30年間経済停滞の日本、「経常収支」の赤信号が示すその深刻度
日本の周辺には中朝韓露という、日本を敵視する3つの核保有独裁国家と、1つの歴史捏造の反日国家があります。そのうち朝は経済最悪の最貧国、露は制裁を受けて経済急下降中の国家、中韓は今までがピークでこれからは経済下り坂の国家です。
ですから日本が経済を復活させ、抑止力も十分に持てば、これら日本を敵視する国家群をそれほど気にする必要はないでしょう。しかしその日本も経済的な弱体化が進めば話は変わってきます。
失われた30年と言われ、デフレに苦しんできた日本、それでも10年前までは貿易黒字を積み重ねてきました。潮目が変わったのは東日本大震災。原発の殆どが稼働ストップし、その後も人為的に再稼働を遅らせてきた結果、化石燃料を年に数兆円も余計に輸入せざるを得なくなり、貿易収支の悪化に火を注いでいます。もちろんそれ以外にもイノベーションの遅れから経済競争力が停滞し、輸出で売り負けすることも多くなったのも要因の一つでしょう。
ここへ来て更に、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーや食料価格が暴騰し、円安も進んで、一気に赤字が加速し、貿易収支だけではなく、黒字一辺倒だった経常収支までその維持が怪しくなってきました。
その実態と今後の対応を、経済評論家の加谷珪一氏がJBpressに寄稿した記事から引用します。タイトルは『戦後初めて、日本の「経常収支悪化」が数字以上に深刻な事態である理由 日本の経済構造は大きな転換点に、そろそろ経常収支について本格的な議論を』です。
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全世界的な物価高騰や円安によって日本の経常収支が悪化している。日本の経常収支は構造上、そう簡単に赤字転落することはないが、仮にこのまま貿易赤字が続いた場合、慢性的な赤字転落の可能性もゼロではない。経常収支については誤解も多く、十分な議論が尽くされているとは言い難い。一方、経常収支が経済にもたらす影響は大きく、今後も円安傾向が続くのであれば、収支悪化を前提にした対策が必要となるだろう。
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経常収支を構成する二本柱
財務省が発表した2022年7月の国際収支統計よると、貿易や投資によるお金の出入りを示す経常収支は2290億円の黒字だった。前年同月比では約9割のマイナスであり、7月の黒字額としては、比較可能な1985年以降、過去最小である。これは季節ごとの調整を行っていない数字だが、季節調整済みでは6290億円の赤字である。
経常収支が悪化した最大の理由は、貿易赤字の拡大である。全世界的に物価が高騰していることに加え、円安で輸入価格が上昇しているため、海外への支払いが増えた。これによって全体の収支も悪化している図式だ。
経常収支というのは、大雑把に言えば貿易収支と所得収支(海外からの投資収益)の2つで構成される。戦後の日本は基本的に輸出主導型で成長を実現しており、高度成長期以降の日本は、一貫して貿易収支が黒字であった。貿易黒字によって獲得した余剰の外貨は、海外投資に振り向けられるが、そこから得られる利子や配当(所得収支)が所得収支である。
ピーク時には、莫大な貿易黒字に所得収支の黒字が加わり、経常収支は大幅黒字という状況が続いてきた。だが日本の輸出競争力の低下とともに貿易黒字額が減少し、2005年以降は、貿易黒字よりも所得収支の方が金額が大きくなっている。
つまり近年の日本経済は、経常収支を構成する2本柱のうち、貿易収支ではなく、投資収益が大黒柱となっているのだ。分かりやすく言えば、日本は輸出ではなく、投資で儲ける国に変貌したことになる。
貿易収支と所得収支が逆転した後、しばらくは安定状態が続いてきたが、大きな転換点となったのが今回のインフレと円安である。
海外の物価が上昇し、製品価格そのものが上がったことに加え、円安で日本の輸入金額は大幅に増大している。為替が安くなれば輸出金額も増えるはずだが、製造業の多くはすでに海外に生産拠点を移しており、輸出金額の増加よりも輸入金額増加による影響が大きい。このため、貿易収支が赤字になる月が増えており、経常収支を構成する大きな柱の一つを失いつつあるのが現状だ。
経常収支と経済成長は決して無関係ではない
もっとも、経常黒字の源泉となっている所得収支は、そう簡単には減少しないので、貿易赤字が一定範囲に収まっているうちは経常黒字を維持できる。だが、鉄壁に見える所得収支も、その内訳を見ると必ずしもそうとは言えなくなってくる。
日本の所得収支の半分は証券投資によるものだが、半分は海外に移転した現地法人からの配当や利子などで構成される。これは形を変えた輸出であり、コスト対策から海外に工場を移転した現実を考えると、さらに安価な新興国が台頭してきた際には、競争力を失う可能性がある。つまり日本の所得収支の半分は、今後、減少していくリスクに晒されているのだ。
そうなってくると、確実に収益をもたらす所得収支は証券投資の部分だけであり、実質的に所得収支は半分と考えたほうがより確実だろう。今後も円安傾向が続き、貿易赤字が定着した場合、条件次第では経常赤字に転落する可能性がある。
経常収支というのは、最終的なお金の出入りを示しているに過ぎず、その数字自体が国の経済力、あるいは成長率を決めるものではない。
経常収支が赤字転落するリスクについて指摘すると、必ずといってよいほど「経常収支と成長率には何の関係もない」「経済のイロハも知らないのか」といった暴力的な批判が出てくる。だが、経常収支と経済成長が無関係というのは、あまりにも教科書的かつ短絡的な解釈であり、現実には経常収支と成長率には密接な関わりがある。とりわけ日本のような産業構造の場合、経常収支が赤字転落する影響は極めて大きい。
海外から資金を借りた時の利払い負担は大きい
日本の国際競争力は著しく低下しており、最近では安価な工業製品のみならず、スマホや家電など付加価値の高い工業背品まで輸入に頼るようになった。米国のような基軸通貨国は例外だが、日本のようなマイナー通貨しか持たない国の場合、輸入を行うにはドルなどの外貨を準備する必要があり、外貨がなければそもそも経済を回せない。
経常収支が赤字転落した場合、輸出によって獲得したドルが流出してしまうため、海外から資金を借り入れる必要が出てくる。利払い負担は大きく、これが企業活動の足かせになる可能性は十分にある。
加えて海外からの借り入れが増えた場合、良質な資金を調達できなければ、海外の市場動向に振り回されてしまう。急激な資金の引き上げなどが発生した場合、国内経済に甚大な影響を及ぼすことも考えられる。経常収支が悪化している国は、良質な外国資本を獲得できる金融市場を整備する必要があるが、その点において日本はまだ十分な体制ができているとは言い難い。
先ほども説明したように、仮に貿易赤字が定着しても日本には所得収支があり、簡単に経常赤字に転落するわけではない。だが、長期的に見た場合、日本の経常収支は悪化しやすい環境が揃っており警戒が必要である。
貯蓄率が低下すると、かなりの確率で経常収支が悪化する
貯蓄投資バランス論というのはマクロ経済学の基本中の基本となっている理論だが、これによると国民が行った貯蓄は、財政赤字と国内の設備投資、そして経常収支の3つに案分される。日本政府の財政は慢性的な赤字であり、今の政治状況を考えると財政赤字が解消される見込みはほぼゼロである。
一方、国内の設備投資を減らしてしまうと、店舗や生産設備の更新などインフラ整備に支障を来たすので、大幅に縮小するのは難しい。 国内では今後、高齢化が急ピッチで進む可能性が高く、賃金は下がる一方となる。この状態が続いた場合、近い将来、日本の貯蓄率が大幅に低下するのはほぼ確実だろう。一連の条件を先ほどの貯蓄投資バランス論の式に当てはめると、貯蓄率が低下した場合、経常収支が悪化することでしか式のバランスが取れない。
こうした状況を総合的に考え合わせると、現状、分厚い所得収支があるからと言って、経常収支は赤字にならないという楽観的な見通しを持つべきではない。
経常収支の悪化というのは戦後経済が経験しなかった事態であり、日本の経済構造や産業構造が大きな転換点に差し掛かっていることを示唆している。従来の常識は一旦捨て去り、これからの日本がどのような経済構造を目指すべきなのか、ゼロベースでの議論が必要だ。
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先日ツイッターで日本の競争力は「東アジア圏では中国、韓国、台湾、マレーシア、タイよりもランクが下」という投稿がありました。購買力平価で比較した一人あたりGDPでも2019年に韓国に抜かれています。明らかに日本の競争力、それを元にした経済力は沈滞しています。つまり他の先進国や中進国が経済成長しているのに、日本は30年間止まったままなのです。
新しい資本主義もいいのですが、ここは腰を据えて日本の競争力を高める為の施策を、本気で考えねばなりません。そして何より企業や家庭に眠る資金を国内投資に役立て、新しい産業やベンチャーを育て、雇用を生み、子育てができる環境作りの政策を早急に打ち立てる必要があります。
もちろん食料やエネルギーの分野への積極投資も必要です。なぜなら日本のアキレス腱となるからです。そうした上で様々な日本の経済再生プログラムを作り上げる必要があります。野党の政策提言の目玉はここが狙いだと思いますね。旧統一教会に血道を上げる野党など、この重要な曲がり角に来た日本に必要ありません。
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