わないようになれば、一つの解決策にはなります。

 いずれにしても台湾有事にならないことが一番です。そのためには自由主義陣営が強く結束して、中国に対し経済や軍事の抑止力を働かせることでしょう。それはともかく、数多氏の提案の通りホームランド・ディフェンス組織を作るべきかも知れません。ただ平和になれきった日本国民が、その組織に応募するか、少し心配な点は残りますね。

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2021年11月14日 (日)

国家主権の概念なき「専守防衛」では国民は守れない

2e3f6434ec303d62d72d26a22690f1b3  日本の国防は「専守防衛」を基軸としていると聞きます。「専守防衛」は、オックスフォードランゲッジの定義によると「先制攻撃を行わず、相手国の攻撃を受けてから自国領土またはその周辺で、必要な軍事力を行使して守備と防衛に徹すること」とあります。

 私はこの「専守防衛」は、もし相手の攻撃を受けたとき、致命的な打撃を負ったらどうするのか、勝てないどころか対等な戦いもできない、と思います。しかも今やミサイルやサイバー攻撃の時代、「専守防衛」など意味がなくなっていると思います。

 産経新聞のコラムに、この件について、前統合幕僚長の河野克俊氏の見解が記述されていますので以下に引用します。タイトルは『「国家の品格」落とす専守防衛』(11/10)です。 

 ◇

9月の自民党総裁選では安全保障の問題が比較的活発に論じられ、なかでも「敵基地攻撃」をキーワードとする論争が展開された。だが、賛否両論が交錯し、結局、どのような形で実現するのか確たる方向性は見えてこなかった。

その後の衆院選でも状況は変わらないなかで「その前に考えておくべき重要な問題がある」と、前統合幕僚長の河野克俊氏が唱えていることを知り、さっそく話を聞いてみた。

河野氏は「専守防衛の見直し」が重要であるとずばり指摘する。専守防衛は戦後の防衛政策の背骨のようなもので、日本の抑止力の強化を妨げる弊害をもたらしてきた。防衛省のホームページや防衛白書などあらゆるところに「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則(のっと)った受動的な防衛戦略の姿勢」と今も書かれている。

「専守防衛は憲法9条にはひと言も書かれていない。憲法の精神を受けて専守防衛にするということでやってきたが、政府は日本の国民を守らなければならない。日本がやられるまで攻撃しないというのは、本当に正しいのか。行き過ぎではないか」と河野氏は指摘する。また、専守防衛を厳格に解釈し、これを日米同盟のあり方にまで落とし込んできたことにも河野氏は危惧を示す。自衛隊は防御専門で米軍は他国への攻撃を担う「盾と矛」の役割分担のままでよいのかという問題意識である。

今こそ本音の議論

「攻撃はアメリカにお願いします、日本は汚れ仕事はやりませんというのは、国家の品格にかかわる。そのことを誰も不思議に思わないのはおかしい」

政府・与党内では、北朝鮮のミサイル発射などを受けては「敵基地攻撃」が議論に上る。専守防衛で日本の防衛政策が狭く解釈されてきた中でも、さすがに「日本人は野垂れ死にしてもよい」とは言えず、政府はこれが憲法上も認められると解釈してきた。ただ、あくまで例外的なケースと位置づけ、「やれるけれど政策的にはやらない」ということでその具体化は先送りされてきた。

また、敵基地攻撃の議論が起きると「攻撃はいつ正当化されるのか」「敵が燃料を注入しはじめたときか、半分くらい入ったらよいか」などと、自衛隊の戦術のレベルにもかかわる話が国会内外で盛り上がり、時間の経過とともに沈静化する。その繰り返しだった。

河野氏は「憲法の精神は本当にそういうものなのか。日本を守るために米国に攻撃を頼むということは、日本は攻撃の必要性を認めているということ。つまり、攻撃力が必要なことは知っている」と語る。常識的で本音の議論を求めている。

Large_210317_f4_01 専守防衛は自衛隊が「必要最小限の防衛力」という制約の下で活動するため、もっぱら国会対策、野党対策として用いられる概念だった点も大きい。昭和40年代に導入されたF4戦闘機(左図)は「長い航続距離は周辺国に脅威を与える」との異論があるため、空中給油装置が取り外された。いったい誰のための専守防衛か、という疑問は古くからある。

国家戦略改定時に

昨年末、敵の射程圏外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力の強化」が閣議決定された際、安倍晋三元首相が検討を求めた敵基地攻撃能力の保有にはあたらないと説明され、自衛隊員の安全確保と効果的な攻撃阻止が目的に挙げられた。戦闘機乗員の危険を低減するのは当然としても、攻撃能力の向上はあまり強調されず、しかもそれが中国の脅威に対処するためだと明確に説明されているわけではない。ここでも、空中給油と同様に「周辺国」への過剰な配慮がうかがえる。

専守防衛が抑止力を妨げることで、より多くの国民の生命が失われかねない。そのことに責任を負う意識を政治家は持っているか。そこが問われている。

「日本としてここまで攻撃力を持ちますということを議論すべきではないか」との観点から、河野氏は国家安全保障戦略の改定とともに専守防衛の考え方を整理すべきだと述べる。

岸田文雄首相は平成27年の「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)の策定に外相としてあたった。安全保障環境の悪化や日米が共同対処する重要性はよく理解しているだろう。憲法改正に臨む原点として、国民を守る政治のありようを示してほしい。

 ◇

 剣道でもボクシングでも、相手が攻撃してくるまで攻撃しなければ、一撃でメンやドウを決められたり、強烈なフックを決められたり、始めから負けることを前提での試合になるでしょう。しかもこちらが先に攻撃しませんよ、と相手に分かっていればなおさらです。

 こんなことは子供でも分かるはずの理論でしょう。「専守防衛」は占領政策の中からできあがった、「もう二度と連合国には楯突きません」と誓わせた、日本弱体化の負の遺産だと思います。憲法9条と共にこの「専守防衛」を捨て去らなければ、河野氏の言うとおり「国家の品格」つまり「国家の主権」の放棄につながるものだと強く思います。

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2021年11月12日 (金)

中国の核戦力増強と極超音速ミサイルの脅威 日本の対応は

2_20211112082701  最近、軍の装備で注目を集めている極超音速ミサイル。中国はこの開発を続けており、発射実験も繰り返しているようです。このミサイルは冷戦期に米国と旧ソ連が封印してきた同種のミサイルの発展系で、迎撃は不可能という恐怖の兵器です。

 その概要を産経新聞のコラム「中国的核心」のライター、前中国総局長の西見由章氏の記事から引用します。タイトルは『冷戦期の〝禁じ手〟で核戦力増強 極超音速兵器と融合』(11/10)です。

 ◇

中国共産党系の環球時報の胡錫進編集長は昨年5月、「米国の戦略的野心を抑止」するために核弾頭を短期間のうちに千発まで増やさなければならないとSNSで訴えた。実現すれば推定3倍増だ。当時、北京の日本人外交官の中には「もしこれが中国当局の(反応を見るための)アドバルーンで、戦略的な変更の試みならば日本の安全保障にとって絶対まずい」と危機感を持つ人もいた。

杞憂(きゆう)ではなかった。

中国はいま、米国とロシア(旧ソ連)が危険すぎるために冷戦時代から互いに封印してきた〝禁じ手〟の核兵器技術まで使って、米国に対する核抑止力を一気に高めようとしている。

撃墜不可能

「米当局者の認識をはるかに超える驚異的進歩だ」。英フィナンシャル・タイムズ紙は10月、中国が核弾頭を搭載できる「極超音速兵器」の発射実験を今夏に2回実施したと報じた。同兵器は標的を約40キロ外れたものの、地球の周回軌道に乗っており米の情報機関を驚かせたという。

極超音速兵器は滑空体(HGV)と巡航ミサイル(HCM)の2種類がある。今回実験が行われたHGVは弾道ミサイルで打ち上げられた後、宇宙空間で切り離されて大気圏に再突入する戦略兵器だ。放物線を描いて落下する大陸間弾道ミサイル(ICBM)とは異なり、マッハ5以上の極超音速で自由に運動しながら水平に滑空するため、現在の米国のミサイル防衛(MD)では撃墜不可能とされる。

極超音速兵器は米国や中国、ロシア、北朝鮮などが開発競争を繰り広げているが、すでに実戦配備しているのは中露だけだ。中国は2019年10月に北京で開催した建国70周年の軍事パレードで、HGVを搭載した射程約2500キロのミサイル「東風(DF)17」を初披露した。パレードに登場する兵器は実戦配備しているものがほとんどで、極超音速兵器の実用化をアピールする狙いがうかがえた。米国防総省は今年11月に発表した中国の軍事力に関する年次報告書で、DF17が20年に実戦配備されたと指摘している。いずれにせよ中国の極超音速兵器がすでに作戦能力を持っていることは間違いない。

そうした中で行われた今回の中国の発射実験。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は米テレビで、1957年に旧ソ連が史上初の人工衛星打ち上げに成功して全米に衝撃を与えた「スプートニク・モーメント」を引き合いに出し、「それに近い」と憂慮を示した。

米国の技術開発が中国に大きな後れを取っているという声が米軍関係者に広がる中、今回の中国の実験について「技術的なブレークスルー(飛躍)はさほど大きくない」と指摘するのは笹川平和財団の小原凡司(おはら・ぼんじ)上席研究員だ。

中国が実験したのは旧ソ連が60年代から開発していた「部分軌道爆撃システム(FOBS)」に近いとみられる。ミサイルを周回軌道上に投入して長距離を移動させ、攻撃の前に大気圏に落下させる仕組みだ。こうした旧技術とHGVを融合することで、極超音速兵器の射程は理論上無限になり、地球のどこでも攻撃することが可能になる。

小原氏によれば、ICBMなどは発射の兆候があれば弾道計算によって核報復攻撃の可否を決定することができる。しかしミサイルをいったん周回軌道に乗せて落とすFOBSの場合、どこから落ちるのか分からない〝奇襲〟となり、着弾地点を割り出すのは困難になる。

しかも理論上はどの方角からも攻撃できるため、ロシアや中国、北朝鮮などの弾道ミサイルを想定して米国が北側に配備したMD網をかわし、南側から攻撃するのが可能だ。

米ソは禁止で合意

ただ米ソは79年に調印した第2次戦略兵器制限交渉の中でFOBSを禁止することに合意した。「互いに攻撃のインセンティブ(動機付け)が高まる非常に危険な技術だと認識されたため」(小原氏)だという。中国は、この冷戦時代の〝亡霊〟をよみがえらせようとしている。

このように中国が漁夫の利を得る構図は、トランプ米政権が2019年に米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約を失効させるまで、中国が条約に加盟していない利点を生かして中距離弾道ミサイル開発を独占し、米海軍を排除する「接近阻止・領域拒否」戦略の礎にしてきたことを彷彿(ほうふつ)させる。

中国外務省は今回の実験報道について「宇宙船の再利用実験だ」とシラを切ったが、額面通りには受け取れない。HGVが軌道を周回している段階では核兵器を搭載しているのかどうか、あるいは攻撃の意志があるのかすら不明確だ。ぎりぎりまで相手が反撃するのをためらうこの兵器の性質上、打ち上げは平和的な宇宙実験だと言い張り続けることが、自国にとって有利だと判断している可能性もある。

中国が核戦力を増強させる決意は固いようだ。米メディアは今年6~7月、中国甘粛省に核弾頭搭載の弾道ミサイルの地下格納庫(サイロ)が119カ所、新疆(しんきょう)ウイグル自治区にも110カ所がそれぞれ建設されていると相次いで報じた。先の米国防総省の年次報告書は、中国の核弾頭保有数が30年までに少なくとも千発まで増えそうだと分析している。

中国が極超音速兵器の開発や核弾頭数の拡大によって核戦力を一方的に増強した場合、米国の抑止力と「核の傘」の実効性は弱まり、日本の安全保障を大きく揺るがすことになる。

中国の極超音速兵器は台湾も狙っている。同兵器はもともと、米国が冷戦終結後に「使える戦略兵器」として開発を進めてきた経緯がある。核兵器は使用のハードルが高いが、極超音速兵器は核弾頭を搭載しなくてもピンポイントの長距離打撃能力がある。中国は近海や太平洋上に展開する米艦隊や米軍基地、さらには台湾本島を極超音速兵器の標的にすることで、台湾への武力侵攻に利用する可能性もあるのだ。

台湾海峡をめぐる米国と中国との緊張が長期化する見通しの中、中国は日本に対しても台湾問題に深入りしないよう軍事的に威嚇している。10月に中露海軍の艦艇計10隻が日本列島を周回した際、中国の官製メディアはこうした軍事作戦の常態化を宣言した。日本の有識者の間では、海上自衛隊艦艇も台湾海峡を通過すべきだとの主張のほか、日本が領海を〝放棄〟している津軽海峡など5つの特定海域の見直しを求める声もある。

中露艦隊の津軽海峡共同通過問題

中露の艦隊は10月18日に津軽海峡を通過し太平洋に出て、同22日には鹿児島県沖の大隅海峡を通って東シナ海に入った。この際、日本の排他的経済水域(EEZ)を通過しており、中国国防省は「国際法の関連規定を厳格に順守した」と強調した。実際、1982年に採択された国連海洋法条約は、EEZについて公海と同じ「航行・飛行の自由」を認めている。

一方で中国は、台湾海峡のEEZを米軍などの外国軍艦が通過することに対して「挑発」「内政干渉」などと非難してきた。国際法上、ダブルスタンダード(二重基準)を使い分けている形だが、海自艦艇は政治的配慮から台湾海峡を通過していない。

「日本側が台湾海峡を通らないことのほうが問題だ。行動しないということは国際法上、相手の言い分を認めたことになる」と指摘するのは海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二元海将だ。海自艦艇による台湾海峡の通過こそが日本の現実的対応であり、「日本は海洋国として国際法を機能させるためにもやらないといけない」と訴える。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で、台湾海峡が「政治・軍事的に世界で最も緊張している地域の一つ」であり津軽海峡とは異なると主張。米国とその同盟国の軍艦が台湾海峡を通過しているのは中国大陸に向けた「示威」であり、中露艦隊の「無害通航」とは違って「有害」だと強弁した。

しかし国連海洋法条約上、沿岸国の「平和、秩序または安全」を害しない「無害通航」は、外国船舶が領海を通過する際の条件であり、公海に準ずるEEZの通過には無関係だ。台湾海峡など自国EEZにおける外国軍艦の航行の自由を認めず、「無害通航」を条件としたい中国独自の思惑が背景にあるようだ。

また環球時報(電子版)の論評は、中露艦隊の航行が「日本を極めて大きく震撼(しんかん)させた」と存在を誇示しつつ、「こうした震撼は始まりにすぎない」として中露艦隊による「合同巡視航行」の常態化を宣言。今後、中露爆撃機による合同飛行との連携もあり得ると書いている。

東海大の山田吉彦教授(海洋安全保障)は「仮想敵国ともいえる国が目先の海を通過していく異常事態だ」と指摘。「日本の弱点を突いてプレッシャーをかけている。こうした示威行動を制約させるためにも、特定海域を領海にして守るべきだ」と主張する。

山田教授のいう「弱点」とは、日本が領海法で「特定海域」に指定している津軽や大隅などの5海峡だ。領海を通常の12カイリよりも狭い3カイリに制限し、海峡の中間部分を領海ではなくEEZにして各国に航行・飛行の自由を認めている。各国の商船などの自由な航行を保障することが「総合的国益の観点から不可欠」だというのが日本政府の公式見解だ。ただ実際は、これらの海峡を領海化した場合に核兵器を搭載した他国軍艦艇の領海通過を認めざるを得なくなり、日本の「非核三原則」に抵触するためとされる。

日本が特定海域を領海化すると、各国船舶には「無害通航権」ではなく、より航行・飛行の制限が緩い「通過通航権」が与えられる。国連海洋法条約は領海に覆われた「国際航行に使用されている海峡」で通過通航権の行使を認めており、5海峡はいずれも該当するためだ。

いずれにしろ各国船舶は、EEZで認められていた示威行為や軍事目的調査などはできなくなり、日本の権利は強化される。

ただし通過通航権は海峡全域に適用されるため、これまで制限の強い「無害通航権」だけが認められていた沿岸3カイリ以内の海域でも、潜水艦の潜没航行や軍用機の飛行が認められることになってしまう。また「わが国の主権を守る強制力が伴わなければ『有言不実行』となり国威が失墜する」(香田氏)リスクもある。しかし山田教授は「領海を主張しないほうが、通過通航権が行使されるデメリットよりもはるかに危険だ」と指摘する。

 ◇

 このコラム記事にあるように、中国の戦力増強や威嚇行為はますます増大しており、日本はその対応を迫られています。国会ではこの問題を取り上げ、安全保障の枠組みについて早急に議論を積み上げる必要があります。

 もちろん外交努力も必要です。しかし長期戦略に長け今や日本より強大な軍事力を備えた中国に、外交で尖閣の威嚇航行をやめろとか、台湾への圧力をかけるなとか言っても、全く効く耳は持たず、むしろ反論を矢のように繰り返し返してくるだけでしょう。

 様々な対応が必要です。米国を始めとした同盟国や、クワッドの枠組みのなかで中国を牽制するとか、経済的な対応を考えるとか、できる手は打たねばなりません。しかし最終的には日本も抑止力増強のため、この極超音速ミサイルや、原子力潜水艦、空母等の建設に早急に踏み出す必要があるかも知れません。核の問題も議論は避けて通れないでしょう。その前にまず非核3原則の見直しからスタートと言うことになるでしょうね。

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2021年11月 4日 (木)

岸田首相の「日本を守り抜く」 果たして現行憲法下で可能なのか

Img_07316ec1164fc79e0cf09477d04231ae1640  衆議院選で絶対安定多数の議席数を確保し、第二次岸田政権がスタートしますが、日本周辺の安全保障環境は急激に変化し、中国の覇権の進行と共に「台湾有事」が迫ってきているようです。そうした状況の中日本の対応が問われています。

 ジャーナリストの加賀孝英氏がzakzakにその辺の状況を寄稿しています。タイトルは『自民、衆院選勝利の陰で台湾有事「近い」 艦隊列島一周に米は戦略爆撃機で“中露威嚇” 「弱腰だ」米側は岸田政権の対応に不満』 (11/3)で、以下に引用し掲載します。

 ◇

 岸田文雄首相(自民党総裁)は2日朝、衆院選での「絶対安定多数」(261議席)獲得を手土産に、英国での国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳級会合出席のため、政府専用機で羽田空港を出発した。中国の軍事的覇権拡大が進むなか、ジョー・バイデン米大統領との日米首脳会談も注目される。4年ぶりの政権選択選挙でも焦点となったが、東アジアの緊張は高まっている。中国とロシアの海軍艦隊による日本列島一周の意味と、「台湾有事」の危機とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が最新情報を報告する。

 *********

 「米軍と米情報当局が極度に緊張している。米国は以前、『中国軍による台湾侵攻(台湾有事)は2025年前後』と分析していた。ところが、『近い』という極秘情報が急浮上している。『台湾有事』は『沖縄有事』『日本有事』に直結する。日本が危ない」

 外事警察関係者は、そう語った。

 衆院選が終わった。岸田首相率いる自民党は単独で絶対安定多数に達し、公明党や保守系無所属を合わせて与党294議席を獲得した。

 安定した政治体制は維持されたが、政権運営の要である甘利明幹事長が小選挙区で敗北し、辞任する意向を固めた。岸田首相は後任に、茂木敏充外相を充てる人事を決めた。後任の外相には、林芳正元文科相の起用案が浮上している。

 よくお聞きいただきたい。衆院選の「政治空白」を突いて、台湾情勢が一気に緊迫している。日本はいま、「最大の危機」に直面している。

 台湾の蔡英文総統は10月28日に放映された米CNNのインタビューで、次のように発言した。

「(中国の軍事的脅威は)日に日に(増している)」「長い(米台)関係を考えれば、われわれは米国とともにいるし、(中国による台湾侵攻時に)議会や政権だけでなく米国民の支援があることを信じている」

 蔡氏はまた、米軍特殊部隊が台湾の陸上部隊を訓練していることを、台湾総統として初めて認めた。台湾有事が迫っている証拠だ。それを全世界に訴える、蔡氏の悲痛な叫びだ。

 中国は激高し、国防部報道官は28日、「断固たる制裁と反撃措置を講じる」と宣戦布告を匂わせた。外交部報道官は「(台湾統一=侵攻は)歴史の正しい道だ」「台湾の独立は死に至る一本道で、独立を支持することも死に至る道だ」と、台湾殲滅(せんめつ)を示唆し、吠えた。

 全身全霊の怒りを込めていう。ふざけるな。

 外務省関係者は「バイデン氏はこれまで、中国の習近平国家主席の顔色をうかがい、弱腰だった。ところが、突然変わった。オーストラリアも『中国が台湾を攻撃した場合、米国とともに行動する』と宣言した。習氏は『台湾統一を必ず実現させる』と全人民に約束している。破れば失脚する。習氏は追い詰められた。必死だ」といった。

 バイデン氏の「台湾防衛支援」に関する重要発言は次の通りだ。

 (1)CNNが10月21日に主催した対話集会で、司会者から「米国は台湾を守るつもりか」と質問され、バイデン氏は「その通りだ。私たちにはそうする責任がある」と言い切った。

 (2)オンラインの東アジアサミット(EAS)で同月27日、バイデン氏は中国の台湾への行動は威圧的で、「地域の平和と安定を脅かす」と主張。米国の台湾への関与は「揺るがない」と強調した(=ロイター通信)。

 「台湾侵攻のXデーは近い」とみており、「米国は台湾のために血を流す」という決意表明と受け止められる。

 ◆米は岸田政権の対応に不満

 仰天情報がある。以下、日米情報当局関係者から入手したものだ。

 中国とロシアの海軍艦艇計10隻が同月17~23日、日本列島をほぼ一周して日本を威嚇した、前代未聞の一件の背景だ。

 「南シナ海や台湾、尖閣有事の際、日本や米国、英国、オーストラリアなどの自由主義同盟に対し、反米の『中露同盟軍が戦う』という決起宣言に等しい。日本では報道されていないが、米軍は17日と19日、超音速戦略爆撃機B-1B『ランサー』をロシア国境に接近させた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への『米国は本気だ』という警告だ」

 「一方、岸田政権の中露艦隊への対応に、米国側から不満が噴き出ている。『弱腰だ。命をかけて自国を守る覚悟、体制がまったく見えない。台湾防衛支援も、もっと大声で宣言すべきだ』と」

 岸田首相とバイデン氏による初めての日米首脳会談は、COP26が開催されている英国で調整されている。

 「日本を守り切る」という岸田首相の覚悟が本物かどうか、それがいま問われている。

 ◇

 「日本を守り抜く」という発言は頼もしくも思えますが、憲法9条がそのままで、しかもそれ以前に自衛隊条項も加えられていない憲法下で、どうやって守り切れるのでしょうか。まさか米軍の完全な支援の元で、と言う前提付きでは覚悟が見えません。しかも米軍が日本を守り切ってくれるかも分かりません。

 「台湾有事」が近いと言って、どれだけの国会議員がその状況に注視しているのでしょうか、自民党は総裁選もそして総選挙も終わり、ようやくその体制がとれる時期に入ったとは言え、野党第一党の立憲民主はこれから代表選で、外交など上の空でしょう。ここは日本維新の会と国民民主党の改憲賛成議員を巻き込み、躊躇する公明党の尻を叩いて、早く憲法改正の発議にこぎ着けるべきでしょう。

 9条改定のような難問は後回しにしてでも、とにかく改憲の糸口を作ることが今大事です。そうすれば中露も日本の変化を敏感に嗅ぎ取って、今までのような「なめきった」行動は控えるかも知れません。ただいずれにしろ近いうちの9条は改訂すべきでしょう。そうでなければ「日本を守り抜く」は、口先だけになる恐れは十分にあります。

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2021年9月19日 (日)

渡部悦和氏:国家建設も国防も外国依存は亡国の道 暗に総裁選での高市氏推し

4_20210919100601  自民党総裁選の論戦も熱を帯びてきました。今朝の報道番組でも、4氏そろっての論戦が報道されましたが、河野氏は感情的で独断的、岸田氏は抽象的で不明瞭、野田氏は弱者救済中心で国家感なし、と言う印象が強く残る中、高市氏がもっとも明確な政策を述べていたように思われます。

 なかでも、中国がその第一列島線での現状変更を推し進めようとする中で、米国が日本へのミサイル配備を検討するという事への質問で、高市氏のみが賛成を示し、他の3氏と安全保障政策の面での違いを際立たせたのが印象的でした。野田氏などは未だに「外交で対応」と言った、今まで全く効果のなかった対中国、朝鮮政策の反省が見られませんでした。

 いずれにしろ、これからますます覇権主義と拡張政策を推し進める中国や、核や弾道ミサイルでの威嚇を続ける北朝鮮への対応は、真に日本自身への脅威と受け止め、対処していかなければなりません。そういう意味でも高市氏の総裁選勝利を願いたいと思いますね。

 ところでこの安全保障政策について、元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が、zakzakに寄稿したコラムを紹介します。タイトルは『国家建設も国防も外国依存は亡国の道、日本も自助努力で国力改善を 総裁選で対中抑止策を語れ』(9/14)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 自民党総裁選が盛り上がるなか、総裁候補にはぜひ、「日本の安全保障政策」を熱く語ってほしい。今回の集中連載は、わが日本が直面している厳しい現状を深掘りしたい。

 ジョー・バイデン米大統領の対外政策の特徴は、米国の「グローバル・リーダーシップ(世界の警察官)」を強調するのではなく、国際協調主義にのっとり、関係各国の「自助」を促すことにある。米国のみによる関与を避け、関係国に任せる傾向が随所にみられる。

 また、米国の対テロ戦争20年間の重要な教訓の1つは、「米国が他国を米国流の民主主義国家にしようとしても、それは不可能であり、その国の国民の反発を買うだけだという事実」だ。

 そして、米国が国家再建を支援したイラクやアフガニスタンの腐敗や脆弱(ぜいじゃく)さは、「国家再建において、米国がいかに多くの軍隊・資金を投入したとしても、当事国の責任感や自助努力がなければ全てが無駄に終わる」ということだ。

 米国のリーダーシップの欠如を批判する前に、リスクに直面している世界各国が自らの責務を果たすべきである。これはアフガンやイラクだけの問題ではない。中国の強圧を受けている台湾、北朝鮮の核・ミサイルなどの脅威を受ける韓国も同様である。

 当然ながら、日本も例外ではなく、日本の責任が問われている。

 わが国は名誉ある国家として生き残るべきだ。そのためには、アジア地域における日本を中心とする「バランス・オブ・パワー(勢力均衡)」を、日本にとって望ましい状況にすべきである。その主対象は覇権的に台頭する中国である。

 当然ながら、わが国の自助努力により国力を改善しなければいけない。国力の要素である、「経済成長」「防衛力増強」「外交力の強化」「科学技術力の強化」などに真剣に取り組まなければならない。特に自衛隊は日本防衛、特に南西防衛態勢を確立しなければいけない。

 そして、共助としての日米同盟を堅持し、中国のアジアにおける覇権確立を抑止することが不可欠である。同盟国・日本としては、「インド太平洋地域こそが米国にとってバイタルな(=国家生命維持に必要不可欠な)地域であり、覇権主義的台頭をする中国を抑止するのが米国の最も重要な使命である」という主張をし続けることである。

 この論理は、米国の伝統的な対外政策の本質である「米国を脅かす地域覇権大国の台頭を許さない」にも一致する。「米国は世界の全ての正面に対処せよ」などと決して言ってはいけない。米国は中国にこそ対処すべきであると主張し続けることが重要である。

 そして、対中抑止の輪を、オーストラリアや、インド、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国、台湾などに拡大することがより効果的な対中抑止策となろう。

 ◇

 冒頭述べた米国のミサイル配備に対して、高市氏を除く3氏が反対の立場を示しましたが、かといって自国での配備をする考えはありません。今や空中戦が主流の世界の軍事環境において、他国にも頼らず自国でも配備しない、ただただ防衛だけに徹する、というのは、攻撃しないで一方的に相手のパンチを避け続けるボクサーと同じでしょう。いつかは手痛いパンチを食らってノックダウンしてしまいます。

 高市氏は米軍のミサイル配備を認めた上で、できれば国産のミサイルをと言っていましたが、彼女のこの発言が本当に日本に抑止力をもたらす、そして普通の国としての発言だと強く思いました。

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2021年8月18日 (水)

対岸の火事ではないカブール陥落、日本も想定すべき米軍の撤退

2021081600000004nshaberu0001view  アフガニスタンでは米国軍の撤退を今月末に控え、タリバンが同国の各地で攻勢を強め、ついに首都カブールを占拠、事実上の政権奪取を実現しました。これに対し各国の反応は様々ですが、同国の人々の多くは恐怖を抱き、海外へ脱出しようと、空港に殺到しているようです。

 それに対しタリバンは女性の就業や子供の教育を認めるというような、20年前とは違うと言う触れ込みでソフト路線を打ち出し、各国の承認を得ようとしているようです。今回は、このアフガニスタン情勢を取り上げます。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が、JBpressに投稿したコラム『対岸の火事ではないカブール陥落、日本も想定すべき米軍の撤退 アフガニスタン崩壊で蘇ったサイゴン陥落の光景』(8/18)を引用し以下に掲載します。

 アフガニスタンの政権崩壊はベトナム戦争の最終場面を想起させた。

 米国の首都ワシントンで知ったアフガニスタンの悲劇は、私自身が体験した南ベトナムの悲劇に似た部分が多い。その背後には、アフガニスタン、南ベトナムと同様に自国の防衛を米国に委ねる日本への教訓も浮かんでくる。

バイデン政権を批判する米メディア

 8月16日のワシントンは、アフガニスタン崩壊のニュースの激震に一日中襲われた。過去20年にわたる米国歴代政権の努力が、ジョセフ・バイデン大統領の拙速な決定によって水泡に帰したとの非難が超党派で沸き起こった。

 バイデン政権を一貫して支持してきたニューヨーク・タイムズでさえ、「バイデン氏のアフガニスタン撤退に関する錯誤は、同氏の政治評価に測り切れないほどの打撃を与えた」(同紙の国際問題記者デービッド・サンガ―氏による8月16日付の論評)と批判した。

 バイデン政権とは一定の距離をおくウォールストリート・ジャーナルは、「バイデン大統領はアフガニスタン撤退措置により米国の歴史で最も恥ずべき最高指導者となる」(同16日付の社説)とまで酷評した。

 米軍のアフガニスタンからの撤退は、トランプ前政権が基本方針として定めていた。とはいえ、バイデン政権はあまりに唐突に撤退を実行し、しかも撤退後の見通しを誤り、現地の反タリバン市民たちの生命を危険にさらした。

 バイデン大統領はつい数日前まで、「米軍が撤退しても、アフガニスタンの政府や国軍が統治を堅固に続ける」と将来の安全性を明言していた。だが現地では、米国が全面支援し、日本も緊密な外交関係を保ってきたアフガニスタン・イスラム共和国はあっというまに崩壊してしまった。代わってイスラム過激派として国際テロをも支援してきたタリバンが全土を支配する形勢となった。

サイゴン陥落の忘れられない光景

 この危機のなかでワシントンでは、識者たちがある言葉を口にし、その言葉が多くのメディアに登場している。それは、「サイゴンの悲劇」だ。アフガニスタン、とくに首都のカブールで現在起きている事態は、1975年4月末に南ベトナム(当時のベトナム共和国)の首都サイゴン(現ホーチミン市)で起きたことと酷似しているという指摘である。

 当時のサイゴンでは、ベトナム戦争最後の日の4月30日、国外に脱出しようとするベトナム市民たちが米国大使館に押し掛けた。北ベトナム軍の大部隊がサイゴンに迫り、南ベトナムの政権も軍隊も崩壊が明白だったからだ。

 米国大使館の屋上からは、南シナ海の米海軍第7艦隊への避難者を運ぶヘリが飛び立っていた。私はその至近距離にいた。忘れられない光景である。

 もっともその前から、国外に退避しようとする南ベトナム市民は多かった。大多数は共産勢力の北ベトナムに反発し、アメリカ側について戦ってきた人たちだった。

 毎日新聞のサイゴン駐在特派員として現地に3年も住んでいた私は、ベトナム人の知人や友人も多く、国外脱出の手助けを求められた。若くて独身だった私に、一時的な結婚相手になってくれと懇願するベトナム女性もいた。外国人と結婚した証明書があれば国外に出られるからだ。

9-1  それから46年後のカブールの光景も似ていた。米国大使館の構内からヘリで避難していく人たちや、空港で米軍の大型輸送機に乗り込もうと殺到する人たちの様子は、ベトナム戦争の最後とまったく同じだった。

 ただし南ベトナムでは、戦争終結の2年前に米軍戦闘部隊はすでにすべて撤退していた。米軍撤退後の2年間、南ベトナムと北ベトナムが総力をあげて戦い、北ベトナムが南ベトナムの国家を軍事粉砕したのだ。

 ところがアフガニスタンの場合、米軍戦闘部隊が突然20年の駐留を終えて全面撤退し、それと同時に敵対勢力のタリバンがほぼ全土を制圧して首都カブールにもなだれ込んできた。アメリカの支援を受けたアフガニスタン共和国の統治下で生きてきた市民たちが、タリバンの支配の復活にパニックを感じるのは、もっともなことであろう。

タリバンの再支配に怯える一般市民

 私は、米軍がアフガニスタンに軍事介入して間もない時期、カブールで1カ月ほどを過ごしたことがある。2002年2月から3月にかけてのことだ。米国は当時の2代目ブッシュ大統領がタリバンに対して宣戦を布告し、空爆を実施した。

 2001年9月11日の同時多発テロで、米国はイスラム原理主義テロ組織、アルカーイダの攻撃を受け3000人の死者を出した。アルカーイダはアフガニスタンを支配していたタリバン政権に保護され、アフガニスタンでの訓練などを許されていた。米国はタリバン政権にアルカーイダ一派の引き渡しを求めたが拒まれた。そこで宣戦布告となったわけだ。

 米国はアフガニスタンの反タリバン勢力、ムジャヒディーンなどと連携し、タリバンを攻撃して、首都カブールから撃退した。私はその直後にワシントンからの出張という形でアフガニスタンでの取材にあたった。

 ほとんどを首都カブールで過ごしたが、その間に多数の現地の人たちと接触して、タリバンの原理主義的な支配がきわめて過酷だったこと、外国からきたアルカーイダの戦士たちが軍事訓練も含めて自由な行動を許されていたこと、大多数の市民はタリバン支配からの解放と新たな社会の到来を喜んでいたこと、などを知った。

 当時はアメリカも、アフガニスタンに民主主義を基盤とする新しい国をつくることに熱心だった。だからこそ、タリバンが再び全土を支配したことへの多数の一般市民の恐怖や嫌悪は当然だと思われるのだ。

対岸の火事ではない

 南ベトナムとアフガニスタンは、どちらも首都が陥落したという点に加え、大きな共通点が1つある。それは両国がともに、自国の国家安全保障、つまり防衛を米国に大きく依存していたという事実である。南ベトナム以上に唐突に、そして完全に米国が手を引くことになったアフガニスタンは、国家や社会の支えがなくなったと言っても過言ではない。

 日本は今回の事態を対岸の火事として冷ややかにみることはできない。日本もアフガニスタンや南ベトナムと同様に、自国の防衛を米国に委ねているからである。

 米国としては防衛を誓った相手国、同盟パートナーであっても、国内世論や国際情勢が変わればその誓約を一変させる。この現実をカブールの悲劇は冷徹に示しているということだろう。

 ◇

 アフガニスタンやベトナムと日本とでは、統治形態や経済力など全く異なる面が多いのですが、古森氏の言うとおり、アメリカに国の安全保障、つまり防衛を大きく依存している点では同じだと言うことが言えるでしょう。

 日米安全保障条約そのものは、相互条約ですから、一方的な依存とは行かないまでも、基地の提供は依存そのものです。そして撤退される前にむしろ、依存関係を縮小して自衛隊の防衛に移行していくべきでしょう。一気に基地の解消は無理にしても、まずは地位協定の大幅な見直し、その上で少しずつ米軍から自衛隊に基地の管理を代替させていく必要があります。そのためには大前提、憲法、特に9条の改正が必要不可欠になります。もういい加減に一方的な依存関係は解消しましょう。

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