感染症と政治

2021年11月30日 (火)

オミクロン株の脅威、デルタ株を終息させた日本の経緯を参考に防疫を

9_20211129153101  南アフリカで初めて報告されてから、瞬く間に世界に広がりを見せ始めた新型コロナの新たな変異株、オミクロン株。日本もアフリカの9カ国に続いて、30日からはすべての外国人の入国を原則停止する措置を執ります。

 現状日本では、デルタ株を中心として蔓延した新型コロナの感染が、ようやく収まった段階で、再拡大を防ぐべくこの新たな変異株に対して、早め早めの水際対応を取っていると思います。

 ところで、スタイルアクト代表取締役の沖有人氏は、別の視点でこの対応を見ています。JBpressに寄稿したコラムからその考えを伺います。タイトルは『日本はオミクロン株に怯える前に知るべき「なぜデルタ株が終息したか」 数値目標を定め、ワクチン接種を愚直に進めた菅政権を再評価せよ』(11/29)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 新型コロナの感染者数は誰もが驚くほど減った。そして、行動規制が解かれ、人流が急増しているにもかかわらず、感染者数は増えていない。この謎を解かなければ、モヤモヤが晴れない上に、今後どう行動したらいいのかという指針を導き出すこともできない。

 本来、これを説明する責任は、経済活動や行動の厳しい規制を主張した専門家にある。だが、一向に出てこないため、統計を使った将来予測を仕事にしている身として、明確な答えを出そうと思う。

 実は、この分析は2時間で終えられるほど簡単である。

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料はネット上で公開されている。ほぼ毎週行われている会議の資料を見れば、時系列で状況の変化を把握することが可能だ。

 毎週、同じ表とグラフを作っているだけだが、一次情報が整理されているため、このデータを使って統計的に分析すれば、ほとんどの答えは出る。ただ、そうした分析をした形跡が見られないのは寂しい限りだ。

 この資料の中に、「ワクチン接種歴別の新規陽性者」という表がある。ワクチンの接種歴を3区分(未接種、1回目のみ、2回目済み)し、その感染しやすさを明らかにしたものだ。

 感染しやすさを表しているのは、10万人あたりの新規陽性者数という数字だ。この数字は時系列に並べると、極端に数値が下がっていることが分かる。

 第5波が真っ盛りだった8月を100とすると、11月の未接種は3.4、1回目のみは8.3、2回目済みは9.4で、平均して8.0と10分の1以下。未接種の人でもピーク時の30分の1の確率でしか感染しないというのは、何を意味するのだろうか。これが、一つのポイントだ。

9月以降、新規感染者が急激に減った真の理由

 これは別のデータでも同じ様な結果になる。PCR検査の件数に対する新規感染者数の比率を1-9月と10-11月を比較すると、9割減の10.2%に減っている。極端に感染しにくくなっているのだ。

 感染しにくくなっている要因は「集団免疫」と考えられる。集団免疫とは、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染者が出ても他の人に感染しにくくなるという状況を表したもので、感染症が流行しなくなる状態を指す。

 集団免疫は感染症の種類によって、免疫獲得につながる一定割合は変わる。その免疫とはワクチンの効果そのものである。その結果が上記の数字なのだ。

 では、ワクチンの2回目接種率を集団免疫と見立てると、7月末で28%、8月末で43%、9月末で56%、10月末で67%だ。50%付近から感染者数の激減は始まり、集団免疫効果が本格化したと考えられる。

 この効果の数値化は、実効再生産数で説明すると分かりやすい。

 実効再生産数とは、「1人の感染者が次に平均で何人にうつすか」を示す指標だ。最も感染拡大していた時期は数週間平均で1.5を超えていた。コロナの発症までの期間が平均5日なので、5日おきに累乗することになる。今100人の感染者がいるなら、5日後に150人、10日後に225人(=150人×1.5)、15日後に338人、30日後に11倍の1139人になる。実際、第5波もほぼこのペースだった。

 一方、実効再生産数は1を割ると感染者数は減り始める。そして、1.5人にしか感染させられないウイルスは、半分の人が免疫を保持しているとその半分の0.75人にしか広がらない。

 すなわち、今100人の感染者がいるのであれば、5日後に75人、10日後に56人(=75人×0.75)、15日後に42人、30日後に18人になる。第5波以降の減少ペースはこのペースに近い。こうした実効再生産数を半減させたのはワクチンの接種率で説明することができる。

メディアに悲観的な情報しか流れないのはなぜか

 先ほどの「ワクチン接種歴別の新規陽性者」を見ると、ワクチンの接種歴(未接種、1回目のみ、2回目済み)で感染率はかなり違う。未接種を100とすると、1回目のみは34.9、2回目済みは7.6まで下がる。ワクチン接種を済ませば、感染率は10分の1以下にまで下がるということだ。

 日本の場合、ワクチンは4人中3人までが打ち終わっており、感染率が高いのは残りの4分の1だ。これを全国民でならすと、ワクチン接種を始める前と比較して、現状の感染率は7割減の30%まで下がっている。

 また、ワクチンには重症化率を下げる効果もある。10月の死亡率をワクチン接種開始前の5月以前と比較すると、これも10分の1に相当する9.7%まで下がっている。これを、未接種もいる全国民でならすと、重症化率は6割減の38%になる。

 ちなみに、重症者の死亡率は直近の数字では89%に上る。重症化したら、この病気は専用の薬がないので生還することはほぼ難しいため、重症化しないことが大事である。

 もちろん、ワクチンには賞味期限があり、接種後、いつまでも効くわけではない。この点についても、数字を算出することができる。

 未接種の人に対する2回目接種済みの感染率は最近悪化しており、8月6.0%、9月8.1%、10月12.3%、11月16.4%と月を追うごとに悪くなっている。ただ、これはあまり気にする必要はなく、「ワクチン接種歴別の新規陽性者」にある7.6%という数字を信じた方がいい。

 なぜなら、この間、集団免疫が機能し始め、感染率が以前の8%まで急減しているからだ。集団免疫の効果は、未接種ほど大きかったと捉えた方が的確な現状把握になる。

 メディアから流れるニュースはあくまでも二次情報で、一次情報に当たるのはアドバイザリーボードなどの資料だ。二次情報は必ずバイアスがかかる。自粛要請している国民の気が緩むと考えているのか、メディアには原則、楽観的な情報は流されない。

 これは、随分と国民をバカにした話だと思う。国民は現状を正確に把握し、どの施策が効果を出していて、どう行動したら安全な社会生活を取り戻せるかを真剣に考え、取り組んでいる。そのために、事実を正確に伝えてほしいだけだ。その内容は、私が専門家ならこう伝えると思う。

再評価すべき菅政権の功績

「ワクチン接種にご協力いただいたお陰で、日本国民は集団免疫を獲得し、感染率は以前10分の1になりました。ワクチンを未接種の方の感染率もこれによって大きく下がっています。これに加えて、ワクチンを接種いただいた方は新規感染率が未接種の方と比較して7.6%まで下がっており、これはダブルの効果があります。重症化率もワクチン接種で10分の1になっており、死亡者数も減っています。

 これら3つの相乗効果で、死亡者数は直近1週間(11/19~25)で日に1.6人まで下がりました。今後も、当面は下がることが予想されます。

 インフルエンザが年間3000人以上亡くなっている中、新型コロナははるかにそれ以下の水準に抑えられています。この状態を継続するためにも、これまで同様の感染防止対策は続けていただきたく存じますが、生活やお仕事はコロナ前の状態に戻していただいて構いません。

 現状では、ワクチン接種済みの方の感染率が上がってはいませんが、3回目のブースター接種の準備は進めています。集団免疫やワクチンの効果が薄れてきたことは数値で把握できていますので、ブースター接種が必要になった際には速やかにご対応願いたいと考えています」

 現在のコロナの感染状況はワクチン接種が最も効果的だったことは明らかだ。それを強力に推進したのは菅政権だった。

 マスクや手洗いなどの受け身の感染予防対策に終始していた私たちの状況を打開すべく、ファイザーの最高経営責任者(CEO)に直談判し、ワクチン担当大臣を任命し、毎日100万人という数値目標を達成し、結果を出したのである。

 ワクチンの効果は未知数だったかもしれないが、大事なのは自分たちができることの中で最良の選択をすることにある。それは、現時点でもワクチンしかない。これによって、最悪の5月には2819人の死者を出していた状況が、日に1.6人まで激減しているのだ。

 このワクチンの施策の速やかな実施が少なくとも数千人の命を救ったことは間違いない。その尽力には一国民としてお礼を言いたい。確かに、菅首相への不満を持つ方もいるかと思うが、公約の「国民のために働く内閣」の爪痕の一つとして、コロナ対策の的確な対応は記憶されてもいいと考える。

 現在、世界を揺るがしているオミクロン株の感染の強さは明らかになっていない。ワクチンの効果を減じるほどの感染力を有している場合、再び感染者が増大する可能性はもちろんある。だが、日本における新規感染者の急減がワクチン接種に伴う集団免疫の獲得と分かった以上、打つべき対策も明らかだろう。これ以上、いたずらに危機をあおるのはやめていただきたい。

 ◇

 確かに危機を煽りすぎるのはまずいとは思いますが、マスクや換気などの感染予防対策、そして沖氏の推奨するブースター接種は、オミクロン株の感染爆発をおさえる決め手になると思いますね。

 それに何より国内に変異株を持ち込ませないことも重要。入国管理の徹底は必要不可欠でしょう。南アフリカが不満を述べているようですが、日本国民のためには、臆せずとり進めていただきたいと思います。

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2021年8月23日 (月)

医師の提言:日本をコロナで殺さないために

10_20210822151101  新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収まらず、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の発出範囲も拡大の一方です。全国自治会ではロックダウンを求める声も出始めました。

 そうした中、医師で作家の木村盛世氏は月刊Hanadaプラス誌上で、『日本をコロナで殺さないために』(8/19)と言うコラムを寄稿しました。以下に引用して掲載します。

分科会・日本医師会のゼロコロナポリシーは絵に描いた餅

日々の新規感染者数(正しくはPCR陽性者数)報道が、昨年と変わらずに続いている。感染者数が増えたとはいえ、死亡者数は極めて少なく、両者の数字はG7でトップクラスである。その日本のコロナ対策が評価されないのは極めて重大な問題である。

まず大きな問題点は、政府と分科会・医師会の思想が根本的に異なっているため歯車が嚙みあっていなかった事が挙げられる。

以下に述べることは、昨年の新型コロナウイルス感染症流行初期に大木隆生東京慈恵会医科大学教授の「大木提言」に集約されている。(新型コロナクライシスに対する大木提言)

政府は安倍前首相時代からウィズコロナポリシーを貫いてきた。医療体制を強化し、不幸にして感染して重症化した患者には病院で必要な治療が受けられる安心感を国民に与え、かつ経済活動、社会活動を両立させることに主眼を置いてきたのである。

他方、分科会・日本医師会主導の考え方はゼロコロナポリシーである。すなわち、コロナを「死の病」と煽り、緊急事態宣言を連発し、コロナの封じ込めを第一優先に掲げる(ゼロコロナ)。

したがって、新型コロナを「指定感染症の第1類ないし2類相当」というSARS(感染者数世界で累計8000人、死亡率11%)、MERS(感染者数世界で累計3500人、死亡率35%)、エボラ出血熱(感染者数世界で累計3万人、死亡率50%)相当の扱いにしておいた方が好都合であり、医療体制を強化する必要がない。

開業医・日本医師会はそもそもコロナに関わりたくないので保健所と病院任せに尽きる。医療機関はコロナ患者を受け入れることによって、赤字になるところが多い。また、一度でも院内感染が起これば、濃厚接触者たる医療従事者が休まなければならず、さらなる追い討ちがかけられる。もし院内感染が起こればマスコミに袋叩きにされ、他の患者が診察に来なくなる恐れもある。すなわち新型コロナウイルスは、医療機関にとって「関わりたくない病気」なのだ。開業医はコロナ患者を診たくないのである。

しかも分科会のメンバーは感染症専門医が中枢に陣取っており、彼らは医療のオペレーションに関しては全くの無知であるため、医療体制の強化には手がつけられなかった。

日本では、以上の全く異なる思想に基づく2つの考えを足して2で割るような政策が目立った。極めて残念でならない。

分科会に代表されるゼロコロナポリシーは、強い私権制限を行使している台湾、ニュージーランド、ベトナムですら成功しておらず、ワクチン接種率も感染率も低いこれら国は新型コロナ感染拡大から1.5年たった今でもまったく出口が見えていない。集団免疫獲得においては最も立ち遅れており、優等生どころか周回遅れである。感染力が強く、既に世界で2億人もの患者が出ている新型コロナウイルス感染症において、ゼロコロナポリシーは絵に描いた餅にすぎない。これらの国はずっと鎖国を続けざるを得ない上に度々クラスターに悩まされている。

現実的かつ唯一の活路「ウィズコロナ路線」

今こそ、現実的かつ唯一の活路であるウィズコロナ路線を明確にすべきである。その際は、医療体制を強化し、医療オールジャパン体制をとる必要がある。そのための財政支援は実はこの1.5年でかなり成されている。

もう一つは、感染症法の1類ないし2類相当という医療の足かせを撤廃する事である。この足かせのために、例えば東京都にある10万床の内、6000(6%)床しかコロナ用に確保できないし、都内にある病院650の内75病院(11%)しかコロナを受け入れていないし、都内にある2500のICU・準ICUのうち、390(うち251床を使用)しかコロナ用に確保できていない。

このように医療オールジャパン体制からほど遠い状態にあるのは1)感染症法の1類ないし2類相当という足かせ、2)日本医師会・開業医がコロナに関わりたくないと逃げ回っている、3)現場をわかっていない分科会が学者目線で視野狭窄的にゼロリスク・ゼロコロナを追及している、からである。

第二の分科会と5類指定変更へ

今、政府がすべきはウィズコロナポリシーのチームを作る事である。このチームのメンバーには感染症専門医は必要ない。救急医療、災害医療の専門である医師らが中心となる、第二の分科会と呼べるものだ。

感染症法の5類指定にして、どこでも誰でも扱える病気にすることで、患者はインフルエンザ、高血圧、糖尿病の治療の時と同様に、調子が悪かったら都内にある12700の開業医・かかりつけ医に診てもらう。彼らは今までほとんど新型コロナウイルス診療に当たっていない。対応といっても専らPCR検査対応をしている例が多い。通院でもデキサメタゾン、消炎鎮痛剤、必要であれば有効性の示された治療薬を使い、早期に対応することによって重症化をできる限り予防する。

もし、重症化の兆候があったら、保健所経由ではなく、開業医が長年構築してきた病診ネットワークを駆使して、病院に患者を入院させる。病院は現在都内で71/650病院しか新型コロナ対応に参画していないが、5類なら650の大多数の病院が貢献できる。そして、重症化したら、ICU(集中治療室)のある病院に紹介してもらう。

なお、都内にあるICUを備えた病院でコロナ重症化患者を引き受けているのは現在3割程度だが、こうした体制がとれれば都内にある2500のICUの仮に半分として1250のICUが有効活用できる。ちなみにロンドンで感染爆発した際はロンドン市内のICUの98%にあたる810のICUベッドをコロナ用にすることで医療崩壊を回避した。

医師は私利私欲を捨て国民のために尽くしてほしい

医師免許は国家最大の資格である。

医師法17条「医師でなければ、医業をなしてはならない」にあぐらを欠かず、19条「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」をよく読み、私利私欲を捨てて、国民のために尽くすべき。

ドクターとは医師免許を持ったものに与えられた称号であることを、忘れてはならない。

 ◇

 医者でも感染症の専門でもない私には、今の政府専門分科会の言い分が正しいのか、木村氏のこの提言が正しいのかよく分かりません。ただ世界一の病床数を持ちながら、医療逼迫や医療崩壊などと叫んでいる医師会や関係者には、確かに違和感を持ちます。

 インフルエンザと同様の5類にして、何処の病院でも受診できるとなれば、確かに便利になるでしょうけれど、院内感染対策や患者の取り扱いなど、慣れていない医者に対しては不安は隠せませんね。インフルエンザでも毎年1万人が死亡している(他の疾患との合併症を含む)ことから、それと同じ扱いでいいという人も居るようですが。

 しかしここへ来てデルタ株が猛威を振るい、ラムダ株も現れて、今までの常識が覆されてきているのも事実です。いずれにしても今の新型コロナ対策や医療体制が、このままでいいと言うことはなく、政府も医師会も、抜本的に考え方を変えて対応してもらわなければと、強く思いますね。

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2021年7月31日 (土)

「中国製ワクチンの中身」に疑問噴出中 まさか「ただの水」なんてことは…

Img_e6729e31728f71a8ae90561323211ae09889  以前もこのブログで取り上げましたが、中国製のワクチンに対し、多くの国からその効果を疑問視する声が聞かれます。もともと採用していない国に加え、ブラジルなどその効果を疑問視して欧米製に切り替えようという国もあります。

 東南アジア各国も同じ問題を抱えているようで、その詳細を現代ビジネスから引用します。フリーランス記者で作家の大塚智彦氏のコラムがそれで、タイトルは『感染者爆増の東南アジア各国で「中国製ワクチンの中身」に疑問噴出中 まさか「ただの水」なんてことは…』(7/22)です。

英米製への切り替え視野

ASEAN(東南アジア諸国連合)各国で使用されている中国製のコロナウイルスワクチンに対して、その有効性、安全性への疑問が広がっている。このため中国製ワクチンの接種を取りやめたり、米英のワクチンへの切り替えを急いだりという動きが顕著になりつつある。

中国は感染拡大予防のために東南アジア各国に対して早い時期から中国製ワクチンを積極的に供与する「ワクチン外交」を展開、インドネシア、ミャンマーなどには中国の王毅外相が直接訪問してワクチン提供を申し出たりした。

東南アジアだけでなくアフリカや南米などに対しても中国は「人道支援」を唱えて「ワクチン外交」を展開しているが、根底にあるのは習近平国家主席が独自に進める「一帯一路」構想で、中国側への取り込みを意図したものとされている。

欧米や日本では中国製ワクチンの安全性が確認できないとして米英が開発したワクチン接種を積極的に進めている。中国当局は自国製ワクチンの詳細な情報を公開していないとされ、提供を受けた国は独自に検査、研究機関でその安全性を確認した上で使用を認可、接種に踏み切っている。

それでも、有効性が米英のワクチンに比べて低いことが知られており、それが中国製ワクチン接種拡大のネックになっているという。

インドネシアで医療関係者の感染相次ぐ

インドネシアでは2021年の感染拡大を前に中国から提供されたワクチンを医療関係者に優先接種した。しかし2021年6月以降、中国製ワクチンを接種した医療関係者の感染が拡大し、感染死する医師や看護師が増えだした。感染者は約300人、死者10人となっている。

また別の数字では6、7月に感染死した医療関係者は131人に上り、その大半が中国製ワクチンの接種を受けていた、との報道もある。

こうした現象はインドネシアだけでなく、マレーシアやタイでも報告されており、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は6月22日、「中国ワクチンに頼った国は今感染拡大と戦っている」との記事を掲載して、その有効性、安全性に疑問を投げかけた。

インドネシアでは中国製の「シノバック・バイオテック」「シノファーム」製の2種類が国民の多くに接種されているが、このうち「シノバック社製」を接種した医療関係者に感染が広がっているとして、「ワクチンの中身はただの水ではないか」とか「死のバック」などと陰でささやかれ、中国製ワクチンの接種を躊躇する動きも出ている。

特に現在、東南アジア各国で感染が拡大しているインド株には有効性が低いとの指摘もある。

こうした動きに加えてインドネシア政府は7月13日、これまでシノバック社製のワクチン接種を終えた医療関係者約147万人に対して、「流行が著しいインド株に対応するため」として3回目として米モデルナ社製ワクチンを接種する方針を明らかにしている。

インドネシアではこれまでに確保したワクチンの総数は1億2274回分で、そのうち中国製ワクチンは約1億回分に達しているといい、依然として中国製が中心の接種となっている。

マレーシア、タイも中国製に懸念

7月15日、マレーシア政府は全土で中国製ワクチンの接種を中止する方針を明らかにした。

アドハム・ババ保健相はケランタン州政府が中国製「シノバック」ワクチンの接種を停止するとの方針を受けて「いずれ全国での同ワクチンの接種を停止することになる」との姿勢を示した。

理由に関しては「ファイザー社製など他のワクチンが十分に確保できそうだから」としており、中国製ワクチンの有効性や安全性への疑問を明確にはしなかったものの、国民の多くが「中国製ワクチン接種への不安」を抱えていることが背景にあるのは間違いないとみられている。

タイでは7月17日に1日の感染者数が初めて1万人を超えた。政府はバンコクに「ロックダウン(都市封鎖)」「夜間外出禁止令」を出すなど強力な感染防止策を講じている。

その一方で、1回目に中国製ワクチンの接種を受けた国民に対して、2回目の接種をアストラゼネカ社製ワクチンに変更する計画であることを明らかにした。

これは中国製ワクチンを2回接種した医療関係者600人が感染し、看護師1人が感染死、1人が重体になっている状況などから中国製ワクチンの有効性に疑問が生じたためと言われている。

またベトナムでも、南部の中心都市ホーチミンを中心に感染拡大が続いており、特にこれまでのワクチンの効き目が薄いとされるインド株による感染拡大が深刻化しているという。

未だ中国製ワクチン頼りの国も

一方、カンボジアやラオスなど、いわゆる「親中国」とされる国では依然として中国製ワクチンの接種を積極的に推奨し、約99万回分の提供を受けている。両国では政府による「言論統制」の影響もあり、中国製ワクチンへの不安や不信は今のところ公には伝えられていない。

ラオスのこれまでの感染死者数は公式発表では4人となっているが、カンボジアではすでに1000人を超えている。

中国系国民が多いシンガポールは、そもそも中国製ワクチンに関して「信頼できる有効性に関するデータがない」として国民の接種に関する公式データには「希望して接種した中国系住民や在留中国人」を含めていない状況だ。

2月1日に軍によるクーデターが起きたミャンマーは、実権を握った軍が親中国ではあるが、多くの医療関係者が軍政反対の立場から「不服従運動(CDM)」に参加して職場放棄していることから、コロナ対策は不十分。軍政は軍の医師や看護婦を動員して対応しているが、治療対象者は軍兵士や警察官とその家族に限定されているという。

軍は一般病院から不足している酸素も「奪取」しているとされ、一般国民に十分な感染防止対策がとられているとはいえない状況が続いている。

ミャンマーでの感染者数、死者数も軍政が公表している数字と人権団体などによるデータの差が大きく、実態は不明ながらも相当数の感染者、死者がでているものとみられている。

日本政府によるワクチン提供

インドネシアはさらなる中国製ワクチンの導入を進める傍ら、7月1日には日本政府から英アストラゼネカ社製ワクチン100万回分の緊急提供を受けた。そして7月に入ってファイザー社製ワクチンの使用を緊急認可し、複数のワクチンで国民の要望に応えられる数の確保を進めている。

しかしその一方で、依然として中国製ワクチンの提供も受け続けている。中国政府への配慮とともに、人口世界第4位の2億7000万人分のワクチン確保には中国製も不可欠とする政府の思惑があるといわれている。

同じように日本からアストラゼネカ社製ワクチンの提供を受けたのはフィリピン(100万回分)、タイ(105万回分)となっており、いずれの国でも中国製ワクチンから米英のワクチンへの移行が進んでいる。

在留外国人の脱出、渡航制限相次ぐ

こうした過酷な状況の中、インドネシア在留の外国人の「脱出・避難」も始まっている。日本に続いて韓国や台湾、ベトナムも自国民のインドネシア退去を進めている。

またその一方、爆発的な感染拡大でいまや東南アジアだけでなく全世界で最も深刻な感染国になってしまったインドネシアからの入国を制限する国も出てきている。

これまでにサウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーン、台湾、香港がインドネシア人の入国を原則禁止し、近くフィリピンも制限に踏み切るという。

このように在留外国人の脱出、インドネシア人の入国制限と「孤立」するインドネシアだが、ジョコ・ウィドド大統領は相変わらず地方で続くワクチン接種を視察するのが主な仕事となっており、閣僚らも「コロナ対策に全力を挙げている政府を信用するように」と唱えるだけで、ロックダウンや夜間外出禁止令などの徹底的な感染防止策には「経済活動に影響がでる」として踏み切れない状況が続いている。

首都ジャカルタのあるジャワ島と、バリ島のあるバリ州では「緊急大衆活動制限(PPKM Darurat)」というこれまでより一段厳しい行動制限を7月3日から実施しているが、ジャカルタ中心部は公共交通機関や主要道路の利用制限で閑散としているものの、タナアバン地区など伝統的な市場や商店街には人が溢れている。

まさに「命に関わる危機」がインドネシア国民に差し迫っているというのに、感染拡大を必死に防止するという姿勢は依然としてみられない。

 

 露骨に一帯一路の戦略に組み入れようと、ワクチン外交を進めていますが、その品質の保証があやふやで疑念を持たれるようでは、採用継続に疑問が出てくるのは当然と言えます。しかし強力な経済関係を背景に、その国の指導者が中国に頼らなければならない背景構築など、したたかな、しかし弱みにつけいるこの国独特の戦術が透けて見えます。

 もともと中国武漢起源のこの疫病を、自国ではさっさ収束に向かわせ、感染爆発しているワクチン製造能力のない国をワクチンでおさえようというのは、まるでアニメやテレビゲームのシナリオのような筋書きです。まさに細菌戦争を仕掛けているような意図を感じてしまいます。しかしワクチンが効かなければこの筋書きにも狂いが生じます。中共はこの状況をどう捉えているのでしょうか。

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2021年7月 8日 (木)

東京五輪後、日本はコロナ変異種の万国博覧会状態に

24  開催まであと2週間あまりに迫った東京五輪。開催は決まりましたが観客をどうするかは、様々な意見が飛び交い7日時点ではまだ決定していません。東京での4回目の緊急事態宣言発出がほぼ決まり、難しい判断を強いられる状況が待ち構えているようです。

 ところでこの東京五輪、開催中や開催後の新型コロナの状況はどうなるのか、東京大学大学院情報学環准教授の伊東乾氏が、JBpressに寄稿したコラム『東京五輪後、日本はコロナ変異種の万国博覧会状態に 深刻な後遺症が続出し、ワクチン非接種者を攻撃するヘイトも』(7/5)で、その予測を行っていますので以下に引用します。

 東京オリンピック・パラリンピックの取材のために日本を訪れる海外のメディア関係者に対しては、プレーブックに従う報道エチケットを守ることになっています。

 これに対して「報道規制だ」「取材の自由権に対する侵害だ」といった猛反対のブーイング(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210702/k10013114771000.html)が海外の報道メディアから相次いでいます。

 この問題を少し深掘りしていくと、すでに米国では猛威をふるっている「ワクチン・デバイド」の嵐が見えてきます。

 すでに日本に来襲しつつある「ワクチン・デバイド」を念頭に、五輪と五輪後に多様性を増すであろう、日本国内での変異種蔓延について考えてみましょう。

混乱の度を増すコロナ時差

 すでに報道されているように、英国では「デルタプラス」変異株による、新たなコロナ・パンデミックが猛威をふるっています。

 6月11日のG7開催に向けて、英国ではコロナの克服を全世界に発信するつもりでいました。

 ところが、現実はとんでもなかった。5月の連休頃、1日1500人ほどまで落ちた新規感染者数が、5月中旬、下旬とじりじりと増加に転じます。

 6月に入ると1日5000人を超える新規感染者数。これがあれよあれよと急増して、6月17日には1万人超え、6月29日には2万人超え、そして7月2日には2万7500人と、まさに急坂を駆け上っている最中です。

 どうしてこんなことになったのか?

 英国はボリス・ジョンソン首相のコロナ罹患に凝りて、早期に徹底したワクチン接種を進め、コロナ克服「欧州の優等生」になったのではなかったか?

 UKのコロナ克服シナリオをすべてひっくり返してしまったのが「デルタプラス」変異株の流行でした。

ワクチン未接種層に広がるデルタプラス株

 英国全土のワクチン接種率と毎日の新患数、死亡者数を見てみましょう。年明けからワクチン接種率が順調に伸び、3月下旬には「大英帝国はコロナを制した」といった空気が漂い始めるのが手に取るように分かります。

 ところが、4月に入る頃から接種率の伸びが急に落ちている。

 そして伏流水のように押し寄せてきたインド由来の「デルタ株」変異種「デルタプラス株」が6月になって爆発的増加を見せ、コロナ収束どころではなくなってしまった。

 ここで注目していただきたいのは、毎日の新患数は激増しているけれど、決して死亡者は増えていないことです。

 ただし、これを「デルタプラス株は、凄まじい感染力は持っているけれど、毒性は低い」などと勘違いしてはいけません。

 本稿では触れる紙幅がありませんが、死亡しないことが「めでたしめでたし」ではないのです。永続する後遺症、いわゆるロングCOVID( Long Covid Sydrome)が深刻である可能性がある。

 新型コロナ後遺症は2022年以降、大変な社会問題に発展する可能性がありますが、それは別の機会に取り上げましょう。

 注目しなければならないのは、6月に急増した新患の大半が「ワクチン未接種者」であるということです。

 1月から3月まで、UKはゼロからスタートして5割弱まで接種率を上げていった。しかし4月から6月までの同じ3か月間で、まだ70%に到達していません。

 それには構造的な理由がいくつもあるのです。

 一つは世代の問題。5月の時点では英国の若い世代にはコロナワクチンへの忌避意識がありました。

 次に民族的、宗教的な問題があります。キリスト教徒やユダヤ教徒のワクチン接種率が高いのに対して、イスラム教徒の接種率が伸びないといったことがあります。

 そして経済階層による分断。富裕層にはワクチン接種が行き渡っていますが、低所得層ではなかなか接種率が伸びない。

 世代、イスラム教、所得。3つを合わせて分かりやすくまとめるなら、例えば、バングラデシュからの移民やその子弟など、英国で決して少なくない人口層にワクチンが普及していかない。

 そうした集団をインド株から命名を改められた「デルタ株」系の変異種が直撃して、今の事態が発生している。

 ワクチン接種による社会階層の分断「ワクチン・デバイド」の英国的な立ち現れ方ということができます。

 事態の根には大変深いものがあり、簡単に解決がつく問題ではありません。

米国型ワクチンデバイド

 逆に、変異種の蔓延を食い止め、3月の英国のような気分になっていると思われるのが米国です。

 ワクチン接種率が高く、またすでにワクチンを打ったのだから、もう感染もしなければ移しもしないと鼻高々。

 東京オリンピックを取材するべく来日して、「行動の自由を制限するな!」と息巻くジャーナリストの多くは、米国的なメンタリティを背景に持っている可能性が高いと思われます。

 彼らは、自分たちはもう「ワクチンを受けた」「コロナは卒業した」と確信して、場合によりマスクもつけずに五輪会場を闊歩するでしょう。

 そして国内随所で「自由にインタビューさせろ」と言っている。

 翻って日本の国民感情を考えれば、これだけ神経質になっているところに、傍若無人な外国人が、かつてのGHQ占領時代のGIよろしく、マスクもつけずにマイクなどもって、無遠慮にインタビューに近づいてくるなら・・・。

 悲鳴を上げて逃げ出す一般の日本市民といった、とんでもないシーンも現出しないとは言い切れないでしょう。

 米国と日本、あるいはワクチンでコロナを制圧したと思っている社会と、まだそれと程遠い社会との、かなり絶壁に近い断絶が様々な人間模様を生み出す可能性があります。

 ただ、間違いなくいえることは、五輪を開いて「人流」ができれば、全世界の色とりどりの変異種が、日本に、東京に、まるで変異種の見本市、万国博覧会のようにサンプリングされてくるリスクが高い確率であるということです。

 あらゆる検査は全く万能ではないし、人流ができれば感染・蔓延は不可避で拡大します。

 五輪後の日本は、言ってみれば全世界から集められた、変異種ウイルスの「満漢全席」といった様相を呈する可能性が、正味であると覚悟して、早めに対策を取っておく必要があるでしょう。

 別に危機感をあおるつもりは全くありません。

 ただ「世界の国からこんにちは」ではありませんが、いままで存在しなかった人流ができれば、必ず「人とともにウイルスはやって来る」事実と、具体的な対策を取る必要を指摘せねばなりません。

 具体的な対案は、個別に記していきます。本稿ではもう一つ、「日本国内でのワクチンデバイド」のリスクを考えておきましょう。

五輪後に日本を襲うワクチンデバイド

 6月1日時点で、日本のワクチン接種率は、1回接種で10%、2回接種終了者はわずかに3.1%、国民の97%はワクチン未完了という、G7諸国の中でも飛び抜けた立ち遅れを見せていました。

 それが7月1日になると1回接種で24%、2回接種終了者は12.7%と、1か月で見ればずいぶん奮闘したようにも思われます。

 しかし、仮にこのペースで伸びたとして、国民の50%に手が届くのはいつ頃になるか?

 根深く存在しうる「ワクチンへの忌避感情」がどのように挙動するかも、いまだよく分かりません。

 まぁ、これは時間の問題で接種率が5割を超えるときがくるでしょう。そのあたりで日本社会にある変化が起きる可能性が考えられます。

「コロナ罹患者」が「病気になってすみません」と謝るという、世界の大半の国が理解不能な、特殊な世間様の感情を持つ日本社会で「ワクチン未接種者」がマイノリティになったとき、それに対する社会的なデバイドや攻撃・・・。

 ないことを祈りますが「ヘイト」なども絶対に起きないとは言い切れません。

 いずれにせよ、間違いなく言えることは、五輪のお祭りはさておき「五輪後」に必ずやって来る「社会」「経済」そして「感染」の大きな動きに、早めに手を打っておく方が賢明です。

 この一点は決してぶれることがありません。転ばぬ先の「杖」を、各自用意しておく必要があります。

 ◇

 確かに100年に一度というこの未曾有の疫病に、世界中が翻弄され、国民の生活も政府の対応も完全に足を取られている状況です。変異型も猛威をふるってきている現状では先が見通せません。

 伊藤さんの言うワクチンデバイドもさることながら、企業の中でも旅行業や飲食業のように青息吐息のところもありますし、一方ネット販売やテレワーク関連機器のメーカーのようにコロナが後押ししている業界もあります。産業デバイドも進んでしまっているようです。

 いずれにしろワクチンの接種率が高まり、このやっかいな疫病が収束の方向に行くことを願ってやみません。

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2021年7月 7日 (水)

習近平も打たない!中国製ワクチンの闇

0c10  前回は北朝鮮の医療事情を取り上げましたが、今回は中国、チャイナのワクチン事情を取り上げます。欧米とともに、世界に先駆けてワクチンを開発した中国、すでに4割以上6億人を超す国民が1回の接種を終え、2億人を超える人が接種完了となっています。

 しかし接種状況とは別に、ワクチンに関する様々な問題も発生しているようです。少し前の記事ですが、中国事情に詳しいフリージャーナリストの福島香織氏が、月刊Hanadaプラスに投稿したコラムを以下に引用します。タイトルは『習近平も打たない!中国製ワクチンの闇』(6/2)です。

生理食塩水をワクチンと偽って販売などは日常茶飯事の相次ぐ悪質な偽ワクチン事件。そして今や第三国の途上国を実験場にするワクチン外交に対しても批判が続出。中国人自身も信用しない中国製ワクチンの深すぎる闇。

ミネラルウォーターをワクチンと称して

中国製新型コロナワクチンの途上国への無償提供品が2月から続々と現地に到着し、いよいよ中国のワクチン外交がスタートしようというなか、中国では偽ワクチンが押収される事件が起きた。  

偽ワクチン、低品質ワクチンは、中国においては伝統的といってもいいくらいの社会問題だ。また、第三フェーズ臨床実験のデータの詳細が公表されておらず、その効果や信頼性に疑問を持つ声も少なくない。  

一方、WHOやGaviワクチンアライアンス、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)が主導するワクチン共同購入による途上国への公平分配プラットフォーム、COVAXが機能するには、目下、安価で温度管理のたやすい中国製ワクチンに頼らざるを得ない状況だ。  

パンデミックを終息させることができるか否かはワクチン次第。そして、ワクチンを制する国がポストコロナの国際社会の新たな枠組みの基軸となる、という見通しもあるなか、中国のワクチンは単に医療や健康の問題以上に、政治や安全保障のテーマとしても気になるところだ。  

中国外交部は2月1日に、中国最初の対外無償援助による新型コロナワクチンがパキスタンに到着したと発表したのだが、この同日、中国公安部は、江蘇省などでニセ新型コロナワクチン販売事件摘発を発表し、中国の新型コロナワクチン外交に水を差すかっこうになった。  

新華社によれば、生理食塩水をシノファームの新型コロナワクチンと偽って、注射針とセットで、江蘇省、山東省、北京などで販売していたという。当局は3000回分の偽ワクチンを押収したほか、製造、販売にかかわった80人余りを逮捕している。  

また2月11日には、ミネラルウォーターをワクチンと称して、香港や海外に販売していたケースも摘発されたと報じられている。こちらは生理食塩水ワクチンより悪質。こんなものを打てば細菌感染などの問題が生じて命の危険もあるとして、中国当局も警告を発している。

在日中国人を通じて未承認の中国ワクチンを

いずれも同一主犯の組織犯罪で、2020年9月から生理食塩水などをワクチンと偽って販売したところ、飛ぶように売れた。それで生理食塩水が足りなくなったので、ミネラルウォーターで代用したという。  

この組織の摘発は昨年11月から始まったが、すでに5万8000回分の偽ワクチンを製造販売し、1800万元の違法利益をあげていた。  

こうした低レベルの偽ワクチンは微信などSNSを通じて売られていることが多く、包装も本物とまったく同じ、製造ナンバーももっともらしく打っているので、まず外見からは判別がつかない。  

しかも1回分498元とかなり高価だ。本物のワクチンの通常価格は200元。これは、中国が自国製造ワクチンをワクチン外交に優先利用するために国内には十分に回ってこないという「ウワサ」に踊らされて慌てて買おうとする人が多い、という背景もある。  

ちなみに、日本向けにもこうした中国製低レベル偽ワクチンがダークウェブを通じて売られる危険性について、共同通信などが情報セキュリティ企業S&J社長らの取材をもとに報じている。  

中国科学院武漢ウイルス研究所の科学者チームの組織を名乗り、「中国には他国に分けないワクチンがあるが、我々を通せば融通できる」 「ワクチンの売り上げは寄付する」などと騙り、値段はビットコインで約7000円だとか。  

また、毎日新聞が報じていたところでは、「特別ルート」で在日中国人を通じて、企業トップや政界に通じる人物たち少なくとも18人に未承認の中国製ワクチンの接種を行っていたことが判明している。この在日中国人は、共産党幹部の知り合いから、日本に中国製ワクチンが受け入れられる下地を作るために協力を依頼されたとか。  

近年、中国人資本家らが中国人医療ツーリズム受け入れ施設を確保するために、日本の病院に出資したり、あるいは買収したり、ビジネスを持ち掛けたりする動きがある。こうした中国と関係の深いクリニックを通じて、中国としては日本で中国製ワクチン支持を広めたいようだ。

国有製薬会社のワクチンでも危険

だが、こうした悪質な偽ワクチンの問題だけでなく、「中国のワクチン自体が本当に信頼できるのだろうか」という問題は、中国人自身も気にしているところだ。  

実際に、立派な国有製薬会社でつくられているワクチンですら、製造過程でデータが改竄されたり、あるいは使用期限切れのワクチンを横流しするような問題や、輸送や温度管理上劣化した低品質ワクチンを幼児に接種したりする事件が繰り返されてきた。  

比較的最近の事件として有名なのは、長春長生生物科技、武漢生物科技などが製造した三種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の劣化ワクチン65万本(長生25万本、武漢40万本)が出荷され、35万人以上の子供たちに接種されてしまった2018年の劣化ワクチン問題だ。  

これは最初、人用狂犬病予防ワクチンの製造過程でデータの改竄があったことが内部告発されて、その調査の延長で、三種混合ワクチンでも製造過程に不正があったことが判明したのだった。

失脚した「ワクチンの女王」

また、武漢生物科技のワクチンは不良反応を引き起こしたとして、被害者から二度ほど賠償請求裁判を起こされ、17・5万ドル相当の賠償金を支払ったこともある。さらには、少なくとも三度にわたり地方の疾病予防コントロールセンターの官僚たちに、ワクチン購入に対する謝礼という名の賄賂を支払っていたことも暴かれている。  

2018年に中国社会を揺るがした三種混合劣化ワクチン問題は、ワクチンの女王と呼ばれた長春長生生物科技の会長の高俊芳が汚職で失脚し、上場取り消し、破産という形で一件落着となったが、では中国のワクチン市場の構造的問題が完全に是正されたかというと、そうではない。  

三種混合ワクチン事件のもう一つの当事企業、武漢生物科技は、問題が起きたのち罰金などの行政処分を受けたが、中国の最大国有製薬企業シノファーム傘下企業とあって、ほとんどそのままの体制で生き延び、武漢生物製品研究所として、新型コロナの不活化ワクチン開発、製造に参加している。シノファームの不活化ワクチンは、主にこの企業が製造したものだ。

スキャンダルの前科

ニューヨーク・タイムズなどが、このあたりのワクチン問題について特集記事で取り上げていたので参考にして紹介すると、不活化ワクチン・コロナバックを製造しているシノバック・バイオテックも、スキャンダルの前科がある。  

2002年から2014年にかけて、医薬品認可担当の官僚に5万ドル近い賄賂を贈り、不正に医薬品認可を受けていたことが、かつて暴露された。当時の総経理は北京大学教授の尹衛東だが、処罰されることなく、現在、同企業のCEOに出世している。  

シノバックは、北京科興ホールディングスと北京大学未名生物工程集団が合資で創ったバイオハイテク企業で、尹衛東は中国バイオ研究の権威であり、国家八六三計画(中国のハイテク発展計画)バイオ領域の審査委員でもある。  

人民日報など中国国内報道によれば、中国は新型コロナ肺炎ワクチンに関する煩雑な手続きをできるだけ削減して、すべての資源を製薬企業に投じているという。その投資の規模と中国的な規制の甘さで、これら企業のワクチン開発のスピード感は米国や英国を超える勢いだ。  

だが、それが中国ワクチン業界の伝統的な傲慢さや汚職体質を悪化させるのではないか、と危ぶまれているのだ。  

中国のワクチンはおよそ16種類が研究開発中で、そのうちシノファームの不活化ワクチン、シノバックの不活化ワクチン「コロナバック」、解放軍との協力によるカンシノ・バイオロジクスのアデノウイルス5ベクターワクチン「Ad5-nCoV」の三つが、すでに国内外で接種が開始されている。  

コロナバックは2週間の間隔をあけて2回接種が必要で、ブラジルで行われた第三フェーズ臨床12000人の18歳以上の医療従事者への接種についてシノバックが公表した統計分析によれば、医療措置が必要ない軽症者を含むすべての新型コロナ感染に対する有効予防率は50・65%、医療措置が必要な感染に対する予防率が83・7%、重症化・死亡予防率は100%だったという。

予防率50・4%と大幅修正

1月はじめには中間予防率は78%と発表されていた。ただ、その1週間後、治験を行った側のブラジル当局が予防率50・4%と大幅に修正する数字を公表し、コロナバックに対する信頼性が一気に落ちる事態になった。  

ブラジル側は治験中に死者が出て、治験自体を一時延期したことがあった。結局、976万人以上の感染者を出しているブラジル当局は中国ワクチンへの不平や不信を言いながらも、1月下旬からコロナバックを、英国のアストラゼネカのアデノウイルスワクチン・コビシールドともに緊急使用を承認、接種が始まっている。800万回分のうち600万回分がコロナバックだ。  

コロナバックの予防率が50・4%だとすると、WHOが定義するワクチンの基準50%の予防率からみて、ぎりぎりワクチンとして認められる品質レベル。  

だが、ファイザーやモデルナなどのmRNAワクチンは、保管温度がマイナス70度からマイナス20度と不活化ワクチンやアデノウイルスベクターワクチンよりよっぽど取り扱いが難しく、また振動にも弱いとされるので、アフリカや東南アジア方面に流通させることは土台無理なのだ。なによりも値段も高価で、世界中の先進国で争奪戦になっている。  

なので、途上国に配布するならば、たとえ予防率が50%ちょっとでも、値段、供給量の面からみてコロナバックが手ごろ、ということになる。  

ちなみにシノファームの不活化ワクチンは、アラブ首長国連邦における第三フェーズ治験の昨年12月に発表された中間報告で、中間予防率86%と公表されている。ペルーでは、シノファームワクチンでやはり深刻な副作用が報告され、一度治験を中断している。  

中国はこの二種の安価で扱いやすい量産できるワクチンをもって、一帯一路沿線国を中心にワクチン外交を展開しようと考えている。

中国の“属国”ですら拒否

中国は2月以降、パキスタンを皮切りに、チリ、ブルネイ、ネパール、フィリピン、スリランカ、モンゴル、パレスチナ、ベラルーシ、シエラレオネ、ジンバブエなど10カ国以上で無償ワクチン支援を進め、次々に中国製ワクチン接種が開始される。さらに38カ国が中国にワクチン支援を求めており、少なくとも50カ国以上の国家が中国製ワクチンを頼りにしているという。  

また、COVAXを通じて中国製ワクチンを世界各国に提供する姿勢を強調している。治験に参加し、中国製ワクチン開発に協力した国としてはアラブ首長国連邦、モロッコ、インドネシア、トルコ、ブラジル、チリなどがある。  

こうしてみると、世界の途上国のほとんどが中国製ワクチンに依存しつつある。  

だがいまのところ、このワクチン外交がすばらしく成功しているかというと、そうではないようだ。 たとえば、シンガポールのシンクタンク・ヨセフ・イサック研究所がASEAN10カ国の研究者、官僚、ビジネスマンら1000人あまりに対して行った調査によれば、回答者の44%が「このパンデミックにおいてASEAN地域に対する中国の支援は日本や欧米を越えている」と認めているにもかかわらず、「米国と中国とどちらを信頼するか」という質問には61%が米国を選択した。  

また、63%の回答者が「中国は信用できず、中国の世界に対する貢献を拒絶する」と答えている。この対中不信の割合は、2019年の同様の調査より高い。  

中国の“属国”とまで言われるほど経済的に中国依存が進んでいるカンボジアのフン・セン首相ですら、昨年末に中国製ワクチンについて不信感を丸出しにして、「WHOが承認しないワクチンは購入しない」と言い、WHOの承認をまだ得ていない中国ワクチンについて、「カンボジアはゴミ箱じゃないし、ワクチン試験場でもない」と直言していた。  

中国が東南アジアにワクチンを強引に売りつけようとしていることへの不信感の表れだ、と当時大きく報じられた。  

結局、2月10日になって、カンボジアもシノファームの不活化ワクチンの接種が軍部主導で始まったが、フン・センの当時の発言は、東南アジア諸国首脳の本音だったかもしれない。

中国人自身もワクチン外交に微妙な反応

英国の市場調査会社YouGovが17カ国1万9000人を対象に、異なる12カ国が開発したワクチンに対する印象評価を調査したところ、中国はイランについで下から2番目。下から3番目はインド、下から4番目はロシアだ。トップ評価は上からドイツ、カナダ、英国だった。  

中国製ワクチンにプラス評価をつけた国は、中国自身(+83)のほかはメキシコ(+16)、インドネシア(+5)だけだ。中国製ワクチンに一番評価が厳しい国は、デンマーク(-53)、オーストラリア(-46)。  

香港も、なまじっか中国のワクチン禍事件をよく知っているだけに、中国ワクチンへの信頼性は低い。YouGovの調査では(-20)。香港大学の民意調査では、「香港人にワクチン接種を受けたいか」 「どのワクチンを受けたいか」というアンケートで、「ワクチン接種自体を受けたい」という回答は46%、「どのワクチンを受けたいか」という選択肢では、ファイザー・ビオンテックのワクチンが56%、アストラゼネカが35%、コロナバックは29%と一番低かった。ちなみにYouGovの調査では、日本はワクチン開発国としても、評価者側にも含まれていない。  

中国人自身も、中国共産党政府によるこのワクチン外交に微妙な反応を示している。  

武漢の感染者遺族でもある張海はラジオフリーアジア(RFA)のインタビューに答えて、「中国政府が国内で十分にワクチン保障ができていないのに、海外に無償援助でワクチンを送るなんて全く理解できない」と訴えている。 「ワクチンを外国に援助する余裕があるのなら、中国の経済に投入すべきではないか? なぜ自国民の待遇を改善しないのか? 外国援助に大枚を払い、私たち、感染者遺族や被害者は完全に無視している」

一般に、世界的範囲でワクチンを生産できる国は、まず自国民接種を優先し、次に第三国に販売、最後はCOVAXに提供する。それが、民主国家の常識的な判断だ。  

だが中国は、最初にWHOの安全審査も迂回して、パキスタンやチリのような途上国に対し、中国製ワクチンの「無償援助」を行う。これは、中国の野望である中華秩序で支配する新たな国際社会の枠組みに向けた布石のワクチン外交だとみられている。  

習近平政権の認識は、いまの時代が100年に一度の変局の時であり、これまでの米国一極世界が終わり、新たな国際社会の枠組みが再構築される時代だというものだ。そして新型コロナパンデミックが終わったポストコロナ時代こそ、中国が基軸となる新しい世界が広がる、というのがいわゆる「中華民族の偉大なる復興という中国の夢」という習近平のスローガンなのだ。

第三国を実験場にしている

米国の疫学専門家のジェニファー・ボウエイはRFAに対し、こうコメントしている。 「WHOの審査要求は合理的であり、正しく、中国にとってもよい。中国のワクチンは、このようにWHOに品質の保証をしてもらえば、安全だと世界にみてもらえるだろう。しかし、中国が個別の国と一対一の契約によって提供しているものは、(ワクチンの品質を保証するうえで)中国にとっても、その国家にとっても一定のリスクがある」  

ボウエイの指摘によれば、2010年から2011年にかけて、中国がアフリカに大量の抗マラリヤ薬の援助を行ったことがあったが、その時も偽薬問題が発生した。中国はSRA(WHOの厳格な監督管理機構、Stringent Regulatory Authority)に加盟しておらず、第三国が品質を保証するシステムがないことが、一つの背景となっている。  

中国のワクチンは第三フェーズ臨床数のデータが正式に公表されておらず、WHOもまだ品質証明を出していない。なのに、すでに50カ国以上にワクチン支援を約束していることは、くしくもカンボジアの首相が批判したように、第三国の途上国を実験場にしていると見られても仕方ないだろう。

実際、シノファームは1月のはじめにワクチンの副作用について73種類をあげ、中国国内の専門家も臨床データが公表されるまでは、18~59歳の原則健康な人が同意をへて受けるべきだ、と接種に慎重な姿勢を見せているのだから。

 ◇

 少し前の情報を元にしていますが、いずれにしても中国政府のやり方には問題がありそうですし、それでなくてもその品質にはかなり疑問がわいてきます。はっきり言ってまだまだ先進国のレベルには到達していないと言えるでしょう。

 その品質の問題の負い目を隠すように、すでに手なずけた形のWHOを通じてこの記事の書かれた後の5月7日シノファームのワクチン、6月1日にはシノバックのワクチンの緊急使用を認めさせました。日本はこれらのワクチンを使用していませんが、今後とも使用しないことが健康被害を起こさないために必要だと痛感します。

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2021年6月11日 (金)

にわかに強まる新型コロナ「武漢研究所流出」説

Pn2021060801002003ci0003thumb450x3004813  新型コロナウイルスの全世界の感染者は昨日9日時点で173,999,576人、死者は3,747,371人に上っています。これほどのパンデミックは1918年のスペイン風邪以来の、100年ぶりの大流行です。当時より格段に進んだ医療体制の中でここまで感染者、死者を出したのは、このウィルスが何か特別の特徴を持っているとしか思えません。

 そして発生当時からささやかれてきた、中国武漢における研究所からの流出説が、再び取り沙汰されるようになってきました。産経新聞ワシントン駐在客員特派員古森義久氏がJBPressに寄稿したコラム『真相は暴かれるのか?にわかに強まる新型コロナ「研究所流出」説 バイデン政権が再調査を指示、大手メディアも論調が変化』(6/9)を以下に引用して、その中身を掲載します。

 ◇

 全世界をなお苦しめる新型コロナウイルスの発生源に関して、中国・武漢にある中国科学院武漢ウイルス研究所からの流出だとする説が改めて注目を集めている。米国ではバイデン大統領が政府情報機関に本格的な再調査を指示した。

 すでに米欧の一部の科学者たちは、新型コロナウイルスは中国でそれ以前に流行したコロナウイルスに手を加えた産物だと結論付ける報告書を発表している。また、武漢ウイルス研究所で今回の感染症状に酷似した感染者が出ていたという報告もある。それらの動きが契機となって、研究所流出説が再燃している。

 中国当局は研究所流出説を全面否定しているが、今後確証が認められれば、米中関係から国際情勢全般にまで重大な影響を広げる展開ともなりかねない。

動物からの自然発生は考えられない

 米国で新型コロナウイルスの発生源をめぐる議論が白熱してきたが、「コウモリのような動物に自然発生したウイルスが人間に感染した」という説が定着しつつあった。

 ところがここに来て、その説に強い疑念が突き付けられている。

 大手紙ウォール・ストリート・ジャーナル(2021年6月6日付)は、米国の2人の有力科学者ステーブン・クウェイ氏とリチャード・ミラー氏による「科学が武漢研究所からの流出を示している」と題する寄稿記事を掲載した。

 両氏は、2020年2月に発表された米欧の6人の学者による共同研究論文をベースに、「研究所からの流出しか考えられないことを、科学が示している」と述べる。また、新型コロナウイルスの構造をみても、動物からの自然発生は考えられないと指摘していた。

 ベースとなったのは、2020年2月に発表された、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に人工的操作の形跡があることを示す論文である。執筆者はB・コータード氏、C・バレ氏ら米国やフランスのウイルス関連分野の専門研究者6人だった。新型コロナウイルスが武漢で発生したことが世界に知られてから2カ月ほどの時期に、米国の国立衛生研究所(NIH)のサイトに掲載された。

 その論文の趣旨は以下のとおりである。

・新型コロナウイルスが人間の細胞に侵入する際の突起物であるスパイクタンパク質は、中国で2002年から発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスのスパイクタンパク質と酷似しているが、一部に人工的な変更の跡がある。

・この人工的な変更は、既成のウイルスの感染力を高めるための「機能獲得」という作業だったとみられ、ゲノム編集の形跡があった。コロナウイルスに対するこの種の作業は研究所内でしか行えない。当時の武漢ウイルス研究所で同種の研究が行われていた記録がある。

 この研究報告が今になって米国の国政レベルでも注目を集めるようになった。

次々に指摘される研究所流出の可能性

4_20210610110301  科学者たちのこうした動きに関連して、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー(トニー)・ファウチ博士が実は「研究所流出」を知っていたことを示すようなメールの交信記録が明るみに出た。メールの交信記録は、メディアによる情報公開請求を受けて公表された。

 ファウチ博士は、トランプ前政権、バイデン現政権の両方で新型コロナウイルス対策の責任者に任命された。ファウチ氏が同僚、部下、知人などへ送った大量のメールからは、武漢ウイルス研究所でウイルスが人工的に作られ流出したことを知っていたとみられる記述が見つかった。

 以上の報告以外にも、最近になって新型コロナウイルスの「研究所流出」の可能性が次々に指摘されている。

 アメリカ学界でウイルス研究の権威として知られるジェッシー・ブルーム、デービッド・レルマン両氏らを含む科学者18人は、アメリカの科学誌「サイエンス」に、「このウイルスの発生源は動物からの自然感染か、武漢のウイルス研究所からの流出かを決めるだけの十分な調査が実施されておらず、徹底した再調査が不可欠だ」と訴える書簡を送った。

 5月13日号のサイエンスに掲載されたその書簡は、世界保健機関(WHO)が今年(2021年)1月から武漢などで実施した調査への反論でもあった。今年4月はじめに発表されたWHOの調査結果は、ウイルスの研究所からの流出の可能性をほぼ排除していた。だがブルーム氏らは「その根拠は不十分」だと断じ、研究所流出説にかなりの根拠があることを強調していた。

 またフランスでは4月中旬、ノーベル生理学・医学賞の受賞者リュック・モンタニエ教授が「新型コロナウイルスは武漢の研究所でつくられた人為的なものだろう」と発言し、波紋を広げた。同教授はこのウイルスが同研究所から事故で外部に流出したという可能性を指摘していた。

生物兵器開発の途中で所員が感染?

 流出説の信憑性をさらに強める論考も出てきている。トランプ前政権で国務長官の特別顧問として新型コロナウイルス発生源の調査を進めていたデビッド・アッシャー氏による報告書である。

 同氏は、生物兵器を含む大量破壊兵器の拡散防止や国際テロ対策の専門家だ。現在はハドソン研究所の上級研究員で、この5月に「中国政府の新型コロナウイルスの悪用に対する正しい対応」と題する報告書を同研究所を通じて発表した。

 アッシャー氏はこの報告書で、武漢地域でのコロナウイルスの一般感染が知られるようになる直前の2019年11月頃に、武漢ウイルス研究所の所員3人が同ウイルス感染の症状に酷似した感染症にかかっていたことを、米国情報機関の情報として明らかにした。

 アッシャー氏はそのうえで、「100%の証拠はないが、今回の新型コロナウイルスは、武漢の研究所で進めていた生物兵器開発の途中でウイルスがまず所員に感染し、その後、市街へと流出したことが確実だ」と述べる。また武漢ウイルス研究所でのSARSウイルス研究などに対して米国の官民から資金援助があったことも記している。

メディアの論調も変化

 米国ではコロナウイルスの発生源について政治党派性が議論を大きくゆがめてきた。中国の主張する自然発生説はバイデン政権やワシントン・ポスト、CNNテレビなど民主党支持の大手メディアによって支持された。一方、トランプ前政権や共和党支持層は研究所流出説に傾く傾向が顕著だった。

 ところがここにきて、流出説を「陰謀説」として排除していた大手メディアも流出説の可能性を報じ、少なくとも米国政府として徹底調査する必要性を支持するようになった。

 バイデン大統領はそのための政府情報機関による本格的調査の期限を90日と設定した。どのような調査結果が発表されるのか注目が集まっている。

 ◇

 昨日昼のテレビ報道番組でも、DRASTIC RESEARCHという調査機関が、武漢研究所流出説の状況証拠をいくつか提示していると報じていました。その中には関連する重要なデータベースの消去が、宣言の前に行われていたと言う事実もつかんだようです。これは例の”コウモリ女”と呼ばれた石正麗研究員が「宣言後に消えていた」、と言っているのと矛盾しています。これなど隠蔽のかなり重要な証拠になるのではないかと思います。

 どのような起因・原因であるにせよ、その元を突き止めることは、今後の同種の疫病の拡大を防ぐ上では不可欠だと思います。しかしその究明の前には中国当局の壁が強く立ちはだかっています。中国当局は世界の科学者や研究者を受け入れることにより、その原因を明らかにした方が、「研究所流出説」を否定し、中国の主張を裏付ける一助になるはずです。

 しかしそれをしないのは、ますます「研究所流出説」の疑いを濃くしていく、つまり自分で自分の首を絞めることになります。そしてそれはさらにもっと深い疑惑、つまり「生物兵器開発」の証拠をつかませないため、ということにつながるのでしょう。いずれにしろこの共産党に支配された暗黒大陸は、なんとか日本を含む自由主義国家の連携でもって、その悪の根を絶やしていかねばならない、そうしなければ明日の世界の安全に大きな影を落とすことになる、そう思えてなりません。

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2020年10月 5日 (月)

中国人体験コラム:新型コロナウイルス「数字」を操作した中国政府への怒り

As20200204004914_comm   今回はあの「室井佑月氏」や「姜尚中氏」、「古賀茂明氏」、「浜矩子氏」など、錚々(そうそう)たる反日左翼コラムニストを抱える、AERA dot.に寄稿された中国人「阿坡(A.PO)氏」のコラムを取り上げます。

 阿坡氏のこのコラムは反日コラムではありません。中国武漢での体験をもとにした、中国批判のコラムです。タイトルは『新型コロナウイルス「数字」を操作した中国政府への怒り』(9/28)です。このコラムは『連載「私はウイルス——武漢ロックダウン日記」』の一つとして寄稿されました。以下に引用掲載します。

 新型コロナウイルスによる肺炎が流行した武漢で、作家の方方氏が発表し続けた日記が世界の注目を集めた。温和で、中国共産党の権威に挑むものではまったくなかったが、流行を食い止められなかったことについて責任を追及する考えを示しただけで、中国国内で2カ月にわたり数千万のネットユーザーの袋叩きに遭い、脅迫を受けた。この「私はウイルス――武漢ロックダウン日記」は、方方氏と同じく武漢で暮らす一般市民の男性「阿坡(A.PO)」が、中国共産党を批判する反省の書として記したものだ。「一人の健全な精神を持つ中国人」として、世界に向けてお詫びの気持ちを示したいという。阿坡は、中国という国が、新型コロナウイルスによる肺炎の治療薬の登場さえも、情報操作に利用したと憤る。

*  *  *

■2020年2月13日 地元トップの更迭人事とレムデシビル(9)

「武漢市2020年2月12日0時~24時の新増病例は1万3436、累計病例は3万2994」。ロックダウン22日間後、新たな病例がこのように爆増した。新型コロナウイルスの流行は完全に制御を失ったという結論を導かせる数字に、当然ながら友人たちは私の安否をひどく心配したのだった。

 武漢にあってここ数日、ウイルスの流行をずっと観察・分析してきた私は、この新増数を見ても奇怪だとは思わなかった。

 私は友人たちに次のような解釈を示した。この新増数はこれまで政府がごまかし隠してきた患者数だ。もし実際の数を急いで発表しなければ、滞った実数はどんどん大きくなる。政府が最終的には武漢のウイルス感染者の総数をごまかせないとすれば、今後は毎日驚くべき新増数になるだろう。

 そうなってほしくはないが、武漢市の感染者数は10万に達すると推測される。それが真の数字なら、現在の3万余の基礎の上にこれから1週間、毎日新たに数千から万に上る新増が見込まれる。

■慚愧の念を抱く

 私が言いたいのは、封鎖22日目にして武漢はほとんど死の都市になっているということだ。ほとんど誰一人動き回ることも集うこともない。新たな感染が生じる可能性はすでに最低レベルに達している。このいわゆる新増の数字は、都市封鎖以前の感染が累積して出てきたものだ。

 頭にくるのは、封鎖前の54日間同様封鎖後も、政府はこのような厳しい災難に直面してなお人民を甘く見て、数字を操作し、つゆも態度を変えないことだ。しかもこの私個人も、被害者でありながら依然として習い性のように自己解読をするばかりで声を上げることはない。

 怒りが収まったあと、さらに慚愧の念を抱かせたのは、午後に届いたあるニュース――湖北省の省委員会書記と省長、武漢市委員会書記の3人がともに免職となり、首をすげかえられたという発表だった。私は、この日の新感染者爆増と結び付け、やはり流行は確かに一つの転換点を迎えたと判断した。

 なぜなら新任の幹部は必ず短時間のうちに局面を好転させ、このウイルスとの戦いに勝利しなければならないからだ。この時点で人事異動を発令するからには、彼らには転換点が見えているのだ。さもなければ悪化が懸念される、制御を失いかねない事態に習近平の側近を投入する必要はまったくない。

■臨床投薬の報道がない

 2月6日から武漢でレムデシビルの臨床投与開始。大きな注目を集めるこの薬は、武漢の人々の命を救う可能性のある、ひとすじのわらのような大事な手がかりと言っていい。

 ところが、今に至っても臨床投薬の進展についての報道がない。2月8日から10日にかけて、レムデシビルが重症患者に対して非常に有効だという情報を医療関係者のパイプを通じていくつも得たにもかかわらず、政府およびニュース媒体はなぜ公開しないのだろうか? たとえ薬効が十分でなくても、全市民が知りたがっているのだから事実に基づく発表をするべきだ。

 この疑問と今日発表された人事が結び付いて、私はさらに確信を強めた。数日と待たずレムデシビルの治療効果が発表され、ひょっとすると大量生産の開始までも告げられるのではないか、と。その後は新増数がしだいに下降、治癒した患者数は増え続け、治癒者の数はゆっくりと新増数を上回るようになるだろう。そうやって新型ウイルス流行との戦いは新しい幹部の指導のもとで勝利に終わる……。

 ここまで書いて、私はまた自分の内なる邪悪さ感じた。私はなぜ彼らの考え方や段取りを熟知しているのか。そうだ、これこそ私がこの文章を書こうとするエネルギーの源だ。私も一つのウイルスなのだ。

 一つの慰めは、どのように推理して見つけたかはともかく、今日になってとうとう新型ウイルス流行の転換点が現れたということだ。かりに私が推測するように、レムデシビルがよく効き、すぐに大量生産ができれば、新型ウイルス流行はそれほど心配いらなくなる。ロックダウンはなお継続されるだろうが、レムデシビルの情報はさらにしばらくの間、封鎖を続ける上での力になるだろう。この特効薬の情報は多くの人々に一晩警戒心を緩めさせるだろうから。

■「私はウイルス」の証明

 すでに多くの市民は3週間以上も家に籠って過ごしており、メンタルがやられる人も出よう。厳しい管理を無視して出歩く人が現れたら、過去76日間に及ぶ災難がもう一度繰り返されかねない。お分かりのように、これが「私はウイルス」の証明である。

 私は大衆を信じてはいない。私も私たちも、私たちが黙認している政府もみな大衆を信じてはいない。大衆は自分で判断する力も自分を管理する力もないと考えている。長い時間かかって大衆はそうした力を自ら放棄し、徐々に政府を頼るようになった。逆に政府は徐々に大衆を軽んじるようになった。一種の悪循環だ。

 よろしい、さらに続く蟄居の時間、心静かに理性的であるようにしよう。システム的に反省するようにしよう。

○阿坡(A.PO)/一武漢市民。77日間の武漢都市封鎖(ロックダウン)を経験し、この手記を執筆。「阿坡」は本名ではない。全世界に多大な迷惑と災難をもたらした新型コロナウイルスについて、一人の健全な精神を持つ中国人としてお詫びの気持ちを表すために、英語の「apologize(お詫びする)」から取った。全世界の国々が中国からのお詫びを待ったとしても、それが述べられることはない。だか、この名前を用いて手記でお詫びの気持ちを表したいと考えている。



 門田隆将氏の著書「疫病2020」も、楊逸氏の著書「わが敵習近平」も武漢肺炎は詳しく記述されていますが、伝聞であり体験ではありません。そういう意味ではこの阿坡氏のコラムは実体験であり重いものです。そして中国人としては禁句である「共産党批判」を滲ませており、かつ中国が絶対にしない「謝罪」の念も込めています。

 そうです、中国人は恐らくほとんどの人が、好んで共産党の統治を受け入れているのではないでしょう。ただ長年にわたる環視政策の中で、阿坡氏も述べているように、「大衆は自分で判断する力も自分を管理する力もないと考えている。長い時間かかって大衆はそうした力を自ら放棄し、徐々に政府を頼るようになった。」のでしょう。

全く残念なことです。世界一人口の多いこの国の人たちがそうなってしまった。逆に言えば中国共産党がそうした。そしてそれは中国共産党の継続と安定のために。言ってみれば世界最大の拘置所のような気がしてなりません。衣食住は満たされていても精神的な自由はない、恐ろしい話です。

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2020年8月23日 (日)

4-6月期GDP大幅減があぶり出す、悪意に満ちた恥知らずな面々

1_20200823115301  昨日は首相の健康問題を追求するあまり、記者会見場でルール無視を続ける記者たちの無作法を取り上げました。コロナ対応で心労を重ねる日本のトップに、傷口に塩を塗るような、みっともない姿をさらけ出しています。

 そのコロナ禍の渦中に巻き込まれ、失速した経済。過去に例がない、先の見えないこの疫病に、四苦八苦している政府や自治体の対応の中で、4-6月期のGDP速報値が発表され、年率27.8%と戦後最大の減少を記録しました。

 これに対し立憲民主党の逢坂誠二政調会長は、「アベノミクスが失敗に終わったことを示すものでもある」とのコメントを発表しました。アメリカやEUはこれを上回る減少を記録したのに、しかもこのコロナ禍の中での数字なのに、「アベノミクスの失敗」と決めつけるその感覚は、反政権の思惑満載の根拠のない誹謗中傷だと言わざるを得ません。

 この人に代表されるように、表面だけで批判のコメントを出す、薄っぺらな反政権分子は大勢います。この数字の根拠となった詳細を上武大学ビジネス情報学部教授の田中秀臣氏が、iRONNAに寄稿していますので以下に引用します。タイトルは『「戦後最悪」GDP減があぶり出す、悪意に満ちた恥知らずな面々』(8/18)です。

 内閣府が発表した2020年第2四半期(4~6月)の実質の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は前期比7・8%減、年率換算では27・8%減となった。4月から6月の間は、緊急事態宣言の発令期間を含むため、当初から大きく経済が落ち込むことが予想されていたが、ほぼその見込み通りとなった。

 ワイドショーや報道番組などマスコミは、この減少幅からリーマン・ショックを超える「戦後最大の落ち込み」と報じている。「補正予算の効果が入ってこれだけの落ち込み、大変だ!」と騒いだり、一部の野党のように「アベノミクスの失敗だ」という見方を示す人たちもいるが、おそらくこの種の人たちは、今回の「新型コロナウイルスの経済危機」をきちんと理解していない。

 まず、そもそもリーマン・ショックといった通常の経済危機と比較すること自体が間違っている。

 その前に、年率換算で経済の落ち込みを評価する「慣習」もばからしいので、そろそろやめた方がいいだろう。なぜなら年率換算とは、今期の経済の落ち込みが同じように1年続くという想定で出した数値である。

 冒頭でも指摘したが、今期は緊急事態宣言という経済のほぼ強制的な停止と、その後の再開を含んでいる期間だ。これと同じことが1年継続すると想定する方がおかしいのは自明である。

 その上で、リーマン・ショックのような通常の経済危機との違いも明瞭である。通常の経済危機の多くは「総需要不足」によって引き起こされる。簡単にいえば、おカネが不足していて、モノやサービスを買いたくてもできない状況によって生じるのである。

 だが、今回の新型コロナ危機は事情がかなり違う。政府が経済を強制的に停止したことによって引き起こされているからだ。

 それによっておカネが不足することもあるが、そもそもの主因は強制停止自体に基づく。そのためこの強制的な経済の停止期間を乗り切れるかどうかが、経済対策のポイントになる。

 もちろん新型コロナ危機の前から、景気後退局面にあった2019年10月に消費税率を10%に引き上げたという「失政」もある。これは忘れてはいけないポイントだが、本稿では当面新型コロナ危機の話だけに絞りたい。

 ここで、新型コロナの経済危機の特徴をおさらいしておこう。

 1)新型コロナの感染がいつ終息するか、誰も分からない。これを「根源的不確実性」が高いという。天気でいえば、明日の予想確率が全く分からない状況だ。雨かもしれないし、晴かもしれない。ひょっとしたら大雪か、はたまた酷暑かもしれない。

 つまり、予想が困難な状況を意味する。最近はワクチン開発や感染予防、早期治療のノウハウも蓄積してきているため、「根源的不確実性」のレベルはかなり低下してきているが、いまだに国内外で新型コロナ危機の終わるめどは立っていない。

 2)経済活動と感染症抑制はトレードオフ関係にある。経済活動が進めば、それだけ感染症の抑制が難しくなり、抑制を優先すれば経済活動を自粛しなければならない。この発想に基本的に立脚して、日本は緊急事態宣言を発令し、諸外国はそれよりも厳しい都市封鎖(ロックダウン)政策を採用した。

 ただし、最近の研究では、ロックダウンと感染症抑制は相関しないという検証結果が相次いで出ている。むしろ、ソーシャルディスタンス(社会的距離)やマスク利用の徹底のような日常的な感染症対策や、医療サービスの確保などに留意し、その上で経済活動を進めていく方が望ましい。経済活動を自粛するにせよ、限定的なものが最適になる。

 いずれにせよ、緊急事態宣言の効果は、今回のGDP速報値に含まれているので、経済の落ち込みへの「寄与度」を分析してみたい。この場合、既に指摘したように年率換算や単なる前年同期比で比較するのはセンスがない。

 分かりやすくいえば、経済の落ち込みと再開が短期的にかつ急激に現れているのが、新型コロナ危機の特徴だった。そうであれば、むしろ前期比(季節調整済)を利用した方がいい。

 今期の経済全体の落ち込みは前期比で7・8%減だった。この「マイナス成長」はどのような要因でもたらされたかといえば、4・5%減の消費と3・1%減の輸出である。

 理由は分かりやすいだろう。緊急事態宣言中で消費が委縮し、国際的な感染拡大の影響が輸出に及んでいるからである。

 3)経済対策は、感染が終息しない時期の対策(感染期の経済対策)と、その後の経済の本格的な再開時期に採用される政策(景気刺激期の経済対策)では、かなり内容が異なる。

 感染期は感染抑止が最優先されるため、限定的にせよ全面的にせよ経済活動がほぼ強制的に停止することになる。客が来なくてもどの店も潰れず、仕事がなくても労働者が解雇されない、そういうサバイバルを可能にする政策を採用する必要がある。

 多くの国では、給付金や減税などの「真水」政策と、融資などの政策を組み合わせて、そのサバイバルを目指した。この感染期の経済対策についてGDP比で見ると、日本は国際水準でトップクラスである。

 ただし、景気刺激政策に関して、日本政府はいまだ無策に等しい。「GoToトラベル」が景気刺激期の経済対策の一つだったが、感染終息がまだ見えない段階で始めてしまったために、その効果は大きく削減された。

 さらに、景気刺激期の政策であるため、感染抑制に配慮していないことも問題視されている。だが、繰り返すが、日本の感染期の経済対策は、不十分な点はあるかもしれないが、それでもかなりの成果を上げていることを忘れてはならない。

 国際通貨基金(IMF)の今年度の経済成長率予測で、日本は先進国の中で最も落ち込みが少ない。それは先のGDP比で見たように、給付金や融資拡大といった感染期の経済対策が貢献しているのは自明である。

 ここまでは、新型コロナの経済危機について、大きく三つの特徴をおさらいしてみた。それでは、今回の経済の落ち込みの国内の主因である消費について見てみよう。この点では、明治大の飯田泰之准教授による明快な説明がある。

 飯田氏は「『家計調査』をみると、消費の低下は4-5月が大底となり、6月には年初の水準まで回復していることが分かります」と指摘している。その上で「ただし、消費については4-5月の消費手控えの反動(4-5月に買わなかった分6月にまとめて買った)可能性が高いでしょう。今後の回復の強さについては7月分の消費統計に注目する必要があります」とも言及している。

 これは、緊急事態宣言の発令中には、そもそも消費したくてもお店が閉まっていることや、感染拡大を忌避して、積極的な買い物をする動機付けが起きない人々のマインドゆえに消費が急減少したことだ。

 そして総需要不足、つまりおカネ不足がそもそもの主因ではないために、宣言解除後から急激に消費が戻っていることが明瞭である。この消費の急激な回復には、感染症へのマインド改善とともに、定額給付金効果もあったに違いない。ただ、今後については分からないのも確かだ。

 このように政府の経済対策では、評価すべきところは評価しなければならない。政権批判ありきの悪意の人たちは、ともかく「アベノミクス失敗」「無策」と全否定しがちだ。それは政治的な煽動でしかない愚かな行為で、より望ましい経済政策を議論する基礎にはなりえない。

 さらには、安倍晋三首相が検査のために慶応大病院(新宿区)に行ったことを、鬼の首をとったかのように、政権批判や首相の健康批判に結びつける論外な人たちもいる。この点については、タレントのダレノガレ明美の真っ当な意見を本稿で紹介し、悪意の人たちに猛省を促したい。

タレントのダレノガレ明美のツイート

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 経済対策に話を戻す。今後最も懸念される事態は先述の通り、本格的な景気刺激策が採用されていないことだ。この点については、問題意識と具体的な対策に関して、8月17日の「夕刊フジ」で解説したので、ぜひ参照してほしい。

 付言すれば、定額給付金については、もう一度10万円配布でもいいが、それよりも「感染終息まで毎週1万円の給付金を全国民に」という大阪大の安田洋祐准教授の案が望ましい。この政策は長期のコミットメントにもなることで、金融政策とも折り合いがいい。恒久的な消費減税の代替や補完にもなるだろう。

 とにかく立憲民主党の逢坂氏の言う「アベノミクスの失敗」では全くないことが分かります。しかし野党第一党の政調会長が、言いがかりだとは言え、このような根も葉もないことを簡単に発言してしまう日本の政治家は、どこまで低レベルなのでしょう。

 同様に政策提言のないまま、野党再編が決まれば直ちに「選挙に勝てる」「政権奪取だ」と大喜びする政治家も同じ穴の狢でしょう。しかもそれが幹部クラスの人だから呆れてしまいます。

 弁護士になるためには司法試験に合格しなければなりません。医師になるにも医師免許が要ります。司法書士、社会保険労務士、介護士や社会福祉士、みんなそうです。政治家、特に国会議員になるためにも、しっかりした試験制度が必要だとつくづく思います。

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2020年8月11日 (火)

うがい薬買い占めで露呈する、社会の科学低見識

2020080508040310sph0004view  今月4日大阪吉村府知事の「ポヴィドンヨードうがい薬が新型コロナウイルスの感染防止に効果的だ」、と言う会見を受け、薬局の店頭からそのうがい薬が、あっという間に消えた事件は、まだ記憶に新しいことと思います。

 その後、その発表時点の検証にはサンプル数が少なすぎることと、実際には医学的に見て、感染予防にも病状の回復にも、どうも効果がなさそうだという見解が、多方面からなされ、当の吉村知事は釈明会見を余儀なくされました。

 その辺の詳細を、東京大学大学院情報学環准教授の伊藤乾氏が、JBpressに寄稿したコラムから引用掲載します。タイトルは『うがい薬買い占めで露呈する、社会の科学低見識 イソジンでコロナ重症化が防げたら誰も苦労しない』(8/11)です。

2008046jiugai  日本の西の方で「イソジン」などのポヴィドンヨード剤が「コロナウイルスを減少させる」云々、多分に衛生機関が提出した常識的なリポートを、必要な前提となる学術見識のない人が勘違いして、大きな騒ぎにしてしまっているようです。

 バカも休み休み、という話ですが、身近な若い人たちと少し話をしてみると、意外に本質的な誤解をしているケースもありそうに思われましたので、分かりやすい例で確認しておきましょう。

 先に結論。ヨード殺菌剤を飲んでも、新型コロナウイルスの予防効果もなければ、発症している病状の好転効果なども一切「ありません」。

「確認されていない」などと、科学的に正確な表現を取ろうとしても、それを読み取れないリテラシー欠如がマスコミにまであるようですので、明記しておきます。

「薬効はありません」

 薬理を考えても期待できるわけがない、まともに大学教養程度の教育を受けていれば自明の内容がすでに社会に通用していない、末期状態に警鐘を鳴らす必要があると感じます。

酒を飲んだらコロナが死ぬか?!

 石鹸やアルコールで手を洗うと、手に付着したウイルスや雑菌が破壊され、殺菌消毒の効果があります。

 厨房に立つ人などは、そうやって自分の手の衛生管理に気を配る必要があります。

 であるとするなら、体の中に存在するウイルスや雑菌を除去するのにも、アルコールや洗剤が役に立つだろう・・・という発想を持つ人が、善くも悪しくも世界には存在しています。

 では、コロナ感染が怪しい、というひとが、台所の中性洗剤をごくごく飲んだとして、それで肺炎や関連症状がよくなる、と思われる方がありますでしょうか?

「さあ、これからアルコールでウイルス退治だ」と お父さんが焼酎とサキイカなど持ち出してきたら、それは話が違うというものであって、落語みたいなお笑いになる。

 かと思いきや、そんなことはないんですね。残念ながら21世紀の国際社会には、いまだ「中性洗剤ごくごく」「焼酎チューチュー」の類、つまり科学的低見識の極みのようなものを目にします。

 一見そうみえないような科学を装う体裁のものにも、おまじないかオカルトみたいな代物がしばしば混ざっています。

 対岸の火事で分かりやすい例から示してみましょう。

 2020年4月23日木曜日、不幸なことに、アメリカ合衆国大統領に就任しているドナルド・トランプ氏が記者会見の場で、「感染者体内のコロナウイルスによる汚染を除去するため、消毒剤を飲んだり、注射してみてはどうか?」と発言。

 全米でこれを真に受けた人が消毒薬を摂取して病院に運ばれるという、全く洒落にならない事態が発生しました。

海の向こうではドナルドも・・・

 米国では、医師や専門家がただちに声を挙げ、とんでもない間違いであるからトランプ発言を無視するようにと警告を発しました。

 それより速かったのか、あるいは聞く耳を持たなかったのか、マスコミが駄々洩れにした愚かな発言を鵜呑みにした人が、消毒剤の中毒症状で病院に担ぎ込まれる騒ぎが相次ぎます。

 政治屋というのはこういうとき、じつに最低な反応を見せます。

 トランプ大統領は直ちに「人々が消毒剤を飲んだのは、私の責任でない」として責任逃れを主張。

「どうしてそんなことを考えたのが想像もつかない」「あれは皮肉だった」などと言い訳に終始します。

 しかし、実際に死亡した例も報告されメタノールを含む手の消毒剤を服用した結果、生涯にわたって後遺症の残る視覚障害を負ったケースなども報告されています。

 政治家が、入れ札で過半数を占めたというだけの理由で、完全に素人でしかない医療や化学、防疫や公衆衛生に関する、初歩的に誤った内容を垂れ流してよい、ということにはなりません。

 ドナルド・トランプ氏にはほかにも様々な刑事事犯の容疑がかけられていますが、「消毒薬を飲んだり注射したり」についても、一定の責任を追及する必要があるように思います。

 でないと、こういう悪質な発言を繰り返す政治屋の類犯を根絶することは困難、ないし不可能になってしまうかもしれません。

 仕事柄、欧州の目線から米国を冷ややかに見る意見に日頃多く接しているので、ギャップを痛感します。

「同じことがドイツやフランスで起きたら、とっくに革命暴動が起きても不思議ではない」と欧州の同僚である学識経験者たちは口を揃えます。

 そのうえで「無知蒙昧の愚かな金持ちを『リーダー』に選んでしまったのもその国民なんだから、結果自分たちも火の粉を浴びるのは自業自得」といった冷静な観測。

「アメリカというもの、それ自体」を「困ったもの」と位置づける欧州の基本的なトーンは冷ややかです。

 ちなみに、しばらく前のことになりますが、「USA」とかいう国名を連呼しながらぴょんぴょん跳ねたりする国民性を紹介してみたところ、ただただ理解不能、頭痛と返されたことは以前連載でも触れたかと思います。

後鳥羽院からガチャピンまで蔓延するアニミズム

 全世界の原始部族には、いくつか共通する原型的な宗教儀礼が存在することが、比較宗教学では久しく指摘されています。

 私はその道の専門でも何でもありませんが、文化人類学者の山口昌男さんに倣って「食儀礼」について、以下に参考になる範囲で記してみたいと思います。

 例えば、酋長のような存在が、何らかの「特別な食べもの」を食することでパワーを得、予知能力を身に着けるとか、敵を撃退する能力を得る、といった思考や発想は、あらゆる大陸のあらゆる神話に登場するといって過言ではありません。

 古来人間は多様なゲテモノを食することで克服してきた様子です。

 古事記や日本書紀に出てくる「ヤマタノオロチ」伝説は、娘を食べてしまう怪物「八岐大蛇」をスサノオが退治し、頭から尻尾まで身を寸切りにしていくと、その尻尾から世界を統治する力を持つスーパースウォード、剣が現れたというRPGまがいの設定になっています。

 そこで得られたのが「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」というストーリーに繋がり、そのシナリオは建前としては2020年の日本にまで続きます。

 大蛇の尻尾から得たはずの神剣はスサノオから(姉とされる)天照大神に献上され、日本の皇室の正統性を保証する「三種の神器」の一つとして定着、もとは大蛇が娘を食って作った(?)剣が、えらい出世をするものです。

 ところが、古代の由緒正しい「草薙剣」は、1185年「壇ノ浦の戦い」で平氏が滅亡し、罪もない子供であった安徳天皇の入水という顛末に際して、関門海峡に沈んで永遠に失われてしまいました。

 平家が政権正統性の根拠として三種の神器を持ち去ったため、神器なしに即位せざるを得なかった後鳥羽天皇―後鳥羽上皇は、最終的に「承久の変」で隠岐に流されてしまいます。

 のちに挙兵する後醍醐天皇(南朝)も、今の日本の皇族(北朝)も、後鳥羽上皇の子孫にほかなりません。

「食べちゃう」ことでパワーを得るで、もう一つ思い出されるのは、ひらけ!ポンキッキ「たべちゃうぞ事件」でしょう。いまからほぼ半世紀前、1970年代の出来事です。

 着ぐるみキャラクター「ガチャピン」が「いたずらする子はたべちゃうぞ」という歌詞が、子供たち(というよりは親でしょう)の不安を招くという理由で1週間ほどで放送中止となった騒ぎがありました。

 当時、小学校高学年であった私は、すでに幼児番組を卒業していましたが、幼児が「たべちゃう」ことに持つ原初的な所有意識と、食べられてしまうことへの恐怖のようなものを面白く感じたのを覚えています。

 そこで、そういう幼児の精神年齢と大差ないのでは、と判断せざるを得ないのが、片やドナルド・トランプ氏の蒙昧ぶりであり、他方、日本国にもヤマタノオロチからガチャピンに至る正統性をもって息づく、アニミズムを指摘しないわけにはいきません。

 トランプ氏のおバカ会見に先立って、同様の民間療法を試したケースが日本でも報告されていました。

参院候補、漂白剤を飲む

 4月2日、北関東の某県で、コロナを退治しようと(?)漂白剤などとしても使われる次亜塩素酸ナトリウムを摂取した主婦が病院で手当てを受けるという珍事が発生。

 ネットで話題になりましたが、すでに多くの方には過去の記憶、あるいは記憶する価値もないジャンク情報になっているかもしれません。

 あろうことか、この「コロナ退治」で漂白剤を飲んだ人は、2019年の参院選挙にミニ政党から出馬し、落選していたことも伝えられ、頭痛を感じたわけですが・・・。

 この主婦の場合は落選、ドナルド・トランプ氏は何の拍子か、背景も指摘されていますが、ともかく当選してしまって、ああいう無知蒙昧ぶりを曝しているわけで・・・。

 とてもではありませんが、人の命にかかわる判断を下す椅子に座らせることのできない低見識ぶりと言わねばなりません。

「アフターコロナ」、つまり今回のパンデミックを克服する「必要条件」は、ウイルス蔓延の収束ですが、最低限必要な科学的、疫学的常識もない者を責任判断の椅子につけていては、治る病気も治りません。

 政府と自治体の首長が、帰省一つでも正反対の主張を並行させる日本の現状は、真面目な防疫に取り組んでおらず、パンデミックを政争の具としてもて遊ぶ態度として、極めて低い評価しか得られていません。

 ヨード製剤のうがい薬について総括しておきます。

 ヨード系の消毒液は、外科手術などの折にも用いられ、2次感染予防などに有効、歯科医なども常用する、確立された薬剤です。

 これは、活性の高いヨウ素イオンがばい菌やウイルスを叩いて破壊することで効果が出るもので、人間が細胞の中に取り込んだウイルスや、それが引き起こす炎症を抑える鎮痛消炎などの効果は一切持ちません。

 ウソのようなウソをどこでどう流布したかは別として、うがい薬を用いてうがいをすることは、普通の意味での感染症予防には役に立つでしょう。常識的なことです。

 しかし、ヨード剤の効果については保険医の間でも意見が分かれ、白湯と効果に違いはない、ヨード・アレルギーを引き起こしているなどの批判も長く続いています。

 ちなみに本コラムの長い読者には周知のとおり、私は日常生活においては殺菌消毒魔で、気になるときはヨード剤で頭髪を洗ったりすることもある程度、この薬品には日常的になじみがあります。

 一度罹患した肺炎を治療したり、重症化を防ぐ効果が、ヨード剤うがい薬にあると考える理由はありません。

 間違いないことは、炎症など起こしている喉粘膜などに刺激性の強いこうした薬剤を下手に使っても、予後を悪くする恐れがある。肺に直接うがい薬など入れた日には生命にかかわる事態にもなりかねません。

 要するにロクでもない結果しか、引き起こしません。

 もし日本が、まともにコロナ対策に取り組む気が少しでもあるのなら、最低限の科学と疫学のリテラシーがない政治家が関連対策におかしな愚見を混ぜ込む事態を一掃する必要があるのは、間違いありません。

 伊藤乾氏はこのコラムの最後で、ポヴィドンヨードを含むうがい薬で「うがい」をしても、「一度罹患した肺炎を治療したり、重症化を防ぐ効果が、ヨード剤うがい薬にあると考える理由はありません」と結んでいますが、その前の事例では殆どが、殺菌剤を「飲む」行為は「効果はないし馬鹿げている」と、トランプ大統領や参議院選の立候補者を引き合いに出し、揶揄しながら記述しています。

 まあそれはいいとして、確かに学術的な見識があいまいなまま、政治家などの発言を鵜呑みにするのは好ましくないという、一つの良き例ではありますね。吉村知事に悪意はなかったことは認めるにしても、やはりこのような会見は政治家がやるべきではないでしょう。実は私もこの会見の報道に影響を受けて、薬局に買いに行こうと思った一人ですから、何も言えませんが(もちろんどの薬局も売り切れでした、凄まじい買い占めパワーです)。

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2020年8月 7日 (金)

早くも第2波の襲来、第1波の教訓が生かされない日本

Y-1  新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。7月に入ってその数は増加の一歩を辿り、全国の感染者数は7月1日の127人から、昨日は1485人と大幅に増大し、連日1000人を超えています。ここ数日で、過去最高の新規感染者を出した都府県も多くあります。つまり全国に再び拡大しているのが裏付けられています。年末からと予想された第2波が早くも襲ってきたようです。

 新規感染者数ではなく、重症者数や死者数、又検査数と陽性率で議論せよとの声もありますが、いずれにしてもこの増え方は、完全に新しいステージにに入ったとものと言えるでしょう。第1波の時からの日本の対応に疑問を抱き、著書「疫病2020」でその失態を鋭く指摘した門田隆将氏が、NEWSポストセブンに緊急寄稿していますので、以下に引用掲載します。タイトルは『第1波の教訓が生かされない日本』(8/06)です。

◇ 

 日本政府の新型コロナウイルスへの対応は、グローバルな視点から考えても及第点であったとは言い難い。作家・ジャーナリストの門田隆将氏がレポートする。

 * * *

 日本は何かを間違えている。しかし、その“何か”がわからない──コロナ禍の中で、多くの日本人はそう感じているに違いない。その原因も突きとめられないまま、多くの国民がたった「半年前」のことさえ振り返ることもできず、日々の生活に追われている。

 全国で感染者数更新がつづく第2波の真っ只中、8月5日にその疑問のヒントを国民に教えてくれる政策が実行に移された。日本に在留資格を持つ外国人駐在員や留学生らの「再入国」許可である。

 日本で在留資格を持ち、一時的に母国に帰国していたビジネスマンや留学生が出国前にPCR検査をし、さらに日本でも入国の際にPCR検査を受けることを条件に再入国が認められたのだ。146の国と地域の外国人入国を拒否していた日本にとって大きな政策転換である。

 今年1月、中国湖北省・武漢で感染爆発した新型コロナウイルス。いわゆる武漢肺炎は人口1100万人を超える武漢を都市封鎖に追い込んだ。しかし、感染国、すなわちレッドゾーンからの流入を「まずストップする」という基本に背を向け、インバウンドに目が眩んだ安倍政権は、易々と悪魔のウイルスの日本侵略を許した。

 1月の中国人訪日客は史上最多の92万人に達し、日本は一時のインバウンド収入に潤った。だが、懸念された通り、それは武漢ウイルスの蔓延を生み、また東京五輪の足枷で、欧州からの入国禁止という政府判断も決定的に遅れて、日本は想像以上の経済的打撃を負った。

 あらゆる業界に及んだ影響は、中小企業が倒産を余儀なくされる秋以降の“小崩壊”と、来春以降は大企業も破綻していく“大崩壊”の二段階での悲劇が訪れると言われる。日本経済は、息の根が止まるかもしれない瀬戸際がつづくのである。

 武漢から発信されたSNS上の阿鼻叫喚の有様にも「過剰な心配は要りません」と言い続けた官邸や厚労省らは、痛烈なしっぺ返しを受けたことになる。

2020043010026314creaweb0002view  7月末、新型コロナの新規感染者は連日世界で25万人以上、日本では1000人以上が記録されている。一方、世界の防疫成功ナンバー・ワンの台湾は110日間連続「国内感染者ゼロ」を記録。経済活動も、スポーツ・文化活動も通常通り動いている。

 共に隣国に発生国・中国を抱え、条件はまったく同じなのに、なぜ日本と台湾にはこれほどの「差」が生じたのか。それは、この「8月5日時点」を見てもわかる。

 台湾では6月29日から観光、知人訪問、文化芸術活動の観賞などを除く「訪台事由」による渡航申請が可能となった。ただし、入国時には、航空機への搭乗72時間以内に実施したPCR検査の陰性報告の提出が求められ、入国後も14日間の「居家検疫」が科される。

 居家検疫とは、自宅もしくは特定のホテルからの外出を不可とし、検温など自らの健康状態をチェックすることを意味する。これに従わなかった場合は、最高100万元(※日本円で360万円相当)の罰金が科せられることになる。大変な金額である。

 入国許可者は、空港検疫が無事終了すると、それぞれに「在宅検疫書」が渡され、そのまま速やかに検疫場所へ移動することになる。ただし、空港から検疫場所までの移動手段は、厳格に定められている。自家用車か、または「防疫タクシー」と「防疫バス」と呼ばれる政府指定の交通機関を利用するのである。

 いうまでもなく一般の台湾人と交通機関での接触が絶対にないようにするための措置だ。防疫タクシーと防疫バスとは、台湾政府の交通部(※日本の国土交通省に相当)がつくったものだ。

 自宅またはホテルで行われる「在宅検疫」は、14日間の外出禁止を強制される。これは、検疫期間中に「場所変更」も許されないほどの厳格なものである。

 入国許可者が、これを自宅でない場所でおこなう場合は、「防疫旅館」と名づけられた隔離対象者向け宿泊施設が使用される。費用は全額自己負担だが、政府の指針に従い運営されているホテル等である。

 この防疫旅館が、食事提供やゴミ回収等々をおこなってくれることになっており、入国許可者の位置情報は携帯電話で常時、把握されている。仮に、無断で移動したり、あるいは電源が消されていたりすると、ただちに自動的に通知され、状況確認のために警官がやってくるシステムだ。前述のように違反者には最高360万円という罰金が科せられることもある。

 こうして台湾では、入国許可者に対して「厳しい管理」が実施されるのである。では、日本はどうだろうか。8月5日から始まった在留資格のある外国人に対して、日本では以下の6項目が定められている。

【1】自宅などで入国の次の日から起算して14 日間待機する滞在場所を確保すること

【2】到着する空港等から、その滞在場所まで公共交通機関を使用せずに移動する手段を確保すること

【3】入国後に待機する滞在場所と、空港等から移動する手段を検疫所に登録すること

【4】新型コロナウイルスの検査を受けること

【5】検査結果が出るまで、原則、空港内のスペース又は検疫所が指定した施設等で、待機すること(到着から検査結果が判明して入国するまでの所要時間は、状況によるが数時間~2日程度)

【6】検疫における新型コロナウイルスの検査結果が陰性でも、入国の次の日から起算して14日間は、自分で確保した滞在場所で待機することを要請する。そして保健所等による健康確認の対象となる。

Photo_20200806155401  台湾と日本の決定的違いがおわかりだろうか。台湾は巨額の罰金を伴う「隔離」であり、日本は外国人それぞれの自主性に任せた「要請」に過ぎない。

 そもそも、「空港からの移動手段を確保すること」などと言っても、「防疫タクシー」も「防疫バス」などもつくらず、あまりに無責任すぎないか。多くの入国許可者が“やむなく”公共交通機関を使うのも無理はない。

 3月13日に成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法では、政府の権限を狭めるために緊急事態宣言の場合は国会への事前報告が付帯決議に盛り込まれるなど、野党とマスコミの反対で“骨抜き”になったのは周知の通りだ。

 つまり、日本では性善説に基づいて、それぞれの良心に訴えるのが基本であり、なおかつ移動手段も自己責任という実に“無責任”なものなのだ。

 今年6月末、私はコロナの謎と中国の隠蔽の実態、日本のお粗末な対策の有様を告発した『疫病2020』(産経新聞出版)を上梓した。発売1か月で8万部を突破し、多くの読者が情けない日本の有様に危機感と怒りを共有してくれている。

 この作品の中で、「国民の命を守る」という使命に向かって突き進む台湾と、そんな使命など忘れ果てた日本の官僚の姿を詳述させてもらった。何が違っているから、これほどの「差」が生じたのか。そのことを理解してもらうためだ。

 日本が踏み出した在留資格のある外国人の条件つき入国許可──これは、今後、なし崩し的に進む「入国緩和」のさきがけとなるだろう。すでに5月1日から中国と韓国の間では、出国・入国の際のPCR検査を条件に、世界に先んじて互いの出入国を許可し合っている。

 それを見た日本の経済界は、「早く日本も参加を」と政府に要請を続けていた。言葉を代えれば「早く中国市場に行かせろ」ということである。これほどの痛い目に遭っても第1波の教訓が生かされていないということだろう。

 日本が在留資格のある外国人の入国を認めた8月5日、台湾は逆にビジネス客受け入れ対象国から「日本を除外する」ことを決定した。連日1000人を超える新規感染者が出ている日本を新型コロナの“レッドゾーン”と見なしたのだ。さすが台湾は厳格である。

“GO TO トラベル”でも、一貫した指針と方策がなく、右往左往した安倍政権。厳格さとは無縁のまま始まった外国人入国によって、日本経済はさらに打撃を受けることになるのだろうか。見事な手本となった台湾がこの上なく日本を心配し、「日本はこのままで大丈夫だろうか」と政府関係者も筆者に伝えてきている事実を申し添えておきたい。

 以前からこのブログで指摘している、強制力と罰則を持った自粛要請と補償金を伴った形の休業要請への法改正、それは一向に進んでいません。これでは緊急事態宣言を発しても、穴の開いたバケツと同じで、要請に従わない個人や業者は必ず出て来ます。何のための特措法か分かりません。

 その影響は門田氏の指摘するように、入国検疫の管理業務にも端的に表れています。法の不備もありますが、「疫病2020」でも指摘されているように、厚生労働省の人命軽視と業務の杜撰さが、ここに現れていると言っていいでしょう。   

 絶対国民に感染させない、と言った台湾で見られるような意気込みはどこにもありません。ですからあとはあなた任せの管理対応になってしまうのでしょう。日本人でさえ「性善説」一辺倒では感染は抑えられません。それが外国人になれば余計困難です。ですから水も漏れないような防疫体制が必要なのに、実に軽く考えているのです。

 政治家や官僚に蔓延する、事なかれ体質が招いたこの第2波は、すでに始まっている国内の移動緩和、外国人の入国制限緩和によりさらに拡大して、冬が来る前に再び緊急事態宣言の必要性が出てくる恐れは十分あります。その時に備えて、緊急に臨時国会を開き特措法の改正だけでもやらなければ、感染が抑えられず、経済も失速する二重苦を招く危険性が十分あります。まさに待ったなしの状況だと言えるでしょう。

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