中国の政治

2023年2月25日 (土)

福島香織氏:武漢で始まった「白髪革命」デモ 保険制度改革に激怒する中国の老人たち、「政府を倒せ」とシュプレヒコール 

Photo_20230224164601  中国で医療保険制度改革が発端で、直接の影響を受ける高齢者のデモが、各地で勃発、特に武漢では退職工員によるデモが大きなうねりとなって、地方政府を揺さぶっています。

 習近平政権の3期目のスタートか半年弱、その間白紙デモや、ゼロコロナ解禁後の感染大爆発、そして気球問題など矢継ぎ早に政権には面白くない出来事が続いていますが、この所謂「白髪デモ」もそれに一枚加わりました。

 フリージャーナリストの福島香織氏がJBpressに寄稿したコラムにその詳細を見てみましょう。タイトルは『保険制度改革に激怒する中国の老人たち、「政府を倒せ」とシュプレヒコール 革命の聖地、武漢で始まった「白髪革命」デモ』(2/23公開)で、以下に引用して掲載します。

 中国・武漢で起きた退職工員たちによるデモがただごとではないと話題になっている。シュプレヒコールの中で「反動政府を打倒せよ」という言葉が叫ばれていたからだ。

 昨年(2022年)11月に南京の大学から始まった、若者が白紙を掲げてゼロコロナ政策などに抵抗した「白紙革命」では、「共産党下台(共産党は退陣しろ)」「習近平下台(習近平は退陣しろ)」という叫びがあった。今度は退職した老人たちが立ち上がる「白髪革命」で政府打倒の呼びかけが起きたのだ。しかも場所は武漢という「革命の聖地」である。

 習近平は第3期目総書記の任期継続を決め、新型コロナに対する決定的勝利を先日宣言し、3月の全人代に万全の体制で臨もうとしている。しかし、この社会の動揺はその足元をすくいかねない状況だ。

1_20230224164601 政府打倒を叫ぶ白髪交じりの退職者たち

 武漢で「白髪革命デモ」が起きたのは2月8日、そして15日。デモの目的は、中国で目下全国的に進められている医療保険改革を撤回させることだ。

 最初のデモは2月8日、国有企業である武漢鉄鋼の退職工員を中心とした元工場労働者たちによって行われた。彼らは市政府前に集まって、医療保険新政策(医保新政)反対のスローガンを掲げてデモを行った。その数はゆうに1万人を超えており、国内外の耳目を集めた。

 デモ参加者によれば、2月1日から始まった医保新政により、武漢市だけで200万人近くいる退職工が悪影響を受けているという。政府がこの政策を撤回するなりして問題を解決しなければ、15日にさらに大規模な抗議を起こす、と訴えた。8日は雨で、政府市庁舎前の広場には、退職工らが市庁舎の出入り口をふさぐように詰めかけていた。敷地内は警察が厳戒警備を敷き、緊張感が漂った。

 武漢政府は結局、手荒なことはほとんどせず「改革を一時的に緩和する」と譲歩の姿勢をみせ、その日の朝から始まったデモも夜には解散となった。だが、改革撤回を宣言をしなかったため、2月15日に再び武漢でデモが起きた。

 15日のデモは武漢市の中山公園が集合場所で、そこから市政府に向かった。そのルートは辛亥革命の始まりとなる武昌蜂起と同じだった。

 参加者は一時、数十万人に膨らんだという情報もある。高所からの映像がネットに上がっていたが、公園から市政府までの道が群衆であふれていた。参加者の多くが白髪交じりで、国内外でこのデモを「白髪革命」と呼ぶようになっていた。

 2月15日にこのデモが起きるとわかっていた当局は朝から地下鉄を封鎖し、退職者が暮らすコミュニティの門を封鎖した。だがそれでもこれだけの人が集まったということが国内外で衝撃を与えた。大勢のデモ参加者が警察に連行されたが、当局はその様子がメディアやSNSを通じて広がらないように幕で隠したりしていた。辛亥革命の始まりの土地で、デモの鎮圧には相当気を使ったようだ。

 このデモでやはり注目すべきは、警察と対峙した群衆から「反動政府を打倒せよ!」というシュプレヒコールが起きたことだ。途中、警官隊と小競り合いになり、デモ隊の老人が突き飛ばされたときに、「反動政府を打倒せよ!」という叫びが一斉にあがった。

 この武漢デモに呼応するように、同日、大連でも数千人の退職者デモが起きていた。大連のデモ鎮圧は注目されていなかった分、過激だった。参加者たちはスマートフォンを掲げながら革命歌の「インターナショナル」を歌い、それを警官隊が催涙スプレーなどを吹きかけて追い払っている様子がネット上の動画で拡散された。

社会保険制度は崩壊の危機

 実は2月初めから上海、広州、鞍鋼などの都市でも同様のデモが起きている。上海と広州では、デモを受けて地元政府が医療保険新政策の棚上げを約束したという。

 中国の医療保険は1998年から国有企業を中心に導入された。その仕組みはシンガポールの医療保険制度を参考にしているという。具体的には、医療保険料は月々の工員の賃金と工場側からそれぞれ徴収され、「個人口座」と「共通口座」に分けて積み立てられる。個人口座は、少額の外来診療や医薬品の購入などに比較的柔軟に使える。一方、共通口座の資金は社会保険基金の一部を構成し、保険加盟者が病院で入院、手術などの高額治療を受ける際の補助金となる。

 英BBCがその仕組みをわかりやすく説明している。たとえば月収1万元の従業員の場合、月収の2%にあたる200元の保険料を給与から天引きの形で納め、工場側が8%の800元を保険料として納める。保険会社(地方政府)は、あわせて1000元の保険料を受け取ることになる。そして、個人が納めた200元と、工場が納めた800元のうち380元を合わせた580元を個人口座に積み立てる。800元のうち残りの420元は共通口座に積み立てる。ちなみに、地方ごとにこの保険料の比率は異なる。

 個人口座の積み立ては目的が指定された強制貯金みたいなもので、共済機能はない。共済機能があるのは社会保険基金に組み込まれる共通口座のほうだ。

 武漢当局の話だと、全市の医療保険資金の6割が、若者や健康な人たちの個人口座に使われないまま貯められているという。現役の労働者はそんなに医療費を使わない。また、彼らは個人口座に振り込まれた医療保険積立金を貯蓄だとみなしており、病気になってもそれを使わないのだ。

 さらに、彼らはもしも「入院しても入院しなくてもどちらでもいい」という状況になった場合、共通口座から医療費を賄って入院しようとする。このため武漢の入院率は長年20%を超えており、共済に使われる社会保険基金の資金不足が深刻になっていた。

 2020年、中国で、労働者向け社会保険基金に余剰があるのはわずか6省だけ。事実上、中国の社会保険制度は崩壊の危機に直面していた。

 さらに病気にほとんどならない若い労働者が積み立ててきた大量の個人口座資金を一部企業が密かに米や小麦、油など非医療物資の購入に充てるなどの汚職が発覚する事件もあった。

 こうしたことから、中国政府は2021年に「全職工の基本医療保険外来共済保障メカニズムを健全にするための指導意見」を発布し、個人口座をなくし、共済保障に利する形で制度改革を行うようにと通達した。これを受けて、各省が今年に入って医療保険新政策を打ち出したのだった。武漢は、まさに段階的に個人口座に振り込む資金を減らしているところだった。

 武漢の改革では、個人口座への振り込みを減らす代わりに、本来個人口座から負担する外来診療費の50%を共済口座から還付するとした。たとえば現在働いていて月収1万元の人は、個人口座に医薬品購入補助金として毎月200元振り込まれる。企業が払う800元はすべて共済用の共通口座に入るが、外来診療のときの費用の50%はそこから還付される、というわけだ。

高齢者も若者も溜め込んでいる政府への不満と不信

 ここで納得いかないのが、武漢の退職労働者、退職工たちだ。

 退職工は、すでに払い終わった社会保険料から毎月260元あまりが個人口座に医療補助金として振り込まれていた。だが改革後は、これが80元ほどに減らされるという。

 ただ、病院での診療費補填率は60%に引き上げられる。当局側は、実際は退職工に向けられる医療費は現役労働者の4倍になり、退職工の方が得をするのだ、と説明する。だが、目に見える個人口座への振り込み金額が減ることで、退職工は政府に納めた医療保険費を政府に奪われた、と感じてしまうのだ。

 ちなみに診療補填を受ける場合、「指定の大病院に限る」「初診料を除く」といったいくつもの条件があり、実際は全体的に医療費は高くつくようになると多くの人たちは感じている。

 個人口座の積み立て資金で購入できる医薬品についても、安くて効果的なジェネリック薬を対象外にするなど、改悪されたという見方もある。ほかにも葬儀補填費として7万元支給されていたが、3万元に減額されている。

 建前は“医療保険制度の最適化”だが、実際はコロナ禍の3年間で多くの地方政府の財政がひっ迫し、社会保険基金が底をついてしまったため、老人向けの医療費削減策に迫られた、ということだろう。

 中国の一般市民は、中国の高齢社会化に伴って老人向けの社会保障制度がおそらく今後削減されていくことを予感しており、今回の医保新政に対する反応も激しいものになったといえる。

 日本では、高齢者の社会保障費用が若者の負担になっているとして、若い世代側から「高齢者の集団自決論」まで唱えられている。中国でそうした「高齢者 vs.若者」の分断の形にならないのは、若者だけではなく高齢者も政府に対する長年の不満と不信を溜め込んでいるからだろう。

 また、国家・地方公務員を含めて政府側の人間はもともと医療費を全額公費で賄われており、「政治家・官吏 vs.民衆」の分断の方が大きいという背景もある。問題は政府とその姿勢にあり、「我々は老いも若きも『剥奪される側』だ」という認識で共通しているのだ。

 なので、武漢の白髪革命では「団結こそパワー」というスローガンが掲げられ、退職した高齢者だけでなく現役労働者にも若者にも共感が広がっている。むしろ、若者の抗議運動「白紙革命」と高齢者「白髪革命」がリンクする可能性を指摘する人が多い。

革命もコロナも武漢から始まった

 この「白髪革命」の成り行きにチャイナウォッチャーたちがとりわけ注目しているのは、場所が「武漢」ということもある。

 武漢は辛亥革命が始まった武昌蜂起の起きた土地。そして2020年に最初に新型コロナの洗礼を浴び、その後も激しい感染と長いロックダウンを経験した。多くの死者を出し、その多くは高齢者だった。今回のデモ参加者はその厳しいコロナ禍を生き抜いた老人たちでもある。

 そして彼らの年代は、文革を経験し、その前の大躍進後に起きた3年大飢饉も生き残った人たち。つまり、中国人の中で最も中国共産党の政治に振り回されながらも、それに耐えて生き抜いてきた世代だ。そういう世代が、ついに立ち上がったというインパクトは大きい。彼らが我慢できないことに他の誰が耐えられようか。

 しかも、武漢は長江沿い五大都市、つまり上海、南京、武漢、重慶、成都の中心にある交通の要衝であり、武漢で起きたことは中国全土に広がりやすい。革命もコロナも武漢から始まり中国全土に広がった。

 中国は古来「易姓革命」の思想が根強い。徳を失った君主は天に見放される。自然災害が起き、民衆が蜂起し、王朝は交代させられる。習近平はすでに徳を失っている。民衆の敵意を腐敗官僚に向けさせようとしたり、巨大民営企業家に向けさせようとしたり、あるいは米国や西側先進国に向けさせようといろいろ画策しているが、結局、人民と正面から向き合わざるを得ないのではないか。禅譲か放伐か。民衆がそれを迫る日が意外に近いかもしれないと、この「白髪革命」を見て思う人もいるのである。

 最近どの局か忘れましたが、テレビで中国の影の部分、つまり農村部の貧困の状況が映し出されていました。多くの若者は都会に出て農民工として働いていますが、都会地区の人とは格差は縮まらない。若者がいなくなった結果、日本同様後継者も少なく、食糧自給率の維持が心配されていました。その疲弊状況は北京や上海の影に隠れていますが、この国の3分の一程度の人が、そうした中で暮らしているのです。

Img_a214fef96180960dcdbfb1c0fe4df65d1968  一方で広くて快適な建物の中で、食事も娯楽も医療も完璧に提供されている、都会地区の裕福な人たち向けの御殿のような高齢者施設が紹介されていました。その施設では習近平氏とのビデオ会話も行われていました。この記事の退職工員ではとても入居できない高額な施設のようです。

 まさに天国と地獄が同居する国、それが中国のようです。もともと共産主義は平等をその理念に置いているはずですが、中国はその理念とは全く逆の超格差社会です。そんな国が長く続くわけがないと思いますね。今は徹底的な監視と強権で押さえつけていますが、「白髪デモ」がその崩壊の発端になるかも知れません。

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2023年2月15日 (水)

中国大型気球の狙いはインフラ破壊「電磁パルス」攻撃か 「人民解放軍が運用」と米国は名指しで批判

2302101754_1714x476  中国の偵察用気球は世界のあちらこちらで観測され、既にアメリカ空軍に複数個撃墜されています。何故この時期世界に拡散したのでしょうか。中国は民間の気象観測用などと嘯いていますが、アメリカの撃墜した気球の分析では、明らかに偵察用のようです。

 米中間の新たな火種になったこの気球問題、ジャーナリストの加賀孝英氏が、zakzakに寄稿した記事を紹介します。タイトルは『中国大型気球の狙いはインフラ破壊「電磁パルス」攻撃か 「人民解放軍が運用」と米国〝ブチ切れ〟中国射程にICBM発射実験決行』(2/13公開)で、以下に引用します。

ジョー・バイデン米政権が「主権侵害」に強い姿勢を見せている。米軍戦闘機が4日、南部サウスカロライナ州沖上空で、中国の「偵察気球(スパイ気球)」を撃墜したのに続き、10日と11日、12日、米国とカナダ上空を飛行していた国籍不明の物体を撃墜したのだ。米軍機が撃墜した飛行物体は計4件となる。こうしたなか、米軍がひそかに警戒をしているのが、大型気球による「電磁パルス(EMP)」攻撃だという。あらゆる電子機器を損傷・破壊し、電子機器を使用した通信・電力・交通などの重要インフラを使用不能にする。同様の気球が確認された日本も厳重な警戒と対応が必要だ。ジャーナリストの加賀孝英氏による衝撃リポート。

「米国は『中国潰し』の総攻撃態勢に入った。今回のスパイ気球事件は『米本土への直接攻撃』そのものだ。米国は絶対許さない」

外事警察関係者はこう語った。

米中関係が緊迫している。ご承知の通り、米国は4日、米本土に侵入、横断飛行した中国のスパイ気球を、米最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」で撃墜した。10日、今度はアラスカ州上空に現れた物体を同様に撃墜した。国籍不明だが、中国の可能性が指摘されている。

外務省関係者は「異常事態だ。スパイ気球事件に抗議して、アントニー・ブリンケン国務長官は訪中を延期した。中国は猛反発し、米国が提案したロイド・オースティン国防長官と、魏鳳和国防相の電話協議を完全拒否した。米偵察機などへの報復攻撃まで示唆した。危険だ」と語った。

当初、中国外務省は「気球は民間の気象研究用」と説明していた。だが、米国は「国際社会を欺く虚偽の主張だ」と激しく非難している。

防衛省関係者は「米国は『スパイ気球は人民解放軍が運用している』とほぼ断定した。『米国に侵入したが、(レーダー網で)すぐには探知できなかった』『気球が狙った標的は米国や日本、台湾など、五大陸で40カ国以上』と説明した。スパイ気球の飛行ルートは、中国が攻撃目標とする大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射基地など、ことごとく重要軍事拠点だった。防空網を突破され、米国は激怒している」と語った。

バイデン政権は10日、報復措置を発表。スパイ気球の製造などに関与したとして、中国企業6社・団体に対し、米国製品・技術を事実上輸出禁止とした。14日に発効する。米国は今後、同盟国に呼びかけ、中国の半導体産業、人工知能(AI)産業など、徹底的に潰す方針だ。

米議会の反発もすさまじい。下院は9日、「419対0」の全会一致で、中国に対する非難決議を採択した。「あからさまな主権侵害だ」「脅威だ」と激しく批判した。

当然、米軍も警戒態勢を強めている。

 ハワイに本拠を置く米国陸軍第25歩兵師団司令官、ジョセフ・ライアン少将は8日、訪問先のフィリピン・マニラで、「米軍とアジアの同盟国は、戦う準備ができている」と、AP通信のインタビューに答えた。

米国防総省は9日夜、カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地で、中国を射程に収める核弾頭搭載可能なICBM(大陸間弾道ミサイル)「ミニットマン3」の発射実験を決行した。「米国の核戦力の準備ができていることを示し」ている、との声明を発表した。

米国は中国に対し、ブチ切れている。なぜか。以下、日米情報当局から入手した驚愕(きょうがく)情報だ。

 「スパイ気球の狙いは、重要軍事拠点の機密情報の収集だ。だが、それだけではない。『気球に取り付けた兵器を想定した秘密攻撃訓練だった疑いがある』という極秘情報がある。小型の電磁パルス(EMP)兵器なら悪夢だ。米本土上空の高高度で爆破すれば、強力な電磁波で、米本土の電子機器を損傷・破壊し、通信や電力、交通などの重要インフラが使用不能になる。米国に約90基ある原子炉が、危機的状況に陥(おちい)る」

 ■日本も標的…中国の暴挙を許すな

スパイ気球と同様の白い球体は、日本でも複数回目撃されている。

2020年6月、仙台市や福島県の上空で、白い球体に十字状の物がぶら下がり、プロペラ状のものがついた飛行体が目撃された。21年9月にも青森県八戸市の上空で目撃された。

松野博一官房長官は9日の記者会見で、「昨年1月、九州の上空でも所属不明の気球が確認された」ことを明かし、「米国など同盟国と連携し、情報収集と分析に全力を挙げる」と語った。

全身全霊の怒りを込めていう。中国の暴挙を断固許すな。日本も標的にされている。日本は今年、G7(先進7カ国)の議長国を務めている。岸田文雄首相には、世界平和を死守する行動と覚悟が求められている。

中国は今月初め、親中派である林芳正外相の訪中を要請してきた。沖縄県・尖閣諸島周辺海域では、中国海警局船が連日わが物顔で侵入している。林氏は「尖閣諸島は日本固有の領土だ。中国の強奪は許さない。立ち去れ」と抗議できるのか。岸田政権は本当に大丈夫なのか。

 アメリカの怒りは相当のものです。三期目を迎えた習近平政権にとって、ゼロコロナ下の白紙デモ、人口減少の始まり、不動産不況のさらなる悪化、そして経済減速のスタートと立て続けにマイナスの影が打ち寄せています。

 そこに、身から出たさびとは言えこの気球問題、まさに暗雲立ちこめるこの状況、鬱憤晴らしで台湾侵攻などしないか心配になってきます。日本も安全保障面の手綱をしっかり締めて、対応しなければなりません。

 なおこの気球問題、以前日本にも飛来しましたが、松野官房長官の話にもあるように、「情報収集と分析」といかにも日本的対応で、特に軍事面での具体的反応はしませんでした。しかしそれは日本の反応を確かめる目的だったかも知れません。 

 それで世界の各地に飛ばしたとすれば、日本がリトマス試験紙だったのでしょうか。ただ日本の無反応は承知の上でしょうから、それはないでしょうね。いずれにしろ、領海侵犯を繰返されても懸念や抗議で済ましている日本は、この先どんな手を打ってくるか分らない中国に、本当に対峙できるのか心配になります。ましてや安部元首相なきあとの岸田―林ラインでは。

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2023年2月11日 (土)

中国「習近平体制」がもたらす「経済“大失速”の深層」と、中国型「全体主義」が限界をむかえる「あぶない兆候」

Images-8_20230209150201  中国は春節を終え、国内の大移動は終了しましたが、ゼロコロナの解除後の感染爆発は下火となったとは言え、各地の火葬場は未だにごった返していて、火葬できていない人の列が延々と続いているという報道もあります。

 そうした中、経済再建に躍起となっている習政権ですが、李克強氏に代る首相李強氏は経済には素人と言います。経済音痴の習近平氏と並ぶ二人は、果たして中国経済の舵取りが出来るのでしょうか。

 その詳細を経済産業研究所コンサルティングフェローの藤和彦氏が、マネー現代に寄稿した記事から、引用しましょう。タイトルは『中国「習近平体制」がもたらす「経済“大失速”の深層」と、中国型「全体主義」が限界をむかえる「あぶない兆候」』(2/06公開)で、以下に掲載します。

絶対君主の習近平

ゼロコロナ政策の解除を機に、中国経済への期待が高まっているが、果たして本当だろうか。

中国は本格的な人口減少の時代に突入するなど構造的な問題を抱えており、中長期の見通しについて悲観的な見方を示す専門家もまた、増えているからだ。

中国は、肝心かなめの「統治のあり方」に疑問が呈されるようになっている。

このポリティカルリスクのネガティブインパクトは、想像以上に大きいようだ。

中国の習近平国家主席は昨年10月の第20回共産党大会で最高指導部の政治局常務委員に側近を引き上げた。常務委員会の総意による意志決定をやめ、毛沢東以来でもっとも強力な指導者になったと言われている。

習氏の経済分野への介入強化はかねてから懸念されていた。

習近平で限界を迎えた中国型「全体主義」

「国内の情報の流れを把握するなど影響力を持ちすぎる」との警戒から民間IT企業を厳しく取り締まったことで、世界の投資家の中国に対する信頼が揺らいだ。

その結果、民間部門で最も効率的なセクターの時価総額が数兆ドル規模で消失した。

不動産市場の低迷など経済が悪化していることから、短期的には締め付けが緩和されるだろうが、抜本的な方針転換が図られるとの期待は薄い。

むしろ、習氏への権力集中に伴い、専門家の意見を聞かずに密室で決定される政策が増加し、経済への悪影響がさらに拡大すると危惧されている。

そもそも中国の統治制度はどのような特色を有しているのだろうか。

米スタンフォード大学の許成鋼客員研究員は、中国の統治制度を「地方分権的全体主義」と定義している(1月27日付日本経済新聞)。

中国共産党は1950年代初期、政治・経済を含むあらゆる分野の支配権を中央に集中させる全体主義の制度をソ連(当時)から導入したが、50年代半ば以降、「郡県制」という伝統的な統治手法を加え、その制度を改めた。

個人崇拝などで最高指導者の絶対的権威を確立する一方、行政の立案・運営の権限のほとんどを最高指導者が任命する地方の指導者に与えるものだ。

これにより、中国共産党はソ連より強固な一極集中の体制をつくり上げたことに成功した。

この制度の下に、地方の指導者は最高指導者の意向に沿った取り組みを競い、切磋琢磨してその実現に邁進したのだが、最高の成功事例は改革開放だったことは言うまでもない。

経済成長を巡る地方間の激しい競争が民間セクターの発展を可能にし、政治改革を伴わずに中国は高度成長を長年にわたり享受することができた。

しかし、こうした競争は環境破壊や所得格差の拡大、不動産バブルといった問題をもたらし、改革開放は今や負の側面の方が大きくなっている。

絶対権力者の「落とし穴」

現在、習近平体制が敷こうとしている統治制度の根本的な問題は、最高指導者と地方の間の意思疎通が迅速かつ正確に行われず、カリスマ化した最高指導者に対するチェック機能が働かないことだ。

広大な国土と世界最大級の人口を擁する中国では「鶴の一声」が往々にして極端な結果を招いた。

カリスマ化した前例である毛沢東統治下で起きた「大躍進」や「文化大革命」の悲劇はあまりに有名だ。1979年から実施された「1人っ子政策」でも極端な人口減少を生じさせる結果となった。

習近平のやり方は伝統的な統治制度を復活させた感が強いが、「ゼロコロナ政策の突然の解除によってもう一つの悲劇が生まれるのではないか」との不安が脳裏をよぎる。

習近平の歓心を得るため、これまでゼロコロナ政策を墨守してきた地方政府だが、不動産市場の低迷で土地売却収入が激減し、ゼロコロナ政策を維持するのに必要な巨額の資金を捻出することができなくなってしまった。

台所が「火の車」になった地方政府からの突然の悲鳴に驚いた習近平が、なんら対策を講じることなくゼロコロナ政策を解除してしまったのが内情だろう。

国民は「政府発信」の情報が信じられない

中国政府は「新型コロナの感染は収束しつつある」と喧伝しているが、専門家の間では「中国の感染爆発は長期にわたって続く」との見方が有力だ。

農村部の高齢者の犠牲を防ぐことがゼロコロナ政策を正当化する根拠だったことから、中国では今後、農村部を中心に100万人以上の死者が出るかもしれない。

中国政府が「不都合な真実」を隠蔽する可能性が高いが、このような姿勢は「人民の安全を守る」という政府の最も重要な責任を放棄したとのそしりを免れないだろう。

ゼロコロナ政策の解除により、政府の存在感が急速に薄れているのが気になるところだ。

新型コロナの感染が急拡大する中、政府から支援を得られない都市部の住民は医薬品などを融通し、助け合いで生き抜こうとしている(1月19日付ブルームバーグ)。

新型コロナの治療についても、保健当局者の発言よりもソーシャルメデイアのインフルエンサーの意見に頼るようになっている(1月24日付ブルームバーグ)

ゼロコロナ下で非常に大きな存在感を示していた政府は「今は昔」だ。人々は政府抜きの生活を実感していると言っても過言ではない。

富裕層が逃げだした

政府がゼロコロナ政策に伴う渡航制限を解除したことで富裕層の海外移住の動きも加速している(1月26日付ブルームバーグ)。

共産党に楯を突かない限り、富を増やし続けられることができた富裕層は、習近平の経済活動への締め付けや「共同富裕」の動きに辟易としているからだ。

「政府による一党支配を受け入れる代わりに、国民の安全を維持し生活を向上させる」という、これまでの社会契約が無効になりつつある。

慣れ親しんできた統治制度を抜本的に見直すことは困難だ。

だが、そうしない限り、体制の危機が進んでしまうのではないだろうか。

 習近平政権の3期目が始まった途端、白紙デモが起き人口減少が始まりました。民衆が政権からの距離を置き始め、人口減少と経済政策の司令塔の経済音痴が重なれば、経済失速は早められ経済に支えられてきた共産党の基盤も揺らぎます。富裕層が逃げ出すのも頷けます。

 この周辺諸国には極めて迷惑なモンスターが弱体化すれば、それはそれで歓迎すべき事かも知れませんが、国内問題を外への覇権行動により覆い隠そうとする政策も十分考えられます。つまり国内が混乱する前に、台湾統一を画策しようとする動きが顕在化するかも知れません。日本はここ数年が対中問題に関して、正念場を迎えるでしょう。「お花畑は」一掃しなければなりません。

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2023年1月27日 (金)

中国「非公式警察署」東京・銀座と名古屋にも 米報告書が指摘、「れっきとした侵略」なのに政府の対応は?

Gettyimages120206324911200x800700x420  以前にも取り上げましたが、中国の「非公式警察」の存在。今回日本の政府の対応を揶揄するかのように、既に2019年にアメリカの保守系シンクタンクが報告書で指摘していたのです。

 その内容を産経新聞の論説副委員長の佐々木類氏がzakzakに寄稿していますので引用します。タイトルは『中国「非公式警察署」東京・銀座と名古屋にも 米報告書が指摘 伊警察との合同パトロール成功が設置のきっかけか…「れっきとした侵略」石平氏』(1/26公開)です。

通常国会が、23日召集された。中国が軍事的覇権拡大を進めるなか、防衛力強化に向けた国家安全保障戦略など「安保3文書」の審議が最大の焦点となる。同時に、中国が日本国内に拠点をつくり、政財官界に浸透するだけでなく、在日中国人を監視・追跡する「非公式警察署」を設置していることも看過できない。産経新聞論説副委員長、佐々木類氏は、米保守系シンクタンクの報告書から、新たに、東京・銀座と名古屋にも「非公式警察署」の存在をつかんだ。岸田文雄政権は「目に見えぬ侵略」をいつまで放置するのか。

***********

東京・銀座のど真ん中にある雑居ビル。秋葉原に続き、都内で判明した2カ所目の「非公式警察署」がそこにあった。名古屋市内では、繁華街・栄地区に位置する久屋大通り公園に面する雑居ビル内に存在した。

これは、米首都ワシントンにある保守系シンクタンク「ジェームズタウン財団」が、2019年1月5日付電子版で公表した報告書で指摘していた。

最初に判明した秋葉原の「非公式警察署」は、中国の人権問題を監視するスペインの人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が昨年9月の報告書で明らかにしたものだ。

Fmubqikauaijwj2 筆者は先週、夕刊フジ連載第3回で、22年5月15日付の中国共産党江蘇省委員会新聞(電子版)の公開情報をもとに、福岡県内にも「非公式警察署」が存在していることを報じた。

さて、「ジェームズタウン財団」の報告書によると、世界各国で主権侵害の疑いが指摘されている「非公式警察署」の前身は、18年10月に南アフリカに設立された「警察協力センター」だという。「純粋な警察組織ではないが、中国共産党政権と深い関係にあるという点で、警察組織のようなものだ」と指摘する。

報告書は、南アフリカの駐中国大使館と、警察協力センターの関係について、「両者とも、南アフリカにいる中国人の生命と財産を保護するための組織であると強調している」という。

両者に共通するのは、中国共産党の海外情報機関「党中央統一戦線工作部(統戦部)」が関与している事実には触れず、習近平国家主席の掲げるスローガンを繰り返し発信するなど、「政治目的を持っていることが明らかな点」だという。警察協力センターは現在、統戦部の下部組織になっているようだ。

そして、統戦部が、世界各国に「非公式警察署」を設置するきっかけになったのは、筆者の見立てでは、16年から始まったイタリア警察と中国警察による合同パトロールの成功体験にあるのではないかとみている。

イタリア北部にはブランド品製作のため、中国人労働者が多数移住したが、労働環境への不満などから一部が暴動を起こすなど、問題となっていた。このため、ローマやミラノ、トリノなどで、10日間~3週間、中国とイタリアの警官4人ずつが一組となってパトロールしたのだ。

発展途上国では、経済支援で駐在する中国人が、地元の暴漢に襲撃されて死傷するなどの被害が出たことを理由に、華僑支援組織の設立を相手国に認めさせ、事実上の警察活動を始めている。

しかし、日本国内に複数の「非公式警察署」が存在している事実は、中国の浸透工作の深刻さを示すものだ。

■石平氏「非公式警察署もれっきとした侵略」

中国事情に詳しい評論家の石平氏も「正直、驚いた。(中国共産党江蘇省委員会新聞などを見る限り)民主活動家や一般の中国人の監視や妨害活動など、やりたい放題だ。人民解放軍による日本上陸は歴然とした侵略だが、非公式警察署の存在もれっきとした侵略だ」と語る。

林芳正外相は昨年11月29日の記者会見で、中国に対して、「仮に、わが国の主権を侵害するような活動が行われているということであれば、断じて認められない旨の申し入れを行っている」と述べ、関係省庁とも連携して対応する考えを示した。

欧米各国が昨年中から、捜査や閉鎖要求に乗り出しているなか、岸田政権の動きは見えない。

石氏は「最低限、『非公式警察署』を閉鎖させられないと、自国に対する主権侵害を容認したことになる」と対応の甘さを批判した。

通常国会では、与野党が「非公式警察署」の問題を徹底的に議論して、岸田政権に「検討ではなく断固たる行動」を要求すべきである。

 この問題こそ国会論戦で野党の追及の対象とすべきでしょう。旧統一教会問題などとは次元の違う主権侵害問題です。だが今のところ議論が行われた情報はありません。

 数年前から欧米では取り上げられていたこの問題、日本のメディアに登場し始めたのは昨年くらいからではないでしょうか。その政府対応も佐々木氏の記事にあるように、「仮に、わが国の主権を侵害するような活動が行われているということであれば、断じて認められない旨の申し入れを行っている」と、いつも通りの答弁で、積極的に排除しようとする姿勢は殆ど見られません。本当に主権に関わる問題とみているのか疑わしい限りです。やはり中国への忖度が前面に出ているのでしょうか。

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2022年12月27日 (火)

内部レポート入手!公式発表とは正反対、中国のコロナ感染大爆発 一方当局は責任逃れのためか数字の公表中止

5_20221226161601  一つの政策転換で、これほど国内の状況が一変するのでしょうか。連日テレビの報道を賑わしている、中国のコロナ感染爆発。少し前まではゼロコロナ政策で完全に封じ込めていたはずのこの感染症が、規制を解いた途端に、信じられないほどのスピードで拡大しているようです。

 その要因は何でしょう、そしてその影響はどうなるのでしょうか。前回に続き今回は、約1週間後の中国のコロナの現状を取り上げます。ジャーナリストの近藤大介氏がJBpressに寄稿した記事から、その詳細を見てみましょう。タイトルは『内部レポート入手!公式発表とは正反対、中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」』(12/25公開)で、以下に引用します。

 日本はクリスマスで浮かれているというのに、中国がこの世の地獄のような事態に陥っている。全土に凄まじい勢いでコロナウイルスが蔓延し、数億人の発熱者と、大量の死者を出しているもようだ。

 中国で日本の厚生労働省にあたる国家衛生健康委員会の12月24日の発表によれば、23日の中国全土の新規感染者数は4128人で、死亡者はゼロである。また前日の22日の新規感染者数は3761人で、死亡者数はゼロ。まったく問題のない状況だ。

 だがこれこそ、「大本営発表」というものだ。実は、国家衛生健康委員会は12月21日午後4時から、極秘の緊急テレビ電話会議を開いていた。この会議の正式名称は、「新型コロナウイルス患者の医療救急活動を強化することに関するテレビ電話会議」。主催したのは、同委員会の李斌副主任で、全国の衛生健康委員会や主要病院などと回線をつないで行った。

当局によってSNS上から削除された「極秘会議」の概要

 この極秘会議の概要を、おそらく参加者の一人が、あまりにいたたまれなくなって、SNS上にアップした。それはほどなく、当局によって削除されたが、その前にかなり拡散しており、私もその内容を入手した。

 私はその概要を読んで、2019年の大晦日に、湖北省の省都・武漢で、李文亮医師が世界に先駆けて、新型コロナウイルスの感染爆発を告発したことを思い出した。李医師は公安(警察)に出頭命令を受けて、「デマを流した」ことにされた。

 そしてそれから1カ月余り後に、新型コロナウイルスの治療に当たっていて自らも感染し、34歳の若さでこの世を去った。今回、内部告発した中国人も、おそらく李文亮医師と同じ気持ちから行ったのだろう。以下に、その内容を訳す。

12月20日の新規感染者数、3699万6400人!

<国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は、次のような見解を示した。全国の防疫措置をさらに一歩、調整するにつれ、春節(2023年1月22日)の大移動と春節期間中、人々が大規模に流動するようになる。

 おそらくさらに多くの地域で、ウイルスの蔓延は増加していくだろう。都市部と農村部の感染率が、ともに伸びていくことが見込まれる。

 かつ農村部の医療体制は底が薄い。慢性病にかかった老人が多い。いったん感染が加速的に蔓延していけば、局面はさらに厳しいものとなるだろう。

 全国31の省級行政地域の中で、北京市と四川省の感染状況が最も深刻で、それぞれ1位と2位だ。どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている。続いて、感染率が20%から50%の間が、深刻な順に、天津市、湖北省、河南省、湖南省、安徽省、甘粛省、河北省となっている。

 12月20日の新規感染者数は、おそらく3699万6400人に上る。これは総人口の2.62%にあたる。18日よりも19日の方が、そして19日よりも20日の方が感染者数が増えている。

 省別に言えば、20日の感染率が高かったベスト5は、四川省、安徽省、湖北省、上海市、湖南省の順だ。都市別で言うなら、トップ4都市は、成都市、蘭州市、合肥市、上海市の順だ。

 累計の感染者数で言えば、2000万人を超えたのが、多い順に四川省、河南省、湖北省だ。1000万人から2000万人の間が、多い順に湖南省、河北省、広東省、北京市、安徽省、山東省だ。都市別に言えば、累計の感染者数が500万人を超えたのが、多い順に北京市、成都市、武漢市、天津市、鄭州市、重慶市だ。

一部の都市ではピークアウトの兆しも見られるものの…

 このように現在、各地域のウイルスの蔓延状況は、比較的大きな差異がある。そしてウイルスが多発している地域は、「密集空間」という特徴がある。

 中でも、北京市・天津市・河北省、四川省と重慶市、湖北省と湖南省、華中地域のウイルスの拡散が比較的早い。一方、長江三角州、珠江三角州、西北と東北地方のウイルスの流行は、相対的に緩慢だ。

 北京市・天津市・河北省地域のウイルス状況は現在、「高止まりの流行」の段階だ。ただ北京市はすでにピークを過ぎ、ここ数日は「緩やかに下降」の態勢だ。

 それでも日々、大量の新規感染者が出ている。加えて現在、重症者のピークを迎えている。そのため、医療救急治療サービスは大きなプレッシャーに直面している。

 天津市は、いままさに流行のピークを迎えている。おそらくあと2日か3日で、山を越えるだろう。河北省は全体的に「ウイルスの拡散スピードが速く、感染者が急増」している。おそらくあと3日から5日で、ウイルスのピークを迎えるだろう。

医療逼迫

 四川省と重慶市地域、湖北省と湖南省地域のウイルスの拡散は迅速だ。特に四川省全域でウイルスは急速に増えており、北京に次いで2番目に感染率が50%を超えた地域となった。成都市を含む多くの都市が同時に流行のピークを迎えており、全省の救急医療の圧力は大きい。

 重慶市に至っては、市内の主要地域から遠く郊外へと、急速に広がりつつある。おそらくこれから一週間前後でウイルスのピークを迎えるだろう。

 湖北省全省はまさに、ウイルス流行のピークを迎えている。直近の二日間は、感染の波が下向きの傾向を示した。

 12月1日以降、中国の19省で累計1100例の感染者のウイルスのゲノムから、12種類の配列のオミクロン変異株が発見されている。主要な流行株は「BA.5.2」「BF.7」「BM.7」だ。

 その中で、北京市、黒竜江省、貴州省、新疆ウイグル自治区では「BF.7」の比重が高い。その他の省ではすべて、「BA.5.2」の比重が高い。いまのところ拡散力、感染力、免疫逃避で具体的に明らかにこれまでとは異なる新たな変異株は発見されていない。

猛烈な感染拡大で新たな変異株発生のリスクも増大

 昨今、全国のウイルスは全体的に、加速的に広がっている段階にある。一日の新規感染者数も増え続けている。12月になってから、人々の累計の感染率は(全人口の)17%を超えた。おそらく12月下旬が、全国の多くの省で、引き続き感染のピークを迎えるだろう。

 加えて、現在ウイルスが広がっている省では、現在もしくはこれから「省の中心都市から中小の都市や農村地域への広がり」が進んでいく状況にある。そしてウイルス流行のピークの1週間前後に、重症及び非重症患者のピークを迎える。

 全国の各地域では確実に、流行のピークに対する応対準備の活動を強化し、ウイルスの流行の進み具合に応じて、全面的な医療救急治療など各種の準備活動を行っていかねばならない。

 馬暁偉主任はこう総括した。各地域の病院は、大量の病人の面倒を看るにあたって、「病人が病院の前にいまにもやって来るのに、(一部の病院は)まだ粗暴な対処しかできていなかったり、逃避しようとしている」。どの病院もそれぞれの地域に置かれた病院として、「あれこれ考えずに、これはやらねばならない任務なのだ」として、早めに準備し、チャレンジに立ち向かうのだ>

 以上である。「大本営発表」の感染者数とはゼロが4つも違う「阿鼻叫喚の世界」が広がっているのだ。大半の若者たちは、数日の高熱の後、回復に向かっているようだが、少なからぬ高齢者が犠牲になっているもようだ。ちなみに中国国家衛生健康委員会は、12月25日より、感染者数の「大本営発表」すらやめてしまった。

 それにしても、一日に約3700万人もが感染したと衛生健康委員会が推定した12月21日、習近平主席はロシアからドーミトリー・メドベージェフ前大統領(統一ロシア党党首)を北京に招いて、会見した。その時の「満面の笑顔」が、CCTV(中国中央広播電視総台)のトップニュースで流されたが、「恐るべき鈍感力」の持ち主だと畏れ入ってしまった。

 今後、何より恐ろしいのが、概要でも指摘されていた「新たな突然変異」である。これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。

 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない。

 感染爆発については、ワクチン摂取率の低さ、そのワクチンの感染力低下性能の低さ、更にはゼロコロナ政策で感染履歴者数が少なく、抗体ができていない人が殆ど、などという要因が報じられています。実は上海在住の私の中国の知人も、ワクチンを接種していながら、最近感染したという報告がありました。

 記事にもあるように、当局は責任回避のためか、感染者数や重症者数の公表を取りやめています。死者数は殆ど基礎疾患の方の理由の死亡にしています。つまり実態は全く分からない、闇へ葬り去ったのです。そして感染者が増えることによる、集団免疫化を狙っているとの報道もあります。まさにこれが権威主義国家のやり方なのです。

 我々も他国のこととして無関心ではいられません。その一番のリスクは感染力の更に強い変異株の発生です。日本でも次々に生まれてくる変異株によって、第8波まで感染拡大が続いています。もうこれで終わりにしたいところに、新たな変異株を持ってこられたら、たまったものではありません。水際対策をしっかりして、なんとかそれだけはお断りしたいものです。

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2022年12月25日 (日)

ゼロコロナ止めた途端に感染爆発の中国、中央経済工作会議で自画自賛の不思議

B8d344ea0e874ff1a1ae1fabf5d13516  中国では白紙デモの後、習近平政権がゼロコロナ政策を緩和、多くの規制を一気に撤廃したため、各地で混乱が発生し、感染者の急増と医療体制の逼迫が生じ始めています。

 最近では全国の感染者数は、2億5千万人にも及ぶとの情報もあります。ジャーナリストの近藤大介氏が、JBpressに寄稿した記事にその実態を見てみましょう。タイトルは『ゼロコロナ止めた途端に感染爆発の中国、中央経済工作会議で自画自賛の不思議』(12/19公開)です。

 世界最先端の5Gスマートシティを建設中のはずの中国の大都市が、ゴーストタウンになり果てている――。

 習近平指導部は12月7日、若者たちのデモ「白紙運動」などを受けて、ついにガチガチの「ゼロコロナ政策」(動態清零)を解除した。そうしたら起こったのは、経済の「V字回復」ではなくて、新たなコロナパニックだった。

ネット通販の商品も感染拡大で配達不能に

 いまや中国の各都市で、外出しているのは、発熱外来や薬局に行く人ばかり。かつ院内感染によって医療崩壊が起こり、薬不足も蔓延している。

 倉庫には、配達が放棄されたネット通販の商品が、うずたかく積まれている。もはや配達員も見当たらなくなってしまった。海外メディアは、夥しい数の感染者と、少なからぬ重傷者、果ては死者数を報じ始めている。

 これは人類が、未知なる細菌に対して「新型」コロナウイルスと呼んでいた2020年初頭のことではない。あれから3年近くも経った2022年末の中国の状況だ。しかも、「ゴーストタウン現象」は、一部の都市だけでなく、中国全土に広がっている……。

 そんな中、首都・北京では、人々が集結している場所があった。そこでは、12月15日と16日、毎年年末の恒例行事である「中央経済工作会議」が開かれたのだ。2022年の中国経済を総括し、2023年の中国経済の指針を決める重要会議だ。

 主催するのは、経済運営の責任者である国務院総理、すなわち李克強首相のはずだが、2015年の年末の会議から、習近平主席が主導権を奪い取ってしまった。参加者は、205人の中国共産党中央委員を始め、各省庁や地方幹部などである。今年は、壇上の李克強首相の隣に、来年3月からの新首相に内定している李強党常務委員(共産党序列2位)の姿もあった。

「重要講話」でコロナの感染拡大問題をスルーする習近平

 壇上中央に鎮座する習主席は、例によって周囲を睥睨するように、厳(おごそ)かかつ長々と「重要講話」を述べた。

「今年は共産党と国家にとって歴史的に極めて重要な一年だった。われわれは勝利のうちに第20回共産党大会を開催し、全面的な社会主義現代化国家のグランドデザインを描いた。

 就業や物価は基本的に平穏で、食糧とエネルギーは安定し、人民の生活は効果的に保障され、経済社会の大局の安定が保たれた。

 私が見るに、中国経済は強靭で、潜在力が大きく、活力は足り、各種政策の効果は引き続き顕著である。来年の経済運行は、総じて上昇することが期待できる。

(習近平)新時代の10年は、わが国の経済社会の発展が歴史的な成果を上げ、歴史的な変革を起こし、ハイレベルの発展に転換した10年だった。われわれは歴史的な絶対貧困問題を解決し、予定通り『小康社会』(ややゆとりのある社会)を建設した。わが国の発展は、新たな高みの歴史的起点に立ったのだ……」

 どうだろう、この開き直りとも言える習主席の楽観的な見解は。中国の現実を見ていないのか、それとも「見せられていない」のか。習主席はさらに、来年の経済運営についても、饒舌に述べた。

SNSに溢れるヒツジマークの意味

「経済活動をうまく執り行うため、必ずや党の全面的な指導、特に党中央の集中統一指導を堅持しなければならない。社会主義の基本的な経済制度を堅持、保全し、社会主義市場経済の改革の方向を堅持し、『二つのいささかも動揺してはならない』(公有制経済の確固と発展、及び非公有制経済発展の奨励、支持、リードをいささかも動揺させない=国有企業と民営企業の共存政策)を堅持する。

 来年の経済活動をうまく執り行うため、(習近平)新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導を仰ぎ、第20回共産党大会の精神を全面的に貫徹実行し、中国式の現代化をしっかりと推進していく。

 来年は『穏』の字を念頭に置くことを堅持し、穏当な中にも進歩を求める。

 科学技術政策は、自立自強に焦点を当てる。社会政策は、民生のボトムラインを守り抜く。就業優先政策を細かく実行し、青年たち特に大卒の就業活動を、さらに突出した位置に置く。人口の老齢化、少子化にも積極的に対応していく。

 第一に、国内の需要拡大に着手する。第二に、現代化した産業システムを、早急に建設する。第三に、『二つのいささかも動揺しない』をしっかり実行する。第四に、さらに尽力して外資を吸引、利用していく。第五に、重大な経済金融リスクを有効的に防止、溶解させていく」

 あくまでも、習近平総書記を中心に、習総書記の指導を仰ぎながら、経済運営を行っていくということだ。美しい言葉が並んでいるが、問題は実行力だ。ちなみに注目のコロナ対策については、こう述べた。

「コロナ対策と経済社会の発展を、さらに一層うまく統合し、臨機応変に優れたコロナ対策を実施していく。新たなステージのコロナ防止の各種措置を真摯に実行していく。人々の病院の利用や医薬品の使用をきちんと保障し、老人や基礎的疾患を抱えた人々のコロナ対策を重点的に掌握し、健康保護と重症防止に着手する」

 以上である。全体的に、習近平指導部と国民との「乖離」が、開く一方に思えてならない。いまや中国のSNS上には、「ヒツジ」の絵文字が溢れている。

 来年は羊年でもないのになぜ?

「羊」は中国語で「yáng」。同音の「陽」に掛けているのだ。「陽」は太陽ではなく、PCR検査の「陽性」、つまりコロナ感染者を意味する。加えて、「羊のようにおとなしく黙らされている」という庶民の状況(秘めた怒り?)をも表している。

 庶民の間では、こんな戯(ざ)れ歌が拡散している。

無症感染喜羊羊(無症状ならニコニコ羊)

渾身酸痛懶羊羊(全身痛いとボンヤリ羊)

持続低燒暖羊羊(微熱が続けばポカポカ羊)

高燒不退沸羊羊(高熱が引かないのはアツアツ羊)

一直不陰慢羊羊(一向に陰性にならないのはモタモタ羊)

一直不羊美羊羊(一向に羊にならないのはバッチリ羊)

 中国のゼロコロナ政策の転換は、予想以上に落ち込んだ経済の建て直しを狙ったものとも言えそうです。ただ感染者の急増が医療崩壊に繋がり、再度規制強化が繰り返されるかもしれません。2兎を追えない難しい状況となっていると言えます。

 中国製のワクチンの性能の問題や、接種率の低さ、高齢者の増大など感染の拡大の条件は揃っています。無症状感染者をカウントから外したり、基礎疾患のある患者の死亡はコロナでの死亡から外すなど、統計数字を欺瞞で隠そうとしていますが、国民は気づいているようです。今後どうなっていくか目が離せません。

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2022年11月22日 (火)

大手マスコミが報じない、日本国内に潜む「中国警察」のヤバすぎる実態 政界にも魔の手が…?

Images-25  今回は、先日取り上げた中国による他国への「警察出先機関」の話題の第2弾です。その「違法な存在」に対して日本がどう対応しているのか、ジャーナリストの長谷川幸洋氏が現代ビジネス掲載のコラムで紹介しています。タイトルは『大手マスコミが報じない、日本国内に潜む「中国警察」のヤバすぎる実態 政界にも魔の手が…?』で、以下に引用して掲載します。

日本の政界にも魔の手が…?

中国共産党が日本を含む世界の30カ国に、相手国の同意なしに警察の出先機関を置いていた問題で、米国や欧州など各国政府が相次いで調査に動き出した。日本の岸田文雄政権は、どうするのか。大手マスコミも、まるで中国に遠慮しているかのように、動きが鈍い。

私は11月4日公開コラムで、この問題を初めて取り上げた。中国が各国の同意なしに警察活動をしているのが事実であれば、各国の国内法に違反するばかりか、あからさまな国家主権の侵害である可能性がきわめて高い。

すると、デイリー新潮が11月9日、衝撃的なニュースを報じた。

スペインの非政府組織(NGO)「セーフガード・ディフェンダーズ(以下、SD)」が9月12日に発表した報告書「110 overseas(海外の110番)〜常軌を逸した中国の国境を超えた取り締まり」は、日本の施設について「東京都千代田区神田和泉町〇〇」と所番地、電話番号まで記していた。

デイリー新潮は、その住所に「一般社団法人日本福州十邑(じゅうおう)社団聯合総会という団体が登記されており、自民党の現職参院議員(記事は実名)が、同団体役員の中国人女性と親密なうえ、本人は団体の役職にも就任していた」と報じたのだ。

中国人女性は「議員が発行した外交顧問兼外交秘書という名刺を持って、議員会館にも立ち入りしていた」という。事実なら、中国は日本の政界にも魔の手を伸ばしていたという話になる。ただし、議員側は女性との親密な関係や議員会館の通行証発行を否定している。

中国が日本の政界に浸透しているのは、かねて指摘されていたが、今回は中国警察が関与する施設が国内に実在していることが裏付けられた形で、これまでとは次元が異なる。しかも、与党政治家が関係していた疑いもある。だが、政府が具体的に動き始めた形跡はない。

厳しい姿勢を見せる各国政府

海外の動きは早かった。

セーフガード・ディフェンダーズは11月7日、続報を配信し「米欧など14カ国の政府が問題の施設に対する調査に乗り出した」と伝えた。オーストリア、カナダ、チリ、チェコ、ドイツ、アイルランド、イタリア、ナイジェリア、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、オランダ、英国、米国の対応を紹介している。

たとえば、オランダは、どう動いたか。

ウォプケ・フークストラ副首相兼外相は11月1日、ツイッターで「違法であり、閉鎖するよう命じた。駐オランダ中国大使には、問題を明確にするよう要求した。完全に独立した調査をする」と表明した。外務省報道官は「中国はセンターの活動について、外交チャンネルを通じて一切、我々に報告していなかった。そもそもの出発点から違法だ」と語った。

オーストリアの内務省報道官は「我々は、いかなる状況においても、外国の情報機関や警察が違法な活動をするのを容認しない」と言明した。カナダ王立騎馬警察は「カナダに住む個人の安全に対する深刻な脅威であり、外国がカナダ国内の個人とコミュニティを脅迫して、危害を加える可能性を認識している」と表明し、調査を始めた。

チリ内務省は閣議の後「警察が調査している」と発表し、チェコ外相もメディアに「調査が始まった」と語った。

ドイツ内務省の報道官は「連邦政府は外国機関による権力行使を容認しない。中国にドイツ国内で行政権を執行する権限はない。中国は外交関係と領事権に関するウイーン条約の枠内で動かなければならない」と言明した。

アイルランド外務省報道官は「アイルランドにおける、すべての外国政府の活動は国際法と国内法に従わなければならない。この前提に立って、我々は施設を閉鎖し、活動を停止するよう、中国大使館に通告した」と語った。

もっとも強力に対応しているのは、米国だ。米司法省は10月24日、会見で中国の活動に関連して「2人を逮捕し、13人を告発した」と発表した。タイミングからみて、米国は報告書の発表前から、捜査を進めていたのは間違いない。

セーフガード・ディフェンダーズは当初、指摘した54拠点のほかに「新たに16拠点が明らかになった」と伝えた。関係する警察は、福州市と青田県以外にもある可能性が高い。

逃亡犯を強制的に連行している可能性

セーフガード・ディフェンダーズは1月18日、「非自主的な帰国〜海外の逃亡者を強制帰国させる中国の秘密活動」と題する、別の報告書も発表している。

それによれば、中国共産党は2014年以来、「スカイネット」と呼ばれる作戦で、世界120カ国から約1万人の中国人を強制的に帰国させた。スカイネットは、海外に逃げた汚職官僚を摘発する「フォックスハント(狐狩り)」の上位に位置づけられる大掛かりな作戦だ。

中国共産党は作戦遂行のために、国家管理委員会(NSC)という組織を新設した。国家管理法の第52条は、海外逃亡犯の帰国を実現するための手段について、こう定めている。

〈2つの方法がある。(1)誘拐。逃亡犯を逮捕し、帰国させるために誘拐という手段を利用する。(2)罠と捕獲。容疑者を最終目的地や公海、国際的領空、または最終目的地と犯人移送協定を結んでいる第3国に誘い出し、そのうえで逮捕、送還する〉

つまり、NSCは誘拐や罠のような策略を弄して、刑事犯容疑者や政治犯らを摘発、強制連行する組織である。中国にいる家族や仕事の関係者を脅したり、容疑者に直接、海外で接触して帰国を強要する。あるいは容疑者を外国で拘束、誘拐するケースもある、という。

日本から帰国を強要されたらしきケースも

こちらの報告書は、非自主的な帰国を強要された多くのケースを紹介している。日本から帰国を余儀なくされ、その後、新疆ウイグル自治区の強制収容所で死亡が確認されたミヒライ・エリキン氏の場合は、どうだったか。

ウイグル人弾圧犠牲者のデータベースによれば、彼女は1990年2月23日に同自治区のカシュガルで生まれた。上海交通大学で植物に関する生物工学を学んで卒業後、東京大学の大学院で修士号を取得。東京で教師として働く傍ら、ウイグルの子どもたちにウイグル語を教えていた。

彼女はカシュガルにいる家族に会うために、2019年6月17日に帰国、夏に新疆に帰った。だが、その時点で父親と叔母は強制収容所に拘束されていたため、家族には会えなかった。

2021年7月27日付のニューヨーク・タイムズによれば、彼女は帰国直前に東京の空港から友人にメッセージを送っている。友人は帰国を思いとどまるように説得したが、彼女は「自分が死ぬことになっても、父親を探したい」と語っていた、という。

RFA(ラジオ・フリー・アジア)は2021年5月25日、彼女は2020年11月、カシュガルにある町の収容所で「尋問の結果」死亡した、と報じた。データベースによれば「担当官が彼女は死ぬ前に拘束され、尋問されていたことを確認している」という。ただし、中国側は「彼女は治療を受けるために帰国し、20年12月19日にカシュガルの病院で極度の貧血による臓器不全で死亡した」と説明している。

彼女の叔父は、ウイグルの言語活動家で詩人のアブドゥウェリ・アユップ氏だ。エリキン氏をはじめ、彼の兄弟姉妹3人が当局に拘束された。アユップ氏自身も2013年に逮捕され、15カ月投獄された後、釈放され海外に脱出した。同氏は「自分の活動のために、エリキン氏らが拘束された」とみている。

彼女のケースで、東京の中国警察施設がどう関与していたか、については分からない。ただ、彼女は帰国前、母親から叔父(アユップ氏)の活動を止めるか、帰国するよう強く促すメッセージを受け取っていた、という。これは中国の常套手段だ。

つまり、この施設は日本の国内法に違反し、国家主権を侵害しているだけでなく、中国による「人権弾圧の海外拠点」になっている疑いがきわめて濃い。政府が動かず事実上、黙認しているのであれば、中国共産党の人権弾圧に手を貸すのと同じではないか。

主要マスコミの動きも鈍い。とくに日頃、人権擁護を声高に叫ぶ左派メディアが沈黙を守っているのは、彼らのダブルスタンダードを物語っている。私には、政府とメディアが手を組んで「臭いものにフタ」をしようとしているかのように見える。

 前回も指摘したように、中国には「国家情報法」があり、その延長線上にこの「中国警察出先機関」が存在しているのでしょう。これはその国の主権の侵害であり、明らかに違法な機関で、各国とも厳しい対応をとっているようです。

 ところが長谷川氏の指摘の通り、日本では大甘な対応でしかなく、外務省の意向なのかその他の省なのか知りませんが、中国への忖度がそれをなしているとすれば、大変な問題です。

 ウイグルの人権問題にも見られるように、日本は何故か政界だけでなく、メディアも中国の人権問題に対してはあまり声を上げません。まるで中国が主張する「国内問題で内政干渉だ」を暗黙に認めているようです。

 天安門事件以来、日本の中国外交では常に腰の引けた人権対応だったと言えるでしょう。今回の問題もその延長線上にあるように思います。ましてやこのコラムにあるように、政界(自民党)が関与しているとなれば重大問題です。大手メディアは旧統一教会問題ばかりを追いかけるのではなく、この組織に関してもう少し突っ込むべきでしょう。

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2022年11月10日 (木)

中国共産党の「警察出先機関」が世界中に存在し日本にも!国際法「完全無視」のヤバい実態

Images-22  中国にはそれぞれ2010年と2017年に施行された「国防動員法」、「国家情報法」という二つの法律が存在します。「国防動員法」は戦争などの有事の際、国と軍が民間人や施設などを軍事動員できると定めた法律。「国家情報法」は、中国政府の情報収集活動への協力を義務付ける法律で、こちらは平時にも適用されます。この2つの法律は中国国内だけでなく、世界中にいる中国籍の人にも適用されるとされています。まさに手前勝手な恐ろしい法律です。

 また法律ではありませんが、それにも匹敵する、中国が手前勝手に作った組織があります。その詳細をジャーナリストの長谷川幸洋氏が、現代ビジネスに寄稿したコラムから紹介します。タイトルは『中国共産党の「出先機関」が日本国内に存在した…!国際法「完全無視」のヤバい実態 「海外警察サービスセンター」とは何か』で、以下に引用します。

中国共産党の出先機関が世界中に

中国共産党の「悪辣さ」がまた1つ、明らかになった。国際法や他国の主権を無視して、米国や欧州、アフリカ、南米、日本などに「海外警察サービスセンター」と呼ばれる独自の警察拠点を築いていたのだ。犯罪者だけでなく、反体制派の摘発が狙いであるのは確実だ。

この問題は、スペインの非政府組織(NGO)「セーフガード・デフェンダーズ」が9月12日、中国の海外警察サービスセンターの活動を詳細に調査した報告書を公表して明るみに出た。

オランダのメディアが10月25日、最初に報じ、その後、英BBCなども追随して、世界に波紋を広げた。オランダ外務省の報道官は「中国警察の非公式出先機関が存在するのは違法」と語り、当局が調査に乗り出した。中国側は「海外在住の中国人のための行政サービス・ステーション」と否定している。

「110 overseas(海外の110番)〜常軌を逸した中国の国境を超えた取り締まり」と題された報告書によれば、中国福州市と青田市の2つの公安当局が、5大陸21カ国で計54の警察拠点を築いていた。アイルランドのダブリン、オランダのロッテルダムとアムステルダム、英国のロンドンとグラスゴー、スペインはバレンシアとマドリードに3カ所、米国、カナダ、ナイジェリアといった具合である。

なかには、日本の拠点もある。報告書には「東京都千代田区神田和泉町〇〇」と所番地まで記され、電話番号も付記されていた。ちなみに、この番地を検索すると、中国福州市の関連団体と思われる一般社団法人がヒットした。ただし、この団体と警察拠点の関係は不明だ。

何を目的とした組織なのか?

いったい、この警察拠点はどんな活動をしているのか。

報告書によれば、最初は公安当局が海外で不法な活動をしたり、逃亡した詐欺犯などを摘発する活動が発端だった。やがて直接、海外に拠点を設けて、容疑者に接触し、中国に帰国するよう「説得」する活動に発展した。説得といっても、実態は脅迫に近い。

たとえば「中国に帰らなければ、両親や親族が大変な目に遭うぞ」と脅す。応じなければ、実家に「ここは詐欺の巣窟だ」などと記した看板を立てられ、警察の捜査対象であることを付近の住人に知らせる、あるいは子供を学校に行かせない、といった手段が使われた。

親族は警察に協力する義務を負っており、協力しなければ、彼ら自身が処罰の対象になる。親族が住む家の電力や水道が遮断される場合もある。犯罪に関連する不動産や資産は当然のように、没収された。

その結果、中国当局によれば、2021年4月から22年7月までの間に23万人の中国人が「自発的に帰国」し、司法処分を受けたという。

中国は「中国人が居住してはならない9カ国」を指定している。トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、ミャンマー、タイ、マレーシア、ラオス、カンボジア、フィリピン、インドネシアだ。実際には、これらの国にも中国人はいるが、彼らは「特別な理由」で例外扱いされているようだ。

もはやただの「警察拠点」ではない

問題の海外警察サービスセンターは、カンボジアを除く8カ国以外の取り締まりに従事している。センターは福州市や青田市の警察だけでなく、中国共産党中央統一戦線工作部(United Front Work)とも連携している。

中央統一戦線工作部は、中国共産党と党外のざまざまな組織の連携を司る党中央委員会の直属組織だ。たとえば、新型コロナの発生直後、華僑などを通じて、世界中のマスクや防護服を買い占める作戦の司令塔を担っていたのも、この組織である。

この1点を見ても、警察拠点が単なる犯罪者の摘発や行政サービスを担う組織ではない、と分かる。汚職官僚や反体制活動家の摘発にも関与しているのだ。

統一戦線工作部はそれぞれの国の協力者を通じて、情報収集したり、捜査摘発活動の便宜を図ってもらう一方、協力者には党幹部との会合設営や表彰などの形で報奨を与えていた。

政治犯や詐欺、横領などをして海外に逃亡した容疑者の摘発活動は「フォックス・ハント(狐狩り)作戦」と呼ばれている。人民公安ニュースという中国メディアは2019年3月23日、次のような記事を掲載した。

〈海外サービスセンターの創設によって、青田市警察は海外に逃げた逃亡犯の確保にめざましい突破口を開いた。2018年以来、警察は海外在住の中国人に関係した6件の犯罪を摘発し、解決した。指名手配された逃亡者は逮捕され、2人の容疑者は海外センターの協力を受けて説得され、投降した〉

これで明らかなように、海外センターは警察活動の一翼を担っている。彼らがターゲットにする狐のなかには、単なる犯罪者や汚職官僚だけでなく、政治犯もいたはずだ。

主権侵害の可能性が高い

最大の問題は、こうした活動が当該国の同意や合意なしに、一方的な中国の裁量によって実行されている点である。主権侵害や当該国の法律に違反している恐れが、かなり高い。その一端は、中国が2022年9月2日、全国人民代表大会常務委員会で可決した「反テレコム・オンライン詐欺法」にうかがえる。同法の第3条は、次のように定めている。

〈この法律は、中国領土におけるテレコム・オンライン詐欺に適用されるとともに、海外で実行された中国市民によるテレコム・オンライン詐欺にも適用される。また、中国領土の人々に対するテレコム・オンライン詐欺に関わった海外の組織、個人も責任を負う〉

つまり、中国は、自国の法律を海外の組織や個人に対して適用するのである。たとえば、日本人が日本にいながら、いつなんどき、中国の法律を適用されて、罪に問われるか分からない、という話になる。法の域外適用が国際的に許されないのは、当然だ。

こうした中国のデタラメさには、実は前例がある。2020年に香港に導入した国家安全法だ。同法38条は「香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が香港特別行政区外で香港特別行政区に対し、本法に規定する犯罪を実施した場合は、本法を適用する」と定めていた。

自分が勝手に作った法律を、外国にいる外国人にも適用する。正当な弁護を受ける権利も保証されない。あたかも、中国は「世界はオレの言うことを聞け」と言わんばかりなのだ。これでは、友好協力もへったくれもない。こんなことを許してはならない。

岸田文雄政権は、日本の警察拠点と指摘された施設について、そこで何が行われているのか、徹底的に調べるべきだ。それとも、親中派で固めた政権に、それを要求するのは無理な話なのだろうか。この問題への対応は、岸田政権の地金を試すリトマス試験紙になる。

 相手が中国人と知らずに、その中国人と共にある行動をしたら、突然「海外警察サービスセンター」の係官から拘束され、その中国人と共に中国に拉致され、拷問を受ける、などという、映画の世界のような事態が現実になるかも知れません。

 これは絶対に許されることではなく、長谷川氏の言うとおり、岸田政権は直ちに公安に、その情報を精査させなければならないでしょう。

 中国国内でも、滞在中の日本人が、突然スパイ容疑で拘束される事件が起きています。本人がいくら否定しても、中国の公安(あるいは警察)がスパイと認定すればスパイになるのです。そして民主的な裁判手続きなどなく、罪状が言い渡されます。これが日本国内で密かに行われるとすれば、まさに地獄です。実態の究明が急がれます。

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2022年11月 5日 (土)

福島香織氏:終了どころかさらに強化、中国人を絶望させる「ゼロコロナ文革」という大厄災

Images-17  3期目に入った習近平政権の元で、ゼロコロナ政策は転換するのか?その期待はどうやら外れたようです。思えばコロナ発祥の国中国が、何故これほどゼロコロナにこだわるのか。起源は中国ではないと言いたいのか、その本意は分かりません。あるいは他の思惑があるのでしょうか?

 そのあたりの現状を、ジャーナリストの福島香織氏が、JBpressに寄稿したコラムから見てみましょう。タイトルは『終了どころかさらに強化、中国人を絶望させる「ゼロコロナ文革」という大厄災 餓死を恐れて封鎖から脱出、凄惨な事件も続出』で、以下に引用して掲載します。

 10月22日に閉会した第20回中国共産党大会後、中国ではゼロコロナ政策がますます徹底され、そしてますます暴力的になっている。

 ユニバーサル・スタジオ北京や上海ディズニーランドでは、それぞれ10月26日、31日に突然閉鎖が発表された。中にいた数万人の観光客は全員PCR検査を受けさせられ、陰性でなくては外に出してもらえず、全員が外に出してもらえるまで一晩かかったりした。園内には幼い子供、家族連れもいるが、容赦はない。

 だが、こんなのはもはや厳しいうちに入らない。鄭州、武漢、広州では、党大会前に増して厳しいロックダウンと全民PCR検査が繰り返されている。チベット自治区のラサはすでに80日以上、新彊ウイグル自治区イリでは90日以上のロックダウンが続き、住民の中に餓死者が出ているらしい。また、大量の家畜の世話ができないために安値で売り払われたり、餓死したり、中には家畜も「隔離」措置を受けたりしているという。

動画が拡散した3つの凄惨な事件

 10月8日から始まった河南省鄭州市のロックダウンではいくつもの凄惨な事件が起きた。たとえば、10月23日には3つの大事件が、動画の拡散によって目撃されている。

 1つは、鄭州市のアパート17階の居宅から出ることを禁じられた母親が高熱の子供のために医者を呼びに行こうと、手製のロープを使ってベランダから降りようとしたところ、ロープが切れて墜落し亡くなった事件。

 もう1つが、鄭州市港区のフォックスコン(ホンハイ)従業員用のアパートで従業員が防疫職員をナイフで殺害した事件。防疫職員はアパートの外に出ようとした従業員を押しとどめようとして殺害された。

 この殺人事件は午後1時に発生したが、その夜、このアパートではフォックスコン従業員と、アパートを封鎖中の防疫職員らとの大乱闘が起きている。理由は封鎖後に食事や生活物資の供給もなく、また外出のために必要なPCR検査を実施する検査員も派遣されず、ただただ閉じ込められることに恐怖を感じた従業員が封鎖を突破しようとしたらしい。この動画はフォックスコン従業員の家族が投稿したものだった。

 3つ目の事件は、鄭州市白墳区の封鎖中のアパートのベランダから女性のバラバラ遺体が投げ捨てられた事件。この事件は、バラバラ遺体がアパート上層から降ってきたという写真がネットで拡散されているだけで、詳細は不明。だが、ロックダウンのストレスに耐えかねて住民がガールフレンドを殺害した事件が他にも発生しているので、同様の事件ではないかと見られている。

29 フォックスコン従業員が大脱走

 フォックスコンの主要製造拠点、鄭州工場の封鎖式管理を巡っては、10月下旬から従業員の集団脱走が断続的に報じられてきた。従業員やその親族のSNSの投稿を総合すると、工場内で10月8日から感染が出始め、14日に突然封鎖管理方式が通達された。20万人が同じ空間で暮らす状況で、感染は瞬く間に広がり、2万人の陽性者が出たという。

 最初は、陽性確定診断者(確診)と濃厚接触者をわけて隔離していたが、陽性者が増え続け、そのうち隔離場所が確保できず、陽性者と濃厚接触者を一緒くたにして宿舎内に隔離するようになったという。また、工場内の食堂は営業停止となり宿舎の部屋内でしか食事ができなくなったが、与えられる食事は当初からカップ麺やパンなどで、不満が高まっていたともいう。要隔離者が増えると、隔離場所も建築途中の野ざらしビルなど劣悪な環境だったり、十分な医薬品や食料、水が与えられない放置状態が常態化したりするようになったという。

 こうした劣悪な隔離環境の中で宿舎の726号と呼ばれる部屋に隔離されていた8人の女子従業員が全員死亡したという噂が工場内に広がった。従業員の1人とみられる女性が「みんな死んでしまった」と号泣する動画や、「10月29日」という日付のついた封鎖シールが張られた726号部屋のドアの写真などがネット上で拡散していた。また宿舎周りにPCR検査の廃棄物やゴミが山積みになった状況や、そのゴミの間で倒れている人が映っているような動画もあり、封鎖式管理のフォックスコン鄭州工場で何が起きているのか想像ばかりが広がった。

 オミクロン株は重症化率が低いと信じられているので、こうした死者情報は餓死ではないか、と多くの人たちが言い出した。こうした噂が真相不明なまま不安を拡大し、封鎖式管理下にいた従業員たちが大量に脱走し始めたようだ。夜の高速道路沿いにフォックスコン従業員が荷物を持ってぞろぞろと故郷に向かって数百キロの道のりを歩いている様子、昼間の田畑の中を当局の目を避けるように逃亡している様子などの写真や動画がネットで拡散されていた。高速道路の行く手に、軍が待ち構えて封鎖しているような動画もあった。このフォックスコン従業員の大脱走についてはBBCなど大手メディアも取り上げている。

 一方で、鄭州工場地域に、工場・宿舎内部からのSNSなどの発信を防ぐ無線妨害のための車両が派遣されているような写真や、軍の装甲車の列が鄭州大街を走っている動画なども拡散していた。こうしたことから、鄭州では軍も動員されて徹底的なロックダウンや情報封鎖体制が敷かれている、フォックスコンは軍の管理下に置かれているのだ、といった噂も広がった。

 ちなみにこうした噂話は、どれひとつ公式に確認されているものではない。フォックスコン側は、2万人隔離の話も「事実ではない」とし、726号の8人の女子従業員死亡の噂も悪質なデマであり、すでに警察に通報して処理を依頼しているという。

 ただ10月29日から、フォックスコン側と河南省の各地方政府は、故郷に戻りたい従業員は申請すれば専門の車両で故郷に送り届け、故郷で隔離措置を受けることができる、と発表している。工業パーク内に残留希望の場合は、宿舎で隔離され、そのかわり3食を保証、故郷での隔離を希望する場合は隔離施設の実費を自腹で支払うものとしている。

 こうした発表があるということは、つまり、大脱走問題が起きていることを認識しているということではあろう。

 鄭州のコロナ封鎖からの大脱走が中国人ネット民の心を揺さぶったのは、彼らの脱走の動機に「飢餓」が絡むからだろう。河南省は1942年にものすごい飢饉を体験し、300~500万人が餓死し、河南省から農民が飢餓から集団逃亡した歴史があった。これは河南省出身の作家、劉震雲の「一九四二」という小説にもなり、また馮小剛監督によって映画化もされている。また1959年から61年にかけての大飢饉は、まだ記憶に残る大厄災だ。3年自然大災害と呼ばれるこの飢饉は、本当は自然災害だけでなく人民公社・大躍進の政策が1つの大きな原因だった。だから、ゼロコロナ政策によって引き起こされた不条理な飢餓への共感が強いのだろう。

完全に裏切られたゼロコロナ政策緩和の期待

 実は、かなり多くの中国人が党大会後にゼロコロナ政策は緩和されるであろうと期待していた。なぜならゼロコロナ政策は、感染スピードが猛烈に早いオミクロンを封じ込めるには効果がほとんどなく、長く継続すればするほど経済を悪化させ人民を苦しめるものであることはわかり切っているからだ。

 党大会前、習近平が3期連任を固める前は、ゼロコロナ政策に批判的な李克強ら共産主義青年団派勢力との権力闘争に勝利するために、ゼロコロナ政策の過ちを認めることはできず、ゼロコロナ貫徹で路線闘争を争わねばならなかった。だが、党大会が終わり独裁者として足場を固めれば、ゼロコロナ政策のような科学的に誤った政策を無理に堅持する必要はないはずだ。

 ところが、その期待は完全に裏切られ、ゼロコロナ政策はますます過酷に暴力的になった。それはなぜか。

 1つ考えられるのは、上海市トップの李強の政治局常務委員への出世があるのではないか。李強は今年(2022年)3月から6月にかけて、多くの上海官僚や感染症専門家の反対意見を押し切って、徹底したロックダウンを実施した。このため第2四半期の上海市経済成長率は前年同期比マイナス13%に落ち込み、社会は動揺し、大混乱を来した。だが、李強は出世し、来年3月には首相の任に着くとみられている。この人事が各地方官僚トップに誤ったメッセージを送ったかもしれない。官僚出世の早道はゼロコロナを徹底するのが一番だと。今までは経済成長率が地方官僚の中央への出世の第一条件であったのが、もう経済は重視されないのだ、と。

 習近平も、ゼロコロナ政策をゆるぎなく堅持することが絶対的に正しいと一度言ってしまった手前、この流れにブレーキをかけることができないのかもしれない。

中国人民にとっての大厄災に

 だが、もう1つの見方がある。それは、権力を掌握したという自信をまだ持てない習近平が、地方の官僚たちが自分の敵か味方かを見分ける判断材料として「ゼロコロナ政策への忠実度」を見ようとしている、という可能性だ。

 これはなかなか恐ろしい。つまり、たとえ不条理な政策であっても習近平の命令なら率先してやるかどうかを、習近平は敵味方の基準にする。人民を苦しめ経済を悪化させる官僚ほど習近平は味方と認め、人民のためを考える官僚はパージされていく。

 実際、官僚にとって、これは最も頭を使わずに出世できる方法だ。高い学歴も高い行政手腕も必要ない。だから地方官僚たちは、上層部に上げるリポートでゼロコロナを誉め讃え、肯定する者だけになる。

 習近平はますますゼロコロナに自信をもち、継続し、それは実に長い「闘争」になるかもしれない。なにせ、オミクロンの後にはケルベロスやグリフォン、バジリスクといくらでもコロナ株が登場し続けてくるのだから。

 10月中下旬、ロックダウンの影響を受けた中国人はざっくり2億人あまり。これを14億人中国のほんの一部と考えるかどうか。それは文革の被害者1億人が当時の8億人口にとって多いか少ないか、というのと似ている。

 私たちは、ゼロコロナ政策が中国経済にどれだけ悪影響を与えるか、ということに注視しがちだが、これはもはや経済への影響以上に、人民にとっての「浩劫」(大厄災)になりつつある。新型コロナのパンデミックは人類の大厄災だが、中国人民にとっての大厄災は間違いなくゼロコロナ政策だ。そしてコロナ・パンデミックの大厄災が終わっても、ゼロコロナから始まる浩劫は文革のように10年単位で継続するかもしれない。

 あるメディア関係者が以前語っていましたが、「習近平に批判的な人物を特定するために、ロックダウンをして人の流れを絶ち、その間にじっくりその特定を行う、そ為の手段に応用している」、本当かどうかは分かりませんが、一人独裁貫徹のためにはあながち嘘でもないような説です。

 いずれにしろこの非科学的な手法は、まさに毛沢東の実施した大躍進政策や文化大革命に通じるところがあります。どうような非科学的な手法で、再び中国を大混乱に陥れようとしているのでしょうか。ただ見方を変えれば、これがそのまま中国経済のダメージとなって現れ、弱体化が進むとなれば西側諸国の思うつぼとなります。

 経済音痴に近い習近平が、3期目就任と共に李克強のような経済通を追い出した結果と相まって、今後の中国経済に赤信号がともる可能性は大きい。できればそうなることを期待したいと思います。日本企業は早めに撤退を決断すべきでしょう。

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2022年10月28日 (金)

習近平「見えない日本侵攻」のヤバすぎる実態!半導体技術者を引き抜き、豊洲タワマンも中国人だらけ

25_20221026120901  中国による日本の土地やマンションの買い占めが取り沙汰されてかなりになります。実際に北海道の土地や東京の不動産が中国人に売り渡されている実態があります。国会は外国人、特に中国の不動産取得に歯止めをかけるべく、立法化を急ぐべきでしょう。

 さらには工作員による先端技術の中国への漏洩や、高額の報酬をちらつかせ技術者のヘッドハンティングが日常行われているようです。ここも早急に経済安全保障のセキュリティクリアランスの立法化が必要でしょう。

 習近平政権になってから、顕著になってきたこの日本の技術の漏洩や不動産の購入実態。週刊現代がこの問題を取り上げていますので紹介します。タイトルは『習近平「見えない日本侵攻」のヤバすぎる実態…!半導体技術者を引き抜き、ハウステンボス買収、豊洲タワマンも中国人だらけ』で、以下に引用します。

目指すは「世界の覇者」

天無二日――儒教の経典『礼記』には、こんな言葉が出てくる。

「天に二つの太陽はない」という意味で、「世界の統治者は常にただ一人」という中国の世界観を象徴している。'49年に中華人民共和国を建国した毛沢東以来、歴代の指導者たちもこの言葉を知っていたが、彼らは多くの民を抱える中国の内政を安定させ、成長の軌道へ乗せることに生涯を費やした。

だが、国家主席「異例の3期目」に突入し、真の「皇帝」となった習近平総書記(69歳)は違う。中国の「外」にいる異民族をも討伐し、全世界に君臨する王となる「天無二日」を現実のものにしようとしているのだ。その隠し切れぬ野望は、演説ににじみ出た。

「10月16日に開かれた共産党大会の政治報告では1時間45分の演説を行い、『安全』や『安全保障』という言葉を前回の55回より多い73回も使いました。また軍事侵攻の可能性に言及した『台湾統一』のくだりでは万雷の拍手が起こりました」(ジャーナリスト・福島香織氏)

この演説時、かつて国家主席を務め、習近平にとって「お目付け役」だった江沢民元総書記(96歳)や、朱鎔基元首相(94歳)は姿を見せなかった。また長年政権を支えてきた「盟友」王岐山国家副主席(74歳)も不参加。名実ともに習近平は「絶対権力者」になった、ということだ。

自らを脅かす者を一掃し、完璧な独裁体制を確立した習近平が目指す目標はただ一つ。

アメリカから覇権を奪い、世界秩序の頂点に立つこと――。

この数十年、中国も近代化、資本主義化して「もはや敵ではなくなった」と西側諸国は考えてきたが、それは思い違いだ。彼らは腹の底では「力を蓄え、西側を潰す」ことだけを考え、猫を被っていたのだ。

'27年までの任期を手に入れた習近平は、ついに「虎」としての本性を現す。まず狙われるのは、国力が衰微し軍事力も脆弱、西側世界で最も御しやすい、ちっぽけな島国――日本である。

「半導体市場の覇権を握れ!」

中国の「日本侵攻」はすでに始まっている。それはミサイルのような目に見える侵略ではない。ありとあらゆる分野に音も立てずに浸透し、いつのまにか中国なしでは立ち行かないようにする。それこそが、侵攻の第一段階なのである。

〈6月5日をもって退職することとなりました〉

同僚から届いたメールを見て、国内大手メーカーに勤める40代の半導体技術者Aさんは「また中国企業か」とため息を漏らした。技術者が次々にヘッドハンティングされて、櫛の歯が欠けるように減っている。

「年収700万円弱だった先輩は、2倍を超える収入を提示されて清華大学系列の半導体メーカー『紫光集団』に転職しました。台湾企業『TSMC』に転職した友人にも、中国企業からの誘いが来ているそうです。

TSMCは部長クラスの年収が5000万円に達しますが、中国企業は年収、福利厚生などの要望を何でも聞いてくれる。日本の企業ではありえない好待遇で、実は私も迷っています」

中国の企業は、日本の技術者に破格の報酬を提示する。習近平の「2025年までに半導体市場の覇権を握れ!」という大号令を受け、日本人の一流エンジニアを根こそぎ引き抜いているのだ。

「日の丸半導体」は衰退の一途を辿り、日本の半導体自給率はわずか27%。約63%を中国と台湾からの輸入に頼っている現状がある。習近平は「禁輸」の一言を発するだけで、簡単に日本の製造業の息の根を止められる。

半導体だけではない。レアアースや鉄鋼製品など、日本はあらゆる工業原料を中国に頼っている。中国からの輸入の8割が2ヵ月間途絶えるだけで、GDPの1割にあたる約53兆円の生産額が消失するという試算もある。

中国は表向き「共存共栄」を謳うが、そんなものは建て前にすぎない。各国の経済でプレゼンスを増やすことはすなわちその国を「合法的に支配する」ことだ。現にいまや日本にもアメリカにも、「中国と関係を断つことは不可能だ」「そんなことをすれば、経済がもたない」と主張する有力政治家や財界人が大勢いる。

中国人が急増中の「豊洲のタワマン」

さらに中国は日本経済を支配するために、弱った企業を次々に買収している。たとえば東芝の家電部門である「東芝ライフスタイル」は'16年に、537億円で中国の大手家電メーカー「美的集団」の傘下となった。高級ゴルフクラブメーカー「本間ゴルフ」も、'10年に中国系ファンドの「マーライオン・ホールディングス」に買われた。

習近平は、プーチンのように突如派兵し、ミサイルを撃つほど愚かではない。経済を支配下に置くことで、孫子から2500年にわたり受け継がれる「戦わずして勝つ」戦略を実践しているのだ。

これと並行して中国が進めているのが、日本人の「暮らし」の支配だ。

豊洲などのタワマンで最近、同時多発的に異変が起きている。共用ラウンジで毎日のように、けたたましい中国語が響き渡っているのだ。

「上の階は電波が入らないのか、中国人住民が共用部に降りて来て電話をかけまくる。さらに中国人同士でお喋りを始め、ソファーを占領しています」(タワマンの住民)

都内の不動産業者によれば、中国人からのタワマン購入の問い合わせはここ1年で4倍近く増えているという。荒川区などではすでに住民の4割以上を中国人が占めるマンションも珍しくない。

不法滞在者や日本国籍を取得した人を含めると、日本にいる中国人は100万人に迫るといわれる。秋田県や香川県の人口を超える数の中国人が日本に入り込んでいるのだ。次々やってくる中国人によって、日本が少しずつ「中国化」していく。これは大げさな話ではなく、海外では取り返しのつかない事態が起こっている。

ハウステンボスも買われた

オーストラリア北東部にある「ケズウィック島」。澄みきった真っ青な海に囲まれ、大部分が国立公園に指定されている自然豊かな島である。

ところが'20年、島の一部を買い上げた中国の不動産開発業者が、オーストラリア住民のビーチなどへの立ち入りを禁じてしまった。資本の力によって、国土を「実効支配」されてしまったのだ。

日本でも、こうした事態は現実になりつつある。今年8月、長崎の人気テーマパーク「ハウステンボス」が香港を拠点とする投資会社PAGに総額1000億円で買収されることが決まった。

「ハウステンボスは佐世保の米軍基地と海上自衛隊の基地の至近距離にあり、施設の内部から基地を偵察できる。米兵が遊びにくることも多く、防衛にかかわる機密漏洩の危険も指摘されています」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)

北海道のニセコを始め各地の観光地でも、次々に中国資本が進出している。日本の土地なのに、ゆくゆくは至る所で「日本人は立ち入り禁止」になってもおかしくない。

留学生などの協力者を含めて数万人いるといわれるスパイも野放しだ。習近平は共産党直属の組織を強化することで、海外での工作活動にも注力している。それが「中国共産党中央統一戦線工作部」(中央統戦部)だ。

「習近平は中央統戦部を『魔法の武器』と呼ぶほど重視しています。海外の政治運動や選挙を狙って工作員を送り込んだり、ネット等で情報戦を行うことが彼らの役目です」(元陸上自衛隊東部方面総監・渡部悦和氏)

今年1月、イギリスでは英情報局保安部(MI5)が「中国系の弁護士クリスティン・リー氏が、中央統戦部の意向を受け下院議員に近づき影響力を行使している」という、異例の警告を行った。

「ワシントンにある『ジェームズタウン財団』の報告書によれば、中央統戦部は日本でも活動している。過去には自民党の旧田中派系の派閥、公明党、さらに小沢一郎氏のグループなどに影響を与えてきた可能性が指摘されています」(渡部氏)

 実は唐突な話ですが、安倍元総理の暗殺事件、山上容疑者一人では資金面でも技術面でも準備が不可能だったのではないか、と言う疑問がわいています。更には発砲時の銃の反動情況や、致命傷に至った弾丸の一つが発見されていないことから、複数犯説も取り沙汰されています。

 この事件を機に、にわかに拡散した旧統一教会問題。その拡散に大きな力を発揮したのが、特定野党とメディアでした。しかしその背後には中共があるのではないか、と穿った見方も出てきます。つまり「国際勝共連合」と相容れない中共が裏で暗躍し、これも中共に都合の良くない保守の重鎮安倍氏を、ここで亡き者にすれば、中国のこの記事のような日本侵攻には都合が良くなるからです。

 これは単なる推測の域を出ないストーリーですが、今の日本でこの中国の侵攻を止めるための、砦となるべき政界の大物がいなくなったわけですから、中国としては日本与しやすしと思うでしょう。特に旧統一教会問題で腰の引けた岸田政権には。こうなった今はただ高市氏をはじめ、保守の政治家や論者が何とか頑張って、この侵攻を食い止めて欲しいと願うばかりです。

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