高橋洋一氏:「小西文書」のなりゆきに慌てふためく左派メディアは、世界の潮流がわかっていない
小西議員が持ち上げた総務省の行政文書について、その実態が明らかになるに付け、ある意図的な捏造が行われていたのではないか、と言う状況が見えてきました。前回ご紹介したように、そこには安部元首相と高市元総務大臣(現経済安全担当相)を狙い撃ちにした謀略が、背景に在るようです。
今回はその実体解明の第3弾として、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏が現代ビジネスに寄稿したコラムを取り上げます。タイトルは『「小西文書」のなりゆきに慌てふためく左派メディアは、世界の潮流がわかっていない』(3/13公開)で、以下に引用して掲載します。
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行政文書と「正確性」は別物だ
総務省の「小西文書」をめぐる騒ぎが続いているが、「行政文書」にはすべて正しいことが書かれているのか。省や派閥の思惑による文書の作成はないのか。大臣はすべてを把握できるのか。
先週3月6日の本コラム《小西氏公表の「放送法文書」は総務省内の「旧自治」「旧郵政」の些細なバトルの産物?》で書いた小西氏が国会で明らかにした文書はすべて行政文書だ。7日に総務省が公表した。
翌8日の朝日新聞と毎日新聞は鬼の首を取ったかのように、一面トップで報じた。朝日新聞は、その後も9日と12日の社説で《高市元総務相 国の基盤 揺るがす暴言》、《放送法の解釈 不当な変更、見直しを》と追及している。
一般の方が行政文書と聞くと、正確なものと誤解するが、そうでもない。行政文書の法的な定義は、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」(情報公開法第2条)だが、単なるメモでも他の職員が仕事で使い見せれば行政文書になるので、その正確性は別問題だ。
議論となっている2015年2月13日「高市大臣レク結果」についてみると、作成者が明確な行政文書だ。しかし、正確性は当てにならない。というのは、先週の本コラムで書いたように、配布先に大臣、事務次官が抜けているので、正確性が担保されていない典型的な行政文書だ。配布先から、総務省全体ではなく旧郵政の内輪情報共有メモであることもわかるが、高市大臣が旧郵政から部外者扱いされたバイアスで書かれている可能性がある。
ちなみに高市氏は、レクそのものの内容がおかしいと国会で否定している。
これはかなり重大な国会での発言だ。日時が特定できるはずの2015年2月13日の高市大臣レクそのものがなかった可能性もある。その場合、レク結果をでっち上げてメモを作り、旧郵政関係者に配布した可能性もある。レクがあったがどうかは容易にわかることであるが、本稿執筆時点(3月12日)で総務省からも明快な説明がない。
首相動静をチェックすると
レク結果の後に添付されている資料をみると、不可解な点もある。レク結果で書かれているように礒崎補佐官のことを高市大臣に説明するのであれば、レク資料に礒崎補佐官の名前が明記されていないとおかしいが、一切ない。これでは、担当課である総務省情報流津行政局放送政策課の法解釈における見解であると思ってしまう。レク結果では、口頭で礒崎補佐官に言及していると書かれているが、添付資料にはそれを裏付けるものがなくまったく不適切な行政文書である。
高市大臣レクがなかったにもかかわらずレク結果が行政文書として残されたとしたとすれば、それこそ総務省そのものの存在意義に関する重大な話に発展するだろう。レクがあったとしても礒崎補佐官の名前を出さなければ、五十歩百歩だろう。
さらに、総務省は10日、全体の文書の精査状況を明らかにした。全48ファイルのうち26ファイルは、現時点で作成者が確認できていないと説明。文書中の不自然・不一致箇所は6項目。引続き精査しているのは高市大臣と安倍総理関連。これで今回の行政文書の正確性がないのが分かるだろう。
なお、日時が特定できるものとして2015年3月5日の総理レクがある。
これは、作成者不明であるが、総理レクは16時5分から、総理、礒崎補佐官、今井秘書官、山田秘書官で行われたと書かれている。しかし、当日の首相動静では、16時8分まで別件が入っている。
このため、総理レク結果の行政文書の正確性まで疑われている。首相動静は、一般的には政務秘書官の今井秘書官が作成しマスコミ各社に配布する。それによれば。16時8分まで別件で、16時58分官邸発となっているので、その間に総理レクが行われ、小西文書での作成者か、情報を架電した山田秘書官が開始時間を間違ったかの可能性もある。
全てチェックするのは物理的に困難だ
いずれにしても、行政文書であるからといって、必ずしも正確でないことがわかるだろう。
例えば、筆者の場合、2005年から06年に総務大臣補佐官(大臣室参事官)を経験している。その前の大蔵省時代、大蔵対郵政大戦争の最前線にいて、各種の政策議論を当時の郵政省と交わす立場だった。総務大臣補佐官の時どのように郵政内の行政文書で書かれていたのか興味があったので見たら、まったくデタラメだった。当時に筆者の驚きと、今回の高市大臣の反応は似たものだろう。
2017年3月の加計問題でも、各省間での折衝の際、折衝メモがそれぞれの省の職員で作られたが、相手省の確認を受けておらずに、自省に都合よく書かれてその正確性は疑問視された。
その後の行政文書作成のガイドライン改正で、政策立案などでの打ち合わせ文書では、相手方の確認を取るとされたが、それ以前では確認を取ることはなかった。
今回問題とされている行政文書は2015年のものなので、正確性が確保されていなくても不思議でない。
一般論として大臣へのレクにおいて官僚側に都合よくレク結果がまとめられがちだ。しかも、大臣レク結果を全てチェックするのは物理的に困難だろう。
それにもかかわらず、朝日新聞の社説は、小西文書、つまり行政文書が正しいとの前提で書かれている。その正しさに異議を唱える高市氏を非難しているが、前提となる行政文書が正しくないのであれば、朝日新聞の社説のほうがおかしいとなる。
ネット上では、高市氏が小西文書の正確性を立証する責任があるとの意見もでていたが、文書作成の総務省のほうから必ずしも正確でないとなった。
「官邸が圧力」というストーリー
筆者の先週の本コラムその他で、小西文書を旧自治対郵政の下らないものとし、その正確性でも一部で違和感を書いたので、今回は当然の成り行きと思っている。しかし、小西文書を正しいものとして、論を展開していた、小西議員、朝日新聞などの左派マスコミはさぞ困ったことになっただろう。
著名な女性記者は、高市氏を礒崎氏の名前を今年3月になってから初めて聞いたと勘違いして、嘘つき呼ばわりした。これに対し、高市氏は、当然礒崎氏を知っていたが、放送法解釈について礒崎氏の名前が出ているのを知ったのが今月という意味と丁寧に答えている。女性記者のほうが悪意の切り取りだが、そういう揚げ足取りしか出来ないのだろう。
官邸がテレビに圧力というストーリーに、左派マスコミは酔っているようだ。実は、テレビは圧力をかけたいほどの存在でもない。
例えば、テレビには放送法による政治的公平があるので、筆者のような見解-8年前の旧自治対旧郵政のやりとりを持ちだして今度の補選・県知事選で相手候補にマイナスダメージを与える-を地上波選挙コードで伝えることが出来ない。もちろん、筆者は自分のYouTubeチャンネルで報じており、すでに再生回数は300万回に達しようとしている(3月12日夕方時点)。
いずれにしても行政文書だからといって正確であり、官邸がテレビに圧力というのは筋違いだ。
そもそも、放送法の解釈は変わっていない。生前の安倍さんはテレビで放送法の縛りがあるならネットでいいといっていたほどだ。
もっとも、今回旧郵政の行政文書が杜撰であったことが明らかになった。高市氏を蚊帳の外にするなど、旧郵政官僚の横暴も明らかになった。このままであると、下らない行政文書が明らかになっただけで、あまりに進歩がないので、筆者なりの改革案を提示しよう。
そこまで旧郵政が総務大臣を排除したいなら、放送行政について、今の総務省に代えて世界標準の独立行政委員会方式のほうがいい。アメリカは連邦通信委員会、イギリスは通信庁、フランスは視聴覚・デジタル通信規制機構、ドイツは州メディア監督機構だ。ついでにいえば、通信行政についても独立委員会で先進国は運営されている。
放送・通信行政ともに独立委員会方式にして、技術進歩に対応するとともに政治的な関与をできるだけ少なくというのが世界の常識だ。独立委員会方式では、政治的公平については出演機会の確保などほとんど規制なしだ。日本は放送・通信で完全に先進国に乗り遅れたが、今回を奇貨として先進国にせめて規制だけはキャッチアップしたらいいだろう。
左派マスコミは、放送法を守れなんて言っているが、まったく世界の潮流がわかっていない。放送法の変な縛りを外して独立行政委員会が正解だ。
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省庁経験者の高橋氏の分析には、やはり当事者として鋭い突っ込みがあり、同じ当事者だった小西議員の謀略にも目が行き届いているようです。「モリカケ」でうまい汁を吸ったメディアも、今回は「柳の下」を狙えないようです。
いずれにしても、何度も言いますが国の重要課題をそっちのけで、ただひたすら政権を追い込もうとする、立憲民主党や反日メディアの姿勢は、もはや日本にとって「ゴミ」でしかありません。最もこのような謀略を持ってやるのは「ゴミ」を通り越して「売国奴」としか言いようがないと思います。
それに彼等が言う「権力」は、むしろ彼等の方が「言論権力」を振り翳して、日本を弱体化しようとしているように思えてなりません。まさに民主国家日本に巣くう「獅子身中の虫」と言っていいでしょう。背景に周辺諸国の影がちらつく、と思うのは私だけでしょうか。
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