安全保障政策

2023年2月24日 (金)

阿比留瑠比氏:核「持ち込ませず」に見直し論 中谷、高市、安倍氏の問題提起

20_20230223161301  ロシアのウクライナ侵略の衝撃から1年経ちました。国連安保理の常任理事国で核保有国のロシアが起こした侵略戦争。国連は停戦勧告も何も出来ません。この侵略戦争のもう一つ意味するものは、核を持たない国が核を保有する国に、容易に侵略されると言うことでしょう。

 中国が虎視眈々と狙う台湾、そして日本でさえ明日のウクライナにならないと、誰が言えるでしょう。そうした中で日本は防衛費のGDP比2%を目指し、反撃能力を含む「安保三文書」の改定に踏み切りました。

 だがこのブログで再三取り上げているように、驚くべきことに「専守防衛」の旗は降ろさず、「反撃能力」も「必要最小限の自衛」としているのです。それに加えて、岸田首相は「非核三原則」の堅持を唱えたのです。

 ところが自民党内でこの「非核三原則」に対する問題提起が持ち上がっています。産経新聞論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏が、同紙にコラムを寄稿した記事を紹介します。タイトルは『核「持ち込ませず」に見直し論 中谷、高市、安倍氏の問題提起』(2/23公開)で、以下に引用します。

韓国の大手紙、朝鮮日報の20日付社説は、日本にとっても人ごとではなく、同様の危機意識を持つべき内容だった。社説は、18日に北朝鮮が液体燃料式大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射訓練を行ったことについて、「『開発と量産を終え、実戦配備に至った』と誇示する意図があるようだ」と指摘し、こう結論付けていた。

「北朝鮮の核の効用性を一瞬でゼロとする方法は韓国独自の核保有しかない。他の選択肢が全て無意味となる瞬間が徐々に近づいている」

北は昨年11月には、ICBM「火星17」を発射し、成功したと発表している。米本土まで攻撃対象となるICBMが実戦配備されていく中で、米国の核の傘、拡大抑止はどこまで信頼できるのか。

ウクライナを侵略するロシアへの姿勢からも、自国を攻撃する能力を持つ核保有国と直接戦う気はないという米国の本音が見え見えである。ウクライナとは異なり、日韓は米国と同盟関係にあるが、それはどこまで効力を持つだろうか。

もちろん脅威は北だけではない。日本は地理的に中国、ロシアという核大国とも対峙(たいじ)していかなければならない。特に通常兵器の性能では西側諸国に及ばない北やロシアは、有事にはいきなり核頼みとなる危険性がある。

そんな国際情勢下にあって、中谷元・首相補佐官が18日、「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則の見直しに言及したのはタイムリーだった。時事通信によると中谷氏は地元・高知市での国政報告会で語った。

「非核三原則はいつまでも通用するのか。(日本国内に核兵器を)せめて持ち込むということは現実的ではないか」

中谷氏の指摘は、朝鮮日報が主張する独自の核保有までいかずとも、米国の核兵器が日本国内にあるか、あると相手に思わせるだけで抑止力になるということだろう。政府内から、こうした率直な意見表明がなされることの意義は大きい。

この論点は、高市早苗経済安全保障担当相がかねて主張してきたことでもある。高市氏は例えば、自民党政調会長だった昨年3月6日のフジテレビ番組で、「有事のときの『持ち込ませず』については党内で議論したい」と述べ、こう強調していた。

「非核三原則を守るべしという人の中には、有事にも、核兵器を搭載した米艦船が日本の領海内を通過しても領空を飛んでもダメという議論まである。(日本は)米国の核の傘の下で守られているというが、いざとなったら核抑止力が全く機能しないと言っているのと同じことになる」

高市氏は昨年12月に政府が閣議決定した「安保3文書」からも、非核三原則を外すよう訴えたという。

米国が、日本が核攻撃を受けたからといって、自ら危険を冒してまで核保有国に対して核で報復してくれるのか。核の傘は、すでにいくつも穴が開いた破れ傘になりつつはないか-。

この疑問から安倍晋三元首相は昨年2月、米国の核兵器を日本の領土・領海内に配備して共同運用する核共有について問題提起したのだった。

岸田文雄首相が「核兵器のない世界」を目指すことと、非核三原則の見直しは矛盾しない。米国の核の傘を当てにしている時点で、日本は既に理想と現実に境界線を引いている。それならば、せめて「持ち込ませず」は見直していい。

Images-11_20230223161301  岸田首相は広島県出身で、殊更「核兵器」に敏感なようで、「核兵器のない世界」の実現を主張しています。5月のG7の広島サミットも広島で開催、議長国として「核軍縮」を重要なテーマにしようとしています。ただ核保有国が3カ国参加しますが、それ以外の核保有6カ国が参加しない中で、理想ばかり追いかけても現実はついてこないのではないのでしょうか。

 自己の主張を日本をも対象とし、「非核三原則」を頑なに固持し、かつ内外に公表することは、核保有の隣国に対し、「日本組み易し」との誤ったメッセージを送ることになります。それは「自己の思い」の為に国民の安全を毀損する事につながるのではないでしょうか。

 プーチンが自己の思いを実現する為に、ウクライナを侵略し、ロシア国民を孤立させたように、自己の思いは必ずしもプラスには働きません。岸田首相も「核兵器のない世界」を目指す思いは結構ですが、現実に日本の置かれた安全保障環境を直視することなく、安易に理想を現実に当てはめようとしないよう願いたいと思います。

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2023年2月22日 (水)

小野寺五典議員:「専守防衛」の元で「必要最小限度の自衛の措置」では、領土、国民の安全は守れない。

Images-15_20230220170301  岸田首相は安保三文書を閣議決定したとき、「反撃能力」の保有を明記しつつも「必要最小限度の自衛の措置」だと定義し、「専守防衛」の考え方に変わりはない、と発言しています。これで果たして敵の攻撃に対して、有効な反撃が出来るのでしょうか。

 元防衛相で安全保障に詳しい自民党の小野寺五典議員が、それに疑問を呈しています。産経新聞のコラムから引用しましょう。タイトルは『ウクライナ侵略1年 私はこう見る 高い「専守防衛」のコスト』(2/20公開)です。

「専守防衛」が、自国にどれだけ大きなコストを負わせるか。今のウクライナの姿は、それをまざまざと示している。ウクライナは他国を侵略する意図も、そのための装備も有していなかった。では、それで平和が守られたか。むしろ、そうであったからこそロシアのプーチン大統領は攻撃しようと判断したのだと思う。

これまで続いてきたのはウクライナ国内の戦闘だ。ロシア側は、送り込んだ兵士の被害があっても、モスクワでは人々が普通に生活している。こうした状況下でプーチン氏が「このあたりで停戦しよう」と考えることはないだろう。残念ながら、これが専守防衛のリアルだ。ロシアも、相手国やその仲間の国の反撃で壊滅的な被害を受けると思えば、侵略という選択はしなかったはずだ。

他方、各国がウクライナを応援しているのは、ウクライナが自ら国を守る意欲を示しているからだ。「私たちは戦えないので助けてください」という国を、助ける仲間はいないだろう。

日本の安全保障に同盟国の米国をはじめ、価値観を共有する国々とのチームが重要な役割を果たしているが、日本自身が努力しないとチームは機能しない。日本も、万が一のときは「自分たちの力で領土を守る」「やられたらやり返すぞ」という強い意志と能力を持つことが必要だ。

課題は山積している。昨年8月、ペロシ米下院議長(当時)が台湾を訪れた直後、中国が発射した弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。ミサイル防衛は従来、北朝鮮を念頭に配置していたが、今後は中国も、もしかしたらロシアも意識しなければならないかもしれない。3正面に向き合うとなれば、そのための装備と警戒監視活動が必要となる。反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有するだけでなく、太平洋域を含む広い範囲で警戒監視に当たれるようドローンなど無人の装備も活用すべきだ。

非常に脆弱(ぜいじゃく)で国際スタンダードに劣後しているサイバー防御など、日本の安全保障体制をソフト面で引き上げる必要もある。憲法9条に基づく専守防衛は、武力攻撃を受けたときに必要最小限度で守らないといけない。大規模災害が起きた際、司令官は「全力で国民を守れ」と言えるが、自衛隊が本来の能力を最も発揮すべきときに「必要最小限度で守れ」ではおかしい。国民を万全な体制で保護するためにも憲法改正は必要だ。

 「反撃能力」は最大限の装備と能力を発揮して、領土、国民を守る為に万全を期すものです。小野寺氏の指摘の通り、「専守防衛」で「必要最小限の自衛の措置」では、中国軍どころか北朝鮮軍にもたちどころに粉砕されるでしょう。

 今の日本には軍事専門家がいないのか、いても政府の安全保障の会議には呼ばれないのか、相変わらず敵から見れば「お花畑」の考えで染まりきっているようです。現実が見えていません。

 もう一つ岸田首相の考え方の中に「非核三原則」がありますが、わざわざ核を持ちません、造りません、持ち込みませんと宣言する国があるでしょうか。日本の周りには核で威嚇する国がそろっているのに、です。

 これでは積極的に核で威嚇して下さい、と言っているようなものです。そして威嚇されれば、まさにアメリカにおんぶに抱っこの状態で、守ってもらわなければならないでしょう。そこに日本の主権があるのでしょうか。

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2023年2月 2日 (木)

「21世紀の戦国時代」防衛力強化だけでは不十分 日本は食料・エネルギーの備えも重大な課題

002808wide  防衛力、食料、エネルギー、どれが欠けてもその国の平和と安全は保てません。ところがこの日本ではこれまで、敗戦の廃墟の中から産業の発展を重視し、産業の作り出す加工製品を輸出することで、食料、エネルギーの輸入が可能となり、それらの弱点を凌いできました。防衛力は米国に頼ることによって。

 ところが産業競争力の衰退と共に、その生み出す付加価値は減少し、今や貿易赤字は日常化し、この先の不安を煽る形となっています。食料、エネルギーの買い負けも発生し始めています。また防衛力についてはようやく最近になって、国際安全保障環境の激変に伴い、政府も重い腰を上げその強化に乗り出したところです。

 防衛力はある意味、金をかければ何とかなるかも知れません。しかし食料やエネルギーはそうはいきません。そこに警鐘を鳴らしているのは国際投資アナリストの大原浩氏でzakzakに、以下のコラムを寄稿しています。タイトルは『「21世紀の戦国時代」防衛力強化だけでは不十分 日本は食料・エネルギーの備えも重大な課題』(1/23公開)で、以下に引用します。

ウクライナ戦争や台湾有事など、世界の安全保障環境が危機に直面している。国際投資アナリストの大原浩氏は、現状は20世紀の2つの世界大戦の間にあたる約100年前と共通点が多く、世界は再び「多極化」の時代に突入すると指摘する。緊急寄稿で大原氏は、21世紀の「戦国時代」において、日本は防衛力強化だけでなく、食料やエネルギーの備えも重大な課題だと警告する。

***********

戦争は望んで行うものではない。自らを守るための自衛権の行使が基本だ。そして「話し合いで解決できない相手」がこの世の中に必ず存在するのは紛れもない事実だ。

記憶に新しい安倍晋三元首相暗殺事件では、「話し合いで解決する」議員を選ぶ場である選挙の応援演説中、卑怯(ひきょう)にも放たれた銃弾によって、国民の信望を集める人物の尊い命が奪われた。

どのような国でも犯罪者がいることを前提に警察が存在する。そして、不幸なことに必ず犯罪者が現れる。

国際社会でも他国に害を成す国家が現れる。例えば現在、日本と正式な国交を持たない北朝鮮はどうであろうか。

安倍元首相が懸命に取り組んだ拉致被害者問題は、一向に解決の糸口が見えない。それどころか、北朝鮮は昨年、約70発のミサイルを発射したとされる。

北朝鮮は2003年に核拡散防止条約(NPT)から一方的に脱退し、05年に核兵器の保有宣言を行った。06年に核実験を行い「事実上の核保有国」となったが、「世界の警察」と称される米国をはじめ、どの国も止めることができなかった。

その結果、われわれは常に北朝鮮から飛来する核ミサイルの脅威におびえ続けなければならない。「自分の国は自分で守る」ことを真剣に思い起こすべきだ。

現在は、1914年から始まった第一次世界大戦後、あるいは39年開戦の第二次大戦前夜に似ている。第一次大戦までの世界の覇者は英国など欧州であり、世界秩序も彼らが保っていた。だが、第一次世界大戦以降「多極化」の時代に入った。

第二次大戦後に米ソ二極の時代へ突入し、91年のソ連崩壊以後は「米国一極時代」が続いたが、共産主義中国やインドなどの台頭により、それも終わりを告げつつある。つまりわれわれは、再び「多極化」の時代へと向っているということだ。

歴史を振り返れば、多極化の時代は、群雄割拠の「戦国時代」である。地政学リスクが高まるのは当然だ。後世において、「21世紀の戦国時代」の発端はウクライナ戦争とみなされるかもしれない。「台湾有事」の危険性も高まっている。

われわれが抱えているリスクはそれだけではない。世界的インフレが発展途上国の貧しい人々を追い詰めている。昨年7月には経済危機に瀕(ひん)したスリランカのラジャパクサ大統領が軍用輸送機でモルディブに逃亡し、政権が事実上崩壊した。12月にはガーナ政府が対外債務の一時支払い停止を表明し、事実上のデフォルトに陥った。

現在は「世界大乱の時代」に突入しており、いつどこで「地政学リスク」が爆発してもおかしくない。

そのような時代において、日本政府がまず行うべきは「国民の安全の確保」である。早急に防衛力を増強すべきなのはもちろんのこと、食料・エネルギー問題の解決も緊急課題だ。

食料についてはカロリーベースで38%、エネルギーではたったの10%程度という脆弱(ぜいじゃく)な自給率への対策も欠かせない。いくら武器があってもそれを動かすエネルギーがなく、それを取り扱う兵士や国民が飢えていては、戦いなどできるはずがない。

 食料はまず耕作放棄地を何とか耕地に変え、飼料用穀物でも大豆や小麦でも、とにかくできる限り栽培し、有効活用することです。そして農業を事業として成り立たせる為に、すべての農地を対象に積極的に法人にその所有を認め、硬直した兼業農家と農協の壁を破り、本当に農業をやりたい人に法人経営権を開放すべきでしょう。当然優秀な社員を雇用し生産性を上げることです。

 またエネルギーについては原発の再稼働が先ず第一。海水ウランの活用や、核燃料サイクルの確立を急ぐことでしょう。しかしエネルギーに関しては日本だけで自給できるようにするには、食料以上に困難が伴います。国会で重箱の隅をつつくような、つまらない議論を繰返すのはやめ、積極的に取り上げるべき重要課題だと思います。

 また、国の安全や存続の為に、もう一つ欠けてはならないのは人的パワーでしょう。今それに対する一番のリスクは少子化です。政府は今年になってようやく重要課題として位置づけました。この問題も上記3つの要素に加えて、避けて通れない課題だと思います。国を挙げて取り組むべき時でしょう。

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2023年1月31日 (火)

「非核三原則」を守り、「必要最小限の反撃能力」で日本を守れるのか。岸田首相の「核なき世界」の呪縛

13_20230130163901  核を持たない国ウクライナが、核を持つ国ロシアに侵略され、核使用の脅しを受け続けて1年近くになります。そして同様に核を持たない国台湾が、核を持つ国中国の侵攻の脅しを受けています。核を持つ国がこれほど顕著に核を持たない国を脅し始めたのは最近のことです。

 NATO加盟国で核を持たないドイツなどは、アメリカの核を共有しています。同様にアメリカの同盟国である日本は、アメリカの核の共有を真っ先に考えていいはずでしょう。既に故安部元首相は共有の提案をしていました。

 ところが岸田首相は非核三原則を堅持すると発言、核共有議論を明確に否定しました。広島出身で原爆投下された地元の感情的なものでしょうか。だがそのことと核共有否定はつながるのでしょうか。それに関し国際歴史論戦研究所会長の杉原誠四郎氏が産経新聞にコラムを投稿しています。タイトルは『岸田首相、「平和主義」の呪縛』(1/16)で、以下に引用します。 

岸田文雄首相は、昨年、安倍晋三元首相が凶弾に斃れた後、旧統一教会の問題でつまずき支持率が急落した。それ以来何をしても支持率は回復しない。12月には防衛費倍増、反撃能力保有を盛り込んだ安全保障関連3文書の閣議決定という国防政策の歴史的成果をあげているにもかかわらず、だ。それはなぜか。岸田首相の本質が、相変わらず戦後の、頭かくして尻隠さずの観念的な平和主義にとらわれており、その危うさを国民が見透かしているからではないか。

頭隠して尻隠さずの観念的な平和主義とは何か。それは武器を放棄すれば戦争はなくなるという幼児並みの理想主義と、その理想を抱きつつも現実には 日本は武器を持った米国に守ってもらえばいいという米国まかせの主体性なきご都合主義である。

岸田首相の観念的平和主義は核廃絶にこだわる姿勢に最もよく現れている。いうまでもなく、日本は世界で唯一の被爆国であり、核の脅威には世界一、敏感な国柄であるが、しかし、だからこそ首相たるものは、核兵器保有国は核を手放そうとしないという現実に対しては、リアリズムに徹した態度をとっていなければならない。にもかかわらず、岸田首相の核廃絶への考え方はあまりに観念的で現実に合っていないのだ。

米国の強大な軍事力に守られながら、憲法などで軍事力を否定する観念的な理想を語る日本人の平和主義は、戦後の宰相、吉田茂がつくった戦後レジームが生んだものだが、岸田首相は相変わらず、その旧態依然とした戦後レジームのなかの発想のままである。

昨年、ロシアのウクライナ侵略が始まった後、安倍元首相はこの深刻な事態に対応して、日本も米国と核兵器を共有する核シェアリングを議論してよいのではないかと発言したが、岸田首相は我が国は非核三原則を堅持しており、政府として議論することは考えていないと直ちに言って、議論することをも封じた。

議論の末に核廃絶のため核シェアリングを否定するのならまだ分かるが、ロシアのウクライナ侵攻と核恫喝という新たな現実を目の当たりにしても、なお、核シェアリングについて議論もしないというのは、首相として責任ある態度と言えるだろうか。もしソ連崩壊後のウクライナで核を放棄していなければ、ロシアはウクライナを侵略しなかったのではないか。歴史を振りかえれば、第二次世界大戦で、日本がもし原爆を持っていれば、アメリカは日本に原爆を落とさなかったという議論もある。それほどに、核の戦争抑止力は決定的なのである。

核不拡散と核シェアリングは矛盾しない

核シェアリングがどれだけ戦争抑止力になるのか。今日の台湾で考えてみるとわかりやすい。台湾は、第二次世界大戦後、蒋介石の率いる国民党政府が移ってきて、中華民国となった。そして1954年アメリカとのあいだで米華相互防衛条約を調印し翌年から発効となった。当時は非核三原則のような考え方は日本でもまだなかったので、アメリカの台湾防衛は必要があれば核を使用することを前提にしていた。

が、1972年2月のニクソン米大統領の中国への突然の訪問を契機として1979年には、米中の国交樹立となった。その結果、米華相互防衛条約は無効となり、アメリカは台湾に駐留させていた軍を撤退させた。台湾に関して、同年、アメリカは国内法として台湾関係法を成立させ、台湾の安全保障に協力は続けているが、アメリカ軍が直接に駐留した米華相互防衛条約ほどの抑止力ではないことはいうまでもない。

中国はそのことを前提に、軍事力の強化を年々進め、台湾との軍事力の差を拡大させ、近時、軍事力を使って台湾を併呑する姿勢すらちらつかせている。台湾の安全は明らかに危険な状況になっている。

もしここで仮に、台湾がアメリカとのあいだで米華相互防衛条約を復活させてアメリカ軍を駐留させ、そのうえでNATO(北大西洋条約機構)と同様の核シェアリングを明確にすれば――現実には不可能であろうが――、いかに台湾の安全は強化されるか。そうすれば日本から見ても台湾近辺の安全が保障されるわけで、日本や韓国にとってもどれほど安全なことか計り知れない。

考えてみるに、核拡散防止と核シェアリングは対立するものではなく、統合して一体的なものであると見るべきではないか。核兵器は本来、存在してはならない兵器であるが、国を守るには極めて有効な兵器であるゆえに、世界各国は自国を守るために核兵器をそれぞれが開発して保有していこうという衝動を持っている。しかし世界中に核兵器があふれることは大変危険なことであり、核拡散は何としてでも防がなければならない。そこで一部の非保有国は自国で開発し所有する代わりにすでに所有している核保有国と条約を結び、核シェアリングをすることによって野放図な核拡散や核使用を制限する仕組みを受け入れるとともに、共有した核で自国への戦争を防止する――。このように考えれば、核拡散防止と核シェアリングは明らかに一体であると考えることができる。

少なくとも、もしその議論を怠った結果、日本を戦争の危険にさらすことがあるとすれば、日本の首相としては許されないことであるし、それは日本近辺の国をも危険にさらすことになる。

広島だから「核なき世界」を?

岸田首相は広島を選挙区とする国会議員として「核なき世界」にことさらに情熱を持っている。それはそれで当然だといえなくはない。しかし、だからといって核をめぐる現実的議論に目を閉ざしたり、議論自体を葬ったりしていいということにはならない。

広島と縁が深いのは岸田首相だけではない。実は筆者の私も広島出身で、原爆で肉親を失っている。広島に原爆が投下されたときに疎開していたので私は助かったが、私の長兄、伯父、伯母はこの原爆で亡くなった。現在の広島平和記念公園内には原爆の子の像が立っている。これは昭和30年、原爆症で亡くなった12歳の佐々木禎子という少女を悼んで立てたものだ。私はこの少女が籍を置いていた中学校に通っていた。そして像を立てることを組織的に始めようと決めた生徒会の会長は私のクラスから出た級友だった。それだけではない。この少女の兄、雅弘氏は、高等学校では同級生で、席は長く私の隣だった。

その私から見ても、「核なき世界」を目指すからといって核シェアリングについて議論もしないというのはいかにも短絡的で国民を危険にさらすように映る。岸田首相が「広島」を強調して議論もしないと言うのを聞くと、堪えがたく違和感を覚えるのだ。広島出身だからこそ、核シェアリングについて真剣に議論しなければならないのではないか。「核なき世界」を目指すからといって核シェアリングについて議論もしないというのは明らかに誤った判断であると思うのだ。

岸田内閣の支持率の低さを見れば、国民は明らかに岸田首相に危うさを見出している。岸田首相として、もしそこから脱出したいなら、安倍政治の遺産を引き継ぐ者として、日常の決断にあたっては、つねに安倍元首相ならばどのように判断するか、そのことを素直に考えて決断していくようにすべきだと思う。

 安保三文書の閣議決定をし、防衛費の増額を内外に発信、更には異次元の少子化対策を打ち上げたところは評価してもいいと思いますが、相変わらず「必要最小限の措置としての反撃能力」や「非核三原則堅持」では、大きな風穴があいた安全保障政策だと断じざるを得ません。

 となりには強大な軍事大国があり、多くの核弾頭を積載したミサイルが日本に照準を合わせている現実を見れば、「必要最小限の反撃能力」などあっという間に木っ端みじんになるでしょう。また「核」を持たない日本には、軍事力だけではなくありとあらゆる手段で侵略を仕掛けてくるでしょう。そういう現実を見ずに、まさか今でもアメリカが全面的に守ってくれると思っているのでしょうか。

 現実を見れば、「最大限の反撃能力」を保持し、核をあらゆるところに配備して、北京や上海に照準を合わせ、核攻撃を仕掛けれてくれば即座に反撃する、という意思表示をしなければ、完全に中国の戦略の渦中に投げ出され、将来は属国化の道をひた走ることになるでしょう。中国の狙うのは台湾だけではありません。台湾の次は尖閣、沖縄、そして本土と覇権主義国家は「クリミヤ方式」で狙ってきます。それを止めるのは「核」を含む「最大限の反撃能力」だと思いますね。

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2023年1月26日 (木)

長谷川幸洋氏:韓国が「核武装」するかもしれない…!「安全保障オンチ」な岸田政権との決定的な差

Images_20230125142301  日本は新安保3文書を閣議決定し、「反撃能力」を戦後初めて盛り込み、防衛費の大幅増にも舵を切りました。だが今だに「専守防衛」の旗は降ろさず、「非核三原則」も堅持したままです。

 そうした中、韓国が核共有に前向きとなる姿勢を示し始め、なおかつ北朝鮮の動向によっては、核開発も検討対象にするという方向性を示し始めました。この日韓の核に対する考え方の違いについて、ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、現代ビジネスに寄稿した記事から見てみましょう。タイトルは『韓国が「核武装」するかもしれない…!「安全保障オンチ」な岸田政権との決定的な差 なんと脳天気なことか』(1/20公開)で、以下に引用して掲載します。

韓国大統領が「核開発」に言及

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が1月11日、独自核開発の可能性に言及した。岸田文雄首相は13日、ワシントンで米国のジョー・バイデン大統領と会談し、日本の防衛力強化を約束したが、核問題については「素通りした」も同然だ。それで日本は大丈夫か。

尹大統領の核武装発言について、なぜか日本のマスコミは、ほとんど報じていない。だが、当の韓国はもちろん、米国でも注目を集めている。尹大統領はいったい、何を語ったのか。

朝鮮日報によれば、尹氏は11日、韓国国防部と外交部の報告を受けた形で「北朝鮮による挑発がさらに激しくなった場合、戦術核兵器を配備し、独自の核武装を検討する」と語った。ただし「米国が各戦力を運用する過程で、韓国がそれに参加するのが現実的な手段」と付け加えた。

1月12日付のニューヨーク・タイムズによれば、尹氏は「核開発は、まだ公式な政策ではない。北朝鮮の核の脅しが高まれば、韓国は独自に核開発するか、あるいは、米国に核の再配備を求める。米国との同盟関係を強化することによって、北朝鮮の核の脅威に対抗できる」と語った。同盟関係強化とは「米国に核共有を求める」という話だろう。

韓国の野党系、ハンギョレ新聞は14日、大統領発言を取り上げ「波紋が大きく広がっている」と報じた。同紙によれば、大統領は「韓国の科学技術で、早期に韓国も(核兵器を)保有できる」と語ったという。

尹大統領が核開発の可能性に言及するのは、これが初めてだ。日本のマスコミが報じないのは半信半疑だったせいかもしれないが、感度が鈍すぎる。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、韓国では核武装の議論が高まっていた。大統領発言は思いつきではない。

沈黙を続ける岸田政権とマスコミ

マスコミの鈍さは、日米首脳会談についての報道にも表れている。左派マスコミは別として、概ね「日米同盟の抑止力を強化」とか「反撃能力の協力で一致」などと前向きに評価したものの、核問題についての解説や報道は皆無に近かった。識者たちのコメントも同様だ。

日米首脳会談の共同声明は「バイデン大統領は、核を含むあらゆる能力を用いた、日米安全保障条約第5条の下での、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメント(関与)を改めて表明した」とほんの一言、核に触れるにとどまった。

この素っ気なさについて、私が見た限りでは、産経新聞が社説で「物足りない点もある。…中国、北朝鮮、ロシアが核戦力を増強する中で、日本を守る核抑止態勢の具体的強化策は示されなかった。今後の課題である」と書いたくらいだ。

いまや「核の脅威」は避けて通れない。なぜなら、日本は中国、ロシア、北朝鮮という核を保有する独裁国家に囲まれている。次に、北朝鮮は繰り返し、日本周辺にミサイルを撃ち込んでいる。そして、ロシアは現実にウクライナを核で脅しているからだ。

にもかかわらず、岸田政権は「核の脅威」など存在しないかのように、核による反撃能力について、まったく沈黙している。昨年12月23日公開コラムで指摘したが、先に閣議決定した国家安全保障戦略など防衛3文書は「非核3原則を維持し、拡大抑止を含む日米同盟が安保政策の基軸」と書いたにすぎない。

1月11日にワシントンで開かれた防衛・外務閣僚による日米安全保障協議委員会(2+2)の共同発表は「米国の核態勢の見直しについて、突っ込んだ議論を行い…実質的な議論を深めていく意図を有していることを改めて表明した」と書いた。これも裏を返せば、実質的な議論はなく「これから議論しようという意志を確認した」だけだ。

これ1つとっても、韓国との違いは鮮明である。

韓国は北朝鮮の脅威に対抗して、独自の核武装さえ選択肢の1つとして検討しようとしている。日本の岸田政権は核武装どころか、米国との核共有も求めていない。それどころか「核を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則を唱え、米国の核持ち込みも否定している。バイデン政権の言葉を信じて疑わないかのようだ。

バイデンは高笑いしている

なぜ、こうなってしまうのか、といえば、理由ははっきりしている。岸田政権は「核廃絶」を看板に掲げているからだ。主要7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催が象徴しているように、岸田首相にとって、核廃絶は最重要政策だ。

バイデン大統領も首脳会談で「核兵器のない世界に向けて、ともに取り組んでいく」と同調した。だが、そんな言葉を額面通りに受け止めていいのか。米国が「核なき世界に向けて、日本とともに取り組む」と言うのは、それが「米国にとって都合がいい」からだ。

日本が核廃絶を唱える限り、日本は絶対に核保有を言い出せないし、米国との核共有も要求できない。自分が「核を捨てよう」と言っているのに「オマエの核を使わせてくれ」などというのは、完全に矛盾してしまう。それこそが、米国の望むところなのである。

日本が自前の核を保有せず、米国との核共有も言い出さなければ、日本の運命は米国が握ったも同然の状態が続く。日本の安全保障を約束する代わりに、米国は圧倒的に有利な立場を維持できる。

米国のホンネは、いま核を捨てるつもりなど、まったくない。それは「見果てぬ遠い将来の夢」にすぎない。ウクライナでロシアの現実的な脅威に対峙している米国が「核廃絶に動く」などと考えるほうが、どうかしている。

「その気」はまったくないが、日本の首相が唱える核廃絶に調子を合わせているのは、そうしておけば、日本が自ら手を縛ってくれるからだ。大統領はホワイトハウスの回廊で、岸田首相の肩に手を添え、にこやかに振る舞っていたが、高笑いが止まらなかったのも当然だ。

現実を直視している韓国

韓国の尹政権は、はるかに現実的だ。先のニューヨーク・タイムズは、次のような韓国の専門家の言葉を紹介している。

〈もしも韓国が核を保有すれば、米国は同盟国を守るために核を使うべきか否か、という問題に悩まなくて済むようになる。韓国が核を持てば、米国も実際、より安全になるのだ。自前の核武装の意図を宣言することによって、韓国は北朝鮮に核開発計画の再考を迫ることができる。そして、おそらく平壌に計画撤回を迫る圧力になるはずだ〉

米国を説得するロジックの1つではある。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に成功しかかっているいま、核をめぐる環境は劇的に変わった。米国がソウルを守るために「ニューヨークやワシントンを犠牲にしたくない」と考える可能性は十分ある。

韓国の国民も核武装に前向きだ。

シカゴ国際問題評議会とカーネギー国際平和財団が昨年2月、韓国で実施した世論調査では、回答者の71%が独自の核開発に賛成し、56%が米国の核兵器の韓国配備に賛成していた。

「独自の核開発」か「米国核の再配備」か、という二択の質問では、圧倒的多数の67%が独自の核開発に賛成し、米国核の再配備に対する賛成は9%しかなかった。逆に、米国核の再配備には40%が反対し、独自の核開発に対する反対は26%にとどまった。

なんと脳天気なことか

尹大統領発言の背景には、こうした核武装に前向きな世論がある。背景にあるのは、ロシアによるウクライナ侵攻だ。

昨年4月6日付のニューヨーク・タイムズは「ウクライナが1990年代に核を放棄したとき、ロシアに対して脆弱になるという論争があった。だが、韓国の多くの国民は『もはや議論の余地はない』と考えている。『北朝鮮の侵攻を防ぐには、核が必要だ』という声がオンライン上にあふれた」と報じた。

岸田政権は、なんと脳天気なことか。

自民党も似たようなものだ。亡くなった安倍晋三元首相が昨年2月、米国との核共有を問題提起したことなど忘れたかのように、岸田政権がお印のような反撃能力の保有を言っただけで、すっかり満足してしまったように見える。

安倍氏は草葉の陰で泣いているだろう。核問題に関する限り、私は「日本は韓国に学べ」と言いたい。

 反日国家「韓国に学べ」とは、正直言いたくないのですが、こと「核」の問題に関しては学ぶ必要があるでしょうね。安部元首相亡き後、誰が核の共有や開発を提唱するのでしょうか。岸田首相に期待できない今、閣僚の中から声を大にする人物が出てくることを願わずにはいられません。

 「反撃能力」を保持することでさえ、大きな転換だと騒ぐ日本。しかし今まで政治家もメディア人も学者も含めて、そうでなかったことの方が不思議だと思わない国民が多いことこそ、安全保障に関しては如何に「お花畑」に埋もれてきたかを物語っています。

 核の被害国だから反核を主張し絶対に保有しない。これは戦争に負けたから軍事力を持たない、に通じる、非論理の極みだと思います。核の被害国だから二度と核に脅かされないよう、核を保有する。戦争に負けたから、負けないように軍事力をより増強する。この方がよほど論理的だと私は思います。非論理を強制されたのはGHQのWGIPからなのです。今こそ日本人は覚醒せねばなりません。

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2023年1月 3日 (火)

有本香氏:安倍元首相こそが「安保3文書改定」の真の功労者 戦後日本最大の変化の道筋を示した

Img_128cab16590b5164efe4a67fa9406ad52543  昨年暮れには安保改定3文書が閣議決定され、反撃能力の明記など今までの政策から一歩踏み出した、日本の安全保障政策の大きな転換となった一年でした。それに応じて岸田首相の指導力が脚光を浴びるはずですが、いずれもその足がかりを築いたのは、安部元首相でした。

 ジャーナリストの有本香氏がそれに関しzakzakに寄稿しています。タイトルは『安倍元首相こそが「安保3文書改定」の真の功労者 岸田首相のそれがかすんで見えてしまう 戦後日本最大の変化』(22/12/30公開)で、以下に引用して掲載します。

「五黄の寅年は荒れる」といわれるが、確かに2022年は大荒れだった。そんな年の凶事を、国内外一つずつあげるなら、世界では「ロシアのウクライナ侵攻」、国内の出来事としては、「安倍晋三元首相暗殺」の衝撃がやはり大きかった。

しかも、安倍氏の他界は、半年近くがたついまとなって一層、その「不在の大きさ」を思い知らされる。

安倍氏が存命だったら…。この半年の間にそう思ったことは一度や二度ではなかった。特にその思いを強くしたのは12月、岸田文雄首相が、唐突に「防衛増税」を言い出し、わずか1週間で増税方針を決めてしまったときである。

もし、安倍氏が元気で、100人近い最大派閥を率いていたら、岸田首相はかくもやすやすと、「防衛費増額を増税で」とは言い出せなかったろう。加えて、同じく12月に改定された「安保3文書」の中に、「専守防衛」や「非核三原則」といった、日本を過度に縛る奇妙な標語が残ることもなかったのではないか。

実際、安倍氏は首相時代の2018年2月14日、衆院予算委員会で「専守防衛は純粋に防衛戦略として考えれば大変厳しい」と踏み込んだ答弁をしていた。「相手からの第一撃を事実上甘受し、本土決戦となりかねない構え」だとの認識をすでに明示していたのだ。

2つの奇妙な標語が残ったとはいえ、「反撃能力」の保有を記した新たな「安保3文書」の意義は大きい。これすなわち、自衛隊が敵領土への攻撃力を持つことに踏み込んだことを意味するからだ。戦後日本最大の変化の一つと言って過言でない。

そんな3文書改定は、「岸田政権の成果」として歴史に刻まれることにはなるが、実の功労者が誰であるかは、みんな分かっている。文書改定の実務に携わった自民党の佐藤正久元外務副大臣(参院議員)は18日、自身のフェイスブックに次のような投稿をした。

「安全保障三文書の作成を(先祖の)墓前に報告して参りました。この中身は安倍元総理の想いも相当詰まったものだと言えます。防衛省への格上げ、特定秘密保護法、平和安全法制に続いての防衛政策の大きな節目に、再び関与出来たこと、先祖のお導きだと思います」

佐藤氏の投稿に「岸田首相」の言及がないことを当てこする気はない。しかし、第一次安倍政権で2007年、防衛省への格上げを成したときからの、安倍氏の「国防」への信念の揺るぎなさ、自身のリスクを省みず特定秘密保護法や安全保障法制(平和安全法制)を通しきった姿勢と比べると、岸田首相のそれがかすんで見えてしまう。

「死せる安倍、生きる岸田を走らす」

三国志に由来する故事をもじって、こんなふうに言う向きもある。ただ、私はいまだ、そうしたレトリックに酔う余裕はない。日本に国難迫るいまこそ、安倍氏に元気でいてほしかった。

一方で、そんな安倍氏の功績と、その人を喪った事件ごと、なかったことのようにしようとする「力」があることに震撼(しんかん)する。

例えば、TBSが18日、午後2時から9時間を使って放送した特番『報道の日2022』の番組予告欄には、ウクライナでの戦争の最前線から、福岡5歳時餓死事件まで、今年のさまざまな事件が列記されているが、驚くことにそこには「安倍」のアの字もない。

さらに、奈良市は、近鉄大和西大寺駅北側の安倍氏暗殺現場に、一切の「印」を残さず再開発をすることを決めたという。この決定は、有識者らから「交通に支障がでる」「事件を思い出す」といった意見が出て、市長が決めたと伝えられる。

反対する民間人によるネット署名も始まっているが、民主主義の国で憲政史上最長の政権を担当した首相、つまり私たち国民が最も長く支持した宰相の「非業の最期」を、記しもしないというのは一体、どんな心映えによるのだろうか。

安倍氏の功績を後世に正しく語り継ぐ。むしろ、日本の「国防」はその行為から始まると思うが、いかがか。

 「戦後レジームからの脱却」「美しい国作り」という、理念を訴えた戦後の偉大な政治家、安倍晋三元首相。その安倍氏の強い思いが安倍氏の死後「安保3文書」の骨格となり、昨年の安保政策の画期的転換の下敷きとなっています

 しかし有本氏の指摘の通り、「専守防衛」や「非核三原則」の標語が残ったことは、未だに自民党内リベラル派や公明党への気兼ねが見えて、戦後レジームを引き継いでいるように思われて残念ですが、戦後日本の安全保障政策の転換の第一歩になったことは間違いないでしょう。ようやく普通の国に近づいたのは評価していいと思います。

 今後は置き去りになった、「専守防衛」からの脱却や、「非核三原則」の破棄を進め、真に普通の国になることを期待します。ただ残念ながら岸田首相にはその気がないでしょうから、次期政権への期待先送りとなるでしょう。

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2023年1月 2日 (月)

高市早苗氏:有事ではまず「自分の国は自分で守る」、日本の現状「新たな危機の時代に突入した」

9_20230101171201  高市早苗経済安保相は昨年、岸田首相の防衛費増額のための増税論に果敢に反論を繰返しました。最後には増税の結論を最終的には先に延ばすことにより、矛を収めた形でしたが、彼女の今このタイミングでの増税に反対する姿勢が伝わったと思います。しかも自身の進退もかけて。

 その高市早苗氏が夕刊フジのインタビューに応じました。昨日付のzakzakにその記事が掲載されています。タイトルは『経済安保「自分の国は自分で守る」高市早苗氏、単独インタビュー 日本の現状「新たな危機の時代に突入」特定秘密保護法、経済版を作りたい』(1/1公開)で、以下に引用します。

高市早苗経済安全保障担当相が、夕刊フジの単独インタビューに応じた。日本を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい。中国は軍事的覇権拡大を進め、ロシアなどと合同軍事演習を繰り返している。北朝鮮は核・ミサイル開発を強行している。「台湾有事」「日本有事」に備えた防衛力強化は急務で、経済の側面から日本の国益を守り切る経済安保が注目されている。激動の時代を乗り切る、意気込みを力強く語った。(中村昌史、海野慎介)

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――2022年を振り返り、どう感じるか

「とにかく、激動だった。ただただ無念なのが7月8日。安倍晋三元首相が、ああいうかたちでお亡くなりになった。辛さを、ずっと、引きずっている」

――安倍氏は、21年の自民党総裁選で高市氏を推した。外交・安全保障などの理念継承も期待される

「1997年ごろから、教育問題に始まり、さまざまな勉強会でご一緒した。安倍氏の理念は突き詰めると『国力を強くする』ということだったと思う。国力は経済力であり、国防力でもあり、今や情報力、サイバー防御力など、多様な分野に広がった。安倍氏はずっと、『自分の国は自分で守る』という信念を語っていた。日本はまさに、その局面にある。力をつけなければならない」

――自民党政調会長から岸田文雄内閣入りした

「試行錯誤のなか、自分なりの達成感はある。総裁選に名乗りを上げた後、政調会長を務めた。22年8月10日からは、経済安全保障担当相として、新たな挑戦が始まった」

――日本を取り巻く情勢をどう見るか

「拡大する中国の軍事動向、ロシアのウクライナ侵略、北朝鮮の核・ミサイル開発など、国際社会は戦後最大の試練を迎えている。日本も『新たな危機の時代』に突入したといえる」

――「台湾有事=日本有事」の懸念が高まる

「有事では、まず日本が主体的に対応する。これを忘れず、必要な能力をつけなければならない。日米同盟は重要だが、『日米防衛協力のための指針(ガイドライン)』でも、何か事があれば、まずは日本が主体的に対処し、米国はこれを補完、支援する立場だ。有事に米軍が最初から戦ってくれるのではない」

――戦略、政策が問われる

「まさに国防もそうだが、政調会長として短期間で政権公約を作り、全国遊説し、21年の衆院選に勝利できた。22年の参院選の公約もうまくまとまり、結果もよかった。その点での達成感はある」

――経済政策の指針となる「骨太の方針」で、プライマリーバランス(PB=基礎的財政収支)の黒字化にこだわる財務省とのせめぎあいがあったと聞く

「政調会長として、やはり『骨太の方針』が一つの山だった。党全体の会議でさまざまな意見が出たが、最後は一任していただいた。岸田首相と対面で議論し、『ただし、重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならない』との一行を加筆していただいた。財政規律を重んじる内閣の中にあっても、非常に影響力のある一行を盛り込めた。食料やエネルギー、経済などの安全保障を徹底し、政策の安定性、継続性を確保するうえで、重要政策は当初予算で措置することなどが盛り込まれたのも成果だろう」

――防衛費増額では、岸田首相の「増税」方針が波紋を呼んでいる

「政調会長としてまとめた自民党公約には、『NATO(北大西洋条約機構)諸国並みの対GDP(国内総生産)比2%以上を念頭に』と書き込んだ。参院選ではさらに踏み込み、『5年以内に抜本的に強化』『NATO諸国並みの対GDP比2%以上』と明記した。中国、ロシア、北朝鮮。日本は、隣国すべてが核保有国だ。3カ国のリーダーへのメッセージでもあることを意識して、公約を打ち出した」

――閣僚として初めて、亡命ウイグル人でつくる「世界ウイグル会議」のドルクン・エイサ総裁と面談した

「中国の人権侵害の実態について、さまざまな話をお聞きした。有意義だった。人権尊重も自民党の公約だ。岸田首相も人権担当補佐官に中谷元氏を置いている。人権外交にしっかりした問題意識をお持ちだと確信している」

――自身の担当にも関連する

「人権問題は経済安全保障にも関わる問題だ。中国の人権状況に対して、欧米では、強制労働で生産された製品の輸入を規制した」

――日本の姿勢が問われる

「中国をめぐっては近年、サイバー攻撃などが主要課題だったが、人権が重視されるようになった。米国は昨年から、エンティティリスト(=米商務省が管轄する貿易取引制限リスト)で、人権侵害に関与する団体・企業を対象に追加した。米国の輸出管理は日本にも適用され、罰則もある。欧州も同様だ。人権は、経済安保にも関わるテーマだ。政界、経済界を含め日本全体が高い意識を持たないと、サプライチェーン(供給網)から弾き出される」

――具体的な課題は

「いま歯を食いしばって頑張っているのは、機密情報の取り扱い資格『セキュリティー・クリアランス』(適格性評価=SC)だ。これを確実に法制化しなければならない。すべてが手探りで、まずはG7(先進7カ国)の情勢を調べた」

――G7は進んでいたか

「詳細は機微に触れ、なかなか教えてもらえなかった。恥を忍び、英国のシンクタンクに個人的に依頼して調べると、G7各国が、相当しっかりしたSCを持っていることが分かった」

――日本の現状は

「日本唯一の法定のSC制度は、安倍氏が政権の命運をかけてつくった『特定秘密保護法』に基づく適性評価の仕組みだけだと思う。ただ、秘密の指定対象は『防衛』『外交』『テロ』『スパイ行為』の4類型で、各大臣が『特定秘密』指定した情報などにアクセスすることにしかならず、対象が非常に限定的だ。その経済版を作りたい」

――具体的には

「特定秘密保護法改正で対応する手もあるが、目的を考えると少し違うと思っている。例えば、最近の社会では、民生と軍事の両方で活用される『デュアルユース』の先端技術があふれている。民間でも活用される技術を、特定秘密に含めて指定するのは現実に即していないだろう。そこで、経済安全保障推進法の改正案で、『産業版SC制度』をつくりたいと私は考えている」

――法制化の課題は

「G7は友好国だ。このチームから弾き出されるのは、国益や経済上、得策ではない。特定秘密保護法では、対象情報の範囲のほか、適性評価で調査できる事項も法律で限定されている。一方、海外のSCでは、国籍をはじめ、家族の渡航歴、思想信条、忠誠心などまでが調査項目だ。隣人や知人へのヒアリングも行われる。日本が受け入れられるかが難しい」

――なぜ導入が必要なのか

「このままでは、日本企業が、海外との共同研究、外国政府の調達、民間企業同士の取引などから排除される恐れがある。これが大きな理由だ。特定秘密保護法では、特定秘密にアクセスしたくない人は、国家公務員でも適性評価を受ける必要はない。強制ではなく拒否できる。一方、SCを有していないと、積極参入を希望する日本企業や個人が大変苦労することになるかもしれない。政府に限らず、海外の民間企業との取引でも、情報通信、量子技術、AI(人工知能)など、多くの分野がデュアルユースだ。SCだけでなく、他国企業からの調査を求められる状況まで出てくる。なお、企業における従業員に対する自主的なバックグラウンドチェックについては、労働法制がネックとなってやりづらいという声があり、ここへの対応も考えなくてはならない」

――新年への意気込みと目標を

「いま申し上げたSCを、いかに法制化できるか。日本政府として、大変な作業に挑むことになる。1年で出来上がるかどうかも分からない、気が遠くなるような作業だが、何とか法律にしたい。もう一つは、G7の科学技術相会合の議長を務める。さまざまな技術の共有をめぐる意識を議論したい。宇宙担当相として『デブリ(ごみ)』の問題にも取り組みたい。宇宙空間を浮遊する中国やロシアの衛星破壊実験で生じた破片など、危険なデブリが問題化している。日本は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と民間企業が協力してデブリ回収技術を開発している。ビジネスの可能性にもつながる話だ。国際ルール策定も含め、壮大な宇宙分野にも挑戦したい」

――多忙な日々だ

「録りためたドラマを見る暇もなくなったが(笑)。国民の期待に応えられるよう、力を尽くしたい」

 高市氏は、自民党総裁選出馬の際に、様々な提言録をまとめ上げていますし、政調会長時代も参議院選の自民党の政策公約をまとめ、現経済安保相就任後もSCはじめ重要政策の法案作りにも汗を流しています。

 これほど国家の政策全般にわたって幅広く研究し知見を広めている議員も数少ないでしょう。本当に他の議員も彼女のように国や国民のために重要な政策を考えて欲しいと思いますね。もちろん野党議員にも。今後とも高市氏のご活躍を期待したいと思います。

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2022年12月31日 (土)

反撃能力を明記した防衛戦略にかかる3文書、友好国の礼賛の中で韓国が見せた異様な反応

Img_30fc38798904cff5891548e823e439cb8142  「反撃能力」の保有が明記され、これまでの専守防衛から一歩踏み出した形の日本の防衛政策。政府は今月「国家安全保障戦略」など、3文書を閣議決定しました。米国をはじめ友好国は礼賛の姿勢を見せていますが、中国はもちろんとして、あの韓国も賛同しているわけではないと言うニュアンスの、反応を見せています。

 半ば予想されたことですが、その理由は何でしょうか。イトモス研究所所長の小倉健一氏が現代ビジネスに寄稿した文章から、その概要を見てみましょう。タイトルは『韓国が「日本のシン防衛大綱」に異様なほど怯える理由…何が怖いのか、その秘密はあの「トラウマ」にあった』(12/24公開)で、以下に引用します。

日本の持つ「反撃能力」を世界はどう見ている

政府は、12月16日、臨時閣議で「国家安全保障戦略」など3つの文書を決定した。日本では「統一教会」や「防衛費増の財源」問題に、世論が沸騰し、国民は「防衛3文書」についてほとんど知らないままだが、今回の閣議決定では、敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の戦後最大の転換となった。

「反撃能力」と言われて、私たちが一般的にイメージするものはなんだろうか。

あなたは今、敵国がミサイルを日本国内に撃ち込み、それを日本が反撃する能力と考えていないだろうか。もちろん、ミサイルを撃ち込まれたあとに撃ち返すのも反撃能力に含まれているのだが、今回の「反撃能力」の定義はもっと意味が広い。

例えば、北朝鮮が日本にミサイル攻撃に着手した時点、つまり、北朝鮮はミサイルをまだ発射していない時点でも、日本はこの「着手」を攻撃とみなし、反撃に出ることが理論上可能となった。ミサイルを相手国が撃っていなくても、日本はミサイルを撃ち込めるというわけだ。これは、国際法上は許されていることだが、見方次第では「先制攻撃」と非難されてもおかしくない事態である。

閣議決定された3文書の1つ、『国家安全保障戦略』には、以下のような記述がある。

「反撃能力とは、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力をいう」

ここでいう「スタンド・オフ防衛」とは、敵国の射程圏外から攻撃できる長射程のミサイルを活用することだ。主力となるのがトマホークという米軍が湾岸戦争で使用したミサイルで、国産ミサイルが配備されるまでの間、主力に位置づけられる。政府は26年度に部隊へ配備したい考えだ。

ここで問題となるのは、何をもって敵国が日本に対して攻撃に「着手」したとするかである。日本の持つ人口衛星や情報収集能力には限界があり、「着手」したかどうかの判断は、アメリカのインテリジェンスに頼り、アメリカに相談しながら決定されることになる。国際法上は許される「反撃能力」を日本が有することは、日本の防衛力を高めていくのは間違いないものの、アメリカとの一体運営が進むことにもなり、また反撃もアメリカのトマホークに頼ることになる。防衛や外交における日本の自主性が損なわれることがないか心配な面はある。

友好国は手放しに礼賛

これら「防衛3文書」の閣議決定をアメリカ、オーストラリア、カナダ、台湾など日本の友好国は、政府高官、メディアも含め、大いに喜んでいる。簡単に並べてみる。

アメリカは、確認される限り、バイデン大統領、ジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官、オースティン国防長官、エマニュエル駐日大使、ペロシ前下院議長、そしてメディアが、防衛3文書について、支持、歓迎の意を表明した。

「米国はこの重要な瞬間に日本とともにある。我々の同盟は、自由で開かれたインド太平洋の礎であり、平和と繁栄への日本の貢献を歓迎する」(バイデン大統領)、「我々は、日本が、反撃能力を含む地域の抑止力を強化する新たな能力を獲得する決定を支持する。防衛費が2027年にはGDPの2%に達するという決定を支持する」(オースティン国防長官)、「(日本は)中国を安全保障上最大の課題とし、他国を攻撃可能なミサイル購入費を含む軍事費の大幅な引き上げを発表した。日本にとって、第二次世界大戦以降最大の平和主義からの転換の一つとなる。中国を脅威と呼ぶかにつて与党で議論したあと、政府は中国を〈これまでにない最大の戦略的な挑戦〉と表現することに落ち着いた。この文書は、最近発表された米政府の国防戦略と重なる。米国との協力関係の強化は3文書のテーマである」(米ウォール・ストリートジャーナル紙)。

オーストラリア・ウォン外相は、Twitterで「オーストラリアは、日本国家安全保障戦略を発表したことを歓迎する。先週の2+2で再確認したように、豪日両国は、平和で繁栄し、包摂的なインド太平洋地域のために協力していく」と投稿した。

カナダの外務省は、Twitterで「カナダはインド太平洋地域の安全と安定に大きく貢献する日本の新しい国家安全保障戦略と防衛予算の増加を歓迎する。我々は、カナダのインド太平洋戦略の一環として、ルールに基づく国際秩序を堅持し、自由で開かれた包括的なインド太平洋地域を維持するため、日本のような同盟国やパートナーと緊密に協力していく」と投稿し、そのツイートをジョリー外相がリツイートした。

台湾外国部は、HP上で「12月16日、日本政府は国家安全保障戦略等国防3文書を公表した。内容は、日本の台湾、台湾海峡および国際社会の平和と安定に対する高い関心を体現するとともに、民主国家陣営の確固たる立場をはっきりと示すものであり、外交部として評価し、歓迎する」と談話を掲載した。

「反撃する前に、韓国の同意を得よ」

さて、このように友好国が手放しで、防衛3文書を絶賛している状況にあって、複雑な反応を示したのが韓国である。

韓国3大保守紙の東亜日報(12月17日)は「(日本の)専守防衛の原則は77年ぶりの大転換を迎えた。今回改正された安保戦略は、平和憲法9条を完全に無力化する内容だ」とした。聯合ニュース(12月17日)は、「自衛隊は米国に対する攻撃が発生した時も、敵国のミサイル基地等を攻撃できるようになる。自衛隊の朝鮮半島介入は、日帝侵略と植民地支配に対するトラウマがある韓国には想像もできないことだ。いかなる場合であれ、韓国の同意なしに日本または日米の決定だけで朝鮮半島で日本が軍事行動をすることがあってはならない」とした。

韓国外交部も、渋い顔だ。

「日本の防衛安保政策が、平和憲法の精神を堅持しつつ、地域の平和と安定に寄与する方向で、透明性をもって策定されることが望ましいとの立場である」

「今回の日本の安全保障戦略文書において、日本国憲法内の専守防衛の概念を変更せず、厳格な要件内で行使できるという内容に注目している」

「朝鮮半島対照の反撃能力行使のように朝鮮半島の安全保障および韓国の国益に重大な影響を及ぼす事案は、事前に韓国との緊密な協議および同意が必ず必要だとの立場にある」

として、「反撃する前に、韓国の同意を得よ」と無理難題を言い出している。なぜ、このようなことを言い出すのかと不思議に思っていたら、韓国メディアの報道に、その答えがあった。

韓国の聯合ニュースは、「自衛隊は米国に対する攻撃が発生した時も、敵国のミサイル基地等を攻撃できるようになる。自衛隊の朝鮮半島介入は、日帝侵略と植民地支配に対するトラウマがある韓国には想像もできないことだ。いかなる場合であれ、韓国の同意なしに日本または日米の決定だけで朝鮮半島で日本が軍事行動をすることがあってはならない。(韓国)政府は特に、日米首脳会談で役割分担と関連した具体的な内容が確定する前に、両国とこの問題を十分に論議し、韓国の国益を守り、国民の懸念を減らしてほしい」(12月17日)と報道した。

つまり、今回の3文書改定に、韓国が怯えているのは、過去の植民地支配が念頭にあるというのだ。また、韓国3大保守紙の東亜日報は「(日本の)専守防衛の原則は77年ぶりの大転換を迎えた。今回改正された安保戦略は、平和憲法9条を完全に無力化する内容だ」(12月17日)としていて、韓国の日本への警戒ぶりは、日本人の想像を超えている。

諸外国の賛否両論の大きな反応見ても、今回の防衛3文書の改訂が、戦後の日本外交・安全保障の大転換になっていることを知らないのは、日本人だけということのようだ。

 戦前日本が併合した朝鮮と台湾で、このように全くと言っていいほど異なる反応が生じているのは、朝鮮が1910年に、基本、「東夷」と言われた位の低い日本に「小中華」たる朝鮮が統治されたという屈辱が、「恨」となって彼等の奥深くに潜んでいるからでしょう。

 しかし英国旅行家のイザベラバード女史が、日本の統治前の朝鮮を以下のように記述しています

朝鮮の社会と民族性について

・朝鮮の国民を分けるとしたら、「盗む人」「盗まれる人」の2つしかない。

・「搾取する人」は役人 「搾取される人」はそれ以外の国民である。

・一生懸命努力してほんのわずかな金でも蓄財したことが知られれば、役人が全てを搾取していく。

・ゆえ、ぎりぎりに暮らしていけるだけの収入を得ればよいので、それ以上働こうとしない。

・ゆえ、生活の向上がみられず、みんな貧しいままである。

・ロシア人統治の地域に入植した人々は、搾取されることがなかったので、一生懸命働き蓄財し、明るい表情であった。

・ゆえ、朝鮮人が本来がなまけ者であるのではなく、政治腐敗に問題がある。

・朝鮮は自国による改革はもはや不可能であり、他国による改革し方法はなかった。

8_20221230154001 生活の状況について

・1894年当時ソウルは世界一汚い都市である。

・両班と言われる貴族階級は、役人か教師しか職業がなく、ふらふら町ですごす人々が多かった。

・女性は最下層の人が外で働くことがあっても、ほとんどの夫人は家の奥に蟄居させられていて、女性自身はそうされることは大事にされていると感じていた。

・ゆえ、外の世界、ソウルの街さえも見たことがない人が多い。

・当然男尊女卑である。結婚は親が決めた人とし、息子の嫁の手助けを得るまでは朝から夜遅くまで働き、身なりに気をまわすことなどできなかった。

・女性で教育を受けることが出来るのはキーセンのみであった。大事な賓客をもてなすキーセンは客と同じレベルの話題についていけるように、国の運営する養成学校で歌舞などとあわせて教育を受けた。

 こうした朝鮮を、完全とは言えなくとも近代的な国家に育て上げたのは日本の統治時代でしたが、その事実は韓国では完全に伏せられ、逆に日本の圧政と蛮行が行われたという、嘘の歴史を作り出し、子供の時から教育しているのが実態です。

 そしてそれを政府(特に反保守政権)、メディアが繰り返しプロパガンダで国民を洗脳してきていた結果、反日の思想に上から下まで固まってしまったのが現状です。

 逆に日本のメディアはその真実を伝えません。GHQにより弱体化された外交政策の元、政府も腫れ物に触るように取り上げません。ですから戦後まもなく李承晩ラインを勝手に引かれ、日本漁民が大勢拿捕されても、またその後竹島を不法占拠されても、慰安婦強制連行の嘘をつかれても、徴用工問題を捏造されても、外務省は腰が引け続けて今日に至っています。

 安部元首相が慰安婦問題をはじめ、積極的な行動を起こしましたが、猛烈な反日、反安部攻撃のなか、完全な解決に至っていません。安部元首相亡き後、もはや完全な解決は困難でしょう。今後の対韓外交は「いいとこ取り」に徹し、後は完全無視を貫く方がいいと思います。

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2022年12月29日 (木)

和田政宗氏:中国抑止の鍵は「反撃能力」 安保3文書、一方的な専守防衛からの大転換

K10013908261_2211301912_1130192010_01_02  昨日のテレビの報道番組で、女性のコメンテーターが「反撃能力」をわざわざその旧称「敵基地攻撃能力」と最初に述べ、続いて「憲法に反するような」、と表現していました。

 ウクライナを突如侵略したロシアや、ミサイル発射実験を繰返す北朝鮮、それに台湾侵攻をちらつかせ、日本に対しては毎日のように尖閣諸島周辺で、威嚇行動を繰返す中国という、3つの独裁国家にそれぞれ隣に位置しているという、極めて危険な日本の安全保障環境。

 その現状を考えれば、安全保障に関しては全く無力で、むしろ阻害要因としか言えない現憲法を持ち出して、言及することは、未だに「自虐史観」から抜け出していないことの証左でしょう。まだまだそういう人がテレビで持論を展開しているのが気になります。

 それは別として、自民党参議院議員の和田政宗氏が、その「反撃能力」について月刊hanadaプラスに寄稿していますので、今回それを取り上げます。タイトルは『中国抑止の鍵は「敵基地反撃能力」|和田政宗』(12/24公開)で、以下に引用します。

中国外務省の報道官は安保3文書について「中国の脅威を誇張して軍拡の言い訳とするたくらみは思いどおりにはならない」と反発。日本国内にも反対意見はあるが、我が国が「敵基地反撃能力」を持つことは、我が国のみならず、台湾、インド太平洋地域全体の平和に資する!

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一方的な専守防衛からの大転換

「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書が、今月16日閣議決定した。これまでの受け身一辺倒であった専守防衛から、「敵基地反撃能力」の保有と抑止に重点が置かれ、戦後の安全保障政策の大転換となった。安倍政権、菅政権からの流れを、現政権下の3文書改定で実現したことになる。

なお、「国家防衛戦略」は、「防衛計画の大綱」に代わり新たに策定されたものである。これまでの防衛力の整備の基本的指針である「防衛計画の大綱」に代わり、我が国の防衛目標を達成するためのアプローチとその手段を包括的に「国家防衛戦略」として示した。

また、「防衛力整備計画」は、「中期防衛力整備計画」に代わり新たに策定されたもので、これまでの「中期防衛力整備計画」が5年間の計画だったものを、「防衛力整備計画」は10年計画とし、我が国として保有すべき防衛力の水準を示し、それを達成するための中長期的な計画を記すものとなった。

そして、これらの文書で特に注目すべきものは、中国の脅威が明確に位置づけられ、それに対応する防衛力を整備する内容となっていることだ。

中国は今後5年が、自らが目指す社会主義現代化国家の全面的建設の肝心な時期と位置付けていると分析し、国防費の急速な増加で能力を強化、軍事活動を活発化させており、中国の「対外的な姿勢や軍事動向等は我が国と国際社会の深刻な懸念事項」であると非難した。

さらに、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保する上で、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」であるとし、我が国や東アジアを取り巻く緊迫した情勢は中国に原因があることを明記した。  

この他、北朝鮮、ロシアの行動も併せて考察し、新しい戦い方が顕在化していると分析。精密打撃能力による大規模なミサイル攻撃や、情報戦を含むハイブリッド戦、宇宙・サイバー・電磁波領域や無人アセットを用いた攻撃、核兵器による威嚇に備えなければならないとしている。

こうした攻撃への対応として、今回新たに打ち出されたのが、「抑止」であり、そのために必要なのが「敵基地反撃能力」である。一方的な専守防衛からの大転換である。

抑止力向上、3つのアプローチ

新たに策定された「国家防衛戦略」では、その前提として、ロシアのウクライナ侵略を題材に我が国の防衛上の課題を分析した。ロシアがウクライナを侵略するに至った軍事的な背景は、ウクライナがロシアによる侵略を抑止するための十分な能力を保有していなかったことだと指摘。

「高い軍事力を持つ国が、あるとき侵略という意思を持ったことにも注目すべき」とし、脅威は能力と意思の組み合わせで顕在化するが、意思を外部から正確に把握することは困難であること。国家の意思決定過程が不透明であれば、脅威が顕在化する素地が常に存在することから、このような国から自国を守るためには、力による一方的な現状変更は困難であると認識させる「抑止力」が必要だとしている。

そして、抑止のためには3つのアプローチが必要としており、第1に、我が国自身の防衛体制の強化。第2に、日米同盟の抑止力と対処力を強化し、日米の意思と能力を顕示すること。第3に同志国等との連携の強化し、一か国でも多くの国々との連携を強化することを挙げた。

特に第1のアプローチである、我が国自身の防衛体制の強化については、我が国への侵攻を我が国が主たる責任をもって阻止・排除する能力を保有することであり、相手にとって軍事的手段では我が国侵攻の目標を達成できず、生じる損害がコストに見合わないと認識させるだけの能力を我が国が持つこととしている。

こうした防衛力を保有できれば、米国の能力と相まって、我が国への侵攻のみならずインド太平洋地域における力による一方的な現状変更やその試みを抑止できるとして、我が国がしっかりとした防衛力を整備することがインド太平洋地域の平和を守ることになるとの考えを示した。

痛いところを突かれた中国

そのために必要な能力として、相手の侵攻戦力を遠距離から阻止・排除するスタンド・オフ防衛能力と、米国も提唱する統合防空ミサイル防衛能力を整備する。スタンド・オフ防衛能力は「敵基地反撃能力」の主要部分であり、統合防空ミサイル防衛能力の整備は米国との連携を一層強化することとなり、日米同盟の抑止力・対処力は更に強化される。  

なかでも、「敵基地反撃能力」は我が国への侵攻を抑止する上での鍵としており、近年、我が国周辺のミサイル戦力が著しく増強されている中で、既存のミサイル防衛網の強化のみでは対応が困難になりつつあり、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力が必要とした。

私は安保3文書は、例示したように国家国民を守るためにしっかりと踏み込んだ内容になったと思っている。すぐさま、中国外務省の報道官が安保3文書について「中国への中傷に断固として反対する」「中国の脅威を誇張」と述べたように、中国にとっては痛いところを突かれているわけであり、私は3文書の通りの防衛力を整備していけば、中国の侵略を抑止できる可能性は高くなると考える。

だからこそ、この中身を実現していくとともにそのスピードを上げていかなくてはならない。我が国が「敵基地反撃能力」を持ち、中国を抑止していくことは我が国のみならず、台湾、インド太平洋地域全体の平和に資するからだ。我が国はアジアの平和を守るリーダーとして行動していく。

 現実には軍事力を比較すれば、中国には一歩も二歩も遅れているのが現状です。2027年のGDP比2%の防衛費の目標を達成しても、その差はまだまだ大きい。そこは日米同盟や英豪などの準同盟国と協力し、抑止力を深めなければなりません。

 それと同時に必要なことは、上述のコメンテーターのような、未だにお花畑志向をまき散らす、「自虐史観」病や「9条教」に洗脳された面々を、メディアからできるだけ一掃していくと同時に、国民に「主権維持」の大切さやそのための「愛国心」を教育していく必要があります。「いつか来た道」と悪宣伝をする向きも多いでしょうが、「新たな属国化への道」を今後辿るより、遙かに大事なことだと気づかせることが、今後最も重要な課題でしょう。

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2022年11月 8日 (火)

櫻井よし子氏:フランスのエマニエル・トッド氏が提唱する、日本核保有の可能性についても議論すべきだ

Images-21  第二次世界大戦戦勝5カ国が、安全保障理事会常任理事国に居座る国連(その名も戦勝国連合、ただし中華人民共和国は戦勝国ではない)。そしてすべて核保有国で拒否権を持ちます。その一国ロシアが起こした侵略戦争はその拒否権でもって、何ら解決の目処が立っていません。

 そのことから言えるのは二つ。拒否権を持つ常任理事国が存在する国連安保理は現状基本的に紛争解決のよりどころにはならない。そして核を持たない国、または核を持つ国の同盟国でなければ、核を持つ国から侵略されても、甘んじるしかないと言うことです。

 日本は核を持ちません、アメリカの核の傘に入っていますが、果たしてこの傘は他国による核攻撃を守れるのか、不透明です。非核三原則を守るという岸田首相の言うとおりであれば、国内に核は持ち込めません。核を持たない列島にはたして傘があるのでしょうか。

 今や核論議はタブー視すべきではありません。海外の識者も提言をしています。産経新聞のコラム「美しき勁き国へ 櫻井よしこ」に、以下の記事が掲載されました。タイトルは『政治主導 国防費純増を』で、以下に引用、転載します。

Images-20 フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は国家基本問題研究所創設15周年の記念講演で助言した。

「戦争が進行中の欧州から来た人間として、おこがましいかもしれませんが言わせてほしい。ウクライナ戦争で明らかになったことの一つは核兵器が安全を保障する武器だったということです。日本は強い軍を持つべきですが、人口的に、(十分な)若者を軍に投入することは難しい。ならば核武装すべきです。核武装こそ平和維持に必要だとの確信を私は深めています」

「敵基地攻撃」という表現さえ忌避するわが国への助言としては大胆だ。だが、ソ連崩壊をその15年前に予言したトッド氏の炯眼(けいがん)を無視するのは歴史の展開に目をつぶるに等しい。

北朝鮮は11月第1週に大陸間弾道ミサイルを含めミサイルを30発以上撃った。ロシアはウクライナが放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」を準備中だと非難するが、その裏にロシア自身が戦術核を使用する危険が見てとれる。中国の習近平国家主席は中国共産党大会で歴史に逆行する姿勢を打ち出した。常務委員会(国会)を側近で固め、中央軍事委員会ではあからさまな台湾侵攻人事を断行した。「台湾侵攻は予想よりずっと早く武力によって行われる」とのブリンケン米国務長官の警告が現実味を帯びる。

いま、米国やアジアが日本に求めているのが、異次元の国防力強化策だ。日本だけでなく台湾を含むアジア諸国を中露北朝鮮の脅威からいかに守るか、明確な指針を示すのが政治の役割だ。強い国防力は強い経済なしには維持できない。日本経済の格段の成長が必要なゆえんだが、政府内で奇妙なことが起きている。

10月26日午後、自民党の萩生田光一政調会長に岸田文雄首相から電話があった。鈴木俊一財務相以下茶谷栄治財務次官らが官邸に来て、「総合経済対策費は25兆円になる。同件は政調会長にも逐一報告済みだ」と説明を受けたが、それは事実かという直々の問い合わせだった。その時間帯、萩生田氏はまさに総合経済対策を議論する党の政調全体会議を開き、必要な予算を議論していた最中で、25兆円の枠組みなど決まってもいなかった。財務省が政治家の裏をかいて、まず首相に25兆円枠をのませ、自民党を押さえこもうとしたのであろう。

萩生田氏は「政策の責任をとるのは官僚ではなく、選挙で選ばれたわれわれ政治家だ」と語る。官僚の優れた能力は政治家の示す方向に沿って政策実現のために生かすのが筋だ。政治家をだまして政策決定に走ることではないだろう。結局、同夜までに政治主導で4兆円以上積み上げ一般会計総額は29兆1000億円となった。財務省の独断専行は日本の命運を分ける国防政策においても際立っている。

国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を重視する財務省の政策でわが国経済は徐々に力を弱め、国際社会の劣位へと後退中だ。わが国はすでに、購買力平価の1人当たりGDP(国内総生産)で韓国に抜かれ、国防費でも同様に抜かれている。

いま、中国の脅威の前で経済力、軍事力を強化して国民と国を守り通さなければならないが、防衛力強化の財源をどこに求めるのか。それを論ずる財務省主導の有識者会議に欠けているのが切迫した事態への認識ではないか。結果として、国防力の真の強化につながる防衛費の純増よりも、防衛予算の水増し策が採用されようとしている。典型例が海上保安庁予算の防衛省予算への編入だ。

海保、すなわちコーストガードの予算は軍事費に組み込むのが北大西洋条約機構(NATO)基準だというが、欧米のコーストガードは有事に軍の指揮下で行動をともにする。海保には海上保安庁法25条があり、「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むこと」を禁じられている。

自民党の小野寺五典安全保障調査会長が語る。

「昨年の春くらいまでの1年間、25条改正を目指して議論しました。しかし、公明党、自民党の国土交通関係議員、海保が一丸となって反対し、潰れました。いまは、25条改正にこだわって一歩も進まないより、海自と海保の連携を少しでも前に進めようとしています」

その一例が、中国のミサイル動向などを探る無人機の操作を海保の任務とし、情報を海自と共有する案だ。海自、さらに米軍との情報共有が実現する保証は実はまだないのだが、希望的観測に基づいて海保予算2600億円余を防衛省予算に組み込む流れが、財務省主導でできつつある。

こんなことを見逃してよいはずはない。25条改正を葬った昨春と比べて、国際情勢は驚天動地の変化が生まれた。そのことを認識し、25条改正に再挑戦するのが本来の政治の役割だ。

「自衛隊には継戦能力がない」と安倍晋三元首相も岸田文雄首相も認めるのが日本だ。では、いかにしてわが国を守るのか。それを考える一つの材料がある。

米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が台湾をめぐって米中戦争が2026年に勃発するとの前提で、24通りの模擬戦争をした。このうち21例が完了し、今年12月に最終結果が発表される。重要な点は、ほとんどの戦いで米台側が勝利し、中国の台湾占領を防いだ。

しかし、米台の損耗は激しく、米国の国際社会における地位は長きにわたって損なわれるという結果も出た。当然、日本も同様の状況に陥るだろう。

教訓はどれほどの予算をつぎ込むとしても、その方が大戦争を戦うよりは、安全で安くつくということだ。戦争抑止のために強い軍事力を持つのだ。そのためにできることは全てするという文脈で、トッド氏が提唱する日本核保有の可能性についても論ずるべきだ。

財務省のプライマリーバランス重視は歴史の局面がどんでん返しになったいま、修正すべきだろう。どれほど赤字国債を積み上げようと、私たちは強い軍事力を持ち、地球規模の勢力争いを生きのびなければならない。岸田首相の双肩に日本の命運がかかっている。戦後秩序の根幹を変えるために発奮してほしい。

 日本は第2次大戦後の占領軍(GHQ)にすり込まれた、自虐史観と反軍思想が未だに強く残っていて、特に特定野党と左派系メディアの中にこびりついています。そして彼等は軍は「攻撃するもの」という片務的な思考しか持ちません。現代では軍は「守るもの」というのが一般的であるのに。

 そういう意味でますます脅威を増す周辺独裁国に対峙するには、軍の装備の拡充は欠かせません。そのためには軍事費を大幅に増強し、せめてNATO並にする必要があります。そして費用対効果の最も大きい核の保有もタブー視しないことは重要です。

 櫻井氏は「岸田首相の双肩に日本の命運がかかっている。」、と言いますが、岸田首相が果たして日本の命運を背負えるのか、ます非核三原則の撤廃から、大幅な思考転換が必要なように思えます。

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