原発再稼働

2022年8月16日 (火)

細野豪志氏:「メガソーラーには絶望しかない」「残された道は原発再稼働一択」

5_20220816100801  先日西村経済産業大臣が、原発再稼働推進の発言をしました。6月下旬の電力危機の際、特に関東、東北地区は余力すれすれで、肝を冷やした経験をお持ちだろうと思います。この冬はもっと深刻な状態も予測されるようです。

 福島原発の事故以来、原発に対する過剰とも思える安全基準のハードルをあげ続けた原子力規制委員会。安全に越したことはありませんが、テロや戦争など言い出したらきりがありません。そして稼働停止に伴う電力不足分の化石燃料の輸入額は、毎年数兆円にかさみ、国費の無駄遣いをし続けている状況です。

 一方太陽光発電に関しては、導入時クリーンと再生エネルギーの美名の元に、各地にメガソーラーが設置されましたが、自然破壊や異常に高い買い取り価格設定のため、今では課題が山積するようになっています。天候に作用され、夜間は発電できないなどの問題もあります。

 ですから、何とかして休止している原発を再稼働していかなければ、電力危機は相変わらず続き、電力料金はますます上がって産業の競争力は減退し、更に化石燃料の輸入の増加で国力は衰退してしまいます。そこで今回はイトモス研究所所長の小倉健一氏が現代ビジネスに寄稿した記事を引用して紹介します。タイトルは『「メガソーラーには絶望しかない」と元環境大臣が覚悟の告白…「残された道は原発再稼働一択」 細野豪志に直撃』です。

なぜメガソーラーはトラブルが絶えないのか

ロシアによるウクライナ侵攻、そして、円安によってエネルギー価格が高騰している。さらに、日本では、太陽光発電を中心とする自然エネルギーを普及するために莫大な補助金を支出しており、わたしたちは「再エネ賦課金」(再生可能エネルギー発電促進賦課金)として、電気代に上乗せされる形で徴収をされている。

問題は電気代の値上がりだけではない。その太陽光発電・メガソーラーが、全国各地で、環境破壊を起こしトラブルが頻発しているのだ。

細野豪志元環境大臣は、3.11の東日本大震災時には、内閣総理大臣補佐官とし菅直人政権を支えていた。その後、原発事故担当大臣として東電に常駐しながら事故対応にあたり、その年に、環境大臣に就任。自然エネルギーの推進を図りながら、大飯原発再稼働に向けて当該地域の知事への説得役も担ってきた。

原発処理を担当した大臣として、自然エネルギーを推進する立場にあった環境大臣経験者として、「メガソーラー・太陽光発電」をどう考えているのか。イトモス研究所所長・小倉健一が、直撃インタビューを敢行した。

6_20220816100901 ──日本中で、メガソーラー(発電所)の設置が大問題になっています。そもそもメガソーラーは、発電規模が1,000kW以上の大規模な太陽光発電システムを指します。一般家庭の屋根に設置する太陽光発電システムは10kW未満ですから、その100倍以上になります。メガソーラー設置には、サッカーのフィールドの約2倍の敷地が必要です。震災を前後して、国が積極的に支援をしてきました。最近になって近隣住民とのトラブルが多発しています。細野元環境大臣の地元である函南町でも同様です。なぜ、メガソーラーはトラブルが絶えないのでしょうか。

細野 根本的な問題は、メガソーラーの買取価格を高くつけすぎたことです。産業用の電力買取単価は、2012年は「40円+税」(※)を20年間約束するというものです。今では「10円+税」を20年間ですから、およそ4倍です。高い値段をつけてすぎてしまったがために、発電に適していないところでも十分に収益が可能となってしまい、自然環境や住民にとって迷惑な場所での開発が全国各地で起きてしまった。急斜面でつくったり、森林を伐採するので地域全体の保水力が落ちて土砂災害が起きます。

細野 10年前の権利を持っている人、もしくは転売を受けた人は、あと10年間は権利を持っていることになりますから、無理にでも開発しようという動機が生まれてしまいます。もし、今の10円という価格なら、森林を開発してまで収益を得ることはできません。

原発に比べて甘い管理監督

──政府として、一度約束してしまったものは、対策が難しいということですね。乱開発をする業者に対しても国が管理・監督を怠ってきたツケのようなものを感じます。メガソーラーには絶望しか感じません。

細野 たしかに、過去にさかのぼって法律の効力を持たせる「遡及法」でないと、メガソーラーを止めることは難しい。ただし、同じエネルギーに関していうと、原発は「遡及法」が適用されています。建設した当初よりも相当厳格な基準、世界でも厳しい基準、でないと稼働が認められていません。原発もルールを格段に厳しくしたのですから、太陽光・メガソーラーに関しても同様に厳しい基準を後から課すことは可能だと思います。

細野 それと管理監督面でも、メガソーラーは原発と比べて相当甘い。地元・静岡を回っていると、富士山の麓ということもあって、メガソーラー天国のようにたくさん設置されているのが見て取れます。よく見ると、下草が生い茂っていたりと野放しに放ったらかしになっているものも多い。管理ができていない。

原発は経産省が管轄していて、さらには独立性の高い原子力規制委員会が厳しいチェックを繰り返しています。テロ・戦争の危険性まで指摘を受けている状況です。

細野 対するメガソーラーと太陽光発電ですが、林地開発は農水省の管轄で、エネルギーは資源エネルギー庁が管轄ですが、扱っている案件が多すぎて監督しきれていません。

一番心配なのは、これから10年前に設置したメガソーラーや住宅用太陽光発電の大量廃棄時代がやってくることです。個別の所有権は次々と移っていく中で、有害物質をきちんと取り除いて廃棄されるのか。悪質なメーカーが対処しないのではないか。多くの懸念がありますが、これは政権に課せられた大きな宿題だと思ってます。

もう原発再稼働しかない

──細野元環境相の地元で開発が進められている「函南町メガソーラー」も住民トラブルが発生しています。報道を確認すると、川勝平太静岡県知事が「メガソーラーが森を破壊する」「住民の理解なしに進めるのは間違い」と口にしているものの、静岡県では着々と函南のメガソーラー事業を進めている印象を受けます。

細野 函南で進められているメガソーラー事業は、決して認められるものではないと考えています。絶対に阻止しなくてはいけません。林地開発許可が降りているので難しいという人もいますが、この許可の前提となる「河川協議」ができていません。事業者は「協議はした」と主張してますが函南町は「していない」と言っています。当事者のうち、片方が協議をしていないというのでは話になりません。このような状態で許可をおろしてはいけません。知事は問題だと言っているけど、行政の側は認めてしまっている。

──元環境大臣として、原発再稼働に賛成し、太陽光に対しては反対。地球環境を守るためには、自然エネルギーには手を出さないほうがいいということでしょうか。

細野 そういうことではありません。例えば、太陽光発電は多くのデメリットがある半面、防災施設には最低限の電源として導入するのがいいと思います。地震が起きて、他地域から送電ができなくなっても太陽光発電を備えた施設は、発電ができた事例があります。

経済安全保障の観点からも、メガソーラーや太陽光発電は中国資本が強く、風力は欧州勢が強い。エネルギー供給の基幹部分を他国に委ねるのは危ないと思いますし、発電するたびに、国富が海外へ流れていくのはもったいないですね。風力についてはもう一度国産でできないかを考えるタイミングだと思います。

細野 環境大臣時代には、地熱発電に期待していたこともありました。温泉や火山がこれだけある国土ですから、可能性を感じていたのです。ただ、実際に設置場所を考えたときに、景観を破壊せず、そして既存の温泉施設が近くにないという条件がネックになって、限定的なものになってしまいました。

今後、蓄電技術やペロブスカイトなどの技術面でのブレークスルーは大歓迎です。

しかし、今起きているこのエネルギー危機を解決する策は、原発再稼働しかありません。「再稼働」というぐらいですから、一度は動かした実績があります。ブラックアウト(大規模停電)リスク、産業リスク、低所得者がエアコンを切ることによる熱中症、健康リスクなど、一刻も早いエネルギーの安定供給を図るべきです。今すぐにやれることは、「原発再稼働一択」といって過言ではありません。

 もちろん太陽光発電にもメリットもあり、従って太陽光発電はやめてしまえと言うことでは無いと思います。ただ環境破壊を伴うようなメガソーラーはやはり問題です。基準をはっきり決め法的な規制をする必要があると同時に、いくら10年前に権利を得たからと言って、これからも新設の発電設備で40円で売電できることはいくら反対があっても禁止すべきでしょう。それこそ世論に訴える必要があります。

 その上で稼働可能な原発の再稼働は早急に実現するべきです。電力危機が毎年のように起こるような事態は、もはや先進国と言えないでしょう。規制委員会の規制基準の見直しも必要だろうと思います。いずれにしろ電力コストを下げ、企業の国際競争力向上に少しでも貢献するような、電力行政が必要とされていると強く思います。

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2022年7月31日 (日)

電力需給逼迫解消と電気代の高騰抑制へ原発再稼働を急げ

Photo_20220730173701   電力料金の値上げが続いています。最も高い東京電力では、9月に使用量が平均的な家庭で9126円と、13ヶ月連続で値上げします。中部電力でも9111円でいずれも1年前と比べ3割前後の大幅な値上げです。

 しかも6月末の猛暑の最中電力逼迫が現実化し、企業や家庭に対し節電の呼びかけが行われました。何でこんなことになったのでしょう。

 ご承知の通り、ロシアのウクライナ侵略の影響による、エネルギー価格の高騰に加え、東日本大震災以降の原発停止が大きな要因です。この状況に関し東京工業大学の奈良林直特任教授が次のような提言をJINFに寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『首相は原発審査の迅速化を指示せよ』です。

 電力需給は今冬へ向けて厳しい状況が続く。岸田文雄首相は今月、冬までに最大9基の原子力発電所を再稼働するよう指示を出したが、電力会社が航空機テロ対策の工事を終えて再稼働することを決めている原発も含むので、新味に乏しい。しかも、対象となる原発は西日本のものに限られ、電力需給の逼迫ひっぱくが特に懸念される東日本の原発が入っていない。

 首相として重要なのは、東日本の約20基の再稼働のため、原子力規制委員会に安全審査の迅速化を指示することだ。低廉な電力を安定供給することが首相の目指す新成長戦略の実現に不可欠だ。

  • 原子力規制委がつくり出した電力不足

 2012年9月に原子力規制委が発足した際、脱原発派の菅直人首相(当時)は「トントントンと10基も20基も(原発が)再稼働することはあり得ない。規制委は活断層の議論をしているからだ」と言い放ったと報道されている。10年後の今、電力需給の逼迫が起こるほど原発再稼働へ向けた審査が遅延している。地震や活断層の有無の決定プロセスがあいまいで、審査が先に進まないのだ。

 米国では1979年のスリーマイル島原発事故以降、「原子力規制を厳しくする」として、事業者能力査定制度(SALP)が採用された。しかし、これは些細な事故に過大な罰金を科す制度で、電力事業者の意欲を削ぎ、大失敗した。その反省で取り入れられたのが原子炉監督制度(ROP)てある。規制委が事業者自身による点検を促す制度で、事業者が事故の予兆を捉えて予防するという緊張感のある規制に進化した。

 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機は新規制基準に基づく安全審査に合格したが、テロ対策の検知器の故障を放置したとして、工事認可の審査が停止した。規制委が検知器の点検を事業者に指示し、それを確認するというのがROPの正しい手順なのに、それをせず、責任を事業者に転嫁した。2021年9月、梶山弘志経済産業相(当時)が東電の社長を呼んで叱責したが、それでは本質的な問題解決にならない。

 米国の安全対策は、コストをかけずに事故発生リスクを大きく減らすものを優先する。航空機テロ対策に1000億円以上のコストがかかる特定重大事故対処施設(特重施設)の設置は、優先度の最も低い対策だ。原発の周りに航空機障害物を設置する方がはるかに経済的で、テロ抑止力も大きい。

  • 再エネ優先を見直せ

 我が国ではさまざまな業種の企業が電力の販売に参入する電力自由化が進展したように見えたが、発電量の3分の1を占める天然ガスの価格高騰により、新電力会社の倒産・撤退が相次いでいる。

 電力供給を安定させるには、再生可能エネルギー優先政策を抜本的に見直し、安全性を高めた原子力発電所を最大限に活用する政策にかじを切る必要がある。電力・エネルギー供給の余裕が出てこそ、日本はロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の権益維持をめぐるロシアとの交渉に有利に臨むことができる。ドイツも同じで、脱原発政策をやめない限り、ロシアによる天然ガス供給削減の揺さぶりから逃れる術はない。

 この冬は6月下旬の電力逼迫より、更に厳しい状況が予想されています。今再稼働に向けてもこの冬に間に合うかどうかは分かりませんが、来年以降も世界のエネルギー事情が改善されず、かつ温暖化による気候変動は続くとみられます。

原発を動かせるのに動かさないで、年間数兆円に上る天然ガスの追加輸入を続けている日本。今日本という国家にそんな余裕がないはずです。奈良林氏の仰るとおり原発の審査をできるだけ迅速にし、電力の逼迫を防ぐと共に世界一高い産業電力代を下げ、国際競争力への阻害要因を少しでもなくす努力が強く望まれます。

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