医療と政治

2022年1月23日 (日)

親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある

Images-1_20220123110001  以前このブログで、農林水産省関連の政策不作為が起こす問題を取り上げましたが、今回はコロナの渦中で注目を浴びている厚生労働省、厚生関連の医療政策の問題について取り上げます。高齢化に伴って医療の需要はうなぎ登りに増大していますが、国の政策として、その費用の殆どは健康保険でまかなっています。

 その健康保険の財政面での負担の問題は年金の問題と同様、今後ますます悪化して行くものと思われます。そしてそこに巣くうもっと大きな問題を、国際投資アナリストで人間経済科学研究所・執行パートナーの大原浩氏が、現代ビジネスに寄稿した記事から見てみます。タイトルは『親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある この業界こそデジタル化でコスト削減を』(1/15)で、以下に引用します。

 ◇

国民負担でぬくぬく

しっかり認識しなければならないのは、我々が青息吐息で支払っている血税や健康保険料が一体どのように使われているのかということである。

自動車産業の規模は60兆円程度、飲食業の市場規模は25兆円(パンデミックの影響を除く)ほどにしか過ぎない。それに対して、国民医療費は43兆円を超える。そして、飲食業をはるかに超え、自動車産業に迫る巨大な「医療産業」のほとんどが、健康保険料と税金で賄われている。

つまり、ごくわずかの医療関係者が牛耳る巨大産業が「親方日の丸」で運営され、国民はその放漫経営のつけを払わされているともいえる。

平成30年度の国民医療費は43兆3949 億円であり、前年度の43兆710億円に比べ3239 億円、0.8%の増加だ。

また、人口1人当たりに換算した国民医療費は34万3200円、前年度の33万9900円に比べ 3300円、1.0%の増加となっている。つまり3人家族であれば、なんと「年間100万円以上の医療費」を支払っていることになるのだ。

もちろん、健康保険に加入していれば、一般的に窓口で払うのは3割である。また、75歳以上の後期高齢者であれば2割、さらには一定の所得以下であれば1割しか負担しない。

さらには、健康保険料の会社負担という「虚構」に惑わされて、実際の保険料負担が不当に低く感じる仕組みになっている。

それでも、窓口負担が低く抑えることができる仕組みが継続できればまだよい。しかしながら、「現役世代に過剰な負担を押し付けてやっと維持できている」健康保険制度は、2019年7月22日公開「年金は巨大な『国営ねずみ講』だから、負の所得税に一本化すべきワケ」と同じ「ねずみ講」的な特徴を持っており、今は後期高齢者の一部の窓口負担が1割という「天国のような状態」もいずれ「地獄に匹敵する」状態へと変わってしまう、あるいは制度そのものが崩壊してしまうという懸念を持っている。

結局、2020年6月5日公開「『オールドによるオールドのためのオールドな日本』でいいのか?」の副題で述べたように、「もはやこれは『現役世代虐待』だ」ということである。

国民皆保険制度も年金同様破綻?

医療費負担に占める保険料の割合は、実はたったの5割しかない。一般的な窓口負担3割で単純計算すると7割になるはずだが、後期高齢者のケースなどを考えると、本来保険料で負担すべき割合はさらに多いはずだ。

国民の保険料負担は「もう限界」と思われるほど上がっているのに、それで賄えないというのは危機的状況である。それでは、足りない分はどうしているのか?

全日本病院協会資料(2015年度)によれば、国民医療費の財源別は次のとおりである。

公費は16兆4715億円(構成割合38.9%)だ。そのうち国庫は10兆8699億円(同25.7%)。地方は5兆6016億円(同13.2%)。

保険料は、20兆6746億円(同48.8%)、そのうち事業主は8兆7299億円(同20.6%)、被保険者は11兆9447億円(同28.2%)。

また、その他は5兆2183億円(12.3%)、そのうち患者負担は4兆9161億円(同11.6%)。

である。

つまり、医療費のうち保険料では半分程度しか賄われず、4割近くも公費(税金)が投入されているのだ。そして、患者が負担しているのはたったの1割ほどしかない。

一般的な窓口負担が3割であることを考えると少なすぎるように思えるが、後期高齢者のケース以外に、一定金額以上の医療費は患者負担が大幅に軽減される(参照:「高額療養費制度を利用される皆さまへ」)など、様々な優遇措置もすべて保険料・税金で賄われているからだと考えられる。

もちろん、患者全体を平均すれば「表面的な負担」が1割しかないのは好ましいようにも思われるが、結局残りの9割も税金や保険料の形で負担しているのである。このようないびつな制度が「持続可能」とは考えられないし、持続できなかった場合被害を被るのは若者を中心とした現役世代である。

2022年からさらに厳しくなる

税金が足りなくなれば、政府は赤字国債を出して資金調達してきたが、昨年10月25日公開「日本は外国に借金していないからデフォルトしないというのは本当か?」で述べたように、限界が近づいている。

国債を発行した借金による公費投入を行わずに、国民皆保険制度を守りたければ、給付を抑制し、保険料負担を上げるしかない。しかしながら、今まで長年まともに実行出来なかった政治的に困難な課題をこれから解決できるかどうかは疑問だ。

2022年からは人口の多い団塊の世代が、医療費が膨らむ75歳以上になり始める。後期高齢者の「2割負担」でさえ、難産であり例外がもうけられてしまったのだから、高齢化で支出が自然に増えていく圧力が強まるのは明白だ。前述の高額医療費制度も、利用者の多くが高齢者だと考えられる。

現在でさえ保険料と患者負担で賄うことが出来ない赤字、すなわち公費負担の概ね4割(約16兆円)が生じているのだから、健康保険制度の未来も「国営年金」同様に暗黒である。

医療費・保険料を明示すべし

最大の問題は、我々が本当に負担している部分が見えないことだ。現在の医療費明細は、まるで「回らない寿司屋」の「時価」のようなものである。点数で表示されてもいくら使われたのか、「利用者」にはよくわからない。また、治療内容も「利用者」によくわかるように平易な言葉で表記すべきだ。「利用者に対しては、できるだけ情報を隠して、自分たちだけがわかればいい」という傲慢な医療業界の体質を感じる。

また、保険料の「会社負担」という制度も曲者だ。サラリーマンの場合、保険料の半額を会社が「負担」している。しかし、これは実質的にはサラリーマン自身が負担しているのだ。次のような会話を考えてみよう。

「A君、うちも来月から保険料を半額負担するから、今まで払っていた年間60万円の保険料が30万円になるよ」

「部長、ありがとうございます」

「でもね、その分は結局君を雇うコストだから、年収を30万円下げておくね」

「えっ」

もちろん、普通は入社したときから「会社負担」が始まっているからこのようなことはあり得ない。しかし、入社時の年収が500万円としたら、会社から見れば健康保険料の負担が30万円とした場合の雇用コストは530万円である。つまり健康保険の会社負担のおかげで、30万円の給料をもらい損ねている可能性がある(念のため、この保険料は仮定であり、実際のものとは異なる。参照:東京都「保険料額表」)。

つまり、結局「会社負担」というのは幻想で、実際にはサラリーマン自身が負担しているということだ。

医療こそ、デジタルによる見える化・効率化が必要

オンライン診療推進、カルテの持ち運び、お薬手帳の電子化、保険点数の見える化、医師の技量の客観評価等々、医療業界が改革すべき問題が山積している。

オンライン診療は、まず「感染症対策」としての効果があることは言うまでもない。また「病人を呼びつける来院・通院」というシステムの改善にもなる。

医院、病院というのは病気になった人がやってくる場所だ。大概の場所と比較して感染症を中心とした「病気になりやすい場所」だから、どうしても必要な場合以外は行くべきではない。しかも「病人は出歩かずに、自宅で安静にしていることが望ましい」のは小学生にでもわかる理屈だ。

しかし、利権重視の医療関係者は頑強に抵抗する。

また、「カルテは患者のもの」であるのは至極当然で、患者が望めばいつでも開示されるべきなのに、「出来る限り見せない」風潮が蔓延している。

また、お薬手帳もそうだが、ただデータを開示するだけでは道半ばだ。専門用語の羅列ではなく、「利用者」がわかりやすい表記を心掛けるとともに、リンクなどを張って詳しい解説を公開すべきだ。そうすれば、ネット上にあふれる「誤った」とされる医療関連情報も駆逐されるはずである。怪しげな情報があふれるのは、公的機関からの情報の量が不十分なだけではなく、内容もわかりにくいからである。

また、医療行為を行う医師や医院・病院の格付けもきちんと行うべきである。医療行為と病気の治癒との因果関係は明確にしにくいが、それを言い訳にしたら「医療」そのものが「結果がどうなるかわからない怪しげな呪術レベルの行為」としか言えないことになる。もちろん、どの医院がどれだけの医療訴訟をうけているか、クレームをうけているかなどはすぐにデータ化できる。

さらに、医師免許が「終身」であるのもおかしい。同じく交通事故などで「人間の命に重大な影響を与える」自働車運転免許が定期的に更新され、運転技量が衰える高齢者の免許の返還が望まれているのである。

医師免許も最高10年程度の更新制にすべきであり、高齢の医師の免許返還も議論する必要がある。医療訴訟で勝つのは非常に難しいから、問題が起こってもなかなか訴訟までには至らない。実際のところ我々は「不適格な医師」による被害をどの程度うけているのかわからないのだ。

デジタル庁が扱うべき問題か

実は、前述の医療の旧態依然としたシステムを改革するのに有効なのが「デジタル」である。

一般企業のデジタル化度合いと比べると、医療業界は「江戸時代」とさえ言えると思う。もちろん、デジタルがすべてを改善するわけでは無いが、高コスト構造や旧態依然とした仕組みを打破するためにはデジタルは極めて有効である。

厚生労働省の分割が色々と議論されるが、分割しても同じ「お役人」がやっている限り改善は見込めない。

デジタル庁は、1月7日公開「目の前にあるリスク、太陽嵐の脅威にデジタル庁はまず備えるべきだ」で述べたようにスタート当初から混迷しているが「太陽嵐対策」と「医療デジタル改革」を中心にすえるべきだ。

年金と健康保険が「同時破綻」したら

年金と健康保険が同時に破綻したら、次世代の日本国民は踏んだり蹴ったりだ。一世を風靡した日本医師会の武見太郎会長の時代から医師会と政権政党が親密なことは明らかであり、国民は厳しく監視すべきだ。

デジタルによる合理化も、「大義」なくして成り立たない。お役人たちもそうだが、今の医師たちのどれほどが「医は仁術」を心得ているであろうか?強欲経営者と代わり映えしない人物が余りにも多すぎる。

「赤ひげ先生」は一種の理想かもしれないが、医療関係者が私腹を肥やす医療システムは刷新して、国民の負担が少ない医療制度を再構築すべきである。

そうしなければ医療制度そのものが崩壊する危機に直面しているのが現状だ。「医療崩壊」はパンデミックによっておこるのではなく、「医療制度の腐敗」によっておこるのではないかと思う。

 ◇

 確かに医療を受ける側としてこれは?と思えることが多くありますね。まず長い間服用している、血圧やコレステロール降下剤の処方を受けるために、医者の診療を毎月受けねばならない(2ヶ月や3ヶ月に1回のところもありますが)、あるいは大病院の治療を受けるために、かかりつけ医に相談して紹介状を書いてもらわなければならない、これは救急車で搬送されるまでもないが、かなり治療を急がねばならないときなど、非常に不便です。

 こうした小さな問題から、大原氏の言う制度的な問題まで、医療の世界は大改革しなければならないでしょう。何れにしても各省庁はその業界の保護者のような感じが強く、利用者側に立った視点が欠けているように思います。例を挙げれば、法務省は警察、検察そして犯罪者側であって、被害者側ではない。農水省は農林水産業側であって、消費者側ではない。そして厚労省は医療側であって、患者側ではありません。

 日本の官僚の仕組みが、業界との関係性の中で成り立っているのが現状ですし、そのすべてが悪いとは思いませんが、その業界の利用者や顧客側にも立って、物事を考えないと、日本は良くならないような気もしますね。

 それと共に重要なことは、年金や医療の問題の根幹的な要因は少子化であることを認識し、政治も官僚ももう少し腰の入った対応をしなければならない、と言うことでしょう。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)


にほんブログ村

 

2021年7月 6日 (火)

北朝鮮の「点滴液は水と砂糖、点滴容器はビール瓶」は本当だった

Top_image  今回は新型コロナの感染者がいないという、北朝鮮の医療事情について、脱北した医師の話を取り上げます。元々コロナ患者がいないなどと言うのは、全くのデマだとは思いますが、それよりもこの医師の話に正直驚いてしまいます。

 その人李泰炅氏がJBpressに寄稿したコラム『北朝鮮の「点滴液は水と砂糖、点滴容器はビール瓶」は本当だった 脱北医師が語る、賄賂で電気を動かし代用点滴液を手に入れた日々』(7/2)を以下に引用して紹介します。

 ◇

「北朝鮮ではビール瓶で点滴注射している」

 そんな衝撃的な記事が2015年03月、ソウル新聞に掲載された。常識では理解できない報道に人々が仰天したのは言うまでもない。輸血、水液、手術、施術など医療全般においては滅菌が最優先で、ビール瓶から血管に点滴するなど、専門家はもちろん一般人にもにわかには信じ難いだろう。

 1997年、国際NGO「国境なき医師団」のエリック・ゲメレ事務総長が1週間にわたり北朝鮮を視察した際に、「薬草を除くと、アスピリンや麻酔薬などの基礎医薬品さえなく、北朝鮮の医療体制は崩壊した状態」「点滴液も水と砂糖を混ぜたもの」と述べたことがある。

 この2つの話を合わせれば、砂糖を溶かした水をビール瓶に入れ、注射針をつないで点滴しているように聞こえるに違いない。実際、その通りである。私もその現場にいた。ただ、より正確に言えば、砂糖をただ水に溶かすだけでなく、栄養として使える「添加糖」に加工して使っていた。

 北朝鮮の病院の病類別統計によると、冬は呼吸器病が蔓延し、夏は消化器病が蔓延する。90年代初めの「苦難の行軍」では、全国民が貧困と虚弱に喘いだ。栄養不足が呼吸器病や消化器病を誘発する中、治療においては栄養状態の改善が何より重要だった。

 点滴などの栄養療法と薬物治療を併用しないと瞬く間に死に至る。前回記事「脱北医師が暴く、北朝鮮が世界に喧伝する「無償治療」の真実」で書いた通り、北朝鮮の医師は抗生剤や治療薬を市場で買うように患者に指示を出す。だが、点滴液や食塩水、ブドウ糖は市場では購入できない。点滴容器は割れやすくかさ張るので、行商人による北朝鮮の市場では流通が難しい。商人が市場で売る薬ではないのだ。

点滴の際に患者にビール瓶を要求する医師

 点滴液は病院の製剤科で製造される。生理的食塩水は塩を精製し、蒸留水で濃度を調整して高圧滅菌する。蒸留水は4気圧の高圧で30分以上かけて滅菌する。このようにして作った点滴液をビール瓶に入れるのだ。

 現在、韓国で使われている点滴パックは北朝鮮にはない。患者に点滴が必要になると、まずはビール瓶を5本患者に要求する。ビール瓶は中性洗剤で洗浄して高圧滅菌釜で徹底的に消毒するが、この工程を繰り返すと、高圧と熱に耐え切れずに破損する。そのため、製剤科は患者にビール瓶を要求し続けることになる。

 また、点滴液の生成には電気が欠かせない。高圧滅菌中に停電すると、すべてが不良になる。蒸留水は液体冷却器で生産するので、医師は電気や水を供給する部署に賄賂を払う。もちろん、賄賂の原資は患者である。実際に必要な賄賂より多い量を患者から受け取り、関係者の取り分を除いた残りをそれぞれの部署に渡すのだ。党幹部には賄賂を要求できないので、彼らの分も一般国民に要求する。

 消化不良症や飢えた子供の患者を治療する際、生理的食塩水は必須である。栄養も必須で本来はブドウ糖液を点滴するが、経済が破綻した北朝鮮でブドウ糖の原料は供給されない。そこで、患者たちに砂糖を強要する。要求ではなく強要だ。

 5キロの砂糖で2キロ程度の添加糖を生成する。残る3キロの砂糖は病院関係者の取り分になる。ブドウ糖の代わりに添加糖を使うことからゲメレ事務総長の「点滴液も水と砂糖を混ぜた」という話が出たのだろう。水道水に砂糖を混ぜて注射するわけではない。濾過、蒸留水の希釈、高圧滅菌の過程を経て作られたブドウ糖の代用品だ。

 配電部はしばしば電源を切るが、賄賂を渡すと数時間通電してくれる。その繰り返しで生成した「生理食塩水」と「添加糖」が患者に与えられるが、栄養状態が改善されることはない。

輸血が必要な場合は献血用に登録した人を呼ぶ

 消化不良で3日を過ぎた子どもたちは、水分不足と栄養不足になる。最も効果的な処置は輸血である。血液はそれぞれの地域の輸血所から供給される。病院は輸血を得る際にも賄賂を送るが、少量しか受けられない。そこで、事前に登録しておいた身体条件が良好なO型被採血者に、必要に応じて来院してもらう。

 一度に300グラム程度の血を抜いて、レモンソーダ30グラムの抗凝固剤で補充する。これで、11人の子供に1人あたり30グラムずつ輸血できる。被採血者には患者が持ってきた餅とご飯をお腹いっぱい食べてもらい、砂糖2キロを提供する。被採血者は食事やおやつと引き換えに300グラムの血液を提供するのだ。

 医師と看護師は採血の1週間前から輸血を行う11人の子ども重症患者を選定して、親に食べ物を要求する。何が何でも受け取らなければならない。輸血したからといって完治できる保証はないが、親や親戚は子供のためにすべてを捧げて生存を祈る。

「苦難の行軍」で無報酬と変わらなくなった医師や看護師は賄賂のために働き、患者と家族は米や金を差し出して治療を受け、被採血者は血を売って食べ物を得る。

 私は賄賂の大小で治療が変わる世の中を「地上の楽園」と称する北朝鮮社会に幻滅を感じた。患者の命を賄賂と天秤にかける医業に、良心の呵責を覚えた。しかし、ほかに生きていく方法はない。医師の良心も北朝鮮人民の生活も凄惨だ。権力の座を守ることに固執する絶対的な権力者が恨めしい。

 今すぐにでも改革・開放し、資本主義市場経済を受け入れれば、北朝鮮の異常なシステムを正常化できるだろう。それにより、真の「人民の国」になることは火を見るより明らかだ。しかし、世界中の人々が知る現実が「裸の王様」である「金氏王」には見えないようだ。

 ◇

 なんとも凄まじい国の状況です。医療状況のみならず、生活基盤の食料やエネルギーが決定的に不足している中で、指導者のみがぶくぶくと太っている様は、現代の人間社会とはとても思えません。

 こんな状況では、ひとたび感染すれば、発症したコロナ患者はまともな治療を受けられず、殆ど亡くなってしまうような気もします。コロナに感染すれば、ですから無症状か死亡してしまうので、患者がゼロと言っている、そんな冗談とも言える状況かもしれません。

 北朝鮮に運悪く生まれただけで、その人に罪はありません。裸の王様で一人でおいしいものを食べているような最高指導者が、その状況が異常だと気がつくしかないのでしょうが、とても無理でしょう。残念ですね。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

2021年6月30日 (水)

なぜ国産ワクチン開発が進まないのか

K10013022871_2105102203_2105102230_01_03  今日本ではワクチンの接種が高齢者を手始めに進んでいて、6月28日現在一回接種した人は全人口の22.1%、65歳以上の高齢者の58.3%、2回目の終わった人は全人口の10.8%、高齢者の24.4%となっています。

 しかし世界的に見ると一回接種では8カ国以上が50%を超えていますし、接種が完了した人が25%を超えている国も10カ国以上と、日本は決して早いほうではありません。その大きな原因の一つにワクチンの入手の問題があり、全量海外製のワクチンの輸入に頼っていて、国産ワクチンの供給が未だ見通せない状況にあることです。

 医療先進国と言われながら、なぜワクチンの開発があまり進まないのか、今回はその原因を探ることにします。まず最初に開発国のアメリカ、イギリス、ロシア、中国、インドなどと日本の違いの一つに、感染症のワクチン開発が国防の一つだという認識の差があるようです。昨日の産経WESTの記事『欠ける国防意識 米中は軍を挙げ開発』(6/29)から引用します。

日本で新型コロナウイルスの国産ワクチン開発が遅れたのは「ワクチンは国防の手段」との観点が欠けているからだ。米国、中国などは細菌兵器によるバイオテロなどを想定し平時から研究を進める。「感染症は有事」との緊張感を持たなければ、日本は失敗を繰り返すことになる。

国防予算で開発支援

「国防総省の助成金の対象にしたい。その製剤はどんな技術で作り、いつ実用化するのか」

国産ワクチンの話を耳にすると、再生医療ベンチャー「メガカリオン」(京都市)創業者の三輪玄二郎氏は、米国大使館の男性からかけられた言葉を思い出す。9年前、東京・本郷の東京大学構内でのことだ。同社は人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作る血小板製剤の開発を進めてきた。製剤には血液を固め出血を止める働きがある。男性の目的は国防予算で開発を支援し、米兵の治療薬として使うことだった。

申請書類はわずか数ページで、日本の助成金申請に比べて極めて簡素。だが支援は受けなかった。「技術は素晴らしいのに実用化で外国に先を越される。その失敗を日本はまた繰り返すことになる」。血相を変えた元経済産業省次官の松永和夫氏からやめるよう、このように説得されたためだ。

三輪氏のケースはワクチンでない。しかし米国が医薬品開発を「国防」とみていることを示している。三輪氏はいう。「防衛省からは援助の話がない。日本の世論を考えると軍事費での支援は簡単でないのかもしれない」

バイオテロ事件が契機

「米国や英国、中国、ロシアはバイオテロなども想定し、平時から軍を挙げワクチン開発を進めている」。東大医科学研究所の石井健教授はこう指摘する。

米国では、炭疽(たんそ)菌入りの郵便物が郵送された2001年のテロ事件を機に、軍が急速にワクチン開発への関与を強めた。国防総省が13年、2500万ドル(約27億円)を援助したのが米モデルナ。対象は、今や新型コロナワクチンの潮流である「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」の開発だ。

同社は豊富な資金で開発を進め知見を蓄積。この知見が、早くも昨年3月に新型コロナワクチンの第1段階の臨床試験(治験)を始めることに貢献した。

中国では同5月、第1段階の治験において世界で初めて新型コロナワクチンの人への効果が確認された。共同開発したのは人民解放軍。エボラ出血熱のワクチン開発に関わった女性少将が指揮した。

「人民解放軍の貢献は、中国の制度の優位性を証明するものとして習近平指導部によって喧伝(けんでん)されている」。防衛省防衛研究所の報告書はこう分析した。

次のパンデミック、国民を守れるか

ワクチン戦略を国防の手段と位置づける視点は「日本に皆無」と石井教授は批判する。

政府は今年6月、ワクチンの開発や生産体制の強化に向けた政策をまとめた戦略を閣議決定。「(体制強化は)危機管理上もきわめて重要だ」。先立つ会合で菅義偉(よしひで)首相は強調した。

だが、戦略にワクチンを国防の手段と定義する文言は明記されず、中心となり携わる省庁として挙げられた中に防衛省はなかった。

自民党では危機意識が強まる。甘利明税調会長が座長を務める新国際秩序創造戦略本部は5月にまとめた提言で「緊急事態における特別に使用を認めるための制度のあり方について検討すること」を求め、ワクチン戦略を経済安全保障の観点からもとらえる重要性を強調した。

国防、安全保障の目的は国民の命を守ることだ。次のパンデミックの脅威から国民を守るには、未知の感染症に対応するワクチンを素早く開発できる技術を持てるか否かにかかっている。国を挙げた仕組みを整える責務が政府にはある。

 ◇

 何しろ日本は大学で軍事研究はおろか、武器などの開発研究もその周辺技術でさえ自粛を要請される問題があります。日本学術会議の提言にもなったほどです。戦後75年を過ぎた今でも、軍事アレルギーは強く、そこに異常に反応するメディアや知識人がいます。

 こうした現状を改善しなければ、医療に限らず、日本の学術研究は衰退の一途をたどるのは目に見えています。ところで少し前になりますが、ミオ戦略会議室がM-NEWSとして発行している情報誌に、この問題に関する記事がありましたので、以下に引用します。タイトルは『日本のワクチン対応は「世界最低レベル」』(5/10)です。

 ◇

東京2020オリンピックを開催するならワクチン戦略がキーポイントだった

 今となっては遅いものの、日本が本気で東京2 0 2 0オリンピック五輪を開催したいと考えるなら、実は「ワクチンの確保」こそが、万難を排して取り組むべきことだった のかもしれません。日本国民の大多数がワクチンを接種し、諸外国のオリンピック参加者にもワクチンを提供することが、世界が不安にならない東京 2 0 2 0オリンピック開催の最低条件だったのかもしれません。

甘かったワクチンに対する日本の考え

 英国は2020年12月に世界で最初に臨床試験を経て認可されたワクチンの接種を開始しています。さらに、ボリス・ジョンソン首相は「 6月2 1日にほとんどの制限を解除する」と宣言しました。そして 8月か 9月までには国内の全ての成人が 2度のワクチン接種を終えると自信も示しています。

 血栓症発症の問題はあるものの、英国のオックスフォード大学と大手製薬会社アストラゼネカが共同開発したワクチンが世界中に輸出されており、もしも英国が五輪を開催する立場ならば、当然ワクチン戦略を最優先に取り組んだに違いなでしょう。

 日本は英国と比べて新型コロナの感染者数・死者数が約 1 0 0分の1の規模にとどまっています。ワクチン情報を正確に得て、国を挙げて戦略的に動けば、ワクチンを十分に確保して安全な東京2 0 2 0オリンピックの開催が宣言できたのではないのでしょうか。

日本のワクチン情勢の現実-決して国内のワクチン開発の遅れが問題のポイントではない-

 当初 4月からとされた高齢者のワクチン接種が5の中旬以降に延期され、医療従事者のワクチン接種も2 5%という低値に留まっています。ワクチン担当の河野太郎行革担当相が記者会見を開くたびにワクチンの接種スケジュールが混乱して遅れており、国民は日本のワクチン接種計画に焦燥感を募らせています。

 世界と比較してみても日本のワクチン接種の開始はG 7最も遅く、現在までにワクチン接種を完了した人数についても、米国4 4 5 2 . 8 9万人 、トルコ501.37万人、ドイツ 3 2 4 . 6 0万人、英国 4 5 0 . 0 4万人である一方、日本はわずか1 9 0万人に留まっています。その理由の一つに、ワクチン大国であったはずの日本における国内での開発の遅れが指摘されています。現在、日本では約1 0の小グループが自国ワクチンの開発を行っていますが、欧米と比較して小規模でリソースが足りず、多くのワクチンは臨床試験に入れる前の動物実験や細胞での実験の段階にとどまっています。この中で、人に投与するワクチン臨床試験に入れたワクチンは大阪のバイオベンチャー企業「アンジェス」と製薬大手の塩野義製薬の2社だけです。

 しかし、世界のワクチン接種が進んでいる国を見てみましょう。ワクチン接種が日本より進んでいる国の多くでは自国製ワクチンを開発していません。結論から言うと、素早く十分な量のワクチンを外国の製薬会社から調達できればいいのです。何も国産 にこだわらず、外国製で十分なのです。そのためのワクチン獲得交渉を、政府が迅速に行ってこなかったことが重要な問題なのです。

首相のフットワークの悪さ、国内規制が足かせに

 イスラエルは昨年、2020年6月にベンヤミン・ネタニヤフ首相が自ら製薬会社であるファイザー社のトップとワクチン調達の交渉を開始しました。ファイザー社のアルバート・ブーラCEO(最高経営責任者)とはなんと17回会談し、ファイザー社のワクチン提供の合意にこぎつけています。多くの国ではその国の首相が製薬会社と交渉してワクチン獲得競争を繰り広げている一方で、日本は厚生労働省が製薬会社と交渉してきました。しかし製薬会社が望む医療データ提供についてプライバシー保護の観点から不可能と拒否するなど、従来の国内規制に沿ったしゃくし定規の回答を繰り返していたため、交渉はうまく進みませんでした。

 本来なら当時の安倍前首相がファイザー社のアルバート・ブーラCEOとトップ会談を行い、オリンピック開催のためにもワクチン調達の交渉をするべきでしたが、このころから「桜を見る会問題」などの政治的な問題から体調を崩し、ワクチン調達の前面から姿を消していました。

 業を煮やした首相官邸は、2021年1月下旬になって河野担当相がファイザーとの直接交渉に乗り出したものの、ファイザーは「交渉は首相を出してほしい」と突っぱね、一閣僚を相手にしないという強い姿勢を示してきました。日本のワクチン獲得の遅れは首相官邸の動きがあまりに遅すぎた、ということに尽きると思われます。

これほどまでに遅れた原因は

 日本の厚労省には古くから国内製薬会社の既得権益を守ろうとする因習があります。従来から特にワクチン供給や開発に対して、厚労省は国内製薬会社を守るために、海外メーカーからの新しいワクチン調達に後ろ向きで、国内のワクチン開発を待つという姿勢でした。したがって、新しいワクチン調達では、海外メーカーと杓子定規な交渉に終始し、事態の打開に首相を担ぎ出すことを避け続け、いつもの「官僚支配」を新型コロナウイルスワクチン調達にも採用し、失敗したのです。

 もう一つの問題は、厚労省と「専門家」のワクチン開発に対する勉強不足です。従来のワクチン開発の常識(日本の得意分野である不活化ワクチンや生ワクチン)を超えて驚異的なスピードで進んでしまった新型コロナウイルスのmRNAワクチン開発の進捗状況を読み切っていなかったことにあります。

 これまでの感染症のワクチンが数年以内に開発されたことはありませんでした。しかし、世界ではエボラ出血熱、SARSやMARSの感染を経験したことで、コロナウイルスのワクチン開発競争は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生前にすでに始まっていました。それと同時に、DNAワクチン、mRNAワクチンなどの従来の弱毒化ワクチンや不活化ワクチンとは大きく発想が異なる、新しいテクノロジーが開発されていたのです。

 今回のコロナワクチン開発にはワクチン開発のための国際的なアライアンスが多数形成されました。英ウェルカム・トラスト財団や、ビル・ゲイツ財団などがワクチン開発のために巨額の開発資金を提供したのです。これらの支援を受けて、多くの研究施設はコロナ禍の環境にもかかわらず、1年という短期間で新しいワクチンの開発を実現させたのです。

 イスラエルのネタニヤフ首相が、昨年6月という早い時点で製薬会社と交渉を開始したのは、この新しいワクチン開発の進化を的確に学び、理解していたからです。 日本では、「ワクチン開発には数年かかる」として、ワクチン接種によるパンデミックの終結は想定していませんでした。厚労省の多くの技官は、世界の新型コロナの研究を主導する「ネイチャー」「ランセット」などの世界の学術誌の最先端の議論をフォローしきれておらず、また政府が設置した「専門家会議」の委員の多くは、過去の業績を認められた学会の権威にすぎず、新しい感染症のパンデミックを世界の最先端で研究している人ではありませんでした。

 多くのワクチン専門家会議の委員は、この新しいDNAワクチン、mRNAワクチンの新しいテクノロジーとその威力には懐疑的でした。こうしたさまざまな要因が重なり、首相官邸に世界のワクチン開発の最先端の情報はもたらされることなく、ワクチン獲得は後手に回ってしまったのです。

終わりに

 日本の新型コロナワクチン獲得の「敗北」からは、今後の日本の新興感染症対策の体制の再構築へ向けた教訓があります。まず、諮問会議に起用する専門家は、学会が推薦する過去に実績のある権威ではなく、世界の最先端の研究に取り組む若手を起用することです。委員も日本人に限る必要すらありません。感染症に国境はなく、その対策の決定は国際的な協力が必要で、国家が隠すべきことはないからです。

 次に、感染症の研究やワクチン開発の機関の集約です。日本では大学病院や小規模な製薬会社が個別に動いていますが、これを集約して大規模な取り組みとすることが必要です。

 さらに、民間による巨額の資金の確保が必要です。オックスフォード大学は、前述のウェルカム・トラスト財団から約130億ポンドもの巨額資金を得て運営されています。英国のような巨大な慈善団体が存在しない日本では、企業が資金を拠出して基金を設立すべきです。

 ◇

 今回の新型コロナウィルスに限らずその防疫のためのワクチン開発などの施策は、大国と言われる大方の国は、国の安全保障の一環と捉え、軍事研究の一つに挙げられていますが、日本はその考えも体制も全くゼロ。これがワクチン開発の遅れの理由の一つです。

 そしてしかも医療体制の仕組みも取り組みも周回遅れです。その理由は厚労省はじめ、国の官僚の責任逃れ体質と既得権益保護の体質が根底にあります。ここは日本の最大の弱点と言ってもいいでしょう。その点にメスを入れなければ今後も同様な事態が続くでしょう。

 以上二つの大きな理由があって、ワクチン開発が致命的に遅れているのですが、現在の感染の拡大は外国製に頼っても仕方がありませんが、来年以降のコロナ感染抑制は国産ワクチンの完成でもって、是非収束に向かわせたいものです。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

2021年6月 1日 (火)

官僚の不作為が生んだ「ワクチン敗戦」の日本

Photo_20210601112301  私はこのブログで、政府、中でも官僚たちの不作為、特に責任逃れがその要因と思われるそうした態度を強く指摘してきました。外務省の事なかれ主義による、中共や南北朝鮮の干渉や誹謗中傷にほとんど手を打たずに、いわれっぱなし、やられっぱなしの状況は目に余るものがありました。

 それと同様、新型コロナウィルスの感染症への対応やワクチンの開発、接種においても、厚生労働省をはじめ政府、官僚の不作為は顕在化しています。

 本日の読売新聞のコラム「政治の現場」にその実態が詳述されていますので、以下に引用します。タイトルは『「ワクチン敗戦」の日本、開発強化求め続けた教授の問いに官僚はうつむくだけ』です。

 政府の健康・医療戦略推進本部に、官僚や製薬業界、大学関係者ら産官学で作る「医薬品開発協議会」という会議がある。新型コロナウイルス感染拡大を受け、今春からワクチンの実用化を推進する方策を検討してきた。

 4月16日、東京・霞が関で開かれた会合。長机に感染予防のアクリル板が並ぶ会議室で、参考人として出席した東京大学医科学研究所教授(ワクチン科学)の石井健は、こう問いかけた。

 「日本のワクチン開発は周回遅れだ。10年おきに同じ議論を繰り返す反省を、どう今後に生かすのか」

 石井の問いに、厚生労働省の官僚など、参加者は黙ってうつむくだけだった。

 政府は、これまでも国産ワクチン開発の提言を繰り返し受けてきた。2010年6月には「新型インフルエンザ対策総括会議」が、国家の安全保障の観点から、ワクチン製造業者への支援や開発の推進、生産体制の強化などを求めていた。

 結びは、こんな一節だ。

 「発生前の段階からの準備、とりわけ人員体制や予算の充実なくして、抜本的な改善は実現不可能だ。今回こそ、体制強化の実現を強く要望する」

 こうした提言は、この間、顧みられてこなかった。

 新型コロナの国産ワクチン開発で、日本は米英中露などに大きく後れを取る。日本国内で塩野義製薬や第一三共などが開発を進めるが、年内供給の見通しは立たない。「ワクチン敗戦」。そんな言葉もささやかれる。

 1980年代まで、日本は世界に先駆けて水痘や百日ぜきなどに取り組むワクチン先進国だった。だが、効果より副反応の問題が目立ち始め、状況は変化した。

 92年、予防接種の副反応をめぐる訴訟で国が賠償責任を問われると、94年の予防接種法改正で接種が国民の「義務」から「努力義務」へと変わった。国主導から個人の判断に委ねる形になり、接種率も下がっていく。国も製薬会社もワクチン開発に及び腰となり、研究開発の基盤は弱まっていった。

 確かに、開発は一筋縄ではいかない。有効性や安全性を確認するため、必要な臨床試験は3段階ある。最大のハードルは、大規模な試験が必要とされる最終段階の第3相だ。日本では医薬品医療機器法で、後発品でも国内で大規模な臨床試験が求められ、一般的な医薬品でも3~7年かかるのが普通だ。

 だが、時の政権与党や厚労省は、ワクチン接種に慎重な日本人の国民性を強調するあまり、「国産ワクチンが出来ても、世界に先駆け日本が承認するのは難しい」「海外で使用後の方が、安全性を見極められる」と開発に後ろ向きだった。

 まさに、政官の不作為が露呈したと言える。

 ここに来て、与党からは、国産ワクチン開発に向け政府への提言が相次ぐ。5月18日、自民党政調会長の下村博文らが「平時とは異なる新たな薬事承認のあり方」の検討などを訴えた。公明党も4月28日、最終段階の治験を政府主導で進めることなどを求めた。ただ、過去の提言を生かし切れなかった反省の声は、あまり聞こえてこない。

 米国では、通常数年かかるワクチン実用化を、わずか1年で実現させた。

 「ウイルスを打ち負かし、何百万人もの命を救う」

 昨年12月、米ワシントンのホワイトハウスで、トランプ大統領(当時)はワクチン開発期間を大幅短縮させたことを自負した。「ワープ・スピード(超高速)作戦」と称した取り組みだ。

 米国ではバイオテロなどを想定し、国防総省などが、平時から民間企業への開発資金援助を続けてきた。米メディアによると、さらに今回、米政府は開発支援に180億ドル(約2兆円)を投じたほか、承認直後にワクチンを供給できるよう、製薬会社は最終治験と並行してワクチン製造も行った。

 米政府は緊急時、未承認の医薬品やワクチンの使用を認める制度「緊急使用許可」(EUA)も活用した。リスクより利益が上回ると判断すれば、通常の手続きを省略する仕組みだった。

 医薬品開発協議会は5月25日、研究開発拠点の整備や、資金の効率的配分など、国産ワクチン開発に向けた提言をまとめた。提言を受ける際、科学技術相の井上信治は力を込めた。

 「『この機会を逃したら次はない』という気持ちで、実行する覚悟だ」

 東大の石井は、政府がワクチン開発を危機管理と位置づけ、今度こそ本腰で取り組むべきだと訴える。「日本の技術は劣っていない。安全保障の観点で平時に産業を支援し、有事に一気に対応する必要がある」

 政治家や官僚が「感染症は有事」との意識を本当に持てるかどうかが、問われている。

 ◇

 確かにかつて医療先進国と言われた日本が、ワクチン開発でこんなに後れをとっているのは、強く感じるところでした。今法律事務所を賑わせている過去の厚生省の肝ウィルスの注射器使い回し放置や、その他の薬害訴訟に翻弄されたいきさつもあるかもしれませんが、とにかく、何かにつけて腰の引けるこういった省庁の姿勢が、日本を弱体化させているように思います。

 ワクチン開発だけではなく、その接種への対応も、また感染拡大に対する対応も、すべて後手々々のような感じです。緊急事態だといっても私権制限は中途半端だし、それも国民の批判を恐れるあまりの責任逃れとも言えるでしょう。デジタル化の遅れも一因だと思いますが、それも個人情報を慮り過ぎて腰が引けた結果かも知れません。

 とにかく何かにつけて批判する人たちは一定数います。それにマスコミも加担して騒ぐ傾向が強い日本です。そうした声に惑わされず、強くしかも合理的に政策を推し進める政府官僚の姿を取り戻してほしい。サイレントマジョリティは陰で支持しているはずです。そうしなければこの先も弱体化は止まらないでしょう。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

2020年5月26日 (火)

コロナ感染対策の最中(さなか)での、立憲民主の「不徳」の実態

2020051200000016jct0004view  昨日の新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の全面解除を受けて、最後に残った5都道県の休業要請、自粛の解除が動き出しました。今後は第2波の発生を抑えつつ経済の回復を目指す、難しいかじ取りが続きます。いずれにしろ政府や自治体の自粛要請に応えてきた業者や国民の、強い協力があったからこそ収束できたことは間違いないでしょう。

 そうした中で政府に対し与党に限らず、野党からも様々な提言がなされました。だが野党第一党の立憲民主党の動きは、必ずしも感染拡大防止に対する、国民へ向けた真摯な動きではなかったようです。本日の産経新聞の記事から引用掲載します。タイトルは『支持低迷の立憲民主 コロナ禍で見えた「3つの不徳」』(千葉倫之氏 5/26)です。

 立憲民主党の支持率が低迷している。産経新聞とFNNの合同世論調査では4月時点で3・7%、5月も5・9%にとどまっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い安倍晋三政権が国民の厳しい視線にさらされる中、なぜ野党第一党が批判の受け皿になれないのか。いくつも理由は挙げられるだろうが、コロナ禍であらわになった立憲幹部の「3つの不徳」を指摘したい。

 不徳の第1は「傲慢さ」だ。上から目線と言い換えてもいい。端的な一幕は5月11日の参院予算委員会だ。

 「私が言っていることについて答えてください」

 「全く答えていただけませんでした。残念です」

 コロナ問題をめぐり、福山哲郎幹事長が政府諮問委員会の尾身茂会長に恫喝まがいの言葉を浴びせた一件はネット上で大炎上した。

 立民幹部は、一斉休校や布マスク配布に際しては「首相官邸が専門家の意見も聞かずに決めた」と批判していたはず。自分たちが専門家の誠実な答弁に耳を貸さず、怒声を浴びせる姿は傲慢で言行不一致だ。福山氏は謝罪したものの、蓮舫参院幹事長はその後も、福山氏を擁護するツイートを引用して投稿し続けた。

 傲慢で攻撃的な態度が政府・与党側だけに向けられたものであれば、まだ理解できなくもない。しかし、「身内」相手にも、上から目線の態度が目立つ。破談に終わった国民民主党との合併協議で、枝野幸男代表や福山氏は「何か勘違いしているのではないか」「何を言っているのか分からない」など、公の場で国民の玉木雄一郎代表を軽んじるような発言を繰り返していた。

 そんな立民も、コロナ禍に際しては政調を中心に、政府・与党と協調し、家賃補助や学生支援など、苦しむ人々の救済に動いている。国民のための与野党を超えた協調は歓迎すべきことだが、立民幹部の発信には疑義がある。不徳の第2は「手柄の横取り」だ。

 「私たちは2月から緊急事態の宣言を求めてきました」

 枝野氏は政府による緊急事態宣言の発令を受け、4月6日にそうツイッターに投稿した。先見の明を誇ったようだが、枝野氏は3月4日には「現状は緊急事態宣言の要件を満たした状況ではない」「安易な緊急事態宣言は避ける必要がある」と記者団に語っている。

 実は、2月時点から宣言発令を主張していたのは国民民主だ。玉木氏は2月22日の党大会で「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発し、できることを全てやり切るべきだ」と語っている。

 全国民への一律10万円の現金給付も、国民民主が各党に先駆けて提唱した政策。野党統一会派の提言にも採用されたが、もともと立民は冷淡だった。ところが、政府が10万円支給にかじを切った途端、幹部らは「私たちは一貫して10万円」(枝野氏)、「野党がずっと主張してきた」(福山氏)と誇った。

 「野党」や「私たち」が統一会派を指すとすれば嘘ではない。しかし、さんざん玉木氏らを軽んじながら、成果だけは一緒にいただこうという姿は見ていていい気分がしない。

 「人のふんどしで相撲を取る」やり方は、今に始まったことではない。

 「桜を見る会」問題を掘り起こしたのは共産党だ。検察官の定年延長に関する一連の問題に火がついたのも、立民ではどこか浮いた存在だった山尾志桜里衆院議員の質疑がきっかけだった。その山尾氏は「(党の)風通しが悪い」と言い残して離党している。

 そんな状況では支持率低下も無理はないと思うが、ここに第3の不徳「責任は人に押し付ける」が加わる。高井崇志衆院議員は緊急事態宣言の最中に「セクシーキャバクラ」で遊興し、立民を除籍となった。4月21日の記者会見で、支持率低下の理由を問われた福山氏は「高井議員の不祥事が原因と考えている」と言ってのけた。

 「汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう」を政治信条としたのは自民党の竹下登元首相だった。人の心をつかみ、組織を掌握し、ゆくゆくは大仕事を成し遂げるための一つの要諦といえる。

 立民にかかわる人すべてがそうだとは言わないが、「傲慢で、人の手柄を取り、責任は押し付ける」というスタイルでは、人の心は離れていく一方ではないだろうか。

 傲慢なのは立憲民主だけではなく、共産党もその上を行く存在です。中朝という東アジア国家の流れを汲んでいるのでしょうか。いずれにしろ日本国民は「謙虚さ」を好み、この「傲慢」な態度にはとりわけ不快感をもちます。それが分かっていないのでしょうか、それとも地で行っているのでしょうか、枝野氏、福山氏、辻元氏、蓮舫氏、いずれも政府に対しての批判発言は傲慢そのものです。

 確かにコロナ対策に関してはそれまでの批判一辺倒から、提案型へ少し舵を切り替えた感じはしますが、傲慢さとパクリと責任回避があっては支持率は上がるはずはありません。結党時の十数パーセントの支持率は半分以下に落ち込んでいるのもそうしたことが原因だと思います。

 以前からこのブログで取り上げているように、日本がよくなるためには与党とまともに議論できる、与党の穴を埋めるべくしっかりした政策を提案できる、そういった野党が出てくる必要があります。そして数千万の歳費に見合う仕事をしてもらわなければ、全くの税金泥棒と言わざるを得ません。そうなるように国会議員改革をどうしていけばいいか、制度面での議論が急務だと思います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

2020年5月21日 (木)

コロナ収束間近、羽生善治棋士「強制力なくても外出自粛。すごい国」

12  本日関西3府県の緊急事態宣言が解除されるようです。国の示した直近一週間の10万人当たりの感染者数0.5人以内を3府県とも大幅にクリア―しました。関東4都県と北海道は引き続き継続です。関東の千葉、埼玉は0.5人未満ですが東京、神奈川が上回っていて、その影響下にあるからだそうです。残りの3都道県のうち東京、北海道が今一歩、神奈川は残念ながら院内感染が多く、昨日時点で1・08人ともうしばらく解除の基準まで届きません。

 この指標だけではなく、病院の空きベット数や人工呼吸器の数などが参考にされるようですが、いずれにしろ上記2地区を除いた他の地域は、ほぼ収束に向かっているものと思われます。これからのこの感染症に対する焦点は、第2波を防止するためにどうするか、に移っていくものと思われます。

 4月7日に緊急事態宣言が出されたときは、遅すぎたとの批判が多く出され、私もそう感じていました。その後の感染拡大が4月中続いたことから、その批判通りになりました。更には特措法が強制力も罰則もない、休業要請に対しても補償もないと、かなり批判が出され、このブログでも指摘してきました。

 ただここへ来て、ほぼ収束に近い状態を迎えたのは予想を超えたものでした。特に5月の連休時の国民の自粛が、緊急事態宣言の発令効果と相俟って、今の結果につながったのかもしれません。

 ベルギーの病院から一時帰国して、日本の病院で非常勤医師として勤務していた渋谷泰介医師が、医療現場の緊迫した状況を見て、緊急事態宣言下での自粛要請に頼る日本のやり方に疑問を呈しながらも、「他国のように活動制限を強制させられず、個人の自主性に任せられた状態で100年に一度と言われるパンデミックを乗り切ることができれば、それこそ世界に誇ることができるのではないでしょうか」と述べていましたが、第2波、第3波も抑えることができれば十分誇れるのではないかと思います。

 一方気になるのは海外での感染拡大です。アメリカをはじめ、ロシア、ブラジル、イギリス、スペイン、イタリア、ドイツ、トルコ、フランス、イラン、インドが10万人以上の感染者を出し、アメリカ、ブラジル、イギリス、スペイン、イタリア、フランスは1万人以上の死者を出しています。

 ここで目立つのは、白人国家の感染者に対する死者の割合が大きいことです。それに対してアジア各国は、中国、インドを除きもともと感染者数もそれほど多くはなく、死者数はマレーシア、フィリピン、韓国、日本など千人以下ですし、シンガポール、タイは百人以下、台湾は一桁、ベトナムはゼロなどなど。

 人種による遺伝子の違いなどと言われてもいますが、欧米の感染爆発と死者の多さは何を物語っているのでしょうか。

 話を戻して、日本国民の自粛対応への賛辞を将棋棋士・羽生善治さんが述べておられるので以下に引用します。タイトルは「日本人の規律の良さを実感」(産経新聞 5/20)です。

2013habu 強制力なくても外出自粛。すごい国

歴史的な出来事 リアルタイムで学ぶ 子供には貴重な経験

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、将棋のタイトル戦をはじめ、一部の対局が中止・延期となっています。史上3人目の中学生棋士となり、七大タイトル同時制覇、史上初の永世7冠達成、将棋界初の国民栄誉賞を受賞した羽生善治さん(49)は、苦しいながらも自粛に耐える日本人の規律の良さを実感しています。一方で、休校など勉学に大きな影響を受けている子供たちに向けては「歴史的な出来事をリアルタイムで学んでいる貴重な経験です」と語り、今回のコロナ禍を機に、子供たちが自ら考え、成長していくことを願っています。(聞き手 田中夕介)

 家にいる時間が長くなりました。対局以外で将棋会館に行くことは基本的にはありません。全く外出しないわけではなく、気分転換のため、人に会わないようにして散歩することはあります。過去、このように動きが制限されることはありませんでした。東日本大震災の際は多少の影響がありましたが、行動そのものに制約はなかったです。

 自粛ムードが続いています。日本は多くの自然災害を経験してきました。そのため、気持ちの準備や備えのノウハウは蓄積されています。今回のような初めてのケースでは、適切なことについて見定めをしている状態だと感じています。

 これまでに震災のような日本だけの危機はありましたが、今回は世界的な危機です。対応の仕方やアプローチの仕方に、お国柄がすごく出るものだと思いました。例えば、いきなり強くロックダウン(都市封鎖)してしまうとか、強制的にやってしまうとか。そのあたりは各国の考え方や法律、歴史などがかなり反映されていると思います。

 日本は少しずつ少しずつやっていく感じですね。仮に収束まで長期間かかるとしたら、強めるにしても弱めるにしても、そういったアプローチはいずれ必要になると思います。短期間で収束するならいいですが、長く続くなら強めたり弱めたりしていくことをしないと、現実的に難しいのではないかと思います。

 ただ、強制力がなくても、これだけの人がまじめに対応している日本はすごい国ではないでしょうか。でなければ、もっと多くの人が外出し、もっと多くの人が働いていると思います。日本人の規律の良さを実感しています。

 将棋界ではタイトル戦も延期になっています。東京所属の棋士同士、関西所属の棋士同士の対局は1日の対局数を絞っています。広い部屋でマスクをして、終局後の感想戦も行わず、細々と続けています。もちろん、感染が爆発したら別ですが。必要があれば対局をなくし、大丈夫であれば対局するという、微妙にコントロールしていく感じで良いのではないでしょうか。ただ、緊急事態宣言の延長で、さらなる影響が出てくると思います。

 収束には長期間かかる可能性があり、社会全体が耐える時期です。未知のウイルスとの闘いにおいて、正しい知識・情報を増やしていくことが大事ではないでしょうか。正しい知識を増やし、接していくことで十分な備えができ、パニックになったり、買いだめをしたりすることも回避できます。

 子供たちも頑張っています。子供たちは自分で勉強していかなければなりません。自力で学習するということを知ることです。歴史的な出来事が起きている今は、リアルタイムで歴史を学んでいる貴重な経験であり、良い機会です。

 これまでの生活について、ありがたいと感じています。これを機に、物事に感謝し、振り返ってみるのも良いことではないでしょうか。

 自粛疲れでDVが増えているという話もあります。又「コロナをばらまく」ととんでもないことを言った人も出てきました。休業していない店に「警察に通報するぞ」と言った、脅迫めいた張り紙が出された店もありました。10万円給付を狙った詐欺もあります。休業要請に応じないパチンコ屋と、自治体側の店名公表の争いもありました。また県をまたいで湘南の海に集まるサーフィン集団もいました。騒音をまき散らすバイカーが高速道路に出没しました。

 100%自粛を守る人たちばかりではありません。数パーセントの跳ねっ返りは必ずいます。こういう輩は今の特措法では、というよりどの法律をもってしても一掃はできないでしょう。警察の能力にも限界はあります。

 ただ総じて日本人はルールを守り、他人には迷惑をかけない、自律の心は他国より優れているのは確かでしょう。またマスク装着や手洗いは日頃から習慣化されていることが、感染防止に役立っているのは間違いありません。今後ともこの感染症の重症者や死者をできるだけ出さないよう、第2波、第3波を如何に抑えていくかが問われるところです。


(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

2020年5月 6日 (水)

こんなにある、PCR検査を巡るフェイクニュース

 新型コロナウィルスのPCR検査に関して、日本ではその数が少ない、もっと検査基準を容易にして数を増やすべきだ、という議論が以前からあり、私自身もそう思ってきました。ここに株式会社政策工房代表取締役社長で政策コンサルタントである原英史が、OnlineサイトJBpressに『こんなにある、PCR検査を巡るフェイクニュース』(5/6)というタイトルのコラムを掲載していますので紹介します。なおサブタイトルは『「PCR検査を増やすと医療崩壊を招く」はなぜウソなのか』です。

PCR検査を巡る混乱が収まらない。

・検査を受けようとしてもなかなか受けられない。

・海外と比較して、日本は検査を極端に抑えていて、検査数が少ない。

・だから、隠れた感染が広がっている可能性も高いのでないか。

 こうした疑念と不安は、フェイクニュースの温床になる。一例が、「東京の陽性率は40%近い」だ。「感染爆発のニューヨークですら陽性率は20%程度。検査数が少ないために、東京は異常な数値に達している。これから感染爆発の恐れもある」といったストーリーで、マスコミやSNSで広まっているが、「40%近い」はフェイクニュースだ。

分母と分子、数字の取り方に大きな違い

 フェイクニュースと呼ぶのは、広めている人たちにやや気の毒かもしれない。この数値は、厚生労働省ホームページで公開されているからだ。だが、ホームページをよく見れば、分母の検査人数は「保険適用分を含まない」との注記がある。

 分子は感染者全体だから、過大な数値が算出されているのは明らかだ。もちろん、注記を見落とした人たち以上に、こんなフェイクデータを公開している厚労省の責任が大きい。さらに遡れば、データを十分公開していない東京都も悪いのだが、ともかく、不安を助長するフェイクニュースは広がりやすい。

 関連して、「陽性率7%以上になると死亡者数が激増」との説も、テレビの情報番組などで盛んに紹介されている。これも、フェイクニュースの可能性がある。この説の元ネタは、各国データを解析した学術論文だが、査読前の段階の論文だ。公開されているpreprints.org 上では「致命的な欠陥」の指摘もあり、まだ広く一般に紹介すべき学説とは考えられない。

 論文の学術的評価は専門家に委ねるが、私がみて論理的に理解できないのは、「PCR検査数と死亡者数には関係がない」、「陽性率と死亡者数には相関関係がある」としつつ、よって「PCR検査の拡充が急務」との結論が導かれる点だ。陽性率は感染者数/PCR検査数だから、「感染者数と死亡者数に相関関係がある」だけならば自明のことでないかと思う。

感染者数が多ければ検査数が多くなるのは当然の帰結

「日本のPCR検査数は突出して少ない」、「人口あたり検査数は欧米の10分の1」といった話は、もはや常識レベルになっている。だが、これもちょっと気をつけておくほうがよい。問題はデータをどう読み取るかだ。

Img_d5a38d2d73da201031dd65920c0910ab1445 【図1】OECD諸国における新型コロナウイルスの診断テスト

 少し考えれば当たり前のことだが、検査すべき人の数は、感染が広がっている国ほど多くなる。欧米諸国の多くは、人口あたりの感染者数や死亡者数が日本とは桁違いに多いので、検査数も多くなるのは実は当然の帰結だ。「欧米は検査数が十倍」と賞賛すべきことかは疑わしく、そこから「日本の検査ポリシーが異常」との結論が導かれるわけでもない。

 下の表では、検査数と感染拡大の度合いを整理した。もちろん感染者数は、検査をどの程度行うかで見かけの数値が変わるので、感染実態を正しくつかむのは難しい。その前提で、「陽性率」に加え「検査数/死亡者数」も見比べると、検査数の多い国々のうち、イタリア、アメリカ、イギリス、フランスは、日本と比べむしろ検査不足ともみえる。

 一方、オーストラリア、韓国は、明らかに日本より徹底した検査を行い、一定の成功を収めている。台湾は、検査数が欧米諸国よりはるかに少ないが、だからといってコロナ対策の「劣等生」でないことは言うまでもない。

 また、日本の場合、PCR検査は少ないがCTスキャンが普及しており、「重症者の見落としは相当程度防げている」との指摘もある。他国の取組に学ぶことは重要だが、単純に検査数だけ国際比較しても意味は乏しい。

Img_9783216cb365c375650621f9de75382d2132 【図2】PCR検査数の国際比較(4月26日時点)

 誤解を受けないように言っておくと、検査拡大は必要だ。現在は、本来なされるべき検査ができていない。

安倍首相の発言も結果的に“フェイク”に

 政府の説明によれば、1)医師が必要と判断した場合、2)感染者の濃厚接触者には、検査が行われることになっている。安倍首相は2月29日会見でこう表明した。

「お医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」

 ところが、2カ月経っても、これが実現していない。医師が必要と判断しても保健所に断られる、断られないまでも何日も待たされる、といったケースが起き続けている。医療機関のホームページをみれば、「医師の判断だけで検査はできません」とわざわざ明記しているところもある。

 一国の首相がフェイクニュースを発している状態で、ありえない失態だ。政府の専門家会議は5月4日になって、なぜ必要な検査がなされていないのか原因分析と提言を示した。こんな分析は本来、2月の首相会見の前にやっておくべきことだ。ともかく、こんな状態は一日も早く解消しないといけない。

大量のPCR検査をしても医療崩壊しなかったオーストラリアと韓国

「PCR検査をたくさんやると医療崩壊を招く」といった異論が出ることもあるが、これもフェイクだ。たしかにイタリアなどで大量の検査が医療崩壊につながったとの指摘がある。しかし、前掲の表をみても、オーストラリアも韓国も医療崩壊は起きていない。診療・入院体制などを整えないまま無闇に検査を増やせば医療崩壊を招く、というだけのことだ。

 日本でも、2月の感染初期に無闇に検査を増やせば大問題が生じたかもしれないが、今の段階で必要な検査を抑えるべき理由にはならない。

 検査拡大は必要だ。だが、「検査拡大」の意味には注意を要する。a)「医師が必要と判断する検査をすぐできるようにする」のか、b)現在の検査ポリシーの範囲を超えて「希望する人は誰でも検査を受けられるように拡大する」ないし「ともかく検査の数を増やす」のかは、区別して議論しないといけない。

 ところが、メディアなどではしばしば曖昧なままに議論されがちだ。さらに、これを混乱させるのが、本稿前半で紹介した「検査数が異常に少ない」と強調するフェイクニュース。区別が曖昧なまま、いつの間にか後者への誘導がなされやすい。これは危ういことだ。結果として、保健所や医療機関に対し「ともかく検査を受けたい」との問合せや強い要求が数多くなされ、ただでさえ限界状態の現場の機能を低下させかねない。

 フェイクニュースは除去し、事実に基づく議論をしないといけない。これが、より良い政策実行の基盤になる。

 ◇

 原英史の指摘は論理的で的を得ているように思います。要点を整理すると次のようになると思います。

 まず第一に日本でのPCR検査は異常に少ない、とは言い切れない。だがもちろん十分だとは言えない。感染が疑われて検査を受けたくても受けられない状況は改善し、必要と思われる人の検査を拡大すべきだ。

 第2に、PCR検査を多くやれば医療崩壊につながる、というのは医療体制が整っていなければの話で、当然のことながら検査も重要だが治療ができるかどうかのほうが重要だ。

 それに私見を加えれば、検査に関する疑問に対する政府厚労省の説明や数字の公表に、極めてあいまいさが多いことでしょう。何故検査が十分できないのかその理由が検査機器の問題なのか、検査要員の問題なのか、保健所の問題なのか、医療機関の問題なのか、どこがどのようにボトルネックになっているのか、説明が大幅に欠落しているように思います。(実はよくわかっていないのかもしれませんが)

 そのため、マスコミ関係者が憶測で勝手なことを言いやすい環境になっているようです。ぜひその点の改善を望みたいと思います。検査に関することだけではなく。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

2020年5月 2日 (土)

アビガンが「特例承認」されない残念な理由

Img_21af06238bf24c57b7d202dfca04829c9856  今更言うまでもないでしょうが日本は法治国家です。法律を守らねばなりません。ところが法律に書かれていないことが現実に起こった場合は困ります。又その法律の立て付けが悪かった場合、例えば今回の「改正インフルエンザ等特別措置法」のように、本来は新型コロナウィルスの早期の感染拡大収束が目的なのに、その効力が十分発揮できない、というようなことが起こります。

 一方法律に書かれていないことによる不具合の直近のいい例に、「アビガンの特例承認ができない」ということが挙げられます。ことは安倍首相の国会の答弁で明らかになりました。4月28日付の産経新聞の記事から抜粋します。

 安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、新型コロナウイルス治療薬の有力候補とされる国産の新型インフルエンザ薬「アビガン」に「特例承認」を適用できないことについて、「政府内でも相当議論してきた。『(新型インフル薬として)日本で承認されているのだから(適用できるのではないか)』と私も言ったが、日本の法令上できない」と説明した。公明党の斉藤鉄夫幹事長の質問に答えた。

 米製薬会社がエボラ出血熱の治療目的で開発した「レムデシビル」については特例承認を適用しようとしているのに、なぜ日本の法令上アビガンが使用できないのでしょうか。作家でブロガーの長谷川七重氏の4月30日付けのコラムから抜粋して引用します。

何というか、頭痛がします。日本の国権の最高機関は「国会」であります。内閣に付随する行政府は、国会が作った法律に従って国を統治すると決まっています。

ですから、つまり今「アビガン使える」という現実にならないのは「アビガン使える」という法律がないからです。国会が「アビガン使える」と《法律》をつくれば、厚労省はその法律に従って「アビガン使える」という《現実》をつくるというのが、日本の手順です。

つまり「国会が作った法律を 行政府が現実化している」訳で、行政ができないのは法律がないからになります。

歴史を紐解けばバイアグラは、「特例承認」で超特急で承認されています。今回「レムデシビル」はバイアグラと同様に「特例承認」されるそうです。これは外国で承認された薬だからです。

つまり、日本の「特例承認」というのは外国で承認された薬には適用できるが、国内で承認された薬を別の病気にも使えるようにする時には適用できないようです。

ですから、私は「アビガン使えるようにならない」のは、法律の不備であると思います。つまり今動くべきは国会ですので、安倍首相は厚労省ではなくて国会に要請するのが筋です。安倍首相もパニックになっているのでしょうか?

心配になってきました。

 ここで薬事法の第14条の3「特例承認」の条文を見てみます。

第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品又は医療機器として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項、第5項、第6項及び第8項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。

一     国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品又は医療機器であり、かつ、当該医薬品又は医療機器の使用以外に適当な方法がないこと。

二     その用途に関し、外国(医薬品又は医療機器の品質、有効性及び安全性を確保する上で本邦と同等の水準にあると認められる医薬品又は医療機器の製造販売の承認の制度又はこれに相当する制度を有している国として政令で定めるものに限る。)において、販売し、授与し、並びに販売又は授与の目的で貯蔵し、及び陳列することが認められている医薬品又は医療機器であること。

 法律の条文は何とも読みにくいものですが、第1項の「その疫病の医薬品」と第2項の「外国で承認されたもの」と言うことに引っかかるようです。一方国内の承認はしていないのに海外に無償提供すると言っています。朝日新聞デジタルから引用します。

 菅義偉官房長官は3日、新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補の一つに挙がっている新型インフルエンザ薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)を、臨床研究を希望する海外の国に無償提供する方針を明らかにした。現時点で、外交ルートを通じて約30カ国から提供要請があるという。

 「臨床研究拡大」の目的だそうです。日本でも臨床研究が主目的で「患者自身が希望し、病院の倫理委員会で認められれば使用できる」と政府は述べて、実際に使用もされて疾病の改善例も報告されているようです。

 確かにもともとは「新型インフルエンザ治療薬」で開発されたという経緯と、「催奇形性」という副作用を引き起こす可能性がある点で、使用は注意を要するとは思いますが、国の認可が下りていなければ医師と患者の自由な判断で使うことはできません。政府が言う「倫理委員会」のハードルがどんなものかわかりませんが、患者の改善例も出て来ていることを考えれば、最終的には病院や医師の判断で使用できるように法律を変えれば済むことではないかと思いますね。

 法律は守らなければなりませんが、法を順守することが特にこういった緊急時には、却ってある種の障害になるようならば、それこそ立法府(国会)の先生方に仕事をしていただかなければなりません。ばかなスキャンダル合戦や些末な議論をするのではなく。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村



2020年4月21日 (火)

安倍首相、自分の言葉で訴求力をもって語ろう

Maxresdefault_20200421120501  今回の新型コロナウィルス感染拡大の最中、安倍首相から様々な形で国民にメッセージが送られていますが、国民に語り掛けるように話されるのはいいのですが、どうも今一つ迫力に欠ける、或いは国民の心に響くようにあまり感じられないのは私だけでしょうか。

 確かにおっしゃっていることは、専門家の意見をよく聞いて内容も理解しておられるし、何も間違っているとは思えませんが、かと言って危機意識がずしんと国民に伝わるかと言うと、批判を恐れずに言うと「ノー」だと思います。

 なぜか、それは命令調になってはいけないという語り口の問題もあるでしょうし、批判を浴びたくないということから教科書的な説明にもなってしまうからではないでしょうか。

 以前このブログで、国のトップは強くあれ、と言いましたが、同時に言葉の訴求力も必要です。つまりいい意味での迫力と、言葉の選び方、そして何より自分の言葉で語ることでしょう。「NEWSポストセブン」に関連記事が搭載されていますので、以下に引用します。タイトルは『コロナ危機、世界各国の指導者が発した「心打たれる演説」』です。

 「我々は岸辺で戦う。野原で街で丘で戦う。我々は決して降伏しない」──第2次世界大戦でイギリス国民を鼓舞したチャーチル首相の演説だ。国家の危機に、国民を勇気づけるか、不安にさせるか、すべてはリーダーの言葉次第である。

 いま、世界の人々に求められているのは「ステイ・ホーム(家にいてくれ)」。この一言をいかに表現するか、世界のトップは苦心している。

 「明日、より情愛をもって抱き合うために、今日は(人との)距離を取ったままでいましょう。明日より早く走るために。みんなが一緒にやれば乗り越えられる」

 そんなロマンチックな表現で国民を説得したのは、死者1万人を超える感染大国となっているイタリアのジュゼッペ・コンテ首相だ。そのお国柄からキスやハグの禁止令も出された中で、3月11日に動画で声明を出した。首相の演説には、日本でも「心を打たれた」という声が上がっている。

 「まだワクチンも治療法もなく、ドイツの人口の60~70%が感染する恐れがある」(3月11日)と会見で語るなど冷静な発言が際立つドイツのアンゲル・メルケル首相が、国内感染者数が1万人を超えた3月18日に行なったテレビ演説のスピーチ動画も大反響を呼んだ。コロナ対応の最前線にいる医療関係者に感謝を述べた後、こう付け加えたのだ。

 「普段めったに感謝されることのない人々にも感謝の言葉を送らせてください。スーパーのレジ係や、商品棚を補充してくださる方々。彼らは現在、最も困難な仕事の1つを担ってくれています。仲間である市民のために、日々働いてくれて、私たちの生活を支えてくれてありがとうございます」

 物資不足と感染リスクでパニック状態になっているスーパーで働く人々にも目を向け、励ましの言葉をかけたのだ。

 イギリスのボリス・ジョンソン首相は、3月12日の記者会見でこう語った。

 「私は英国民に対して正直に言わなければならない。より多くの家族が、彼らの愛する人たちを寿命に先立って失うことになる。しかし、過去数週間にわたって言ってきたように、我々は現在実施している明確な計画がある」

 同27日にはツイッターで、自らが新型コロナに感染したことを公表し、国民に衝撃を与えたが、翌28日に全英の約3000万世帯に送付した書簡で、「事態はよくなるより先に、まずは悪くなる。それは分かっています」「私たちは適切な準備をしています。全員がルールに従えば従うほど、亡くなる人は減り、生活は元に戻ります」と、自宅に留まるよう訴えた。

自分の言葉で話しかけている

 コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏は、こう分析する。

 「コンテ首相の言葉は国民に寄り添う姿勢を示す情緒的表現の典型で、欧米で支持される傾向が強い。ジョンソン首相は熱弁タイプで発言のエネルギーが高く、国民にメッセージが届きやすい。

 メルケル首相は正反対で、その冷静さによって国民に安心感を与えていると考えられます。その上で、落ち着いていて国民を包み込むように一人一人に励ましの言葉を語り掛けた。タイプに違いはあれ、国のリーダーがそれぞれのキャラクターと国民性を踏まえて、自分の言葉で話しかけているのが特徴です」

 岡本氏が秀逸だと感じたのは、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相だという。同首相はニュージーランド史上もっとも若い37歳3ヶ月で首相に就任し、現在39歳。

「相談センターの電話番号を書いたパネルの前で会見し、『公衆衛生に携わる官僚や専門家は世界でもトップクラスで、医療施設も十分に準備できています』と何度も『プリペアード(準備はできている)』と繰り返しました。

 さらに25日に国家非常事態を宣言し、外出制限の方針を示すと、フェイスブック上のライブ動画で、国民からの質問に答えた。緑色の普段着で現われた首相は、『カジュアルな服装ですみません。赤ちゃんを寝かしつけるのが大変で、今は仕事着じゃないんです』と説明。国民に寄り添っている姿勢を示したのです」

シンガポール(ゲッティイメージズ)

 シンガポールのリー・シェンロン首相の発言も学ぶべき部分が多いという。

 2月8日の時点でシェンロン首相は「恐怖はウイルスよりも有害です。恐怖は、インターネットでデマを拡散したり、マスクや食料品を買い占めたり、集団感染を特定の人々のせいにしたり、我々をパニックに陥らせ、状況を悪化させる可能性があります」と呼びかけ、「インスタントラーメンや缶詰、トイレットペーパーを買いだめする必要はありません」と国民に優しく語りかけた。

 シンガポールの迅速な対応は海外でも高く評価されている。

 安倍首相は自宅でくつろぐ映像を、星野源氏のミュージック映像と隣り合わせで公開し、「外出せずに自宅で過ごそう」というメッセージを送ったところ、「何様のつもり」だの「政治利用」だの、意図しないところで批判を浴びています。(もちろん賛同する意見も多かったようですが)。このように何をするにしても反安倍勢力の批判が舞い上がるのは毎度のことで、ロマンチックに語ろうが、苦労している人たちに寄り添う形で語ろうが、一定の批判は出るでしょう。

 何か事があれば手ぐすね引いて誹謗中傷しようと虎視眈々と待ち望んでいる反対勢力の輩は、あのトランプ大統領のように無視する勇気が必要です。

 語り口についても「○○する必要があります」というより「○○するよう、切にお願いします」と言って、「自由に解釈してください」ではなく、「是非こうしてください」、と自分の言葉で訴える迫力が必要なのではないでしょうか。また専門家の意見を代弁するような内容では、あまり訴求力がないように思います。

 これからも感染状況は続くと思います。特に今の日本のやり方ではかなり長く続く可能性が高いと思われます。より強い要請の必要性も高いことから、国民を動かす首相の言葉がより重要になると私は強く思います。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

2020年4月20日 (月)

コロナ対策、日本のやり方は時代遅れと警鐘する東大教授

Ae4f5ce38871c310b5da90ae2d6e1428393aa9c5  今回も新型コロナウィルスの日本の感染症対策に警鐘を鳴らす日経ビジネスの記事を取り上げます。東京大学先端科学技術研究センター名誉教授児玉龍彦氏へのインタビュー記事で、タイトルは『新型コロナ対策「検査、隔離、GPS追跡」の東アジア型を』です。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。クラスター追跡や外出自粛で、日本は感染拡大を防げるのか。東京大学の児玉龍彦名誉教授は「日本は非常に古い対策モデルから抜け出せていない」と言う。「大規模検査、隔離、GPS追跡」という東アジア型の対策の必要性を訴える児玉氏に、解説してもらった。

―クラスター対策や外出自粛要請など、日本のこれまでの対応をどう評価していますか。

 非常に古いモデルの感染対策から抜け出せていない。東アジアは遺伝子工学と情報科学に立脚した新しいモデルで対応しています。日本は中国・武漢の封鎖を1月に見てから抜本的な対策を打てていません。

―武漢や、他の東アジア諸国の対応を参考にできていない、ということですか。

 そうです。

 1月18日、中国の感染症研究の第一人者である鍾南山先生が武漢入りしたとき、3つのことを発見しました。1つは、院内感染が起こっていること、2つ目は医療従事者約10人が感染していること、3つ目は病院でPCR検査が1件も行われていないということでした。それで血相を変えて北京に戻り対策を進言したのです。

 中国は、感染集積地域と非感染集積地域を分けて、感染集積地域に徹底的に医療資源を投下しました。5万4000人もの医師や看護師が武漢に送られたといわれています。それから、医療機関の患者や医療従事者に対してPCR検査を実施して陽性の人をあぶりだして隔離しました。病院を“きれい”にして院内感染を防いだのです。

病院や介護施設で徹底したPCR検査を

―ライブハウスや夜の街よりも病院でクラスターが起きる方がよっぽど深刻なんですね。

 ライブハウスでのクラスターというのはいわゆるインフルエンザ型の感染です。寒冷地の換気の悪いところで起こることが、昔から知られています。春になって換気が良くなればあまり問題にならない。

 今、日本では病院や介護施設ですごく感染が広がっている。若い人がいっぱい外に出ているとか、夜の街で感染が広がっているとか言われますが、亡くなっている人や感染した人の多くは、病院や介護施設にいた方なのです。

 日本がまずすべきことは、そこで働く人や入所者をPCR検査することです。例えば、100床以上あるような大きな病院で、発熱している人、忙しく患者を見ている外来医師などを徹底的に検査します。それで陽性の人は隔離して医療崩壊を防ぐ。

―PCR検査の人材や機器が足りないといわれていますが、検査数を増やすことはできますか。

 足りないなんてことは全くありません。

 東京大学や理化学研究所だけでもPCR検査の機械は数百台あります。1日当たり数万の検査をできるキャパシティーを持っています。今、感染防止対策としてキャンパスを閉鎖している大学がありますが、PCR検査の機器を持っているところは、感染防御の教育をした上で、検査に協力する体制にして動かすべきです。

0h9cxayztpzkxfge6voozg31fycm8d3vco2bxngy ―一律の外出自粛では、あまり効果がないということですか。

 外出自粛は一過性の患者減らしで、時間稼ぎにすぎません。また緩めると患者数が増えます。みんな自粛は2週間程度かなと勘違いしているようですが、最低でも3カ月はかかります。大規模検査をして院内感染を防ぐと同時に、どこが感染集積地なのか把握して手を打たなければなりません。

中国平安保険は3億人分のGPS情報

 中国は感染集積地域である武漢を封鎖しましたが、非感染集積地域ではPCR検査や個人のGPS追跡などで、感染を個別に封じ込めているんです。

 中国はこのウイルスの性質をよく分かっています。そんなに感染しやすいウイルスではないけれど、症状がない人も多いので検査しないと分からない。だから検査を徹底してやる。しかし、都市を全部封鎖すると経済の活力がなくなってしまうから、非感染集積地域では個別にGPS追跡をしながら経済活動を維持する。このようにメリハリをつけています。

 中国には中国平安保険という会社があり、その会社はもともとGPSを利用した3億人分くらいの位置情報を持っているようです。そういうインフラを生かせばGPS追跡は簡単にできるでしょう。

 日本のように一人一人聞き取って紙に書いて、というのは非常に古い調査方法です。今、世界ではGPSによる追跡が当たり前です。誰がどこに行ったのかがつぶさに分かる。

 韓国やマレーシアなどもGPSを使っています。これらの国では感染者は出ていますが、すぐその人の行動範囲を特定して、周りで感染が出ていないか検査しています。

 マレーシアは、最初、都市封鎖に近いことをやりました。ところが封鎖を解こうとすると患者は増えるし、長引くと経済的な打撃が大きい。そこで封鎖を少し緩めてGPS追跡を始めたのです。

マレーシアの「パンデミック番号」

―GPSで個人の行動を特定すると、人権や個人情報保護の問題が出てきませんか。

 マレーシアでは、個人に「パンデミック番号」という番号を振って、保険証などとはひも付けられないようにしています。だから、日本でいえば「マイナンバー」で管理してはいけないわけです。

 それから建物や住宅も別の番号を付けて、匿名化する。もう一つ大事なのは、例えば政府の首脳などもみんなGPS追跡の対象に含めることです。こうすることで情報管理が厳しくなり、個人情報も強く守られるでしょう。

 2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行したとき、日本はアジア各国を指導する立場だったんです。でもそれから十数年たち、遺伝子工学と情報科学が発展することで世界はすっかり変わってしまいました。

―中国の対応には見習うべきものもあると思いますが、初期対応の遅れや情報隠蔽を指摘する声もあります。

 英国の雑誌などに報告された経緯を見る限り、中国の初期対応は早いと思います。また、情報開示に問題点があるとしても、それは中国に限らない。日本も感染者数をしっかり把握しているのでしょうか。

 私の知る限り、中国では、昨年の12月頃に武漢の食品市場の周りで肺炎が増えていると分かった。そして1月7日に研究者が新しいウイルスを見つけ、1月10日にはウイルスのゲノムの配列が分かりました。そこから1週間くらいでスイスの医薬品大手ロシュのPCR検査キットが配られたんです。それくらいのスピード感なんです。

インフラを支える人を重点的に守る

 日本では、感染していない人の移動を見て、全体の動きを減らそうとしています。いわばビッグデータで対応しようとしているわけですが、時代遅れです。これは全然意味がない。渋谷駅周辺の人の移動が何%減ったというのを見たところで、病院や介護施設での感染拡大を追えていなければ意味がありません。

 先ほど話した中国平安保険は、年間8000億円程度を情報取得のための研究開発に投じているそうです。ですから情報インフラがもう全然日本と違う。GAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)や中国企業は、そういうところが主戦場になっています。特に中国平安保険はそれを医療に応用しようとしています。こういうのを精密医療といいます。これは今後の鍵になります。

―日本はこれからどうすればいいのでしょうか。

 4つあります。1つ目は先ほど言った病院や介護施設でのPCR検査の徹底。2つ目はドライブスルー型の検査をすること。日本財団は「船の科学館」などで1万床のベッドを用意するようですが、その前でドライブスルー型の検査をして、陽性ならそこに入所してもらえばいい。このように、症状が軽い感染者をどんどんさばく施設が必要です。

 3つ目は、先ほどのGPS追跡です。繰り返しますが、個人情報や倫理を守って実施することが必要です。4つ目は社会インフラを支える人が感染しないような配慮をすることです。ガス、水道、電気、輸送、食品など、社会生活のインフラを支える人を重点的に守る。そういう方たちはPCR検査もすぐできるようにするし、(過去に感染したことがあるかを調べる)抗体検査もすぐできるようにする。

PCR検査と抗体検査の強化を

 今、私たちが一番力を入れているのが抗体検査です。PCR検査では偽陰性(陽性にもかかわらず、陰性の結果が出る)も出ますから、抗体検査と組み合わせます。

 抗体の中には2種類あって、IgMという感染初期に出てくる抗体と、免疫ができてくると出てくるIgGという抗体があります。

 IgMの数値が上がっている人はまだウイルス感染が続いている可能性が高いので隔離する。IgGの数値が上がってくれば感染した後に治っている、というのが分かり、社会復帰もできる。この両方を測れて、しかも大量に処理できる仕組みをつくることが我々の関心事です。

 今、ヨーロッパでは免疫があることを証明する「免疫パスポート」の導入が議論されています。感染して治癒した人には積極的に社会活動に復帰してもらおうという狙いです。PCR検査と抗体検査は一体でやらないとだめです。

 児玉氏の解説には重要な点がいくつかあります。まず一つは特に医療関係者の感染防止に重点を置く。クラスターではライブハウスなどより病院や介護施設が危ない。院内感染を拡大しないため医療従事者へのPCR検査を徹底すること。

 二つ目はGPSを利用しての行動追跡を取り入れること。外出自粛とビッグデータによる集団の解析では感染拡大防止にはあまり意味を持たない。(もちろん個人情報の取り扱いには注意するよう、マレーシアの例も出しています。)

 それ以外にも示唆のとんだ指摘が多くありますが、いずれにしても今の日本のやり方は非常に時代遅れで、感染拡大は抑えられないと、暗に指摘しているようです。インタビュアーの「中国での初期対応の遅れや情報隠蔽」という質問に関しては、それよりその後の対応の早さをむしろ評価していて、同時に「日本も感染者数をしっかり把握しているのでしょうか」と言っているのが印象的です。隠ぺいと把握の精度とは違うように思いますが・・・。

(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)


保守ランキング

(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村




その他のカテゴリー

ICTと政治 イノベーション エネルギー エネルギーと環境 オリンピックとメディア人 オリンピックと人権侵害 オリンピックと政治家 スポーツ スポーツと政治 テロの標的国家 デジタル技術 マナー、道徳 メディア メディアと政治 中国の政治 五輪と反日国、メディア 人種・民族差別 共産主義 共産党と総選挙 共産党の組織と実態 刑法、犯罪 創作と現実 医療 医療と健康 医療と政治 危機管理 原発と核実験 原発・エネルギー 反日メディア 司法 国会改革 国連 国際政治 土地の買収 在日、サヨク 地方政治 地方行政 地球環境 外交 大学 天候 学問・資格 安全保障 安全保障政策 宗教界 官僚の実態 対テロ作戦 少子化問題 左翼インテリ 情報・インテリジェンス 感染症と政治 憲法 憲法違反 戦争の歴史 技術、戦略 拉致被害者 政権構想 政治 政治、外交 政治、政党 政治、政局 政治、文化 政治、経済 政治と原発論議 政治とSNS 政治スキャンダル 政治体制 政治理念 政治評論 政策 政策課題 教育 教育、文化、愚民化 教育・歴史 文化 文化、歴史 文化・芸術 新型コロナウイルスの起源 日本の未来 歴史 歴史・国際 民族弾圧 民族弾圧、ジェノサイド 水際対策 海外、スポーツ 海外、政治 海外、経済 海外の人権侵害 海外・社会 災害、政治 研究開発 社会 社会・政治 社会・文化 福祉政策 経営 経済・政治・国際 経済対策 緊急事態と憲法 総選挙 自民党総裁選候補 自衛隊 芸能人と思想 行政改革 言葉の定義 軍事 軍事、外交 輸入食材 選挙公約・バラマキ 離島防衛 韓国の教育 音楽 領土、外交 食糧問題 NHK改革 SNS・インターネット