政策

2023年2月16日 (木)

「安倍回顧録」で詳述、「財務省」との確執。官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

Images-13_20230214111501  安部元首相はデフレ脱却を旗印に「アベノミクス」を展開しましたが、景気上昇の鍵となる財政出動や、景気を押し下げる増税に関して、財務省の攻勢とかなり戦ってきた経緯があるようです。

 その一端が「安倍晋三回顧録」に記述されています。上武大学教授の田中秀臣氏がzakzakに寄稿したコラムを紹介しましょう。タイトルは『「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感』(2/14公開)で、以下に引用します。

19_20230214111601 『安倍晋三回顧録』が話題だ。トランプ前米大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らへの評価が面白い。個人的に注目しているのが、財務省への評価だ。消費増税の先送りを決めたときに、財務省が安倍降ろしを画策したと安倍元首相は同書で発言している。

「安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策した。彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」。穏やかではない。この点を国会の質疑で問われた岸田文雄首相は、財務省の安倍降ろしを「感じたことがない」と否定した。〝財務省ムラ〟の住人である岸田首相らしい答弁である。

この財務省の政治介入とでもいうべき動きは、安倍政権下でもマスコミで話題になっていた。2014年12月の衆院選の時だ。私も当時、ネット媒体で「安倍首相、消費増税めぐる財務省の政界工作を示唆 省益優先で不況下に緊縮財政の罪」と題する論説まで書いている。回顧録でも明言されているが、この衆院選は消費税10%への引き上げを先送りするために、国民の真意を問い、それによって財務省の政治介入を防ぐ狙いがあった。

当時、安倍氏自らが「財務省が『善意』ではあるが、すごい勢いで(消費再増税に向けて)対処しているから党内全体がその雰囲気だった」として、この増税ありきの雰囲気を転換するためだったと報道番組で明言している。

財務省の攻勢が、官僚の本分を超えて、政治の領域を侵犯していることに、安倍氏が強い危機感を抱いていたことがわかる。回顧録では、その点をより明白に語っている。財務省の「善意」の増税攻勢を受けていたはずの、岸田首相が気付かないはずはない。もし気が付かないのであれば、それは財務省が増税を説得するまでもなく、陣営(財務省ムラ)の一員だったからだろう。

安倍氏は選挙に勝利して消費税を延期し、さらにもう一度再延期を成し遂げた。だが、財務省には議員たちを説得する以上の工作も可能だ。予算編成の権力を利用して、安倍政権では最初の13年度以外はすべて緊縮財政を押し付けた。このため金融緩和だけに頼る形になり、それでも雇用や経済成長は大きく改善したが、デフレ脱却はできなかった。

消費税10%を最後は防ぐことができなかったが、むしろ安倍政権だからこそ2回も延長できたのだろう。回顧録は、「ザイム真理教」の恐ろしさを伝えてもいる。

 かつて家庭の財布を妻に握られている夫が、大きな買い物をする時、「大蔵省(財務省の前身)」、つまり妻の了解がいる、と自嘲気味につぶやくことが多かったようですが、これこそ「金」を操るものの強さの代弁でしょう。

 政界でも同様の状況があり、財務省の権力がさすがの長期政権を誇った安部元首相でも、思いのままには出来なかった事が語られているようです。失われた30年の責任の一端は、財務省にあるのでしょうか。

 岸田首相が増税という言葉をよく口にするのは、田中氏指摘のように財務省の陣営にいるのでしょうか。「新しい資本主義」という意味不明な政策も、財務省の後ろ盾だという人もいます。

 いずれにしろ予期せぬ物価高騰でデフレから脱却しつつある現在、財政出動と規制改革で経済を強くしてもらわなければ、日本の未来は暗いものとなります。プライマリーバランス重視の緊縮財政だけは、やめて欲しいと心から願いますね。

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2022年2月26日 (土)

人類の歴史は戦争の歴史、果たして日本の未来は

Img_a7c18df04b7a782de2e33100e9fb536a1347  プーチンロシアのウクライナ侵攻が始まりました。プーチン大統領の政治家転身時からの夢、「旧ソ連の勢力圏の復興」。習近平国家主席の「中国の夢」に極めて類似した、数世紀前の皇帝然とした夢です。

 カザフスタンやベラルーシなど、親ロシアの旧ソ連の共和国が並み居る中で、バルト3国とジョージア(旧グルジア)、そして8年前からこのウクライナがロシアから袂を分かちました。

 バルト3国は早々にNATOに加盟しましたが、グルジアはロシアの侵略を受け国の一部を親ロシア地域にされました。そして8年前ウクライナもクリミア半島をロシアに併合され、又東部2州は親ロシア地域として自治権を強奪されました。

 更に今回のウクライナ全土侵攻です。国連やNATO軍は機能しません。まさにプーチンの思い通りのシナリオに沿って、ウクライナの親ロシア政権樹立へ駒を進めようとしています。

 私は3年半前にこのブログを始めました。第1回目の投稿は『「戦争を語り継ぐ」を考える』でした。戦争の悲惨さを語り継ぐことが圧倒的に多い中で、なぜあの戦争に至ったのか、と言う視点が完全に抜け落ちていることを指摘しました。

 また『人類の歴史は戦争の歴史』と言うタイトルの投稿には、人はより多くのものを得たい、そのためにもより多くの支配地域を得たい、そして更には、より自身を強く権威づけたいと言う欲望が、必ず争いとなって、戦争を起こすことを、有史以来続けてきた、と記述しました。

 今回のプーチンロシアのウクライナ侵攻は、まさにこのソ連でのKGB時代に培った権威欲と、その権威に従わないウクライナへの報復、そしてウクライナ穀倉地帯の支配欲も重なって起こした侵略戦争でしょう。

 80年前に日本が起こした対米戦争とは根本的に異なるのが、この点です。かつて共産主義の世界拡散を企てるソ連への北からの脅威と、資源なき国家の充足を企てた日本による満州の属国化が引き金となって、ルーズベルトアメリカに日本の資源と経済封鎖を決定づけさせてしまい、やむなく起こした対米戦争。「窮鼠猫をかむ」の戦争です。結果は惨憺たる敗戦でした。

 ただし、かつて日本の占領軍総司令官だったマッカーサーに、アメリカ上院軍事・外交合同委員会で、「日本は自衛の戦争だった」、と言わしめたように、今回のロシアの対ウクライナ戦争とは次元が違います。またイラク戦争や、湾岸戦争ともその性格は全く異なります。

 こうした皇帝然とした人物による周辺国へ属国化を企てる戦争は、中国の台湾併合とその性格がよく似ています。民主国家陣営が有効な手立てを打ち出せないまま、プーチンの思い通りに事が進めば、習近平中国は大いに力を得て、台湾に向かうでしょう。極めて憂慮した事態になります。

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Images-7_20220226142301  話は変わりますが、私がこのブログを立ち上げた狙いは、一貫して「強い日本を取り戻したい」、そのためには何をしたらいいか、そして何から守ればいいか、ということでした。

 その第一は、今の日本の弱体化を強力に推し進めたGHQによる負の遺産、「自虐史観」と9条憲法からの解放です。大東亜戦争で戦った国や、戦場となって迷惑をかけた国への国家賠償はとっくの昔に済んでいます。いまや「自虐史観」は取っ払わなければなりません。9条も改正しなければなりません。

 ところがそれを阻むものが、日本に多くあります。まずは偏向メディア。各種市民団体。そして共産主義的思考にかぶれた政治家、作家、弁護士や大学教授。映画や音楽関係者。

 これら「自虐史観」から発生した「周辺国贔屓」の日本人が、日本の足を引っ張っているのです。更には在日朝鮮人や韓国人、中国人が「自虐史観」日本人と結託して日本叩きを続けています。

 一方日本の官僚、特に「外務省」の腰砕け外交が火に油を注いでいます。9条の元で手枷足枷をかけられた日本の自衛隊の、足下を見すかした中朝(南北)露4カ国からの、愚問難問に右往左往して、何もできていないのが実態です。竹島を取られ尖閣を脅かされ、拉致被害者を出し千島が他国の軍門に下っていても、です。

 こんな腰が引けた日本に誰がしたのでしょう。元はGHQですが、占領終了後は日本人です。「自虐史観」の洗脳は、上記疑似共産主義者の脳裏にこびりついて離れません。メディアが助長します。しかしそれを一掃するのは「政治」です。

 だが残念ながら、あの安倍元首相でさえ、偏向報道を繰り返す地上波の寡占状況を変えられなかったし、9条も変えられなかった。つまり国民の間に深く浸透した「自虐史観」の洗脳状態が、「日本は周辺諸国に悪いことをした」「日本は軍を持つと先祖帰りする」「安倍は又日本を軍国主義にしようとしている」と言った、洗脳された状態から抜け出せないのです。

 スパイ防止法もできないまま、外国スパイの温床になっていて、様々な情報を抜き取られていても、まさに「羮に懲りて膾を吹く」状態から逸脱できない層が、国民の中にはある一定の割合いて、陰に陽に普通の国になることを阻害しているのです。

 そうした中で国力をますます弱体化させる、他の要因が改善されず進行しています。「少子化」です。年間数回にわたって繰り返される通常国会において、どれだけ話題として取り上げられたでしょう。どの政党がどれだけの具体的改善案を提出したでしょうか。そうした中で、地方は疲弊し、税収は頭打ちとなり、農家や他の産業の後継者は不足し、空き家は増え、耕作放棄地は増加の一途を辿っています。少子化庁の新設のような小手先の手段では、この流れは止められないと思います。国家的プロジェクトに持ち上げなければ。

 前述の外務省のみならず、農水省、厚労省、総務省、内閣府に至るまで、前例踏襲で現場現実をしっかり把握しないまま、机上の実態にそぐわない行政を続けてきた結果が、少子化を食い止められず、農林水産業の疲弊を招き、企業の海外移転を放置し、デジタル後進国となり、失われた30年を作り出してきたのでしょう。

 少子化政策のみならず、原発を過度に抑制し、太陽光や風力に多くを頼る現実味のないカーボンニュートラル政策や、食糧不足が目前に迫ってきているのに、具体性のない食糧確保計画など、日本の未来に横たわる難問を、その一つ一つの状況をきっちり把握し、優先順位をつけ、最善の解決策に落とし込める国家プロジェクトを、官民一体となった日本人の総力でもって立ち上げなければ、失われた30年は40年となり50年となって、日本の明日の未来は明るくならないと思います。

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 今回(750回)でもってこのブログを一旦休止いたします。「人気プログラミング」のサイトでは90名の方にフォロワーになっていただきました。ご覧になっていただき感謝申し上げます。又再開できるときまで、お元気でお過ごしください。

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2020年9月27日 (日)

菅政権「デジタル庁」は20年来の「行政手続きのすべてをオンライン化する」公約実現を

R  菅政権が発足して10日余り、働く内閣そして改革内閣として、縦割り行政の打破を始め、今まで手を付けようとして遅々と進まなかった政策を掲げて誕生しました。中でも目玉はデジタル改革、知見の多い平井卓也氏をデジタル改革大臣に据えて、本格的にスタートしました。

 しかしこのデジタル改革、2001年にすでに「行政手続きのすべてをオンライン化する」という公約として謳われていたそうです。その詳細を辛口の評論で有名な、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏が現代ビジネスに寄稿したコラムで述べています。タイトルは『菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった』(9/27)で以下に引用掲載します。

「行政手続きのすべてをオンライン化する」という2001年の公約が、いまだに実現されていない。デジタル庁の最初の仕事は、この公約違反状態を解消することだ。

その試金石は、外国では広く行われている運転免許証書き換えのオンライン化だ。それがすぐには難しいとしても、せめて自主返納 はオンライン化すべきだ。それさえできないのでは、事態は絶望的だ。

20年間放置されている公約

デジタル庁設置は、菅義偉内閣の目玉政策だ。

政府内部の仕事のオンライン化がもちろん必要だ。定額給付金でオンライン申請が混乱したこと、テレビ会議が満足にできなかったこと、そして感染者情報把握にいまだにファクスを使っていることなどが問題視された。そうした状況を改善することは、1日も早く必要なことだ。

国民の側からいえば、行政手続きのオンライン化を是非進めて欲しい。 

「2003年までに、国が提供する実質的にすべての行政手続きをインターネット経由で可能とする」。これは、政府の「eJapan 戦略」が2001年に決めたことだ。そのための法律まで作った。

では、この公約はどの程度実現できたか? 現在、政府手続きでオンライン化されているのは、わずか5%だ。ほぼ20年間の公約違反状態!

かくも長きにわたって、オンライン化は絵に描いた餅にすぎなかったのだ。行政手続きには、いまだに紙の書類とハンコが要求される。このため、在宅勤務が完結しない。

スイスのビジネススクールIMDが今年の6月に発表した「IMD世界競争力ランキング2020」で、日本は34位だった。これは、過去最低だ。日本は、1992年までは首位にいた。

デジタル技術では、日本は62位だった。対象は63の国・地域だから、最後から2番目ということになる。

デジタル庁 の最初の仕事は、上記の公約違反を早急に解消することだ。そのためにまず必要なのは反省だ。2001年 eJapan戦略の公約がなぜ実現できなかったのか? どこが問題だったのか?

政府は、この検証報告を2ヶ月以内にまとめるべきだ。反省なくして失敗を克服することはできない。

運転免許証書き換えのオンライン化を

行政手続きのオンライン化ができるかどうかの試金石は、運転免許証更新のオンライン化 だ。これができなければ、他のすべてをオンライン化できても、デジタル化は失敗といわざるをえない。

もともと、日本の運転免許証は、欧米に比べて厳格過ぎる。国によって交通事情は異なるから単純な比較はできないが、アメリカのカリフォルニア州では極めて簡単だ。私は、自分の車を試験場まで自分で運転して行って試験を受けた。

最初に免許を取得する場合はやむを得ないとしても、更新の手続きは、簡略化し、オンライン化すべきだ。視力検査は眼科医でできる。高齢者の認知テストもオンラインでできるはずだ。

私は、20年ほど前に、カリフォルニアの免許証を日本から更新したことがある。2013年1月にEU基準での改正となるまでは、ドイツやフランスの免許証は更新なしで、無期限に使えるものだった。改正後も、15年の期限だ。そして、更新もオンラインでできる国が多い。

世界的標準である更新のオンライン化が日本では簡単にはできないというのなら、せめて、運転免許証の自主返納 はオンラインでできるようにしてほしい。なぜ試験所や警察に出頭する必要があるのか、まったく理解できない。

運転免許証の自主返納では、何の試験も必要ない。本人確認と免許証の真正性が確保できればよい。これができなければ、他の手続きの オンライン化 ができるはずはない。

テストケースとして、まずこれをやってはどうか?これができれば、多くの人が歓迎するだろう。これさえできないというのであれば、事態は絶望的だ。デジタル庁など作っても、予算の無駄使いでしかない。

スマートフォンアプリ化では情報漏出の危険

運転免許証について、デジタル化との関連で政府は何をしようとしているか? 報道によると、運転免許証とマイナンバーの紐付けを行うことを検討しているそうだ。スマートフォンのアプリに保存することで、偽造防止や利用者の利便性向上につなげるのだという。

しかし、スマートフォンのアプリに保存することで利便性が向上するだろうか? その逆に、リスクが高まるのではないだろうか?

万一、スマートフォンを紛失した場合に、情報が漏出する危険がある。また、最近起こっているデジタル決済での預金不正引出し事件を考えると、スマートフォンを紛失しなくとも情報が漏出する危険がある

雇用調整助成金の申請システムなど、政府が作ったオンラインシステムには、情報漏洩事故を起こしたものがある。これを考えても、あまり信頼できない。私なら、こうした問題の深刻さを考えて、とてもこのアプリはダウンロードできない。

国民が望んでいるのは、こうしたことではなく、デジタル化による手続きの簡略化なのだ。

デジタル化とは既得権の切崩し

運転免許証のデジタル化が難しいのは、日本では免許証交付と更新が産業化してしまっているからだ。教習所を含めて、巨額の収入をあげ、膨大な職員を養っている。

高齢者の更新の場合には、安全確保の名目の下に、必要性の極めて疑わしい研修が義務付けられている。多くの人は、金を払ってもよいから教習所まで出向く時間はなしにしてほしいと思っているだろう。そして、コロナ下では、3密を回避したいと、切に願っているだろう。

しかし、これらをデジタル化すれば、現在の利権の多くは失われてしまう。だから決して簡単なことではないのだ。

この問題に限らず、日本におけるデジタル化とは、技術の問題というよりは、利権と既得権を切崩せるかという問題なのだ。これは、決して容易でない。一朝一夕に実現することではない。

まだファクスを使っている!

もう1つの問題は、仮にデジタル化しても、述べた適切なシステム作れるかどうかだ。これについて以下に述べよう。

9月6日公開の「厚生労働省のITシステムは、なぜこうも不具合が多いのか?」で述べたように、コロナ感染の状況を調査するためのシステムは、混迷を極めている。

最初は、NESIDという仕組みで情報を収集していた。これは、医療機関から保健所にファクスで感染届けを送り、それを保健所が集計して都道府県などに送るというシステムだった。ところが、感染が拡大してくると、ファクスではとても処理できなくなる。

そこで、HER-SYSというオンラインシステムが導入された。これは、発生、感染者の経過、濃厚接触者など、必要なデータをすべて処理するものだ。これによって、保健所の負担軽減を目指した。また、国や都道府県、保健所が情報を共有し、対策に生かすことが期待された。5月下旬から導入が始まり、保健所を設置する全国155自治体すべてに入力・閲覧権限が与えられた。

ところが、感染者が多い都市部で、この利用が広がっていないというのだ。9月21日の朝日新聞の記事「HER-SYS 道半ば」が伝えるところによると、東京都では、依然、保健所が医療機関から発生届をファクスで受け取り、HER-SYSに入力している。

横浜市も医療機関による入力は2割に満たず、残りは保健所の職員が打ち込む。大阪府でも保健所が発生届を入力している。保健所の業務量は、増えるだけだという。

デジタル化すればよいわけではない

なぜこんなことになってしまうのだろう?

細かい理由はいろいろあるが、要するに、「HER-SYS使いにくいから、保健所や公共団体にそっぽを向かれている」という単純なことのようだ。「HER-SYSは予算の無駄使い」と言わざるをえない。

いまもっとも緊急に必要な情報がこの有様だ。

「データに基づく判断が重要だ」とはしばしば言われる。まったくそのとおりだ。しかし、現在の日本では、データが迅速に得られず、信頼もできない、という状態なのだ。

接触感染アプリは、HER-SYSの情報をもとにして通知を行っている。HER-SYSが以上のような状況なので、接触感染アプリもほとんど役に立たないシステムになってしまっている。

これからも分かるように、「デジタル化すれば、それでよい」というものではない。使いやすく、効率的な仕組みでなければならない。

ついでに言えば、政府の統計サイトの使いにくさに、私は毎日のように悩まされている。利用者の観点など、まったく考慮されていない。使い方の説明をいくらよんでも分からない。

こうした状況を改善するには、9月13日公開の「日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制」で指摘したように、ベンダーとの癒着を排し、丸投げを是正する必要がある。

しかし、そのためには、発注者が問題を理解する必要がある。これも容易なことではない。

デジタル庁の発足は「来年中」だという。コロナ関連の事案については、残念ながら、間に合わないだろう。

 野口氏の言う通り、使い勝手のいいフォームでなければ多くの人は使いません。しかもデジタル機器の取り扱いに疎い人はなおさらです。使いにくくなっているのは利用者側の視点で入力設計をしていないことでしょう。「SIベンダーの言いなり」と氏は指摘していますが、その通りかもしれません。

 私は以前勤めていた会社で、初めてパソコンを使った人間です。その当時のパソコンは、利用者自身でプログラムを組んで使う必要がありました。BASICというプログラム言語を使用していたのですが、そのマニュアルの出来が悪いことに辟易としていました。ユーザーフレンドリーでは全くなかったのです。つまりパソコンメーカーのSEが利用者側に立たずに、プロである自身の立場で作り込むからこうなってしまうのでしょう。野口氏が言いたいのはこう言うことだと思います。

 もう一つ「既得権との戦い」も指摘していますが、確かにデジタル化の狙いは時間とコストの無駄の削除ですから、その無駄の部分で仕事を得ていた企業や人は大きな影響を受けます。しかし国として最も重要な全体最適を考えれば、そうした無駄にぶら下がっている企業や人たちは、別の活路を見出すべきでしょう。

 それが自由主義社会の当たり前の姿だと思いますが、どっこいこの既得権を失う側から見れば、様々な妨害工作に出てくることは目に見えています。

 突然話が変わりますが地上波テレビの世界がその典型です。NHKを含め、6つのキー局で地方もすべて系列化し独占状態です。もっと言えばメディアの世界全体がこの既得権の巣窟だと思います。彼らは新聞、雑誌、地上波TV、CS、BS すべて系列で固めて、朝日新聞などはAbemaTVでネットまで系列化しています。彼らの多くが言論世界を牛耳って、日本人を思想的に一定方向に向けようとしているようです。少なくともテレビの世界だけは、この寡占状態の既得権を打破しなければならないと思います。

 話を戻してこの既得権、そこに目をつぶれば今までと同じ構図になってしまいます。菅首相や平井大臣、それに河野大臣の手腕を期待したいものです。

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