共産党の組織と実態

2022年8月11日 (木)

異変の日本共産党、中で何が起こっているのか?

Images_20220810164801  日本共産党は急速に勢いを失いつつあります。日本にとってそれはそれでいいことだと思いますが、その要因は何でしょうか。以前党員の高齢化を取り上げましたが、それだけでしょうか。

 この点に関し、もと共産党幹部で参議院議員の筆坂秀世氏がJBpressに寄稿したコラムを取り上げます。タイトルは『日本共産党に異変、「全会一致」にならなかった中央委員会総会 本当に真面目にやっているのか? 綻びが出てくるのも当然』で、以下に引用します。

 日本共産党の第6回中央委員会総会が8月1日、2日の2日間行われた。ここで珍しいことが起こった。中央委員会総会には、通常、幹部会を代表して志位和夫委員長が報告を行い、討論を踏まえて結語(まとめ)が述べられる。この報告と結語が採決にかけられるのだが、共産党の場合、ほとんど全会一致で可決される。私自身、何十年も中央委員を務め、何十回と中央委員会総会に出席したが、全会一致以外知らない。

 ところが今回は違ったのだ。書記局の発表には「幹部会報告と結語を圧倒的多数で採択した」とあるのだ。

 志位委員長によると「保留」の態度を表明した人が一人いたそうだ。「保留」の理由は明らかにされていないので知る由もないのだが、志位氏の報告や結語を読んでみるとさもありなんと思えてくる。

 小さな綻びのようだが、そうとも言い切れない動きもある。

党内から公然と出てきた委員長公選論

 いま党内の一部から共産党の委員長を党員による投票で決めたらどうかという意見が出ている。代表的なのが、私も以前党本部で机を並べていた松竹伸幸氏だ。松竹氏はブログで「共産党の党首公選を考える」というタイトルですでに11回も意見を掲載している。もっと続くようだ。

 同氏のブログによると、「党首公選を求める声は少なくない。SNSを見ていると、共産党員と思われる人も、そんな発言を活発にしているようだ」という。

 松竹氏は、 「現在、共産党だけに党首公選の仕組みがなく(あとで書くように公明党にも存在しない。公明党と同じだなんて恥ずかしいな)、他党には存在するので、その違いを政党のあり方、成り立ちの違いからくる普通のことと受け止めている人もいるかもしれない。しかし、日本のほかの政党も、設立以来ずっと党首公選などはしてこなかった。党首公選は、時代の変化、世論の変化をふまえた新しいシステムなのである」とも指摘している。

 松竹氏には、難しい挑戦だが、党首公選実現のため大いに頑張ってほしいと思う。何しろこれまで共産党は、党内で選挙というものをやったことがないからだ。共産党規約3条には、「すべての指導機関は、選挙によってつくられる」という規定がある。

 また13条には、次のように規定されている。

〈党のすべての指導機関は、党大会、それぞれの党会議および支部総会で選挙によって選出される。中央、都道府県および地区の役員に選挙される場合は、二年以上の党歴が必要である。

 選挙人は自由に候補者を推薦することができる。指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する。〉

「指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する」。この規定が曲者なのだ。例えば新しい中央委員会のメンバーを現在の中央委員会が決めるということなのだ。その数は200人を超える。この段階でほぼ決まったのも同然である。なぜなら実際に行われていることは、この200人を超える中央委員、准中央委員候補の名簿を見て、信任したくない人に印を付けるだけだからだ。

 もっと分りやすく言えば、志位氏ら幹部が候補を選んで名簿を作成した段階で決まっているのだ。候補者名簿が掲載された人で当選できなかった人はいない。すべての段階でこのやり方なのだ。

 そもそも本当の意味での選挙は、共産党には存在しない。党員ならこの実態を誰でも知っているはずだ。

 共産党は今年創立100周年を迎えた。いまの綱領路線が確立してからだけでも約60年になる。この間、トップに座ってきたのは宮本顕治、不破哲三、志位和夫の3人だけだ。3人とも世間の常識から外れた長さだ。この異様さに、そろそろ党内から大きな声が上がって当然だ。

責任転嫁の「惨敗」参院選総括

 第6回中央委員会総会は、惨敗を喫した参院選の総括と来年(2023年)の統一地方選挙への取り組み方針を決めるために行われた。

 志位氏によると参院選挙は「二重の大逆流」の中で行われたそうだ。それは何か。

 1つは、野党共闘と日本共産党への攻撃が総選挙後にさらに強まり、「野党共闘は失敗した」「共産党との共闘が失敗の原因」などのキャンペーンが行われたことだという。だがこれは事実であって、これを「大逆流」などというのは責任転嫁に過ぎない。そもそも立憲民主党が政権獲得する目途などまったくないときに、閣外協力に合意し、それを選挙の最大の売り物にした。この見通しの甘さ、悪さが国民に見透かされただけのことだ。

 もう1つの大逆流が、ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略だそうだ。志位氏は、「ロシアの蛮行に乗じた日本共産党攻撃、憲法9条攻撃が荒れ狂い、軍事力大増強の大合唱が始まりました。一時期は、わが党の訴えへの冷たい反応が一挙に広がり、取り組みの足が止まるという状況が各地で起こりました」と述べている。

 嘘でしょう! と言うしかない。9条攻撃がどこでどう荒れ狂ったと言うのか。そんな事実を知らない。「取り組みの足が止ま(った)」のは、党員の活動力が低かったというだけのことだろう。そもそも止まるほど活動していたとも思えない。

 こんな責任転嫁の選挙総括では、次の展望も出てこないだろう。昨年の総選挙のあとも“政治対決の弁証法”という意味不明な造語を使って選挙総括をし、参院選を「反転攻勢に転ずる選挙」にすると語っていた。“政治対決の弁証法”というのは、共産党が躍進すれば敵の攻撃が強くなり押し返される。だがこれを打ち破れば、また前進できるということを言っているだけなのだ。勝ったり、負けたりを、マルクス主義らしく“政治対決の弁証法”などといって目くらまししているだけだ。

笑ってしまった「折り入って作戦」

 今回の志位氏の報告を聞いて、昨年の総選挙以来、共産党の選挙戦術に「折り入って作戦」というものがあることを知った。志位氏はこの作戦について次のように説明している。

〈「折り入って作戦」とは、“後援会員、支持者、読者に「折り入って」と協力を率直にお願いし、ともにたたかう選挙”にしていくということです。それは、現在の自力のもとでも勝利をつかむうえでのカナメをなす活動として、また、「国民とともに政治を変える」という党綱領路線にもとづく選挙活動の大道に立った方針として、昨年の都議選、総選挙のとりくみから重要な教訓として導き出したものです。その決定的な意義を、全党のみなさんにしっかり伝えていく中央としての活動に弱さがありました〉

 調べてみると「折り入ってお願いがあります」と冒頭に書き込んだ候補者のビラがあった。別に「折り入って」と言わずともできることだ。共産党の中央委員たちがこれを重要な作戦だとして真面目に議論していたと思いたくないほど、ばかばかしい戦術である。選挙に負け続けていることに納得した。

活動と支持拡大を7倍に引き上げようという無茶な提起

 共産党は参院選挙の直前の6月に第5回中央委員会総会を開き、そこで志位氏が、「折り入って作戦」と合わせて、有権者との対話、支持拡大を、7倍に引き上げようという提案を行っている。この提起に対しどういう反応があったかについて、志位氏は結語で次のように語っている。

〈「7倍」という提起に対して、討論のなかで、予定候補者の同志からも「7倍にして勝ちます」という決意が語られましたが、全国からの感想でも「7倍」が非常に衝撃的に受け止められています。「7倍はとてもやれそうもない」というのではなくて、「ここまで来たからにはテンポを7倍にアップしてやろうじゃないか」という決意として返ってきていることがとても心強いことだと思います。ここまでみんなの力で攻撃や大逆流を押し返してきた。そこに確信をもって、いまここで、その流れをうんと飛躍させて、組織活動のテンポを「7倍」に引き上げ、勝利に必要なことを掛け値なしにやりきる決意を固めあいたいと思います〉

 またいつものパターンだ。腹の中じゃ誰もできるとは思っていない。こんな無責任な提起と議論しかできない指導部や中央委員に引導を渡したくなるのも当然だ。

 「大逆流」を選挙敗退の理由にしたり、「折り入って」お願いしたり、活動を7倍に引き上げても、肝心カナメの政策が最近の国際情勢から乖離し、あさっての方向を向いていれば、支持拡大や選挙での勝利は全くおぼつかないでしょう。

 自衛隊違憲(最近曖昧ですが)や日米安保に反対、更には天皇制への否定など、それこそ今の日本の肝心カナメの施策として国民に浸透した考えを否定する党の方針を変えない限り、明日は社民党と同じ運命を辿るでしょう。

(私事ですが只今入院中なので、10日から2週間お休みします)

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2021年12月18日 (土)

老齢化が進み劣化する共産党:元党員が内情告発

20211101ds86_p  先月もこのブログで、元党員による日本共産党の裏の実態を取り上げましたが、今回はその第2弾です。

 共産党は先の総選挙で、立憲民主党を中心とする野党との選挙協力を取り決め、連合政権を目指すと意気込みましたが、結果は議席数を減らし、一敗地に塗(まみ)れたといった方がいいでしょう。

 それでも委員長の志位氏からは、まるで負け惜しみとしか思えない選挙総括が示されました。その内容と、共産党が直面する数々の問題を、元党員で現在は政治評論家の筆坂秀世氏が、JBpressに寄稿したコラムから見てみましょう。タイトルは『支配勢力を追い詰めた?勘違い選挙総括が示す共産党の劣化ぶり 20年以上も同じトップが君臨するいびつな体制』(12/14)で、以下に引用します。

 ◇

 共産党は11月27、28日の2日間にわたって中央委員会総会を開催し、志位和夫委員長による10月の衆院選の総括と、来年(2022年)の参院選挙を戦う方針を確認した。

 まず、政権交代を前面に押し出した衆院選での戦略について、志位委員長はどういう総括をしているのか。要旨は次の通りである。

・共産党は、「野党共闘で政権交代をはじめよう」と力いっぱい訴えた。都道府県・地区・候補者からのアンケートでも、政権交代への歴史的挑戦の訴えを行ったことは良かったという感想が、共通して語られている。「野党共闘で政権交代をはじめよう」という訴えは、最初のチャレンジとして歴史的意義をもつものだった。

・支配勢力――自公と補完勢力から見れば、心底恐ろしい展開となった。野党共闘によって、多くの候補者が小選挙区で敗北する危険が生まれただけではない。彼らにとって最悪の場合には、日本の歴史でも初めて、日本共産党が協力する政権が生まれることになるからだ。

・野党共闘と日本共産党が、支配勢力を攻め込み、追い詰めるなかで、相手も必死の反撃で応える──“政治対決の弁証法”の角度から、選挙結果をとらえることが重要である。

 “政治対決の弁証法”などという難しい言葉を使っているが、要はこちらが攻めれば、相手も攻め返してくるというだけことなのだ。なぜこんな難しい言葉を使うかと言えば、マルクス主義は、弁証法的唯物論という哲学的立場に立っている。弁証法という用語を使うことによってマルクス主義的な、科学的な選挙結果の分析を行っているというように装っているだけだ。

 だが、まるで自分たちが自公政権や日本維新の会を追い詰めたかのような総括のどこが科学的分析なのか。追い詰められたのは、どう考えても共産党と立憲民主党の側である。立憲民主党などは、枝野代表が辞任に追い込まれてしまった。こんなご都合主義的分析をいつまで続けるつもりか。

若い人が入ってこない共産党の現状

 共産党の現状については、次のような率直な分析もなされている。

・敗北の根本には、党の自力の問題がある。世代的継承の取り組みが前進していない。今回の総選挙は、前回総選挙時比で、党員92.2%、日刊紙88.6%、日曜版87.3%で戦った。都道府県・地区からのアンケートでも、力不足、自力の問題、世代的継承の問題が、痛切な教訓として報告されている。

 世代的継承というのは、若い人たちが共産党に入ってこない、高齢者中心の党になっている、ということだ。

 共産党は今でも建前では社会主義を目指しているはずだ。そういう革命政党に若者が入ってこないというのは、致命的な弱点である。“高齢者集団の革命政党”など、ほぼジョークの世界である。機関紙であり、党の収入の約8割を占める「しんぶん赤旗」も減り続けている。かつて公称350万部発行されていたが、昨年(2020年)の党大会では約100万部と報告されている。すでに100万部も切っていることだろう。

 だが強気な姿勢は変わらない。志位氏は、次のように選挙総括を結んでいる。

・マルクスは、かつてフランスにおける階級闘争の歴史を論じた論文(『フランスにおける階級闘争 1848年から1850年まで』、1850年)のなかで、革命は「結束した強力な反革命」を生みだすことにより、それと戦うことによって、自分の本当の成長を勝ち取りながら、前進の道を切り開くということを指摘したことがある。わが国における今日の国政をめぐる進歩と反動の闘争の弁証法は、マルクスの170年前のこの指摘と共通する特徴をもっている。

 170年前のマルクスの言葉を借りなければ、党員の落ち込んだ気持ちを盛り上げることができないとは、もはや情けないと言うしかあるまい。今の共産党に現状をひっくり返す力があれば、このマルクスの言葉も生きるかもしれない。しかし、それがなければ、ほとんど何の意味もない言葉となってしまう。

20年以上も同じトップが君臨

 今回の選挙総括を読んでみて思うことは、志位体制の著しい劣化である。選挙総括には「支配勢力」という表現が何度も出てくる。自公体制のことだ。自公を支配勢力と呼んでいる。こんな言葉は広辞苑にも載っていない。

 いまや18歳から男女ともに選挙権がある。この国民が選んだのが自民党であり、公明党、日本維新の会なのである。この党を選んだ国民は唾棄すべき国民だとでも言うのだろうか。

 志位氏は委員長職に就いて20年以上になる。志位体制の劣化は、党内民主主義の欠落した共産党の体制がもたらしたものでもある。

 共産党の党規約第13条には、次のようにある。

・党のすべての指導機関は、党大会、それぞれの党会議および支部総会で選挙によって選出される。中央、都道府県および地区の役員に選挙される場合は、2年以上の党歴が必要である。

・選挙人は自由に候補者を推薦することができる。指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する。選挙人は、候補者の品性、能力、経歴について審査する。

・選挙は無記名投票による。表決は、候補者一人ひとりについておこなう。

 この規約を読んですぐに分かることがある。立候補の規定がないことだ。私自身も長い間、共産党に籍を置いていたが、中央委員、都道府県委員、地区委員の選挙で立候補した人を見たことがない。立候補制度がない選挙などあり得ない。

 大原則は推薦なのである。しかも、「指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する」と規定されている。党外の人には、もはや理解不能だと思うが、現在の執行部が、次の執行部の名簿を作成するということなのである。共産党の指導機関で一番上位にある中央委員会を構成する中央委員、准中央委員は200人を超えている。党大会では、この中央委員を決めるため、現在の中央委員会がその名簿を作成する。要するに、志位氏らが名簿を作成するわけだ。

 投票用紙には、この200人を超える候補者名簿が印刷されており、最高裁判事の国民審査のように、駄目と思う人に印を付けるというやり方である。だが肝心の投票する人は、志位氏や国会議員クラスなら名前などを知っているが、ほとんどは知らない人なのである。全国47都道府県から選ばれるが、その党員を全部知っている人などいない。つまり、まったく知らない人を選ぶのである。要するに選挙などと呼べる代物ではないのだ。

 これはトップの委員長を決める際も一緒である。選挙で選んだことなど一度もない。志位氏の役職は正式には「幹部会委員長」である。幹部会で決めるが、私が幹部会にいたときには、一番高齢の幹部会委員が仮議長に就き、「幹部会委員長をどうしましょうか」と発言すると、間髪入れずに「志位同志を推薦します」という声が上がり、一斉に拍手があって決まるというようなやり方だった。今もほぼ同じようなものなのである。

 しかしわが国は民主主義の国である。その国で20年以上も同じトップが君臨する政党が存在するということ自体、異常な姿である。そんな政党に民主主義や自由を語る資格はない。

地球上のどこでも証明されていない「歴史的必然」

 衆院選挙では、共産党自身も総括で述べているように、激しい共産党攻撃がなされた。しかしそれは仕方がないことである。いまだにマルクスの一言一句を金科玉条のごとく扱っている。

「資本主義から社会主義への移行は歴史的必然」という考え方が、マルクス主義の真髄だとされてきた。だが百数十年経っても、この地球上のどこでも証明されていない。歴史的必然などではなかったのだ。それどころか中国といいロシアといい、社会主義革命とその崩壊、中国共産党やソ連共産党がもたらしたものは、人類への巨大な災厄ばかりであった。言語道断の人権侵害や覇権主義も目に余るものがある。

 日本共産党がいまだにマルクス主義にしがみつき、社会主義革命をあきらめない以上、同じ批判にさらされても仕方がないことなのである。このことに気が付かないところに、現在の志位体制の著しい劣化がある。

 ◇

 筆坂氏の指摘する、日本共産党の党内選挙の実態を見ると、選挙とは名ばかりであり、推薦方式で現状幹部がそれを決める点は、あの中国の選出方式とほぼ同じだと言うことが分かります。そこに民主的な方法は全くと言っていいほどありません。つまりトップになった人物の独裁が成り立ってしまっているのです。ですから志位委員長が20年以上もトップに君臨し、その前の不破氏も宮本氏も(不破氏の前の村上氏は例外的に1年半でしたが)。

 このように、民主主義国家の中でそれを相容れない社会主義を目指すこの党が、政権を取ることなど全く許されないし、実現性もありません。立憲民主党は浅はかにもそれを忘れて選挙協力を組み、同様に敗れ去りました。もう二度と共闘を組むことなど自殺行為だと思い知ったことでしょう。

 自由で民主国家の日本では、日本共産党はこのまま社民党のように、解党に向かって行くしかないのではないでしょう。

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