オリンピックと人権侵害

2022年2月13日 (日)

中国五輪:アスリートの「私生活」を丸裸にする「ヤバすぎる現実」

11_20220213110501  日本人の活躍が続く北京五輪。昨日は男子スピードスケート500で、森重航選手が3大会ぶりのメダル(銅)を獲得しました。しかし森重選手のスタート時には、どう動いたのかも分からないフライイングの判定。新浜立也選手が登場した最終組の滑走時も、同組滑走のデュブルイユ選手が不明のフライイング。

 結果的には、中国の高亭宇選手が金メダルを獲得したレースでしたが、最終2組が立て続けに意味不明のフライイング判定。これでは、既に滑走済みの中国選手に、金メダルを確定させるために仕組んだのではないかとの疑惑も、当然浮上するでしょう。ネットではそうした声が多く出ているようです。

 前回のブログでも取り上げましたが、こうした数多くの疑惑の判定が続く北京五輪、疑惑判定以外にも、選手にとって大きな問題をはらんでいるようです。週刊現代が取り上げた記事から見てみます。タイトルは『中国「監視社会」の闇…五輪アスリートの「私生活」が丸裸にする「ヤバすぎる現実」』(2/09)で、以下に引用して掲載します。

2月4日に開幕した北京オリンピック。アスリート達が活躍する一方で、選手や関係者に使用を義務付けた「My2022」が、実はスパイウェアであることを前編記事『北京オリンピック開会のウラで…メディアが報じない「中国・監視社会」のヤバすぎる現実』でお伝えした。

中国のこうした技術は、すべて新疆ウイグル自治区で実験され、実用化されたとジャーナリストのジェフリー・ケイン氏は述べる。現政府に対してネガティブな思想を一掃する中国の、監視社会の現実を引き続きお伝えする。

********

デジタルの牢獄

こうした一部過激派を弾圧するため、中国政府は新疆ウイグル自治区に住む全住民を監視下に置くことを目的に、ITを駆使して「完璧な警察国家」を作り上げたのだ。

「ウイグルの人たちはスマホに『浄網衛士』というアプリをインストールすることを義務付けられているとされます。

これはスマホにある写真やメッセージ、通話履歴などをすべてスキャンして、不都合な内容があれば、当局に通報するシステムと言われています。当局にとって都合の悪い言葉を検閲する機能も搭載されているようです。

これらは今大会でインストールが義務付けられた『My2022』と似ている部分があると感じました」(科学ジャーナリストの倉澤治雄氏)

ウイグルでは通信情報のほか、町のいたるところに設置された監視カメラの画像が個人情報と紐付けられ、AIを用いて、将来の犯罪発生を予測することまで現実に行われるという。

犯罪予防局が、殺人を犯すと予想された人物を事前に逮捕する社会を描いた映画『マイノリティ・リポート』の世界だ。

「ウイグルでは、当局が収集したデータに基づいて、その人がどういう犯罪を行う可能性があるのかを予測します。DNAやバイオメトリクス(生体情報)、成育歴、普段の行動、思想傾向、資産状況などからその人のノーマルな状況を割り出し、そのパターンから逸脱すると、収容所に送り込むかどうかをAIが判断するのです。

たとえば、爆発物の原料としても使用できる化学肥料を普段は5kg買う人が、突如として15kg買ったとしたら、警察が自宅を訪ねてくることもあったといいます」(ジャーナリストのジェフリー・ケイン氏)

強制収容所では、「再教育」という名目で、劣悪な環境に閉じ込められ、中国共産党と習近平国家主席を礼賛するよう「洗脳」されるという指摘もなされている。

81194_1413_af6f37dce6c978d9e33dac7615951 【左表】恐ろしすぎる中国の監視システム

元中国籍の芥川賞作家、楊逸氏はこう嘆く。

「欧米が北京五輪を外交ボイコットするのも当然でしょう。そもそも、ウイグルなどで人権問題があり、しかもそれが国際的にある程度周知されている国でオリンピックを行うこと自体が理解できません」

中国政府はウイグルで実現した「デジタル化された牢獄」を、今や全土に広げようとしている。

倉澤氏が言う。

「中国ではコロナ対策として『健康コード』というスマホアプリが導入されました。これは利用者の感染リスクを3段階に分けて表示するものですが、このアプリがなくては公共交通機関も使えず、買い物もできません。

しかも、これまで使われていたカード式身分証明書をアプリ化した『CTID(CyberTechnologyID)』とも連携しており、ワクチンパスポートの機能も果たしているため、これがなくては生活ができません」

CTIDは顔認証システムとも連動しているとされ、当局がその気になれば、街角の監視カメラに映った顔と身分証明書を照合し、その人物がどこにいるかを瞬時に特定できるという。

「また、中国では'20年7月から中国版のGPS『北斗』を稼働させました。中国国内で生産されたスマホだけでなく、アップル社製のiPhoneにも搭載されています。つまり、中国国内のほぼすべてのスマホの位置情報を割り出せるのです。

加えて監視カメラの情報と照合したら、スマホの持ち主がどこにいるのか、正確にわかってしまうでしょう」(倉澤氏)

監視カメラに顔が映らないようにしたり、背を向けたりしても意味がない。倉澤氏が続ける。

「歩き方や姿勢、荷物を持つ時の癖などから個人を認証する『歩容認証』という技術もあります。その他にも、血液や毛髪のDNA検査も行い、情報を蓄積しています。

もちろん、技術自体は日本や米国でも研究・開発されているものです。要は使い方の問題です。中国政府が国民の監視に使うとしたら、明らかにやりすぎでしょう。

中国では選挙を経ずに、共産党の一党独裁体制が続いています。このため、体制を脅かしかねない人々の動きに過度に敏感になっており、自国民の監視をせざるを得ない状況なのかもしれません」

監視カメラやAIで要注意人物がピックアップされると、IT技術者がさらに調べを重ねる。中国アジアITライターの山谷剛史氏が話す。

「自動的に要注意人物を抽出した後は、人力でその人のSNSなどを洗い出し、場合によってはハッキングすることで、その人物をマークするべきか否かを判断します。

こういったマンパワーを要する作業に従事するのは、『インターネットコンテンツ審査員』と呼ばれる、中国各地の若者たちです。地方のネット企業検閲部署によって公募され、技術的に鍛えられた彼らは、近年、存在感を増しています」

「丸裸」にされる選手たち

仮に彼らの精鋭が日本人アスリートを標的にしたら、北京での行動はすべて丸裸にされるだろう。

今回も選手村では、恒例となっているコンドームの配布が行われる。ただし、ホテルや選手村の内部はすべて監視カメラで録画され、音声情報も抜き取られている可能性がある。

最悪の場合、誰と誰がどこで性行為を行ったかなど、プライバシーの最上位にあたる情報までが、中国当局に筒抜けになるおそれがある。

スマホを使って、自国の家族や恋人と交わした個人的な会話にもすべて、中国当局のIT技術者たちが聞き耳を立てていることも考えられる。

中国は北京五輪に、国家の威信を懸けているのだ。そのためには、あらゆる行為が正当化される。スポーツマンシップを信じたいところだが、中国当局は少なくともスポーツマンではない。

それでもアスリートたちは必死に戦い、結果を残してくれるだろう。その代償として、選手が残す膨大な「個人情報」がどう使われるかは、中国当局次第なのである。

 ◇

 日本の当局が五輪終了後に、選手のスマホのデータを消去するように勧告したようですが、選手村や五輪会場の中でデータをハッキングされていたら、意味がないでしょう。

 中国は西側諸国から、様々な製品の製造技術を教わったり盗んだりして、一大製造大国となりました。そしてその製造で稼いだ金を、軍備やITに集中的に投資し、今や世界に冠たる軍事並びに監視国家となり、共産党の継続のために全国民を管理しています。

 そして、さらにあらゆる機会を利用し、外国の個人情報も得ようとしているようです。五輪はその格好の場となっているのでしょう。疑惑判定もさることながら、この選手監視の方もあり得ないことで、まさに五輪を開催する国としては完全欠格だったと言えるでしょう。

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2021年12月 4日 (土)

北京五輪、外交ボイコットでも足りない

Img_4f8524d83a2adb6060a81dcacfe9d1a13998   以前このブログで、元共産党幹部との不倫関係を告発した中国のテニス選手への、中国当局からの圧力疑惑で、北京五輪への外交ボイコットの動きが出ていることを取り上げましたが、今回もそれに関する記事を取り上げたいと思います。

 評論家で軍事ジャーナリストの、潮匡人氏が産経新聞に寄稿したコラムがそれで、タイトルは『北京五輪、外交ボイコットでも足りない』(12/2)です。以下に引用して掲載します。 

 ◇

11月25日、林芳正外務大臣が報道各社のインタビューで「ここ数年、新型コロナの影響もあって、日中間の国民交流というものが非常に低調になってきております。日中国交正常化50周年である来年を契機に、経済・国民交流も後押ししていくことで一致しているところです」と語った。

たしかに、来年(2022年)は日中国交正常化50周年の節目に当たる。だが、いくら岸田文雄内閣が「後押し」しようが、「国民交流」は進むまい。中国(武漢)で発生した新型コロナウイルスによる感染拡大で多くの国民が犠牲となり、塗炭の苦しみを強いられたのに、中国政府は、武漢ウイルス研究所に対するウイルス起源の調査にも非協力的である。とても私は積極的に交流する気にはなれない。

しかも、最近、中国軍(人民解放軍)とロシア軍が「合同パトロール」と称し、日本周辺での共同軍事行動を活発化させている。

10月18日には、中国海軍とロシア海軍の艦艇合わせて10隻が、津軽海峡を同時に通過して太平洋に出た。そのまま太平洋を南下、伊豆諸島付近から太平洋を西に向けて航行した後、大隅海峡を通って東シナ海に入った。中露両軍による日本1周である。

さらに、翌月18日にも、中国海軍の艦艇2隻とロシア海軍の艦艇1隻が相次いで対馬海峡を南下し、日本海から東シナ海に出た。

その前日(11月17日)には、中国海軍の測量艦が鹿児島県の屋久島と口永良部島付近の海域で日本の領海に侵入した。同月19日にも、中露の戦略爆撃機4機が、日本海から東シナ海の上空を南下し、尖閣諸島の手前で針路を変え、宮古海峡の上空を抜けて太平洋へ飛行した後、東シナ海へ引き返した。

岸信夫防衛大臣の記者会見での言を借りよう。

「両国の戦略爆撃機によるわが国周辺での度重なる軍事演習は、わが国周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、わが国に対する示威行動を意図したものと考えられます。(中略)わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを如実に示すものであり、安全保障上の観点から重大な懸念を有していると言えます。(中略)わが国の防衛力を大幅に強化するため、あらゆる努力を行っていく所存であります」(11月23日・防衛省公式サイト)。

林外相、工作活動のターゲットに

現役の防衛大臣(旧防衛庁長官を含む)が「わが国の防衛力を大幅に強化するため、あらゆる努力を行っていく」と明言したのは自衛隊史上初である。それも、岸防衛相は「言うだけ番長」ではない。防衛省は今年度補正予算と来年度予算を一体とする「防衛力強化加速化パッケージ」とし、補正予算案の防衛関係費には補正としては過去最大となる7738億円超が計上された。拍手喝采を贈りたい。

ただ、中国軍の技術開発も進む。英紙「フィナンシャル・タイムズ」は11月21日、中国が今夏行った実験で、極超音速兵器が滑空中に飛翔体を発射していたと報じた。「これまで極超音速滑空体から飛翔体を発射できる能力を証明した国は中国以外には存在しない」(米紙ウォールストリート・ジャーナル」11月23日)。このニュースが世界に与えた衝撃は大きい。日本にとっても、上記防衛努力を無効化するおそれが高い。

やはり日中国交正常化50周年を祝う気分にはなれそうもない。だが、中国当局はしたたかだ。林外相に的を絞り、工作活動を開始した。その一端を、林外相自身が明かしている。11月21日朝、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で「(王毅外相との)電話会談で、中国側からは訪問のインビテーション(招待)があった」と明かした。BS朝日の報道番組「激論!クロスファイア」にも出演し、「日中外相電話会談でも招請は受けましたので、(訪中の)調整はしていこうと」と語った。

産経新聞の「主張」(社説)を借りよう。「就任直後に、軍事的威嚇をするような国へいそいそと出かけるべきではない。外相訪中には慎重な判断が必要である」

中国に利用され続ける日本

フジ番組でバイデン米大統領が来年の北京冬季五輪に政府高官を派遣しない「外交ボイコット」の検討に言及したことについて問われた林外相は、「日本は日本の立場で物事を考えていきたい」との岸田首相のコメントを引きつつ、「何かをやらないとかやるとかということではなく、我々は我々として考えていく」と具体的な表明を避けた。BS朝日の番組でも、「現時点では何も決まっていない」と述べるに留めた。

米国に加え、「ファイブ・アイズ」と呼ばれる機密情報を共有する枠組みを持つ英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドも、外交ボイコットを検討している(英タイムズ紙)。欧州連合(EU)欧州議会も7月、人権状況次第で政府代表らの招待を断るよう加盟国に求める決議を採択した。

さて、日本はどうすべきか。日本政府は「現時点では何も決まっていない」というが、かつて1980年のモスクワ五輪ボイコットを当時のカーター米大統領が宣言したのは、開会の約半年前だった。来年の北京五輪開催まで、あと2カ月。いつまで優柔不断を続けるのか。小田原評定に明け暮れている場合ではあるまい。何のために国際人権問題担当補佐官を置いたのか。

日本は米中の間で揺れる船であってはならない。自由民主主義陣営と権威(専制)主義陣営が対立するなか、しっかり前者の側に立ち、後者と対峙すべきである。

来年の北京五輪について言えば、米国の元駐日大使から言われるまでもなく、外交ボイコットは当然である。ここで、2008年8月の北京五輪を思い出してみよう。

当時の国連事務総長に加え、英チャールズ皇太子も開会式への不参加を表明。フランスの外相も「EUは開会式への不参加を検討すべき」と発言し、実際に英国やカナダ、スペイン等々、世界各国の首脳が開会式への参加を控えたが、日本は当時の福田康夫首相が笑顔で開会式に参加した。当時の天皇陛下、皇族方のご出席要請まで受けていたが、これはさすがに実現させなかった。危ないところだった。

1989年の天安門事件後に開かれたG7サミット(先進国首脳会議)も忘れてならない。対中関係の維持を図る日本が、人権重視の欧米に「1対6」の構図で抵抗。中国への制裁で結束していた西側諸国の足並みを、一人で乱した。当時、中国外相を務めた銭其琛元副首相は後に、「日本は西側の対中制裁の連合戦線の最も弱い輪であり、中国が西側の制裁を打破する際におのずと最もよい突破口となった」と回顧した(『銭其琛回顧録』東洋書院)。

けっして同じ轍を踏んではならない。せめて外交ボイコット。いや、それだけでは足りない。選手団も開会式をボイコットすべきだ。なぜなら、五輪開会式では開催国の国家元首が開会宣言をするからだ。かつてはオリンピック憲章にも「選手団は、貴賓席のボックスまえを通過する際、開催国の国家元首ならびにIOC会長に敬礼をする」と明記されていた。

独裁国家の国威発揚にも利用されてきたのが五輪開会式だ。日本人選手団を、そんな場所で、私は見たくない。

 ◇

 ここへ来て、オミクロン株の世界的な感染拡大が懸念され、日本は全外国人の入国を停止し、大阪開催のフィギュアスケートのグランプリファイナルも中止としました。このコロナの懸念に加えて、人権抑圧を一向に改善しない中国への対応のため、政府要人のみならず、選手の派遣にも暗雲が立ちこめています。

 こうした中、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン会長兼最高経営責任者(CEO)は1日、香港を含む中国でのWTAの全トーナメントを即時停止すると発表しました。多額の協賛金を失ってでも、中国の人権無視の姿勢に一石を投じたと言うことで、多くの人たちから賛同を得ています。

 中国は、日本でのオリンピック・パラリンピックへの協力を引き合いに出し、日本も協力すべきだというメッセージを出していますが、問題の本質が異なりますし、協力してくれたのは中国だけではありません。潮氏の言うとおり、こんな中国での冬期オリンピックで、開会式の選手団の行進において、独裁者の前で敬礼する姿など見たくありません。

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2021年11月26日 (金)

北京五輪「全面ボイコット論」も浮上、日本はどうする?

7_20211125143201  ウイグルの民族弾圧問題に続き、女子テニス選手・彭帥氏の告発問題も重なり、民主国家を中心に、中国の冬季オリンピックへの不参加を検討する国が増えています。

 多くは各国政府要人の不参加への検討表明ですが、一部に、選手の不参加も主張する元高官も現れて、大きな広がりを見せ始めています。zakzakが公開したコラムにその状況が記述されています。タイトルは『北京五輪“全面ボイコット論”浮上、日本はどうする? カナダで強硬な主張「選手が人質になる」 日本は政治家も外務省も方針あいまい』 (11/25)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 来年2月の北京冬季五輪・パラリンピック開幕まで2カ月余り。中国の人権弾圧を理由に米国や英国が「外交的ボイコット」を検討するなか、共産党幹部から性的暴行を受けたという女子テニス選手、彭帥(ほう・すい、35)の告発も影を落とす。国際オリンピック委員会(IOC)は火消しに躍起だが、カナダでは全面ボイコット論も出始めた。日本はどう向き合うべきか。 

 ************

 北京での冬季五輪は2015年に招致が決まったが、新疆ウイグル自治区や香港での人権弾圧、台湾の防空識別圏(ADIZ)への侵入など、ホスト国の中国による強権的姿勢が批判を集めた。

 ジョー・バイデン米大統領やボリス・ジョンソン英首相は首脳や政府使節団を送らない「外交的ボイコット」を検討すると明かし、欧州連合(EU)欧州議会も人権状況次第で政府代表らの招待を断るよう加盟国に求める決議を採択した。

 中国外務省の趙立堅報道官は今月22日の記者会見で「騒ぎ立てても、各国のスポーツ選手の利益を害するだけだ」と反発。23日にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が開会式に出席する方向で調整していると明らかにした。

 より強硬な主張も出ている。カナダ紙グローブ・アンド・メールは23日、米英両国が検討している外交的ボイコットでは、派遣選手を中国の「人質」とする危険にさらしかねないため、全面ボイコットにするべきだとするカナダの元外交官、エリック・モース氏の論評を伝えた。モース氏は1980年のモスクワ五輪ボイコットに関わった経験を持つ。前年の旧ソ連のアフガニスタン侵攻をきっかけに米国がボイコットを呼びかけ、カナダのほか日本も選手を送らなかった。

 国際的な批判とは裏腹に、IOCは中国に近い立場をとる。トーマス・バッハ会長は、消息不明とされる彭帥とビデオ通話を行ったと発表したが、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は「中国政府のプロパガンダに加担するな」とIOCを批判する声明を発表した。

 スポーツライターの小林信也氏は「(ナチス政権下の)36年ベルリン五輪やモスクワ五輪が開催されてきた歴史を振り返れば、IOCが人権を尊重する立場に立った過去はほとんどない。中国のスポンサーから支払われるチャイナマネーの存在も指摘されるが、スポーツ文化を支配してきたIOCの体質は中国共産党と親和性が高い印象も受ける」と指摘する。

 日本の態度はまだどっちつかずだ。岸田文雄首相は19日、バイデン政権の外交的ボイコット検討を受けた政府対応について「日本は日本の立場で考える」と述べるにとどめた。

 林芳正外相は、中国の王毅外相と18日に行った電話会談で訪中の招待があったと明かしたが、自民党の佐藤正久外交部会長は24日、外交部会などの会合で「(林氏の訪中は)間違ったメッセージを海外に出すことになる」と強調した。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「日本経済は中国への依存度が高く、企業は対中強硬姿勢をとることで関係が悪化することを恐れている。自民党も企業の反発を無視できない党内力学が働いているのではないか」と分析する。

 政治家だけでなく、外務省の外交方針もあいまいな態度の背景にあると黒井氏はみる。

 「外務省には、厳しい態度を取るよりも融和的な外交を志向する伝統のようなものがある。米国からはボイコットを求める圧力がかかるだろうが、外務省はそっとしておきたいのが本音だろう。最終的には岸田首相自身がきちんと意思表明することが求められるのではないか」

 ◇

 岸田首相は果たしてどういう意思表示をするのでしょうか。少なくとも自身が推挙した林芳生外相は、かつて日中友好議員連盟の会長を務めており、任期中には「中国のコロナ対策や経済成長の成果を積極的に評価し、北京冬季オリンピックに協力し、両国の世論基盤を改善して、友好事業を絶えず新たに発展させ、良好な雰囲気で2022年の日中国交正常化50周年を迎えたい」と述べていることから、急に北京冬季オリンピックをボイコットするとは言えないでしょう。

 その外相の意見を全く無視して、岸田首相が要人派遣を断るかどうかは難しい選択だと言えます。そこで「日本は日本の立場で考える」と、いったん述べておいて、米英などの出方を窺っているのでしょう。

 何れにしても、中国に経済面の多くを牛耳られている日本にとって、中国に忖度せざるを得ない状況なのは分かりますが、中国からの経済的独立を図りながら、覚悟を持った外交を進めていかなければ、頼りにする米国からも、他の民主国家からも、日本は異なる存在だと、思われかねないリスクは大きいと思います。

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2021年8月12日 (木)

北京ボイコットがいよいよ始動 虐殺容認ではバッハ会長も針のむしろか

9_20210811154401  前回は北京冬季オリンピックについて、ボイコット論と会場建設の様子を同時に紹介しましたが、今回はボイコット論に絞って取り上げたいと思います。平和の祭典でもあるオリンピックが、今まさしく人権侵害を通り越して、虐待や虐殺まで行っていると見なされている国で行われるべきではないという、国際世論が起こりつつあります。

 以下に、米国在住のジャーナリストの高濱賛氏が、JBpressに寄稿したコラムを引用して紹介します。タイトルは『東京五輪終わり、北京ボイコットがいよいよ始動 虐殺容認ではドイツ人の剛腕バッハ会長も針のむしろか』(8/11)です。

米中対決で有名無実化の五輪精神

 コロナ禍の東京五輪を何とか切り抜けたトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長だが、一難去ってまた一難。

 6か月後には欧米諸国の指導者たちが目の敵にする北京冬季五輪が待ち構えている。

 東京五輪ではごり押し(?)が功を奏した剛腕バッハ氏だったが、北京五輪ではそうもいかなくなってきた。

 カリフォルニア大学バークレー校のW教授(現代史)は五輪精神と政治についてこう語る。

「バッハ会長は『オリンピックには政治的な問題は一切持ち込まない』と大見栄を切っているが、オリンピックは常に政治に翻弄されてきた」

「現にドイツナチスは侵略予定ルートをあらかじめ聖火ランナーに走らせたし、中国は台湾の国名をめぐって、米国はソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して、それぞれ五輪ボイコットしている」

「ソ連は1984年のロサンゼルス五輪を報復ボイコットしている。五輪ボイコットは別に大事件ではない」

 東京五輪で米国は中国と金メダル争奪戦で土壇場まで激しいツバ競り合いを演じた。米国は39個と1つ差で中国に勝ち、かろうじて「米中対決」を制した。

「金メダルで米国を打ち負かす」という習近平国家主席の号令一下、中国は頑張ったが、お家芸の卓球やバトミントンで取りこぼして敗れた。

 おそらく中国は、「江戸(東京)の仇は長崎(北京)で討つ」思いに燃えているのだろうが、冬季五輪では中国のお家芸はない。

 中国にとっては、北京五輪は金メダル争奪戦ではなく、「座敷を貸す」ことで国威発揚を狙い、全世界に中国の国力を誇示する政治の檜舞台だ。

 これを阻もうとする米国は、ウイグル族に対する「ジェノサイド」(民族大量虐殺)容疑を盾に中国の前に立ちはだかっている。

 米国にとっては人権問題は放ってはおけない最優先事案。たとえアスリートの夢を破っても絶対に譲れない。

 中国は終始一貫、「虐殺などない。濡れ衣だ」と真っ向から反発。こちらも面子をかけて無実を主張し続ける。双方ともに掛値なしの激突だ。

 ただ、冬季五輪は夏季五輪と異なり、参加国の9割は欧米の白人国家ばかり。白人たちのスキーやアイスケートといった「ホワイト・リリー(白人同士)の競争」が昇格して五輪になった経緯がある。

 非白人の国は中国、日本、南北朝鮮ぐらいなものだ。欧米がどんな形のボイコットにせよ、ボイコットだ、と言えばそれが通る可能性大だ。

(日本はどう出るのか。たとえ米英独仏が外交ボイコットに踏み切っても菅義偉首相は親中国派の二階俊博幹事長あたりを開会式に出席させるのだろうか)

武漢ウイルス研究所流出説とデルタ拡散

 北京五輪で中国を不利な立場にしているのは、ウイグル問題だけではない。

 それに追い打ちをかけているのが、武漢ウイルス研究所の極秘情報流出、そして新たに中国各地で再拡散し始めているウイルスだ。おそらく感染力の強いデルタ株だろう。

 欧米諸国は新型コロナウイルスの発生源は武漢ウイルス研究所だと確信している。

 8月2日、米情報機関は新型コロナウイルスが同研究所から流出したことを裏付けるウイルスのサンプル遺伝子情報を入手したという。

 米下院外交委員会メンバーのマイケル・マコール議員(共和、テキサス州選出)が明かした情報だ。

 ジョー・バイデン政権は5月下旬、同研究所流出説の解明調査を米情報機関に指示。期限を「90日以内」としており、8月24日がその期限だ。

 中国はこうした米国政府の動きに「でっち上げと歪められた事実に基づく嘘八百」と激しい口調で反発している。

 米議会にはウイグル族虐殺だけでなく、ウイルス流出疑惑という点からも北京五輪をボイコットせよ、という声が上がっている。

ボイコットでは米民主、共和両党は一致

 北京五輪ボイコットについては、バイデン政権と共和党とは意見が一致している。

 米国内では、保守、リベラルを問わず「嫌中国」感情が醸成されているからだ。反中でなければ選挙には勝てないような「踏み絵」になっているのだ。

 東京五輪開幕式の7月23日に米議会中国問題行政委員会(CECC)*1の4人の上下両院議員は、怒りの矛先をバッハ氏に向けた。

 同氏に書簡を送り、「中国が人権弾圧行為をやめない限り、北京五輪を延期するか、冬季五輪の開催地を別の場所に変更するよう」要請したのだ。

*1=同委員会は、中国の人権問題を監視することを目的で2000年に設置された。

 書簡を送ったのは同委員会の共同委員長、ジェフ・マーケル上院議員(民主、オレゴン州選出)とジム・マクガバン下院議員(民主、マサチューセッツ州選出)らだ。

 書簡の要旨は以下の通りだ。

「主催国の政府がジェノサイドや人権に対する罪を犯している国でオリンピックは行われるべきではない」

「わが委員会は、2018年にも貴殿に対し、中国が人権弾圧を行っていることについて憂慮を伝えにもかかわらず、何らの回答も得ていない」

「貴殿が中国に対してこうした行為をやめるように要求したといういかなる証拠も得ていない」

「もしIOCが中国による人権弾圧を全く無視し続け、北京五輪を開催するようなことがあれば、五輪自体が極めて人権問題に脆弱であるかを反映することになる」

「この問題は、IOCが政治の影響を受けないということとは別次元の話だ。ジェノサイドに反対するということは政治問題ではない。これは基本的なモラルであり人間の尊厳にかかわることなのだ」

 バッハ氏は3月、この問題について記者団にこう答えている。

「IOCはスーパー・ワールド・ガバメント(超世界政府)ではない。IOCは国連安保理やG7やG20が解決すべき事案について自ら解決もできないし、主張することもできない。IOCは自分たちの責任範囲の中で責任を果たすことしかできない」

 IOCにとっては米国も中国も重要な参加国であり、金銀銅メダル獲得二大国でもある。商売上の「顧客」でもある。米国だけの言い分だけを聞いて行動をとるわけにはいかない。

 IOCは4年前、五輪開催国を選出する際に「国連人権処理原則」(United Nation’s Guiding Principles on human rights)を適用することを決めたのだが、2022年の北京冬季五輪はそれ以前に決定していたのだ。

コカコーラなど北京五輪スポンサーを出入り禁止

 さらに米議会には今2つの北京五輪関連の決議案が提出されている。

 一つは5月27日に北京五輪にスポンサーになっている米企業を米政府全機関との商業取引からシャットアウトする法案だ。つまり出入りを禁止する法案だ。

 これには、コカコーラ、ビザ・カード、インテル、プロクター&ギャンブルが対象になる。

 同法案は、米海兵隊グリーンベレー出身のマイク・ワルツ下院議員(共和、フロリダ州選出)と元外交官のトム・マリノースキ下院議員(民主、ニュージャージー州選出)が共同提案者だ。すでに下院外交委員会に上程され、審議を待っている。

 米政府機関だから国防総省も含まれているが、例外として「国家安全保障上不可欠な物品サービスは対象から外すという。法案が成立してから30日以内に実施される。

 もう一つは、6月2日に6人の下院議員が共同提案したIOCに「2022年冬季五輪を北京以外で開催するよう要求する」決議案だ。

 提案者は、前述のマリノースキ議員のほか、マイク・ギャラファー議員(共和、ウィスコンシン州選出)、韓国系のヤング・キム議員(共和、カリフォルニア州選出)らだ。

 同決議案は、以下の点を指摘している。

一、IOCは人権問題についての立場を明確化せよ。IOCが「政治を超越した立場」を堅持することは何も今ウイグル自治区で中国政府がやっている大量殺戮について目を瞑る、ということではない。

二、IOCは北京に代わる開催地を緊急に選ぶよう要請する。

三、IOCは五輪開催中に選手たちの表現の自由を禁ずるのではなく、それに代わる規則を提示するよう要請する。

 ジェノサイドが続く限り北京五輪開催には反対することを表明している国・機構は英独仏伊、スウェーデン、デンマーク、スイス、ベルギーの8か国と欧州連合(EU)議会だ。

 冬季五輪は夏季五輪と異なり、参加国は欧州諸国が圧倒的に多い。2018年平昌五輪のメダル獲得のトップはノルウェー(39個)、ドイツ(31個)。それにカナダ(29個)、米国(23個)、オランダ(20個)、スウェーデン(14個)が続く。

 中国は金メダル1個、銀銅は8個だった。日本は金4個、銀銅9個だった。

 その意味では米国やドイツ、オランダ、スウェーデンが北京開催に反対する声はIOCにとって大変なボディブローになりそうだ。

 これらの国が万一ボイコットすれば五輪は成り立たなくなる可能性大だ。

米五輪委員会:選手不参加以外の方法も

 米下院の中で北京五輪ボイコットに猛反対しているのはナンシー・ペロシ下院議長(民主、カリフォルニア州選出)だ。

 ペロシ氏は、5月18日、前述の米議会中国問題行政委員会での聴聞会でこう述べていた。

7f0468d722c78d851fe945954b95c428 「2018年の国連人権委員会の報告書によれば、新疆ウイグル自治区で中国政府は少なくとも100万人のウイグル族を強制収容所に収容している」

「下院には北京五輪関連の決議案がいくつか上程されているが、上院も北京五輪を阻止する法案を審議してほしい」

「例えば、米国だけでなく、世界各国の指導者たちに北京五輪には出席しないよう呼びかける決議案を出してはどうだろうか」

 ペロシ氏は、北京五輪を完全ボイコットできなくても「外交ボイコット」を米国はじめ主要国が行うことで、北京五輪を舞台に習近平国家主席がやろうとしている「オリンピック外交」を阻止しようというのだ。

 背景には、北京五輪を目指して過去4年間、練習してきたアスリートたちの思いを慮る米国五輪委員会の意向が見え隠れしている。

 米国五輪委員会のサラ・ハーシーランド事務局長はこう述べている。

「米国五輪委員会は当然、ウイグル族弾圧については関心を払っているが、それだからといって米国選手を北京五輪に参加させないというのは、唯一の答えとは言えない」

 前述の中国国内でのコロナウイルス再拡散を憂慮するIOCは、「今後の状況を見ながら無観客の五輪も検討せねばならなくなるだろう」(クリストファー・ダビIOC事務局長)との観測気球を上げている。

中国にコロナ再拡大の新たな逆風

 こうした北京五輪ボイコットの動きで中国は四面楚歌の状況に落ちいっているかに見える。

 中国は東京五輪をべた褒めにしているが、どうやら日本が北京五輪ボイコットには乗らないことを期待しているからだろう。韓国はどうか。

 こうした中国にまた一つ逆風が吹き始めた。

 コロナを撲滅したと豪語していた武漢市の衛生健康委員会が4日、1200万人の市民全員を対象にPCR検査を実施すると言い出したのだ。コロナ撲滅宣言から約1年3カ月ぶりに市中感染者が確認されたのだ。

 武漢市だけではない、中国国内各地で7月以降、コロナ感染が再び拡大しているのだ。

「欧米ではコロナ―武漢―中国といった疑惑の構図が根強い。東京五輪は大丈夫だったが、北京五輪は敬遠する、と言い出すアスリートも出てくるかもしれない」(米主要メディアの五輪担当記者)。

 ボイコット気運はアスリートの間にも広がりつつある。

 習近平国家主席の胸の内は複雑だろう。その心中を知る親中派(?)のバッハ会長も米中の板挟みにあって悩ましいはずだ。

 その中国はどう対抗するのか。

 米外交関係評議会(CFR)のサイト上でリンゼイ・マイズランド氏はこう分析している。

「北京五輪ボイコットにはいくつかの選択肢がある」

「一、米議会などに出ている外交ボイコット。参加国は指導者はもとよりいかなる政府関係者も参加させない」

「二、開催地を北京から別の国の場所に移す。開催地・北京ボイコット」

「三、選抜されたアスリート自身が参加をボイコットする。またウイグル族弾圧に抗議するステートメントを公表する」

(こうした行動を米五輪委員会は禁止しているが、アスリートが実際に行った場合、制裁措置を取るかどうかは分からない)

「四、北京五輪と契約を結んでいるスポンサーに対する制裁」

「ボイコットに対して中国はどう出るか。中国は地球温暖化問題での合意事項を破棄したり、米国内の外交公館閉鎖の措置をとるかもしれない。また14億人の中国市場からの米製品締め出しもやるかもしれない」

「面子を潰された中国は怒り狂って何をするか、想定困難だ」

 いよいよ北京五輪ボイコットをめぐる米中の攻防が本格化する。ドイツ人弁護士のバッハ氏にとっては「針のむしろ」が待っている。

 ◇

 前回も述べましたが、北京冬季オリンピックボイコットは、米国などボイコット側と中国との政治対決であって、今のところどうなっていくかは見通せません。ただ米国の狙いの一つが、中国をジェノサイド国家と言い続けることにより、国際的な批判を中国に向け、今後の米中対立を優位に進めるための、格好の道具となることでしょう。

 そのためにもボイコット側により多くの国を味方につけ、優位な展開を勝ち取りたいでしょう。そのとき日本がどうでるか、モスクワオリンピックの時は同調しましたが、当時はソ連は日本にとっても敵対国でした。今の中国とは状況が違います。更には中国に忖度し、人権外交では常に積極的ではない態度を示していますので、おいそれとは踏ん切りがつけられないのではないでしょうか。米国の外圧次第でしょうね。

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2021年8月11日 (水)

北京冬季五輪のボイコット論急拡大の中で、中国の威信をかけた建設が進む会場

Https___imgixproxyn8sjp_dsxzqo0444163028  東京五輪が成功裏に終わり、8月24日開催のパラリンピックを経て、いよいよ次の話題は、北京で行われる冬季オリンピックに移っていきます。ただこの北京五輪に関しては、アメリカを中心にボイコット論が浮上してきています。

 その詳細について、昨日の産経新聞に掲載された『北京オリンピックボイコット論、欧米で急拡大』から、引用して以下に掲載します。

約6カ月後に迫った北京冬季五輪(来年2月4日開幕)に関し、中国政府による新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害や香港での民主派弾圧を問題視する立場から、ボイコットや開催地の変更を求める声が米国や欧州で急速に拡大している。8日の東京五輪閉幕を受け、北京五輪開催のあり方をめぐる議論が各国で活発化しそうだ。

バイデン米政権は北京五輪への対応は「未定」としているが、北京での開催を疑問視する声は超党派で広がっており、早急な意思表明を迫られるのは必至だ。

トランプ前政権下で国家情報長官を務めたジョン・ラットクリフ氏は2日、FOXニュースのウェブサイトへの寄稿で、国際オリンピック委員会(IOC)に「中国に世界的行事を開催することによる恩恵を享受させてはならない」と訴え、開催地を北京以外に変更すべきだと主張した。

一方、与党・民主党のペロシ下院議長は、選手団を参加させつつ、首脳や政府使節団の派遣を見送る「外交的ボイコット」を提唱している。2002年ソルトレークシティー冬季五輪の組織委員会会長を務めた共和党のロムニー上院議員も7月、ツイッターで外交的ボイコットを支持した。

共和党のルビオ、民主党のマークリー両氏ら超党派の上院議員4人は7月23日、IOCのバッハ会長に書簡を送り、ウイグル族迫害を引き合いに「ジェノサイド(民族大量虐殺)と人道に対する罪を実行している中国で五輪が開かれてはならない」と強調。「IOCが中国政府に態度変更を迫っている形跡がない」と批判し、北京五輪の延期と開催地変更を求めた。

英国でも超党派で外交的ボイコットを政権に訴える声が強まり、下院は7月15日、新疆ウイグル自治区の人権状況が改善されない限り英政府代表らに北京五輪への招待を拒否するよう求める決議案を全会一致で採択。決議を受け、ラーブ氏は7月29日、英メディアに「私が出席する可能性は低いと思う」と発言した。

外交的ボイコットをめぐっては、中国の人権問題を批判する英与党・保守党の議員団体「中国研究グループ」や、英米などの対中強硬派の議員らで組織する「対中政策に関する列国議会連盟」が当初、中心的に支持していたが「議会全体の動きになった」(保守党議員)という。

欧州連合(EU)欧州議会も7月、人権状況が改善されない限り政府代表らの招待を断るよう加盟国に求める決議を採択した。

これに対し、中国外務省報道官は外交的ボイコット論に「人権問題を利用して中国を中傷し、北京冬季五輪の妨害や破壊を企てている」と反発している。

中国では来年秋、5年に1回の共産党大会が予定されており、習近平総書記(国家主席)が異例の3期目入りを視野に入れる。北京五輪を習氏の権威強化につなげるための重要イベントと位置づけており、米欧の外交的ボイコットを切り崩そうとしている。

習氏と、バイデン米大統領は10月にローマで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議を視野に首脳会談の可能性を探っているとされ、中国側はそうした機会を通じて五輪での協力を働き掛けるとみられる。(ワシントン 黒瀬悦成、ロンドン 板東和正、北京 三塚聖平)

 ◇

 こうした各国の動きとは別に、中国では五輪開催に向けて着々と準備を進めています。その会場となる場所の建設状況は、さすがに独裁国家のように凄まじいようです。NEWSポストセブンに掲載された週刊ポストの記事から引用します。タイトルは『北京冬季五輪 村ひとつ壊して会場建設、バッハ会長も「奇跡のようだ」』(8/9)です。

 ◇

Images-4_20210810165801 2022年2月に開催が迫っている北京五輪──。中国北部・河北省張家口市の「国家スキージャンプセンター」では、全長3mの巨大な“大砲”が100台以上並び、絶え間なく霧状の雪を発射していく。むき出しの地面が徐々に白銀に染まる。

全長168mのこのジャンプ台は、2022年2月に開催される北京冬季五輪会場のなかで最大規模だ。中国の伝統的な縁起物「如意」に似ていることから、「雪如意」の愛称で呼ばれている。

元日本テレビ中国総局長で『インサイドレポート 中国コロナの真相』(新潮新書)の著書があるジャーナリスト・宮崎紀秀氏が語る。

「降雪量が少ない地域で、スキー場として機能するかどうか心配する声が上がっていましたが、“降らないなら降らせれば良い”と考えるのが中国。大砲のような大型人工降雪機を100台以上配備して、雪を撒いて人工雪に頼る体制を整えています」

北京五輪では3地区(北京市、延慶区、張家口市)・12会場で計109種目が行なわれる。選手村を含めてほとんどの会場が竣工したと報じられているが、実際には現在も多くの施設で工事が進行中だ。

〈一時も止まるな。一歩も間違えるな。一日も遅れるな〉

建設中の施設には至るところにそんなスローガンが掲げられており、その姿勢は“なりふり構わぬ”の一言に尽きる。

「北京市北部では村がひとつ丸ごと取り壊され、山も削られました。河北省でもスノーボードの会場を作るために数千人の農民が土地を追われましたが、政府が多額の補償金を払うことで半ば無理矢理納得させた」(在中ジャーナリスト)

習近平国家主席は今年1月、五輪会場を視察した際、「世界の先端レベルに達しており、党の指導と挙国体制、力を集中して大きな事業を成し遂げた」と豪語した。

そうして準備された会場は、東京五輪とは何から何までスケールが違う。中国に詳しいジャーナリストの西谷格氏が語る。

「北京の北西75kmに位置する『延慶エリア』では、もともと水も電気も届いていなかった山間部に、わずか2年間で中国初のボブスレー会場とアルペンスキー会場を建設しました。ボブスレー会場は『雪遊龍』と呼ばれ、トラックが『龍』の形にデザインされている。中国らしさを前面に押し出した形です。

周囲には五輪専用の気象台も新設され、視察に訪れたIOCのバッハ会長が会場を見て『奇跡のようだ』と驚嘆したほどです」

2019年に北京五輪会場を視察した東京都議の尾崎大介氏も「建設のスピード感や計画のダイナミックさに舌を巻いた」と語る。

最新技術も惜しみなく投入されている。約2万人の観客を収容する「五松体育館」(北京市)はその典型だ。

「もともと2008年の北京五輪でバスケットボールの会場として建設された施設で、わずか6時間でアイスホッケー会場に切り替えることが可能です。

今年4月にテストイベントが行なわれたのですが、最新のVR技術を駆使した『多次元観戦体験システム』が取り入れられていました。これは会場の40台のカメラで撮影した映像を特殊加工して3Dで投影するもの。自分がフィールドに立っているような臨場感が味わえます」(西谷氏)

スピードスケートの会場となる「国家速滑館」(北京市)、通称「アイスリボン」は、五輪に向けて新設された施設のなかで、習近平氏が特に力を入れた会場の一つだ。

「この施設の建設には、中国が誇る学者や建築家が数多く投入されました。その結果、世界初となる温室効果ガス排出量ゼロの製氷技術の導入に成功。日本の平均的なスケートリンクは1800平方メートルほどですが、それをはるかに上回るアジア最大の1万2000平方メートルのリンクを実現させました」(同前)

 ◇

 このように国家の威信をかけて建設中の冬季五輪会場も、ボイコットの対象になればその威信も吹っ飛んでしまうでしょう。現時点ではお互いに駆け引きの段階で、ボイコットが現実のものになるかは見通せませんが、少なくとも平和の祭典にふさわしい大会にするためには、中国の歩み寄りは欠かせないでしょう。

 ただ、海外からの圧力には決して屈しない姿勢を示してきた中国が、歩み寄りをする可能性は極めて低く、開催までの間両者の間の神経戦は続くものと思われます。オリンピックに政治を持ち込むのはタブーとされていますが、この北京五輪は政治対決の場となってしまった感があります。もちろんその原因はウイグル、香港での人権侵害行動をとり続ける中国にあるのは間違いありません。

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