感染症と政治

2020年10月 5日 (月)

中国人体験コラム:新型コロナウイルス「数字」を操作した中国政府への怒り

As20200204004914_comm   今回はあの「室井佑月氏」や「姜尚中氏」、「古賀茂明氏」、「浜矩子氏」など、錚々(そうそう)たる反日左翼コラムニストを抱える、AERA dot.に寄稿された中国人「阿坡(A.PO)氏」のコラムを取り上げます。

 阿坡氏のこのコラムは反日コラムではありません。中国武漢での体験をもとにした、中国批判のコラムです。タイトルは『新型コロナウイルス「数字」を操作した中国政府への怒り』(9/28)です。このコラムは『連載「私はウイルス——武漢ロックダウン日記」』の一つとして寄稿されました。以下に引用掲載します。

 新型コロナウイルスによる肺炎が流行した武漢で、作家の方方氏が発表し続けた日記が世界の注目を集めた。温和で、中国共産党の権威に挑むものではまったくなかったが、流行を食い止められなかったことについて責任を追及する考えを示しただけで、中国国内で2カ月にわたり数千万のネットユーザーの袋叩きに遭い、脅迫を受けた。この「私はウイルス――武漢ロックダウン日記」は、方方氏と同じく武漢で暮らす一般市民の男性「阿坡(A.PO)」が、中国共産党を批判する反省の書として記したものだ。「一人の健全な精神を持つ中国人」として、世界に向けてお詫びの気持ちを示したいという。阿坡は、中国という国が、新型コロナウイルスによる肺炎の治療薬の登場さえも、情報操作に利用したと憤る。

*  *  *

■2020年2月13日 地元トップの更迭人事とレムデシビル(9)

「武漢市2020年2月12日0時~24時の新増病例は1万3436、累計病例は3万2994」。ロックダウン22日間後、新たな病例がこのように爆増した。新型コロナウイルスの流行は完全に制御を失ったという結論を導かせる数字に、当然ながら友人たちは私の安否をひどく心配したのだった。

 武漢にあってここ数日、ウイルスの流行をずっと観察・分析してきた私は、この新増数を見ても奇怪だとは思わなかった。

 私は友人たちに次のような解釈を示した。この新増数はこれまで政府がごまかし隠してきた患者数だ。もし実際の数を急いで発表しなければ、滞った実数はどんどん大きくなる。政府が最終的には武漢のウイルス感染者の総数をごまかせないとすれば、今後は毎日驚くべき新増数になるだろう。

 そうなってほしくはないが、武漢市の感染者数は10万に達すると推測される。それが真の数字なら、現在の3万余の基礎の上にこれから1週間、毎日新たに数千から万に上る新増が見込まれる。

■慚愧の念を抱く

 私が言いたいのは、封鎖22日目にして武漢はほとんど死の都市になっているということだ。ほとんど誰一人動き回ることも集うこともない。新たな感染が生じる可能性はすでに最低レベルに達している。このいわゆる新増の数字は、都市封鎖以前の感染が累積して出てきたものだ。

 頭にくるのは、封鎖前の54日間同様封鎖後も、政府はこのような厳しい災難に直面してなお人民を甘く見て、数字を操作し、つゆも態度を変えないことだ。しかもこの私個人も、被害者でありながら依然として習い性のように自己解読をするばかりで声を上げることはない。

 怒りが収まったあと、さらに慚愧の念を抱かせたのは、午後に届いたあるニュース――湖北省の省委員会書記と省長、武漢市委員会書記の3人がともに免職となり、首をすげかえられたという発表だった。私は、この日の新感染者爆増と結び付け、やはり流行は確かに一つの転換点を迎えたと判断した。

 なぜなら新任の幹部は必ず短時間のうちに局面を好転させ、このウイルスとの戦いに勝利しなければならないからだ。この時点で人事異動を発令するからには、彼らには転換点が見えているのだ。さもなければ悪化が懸念される、制御を失いかねない事態に習近平の側近を投入する必要はまったくない。

■臨床投薬の報道がない

 2月6日から武漢でレムデシビルの臨床投与開始。大きな注目を集めるこの薬は、武漢の人々の命を救う可能性のある、ひとすじのわらのような大事な手がかりと言っていい。

 ところが、今に至っても臨床投薬の進展についての報道がない。2月8日から10日にかけて、レムデシビルが重症患者に対して非常に有効だという情報を医療関係者のパイプを通じていくつも得たにもかかわらず、政府およびニュース媒体はなぜ公開しないのだろうか? たとえ薬効が十分でなくても、全市民が知りたがっているのだから事実に基づく発表をするべきだ。

 この疑問と今日発表された人事が結び付いて、私はさらに確信を強めた。数日と待たずレムデシビルの治療効果が発表され、ひょっとすると大量生産の開始までも告げられるのではないか、と。その後は新増数がしだいに下降、治癒した患者数は増え続け、治癒者の数はゆっくりと新増数を上回るようになるだろう。そうやって新型ウイルス流行との戦いは新しい幹部の指導のもとで勝利に終わる……。

 ここまで書いて、私はまた自分の内なる邪悪さ感じた。私はなぜ彼らの考え方や段取りを熟知しているのか。そうだ、これこそ私がこの文章を書こうとするエネルギーの源だ。私も一つのウイルスなのだ。

 一つの慰めは、どのように推理して見つけたかはともかく、今日になってとうとう新型ウイルス流行の転換点が現れたということだ。かりに私が推測するように、レムデシビルがよく効き、すぐに大量生産ができれば、新型ウイルス流行はそれほど心配いらなくなる。ロックダウンはなお継続されるだろうが、レムデシビルの情報はさらにしばらくの間、封鎖を続ける上での力になるだろう。この特効薬の情報は多くの人々に一晩警戒心を緩めさせるだろうから。

■「私はウイルス」の証明

 すでに多くの市民は3週間以上も家に籠って過ごしており、メンタルがやられる人も出よう。厳しい管理を無視して出歩く人が現れたら、過去76日間に及ぶ災難がもう一度繰り返されかねない。お分かりのように、これが「私はウイルス」の証明である。

 私は大衆を信じてはいない。私も私たちも、私たちが黙認している政府もみな大衆を信じてはいない。大衆は自分で判断する力も自分を管理する力もないと考えている。長い時間かかって大衆はそうした力を自ら放棄し、徐々に政府を頼るようになった。逆に政府は徐々に大衆を軽んじるようになった。一種の悪循環だ。

 よろしい、さらに続く蟄居の時間、心静かに理性的であるようにしよう。システム的に反省するようにしよう。

○阿坡(A.PO)/一武漢市民。77日間の武漢都市封鎖(ロックダウン)を経験し、この手記を執筆。「阿坡」は本名ではない。全世界に多大な迷惑と災難をもたらした新型コロナウイルスについて、一人の健全な精神を持つ中国人としてお詫びの気持ちを表すために、英語の「apologize(お詫びする)」から取った。全世界の国々が中国からのお詫びを待ったとしても、それが述べられることはない。だか、この名前を用いて手記でお詫びの気持ちを表したいと考えている。



 門田隆将氏の著書「疫病2020」も、楊逸氏の著書「わが敵習近平」も武漢肺炎は詳しく記述されていますが、伝聞であり体験ではありません。そういう意味ではこの阿坡氏のコラムは実体験であり重いものです。そして中国人としては禁句である「共産党批判」を滲ませており、かつ中国が絶対にしない「謝罪」の念も込めています。

 そうです、中国人は恐らくほとんどの人が、好んで共産党の統治を受け入れているのではないでしょう。ただ長年にわたる環視政策の中で、阿坡氏も述べているように、「大衆は自分で判断する力も自分を管理する力もないと考えている。長い時間かかって大衆はそうした力を自ら放棄し、徐々に政府を頼るようになった。」のでしょう。

全く残念なことです。世界一人口の多いこの国の人たちがそうなってしまった。逆に言えば中国共産党がそうした。そしてそれは中国共産党の継続と安定のために。言ってみれば世界最大の拘置所のような気がしてなりません。衣食住は満たされていても精神的な自由はない、恐ろしい話です。

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2020年8月23日 (日)

4-6月期GDP大幅減があぶり出す、悪意に満ちた恥知らずな面々

1_20200823115301  昨日は首相の健康問題を追求するあまり、記者会見場でルール無視を続ける記者たちの無作法を取り上げました。コロナ対応で心労を重ねる日本のトップに、傷口に塩を塗るような、みっともない姿をさらけ出しています。

 そのコロナ禍の渦中に巻き込まれ、失速した経済。過去に例がない、先の見えないこの疫病に、四苦八苦している政府や自治体の対応の中で、4-6月期のGDP速報値が発表され、年率27.8%と戦後最大の減少を記録しました。

 これに対し立憲民主党の逢坂誠二政調会長は、「アベノミクスが失敗に終わったことを示すものでもある」とのコメントを発表しました。アメリカやEUはこれを上回る減少を記録したのに、しかもこのコロナ禍の中での数字なのに、「アベノミクスの失敗」と決めつけるその感覚は、反政権の思惑満載の根拠のない誹謗中傷だと言わざるを得ません。

 この人に代表されるように、表面だけで批判のコメントを出す、薄っぺらな反政権分子は大勢います。この数字の根拠となった詳細を上武大学ビジネス情報学部教授の田中秀臣氏が、iRONNAに寄稿していますので以下に引用します。タイトルは『「戦後最悪」GDP減があぶり出す、悪意に満ちた恥知らずな面々』(8/18)です。

 内閣府が発表した2020年第2四半期(4~6月)の実質の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は前期比7・8%減、年率換算では27・8%減となった。4月から6月の間は、緊急事態宣言の発令期間を含むため、当初から大きく経済が落ち込むことが予想されていたが、ほぼその見込み通りとなった。

 ワイドショーや報道番組などマスコミは、この減少幅からリーマン・ショックを超える「戦後最大の落ち込み」と報じている。「補正予算の効果が入ってこれだけの落ち込み、大変だ!」と騒いだり、一部の野党のように「アベノミクスの失敗だ」という見方を示す人たちもいるが、おそらくこの種の人たちは、今回の「新型コロナウイルスの経済危機」をきちんと理解していない。

 まず、そもそもリーマン・ショックといった通常の経済危機と比較すること自体が間違っている。

 その前に、年率換算で経済の落ち込みを評価する「慣習」もばからしいので、そろそろやめた方がいいだろう。なぜなら年率換算とは、今期の経済の落ち込みが同じように1年続くという想定で出した数値である。

 冒頭でも指摘したが、今期は緊急事態宣言という経済のほぼ強制的な停止と、その後の再開を含んでいる期間だ。これと同じことが1年継続すると想定する方がおかしいのは自明である。

 その上で、リーマン・ショックのような通常の経済危機との違いも明瞭である。通常の経済危機の多くは「総需要不足」によって引き起こされる。簡単にいえば、おカネが不足していて、モノやサービスを買いたくてもできない状況によって生じるのである。

 だが、今回の新型コロナ危機は事情がかなり違う。政府が経済を強制的に停止したことによって引き起こされているからだ。

 それによっておカネが不足することもあるが、そもそもの主因は強制停止自体に基づく。そのためこの強制的な経済の停止期間を乗り切れるかどうかが、経済対策のポイントになる。

 もちろん新型コロナ危機の前から、景気後退局面にあった2019年10月に消費税率を10%に引き上げたという「失政」もある。これは忘れてはいけないポイントだが、本稿では当面新型コロナ危機の話だけに絞りたい。

 ここで、新型コロナの経済危機の特徴をおさらいしておこう。

 1)新型コロナの感染がいつ終息するか、誰も分からない。これを「根源的不確実性」が高いという。天気でいえば、明日の予想確率が全く分からない状況だ。雨かもしれないし、晴かもしれない。ひょっとしたら大雪か、はたまた酷暑かもしれない。

 つまり、予想が困難な状況を意味する。最近はワクチン開発や感染予防、早期治療のノウハウも蓄積してきているため、「根源的不確実性」のレベルはかなり低下してきているが、いまだに国内外で新型コロナ危機の終わるめどは立っていない。

 2)経済活動と感染症抑制はトレードオフ関係にある。経済活動が進めば、それだけ感染症の抑制が難しくなり、抑制を優先すれば経済活動を自粛しなければならない。この発想に基本的に立脚して、日本は緊急事態宣言を発令し、諸外国はそれよりも厳しい都市封鎖(ロックダウン)政策を採用した。

 ただし、最近の研究では、ロックダウンと感染症抑制は相関しないという検証結果が相次いで出ている。むしろ、ソーシャルディスタンス(社会的距離)やマスク利用の徹底のような日常的な感染症対策や、医療サービスの確保などに留意し、その上で経済活動を進めていく方が望ましい。経済活動を自粛するにせよ、限定的なものが最適になる。

 いずれにせよ、緊急事態宣言の効果は、今回のGDP速報値に含まれているので、経済の落ち込みへの「寄与度」を分析してみたい。この場合、既に指摘したように年率換算や単なる前年同期比で比較するのはセンスがない。

 分かりやすくいえば、経済の落ち込みと再開が短期的にかつ急激に現れているのが、新型コロナ危機の特徴だった。そうであれば、むしろ前期比(季節調整済)を利用した方がいい。

 今期の経済全体の落ち込みは前期比で7・8%減だった。この「マイナス成長」はどのような要因でもたらされたかといえば、4・5%減の消費と3・1%減の輸出である。

 理由は分かりやすいだろう。緊急事態宣言中で消費が委縮し、国際的な感染拡大の影響が輸出に及んでいるからである。

 3)経済対策は、感染が終息しない時期の対策(感染期の経済対策)と、その後の経済の本格的な再開時期に採用される政策(景気刺激期の経済対策)では、かなり内容が異なる。

 感染期は感染抑止が最優先されるため、限定的にせよ全面的にせよ経済活動がほぼ強制的に停止することになる。客が来なくてもどの店も潰れず、仕事がなくても労働者が解雇されない、そういうサバイバルを可能にする政策を採用する必要がある。

 多くの国では、給付金や減税などの「真水」政策と、融資などの政策を組み合わせて、そのサバイバルを目指した。この感染期の経済対策についてGDP比で見ると、日本は国際水準でトップクラスである。

 ただし、景気刺激政策に関して、日本政府はいまだ無策に等しい。「GoToトラベル」が景気刺激期の経済対策の一つだったが、感染終息がまだ見えない段階で始めてしまったために、その効果は大きく削減された。

 さらに、景気刺激期の政策であるため、感染抑制に配慮していないことも問題視されている。だが、繰り返すが、日本の感染期の経済対策は、不十分な点はあるかもしれないが、それでもかなりの成果を上げていることを忘れてはならない。

 国際通貨基金(IMF)の今年度の経済成長率予測で、日本は先進国の中で最も落ち込みが少ない。それは先のGDP比で見たように、給付金や融資拡大といった感染期の経済対策が貢献しているのは自明である。

 ここまでは、新型コロナの経済危機について、大きく三つの特徴をおさらいしてみた。それでは、今回の経済の落ち込みの国内の主因である消費について見てみよう。この点では、明治大の飯田泰之准教授による明快な説明がある。

 飯田氏は「『家計調査』をみると、消費の低下は4-5月が大底となり、6月には年初の水準まで回復していることが分かります」と指摘している。その上で「ただし、消費については4-5月の消費手控えの反動(4-5月に買わなかった分6月にまとめて買った)可能性が高いでしょう。今後の回復の強さについては7月分の消費統計に注目する必要があります」とも言及している。

 これは、緊急事態宣言の発令中には、そもそも消費したくてもお店が閉まっていることや、感染拡大を忌避して、積極的な買い物をする動機付けが起きない人々のマインドゆえに消費が急減少したことだ。

 そして総需要不足、つまりおカネ不足がそもそもの主因ではないために、宣言解除後から急激に消費が戻っていることが明瞭である。この消費の急激な回復には、感染症へのマインド改善とともに、定額給付金効果もあったに違いない。ただ、今後については分からないのも確かだ。

 このように政府の経済対策では、評価すべきところは評価しなければならない。政権批判ありきの悪意の人たちは、ともかく「アベノミクス失敗」「無策」と全否定しがちだ。それは政治的な煽動でしかない愚かな行為で、より望ましい経済政策を議論する基礎にはなりえない。

 さらには、安倍晋三首相が検査のために慶応大病院(新宿区)に行ったことを、鬼の首をとったかのように、政権批判や首相の健康批判に結びつける論外な人たちもいる。この点については、タレントのダレノガレ明美の真っ当な意見を本稿で紹介し、悪意の人たちに猛省を促したい。

タレントのダレノガレ明美のツイート

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 経済対策に話を戻す。今後最も懸念される事態は先述の通り、本格的な景気刺激策が採用されていないことだ。この点については、問題意識と具体的な対策に関して、8月17日の「夕刊フジ」で解説したので、ぜひ参照してほしい。

 付言すれば、定額給付金については、もう一度10万円配布でもいいが、それよりも「感染終息まで毎週1万円の給付金を全国民に」という大阪大の安田洋祐准教授の案が望ましい。この政策は長期のコミットメントにもなることで、金融政策とも折り合いがいい。恒久的な消費減税の代替や補完にもなるだろう。

 とにかく立憲民主党の逢坂氏の言う「アベノミクスの失敗」では全くないことが分かります。しかし野党第一党の政調会長が、言いがかりだとは言え、このような根も葉もないことを簡単に発言してしまう日本の政治家は、どこまで低レベルなのでしょう。

 同様に政策提言のないまま、野党再編が決まれば直ちに「選挙に勝てる」「政権奪取だ」と大喜びする政治家も同じ穴の狢でしょう。しかもそれが幹部クラスの人だから呆れてしまいます。

 弁護士になるためには司法試験に合格しなければなりません。医師になるにも医師免許が要ります。司法書士、社会保険労務士、介護士や社会福祉士、みんなそうです。政治家、特に国会議員になるためにも、しっかりした試験制度が必要だとつくづく思います。

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2020年8月11日 (火)

うがい薬買い占めで露呈する、社会の科学低見識

2020080508040310sph0004view  今月4日大阪吉村府知事の「ポヴィドンヨードうがい薬が新型コロナウイルスの感染防止に効果的だ」、と言う会見を受け、薬局の店頭からそのうがい薬が、あっという間に消えた事件は、まだ記憶に新しいことと思います。

 その後、その発表時点の検証にはサンプル数が少なすぎることと、実際には医学的に見て、感染予防にも病状の回復にも、どうも効果がなさそうだという見解が、多方面からなされ、当の吉村知事は釈明会見を余儀なくされました。

 その辺の詳細を、東京大学大学院情報学環准教授の伊藤乾氏が、JBpressに寄稿したコラムから引用掲載します。タイトルは『うがい薬買い占めで露呈する、社会の科学低見識 イソジンでコロナ重症化が防げたら誰も苦労しない』(8/11)です。

2008046jiugai  日本の西の方で「イソジン」などのポヴィドンヨード剤が「コロナウイルスを減少させる」云々、多分に衛生機関が提出した常識的なリポートを、必要な前提となる学術見識のない人が勘違いして、大きな騒ぎにしてしまっているようです。

 バカも休み休み、という話ですが、身近な若い人たちと少し話をしてみると、意外に本質的な誤解をしているケースもありそうに思われましたので、分かりやすい例で確認しておきましょう。

 先に結論。ヨード殺菌剤を飲んでも、新型コロナウイルスの予防効果もなければ、発症している病状の好転効果なども一切「ありません」。

「確認されていない」などと、科学的に正確な表現を取ろうとしても、それを読み取れないリテラシー欠如がマスコミにまであるようですので、明記しておきます。

「薬効はありません」

 薬理を考えても期待できるわけがない、まともに大学教養程度の教育を受けていれば自明の内容がすでに社会に通用していない、末期状態に警鐘を鳴らす必要があると感じます。

酒を飲んだらコロナが死ぬか?!

 石鹸やアルコールで手を洗うと、手に付着したウイルスや雑菌が破壊され、殺菌消毒の効果があります。

 厨房に立つ人などは、そうやって自分の手の衛生管理に気を配る必要があります。

 であるとするなら、体の中に存在するウイルスや雑菌を除去するのにも、アルコールや洗剤が役に立つだろう・・・という発想を持つ人が、善くも悪しくも世界には存在しています。

 では、コロナ感染が怪しい、というひとが、台所の中性洗剤をごくごく飲んだとして、それで肺炎や関連症状がよくなる、と思われる方がありますでしょうか?

「さあ、これからアルコールでウイルス退治だ」と お父さんが焼酎とサキイカなど持ち出してきたら、それは話が違うというものであって、落語みたいなお笑いになる。

 かと思いきや、そんなことはないんですね。残念ながら21世紀の国際社会には、いまだ「中性洗剤ごくごく」「焼酎チューチュー」の類、つまり科学的低見識の極みのようなものを目にします。

 一見そうみえないような科学を装う体裁のものにも、おまじないかオカルトみたいな代物がしばしば混ざっています。

 対岸の火事で分かりやすい例から示してみましょう。

 2020年4月23日木曜日、不幸なことに、アメリカ合衆国大統領に就任しているドナルド・トランプ氏が記者会見の場で、「感染者体内のコロナウイルスによる汚染を除去するため、消毒剤を飲んだり、注射してみてはどうか?」と発言。

 全米でこれを真に受けた人が消毒薬を摂取して病院に運ばれるという、全く洒落にならない事態が発生しました。

海の向こうではドナルドも・・・

 米国では、医師や専門家がただちに声を挙げ、とんでもない間違いであるからトランプ発言を無視するようにと警告を発しました。

 それより速かったのか、あるいは聞く耳を持たなかったのか、マスコミが駄々洩れにした愚かな発言を鵜呑みにした人が、消毒剤の中毒症状で病院に担ぎ込まれる騒ぎが相次ぎます。

 政治屋というのはこういうとき、じつに最低な反応を見せます。

 トランプ大統領は直ちに「人々が消毒剤を飲んだのは、私の責任でない」として責任逃れを主張。

「どうしてそんなことを考えたのが想像もつかない」「あれは皮肉だった」などと言い訳に終始します。

 しかし、実際に死亡した例も報告されメタノールを含む手の消毒剤を服用した結果、生涯にわたって後遺症の残る視覚障害を負ったケースなども報告されています。

 政治家が、入れ札で過半数を占めたというだけの理由で、完全に素人でしかない医療や化学、防疫や公衆衛生に関する、初歩的に誤った内容を垂れ流してよい、ということにはなりません。

 ドナルド・トランプ氏にはほかにも様々な刑事事犯の容疑がかけられていますが、「消毒薬を飲んだり注射したり」についても、一定の責任を追及する必要があるように思います。

 でないと、こういう悪質な発言を繰り返す政治屋の類犯を根絶することは困難、ないし不可能になってしまうかもしれません。

 仕事柄、欧州の目線から米国を冷ややかに見る意見に日頃多く接しているので、ギャップを痛感します。

「同じことがドイツやフランスで起きたら、とっくに革命暴動が起きても不思議ではない」と欧州の同僚である学識経験者たちは口を揃えます。

 そのうえで「無知蒙昧の愚かな金持ちを『リーダー』に選んでしまったのもその国民なんだから、結果自分たちも火の粉を浴びるのは自業自得」といった冷静な観測。

「アメリカというもの、それ自体」を「困ったもの」と位置づける欧州の基本的なトーンは冷ややかです。

 ちなみに、しばらく前のことになりますが、「USA」とかいう国名を連呼しながらぴょんぴょん跳ねたりする国民性を紹介してみたところ、ただただ理解不能、頭痛と返されたことは以前連載でも触れたかと思います。

後鳥羽院からガチャピンまで蔓延するアニミズム

 全世界の原始部族には、いくつか共通する原型的な宗教儀礼が存在することが、比較宗教学では久しく指摘されています。

 私はその道の専門でも何でもありませんが、文化人類学者の山口昌男さんに倣って「食儀礼」について、以下に参考になる範囲で記してみたいと思います。

 例えば、酋長のような存在が、何らかの「特別な食べもの」を食することでパワーを得、予知能力を身に着けるとか、敵を撃退する能力を得る、といった思考や発想は、あらゆる大陸のあらゆる神話に登場するといって過言ではありません。

 古来人間は多様なゲテモノを食することで克服してきた様子です。

 古事記や日本書紀に出てくる「ヤマタノオロチ」伝説は、娘を食べてしまう怪物「八岐大蛇」をスサノオが退治し、頭から尻尾まで身を寸切りにしていくと、その尻尾から世界を統治する力を持つスーパースウォード、剣が現れたというRPGまがいの設定になっています。

 そこで得られたのが「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」というストーリーに繋がり、そのシナリオは建前としては2020年の日本にまで続きます。

 大蛇の尻尾から得たはずの神剣はスサノオから(姉とされる)天照大神に献上され、日本の皇室の正統性を保証する「三種の神器」の一つとして定着、もとは大蛇が娘を食って作った(?)剣が、えらい出世をするものです。

 ところが、古代の由緒正しい「草薙剣」は、1185年「壇ノ浦の戦い」で平氏が滅亡し、罪もない子供であった安徳天皇の入水という顛末に際して、関門海峡に沈んで永遠に失われてしまいました。

 平家が政権正統性の根拠として三種の神器を持ち去ったため、神器なしに即位せざるを得なかった後鳥羽天皇―後鳥羽上皇は、最終的に「承久の変」で隠岐に流されてしまいます。

 のちに挙兵する後醍醐天皇(南朝)も、今の日本の皇族(北朝)も、後鳥羽上皇の子孫にほかなりません。

「食べちゃう」ことでパワーを得るで、もう一つ思い出されるのは、ひらけ!ポンキッキ「たべちゃうぞ事件」でしょう。いまからほぼ半世紀前、1970年代の出来事です。

 着ぐるみキャラクター「ガチャピン」が「いたずらする子はたべちゃうぞ」という歌詞が、子供たち(というよりは親でしょう)の不安を招くという理由で1週間ほどで放送中止となった騒ぎがありました。

 当時、小学校高学年であった私は、すでに幼児番組を卒業していましたが、幼児が「たべちゃう」ことに持つ原初的な所有意識と、食べられてしまうことへの恐怖のようなものを面白く感じたのを覚えています。

 そこで、そういう幼児の精神年齢と大差ないのでは、と判断せざるを得ないのが、片やドナルド・トランプ氏の蒙昧ぶりであり、他方、日本国にもヤマタノオロチからガチャピンに至る正統性をもって息づく、アニミズムを指摘しないわけにはいきません。

 トランプ氏のおバカ会見に先立って、同様の民間療法を試したケースが日本でも報告されていました。

参院候補、漂白剤を飲む

 4月2日、北関東の某県で、コロナを退治しようと(?)漂白剤などとしても使われる次亜塩素酸ナトリウムを摂取した主婦が病院で手当てを受けるという珍事が発生。

 ネットで話題になりましたが、すでに多くの方には過去の記憶、あるいは記憶する価値もないジャンク情報になっているかもしれません。

 あろうことか、この「コロナ退治」で漂白剤を飲んだ人は、2019年の参院選挙にミニ政党から出馬し、落選していたことも伝えられ、頭痛を感じたわけですが・・・。

 この主婦の場合は落選、ドナルド・トランプ氏は何の拍子か、背景も指摘されていますが、ともかく当選してしまって、ああいう無知蒙昧ぶりを曝しているわけで・・・。

 とてもではありませんが、人の命にかかわる判断を下す椅子に座らせることのできない低見識ぶりと言わねばなりません。

「アフターコロナ」、つまり今回のパンデミックを克服する「必要条件」は、ウイルス蔓延の収束ですが、最低限必要な科学的、疫学的常識もない者を責任判断の椅子につけていては、治る病気も治りません。

 政府と自治体の首長が、帰省一つでも正反対の主張を並行させる日本の現状は、真面目な防疫に取り組んでおらず、パンデミックを政争の具としてもて遊ぶ態度として、極めて低い評価しか得られていません。

 ヨード製剤のうがい薬について総括しておきます。

 ヨード系の消毒液は、外科手術などの折にも用いられ、2次感染予防などに有効、歯科医なども常用する、確立された薬剤です。

 これは、活性の高いヨウ素イオンがばい菌やウイルスを叩いて破壊することで効果が出るもので、人間が細胞の中に取り込んだウイルスや、それが引き起こす炎症を抑える鎮痛消炎などの効果は一切持ちません。

 ウソのようなウソをどこでどう流布したかは別として、うがい薬を用いてうがいをすることは、普通の意味での感染症予防には役に立つでしょう。常識的なことです。

 しかし、ヨード剤の効果については保険医の間でも意見が分かれ、白湯と効果に違いはない、ヨード・アレルギーを引き起こしているなどの批判も長く続いています。

 ちなみに本コラムの長い読者には周知のとおり、私は日常生活においては殺菌消毒魔で、気になるときはヨード剤で頭髪を洗ったりすることもある程度、この薬品には日常的になじみがあります。

 一度罹患した肺炎を治療したり、重症化を防ぐ効果が、ヨード剤うがい薬にあると考える理由はありません。

 間違いないことは、炎症など起こしている喉粘膜などに刺激性の強いこうした薬剤を下手に使っても、予後を悪くする恐れがある。肺に直接うがい薬など入れた日には生命にかかわる事態にもなりかねません。

 要するにロクでもない結果しか、引き起こしません。

 もし日本が、まともにコロナ対策に取り組む気が少しでもあるのなら、最低限の科学と疫学のリテラシーがない政治家が関連対策におかしな愚見を混ぜ込む事態を一掃する必要があるのは、間違いありません。

 伊藤乾氏はこのコラムの最後で、ポヴィドンヨードを含むうがい薬で「うがい」をしても、「一度罹患した肺炎を治療したり、重症化を防ぐ効果が、ヨード剤うがい薬にあると考える理由はありません」と結んでいますが、その前の事例では殆どが、殺菌剤を「飲む」行為は「効果はないし馬鹿げている」と、トランプ大統領や参議院選の立候補者を引き合いに出し、揶揄しながら記述しています。

 まあそれはいいとして、確かに学術的な見識があいまいなまま、政治家などの発言を鵜呑みにするのは好ましくないという、一つの良き例ではありますね。吉村知事に悪意はなかったことは認めるにしても、やはりこのような会見は政治家がやるべきではないでしょう。実は私もこの会見の報道に影響を受けて、薬局に買いに行こうと思った一人ですから、何も言えませんが(もちろんどの薬局も売り切れでした、凄まじい買い占めパワーです)。

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2020年8月 7日 (金)

早くも第2波の襲来、第1波の教訓が生かされない日本

Y-1  新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。7月に入ってその数は増加の一歩を辿り、全国の感染者数は7月1日の127人から、昨日は1485人と大幅に増大し、連日1000人を超えています。ここ数日で、過去最高の新規感染者を出した都府県も多くあります。つまり全国に再び拡大しているのが裏付けられています。年末からと予想された第2波が早くも襲ってきたようです。

 新規感染者数ではなく、重症者数や死者数、又検査数と陽性率で議論せよとの声もありますが、いずれにしてもこの増え方は、完全に新しいステージにに入ったとものと言えるでしょう。第1波の時からの日本の対応に疑問を抱き、著書「疫病2020」でその失態を鋭く指摘した門田隆将氏が、NEWSポストセブンに緊急寄稿していますので、以下に引用掲載します。タイトルは『第1波の教訓が生かされない日本』(8/06)です。

◇ 

 日本政府の新型コロナウイルスへの対応は、グローバルな視点から考えても及第点であったとは言い難い。作家・ジャーナリストの門田隆将氏がレポートする。

 * * *

 日本は何かを間違えている。しかし、その“何か”がわからない──コロナ禍の中で、多くの日本人はそう感じているに違いない。その原因も突きとめられないまま、多くの国民がたった「半年前」のことさえ振り返ることもできず、日々の生活に追われている。

 全国で感染者数更新がつづく第2波の真っ只中、8月5日にその疑問のヒントを国民に教えてくれる政策が実行に移された。日本に在留資格を持つ外国人駐在員や留学生らの「再入国」許可である。

 日本で在留資格を持ち、一時的に母国に帰国していたビジネスマンや留学生が出国前にPCR検査をし、さらに日本でも入国の際にPCR検査を受けることを条件に再入国が認められたのだ。146の国と地域の外国人入国を拒否していた日本にとって大きな政策転換である。

 今年1月、中国湖北省・武漢で感染爆発した新型コロナウイルス。いわゆる武漢肺炎は人口1100万人を超える武漢を都市封鎖に追い込んだ。しかし、感染国、すなわちレッドゾーンからの流入を「まずストップする」という基本に背を向け、インバウンドに目が眩んだ安倍政権は、易々と悪魔のウイルスの日本侵略を許した。

 1月の中国人訪日客は史上最多の92万人に達し、日本は一時のインバウンド収入に潤った。だが、懸念された通り、それは武漢ウイルスの蔓延を生み、また東京五輪の足枷で、欧州からの入国禁止という政府判断も決定的に遅れて、日本は想像以上の経済的打撃を負った。

 あらゆる業界に及んだ影響は、中小企業が倒産を余儀なくされる秋以降の“小崩壊”と、来春以降は大企業も破綻していく“大崩壊”の二段階での悲劇が訪れると言われる。日本経済は、息の根が止まるかもしれない瀬戸際がつづくのである。

 武漢から発信されたSNS上の阿鼻叫喚の有様にも「過剰な心配は要りません」と言い続けた官邸や厚労省らは、痛烈なしっぺ返しを受けたことになる。

2020043010026314creaweb0002view  7月末、新型コロナの新規感染者は連日世界で25万人以上、日本では1000人以上が記録されている。一方、世界の防疫成功ナンバー・ワンの台湾は110日間連続「国内感染者ゼロ」を記録。経済活動も、スポーツ・文化活動も通常通り動いている。

 共に隣国に発生国・中国を抱え、条件はまったく同じなのに、なぜ日本と台湾にはこれほどの「差」が生じたのか。それは、この「8月5日時点」を見てもわかる。

 台湾では6月29日から観光、知人訪問、文化芸術活動の観賞などを除く「訪台事由」による渡航申請が可能となった。ただし、入国時には、航空機への搭乗72時間以内に実施したPCR検査の陰性報告の提出が求められ、入国後も14日間の「居家検疫」が科される。

 居家検疫とは、自宅もしくは特定のホテルからの外出を不可とし、検温など自らの健康状態をチェックすることを意味する。これに従わなかった場合は、最高100万元(※日本円で360万円相当)の罰金が科せられることになる。大変な金額である。

 入国許可者は、空港検疫が無事終了すると、それぞれに「在宅検疫書」が渡され、そのまま速やかに検疫場所へ移動することになる。ただし、空港から検疫場所までの移動手段は、厳格に定められている。自家用車か、または「防疫タクシー」と「防疫バス」と呼ばれる政府指定の交通機関を利用するのである。

 いうまでもなく一般の台湾人と交通機関での接触が絶対にないようにするための措置だ。防疫タクシーと防疫バスとは、台湾政府の交通部(※日本の国土交通省に相当)がつくったものだ。

 自宅またはホテルで行われる「在宅検疫」は、14日間の外出禁止を強制される。これは、検疫期間中に「場所変更」も許されないほどの厳格なものである。

 入国許可者が、これを自宅でない場所でおこなう場合は、「防疫旅館」と名づけられた隔離対象者向け宿泊施設が使用される。費用は全額自己負担だが、政府の指針に従い運営されているホテル等である。

 この防疫旅館が、食事提供やゴミ回収等々をおこなってくれることになっており、入国許可者の位置情報は携帯電話で常時、把握されている。仮に、無断で移動したり、あるいは電源が消されていたりすると、ただちに自動的に通知され、状況確認のために警官がやってくるシステムだ。前述のように違反者には最高360万円という罰金が科せられることもある。

 こうして台湾では、入国許可者に対して「厳しい管理」が実施されるのである。では、日本はどうだろうか。8月5日から始まった在留資格のある外国人に対して、日本では以下の6項目が定められている。

【1】自宅などで入国の次の日から起算して14 日間待機する滞在場所を確保すること

【2】到着する空港等から、その滞在場所まで公共交通機関を使用せずに移動する手段を確保すること

【3】入国後に待機する滞在場所と、空港等から移動する手段を検疫所に登録すること

【4】新型コロナウイルスの検査を受けること

【5】検査結果が出るまで、原則、空港内のスペース又は検疫所が指定した施設等で、待機すること(到着から検査結果が判明して入国するまでの所要時間は、状況によるが数時間~2日程度)

【6】検疫における新型コロナウイルスの検査結果が陰性でも、入国の次の日から起算して14日間は、自分で確保した滞在場所で待機することを要請する。そして保健所等による健康確認の対象となる。

Photo_20200806155401  台湾と日本の決定的違いがおわかりだろうか。台湾は巨額の罰金を伴う「隔離」であり、日本は外国人それぞれの自主性に任せた「要請」に過ぎない。

 そもそも、「空港からの移動手段を確保すること」などと言っても、「防疫タクシー」も「防疫バス」などもつくらず、あまりに無責任すぎないか。多くの入国許可者が“やむなく”公共交通機関を使うのも無理はない。

 3月13日に成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法では、政府の権限を狭めるために緊急事態宣言の場合は国会への事前報告が付帯決議に盛り込まれるなど、野党とマスコミの反対で“骨抜き”になったのは周知の通りだ。

 つまり、日本では性善説に基づいて、それぞれの良心に訴えるのが基本であり、なおかつ移動手段も自己責任という実に“無責任”なものなのだ。

 今年6月末、私はコロナの謎と中国の隠蔽の実態、日本のお粗末な対策の有様を告発した『疫病2020』(産経新聞出版)を上梓した。発売1か月で8万部を突破し、多くの読者が情けない日本の有様に危機感と怒りを共有してくれている。

 この作品の中で、「国民の命を守る」という使命に向かって突き進む台湾と、そんな使命など忘れ果てた日本の官僚の姿を詳述させてもらった。何が違っているから、これほどの「差」が生じたのか。そのことを理解してもらうためだ。

 日本が踏み出した在留資格のある外国人の条件つき入国許可──これは、今後、なし崩し的に進む「入国緩和」のさきがけとなるだろう。すでに5月1日から中国と韓国の間では、出国・入国の際のPCR検査を条件に、世界に先んじて互いの出入国を許可し合っている。

 それを見た日本の経済界は、「早く日本も参加を」と政府に要請を続けていた。言葉を代えれば「早く中国市場に行かせろ」ということである。これほどの痛い目に遭っても第1波の教訓が生かされていないということだろう。

 日本が在留資格のある外国人の入国を認めた8月5日、台湾は逆にビジネス客受け入れ対象国から「日本を除外する」ことを決定した。連日1000人を超える新規感染者が出ている日本を新型コロナの“レッドゾーン”と見なしたのだ。さすが台湾は厳格である。

“GO TO トラベル”でも、一貫した指針と方策がなく、右往左往した安倍政権。厳格さとは無縁のまま始まった外国人入国によって、日本経済はさらに打撃を受けることになるのだろうか。見事な手本となった台湾がこの上なく日本を心配し、「日本はこのままで大丈夫だろうか」と政府関係者も筆者に伝えてきている事実を申し添えておきたい。

 以前からこのブログで指摘している、強制力と罰則を持った自粛要請と補償金を伴った形の休業要請への法改正、それは一向に進んでいません。これでは緊急事態宣言を発しても、穴の開いたバケツと同じで、要請に従わない個人や業者は必ず出て来ます。何のための特措法か分かりません。

 その影響は門田氏の指摘するように、入国検疫の管理業務にも端的に表れています。法の不備もありますが、「疫病2020」でも指摘されているように、厚生労働省の人命軽視と業務の杜撰さが、ここに現れていると言っていいでしょう。   

 絶対国民に感染させない、と言った台湾で見られるような意気込みはどこにもありません。ですからあとはあなた任せの管理対応になってしまうのでしょう。日本人でさえ「性善説」一辺倒では感染は抑えられません。それが外国人になれば余計困難です。ですから水も漏れないような防疫体制が必要なのに、実に軽く考えているのです。

 政治家や官僚に蔓延する、事なかれ体質が招いたこの第2波は、すでに始まっている国内の移動緩和、外国人の入国制限緩和によりさらに拡大して、冬が来る前に再び緊急事態宣言の必要性が出てくる恐れは十分あります。その時に備えて、緊急に臨時国会を開き特措法の改正だけでもやらなければ、感染が抑えられず、経済も失速する二重苦を招く危険性が十分あります。まさに待ったなしの状況だと言えるでしょう。

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2020年7月29日 (水)

PCR検査はなぜ広がらなかったか、その要因を検証する

Images-1_20200729115601  新型コロナウイルス新規感染者数の拡大が止まらないようです。昨日もNHKによる集計で全国で981人、今月23日と同じ過去最高の数字となっています。第1波の時に比べ検査数がかなり多くなったのも、陽性者が多くなった要因の一つと言われていますが、もちろんそれだけではなく、緊急事態宣言の解除後の、人の移動や、夜の繁華街での飲食も大きな要因となるでしょう。

 ところで日本のPCR検査は他国と比較して、かなり少ないと以前から言われてきました。最近多くなったと言っても欧米などと比較すると桁が違うようです。そのあたりの要因を本日の読売新聞の特集から取り上げてみます。タイトルは『PCR検査はなぜ広がらなかったか…検査目詰まり 複合的に』で、以下に引用します。

保健所パンク 残業198時間

 「PCR検査が受けられない」――。新型コロナウイルス感染の第1波では、全国各地で悲痛な声が上がった。どこで検査の目詰まりが起きていたのか。その要因を探った。

 感染症担当 人手足りず

 「夜中も緊急対応を求める電話に追われた。24時間、臨戦態勢だった」。東京都内のある保健所に勤務する医師は、3月の状況をこう振り返る。

 今回、新型コロナの相談は各地の保健所に集中した。その理由は2月1日の厚生労働省の通知にある。

 《相談窓口「帰国者・接触者相談センター」を保健所などに設置すること》。相談をセンターに一本化させることで、患者が医療機関に殺到して医療崩壊が起きるのを防ぐ狙いがあった。

 しかし、保健所の電話はすぐにパンク。当初3回線しかなかった東京都世田谷区ではクリニックの医師ですら患者のPCR検査を求めるため電話をかけ続ける事態に陥った=目詰まり(1)

 さらに問題だったのは、保健所に感染症担当の医師や保健師が少なかったこと。電話対応を始め、相談者の健康観察、陽性者の入院先の確保、濃厚接触者の追跡調査――あらゆる業務が重くのしかかった。「人手は全く足りなかったが、応援体制を話し合う時間もなかった」とある保健所の担当者は語る。東京都中央区保健所では3月の残業時間が最大198時間に上り、品川区でも同174時間(4月)、北区でも同173時間(同)など過労死ライン(月100時間)を大幅に超過した。

 搬送先なし

 「保健所に検査を断られた」。そんな批判が相次いだ背景には、陽性者の搬送先がないという事情もあった。

 「2~3月、PCR検査の条件を少し厳しめにしていた」と明かすのは、さいたま市保健所の西田道弘所長(56)。同市は10万人当たりの医師数、病床数がともに20政令市で最少で、感染症指定病院の病床は10床しかなかった。「病院が軽症者らであふれてしまい、重症者への対応が遅れるのが怖かった」と西田所長はいう。当時は、陽性者は無症状でも原則全て入院させる必要があった=目詰まり(2)

 この目詰まりを解消するため厚労省は4月2日、《軽症者や無症状者が自宅や宿泊施設で療養する際の指針》を示した。全員を入院させる必要がなくなり、同保健所でも検査の条件を緩和していった。西田所長は「検査を受けられずに手遅れになった人はほとんどいないはずだが、体調が悪化した人はいた。そういう意味では申し訳なかった」と語った。

 混乱招いた「37・5度以上」

 厚労省が2月17日に発表した《相談・受診の目安》も混乱の一因となった。

 目安は〈1〉37・5度以上の発熱が4日以上続く〈2〉強いだるさがある――などの場合、帰国者・接触者相談センターへの電話を呼びかけた。あくまで相談の目安として示されたものだが、各保健所では、専門外来(帰国者・接触者外来)での検査につなぐかどうかの事実上の「基準」とし、この目安を理由に検査を断る例が相次いだ=目詰まり(3)

 厚労省はこの誤解の解消に躍起となり、2月27日に《医師が必要と判断すればPCR検査の対象にする》と通知。さらに〈1〉と〈2〉の両方がそろわなければ相談できないとの誤解もあったため、3月22日には《2条件のどちらかが当てはまれば相談を》との通知を出した。それでも目安を理由に検査が受けられない事例が相次いだ。

 5月8日、厚労省は「37・5度、4日以上」という体温や日数を削除した《新たな目安を公表》

 なぜ37・5度だったのか。目安作りに携わった専門家の一人は「厳密な基準や根拠があったわけではないが、どこかで区切りをつけないといけなかった」と明かす。

民間活用 マニュアルなし

 保健所を通じたPCR検査(保健所ルート)が目詰まりする中、厚生労働省は3月4日、もう一つの検査ルートを6日に開設すると通知した。《PCR検査を医療保険の適用対象とする》

 それまでは保健所が専門外来の医療機関につなぎ、主に地方衛生研究所に検査を依頼するルートに限定されていたが、医療保険が適用されれば、それ以外の医療機関でも自らの判断で民間の検査会社に検査を依頼することができる。「ボトルネックは一つ解消される」。加藤厚労相は6日の記者会見でこう胸を張った。

 しかし、医療保険ルートはすぐには増えなかった。民間検査会社との契約や検体の梱包こんぽう、搬送などに人手が必要で、小規模クリニックには負担が大きかった。さらに医療機関は自治体から検査の委託を受ける必要があったが、この契約手続きに手間取った。

 東京都世田谷区の区医師会は4月上旬、医師会が代表する形で契約を結びたいと区に相談。しかし、区側は患者の費用負担や設備面の要件などがわからず滞った。

 4月15日、厚労省が新たな通知を出す。《医師会などに検査センターの運営を委託できる》。しかし、その通知にも要件の詳細は書かれておらず、区の担当者は厚労省に問い合わせたが、「通知を出している」と言われるだけ。区幹部は「都に尋ねても答えが出ず、さらに調べるという余力はなかった」と振り返る=目詰まり(4)

 厚労省は同28日にようやく医師会がPCR検査センターを運営する際のマニュアルを公表。結局、区と医師会との委託契約の締結は同30日にずれ込んだ。

 「迷惑施設」 住民が反対

 PCR検査センターの場所探しも難航した。

 「こんなところでやるんですか」。4月末、千葉県鎌ヶ谷市の病院の駐車場。防護服を着用し、ワンボックスカーを使った移動式センターの運用テストをしていた医師会や市の職員らに、住民から不安や反対の声が寄せられた。検査を受けに来る市民のプライバシーにも配慮し、場所を総合病院の地下に変更。入り口をブルーシートで覆った。

 5月にドライブスルー方式のセンターを開設した同県習志野市でも、周囲に民家がない場所を選ばざるを得なかった。市の担当者は「医師会や市民には不便をかけている」と話す。設置場所は非公表だが、関係者によると、市街地から離れた海岸沿いの一角。周辺には汚水処理施設や清掃工場などもある。

 鎌ヶ谷市医師会の石川広己副会長(67)は「検査を行う医療従事者としては『迷惑施設』と扱われてつらい。自治体は市民に検査の必要性を周知し、利便性のいい場所を提供すべきだ」と注文する=目詰まり(5)

 検体の梱包 負担大きく

 検体の梱包作業の負担もネックの一つだった。世界保健機関(WHO)の検体輸送の手引では〈1〉試験管〈2〉密封性の容器〈3〉段ボールなど――三重に梱包すると定められているが、国内では当初、さらにジュラルミンケースに入れる必要があった。

 厳格化のきっかけは2011年、国内でアメーバ赤痢の疑いのある検体の輸送時にドライアイスが気化し、容器が破裂する事故が起きたことだった。今回、現場からは「ジュラルミンケースを確保するのが大変」との声が相次いだ=目詰まり(6)。このため厚労省は4月17日、《輸送時のケースを不要とする通知》を出した。

 国際基督教大の西尾隆特任教授(行政学)は「危機的な状況下で随時やり方を変える運用自体は問題ではない。ただ、国が通知を送っても人材や人員不足ですぐに取り組めない自治体も多い。国は現場の声をすくい上げ、柔軟な手段を提示するなどのフォローが欠かせない」と指摘する。

地衛研 人も予算も弱体化

 PCR検査が目詰まりした大きな要因の一つが、そもそも検査能力が圧倒的に低かったことだ。

 感染拡大当初、検査の大部分を担っていたのは都道府県や政令市などが運営する全国83か所の地方衛生研究所(地衛研)。しかし、PCR検査の機器は限られ、検査に必要な試薬も不足がちで、特に深刻だったのが人員不足だった=目詰まり(7)

 名古屋市衛生研究所では、食中毒担当の職員7人が検査にあたった。1日あたりの検査可能件数は80件だったが、感染者が急増した3月には応援の職員を入れ、深夜までかけて約130件を行った。柴田伸一郎部長(61)は「ミスは許されないぎりぎりの緊張状態だった」と語る。

 他国と比べて、なぜ日本はPCR検査の能力が低かったのか。実は2009年に流行した新型インフルエンザの教訓として厚労省の有識者会議は「地衛研のPCRを含めた検査体制の強化が必要」と提言していた。だが、提言はこの10年、放置されてきた。韓国などは15年の中東呼吸器症候群(MERS)などを機にPCR検査体制を拡充したのに対し、日本では感染者が出ず、「新型インフル時の危機意識が長続きしなかった。責任を感じている」と厚労省幹部は反省する。

 この間、地衛研の弱体化も進んだ。地衛研全国協議会によると、都道府県が設置する47施設では04~18年度に平均職員数が56・9人から48人に減少。予算は28%減、研究費も31%減と大幅に縮小。地衛研は設置の根拠となる法律がなく、調(しらべ)恒明会長は「人員や予算削減のターゲットにされやすかった」と指摘する。

 PCR検査が低調のため、国内企業が開発した最新の検査技術を生かせない事例もあった。千葉県松戸市のバイオ先端企業「プレシジョン・システム・サイエンス」は15年、通常約6時間かかる検査を約2時間に短縮できるPCR検査機器を発売。欧州を中心に500台以上を販売し、4月下旬には駐日フランス大使から感謝状も贈られた。しかし、国内では需要が見込めなかったため、国内販売に必要な手続きをしていなかった。田島秀二社長(71)は「第1波で活用できなかったのは残念だった」と語る。同社は8月に国内でも販売を始めるという。

 厚労省で感染症対策に取り組んだ長崎大の中嶋建介教授(感染症対策)は「感染症対策は、実際に発生しないと危機感も共有されず予算がつきにくい。今こそ次の感染症の流行を見据えて最新機器の導入や人材育成を急ぐべきだ」と指摘する。

■教訓

▽感染症対策の中核を担う保健所や地方衛生研究所がパンク。人員、予算などの機能強化を

▽国は通知を出すだけでは不十分。より分かりやすい自治体への情報提供が不可欠

▽PCR検査能力の拡充を求めた10年前の提言を放置。危機意識の継続が重要

 第1波の最中(さいちゅう)マスコミ関係者等から、なぜ検査が十分にできないのだ、と再三の指摘があったことは周知の通りです。その要因の殆どがこのコラムで語り尽くせていると思います。最後の教訓もその通りだと思います。

 しかし人や予算を増やしたり、情報提供の質を上げたり、危機意識を継続することはその通りなのですが、それを実現するためにはどうすればいいのか、そこが重要だと思います。

 人や予算の増大はこの感染症の影響の大きさを知った今、まず取り組まなければなりませんが、保健士一つとってもその資格取得が大変ですし、今回の感染下での労働負荷を見聞きしていますから、志願者の減少も予想されます。給与面の改善とか、負荷の軽減策と言うようなことが同時に必要になるでしょう。

 国からのわかりやすい情報提供も、官僚自身が現場をよく知らない現状では、まず彼らに日頃から現場を渡り歩いて、状況をつぶさに学習する機会を与えなければなりません。そのためには報告書などの文書作成は、最小限重要なものに絞るなど、不要不急の仕事を減らし、負荷の軽減を図らねばならないでしょう。

 また危機意識の継続も、日本人特有の「喉元過ぎれば熱さを忘れる」、そして悪いことは「水に流して」忘れ去ろうとする気質が、それを阻害している気もします。ですから「語り継ごう」とわざわざ災害の度にそういうのも、それを暗示しているのかもしれません。

 そして第1波の時よく話題になった、検査をしない、できないから感染者の拡大を防げない、と言う論調も日本人特有の「木を見て森を見ず」の思考パターン、つまり一部だけを見て短絡的に結論付ける習性があるように思えます。まず全体像から考えることに対する弱点があるのかもしれません。特性要因図や要因分析などのQC、新QC手法を学んでいるはずなのですが。

 ですから今でも医療現場の余裕度を示すのに、ベッド数だけを取り上げる例が多いのですが、感染症対応の病院数を始め、なぜ関連の医師や看護師数、酸素吸入器やエクモ数、又それを扱える検査技師数の余裕度など、同時に公表しないのか、いつも疑問に思います。

 いずれにしても、感染爆発が抑えられている大きな理由に、日本人のルールに対する生真面目さや衛生観念の高さ、マナーの良さなどがあるのは確かでしょう。一方最近の感染者の多くを占める若者たちの、夜の街での羽目外し行動は、もはや日本人が旧来の日本人らしさを捨て去っている証拠でもあります。もちろん若者すべてがそうでないにしても、明日の日本がちょっと心配ですね。

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2020年7月25日 (土)

GoToトラベル、問題山積みだが、一方で瀕死の業界にも目を向けては?

2020071600010023abema0022view  昨日も全国の新規感染者数が700人を超えるなど、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、瀕死の観光業界を救うべく「GoToトラベルキャンペーン」が、前倒しされて22日から始まりました。「なぜこの時期に」、とか、「東京だけ外すのは不平等だ」、とか批判が渦巻いています。

 左派系メディアは勿論ですが、保守系のメディアでも批判の論調が見られます。zakzakに寄稿されたジャーナリスト長谷川幸洋氏のコラム『「コロナ第2波」来襲しているときに…最悪のタイミングでGoToトラベル 判断甘く…情けない官僚たち』(7/25)がそれで、以下に引用します。

 迷走の末、政府の観光支援事業「GoToトラベル」キャンペーンが22日から始まった。新型コロナウイルスの感染「第2波」が来襲しているときに、政府が旅行の呼び掛けとは、最悪のタイミングだ。

 朝日新聞の世論調査(18、19日実施)では「74%が反対」と答えている。東京都の小池百合子知事ならずとも、多くの国民が首をかしげるのは当然だろう。私も反対だ。

 私はそもそも、「1次補正予算で1兆7000億円もの予算を計上したこと自体が間違いだった」と思っている。大火事を前にして、火が消えた後の新築祝いを考えているようなものではないか。

 そんな話になったのは、経産省や国交省の官僚たちが「コロナは予算獲得のチャンス」と見たからだろう。東日本大震災でも、復興需要にかこつけて「霞が関の庁舎改修」や「文化人の海外派遣」など無関係の事業に予算が付けられた。便乗商法は霞が関の得意技なのだ。

 東京で新規感染者が再び増え始めて、どうなることかと思っていたら、「東京発着の旅行や、東京在住者の旅行を除外する」という。これは2重、3重におかしい。

 まず、外出自粛を呼び掛けながら、旅行を促すのは矛盾している。次に、国の税金を使うのに、東京在住者だけを差別するのは、税金支出の公平原則に反する。特区政策があるように、特定地域を狙い撃ちするのは、すべてダメとは言わないが、ほぼすべての国民を対象にすべき観光政策では不適切だ。

 いまは東京の感染増加が目立っているが、これから大阪など他の大都市で増えたら、どうするのか。東京はダメで大阪はOK、では辻褄(つじつま)が合わなくなる。まるで「コロナさん、大阪に行かないで」と頼んでいるかのようだ。そんな「神頼みが前提の政策」など聞いたことがない。

 こんな展開になったのは、政策を立案した官僚の判断が甘いからだ。欧米の例を見れば「2次感染、3次感染があり得る」くらいは分かりそうなものだが、予算が大盤振る舞いになりそうなのを見て、つい「便乗商法の誘惑」に負けてしまった。実に情けない人たちである。

 誤解のないように断っておくが、私は観光業界を政策でテコ入れするのは反対ではない。いまの状況が今後、何カ月も続いたら、倒産ラッシュが起きるだろう。

 では、どうするか。

 1兆7000億円の予算は、旅館やホテルなど観光関連業界に直接補償したらどうか。日本航空や全日空が潰れそうになったら、政府は公的資金投入も厭(いと)わず支援するだろう。航空会社はOKだけど、ホテルや旅館はダメという話は筋が通らない。土産物店や飲食店にも現金を配るべきだ。

 いまは非常事態なのだ。

 第2波は収まる気配がないどころか、東京だけでなく、大阪など全国に広がる可能性が高い。いまからでも遅くはない。メンツにこだわらず、GoToは中止したらどうか。政策立案者は便乗商法のようなケチな話ではなく、もっと大胆な支援策に知恵を絞るべきだ。旅行支援は事態が落ち着いてからで十分だ。

 確かにおっしゃる通りですね。私も官僚が、実態をよく把握せずに机上だけの計画を立てる傾向にあることを、この件に限らず様々な面で感じています。それに長谷川氏の言う予算獲得の「裏話」もありそうな話ではあります。時期ややり方の問題も多々あるでしょう。

 しかし休業要請している業者への、補償金も支払えない今の法の仕組みの中で、ホテルや旅館、土産物店や飲食店に直接現金を渡せるのでしょうか。それにはまた新しい立法処置が必要です。それに航空会社だけではなく、その他の旅行業者も困窮しています。大手であってものその従業員など、明日の職が続けられる保障もありません。

 大手旅行代理店のJTBの社員の声をNEWSポストセブンに寄稿した記事『JTB・20代社員が「GoTo東京除外」より恐れる最悪の事態』(7/24)を以下に引用掲載します。

 新型コロナによる経済的な影響は多くの業種を直撃しているが、とりわけ厳しい状況に追い込まれているのが旅行業界だ。業界最大手のJTBに勤務する都内在住の20代男性社員が終わりの見えない現状への不安をこう明かす。

「コロナが蔓延した4~5月は一度も出社しませんでした。6月に緊急事態宣言が明けてからは出社もしていますが、昨年に比べると仕事そのものが少ないので若手社員の間では将来に対する不安の声が出ています」

 社員の生活を支える「給料」に関しても先日、会社から無情な通達があった。

「ありがたいことに夏のボーナスは前年並で貰えましたが、今冬のボーナスは支給しないというお達しがありました。覚悟はしていましたが、モチベーションは下がりますね。今年はどこも厳しいから仕方がないですが、社内では『来夏のボーナスもゼロなのでは?』と言い出す人もいて、瀬戸際に来ているなと感じます」

 そうした厳しい状況を打破すべく、政府が発表した肝いり観光支援事業「GoToトラベル」キャンペーン。すでに迷走している施策だが、JTB社員はどのように受け止めていたのか。

「そりゃもちろん、社内は盛り上がりましたよ。海外旅行が現実的に難しい中で、国内旅行の需要を回復させる切り札になると期待していました。ですが首都圏の法人営業部では、当初から『GoToありきの提案は慎重に』と指示されていました。世論の影響を受ける政府の補助施策に頼り切りだとリスクが大きいからです。案の定、東京が開始直前で除外されてしまったので、準備していたかなりの数のプランが飛んでしまいました」

 しかし、若手社員にとって本当に怖いのは目先の「GoTo」キャンペーンが頓挫することではないという。その目は既に来年を見据えていた。

「そもそもいきなり始まった『GoTo』は“少しでも好影響があればラッキー”くらいのものです。私たちが一番気にしているのは、来年に延期された東京五輪が開催できるかどうか。中止はもちろん、無観客開催になった場合も影響は甚大です。その時が本当の正念場になると思います。

 JTBは東京五輪のオフィシャルパートナーなので、チケットの販売権利がある。中止が発表されるまでは、法人もリテールも多くの案件を成約させて進めていました。日本国内の旅行客はもちろん、海外のVIPの招聘など大規模な動きが予定されていたのですが、それが全て白紙になってしまった。来年できればいいですが、完全に中止となるといよいよ……」

 東京五輪の延期は売上高の減少だけでなく、若手社員のモチベーションにも大きな影響を及ぼしているという。

「若手はみんな『オリンピックに関わる仕事ができる』というのが誇りでした。私も入社面接の時から五輪の話をするほど楽しみにしていましたから。これまで会社を辞めたいと思ったことは一度もありませんが、もし来年、五輪が中止になったらいよいよ転職を考えるかもしれません」

 学生の就職人気企業ランキングで何度もトップに輝いた「旅行業界の雄」の浮沈は、来年に延期された「東京五輪」の開催が鍵を握っているかもしれない。

 なるほど旅行業界の大きな期待は来年のオリンピックにあったようです。その前の「GoToトラベルキャンペーン」はそのメインディッシュの前の「前菜」ほどのものかもしれません。しかしそれでも瀕死の状態の旅行業界にとっては、このJTB社員の言うように、「社内を盛り上がらせる」効果はあったようです。そうですこのキャンペーン、批判は大きいものの、困窮する業界にも目を向ける機会になったかもしれません。

 しかし彼らが大きく期待する東京オリンピックも、先行き怪しくなって来ています。旅行業界に限らず、交通業界や飲食業を始めとする、人々の外出を前提に成り立っている業界は、とにかくコロナが収まってくれることが一番です。そのためには感染対策と経済対策の両輪をどうバランスをとって動かすか、政府や自治体のかじ取りが今一番問われるところでしょう。加えて一般国民の我々も、自覚を持った行動が特に求められているところです。

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2020年7月24日 (金)

コロナ感染拡大を野放しにしようとする、日刊ゲンダイの呆れた記事

Https___imgixproxyn8sjp_dsxmzo5999470004  連日のように新型コロナウイルスの感染のニュースがメディアを賑わしています。一昨日、昨日と全国の新規感染者数が続けて過去最高を記録し、東京では昨日は300人台をはるかに超える366人を数え、第1波を上回る勢いで推移しています。

 この第2波に火をつけたのは、東京新宿のホストクラブを始めとする、所謂「夜の街」関連での、若者を中心としたクラスターを伴う感染拡大でした。今ではそれが地域的にも年齢的にも周辺に広がりつつあります。

 そうした中、東京の新宿を中心とした「夜の街」の感染防止対策のため、行政や警察の巡回と言う形で、指導や注意を呼び掛けるための動きが始まりました。ところがこの動きに難癖をつける記事が日刊ゲンダイに寄稿されています。タイトルは『政府が実力行使 歌舞伎町「ホストクラブ潰し」に批判噴出』(7/22)です。

 新型コロナの震源地となっている新宿・歌舞伎町。ついに安倍政権は、警察権力を使って「ホストクラブ」潰しに動こうとしている。はたしてホストクラブは一掃されるのか。新型コロナの感染拡大をストップできるのか。さすがに、警察を使っての実力行使には批判が噴出している。

「ホストクラブやキャバクラが(感染の)根源になっていることは明らかになっている」

 菅義偉官房長官は20日の記者会見でこう明言し、風営法に基づき、警察官が「夜の街」関連の店に立ち入り検査ができるという見解を示した。いざとなったら、感染の根源となっているホストクラブやキャバクラに警察が立ち入ると宣言した形だ。

 緊急事態宣言の全面解除後に確認された東京都の感染者のうち、約3割が「夜の街」関連で、その7割以上が新宿区で発生している。そこで都と区、警視庁の職員、ホストクラブの事業者は20日と21日、新宿・歌舞伎町のホストクラブやキャバクラを約300店舗回り、感染防止強化のキャンペーンを実施。それに先駆け、大阪府警や北海道警はすでに17日夜、ホストクラブやキャバクラに立ち入り調査をしている。

 現時点ではあくまで主体は自治体で、警察官は職員と店側のトラブルを防ぐための補完的な役割だ。しかしこの先、歌舞伎町の感染拡大が加速したら、菅官房長官が話した通り、警察が風営法に基づいて片っ端からホストクラブに立ち入る可能性は十分あり得る。

 警視庁による歌舞伎町の立ち入り調査は、どれぐらいの効果を発揮するのか。歌舞伎町商店街振興組合の担当者はこう言う。

「立ち入りが可能になれば、7割近くある違法営業店を撲滅できます。一番、多いのは営業時間を守っていないケースです。終夜営業している店がかなりあります。警察の立ち入りは抑止力にもなり、法律を守れない店は閉店するしかありません。背後にいる反社会的勢力を排除することもできます。健全化し、治安はかなり改善するとみています」

 しかしそれで感染拡大を防げるかは疑問だ。歌舞伎町には約240店舗のホストクラブがあり、休業要請中も約3割が看板の電気を消すなどして闇営業を続けていたという。太客相手に個人営業をしたり、地方に出稼ぎに行っていたホストもいた。歌舞伎町で仕事がしづらくなれば、六本木や池袋の店に移籍するホストも出てくるはずだ。そもそも警察権力を使っていいのかどうか――。

 ジャーナリストの青木理氏は「警察の立ち入り検査で感染拡大を防げるのか疑問」とこう続ける。

「法令を拡大解釈して難癖をつければ営業停止にできるのかもしれませんが、そんなものが感染対策に効果的とは思えず、そもそも限りなく違法に近い行為。本来なら再び緊急事態宣言を出して営業自粛要請を出すのが筋でしょう。政権がそれをしないのは経済を回したいから。ならば徹底的に検査をして陽性者を把握し、きちんと隔離して陽性じゃなかった人たちで地道に経済を回していくしかない。なのに検査体制すら一向に拡充できない政権が警察権力を盾に脅しをかけるのはバカげています」

 政府はコロナのどさくさに紛れて、警察に強権力を持たせるつもりなのか。

 こういうサヨク志向丸出しのタブロイド紙の論調は、どんな対応にも政府や行政が絡むと批判する、この記事などまさにその好例ではないでしょうか。

 その店や顧客が、きちんとした感染防止対策を自主的にしていないからこそ、感染者が出ているのです。そうした店や顧客を調査し、適切な指導をすることは、むしろ遅いくらいの行動です。

 この記事では、そうした感染の発生源を抑えるための調査や指導を、短絡的に「実力行使」として扱い、店を「潰しにかかっている」と断じています。又その行為による効果をはじめから疑っている。ではこの雑誌の編集者や寄稿者は、どうしたら感染拡大を止められると思っているのか。

「徹底的に検査をして陽性者を把握し、きちんと隔離して陽性じゃなかった人たちで地道に経済を回していくしかない」、と言っていますが、逆に言えばそれで感染が抑えられるでしょうか。隔離した人たちの治療や管理、そして医療体制はどう担保していくのですか。陽性者じゃなかった人が感染しないためにはどうするのですか。それを言わなければ意味がありません。

 はたまたこの行政や警察の動きに対し、「批判が噴出」していると述べていますが、どういう人がどれだけの数、批判しているのか聞いてみたいものです。最後に登場する「青木理」氏などは当然批判される人だと思いますね、彼は反日サヨクの代表的な人でしょう。この人の登場でこの記事が感染拡大を防止する意図で書かれたのではない、ただ政権批判をしたいという意図だということが明確です。

 「人畜無害」、と言う言葉がありますが、この手の論調は「有害無益」。日本には憲法に謳う「表現の自由」と言う権利がありますが、同時に「公共の福祉」を守るという義務があります。私にはこの記事は「感染防止にきちんと対応していない感染源の店を擁護し、結果として感染拡大を野放しにする」と言う意味で「公共の福祉」を毀損しているように思われますが如何でしょうか。

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2020年7月23日 (木)

小池都知事はコロナ感染者数を操作している??

Photo_20200723114101  2月10日に「4月にはなくなると思う」と言っていた、アメリカのトランプ大統領の発言をあざ笑うように、4月以降も猛威を続けている新型コロナウイルス。その4月に緊急事態宣言を発令して6月にはいったん抑え込んだ日本。そのころ、コロナはまだ残っている、秋から冬にかけての第2波が予想されると、警戒を促す報道もありましたが、それよりずっと早く第2波が襲ってきてしまいました。

 そして昨日全国で795人と、過去最高の新規感染者を出した日本。大阪などの複数の府県も過去最高を記録しています。折しもGoToトラベルキャンペーンの開始日と重なったことは、何とも皮肉なことです。感染対策と経済対策の両立を狙う政府や自治体は瀬戸際に立たされた感じです。

 そんな中、自治体の公表する感染者数の数字が真の数字かどうか、疑問を呈する記事が出てきました。中国など、国そのものが隠ぺい体質なのと違って、まさか日本では、と思ってしまいますが。今回は取り合えずその記事を取り上げてみます。「週刊新潮」7月23日号に掲載の記事で、タイトルは『小池都知事はコロナ感染者数を操作している 「連日200人超え」を演出したカラクリ』(Yahooニュース 7/23)で、以下に引用します。

 新型コロナの都内感染者数は連日200人を超え、「緊急事態宣言を」とワイドショーでも喧伝されている。そんな中、東京都が日々の感染者数を操作している疑いが出てきた。感染のホットスポットである新宿区のデータを見ると、科学的にあり得ない感染者数の増減が起こっているのだ。

Dsc_0044 新宿区のデータが反映されず

 歌舞伎町を抱える新宿がいまホットスポットであることは、大方の共通認識だろう。実際、新宿区の新規感染者数は、7月9日に64人、10日に92人など、かなりの陽性者を出した日がある一方で、8日は2人だけだった。その1週間前も、6月29日は24人だが、30日は2人に激減。7月1日も9人と少なく、2日に17人、3日に42人と一気に増加している。

 ちなみに、64人に増えた7月9日は都全体で200人台に乗せており、9人から17人に増えた日は、都の全体数が緊急事態宣言の解除後、初めて100人を超えた日であった。久々に50を超えた6月24日も、新宿区の感染者数は前日の3人から10人に増えている。

 また、新宿区は区のPCR検査スポットで判明した新規感染者も、別途公表している。それを見ると、都が発表した区全体の新規感染者が2人だった6月30日、検査スポットで判明した陽性者数は42人。9人だった7月1日は25人で、3人だった6月23日も12人。だが検査スポットでの数字は、新宿区全体の陽性者数の一部であり、それが全体数を大きく上回ることなど、本来ありえないはずである。

 これについて大阪大学の核物理研究センター長、中野貴志教授に意見を求めると、

「私も東京のデータを見て、揃いすぎていて変だと思っていました。最初、50人台が続いたときに少し違和感を覚え、その後、100人台が続いて、揃いすぎだという印象を抱きました」

 と言って、こう続けた。

「日ごとの新規感染者数のばらつきも、東京全体より新宿区のほうが大きいのに驚きます。数字が自然にばらつく際は、母数が大きいほうがばらつきも大きくなる。それが自然の確率なのに、まず新宿区のばらつきが大きすぎる。また東京都の値は揃いすぎている。平均が約150人だった4月中旬の東京の感染者数推移を見ても、前日との差が50人を超えて乱高下する日が何度もあったのに、最近の東京都の感染者数はまるで階段のように推移しています。一方、同じ時期、新宿区は感染者が2名という日が2週間のうちに2回もある。真の感染者に占める新宿区民の割合は急激には変化しないので、何らかの介入なくして偶然にこんなことが起きる確率は、10億分の1にすぎません」

 そんなに確率が低いことがなぜ起こるのか。新宿区健康政策課に尋ねると、

「2名だけで済んでいるわけがなく、そんな数字は1月末以来なかったと思います。新宿区としては東京都さんに漏れなく報告していて、それはすごい数字なので、30名、40名という数字が出てくると思っていると、3名、5名だったりで、首を傾げてしまいます。(あとで加算され)どこかですごい数が一気に増えるんだろうな、と思っていますが」

新宿区を調整弁にしている

 報告した数と異なる数字が、都から発表されているというのである。さるデータ解析の専門家が、匿名を条件に解説する。

「東京都は新宿区の新規感染者数を調整弁にしているのでは。火曜と水曜に新宿の数字をストックし、木曜以降に上乗せしていますが、100人台、200人台という数字を続けるためだと見る以外、合理的な理由がない。実際、100人、80人、120人、90人とばらつくより、6日連続100人台のほうがインパクトは大きい。以前は50人、その前は25人以上に揃えたのでしょう。新宿が増えると新宿以外が減り、新宿が減るとほかが増える。目標とする線があり、そこに合わせるために新宿を調整弁に使うからでしょう。日々の集計を素直に発表していれば、何日連続100人台、200人台という煽られ方はされずに済んだはずです」

 7月11日と12日はともに新規感染者数が206人で、うち新宿区が45人と、見事に「ゾロ目」となったが、この確率もさぞかし低いことだろう。ちなみに、本誌(「週刊新潮」)の疑問を東京都にぶつけた直後の13日、4日ぶりに100人台に戻ったのは、なにかの因縁だろうか。

「国の問題」とアピール

 こうした数字の操作は小池百合子都知事にとって、どんな意味があるのか。さる都政関係者に尋ねた。

「100人を超えたのは都知事選投開票の3日前。それ以前も、30人、50人とフェーズが上がるたびに小池知事の露出は増えたわけで、100人超えは選挙活動の総仕上げと読める。再選後の200人超えは国との間の新たな火種、東京問題から読み解けます。菅官房長官が都内の感染急増を“東京問題”と表現すると、小池知事は“国の問題”だと猛反発した。都には内部留保が約9500億円ありましたが、休業協力金などで使い尽くした。そこで感染者数を操作して煽り、国が取り組む問題だ、とアピールしているのでしょう」

 都には数字操作の「前科」がある。5月初旬、厚労省のHPに都内の入院者数1832人と記された。病床使用率は9割を超えるというので、複数のメディアが東京は「病床逼迫」と報じたが、本誌が都の感染症対策課に確認すると、1832人には自宅療養や宿泊療養者のほか、退院した人まで含まれ、現実の病床使用率は4割にすぎなかった。

 中野教授は、

「全体の流行の波を見るためには、症状が出て検査を受けた人と、無症状ながら集団検査によって発覚した人を、分けたデータがあったほうがいい」

 と語る。のちの検証に資するためにも、東京都は正しい数字を内訳まで詳細に公表するべきである。それが感染対策の第一歩なのに、現実には真逆のことをしている。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、

「帝国データバンクの調査にもとづく試算では、先の緊急事態宣言の結果、8月までに失業率が約2ポイント上がり、それだけで今年の自殺者が約8千人増えることが見込まれます」

 と話すが、命に直結する数字をたびたび操作する神経は、もはや想像を絶する。東京都福祉保健局は、

「毎朝9時に、それまで24時間分の発生届を取りまとめ、公表しています。新宿区から送られてくる発生届の多くは新宿区新型コロナ検査スポットで検査したもので、ここは土日が休みのため、新宿区の発生届は火曜、水曜が少なくなる傾向があります。意図的に数を操作しているとのご指摘はまったく当たりません」

 と回答したが、土日が休みなのは、どの区も同じはずではないのか。

「戦時中のようだ」

 では、実際には、われわれはどう怖れるべきなのか。国立病院機構仙台医療センターのウイルスセンター長、西村秀一氏が言う。

「現状の新型コロナ対応は、まるで負の宝くじです。高額は滅多に当たらないのに、CMを見て、もしかしたらと思ってみな買います。同様にいま専門家がテレビで“あなたも当たる可能性がある”と言いますが、当たる人はわずか。しかし、宝くじレベルの確率のために、みんなが不安がって無駄な対策をしていては、社会への悪影響は大きくなる。感染者が出ていないところでアクリル板越しに食事するなど、一般社会での過剰な対策は意味がありません」

 そして、ゼロリスクを求める風潮を斬る。

「人間ずっと緊張してはいられず、メリハリある対策が肝心です。たとえば、ウイルスが散らばる屋外に出たら、マスクは要りません。専門家はよく“可能性がある”と言いますが、それなら明日隕石が落ちて死ぬ可能性だってある。私が“これは気にしなくていい”と言うと、“可能性がないと言えるのか”と怒る人がいますが、ないものは証明できません。結果、全国にたくさんある学校のごく一部で感染者が出たからと、教師がフェイスシールドを着けたり、机をアルコール消毒したりしていますが、換気をしていれば十分。休校の必要もなく、子供たちから教育機会を奪うほうがずっと問題です。いまは、おかしいと思っても反対できなかった戦時中のようだと思うことがあります。“そんなに気にすることはない”“感染する可能性は極めて低い”と言うと、人命を軽視しているとか、ウイルスの怖さをわかっていないとか、すぐ攻撃されます。ウイルスとの戦いというより、社会との戦いです」

 そんな戦いが必要なのも、操作された数字や、根拠がない扇動的な試算に、われわれが踊らされているからだろう。過剰な不安と無用な対策による犠牲をこれ以上生まないためにも、冷静な目をもって、根拠が示された正しい数字を求めていくしかあるまい。

 さすがに週刊誌の記事ですね。初めから操作している、と言う前提でデータを読み、かつ行政に疑いを持つ知識人から、ストーリーの信ぴょう性を増す発言を引き出している。最後には「戦時中のようだ」と言う文言まで引き出して、行政や医療関係者がコロナ対策を人々に訴えかける発言を、「恐怖を煽っている」というように捉える記事に仕立て上げていますね。

 ただこの記事のすべてが事実を折り曲げたり、いたずらに誇張しているとは思いません。確かに東京都の新規感染者の公表数字は、素人の私でさえ違和感を感じることは有ります。ですからできるだけ詳細なデータを公表する、少なくとも検査数や感染した人の検査日を明らかにすることは必要だと思います。できれば地区別に(人手の問題で難しいのかも、それには外部を使う手もあります。お金??)。

 そうすれば意図的な捜査をしているかどうか、わかりやすくなるのではないでしょうか。第一この記事にあるように妙な疑いをかけられずに済むはずです。ただし本当に何らかの意図がないのかどうかは分かりませんが。

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2020年7月22日 (水)

「GoToトラベル」スタート、感染症学者「東京除外は当然」

Ogp  本日様々な意見や批判が飛び交う中、GoToトラベルキャンペーンがスタートしました。

 当初の8月開始から本日7月22日開始に早めたことを皮切りに、「こんな感染拡大が続く中なぜ早めるのだ」、「感染拡大が地方に飛び火する、東京からの移動は止めろ」、などワイドショー番組のMCやコメンテーターの、侃々諤々の批判の連鎖が始まりました。

 それを受けて、政府が東京は除外すると決めたら、今度は「全国一律ではなかったのか」、「なぜ東京を除外するのか」、はたまた「東京以外も除外しろ、感染の多い県は他にもある」という意見も出てきました。

 そして次に「東京で参加を予定していた人のキャンセル料はどうする」という意見が出たのに対し、国交省が否定すると「国が除外したのだ、キャンセル料を払え」となり、一転キャンセル料を払うと発表したら、旅行業界から「手続きが大変、戸惑いがある」、キャンセルした人は「どうやってキャンセル料を回収するのかわからない」、と。テレビのコメンテーターはここぞとばかり、「国は全く一貫性がない、国民を混乱に貶めている」と息巻いています。

 確かに時期やそのやり方に対し一貫性に欠けます。しかしその原因は利害の対立する「キャンペーンを利用したい人」「する意思のない人」「旅行業界や観光地の業者」「交通機関」「医療現場の人」「一般の人」「感染者の多い都会地区の人」「少ない地方の人」そして「政権に親和性を感じている人」「政権に嫌悪感を抱いている人」それぞれが混然としているその中で、調整をしながら進めることに相当の難しさはあるでしょう。政府も大変です。

 今日の新聞のテレビの番組欄で、GoToキャンペーンの報道予定を見れば、ほとんどが「混乱の中」という接頭語がついています。確かに混乱させているのかもしれませんが、事態を冷静に受け止めている人も多くいるのではないでしょうか。なんだかマスコミが混乱を煽っている感じがしてしまいます。

 ところで東京が除外されたことに当然と受け止めている人がいます。感染症内科医の経験を持ち、現在神戸大学教授の岩田健太郎氏です。氏の読売新聞の「ヨミドクター」に投稿したコラム『「GoToトラベル」東京除外は当然 制限緩和は感染を抑え込んでこそ』(7/17)を以下に引用紹介します。 

観光業の賦活策

 GoToキャンペーンは、新型コロナウイルス感染症問題に対抗するための経済政策です。飲食、イベント、買い物など様々な喚起策が盛り込まれていますが、中でももっとも予算を割いているのが、国土交通省が担当する「GoTo トラベル」という和製英語がつけられたキャンペーンです。これはインバウンド(訪日外国人客)からの収入が激減した観光業の賦活策として、国内向けの旅行を励行しようというものです。

 さて、よくコロナ対策で「経済を回せ」という言い方をしますが、「経済を回す」にはいろいろな意味が含まれているように思います。

 「コロナ対策」と言うならば、感染流行のために収入を絶たれ、事業継続や生活に支障がある企業や人々を救済するものであるべきでしょう。

 ところが、政策というのは必ずしも額面通り、理念のままに遂行されるとは限りません。

 ときに、いま、樋口耕太郎氏の「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(光文社新書)を読んでいますが、とても勉強になります。

 本書ではたくさんの問題を論じています。そのなかに、「援助」の問題があります。沖縄といえば「泡盛」ですが、沖縄県への経済援助の一環として、泡盛業界は酒税の優遇措置を受けており、41年間で約410億円もの税金を免除されていたといいます。それはいい。経営に苦しんでいる零細酒造所では、その援助は役に立つから。ところが、この措置で大手のメーカーも利益を受けていました。ある大手酒造所は役員4人に4年間で20億円近くの報酬を支払っていたそうです。この場合の「経済援助」とはいったいなんなのか。

「本当に困っている人」を救済できるか

 外国からの観光客が途絶えて、観光業が困っているのは理解します。が、昨年まで、巨大なインバウンド需要で大きな利益を得てきたのも、また観光業です。困っている企業や人々を助けるのは政府の重要な役割ですから、当然支援すべきでしょう。しかし、GoToが「本当に困っている人」の救済として機能するかは、メディアなどの監視が必要だとぼくは思います。

 そもそもインバウンド需要が激減しているのは、新型コロナウイルス感染症パンデミックのためです。パンデミックがなぜ需要を激減させるかといえば、それは旅行そのものが感染拡大のリスクだからです。繰り返します。人の移動、すなわち旅行は感染拡大のリスクなのです。

 海外からの人の流入が感染拡大のリスクだからこそ、インバウンドを大量に呼び込めないのです。当然、同じ理屈は国内旅行にだって適用されます。さもなければダブルスタンダードです。

リスクがない地域間の旅行励行は「あり」

 もちろん、感染者が全く出ていない、ほとんど出ていない地域内・地域間での旅行は感染リスクにはなりません。病原体と感染者がいなければ、感染症は流行しませんから、絶対に。

 ですので、そういう地域であれば、経済活性化のための観光推進、旅行の励行は「あり」だとぼくは思います。地域差を無視して、全国一律で同じ方法を取るのは効率がよくありません。4月の「緊急事態宣言」がそうであったように。

流行度合いで変わる「正しい」対応法

 新型コロナウイルス感染症に「これが正しい」という対応法はありません。なぜかというと、流行の度合いによって「正しい」対応法の意味が変わってくるからです。感染者がいない地域であれば、人の移動も経済活動も、外食も演劇鑑賞も感染リスクにはなりません。感染者が非常に多くなると、こうした活動は全てリスクになってしまいます。

 よって、新型コロナウイルス感染症対策では「微調整」が重要です。過度な活動制限は経済その他のリスクが大きい。かといって、活動のレベルが大きすぎると感染が広がってしまう。どちらの極端にも振れないように、「適切な」レベルを模索するのです。感染が広がれば、少し締め、感染が収まれば少し緩めます。この連載でも、以前に述べたとおりです。

感染拡大中に緩めるのは悪手

 日本のGoToは「感染が広がっているときに」施行しようとしていました。だから問題だったのです。感染が広がっているときに緩めるのは、悪手以外の何物でもないからです。

 たくさんの異論反論が噴出し、7月16日にGoToは東京を対象外にすると報じられました。適切な判断だったと思います。この流行の広がりは千葉、埼玉、神奈川も一体となっているので東京だけでいいのか、という疑問は残りますが、少なくとも感染者が増えている東京内外の行き来を励行するなど、とうていありえない選択です。

 本稿執筆時点の7月17日、ぼくが住んでいる兵庫県でも隣の大阪府でも感染者は増え続けています。流行の波の増減を「第1波」と文字通りとるならば、これこそは第2波だとぼくは考えます(医学的な定義はありませんが)。

 感染が増えれば締める。これが定石です。他にアクロバティックな決定打(有効なワクチンなど)があれば別ですが、そうでなければ定石に従うのが賢明な対応策です。なぜならば、旅行により感染地域が拡大してしまえば、さらなる行動制限が要請されてしまうからです。

感染対策と経済対策は必ずしも矛盾しない

 感染対策と経済対策は、必ずしも矛盾しません。健全な感染対策は、賢明な経済対策の前提だからです。感染症を抑え込めば、「緩める」ことができます。これこそが「経済を回す」、急がば回れの最短ルートです。

 感染対策で感染を抑え込むまでの間、困窮する旅行・観光業界の企業や人々を救済することは当然必要でしょう。その経済対策はもちろん、前述の事例のような「どさくさ紛れの焼け太り」を生まない形での、対策であるべきです。

 岩田氏の言う通り感染拡大中に人の行き来を緩めるのは「悪手」と言うのには賛同します。東京除外も賛同します。そして感染者の少ない地域の中での移動は積極的に進める「微調整」が重要なのでしょう。どなたかが言う「プチトラベル」です。

  つまり全国一律はまずいのでしょうね。ところがそうすると除外されたところから必ず批判が出てくる。最も重要なのは岩田氏も言うところの「本当に困っている人」を救うことでしょう。本当にこの疫病の中の政策運営は難しい。 ですからマスコミや知識人、野党も含めて、批判ばかりしていないで政府に適切な「提案」をして、日本全体で経済を守りこの疫病を克服していく必要があると思いますね。ただしその「提案」には責任をもって、と一言付け加えたいと思います。

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2020年7月19日 (日)

都内が新たなゲノム配列のコロナウイルスの震源地に!!大学教授が警告

Bb16onxh  連日のように、新型コロナウイルスの新規感染者数の拡大のニュースが、メディアを賑わせています。東京は3日連続で300人近く、全国でも昨日は662人と、過去最高の720人に近づいて来ています。

 そんな中でニュースサイト「ABEMAヒルズ」に『新型コロナ「東京型・埼玉型」とは 都内の震源地“エピセンター”化に警鐘』(7/18)と言う記事が記載されました。以下に引用して掲載します。

 東京都で17日、新たに293人の新型コロナウイルスの感染が確認され、2日連続で1日としての過去最多を更新した。こうした東京都での感染者の増加について、専門家は感染の震源地「エピセンター」が形成されつつあると警鐘を鳴らしている。

 緊急事態宣言の解除後、東京都だけでなく埼玉県や千葉県、神奈川県でも解除後最多となる感染者数が確認されている。こうした中、16日の参議院予算委員会では、東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦氏から「ゲノム配列の報告を見ると、東京型・埼玉型になってきている」との新たな見解が示された。

 新型コロナウイルスの遺伝情報を調べた結果、第1波は「中国・武漢型」、第2波は「イタリア・アメリカ型」、そして現在は「東京型・埼玉型」となっているという。つまり、今度は外からでなく、東京の内側が感染の中心になりつつあるということだ。児玉教授は「東京の中に今エピセンター(震源地)が形成されつつある。エピセンター化してしまったら、劇場も電車も危険になってしまう。これを国の総力をあげて止めないと、ミラノ、ニューヨークの二の舞になる」と懸念を示した。

 ABEMA『ABEMAヒルズ』では、さらに関西福祉大学教授の勝田吉彰氏に詳しく話を聞いた。「エピセンター」という言葉について勝田氏は「これまでWHOは何度かこの言葉を使っていて、例えば6月にラテンアメリカがエピセンターだと言った時のブラジルの1日の感染者数は3万人超、3月に欧州がエピセンターだと言った時のイタリアの1日の感染者数は2600人という数字だった。こういうレベルにならないよう、対策をしっかりしようというのが児玉先生の意見だ」と危機感を訴える。

 また、新型コロナウイルスは変異が早く、対応が難しいとも指摘されている。もしあちこちで変異し“ローカル”ウイルスが生まれてしまった場合、ワクチンは対応できるのか。この点については、「このウイルスは“RNAウイルス”といって、インフルエンザなどと同じで比較的変異はしやすい。ただ、変異の幅は狭いということがわかってきている。RNAウイルスの中でもこのコロナは、例えば何かが変わった時に修復する力も働きやすい。新型インフルエンザが出てきて、これまでのワクチンがダメになるという大幅な変化ではないだろう」との見方を示した。

 そして、そもそもの疑問は「なぜ東京と埼玉なのか?」という点だ。勝田氏は「はっきりとした定義が決まっているわけではない。例えば、東京と埼玉、神奈川で県境(に壁のようなもの)が現実にあるわけではないので、みんなでエピセンターにならないように注意していかないといけない」と名前に振り回されてはいけないと指摘。

 では、東京型・埼玉型にはどのような対策を取っていくべきなのか。個人の対策については「特別に変わったことが必要なわけではなく、あくまでも手洗いと咳エチケット。また、唾液を中心に拡大することが最近わかってきたので、会食やカラオケ、夜の街の様々な要素。さらに、換気が悪いと微小な飛沫が漂うこともわかってきたので、3密対策。つまり個人がやるべきことは、やってきたことをこれまで以上に継続していくこと」と述べた。また、児玉氏の主張から、「これまで政策を動かすのに時間がかかっている面があり、そこに対する危機感。はっぱをかけないとダメな面があるので、児玉先生の危機感は私たちも共有していきたい」とした。

 「エピセンター」(感染の震源地)と言う耳慣れない言葉が出てきました。そして異なるゲノム配列の特徴を持った「東京・埼玉型」というものができたと言うことのようです。地上波テレビではまだあまり取り上げられていないようですが、参議院予算委員会で権威ある大学教授が指摘した情報なので、現実味はありそうです。

 もしそれが他の「中国・武漢型」、「イタリア・アメリカ型」、或いはブラジルで蔓延する南米型のような感染力を持ったものであるとしたら、事は重大です。確かに最近の感染拡大はかなり急なような気もします。まさか「パニック」を恐れて政府が積極的な公表を差し控えている、と言うようなことではないでしょう。

 いずれにしろ医療体制の余裕からか、何も有効な手を打たないまま推移しているようですが、仮に医療体制がひっ迫して来たらかなり緊迫してくる恐れはあります。感染対策の甘い店やイベント会場を抑えにかかる時期に来ていると思いますし、必然的に感染が考えられる接客業やアルコール提供の飲食業の休業要請に、再び乗り出すべき時期に来ていると思いますね。今度は強制力と補償をもって。

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