官僚の実態

2023年4月 6日 (木)

髙橋洋一氏:「令和のトリックスター」小西洋之の陰で、国会でスルーされた元官僚の「人事介入事件」が危なすぎる

3_20230406100201  小西洋之議員による「小西文書」問題が沈静化の動きを見せた直後、「憲法審サル」問題、そして「メディアへの圧力」問題が追い打ちをかけ、こちらは本人の正式な謝罪がないまま今日に至っています。

 そうした小西議員が仕掛けて自らに跳ね返った、国会のバカバカしいこれらの動きの影で、またも官僚の天下り問題が進行しているようです。経済学者で教授の髙橋洋一氏が、現代ビジネスに寄稿した記事にその概要が語られています。タイトルは『「令和のトリックスター」小西洋之の陰で、国会でスルーされた「人事介入事件」が危なすぎる』(4/03公開)で、以下に引用します。

完敗後も止まらなかった「暴走」

先週の本コラムでは岸田首相のウクライナ訪問をとりあげたが、3月20日まで3週続けて書いてきた「小西文書問題」はその時点で終結していた。

3月20日以降の動きを書けば、3月22日に総務省はさらなる精査結果を公表した。これが事実上の最終結果だ。

そこでは、「5月12日以前に放送法第4条の解釈に関する大臣レクがあったかについては、関係者間で認識が分かれており、確認はできなかった」、「作成者及び同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった」とあり、レクメモの正確性と信頼性に疑問を呈している。これは3月初め以降、本コラムで書いてきた筆者の見立てと同じだ。

24日の国会審議でも、石垣のりこ参院議員(立民)の高市大臣罷免要求に対し、岸田首相は小西文書の正確性が確認できないので、更迭はあまりに論理飛躍だと一蹴した。

立民は参院予算委員会で高市大臣の追及をしてきたものの、結果として高市大臣の問責決議すら出せないまま予算案は28日参院を通過した。これで、政治的には高市氏の完勝、小西氏の完敗となった。

ところがこれがよほど悔しかったのか、小西氏の暴走は止まらなかった。29日、参院憲法審査会の理事懇談会後、記者団に対し「参議院では、毎週開催はやらない。毎週開催は、憲法のことを考えないサルがやることだ。何も考えていない人たち、蛮族の行為で、野蛮だ」と述べた。

これに対し、立民の泉代表は、31日に小西氏を参院憲法審査会筆頭理事から更迭した。

更迭された31日の記者会見で、小西氏は再度「しでかした」。謝罪会見という形だったが、会見後にとんでもない光景があった。産経記者がスマホ画面を示すと小西氏は「やったら全部法的措置とりますから」と語り、「書いたら法的措置をとる?」という問いかけに「とりますよ。もう厳しくやります」小西氏は答えたのだ。まさに、マスコミに対する「圧力」ではないか。

ここまで来ると、小西氏に好意的で高市大臣に批判的だったリベラル系マスコミも一斉に小西氏を批判するようになった。

小西氏はこの過程で「元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だと思うが」とかマスコミが飛びつくことまで言っている。小西氏は、身をもって放送法の重要性をわからせてくれる、トリックスターのようだ。

国交省元次官の圧力

ただし、小西文書が国会で議論になっている間、重要な問題がスルーされている。

その一つが天下り問題だ。国交省元次官の企業人事介入問題が報道された。

国土交通省の元事務次官が昨年12月、羽田空港などの施設管理等を行う「空港施設」(空港法に基づく指定空港機能施設事業者)に対し、国交省OBの副社長を今年6月に予定されている役員人事で社長に昇格させるよう求めていた。同社の乗田俊明社長が3月30日に明かしたところでは、元次官の本田勝・東京メトロ会長から「(国交省OBが社長に就任した場合は)国交省としてあらゆる形でサポートする」と持ち掛けられたという。乗田社長らは、同社は上場会社であり、取締役候補者は指名委員会で決める手続きになっているとして要求に難色を示した。

「空港施設」は1970年2月の設立以来、国交省OBらが社長に就任しており業界では天下り会社として有名だったが、菅義偉政権中の2021年6月に日本航空(JAL)出身の乗田氏が初めて民間から社長に就任していた。乗田氏は「私の前までは国交省出身の方が社長を務めていたので、そういうこと(意向)かと受け止めた」という。

ありえないガバナンス違反の背景

元次官の本田勝・東京メトロ会長は、国交省OBを社長に昇格させるよう求めたことを認め「軽率な行動によるもので、反省しなければならない」と述べたが、国交省現役職員の関与は否定した。

なお、国交省人事課は「省として関与していない。上場企業である民間企業の役員人事に対し、コメントする立場にもない」としている。

東京メトロは、1941年に設立された帝都高速度交通営団を前身とし、小泉政権の道路公団民営化などと関連し2004年に特殊会社化されて発足した。2009年度までに株式を上場することを目標としていたが、上場は先送りされていた。菅義偉政権の2021年7月国土交通省の交通政策審議会が完全民営化早期実現を求める答申を出した。その結果、東京メトロの株式は政府が53.4%、東京都が46.6%保有しているが、その一部は2027年度までに売却され上場されることとなっている。

上場方針が決まっている東京メトロの代表取締役の会長が、他の上場会社の社長を国交省0Bを押したというのはあり得ない非常識だ。しかも、東京メトロの上場方針が固まったのも、代々天下り会社だった「空港施設」で民間人社長が誕生したのも、菅義偉政権の同じ時期の話である。

そこから推測すれば、今回の社長人事の介入は、東京メトロ上場方針という菅義偉政権時代の流れに反対する動きなのかもしれない。

ともあれ、上場を目指す会社の代表権のある会長が他の上場会社の社長人事に介入した時点で、コーポレートガバナンスの観点から見ればまったく失格だ。

東京メトロの大株主である政府はどのような態度をとるのであろうか。岸田政権は、東京メトロの上場方針をどうするのか、そして国交省元次官の会長をどのように処遇するのか。また、国交省は関与していないというが、本当なのか、東京メトロの上場方針はそのままなのか、この際はっきりさせてもらいたい。

 確かに「小西事件」の影で、こうした元官僚が仕組んだ天下りの問題が進行しているようですが、あの前川喜平元文科省事務次官が、文科省の天下りを組織化しようとした罪で、職を追われたように、以前から官僚の天下りは頻繁に行われているのが実態です。

 ただ、なかなかマスコミに登場しません。裏で密かに行われているのでしょう。小西氏も元総務官僚、官僚の不祥事は続いていますが、このままでは日本の未来はどうなるのでしょう。抜本的な改革が必要です。

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2023年3月26日 (日)

門田隆将氏:ヤブ蛇と化した「高市糾弾文書」、「行政文書」真相究明により追い込まれる立憲民主・総務官僚・マスコミ

E_ac1rucaqifi7  「小西文書」または「放送法文書」と呼ばれ、メディアで連日取り上げられている、小西参議院議員が提出した8年前の「行政文書」問題。時が経つにつれ小西議員の意図するものと、実体が食い違ってきたことが明らかになってきました。もちろん小西議員側の意図は「高市大臣」の糾弾と、閣僚辞任への追い込みにあったようですが、残念ながら実現していません。

 既にこのブログでも複数回取り上げてきましたが、今回は作家でジャーナリストの門田隆将氏が月刊willに寄稿した 、よりわかりやすい構図で、小西議員側の意図をついた記事を紹介します。タイトルは『ヤブ蛇と化した「高市糾弾文書」 「行政文書」真相究明により追い込まれる立憲民主・総務官僚・マスコミ』で、以下に引用します。

爆弾が落とされた

三月三日、立憲民主党の小西洋之参議院議員が国会へ持ち込んだ計七十八枚の総務省の内部文書なるものは、想像を遥かに超える波紋をもたらした。総務省内部に、永田町に、マスコミに、それぞれ全く異なる意味の大津波を引き起こしたのだ。

ポイントは七十八枚の中の四枚に、当時の高市総務大臣が登場しており、そこに放送法をめぐってテレビの政治的公平性を問題視する発言が記されていた。小西氏は、それを掲げて高市氏に「ここに出ている会話は事実か」と問うたのである。

高市氏は、「事実ではありません。全くそれは捏造文書だと考えております」と答え、小西氏は、「捏造の文書でなければ大臣、そして議員を辞職するということでよろしいですね?」と問い、「結構ですよ」というやりとりになったのは、周知の通りである。

この瞬間、文書は、さまざまなものを炙り出す“爆弾”となった。なぜ捏造か。 それは、高市氏が他とは全く異なる大臣であることに尽きるだろう。

高市氏は官僚の書いたものを単に朗読する大臣ではない。自分自身で案件を咀嚼し、理解した上で答弁する。風呂敷を抱えて資料を自宅に持ち帰り、納得いくまで勉強して答弁することで知られる政治家だ。

自分が登場する四枚の文書を読んだ高市氏は即座に「これは事実でない」と気づいた。官僚文書の”朗読大臣“なら八年前のことを思い出すことはできないが、案件をいちいち頭に叩き込む高市氏は「自分の意見と違う内容」「絶対に口にしない言葉」が記されている文書の中身が虚偽であることを悟った。そして、小西氏と冒頭のやりとりをおこなったのである。

郵政省vs自治省

総務大臣を都合三度も経験している高市氏は、総務省の特殊事情”を知っている。 旧郵政省、旧自治省、旧行政管理庁の官僚たちが集まった総務省は、常に内部で熾烈な権力抗争が行われている。特に「旧郵政」対「旧自治」の争いは知る人ぞ知る。 旧逓信省の郵政省、旧内務省の本流・自治省は互いにブライドが高く、情報共有もないほど対立している。

今回の文書には、配布先に「大臣」も、旧自治省出身の「事務次官」も入っておらず、旧郵政トップ・桜井俊総務審議官ほか、「旧郵政の部署にしか配布されていない」ことを見てとった高市氏は“旧郵政官僚の手”による“旧郵政のための文書”が流出したことを即座に感じとったのだ。そしてなぜ今、この文書が国会に出されたのかもわかったに違いない。

大手紙の政治部デスクによれば、「三月二日に小西氏が国会で記者会見をしてこの文書を明らかにしたのですが、マスコミの一部は、その日が大分県参議院補選の立候補者を決める自民党大分県連の候補者の公募が始まる日だったことにすぐ気づきました。大分では野党系参議院議員が知事選立候補のため議員辞職し、補選が行なわれるのです。公募には前回の参院選で落選した礒崎陽輔・前参議院議員が名乗りを挙げることが取り沙汰されていたのです」

それと文書がどう関係するのか。

「これらの文書には当時、総理補佐官だった磯崎氏が頻繁に登場します。磯崎氏は偏向放送を続けるテレビ番組に対して放送法を用いて改革を促すべきだと考えており、折々に総務省の旧郵政系官僚と衝突していた。磯崎氏は旧自治出身で旧郵政の官僚たちにとっては許しがたい存在。この政界復帰は阻止したかった。

さらに高市氏は自民党奈良県連会長で、奈良県知事選にも旧自治の元総務官僚・平木省氏が出馬する。礒崎、高市を糾弾し、そして平木当選を阻止するための旧郵政側の意図的リークだったと言われています。放送法で地上波に政治的公平を実現させるなど考えてもいなかった高市氏は文書を捏造と判断したわけです」

高市氏の予想外の反撃で、逆に文の信憑性が注目され、小西氏に内部文書を渡したのは誰かという国家公務員の守秘義務違反や、さらには公文書偽造の疑いまで出てきてしまったのだ。つまり第二の外務省機密漏洩事件(西山事件)の恐れが出てきたのである。

高市氏は親中・親韓メディアにとって、かねて頭の痛い存在だ。経済安全保障の法整備、機密情報に触れる個人の資格を審査するセキュリティクリアランスなど、彼らが警戒する政策を打ち出している中心人物。オールドメディアは、この問題で必死に高市叩きを続け、一方、ネットメディアは次々と新たな事実を探し出し、両者の激しい攻防がくり広げられた。

その中で高市氏は確実に“ポスト岸田”への国民の期待度と知名度を上げた。親中・親韓勢力にとって“やぶ蛇” になってしまったのは日本にとって素晴らしい。

 国会で立憲民主党の石垣のり子議員が、岸田首相に「高市大臣をいつ罷免するのか」とバカな質問をしましたが、岸田首相は「行政文書の正確性に疑義が呈され、総務省が確認作業をし『正確性は確認できなかった』との結果が出されているのが現状で、引き続き正確性の議論が必要な段階。その段階でいきなり更迭云々と仰るのは、あまりに論理が飛躍している」と答えています。当然でしょう。

 これで分ることは立憲民主党は党を挙げて、違法に持ち出された捏造した文書でもって、高市氏を貶めようとしている意図が明確となったことです。今後は逆にこの文書の作成と持ち出しの経緯を明らかにし、関係者の処罰を厳正に進めることが必要でしょう。省庁と野党議員のグレーな結びつきを解明するためにも。

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2023年3月24日 (金)

阿比留瑠比氏:役所が作った文書なのだからと絶対視し、無謬であるかのように取り扱うのは錯誤であり、勘違いも甚だしい

29_20230323104301  「放送法文書」問題の全体像が明らかになってくるにつけ、その構造が「モリカケ」問題に極めて類似していることも、分ってきました。そしてその根底には「官僚文書」の中には「面従腹背」の人物による、所謂「作為」が存在し、時の政権を貶める意図を持っていると言う実態があるようです。

 そしてそもそも、こうした行政文書が「正しい」という固定観念があり、それを利用した人物やメディアによる、意図的な攻撃が行われていると言うのが現実でしょう。この問題について、産経新聞の、論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏が、同紙上のコラム「阿比留瑠比の極言御免」に寄稿した文章を参照します。タイトルは『行政文書を絶対視する錯誤』(3/23公開)で、以下に引用します。

「今回、本件文書について正確性が確認できなかったことは甚だ遺憾だ」

22日の参院予算委員会では、松本剛明総務相が放送法の政治的公平に関する平成27年の総務省の行政文書を巡り、繰り返しこう答弁していた。高市早苗経済安全保障担当相が、文書のうち自身の言動が記された4枚について内容を否定している件である。

行政文書と一言でいっても、メモや覚書の類いも含まれるし、複数人の手が入って修正が加えられることもあるのだから、それは正確だと言い切れないものもあって当然だろう。誰だって記憶違いや意味の取り違えはあるし、推測で言葉を補うこともあろう。

そんなことを考えながら質疑を聞きつつ、13日の同委で立憲民主党の福山哲郎元幹事長が、高市氏にこう迫っていたのを連想した。

「森友・加計学園も同じだったんです。安倍晋三首相が森友学園に関わっていたら辞めると言ったことで、どれほどの官僚に迷惑が及んだのか。そしてそれは、官僚が正確に文書を作成していたからなんです。だって文書を公開したら安倍首相、昭恵夫人との関わりが明確になる」

実際は森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書をみても、安倍氏や昭恵氏の関与は見当たらず、福山氏の質問は実態を反映していない。

ただ、安倍氏が森友問題や加計学園の獣医学部新設とは無関係だったのと同様に、高市氏が自身はあずかり知らないと主張する問題で、野党に責め立てられているのは確かに「同じ」である。それも、安倍氏は財務省と文科省、高市氏は総務省の文書によって-。

安倍氏は財務省の文書改竄が発覚した頃の平成30年3月9日には、筆者にこう話していた。

「この件は早く片付ける。財務省に全部出させる。どの道、中身はたいしたことないんだから」

その2日後の11日には、こうも説明した。

「財務省は、佐川宣寿理財局長の答弁と整合性を疑われるところを落としている。平沼赳夫、鳩山邦夫、鴻池祥肇、中山成彬各氏らの働きかけの部分も全部落としている。ただ、全部本筋に関わりがない」

財務省は安倍氏への忖度ではなく、佐川氏が国会で事実と異なる答弁をした部分との整合性を取るため文書を改竄したのだった。

一方、加計問題に一気に火が付いたのは朝日新聞が平成29年5月17日の朝刊1面トップ記事で「新学部『総理の意向』」「文科省に記録文書」と書いた文科省の「文書問題」がきっかけだった。

だが、その「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題した文書は、文科省が約3カ月後に発表した同様の文書をみると、朝日の記事にはない次の一文が明記されていた。

「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」

安倍氏の指示だということにして取り繕っておけばどうかという話であり、逆にそんな指示などなかったことを示している。

結局、行政文書だ公文書だといっても、省内の都合で改竄されることもあれば、政敵を倒すために一部を切り取ったり隠したりして利用されることもある。そもそも財務省の文書は、「安倍」を「安部」と誤記すらしていた。

役所が作った文書なのだからと絶対視し、無謬であるかのように取り扱うのは錯誤であり、勘違いも甚だしい。

 これが所謂行政文書の実態でしょう。そしてその文書は反政権や閣僚の意を持つ人物によって書き換えられるか切り落とされる、または省益の都合でゆがめられるかしているのです。

 それをすべて正しいという前提で、反政権や閣僚側が利用する構図が見て取れます。「モリカケ」は朝日新聞、「放送法文書」は小西参議院議員がそれを反安部、反高市に利用したのです。何とも薄汚い手口でしょう。朝日の購読数凋落、立憲民主の支持率低迷は、国民がそうした姿勢を見透かしている結果だと思いますね。

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2023年3月23日 (木)

高橋洋一氏:高市大臣の「濡れ衣」はほぼ晴れたのに、まだ「罷免」にこだわる人たちに告ぐ

Images-13_20230322164501  「放送法文書」の国会での小西立民議員と高市大臣のやりとりは、今や高市大臣の「もう質問しないで下さい」という答弁の言葉尻を捉えた、実にくだらない本質から外れた問題にすり替わってしまっています。

 しかも同じ与党自民党の末松信介参議院予算委員長が異例の注意をしたことにより、高市氏もやむなく撤回する羽目になっています。メディアは一斉にこの撤回の件を大臣の放言撤回のように報道しています。だがよく考えると、末松氏は誰か高市氏をよく思っていない人物が背後でそう言わせたのではないかと、勘ぐってしまいますが。

 いずれにせよ、この「放送法文書」の顛末は、高市氏には非がなく総務省内(旧郵政省)内の、反高市氏勢力による捏造と考えられるようになっていますが、この問題の背景について、経済学者で大が教授の高橋洋一氏が、現代ビジネスに寄稿した記事を参照しましょう。タイトルは『高市大臣の「濡れ衣」はほぼ晴れたのに、まだ「罷免」にこだわる人たちに告ぐ』(3/20公開)で、以下に引用します。

奈良県知事選前のネガキャン

3月3日の参院予算委員会から、小西文書で国会は持ちきりだが、いよいよ最終局面になったと思っていた矢先、とんでもない情報が18日夜に舞い込んできた。政府内で、高市大臣を罷免する動きがあるというのだ。

週明け21日には何があるのか予断を許さないが、結論から言えば政府は何をみてきたのかとあきれるばかりであり得ないことだ。冷静にこれまでの動きを振り返っておこう。

本コラムでは3月6日付《小西氏公表の「放送法文書」は総務省内の「旧自治」「旧郵政」の些細なバトルの産物?》で、8年前の旧自治対郵政の下らない案件ではないかという見立てから、小西文書の形式面の不備も指摘した。

8年前当時の旧自治の礒崎補佐官が放送法を取り上げようとしたが、旧郵政の山田秘書官と旧郵政の安藤情報流通行政局はディフェンスした。結果的に官邸で誰も関心を示さなかったので、放送法の解釈の変更も何もなかったというものだ。

それを今になって立憲民主党が取り上げたのは、大分の参院補選(4月6日告示、23日投開票)で自民党県連が立候補者を発表する直前で、出馬が目されてきた礒崎氏またはその勢力へのネガティブイメージを作ること、さらに奈良の県知事選(3月23日告示、4月9日投開票)での旧自治の平木氏(高市総務大臣時代の秘書官)へのネガティブキャンペーンだ。

特に大分の参院補選は、2019年の参院選で礒崎補佐官を破った立民、共産などの支援を受けていた安達氏の大分県知事選への出馬に伴うものなので、再び野党系候補を当選させたかったのだろう。

こうした筆者の見立ては、これまでのところほとんど当たっている。

総務省は10日、全体の文書の精査状況を明らかにした。13日付本コラム《「小西文書」のなりゆきに慌てふためく左派メディアは、世界の潮流がわかっていない》では、10日の総務省発表で小西文書が行政文書であることが判明し、鬼の首を取ったかのように一面トップで報じた朝日新聞と毎日新聞を冷笑した。

レク結果は書き換えられた?

元官僚である筆者から見れば、小西文書が行政文書であるのはわかっていたが、同時に、行政文書といってもメモ程度のもので、必ずしも正確とは限らない。6日付コラムでは、形式面に着目して、正確でない下らない文書と書いたつもりだ。

争点になっていたのは2015年2月13日の高市大臣レク結果という文書だ。翌14日、衆院総務委員会で松本総務大臣は「「上司の関与を経て、このような文書が残っているのであれば、2月13日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高い」と説明した。

この松本総務大臣発言で重要なのは「『上司の関与を経て』レク結果があるので、レクがあった可能性が高い」という点だ。筆者は、その言葉を13日の国会でも総務省局長が使っており、かなり驚いた。

この「上司の関与を経て」は書き換えを示唆しているからだ。要するに、大臣レクについて、(1)行われた可能性が高い、(2)レク内容はわからない、(3)レク結果は書き換えられたと松本総務大臣は答弁しているのだ。この13日の局長答弁と14日の大臣答弁は、13日の本コラムの執筆時にはわからなかったが、本コラムはほぼ当たりだった。

一部マスコミからも、『上司の関与を経て』について、「あれは記録者が最初に作ったメモを、上司が原形をとどめないほど書き換えたことをにじませたものだ」という報道も出ている。

いずれにしても、高市氏と、同席していた大臣室の2人(参事官、秘書官)もそうした大臣レクの記憶がないというのはあまりに不自然だ。

一般の方が行政文書と聞くと、無批判に正しいものと勘違いしてしまう。そういう人たちのために、筆者の体験を書いておこう。

筆者の場合、2005年から06年に総務大臣補佐官(大臣室参事官)を経験している。その前の大蔵省時代、「大蔵対郵政大戦争」の最前線にいて、各種の政策議論を当時の郵政省と交わす立場だった。郵政内の行政文書で当時、どのように書かれていたのか見たところ、まったくデタラメだった。当時の筆者の驚きと、今回の高市氏の反応は似たものだろう。

2017年3月の加計学園問題でも、各省間での折衝の際、折衝メモがそれぞれの省の職員で作られたが、相手省の確認を受けておらずに、自省に都合よく書かれていて、その正確性は疑問視された。

その後の行政文書作成のガイドライン改正で、政策立案などでの打ち合わせ文書では相手方の確認を取るとされたが、それ以前は確認を取ることはなかった。

今回問題とされている行政文書は2015年のものなので、正確性が確保されていなくても不思議ではない。

高市完勝、小西惨敗

16日には、さらに驚きの事実が国会で明らかになった。総務省の小笠原情報流通行政局長は16日の衆院総務委員会で、共産党の宮本衆院議員の質問に対し、「総務省で電子的に保存されていた。総務省が行政文書と認めた文書は、確認した結果、行政文書ファイル管理簿への記載が行われていなかった」と答弁した。

8年前の話なので、筆者は正直に言って電子的に保存されているかどうかは五分五分だと思っていた。行政文書ファイル管理簿への不記載は、小西文書が旧郵政の内輪メモであるので、旧自治に知られないようするためには不記載だろうと思っていた。

これでほぼ最後のピースが解けた。電子的に保存されていれば、どのように書き換えが行われたかも明らかなはずだ。

17日には、総務省から精査状況の追加報告があった。

まず、礒崎補佐官関係で、「放送法4条の解釈を変えるよう強要されたことはなかったことは確認された」。

2015年2月13日の高市大臣レクについて、「放送関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」、「作成者および同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった」とある。

安倍総理への電話については、「高市大臣から安倍総理又は今井秘書官への電話のいずれかについても、その有無について確認されなかった」。

以上の話はほとんど公開情報に基づくものだが、マスコミは、安倍総理が放送法の解釈変更を総務省に迫ったという「思い込み」で凝り固まっているので、まったく方向違いの方向の記事ばかりだ。おかげさまで、筆者のYouTubeチャンネルで報じており、すでに再生回数は600万回に達しようとしている(3月19日夕方時点)。

こうしてみると、高市大臣の晴れた濡れ衣はほぼ晴れただろう。普通であれば、これらの総務省調査により、事態は収束していくはずだ。立憲民主党にはこれ以上追及する余地はほとんどないからだ。

しかしながら、ここで終わらないのが、政治の怖いところだ。それが冒頭に述べた、政府内における高市大臣の罷免の動きだ。これはデマではない。筆者は二次情報に基づく話で書かないのは、本コラムの読者であればわかっているだろう。

一連の総務省の発表を見れば、高市大臣の完勝、小西議員の完敗である。しかし、この時期に高市大臣に謝罪をさせ、マスコミはそれをやはり間違っていたと報じた。それにより自民党内の高市大臣に反感を持っている人の溜飲を下げ、高市大臣の影響力をそぐ動きが実際にあったのだ。当然、高市大臣はそうした謝罪は拒否したので、罷免になるぞという脅しが岸田首相本人かどうかは不明だが、政府内にあるのだ。

ここで国民的な人気があり、セキュリティクリアランスを精力的に進めている高市大臣を罷免したら、各地の補選や統一地方選にも影響するだろうから、そんなバカな話は、筆者は絶対にないと思うのだが、もしそんなことになったら、日本は沈没してしまう。

 この高橋氏の記事で、小西議員が国会審議に提出した文書の全体像が分りますが、問題はこれを取り上げた小西議員や、後追いで質問を続ける立憲民主党の意図です。

 高橋氏は奈良知事選や大分参院補選に対するネガキャンだと指摘していますが、そうであれば何とも汚いやり方ではないでしょうか。この議員やこの党は国政を何だと思っているのでしょうか。やはり社民党のように、やがて消えて無くなって行く方が、国民のためになる党である事は間違いないでしょう。

 それにしてもこの立憲民主による意図に図らずも乗ってしまい、高市氏の罷免に走ろうとする勢力が自民党内にあることは、極めて遺憾です。そこには正義も何もない、ただ野党に翻弄されるのを避けようとする、自己防衛の姿勢がありありとしているように思えます。こんなことでは高橋氏指摘のように日本は沈没してしまうでしょう。

 

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2023年3月20日 (月)

池田信夫氏:行政文書の「幻の大臣レク」は総務官僚のクーデターか 総務省は公文書偽造と秘密漏洩で担当者を告発せよ

Abt3rz03tw  立憲民主の小西議員が取り上げた「総務文書」に関し、論点の「放送法の解釈変更に強要があった」、かどうかについての調査結果が、総務相から17日発表され、「解釈変更を強要されたことはなかった」と結論づけています。複数の関係者が「放送法の解釈をゆがめることはしていない」「解釈変更を行った認識はない」などと証言したようです。

 一方渦中の「大臣レク」について総務相見解は、「あった可能性が高い」としたものの、内容が正確かどうかは「引き続き精査を実施中」として、言葉を濁しています。以前も取り上げましたが、この「大臣レク」について経済学者の池田信夫氏が、JBpressに更に詳細を述べていますので以下に引用します。タイトルは『行政文書の「幻の大臣レク」は総務官僚のクーデターか 総務省は公文書偽造と秘密漏洩で担当者を告発せよ』(3/17公開)です。

 国会は、立憲民主党の小西洋之議員の持ち出した総務省の行政文書をめぐって紛糾している。文書の内容は大した話ではない。2014年11月から2015年にかけて安倍首相の礒崎陽輔補佐官(当時)が「政治的に偏向している番組を行政指導しろ」と総務省に執拗に求めたが、総務省は拒否し、放送法の解釈を変更しなかったというだけだ。

 ところがその中に脇役として登場する高市早苗総務相(当時)についての記述が「捏造だ」と高市氏が否定し、それが捏造でなかったら議員辞職すると答弁したため、彼女の進退を賭けた騒動になってしまった。その真偽を明らかにする過程で出てきたのは、総務省のずさんな公文書管理だった。

大臣レクが「捏造だ」と当の高市大臣が否定

 この行政文書は総務省が本物だと認め、公式ホームページでも公表されているが、正式の決裁を得た公文書ではない。その半分以上が作成者不明で、内容の真偽は「引き続き精査を実施中」である。

 78ページの文書の大部分は、礒崎氏と総務省の官僚のやり取りで、彼は特定の番組(特にTBSの「サンデーモーニング」)を名指しして、総務省が警告するよう求めたが、総務省が民放との全面対決を恐れ、過去の答弁を踏襲した一般論で収めようとした。

 その中で高市大臣が登場し、特定の番組名を出すと「民放との徹底抗戦」になるとコメントしたため、礒崎氏も了承した。このうち礒崎氏の部分についての記述は彼も基本的に認めているが、高市氏に関する4ページは本人が「捏造だ」と否定した。

 特に問題なのは、2015年2月13日の「高市大臣レク結果(政治的公平性について)」という文書である。ここでは安藤友裕情報流通行政局長が高市大臣に対して礒崎氏からの注文を伝え、高市氏が「苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか」など対応を議論している。

 ここで高市氏が慎重な方針を出し、安藤局長はその内容を4日後の礒崎補佐官レクで説明し、礒崎氏も「上品にやる」と矛を収めた。つまりこの高市大臣のコメントは、安倍首相の権威を笠に着て暴れ回る礒崎補佐官を抑え込む上で重要な役割を果たしたが、高市氏はそんな話は聞いていないというのだ。

「上司の関与を経て文書が残っているなら」という曖昧な答え

 国会で高市氏は、2月13日に放送法に関する大臣レクはなく、礒崎補佐官の関与についても今年までまったく聞いたことがないと答弁した。これについて今週の参議院予算委員会で、総務省の小笠原情報流通行政局長は、次のように答弁した。

 作成者によりますと「約8年前のことでもあり、記憶は定かではないが、日ごろ確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば、同時期に放送法に関する大臣レクが行われたのではないかと認識している」ということでありました(中略)。

 以上を勘案いたしますと、2月13日に関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられます。

 これは奇妙な話である。大臣レクには6人が出席し、そのうち3人が大臣室、3人が情報流通行政局長以下の官僚だった。高市大臣と大臣室の2人(平川参事官と松井秘書官)は「そんなレクはなかった」というのだから、あとの3人が「あった」と記憶しているなら、その証拠を出せばいい。

 大臣の日程表は秘書が分刻みで記録しているので、2月13日の15時45分に大臣が何をしていたかはわかるはずだ。総務省は「1年以上前の大臣の日程表は破棄した」というが、イントラネットには電子メールなどの証拠が残っているはずだ。

 この作成者(西潟課長補佐?)は書いた記憶があれば「私が書いた」と答えるはずだが、「大臣レクが行われたのではないか」と他人事のように答えている。これは不自然だ。自分が書いた文書を見たら、書いたかどうかは誰でも思い出す。これは国会や法廷で問い詰められたとき「私が書いたものではない」という逃げ道を残したのだろう。

 それを示すのが「上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば」という奇妙な条件文である。これは暗に議事録に上司(安藤局長?)が手を入れたことを示唆している。当時の総務省では、担当者の書いたメモを上司が原形をとどめないほど書き換えたことが何度もあったというのが経験者の見方である。

 この文書は大臣レクの記録なのに大臣室には配布せず、事務次官(自治省出身)にも配布していない。桜井総務審議官以下の郵政省系の事務方だけで共有され、正式の決裁も受けず、総務省の行政文書ファイル管理簿にも入っていなかった。

 以上から考えると、2月13日15:45から大臣レクが行われた形跡はない。礒崎補佐官への対応をめぐって、総務省が高市大臣に相談した形跡もない。松本総務相も「同席者の間でも内容についての認識が必ずしも一致していない」と明言を避けた。

高市氏と総務官僚のどちらかが嘘をついている

 このように高市氏と総務省の話は、大きく食い違っているので、どちらかが嘘をついている。高市氏が嘘をつく合理的理由はなく、大臣室の2人の答えも一貫しており、共謀して嘘をついているとは思えない。

 では総務省が嘘をつく可能性はあるだろうか。マスコミでは「官僚が議事録に嘘を書く理由がない」というが、本件ではあるのだ。

 2月13日の会議は、その4日後に予定されていた礒崎補佐官レクを前にした作戦会議だったのではないか。礒崎氏からは「本件を総理に説明し、国会で質問するかどうかについて総務相の指示を仰ぎたい」という宿題が出されていた。それについて情報流通行政局長以下が(大臣抜きで)協議した可能性がある。

 ここに大臣コメントとして出ている話は、局長以下のスタッフの話の主語を変えただけなのではないか。17日には、安藤局長が礒崎補佐官に「極端な事例をあげるのは(答弁として)苦しいのではないか」という高市総務相のコメントを伝え、礒崎氏を抑え込んだ。このとき礒崎氏を説得するために、この議事録を使った可能性がある。

 総務省の事務方は、なぜ大臣に礒崎氏の件を相談しなかったのだろうか。当時は「安倍一強」といわれるほど首相官邸の力が強かった。高市氏は礒崎氏と同じく安倍側近であり、マスコミに対しても強硬派だった。2人の意見が特定の番組を名指しで批判すべきだということで一致すると「民放相手に徹底抗戦」になってしまう。

 そのため安藤局長は、高市氏には知らせないで「1つの番組を名指しするのは答弁として苦しい」という慎重派の意見を大臣コメントとして礒崎氏に伝えたのではないか。これは大臣抜きで事務方が官邸と取引して政策を決めるクーデターのようなものだ。

 高市氏も「総務省の中で私は浮いていた」と語っており、こういうことが常態化していた可能性がある。2014年にフジテレビホールディングスの外資規制違反が判明したときも、これを厳重注意処分にとどめたのは安藤局長で、高市大臣は知らされていなかった。

 総務省の歯切れが悪いのは、西潟氏が「あれは大臣レクではなく、局内の作戦会議だった」と答えたからではないか。大臣コメントは彼が書いたものではなく、上司(安藤局長?)が「関与」して書き加えたとすれば、上司は虚偽公文書作成罪に問われる(総務省は告発義務を負う)。

 さらに重大なのは、このような部外秘文書を小西議員が政治利用したことだ。彼はその文書を「総務省職員」から昨年の参議院選挙前に入手したというが、これが事実だとすると、その職員は国家公務員法100条(守秘義務)に違反する。それを入手して公開した小西氏も、国家公務員法111条違反(そそのかし)に問われるおそれがある。

 5月のG7(先進7カ国首脳会議)では経済安全保障がテーマとなり、各国の情報セキュリティを強化する対策が協議される。情報通信を所管する総務省の情報セキュリティがこのようにずさんでは、各国の信頼を得られない。総務省は当事者を国会に呼んで真相を解明し、秘密漏洩や公文書偽造については刑事告発を含めて厳正に対処すべきだ。

 結局この問題提起は、省庁における文書管理問題と、その内容の真偽の問題の両方を浮かび上がらせた、と言う点では藪蛇だったとは言え意味があったと言えるでしょう。それにしても省庁内の別の問題、つまり政治的な意図を持った書き換えが行われていたとすれば、放置できない問題です。

 この点を含め、池田氏の言うとおり真相解明し、秘密漏洩や公文書偽造については刑事告発を含めて厳正に対処すべきだと思います。そして重ねて言いますが、小西議員が入手した経路の解明も忘れないで、実施してもらいたいものです。

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2023年3月17日 (金)

阿比留瑠比氏:総務文書「上司の関与」か? 上司が原形をとどめないほど書き換えた可能性に言及

26_20230316133201  捏造された(?)総務文書をもとに、立憲民主党が執拗に食い下がる「放送法文書」問題。新たにその捏造に担当職員の上司が関与していたのではないかという疑惑が浮上しています。

 産経新聞の阿比留瑠比氏が、同紙のコラム「阿比留瑠比の極言御免」で記述した記事を取り上げます。タイトルは『総務文書「上司の関与」の闇』(3/16公開)で、以下に引用します。

放送法の政治的公平に関する平成27年の総務省の行政文書をめぐり、当時、総務相を務めていた高市早苗経済安全保障担当相に対する立憲民主党の執拗な攻撃が続く。高市氏は自身の言動が記された4枚の文書は不正確だと内容を否定するが、立民側は「役人が噓をついて文書を書く理由はほぼない」(泉健太代表)などと反論し、議論は平行線をたどってきた。

特に、27年2月13日に総務官僚が高市氏に対して行ったという放送法の「レク(説明)」に関しては、高市氏はレクの存在自体を認めておらず、当初は捏造という表現も使っていた。

今月13日の参院予算委員会では、この点について総務省の小笠原陽一情報流通行政局長が、大臣レク文書の作成者への聞き取り調査結果を踏まえてこう述べた。

「約8年前で記憶が定かではないが、日頃、確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経て、文書が残っているのなら、同時期に大臣レクが行われたのではないかと認識しているということだった。2月13日に大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」

ただ、小笠原氏は自ら続けて「文書に記載されている内容が正確か否かを現時点で答えることは困難だ」との留保も置いた。

そして13日夜、この問題を取材していたところ、ある政府高官からこんな衝撃的な指摘を受けた。

「きょうの国会で、総務省局長が『文書が残っているなら』の前に『上司の関与を経て』とつけていただろう。あれは記録者が最初に作ったメモを、上司が原形をとどめないほど書き換えたことをにじませたものだ。そんなことが何度かあったらしい」

もし、総務官僚がメモや覚書の類いであろうと、行政文書を何らかの意図を持って改竄したのだとすると、これは捏造と言っていい。問題の焦点は、立民が狙う高市氏の進退ではなく、総務省の行政文書の信憑性自体が問われる。刑事事件にも発展しかねない。

実際、翌14日の衆院総務委員会での松本剛明総務相の歯切れは悪かった。

立民の大築紅葉氏が「総務省が文書を捏造するはずがない。捏造した可能性はないと考えているか」とただしたのに対し、松本氏はやはり「上司の関与を経て」という言葉を用いた上で、こう言葉を濁した。

「同席者の間でも内容についての認識が必ずしも一致していない。まだ確認中で、捏造であるかどうか私が今、申し上げることはできない」

この大臣レク文書では、高市氏が「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」などと語ったことになっているが、高市氏はいずれも否定している。

レクには記録者を含め6人が出席したと記載されているが、そのうち少なくとも高市氏を含む3人はこのようなレクは受けていないという点で一致している。

また、高市氏本人の発言記録であるのに文書の配布先は総務審議官、官房長、局長…と多数指定されながら、大臣室は除外されるなど不自然さは否めない。

平成30年3月16日には、当時の安倍晋三首相からこんな言葉を聞いた。森友学園問題をめぐり、安倍氏は財務省の忖度を招いたと批判されていたが、安倍氏自身は事務方のトップである杉田和博官房副長官にこう言われたのだという。

「申し訳ないが総理、役人には総理がどうなろうとどうでもいいんです」

役所は数年で代わる首相や閣僚よりも、役所の論理とニーズで動く。

 役所の論理とニーズには、個人的な政治的指向も含まれるのだと思います。何度も引き合いに出しますが、元文科相事務次官の前川喜平氏など、その代表でしょう。彼のような人物が官僚であれば、政権に批判的な文書を書き上げる可能性もあるのだと思います。

 今回の阿比留氏の記事は、そうした思いを持った上司が書き換えた可能性を示唆したもので、十分にありうることだと思います。なぜなら高市大臣が進退をかけて否定しているところに、その可能性を見いだせます。

 いずれにしろ、総務大臣や総務官僚は省益のために、肝心なところで言葉を濁して曖昧にしている節がありますが、何とか真実を暴いてほしいものだと思います。こういうことがもし起きているとすれば、霞ヶ関の存在を揺るがす大問題ですから。

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2023年3月12日 (日)

小西洋之議員が公表した「放送法文書」は“捏造”なのか 朝香氏:そうした謀略が取られた可能性が極めて高い

Images-9_20230311161301 立憲民主党の小西洋之議員が取り上げた総務省の文書の記述問題。国会でもそのやりとりが行われ、当時総務相だった高市早苗現経済安全担当相の辞職問題にも言及されるようになっています。小西氏はツイッターでも高市氏を攻撃し続けています。

 それに対し高市氏は、一貫してこの文章は「捏造」されたものと、発言し続けていますが、その真偽はどうなのでしょうか。それについて経済評論家の朝香豊氏が現代ビジネスに寄稿したコラムで見解を述べています。タイトルは『小西洋之議員が公表した「放送法文書」は“捏造”なのか…? その信憑性について考えてみる』(3/07公開)で、以下に引用します。

総務省職員から入手したという文書

参議院予算委員会の質疑において、放送法をめぐる問題で、小西洋之議員が総務省職員から入手したという文書に基づいて、高市早苗大臣らに詰め寄る一幕があった。

文書に記載された生々しい会話も、いろいろと出てきた。

「サンデーモーニングは番組の路線と合わないゲストは呼ばない。あんなのが番組として成り立つのがおかしい。とにかくサンデーモーニング。総務省もウォッチしておかないとダメだろう。けしからん番組を取り締まるスタンスを示す必要があるだろう」

磯崎首相補佐官が総務官僚にこのように話したとか、「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと高市大臣が語ったとか……。

こういう話を聞くと、政府部内でとんでもない謀略が行われていたのだろうと思ってしまうのが、ごく自然な反応ではないか。

しかも、今回の文書について、「同じものが(総務省の)放送政策課に存在するということの確認を受けている」と小西議員は述べている。

これを否定する答弁は政府側からも出ていないので、総務省内にこの文書があったこと自体は間違ってはいないと見ていいと思う。

そうなると、いよいよもって政府が怪しいということになるわけだが、真相はどこにあるのか、考えてみたい。

「放送法4条」の解釈

今回問題になっているのは、放送法4条の解釈だ。

放送法4条は、放送事業者が放送する番組の編集にあたり、

(1)公安及び善良な風俗を害しないこと

(2)政治的に公平であること

(3)報道は事実をまげないですること

(4)意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

を求めている。このように、事実に基づき、政治的立場に偏りなく、多くの角度から取り扱い、風紀的な問題を生じさせない報道を心がけよというのが放送法が求めるところだ。

放送法の解釈については、仮に特定の番組が特定の見方に偏っていたとしても、他の番組がそれを補っていることもあるだろうから、番組一つで問題視するのは適切ではないというということが、長年言われてきた。

安倍政権当時の平成28年2月、この解釈に関して、より具体的なものが政府の統一見解として明確化された。

放送局の番組全体を見て判断するとの基本路線はそのとおりだとしつつも、一つの番組のみでも、不偏不党の立場から明らかに逸脱している場合などは、政治的公平を確保しているとは認められないとしたのである。

この政府統一見解を、従来の放送法の解釈を明確化したものだというのが政府側の言い分であるのに対して、放送法の重大な解釈変更だと考えているのが小西議員だということになる。

そしてこの点については、政府見解の方が正しいと言うべきだろう。

昭和39年に示された判断

昭和39年4月28日に、政府側委員の宮川岸雄氏は、こう述べている。

「ある一つの番組が、極端な場合を除きまして、これが直ちに公安及び善良な風俗を害する、あるいは、これが政治的に不公平なんである、こういうことを判断する——一つの事例につきましてこれを判断するということは、相当慎重にやらなければもちろんいけませんし、また、慎重にやりましても、一つのものにつきまして、客観的に正しいという結論を与えることはなかなかむずかしい問題であろうと思うのであります」

宮川氏の発言は長々としてややわかりにくいので、私なりに噛み砕くと、極端な場合を除いて、ある一つの番組が直ちに放送法に違反するか否かを判断するのは、相当慎重にやらなければいけない、という内容だ。

これは逆に読めば、一つの番組の内容であっても、放送法に違反するかどうかの判断は、十分に慎重に行うならば、判断できる余地はないわけではないし、極端な場合には慎重に判断する必要すらない、ということになる。

この昭和39年に示された判断は、その後に問題視されることがなかったことから、この解釈は歴代の政権で引き継がれてきたものだと見ることができる。そしてこの内容は、安倍政権が示した政府統一見解とも矛盾するものではない。

読みようによっては、むしろ昭和39年の答弁より安倍政権の政府統一見解のほうが若干緩い判断になったと解釈できる余地すらある。

以上を踏まえて、今回の文書の内容に信憑性があるかどうかを考えてみよう。

解釈変更がない以上

小西議員の文書は、放送法についての重大な解釈変更があったことを前提とし、この件は一筋縄でいかない大問題だったということが、総務省の役人だけでなく、磯崎首相補佐官、高市大臣、安倍総理までを含めた共通認識になっていたことを前提としている。

冒頭に一部を紹介したが、この文書によれば、高市大臣は放送法の解釈変更について、「本当にやるの?」「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと発言したことになっている。

だが、安倍内閣の認識としては、すでに昭和39年の段階で国会で語られ、その後引き継いできた内容について明確化しただけでしかない。解釈変更がない以上、高市大臣が「本当にやるの?」「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと口にするということは、どう見ても考えられないのである。

平成27年5月に高市大臣が行った答弁と平成28年2月に安倍総理が行った答弁に食い違いがあるから、その結果として、きちんとした政府の統一見解を文書として出せとの声が野党からあがり、それに基づいて出されたのが政府統一見解だと、高市大臣は発言している。

高市大臣は、仮に高市大臣と安倍総理が、小西議員の文書に書かれているとおりに、放送法の「解釈変更」について事前に打ち合わせをしていたのであれば、こうした見解の食い違いが起こるのはおかしいのではないかと発言している。この議論は非常に説得力がある。

21_20230311161601 また、小西議員の文書によると、高市大臣は平成27年2月に総務省の役人から答弁に関するレク(レクチャー)を受けたことになっている。だが、高市大臣にこの件に関して質問があったのは平成27年5月であって、答弁の3ヵ月前に答弁対策のレクを受けたというのは時系列的に合わない。

高市大臣は答弁に合わせて答弁前夜に行われるレクも受けていないし、答弁当日の朝に行われるレクすら受けていないことも語っていた。高市大臣は公務員の働き方改革を推し進める見地から、レクを受けずに自分で答弁書を用意するようにしていたという。

この高市大臣の答弁に信頼を寄せるならば、高市大臣にレクが行われていると記載している文書は、事実に基づかずに捏造されたものだと推論するのが妥当だろう。

「公文書」として認められるのか

そもそも、今回の総務省の文書については、そもそも公文書として認められるかどうかの段階から争いがある。

小西議員が参院予算委員会でこの文書を質疑資料として配布しようとしたが、与党側は文書の正確性に疑義があるとして配布を認めなかった。

これは文書に登場する人物に内容の確認を行ったところ、多くの人から事実に反するとの回答があり、正規の文書として認めることはできないと与党側から指摘があったためである。

正式文書化に際して、関わった当事者全員の確認を取るというのは、公文書に限らず、民間の文書であっても、当然のプロセスではないか。こうしたプロセスを取らないという実に杜撰なことを行えば、後で「言った」「言わない」問題になる可能性がある。

事実にないことを捏造し、文書に登場する人物に確認しないままに済ますということが可能となる仕組みになっていたとすれば、それは公文書のあり方からして、大問題であるのは言うまでもない。

もっとも、総務省の放送政策課に同じ文書が存在するというのは事実なのだろう。そのこと自体は岸田総理も否定していない。

しかしながら、正規のプロセスを踏まずに謀略的に文書を蓄積し、これを「証拠」として政権を追い詰めるということが行える仕組みは、公文書管理のあり方からして断じて認められるべきではない。

そして今回は、そうした謀略が取られた可能性が極めて高いと言わざるをえない。

日本の公務員の倫理観

当事者として身に覚えのないことが書かれていることから、高市大臣は今回の文書について捏造ではないかと話していたが、これに対して小西議員は、なぜ総務省の幹部が悪意を持ってこういう文書を作るのかと、高市大臣に詰め寄った。

これに対して高市大臣は、NHK改革でNHKに対して非常に厳しい姿勢を取っていて、NHKの理事が菓子折りを持ってきたのを突き返したこともあるとのエピソードも交えながら、こうした高市大臣の態度が総務省の一部の幹部の大きな反発を招いたのではないかと説明している。

NHK改革が進めば、総務官僚の天下りなどの利権にも大きな影響を及ぼすのは避けられない。この流れを総務官僚が強烈に嫌がったことは、決して想像できない話ではない。

このように見た場合、少なくとも今回の文書の一部については、総務省の一部の官僚が政権与党に打撃を与えるために、事実関係のない話を作り上げた可能性が高いと考えるべきではないか。

登場人物に内容の確認をしないで、文書を作り上げることを行い、それが「公文書」として保管される仕組みを作っているとすれば、日本の公務員の倫理観を大きく失墜させるものである。

このような重大な疑惑を持たれていることについて、岸田政権がこの解消のために大ナタを振るうことを躊躇することがあってはならない。さらに言えば、政権からどんな動きがあるかにかかわらず、公務員自身が、自らが疑われることになることへの強い危機感を持って、今回の疑惑の追及を行ってもらいたいものである。

 以前文科省の事務次官だった前川喜平氏が、自身のスタンスについて「面従腹背」と答えたことがありましたが、官僚と言ってもすべて時の政権に従う姿勢を示してはいないのは自明の理でしょう。逆の政治的スタンスを持っている官僚も必ずいるはずです。

 ですからありもしないことを書かれた高市氏が「捏造」と言ったことは、十分にあり得ることでしょう。問題はこうした行為を省庁の職員が仮にやったとすれば、大問題です。そこをうやむやにせずに、しっかりと検証していくことが政府としても強く求められます。そして小西議員に文書が渡った経緯もしっかり検証されなければならないでしょう。

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2021年9月27日 (月)

前川喜平氏:戦後最悪の官僚の「面従腹背」の経歴と売国の実態

Images-6_20210927090401  自民党総裁選も終盤にさしかかってきましたが、野田氏以外の3氏が熾烈な戦いをしているようです。高市氏は一部のメディアによると岸田氏を抜いて2位につけたとか。まあ下駄を履くまでは結果は分かりませんが。

 その高市氏を強力に推す安倍元首相、その安倍元首相の時代にとんでもない人が次官になりました。文科省の前川喜平元次官です。ここ毎回引用させていただいている月刊hanadaプラスに公開された、元月刊hanada編集部員のライターの梶原麻衣子氏が寄稿したコラム『元次官の「面従腹背」は続いている? 前川喜平「権力は腐敗する」』(9/24)、今回これを引用掲載します。  

 ◇

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!

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安倍政権最大の失政?

歴代最長内閣となった安倍政権にも、失政と言われても仕方ないものはあった。「え、月刊『Hanada』のサイトでそれを言うの」と驚かれる向きもあるかもしれない。

だが「前川喜平の文部科学次官就任」を挙げれば、安倍政権を評価する人であっても頷かざるを得ないのではないか。

前川氏が次官に就任したのは2016年6月。安倍政権真っ盛りのさなかのことである。

安倍政権に対しては菅官房長官のグリップ力と相まって、「官邸が官僚を人事でコントロールし、強権をふるって異論を排除したことで、逆らう官僚はいなくなった」といったトーンの批判も少なくない。

だが、前川氏の「面従腹背」を見破ることができなかったのも事実。官邸がそこまで個別の官僚の人となりを網羅できなかったのか、前川氏の演技がそれほどまでに高度なものだったのか。

「私の『本性』を知っていたら…」と前川氏

おそらく両方なのだろう。前者については、ほかでもない前川氏が今回取り上げる新著『権力は腐敗する』(毎日新聞出版)に次のように書いている。

<かく言う私自身も、2016年6月第二次安倍政権の下で文部科学省の事務次官に任命されたわけだが、この人事は菅氏に取り立ててもらったというものではない。私はすでに事務次官昇任への待機ポストである文部科学審議官になっていたので、特に不自然な人事ではなかった。

 しかし、私の事務次官就任人事は官邸から見れば明らかな失敗だった。私の「本性」を知っていたら、安倍氏も菅氏も決して私を事務次官にしようとは思わなかっただろう。人物のチェックが不十分だったわけだ。

 なぜなら、私は安保法制反対のデモに参加していたからだ。>

しかしもう一方で後者、つまり「前川氏は大嫌いな安倍・菅体制にあっても面従腹背で、本性を隠し切った」面も否定できない。そしてそれは今も続いているのではないか、という気さえするのだ。

「やってこなかったことを、やってきたかのようには書けない」

「面従腹背」は官僚としての前川氏のモットーであったらしく、今回の『権力は腐敗する』の前作のタイトルにもなっている。『面従腹背』についても以前、取り上げたことがあるが、この時も指摘したように、前川氏は「面従腹背して権力に従った、リベラルからどつかれそうな案件」については無視を決め込んでいる。

今回の『権力は腐敗する』でも、さすが文科官僚だけあって、安倍政権下でのコロナ「全国一斉休校」などには詳細に検証し、苦言を呈しているが、食い足りないのはまさにそこで、「内部の手続き論などを詳しく書いてはいるけれど、自分がその場にいたらどういう手法や論理でそれを覆したのか」についての言及はない。

「あったことをなかったことにはできない」も前川氏の名言であるように、「やってこなかったことを、やってきたかのようには書けない」のかもしれない。

つまり面従腹背してきた前川氏は、内心では「安保法制反対デモに参加してしまうような反体制的思考」を持ってはいても、「安倍政権下での腑に落ちない文科行政に対し、実際に反対論をぶつ」ことはなかったのだろう。

本書では「ふるさと納税」に反対して飛ばされた総務官僚についての言及があり、〈菅首相は官房長官の頃から、気に入らない官僚は排除してきた〉としている。

順当に事務次官になった前川氏の「面従腹背」ぶりはさぞや見事なものだったのだろう、と思わざるを得ない。

「日本の学校は軍隊にならって作られた」

そして現在。日の丸・君が代への嫌悪を抱きながら、親方日の丸の霞が関官僚として「面従腹背」して生きてきた前川氏の習い性は、そう簡単には抜けないのではないかと推察する。

本書では、あえて言えば、教育の多様性を言いながらも「不登校の増加は義務教育の失敗」としているところや、賭けマージャンがばれて退職した黒川弘務元東京高検検事長に対する評価(官邸に弱みを握られていたのでは、賭け麻雀は自らタレ込んだ自爆だったのではないかという指摘)などは、気にはなった。

だが、それ以外は「前川氏ならそう言うだろうな」という予想の範疇内にびったり収まっている。つまり「お客さん向け」に持論を調整して書いているのではないかという疑いだ。

憲法を重んじ、上皇陛下の「護憲精神」に感銘を受け、日の丸君が代の強制を嫌悪する。学校制度を所管する省の次官にまでなりながら、「日本の学校は軍隊にならって作られた」「詰襟は軍服」「ランドセルは背嚢」「体育は軍事訓練そのもの」「入場行進は軍隊の分列行進」「運動会は野戦演習」などと吐き捨てるように書いている前川氏の精神状態が結構、心配になる。

「こんなところにいたくないと思いながら、しかし面従腹背で出世ラインを上っていく」ことによる精神衛生への影響を心配する一方で、前川氏が今書いていることも、「相手が求めるものを(自らの本当の思いを度外視しても)描いて見せる」ことができるだけなのではないか、という気がするのだ。

森功本にも登場しているが……

さて、安倍・菅政権については同時期に森功『墜落 「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか 』(文藝春秋)も刊行されており、『官邸官僚』(同)を出した森氏らしく、こちらも政治家と官僚の関係性にかなり踏み込んでいる。また、前川氏の証言も会話調で収録されているが、併せて読むと前川氏の自著のトーンとの違いに気づかされる。

まさかこれも森氏への「面従腹背」だろうか。

ご興味ある向きには、ぜひ併読をお勧めする。それほど前川氏に興味はないかもしれないが……。

 ◇

 前川氏には貧困調査と強弁する出会い系バー通いの件や、辞職のきっかけとなった天下り斡旋工作とか、ツイッター裏アカウントでの反日投稿とか、国家官僚にあるまじき行為の数々が公になっています。 

 そんな前川氏なる人物には、興味ではなく嫌悪感が大なるものがあります。国の官僚でありながら、安保法制反対のデモに参加し、そして文部科学省という省庁にいながら、梶原氏の言を借りれば、「日本の学校は軍隊にならって作られた」「詰襟は軍服」「ランドセルは背嚢」「体育は軍事訓練そのもの」「入場行進は軍隊の分列行進」「運動会は野戦演習」と言う考えだったことを、しゃあしゃあと述べています。

 後日談で済ませようとしているのでしょうが、これほど腹黒い官僚はいません。国の税金で堂々と「面従腹背」し、辞職後は堰を切ったように反日反政権論をまくし立てているのです。戦後最大の悪官僚でしょうね。

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